JP2010270656A - ドライ真空ポンプ - Google Patents

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Abstract

【課題】排気対象気体に含まれる水素による電磁モータの機能不全を防止する。
【解決手段】排気室13と潤滑室12との間には、排気室13を区画するシリンダ7と第1シャフト5との間をシールする第2シール28と、潤滑室12を区画するサイドカバー9と第1シャフト5との間をシールする第1シール27とを備え、第2シール28と第1シール27との間には、シールガスが供給されるガス導入空間29が設けられ、第2シール28及び第1シール27は、それぞれ、基部と、基部から第1シャフト5側へと延在する一対の円環状のリップ31,32,33,34とを備え、一対のリップ31,32又は33,34は、基部から第1シャフト5側へと向かうにつれて互いの間隔が漸次拡大するように延在するとともに、それぞれの先端部が、第1シャフト5に対して弾性的に接触可能とされていることを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、真空処理室を排気するドライ真空ポンプに関する。
ドライ真空ポンプは、その内部において排気対象気体にオイル等の液体が接触しない構造を有し、半導体製造分野等の高い系内清浄度が要求される場合等に多く用いられる。ドライ真空ポンプには多くの形態が存在するが、電磁モータ等の動力源で発生した回転動力により排気対象気体を吸引及び排出するロータを回転させ、系内を排気するものが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
一方、近年においてはシリコン系薄膜太陽電池の開発、製造が盛んに行われている。この種の薄膜製造用には、シラン(SiH4)と水素ガス(H)を主な原料ガスに用いたプラズマCVD技術を用いることで、基板上にアモルファスシリコンや結晶質シリコン薄膜を成膜する手法が一般的である(例えば、特許文献2参照)。
一方、真空ポンプのギアボックスと排気室との間の潤滑油流出および反応ガス類の流入を防止するために、非接触型軸シール機構に不活性ガスが流れる経路を設けることがある(例えば、特許文献3参照)。
特開2005−171766号公報 特開2006−216921号公報 特開2003−172261号公報
上述のような薄膜製造用のプラズマCVD装置においては、アモルファスシリコン膜や結晶質シリコン薄膜の成膜時に、原料ガスに主としてシランガスと水素ガスの混合ガスを用いる。また、プラズマCVD装置の真空処理室(製膜室など)内では、シランの分解反応によっても水素ガスが生成される。したがって、真空処理室から排気される排気対象気体(排気ガス)は多量の水素ガスを含む状況にある。
一方、真空処理室から水素ガスを含む排気対象気体を吸引及び排出するために用いられるドライ真空ポンプは、その駆動源として電磁モータを備えており、この電磁モータは構成材料として永久磁石材料を含む。永久磁石材料は鉄―ネオジム系材料が代表的であり、永久磁石材料は水分による錆が発生しやすいため、ニッケルメッキなどにより耐食性改善が行われている。また、永久磁石材料は水素を吸蔵するので水素化合物を形成し、発熱他で脆化して磁力の低下や崩壊に至ることがあり、いわゆる水素による浸食を受け易いことが知られており、電磁モータの励磁力低下が懸念される。
さらに、水素ガスは分子サイズが小さく拡散しやすいため、水素ガスは、ドライ真空ポンプの排気室からロータの回転シャフトのシール部分を通過して電磁モータ内部へと拡散し、さらには永久磁石の表面に施した薄いニッケルメッキやメッキ層のピンホールを透過して、水素による浸食を生じさせる危惧があることが判明した。
したがって、薄膜製造用のプラズマCVD装置の真空処理室(製膜室など)の排気手段としてドライ真空ポンプを用いる場合、排気対象気体(排気ガス)中に含まれる大量の水素ガスによる電磁モータの永久磁石材料機能不全を回避することが重要な課題であり、このため、永久磁石材料と水素ガスが直接接触しない対策が望まれている。
特に、結晶質シリコン系薄膜製造に見られるような、シランガスを多量の水素ガスで希釈する高希釈率製膜条件にて、1mを超える大面積基板へ製膜処理をする場合は、真空排気ポンプの内容量に対する排気対象気体中の水素ガスの割合が増加するため、一層に水素ガスによる電磁モータの永久磁石材料機能不全を発生することが懸念される。
また、特許文献3にあるような真空ポンプにおいては、排気室からギアボックスへの反応ガス類の流入を防止するために、非接触型軸シール機構に不活性ガスが流れる経路を設けているが、不活性ガス量を多く投入することによりコストアップを招くとともに、排気能力が低下するという課題がある。また、排気室の圧力変動に対してシール特性を確保するには、不活性ガス流量をますます増加させる必要がある。
以上から、接触型シール機構を採用した上で、排気室の圧力変動に対しても十分にシール特性の優れたシール機構が望まれている。
以上のような事情に鑑み、本発明は、真空処理室から導かれる排気対象気体(排気ガス)に含まれる水素ガスによる駆動源(電磁モータ)の機能不全を防止することができるドライ真空ポンプを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のドライ真空ポンプは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるドライ真空ポンプは、電磁モータによって回転駆動されるシャフトと、該シャフトに取り付けられるとともに排気室内に設けられ、真空処理室内の排気対象気体を該排気室内に吸引しかつ排出するロータと、を備えた真空処理室を排気するドライ真空ポンプにおいて、前記排気室と、該排気室の隣に位置する隣室との間には、該排気室を区画する排気室区画壁部と前記シャフトとの間をシールする排気室側シールと、該隣室を区画する隣室区画壁部と前記シャフトとの間をシールする隣室側シールとを備え、前記排気室側シールと前記隣室側シールとの間には、シールガスが供給されるガス導入空間が設けられ、前記排気室側シール及び前記隣室側シールは、それぞれ、前記排気室区画壁部側または前記隣室区画壁部側に固定された円環状の基部と、該基部から前記シャフト側へと延在する一対の円環状のリップ部とを備え、一対の前記リップ部は、前記基部から前記シャフト側へと向かうにつれて互いの間隔が漸次拡大するように延在するとともに、それぞれの先端部が、前記シャフトに対して弾性的に接触可能とされていることを特徴とする。
排気室と隣室との間に、排気室側シール及び隣室側シールを設け、これらシール間にシールガスを供給することとした。シールガスは、排気室側シールから排気室側に、また、隣室側シールから隣室側に噴出する。これにより、排気室内の排気対象気体が隣室側に漏出することを防止でき、また、隣室内の物質(例えば、潤滑オイルやその蒸気)が排気室側に漏出することを防止できる。
また、排気室側シール及び隣室側シールは、一対のリップ部を備え、それぞれの先端部が、シャフトに対して弾性的に接触可能とされている。したがって、2つのリップ部によってシールを行うことができるので、より確実なシールが行われることになる。
さらに、各リップ部は、シャフト側へと向かうにつれて互いの間隔が漸次拡大するように延在する形状とされており、これらリップ部は共通の基部に接続されている。したがって、一方のリップ部が基部に対して傾斜すると、他方のリップ部も貴部を介して傾斜することになるので、この傾斜方向と同方向に傾斜することになる。すなわち、排気室または隣室に接するリップ部がシャフトから離間するように傾斜すると、これに対応してシールガスが供給されるガス導入空間に接するリップ部がシャフトに近接するようになる。これとは逆に、排気室または隣室に接するリップ部がシャフトに近接するように傾斜すると、これに対応してシールガスが供給されるガス導入空間に接するリップ部がシャフトから離間するようになる。このように、一方のリップ部がシャフトから離間してシャフトとの間隙が大きくなっても、このリップ部の周方向位置に対応する他方のリップ部がシャフトに近接してシャフトとの間隙が小さくなるので、シールガスの流出量が各周方向位置にて不均一を改善するように調整されることになる。したがって、シールの周方向に圧力分布が生じていても、各周方向位置にてシールガス流量が調整されるので、高いシール性能が発揮されることになる。
なお、本発明において、「隣室」とは、排気室の隣に位置する室を意味し、例えば、潤滑室や軸受室が挙げられる。したがって、本発明は、排気室と潤滑室とのシールや、排気室と軸受室とのシールに好適である。
さらに、本発明のドライ真空ポンプでは、前記電磁モータを収容する電磁モータ室は、前記排気室に対して前記隣室を挟んだ位置に設けられ、前記隣室は、潤滑オイルが貯留される潤滑室とされ、前記排気対象気体には、水素ガスが含まれていることを特徴とする。
水素ガスは、電磁モータの永久磁石材を浸食して磁気性能を低下させる。本発明では、上記発明の排気室側シール及び隣室側シールを、排気室と隣室(潤滑室)との間に設けることとしたので、排気室に対して隣室(潤滑室)を挟んで位置する電磁モータ室までは排気対象ガスが漏出することが防止される。したがって、電磁モータの永久磁石が水素ガスによって浸食されることを回避することができる。
さらに、本発明のドライ真空ポンプでは、前記基部と一対の前記リップ部とは、一体にて構成されていることを特徴とする。
基部と一対のリップ部とを一体にて構成することとしたので、取り扱いとメンテナンスが容易になる。
さらに、本発明のドライ真空ポンプでは、一対の前記リップ部をそれぞれ別部材とし、これらリップ部の基端部を互いに固定して組み付けることによって前記基部と構成することを特徴とする。
一対のリップ部のそれぞれを別部材としたので、各リップ部の製作が容易となり、複雑な形状でも製作が可能となるので、コストダウンが実現される。
さらに、本発明のドライ真空ポンプでは、各前記リップは、前記シャフトと接触する部位がポリテトラフルオロエチレンとされていることを特徴とする。
シャフトとの接触部位をポリテトラフルオロエチレンとしたので、シャフトとの摩擦係数が低下し、リップ部の摺動部分の摩耗量を低減できる。これにより、シールの信頼性を長期にわたり確保することができる。
本発明のドライ真空ポンプによれば、排気室と隣室との間に、排気室側シール及び隣室側シールを設け、これらシール間にシールガスを供給することとしたので、排気室内の排気対象気体が隣室側に漏出することを防止でき、また、隣室内の物質(例えば、潤滑オイルやその蒸気)が排気室側に漏出することを防止できる。
また、排気室側シール及び隣室側シールは、一対のリップ部を備え、それぞれの先端部が、シャフトに対して弾性的に接触可能としたので、2つのリップ部によってシールを行うことができるので、より確実なシールが行われることになる。
また、各リップ部は、シャフト側へと向かうにつれて互いの間隔が漸次拡大するように延在する形状とされており、これらリップ部は共通の基部に接続されているので、シールの周方向に圧力分布が生じていても、各周方向位置にてシールガス流量が不均一を改善するように調整されるので、高いシール性能を発揮することができる。
また、排気室側シール及び隣室側シールを、排気室と潤滑室との間に設けることとしたので、排気室に対して潤滑室を挟んで位置する電磁モータ室までは排気対象ガスが漏出することが防止される。したがって、電磁モータの永久磁石が水素ガスによって浸食されることを回避することができる。
本発明の一実施形態に係るドライ真空ポンプが用いられる真空処理系統を示した概略構成図である。 図1のドライ真空ポンプの内部構造を示した平面断面図である。 図1のドライ真空ポンプの内部構造を示した側断面図である。 図1のドライ真空ポンプの排気室の構成を示した断面図である。 図1のドライ真空ポンプのカップシールの詳細を示す拡大断面図である。 図5のカップシールを構成するシール部材の構成を示し、(A)は断面斜視図、(B)はシール部材の要部の作用を示した断面図である。 図5のカップシールの詳細を示した拡大断面図である。 シールガス流量による潤滑室への水素ガスの侵入試験結果を示した図表である。
以下に、本発明にかかる実施形態について、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係るドライ真空ポンプ1を用いた真空処理系統の概略が示されている。
プラズマCVD装置(真空処理装置)101は、製膜室103を備えており、この製膜室103内を真空排気する系統にドライ真空ポンプ1が設けられている。製膜室103は、1mを超える大面積ガラス基板(不図示)に対して製膜を行なう。製膜室103には、主な原料ガスであるシランガス(SiH)および水素ガス(H)、ならびにクリーニングガス(NF)をそれぞれ製膜室103内に供給するガス供給流路104,105,106が接続されている。また、製膜室103には、ガスを排気する排気系統61とが設けられている。
排気系統61は、高真空用のターボ分子ポンプ(TMP)109が設けられた排気流路110と、流量調整弁(CV)111が設けられた流路112とを備えている。排気流路110と流路112との合流点Sよりも下流の流路113には、ドライ真空ポンプ(DP)1が介装されている。さらに、ドライ真空ポンプ1の下流側には、排気ライン62が設けられている。この排気ライン62は、シランガスおよび水素ガス等の可燃ガスを排気する可燃系排気ライン117と、三フッ化窒素ガス(NF)等の支燃系ガスを排気する支燃系排気ライン118とに分岐される。可燃系排気ライン117には可燃系排気弁119aが、支燃系排気ライン118には支燃系排気弁119bが設けられている。
製膜を実施する為に、原料ガスのシランガスおよび水素ガスを供給する場合は、可燃系排気弁119aを開、支燃系排気弁119bを閉として、可燃系排気ライン117を用いる。
製膜室103内をセルフクリーニングする為にクリーニングガスの三フッ化窒素ガスを供給する場合は、可燃系排気弁119aを閉、支燃系排気弁119bを開として、支燃系排気ライン118を用いる。
また、プラズマCVD装置101には、製膜室103の圧力を計測する真空計(V)120が設けられている。
このように構成されたプラズマCVD装置101では、ドライ真空ポンプ1による粗引き真空排気を行いながら大気圧から減圧された製膜室103内へSiHからなる原料ガスを含む製膜ガスを送り込み、図示されていない高周波電源により供給される高周波電力によってプラズマを生じさせ、製膜室103内に支持されて加熱されたガラス等の基板に製膜を施す。基板としては、例えば、1mを超える大面積ガラス基板が挙げられる。
原料ガスは、水素ガスを用いて希釈され、例えば、結晶質シリコン膜形成にはシランガスに対して20倍以上に水素ガス希釈することによって膜質の向上を実現できる。
プラズマCVD装置101は、製膜処理の指示を受けると、MV121とTV122を開とするとともにRV123を閉とし、ターボ分子ポンプ109およびドライ真空ポンプ1による高真空排気を行なう。
基板(不図示)を製膜室103内にセットし、製膜レシピ指示を受け、製膜レシピにしたがって製膜処理を行なう。
例えば、結晶質シリコン膜の形成において、製膜速度2.0〜2.5nm/sを得るにあたり、製膜圧力は1000〜3000Paであり、基板1mあたりの製膜用原料ガスであるシランガスの流量は0.5〜2.0SLM/m、水素ガスの流量は10SLM/m以上の大流量となる。
次いで、MV121とTV122を閉とするとともにRV123は開とし、ドライ真空ポンプ1による粗引き真空排気を行ないながら、製膜原料ガスを製膜室103内に導入し、真空計(V)120によって計測した製膜室103内の圧力が製膜レシピ指示値の製膜室130内の圧力となるよう流量調整弁(CV)111を調整し、製膜室103内の圧力を調整する。
次いで、プラズマ放電を開始され、これにより製膜が施される。
所定の製膜が行われた後、プラズマ放電を停止し、また、製膜原料ガスを停止する。MV121とTV122を開とするとともにRV123を閉とし、ターボ分子ポンプ109およびドライ真空ポンプ1による高真空排気を行ない、製膜処理した基板を搬出し、製膜処理を終了する。
なお、ドライ真空ポンプ1は、ルーツ型ポンプ等のメカニカルブースタポンプと排気系統を直列に組み合わせて真空排気能力を向上させて使用しても良い。
図2には、本実施形態に係るドライ真空ポンプ1を上面から見た平面断面図が示されている。図3には、ドライ真空ポンプ1を側面から見た側断面図が示されている。
本実施形態に係るドライ真空ポンプ1は、ルーツ型ドライ真空ポンプで構成されるが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、スクロール型、回転翼型等の他の形態のドライ真空ポンプ、ルーツ型ポンプ等のメカニカルブースタポンプにも適用可能である。
同図に示すように、ドライ真空ポンプ1は、駆動源である電磁モータ3と、この電磁モータ3の側方に配置された潤滑室(隣室)12と、この潤滑室12の側方に配置された排気室13と、潤滑室12と排気室13との間に配置されたシール機構11とを有する。
潤滑室12は、モータカバー(隣室区画壁部)8とサイドカバー9によって形成され、排気室13は、シリンダ(排気室区画壁部)7とサイドカバー9によって形成されている。潤滑室12及び排気室13は、ドライ真空ポンプ1の主要な筐体部を構成する。
潤滑室12には回転伝達機構4が収容され、排気室13には第1ロータ(ロータ)6が収容されている。電磁モータ3はモータカバー8に隣接して配置されている。電磁モータ3の回転軸には第1シャフト(シャフト)5が接続されている。第1シャフト5は潤滑室12を縦貫し、サイドカバー9を貫通して排気室13に延伸している。第1シャフト5が潤滑室12と排気室13を連通する箇所は、第1シール機構11によって、第1シャフト5の回転に伴い潤滑室12と排気室13の間でガスの移動を抑制するようにシールされている。潤滑室12の室内において第1シャフト5に回転伝達機構4が接続され、排気室13の室内において第1シャフト5に第1ロータ6が接続されている。また、潤滑室12には回転伝達機構4を潤滑するための潤滑オイルF(図3参照)が収容されている。
本実施形態に係るドライ真空ポンプ1は、上記構成に加え、第2シャフト(シャフト)14と、第2ロータ(ロータ)15と、第2シール機構16とを有する(図2参照)。第2シャフト14は、潤滑室12の室内において回転伝達機構4に接続され、第1シャフト5と平行に、サイドカバー9を貫通して排気室13に延伸している。第2シャフト14が潤滑室12と排気室13を連通する箇所は、第2シール機構16によって、第2シャフト14の回転に伴い潤滑室12と排気室13の間でガスの移動を抑制するようにシールされている。排気室13の室内において第2シャフト14に第2ロータ15が接続されている。
また、本実施形態に係るドライ真空ポンプ1は、潤滑室12からみて排気室13の反対側(図2において右側)に、軸受室17を有する。軸受室17は、シリンダ7のサイドカバー9と反対側に取り付けられた第2サイドカバー18と、第2サイドカバー18に取り付けられた軸受カバー19によって形成されている。第1シャフト5及び第2シャフト14は、第2サイドカバー18を貫通し、軸受室17の室内で回転可能に支持されている。軸受室17は第1シャフト5を回転可能に支持する第1軸受20と、第2シャフト14を回転可能に支持する第2軸受21を収容する。第1軸受20及び第2軸受21は例えばボールベアリング等である。
電磁モータ3は、電磁モータ室10内に収容されており、第1ロータ6を回転させるための回転動力を発生させる。電磁モータ3はドライ真空ポンプ1の動力源として一般的な構造のものを用いることができる。典型的には、電磁モータ3は、固定子と回転子とを有し、固定子と回転子の何れか一方に、永久磁石材が用いられる。永久磁石材は比較的安価で強い磁気特性を保有するものが好ましく、例えば希土類磁石が使用される。永久磁石材としては、例えば、鉄−ネオジム系等の希土類鉄系磁石材が用いられ、磁石体表面には錆や腐食や水素吸蔵する水素化合物を形成による浸食への耐久性を向上させるために、ニッケルなど金属によるメッキ層を施してある。
電磁モータ3及び潤滑室12は、図2及び図3に示すように、排気室13の排気空間26で気体が圧縮される側(大気圧に近い側)に設けられている。このように電磁モータ3を配置することで、電磁モータ室10の気密管理を容易にすることができる。また、ドライ真空ポンプ1の起動停止時など圧力変動が発生する際には、潤滑室12と排気室13との圧力差が少ないため、第1シール機構11におけるシール特性をより確実にする効果がある。
なお、電磁モータ3は1基に限られず、複数基が設けられていてもよい。
回転伝達機構4は、潤滑オイルFにより潤滑され、電磁モータ3で発生した回転動力を第1シャフト5及び第2シャフト14へ伝達し、第1ロータ6及び第2ロータ15を互いに逆方向に同期回転させる。回転伝達機構4は、第1タイミングギア22、第2タイミングギア23、第1ベアリング24及び第2ベアリング25を含む。第1タイミングギア22は第1シャフト5に取り付けられ、第2タイミングギア23に回転動力を伝達する。第1ベアリング24はサイドカバー9に固定された外輪と、第1シャフト5に固定された内輪と、これらの間に配置されたベアリングボールとを含み、第1シャフト5をサイドカバー9に回転可能に支持する。第2タイミングギア23は第2シャフト14に取り付けられ、第1タイミングギア22から回転動力を伝達され、第2シャフト14を回転させる。第2ベアリング25はサイドカバー9に固定された外輪と、第2シャフト14に固定された内輪と、これらの間に配置されたベアリングボールとを含み、第2シャフト14をサイドカバー9に回転可能に支持する。回転伝達機構4の構成はこれらに限定されず、例えば減速ギア等を含んでもよい。
第1ロータ6及び第2ロータ15は、回転することによって排気対象気体を吸引及び排出する。図4は、第1ロータ6及び第2ロータ15の構成を示す横断面図である。図2及び図3に示したように、第1ロータ6はシャフト5に沿って直列に多段(図示の例では6段)で配列され、第2ロータ15は第2シャフト14に沿って直列に多段(図示の例では6段)で配列されている。
各段の第1ロータ6は各段の第2ロータ15と対になって配置されている。それぞれの第1ロータ6及び第2ロータ15は3葉の形状に形成され、第1シャフト5及び第2シャフト14が回転すると、対になっているロータ部と微小な間隔を空けて回転可能となっている。
それぞれの第1ロータ6及び第2ロータ15の対は、シリンダ7内に形成された6つの排気空間26に一対ずつ配置され、排気空間26は順次後段の排気空間に連通する排気通路26aによって接続されている。また、最前段(最上流段)の排気空間26はシリンダ7に形成された吸気孔7aに接続され、最後段(最下流段)の排気空間26はシリンダ7に形成された排気孔7bに接続されている(図3参照)。
吸気孔7aは、排気系統61を介して、薄膜製造用の真空処理室としてのプラズマCVD装置の製膜室103に接続されている。排気孔7bは、排気ライン62に接続されている。製膜室103は、基板上にアモルファスシリコン膜や結晶質シリコン膜を製膜するための製膜室として構成される。製膜室103では、ドライ真空ポンプ1による粗引き真空排気を行いながら大気圧より減圧された製膜室内へ主として、シランガス(SiH)および水素ガス(H)からなる原料ガスを含む製膜ガスを送り込み、図示されていない高周波電源により供給される高周波電力によってプラズマを生じさせ、製膜室103内に支持されて加熱されたガラス等の基板に製膜を施す。このとき、製膜室103にはシランガス(SiH)の分解と多量の水素ガス(H)の投入により、大量の水素ガスがドライ真空ポンプ1によって排気ライン62へ排気される。
製膜室103の他に基板予熱室なども多量の水素ガス(H)の投入を行なうことから、同様に利用可能である。
例えば、結晶質シリコン膜形成には、40MHz〜100MHzの高周波電力を供給するプラズマ放電電極と基板表面との距離dを3mm〜10mmに設定して、シランガスに対して20倍以上に水素ガス希釈した原料ガスを供給することによって、製膜速度と膜質の向上を実現できる。1mを超える大面積基板の結晶質シリコン膜の形成において、製膜速度2.0〜2.5nm/sを得るには、製膜圧力1000〜3000Paであり、基板1mあたりの製膜用原料ガスであるシランガスの流量は0.5〜2.0SLM/m、水素ガスの流量は20SLM/m以上必要となり、おおよそ20〜100SLM/mである。シランガスの一部は製膜に消費されることにより、シランガスの分解で生じた水素ガスも加わり、排気ライン62へ排気される水素ガス流量は更に増加し、排気対象気体中の水素ガス分圧は非常に大きくなっている。
第1シール機構11及び第2シール機構16は、第1シャフト5及び第2シャフト14が潤滑室12及び排気室13を連通する箇所において、潤滑オイルF及び排気対象気体の導通をシールする。サイドカバー9には、当該箇所にシールガスを供給するためのガス導入孔9aが形成されている。
次に第1シール機構11及び第2シール機構16について説明する。
第1シール機構11と第2シール機構16の構成は同一であるため、第1シール機構11について説明する。
図5は、第1シール機構11の構成を示す断面図であり、図3の第1シール機構11の近傍を拡大した図である。
同図に示すように、第1シール機構11は、第1シール(潤滑室側シール)27と、第2シール(排気室側シール)28とを有する。第1シール27はサイドカバー9と第1シャフト5の間に配置され、第2シール28はシリンダ7と第1シャフト5の間に配置されている。
シリンダ7とサイドカバー9の間には、ガス導入孔9aと連通する隙間Gが形成され、第1シール27及び第2シール28によってガス導入空間29が形成されている。本実施形態に係るドライ真空ポンプ1において、サイドカバー9とシリンダ7の、ガス導入空間29に臨む部分が隔壁を構成する。
また、上記構成に加え、第1シール機構11は、潤滑室12の室内において第1シャフト5に取り付けられたスリンガ30を有する。
第1シール27及び第2シール28はそれぞれ同一の構成を有し、例えば図6(A)に示すシール部材Aで構成される。図6はシール部材Aの構成を示す斜視図である。シール部材Aは、その内周部がシャフト5の外周に弾性的に接触する円環状のカップシール(リップシール)で構成されている。
図6(A)に示すようにシール部材Aは、固定部aと基部bと二つのリップ部cとを備えている。円環状のシール部材Aの外周側に固定部aが形成され、固定部aから円環の径方向に突出するように基部bが形成され、基部bから径方向に対して斜めとなる二方向に突出するように(ハの字となるように)二つのリップ部cが形成される。すなわち、一対のリップ部cは、第1シャフト5の軸方向に沿いながら、互いに反対方向に張り出す構造を有している。リップ部cは他方のリップ部cと接近しあるいは離間するように弾性変形可能に形成される。
なお、シール部材Aは、複数の部材から構成されてもよい。
固定部a、基部b及びリップ部cは、水素を含む排気対象気体及び潤滑オイルFに対して耐性を有するとともに弾力性を有する、例えばフッ素ゴム等の材料によって形成される。
また、シール部材Aは、各リップ部cの、第1シャフト5と当接する箇所に配置された摺動部材dと、固定部a及び基部bに挿入された支持部材eを有する。
摺動部材dは、例えばポリテトラフルオロエチレン等の摩擦係数の低い材料からなり、シール部材Aと第1シャフト5との接触抵抗を低減させ、第1シャフト5との隙間を均等にする。摩擦係数が低いので、摺動部材dの摩耗量を低減できて、長期にわたり信頼性を確保できるので好ましい。図6(B)は、摺動部材dの構成を示す図である。同図に示すように、シール部材Aが第1シール27及び第2シール28としてドライ真空ポンプ1に取り付けられた後、ドライ真空ポンプ1が空運転されることにより、各摺動部材dはシャフト5と摺動し、下図のように摺動部材dの面圧の高いカド部分が平滑化された状態で使用される。
支持部材eは例えば金属からなり、シール部材Aの強度や形状を維持する。なお、支持部材eは省略されてもよい。
図7は、第1シール27及び第2シール28の配置を示す縦断面図である。
同図に示すように、第1シール27は、サイドカバー9と第1シャフト5との間に配置され、主として、潤滑室12から排気室13への潤滑オイルF(又はその蒸気)の漏出を規制する機能を有する。第2シール28は、シリンダ7と第1シャフト5との間に配置され、主として、排気室13から潤滑室12への排気対象気体(特に水素ガス)の侵入を規制する機能を有する。
第1シール27はサイドカバー9に、第2シール28はシリンダ7に、それぞれの固定部aが固定され、各リップ部cは第1シャフト5に弾接している。
第1シール27の二つのリップ部cのうち、潤滑室12に面するリップ部cを第1リップ31、ガス導入空間29に面するリップ部cを第2リップ32とする。また、第2シール28の二つのリップ部cのうち、ガス導入空間29に面するリップ部cを第3リップ33、排気室13に面するリップ部cを第4リップ34とする。
第1リップ31は、潤滑室12の圧力がガス導入空間29より高い場合には第1シャフト5へ接近する方向へ、潤滑室12の圧力がガス導入空間29より低い場合には第1シャフト5から離間する方向へ弾性変形することが可能である。同様に、第2リップ32、第3リップ33及び第4リップ34は、それぞれ各リップが面する空間の圧力が相対的に高い場合には第1シャフト5へ接近する方向へ、相対的に低い場合には第1シャフト5から離間する方向へ弾性変形することが可能である。
スリンガ30は、第1シャフト5と共に回転し、遠心力により液体の潤滑オイルFが第1シール27に到達することを抑制する。なお、スリンガ30の配設は任意である。
本実施形態のドライ真空ポンプ1は以上のように構成される。次に、ドライ真空ポンプ1の動作を説明する。
電磁モータ3が回転を開始すると、電磁モータ3に接続された第1シャフト5が回転し、第1タイミングギア22がそれに伴って回転する。第2タイミングギア23が第1タイミングギア22によって回転され、第2タイミングギア23に接続された第2シャフト14が回転する。即ち、第1シャフト5及び第2シャフト14が同速度で逆方向に回転する。第1シャフト5及び第2シャフト14の回転に伴って、第1ロータ6及び第2ロータ15が回転する。
潤滑室12の室内では、第1タイミングギア22、第2タイミングギア23、第1ベアリング24及び第2ベアリング25が潤滑オイルFによって潤滑される。
第1ロータ6及び第2ロータ15が回転すると、各排気空間26の室内で容積が拡張される領域及び圧縮される領域が形成される。このため、容積が拡張される側の排気通路から気体が吸引され、容積が圧縮される側の排気通路へ気体が排出される。これにより、各排気空間26において、前段の排気空間26もしくは吸気孔7aを介して製膜室103から水素を含む排気気体が吸引され、後段の排気空間26もしくは排気孔7bに当該気体が排出される。各排気空間26において順次前段の排気空間26よりも気体が圧縮されるので、排気対象系内の圧力が大気圧よりも十分小さくなっても、最終的に大気圧以上に加圧し排気することが可能である。この際、特に排気開始時点等の排気対象系内の圧力が高い状況において、上記容積が圧縮される領域では気体が大気圧以上に加圧される場合がある。
以上のようにして、製膜室103が所定の真空度まで排気され、または所定の真空度で維持される。後述するように、本実施形態のドライ真空ポンプ1は、第1シール機構11及び第2シール機構16を備えているため、排気対象気体に潤滑オイルFまたはその蒸気が混入することが抑制され、排気対象系内の汚染を抑制する。また、排気室13内の排気対象気体が、潤滑室12に侵入することが抑制されるため、電磁モータ3が排気対象気体に曝されることを抑制する。これにより、排気対象気体に多量の水素が含まれている場合においても、電磁モータ3を構成する永久磁石材の劣化を抑制することが可能となる。
第1シール機構11及び第2シール機構16において、シールガスを供給するとともに、シャフトの軸方向に沿いながら、互いに反対方向に張り出す一対のリップ部cを有することで、排気対象気体が潤滑室12に侵入して電磁モータ3が排気対象気体に曝されることを更に効果的に防止する。
次に、第1シール機構11の動作について説明する。なお、第2シール機構16の動作もシール機構11と同様である。
ガス導入空間29にシールガスが充填されると、ガス導入空間29の圧力が上昇する。シールガス(シールガス供給源)は、排気対象気体のガス成分と反応をしない不活性ガスを用いる。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガスなどがあるが、窒素ガスは価格が安価であるとともに、排気室13に混入しても分子量が大きいためドライ真空ポンプの排気能力低下を少なく抑えられるので好ましい。
シールガスの導入により、ガス導入空間29が、後述する排気空間26の最大圧力よりも高い圧力(十分なシールガスの流量が得られる圧力)になるような流量に調節される。
図8に、排気対象気体として水素ガスを100SLM排気させて、シールガスとして窒素ガスを用いた場合のシールガス流量による水素ガスの潤滑室12への漏れ濃度を計測した結果を示す。シールガス(窒素ガス)流量がない場合(0SLM)では、潤滑室12の水素濃度は60ppmであったが、シールガス(窒素ガス)を5SLM以上導入することで、潤滑室12の水素濃度は計測限界以下となり、水素ガスが潤滑室12に侵入すること防止されていることが確認された。またシールガス流量を増加することで、潤滑室12の圧力が上昇しすぎると、潤滑オイルFがガス排出通路53を経由してオイルトラップ55で捕獲できなかった微量のオイルミスト分が排気ライン62へ排出されることが危惧されるので、必要以上に潤滑室12の圧力を上昇させないことが好ましい。
シールガスの流量は、1mを超える大面積基板の結晶質シリコン膜の形成においては、例えば窒素ガスが5SLM〜10SLMであり、排気対象気体流量の略1/10〜略1/20である。
第1シャフト5が回転すると、第1シール27については、シールガスが第2リップ32と第1シャフト5との摺動箇所に巻き込まれて第2リップ32を押し上げ、形成された隙間からシールガスが流出する。流出したシールガスがさらに第1リップ31と第1シャフト5との摺動箇所に巻きこまれて第1リップ31を押し上げ、形成された隙間から潤滑室12へシールガスが流出する。即ち、シールガスが、ガス導入空間29から第1シール27と第1シャフト5との隙間を通過して潤滑室12へ噴出する。
第2シール28についても、第1シャフト5が回転すると、シールガスが第3リップ33と第1シャフト5との摺動箇所に巻き込まれて第3リップ33を押し上げ、形成された隙間からシールガスが流出する。流出したシールガスがさらに第4リップ34と第1シャフト5との摺動箇所に巻き込まれて第4リップ34を押し上げ、形成された隙間からシールガスが流出する。即ち、シールガスがガス導入空間29から第2シール28と第1シャフト5との隙間を通過して排気室13へ噴出する。
このように、第1シャフト5との間に形成される第1シール27の隙間と第2シール28の隙間から噴出するシールガスにより、潤滑室12内の潤滑オイルF及びその蒸気が第1シール27を通過して、あるいは排気室13内の排気対象気体が第2シール28を通過してガス導入空間29に進入することが更に効果的に防止される。
一方、図3に示したように、ガス排出通路53の一端を、電磁モータ3の内部空間と潤滑室12を区画するモータカバー8に接続し、また、ガス排出通路53の他端を、排気ライン62に接続してもよい。ガス排出通路53は、ガス導入空間29から導入し潤滑室12に漏出したシールガス、及び潤滑室12に漏出した排気対象気体を排気ライン62へ排出するに利用できるものである。
さらに、ガス排出通路53は、逆止弁54と、オイルトラップ55とを備えてもよい。
逆止弁54は、潤滑室12から排気ライン62へ向かうガスの流れを許容し、その逆の流れは禁止する。これにより、排気室13の排気孔7bから排出された製膜室(真空処理室)70の排気対象気体がガス排出通路53を介して潤滑室12へ侵入することが防止される。
オイルトラップ55は、潤滑室12と逆止弁54の間のガス排出通路53の途中に設けられる。オイルトラップ55は、ガス導入空間29から導入し潤滑室12に漏出したシールガス(窒素ガス)、および潤滑室12に漏出した排気対象気体とともに、潤滑室12内の潤滑オイルFがキャリーオーバーして排気ライン62へ侵入することを防止するためのものである。オイルトラップ55としては、例えば、フィルタ、水冷トラップなど、適宜のものを用いることができる。
ここで、ドライ真空ポンプ1が系内の真空排気を開始すると、排気室13内の圧力が変動するという重要な現象がある。上述のように、ドライ真空ポンプ1では、第1ロータ6及び第2ロータ15の回転により各排気空間26内の容積が減少し、あるいは増大する領域が発生する。最終段の排気空間26は排気対象気体が相対的に高い圧力に圧縮されていて、第2シール28と隣接しているため、最終段の排気空間26の圧力が高い領域(高圧領域)と圧力が低い領域(低圧領域)が第2シール28の周囲に発生する。これらの領域は、第1ロータ6及び第2ロータ15の回転に伴って移動し、その圧力も増減する。このため、円環状の第2シール28にかかる圧力は第2シール28の全周に渡って均等ではないことが、詳細な圧力変動の検討で判明した。
ここで第4リップ34は、面する空間の圧力が高いとシャフト5へ接近する方向へ変形し、面する空間の圧力が低いとシャフト5から離間する方向へ変形する。即ち、第4リップ34のうち高圧領域に面する部分の隙間は小さくなり、低圧領域に面する部分の隙間は大きくなる。低圧領域に面する部分からのシールガスの流量が高圧領域に面する部分からのシールガスの流量に比べて大きくなろうとすると、当該部分の周方向位置に対応する第3リップ33が第4リップ34の変形に影響されて、第3リップ33とシャフト5との隙間が小さくなり流量が制限される。即ち、(流出しにくい)高圧領域へのシールガスの流量が相対的に増加し、第2シール28の全周に渡ってシールガス流量が均一化される効果がある。
第3リップ33が配設されない構造の場合は、第4リップ34の低圧領域に面する部分と第1シャフト5との隙間が、高圧領域に面する部分とシャフト5との隙間より大きくなった状態で、第2シール28の周囲におけるシールガスが流量に応じて制限されない。このため、シールガスは低圧領域に面する部分から多量に流出し、高圧領域に面する部分からの流量が減少し、もしくは流出が停止する。このため、排気対象気体(特に水素ガス)に対するシール性が低下する可能性がある。排気対象気体(特に水素ガス)が高圧領域からガス導入空間29を経由して、シールガスとともに潤滑室12へと漏出し、シャフト5の表面を伝って排気対象気体(特に水素ガス)が電磁モータ3方向への進入する可能性が生じる。
第4リップ34が配設されない構造の場合は、高圧領域とガス導入空間29との圧力差は低圧領域とガス導入空間29との圧力差に対して相対的に大きくなる。これにより第3リップ33の高圧領域に面する部分と第1シャフト5との隙間は、低圧領域に面する部分と第1シャフト5との隙間に比べて大きくなり、高圧領域からの排気対象気体の進入に対するシール性が低下する。
このように、第2シール28に第3リップ33と第4リップ34を設けることで、かかる排気対象気体の圧力が全周に渡って均等でない場合においても、第3リップ33及び第4リップ34が協働することによって、排気対象気体のガス導入空間29への進入をさらに防止することが可能である。
排気対象気体の圧力が第2シール28の全周に渡って均等である場合でも、例えば系内の真空排気の進行によって排気対象気体の圧力が時間変化する場合が考えられる。この場合、第3リップ33あるいは第4リップ34のいずれか一方しか配設されていない構造の場合は圧力変動によりシール性が低下し、もしくはガス導入空間29の圧力が減少する。これに対し、第3リップ33及び第4リップ34を備えたシール機構11では圧力変動に応じて上述のように、排気対象気体のガス導入空間29への進入を防止することが可能である。
第1シール27の第1リップ31は、潤滑オイルF及びその蒸気が第2リップ32に到達することを防止する。第1リップ31が存在しない構造の場合は、第2リップ32が潤滑オイルFと接触するため、潤滑オイルFが第2リップ32とシャフト5との摺動箇所に浸潤し、微小キズを伝った表面張力による浸透や、わずかに圧力バランスが崩れた箇所から潤滑オイルFあるいはその蒸気がガス導入空間29に進入するおそれがある。また、潤滑室12と排気室13の圧力バランスが変動した場合に、潤滑オイルFあるいはその蒸気がガス導入空間29に進入する場合がある。これに対し、第1リップ31及び第2リップ32を備えたシール機構11では圧力変動に応じて上述のように、潤滑オイルFあるいはその蒸気のガス導入空間29への進入を防止することが可能である。
以上のように、本実施形態に係るシール機構11及び第2シール機構16は、シャフトの軸方向に沿いながら、互いに反対方向に張り出すリップ構造を有することで、第1シール27が、潤滑オイルF及びその蒸気がガス導入空間29に進入することを防止し、第2シール28が、排気対象気体がガス導入空間29に進入することを防止する。即ち、潤滑室12内の潤滑オイルFと排気室13内の排気対象気体を高いシール性を持ってシールすることが可能である。
以上のように、本実施形態によれば、排気室13から潤滑室12への排気対象気体(特に水素)の侵入を防止することができるため、電磁モータ3の永久磁石材が排気対象気体に曝されることはない。このため、排気対象気体に含まれる多量の水素ガスによる電磁モータ3の永久磁石材の水素浸食が効果的に阻止され、電磁モータ3の信頼性が格段に高められる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変更が可能である。
例えば、第1シール27の第1リップ31と第2リップ32、および第2シール28の第3リップ33と第4リップ34は、一体構造として説明をしてきたが、第1リップ31と第2リップ32、および第3リップ33と第4リップ34をそれぞれ各別体として製作して、これらを組み合わせて第1シール27と第2シール28として構成してもよい。
このとき、第1リップ31と第2リップ32、および第3リップ33と第4リップ34は各対応するリップの変形に影響されて、シャフトとの隙間を調整するよう、密着して一体構造になっていることが好ましい。また、各リップを組み合わせる際に、相互間の位置決め可能な嵌め込み構造を設けてがあれば、第1シール27と第2シール28を精度よく構成できるので、さらに好ましい。
このように、各リップをそれぞれ別体として製作することで、製作が容易になり、コストダウンが可能となる。
また、例えば、第1シール27の第1リップ31と第2リップ32、および第2シール28の第3リップ33と第4リップ34は、必ずしも同じサイズである必要がない。第1リップ31と第2リップ32、および第3リップ33と第4リップ34は、ドライ真空ポンプ1の運用に応じて、圧力差の大きなところを弾性力の強いリップで、圧力差の小さいところを柔軟なリップとして製作してもよい。
このとき、各リップはサイズが異なることから、第1リップ31と第2リップ32、および第3リップ33と第4リップ34をそれぞれ別体として製作してもよい。
ドライ真空ポンプ1の運用に応じて、圧力差に対する各リップ構造を設けることで、より一層にシール特性が向上する。したがって、排気対象気体に含まれる多量の水素ガスによる電磁モータ3の永久磁石材の水素浸食がより一層に阻止され、電磁モータ3の信頼性がより一層に高められる。
さらに例えば、上記実施形態では、第1シール機構11及び第2シール機構16は、潤滑室12及び排気室13のシールとして用いたが、これに限られず軸受室(隣室)17と排気室13のシールとして用いてもよい。これにより特に、排気対象系内の真空度が大きくない場合、軸受室17に充填された潤滑オイル等が排気室13に漏出することを防止することが可能である。
1 ドライ真空ポンプ
3 電磁モータ
4 回転伝達機構
5 シャフト
6,15 ロータ
11,16 シール機構
12 潤滑室
13 排気室
29 ガス導入空間
31 第1リップ
32 第2リップ
33 第3リップ
34 第4リップ
61 排気系統
62 排気ライン
101 真空処理装置(プラズマCVD装置)
103 真空処理室(製膜室)
104,105,106 ガス供給流路
110 排気流路
111 流量調整弁
112,113 流路
117 可燃系排気ライン
118 支燃系排気ライン
120 真空計
F 潤滑オイル

Claims (5)

  1. 電磁モータによって回転駆動されるシャフトと、
    該シャフトに取り付けられるとともに排気室内に設けられ、真空処理室内の排気対象気体を該排気室内に吸引しかつ排出するロータと、
    を備えたドライ真空ポンプにおいて、
    前記排気室と、該排気室の隣に位置する隣室との間には、該排気室を区画する排気室区画壁部と前記シャフトとの間をシールする排気室側シールと、該隣室を区画する隣室区画壁部と前記シャフトとの間をシールする隣室側シールとを備え、
    前記排気室側シールと前記隣室側シールとの間には、シールガスが供給されるガス導入空間が設けられ、
    前記排気室側シール及び前記隣室側シールは、それぞれ、前記排気室区画壁部側または前記隣室区画壁部側に固定された円環状の基部と、該基部から前記シャフト側へと延在する一対の円環状のリップ部とを備え、
    一対の前記リップ部は、前記基部から前記シャフト側へと向かうにつれて互いの間隔が漸次拡大するように延在するとともに、それぞれの先端部が、前記シャフトに対して弾性的に接触可能とされていることを特徴とするドライ真空ポンプ。
  2. 前記電磁モータを収容する電磁モータ室は、前記排気室に対して前記隣室を挟んだ位置に設けられ、
    前記隣室は、潤滑オイルが貯留される潤滑室とされ、
    前記排気対象気体には、水素ガスが含まれていることを特徴とする請求項1に記載のドライ真空ポンプ。
  3. 前記基部と一対の前記リップ部とは、一体にて構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドライ真空ポンプ。
  4. 一対の前記リップ部をそれぞれ別部材とし、これらリップ部の基端部を互いに固定して組み付けることによって前記基部と構成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のドライ真空ポンプ。
  5. 各前記リップは、前記シャフトと接触する部位がポリテトラフルオロエチレンとされていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のドライ真空ポンプ。
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