JP2010253854A - 多層離型フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】中間層と、該中間層の両面に積層された2つの表層とを有する多層離型フィルムであって、前記2つの表層は、一方の厚さが5μm以上25μm未満であり、かつ、他方の厚さが25μm以上50μm未満である多層離型フィルム。
【選択図】なし
Description
以下、本発明を詳述する。
上記2つの表層は、一方の厚さが5μm以上25μm未満であり、かつ、他方の厚さが25μm以上50μm未満である。なお、本明細書中、上記厚さが5μm以上25μm未満である表層を「表層1」ともいい、上記厚さが25μm以上50μm未満である表層を「表層2」ともいう。
これに対し、本発明の多層離型フィルムは、厚さが5μm以上25μm未満である表層1と、中間層と、厚さが25μm以上50μm未満である表層2とを有しており、中間層を介した2つの表層の厚さが異なっている。このような構造を有することにより、本発明の多層離型フィルムを用いてフレキシブルプリント基板等のプリント基板を製造する際、上記表層1がプリント基板本体の回路面側に、上記表層2が熱プレス板側になるようにして熱プレス成形を行うことにより、シワの発生を抑制するとともにカバーレイフィルム等からの接着剤の流れ出しを抑制し、熱プレス成形における歩留りを向上させることができる。
上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂は、示差走査熱量計を用いて測定した融点の好ましい下限が200℃である。熱プレス成形は通常200℃未満で行われることから、このような融点の高い樹脂を用いることにより、得られる多層離型フィルムを用いた熱プレス成形において上記表層1及び/又は上記表層2が溶融することなく離型性を有することができるとともに、上記表層1及び/又は上記表層2が破壊されるのを防止することができる。上記融点が200℃未満であると、得られる多層離型フィルムを用いた熱プレス成形において上記表層1及び/又は上記表層2が溶融し、多層離型フィルムの耐熱性が低下することがある。上記結晶性芳香族ポリエステル樹脂の示差走査熱量計を用いて測定した融点のより好ましい下限は220℃である。
なお、上記示差走査熱量計は特に限定されず、例えば、DSC 2920(TAインスツルメント社製)等が挙げられる。
上記安定剤は特に限定されず、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤や、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等の熱安定剤等が挙げられる。
上記難燃剤は特に限定されず、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙げられる。
上記帯電防止剤は特に限定されず、例えば、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。
上記高級脂肪酸塩は特に限定されず、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂は特に限定されず、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げられる。
上記アスペクト比の大きい無機化合物は特に限定されず、例えば、クレイ等の層状ケイ酸塩や、ハイドロタルサイト等の層状複水和物等が挙げられる。
上記表層1は、JIS B0601:2001に準拠する方法で、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.75mN、カットオフ値λs=2.5μm、λc=0.8mmの条件にて測定される粗さ曲線要素の平均長さRSmが200μm以下であることがより好ましい。
なお、上記粗さ曲線要素の平均長さRSmは、多層離型フィルム表面の凹凸形状の粗さ曲線における横方向のパラメーターであり、大きいほど表面の光沢が増し、小さいほど表面の光沢が低下したマット形状面となる。
上記冷却ロールの表面に加工された模様は特に限定されず、例えば、単一な形状の凹凸模様や、大きなブラスト材による凹凸模様に細かな凹凸を重畳した複数の形状の凹凸模様等が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン−アクリル系モノマーの共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、上記中間層を2種以上の樹脂で構成することにより、該中間層に、上記範囲の融点や後述する範囲の貯蔵弾性率に加えて更にその他の物性を付与することができる。
上記中間層のメルトフローレートの下限は特に限定されないが、現在一般的に入手可能な樹脂のメルトフローレートの下限として0.1g/10分を挙げることができる。
更には、本発明の多層離型フィルムの巾方向(以下、TDともいう)と長さ方向(以下、MDともいう)との寸法変化率が同方向かつ同等程度であることが好ましい。一方(例えば、MD)が収縮、他方(例えば、TD)が伸長という縦横の寸法変化が異なるような場合、得られる多層離型フィルムを用いた熱プレス成形において、プリント基板本体の回路パターンを損なうことがある。
上記3層樹脂フィルムを作製する方法は特に限定されず、例えば、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製膜する方法、表層1となるフィルムを作製した後、このフィルムに中間層を押出ラミネート法にて積層し、次いで表層2をドライラミネーションする方法、表層1となるフィルム、中間層となるフィルム及び表層2となるフィルムをドライラミネーションする方法、溶剤キャスティング法、熱プレス成形法等が挙げられる。なかでも、各層の厚み制御に優れる点から、共押出Tダイ法で製膜する方法が好適である。
また、上記熱プレス成形では、例えば、表層1となるフィルム、中間層となるフィルム及び表層2となるフィルムを重ね合わせて熱プレス成形することにより、多層離型フィルムを製造する。
上記離型処理の方法は特に限定されず、例えば、多層離型フィルムの表面にシリコーン系やフッ素系等の離型剤を塗布又は散布する方法や、熱処理や摩擦処理等を行う方法等の公知の方法を用いることができる。これらの離型処理は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の多層離型フィルムを用いたプリント基板の製造方法であって、熱プレス成形において、厚さが5μm以上25μm未満である表層(表層1)がプリント基板本体の回路面側に、厚さが25μm以上50μm未満である表層(表層2)が熱プレス板側になるように多層離型フィルムを配置するプリント基板の製造方法もまた、本発明の1つである。
3層共押出が可能な金型と3機の押出機からなる成形装置に、結晶性芳香族ポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート、三菱エンジニアリングプラスチック社製、ノバデユラン5010R5)とポリオレフィン系樹脂(日本ポリエチレン社製、LDPE、商品名「ノバテック」)とを押出機(ジーエムエンジニアリング社製、GM30−28(スクリュー径30mm、L/D28))を用いてTダイ幅400mmにて共押出して成形することにより、厚さ70μmのポリオレフィン系樹脂層(中間層)の表裏を、それぞれ表1に示す厚さを有する2つのポリエステル樹脂(表層1及び表層2)で挟持した構造の乳白色の3層樹脂フィルムを得た。
実施例1〜9及び比較例1〜27で得られた多層離型フィルムについて以下の評価を行った。結果を表1に示した。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚15μm、エポキシ系樹脂接着剤層25μm)、及び、得られた多層離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、真空条件下、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるフレキシブルプリント基板(FPC)評価サンプルを作製した。
なお、シワの個数が30個以内の場合には、プリント基板を製造する際の離型フィルムとして充分な防シワ性を有するといえる。より好ましくは、シワの個数が5個以内である。一方、シワの個数が30個を超える場合には、プリント基板を製造する際の離型フィルムとして防シワ性が不充分である。
CCL(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、銅箔35μm)、カバーレイ(20cm×20cm、ポリイミド厚25μm、エポキシ系樹脂接着剤層35μm)、及び、得られた多層離型フィルムを下からこの順番に積み上げ、スライド式真空ヒータプレス(MKP−3000V−WH−ST、ミカドテクノス社製)を用いて予め180℃で加熱したプレス金型間に置いて位置合わせをした後、プレスを開始し(設置から実際に圧力がかかるまでに約10秒)、50kg/cm2で2分間プレスすることにより、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。なお、カバーレイには、予め接着剤流れ出し量評価用の穴(Φ1mm)を作製しておいた。
上述した(1)シワ性能評価と(2)接着剤流れ出し量評価とにおいて、両評価が「○」であった場合を「○」と、どちらか一方の評価が「○」でありかつ他方の評価が「△」であった場合を「△」と、少なくともどちらか一方の評価が「×」であった場合、又は、両評価が「△」であった場合を「×」と評価した。
総合評価の結果を、横軸を多層離型フィルムの表層1の厚さ、縦軸を多層離型フィルムの表層2の厚さとしたグラフ上に示した(図1)。
3層樹脂フィルムの表面に凹凸を形成する際に使用する冷却ロールを変えたこと以外は実施例9と同様にして、表2に示す粗さ曲線要素の平均長さRSmを有する3層離型フィルムを作製した。
実施例9、10及び11で得られた多層離型フィルムについて以下の評価を行った。結果を表2に示した。
真空条件下、50kg/cm2で2分間プレスしたことに変えて、常圧条件下、50kg/cm2で2分間プレスしたこと以外は上述の<評価1>における(1)シワ性能評価と同様にして、CCLとカバーレイとからなるFPC評価サンプルを作製した。
なお、真空条件下でプレスするよりも、常圧条件下でプレスするほうが多層離型フィルムへのシワは生じやすい。
上述の<評価2>における(2)接着剤流れ出し量評価と同様にして、接着剤流れ出し量を評価した。
Claims (3)
- 中間層と、該中間層の両面に積層された2つの表層とを有する多層離型フィルムであって、
前記2つの表層は、一方の厚さが5μm以上25μm未満であり、かつ、他方の厚さが25μm以上50μm未満である
ことを特徴とする多層離型フィルム。 - 厚さが5μm以上25μm未満である表層は、JIS B0601:2001に準拠する方法で、先端半径2μm、円錐のテーパ角60°の触針を用い、測定力0.75mN、カットオフ値λs=2.5μm、λc=0.8mmの条件にて測定される粗さ曲線要素の平均長さRSmが300μm以下であることを特徴とする請求項1記載の多層離型フィルム。
- 請求項1又は2記載の多層離型フィルムを用いたプリント基板の製造方法であって、
熱プレス成形において、厚さが5μm以上25μm未満である表層がプリント基板本体の回路面側に、厚さが25μm以上50μm未満である表層が熱プレス板側になるように多層離型フィルムを配置する
ことを特徴とするプリント基板の製造方法。
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