JP2010235611A - 腫瘍の治療のための細胞治療方法 - Google Patents

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デイデイエ・ジエイ・ルトウルコ
Ann M Moriarty
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Michael R Jackson
マイケル・アール・ジヤクソン
Per A Peterson
パー・エイ・ピーターソン
Jon M Richards
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Abstract

【課題】腫瘍の治療、とりわけ転移性黒色腫を治療するための細胞治療方法を提供する。
【解決手段】腫瘍の表面上の腫瘍抗原の発現を高めることが可能である有効量のインターフェロン−αを、黒色腫を伴う被験体に投与すること、および、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種することの段階を含んで成る、前記被験体の細胞治療方法、並びに前記細胞傷害性Tリンパ球を得る方法。
【選択図】なし

Description

本出願は、2002年2月19日出願のLeTurcqらへの「腫瘍の治療のための細胞治療方法(A CELL THERAPY METHOD FOR THE TREATMENT OF TUMORS)」と題された米国特許出願第10/080,013号明細書(これは順に米国仮出願第60/270,252号明細書からの優先権を主張する)の一部継続出願であり、これらの出願の内容はこれによりそっくりそのまま引用することにより組み込まれる。
本発明は、腫瘍の治療のための細胞治療方法に関する。とりわけ、本発明は、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつエクスビボで生成された自己Tリンパ球を使用する黒色腫の治療レジメンに関する。
癌は、治療の領域でなされたかなりの進歩にもかかわらず大きな健康の問題であり続けている。化学療法、放射線治療、外科的介入および三者の組合せという標準的治療レジメンは、永続する治癒を生じさせることにしばしば失敗する。多くの場合、治療を受けた癌患者は、しばしば、いくらかの時間の期間の後に疾患状態に戻り、問題をさらに悪化させる。
癌治療の発展を複雑にする別の要因は、癌が単一の生物学的作用物質もしくは因子によってではなく、しかしむしろ作用物質および因子の組合せにより引き起こされることが見出されたことである。単一の原因物質もしくは事象が治療の焦点である大部分の医学的治療と異なり、癌治療は複数の生物学的因子を取り扱うことを必要とする。
近年、研究は患者自身の免疫系を利用する癌治療を開発することに向けられている。1つのこうしたアプローチは養子免疫療法である。養子免疫療法は、腫瘍もしくは癌細胞を治療する細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を生成させるために患者自身の細胞を使用することを要する。
黒色腫は免疫応答を導き出すその潜在性について知られ、かつ、化学療法およびホルモン療法のような全身治療の現在使用されるレジメンに抵抗性であるため、免疫療法レジメンの大部分の前臨床および臨床試験はこの悪性病原を標的とする。黒色腫は重大な健康上の問題である。過去40年にわたって、黒色腫の発生率は、いかなる他の型の癌よりも大きい速度で増大してきた。大部分の黒色腫は慣例の外科切除により管理されるとは言え、外科的摘除が容易にできない悪性黒色腫を伴う患者にとって、治療の選択肢は制限される。ダカルバジンは播種性黒色腫において選択すべき薬物のままであるが、しかし寛解は通常長続きしない。インターロイキンおよび生物化学療法が良好な結果を生じているが、しかし、この治療の恩恵を受ける患者の割合は小さい。高用量インターフェロンは若干の患者で生存率を増大させるとは言え、インターフェロンは容易に耐えられない論争の薬物のままである。連続的化学療法が見込みを有するが、しかし、転移性黒色腫に罹っている個体のための現在の治療の選択肢は満足できない。
転移性黒色腫を治療するための現在の免疫療法のアプローチは、単独で、または外因性のサイトカイン、遺伝子改変された腫瘍細胞、定義されるペプチドを添加された樹状細胞、もしくは内的にプロセシングされたタンパク質由来の抗原エピトープの完全な相補物(complement)を提示する樹状細胞と組合せの、黒色腫関連ペプチドの投与を包含する。これらのアプローチは、該疾患を治癒させる努力においてTおよび/もしくはB細胞応答を高めることを試みる。これらのアプローチは、ヒト患者の実現可能な臨床治療
レジメンとして大部分は証明されないままである。CTLを免疫化するための適正なエピトープを同定するという問題のほかに、現在のアプローチは、複数の抗原に十分に標的を定めて癌を効果的に治療するために、APCへの十分な数の多様なエピトープの提示方法を提供しない。
本発明は、腫瘍の治療のための細胞治療方法を提供することにより、満たされていない必要性を満たす。とりわけ、本発明は、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ、エクスビボで生成された自己Tリンパ球を使用する黒色腫の治療レジメンに関する。特定の時間および用量でのIFN−αもしくはIL−2、または双方のサイトカインのいずれかの付随する投与が、抗原特異的T細胞による溶解のための腫瘍細胞のプライミング、およびCTLのインビボ持続性に利益を与える可能性がある。
本発明は、10もしくはそれ以上までの異なるペプチドを同時に提示することが可能な天然に存在しない抗原提示細胞(nnAPC)、nnACPの製造方法、癌、とりわけ悪性黒色腫の治療のための前記nnACPの使用方法を提供する。
第一の局面において、本発明は:
天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(前記nnAPCは、ウイルス感染と関連する約15までの異なるペプチド分子を同時に提示することが可能であり、前記ペプチド分子はそれぞれが長さ約6ないし12アミノ酸であり);
被験体もしくは適するドナーからCD8細胞を収集すること;
前記CD8細胞を前記nnAPC細胞系で刺激すること;
馴化成長培地(CGM)もしくはIL−2、IL−7よりなる群から選択されるサイトカインを含有する培地に該CD8細胞を加えること(前記サイトカインは個別にもしくは組合せで使用することができ);
前記被験体もしくは適するドナーから収集された懸濁されない末梢血単球もしくはCD−8枯渇末梢血単球を、約1ないし50μg/mlの、該nnAPCが同時に提示することができるペプチドの1種と混合すること;
該末梢血単球懸濁物を、所望の末梢血単球を除く懸濁物中の全部の成分を無効にする(sterilize)のに必要な十分な線量のγ線放射で照射すること;
接着性末梢血単球を単離すること;
該接着性末梢血単球に、約1μg/mlないし50μg/mlの各ペプチドを添加すること;
CD8細胞を、1の末梢血単球に対し約10のCD8細胞の比で接着性末梢血単球と組合せること;および
被験体にCD8懸濁物を導入すること
を含んで成る、被験体における前記ウイルス感染の治療方法に関する。
本方法の一態様において、nnAPCは約10までのペプチド分子を提示することが可能であり、および、好ましくは、該ペプチド分子は長さが約8ないし10アミノ酸である。好ましくは、該分子は約10nMないし100μMの濃度範囲にある。また、好ましくは、サイトカイン成分はIL−2もしくは組合せのIL−2およびIL−7である。本方法の別の態様において、γ線放射の線量は約3,000ないし7,000ラド、および好ましくは約5,000ラドである。
本発明はまた:
腫瘍の表面上の腫瘍抗原の発現を高めることが可能である有効量のインターフェロン−α
を、黒色腫を伴う被験体に投与すること;および、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種すること
の段階を含んで成る、
前記被験体の治療方法にも関する。
本方法の好ましい一態様において、該方法は、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球のインビボ維持を高めることが可能である有効量のインターロイキン−2を被験体に投与することの段階をさらに含んで成る。好ましくは、インターフェロン−αはインターフェロン−α−2aもしくはインターフェロン−α−2bから選択され、そして、インターフェロン−αの有効量は約10MU/m/日であり、かつ、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種する前第5日から第1日まで連続して該被験体に皮下投与される。また好ましくは、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球の有効量は、注入あたり約1〜10×10個の細胞である。また好ましくは、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球は:天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製することであって、nnAPCは黒色腫と関連する約15までの異なるエピトープを同時に提示することが可能であり、各エピトープは長さ8ないし10アミノ酸のペプチドであり;黒色腫と関連する約15までの異なるエピトープをnnAPCに添加すること;被験体からCD8細胞を収集すること;CD8細胞を、エピトープを添加されたnnAPC細胞系で刺激して黒色腫に特異的なCD8細胞を得ること;黒色腫に特異的なCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する培地中で成長させること;被験体から収集されたCD8枯渇末梢血単球を、nnAPCに添加した各エピトープと混合すること;CD8枯渇末梢血単球をγ線放射で照射すること;接着性のCD8枯渇末梢血単球を単離すること;接着性末梢血単球に、nnAPCに添加した各エピトープを添加すること;黒色腫に特異的なCD8細胞を、エピトープ添加された接着性末梢血単球で再刺激すること;黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する培地中で成長させること;ならびに黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、OKT3抗体刺激により増大させること、の段階を含んで成る方法により得られる。
好ましくは、再刺激する段階は最低もう1回反復することができる。本方法の別の好ましい態様において、該天然に存在しない抗原提示細胞系は、チロシナーゼ、gp100およびMART−1由来のペプチドであるエピトープを添加され、かつ、好ましくは、該天然に存在しない抗原提示細胞系は、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5および配列番号6のアミノ酸配列を含んで成るエピトープを添加される。また好ましくは、インターロイキン−2の有効量は約3MIU/日であり、かつ、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種した後第0日から第28日まで連続して被験体に皮下投与される。また好ましくは、該方法は約2ヶ月の間隔で反復される。好ましい一態様において、該方法は、最低2周期の間反復され、かつ、各周期後に前記被験体における応答を評価することの段階をさらに含んで成る。
本方法のなお別の好ましい態様において、該方法は:黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己細胞傷害性Tリンパ球を被験体に接種する前第5日から第1日まで連続して、前記被験体に10MU/m/日のインターフェロン−α−2bを皮下投与すること;注入あたり約1〜10×10個の細胞の、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己細胞傷害性Tリンパ球を注入すること;および、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種した後第0日から第28日まで連続して約3MIU/日のインターロイキン−2を被験体に皮下投与すること、の段階を含んで成る。
本発明は:
a.天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(ここで前記nnAPCは、癌と関連する約15までの異なるペプチド分子、好ましくは約10の異なるペプチド分子を同時に提示することが可能であり、ここで各ペプチドは長さが約6ないし12アミノ酸、好ましくは長さが約8ないし10アミノ酸、かつ、約10nMないし100μMの濃度範囲にあり);
b.癌を伴う被験体もしくは適するドナーからCD8細胞を収集すること;
c.前記CD8細胞を前記nnAPC細胞系で刺激すること;
d.前記CD8細胞を、馴化成長培地(CGM)もしくはIL−2、IL−7、好ましくはIL−2もしくは組合せのIL−2およびIL−7のようなサイトカインを含有する培地に添加すること;
e.前記被験体もしくは適するドナーから収集された懸濁されない末梢血単球、あるいはCD−8枯渇末梢血単球を、約5ないし50μg/mlのペプチドと混合すること;
f.約3,000ないし7,000ラドの範囲、好ましくは約5,000ラドの線量のような、懸濁物中のこれらの細胞の増殖を予防するために必要な十分な線量のγ線放射で、前記末梢血単球懸濁物を照射すること、あるいは、末梢血単球懸濁物は、限定されるものでないがマイトマイシンCを挙げることができる細胞***抑制剤で処理してもよい;
g.接着性末梢血単球を単離すること;
h.前記接着性末梢血単球に、約5μg/mlないし50μg/mlの前記ペプチドのそれぞれを添加すること;
i.前記CD8細胞を、1の末梢血単球に対し約10のCD8細胞の比で前記接着性末梢血単球と組合せること;
j.場合によっては、CD8細胞および末梢血単球の前記組合せられた懸濁物を約6ないし9日間刺激すること;
k.場合によっては、CD8細胞および末梢血単球の前記懸濁物を、培地中のIL−2およびIL−7で刺激すること;
l.場合によっては、適するCTL活性についてCD8懸濁物をアッセイすること、ならびに、場合によってはCTLの純度、無菌性およびエンドトキシン含量についてアッセイすること;ならびに
m.前記被験体に前記CD8懸濁物を接種すること
を含んで成る、前記被験体の治療方法を提供する。
本発明の別の態様は:
a.天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(ここで前記nnAPCは、癌と関連する約15までの異なるペプチド分子、好ましくは約10のペプチドを同時に提示することが可能であり、ここで各ペプチドは長さが8ないし10アミノ酸であり);
b.癌を伴う被験体からCD8細胞を収集すること;
c.前記CD8細胞を前記nnAPC細胞系で約6ないし9日間刺激すること;
d.前記CD8細胞を、培地中のIL−2およびIL−7で刺激すること;
e.前記被験体から収集された末梢血単球を、約10μg/mlの各ペプチドと混合すること;
f.約5,000ラドのγ線放射で、前記CD8枯渇末梢血単球懸濁物を照射すること;g.接着性末梢血単球を単離すること;
h.前記接着性末梢血単球に、約10μg/mlの前記エピトープを添加すること;
i.前記CD8細胞を、1の末梢血単球に対し約10のCD8+細胞の比で前記接着性末梢血単球と組合せること;
j.CD8細胞および末梢血単球の前記組合せられた懸濁物を約6ないし9日間刺激すること;
k.CD8細胞および末梢血単球の前記懸濁物を、培地中のIL−2およびIL−7で刺激すること;
l.適するCTLの活性、純度、無菌性およびエンドトキシン含量について前記CD8懸濁物をアッセイすること;ならびに
m.前記被験体にCD8懸濁物を接種すること
を含んで成る、前記被験体の治療方法を提供する。
本発明の別の態様は:
a.天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(ここで前記nnAPCは、黒色腫と関連する約15までの異なるペプチド分子、好ましくは約10のペプチドを同時に提示することが可能であり、ここで各ペプチドは長さ8ないし10アミノ酸であり);
b.黒色腫を伴う被験体からCD8細胞を収集すること;
c.前記CD8細胞を前記nnAPC細胞系で約6ないし9日間刺激すること;
d.前記CD8細胞を、培地中のIL−2およびIL−7で刺激すること;
e.前記被験体から収集された末梢血単球を、約20μg/mlの前記nnAPCが提示することができる各ペプチドと混合すること;
f.約5,000ラドのγ線放射で、前記CD8枯渇末梢血単球懸濁物を照射すること;g.接着性末梢血単球を単離すること;
h.前記接着性末梢血単球に、約10μg/mlの前記エピトープを添加すること;
i.前記CD8細胞を、1の末梢血単球に対し約10のCD8+細胞の比で前記接着性末梢血単球と組合せること;
j.CD8細胞および末梢血単球の前記組合せられた懸濁物を約6ないし9日間刺激すること;
k.CD8細胞および末梢血単球の前記懸濁物を、培地中のIL−2およびIL−7で刺激すること;
l.適するCTL活性、純度、無菌性およびエンドトキシン含量についてCD8懸濁物をアッセイすること;ならびに
m.前記被験体にCD8懸濁物を接種すること
を含んで成る、前記被験体の治療方法を提供する。
本発明の別の態様は、nnAPCが以下のペプチド、チロシナーゼ369−377、チロシナーゼ207−216、gp100209−217、gp100154−162、MART−127−35、HER−2/neu789−797、HER−2/neu369−377、C−レクチン8−16、Pec6020−29およびPec6025−33を提示する、黒色腫の治療方法である。
本発明の別の態様は、クラスI HLA分子と通常は関連する不十分な(insufficient)もしくは不十分な(inadaquate)免疫応答をもたらす疾患もしくは疾患状態の治療方法であって、該治療は感染したもしくは形質転換された細胞を排除する。
本発明の別の態様は、クラスI HLA分子と通常は関連する不十分な(insufficient)もしくは不十分な(inadaquate)免疫応答をもたらす疾患もしくは疾患状態の治療方法であって、CTLによる排除を受けやすいことが示されている感染したもしくは形質転換された細胞が:
a.天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(前記nnAPCは前記疾患もしくは疾患状態と関連する約15までの異なるペプチド分子、好ましくは約10の異なるペプチド分子を同時に提示することが可能であり、各ペプチドは長さが約6ないし12アミノ酸、好ましくは長さが約8ないし10アミノ酸、かつ、約10nMないし
100μMの濃度範囲にあり);
b.CD8細胞を前記被験体もしくは適するドナーから収集すること;
c.前記CD8細胞を前記nnAPC細胞系で刺激すること;
d.前記CD8細胞を、IL−2、IL−7もしくはCGM、好ましくはIL−2、もしくは組合せのIL−2およびIL−7のようなサイトカインを含有する培地に添加すること;
e.前記被験体もしくは適するドナーから収集された懸濁されない末梢血単球、あるいはCD−8枯渇末梢血単球を、約5ないし50μg/mlのペプチドと混合すること;
f.前記末梢血単球懸濁物を、約3,000ないし7,000ラドの範囲、好ましくは約5,000ラドの線量のような、末梢血単球の刺激能力を維持しつつ増殖を予防するのに必要な十分な線量のγ線放射で照射すること;
g.接着性末梢血単球を単離すること;
h.前記接着性末梢血単球に、約5μg/mlないし50μg/mlの前記各ペプチドを添加すること;
i.前記CD8細胞を、1の末梢血単球に対し約10のCD8細胞の比で、前記接着性末梢血単球と組合せること;
j.場合によっては、CD8細胞および末梢血単球の前記組合せられた懸濁物を、約6ないし9日間刺激すること;
k.場合によっては、CD8細胞および末梢血単球の前記懸濁物を、培地中のIL−2およびIL−7で刺激すること;
l.場合によっては、適するCTL活性についてCD8懸濁物をアッセイすること、ならびに、場合によってはCTLの純度、無菌性およびエンドトキシン含量についてアッセイすること;ならびに
m.前記被験体にCD8懸濁物を接種すること
を含んで成る方法によって治療される。
本発明は、発現のためヒトクラスI HLA、結合および共刺激分子をコードするDNAでトランスフェクトされたキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)細胞由来の天然に存在しない抗原提示細胞(nnAPC)を提供し、nnAPCは15までの異なるペプチド分子、好ましくは10のペプチド分子を提示することが可能である。
本発明の別の態様は、被験体の治療を高める多様な所望の機能と関連するペプチドを提示するnnAPCを提供する。例えば、治療されている疾患もしくは疾患状態と関連するペプチドに加えて、nnAPCは、細胞−細胞接着を高めるもしくは付加的な細胞活性化シグナルを伝達する、リンパ球機能抗原(LFA−1、LFA−2およびLFA−3)、細胞間接着分子1および2(ICAM−1、ICAM−2)、T細胞共刺激因子(CD40、CD70、、B7)のような補助分子(accessory molecule)と関連するタンパク質を発現することができる。
本発明の別の態様は、いくつかの型の癌と関連するペプチドを提示するnnAPCを提供する。例えば、HER−2/neuのような乳癌関連ポリペプチドと関連するもしくはそれ由来のペプチドは、MART−1もしくはMAGEのような黒色腫関連ポリペプチドと関連するもしくはそれ由来のペプチドとともに提示されるかもしれない。
本発明の別の態様は、10までの異なるペプチド分子を同時に提示することが可能な天然に存在しない抗原提示細胞(nnAPC)の製造方法を提供し、前記方法は、段階:
a.キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)卵から昆虫細胞系を調製すること;あるいは、ヒトMHCクラスI分子および共刺激接着分子を発現させるための昆虫細胞系を調製すること;
b.前記昆虫細胞を、昆虫細胞を成長させるのに適する培地、好ましくはシュナイダー[Schneider]TMドロソフィラ(Drosophila)培地中で成長させること;
c.pRmHa−1発現ベクターからpRmHa−3プラスミドを作成すること(前記pRmHa−3プラスミドは、メタロチオネインプロモーター、金属応答コンセンサス配列、およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から単離されたポリアデニル酸化シグナルを担持するアルコール脱水素酵素遺伝子を包含し);
d.前記pRmHa−3プラスミドに、ヒトクラスI HLA A2.1、B7.1、B7.2、ICAM−1、β−2ミクログロブリンおよびLFA−3の相補DNAを挿入すること(A2.1はいずれかのヒトクラスI DNA配列で置換することができ);
e.前記昆虫細胞を、phshneoプラスミド、および相補DNAを含有する前記pRmHa−3プラスミドでトランスフェクトすること;ならびに
f.前記昆虫細胞をCuSOと接触させて前記昆虫細胞中のトランスフェクトされた遺伝子の発現を誘導することによりnnAPCを創製すること
よりなる。
本発明の昆虫細胞は、昆虫細胞を成長させるのに適する培地(下で「昆虫成長培地」と引用される)中で成長させる。シュナイダー[Schneider]TMドロソフィラ(Drosophila)培地、グレース昆虫培地、およびTC−100昆虫培地のような昆虫成長培地は、多数の供給元から商業的に入手可能である。あるいは、昆虫成長培地は当業者により調製することができる。典型的には、該培地は、無機塩(例えば、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、リン酸カリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよびリン酸ナトリウム)、アミノ酸、多様な炭水化物、ならびに化学種のような、昆虫細胞の成長を促進かつ持続するのに必要な成分を包含することができる(Imogene Schneider,Exp.Zool.(1964)156(1):pg.91)。あるいは、該培地は、ビタミン、ミネラル、および昆虫細胞の成長で補助する他の成分もまた包含することができる。
本発明はさらに:
a)腫瘍の表面上の腫瘍抗原およびHLAクラスI分子の発現を高めることが可能である有効量のインターフェロン−αを、癌を伴う被験体に投与すること;ならびに
b)癌関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種すること
の段階を含んで成る、前記被験体の治療方法を提供する。
好ましい一態様において、該治療方法は、さらに、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己細胞傷害性Tリンパ球のインビボ維持を高めることが可能である有効量のインターロイキン−2を前記被験体に投与することの段階を含んで成る。
以下は、本明細で使用される略語および定義の一覧である。
略語
APC 抗原提示細胞
CD8 CD8 T細胞
CTL 細胞傷害性Tリンパ球
E エフェクター
Fas CD95としてもまた知られる、T細胞上のエピトープ
ICAM 細胞間接着分子
IL インターロイキン
LAK リンホカイン活性化型キラー細胞
LFA リンパ球機能抗原
MHC 主要組織適合抗原複合体
nnAPC 天然に存在しない抗原提示細胞
NP 核タンパク質
PBMC 末梢血単核細胞
PBS リン酸緩衝生理的食塩水
PCR ポリメラーゼ連鎖反応
RPMI ロズウェル パーク メモリアル インスティテュート(Roswell Park Memorial Institute)
RWJPRI R.W.ジョンソン ファーマシューティカル リサーチ インスティテュート(The R.W.Johnson Pharmaceutical Research Institute)
T 標的
TCP T細胞抗原受容体
TIL 腫瘍浸潤リンパ球
以下は、多様なペプチドエピトープについて本明細で使用される略語の一覧である。個々のアミノ酸残基は、当業者により容易に知られかつ使用される一文字記号に従って同定される。
Figure 2010235611
ペプチドエピトープの略語
本明細書で使用されるところの「チロシナーゼ369−377」もしくは「チロシナーゼ369−377」という用語はアミノ酸配列YMNGTMSQV(配列番号1)を指す。この定義内に、配列YMNGTMSQV(配列番号1)のアミノ酸残基「N」を「D」に改変してYMDGTMSQV(配列番号2)のアミノ酸配列をもたらす翻訳後事象から生じる配列YMDGTMSQV(配列番号2)のペプチドもまた包含される(Skipperら,J.Exp.Med.(1996)183:527−534)。
本明細書で使用されるところの「チロシナーゼ207−216」もしくは「チロシナーゼ207−216」という用語はアミノ酸配列FLPWHRLFLL(配列番号3)を指す。
本明細書で使用されるところの「gp100 209−217」もしくは「gp100209−217」という用語はアミノ酸配列ITDQVPFSV(配列番号4)を指す。
本明細書で使用されるところの「gp100 154−162」もしくは「gp100154−162」という用語はアミノ酸配列KTWGQYWQV(配列番号5)を指す。
本明細書で使用されるところの「MART−1 27−35」もしくは「MART−127−35」という用語はアミノ酸配列AAGIGILTV(配列番号6)を指す。
本明細書で使用されるところの「HER−2/neu 789−797」もしくは「HER−2/neu789−797」という用語はアミノ酸配列CLTSTVQLV(配列番号7)を指す。
本明細書で使用されるところの「HER−2/neu 369−377」もしくは「HER−2/neu369−377」という用語はアミノ酸配列KIFGSLAFL(配列番号8)を指す。
本明細書で使用されるところの「C−レクチン 8−16」もしくは「C−レクチン8−16」という用語はアミノ酸配列KMASRSMRL(配列番号9)を指す。
本明細書で使用されるところの「Pec60 20−29」もしくは「Pec6020−29」という用語はアミノ酸配列ALALAALLVV(配列番号10)を指す。
本明細書で使用されるところの「Pec60 25−33」もしくは「Pec6025−33」という用語はアミノ酸配列ALLVVDREV(配列番号11)を指す。
本明細書で使用されるところの「CD8ペプチド 59−70」もしくは「CD8ペプチド59−70」という用語は、AAEGLDTQRFSG(配列番号12)のアミノ酸配列を指す。
用語および定義
本明細書で使用されるところの「養子免疫療法」という用語は、疾患もしくは疾患状態の治療のためのドナーもしくは自己のTリンパ球の投与を指し、ここで疾患もしくは疾患状態は、クラスI HLA分子と通常は関連する不十分な(insufficient)もしくは不十分な(inadequate)免疫応答をもたらす。養子免疫療法は、感染したもしくは形質転換された細胞の排除がCTLにより達成されることが立証されているいかなる疾患もしくは疾患状態にも適切な治療である。例えば、疾患もしくは疾患状態は、限定されるものでないが、黒色腫、前立腺、***、結腸直腸、胃、咽頚部、膵、子宮頚、卵巣、骨、白血病および肺癌のような癌および/もしくは腫瘍;B型肝炎、C型肝炎、ヒト免疫不全ウイルスのようなウイルス感染症;結核、らいおよびリステリア症のような細菌感染症、ならびにマラリアのような寄生虫感染症を挙げることができる。
本明細書で使用されるところの「B7.1、B7.2」という用語は抗原提示細胞に関連する共刺激分子を指す。
本明細書で使用されるところの「BCNU」という用語は1,3−ビス(2クロロエチル)−1−ニトロソ尿素としてもまた知られるカルムスチンを指す。
本明細書で使用されるところの「BSE」という用語はウシ海綿状脳症を指す。
本明細書で使用されるところの「CD」という用語は、抗原エピトープおよび機能によりグループ分けされる分化抗原クラスターすなわちTリンパ球(元は)、Bリンパ球、単球、マクロファージおよび顆粒球を指す。
本明細書で使用されるところの「DTIC」という用語は、ダカルバジンすなわち5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドを指す。
本明細書で使用されるところの「エクスビボ」もしくは「エクスビボ療法」という用語は、該改変された細胞により生じられる治療上の利益の長期のもしくは一定の送達により改善することができる病理学的状態を治療するのに該改変された細胞を使用することができるような生物学的材料(典型的には細胞)を患者もしくは適するドナーのような適する代替供給源から得かつ改変する治療を指す。治療(treatment)は患者もしくは代替供給源のいずれかから得られた改変された生物学的材料の患者への再導入を包含する。エクスビボ療法の一利益は、治療からの望ましくない傍系の影響に患者を曝露することなく治療の利益を患者に提供する能力である。例えば、高用量のサイトカインはしばしば、患者のCTLの拡張を刺激するために癌もしくはウイルス感染症を伴う患者に投与される。しかしながら、サイトカインは患者において流感様の症状の発症をしばしば引き起こす。エクスビボ手順において、サイトカインは患者の身体の外側でCTLの拡張を刺激するのに使用され、そして患者はサイトカインの曝露および結果としての副作用を容赦される。あるいは、適する状況もしくは条件下で、適切な場合かつ被験体が利益を得ることができる場合、被験体を、低レベルの投薬量のγインターフェロン、αインターフェロンおよび/もしくはIL−2で同時に治療することができる。インターフェロンの期待される効果は、おそらく抗原特異的CTLによる溶解に対し腫瘍細胞を感作することであり、また、IL−2の効果は、おそらく抗原特異的CTLの持続性を高めることである。
本明細書で使用されるところの「HEPES」という用語はN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’2−エタンスルホン酸緩衝液を指す。
本明細書で使用されるところの「HLA−A2.1」という用語は、およそ45%の白色人種で見出されるHLAクラスI分子を指す。
本明細書で使用されるところの「MART−1」もしくは「(T細胞により認識される黒色腫抗原−1)という用語は黒色腫関連抗原を指す。この抗原のアミノ酸および核酸配列、ならびに多様な特徴は、「黒色腫抗原ならびに診断および治療法におけるそれらの使用(Melanoma Antigens and Their Use in Diagnostic and Therapeutic Methods)」と題された1999年11月30日交付の米国特許第5,994,523号明細書;「黒色腫抗原ならびに診断および治療法におけるそれらの使用(Melanoma Antigens and Their Use in Diagnostic and Therapeutic Methods)」と題された1999年2月23日交付の米国特許第5,874,560号明細書;ならびに「黒色腫抗原ならびに診断および治療法におけるそれらの使用(Melanoma Antigens and Their Use in Diagnostic and Therapeutic Methods)」と題された1998年12月1日交付の米国特許第5,844,075号明細書に開示される。とりわけ、米国特許第5,994,523号明細書は、それぞれ配列番号1および配列番号2として図1にMART−1の完全長の核酸およびアミノ酸配列を開示する。前述の図1は引用することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用されるところの「MAGE」という用語は黒色腫関連抗原を指す。この抗原のアミノ酸および核酸配列、ならびに多様な特徴は、「それと関連する複数の抗原についてアッセイすることによる乳癌および黒色腫の決定方法(Methods for Determining Breast Cancer and Melanoma by Assaying for a Plurality of Antigens Associated Therewith)」と題された2000年10月31日交付の米国特許第6,140,050号明細書;「MAGE−XP遺伝子のメッセンジャーRNAを検出することによる癌のスクリーニング方法(Method of Screeni
ng for Cancer by Detecting Messenger RNA
for a MAGE−XP Gene)」と題された1998年6月2日交付の米国特許第5,759,783号明細書;および「合成ペプチドエピトープを使用するヒトにおける抗腫瘍細胞傷害性Tリンパ球の誘導(Induction of Anti−Tumor Cytotoxic T Lymphocytes in Humans Using Synthetic Peptide Epitopes)」と題された1997年9月2日交付の米国特許第5,662,907号明細書に開示される。
本明細書で使用されるところの「MPC−10」という用語は磁性粒子濃縮装置を指す。
本明細書で使用されるところの「NK細胞」という用語はナチュラルキラー細胞を指す。
本明細書で使用されるところの「OKT3」という用語は、オルソクローン(ORTHOCLONE)OKT3、ムロモナブ(muromonab)−CD3、抗CD3モノクローナル抗体を指す。
本明細書で使用されるところの「TAP−1,2」という用語は、抗原プロセシング関連輸送タンパク−1,2を指す。
本明細書で使用されるところの「Th細胞」という用語はヘルパーT細胞、CD4+を指す。
本明細書で使用されるところの「チロシナーゼ」という用語は、黒色腫に関連するタンパク質を指す(Brichardら、J.Exp.Med.(1993)178:489−495;Robbinsら、Cancer Res.(1994)54:3124−3126)。「P15およびチロシナーゼ黒色腫抗原ならびに診断および治療法におけるそれらの使用(P15 and Tyrosinase Melanoma Antigens and Their Use in Diagnostic and Therapeutic Methods)」と題された1998年12月1日交付の米国特許第5,843,648号明細書は、図7、図AないしDにチロシナーゼに関連する抗原ペプチドおよび関連するポリ核酸を開示し、前述の図は引用することにより本明細書に組み込まれる。「異常細胞上のヒト白血球抗原A2(HLA−A2)分子およびチロシナーゼ由来ペプチドを含有する複合体の検出方法(Method for Detecting Complexes Containing Human Leukocyte Antigen A2 (HLA−A2) Molecules and a Tyrosinase Derived Peptide on Abnormal Cells)」と題された1996年1月30日交付の米国特許第5,487,974号明細書は、実施例9で表3にチロシナーゼおよび黒色腫と関連する付加的なペプチドを開示し、前述は引用することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用されるところの「gp100」という用語は腫瘍浸潤リンパ球(TIL)により認識される黒色腫抗原を指す。gp100を認識するTILはインビボの腫瘍拒絶と関連する(Bakkerら、J.Exp.Med.(1994)179:1005−1009;Kawakamiら、J.Immunol.(1995)154:3961−3968)。gp100に関連する抗原ペプチドは、「黒色腫抗原ならびに診断および治療法におけるそれらの使用(Melanoma Antigens and Their Use in Diagnostic and Therapeutic Methods)」と題された1999年11月30日交付の米国特許第5,994,523号明細書;「黒色腫抗原ならびに診断および治療法におけるそれらの使用(Melanoma Antigens and Their Use in Diagnostic and Therapeutic Methods)」と題された1999年2月23日交付の米国特許第5,874,560号明細書;ならびに「黒色腫抗原ならびに診断および治療法におけるそれらの使用(Melanoma Antigens and Their Use in Diagnostic and Therapeutic Methods)」と題された1998年12月1日交付の米国特許第5,844,075号明細書に開示される。とりわけ、米国特許第5,994,523号明細書は、それぞれ図4および5にGP100に関係する核酸およびアミノ酸配列を開示する。配列番号27、33、34、35、36、37、38、39、40および41として同定されるものを包含する該アミノ酸配列由来の抗原ペプチドもまた開示される。前述の図4および5の全部、ならびに配列番号により同定されるペプチドは、引用することにより本明細書に組み込まれる。
本明細書で使用されるところの「黒色腫」という用語は、限定されるものでないが黒色腫、転移性黒色腫、メラノサイトもしくはメラノサイト関連神経細胞いずれか由来の黒色腫、黒色肉腫、黒色癌腫、黒色上皮腫、黒色腫インシトゥ表在拡大型黒色腫、結節性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫、侵襲型黒色腫もしくは家族性異型黒子・黒色腫(FAM−M)症候群を指す。哺乳動物におけるこうした黒色腫は、染色体異常、変性性の成長および発生障害、有糸***促進剤、紫外線放射(UV)、ウイルス感染症、遺伝子の不適切な組織発現、遺伝子の発現の変化、ならびに細胞上での提示もしくは発癌物質により引き起こされるかもしれない。前述の黒色腫は、本出願に記述される方法により診断、評価もしくは治療することができる。
本明細書で使用されるところの「C−レクチン」という用語は、卵巣癌に関連することが見出されている配列のペプチドを指す。
本明細書で使用されるところの「主要組織適合抗原複合体」もしくは「MHC」という用語は、ヒト白血球抗原(HLA)を包含する多様な種で記述される組織適合抗原系を包含することを意味される包括的呼称である。
本明細書で使用されるところの「エピトープ」、「ペプチドエピトープ」、「抗原性ペプチド」および「免疫原性ペプチド」という用語は、哺乳動物において細胞性免疫応答を引き起こすことが可能な抗原由来のペプチドを指す。こうしたペプチドは、該ペプチドで免疫化された動物からの抗体ともまた反応性であるかもしれない。こうしたペプチドは長さが約5ないし20アミノ酸、好ましくは長さが約8ないし15アミノ酸、および最も好ましくは長さが約9ないし10アミノ酸であってよい。
本明細書で使用されるところの「Pec60」という用語は、卵巣および乳癌に関連することが見出されている配列のペプチドを指す。
本明細書で使用されるところの「類似物」という用語は、とりわけ1個もしくはそれ以上の残基が機能的に類似の残基で保存的に置換されかつ本明細書に記述されるところの本発明の機能的局面を表す、本明細書に示される本発明の配列に実質的に同一のアミノ酸残基配列を有するいかなるポリペプチドも包含する。保存的置換の例は、イソロイシン、バリン、ロイシンもしくはメチオニンのような1個の非極性(疎水性)残基の代わりに別のものの置換、アルギニンとリシンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、グリシンとセリンとの間のような1個の極性(親水性)残基の代わりに別のものの置換、リシン、アルギニンもしくはヒスチジンのような1個の塩基性残基の代わりに別のものの置換、またはアスパラギン酸もしくはグルタミン酸もしくは別のもののような1個の酸性残基の置換を包含する。
本明細書で使用されるところの「保存的置換」という用語は、誘導体化されない残基の代わりの化学的に誘導体化された残基の使用もまた包含する。
本明細書で使用されるところの「化学的誘導体」という用語は、官能性側基の反応により化学的に誘導体化された1個もしくはそれ以上の残基を有する主題のポリペプチドを指す。こうした誘導体化された分子の例は、例えば、遊離アミノ基がアミン塩酸塩、p−トルエンスルホニル基、カルボベンゾキシ基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基もしくはホルミル基を形成するように誘導体化された分子を包含する。遊離カルボキシル基は、塩、メチルおよびエチルエステルもしくは他の型のエステルまたはヒドラジドを形成するように誘導体化してよい。遊離ヒドロキシル基はO−アシルもしくはO−アルキル誘導体を形成するように誘導体化してよい。ヒスチジンのイミダゾール窒素はN−イン−ベンジルヒスチジン(im−benzylhistidine)を形成するように誘導体化してよい。20種の標準的アミノ酸の1種もしくはそれ以上の天然に存在するアミノ酸誘導体を含有するタンパク質もしくはペプチドもまた化学的誘導体として包含される。例えば:4−ヒドロキシプロリンをプロリンの代わりに用いてよく;5−ヒドロキシリシンをリシンの代わりに用いてよく;3−メチルヒスチジンをヒスチジンの代わりに用いてよく;ホモセリンをセリンの代わりに用いてよく;そしてオルニチンをリシンの代わりに用いてよい。本発明のタンパク質もしくはポリペプチドは、欠くことのできない活性が維持される限りは、その配列が本発明の対応する核配列にコードされるであるポリペプチドの配列に関して1個もしくはそれ以上の付加および/もしくは欠失または残基を有するいかなるポリペプチドもまた包含する。
本明細書で使用されるところの「HER−2/neu」という用語は、1種もしくはそれ以上の膜会合型の受容体様癌遺伝子タンパク質を発現もしくは過剰発現する癌遺伝子を指す。HER−2/neuの発現もしくは過剰発現に関連することが見出された癌は、ある種の***、胃、卵巣、結腸および唾液腺癌などである。HER−2/neu癌遺伝子は癌遺伝子のチロシンタンパク質キナーゼファミリーの1メンバーであり、そして上皮増殖因子受容体(EGFR)と高程度の相同性を共有する。HER−2/neuは細胞の成長および/もしくは分化で役割を演じることが示されている。HER−2/neuは、本質的に正常な遺伝子産物の増大されたもしくは無秩序な発現から生じる量的機構により悪性病変を誘導するようである。「HER−2/neu癌遺伝子が関連する悪性病変の診断および治療のためのHER−2/neuタンパク質に対する免疫反応性(Immune Reactivity to HER−2/neu Protein for Diagnosis and Treatment of Malignancies in Which the HER−2/neu Oncogene is Associated)」と題された2000年6月13日交付の米国特許第6,075,122号明細書は、第12段第31行ないし第13段第7行で、CD8 T細胞応答を導き出すペプチドを開示し、配列番号により同定されるものは引用することにより本明細書に組み込まれる。
HER−2/neu(p185)はHER−2/neu癌遺伝子のタンパク質産物である。***、卵巣、結腸、肺および前立腺癌を包含する多様な癌において、HER−2/neu遺伝子が増幅されそしてHER−2/neuタンパク質が過剰発現される。HER−2/neuは悪性の形質転換と関連する。それは、非浸潤性管癌の50%ないし60%、および全乳癌の20%ないし40%、ならびに卵巣、前立腺、結腸および肺で生じる腺癌のかなりの部分で見出される。HER−2/neuは、悪性の表現型のみならず、しかしまた全部の侵襲性乳癌の1/4で見出されている悪性病変の攻撃性とも緊密に関連する。HER−2/neuの過剰発現は、***および卵巣双方の癌における乏しい予後と相関する。HER−2/neuは、長さがおよそ1255アミノ酸(aa)である185kdの相対分子量をもつ膜貫通タンパク質である。それは、上皮増殖因子受容体(EGFR)に
対する40%の相同性をもつおよそ645aaの細胞外結合ドメイン(ECD)、高度に疎水性の膜貫通固定ドメイン(TMD)、およびEGFRに対する80%の相同性をもつおよそ580アミノ酸のカルボキシ末端細胞質ドメイン(CD)を有する。
本明細書で使用されるところの「インターフェロン−α(INF−α)」という用語は、ウイルス複製および細胞増殖を阻害しかつ免疫応答を調節する、高度に相同な種特異的タンパク質の一ファミリーを指す。本発明の方法に典型的な適するインターフェロン−αは、限定されるものでないが、シェリング コーポレーション(Schering Corporation)、ニュージャージー州ケニルワースから入手可能なイントロン−A[Intron−A](R)インターフェロンのような組換えインターフェロンα−2b、ホフマン−ラ ロシュ(Hoffmann−La Roche)、ニュージャージー州ナットレイから入手可能なロフェロン(Roferon)インターフェロンのような組換えインターフェロンα−2a、ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカル
インク(Boehringer Ingelheim Pharmaceutical,Inc.)、コネチカット州リッジフィールドから入手可能なベロフォア(Berofor)α2インターフェロンのような組換えインターフェロンα−2c、インターフェロンα−n1、住友、日本から入手可能なスミフェロン(Sumiferon)のような天然のαインターフェロンの精製された混和物、もしくはグラクソ−ウェルカム リミテッド(Glaxo−Wellcome Ltd.)、英国ロンドンから入手可能なウェルフェロン(Wellferon)インターフェロンα−n1(INS)、または米国特許第4,897,471号および同第4,695,623号明細書(とりわけその実施例7、8もしくは9)に記述されるもののようなコンセンサスαインターフェロン、ならびにアムジェン インク(Amgen,Inc.)、カリフォルニア州ニューベリーパークから入手可能な特定の生成物、またはインターフェロン サイエンシーズ(Interferon Sciences)により作成されかつアルフェロン(Alferon)の商標名でパーデュ フレデリック カンパニー(Purdue Frederick Co.)、コネチカット州ノーウォークから入手可能な天然のαインターフェロンのインターフェロンα−n3混合物を挙げることができる。インターフェロンα−2aもしくはα−2bの使用が好ましい。インターフェロンα−2bは、全部のインターフェロンのなかで、慢性C型肝炎感染を治療するために世界中で最も広範な承認を有するため、それが最も好ましい。インターフェロンα−2bの製造は米国特許第4,530,901号明細書に記述される。
本明細書で使用されるところの「インターロイキン2(IL−2)」という用語は、免疫系を刺激し、かつ、標的細胞の表面上の特異的受容体に結合した後にその生物学的効果を発揮するサイトカインを指す。IL−2は多くの生物学的効果を有し、例えば、それは、活性化されたBおよびT細胞(細胞傷害性T細胞を包含する)、ナチュラルキラー(NK)細胞ならびにリンホカイン活性化型キラー(LAK)細胞の刺激を誘導することが知られている。IL−2は処方薬、例えば、カイロン コーポレーション(Chiron Corporation)(カリフォルニア州エメリービル)により製造されるプロリューキン[PROLEUKIN](R)として得られるかもしれない。IL−2は、多数の米国特許に開示されるとおり、多様な供給源からおよび多様な方法により製造されるかもしれない。これらの特許は、限定されるものでないが、米国特許第4,407,945号、同第4,473,642号および同第4,401,756号明細書に開示されるところのそれぞれハイブリッドマウスT細胞系もしくは悪性ヒトT細胞系のようなT細胞からのIL−2の製造、ならびに、米国特許第4,992,367号、同第4,407,945号および同第4,473,642号明細書に開示されるところの組換えヒトIL−2の製造を挙げることができる。
癌遺伝子を伴う進行中の研究は、悪性病変細胞中で効果をもたらしかつ形質転換の原因
であるかもしくはそれと関連する最低40種の癌遺伝子を同定した。癌遺伝子は、(癌遺伝子により発現されるタンパク質のような)それらの遺伝子産物の推定の機能もしくは位置に基づき、多様な群に分類されている。癌遺伝子は、正常な細胞生理学のある局面に不可欠であると考えられる。
癌は、治療の領域でなされたかなりの進歩にもかかわらず大きな健康の問題であり続けている。化学療法、放射線治療、外科的介入および三者の組合せという標準的治療レジメンは、永続する治癒を生じさせることにしばしば失敗する。多くの場合、治療を受けた癌患者は、しばしば、いくらかの時間の期間の後に疾患状態に戻る。病状をさらに悪化させることは、患者に対するこれらの治療レジメンの苛烈さである。黒色腫の例において、転移性黒色腫の治癒は慣習的化学療法を使用して達成されていない。35%ないし50%の奏効率が、併用化学療法のダートマスレジメン(DTIC、シスプラチン、BCNUおよびタモキシフェン)で報告されているが、しかし、生存期間は6ないし10ヶ月に留まっている。高率の再発が、攻撃的な「高用量強度」化学療法、ならびに自己骨髄移植を伴う造血の多血症について報告されている。これらの治療された患者における生存期間の中央値は短かった(およそ4ヶ月)。
Rosenbergらは、多様な癌の治療として活性化されたリンパ球の注入を使用することを試みた。当初、リンホカイン活性化型キラー細胞(LAK)、および後にIL−2でエクスビボ活性化された腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を使用したが、しかし、有効性の証拠は不確かである。事実、対照臨床試験は、患者へのIL−2の直接投与を上回るエクスビボ活性化された細胞の使用の利点を示すことに失敗した。従って、LAKおよびTIL療法の利益はわずかであり、かつ、副作用は、典型的には、多くの試験が早期に中断されたほどひどい。
マウス腫瘍モデルにおける研究は、養子免疫療法すなわち腫瘍抗原(1種もしくは複数)に特異的なT細胞のインビボ免疫感作が最小限の毒性を伴い非常に有効であることを立証した。ヒト腫瘍の治療にこの戦略を適用するための大きな障害は、腫瘍細胞を細胞傷害性Tリンパ球(CTL)媒介性の破壊に対し感受性にする免疫原性抗原の同定である。黒色腫患者からの腫瘍反応性T細胞の単離は、CTLが向けられる腫瘍抗原(エピトープ)のいくつかの同定に至った。これらは、チロシナーゼ(Brichardら、J.Exp.Med.(1993)178:489−495;Robbinsら,Cancer Res.(1994)54:3124−3126)、MART 1/Melan A(Kawakamiら、J.Exp.Med.(1994)180:347−352)、gp 100(Bakkerら、J.Exp.Med.(1994)179:1005−1009;およびKawakamiら、J.Immunol.(1995)154:3961−3968)、ならびにMAGE(Gauglerら、J.Exp.Med.(1994)179:921−930)を包含する。これらのうち、チロシナーゼおよびMART−1は黒色腫でほぼ普遍的に発現され、そして従って養子免疫療法についての論理的選択である。
近年、およそ数年の生存の大きな改善が、免疫学的療法を受けている小さな割合の黒色腫患者で示されている。これは、「癌ワクチン」での能動的特異的免疫療法、ならびにIL−2、α−インターフェロンおよびγ−インターフェロンのようなサイトカインのような免疫系の非特異的補助刺激物(booster)の使用を包含する。しかしながら、サイトカインの利益は、悪心、発熱および流感様の症状のような、それらの使用にしばしば付随する副作用により小さくされる。
細胞溶解性T細胞(CD8)はウイルス感染症に対する主要防御線である。CD8リンパ球はウイルスにより感染した宿主細胞を特異的に認識しかつ殺す。理論的には、癌
を包含する他の型の疾患と闘うのに免疫系を利用することが可能であるはずである。しかしながら、わずかなインビトロ/エクスビボ手順が、CTLを特異的に活性化するのに利用可能であった。上に示された重要な黒色腫抗原の同定、および下述されるCTLの特異的インビトロ活性化方法は、今や、転移性黒色腫の養子免疫療法の概念の試験を可能にする。
すべてのナイーブなT細胞は、免疫応答を導き出すための活性化に2種のシグナルを必要とする。CD8リンパ球(CTL)について、特異性を分け与える第一のシグナルは、抗原提示細胞(APC)の表面上に存在するクラスI MHC(HLA)複合体に結合された抗原の免疫原性ペプチドフラグメント(エピトープ)のCD8細胞への提示よりなる。この複合体は、シグナルを細胞内で伝えるT細胞抗原受容体(TCR)により特異的に認識される。
T細胞受容体への結合はT細胞の活性化を誘導するのに必要であるがしかし十分でなく、そして通常、細胞増殖もしくはサイトカイン分泌に至ることができない。完全な活性化は第二の共刺激シグナル(1種もしくは複数)を必要とし、これらのシグナルは活性化カスケードをさらに高めるようはたらく。抗原提示細胞上の共刺激分子のなかで、B7およびICAM−1のような細胞接着分子(インテグリン)が、T細胞上のそれぞれCD28およびLFA−1に結合することによりこの過程で補助する。CD8細胞が、適切な共刺激分子の相互作用の存在下でクラスI MHC分子により結合された免疫原性ペプチド(エピトープ)を担持する抗原提示細胞と相互作用する場合に、CD8細胞は完全に活性化された細胞溶解性T細胞となる。
リンパ球に媒介される細胞殺傷は、T細胞活性化について上述された認識過程によって、抗原を担持する標的(腫瘍)細胞へのCD8 CTLの結合で開始する、一連の生物学的事象を必要とする。
上述されたところの、CD8細胞と抗原提示細胞もしくは標的(腫瘍)細胞との間の相互作用を図1に描く。該相互作用は、T細胞抗原受容体(TCR)への、APCもしくは標的細胞上のMHCクラスI分子と共同しての抗原の結合で開始する。リンパ球機能抗原(LFA−1、LFA−2およびLFA−3)、細胞間接着分子1(ICAM−1、ICAM−2)およびT細胞共刺激因子(CD2、CD28、B7)のような補助分子が、細胞−細胞接着を高めるか、もしくは付加的な細胞活性化シグナルを伝達する。しかしながら、リンパ球に媒介される細胞殺傷に対する要件は、MHC/ペプチド単独の存在下(大部分の腫瘍細胞に共通の状況)で起こることができる。
細胞−細胞相互作用の後に、CTLは可溶性細胞溶解メディエーター(T細胞の細胞質顆粒中に貯蔵されるパーフォリンおよびグランザイム)ならびにCTL表面分子(Fasリガンド)の作用により標的細胞を殺す。細胞溶解性の攻撃後に、標的細胞は、壊死(膜の穿孔およびオルガネラ破壊)もしくはアポトーシス(クロマチン凝縮、DNA断片化および膜泡形成)により死ぬ。
リンパ球に媒介される細胞溶解の機構を図2にグラフィカルに描く。図2の図Aにおいて、標的細胞に結合した後に、CTL中の細胞質顆粒が、細胞間空隙中へのパーフォリンおよびグランザイムを含有する顆粒の放出のため、標的細胞に迅速に向け直される。これらのタンパク質分解酵素が標的細胞の原形質膜に孔を形成し、ついには細胞壊死に至る。図Bにおいて、標的細胞に結合した後に、CTL上のFasリガンド発現のレベルが増大する。Fasリガンドおよび標的細胞上のFas受容体の相互作用がアポトーシスにつながる。CPP32のようなプロテアーゼ、およびIL−1b変換酵素(ICE)に関連する他者が、アポトーシスの誘導に関係している。
インビトロCD8活性化に、天然に存在する抗原提示細胞、例えば樹状細胞、マクロファージおよび自己腫瘍細胞を使用することが可能である。しかしながら、このアプローチ後の活性化の効率は低い。これは、天然のAPCのクラスI分子が、腫瘍エピトープ以外に多くの他の型のペプチドエピトープを含有するためである。ペプチドの大部分は正常の無害の細胞タンパク質由来であり、腫瘍に対して実際に有効であるとみられる活性の天然のAPCの数の希釈(dilution)をもたらす(Allisonら,Curr.Op.Immunol.(1995)7:682−686)。
この問題に対するより直接的かつ効率的な一アプローチは、(癌のような)特定の疾患と闘うことに関連したそれらのエピトープ、もしくは(黒色腫特異的抗原のような)腫瘍特異的抗原のみでCD8細胞を特異的に活性化することである。この目的のため、人工産物の抗原提示細胞を、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(ショウジョウバエ)細胞中でMHC クラスI分子を発現させることにより創製する。ショウジョウバエ(Drosophila)は免疫系を有しないため、クラスI分子上にペプチドエピトープを添加することに関与するTAP−1,2ペプチド輸送タンパクが存在しない。結果として、クラスI分子は、空容器(empty vessel)としてショウジョウバエ(Drosophila)細胞表面上に出現する。これらのトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞を、限定されるものでないが黒色腫特異的エピトープを挙げることができる癌もしくは腫瘍特異的エピトープのようなクラスI分子に結合する外因性ペプチドとともにインキュベートすることにより、すべてのクラスI分子を同一のペプチドで占有することが可能である。これらのショウジョウバエ(Drosophila)APC中に単一ペプチドを含有するクラスI分子の高密度発現は、抗原ペプチドに完全に特異的である細胞傷害性CD8 T細胞のインビトロでの生成を可能にする。ショウジョウバエ(Drosophila)細胞を調製するための方法および手順は、「ヒトクラスI MHCおよびβ2−ミクログロブリンを発現する昆虫細胞を使用する細胞傷害性T細胞のインビトロ活性化(In Vitro
Activation of Cytotoxic T−Cells Using Insect Cells Expressing Human Class I MHC
and β2−Microglobulin)」と題された1996年6月25日交付の米国特許第5,529,921号明細書、ならびに「MHC クラスI抗原およびβ2−ミクログロブリンをコードする遺伝子を発現しかつ空複合体を集成することが可能なショウジョウバエ細胞系、ならびに前記細胞系の作成方法(Drosophila Cell Lines Expressing Genes Encoding MHC Class I Antigens And β2−Microglobulin and Capable of Assembling Empty Complexes and Methods of Making Said Cell Lines)」と題された1994年5月24日交付の米国特許第5,314,813号明細書に教示される。とりわけ、米国特許第5,529,921号明細書は、第26段第56行ないし第28段第22行で、前駆細胞の培養物の多様な分離および/もしくは濃縮方法を開示する。
加えて、この特徴は、高用量の多様なサイトカインでの免疫系のインビボ刺激に対する必要性を除外し、それによりサイトカインにより引き起こされる副作用をなしで済ませる治療をもたらす。あるいは、適する状況もしくは条件下で、適切な場合かつ被験体が利益を得ることができる場合、被験体を、低レベルの投薬量のαインターフェロン、γ−インターフェロンおよび/もしくはIL−2で同時に治療することができる。
サイトカインでのインビボ刺激に対する必要性を除外することは、患者の治療の質の向上を提供する。患者へのサイトカインの投与を包含する治療レジメンは、しばしば、悪心、嘔吐および発熱のような流感様の症状を発症する患者をもたらす。これらの副反応は一
般に生命を脅かさないが、とは言え既に弱らされた状態にある患者で起こるとりわけ重症の反応は、生命を危うくする状況をもたらす可能性がある。別の考慮は、それ以外は有益な治療レジメンの患者の受容性およびコンプライアンスに対してこうした副反応が有する有害な影響である。サイトカインでのインビボ刺激に対する必要性を除去することは、患者の快適さを向上させる治療レジメンをもたらし、また、彼もしくは彼女の患者が従うことがよりありそうである有効な治療方法を臨床家に提供する。
腫瘍の養子免疫療法のための本方法の有用性は、APCとしてトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞、およびT細胞受容体(TCR)トランスジェニックマウスの2C系統からのCD8細胞を使用してマウスで立証されている。この系において、精製されたCD8 2C細胞は、共刺激分子B7−1およびICAM−1もまた担持するMHCクラスI(L)のトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞により提示されるインビトロペプチドに高度に応答性である。プライミングされないCD8+ T細胞を刺激するための最小要件を規定するためのプローブとしてのトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞(Caiら、P.N.A.S.USA(1996)93:14736−14741)。あるいは、分離されないマウス脾細胞を精製された2C細胞の代わりに応答体(responder)として使用する場合は、共刺激分子に対する必要性は当てはまらない。この例において、脾集団中のCD8細胞は活性化されたB細胞から「傍観者(bystander)」共刺激を受領する。この知見を利用して、MHCクラスI(L)のトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞が、添加されたリンホカインの非存在下にインビトロで同系のP815肥満細胞腫の腫瘍特異的ペプチドに応答するように正常DBA/2マウス脾細胞を誘導することが可能であることを示すことが可能であった。P815肥満細胞腫を担持するDBA/2マウスへのこれらのCTLの注入は迅速な腫瘍退縮に至った(Sunら、Immunity(1996)4:555−564)。
手順的には、正常DBA/2マウス脾細胞を、DBA/2由来P815肥満細胞腫細胞系からの腫瘍特異的エピトープP1A.35−43ペプチドを添加された、MHCクラスI(L)のトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞とともにインビトロで培養した。5日後に培養物から収集されたリンパ球は、インビトロでP815腫瘍細胞に対する強い細胞傷害性Tリンパ球(CTL)活性を表したが、しかし、図3、図Aに示されるとおり、P1A.35−43を発現しないP815の突然変異体細胞系P1024を溶解することに失敗した。これらのCTLを、3日前にP815細胞を以前に接種されたDBA/2マウスに注入した場合、腫瘍は第一週の間に妨害を受けずに成長したが、しかし、その後、図3、図Bに示されるとおり、次の週内に排除された。図3、図Bに示されるとおり、CTLをウイルス核タンパク質ペプチドのような無関係の抗原に対してインビトロで免疫化した場合、特異性は、P815の成長に対するいかなる影響も非存在により立証された。要約すれば、主要組織適合抗原複合体クラスI(Ld)のトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞は、添加されたリンホカインの非存在下で、同系のP815肥満細胞腫の腫瘍特異的ペプチドにインビトロで応答するように正常DBA/2マウス脾細胞を誘導した。P815肥満細胞腫を担持するDBA/2マウスへのこれらのCTLの注入は迅速な腫瘍の退縮に至った(Wolfelら、J.Exp.Med.(1993)178:489−495)。
インビトロのヒト研究
健康被験体からのヒトCTLを、チロシナーゼ、MART−1およびgp100に対してショウジョウバエ(Drosophila)細胞上に別個に添加して、インビトロで免疫化し、JY細胞に対する溶解について評価した(図4)。同一のペプチドを、多特異的な大量の(bulk)CD8調製物を生成させるために、単一のショウジョウバエ(Drosophila)APCに一緒に添加することができる。健康被験体からの黒色腫特異
的CTLを、完全な刺激/再刺激プロトコルを使用して誘導し、そして刺激で使用されたペプチドのそれぞれを添加されたJurkat細胞を溶解するそれらの能力について試験した(図5)。細胞系。図6は、2種の異なるインビトロ刺激プロトコル後のCTL活性を示す。複数のペプチドを個々のショウジョウバエ(Drosophila)細胞上に添加しかつ一次刺激前に混合した(combo mix)、もしくは複数のペプチドを混合しかつその後ショウジョウバエ(Drosophila)APC上に添加した(combo load)もの。図Aはペプチド添加された標的細胞上でのcombo mixプロトコルの結果を表す。図Bはペプチド添加された標的細胞上でのcombo loadプロトコルの結果を表す。図Cは双方のプロトコルから生成された黒色腫標的上での殺傷を表す。
インビトロで細胞傷害性Tリンパ球を生成させるためのいかなる天然のもしくは人工産物の抗原提示細胞(APC)系の使用も、これらの系が生成することが可能である抗原特異性により制限される。
以下のAPC系を利用して、単一エピトープに対する抗原特異的CTLを生成させた。すなわち、1)規定されたペプチドを適用された(pulsed)ヒト樹状細胞(DC);2)リンパ芽球に駆動されかつペプチドを適用された末梢血単核細胞(PBMC);3)天然のペプチドが酸ストリッピングされ(acid−stripped)かつ目的のペプチドが添加されたリンパ芽球様細胞系(LCL);4)空のクラスI分子を発現するよう工作されたショウジョウバエ(Drosophila)細胞;ならびにヒトクラスIおよび共刺激分子でトランスフェクトされたマウス3T3細胞(J.B.LatoucheとM.Sadelain,Nature Biotech(2000)18:405−409)。
樹状細胞(DC)は、主要な抗原細胞の提示におけるそれらの広範な応用のために、ヒトにおける主要な抗原提示細胞系とみなされる。自己もしくは外来タンパク質はDC内でプロセシングされる。結果として生じるペプチドエピトープがHLA分子により提示され、そしてDCの表面に輸送される。しかしながら、DCがインビトロで一貫して生成することができず、CTLが4種の異なるペプチドに対して方向を定めたことが見出された。これは、4種のペプチドのそれぞれに対応する活性を有するCTLを提供していたであろう。加えて、ペプチドの適用の時点でのDCの表現型(成熟もしくは未熟)は結果を遂げなかったこともまた見出された。
あるいは、ショウジョウバエ(Drosophila)細胞の刺激は、通常、10までの異なる型のペプチドに対し向けられるCTLをもたらした。これは、10種のペプチドのそれぞれに対し活性であるCTLを提供する。
CTL応答を導き出すショウジョウバエ(Drosophila)細胞およびDCの能力を、最初に、単一ペプチドエピトープに対し、それぞれの標準的刺激プロトコルに従って評価した。DCおよびトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞を比較するために、未熟DCを、IL−4およびGM−CSFの存在下で自己単球を1週間培養することにより生成させた。成熟DCは、収集24時間前の培地へのTNFαの添加により、未熟DCから得た。DC(未熟および成熟)を収集し、ペプチドを適用し、そしてCD8細胞およびペプチドを適用されたショウジョウバエ(Drosophila)細胞の刺激に使用された手順に従って、精製されたCD8細胞と混合した。ショウジョウバエ(Drosophila)細胞は、図7に示されるとおり、チロシナーゼペプチドエピトープ689について評価される場合に、DCよりも全般としてより良好な刺激物質であることが見出された。さらに、未熟もしくは成熟いずれの表現型を表すDC(図8)も、規定されたペプチドを使用してAPCに適用した場合に、特異的CTL応答の
導出においてショウジョウバエ(Drosophila)細胞ほど効率的でなかった。これは、免疫系中でDCにより演じられる支配的役割のため、とりわけ驚くべきことである。1ドナーでの比較試験を図9に示されるとおり実施した。特異的殺傷が、刺激物質としてハエ細胞を使用する場合に4種の異なるペプチドに対して生成された一方、未熟DCは無意味の特異的殺傷をもたらし、また、成熟DCは刺激に使用された4種のペプチドの1種のみに対する特異的殺傷をもたらした。
細胞傷害性リンパ球の調製
抗CD8抗体での陽性選択により白血球成分分取(leukapheresis)サンプルから単離されたCD8細胞を、ヒトクラスI分子(HLA−A2.1)、B7.1、ICAM−1、LFA−3およびB7.2を発現するショウジョウバエ(Drosophila)細胞により提示される4種の異なる黒色腫関連ペプチドに対して刺激する。CD8細胞を、IL−2およびIL−7の存在下にペプチドエピトープを添加された自己単球で2回再刺激する。CTLをOKT3およびIL−2とともに非特異的に拡張する。CTL活性をMalme 3M細胞に対して測定し、また、CD8 T細胞の純度をフローサイトメトリーにより評価する。
製造過程およびプロトコルは、優良実験室規範(Good Laboratory Practice)および優良製造規範(Good Manufacturing Practice)に従って行う。「優良実験室規範」および「優良製造規範」は、米国食品医薬品局(United States Food and Drug Administration)により設定されている実験室および製造の実務の基準であり、かつ、当業者に容易に知られる。CTLは、正体(identity)、生存率、CTL活性、無菌性およびエンドトキシン含量についてモニターする。
***および卵巣癌を治療するための本発明の方法での使用に適するペプチドエピトープの一覧を以下の表1に示す。以下の表1に列挙されるものに加えて広範なペプチドエピトープもまた、***および卵巣癌を治療するための本発明の方法での使用に適することができるが、但しこうしたペプチドはT細胞エピトープであることが、当業者に容易に明らかである。
Figure 2010235611
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黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつエクスビボ生成された自己Tリンパ球を使用する悪性黒色腫の治療レジメン
臨床試験を、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつエクスビボ生成された自己の細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を使用して、進行性転移性黒色腫患者で実施した。エクスビボ生成されたCTLの少なくとも単回の注入を、治療の周期あたりに患者に投与した。特定の時間および用量での患者へのIFN−αもしくはIL−2のいずれかの付随する投与が、抗原特異的CTLによる溶解に対する腫瘍細胞のプライミング、およびCTLのインビボ持続性に有益であったことが示された。
インターフェロンおよびCTLの併用療法
インターフェロン−α(IFNα)は、多様な悪性病変において、広範なスペクトルの免疫調節および抗増殖効果を有する。過去10年のいくつかの臨床試験が、IFNαが黒色腫において抗腫瘍活性を有するという明白な証拠を提供した(Legha,Cancer(1986)57:1675−1677)。単剤療法として使用される場合に、rIFN−α−2aおよびrIFNα−2bは、1から60超ヶ月までの範囲にわたる応答持続期間を伴い、15%(範囲、6%〜27%)の平均応答率を生じた。転移性黒色腫におけるいくつかの単剤IFN−α試験の要約を表2および3に列挙する。
Figure 2010235611
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IFN−αの一作用機序は、黒色腫細胞上での腫瘍抗原発現のアップレギュレーションであると思われる。すなわち、それは、腫瘍の表面上での免疫学的に重要な分子の発現を高める能力を有する。こうした免疫学的に重要な分子は、限定されるものでないが、組織適合(マウスH−2もしくはヒトHLA)抗原、細胞間接着分子−1(ICAM−1/CD54)のような補助分子、ならびに、腫瘍関連抗原(Robinconら,Immun
obiology(1986)172:275−282;Bordenら,Mitchell,MS(編):Biological Approaches to Cancer
Treatment;Biomodulation.ニューヨーク州ニューヨーク、マグロウ−ヒル(McGraw−Hill),(1992)中pp440−476)を挙げることができる。IFN−αの免疫調節効果は、潜在的に、抗体およびリンパ球双方を包含する免疫系の、インビボで腫瘍を認識かつ攻撃する能力を向上させる可能性がある。
能動的特異的免疫療法は、播種性黒色腫に治療において重要な臨床活性を立証した。免疫機能研究の結果は、黒色腫ワクチン治療が抗黒色腫CTLの頻度を増大させることを示した(Carrelら,Eur J Immunol(1985)15:118−123)。併用免疫療法レジメン(IFN−αおよび黒色腫ワクチン)が、現在、播種性黒色腫の治療で使用されている(Agarwalaら,BioDrugs(1999)12:193−208)。免疫療法のこれら2種の様式が相乗的に作用するかもしれないと考えられる。
東部共同腫瘍学グループ(Eastern Cooperative Oncology Group)(ECOG)は、黒色腫を伴う287例の患者における外科補助療法としての観察に対するインターフェロンα−2b(IFN−α−2b)の前向き無作為化対照試験を完了した(Kirkwoodら,J Clin Oncol(1996)14:7−17)。該試験で使用された用量は最大耐用量、すなわち、20MU/m/日を静脈内に(IV)1週あたり5日を4週間、次いで10MU/mを1週あたり3回皮下に(SC)48週間であった。該結果は、IFN−α−2bを受領する群において再発を伴わない生存および全体の生存の有意の延長が存在したことを示した。しかしながら、毒性は相当なものであり;患者の67%が重症の(等級3)毒性を有し、かつ、9%が生命を脅かす毒性を有した。用量の変更が患者の大多数で必要とされた。治療はまた高価でもあった。ECOG試験に基づき、FDAは1996年にインターフェロンを黒色腫の外科補助治療として承認した。
高危険度の黒色腫患者における大規模前向き試験、無作為試験において、642例の参加者が3アーム;高用量インターフェロンα−2a、すなわち1週あたり20MU/mを筋肉内に3回を12週間、低用量インターフェロンを受領するもの、もしくは観察に無作為化された。進行までの時間(TIP)は高用量群でのみ延長したが、とは言え全体の生存は全3群について同一であった(Kirkwoodら,J Clin Oncol(2000)18:2444−2458)。世界保健機関(WHO)は、高危険度の黒色腫を伴う427例の患者における補助療法としての、観察に対する低用量のインターフェロンα−2a、すなわち3MU/m SCを1週あたり3回、3週間の試験を実施した(Cascinelli,Proc Am Soc Clin Oncol,(1995)pp410(abstr))。インターフェロンを受領する患者における疾患を伴わない生存もしくは生存に差異は存在しなかった。
本発明は:
a)腫瘍の表面上の腫瘍抗原の発現を高めることが可能である有効量のインターフェロン−αを、黒色腫を伴う被験体に投与すること;および
b)黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種すること
の段階を含んで成る、前記被験体の治療方法を提供する。
INF−α−2aもしくはINF−α−2bのいずれかを本治療方法で使用することができる。INF−αはSC、IMもしくはIVを介して患者に投与することができる。本方法のインターフェロン−αの有効量は、HLA(クラスI)発現および黒色腫関連抗原
の発現(抗原特異的T細胞による認識および溶解に対する2つの重要な要件)の双方をアップレギュレートするのに十分であるINF−αの量である。この有効量は当業者により決定することができる。実施例5(下)は、本治療方法で使用されるべきINF−αの有効量の決定におけるいくつかの考慮を記述する。好ましくは、INF−αにより引き起こされる副作用を低下させるために、INF−α−2aの有効量は約5〜20MU/m2/日であり、また、INF−α−2bの有効量は約5〜15MU/m2/日である。また好ましくは、有効量のINF−αは、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を被験体に接種する直前に、比較的短い時間の期間、例えば3ないし7日間のみ患者に投与する。好ましい一態様において、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を被験体に接種する前第5日から第1日まで連続して前記被験体に皮下投与されるインターフェロン−αの有効量は、約10MU/m/日である。
黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球の有効量は、CTLを被験体に接種する場合に黒色腫の傷害の成長を停止させるかもしくはその大きさの減少を引き起こすのに十分である、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつエクスビボ生成されたCTLの量である。好ましくは、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球の有効量は、注入あたり約1〜10×10個の細胞である。
黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球は:
a)天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(前記nnAPCは黒色腫と関連する約15までの異なるエピトープを同時に提示することが可能であり、各エピトープは長さ8ないし10アミノ酸のペプチドであり);
b)前記黒色腫と関連する約15までの異なるエピトープをnnAPCに添加すること;c)前記被験体からCD8細胞を収集すること;
d)前記CD8細胞を、エピトープを添加されたnnAPC細胞系で刺激して黒色腫に特異的なCD8細胞を得ること;
e)黒色腫に特異的なCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する培地中で成長させること;
f)前記被験体から収集されたCD8枯渇末梢血単球を、前記nnAPCに添加された各エピトープと混合すること;
g)前記CD8枯渇末梢血単球を約γ線放射で照射すること;
h)接着性のCD8枯渇末梢血単球を単離すること;
i)前記接着性末梢血単球に、前記nnAPCに添加された各エピトープを添加すること;
j)黒色腫に特異的な前記CD8細胞を、γ線照射されたエピトープ添加された接着性末梢血単球で再刺激すること;
k)黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する培地中で成長させること;
l)黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、OKT3抗体刺激により拡張すること:
m)拡張されたCD8細胞を、適する細胞傷害性Tリンパ球の活性、純度、無菌性およびエンドトキシン含量についてアッセイすること
の段階を含んで成る方法により得られ;
ここで段階(j)は最低もう1回反復することができる。
好ましくは、天然に存在しない抗原提示細胞系は、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5および配列番号6に具体的に説明されるもののような、チロシナーゼ、gp100およびMART−1由来のペプチドであるエピトープを添加される。
インターフェロン、CTLおよびインターロイキン−2の併用療法
ヒト組換えインターロイキン−2は、多様な生物学的活性を表すことが示されている、組換えDNA技術により製造されるリンホカインである。インビトロで、それは、リンホカインの有糸***誘発を高め、リンパ球の細胞傷害性を高め、リンホカイン活性化およびナチュラル双方のキラー細胞のキラー活性を誘導することが示されており、そしてそれはインターフェロン−γ産生もまた誘導する。
それは、転移性腎細胞癌、カポジ肉腫、結腸直腸癌、非ホジキンリンパ腫、ならびに転移性黒色腫の治療について臨床試験で検討された。それは単独で、あるいは化学療法、リンホカイン活性化型キラー(LAK)細胞もしくは腫瘍浸潤リンパ球(TIL)またはインターフェロンのような生物製剤(biologics)と組合せで使用された。それは高および低用量双方で、かつ、多様な注入スケジュール(ボーラスおよび連続)により投与された。奏効率は15から20%の範囲にわたった。
1997年のPhillipによる通覧は、単剤のIL−2を用いて1990年代に実施された15の試験における540例の患者を調べた(Phillipら,Semin Oncol(1997)14:Suppl 4:32−38)。投与は、1週あたり3回の12MIU/mのボーラスから、3から7MIU/m/日の連続注入まで変動した。該通覧における全体の奏効率は、3〜50%の範囲および2%の完全寛解を伴い15%であった。Rosenbergらにより報告された134例の患者の1994年の試験(JAMA(1994)271:907−913)において、高用量のボーラスのIL−2は、9例の完全寛解(CR)を伴い7%の寛解率を生じた。CRの9例のうち、8例は9〜91ヶ月間以上疾患を伴わなかった。サイトカイン作業班(Cytokine Working Group)は、高用量のIL−2のボーラス療法で治療された266例の患者の後向き分析を実施し、それは16例の患者(6%)でCRを生じ、それらの69%は5年で生存しかつ進行を伴わなかった(Atkinsら,Proc Am Soc Clin Oncol(1997)16:494a)。
組合せ剤のIFN−αおよびIL−2で治療された911例の患者のメタ分析は17%の奏効率を生じた(Allenら,Proc Am Soc Clin Oncol(1997)16:494a(1781))。生存の中央値は11ヶ月であり、これは単剤療法より有意により長くない。
IL−2の投与は、インビボで抗原特異的T細胞を維持するための努力において、リンパ球の有糸***誘発、リンパ球の細胞傷害性およびγインターフェロン産生を高めるために、CTL注入直後に使用することができる。
好ましい一態様において、本発明は:
a)腫瘍の表面上の腫瘍抗原の発現を高めることが可能である有効量のインターフェロン−αを、黒色腫を伴う被験体に投与すること;
b)黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種すること;および
c)黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球のインビボの維持を高めることが可能である有効量のインターロイキン−2を前記被験体に投与すること
の段階を含んで成る、前記被験体の治療方法を提供する。
インターロイキン−2はSC、IMもしくはIVを介して患者に投与することができる。インターロイキン−2の有効量は、エクスビボ生成された抗原特異的CTLをインビボで維持するのに十分であるIL−2の量である。この有効量は当業者により決定することができる。実施例5(下)は、本治療方法で使用されるべきIL−2の有効量の決定にお
けるいくつかの考慮を記述する。好ましくは、IL−2により引き起こされる副作用を低下させるために、IL−2の有効量は約2〜10MIU/日である。また好ましくは、有効量のIL−2は、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を被験体に接種した直後に患者に投与する。より好ましい一態様において、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種した後第0日から第27日まで連続して被験体に皮下投与されるインターロイキン−2の有効量は、約3MIU/日である。
最も好ましい一態様において、本発明は:
a)黒色腫を伴う被験体に、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球を接種する前第5日から第1日まで連続して、10MU/m/日のインターフェロン−α−2bを該被験体に皮下投与すること;
b)注入あたり約1〜10×10個の細胞の黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球を該被験体に接種すること;および
c)黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種した後第0日から第28日まで連続して約3MIU/日のインターロイキン−2を該被験体に皮下投与すること
の段階を含んで成る、前記被験体の治療方法を提供する。
治療の各周期の終了時に、前記患者における完全奏効もしくは部分奏効を評価することができる。治療周期は約2ヶ月の間隔で反復することができる。
本発明は、後に続く実験の詳細への参照により、より良好に理解されるであろうが、しかし、当業者は、これらは、その後に続く請求の範囲でより完全に記述されるところの本発明の具体的説明にすぎないことを容易に認識するであろう。加えて、本出願を通じて、多様な刊行物が引用される。これらの刊行物の開示は、これにより、本発明が関する従来技術をより完全に記述するために、本出願に引用することにより組み込まれる。
実施例1
ショウジョウバエ(Drosophila)抗原提示細胞の製造
シュナイダー(Schneider)S2細胞系を、発表された手順に従ってキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)(オレゴン(Oregon)−R)卵から調製し、そしてアメリカン タイプ カルチャー コレクション(American Type Culture Collection)に寄託した(CRL 10974)。S2細胞は、10%ウシ胎児血清を補充された商業的シュナイダー(Schneider)ドロソフィラ(Drosophila)培地中で成長させる。
S2細胞中でMHCクラスIおよび共刺激タンパク質を発現させるためのpRmHa−3プラスミドベクターは、文献に記述されるとおり構築されたpRmHa−1発現ベクター由来であった。それは、メタロチオネインプロモーター、金属応答コンセンサス配列、およびキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)から単離されたポリアデニル酸化シグナルを担持するアルコール脱水素酵素遺伝子を含有する。
トランスフェクションのための相補DNAを以下のとおり調製した:
HLA−A2.1およびβ−2ミクログロブリン:発表された配列由来のプライマーを使用するK562細胞からの逆転写PCR
B7.1:発表された配列由来のプライマーを使用するK562細胞からの逆転写PCRICAM−1:発表された配列由来のプライマーを使用するK562細胞からの逆転写PCR
B7.2:発表された配列由来のプライマーを使用するHL−60細胞(ATCC CCL−240)からの逆転写PCR
LFA−3:発表された配列由来のプライマーを使用するHL−60細胞(ATCC CCL−240)からの逆転写PCR
相補DNAは個別にpRmHa−3ベクターに挿入した。S2細胞を、リン酸カルシウム沈殿法を使用して、HLA−A2.1、B7.1およびICAM−1プラスミドDNA、ならびにphshneoプラスミドの混合物でトランスフェクトした。安定にトランスフェクトされた細胞を、ジェネチシンを含有するシュナイダー(Schneider)培地中で培養することにより選択した。使用24時間前に、トランスフェクトされた遺伝子の発現をCuSOの添加により誘導した。発現のレベルは、抗HLA−A2.1、抗B7.1および抗ICAM−1抗体を使用するフローサイトメトリーにより評価した。30%以上の細胞によるHLA発現が、CD8リンパ球の効率的なインビトロ活性化に必要である。
ヒトCD8細胞の単離
CD8細胞は、ダイナビーズ[Dynabeads]TM単離手順(ダイナル(Dynal))を使用する陽性選択により白血球成分分取サンプルから単離する。抗ヒトCD8マウスモノクローナル抗体(ヒトγグロブリン[ガンマガード(Gammagard)(R)]1ml中50μg)を、1%ヒト血清アルブミン(バクスター−ハイランド(Baxter−Hyland))および0.2%クエン酸ナトリウムを補充されたダルベッコのPBS中の洗浄された細胞に添加する。穏やかな混合を伴う4℃で45分間のインキュベーション後に、ヒツジ抗マウスIgGで被覆されたダイナル(Dynal)磁性ビーズ(ダイナビーズ[Dynabeads]TM)を含有する同一緩衝液中で、1:1のビーズ対細胞の比で洗浄かつ再懸濁する。細胞およびビーズを滅菌管に入れ、そして4℃で45分間穏やかに混合する。この時間の終了時に、抗体結合された細胞を、製造元の説明書(ダイナル(Dynal))に従ってMPC−1(R)分離装置を使用して磁気的に除去する。CD8細胞−ビーズ複合体の解離を、CD8ペプチド59−70(AAEGLDTQRFSG;配列番号12)の存在下37℃で45分間のインキュベーションにより達成する。遊離ビーズを磁気的に除去し、そしてCD8細胞を計数しかつフローサイトメトリーにより分析して純度を評価する。CD8細胞の回収は典型的に80%より大きい。表4は、抗CD8抗体での陽性選択による正常ヒトPBMC調製物からの14の別個のCD8調製物の細胞組成を要約する。
Figure 2010235611
精製されたヒトCD8細胞のインビトロ免疫感作
一次刺激
トランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞を、10%ウシ胎児血清およびCuSOを補充されたシュナイダー(Schneider)培地(10個の細胞/ml)中、27℃で24時間インキュベートする。細胞を収集し、洗
浄し、そして100μg/mlのヒトチロシナーゼ366−377を含有する昆虫エクスプレス培地(Insect X−press medium)(バイオウイタッカー(BioWhittaker))に再懸濁する。27℃で3時間のインキュベーション後に、S2細胞を、10%自己血清を補充されたRPMI培地(ギブコ(Gibco))中1:10の比でCD8細胞と混合する。細胞混合物を37℃で4日間インキュベートし、その間にショウジョウバエ(Drosophila)細胞が死に絶える。第5日に、IL−2(20U/ml)およびIL−7(30U/ml)を添加して、チロシナーゼ特異的CTL集団を選択的に拡張する。
再刺激
白血球成分分取の時点で得られた凍結自己CD8枯渇PBMCを融解し、洗浄し、そして10%自己血清(β2ミクログロブリンの供給源として)および20μg/mlのチロシナーゼ369−377を含有するRPMI培地中10個の細胞/mlで再懸濁する。γ線照射(5,000ラド)後に細胞を37℃で2時間インキュベートする。ダルベッコのPBSで洗浄することにより非接着細胞を除去する。10%自己血清および10μg/mlのチロシナーゼ369−377を含有するHepes緩衝RPMI培地中での90分間のインキュベーションにより、接着性単球にチロシナーゼエピトープを添加する。上清を除去し、そしてショウジョウバエ(Drosophila)活性化されたCD8細胞懸濁物(10%自己血清を含むRPMI培地中3×10個の細胞/ml)を、1の接着性単球に対し10のCD8細胞の比で加える。37℃で3ないし4日の培養後に、IL−2(20U/ml)およびIL−7(30U/ml)を、培地交換を伴い加え、チロシナーゼ特異的CTL集団を選択的に拡張する。
非特異的拡張
エフェクター細胞を、自己血清、抗CD3モノクローナル抗体(OKT(R)3)、IL−2およびγ線照射された自己PBMCを補充されたRPMI培地中でそれらを培養することにより、非特異的に増大させる。
活性および純度のアッセイ
CTLアッセイ
Malme 3M細胞を51Cr放出アッセイでの標的細胞として使用する。4%ウシ胎児血清、1%HEPES緩衝液および0.25%ゲンタマイシンを含有するRPMI培地中の5×10個のMalme 3M細胞を、0.1mCiの51Crで37℃で1時間標識する。細胞を4回洗浄し、かつ、10%ウシ胎児血清(ハイクローン(HyClone))を含むRPMI中10個の細胞/mlに希釈する。96穴マイクロタイタープレート中で、100μlのエフェクターCTLおよび100μlのペプチド添加された51Cr標識Malme 3M標的細胞を、100:1、20:1および4:1(エフェクター:標的)の比で組合せる。K562細胞を20:1(K562:Malme 3M)の比で加えて、ナチュラルキラー細胞のバックグラウンド溶解を低下させる。非特異的溶解は非腫瘍性HLA−A2.1線維芽細胞系Malme 3を使用して評価する。51Crの自発的放出および最大放出を測定するための対照を二重で(in duplicate)包含する。37℃で6時間のインキュベーション後に、プレートを遠心分離し、そして上清を計数して51Cr放出を測定する。
特異的溶解のパーセントは、以下の等式:
Figure 2010235611
を使用して計算する。
フローサイトメトリー。
インビトロ活性化の前および後のCD8細胞を、蛍光モノクローナル抗体およびFACS分析を使用して、多数の細胞表面マーカーについて分析した。健康なドナーからの細胞を使用する典型的な活性プロトコルからの結果を表5に示す。
Figure 2010235611
活性および純度に加えて、CTL調製物を、無菌性およびエンドトキシン含量についてアッセイすることができる。
Figure 2010235611
Figure 2010235611
実施例2
黒色腫に対する細胞傷害性T細胞注入の試験
試験の目的
本実施例は、以下の因子:
1.インビトロ免疫感作後の再注入された自己CTLの安全性および忍容性;
2.制限希釈分析での全身循環の要因考慮(factoring)における注入されたCTLの動力学;
3.ラジオシントグラフィーによるCTLの全身の配置;
4.免疫組織学による生検された結節の細胞組成(CTL、TH、NK、B細胞);ならびに
5.2ヶ月にわたる測定可能な傷害の退縮および応答の持続期間
に従って評価されるところの黒色腫の治療における細胞傷害性T細胞注入の有効性を教示する。
患者集団
治療への適格性は、患者が測定可能もしくは別の方法で評価が可能であった組織学的に報告された切除不可能な悪性黒色腫、およびHLA−A2ハプロタイプを有することを必要とした。治療前評価は、MRIもしくはCTスキャンによる脳の放射線学的評価、胸部および腹部のCT走査、ならびに、とりわけ皮膚およびリンパ節の身体検査を包含した。治療された患者の総数は15(9例の男性および6例の女性)であった。年齢は、58歳の平均を伴う33から75歳までの範囲にわたった。転移性疾患の平均持続期間は1.5年であった。アネルギーの状態が存在したかどうかを決定するための治療前皮膚試験を15例中14例の患者で実施し、14例中5例の試験結果は評価された普遍的抗原の全7種について陰性であった。患者は、HLA−A2特異的モノクローナル抗体(BB7.2)を用いるFACS分析によりHLA−A2ハプロタイプについてスクリーニングした。サブタイプ分類(subtyping)はPCR分析により実施した。患者の1例を除く全部がHLA−A*0201であり、例外(患者08)はHLA−A*0205であった。エクスビボ生成された自己CTLでの治療
15例の患者を本臨床プロトコル下に治療した。全患者は、自己CTLの少なくとも単回注入を受領した。各患者に投与された周期の数および細胞の用量は図25に要約する。インビトロで生成された細胞の数は、アフェレーシス(aphaeresis)処置から単離されたPBMCの数、および各PBMC調製物中に存在するCD8 T細胞の数のような患者関連の因子に依存した。インビトロで生成された細胞の全部をドナーに再注入したため、各患者に投与された用量は必然的に変動した。患者間の用量を正規化する試み
において、計算された「効力」得点を各用量について記録した。該値は、細胞の総数にペプチド添加された標的細胞で得られた溶解活性を掛けることにより得た。注入されたT細胞の用量は、4×10個の最少(患者08)から3.2×10個の最多(患者13)までの範囲にわたった。患者は各周期の終了時の彼らの臨床状態に基づいて第二、第三もしくは第四の治療周期に進入した。アフェレーシスサンプルから得られたPBMCの数は、付加的周期を受けている患者で、とりわけその後の周期の開始が以前のものの終了に近かった場合に、より小さい傾向があった。これは、前の周期の間に投与されたIFNα−2bによる持続性のリンパ球減少に帰される。単離された投薬を受けたことのないCD8 T細胞の総数はPBMC調製物のそれぞれ中のその割合に依存した。CD8 T細胞のパーセントは患者間で8%ないし31%の間で変動した。得られた拡張係数は最終的な細胞数にもまた寄与し、そして0.1から6.0倍の範囲にわたった。エクスビボでCTLを生成させるための手順は本明細および上の実施例1に教示される。
IFNα−2bに応答してのクラスIおよび黒色腫関連抗原のアップレギュレーション
インビボで黒色腫細胞を溶解する抗原特異的CTLの能力を高める試みにおいて、低用量IFNα−2bを、CTL注入前に連続して5日間、および追加の4週間に週3回投与した。サイトカインに対するインビボ応答の一測定方法は、連続的時間点で得られる生検を特異的抗体での陽性染色についての免疫組織化学的分析により評価することである。連続的生検を、クラスIおよび抗原発現の双方の評価のため、複数の皮膚傷害を伴う1例の患者(患者04)で得た。生検は、クラスIおよびMART−1発現がいずれの治療前も弱く陽性であったことを示した(生検A)。10MU/mの皮下注入の5日後に、これら2種のマーカーの劇的な増大が示された(生検B)。チロシナーゼおよびgp100について、免疫組織化学的染色は治療前サンプルでそれぞれ陰性ないし弱く陽性であった(生検A)。最初の5日のIFNα投与および13回の追加治療後に、これらの後者の抗原の発現が、染色された組織サンプル中で増大した(生検C)。
エクスビボ生成されたCTLの抗原特異性
全患者からの生成されたCTLを、生検材料が系統を樹立するために利用可能であった場合に、ペプチド添加されたT2標的、HLA−A2黒色腫細胞系(Malme3M)および自己黒色腫系統に対して、解放(release)の日に評価した。細胞の各調製された用量をその細胞溶解活性について評価した。各ペプチド単独で、もしくは全4種のペプチドを同時にのいずれかで提示するペプチド添加されたT2細胞を使用して、各患者について生じられるCTL応答の特異性を決定した。内因性に発現された黒色腫関連抗原を担持する細胞を溶解する能力を、HLA−A2を合致された系統もしくは自己腫瘍系統で評価した。細胞溶解活性に加え、抗原特異性を、特異的ペプチド刺激に応答して作成される細胞内γインターフェロン産生の確立された検出方法で評価した。エクスビボプロトコルの終了時に生成されたCTLをこの方法により評価した。ペプチドのそれぞれに特異的な細胞の割合を個別に記録した。患者13からの各大量の(bulk)CD8培養物中の特異的細胞の総数を、T細胞のその集団中で検出されるペプチド特異性のそれぞれを加えることにより計算した。特異的細胞の総数の増大を、各連続する治療周期で検出することができた。
CTL治療後の腫瘍生検に浸潤するCD8およびCD4細胞の検出
治療の前、間および後の全患者からの生検サンプルが理想的であったであろう。しかしながら、実験条件は制限された数の患者のみからの生検サンプルを見込んだ。腫瘍組織は試験に参入した15例の患者の5例から得た。2例の患者(患者08および13)において、生検サンプルは、T細胞治療後それぞれ5および6週で入手可能であった。組織サンプルの検査は、浸潤するCD8およびCD4双方の細胞の存在を示した。腫瘍サンプルの1つは、追跡検査の時点(T細胞の第二の注入後4週間)までに大きさが増大した、頭皮の後頭部領域の皮膚傷害から採取した。該生検は、リンパ球でひどく浸潤された組織の壊死を示した。他の生検は股関節置換手術の間に取り出された大腿骨頭部からであった。患者08からの皮膚傷害は一般的クラスIおよび特異的HLA−A2マーカー双方について強く陽性(4+)であった。チロシナーゼおよびgp100は弱く陽性(それぞれ1+および2+)であった一方、MART−1はこの同一のサンプルで陰性であった。患者13
からの生検の領域もまた、より不均質な染色;HLA−A2.1分子の発現を欠く腫瘍細胞の明確な集団、およびMAAの1種もしくはそれ以上を伴い壊死性であった。しかしながら、無傷の組織領域は強いクラスI(4+)および黒色腫関連抗原の全部を示した。この後者のサンプルにおけるリンパ球浸潤は、腫瘍結節に深く浸潤するよりはむしろそれらを取り巻くようであった。しかしながら、腫瘍に直接関連した最高の割合の細胞はCD8細胞であった。これらの患者の双方からの治療前生検サンプルの欠如は、治療前の組織サンプル中の類似の型の浸潤する細胞の確認を予防した。
T細胞治療後のCTスキャンは客観的応答を確認する
CTスキャンは治療前スクリーニング基準および治療後追跡検査の一部であった。患者10は治療前スキャン(99年6月23日)の5週間後に8×10個のCTLの単回注入を受領した(99年7月27日)。注入1ヶ月後に胸部のCTスキャンを反復した場合(99年8月27日)に、肺傷害の大きさの劇的な減少が示された。同様に、患者14は、6.6×10個の細胞での第一の注入(99年10月5日)の3.5週間前に参入過程の一部として胸部CTスキャンを受けた(99年9月10日)。11.5×10個の細胞での第二の注入1ヶ月後の追跡CTスキャン(99年1月7日)は3個の別個の傷害の劇的な縮化を示した。患者13もまた前および後CTスキャンで測定されたような客観的応答を有した。傍気管腺症は周期I後に7.8cm(試験前)から4.4cmとなり、そして周期II後に消失した。
アネルギー状態の存在はCTLを生成させるもしくは臨床応答を予防する能力を排除しなかった
本プロトコル下で治療された患者の大部分は以前の医学的介入を受領していた。治療前皮膚試験を実施して、一団の7種の普遍的抗原に対するアネルギー応答が、エクスビボでCTLを生成させるかもしくは報告された臨床応答を予防するかのいずれかの不能と相関したかどうかを決定した。エクスビボでCTLを生成させる能力は、患者の治療前皮膚試験の結果と相関しなかった。患者03および04(双方とも混合型応答体(mixed responder))は、第二の周期の開始前に反復皮膚試験を有し、そしてアネルギーのままであったことが注目されるべきである。
実施例3
***および卵巣腫瘍細胞を溶解することが可能なHER−2/neu特異的CTLの生成
われわれは、全部の形態の癌にこのアプローチを用いて標的を定めることができるかどうかを決定するために、他の腫瘍型にわれわれのCTL生成技術を適用することに興味をもった。HER−2/neuは、多くのヒトの癌、主として***、卵巣および結腸の腺癌において増幅かつ過剰発現されるEGFRに対する相同性をもつ癌原遺伝子である。それはしばしば攻撃的疾患と関連し、そして乏しい予後の指標となる可能性がある。それはこれらの型の癌の可能な標的としていくつかの臨床試験で研究されている。
1990年代早期に、HER−2/neu HLA−A2.1拘束性ペプチドエピトープが、コンピュータに補助されるペプチド結合アルゴリズム、もしくは卵巣癌患者の腹水から単離されたCTLをマッピングすることのいずれかにより同定された(表6)。
Figure 2010235611
ペプチドの全部を合成し、同定番号(PRI#)を与え、そして、黒色腫関連のT細胞ペプチドエピトープについてわれわれが使用した同一の方法を利用してエクスビボでCTLを生成させる能力について評価した。CD8細胞を正常ドナーから単離して、既知のCTLペプチドエピトープを添加されたショウジョウバエ(Drosophila)細胞を用いてエクスビボでCTLを慣例に生成させる能力を決定した。ペプチド826、835、861および863はCTL生成の最高の頻度を有した(表7)。
Figure 2010235611
トランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞は10種までの異なるペプチドエピトープを提示する独特の能力を有する(図10)一方、われわれは、これらのペプチドに対するCTLをエクスビボで生成することの頻度により4種のHER−2ペプチド、826、835、861および863を選択した。これら4種の異なるHER−2ペプチドは、トランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞の表面上に提示されたHLA−A2.1分子への弱いないし中程度の結合体(binder)を表す。われわれは、黒色腫関連ペプチドを用いてでのわれわれの実験が、
弱いクラスI結合体が実際にそれらが天然のT細胞エピトープを表す場合に腫瘍細胞を認識する強力なCTLを一般に生成することを示唆しているため、弱いA2結合体を包含する傾向がある。われわれが標的を定める腫瘍関連タンパク質の大多数は自己抗原であり、そしてそれ自体、ウイルスペプチドとともにみられるクラスI分子に対する高親和性を有することを期待することができる。低ないし中程度の結合体は、一般に、腫瘍細胞を非常に効率的に溶解するCTLを生成させる。これは、ショウジョウバエ(Drosophila)細胞に対する低親和性結合体である(図3)がそれでもなおペプチド添加された標的細胞(T2)もしくはより重要には黒色腫細胞(Malme3M)双方を溶解することが可能な強力なCTLを慣例に生成させるエピトープを表す(図12)MART−1ペプチドで立証された。
HER−2/neuはEGF−Rファミリーの1メンバーでありかつ増殖因子受容体として機能する。HER−2タンパク質はヒトにおいて胎児の発生の間に発現される。成体では、該タンパク質は多くの正常組織の上皮細胞中で弱く検出可能である。正常細胞において、HER−2遺伝子は単一コピーとして存在する。該遺伝子の増幅および/もしくは関連タンパク質の過剰発現が、***、卵巣、子宮、胃を包含する多くのヒト癌、および肺の腺癌で同定されている。HER−2とEGF−R受容体との間の配列の差異を表8に示す。われわれが評価した4種のHER−2ペプチドの3種は、2種のタンパク質の間の3個もしくはそれ以上のアミノ酸変化を有する。単一のアミノ酸変化は2種のタンパク質を区別するのに十分である。
Figure 2010235611
CTLが4週間のエクスビボ刺激プロトコル後に生成された後、われわれは、免疫化ペプチドを用いて調製されたHLA−A2.1四量体分子を使用して、ペプチド特異的細胞が存在したかどうかを評価した。図13に立証されるとおり、ペプチド特異的CTLを生成させる能力はドナー依存性であった。図A(ドナー261)において、該ドナーはペプチド835に対する強いCTL応答を作成した(37.55%)。図B(ドナー262)において、ペプチド特異的CTLを835および861双方の四量体分子で検出することができる(それぞれ3.6%および15.1%)。これは、該刺激プロトコルの終了時にペプチド特異的CTLを保証するための複数のペプチドの使用を支持する。本エクスビボプロトコルは、多特異性CTLを比較的容易に生成させることを可能にする。
抗ペプチドおよび抗腫瘍応答
完全なエクスビボプロトコルの完了後に、生成されたCTLを抗原特異性について評価した。CTLを生成させるために、第0日にショウジョウバエ(Drosophila)細胞に4種のHER−2ペプチドの組合せを添加した。4週のエクスビボ刺激プロトコルの終了時に、大量のCD8培養物を抗原特異性について評価した。免疫化ペプチドのそれぞれを添加されたT2細胞を標的細胞として使用した。図14に典型的な応答を描く。大量の培養物は4種のHER−2ペプチドのそれぞれに対する特異性を含有する。抗腫瘍応答を卵巣腫瘍細胞系(ATCC;HTB−77)で評価した。標的細胞系がHLA−A2.1拘束性でない場合、われわれは+/−アッセイ系を有するように細胞系をトランスフェクトした。HLA−A2.1をHTB−77系統にトランスフェクトした場合、CD8エフェクター細胞による高められた殺傷が示された(図15、図AないしD)。個々のペプチドを代表するHER−2特異的エフェクターを評価して、この腫瘍細胞系上でのペプチドエピトープのそれぞれの提示を確認した。
HLA−A2.1でトランスフェクトされた***腺癌細胞系(ATCC;HTB−131)もまた、HER−2特異的ペプチドエフェクターでの腫瘍溶解を立証する能力について評価した。ペプチド861に特異的なCTLは、HLA−A2.1でトランスフェクトされた場合にこの腫瘍細胞系を溶解することができた(図16)。
腫瘍細胞の溶解に必要とされるIFNγ処理
HTB−77/A2.1細胞系は、ペプチド特異的溶解を立証するためにIFNγでの前処理を必要とする。細胞を、51Cr放出アッセイの開始前24時間、500U/mlのIFNγ(25ng/mlの比活性)で処理した。図17で、IFNγの添加は、HLA−A2.1でトランスフェクトされた細胞系の高められた溶解をもたらした。HLA−A2.1およびHER−2双方の表面発現に対するこの用量のIFNγの影響を決定するために、FACS分析を実施して、誘導の24および48時間後双方のこれらの分子のレベルを測定した。図18、図AおよびBはFACS分析の結果を描く。図Aで、IFNγでの誘導後24および48時間に、HTB−77細胞の表面上でのHER−2分子の促進は存在しなかった。HLA−A2.1でトランスフェクトされた細胞では、HER−2もHLA−A2.1も、類似の処理プロトコル後に表面の発現レベルの増大を立証しなかった。示されたことは、mRNAレベルをマイクロアレイDNAチップ分析により評価した場合のTAP−1の発現、ならびにHLA−DMおよび−DR、カテプシンSおよびDならびにカスパーゼ5のレベルの増大であった(図19)。これは、IFNγの存在下でHTB−77/A2.1細胞の促進殺傷が存在する理由を説明するとみられる。この特定の分子のアップレギュレーションは、HER−2分子のより効率的なプロセシングをもたらして目的のペプチドのより良好な提示を可能にするとみられる。
ペプチド
合成ペプチドはペプチド合成機(ギルソン カンパニー インク(Gilson Company,Inc.))を使用して標準的なFmoc化学により作成した。全部のペプチドはC−8カラムでの逆相HPLCにより>95%純度まで精製した。純度および正体は、電子スプレーイオン化を用いる質量分析計を使用して確立した。黒色腫関連ペプチドは:ペプチド819はMART−1特異的であり(AAGIGILTV 配列番号6)、817および853は双方がgp100ペプチドであり(それぞれITDQVPFSV 配列番号4およびKTWGQYWQV 配列番号5)、チロシナーゼ特異的ペプチドは689および792であり、792は、ペプチド689により表される天然の配列(YMNGTMSQV 配列番号1)の翻訳後修飾されたバージョン(YMDGTMSQV 配列番号2)を表した、を包含した。ペプチド826(CLTSTVQLV 配列番号7)および835(KIFGSLAFL 配列番号8)は、p185タンパク質のそれぞれ細胞内および細胞外ドメインからのHER−2/neu配列を表した。Pec6020(ALALAALLVV 配列番号10)Pec6025(ALLVVDREV 配列番号11)は卵巣腫瘍系統で検出される粘液素タンパク質を表す重なり合う配列であった。C−レ
クチンもまた卵巣腫瘍細胞系で検出されるタンパク質であり、そしてその配列からのペプチド(C−レクチン)はKMASRSMRL 配列番号9により表される。
インビトロ細胞傷害性アッセイ
標準的51Cr放出アッセイを実施して、T2細胞に添加された黒色腫関連ペプチドエピトープのCTLエフェクター細胞認識を測定した。収集された3×10個のT2細胞を、RPMI+10%FBS(培地)中で成長させた。0.1mCiの51Crを加え、そして水浴中37℃でインキュベートした。標識された細胞を10mlの4%洗浄液(RPMI+4%FBS)およびペレットに加え、追加の2回洗浄し、そして自発的対洗剤に溶解された細胞の放射活性を記録するために0.2×10個/mLの最終濃度に培地で再懸濁した。細胞に20μg/mLの適切なペプチド(1種もしくは複数)を30分間適用した。50μLを、10、2、0.4および0.08×10個/mLのCD8エフェクター細胞をそれぞれ含有する各96穴プレートに加え、これを37℃で6時間インキュベートし、回転しかつ上清について収集した。
フローサイトメトリーおよび四量体染色
細胞を、FACS緩衝液(PBS中1%BSA、0.02%NaN)中4℃で30分間のインキュベーション、次いで同一緩衝液での洗浄により、FITCもしくはPE結合モノクローナル抗体で標識した。細胞を、データ獲得およびそれのセルクェスト(CellQuest)ソフトウェアを用いるFACScanフローサイトメーター(ベクトン ディッキンソン(Becton Dickinson))での分析前に0.5%ホルムアルデヒド中で固定した。非特異的染色は、精製された一次抗体を標識するのに使用された同一の二次抗体、もしくは一次抗体を直接標識した場合はアイソタイプを合致された対照を用いて測定した。四量体染色は、陰性対照として配列SLYVTVATL 配列番号43をもつHLA−A2.1特異的HIVgag四量体分子(ベックマン コールター(Beckman Coulter))を用いて実施した。HER−2特異的四量体は、配列CLTSTVQLV(826 配列番号7)、KIFGSLAFL(835 配列番号8)もしくはVMAGVGFSPYV(861 配列番号16)ペプチドを用いて作成した。PE標識四量体HLA−A2.1−ペプチド複合体を、フルオレセインイソチシアネート(FITC)標識抗ヒトCD8a(BD ファーマジン(BD PharMagin))モノクローナル抗体とともに使用して、エピトープ特異的CD8+ T細胞を、包装挿入物に記述されたとおり染色した。サンプルをベクトン ディッキンソン(Becton
Dickinson)FACScanでの二色フローサイトメトリーにより分析し、そしてゲートされた(gated)CD8+ T細胞を、四量体HLA−A2.1−ペプチド複合体での染色について検査した。
実施例4
本エクスビボ刺激プロトコルを用いる付加的な***および卵巣特異的CTLの生成
われわれは、多様な腫瘍起源の数種の腫瘍抗原の全部の既知のHLA−A2.1拘束性ペプチドエピトープに対するCTL応答を生成する能力を立証した。われわれの当初の研究は黒色腫に焦点を当て、ここで、われわれは、MART−1、gp100およびチロシナーゼの黒色腫関連タンパク質に特異的な4種の異なるペプチドエピトープに特異的なCTLで治療された患者における客観的臨床応答を立証することが可能であった[Richardsら,Amer.Soc.Clin.Oncol.,カリフォルニア州サンフランシスコ(2001年5月)]。
広範な他の癌に存在する他の腫瘍抗原に対するCTLを生じさせる能力を拡大するため、われわれは、数種の異なる腫瘍型に共通の腫瘍抗原に対する発表されたおよび新規の配列を選択した。これらは、AES、MUC−1、CEA、FBP、C−レクチン、NY−ESO−1、Pec60、CA−125、MAGE−3、テロメラーゼおよびG250を包含する。表10はこれらの抗原、発現の頻度およびそれらを発現する癌を記述する。われわれのエクスビボ刺激プロトコルを用いてのこれらのペプチドへの応答の頻度を表9に列挙する。
Figure 2010235611
Figure 2010235611
実施例5
インターフェロンおよびインターロイキン−2と連結されたCTL注入を使用する悪性黒色腫の治療
試験の目的
本実施例は、以下の因子:
1.ヒトクラスIおよび共刺激分子でトランスフェクトされかつ黒色腫関連ペプチドエピトープを添加されたショウジョウバエ(Drosophila)細胞でのインビトロ免疫感作後に再注入される自己CTLの有効性を確立する;
2.処方された用量およびスケジュールでの、インターフェロン−α−2b(IFN−α)、インターロイキン−2(IL−2)、およびショウジョウバエ(Drosophila)細胞での免疫感作によりエクスビボで生成される自己CTLの投与の安全性および忍容性を確立する;
3.腫瘍浸潤T細胞が治療後に腫瘍生検中に存在するかどうかを決定する;
4.治療された患者の末梢血中の抗原特異的CD8細胞の存在および持続性を立証する;5.IFNα(10MU/m)の5回の連続する連日の皮下注入が、インビボで黒色腫の表面上のクラスIおよび黒色腫関連抗原をアップレギュレートすることができることを確認する
に従って評価されるところの黒色腫の治療における細胞傷害性T細胞注入の有効性を教示する。
臨床試験CTL−03の概要を図20に提示する。
患者集団
治療への適格性は、患者が測定可能かつ評価に容易にかけられた、組織学的に報告された切除不能の悪性黒色腫を有することを必要とした。加えて、患者はHLA−A2ハプロタイプを有することを必要とされた。治療前評価は、MRIもしくはCTスキャンによる脳の放射線学的評価、胸部および腹部のCT走査、ならびにとりわけ皮膚およびリンパ節の身体検査を包含した。参入されるべき患者の総数は42である。21例の患者は対照のサイトカインのみのアームにあり、また、21例の患者はサイトカイン+T細胞治療のアームにある。31例の患者が今日までに参入した(17例は対照アームに参入し、そして14例がT細胞治療アームに参入した)。対照アームで進行する患者は、彼らが所望する場合はT細胞アームへの交差を提供する(11例の患者が交差した)。今日までに治療された患者の総数は31(16例の男性、15例の女性)である。年齢は、52歳の平均を伴い27から80歳までの範囲にわたった。患者を、HLA−A2特異的モノクローナル抗体(ATCC:BB7.2)を用いるFACS分析によりHLA−A2ハプロタイプについてスクリーニングした。サブタイプ分類をPCR分析により実施した。2例を除く全患者がHLA−A*0201陽性であった。他のHLA−A2サブタイプはHLA−A2*0202およびHAL−A2*0205であった。
薬物の投与
インターフェロン−α−2b(イントロン−A[Intron−A](R);組換えインターフェロンα−2b、シェリング コーポレーション(Schering Corporation)、ニュージャージー州ケニルワース)を、CTL注入前の連続する5日間、10MU/mで患者に皮下に投与した。エクスビボでショウジョウバエ(Drosophila)細胞で活性化された自己リンパ球(1〜10×10個)を、INF−α投与後のその日に患者に注入した。インターロイキン−2(プロリューキン[PROLEUKIN](R);アルデスリューキン(Aldesleukin)、組換えIL−2、カイロン コーポレーション(Chiron COrporation)、カリフォルニア州エメリービル)を、CTL注入直後に連日3MIUで患者に皮下に投与し、そして別の連続する27日間継続した。
表11は、補助の設定(全部の検出可能な腫瘍の外科的除去後)のIFN−αもしくは高用量のIL−2の単回投与についてFDAに承認されたプロトコルで使用されるものを用いる、試験CTL−03で使用されたサイトカイン用量の比較を示す。
Figure 2010235611
精製されたCD8細胞のインビトロ免疫感作
一次刺激
トランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)S2細胞を、10%ウシ胎児血清および硫酸銅を補充されたシュナイダー(Schneider)培地中(10個の細胞/mL)、27〜28℃で24〜72時間インキュベートする。S2細胞を収集し、洗浄し、そして、0.1μg/mLの各ペプチド;ヒトチロシナーゼ369−377(配列番号1 YMNGTMSQVおよび配列番号2 YMDGTMSQV)、gp100 209−217(配列番号4 ITDQVPFSV)、gp100 154−162(配列番号5 KTWGQYWQV)およびMART−1 27−35(配列番号6 AAGIGILTV)、ならびに5μg/mLヒトβ2ミクログロブリンを含有する昆虫エクスプレス培地(Insect X−press medium)(バイオウイタッカー(BioWhittaker))に再懸濁する。室温(23〜25℃)で3〜4時間のインキュベーション後に、S2細胞を、5〜10%自己血清を補充されたロズウェル
パーク メモリアル インスティテュート(Roswell Park Memorial Institute)(RPMI)培地(合成培地、ギブコ(Gibco))中1:10の比でCD8+細胞と混合する。細胞混合物を37℃で4日間インキュベートし、その時間の間にショウジョウバエ(Drosophila)細胞が死に絶える。第4もしくは5日に、IL−2(20U/mL)およびIL−7(30U/mL)を、培地の交換を伴い加えて、黒色腫関連抗原(MRRT−1、gp100およびチロシナーゼ)に対する特異性をもつ細胞よりなる抗原特異的CTL集団を選択的に増大させる。
再刺激
白血球成分分取の時点で得られかつ将来の使用のため凍結された自己CD8枯渇PBMCSを融解し、洗浄し、そして、10%自己血清、5μg/mL組換えヒトβ2ミクログロブリン、ならびに5〜20μg/mL(添加されるべきペプチドの総数に依存する)の、上述された刺激で使用されたチロシナーゼ、gp100およびMART−1を含有するRPMI培地に10〜10個の細胞/mL(CD8単離段階の時点で収集されたCD8枯渇PBMCの数に依存する)で再懸濁する。γ線照射(5,000ラド)後に、細胞
を37℃で2時間インキュベートする。非接着細胞を、ダルベッコのPBSで洗浄することにより除去する。接着性単球に、1%HSA(自己血清の代わりに、血清中に存在するかもしれない潜在的プロテアーゼを導入する可能性を回避するため)中の5μg/mLヒトβ2ミクログロブリンおよび5〜10μg/mLの5種のペプチドエピトープのそれぞれを含有するレイボヴィッツ(Leibowitz)培地中での90分間のインキュベーションにより、上述された5種のペプチドエピトープを添加する。上清を除去し、そして、ショウジョウバエ(Drosophila)で活性化されたCD8細胞懸濁物(10%自己血清を含むRPMI培地中2.5×10個の細胞/mL)を、1の接着性単球に対し10のCD8細胞の比で加える。37℃で3ないし4日の培養の後に、IL−2(20U/mL)およびIL−7(30U/mL)を、培地の交換を伴い加えて、黒色腫特異的CTL集団を選択的に増大させる。合計で2回のこうした接着性細胞のペプチド特異的再刺激段階(一方は一次刺激後およそ1週間後、および第二のものはおよそ1週間後)が起こる。非特異的増大段階は、4週間のエクスビボプロトコルの開始時に起こる。
非特異的増大
2回の再刺激を受けたCD8+エフェクター細胞を、OKT3抗体で刺激された後にフィーダー細胞(照射された、CD8+選択されない細胞)とともに細胞培養袋中で増大させる。凍結されたCD8+選択されない細胞を融解し、洗浄し、そしてその後γ線照射する(3500ラド)。4:1(フィーダー:エフェクター)の比を、OKT3抗体で被覆されたT−225フラスコに入れる。OKT3刺激は、20U/mLのIL−2を補充された10%自己血清を含有する完全RPMI培地で実施する。2日後に、刺激されたT細胞を新鮮培地で希釈し、そして増大のために細胞培養袋に移す。新鮮培地およびIL−2をおよそ2日ごとに補充して、迅速に拡張するT細胞を養う。
エクスビボ刺激プロトコル後のCD8細胞の表現型分析
フローサイトメトリーにより測定されるところの表現型分析を、白血球成分分取サンプルからの単離の日、および細胞を患者に戻す注入のため解放した日に、精製されたCD8+細胞で実施した。統計学的分析を、同一のエクスビボ刺激プロトコルを受けた患者および正常ドナーからのサンプルを用いて実施した。統計学的有意差が、サンプルが患者由来であったか正常ドナー由来であったかに関係なく、投薬を受けたことのないCD8+サンプルと、エクスビボ刺激プロトコルの終了時に得られたCD8+エフェクター細胞との間で見出された。
活性化マーカー(例えば、休止期のリンパ球上で発現されないがしかし活性化に際して迅速に誘導されるCD69;活性化されたT細胞上で発現されるクラスII分子HLA−DR)、記憶マーカー(例えば、活性化された細胞および大部分の記憶細胞上で発現されるCD45RO)、インテグリンマーカー(例えば、炎症の部位での血液から組織へのリンパ球の移動に関与するCD49d/CD29)、補助分子(例えば、CD11a/CD18;細胞傷害性リンパ球殺傷で補助しかつ上皮を包含する多くの細胞への接着を媒介する)、ならびにサイトカイン受容体マーカー(例えば、機能的な高親和性IL−2R受容体は、非共有的に会合されたCD25/CD122/CD132ヘテロ二量体より構成される)は、全部、該エクスビボ刺激プロトコルの完了後にCD8エフェクター細胞上でアップレギュレートされることが見出された。表12は該分析の結果を要約する。
Figure 2010235611
表現型分析の結果は、CD8+エフェクター細胞が本明細書に記述されるエクスビボプロトコルにより活性化されることを支持する。これらの活性化されたCD8+エフェクター細胞は、インビボで血液から腫瘍部位に移動することが可能であり、また、非常に強い感受性を伴い腫瘍標的細胞を殺すことが可能であり、そして、低用量のIL−2の存在下で潜在的に増殖することができる(高親和性のIL−2Rがこれらの細胞上に存在するため)。CD122は休止期のT細胞の亜集団上で構成的に発現される。表12で、白色領域は、CD8+エクスビボ刺激プロトコルの完了後にアップレギュレートされる統計学的に有意の値である。淡灰色領域は有意のアップレギュレーションもしくはダウンレギュレーションを示さない。濃灰色領域は、報告された分子の統計学的に有意のダウンレギュレーションを示す。これらのマーカーの調節は、表現型分析により測定されるところの、腫瘍細胞を追跡かつ溶解することが完全に可能な活性化されたT細胞の誘導と矛盾しない。
フローサイトメトリー ドナーの白血球成分分取からおよそ1×10個の精製されたCD8+細胞を得る。各サンプルを、100μlの洗浄緩衝液(PBS+1%BSA+0.02%NaN3)あたり1×10個で滅菌チューブに入れる。100μlの細胞懸濁物を含む各チューブに、FITCもしくはPEのいずれかで直接標識された適切な抗体10μlを加えるか、または、一次抗体が未標識である場合は、続けて標識二次抗体(ヤギ抗マウスIgG)を加える。各抗体段階を40℃で30分間インキュベートする。各抗体段階の間に1〜2mLの洗浄緩衝液で洗浄する。細胞を600×gで7分間、ペレットにする。上清を廃棄する。各細胞ペレットを、0.5mlの0.5%ホルムアルデヒド/PBS固定剤に再懸濁し、そして適切な設定のFACScan(ベクトン ディッキンソン(Becton Dickinson))フローサイトメーターで読取る。
IFN−α−2bの添加に応答してのクラスIおよび黒色腫関連抗原のアップレギュレーション
本明細書の実施例2に記述される臨床試験から、臨床プロトコルの第17〜21日に10MU/mで皮下に投与されるIFN−α−2b(イントロン−A[Intron−A](R))の5日のクールが、抗原特異的T細胞による認識および溶解に対する2つの重
要な要件、HLA(クラスI)発現および黒色腫関連抗原発現の双方をアップレギュレートするのに十分であったことが示された。この知見は、分析に利用可能な複数の皮下の皮膚傷害を伴う単一の患者(04−MJ)から得られた連続生検で記録された。4サンプルを、(A)治療前;(B)IFNα治療(5連続投与)の開始後;(C)CTL注入1後および(D)注入2後と分類した。4種の生検サンプルからのHLA(HLA−A2.1)および黒色腫関連抗原(MART−1)の発現に関する免疫組織化学分析からの結果を表13に要約し、ここで、より大きな数字はより高レベルのそれぞれのタンパク質の発現を示す。該結果は、最初の連続する5日のIFN−α治療後にHLA(HLA−A2.1)および黒色腫関連抗原(MART−1)の発現の付加的な増大が存在しなかったことを示し、連続する5日を越えるインターフェロン−α2b治療は、至適レベルのHLA−A2.1およびMART−1発現に達するのに必要でなかったことを示した。
Figure 2010235611
免疫組織化学的染色 生検サンプルはRPMI培地中4℃で一夜輸送した(shipped)。組織を、凍結された組織試料のためのOCT(R)(ティシュー−テック(Tissue−Tek))埋込培地に入れた。組織:OCTマトリックスを、液体NO中の急速凍結段階の前に濾紙上に置いた。凍結されたサンプルは薄片にする前に−80℃で保存した。クライオスタット(Cryostat)切片(5μm)を、スーパーフロスト[Superfrost]TM(フィッシャー(Fisher))荷電スライドガラス上に置いた。スライドガラスを冷アセトン(−20℃)中で固定し、そして染色されるまで−80℃で保存した。内因性ペルオキシダーゼ活性を、メタノール中0.3%H中で10分間インキュベートすることにより封鎖した。一次抗体を加湿チャンバー中で1時間添加した。ビオチニル化二次抗体を添加し、そして室温で30分間インキュベートした。ストレプトアビジン−HRPを同一条件下で添加した。DAB基質を5分間まで添加し、
そして水中ですすいだ。スライドガラスを、4周期のアルコール(70〜95〜95〜100%)、次いで3周期のキシレンにより水和した。免疫組織化学的分析で使用された抗体は、ATCC(汎HLAクラスI、W6/32およびHLA−A2特異的、BB7.2)もしくはネオマーカー(NeoMarker)(MART−1、M2−7C10)からであった。
治療の反復周期での細胞数の増大
臨床試験CTL−03において、インビトロ培養周期の第6日に記録された細胞数が、CTL−02において治療の各周期で検出されたように減少したよりはむしろ増大したことが示された(図21)。図21Aは、CRL−02試験におけるエクスビボ生成されたCD8細胞の典型的な成長曲線を表す。第6日の典型的な下落は非特異的細胞の死滅を反映した。患者15−RTについての治療の各周期からのCD8細胞は類似の成長曲線を有し、治療の各周期後に末梢血中に残存する記憶細胞が存在しなかったことを示唆した。これは試験CTL−03において真実でなかった。細胞数の典型的な下落は01−KN−1で示され、第一の周期の間に得られる細胞でみられる下落を反映する。しかしながら、細胞計数を周期2および3の開始時に得られた細胞で実施した場合(図21B;01−KN−2および01−KN−3)、成長曲線は記憶細胞の存在により典型的であった。これは、試験CTL−03において治療の第二および第三の周期からであった全患者サンプルで示された。この結果は、CTL注入の時点およびCTL注入27日後の患者へのIL−2の添加に帰することができる。
細胞計数 トリパンブルーの0.2%溶液を調製した。細胞の計数は血球計算板を使用して実施した。最低1個の完全な正方形(合計9.1平方mm)中の最低100個の生存可能(染色されない細胞)の数を記録した。生存細胞の数を記録し、そして完全な1mm正方形の数を計数した。細胞/正方形の数。細胞/mLを決定するための計算は:(細胞数/1mm正方形)(希釈計数)(1×10個)=細胞/mLである。
四量体分析はCTL注入後の抗原特異的T細胞の存在を確認する
試験CTL−03について、MART−1もしくはgp100黒色腫関連ペプチドのいずれかを含有する四量体分子が、抗原特異的T細胞の分析に商業的に入手可能であった(ベックマン コールター(Beckman Coulter);イムノミックス(Immunomics))。これらの四量体分子は試験CTL−02に利用可能でなかった。図22に示されるところの、試験CTL−03にて治療の第二の周期を受けた6例の患者で、6例中6例の患者が、第一の白血球成分分取サンプリングの時点から治療の第二の周期の開始(一般に2ヶ月の期間である)までにMART−1特異的T細胞のレベルの増大を有した。gp100四量体分子を使用して抗原特異的T細胞を評価した場合に、6例中5例の患者が、第二の白血球成分分取の時点で上昇されたgp100特異的T細胞を有した(図22)。白血球成分分取手順の開始は細胞治療周期の開始を示す。1例の患者(15−DC)において、合計で6周期のT細胞治療を実施した。各周期はおよそ2ヶ月だけ分かれていた一方、周期4と5との間の時間枠は、患者が休暇のために休みを取ることを欲したために5ヶ月であった。周期4の開始時のMART−1およびgp100に対する抗原特異的T細胞はそれぞれ0.26%および0.65%であった。CD8細胞を周期5の開始時に評価した場合、MART−1に対する抗原特異的細胞は0.29%、およびgp100に対して0.46%であった。これは、抗原特異的細胞が、サイトカインおよび細胞治療を一時中止した後でさえインビボで維持されていたことを示唆することができる。
四量体染色 およそ1×10個の精製されたCD8細胞を、白血球成分分取によりドナーから得た。各サンプルを、100μlの洗浄緩衝液(PBS+1%BSA+0.02%NaN3)あたり1×10個で滅菌チューブに入れた。100μlの細胞懸濁物を含む各チューブに、5μlのHLA−A2.1−四量体−ストレプトアビジン−フィコエリトリン(SA−PE)標識分子(目的のペプチドの添加された(MART−1、gp100もしくはチロシナーゼ特異的))を加え、そして室温で30分間インキュベートした。抗CD8モノクローナル抗体(FITC標識)を加え、そして、インキュベーション
を追加の30分間継続した。1〜2mLの洗浄緩衝液を使用して、インキュベーション期間の終了時にサンプルを洗浄した。細胞を低速(400×g)で10分間ペレットにし、そして上清を廃棄した。各細胞ペレットを、0.5mlの0.5%ホルムアルデヒド/PBS固定剤に再懸濁し、そして適切な設定のFACScan(ベクトン ディッキンソン(Becton Dickinson))フローサイトメーターで読取った。
細胞溶解活性、抗原特異性および細胞増殖を測定するのに使用された3種の異なるインビトロアッセイ間の相関
抗原特異的細胞も評価する四量体技術の到来に伴い、多くの刊行物が、黒色腫患者の末梢血中における有意な数の抗原特異的T細胞を報告した(Leeら、Nature Medicine(1999)5:677−685)。これらの抗原特異的細胞を単離しかつ抗原特異的様式で細胞を増大させる試みを行った場合に、大量の失敗が存在した。四量体染色は抗原特異的T細胞の存在を検出することを可能にする一方、CTL溶解アッセイのような付加的なアッセイは、該細胞がペプチド特異的標的を適正に殺すことができるかどうかを決定するのに有用である。細胞内インターフェロンγアッセイを使用して、細胞が抗原に応答して増殖することができるかどうかを決定することができる。これら3種のアッセイを、最終的なCD8+ T細胞生成物で行って(図23)、検出された抗原特異的T細胞の数が、インビボで腫瘍細胞を溶解が可能でありかつ抗原刺激に応答して増殖することができるT細胞の数を正確に反映することを確実にした。
一次刺激後(第6日)の細胞上清中で測定されるインターフェロンγは、T細胞治療の反復周期とともに増大する
IL−2がインビボでのT細胞の持続性に対する劇的な影響を有していたことの別の表示は、細胞上清中のIFNγ産生を測定することにより示された(図24)。治療周期のそれぞれでのショウジョウバエ(Drosophila)細胞での一次刺激の6日後に、細胞上清を収集し、そして抗原特異的刺激に応答してCD8+細胞により放出されるサイトカイン、インターフェロンγのレベルについて評価した。4例の患者の反復周期において、IFNγ産生のレベルは、この時間枠で各回のT細胞治療で増大したことが示された。IFNγレベルは全例で低いないし検出不可能であった。各付加的な回のT細胞治療で、より高レベルのIFNγが検出され、より多数の抗原特異的T細胞が、各白血球成分分取の時点で単離されたCD8+集団中に存在したことを示唆した。
腫瘍細胞に浸潤するT細胞の検出
CTL−03試験で3周期のサイトカインおよびT細胞治療を受けた1例の患者(04−AD)において、皮膚傷害の生検を第三の周期の終了6週間後に得た。クラスIならびに黒色腫関連抗原MART−1およびgp100の存在は、免疫組織化学的染色分析で存在した。浸潤するT細胞(CD3+)の存在もまた示された。腫瘍の陽性の免疫組織化学的染色は、クラスIおよび黒色腫関連抗原がIFNαの5日投与により維持かつ/もしくはアップレギュレートされたことを示唆する。黒色腫細胞上のこれらのマーカーの存在は、抗原特異的T細胞が抗原特異的様式で腫瘍細胞を溶解することを可能にする。T細胞注入6週間後の腫瘍塊内の浸潤するT細胞の存在は、T細胞が、実際にこれらのT細胞が注入されたT細胞のサブセット集団を表す場合にはインビボで持続していることを示唆する。
インビトロ細胞傷害性アッセイ 標準的51Cr放出アッセイを実施して、T2細胞上に添加された黒色腫関連ペプチドエピトープのCTLエフェクター細胞認識を決定した。3×10個のT2細胞(TAP欠損、HLA−A2.1陽性)をRPMI+10%PBS(培地)中で成長させかつ収集した。標的あたり100mLの51Crを添加し、そして水浴中37℃でインキュベートした。標識された細胞を、10mLの4%洗浄液(4%FBSを含むRPMI)の容積まで加え、そしてペレットにした。洗浄を追加の2回実施した。細胞を、0.2×10個/mLの最終濃度まで培地に再懸濁し、そして自発的対最大の(洗剤で溶解された)細胞の放射活性を記録した。細胞に、10〜20μg/mLの適切なペプチド(1種もしくは複数)を30分間適用した。50μL/それぞれ異なるエフェクター:標的比でCD8+エフェクター細胞を含有する96穴プレート。混合物を37℃で6時間インキュベートした。プレートを回転し、そして上清を収集する。放射活
性の上清をコブラ(Cobra)γ線計数器で計数した。特異的51Cr放出を、式(51Cr放出−自発的放出)/(最大放出−自発的放出)×100を使用して計算した。
細胞内γインターフェロンアッセイ エフェクター細胞を、ゴルジストップ(GolgiStop)(ファーミンゲン(PharMingen))の存在下で、ペプチドの適用されたT2細胞(CD8:T2の比は2:1であった)により5時間刺激する。刺激された細胞を抗CD8−PEで表面染色し、固定し、そしてサイトフィックス(Cytofix)/サイトパーム(Cytoperm)(ファーミンゲン(PharMingen)カタログ番号2076KK)で浸透化し、次いで抗IFN□−FITCで染色した。二重標識細胞を、フローサイトメトリー(ベクトン ディックソン(Becton Dickson)FACScan)により分析し、そして最大発現のパーセントとして表した。IFN□□の最大発現を、同一エフェクター細胞のOKT3(オルトクローン(Orthoclone))活性化に応答して発現された量として測定した。
生物学的応答調節剤(modifier)に関連する毒性
生物学的応答調節剤(例えばIFNαおよびIL−2)を用いる臨床研究の目的は、毒性を最小限のレベルに低下させつつ治療の利益を維持する至適条件を決定することである。とは言え、現在承認されている用量および投与スケジュールのIFN−α−2bは、黒色腫患者の生存を有意に延長させることができる。投与は重症の毒性もまた伴う可能性がある。高用量のIL−2は低用量の連続注入より有効であるようであるが、それでもなお高用量のIL−2はまたより毒性でもある。最も普遍的な副作用は流感様の症状である。最も重篤な副作用は、低血圧、毛細血管漏出症候群および低下された臓器灌流である。IL−2は、腎細胞癌および悪性黒色腫双方に臨床で使用されている。低用量皮下レジメンのIFN−α−2bおよびIL−2の組合せ剤は、他の臨床設定で記述されている(Pectasidesら,Oncology(1998)55:10−15;Pigaら,Cancer Immunol Immunotherapy(1997)44:348−351)。
一試験(Pectasides,1998,上記)において、IFN−α−2bおよびIL−2を、転移性腎細胞癌(RCC)患者に3剤併用免疫化学療法レジメンにて投与した。フェーズII試験が、IL−2[4.5mU×2/24時間、週3回を2週間]およびIFN−α−2b[3MU/24時間、週3回(IL−2と交互の日に)を2週間]ならびにビンブラスチン(VLB)[4mg/m2、3週間ごと]の低用量皮下投与の活性を定義するために実施された。患者はサイトカインからの1週間の休止を有し、その時点で彼らはVLBを受領した。治療は、1年の最長持続期間を伴い3週間ごとに反復した。毒性は軽度ないし中程度(等級IおよびII)であり、>80%の患者での発熱、食欲不振、倦怠感および悪心−嘔吐よりなった。患者のいずれも主要なVLB関連の毒性を経験しなかった。3剤併用は、進行性RCCで控えめな毒性を伴う有望なレジメン(38.7%の全体奏効率)であるかもしれないことが提案された。
RCCにおいて低用量IFN−α−2bおよびIL−2を評価する別の試験(Piga,1997,上記)では、IFN−α−2b[3MU/m2連日、筋肉内に継続して]ならびにIL−2(第一週について第1〜5日に0.5MU/m2×2/24時間、皮下で、および後に続く3週間に1MU/m2×2/24時間、5日間)が処方された。副作用は患者の大部分で低い(等級IおよびII)と言われ、肝および腎機能試験での異常が示された。該レジメンは中程度の毒性のもの、低費用でありかつ入院を必要としないと言われた一方、大部分の患者で観察された流感様の症状は、患者の1/3にその後の治療を拒絶させるのに十分、十分であった。
CTL−03試験について記述されたIFNαおよびIL−2レジメンからの副作用は、上で挙げられたRCCの試験で検出されたものに類似の軽度ないし中程度の影響と考え
られた。しかしながら、われわれのサイトカインレジメンは合計33日(IFNαで5日およびIL−2で28日)続き、所望の結果をこのより短い時間枠で達成することができる場合にそれをより魅力的にする。臨床試験CTL−02において、われわれは、連続する5日の投薬でわれわれの所望の効果に達することが可能であり、そして付加的な11の投与は必要とされなかった。試験CTL−03において、該試験に参入した31例の患者のなかで1例のみが、サイトカイン療法の単一周期を完了することを拒否した。全体に、該IL−2用量は、大部分の患者により良好に耐えられた。
所望の効果に達するために必要とされるサイトカインの量
フェーズI試験において、IL−2に加えて顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)およびIFN−α−2bを投与する組合せ免疫療法プロトコルにおけるIL−2の最小用量は、2〜4MIU/m2、皮下に3週間ごとに12日間であった。免疫活性化をモニターし、そしてリンパ球、活性化されたCD4+およびCD8+ T細胞、NK細胞、ならびに単球DR発現の有意の増大が見出された27。この試験でのIL−2の投与は、われわれが試験CTL−03で使用したものに類似であった(連続する4週間、連日皮下に投与される3MIU)が、しかしながら、われわれは、IL−2治療の開始時に有意の数の抗原特異的T細胞を患者に提供するという付加される利益を有する。
別の試験を、IL−2単独での前の免疫療法の間に進行していた癌患者での、松果体ホルモンメラトニン(MLT)および低用量IL−2の付随する投与の影響を評価するために開始した。進行性充実性腫瘍は肺、腎、胃、肝および黒色腫を包含した。IL−2は3MIUの1日用量を皮下に1週あたり6日、4週間;CTL−03で使用されたものにほとんど同一である投与で投与した。MLTは、IL−2の7日前に開始して、40mg/日の1日用量で経口で投与した。客観的腫瘍退縮が14例中3例の患者(21%)で示された。安定した疾患を伴うかもしくは応答を立証する患者は、疾患の進行を伴う患者に関して、リンパ球および好酸球の平均数の有意により大きな増大を伴い、IL−2に抵抗性の進行性充実性新生物はMLTの付随する投与によりIL−2療法に応答性になるかもしれないことを示した。MLTがIL−2の抗腫瘍免疫効果を高め、かつ/もしくはIL−2に誘導される細胞傷害性リンパ球により媒介される細胞溶解に対する癌細胞の感受性を増大させたことが可能である。
試験CTL−03で定義されたところのIFN−α−2bおよびIL−2の時間的調節および投与は、重要な腫瘍マーカー(クラスIおよび黒色腫関連抗原の発現)をアップレギュレートすることにより、溶解に対して黒色腫細胞を準備しかつ抗原特異的T細胞の持続性をもたらすことがありそうである。この結論は:1)各連続する細胞療法治療(cell therapy treatment)の開始時に検出された四量体陽性細胞の存在が検出された;2)二次もしくは記憶応答に似ている成長曲線が観察された;および3)インターフェロンγが、細胞治療の各周期のエクスビボプロトコルの第6日に評価された培養物上清中で産生された、という観察結果により支持される。IL−2およびその受容体の複合体の細胞および分子生物学の理解の進歩は、癌を伴う患者の免疫エフェクターを増大させかつ活性化するのにIL−2をより良好に利用するための理論的根拠を提供した。抗原特異的T細胞を生成させるための本明細書に記述されるエクスビボプロトコルは、非常に強い選択性を伴い、腫瘍部位に通じ(traffic)、黒色腫関連抗原を発現する腫瘍細胞を認識かつ溶解するための必要な表面分子の全部を有する大量のCD8+調製物をもたらす。CD8+細胞の表面上の高親和性IL−2受容体(CD25/CD122/CD132)の存在は、これらの細胞がインビボでより低用量のIL−2に応答することが可能であることを示唆する。
付加されたT細胞治療とともにのサイトカイン療法の組合せは、進行性転移性黒色腫を治療するための新規方法を表す。
前述の明細は本発明の原理を教示し、実施例は具体的説明の目的上提供される一方、本発明の実務は、以下の請求の範囲およびそれらの同等物の範囲内にあるところの通常の変形、翻案および/もしくは改変の全部を包含することが理解されるであろう。
以下に本発明の主な特徴と態様を列挙する。
1.a.天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(前記nnAPCは、ウイルス感染と関連する約15までの異なるペプチド分子を同時に提示することが可能であり、前記ペプチド分子はそれぞれが長さ約6ないし12アミノ酸であり);
b.被験体もしくは適するドナーからCD8細胞を収集すること;
c.前記CD8細胞を前記nnAPC細胞系で刺激すること;
d.馴化成長培地(CGM)もしくはIL−2、IL−7よりなる群から選択されるサイトカインを含有する培地に前記CD8細胞を加えること(前記サイトカインは個別にもしくは組合せで使用することができ);
e.前記被験体もしくは適するドナーから収集された懸濁されない末梢血単球もしくはCD−8枯渇末梢血単球を、約1ないし50μg/mlの、前記nnAPCが同時に提示することができる前記ペプチドの1種と混合すること;
f.前記末梢血単球懸濁物を、所望の末梢血単球を除く懸濁物中の全部の成分を無効にするのに必要な十分な線量のγ線放射で照射すること;
g.接着性末梢血単球を単離すること;
h.前記接着性末梢血単球に、約1μg/mlないし50μg/mlの前記各ペプチドを添加すること;
i.前記CD8細胞を、1の末梢血単球に対し約10のCD8細胞の比で、前記接着性末梢血単球と組合せること;および
j.前記被験体にCD8懸濁物を接種すること
を含んで成る、前記被験体における前記ウイルス感染の治療方法。
2.前記nnAPCが約10までのペプチド分子を提示することが可能である、1.記載の方法。
3.前記ペプチド分子が長さ約8ないし10アミノ酸である、1.記載の方法。
4.前記ペプチド分子が約10nMないし100μMの濃度範囲にある、1.記載の方法。
5.前記サイトカイン成分がIL−2である、1.記載の方法。
6.前記サイトカイン成分が、組合せのIL−2およびIL−7である、1.記載の方法。
7.γ線放射の線量が約3,000ないし7,000ラドである、1.記載の方法。
8.γ線放射の線量が約5,000ラドである、1.記載の方法。
9.a.腫瘍の表面上の腫瘍抗原の発現を高めることが可能である有効量のインターフェロン−αを、黒色腫を伴う被験体に投与すること;および
b.黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ、有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種すること
の段階を含んで成る、前記被験体の治療方法。
10.黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球のインビボ維持を高めることが可能である有効量のインターロイキン−2を前記被験体に投与することの段階をさらに含んで成る、9.記載の方法。
11.インターフェロン−αが、インターフェロン−α−2aもしくはインターフェロン−α−2bから選択される、10.記載の方法。
12.インターフェロン−αの有効量が約10MU/m/日であり、かつ、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種する前第5日から第1日まで連続して該被験体に皮下投与される、10.記載の方法。
13.黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球の有効量が、注入あたり約1〜10×10個の細胞である、10.記載の方法。
14.黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球が:
a)天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(前記nnAPCは前記黒色腫と関連する約15までの異なるエピトープを同時に提示することが可能であり、かつ、各エピトープは長さ8ないし10アミノ酸のペプチドであり);
b)前記黒色腫と関連する約15までの異なるエピトープをnnAPCに添加すること;c)前記被験体からCD8細胞を収集すること;
d)前記CD8細胞を、エピトープを添加されたnnAPC細胞系で刺激して黒色腫に特異的なCD8細胞を得ること;
e)黒色腫に特異的なCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する培地中で成長させること;
f)前記被験体から収集されたCD8枯渇末梢血単球を、nnAPC添加に使用された各エピトープと混合すること;
g)前記CD8枯渇末梢血単球をγ線放射で照射すること;
h)接着性のCD8枯渇末梢血単球を単離すること;
i)前記接着性末梢血単球に、nnAPC添加に使用された各エピトープを添加すること;
j)黒色腫に特異的な前記CD8細胞を、エピトープ添加された接着性末梢血単球で再刺激すること;
k)黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する培地中で成長させること;ならびに
l)黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、OKT3抗体刺激により増大させること
の段階を含んで成る方法により得られる、10.記載の方法。
15.段階(j)を最低もう1回反復することができる、14.記載の方法。
16.前記天然に存在しない抗原提示細胞系が、チロシナーゼ、gp100およびMART−1由来のペプチドであるエピトープを添加される、14.記載の方法。
17.前記天然に存在しない抗原提示細胞系が、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5および配列番号6のアミノ酸配列を含んで成るエピトープを添加される、16.記載の方法。
18.インターロイキン−2の有効量が約3MIU/日であり、かつ、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種した後第0日から第28日まで連続して被験体に皮下投与される、14.記載の方法。
19.該方法が約2ヶ月の間隔で反復される、14.記載の方法。
20.該方法が、最低2周期の間反復され、かつ、各周期後に前記被験体における応答を評価することの段階をさらに含んで成る、19.記載の方法。
21.a.黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球を被験体に接種する前第5日から第1日まで連続して、前記被験体に10MU/m/日のインターフェロン−α−2bを皮下投与すること;
b.注入あたり約1〜10×10個の細胞の、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球を被験体に導入すること;および
c.導入段階後第0日から第28日まで連続して約3MIU/日のインターロイキン−2を被験体に皮下投与すること
の段階を含んで成る、14.記載の方法。
発明にかかる、抗原提示細胞もしくは標的細胞(この場合は腫瘍細胞)との細胞傷害性Tリンパ球としてもまた知られるCD8細胞の間の相互作用のグラフィカルな描写である。 発明にかかる、リンパ球に媒介される細胞増加症の機構の2図のグラフィカルな描写である。 発明にかかる、ヒト空クラスI分子を発現するショウジョウバエ(Drosophila)細胞上に複数のペプチドを添加するのに使用することができるペプチド結合体を同定するための競争アッセイで数種の異なるペプチドを試験した実験の結果を示す。 発明にかかる黒色腫ペプチドがショウジョウバエ(Drosophila)細胞に単一のエピトープとして加えられた場合のCTLを生じさせる能力について試験された実験の結果を示す。本ドナー(#60)において、単独で3種の異なるショウジョウバエ(Drosophila)調製物に加えられた場合、ペプチドのそれぞれに対して、CTL活性が導き出された。応答の特異性を、高親和性結合体、対照HBcペプチドと比較した。 発明にかかる黒色腫ペプチドがショウジョウバエ(Drosophila)細胞に単一のエピトープとして加えられた場合のCTLを生じさせる能力について試験された実験の結果を示す。本ドナー(#60)において、単独で3種の異なるショウジョウバエ(Drosophila)調製物に加えられた場合、ペプチドのそれぞれに対して、CTL活性が導き出された。応答の特異性を、高親和性結合体、対照HBcペプチドと比較した。 発明にかかる黒色腫ペプチドがショウジョウバエ(Drosophila)細胞に単一のエピトープとして加えられた場合のCTLを生じさせる能力について試験された実験の結果を示す。本ドナー(#60)において、単独で3種の異なるショウジョウバエ(Drosophila)調製物に加えられた場合、ペプチドのそれぞれに対して、CTL活性が導き出された。応答の特異性を、高親和性結合体、対照HBcペプチドと比較した。 発明にかかる、4種までの異なるペプチドを単独でショウジョウバエ(Drosophila)細胞に加えた実験の一連の結果を示す。表されたペプチドのそれぞれに対するCTL活性が3週間の刺激プロトコル後にみられ、そしてこの図でグラフで描く。ドナー(#93)からの結果を表す。 発明にかかる、4種までの異なるペプチドを単独でショウジョウバエ(Drosophila)細胞に加えた実験の一連の結果を示す。表されたペプチドのそれぞれに対するCTL活性が3週間の刺激プロトコル後にみられ、そしてこの図でグラフで描く。ドナー(#94)からの結果を表す。 発明にかかる、4種までの異なるペプチドを単独でショウジョウバエ(Drosophila)細胞に加えた実験の一連の結果を示す。表されたペプチドのそれぞれに対するCTL活性が3週間の刺激プロトコル後にみられ、そしてこの図でグラフで描く。ドナー(#95)からの結果を表す。 発明にかかる、2種の異なる一次インビトロ刺激プロトコル後のCTL活性を示す。 発明にかかる、2種の異なる一次インビトロ刺激プロトコル後のCTL活性を示す。 発明にかかる、2種の異なる一次インビトロ刺激プロトコル後のCTL活性を示す。 発明にかかる、標準的刺激プロトコル後の単一ペプチドエピトープに対するCTL応答を導き出す、樹状細胞に対するショウジョウバエ(Drosophila)細胞の能力を比較する。 発明にかかる、成熟もしくは未熟いずれかの表現型を表す樹状細胞が、細胞に適用するのに規定されたペプチドを使用した場合に特異的CTL応答の導出においてショウジョウバエ(Drosophila)細胞ほど効率的でなかったことを示す。 発明にかかる、4種のペプチドを提示するインビトロ刺激プロトコルに対して単一ドナーにより生成されたCTL活性を示す。 発明にかかる、4種のペプチドを提示するインビトロ刺激プロトコルに対して単一ドナーにより生成されたCTL活性を示す。 発明にかかる、4種のペプチドを提示するインビトロ刺激プロトコルに対して単一ドナーにより生成されたCTL活性を示す。 発明にかかる、ショウジョウバエ(Drosophila)細胞に組合せで添加された10種のペプチドに対し生成されたCTL活性を示す。 発明にかかる、ヒトHLA−A2.1クラスI分子でトランスフェクトされたショウジョウバエ(Drosophila)細胞上でのHER−2ペプチド(826、835、861および863)のペプチド結合能力を示す。 発明にかかる、MART−1特異的エフェクター細胞に対する抗ペプチドおよび抗腫瘍応答を立証する。T2細胞にはMART−1ペプチドもしくは陰性対照(HBc)を添加した。Malme3Mは黒色腫系統であり、Malme3は非腫瘍細胞系である。 発明にかかる、2例の異なるドナーからのHER−2特異的CD8エフェクター細胞の四量体染色を示す。 発明にかかる、2例の異なるドナーからのHER−2特異的CD8エフェクター細胞の四量体染色を示す。 発明にかかる、ペプチド添加されたT2細胞で評価されたHER−2エフェクター細胞についての抗ペプチド応答を示す。 発明にかかる、HLA−A2.1でトランスフェクトされた場合の卵巣腫瘍細胞系(HTB−77)の高められた殺傷を立証する。 発明にかかる、HLA−A2.1でトランスフェクトされた場合の卵巣腫瘍細胞系(HTB−77)の高められた殺傷を立証する。 発明にかかる、HLA−A2.1でトランスフェクトされた場合の卵巣腫瘍細胞系(HTB−77)の高められた殺傷を立証する。 発明にかかる、HLA−A2.1でトランスフェクトされた場合の卵巣腫瘍細胞系(HTB−77)の高められた殺傷を立証する。 発明にかかる、HLA−A2.1でトランスフェクトされた場合の乳癌細胞系(HTB−133)の高められた殺傷を示す。 発明にかかる、腫瘍細胞系HTB−77/A2.1の溶解を立証するのにIFNγ前処理が必要とされることを示す。 発明にかかる、HLA−A2およびHER−2の表面発現が、2種の細胞系(HTB−77およびHTB−77/A2.1)でのIFNγ誘導により影響を及ぼされないことを立証する。 発明にかかる、どのタンパク質のmRNAレベルがIFNγでの誘導後にHTB−77/A2.1細胞中で上昇されるかを示す。 発明にかかる、臨床試験CTL−03の実験の概要を示す。 発明にかかる、A)臨床試験CTL−02下の1例の患者(15−RT)から単離されたCTL細胞のインビトロ成長曲線を示す。細胞は:99年9月28日(15−RT−1)、99年11月22日(15−RT−2)および99年2月15日(15−RT−3)に開始する3治療周期のそれぞれの第0日に患者から単離し、そしてインビトロで培養した。B)臨床試験CTL−03下の1例の患者(01−KN)から単離されたCTL細胞のインビトロ成長曲線を示す。細胞は:00年10月30日(01−KN−1)、01年1月30日(01−KN−2)および01年4月9日(01−KN−3)に開始する3治療周期のそれぞれの第0日に患者から単離し、そしてインビトロで培養した。 発明にかかる、黒色腫抗原特異的T細胞の数が試験CTL−03の治療の1周期後の患者で増大したことを示す。gp100もしくはMART−1ペプチドのいずれかを用いて調製されたHLA−A2.1四量体分子を使用して、白血球成分分取サンプルから得られた精製されたCD8+調製物中の抗原特異的T細胞の存在をモニターした。四量体陽性細胞のパーセント(%)は、第一(I)および第二(II)の白血球成分分取サンプルの時点で記録し、これらは約2ヶ月離れていることができた。 発明にかかる、CTLの細胞溶解活性、抗原特異性および細胞増殖を測定するのに使用された3種の異なるインビトロアッセイの間の相関を示す。3種の異なるアッセイを、エクスビボ刺激プロトコル(CTL−03)の終了時に、CD8+ CTL調製物の全部で実施した。全3種のアッセイは、一般に、最終的な大量の培養物の構成を決定することについて一致する。この特定の調製物において、生成物中のT細胞の大多数はgp100ペプチド(817)に向けられた。CTL活性は細胞の細胞溶解およびエフェクター機能を規定する。四量体染色は抗原特異的細胞の頻度を決定し、また、細胞内IFN−γ染色は特定のペプチドに応答するT細胞の能力を反映する。 発明にかかる、試験CTL−03における治療の各反復周期を伴う周期の同一の時間点でのインターフェロンγの量の増大を示し、周期の同一の時間点での記憶T細胞の存在を示唆する。インターフェロンγは、ショウジョウバエ(Drosophila)細胞での一次刺激6日後のエクスビボ培養物の上清で測定した。 発明にかかる、実施例2に記述される臨床試験で各患者に投与された周期の数および細胞の用量を具体的に説明する。各用量の効力は、CD8+細胞の数に、標的細胞上に添加されたペプチドの組合せの溶解について記録された溶解単位を掛けることにより計算した。

Claims (13)

  1. a.腫瘍の表面上の腫瘍抗原の発現を高めることが可能である有効量のインターフェロン−αを、黒色腫を伴う被験体に投与すること;および
    b.黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ、有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種すること
    の段階を含んで成る、前記被験体の治療方法。
  2. 黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球のインビボ維持を高めることが可能である有効量のインターロイキン−2を前記被験体に投与することの段階をさらに含んで成る、請求項1記載の方法。
  3. インターフェロン−αが、インターフェロン−α−2aもしくはインターフェロン−α−2bから選択される、請求項2記載の方法。
  4. インターフェロン−αの有効量が10MU/m/日であり、かつ、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種する前第5日から第1日まで連続して該被験体に皮下投与される、請求項2記載の方法。
  5. 黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球の有効量が、注入あたり1〜10×10個の細胞である、請求項2記載の方法。
  6. 黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球が:
    a)天然に存在しない抗原提示細胞系(nnAPC)を調製すること(前記nnAPCは前記黒色腫と関連する15までの異なるエピトープを同時に提示することが可能であり、かつ、各エピトープは長さ8ないし10アミノ酸のペプチドであり);
    b)前記黒色腫と関連する15までの異なるエピトープをnnAPCに添加すること;
    c)前記被験体からCD8細胞を収集すること;
    d)前記CD8細胞を、エピトープを添加されたnnAPC細胞系で刺激して黒色腫に特異的なCD8細胞を得ること;
    e)黒色腫に特異的なCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する培地中で成長させること;
    f)前記被験体から収集されたCD8枯渇末梢血単球を、nnAPC添加に使用された各エピトープと混合すること;
    g)前記CD8枯渇末梢血単球をγ線放射で照射すること;
    h)接着性のCD8枯渇末梢血単球を単離すること;
    i)前記接着性末梢血単球に、nnAPC添加に使用された各エピトープを添加すること;
    j)黒色腫に特異的な前記CD8細胞を、エピトープ添加された接着性末梢血単球で再刺激すること;
    k)黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、IL−2およびIL−7を含有する地中で成長させること;ならびに
    l)黒色腫に特異的な再刺激されたCD8細胞を、OKT3抗体刺激により増大させること
    の段階を含んで成る方法により得られる、請求項2記載の方法。
  7. 段階(j)を最低もう1回反復することができる、請求項6記載の方法。
  8. 前記天然に存在しない抗原提示細胞系が、チロシナーゼ、gp100およびMART−1由来のペプチドであるエピトープを添加される、請求項6記載の方法。
  9. 前記天然に存在しない抗原提示細胞系が、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5および配列番号6のアミノ酸配列を含んで成るエピトープを添加される、請求項8記載の方法。
  10. インターロイキン−2の有効量が3MIU/日であり、かつ、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ有効量の自己の細胞傷害性Tリンパ球を前記被験体に接種した後第0日から第28日まで連続して被験体に皮下投与される、請求項6記載の方法。
  11. 該方法が2ヶ月の間隔で反復される、請求項6記載の方法。
  12. 該方法が、最低2周期の間反復され、かつ、各周期後に前記被験体における応答を評価することの段階をさらに含んで成る、請求項11記載の方法。
  13. a.黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球を被験体に接種する前第5日から第1日まで連続して、前記被験体に10MU/m/日のインターフェロン−α−2bを皮下投与すること;
    b.注入あたり1〜10×10個の細胞の、黒色腫関連標的抗原に対する特異性をもつ自己の細胞傷害性Tリンパ球を被験体に導入すること;および
    c.導入段階後第0日から第28日まで連続して3MIU/日のインターロイキン−2を被験体に皮下投与すること
    の段階を含んで成る、請求項6記載の方法。
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