JP2010270894A - ディスクブレーキ - Google Patents
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Abstract
【課題】組み付け性、及びパッドの戻り性の良さを確保しつつ、ガタツキによるラトル音やクロンク音、及び鳴きを抑えることのできるディスクブレーキを供給する。
【解決手段】アンカリングポイントPをパッド摩擦面中心Aよりもロータの径方向内周側に配したパッド50a(50b)と、パッド50aを押圧する押圧部を有する第1のパッドクリップ30と、パッド50及び第1のパッドクリップ30を組み付けるキャリパボディ12とを備え、パッド50aは、プレッシャプレート52に突起部56を有し、第1のパッドクリップ30における押圧部を突起部56に接触させて、パッド50aが制動時に回転しようとする矢印Mで示す回転方向と同一方向に付勢力を与えつつキャリパボディ12における回出側トルク受け部26に押し当てるように組み付けたことを特徴とする。
【選択図】図3
【解決手段】アンカリングポイントPをパッド摩擦面中心Aよりもロータの径方向内周側に配したパッド50a(50b)と、パッド50aを押圧する押圧部を有する第1のパッドクリップ30と、パッド50及び第1のパッドクリップ30を組み付けるキャリパボディ12とを備え、パッド50aは、プレッシャプレート52に突起部56を有し、第1のパッドクリップ30における押圧部を突起部56に接触させて、パッド50aが制動時に回転しようとする矢印Mで示す回転方向と同一方向に付勢力を与えつつキャリパボディ12における回出側トルク受け部26に押し当てるように組み付けたことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本発明はディスクブレーキに係り、特に鳴き、ラトル音、クロンク音等を抑制するのに好適なディスクブレーキに関する。
ディスクブレーキにおいて、制動時や走行時におけるクロンク音やラトル音、及び鳴きを抑制する事は、従来より課題として挙げられ、これを解決するための多くの手段が提案されてきている。ディスクブレーキにおけるクロンク音やラトル音、及び鳴きは、可動部材であるブレーキパッド(以下、単にパッドと称す)とキャリパボディやパッドをキャリパボディに係止するための抜け止めピンとの間のガタツキに起因する。このため、制動時や走行時におけるクロンク音やラトル音、及び鳴きを抑制するための手段として、これらのガタツキを無くすことが提案されている。
例えば特許文献1に記載のディスクブレーキ1では図13に示すように、パッド2を保持・ガイドするパッドクリップ3の先端を折り曲げて形成した傾斜部3aをパッド2の下端に形成した傾斜面2aに弾性的に押し当てると共に、パッドクリップ3の上端3bを抜け止めピン4に押し当てることで、パッド2を保持する抜け止めピン4と抜け止めピン4を挿通する長孔との間のガタツキや、パッドクリップ3におけるトルク受け部に沿った摺動面との間の隙間を無くしている。このような構成、手段により、走行時や制動時に生ずるラトル音やクロンク音を抑制することができる。
また、特許文献2に記載のディスクブレーキ1aでは図14に示すように、パッド2によりロータを挟持した際に生ずる偶力をロータの回転方向に生ずる偶力Mvよりもロータの回転方向と逆向きに生ずる偶力Mfの方が大きくなるように設計し、抜け止めピン4によって係止されるパッドクリップ3の弾性力を利用してパッド2に対して偶力Mfと同一方向の力を作用させ、パッド2を予めキャリパボディのトルク受け部に当接させるというものである。このような構成、手段によっても、走行時のガタツキや制動時の初動作に起因したラトル音やクロンク音を抑制することができる。
上記特許文献に開示されているような構成であれば確かに、パッドのガタツキを抑制し、ラトル音やクロンク音、及び鳴き等を抑えることができると考えられる。しかし、上記のような構成のディスクブレーキでは、パッドクリップの組み付け性の問題や、パッドクリップによるパッドの押付け力によるパッドの戻りの悪さに起因した鳴き等が問題視されることがある。
そこで本発明では上記問題を解決し、組み付け性、及びパッドの戻り性を確保しつつ、ガタツキによるラトル音やクロンク音、及び鳴きを抑えることのできるディスクブレーキを供給することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係るディスクブレーキは、アンカリングポイントをパッド摩擦面中心よりもロータの径方向内周側に配したブレーキパッドと、前記ブレーキパッドを押圧する押圧部を有する第1のパッドクリップと、前記ブレーキパッド及び前記第1のパッドクリップを組み付けるキャリパボディとを備え、前記ブレーキパッドは、プレッシャプレート相当部に段差部を有し、前記第1のパッドクリップにおける前記押圧部を前記ブレーキパッドにおける前記段差部に接触させて、前記ブレーキパッドが制動時に回転しようとする方向と同一方向に付勢力を与えつつ前記キャリパボディにおける回出側制動トルク受け部に押し当てるように組み付けたことを特徴とする。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキにおいて前記段差部は、前記ブレーキパッドにおけるライニング相当部よりも前記ロータの径方向外周側に設けられ、前記キャリパボディは前記ロータを跨ぐブリッジ部に開口部を有し、前記第1のパッドクリップは、前記ブレーキパッドの外周側に係止されるものであると良い。
このような構成とすることにより、ブレーキパッドの組み付け性が向上すると共に、第1のパッドクリップの組み付けも容易かつ迅速に行うことが可能となる。
このような構成とすることにより、ブレーキパッドの組み付け性が向上すると共に、第1のパッドクリップの組み付けも容易かつ迅速に行うことが可能となる。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキでは、前記ブレーキパッドにおけるライニング相当部よりも前記ロータの径方向内周側から前記ブレーキパッドに付勢して、前記ブレーキパッドが制動時に回転しようとする方向と同一方向に付勢力を与える第2のパッドクリップを有する構成としても良い。
このような構成とすることにより、ブレーキパッドに対してパッド摩擦面中心を基点とした略点対称な2点から押圧力を与えることとなる。このため、制動時のみならず走行時においてもブレーキパッドの保持に関して高い安定性を得ることが可能となる。また、2つのパッドクリップにより押圧力を生じさせるため、個々のパッドクリップの押圧力を極端に強める必要性が無い。このため、ブレーキパッドの戻りを妨げる虞が無い。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキでは、前記第1のパッドクリップは、前記開口部の縁辺における前記キャリパボディの前記ロータの径方向外周面と内周面とを挟み込む事で係止される構成とすると良い。
キャリパボディに形成された開口部に嵌め込むだけで組み付けができるため、第1のパッドクリップの組み付けを迅速に行うことができる。
キャリパボディに形成された開口部に嵌め込むだけで組み付けができるため、第1のパッドクリップの組み付けを迅速に行うことができる。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキにおいて前記第1のパッドクリップは、前記開口部を跨いで配置される2つの抜け止めピンにより係止される構成としても良い。
このような構成とした場合でも、パッドクリップ、およびブレーキパッドの組み付けを容易に行うことが可能である。
このような構成とした場合でも、パッドクリップ、およびブレーキパッドの組み付けを容易に行うことが可能である。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキにおいて前記第1のパッドクリップは、前記パッドに制動時の回転方向への付勢力を与えるメインフレームと、前記ブレーキパッドに対して前記ロータ方向から付勢して前記ブレーキパッドを前記ロータの軸方向へ互いに離間させるサブフレームとを有するものとしても良い。
このような構成とした場合には、ブレーキパッドのガタツキに起因する異音の他、ブレーキパッドの引き摺り等に伴う鳴きも抑制することが可能となる。
このような構成とした場合には、ブレーキパッドのガタツキに起因する異音の他、ブレーキパッドの引き摺り等に伴う鳴きも抑制することが可能となる。
また、上記のような特徴を有するディスクブレーキは、前記キャリパボディにおける回出側トルク受け部を覆う第3のパッドクリップを有するものであっても良い。
このような構成とすることで、ブレーキパッドの動きをスムーズなものとすることができる。
このような構成とすることで、ブレーキパッドの動きをスムーズなものとすることができる。
また、上記いずれかのディスクブレーキに選択的または組み合わせて組み付けられる前記第1のパッドクリップ、前記第2のパッドクリップ、及び前記第3のパッドクリップはそれぞれ、板状部材を曲げ加工されて成るようにすると良い。
板状部材からの打ち抜き、曲げ(プレスやベンダー)加工により生産することにより、溶接や、切削等の他の機械加工を要する場合に比べ、量産性が高く、かつ低コストに提供することができる。
さらに、上記のような特徴を有するディスクブレーキにおいて前記ブレーキパッドは、前記プレッシャプレート相当部と前記ライニング相当部が一体形成されているものとすることができる。
このような構成とした場合であっても、本発明のディスクブレーキによる効果を奏することが可能であると共に、ブレーキパッドの生産性を向上させることができるからである。
このような構成とした場合であっても、本発明のディスクブレーキによる効果を奏することが可能であると共に、ブレーキパッドの生産性を向上させることができるからである。
上記のような特徴を有するディスクブレーキによれば、組み付け性、及びパッドの戻り性を確保しつつ、ガタツキによるラトル音やクロンク音、及び鳴きを抑えることが可能となる。
以下、本発明のディスクブレーキに係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、図1〜5を参照して、第1の実施形態に係るディスクブレーキについて説明する。なお、図1は、ディスクブレーキの外観構成を示す図であり、図1(A)は上面図、図1(B)は正面図、図1(C)は右側面図を示す。また、図2はディスクブレーキの斜視図である。また、図3は、ディスクブレーキにおけるキャリパボディの断面構成を示す図である。
まず、図1〜5を参照して、第1の実施形態に係るディスクブレーキについて説明する。なお、図1は、ディスクブレーキの外観構成を示す図であり、図1(A)は上面図、図1(B)は正面図、図1(C)は右側面図を示す。また、図2はディスクブレーキの斜視図である。また、図3は、ディスクブレーキにおけるキャリパボディの断面構成を示す図である。
本実施形態に係るディスクブレーキ10は、オポーズド型のものであり、キャリパボディ(以下、単にボディと称す)12とブレーキパッド(以下、単にパッドと称す)50a,50b、及びパッドクリップ(第1のパッドクリップ30と第2のパッドクリップ40)とを基本として構成される。
ボディ12は、インナ側ボディ14とアウタ側ボディ16、及びインナ側ボディ14とアウタ側ボディ16とを連結するブリッジ部18a,18bとを有する。インナ側ボディ14には、ボディ12を車両(不図示)に固定するための固定部22a,22bが設けられ、図示しないボルトにより、車両への固定が可能な構成とされている。
インナ側ボディ14とアウタ側ボディ16とにはそれぞれ、図示しないロータに対向する面に、凹状のシリンダ(不図示)が形成されている。本実施形態におけるボディ12には、インナ側とアウタ側にそれぞれ3つのシリンダが形成されており、いわゆる6ポッドのキャリパを構成する。インナ側ボディ14とアウタ側ボディ16に形成された各シリンダにはそれぞれ、詳細を後述するパッド50a,50bを押圧するためのピストン(不図示)が備えられる。
インナ側ボディ14には、フルード供給口23が設けられており、フルード供給口23と、インナ側ボディ14に設けられたシリンダ、及びアウタ側ボディ16に設けられたシリンダは、それぞれ接続されている。このため、フルード供給口23からブレーキフルードが供給されると、ブレーキフルードは各シリンダに流入し、内部に収容されたピストンを押し出し、押し出されたピストンがパッド50a,50bを押圧することとなる。
このような基本構成を有するディスクブレーキ10において、図3は上述したように、ボディ12にパッド50a(50b)を組み付けたボディ12の断面構造(インナ側ボディ14の構造)を示す図である。なお、図3においては、紙面左側が進行方向、すなわちロータの回出側となる。
図3を参照すると理解できるようにパッド50a(50b)は本実施形態の場合、プレッシャプレート52とライニング54とから成る。プレッシャプレート52は鋼板により構成され、ライニング54は摩擦部材により構成される。また本実施形態におけるパッド50a(50b)は、プレッシャプレート52の外周部であって、ロータの回転軸を基点としてライニング54の外周側に突起部(段差部)56が設けられ、ライニングの内周側に弾性支持面58が設けられている。ここで突起部56は、山型をしており、詳細を後述する第1のパッドクリップ30の先端部を稜線に引掛け可能な構成とされている。また、弾性支持面58は、パッド50aにおける底面と回入側側面を繋ぐ傾斜面であり、詳細を後述する第2のパッドクリップ40の先端部により弾性支持される。このような形状的特性を有する突起部56と弾性支持面58との位置関係は、パッド摩擦面中心Aを基点として、突起部56が回出側上面、弾性支持面58が回入側底面といったものとなる。すなわち、パッド摩擦面中心Aを基点として略点対称な位置関係とされている。
パッド50a(50b)は、パッド50a(50b)を組み付けるためのパッド収容部13に収められる。パッド収容部13には、略L字状に形成された回出側トルク受け部26と、平坦面とされる回入側トルク受け部28、第1のパッドクリップ30、第2のパッドクリップ40、及び抜け止めピン24が備えられる。
本実施形態に係るボディ12のブリッジ部18a,18bには開口部20が設けられ、いわゆるオープントップ構造とされており、開口部20からパッド50a,50bの組み付け、取り外しが可能な構成とされている。上述した第1のパッドクリップ30は、開口部20の回出側縁辺に組みつけられ、第2のパッドクリップ40は回入側トルク受け部28を覆うように組み付けられる。
ここでまず、図4を参照して、第1のパッドクリップについて詳細に説明する。なお、図4において図4(A)は上面図、図4(B)は正面図、図4(C)は左側面図、図4(D)は第1のパッドクリップの組み付け状態を示す左側面図である。
第1のパッドクリップ30は、図4に示すように、開口部20の縁辺に取り付けるために略コ字状とされた取り付け部32と、取り付け部32の下方へと延設された押圧部34とから成る。図4(D)に詳細を示すように、開口部20における回出側縁辺の内側には、凹部20aが形成されている。第1のパッドクリップ30における取り付け部32は上側片32aと下側片32bを有し、取り付けにあたっては、開口部20縁辺の外側に上側片32aを、内側に設けられた凹部20aに下側片32bを配置することで、開口部20の縁辺を挟持し、第1のパッドクリップ30を開口部20の縁辺に係止する。押圧部34は、取り付け部32における上側辺32aと下側片32bとを連結する連結片から、取り付け部32の下方であって上側辺32aと下側片32bの先端方向へ向けて延設された板片であって、ロータをパスしつつインナ側のパッド50aとアウタ側のパッド50bをそれぞれ押圧するために、インナ側押圧部34aとアウタ側押圧部34bとに分割形成されている。なお、連結片と下側片32bの間に設けられた切欠き部31は、取り付け部32による開口部20の縁辺の挟持圧力を調整する役割を担う。このような構成の第1のパッドクリップ30は、1枚の板片を折り曲げ形成することで構成される。
次に、図5を参照して、第2のパッドクリップについて詳細に説明する。なお、図5において図4(A)は平面図、図4(B)は正面図、図4(C)は右側面図、図4(D)は第1のパッドクリップの組み付け状態を示す右側面図である。
第2のパッドクリップ40は、図5に示すように、インナ側脚部41aとアウタ側脚部41b、及び連結部48とを基本として構成される。インナ側脚部41aとアウタ側脚部41bとはそれぞれ、回入側トルク受け部28を覆うパッド摺動部42a,42bと、パッド摺動部42a,42bの下部からパッド50a,50bを支持する方向へ縁設された支持片44a,44bと、支持片44a,44bからパッド50a,50bの配置方向へ折り返されてパッド50a,50bを弾性的に押圧支持するバネ片46a,46bが備えられる。このような構成の第2のパッドクリップ40は、1枚の板片を折り曲げ形成することで構成される。
上記のような構成の第1のパッドクリップ30と第2のパッドクリップ40はそれぞれ、突起部56と弾性支持面58とを次のように押圧する。すなわち、第1のパッドクリップ30は、パッド摩擦面中心Aの回出側上方で、突起部56を回出方向へ押圧する。また、第2のパッドクリップ40は、パッド摩擦面中心Aの回入側下方で、弾性支持面58を上方へ押圧する。このため、第1のパッドクリップ30と第2のパッドクリップ40はそれぞれ、パッド50a,50bに対して、図3中矢印Mで示す回出側回りの力を付与することとなる。
抜け止めピン24は、ボディ12に形成された貫通孔に差し込まれてインナ側ボディ14とアウタ側ボディ16を跨ぐように配置され、図示しない割りピンやCリングやナットで前記貫通孔からの脱落を防止して固定されることで、第2のパッドクリップ40により押し上げられるパッド50a,50bを受け止める。
このような構成のディスクブレーキ10では、パッド50a,50bにおける回出側トルク受け部26との接点(アンカリングポイント)Pは、ロータ軸を基点としてパッド摩擦面中心Aを通る円の内側に位置している。このため、制動時においてパッド50a,50bには矢印Mで示す方向の偶力が働くこととなる。
上述したように、第1のパッドクリップ30と第2のパッドクリップ40は、パッド摩擦面中心Aを基点として略点対称な位置から互いに、パッド50a,50bに生ずる偶力の方向と同じ矢印Mで示す回転方向にパッド50a,50bを押圧するように付勢する。このため、パッド50a,50bは静止時や走行時においても制動時と同様に、回出側トルク受け部26にアンカリングポイントPを接触させた状態で保持されることとなる。
その結果パッド50a,50bのガタツキを無くすことができ、走行時におけるラトル音や鳴き、制動時におけるクロンク音を抑制することが可能となる。また、ロータの軸を基点としてパッド摩擦面中心Aを通る円の内側にアンカリングポイントPを配置したことより、制動時における偶力の発生方向が進行方向走行時におけるロータの回転方向と同一となりアンカリングポイントPが回出側トルク受け部26に当接することとなり、クロンク音やラトル音の発生を抑制することができる。
このような構成のディスクブレーキでは、まず、ボディ12に対して第2のパッドクリップ40を組み付ける。次に、ブリッジ部18a,18bの開口部20からパッド50a,50bを挿入し、回出側トルク受け部26に押し当てるようにパッドを配置する。次に、第1のパッドクリップ30を開口部20の縁辺を挟み込むように組み付け、インナ側押圧部34a、アウタ側押圧部34bをそれぞれ、パッド50a,50bにおけるプレッシャプレート52の突起部56に押し当てる。その後、第2のパッドクリップ40の作用により押し上げられているパッド50a,50bの回入側側面を押し下げ、抜け止めピン24を挿入して固定する。
このようにしてパッド50a,50bやパッドクリップ(第1のパッドクリップ30と第2のパッドクリップ40)を組み付けることで、容易且つ迅速に組み付けを行うことができる。また、パッド摩擦面中心Aを基点として離れた位置で、略点対称となる位置から、パッド50a,50bに対して回転方向の力を作用させていることより、小さな力で大きな作用を得ることができ、制動後におけるパッド50a,50bの戻りに対する悪影響が少ない。
また、本実施形態に係るディスクブレーキ10では、開口部20の縁辺に係止する第1のパッドクリップの形態を図6に示すようなものとしても良い。なお図6には、図6(A)にパッドクリップの上面図、図6(B)に左側面図、図6(C)に組み付け状態を示す左側面図を示す。
図6に示す第1のパッドクリップ30aは、その殆どの構成を図4に示した第1のパッドクリップ30と同様であり、その機能を同一とする箇所には図面に同一符号を付して詳細な説明は省略する。第1のパッドクリップ30aは、パッドクリップの幅方向中心に取り付け部32を形成し、取り付け部32における上側片32aと下側片32bの連結片の一部を幅方向に広げ、幅方向に広げた連結片の先端それぞれから、押圧部34を延設し、延設した押圧部の先端を連結させた形態を採っている。また、第1のパッドクリップ30aでは、押圧部34を構成する板片を図4に示した第1のパッドクリップ30の押圧部34を構成する板片よりも長くし、折り曲げ部の形状により、押圧点の位置を調整していることより、第1のパッドクリップ30よりも、押圧力の調整範囲幅を広げることができる。なお押圧力の調整は、切欠き部31の幅を変更し、押圧部34を構成する脚部の幅を調整すれば良い。
次に、本発明のディスクブレーキに係る第2の実施形態について図7〜12を参照して詳細に説明する。なお図7において図7(A)はディスクブレーキの平面図であり、図7(B)は正面図、図7(C)は右側面図である。また、図8はディスクブレーキの斜視図であり、図9はディスクブレーキにおけるキャリパボディの断面構成を示す図である。
本実施形態に係るディスクブレーキも、そのボディ構造に関しては、第1の実施形態に係るディスクブレーキのボディ構造と類似する。すなわち、インナ側ボディとアウタ側ボディ、及び開口部を備えたブリッジ部を有する構造である。よって、その機能を同一とする箇所には図面に100を足した符号を付して、その詳細な説明は省略することとする。なお、本実施形態に係るディスクブレーキ110はシリンダを2つ備えた、いわゆる2ポッド型のキャリパから成るものである。
図9に示すアウタ側ボディ116の断面構造を参照すると理解できるように、本実施形態に係るディスクブレーキ110のボディ112は、回入側トルク受け部128、回出側トルク受け部126の双方が、略L字状に形成されている。なお、回入側トルク受け部128と回出側トルク受け部126との相違点を挙げるとすると、回入側トルク受け部128には、L字状を成すトルク受け部の底面に、第2のパッドクリップ140の一部を収容するための凹部128aを有する点にある。また、本実施形態に係るディスクブレーキ110は、第1の実施形態に係るディスクブレーキ10と異なり、第1のパッドクリップ170、第2のパッドクリップ140、及び第3のパッドクリップ160といった3つのパッドクリップを有する。さらに、本実施形態に係るディスクブレーキ110では、第1の抜け止めピン124aと第2の抜け止めピン124bといった2つの抜け止めピンを有する。
図10に示す第1のパッドクリップ170は、パッド150a,150bを偶力方向(矢印Mで示す回転方向)へ押圧する役割と、パッド150a,150bをロータの軸方向へ互いに離間するように押し戻す役割を担う。なお、図10において、図10(A)は第1のパッドクリップの上面図、図10(B)は正面図、図10(C)は組み付け状態を示す正面図、図10(D)は組み付け状態を示す左側面図である。
第1のパッドクリップ170は、メインフレーム172と、このメインフレーム172の両サイドに張り出し形成される2つのサブフレーム174a,174bとから成る。メインフレーム172は、パッド150a,150bを偶力方向へ押圧する役割を担い、第1の抜け止めピン124aに係合される支点部172aと、パッド150a,150bにおける突起部156を回出方向へ押圧する作用点部172b、及びテコの原理と材料の弾性力を利用して作用点部172bに力を作用させる力点部172cとを有し、力点部172cは作用点部172bがパッド150a,150bに押圧を加える状態に弾性変形させた状態で、第2の抜け止めピン124bに係合される。これにより、メインフレーム172は、固定状態でパッド150a,150bに対して押圧力を作用させる状態となる。またサブフレーム174a,174bは、平板状の張り出し片をメインフレーム172に直交する方向へ折り曲げ、先端側をメインフレーム172から離間する方向へ折り曲げる事で形成される。このようなサブフレーム174a,174bは、その先端をパッド150a,150bのプレッシャプレート152に接触させることで、制動に伴う挟持圧力が解除された際に、パッドをロータから互いに離間させるように軸方向へ押し戻し、ロータとパッド150a,150bとの接触に伴う鳴きを防止することができる。なお、メインフレーム172に設けられている切欠き173は、メインフレーム172の弾性係数を調整するためのものである。
図11に示す第2のパッドクリップ140は、回入側トルク受け部128を覆う役割を担い、インナ側パッド150aを摺動させるインナ側脚部141aとアウタ側パッド150bを摺動させるアウタ側脚部141bとが連結部148で連結された形態のものである。なお、図11において図11(A)は第2のパッドクリップの上面図、図11(B)は正面図、図11(C)は右側面図である。
インナ側脚部141aとアウタ側脚部141bはそれぞれ、略L字状に形成された回入側トルク受け部128の形状に沿って先端を、パッド150a,150bの配置側、すなわち回出側トルク受け部126側へ折り曲げて形成された支持片144a,144bを有する。このような構成とすることで、回入側トルク受け部128におけるL字状の下面も覆う事が可能となり、パッド150a,150bの下面を支持することができる。そして、第2のパッドクリップ140では、支持片144a,144bの先端をさらに同じ方向、すなわち先端が回入側トルク受け部128を向く方向へ折り返し、保持するパッド150a,150bの下端部を弾性的に保持するバネ片146a,146bを構成する。なおバネ片146a,146bの切欠き143は、バネの弾性係数を調整するためのものである。
図12に示す第3のパッドクリップ160は、回出側トルク受け部126を覆う役割を担い、図12に示すように、第2のパッドクリップ140とほとんど同様な構成とされている。なお図12において図12(A)は第3のパッドクリップの平面図、図12(B)は正面図、図12(C)は左側面図である。インナ側脚部161aとアウタ側脚部161bはそれぞれ、略L字状に形成された回入側トルク受け部の形状に沿って先端をパッド配置側、すなわち回入側トルク受け部128側へ折り曲げて形成され、バネ片146a,146bが形成されない点が、第2のパッドクリップ140と異なる。
このような構成のディスクブレーキ10では、まず、回入側トルク受け部128と回出側トルク受け部126にそれぞれ、第2のパッドクリップ140と第3のパッドクリップ160を備える。次に、ボディ112のパッド収容部113にパッド150a,150bを収容する。次に第1のパッドクリップ170の作用点部172bをパッド150a,150bにおけるプレッシャプレート152の突起部156に接触させた状態で、支点部172aに第1の抜け止めピン124aを係合させ、第1の抜け止めピン124aを固定する。さらに、ボディ112から浮き上がった状態となっているメインフレーム172の力点部172cをボディ112側へ押し下げて作用点部172bにパッド押圧力を生じさせ、力点部172cを第2の抜け止めピン124bに係合させる。
このようにしてパッド150a,150bを組み付けることによれば、簡易且つ迅速に組み付けを行うことができる。また、第1のパッドクリップ170と第2のパッドクリップ140の作用により、パッド150a,150bには制動を掛けない状態でも矢印Mで示す偶力方向への押圧力が作用している。このため、パッド150a,150bは常にアンカリングポイントPが、回出側トルク受け部126へ押し付けられる状態となり、不快なラトル音や鳴きを抑制することができる。また、パッド150a,150bは第1のパッドクリップ170におけるサブフレーム174a,174bの作用によりロータの軸方向へと拡開される。このため、パッド150a,150bの引き摺りなどによる鳴きの発生を抑制することができる。
上記のように、実施形態に係るディスクブレーキではいずれも、パッドに対して回転方向の力を作用させる際、パッド摩擦面中心を基点として点対称、換言すると対角線上の2点にパッドクリップによる押圧部を配置する構成とした。このため、パッドの安定性が高く、制動時に限らず走行時においてもパッドが安定して保持されることとなり、異音の発生を抑制することができる。
また、上記実施形態においてパッドは、摩擦部材によるライニングと鋼板によるプレッシャプレートから成る旨示した。しかしながらパッドは、ライニング(摩擦部材)相当部とプレッシャプレート相当部が一体形成されているものとしても良い。
また、上記実施形態において第3のパッドクリップについては形成手段を具体的に示していないが、第1のパッドクリップ、第2のパッドクリップと同様に、1枚の板(板状部材)を曲げ加工することにより形成すれば良い。
また、上記実施形態では段差部に関し、いずれも突起部として説明した。しかしながら段差部は、プレッシャプレートに設けた凹部であっても良い。
また、上記実施形態では段差部に関し、いずれも突起部として説明した。しかしながら段差部は、プレッシャプレートに設けた凹部であっても良い。
10………ディスクブレーキ、12………キャリパボディ(ボディ)、14………インナ側ボディ、16………アウタ側ボディ、18a,18b………ブリッジ部、20………開口部、22a,22b………固定部、24………抜け止めピン、30………第1のパッドクリップ、32………取り付け部、34………押圧部、40………第2のパッドクリップ、41a………インナ側脚部、41b………アウタ側脚部、42a,42b………パッド摺動部、44a,44b………支持片、46a,46b………バネ片、50a,50b………ブレーキパッド(パッド)、52………プレッシャプレート、54………ライニング、56………突起部、58………弾性支持面。
Claims (9)
- アンカリングポイントをパッド摩擦面中心よりもロータの径方向内周側に配したブレーキパッドと、
前記ブレーキパッドを押圧する押圧部を有する第1のパッドクリップと、
前記ブレーキパッド及び前記第1のパッドクリップを組み付けるキャリパボディとを備え、
前記ブレーキパッドは、プレッシャプレート相当部に段差部を有し、
前記第1のパッドクリップにおける前記押圧部を前記ブレーキパッドにおける前記段差部に接触させて、前記ブレーキパッドが制動時に回転しようとする方向と同一方向に付勢力を与えつつ前記キャリパボディにおける回出側制動トルク受け部に押し当てるように組み付けたことを特徴とするディスクブレーキ。 - 前記段差部は、前記ブレーキパッドにおけるライニング相当部よりも前記ロータの径方向外周側に設けられ、
前記キャリパボディは前記ロータを跨ぐブリッジ部に開口部を有し、
前記第1のパッドクリップは、前記ブレーキパッドの外周側に係止されることを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキ。 - 前記ブレーキパッドにおけるライニング相当部よりも前記ロータの径方向内周側から前記ブレーキパッドに付勢して、前記ブレーキパッドが制動時に回転しようとする方向と同一方向に付勢力を与える第2のパッドクリップを有することを特徴とする請求項2に記載のディスクブレーキ。
- 前記第1のパッドクリップは、前記開口部の縁辺における前記キャリパボディの前記ロータの径方向外周面と内周面とを挟み込む事で係止されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のディスクブレーキ。
- 前記第1のパッドクリップは、前記開口部を跨いで配置される2つの抜け止めピンにより係止されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のディスクブレーキ。
- 前記第1のパッドクリップは、前記パッドに制動時の回転方向への付勢力を与えるメインフレームと、前記ブレーキパッドに対して前記ロータ方向から付勢して前記ブレーキパッドを前記ロータの軸方向へ互いに離間させるサブフレームとを有することを特徴とする請求項5に記載のディスクブレーキ。
- 前記キャリパボディにおける回出側トルク受け部を覆う第3のパッドクリップを有することを特徴とする請求項5または請求項6に記載のディスクブレーキ。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか1のディスクブレーキに選択的または組み合わせて組み付けられる前記第1のパッドクリップ、前記第2のパッドクリップ、及び前記第3のパッドクリップはそれぞれ、板状部材を曲げ加工されて成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1に記載のディスクブレーキ。
- 前記ブレーキパッドは、前記プレッシャプレート相当部と前記ライニング相当部が一体形成されていることを特徴とする請求項2乃至請求項8のいずれか1に記載のディスクブレーキ。
Priority Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015507155A (ja) * | 2012-02-10 | 2015-03-05 | クノール−ブレミゼ ジュステーメ フューア ヌッツファーツォィゲ ゲーエムベーハーKNORR−BREMSE System fuer Nutzfahrzeuge GmbH | 自動車のディスクブレーキのパッド保持装置 |
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-
2009
- 2009-05-25 JP JP2009125760A patent/JP2010270894A/ja active Pending
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