JP2010269642A - ハイブリッド車両の制動制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回生によるエネルギの回収率を向上させ、省エネルギ性能を向上させることが可能なハイブリッド車両の制動制御装置を提供すること。
【解決手段】制動操作時に、バッテリ充電量に基づいて設定される回生により充電可能な電力の上限であるバッテリ上限パワーの範囲内でモータジェネレータMGにより回生発電させる回生制動作動を実行させるとともに、車速と要求制動力とに基づいて設定された駆動軸制動力の上限値である駆動軸上限制動力が、バッテリ上限パワーを超過した場合に、エンジンEngにより制動力を得るエンジンブレーキ作動を行わせる一方、制動装置30の制動力を減少させる回生協調制動処理を実行するブレーキコントローラ9および統合コントローラ10と、を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車両において減速時に発電してバッテリに回生させる回生協調制動を実行する制動制御技術に関する。
従来、ハイブリッド車両において、制動時に運転者の制動操作に応じ、回生による制動力とエンジンブレーキによる制動力と液圧制動装置による制動力とを制御するものが、例えば、特許文献1などにより公知である。
この従来のハイブリッド車両の制動装置は、エンジンの駆動に伴って発生される負圧を蓄圧し、この負圧によって運転者のブレーキ踏力を助勢する負圧式ブースタを有する液圧制動装置と、負圧式ブースタに蓄圧されている負圧を検出する負圧計と、車両の加速状態を検出するアクセル開度センサおよび車両速度を検出する車輪速度センサと、これらアクセル開度センサおよび車輪速度センサによって検出された車両の動作状態に応じてエンジンが駆動される際に、運転者による制動操作中であって蓄圧されている負圧が低下した場合には、エンジンを駆動して負圧を蓄圧するとともに、制動力としてはエンジンによるエンジンブレーキの寄与度を増加させ、その分回生ブレーキの寄与度を減少させるとともに負圧発生能力も向上させていた。
特開2006−2667号公報
しかしながら、従来のハイブリッド車両の制動制御装置は、回生可能な範囲内でエンジンブレーキと回生との比率を変更するため、エンジンブレーキを使用した場合、その分、回生制動力が減少してエネルギの回収率が低下していた。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、回生によるエネルギの回収率を向上させ、省エネルギ性能を向上させることが可能なハイブリッド車両の制動制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両の制動制御装置は、制動操作時に、バッテリ充電量に基づいて設定される回生により充電可能な電力の上限であるバッテリ上限パワーの範囲内で充電手段により回生発電させる回生制動作動を実行させるとともに、車速と要求制動力とに基づいて設定された駆動軸制動力の上限値である駆動軸上限制動力が、バッテリ上限パワーを超過した場合に、エンジンにより制動力を得るエンジンブレーキ作動を行わせる一方、制動装置の制動力を減少させる回生協調制動処理を実行する制動制御手段を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置とした。
本発明のハイブリッド車両の制動制御装置では、制動時に、バッテリ上限パワーの範囲内で回生制動作動を行うとともに、車速と要求制動力に基づく駆動軸上限動力が、バッテリ上限パワーを超過した場合は、エンジンブレーキ作動を行わせる一方、制動装置の制動力を減少させるようにした。
したがって、回生可能なバッテリ上限パワー分は全て回生に使い、バッテリ上限パワーを超過して捨てられる駆動エネルギ分を、エンジンブレーキに負担させることで、従来よりも回生効率を向上させることが可能であり、省エネルギ化を図ることが可能となる。
実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両の一例を示す全体システム図である。 実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。 実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でのモード選択処理を行なう際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。 実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充電制御を行なう際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。 実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置に適用された統合コントローラ10にて実行される処理の流れを示すフローチャートである。 実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置に適用されたブレーキコントローラ9および統合コントローラ10において実行される回生協調制動処理の流れの前半部分を示すフローチャートである。 実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置に適用されたブレーキコントローラ9および統合コントローラ10において実行される回生協調制動処理の流れの後半部分を示すフローチャートである。 実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置の回生協調制動処理における要求総制動トルクおよび他の制動トルクと車速との関係を示す制動トルク特性図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の実施の形態のハイブリッド車両の制動制御装置は、駆動軸(PS)を介して駆動輪(RL,RR)に駆動力を伝達可能に設けられたエンジン(Eng)およびモータ(MG)と、運転者の操作に応じて車輪に制動力を与える制動装置(30)と、車両減速時に、回生発電してバッテリに充電する充電手段(MG,3)と、車速を検出する車速検出手段(17)と、前記運転者の制動操作に応じた要求制動力を検出する要求制動力検出手段(20,9)と、前記バッテリの充電量を検出するバッテリ充電量検出手段(2)と、前記制動操作時に、バッテリ充電量に基づいて設定される回生により充電可能な電力の上限であるバッテリ上限パワーの範囲内で前記充電手段(MG,3)により回生発電させる回生制動作動を実行させるとともに、前記車速と前記要求制動力とに基づいて設定された駆動軸制動力の上限値である駆動軸上限制動力が、前記バッテリ上限パワーを超過した場合に、前記エンジン(Eng)により制動力を得るエンジンブレーキ作動を行わせる一方、前記制動装置(30)の制動力を減少させる回生協調制動処理を実行する制動制御手段(9,10)と、を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置である。
図1〜図8に基づき、この発明の最良の実施の形態の実施例1のクラッチ制御装置について説明する。
まず、実施例1の構成を説明する。
図1は実施例1のハイブリッド車両の制動制御装置が適用された後輪駆動式のハイブリッド車両(ハイブリッド車両の一例)を示す全体システム図であり、この図に基づいて、駆動系および制御系の構成を説明する。
まず、駆動系の構成を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の駆動系は、エンジンEngと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータ(モータ、充電手段)MGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RLと、右後輪RRと、を有する。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
エンジンEngは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、エンジンコントローラ1からのエンジン制御指令に基づいて、エンジン始動制御やエンジン停止制御やスロットルバルブのバルブ開度制御やフューエルカット制御等が行われる。なお、エンジン出力軸には、フライホイールFWが設けられている。
第1クラッチCL1は、前記エンジンEngとモータジェネレータMGの間に介装されたクラッチであり、第1クラッチコントローラ5からの第1クラッチ制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された第1クラッチ制御油圧により、締結・スリップ締結(半クラッチ状態)・開放が制御される。この第1クラッチCL1としては、例えば、ダイアフラムスプリングによる付勢力にて完全締結を保ち、ピストン14aを有する油圧アクチュエータ14を用いたストローク制御により、スリップ締結から完全開放までが制御されるノーマルクローズの乾式単板クラッチが用いられる。
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、モータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより駆動を制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(以下、この動作状態を「力行」と呼ぶ)、ロータがエンジンEngや駆動輪から回転エネルギを受ける場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、ダンパを介して自動変速機ATの変速機入力軸に連結されている。
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装されたクラッチであり、ATコントローラ7からの第2クラッチ制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、締結・スリップ締結・開放が制御される。この第2クラッチCL2としては、例えば、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できるノーマルオープンの湿式多板クラッチや湿式多板ブレーキが用いられる。なお、本実施例1では、第1クラッチ油圧ユニット6および第2クラッチ油圧ユニット8は、自動変速機ATに付設されるAT油圧コントロールバルブユニットCVUに内蔵されている。
自動変速機ATは、例えば、前進7速/後退1速等の有段階の変速段を車速やアクセル開度等に応じて自動的に切り換える有段変速機であり、第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の摩擦締結要素のうち、トルク伝達経路に配置される最適なクラッチやブレーキを選択している。そして、自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
実施例1のハイブリッド駆動系は、電気車両走行モード(以下、「EVモード」という。)と、ハイブリッド車走行モード(以下、「HEVモード」という。)と、駆動トルクコントロール走行モード(以下、「WSCモード」という。)等の走行モードを有する。
なお、「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放状態とし、モータジェネレータMGの動力のみで走行するモードである。「HEVモード」は、第1クラッチCL1を締結状態とし、モータアシスト走行モード・走行発電モード・エンジン走行モードの何れかにより走行するモードである。「WSCモード」は、「HEVモード」からのP,N→Dセレクト発進時、あるいは、「EVモード」や「HEVモード」からのDレンジ発進時、モータジェネレータMGの回転数制御により第2クラッチCL2をスリップ締結状態に維持し、第2クラッチCL2を経過するクラッチ伝達トルクが、車両状態や運転者操作に応じて決まる要求駆動トルクとなるようにクラッチトルク容量をコントロールしながら発進するモードである。なお、「WSC」とは「Wet Start Clutch」の略である。
また、各輪FL,FR,RL,RRには、制動力を与える制動装置30が設けられている。この制動装置30は、ブレーキペダル31の踏み込みに応じた油圧を発生させてホイルシリンダ32に供給するマスタシリンダ33と、ブレーキペダル31の踏力をアシストする負圧ブースタ34と、エンジンEngのエアインテーク部(図示省略)に接続され、負圧を畜圧し負圧ブースタ34に供給する負圧タンク35と、図示を省略した油圧源(例えば、油圧ポンプ)に接続されるとともに、複数の電磁弁(図示省略)を備え、ホイルシリンダ32に供給されるマスタシリンダ圧を増減可能な制動圧コントロールバルブ36と、を備えている。
次に、ハイブリッド車両の制御系を説明する。
実施例1におけるFRハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ(バッテリ充電量検出手段)2と、インバータ(充電手段)3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有して構成されている。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が互いに可能なCAN通信線11を介して接続されている。
エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12からのエンジン回転数情報と、統合コントローラ10からの目標エンジントルク(tTe)指令と、他の必要情報を入力する。そして、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、エンジンEngのスロットルバルブアクチュエータ等へ出力する。
モータコントローラ2は、モータジェネレータMGのロータ回転位置を検出するレゾルバ13からの情報と、統合コントローラ10からの目標モータトルク指令および目標モータ回転数指令と、他の必要情報を入力する。そして、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令(tNm,tTm)をインバータ3へ出力する。なお、このモータコントローラ2では、バッテリ4の充電容量をあらわすバッテリ充電量SOCを監視するとともに、バッテリ温度センサ23からバッテリ温度Tbattが入力されており、このバッテリ充電量SOC情報およびバッテリ温度Tbattは、モータジェネレータMGの制御情報に用いられると共に、CAN通信線11を介して統合コントローラ10へ供給される。
第1クラッチコントローラ5は、油圧アクチュエータ14のピストン14aのストローク位置を検出する第1クラッチストロークセンサ15からのセンサ情報と、統合コントローラ10からの目標第1クラッチトルク容量指令と、他の必要情報を入力する。そして、第1クラッチCL1の締結・スリップ締結・開放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と、車速センサ17と、他のセンサ類18(変速機入力回転数センサ、インヒビタースイッチ等)からの情報を入力する。そして、Dレンジを選択しての走行時、アクセル開度APOと車速Vにより決まる運転点がシフトマップ上で存在する位置により最適な変速段を検索し、検索された変速段を得る制御指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVUに出力する。なお、シフトマップとは、アクセル開度と車速に応じてアップシフト線とダウンシフト線を書き込んだマップをいう。上記自動変速制御に加えて、統合コントローラ10から目標第2クラッチトルク容量指令を入力した場合、第2クラッチCL2のスリップ締結を制御する指令をAT油圧コントロールバルブユニットCVU内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する第2クラッチ制御を行う。また、統合コントローラ10から変速制御変更指令が出力された場合、通常に変速制御に代え、変速制御変更指令にしたがった変速制御を行う。
ブレーキコントローラ9は、4輪の各車輪速を検出する車輪速センサ19と、ブレーキストロークセンサ20と、負圧タンク35の負圧を検出する負圧センサ24とからのセンサ情報と、統合コントローラ10からの回生協調制御指令と、その他の必要情報が入力される。そして、例えば、ブレーキ踏込制動時、ブレーキペダルストローク量Sから求められる要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力およびエンジン制動力)で補うように、回生協調制動制御を行う。なお、この回生協調制動制御の詳細については後述する。
統合コントローラ10は、車両全体の消費エネルギを管理し、最高効率で車両を走らせるための機能を担うもので、モータ回転数Nmを検出するモータ回転数センサ21や他のセンサ・スイッチ類22からの必要情報およびCAN通信線11を介して情報を入力する。そして、エンジンコントローラ1へ目標エンジントルク(tTe)指令、モータコントローラ2へ目標モータトルク指令および目標モータ回転数指令、第1クラッチコントローラ5へ目標第1クラッチトルク容量指令、ATコントローラ7へ目標第2クラッチトルク容量指令、ブレーキコントローラ9へ回生協調制動制御指令を出力する。
図2は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10にて実行される演算処理を示す制御ブロック図である。図3は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でのモード選択処理を行なう際に用いられるEV-HEV選択マップを示す図である。図4は、実施例1の制御装置が適用されたFRハイブリッド車両の統合コントローラ10でバッテリ充電制御を行なう際に用いられる目標充放電量マップを示す図である。以下、図2〜図4に基づき、実施例1の統合コントローラ10にて実行される演算処理を説明する。
統合コントローラ10は、図2に示すように、目標駆動力演算部100と、モード選択部200と、目標充放電演算部300と、動作点指令部400とを有する。
目標駆動力演算部100では、目標駆動トルクマップを用いて、アクセル開度APOと車速Vとから、目標駆動トルクtFo0を演算する。
モード選択部200では、図3に示すEV−HEV選択マップを用いて、アクセル開度APOと車速Vとから、「EVモード」または「HEVモード」を目標走行モードとして選択する。但し、バッテリ充電量SOCが所定値以下であれば、強制的に「HEVモード」を目標走行モードとする。また、「HEVモード」からのP,N→Dセレクト発進時等においては、車速Vが第1設定車速V1になるまで「WSCモード」を目標走行モードとして選択する。
目標充放電演算部300では、図4に示す目標充放電量マップを用いて、バッテリ充電量SOCから目標充放電電力tPを演算する。
動作点指令部400では、アクセル開度APOと、目標駆動トルクtFo0と、目標走行モードと、車速Vと、目標充放電電力tP等の入力情報に基づき、動作点到達目標として、目標エンジントルクと目標モータトルクと目標モータ回転数tNmと目標第1クラッチトルク容量tTc1と目標第2クラッチトルク容量tTc2を演算する。そして、目標エンジントルク(tTe)指令と目標モータトルク(tTm)指令と目標モータ回転数(tNm)指令と目標第1クラッチトルク容量(tTc1)指令と目標第2クラッチトルク容量(tTc2)指令を、CAN通信線11を介して各コントローラ1,2,5,7に出力する。
次に、実施例1の統合コントローラ10にて実行される駆動処理の流れを図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS1では、あらかじめ設定された目標駆動トルクマップを用いて、アクセル開度APOおよび車速VSPから、定常的な目標駆動トルクtFo0を演算し、次のステップS2に進む。
ステップS2では、あらかじめ設定された変速マップに基づいて、アクセル開度APOおよび車速VSPから目標変速段SHIFTを演算し、次のステップS3に進む。
ステップS3では、あらかじめ設定された目標運転モード領域マップ(図3参照)を用いて、アクセル開度APOおよび車速VSPから目標とする運転モード(EVモード、HEVモード、WSCモード)を決定し、次のステップS4に進む。なお、ステップS3では、図3に示すように、通常、高負荷(大アクセル開度)・高車速時はHEVモードに設定し、低負荷・低車速時はEVモードに設定する。
ステップS4では、現在の運転モードと上記目標運転モードとの対比により、運転モード遷移演算を行ない、次のステップS5に進む。
なお、ステップS4では、現在の運転モードと目標運転モードとが一致していれば、現在の運転モードを保持する。また、現在の運転モードがEVモードで、目標運転モードがHEVモードであれば、EVモードからHEVモードへのモード切り換えを指令する。一方、現在の運転モードがHEVモードで、目標運転モードがEVモードであれば、HEVモードからEVモードへのモード切り換えを指令する。
ステップS5では、現在の駆動力から、ステップS1で求めた目標駆動トルクtFo0へ、所定の味付けを有した応答で移行するのに必要な、過渡目標駆動トルクtFoを演算し、ステップS6に進む。なお、このステップS5の演算では、例えば、目標駆動トルクtFo0を所定時定数のローパスフィルタに通過させて得られる出力を過渡目標駆動トルクtFoとすることができる。
ステップS6では、モータジェネレータMGと共働あるいは単独で、過渡目標駆動トルクtFoを達成するのに必要な目標エンジントルクtTeを求め、ステップS7に進む。なお、目標エンジントルクtTeは、運転モード(EVモード、HEVモード)や、モード切換に応じて、過渡目標駆動トルクtFoと、左右後輪RL,RRのタイヤ有効半径Rtと、ファイナルギヤ比ifと、現在の選択変速段により決まる自動変速機ATのギヤ比iGと、自動変速機ATの入力回転数Niと、エンジン回転数Neと、バッテリ充電量SOCに応じた目標充放電電力tPとから求める。
ステップS7では、運転モードや、モード遷移に応じて、過渡目標駆動トルクtFoを達成するのに必要な、または、モード遷移を実行するのに必要な目標第1クラッチトルク容量tTc1および目標第2クラッチトルク容量tTc2を演算し、次のステップS8へ進む。
ステップS8では、エンジンEngとの共働により、あるいは単独で、過渡目標駆動トルクtFoを達成するのに必要な目標モータトルクtTmまたは必要に応じて目標モータ回転数tNmを求め、次のステップS9に進む。なお、目標モータトルクtTmは、運転モードや、モード切換に応じて、過渡目標駆動トルクtFoと、左右後輪RL,RRのタイヤ有効半径Rtと、ファイナルギヤ比ifと、現在の選択変速段により決まる自動変速機ATのギヤ比iGと、自動変速機ATの入力回転数Niと、エンジン回転数Neと、バッテリ充電量SOCに応じた目標充放電電力tPと、から求める。また、目標モータ回転数tNmは、後述するエンジン始動時に、目標モータトルクtTmに代えて演算される。
ステップS9では、目標変速段SHIFT、運転モードの保持あるいは切換指令、目標エンジントルクtTe、両クラッチトルク容量tTc1,tTc2、目標モータトルクtTm、目標モータ回転数tNmを達成する指令値を、各コントローラ1,2,5,7へ出力する。
次に、実施例1の統合コントローラ10にて実行される回生協調制動制御の処理の流れを、図6および図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
まず、ステップS11〜14では、ブレーキコントローラ9において、要求総制動トルクTbk[N]および駆動軸上限トルクTrgrq(N)の演算を行なう。
ここで、まず、ステップS11,S12では、運転者が要求する要求総制動トルクTbkを演算する。すなわち、本実施例1を適用したハイブリッド車両では、制動時には、制動装置30で得られるアクチュエータ制動トルクTbkmcに加え、プロペラシャフトPSを含む駆動軸に加える制動力としてエンジンEngで得られる制動力である後述のエンジンブレーキパワーPef(いわゆるエンジンブレーキ)と、モータジェネレータMGを発電して得られる回生制動力である後述の回生パワーPmとを得ることができる。
したがって、要求総制動トルクTbkとは、上述の制動装置30で得られるアクチュエータ制動トルクTbkmcと、エンジンブレーキで得られるエンジンブレーキパワーPefと、回生ブレーキで得られる回生パワーPmとを合計して得られる制動力である。
そこで、ステップS11では、ブレーキストロークセンサ20の出力に基づいてブレーキペダルストローク量Sを読み取り、次のステップS12に進む。
ステップS12では、ブレーキペダルストローク量Sと、あらかじめ設定されたブレーキペダルストローク量Sと要求総制動トルクTbkとの関係を示す制動トルクテーブルFbkとから要求総制動トルクTbk[N]を演算し、ステップS13に進む。
ここでは、要求総制動トルクTbkは、ブレーキペダルストローク量Sの関数であり、Tbk=Fbk[S]で表すことができる。なお、ブレーキストロークセンサ20および、このステップS12において要求総制動トルクTbkを演算する部分が、要求総制動力検出手段に相当する。
ステップS13,S14では、駆動軸上限トルクTrgrq[N]を演算する。この駆動軸上限トルクTrgrqは、駆動軸側で得られる制動力(回生ブレーキおよびエンジンブレーキ)の上限値であり、まず、ステップS13では、車輪速センサ19の出力から車速V[m/s]を読み取り、ステップS14に進む。
ステップS14では、車速Vと、要求総制動トルクTbkと、あらかじめ設定された駆動軸上限トルクマップFrgrqに基づいて、駆動軸上限トルクTrgrq[N]を演算する。
駆動軸上限トルクTrgrqとは、駆動軸で得られる制動力の上限値であって、具体的には、本実施例1では、操縦安定性や電気系統失陥時の制動力変動を満足するための最大制動力制限と、回生が利用できない車両停止に備えて回生制動を制動装置30の制動に移行するための車速制限と、を設定している。すなわち、駆動軸上限トルクTrgrqは、車速Vおよび要求総制動トルクTbkの関数であって、Trgrq=Frgrq(V,Tbk)で表すことができる。
ステップS11〜14で得られたブレーキコントローラ9での演算結果が統合コントローラ10に送信され、以後の処理で、駆動軸実行トルクTrgcmと回生・エンジンブレーキ比率が演算される。
まず、ステップS15では、下記の式(1)に基づいて、車速Vと駆動軸上限トルクTrgrqとから駆動軸上限パワーPrgrq[W]を演算し、ステップS16に進む。
Prgrq[W]=V[m/s]×K[rad/m]×Trgrq[Nm]・・・(1)
なお、Kは、車両特性に応じて設定された係数である。
ステップS16では、バッテリ充電量SOCとバッテリ温度Tbatt[℃]を読み取り、ステップS17に進む。
ステップS17では、バッテリ充電量SOCとバッテリ温度Tbatt[℃]からバッテリ上限パワーPwin[W]を演算し、ステップS18に進む。
なお、バッテリ上限パワーPwin[W]は、バッテリ充電量SOCとバッテリ温度Tbatt[℃]との関数であり、Pwin=Fwin(SOC,Tbatt)で表すことができる。
図8は、駆動軸上限パワーPrgrqとバッテリ上限パワーPwinの一例を示す特性図である。この図において駆動軸上限パワーの一例であるPrgrq1は、操縦安定性および失陥の観点から設定された値であり、もうひとつの例であるPrgrq2は、停車時の安定性の観点から設定された値である。
また、バッテリ上限パワーの一例Pwin1は、バッテリ充電量SOCとバッテリ温度Tbattに基づき設定されるものではあるが、図示のように、車速Vが高くなるほど低い値に設定され、駆動軸上限パワーの一例Prgrq1よりも低い値に設定されている。
したがって、図示の例では、各駆動軸上限パワーPrgrq1,2、Pwin1の下方の図において斜線で示すH1の領域が回生可能な領域となる。
本実施例1では、S18以降の処理に、駆動軸上限パワーPrgrq[W]がバッテリ上限パワーPwin[W]を超過した分をエンジンブレーキで補うことで、回生パワーを減少することなく負圧を確保する処理が含まれている。
そこで、ステップS18では、エンジンブレーキパワーPefを発生させる必要があるか否かの判断を行う。すなわち、駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過していないか否か判定し、駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過していない場合はステップS19に進み、超過している場合はステップS22に進む。
ここで、駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過していない場合は、エンジンブレーキパワーPefを発生する必要が無いと判断してステップS19に進んでエンジン回転数Ne[rpm]=0に設定し、次のステップS20に進む。なお、本実施例1の場合、減速時に第1クラッチCL1を締結させることで、エンジンブレーキパワーPefを発生させることができる。
ステップS20では、モータジェネレータMGによる回生パワーPm[W]を演算し、ステップS21に進む。なお、ステップS20では、エンジンブレーキパワーPefを発生する必要が無く、駆動軸上限パワーPrgrqを全て回生できるため、Pm=Prgrqに設定する。
したがって、駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過していない場合は、回生パワーPm=駆動軸上限パワーPrgrqに設定する。なお、エンジンブレーキパワーPefを発生させない場合は、第1クラッチCL1を解放させる。
ステップS21では、駆動軸実行パワーPrgcmを演算し、ステップS31へ進む。なお、駆動軸実行パワーPrgcmは、駆動軸で発生させる制動力であって、ステップS21では、エンジンブレーキパワーPefが0であるから、駆動軸実行パワーPrgcmは、回生パワーPmに等しくなる。
次に、ステップS18において、駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過している場合に進むステップS22では、駆動軸上限パワーPrgrqとバッテリ上限パワーPwinとから下記の式(2)によりエンジンブレーキパワーPef[W]を演算し、ステップS23に進む。
Pef[W]=Prgrq[W]−Pwin[W] ・・・(2)
なお、ステップS18において、YESと判定されるのは、例えば、図8において、一点鎖線L2よりも右側のH2で示す領域の場合である。
ステップS23〜S26では、エンジンブレーキパワーPefを発生できるか否かを、エンジンブレーキパワーPefが、最小エンジンブレーキパワーPefminよりも大きいか否かに基づいて判定し、Pef≦Pefminでエンジンブレーキパワーを発生できないと判定した場合はステップS24に進み、Pef>Pefminでエンジンブレーキパワーを発生できると判定した場合はステップS26に進む。
すなわち、駆動系の振動や部品保護などの問題により、発生できるエンジンブレーキパワーPefは上限値および上下限値に制限され、最大エンジンブレーキパワーPefmaxおよび最小エンジンブレーキパワーPefminが設定されている。
そこで、ステップS23において、エンジンブレーキパワーPef があらかじめ設定された最小エンジンブレーキパワーPefminを下回る場合は、ステップS24で、エンジンブレーキパワーPef=0、エンジン回転数Ne=0に設定し、ステップS25へ進む。
ステップS25では、回生パワーPmを演算し、ステップS21に進む。
なお、ステップS25では、エンジンブレーキパワーPefを発生できず、バッテリ制限によりバッテリ上限パワーPwinまでしか回生できないため、回生パワーPm=Pwinに設定する。
すなわち、駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過している場合であって、エンジンブレーキパワーPef が最小エンジンブレーキパワーPefminを下回る場合は、回生パワーPmは、バッテリ上限パワーPwinに設定する。
一方、ステップS23において、エンジンブレーキパワーPefが最小エンジンブレーキパワーPefminを下回らない場合は、ステップS26に進む。
ステップS26では、エンジンブレーキパワーPefが、あらかじめ設定された最大エンジンブレーキパワーPefmaxを下回るか否か判定し、最大エンジンブレーキパワーPefmaxを下回らない場合は ステップS27へ進みエンジンブレーキパワーPef=最大エンジンブレーキパワーPefmaxに設定する。
ステップS28では、エンジンブレーキパワーPefを発生するためのエンジン回転数Neを設定し、ステップS29に進む。
なお、ステップS28で得られるエンジン回転数Neは、エンジンブレーキパワーPefが大きくなるほど高くなるような比例関係にあらかじめ設定したエンジンブレーキ回転数テーブルFefと、エンジンブレーキパワーPefと、に基づいて算出するものであり、Ne=Fef(Pef)で表される。
また、エンジンブレーキ回転数テーブルFefは、負圧センサ24が検出する負圧に応じ、負圧の残量が少なくなるほど、エンジン回転数Neが高く設定されるように、複数のマップが設定されている。
ステップS29では、回生パワーPmを演算し、ステップS30に進む。この場合、バッテリ上限パワーPwinの超過分だけエンジンブレーキパワーPefを発生させるようにしており、バッテリ上限パワーPwinまでは全て回生できるため、Pm=Pwinに設定する。
ステップS30では、駆動軸実行パワーPrgcmを演算し、ステップS31に進む。ここで、駆動軸実行パワーPrgcmは、下記の式(3)に示すように、回生パワーPmにエンジンブレーキパワーPefを加算した値となる。
Prgcm=Pm+Pef ・・・(3)
ステップS31では、下記の式(4)に基づいて、ステップS21あるいはS30で得られた駆動軸実行パワーPrgcmと車速Vとから、駆動軸実行トルクTrgcm[N]を演算し、エンジンコントローラ1、モータコントローラ2およびブレーキコントローラ9へ出力し、ステップS32に進む。
Trgcm[N]=Prgcm[W]/(V[m/s]×K[rad/m]) ・・(4)
なお、Kは、車両特性に基づいて設定された係数である。
ステップS32では、ブレーキコントローラ9において、下記の式(5)に基づいて、要求総制動トルクTbk[N]と駆動軸実行トルクTrgcm[N]とから、アクチュエータ制動トルクTbkmcを演算し、ブレーキアクチュエータによりこのアクチュエータ制動トルクTbkmcが得られる制動液圧を、制動装置に向けて出力させる。なお、アクチュエータ制動トルクTbkmcは、制動装置30にて発生させる制動力であって、回生ブレーキおよびエンジンブレーキで不足する制動力分に相当し、要求総制動トルクTbkから駆動軸実行トルクTrgcmを差し引いて求める。
Tbkmc=Tbk−Trgcm ・・・(5)
次に、実施例1の作用を説明する。
運転者が制動操作を行なった場合に、本実施例1においてどうのようにエンジンブレーキパワーPefと回生パワーPmとアクチュエータ制動トルクTbkmcが設定されるかを、場合分けして説明する。
A)駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過していない場合
駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過していない場合は、駆動軸上限パワーPrgrqが、例えば、図8の特性図において一点鎖線L2よりも左側の領域である。
この場合、バッテリ上限パワーPwinの範囲内で回生を行うことができるため、ステップS18→S19→S20→S21の処理に基づいて、エンジンブレーキは作動せず(Ne=0)、回生パワーPm=駆動軸上限パワーPrgrqに設定し、駆動軸実行パワーPrgcm=回生パワーPmに設定する。
したがって、この場合は、制動力として、バッテリ上限パワーPwinの範囲内で最大限の回生パワーPmが発生されるとともに、要求総制動トルクTbkから回生パワーPmを差し引いた分の制動力が、制動装置30で発生される。
B)駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過している場合
駆動軸上限パワーPrgrqがバッテリ上限パワーPwinを超過している場合は、図8に示す例では、一点鎖線L2の右側のH2に示す領域の場合であって、この場合、エンジンブレーキパワーPefと、最小エンジンブレーキパワーPefminおよび最大エンジンブレーキパワーPefmaxとの大きさの関係に基づいて、駆動軸実行パワーPrgcmを設定する。以下に、これを場合分けして説明する。
B1)エンジンブレーキパワーPefが最小エンジンブレーキパワーPefminを下回る場合
エンジンブレーキパワーPefが最小エンジンブレーキパワーPefminを下回る場合は、エンジンブレーキを得ることができない状態であって、駆動軸実行パワーPrgcmとしては、回生パワーPmしか得ることができない。
この場合、ステップS18→S22→S23→S24→S25→S21の処理に基づいて、回生パワーPm=バッテリ上限パワーPwinとして、バッテリ4で許容できる範囲で最大の回生パワーPmを得る(例えば、図8の例では、H2の領域に含まれるH1に示す領域)とともに、これを駆動軸実行パワーPrgcmとする。さらに、要求総制動トルクTbkから回生パワーPmを差し引いた分の制動力をアクチュエータ制動トルクTbkmcとして制動装置30で発生させる。
B2)エンジンブレーキパワーPefが最大エンジンブレーキパワーPefmaxを上回る場合
エンジンブレーキパワーPefが最大エンジンブレーキパワーPefmaxを上回る場合は、まず、エンジンブレーキパワーPefを最大エンジンブレーキパワーPefmaxに設定する(ステップS27)。
また、回生パワーPmは、バッテリ上限パワーPwinに設定する(ステップS29)。
すなわち、回生パワーPmおよびエンジンブレーキパワーPefを、それぞれ、その時点の車両状態で得られる最大値に設定して両者を加算したものを駆動軸実行パワーPrgcmとして設定し(ステップS31)、さらに、要求総制動トルクTbkから駆動軸実行パワーPrgcmを差し引いた値をアクチュエータ制動トルクTbkmcとする。
この場合、要求総制動トルクTbkは、図8の特性図では、H2の領域において、駆動軸上限パワーの一例Prgrq1よりも上の領域となる。
B3)エンジンブレーキパワーPefが最小エンジンブレーキパワーPefminを上回り、最大エンジンブレーキパワーPefmaxを上回らない場合
この場合、上記B2との相違点は、ステップS27の処理を実行することなく、エンジンブレーキパワーPefをそのまま用いて、駆動軸実行パワーPrgcmを設定する点である。
したがって、駆動軸実行パワーPrgcmとしては、その時点の車両条件で最大のバッテリ上限パワーPwinの範囲内の回生パワーPmと、最大エンジンブレーキパワーPefmaxに満たない、エンジンブレーキパワーPefを加算して駆動軸実行パワーPrgcmを設定する。
そして、要求総制動トルクTbkから駆動軸実行トルクTrgcmを差し引いた値をアクチュエータ制動トルクTbkmcとする。
この場合、要求総制動トルクTbkは、図8の特性図では、H2の領域であって、駆動軸上限パワーの一例Prgrq1と、バッテリ上限パワーPwinとの間の領域H3となる。
(実施例1の効果)
以上説明したように、実施例1では、以下列挙する効果を得ることができる。
a)運転者の制動操作時に、車速Vと要求総制動トルクTbkとに基づいて設定された駆動軸上限トルクTrgrqが、バッテリ充電量SOCおよびバッテリ温度Tbattに基づいて設定される充電可能な電力の上限であるバッテリ上限パワーPwinを超過した場合に、超過分は、エンジンブレーキパワーPefで制動力を得るようにした。
すなわち、駆動軸で得られる制動力である駆動軸実行パワーPrgcmとして、バッテリ上限パワーPwinの範囲内で回生パワーPmを得るようにするとともに、バッテリ上限パワーPwinを超過した分を、エンジンブレーキパワーPefで得るようにした。
そして、要求総制動トルクTbkのうち、駆動軸実行パワーPrgcmで不足する分を、アクチュエータ制動トルクTbkmcで得るようにした。
したがって、従来のように、図8の特性図において、バッテリ上限パワーPwin1を下回るH1で示す範囲を、回生パワーPmとエンジンブレーキパワーPefとに配分した場合には、エンジンブレーキパワーPefの分だけ、回生エネルギを得ることができなかった。
それに対して、本実施例1では、車両状態および要求総制動トルクTbkがH2の領域の場合、バッテリ上限パワーPwinを超え駆動軸上限パワーPrgrq1未満の制動力を、エンジンブレーキパワーPefで得るようにして、最大限の回生パワーPmを得ることができるようになった。
その分、回生効率を向上させることができ、かつ、アクチュエータ制動トルクTbkmcを減らすことができ、省エネルギ化を図ることが可能となった。
b)駆動軸実行パワーPrgcmは、駆動軸上限パワーPrgrqの範囲内に設定するため、駆動軸実行パワーPrgcmが駆動軸上限パワーPrgrqを上回るものと比較して、操縦安定性と制動力を両立できる。
c)エンジン回転数Neは、エンジンブレーキパワーPefが大きくなるほど高くなる特性としている(ステップS28のFef(Pef))。
したがって、エンジン回転数Neが増加するほど、エンジンブレーキパワーPefと負圧とが増加し、負圧タンク35の負圧減少に対するロバスト性が高まる。
d)上記c)に加え、エンジンブレーキパワーPefは、負圧センサ24の検出値に基づいて、負圧が減少するほどエンジン回転数Neが増加するように設定した(ステップS28)。
このため、負圧タンク35の負圧が減少するほど、エンジン回転数Neが高く設定されて負圧が発生し、負圧減少に対するロバスト性がさらに高まる。
e)エンジンブレーキパワーPefは、駆動軸上限パワーPrgrqからバッテリ上限パワーPwinを差し引いた値に設定するようにした(ステップS22)。
したがって、要求総制動トルクTbkが駆動軸上限パワーPrgrqに達するまで、アクチュエータ制動トルクTbkmcが不要になるので、制動装置30の駆動電力を削減し、昇エネルギ性能を向上可能である。
以上、本発明のクラッチ制御装置を、実施の形態および実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
例えば、実施例1では、モータおよび充電手段として、力行と回生とが可能なモータジェネレータMGを用いた例を示したが、これに限定されず、モータと発電機とを別個にもうけてもよいし、あるいは、モータジェネレータを2個設け、一方を主として力行に、もう一方を主として回生に用いながらも、両者を回生に用いることを可能に構成としてもよい。
また、実施例1では、FRハイブリッド車両に適用した例を示したが、例えば、FFハイブリッド車両や四輪駆動のハイブリッド車両に対しても本発明の制御装置を適用することができる。
また、アシスト機構として、負圧を用いて制動操作力をアシストする負圧ブースタ34を示したがこれに限定されるものではなく、油圧源を備えた制動装置により、能動的に制動液圧を上昇させる手段などの他の手段を用いてもよい。
2 モータコントローラ(バッテリ充電量検出手段)
3 インバータ(充電手段)
4 バッテリ(充電手段)
9 ブレーキコントローラ(制動制御手段)
10 統合コントローラ(制動制御手段:要求制動力検出手段)
17 車速センサ(車速検出手段)
20 ブレーキストロークセンサ(要求制動力検出手段)
23 バッテリ温度センサ
24 負圧センサ
30 制動装置
34 負圧ブースタ(アシスト機構)
35 負圧タンク
Eng エンジン
MG モータジェネレータ(モータ:充電手段)
Pef エンジンブレーキパワー
Pm 回生パワー
Prgrq 駆動軸上限パワー(駆動軸上限制動力)
PS プロペラシャフト(駆動軸)
Pwin バッテリ上限パワー
FL 左前輪
FR 右前輪
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
S ブレーキペダルストローク量
SOC バッテリ充電量
VSP 車速

Claims (3)

  1. 駆動軸を介して駆動輪に駆動力を伝達可能に設けられたエンジンおよびモータと、
    運転者の操作に応じて車輪に制動力を与える制動装置と、
    車両減速時に、回生発電してバッテリに充電する充電手段と、
    車速を検出する車速検出手段と、
    前記運転者の制動操作に応じた要求制動力を検出する要求制動力検出手段と、
    前記バッテリの充電量を検出するバッテリ充電量検出手段と、
    前記制動操作時に、バッテリ充電量に基づいて設定される回生により充電可能な電力の上限であるバッテリ上限パワーの範囲内で前記充電手段により回生発電させる回生制動作動を実行させるとともに、前記車速と前記要求制動力とに基づいて設定された駆動軸制動力の上限値である駆動軸上限制動力が、前記バッテリ上限パワーを超過した場合に、前記エンジンにより制動力を得るエンジンブレーキ作動を行わせる一方、前記制動装置の制動力を減少させる回生協調制動処理を実行する制動制御手段と、
    を備えていることを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置。
  2. 前記制動装置は、前記エンジンの駆動で形成される負圧により制動操作力をアシストするアシスト機構を有し、
    前記制動制御手段は、前記回生協調制動処理時に、前記制動装置の負圧の低下代が大きいほど、エンジン回転数が増加するようにエンジンブレーキパワーを制御することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制動制御装置。
  3. 前記制動制御手段は、前記回生協調制動処理時に、前記エンジンブレーキパワーを、前記駆動軸上限制動力から前記バッテリ上限パワーを差し引いた値に設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハイブリッド車両の制動制御装置。
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