JP2010262143A - 偏波保持光ファイバおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】応力によるクラックの発生が少なく、増幅可能な偏波保持光ファイバを提供する。
【解決手段】酸化ビスマス系ガラスで構成されたコアと、前記コアの周りを覆うクラッドとを具備し、複屈折率が1×10-5以上である偏波保持光ファイバであって、前記コアのガラス転移温度がクラッドのガラス転移温度より高い偏波保持光ファイバ。
【選択図】図1

Description

本発明は偏波保持特性を有し、光増幅可能な偏波保持光ファイバおよびその製造方法に関する。
高速の光信号や、短パルス光を扱う場合、ファイバ内の構造の揺らぎや、外部温度変化などの影響を受けて、光の偏光状態が乱れるという問題がある。このような問題を解決するために、偏波保持光ファイバがWDM伝送用の光学部品の一部として注目を集めている。
一般的に広く使われているシングルモード光ファイバ(SMF)には,直交する2つの偏波面をもつモードが存在する。偏波保持光ファイバはこれら2つの偏波モード間に伝搬定数差を生じさせそれぞれの偏波モードからもう一方への偏波モードへの結合を抑制し偏波保持能力を高めるようにしたファイバである。このような伝搬定数差を発生させたファイバとして、コアに非軸対称の応力を与える構造の応力付与型偏波保持光ファイバと、コアの形状を非真円(非回転軸対称)とした構造複屈折型偏波保持光ファイバとがある。
応力付与型偏波保持光ファイバは、屈折率が応力により変化することを利用して、直交する主軸に対する屈折率差、つまりは複屈折を発生させることにより偏波保持特性が付与されるものである(例えば特許文献1)。
また、増幅用の偏波保持光ファイバとしては、エルビウムErをドープしたコアの両側面の対象位置に一対の応力付与部を設けたPANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)型も提案されている(特許文献2)。
一方、コアがほぼ円形である応力付与型偏波保持光ファイバに対し、構造複屈折型偏波保持光ファイバとしては、楕円コア形状をなすものが提案されている(特許文献3)。これは、コアの形状を楕円形にし、構造により複屈折を付与するものである。
また、本出願人は、増幅作用をもつErを高濃度に添加可能な光ファイバとして、酸化ビスマス系のファイバを提案している(特許文献4)。
特開昭62−12625号公報 特許第3732705号明細書 特開平4−39605号公報 特開2003−183049号公報
しかし、特許文献1に示されている応力付与型偏波保持光ファイバは、石英を主成分とするガラスで構成されているが、大きく膨張係数の異なるガラスからなるために、製造過程でクラックが発生し易いという問題がある。また、ガラスの軟化点温度が大きく異なるために、成形が困難になるという問題もある。
また、特許文献2で開示されている増幅用の偏波保持ファイバも応力付与型であるために、クラックの発生や粘性の違いにより、成形が困難となることが多い。また、応力付与型の偏波保持光ファイバの材料としては、十分な大きさの光弾性定数を示すガラスである必要があるとされている。
また、楕円コア形状により複屈折を付与するためには、大きさと、楕円度により複屈折が付与されているが、特許文献3で開示されているような、石英ガラスにおいて屈折率差を付けるためには、石英ガラスにBやGeOを添加することによりなされるために、膨張差が生じ、ひずみが生じる場合がある。また、明記はされていないが、特許文献1の図6に示されている図から類推すると、特許文献2の実施例に示されているガラスの軟化点温度も100℃程度の温度差が生じていると考えられる。
このように、従来の偏波保持光ファイバにおいては、応力付与型が主流であったが、製造過程でクラックが発生し易いなど、製造歩留まりを上げるのが困難であるという問題があった。
一方、コア形状により複屈折を付与する形状型偏波保持光ファイバにおいても、ひずみが形成されやすく、破損を生じ易いという問題を回避するのは困難であった。
本発明は、応力によるクラックの発生が少なく、信頼性の高い偏波保持光ファイバを提供することを目的とする。
また本発明は、増幅可能な偏波保持光ファイバを提供することを目的とする。
本発明は、酸化ビスマス(Bi)系ガラスで構成されたコアと、前記コアの周りを覆うクラッドとを具備し、複屈折率が1×10-5以上である偏波保持光ファイバであって、前記コアのガラス転移温度がクラッドのガラス転移温度より高いことを特徴とする。
この構成により、コアのガラス転移温度がクラッドのガラス転移温度より高い材料構成をとることで、所望の非回転軸対称形状を得ることができ、かつガラス転移温度の調整が容易であるため、最適の組成設計を行うことで、所望の構造複屈折を得ることができる。また、不要な応力もないため、クラックの発生もなく、信頼性の高い偏波保持光ファイバを得ることが可能となる。ここで非回転軸対称形状とは、(ファイバの長手方向に沿ったコアの)軸に垂直な断面が円でないことをいうものとする。
また本発明は、上記偏波保持光ファイバにおいて、前記コアが非真円形状である。
この構成により、コアを非真円構造にすることにより生じる、構造複屈折を得ることができる。ここで、コアは、長方形、楕円、多角形など、長軸と短軸の長さが異なる構造とする。
また本発明は、上記偏波保持光ファイバにおいて、長手方向に垂直な断面における長軸と短軸の長さが異なる。
この構成により、所望の偏波保持特性を得ることができる。
また本発明は、上記偏波保持光ファイバにおいて、前記コアのガラス転移温度とクラッドのガラス転移温度の差が20℃以下であるものを含む。
この構成により、コアの変形を抑制しつつ、クラッドを溶融させ、高精度の形状加工が可能となるため所望の偏波保持特性をもつ光ファイバを得ることができる。
また本発明は、上記偏波保持光ファイバにおいて、前記コアおよびクラッドのガラスの50℃〜350℃における平均線膨張係数の差が、10×10−7/℃以下であるものを含む。
この構成により、膨張係数の差に起因する不要な応力の発生を抑制することができ、高精度の偏波保持特性を得ることができるとともに、破損を抑制し、信頼性の向上をはかることができる。
また本発明は、上記偏波保持光ファイバにおいて、前記クラッドを構成するガラスの屈折率ncladに対する前記コアを構成するガラスの屈折率ncoreの比屈折率差(ncore−nclad)/ncladが0.2〜1.5%であるものを含む。
この構成により、所望の偏波保持特性を得ることができる。
また本発明は、上記偏波保持光ファイバにおいて、前記コアが、Erを0.1〜2.0質量%含有するガラスで構成されたもの、また、前記コアがYbを0.1〜5.0質量%含有するガラスで構成されたものを含む。
これら構成により、増幅特性を十分に生起しうる偏波保持光ファイバを提供することが可能となる。
また本発明は、上記偏波保持光ファイバにおいて、コアおよびクラッドのガラスのガラス転移点温度が360℃以上であるガラスからなるものを含む。
この構成により、レーザ加工などにおいて、高温となる場合にも良好な信頼性を維持することが可能となる。
また本発明は、酸化ビスマス系ガラスで構成されたコアと、前記コアの周りを覆うクラッドとを具備し偏波保持特性を有する偏波保持光ファイバを製造する方法であって、酸化ビスマス系溶融ガラスを用いてクラッドとなるべきガラスチューブを形成する工程と、
酸化ビスマス系ガラスを切削してコアとなるべき長軸と短軸の長さが異なるガラスロッドを形成する工程と、前記ガラスロッドを前記ガラスチューブに挿入し、加熱延伸することにより、ファイバプリフォームを得る工程と、前記ファイバプリフォームから、偏波保持光ファイバを得る線引き工程とを含む偏波保持光ファイバの製造方法とを含む。
この構成により、容易に所望の形状を得ることができ、設計値通りの特性をもつ偏波保持光ファイバを提供することが可能となる。
本発明によれば、膨張係数の差が大きいことによって発生する応力が少なく、機械的強度が高く信頼性の高い偏波保持光ファイバを得ることができる。またErなどの増幅のための材料の添加も容易で増幅可能な偏波保持ファイバを得ることができる。
本発明の実施の形態1における偏波保持光ファイバの断面図 本発明の実施の形態1のコアロッドの製造工程図、(a)は、コア母材100を形成する工程を示す図、(b)は、コア母材100を切削加工してガラスロッド101を形成する工程を示す図、(c)は、ガラスロッドを延伸してコアロッド102を形成する工程を示す図 本発明の実施の形態1の結合体の製造工程図、(a)はコアロッド102を示す図、(b)はコアロッド102を中心に据え、周囲をガラスチューブ200で囲む工程を示す図、(c)はコアロッド102を中心に据えて周囲をガラスチューブ200で囲んだものを延伸しながら結合しファイバプリフォーム41を得る工程を示す図 本発明の実施の形態1の偏波保持光ファイバの製造工程図、(a)は、融着し一体となり延伸されたファイバ用のプリフォーム41を示す図、(b)はファイバプリフォーム41を線引きし、最終径の偏波保持光ファイバを得る工程を示す図 本発明の実施の形態2における偏波保持光ファイバの断面図 本発明の実施の形態3における偏波保持光ファイバの断面図
次に本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の実施の形態の説明に先立ち、まず、望ましい形態の概要を説明する。
本発明の偏波保持光ファイバは、コアを非真円構造にすることにより生じる、構造複屈折を利用するために、コアは、長方形、楕円、多角形など、長軸と短軸の長さが異なる構造とする。実験結果から、長軸と短軸の比は、1.2〜3.0であることが好ましい。長軸と短軸の比が1.2未満では構造による複屈折が十分に得られない可能性がある。好ましくは、1.5以上である。また、3.0超では成形時にコアが変形するおそれがある。好ましくは、2.5以下、より好ましくは2.0以下である。コアの短軸は、1μm以上であることが好ましい。1μm未満では接続が困難になるおそれがある。好ましくは1.5μm以上、より好ましくは2.0μm以上である。また、シングルモード伝搬させるためには、長軸が10μm以下であることが好ましい。より好ましくは8μm以下である。
本発明のファイバにおいては、コアのガラス転移温度はクラッドのガラス転移温度より高くなるように構成され、その差は20℃以下であることが好ましい。コアのガラスがクラッドのガラスのガラス転移温度より高いガラス転移温度を持つように形成されているため、成形時にコアの形状が変形したりすることなく、良好な形状を維持し所望の偏波保持特性を得ることができる。コアのガラスの転移温度はクラッドの転移温度より、2℃以上高いことが好ましい。より好ましくは3℃以上、さらに好ましくは5℃以上である。前記差が20℃を超えると、線引過程において、粘性が異なることにより成形が困難となる、または、応力が発生しクラックの原因となる場合がある。好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下である。
また、本発明で用いられる酸化ビスマス系ガラスは典型的には、質量%表示で、Biを60質量%以上含有するガラスであり、その他にBおよびSiOの少なくともいずれか一方とAlおよびGaの少なくともいずれか一方を含有する。この典型的なガラスにおいてはBおよびSiOの含有量の合計およびAlおよびGaの含有量の合計はいずれも20質量%以下である。
ここで、B、SiOはガラスを安定化させるために含有されるが、その場合それぞれの含有量は5質量%以上であることが好ましい。また10質量%以上であることがより好ましい。
また、Al、Gaは線引過程における、失透の発生を抑制するために含有されるが、その場合それぞれの含有量は5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。
本発明で用いられる酸化ビスマス系ガラスは、コアガラスにErもしくはYbを0.1〜2.0質量%添加されているものが典型的であり、このガラスからErもしくはYbを除いたマトリクスガラスは、通常、Biを60質量%以上含有する前記典型的な酸化ビスマス系ガラスである。Biが60質量%未満では、特許文献4に示されているような、ビスマス系ガラスの特徴である、希土類の高濃度添加が困難になる。好ましくは65質量%以上、より好ましくは70質量%以上である。
Erを添加する場合、0.1〜2.0質量%であることが好ましい。0.1質量%未満では吸収係数が小さくなるおそれがある。より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。2.0質量%超では濃度消光によりエネルギー変換効率が低下するおそれがある。好ましくは1.5質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下である。
一方、Ybを添加する場合、最適範囲はさらに高くなり、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。0.1質量%未満では吸収係数が小さくなるおそれがある。より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。5.0質量%超では濃度消光によりエネルギー変換効率が低下するおそれがある。好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。
また、Erのクラスタリングによる濃度消光を抑制するためには、マトリクスガラスはLaを0.1〜5質量%の範囲で含有してもよい。
また、クラッド屈折率(nclad)に対するコアの屈折率(ncore)の比屈折率差{(ncore−nclad)/nclad}は0.2〜1.5%であることが好ましい。比屈折率差が0.2%未満では、光のコアへの閉じ込めが小さくなり、ファイバを曲げた時にロスが発生し易くなる。また、構造複屈折が付き難くなる。好ましくは、0.4%以上、より好ましくは0.7%以上である。1.5%超ではNAが大きくなりすぎ、一般的な石英のシングルモードファイバとの接続が困難になる。好ましくは、1.2%以下、より好ましくは1.0%以下である。
コアとクラッドとの50℃〜350℃における平均線膨張係数の差は、10×10−7/℃以下である。10×10−7/℃超では、成形時にクラックが発生するおそれがある。好ましくは、7×10−7/℃以下、より好ましくは5×10−7/℃以下である。
本発明におけるコアおよびクラッドのガラスのガラス転移点Tgは360℃以上であることが好ましい。Tgが360℃未満では、強度の大きい光を使用したときにガラスの温度が局所的に高くなって熱的に損傷し、その結果光損失が増加して光増幅が不充分となるおそれがある。より好ましくは400℃以上、特に好ましくは420℃以上である。
以下、本発明の実施の形態の偏波保持光ファイバについて、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態の偏波保持光ファイバの断面構造を示す図である。この偏波保持光ファイバは、酸化ビスマス(Bi)系ガラスで構成され、クラッド2内に、長軸と短軸の長さが異なるコア1、すなわち断面長方形のコア1を具備し、複屈折率が1×10-5以上であって、コア1のガラス転移温度がクラッド2のガラス転移温度より高いことを特徴とするものである。
次に、この偏波保持光ファイバの製造方法について説明する。
この方法では、図2乃至図4に示すように、酸化ビスマス系ガラスからなるコアを構成するコアロッド102を切削加工で成形するとともに(図2(c))、酸化ビスマス系ガラスからなる溶融ガラスを用いてガラスチューブ200を形成したのち、このガラスチューブ200内に断面長方形のコアロッド102を挿入し(図3(b))、加熱延伸することにより、ファイバプリフォーム41を得る工程(図3(c))と、前記ファイバプリフォームから、偏波保持光ファイバ42を得る線引き工程(図4(c))とを含む。
まず、偏波保持光ファイバのコアに相当するコアロッド102となるコア母材100を成形し、切削加工し、所望の長軸と短軸を持つように形状加工する。コアロッド102の成分は比屈折率差が上限を4%として、屈折率がガラスチューブ200より高いビスマスガラスを用いるのが好ましい。それ以外の屈折率差で形成した場合、コアが光を導波しないか、もしくはマルチモード伝播になるおそれがある。
すなわち、図2(a)に示すように、コア母材100を形成し、図2(b)に示すように、これを切削加工してガラスロッド101を形成し、これを延伸して図2(c)に示すようにコアロッド102を形成する。
すなわち、酸化ビスマス系ガラスからなる筒状のガラスチューブ200を用意する。ガラスチューブ200の大きさは、典型的に長さ150mm、直径15mmであって、内径は2mm〜10mmである。この筒状のガラスチューブ母材は、モールド成型したガラスに機械加工することにより得ることができる。または、筒状モールドにおいて、ローテイショナル法と呼ばれる方法を用い、主軸に回転を加えることにより遠心力を利用して作製することができる。このとき、直径、内径の比率は、最終的に得ようとする偏波保持光ファイバの形状に対応して決定される。
次いで、図3(a)に示すコアロッド102を中心に据え、図3(b)に示すように、周囲をガラスチューブ200で囲み、延伸しながらそれらを結合しファイバプリフォーム41を得る。
このようにして、加熱により、図4(a)に示すように、これらを融着し一体となり延伸されたファイバ用のプリフォーム41を得る。ファイバ用のプリフォーム41は典型的には直径3〜15mmである。ロッドインチューブ工程では、ガラスチューブ200とコアロッド102の間の空隙を確実に埋め融着させるために、隙間部分に減圧をすることが好ましい。このようにして図4(a)に示すように、加熱延伸しファイバプリフォーム41を得たのち、線引き工程を経て図4(b)に示すように最終径の偏波保持光ファイバを得ることができる。
そして、最終的な偏波保持光ファイバのコア径、コアの長軸と短軸の比、クラッド径は前項加熱延伸時の結合されたコアロッド101の長軸、短軸および、ガラスチューブ200の外径、内径に依存して決定される。1回のロッドインチューブ工程で所望の構造を得ることができない場合は、複数回のロッドインチューブ工程を経るものとする。
ファイバ用のプリフォーム41を、延伸した後リドロー成型可能な温度まで加熱し、偏波保持光ファイバ42の形状に線引きを行う。このようにして図1に示した偏波保持光ファイバが形成される。
なお、前記実施の形態ではコアが長方形の偏波保持光ファイバについて説明したが、必ずしも長方形でなくてもよく、楕円、多角形などとすることも可能である。また、真円のコアロッドを複数本束ねてガラスチューブに挿入し、同様にしてガラス結合体を形成し延伸、線引きしコアの断面形状が2つ以上の円の結合体であるものも有効である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、コア1を図5に示すように、楕円形をなすようにしたものである。
この場合も良好な偏波特性を得ることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、コア1を図6に示すように、六角形をなすようにしたものである。
この場合も良好な偏波特性を得ることができる。
また、前記実施の形態では酸化ビスマス系ガラスについて説明したが、テルライトガラス、カルコゲンガラスなどにも適用可能である。
以下、本発明の実施例について説明する。
コアガラス組成(質量%):Bi 75.8、SiO 7.8、Al 1.4、Ga 12.7、La 1.8、CeO 0.14、Er 0.36、クラッドガラス組成:Bi 78.1、SiO 8.1、Al 2.8、Ga 10.5、B 0.4、CeO 0.1、となるように原料を調合、溶解しビスマスガラスを得た。
このとき、コアのガラス転移温度は494℃、クラッドのガラス転移温度は489℃、コアガラスの膨張係数は83.8×10−7/℃、クラッドガラスの膨張係数は82.6×10−7/℃であった。
溶解した酸化ビスマス系ガラスをSUS製円筒モールドにて成型し、図2(a)に示すように、長さ150mm、直径15mmのコア母材100を得た。図2(b)に示すように、切削法により成形し、ガラスロッド101を形成した。そして、図2(c)に示すように、これを延伸して、長軸3.0mm、短軸1.5mmの断面長方形のコアロッド102を得た。
一方溶解した酸化ビスマス系ガラスを、ローテイショナル法にて成型し、長さ150mm、直径15mm、内径4.5mmのガラスチューブ200を得た。
そしてガラスチューブ200内にコアロッド102を挿入する。
続いて図3(c)に示すように、ガラスチューブ200内にコアロッド102を挿入してガラス結合体を形成しながら加熱延伸し、直径5mmのファイバプリフォーム41を得た。
ファイバプリフォーム41(図4(a))に対して線引きを行い偏波保持光ファイバ42を形成した(図4(b))。
線引き速度は、偏波保持光ファイバの外径を125μmにするよう調整された。線引き後の巻き取り装置のローラーの回転数によりこれは実現された。
このようにして図1に示すコア形状が長方形型の酸化ビスマス系ガラスからなる偏波保持光ファイバを作製したところ、クラックの発生は無く、またコアの変形もなく、コアの短辺:2.6μm、コアの長辺:5.2μm、クラッド径:125μm、コアとクラッドの屈折率差:0.85%からなる光ファイバを得た。計算から求めた複屈折は、3.9×10−5であった。なお、コアガラスとして石英ガラスを、直径18mm、厚み5mmに加工し、円板の圧縮法により、干渉縞から光弾性定数を、求めたところ、石英ガラスは3.5×10−7cm/kgであった。ビスマスガラスは0.4×10−7cm/kg程度と、非常に小さい値であった。
また、比較として、Biを76.0質量%含有するガラスをコアガラスとして用い、コアのガラス転移温度がクラッドのガラス転移温度より3℃低くなるようにして、コアの短辺:4.0μm、コアの長辺:8.0μm、のファイバを作製しようとしたところ、コアが変形した。
次に、実施例2として、実施例1で用いたのと同様の酸化ビスマス系ガラスを用いてコアの形状を楕円とし、偏波保持光ファイバを形成し、比屈折率差、複屈折率(B:ここで複屈折率の表記においてたとえば、1.4E−05は1.4×10−5を示すものとする。)、形状(ファイバの軸に対して垂直な断面)、コアの屈折率(nコア)を測定した。その結果を表1-6に示す。例1から24は短軸に対する長軸の比が2であるとき、例25から30は短軸に対する長軸の比が1.5であるとき、例31から38は短軸に対する長軸の比が2.5であるとき、例39から46は短軸に対する長軸の比が3であるときの計算値である。これに対し、表7に比較例1から4として断面が真円である場合の計算値である。この結果ファイバの軸に対して垂直な断面形状が楕円であるとき、十分な複屈折率を有し、良好な偏波保持特性を有していることがわかる。
Figure 2010262143
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Figure 2010262143
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Figure 2010262143
Figure 2010262143
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次に、実施例3として、酸化ビスマス系ガラスにErあるいはYbを添加して増幅型の偏波保持光ファイバを形成した。このときの各組成物の質量%、ガラス転移温度(Tg)、膨張率、比屈折率差を測定した結果を、例47-50、例50-52について表8および9に示す。ここでは実施例1と同様のコア形状をなすように成形し、短軸に対する長軸の比が2であるときの測定値である。
この表から明らかなように、クラッド屈折率(nclad)に対するコアの屈折率(ncore)の比屈折率差{(ncore−nclad)/nclad}は0.005から0.01となっており、0.2〜1.5%の範囲内であることがわかる。
コアとクラッドとの平均線膨張係数の差は、もっとも大きいもので3.5×10−7/℃となっており、いずれも10×10−7/℃以下である。
さらにまたガラス転移点Tgはいずれも420℃以上であり、コアはクラッドよりもTgが1.7から19.3℃程度大きくなっている。
例47から52についてはいずれも、良好な光増幅特性を有するとともに、十分な比屈折率を有し、良好な偏波保持特性を有している。
以下の表においては、BiからYbまでは組成の質量%、ガラス転移温度(Tg)、膨張率(単位:10−7/℃)、比屈折率差を示す。
Figure 2010262143
Figure 2010262143
次に本発明の実施例4について説明する。
コアの質量%表示組成が、Bi 74.9、SiO 6.8、B 1.8、Al 1.7、Ga 12.2、ZnO 1.0、BaO 0.3、La 1.2、CeO 0.1であり、クラッドの同表示組成が、Bi 76.6、SiO 6.7、B 0.8、Al 2.2、Ga 11.6、NaO 0.2、La 1.8、CeO 0.1であり、コアの形状が長方形で、短径 2.6μm、長径 5.1μmの偏波保持ファイバを作製した。コアのガラス転移温度は476℃、クラッドのガラス転移温度は471℃、コアの屈折率は2.023、クラッドの屈折率は2.0054であった。
一方、1500nmから1630nmの白色光源をこの偏波保持ファイバの主軸から45°の角度に直線偏光が入射されるように偏波コントローラーで調整して、偏波保持ファイバに入射し、ファイバの出射端に検光子を設けた。この時、光が遮断される極値の波長間隔より複屈折率を求めた。この偏波保持ファイバの測定では、1536.9nmと1598.4nmに極値が観測され、それより複屈折率は4.2×10−5と求められた。なお、測定に用いた偏波保持ファイバの長さは0.94mである。
以上説明してきたように、本発明によれば、酸化ビスマス系ガラスで構成された、構造複屈折構造の偏波保持光ファイバを提供することができ、信頼性の高い偏波保持光ファイバとして種々の光学部材に適用可能である。またErやYbなどの増幅用組成物も添加でき、信頼性の高い増幅用偏波保持ファイバとして利用可能である。
1 コア
2 クラッド
100 コアロッド用プリフォーム(コア母材)
101 ガラスロッド
102 コアロッド
200 ガラスチューブ
41 ファイバ用プリフォーム
42 偏波保持ファイバファイバ

Claims (11)

  1. 酸化ビスマス系ガラスで構成されたコアと、前記コアの周りを覆うクラッドとを具備し、
    複屈折率が1×10-5以上である偏波保持光ファイバであって、
    前記コアのガラス転移温度がクラッドのガラス転移温度より高い偏波保持光ファイバ。
  2. 請求項1に記載の偏波保持光ファイバであって、
    前記コアは非真円形状である偏波保持光ファイバ。
  3. 請求項1に記載の偏波保持光ファイバであって、
    前記コアは、長手方向に垂直な断面における長軸と短軸の長さが異なる偏波保持光ファイバ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の偏波保持光ファイバであって、
    前記コアのガラス転移温度とクラッドのガラス転移温度の差が20℃以下である偏波保持光ファイバ。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の偏波保持光ファイバであって、
    前記コアおよびクラッドを構成するガラスの50℃〜350℃における平均線膨張係数の差が、10×10−7/℃以下である偏波保持光ファイバ。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の偏波保持光ファイバであって、
    前記クラッドを構成するガラスの屈折率ncladに対する前記コアを構成するガラスの屈折率ncoreの比屈折率差(ncore−nclad)/ncladが0.2〜1.5%である偏波保持光ファイバ。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の偏波保持光ファイバであって、
    前記コアは、Erを0.1〜2.0質量%含有するガラスで構成された偏波保持光ファイバ。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の偏波保持光ファイバであって、
    前記コアは、Ybを0.1〜5.0質量%含有するガラスで構成された偏波保持光ファイバ。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の偏波保持光ファイバであって、
    コアおよびクラッドのガラスのガラス転移点温度が360℃以上であるガラスからなる偏波保持光ファイバ。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の偏波保持特性を有する偏波保持光ファイバを製造する方法であって、
    酸化ビスマス系溶融ガラスを用いてクラッドとなるべきガラスチューブを形成する工程と、
    酸化ビスマス系ガラスを切削してコアとなるべき長軸と短軸の長さが異なるガラスロッドを形成する工程と、
    前記ガラスロッドを前記ガラスチューブに挿入し、加熱延伸することにより、ファイバプリフォームを得る工程と、
    前記ファイバプリフォームから、偏波保持光ファイバを得る線引き工程とを含む偏波保持光ファイバの製造方法。
  11. 酸化ビスマス系ガラスで構成されたコアと、前記コアの周りを覆うクラッドとを具備し偏波保持特性を有する偏波保持光ファイバを製造する方法であって、
    酸化ビスマス系溶融ガラスを用いてクラッドとなるべきガラスチューブを形成する工程と、
    酸化ビスマス系ガラスを切削してコアとなるべき長軸と短軸の長さが異なるガラスロッドを形成する工程と、
    前記ガラスロッドを前記ガラスチューブに挿入し、加熱延伸することにより、ファイバプリフォームを得る工程と、
    前記ファイバプリフォームから、偏波保持光ファイバを得る線引き工程とを含む偏波保持光ファイバの製造方法。
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