JP2010234508A - セラミック焼結体、被覆セラミック焼結体、切削インサート、及び切削工具 - Google Patents

セラミック焼結体、被覆セラミック焼結体、切削インサート、及び切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】セラミック焼結体の表面に十分な厚み有し密着性の高い硬質被膜を形成でき、高い耐摩耗性や長寿命を実現できるセラミック焼結体、被覆セラミック焼結体、切削インサート、及び切削工具を提供すること。
【解決手段】非導電性セラミックスを主体とし、導電性の硬質成分として、タングステン及び/又はチタンの炭化物、窒化物、炭窒化物を含むセラミック焼結体1に対して、物理蒸着法によってセラミック硬質膜2を被覆して被覆セラミック焼結体を作製し、この被覆セラミック焼結体により切削インサート3を構成する。このセラミック焼結体1は導電性を有しているので、物理蒸着法によってセラミック焼結体の表面に十分な膜厚を有し強固に密着するセラミック硬質膜2を形成することができる。従って、この被覆セラミック焼結体からなる切削インサート3は、高い耐摩耗性を有し長寿命を実現することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、セラミック焼結体、該セラミック焼結体を用いた被覆セラミック焼結体、該被覆セラミック焼結体からなる切削インサート、及び該切削インサートを用いた切削工具に関する。
従来より、自動車用部品等の材料として、鋳鉄が利用されており、鋳鉄の加工には、窒化珪素焼結体を用いた工具が広く使用されている。この窒化珪素焼結体を用いた工具は、鋳鉄の切削時において、高い耐欠損性、耐摩耗性、耐熱衝撃性等を有している(特許文献1参照)。
また、近年では、自動車用部品等の金属部品は、部品の軽量化を目的として、普通鋳鉄からアルミニウム合金やダクタイル鋳鉄への材料の転換がされつつある。
このダクタイル鋳鉄の切削加工には、例えば、硬質な炭窒化チタンを複合化した窒化珪素工具(引用文献2参照)、または、熱伝導率、破壊靱性値を向上させた窒化珪素工具や、表面に硬質炭素等の被膜が形成された超硬工具が利用されている(引用文献3〜5参照)。このうち、超硬工具は、耐摩耗性が優れ、製造コストが安いという利点がある。
特開平11−268957号公報 特開2005−239443号公報 特開2003−145316号公報 特開平11−291104号公報 特開2003−212659号公報
しかしながら、窒化珪素焼結体の硬度、耐反応性向上を目的として、炭窒化チタン粒子を複合化した場合には、窒化珪素粒子と炭窒化チタン粒子との熱膨張差から、ダクタイル鋳鉄の切削時に、熱衝撃によって、クラックが発生し刃先欠損が生じることがある。従って、前記特許文献2に記載の窒化珪素工具を用いてダクタイル鋳鉄の切削加工を行うと、刃先欠損が発生し、十分な寿命が得られない。
また、ダクタイル鋳鉄の切削時の刃先欠損の原因としては、熱衝撃によるクラック以外に、被削材との衝突により発生するクラックがある。このクラックの発生の原因となる応力集中を抑制するためには、窒化珪素焼結体中の粗大粒子を抑制する必要がある。従って、引用文献5に記載の窒化珪素工具のように、単に熱伝導率を高くして、熱衝撃によるクラックを抑制するだけでは、ダクタイル鋳鉄の切削加工時の刃先欠損を抑制できず、十分な寿命が得られない。
高能率な高速切削加工を行う場合、超硬工具は、高速切削時の発熱により刃先が塑性変形してしまう結果、摩耗量が増大し、短寿命化という問題が生じる。また、表層に硬質炭素等の被膜を形成すると、ダクタイル鋳鉄からなる材料の切削時における被膜の剥離という問題が生じる。
上述した問題は、自動車部品に限られるものではなく、種々の機械、装置に用いられるダクタイル鋳鉄からなる材料の切削加工時においても生じる課題である。
この対策として、高硬度で強度の高いセラミックス切削工具に、硬質被膜のコーティングを行うことが考えられる。
しかしながら、従来のセラミック焼結体の表面に、例えば化学蒸着法(CVD)で得られる3μm以上の厚膜を備えた工具の場合には、化学蒸着法は高い温度でコーティングする手法を用いるため、その熱的損傷により刃先の鋭利さが損なわれる恐れがある。一方、従来のセラミック焼結体の表面に、例えば物理蒸着法(PVD)によって薄膜を形成する場合には、基材が絶縁体であるため、その製法上十分な厚みを有する膜を形成することができず、また、切削加工に耐えうるほどの密着性も得ることができない。
つまり、切削インサート等の基材(セラミック焼結体)において、その基材に導電性を持たせたこと及びその基材が耐摩耗性に優れていることの2点を両立したセラミック焼結体は従来なく、本発明は、従来技術から容易に類推できるものではない。
本発明は、この様な問題点に鑑みてなされたのであり、セラミック焼結体の表面に、密着性が高く且つ十分な厚みを有する硬質被膜を形成でき、それによって、高い耐摩耗性や長寿命を実現できるセラミック焼結体、被覆セラミック焼結体、切削インサート、及び切削工具を提供することを目的とする。
・本発明は、物理蒸着法によってセラミック硬質膜が被覆される(即ち被覆対象の)セラミック焼結体であって、非導電性セラミックスを主体とし、導電性の硬質成分として、タングステン及び/又はチタンの炭化物、窒化物、炭窒化物を含むことを特徴とする。
本発明では、セラミック硬質膜の被覆対象であるセラミック焼結体(即ち物理蒸着法によってセラミック硬質膜が被覆される被覆セラミック焼結体の基体)として、非導電性セラミックスを主体とし、導電性の硬質成分として、タングステン及び/又はチタンの炭化物、窒化物、炭窒化物を含むセラミック焼結体を用いる。
従って、本発明のセラミック焼結体自体、高い耐摩耗性を有する。
また、本発明のセラミック焼結体は、セラミック硬質膜をコーティングするための基材として優れている。つまり、このセラミック焼結体は導電性を有しているので、物理蒸着法によって、セラミック焼結体の表面に強固に密着し且つ十分な膜厚(即ち高い耐摩耗性を発揮できる十分な膜厚)を有するセラミック硬質膜を形成することができる。従って、このセラミック焼結体を基体とする被覆セラミック焼結体は、高い耐摩耗性を有し、長寿命を実現することができる。
本発明にて添加する導電性の硬質成分としては、「(A)タングステンの炭化物、窒化物、炭窒化物」、「(B)チタンの炭化物、窒化物、炭窒化物」、「前記(A)成分及び(B)成分の両方」が挙げられる。
具体的には、例えばタングステンについては、WC、WCN、WNが挙げられ、チタンについては、TiC、TiN、TiCNが挙げられる。なお、セラミック焼結体の製造時の材料として、W単体やTi単体を添加しても良く、その場合は、焼結する際に、前記炭化物、窒化物、炭窒化物に転化する。
また、本発明では、前記導電性の硬質成分を、外体積%で10〜40体積%(非導電性セラミック成分に対する外体積%)含んでいてもよい。
つまり、導電性の硬質成分を、10〜40体積%含むことにより、電気抵抗値を十分に下げることができるので、好適に物理蒸着を行うことができる。
なお、導電性の硬質成分が40体積%を超える場合には、焼結性が低下し、例えば切削インサートの基材として用いる場合に必要なレベルまで緻密化ができず、その結果、焼結体中にマイクロポアが発生し、基材の強度が低下する。
更に、本発明では、前記電気抵抗値を、22MΩ以下としてもよい。
つまり、電気抵抗値を22MΩ以下として十分な導電性を確保することにより、好適に物理蒸着を行うことができる。
なお、本発明では、前記非導電性セラミックスとして、サイアロン又はアルミナを採用できる。従って、セラミック焼結体としては、窒化珪素にアルミニウム及び酸素が置換固溶したサイアロン焼結体、又はアルミナ焼結体が挙げられる。
・本発明(被覆セラミック焼結体)は、前記セラミック焼結体の表面に、Al及び/又はTiを含有するセラミック硬質膜を備えたことを特徴とする。
本発明は、上述した導電性を有するセラミック焼結体の表面に、物理蒸着によって、Al及び/又はTiを含有するセラミック硬質膜を形成したものであるので、セラミック硬質膜はセラミック焼結体の表面に強固に密着している。また、セラミック硬質膜の膜厚も十分に確保できる。従って、セラミック硬質膜が剥離しにくく、耐摩耗性に優れている。
なお、セラミック硬質膜におけるAl、Ti以外の成分としては、Nが挙げられ、Al及びTiとNの割合(モル比)は、Al及びTiを1とした場合、Nは0.7〜1.3が挙げられる。
また、セラミック硬質膜としては、例えばTiAlN、TiC、TiN、TiCN、TiAlCN、TiAlBN、TiAlBCNが挙げられる。更に、TiAlNにCrやSiを加えた硬質膜(TiSiAlN、TiCrAlN、TiCrSiAlN等)も挙げられる。
更に、本発明では、前記セラミック硬質膜の厚みを1〜3μmとしてもよい。
つまり、セラミック硬質膜の厚みを1μm以上と十分に厚くすることにより、高い耐摩耗性を有する。また、その厚みを3μm以下とすることにより、刃先の鋭利さを確保するとともに、セラミック硬質膜の密着性が高いという利点がある。
・本発明(切削インサート)は、前記被覆セラミック焼結体からなることを特徴とする。
本発明の切削インサートは、上述した被覆セラミック焼結体から構成されているので、高い耐摩耗性を有し、長寿命を実現することができる。
本発明の切削インサートは、ダクタイル鋳鉄の切削加工用として用いることができる。
・本発明(切削工具)は、前記切削インサートが取り付けられたことを特徴とする。
本発明の切削工具には、上述した切削インサートが取り付けられているので、耐摩耗性が高く、好適に切削を行うことができる。
実施例の切削インサートを一部破断して示す斜視図である。 ホルダに切削インサートを装着した切削工具を示す平面図である。 フライスカッター用ホルダに切削インサートを装着した切削工具を示す正面図である。 電気抵抗値と導電性材料の添加量との関係を示すグラフである。 実験方法を説明する説明図である。 VB摩耗量の実験結果を示すグラフである。 前逃げ摩耗量の実験結果を示すグラフである。 刃先後退量の実験結果を示すグラフである。
以下、本発明のセラミック焼結体、被覆セラミック焼結体、切削インサート、及び切削工具の実施例を、図面を用いて説明する。
a)まず、本実施例のセラミック焼結体にセラミック硬質膜を被覆した被覆セラミック焼結体の製造方法を説明する。
<導電性を有するセラミック焼結体の製造方法>
非導電性セラミックスとして、平均粒径1.0μm以下の、窒化珪素粉末、酸化アルミニウム粉末、窒化アルミニウム粉末、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムとを、合計100体積%となるように配合し、また、導電性の硬質成分として、平均粒径2.0μm以下の、炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン、炭化タングステンとを、下記表1(試料No.1〜15)の体積比率(外体積%)で配合した。
なお、導電性の硬質成分として、金属チタン、金属タングステンを用いてもよい。
次に、配合された粉末を、エタノール溶媒を用いた湿式にて、20時間の粉砕・混合を行い、この粉砕・混合により得られたスラリーを湯煎乾燥し、マイクロワックス系のバインダーを加え造粒して粉末を得た。
次に、造粒した粉末を、3000kgf/cm2の圧力で、冷間等方圧加圧(Cold Isostatic Pressing:CIP)成形により成形した。
続いて、CIP成形により成形された成形体を、3気圧の窒素(N2)雰囲気、1700℃〜1800℃の範囲に昇温し、その温度で2時間の温度保持を行った(1次焼成)。
更に、1次焼成された成形体を2次焼成した。具体的には、1次焼成された成形体を、1000気圧の窒素(N2)雰囲気下において、1550℃〜1700℃、好ましくは、1620℃〜約1680℃に昇温し、その温度で3時間保持した。
こうして得られたセラミック焼結体を、ISO規格でSPGN120412の形状に研磨した。
これにより、電気抵抗値が22MΩ以下の導電性を持ったセラミック焼結体1(図1参照)を製造した。
<セラミック硬質膜の形成方法>
次に、上述の様にして製造したセラミックス焼結体1に、PVD法(物理蒸着法)にて窒化チタンアルミコーティングを施し、セラミックス焼結体1の表面にセラミック硬質膜2を被覆した。これにより、セラミック硬質膜2に覆われた被覆セラミック焼結体からなる切削インサート3(図1参照)を製造した。
具体的には、コーティングチャンバー内を、1×10-5torrまで減圧した後、ヒータにてセラミック焼結体1を550℃まで昇温した。
次に、TiAlターゲットに50〜100Aの直流電源を印加してアーク放電させ、続いてセラミック焼結体1に対するバイアス電圧を100Vに調整し、その状態で高純度窒素ガスを導入して、セラミック焼結体1の表面に窒化チタンアルミからなる被膜(セラミック硬質膜)2を生成させた。
セラミック硬質膜2の厚みは 窒素を流しアークイオン流を発生させた状態での保持時間により調整した。
なお、セラミック硬質膜2として、チタン化合物膜を形成したい場合は、チタン金属のターゲットを用い、チタン・アルミ化合物膜を形成したい場合は、チタン・アルミ合金のターゲットを使用する。
そして、上述した製造方法により製造された切削インサート3は、例えば図2に示す様に、柱状のホルダ4の先端に取り付けられ、例えばダクタイル鋳鉄の外径加工用等の切削工具5として用いられる。また、例えば図3に示す様に、フライスカッター用の円柱状のホルダ6の先端に取り付けられ、フライスカッター(切削工具)7として用いられる。
b)次に、本発明の効果を確認するために行った実験例について説明する。
実験に使用するために、下記表1に示す材料を用い、上述した製造方法によって、導電性を有するセラミック焼結体にセラミック硬質膜を被覆した被覆セラミック焼結体からなる切削インサート(本発明例:試料No.1〜15)を作製した。また、試料No.16、17については、導電性を有する硬質成分の添加以外は定法のアルミナ焼結体の製造方法に基づいてセラミック焼結体を製造し、そのセラミック焼結体にセラミック硬質膜を被覆した。
なお、表2の試料No.7、7−2、7−3、7−4においては、切削インサートの基材となるセラミック焼結体の組成は同じであるが、セラミック硬質膜(コーティング膜)の材質が異なる。
また、導電性を有しないセラミック焼結体にセラミック硬質膜を被覆した被覆セラミック焼結体からなる切削インサート(比較例:試料No.E)を作製した。更に、本発明とは異なる材料により導電性を付与したセラミック焼結体にセラミック硬質膜を被覆した被覆セラミック焼結体からなる切削インサート(比較例:試料No.A)も作製した。なお、比較例の試料No.B、C、Dについては、市販品を使用した。
そして、各試料に対して、下記(1)〜(6)の観察や実験を行った。その結果を下記
表2〜表5に記す。
(1)切削インサートの観察
各試料の切削インサートの刃先を観察したところ、本発明の試料(No.1〜17)は、自己破壊などの欠陥は観察出来ず、良好な刃先を有していた。
(2)セラミック焼結体の導電性
・各試料の切削インサートのセラミック焼結体の導電性を調べた。具体的には、4端子法により、セラミック焼結体の電気抵抗値を求めた。
その結果、表2に示す様に、特に本発明の試料(No.1、3〜15)は、電気抵抗値は、22MΩ以下であり、物理蒸着法によって好適なセラミック硬質膜を形成するのに、十分な導電性を有していることが分かった。
また、試料No.2の場合は、ある程度の耐摩耗性があるが、電気抵抗値が45MΩと大きいので、セラミック硬質膜の膜厚が薄く、かつ密着性が低い。なお、試料No.16、17の場合は、導電性の硬質成分の分散の程度が安定しない。そのため、電気抵抗値が22MΩ以下の試料と、22MΩを超える試料とができる場合がある。
・また、これとは別に、基体である非導電性セラミックス(例えばサイアロンA)に、導電性の硬質成分として例えばTiCNを添加するとともに、その添加量を徐々に増加させたセラミック焼結体をそれぞれ製造し、その電気抵抗値を調べた。
その結果を図4に示すが、添加量が10体積%(外体積%)以上であれば、電気抵抗値が22MΩ以下と低くなり、十分な導電性が得られることが分かる。
(3)セラミック硬質膜の膜厚
各試料の切削インサートのセラミック硬質膜の厚みを測定するため、皮膜断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。セラミック硬質膜の厚みは、厚みが最大の箇所で測定を行い、粒状のチタン・アルミ化合物が皮膜表面に生成している、いわゆるドロップレットが発生している試料については、ドロップレットも含めた厚みを、セラミック硬質膜の厚みとした。
その結果、表2に示す様に、特に本発明の試料No.1、3〜15では、被膜の厚さは1μm以上であり、ダクタイル鋳鉄等の切削加工に必要な十分な厚みを有していた。
なお、セラミック硬質膜が3μm以上の場合には、セラミック硬質膜に剥離が見られ、切削性能に悪影響がある。
(4)セラミック硬質膜の密着性
各試料の切削インサートのセラミック硬質膜の密着性を調べるために、ロックウェル硬度計を用いて皮膜表面に60kgfで圧子を打ち込み、その圧痕周りの皮膜の剥離を調査した。
その結果、表2に示す様に、特に本発明の試料No.1、3〜15は、圧痕周りの被膜に剥離は確認できず、被膜の密着性は良好であった。なお、表2では、剥離が無い場合を「良」と示してあり、「剥離アリ」は剥離が見られることがあるとの意味である。
本発明の試料No.16、17においては、電気抵抗値が22MΩ以下の試料の場合は密着性が良いが、導電性が悪い試料ができる場合があり、その時には、セラミック硬質
膜の密着性が悪く、剥離が生じることがある。
なお、セラミック硬質膜の密着性については、本発明者等により、同程度の膜厚で比較した場合、TiCN、TiCよりも、TiAlNの方が優れていることが確認されている。
(5)切削インサートの耐摩耗性(その1)
各試料の切削インサートを用いて、以下の切削条件で切削試験を行って、切削インサートにおけるVB摩耗量を測定した。
被削材の形状は、外径240mm、長さ200mmの円筒状であり、図5に示す様に、切削は、固定具に取り付けた被削材に対して、ホルダに切削インサートを取り付けた切削工具を矢印の方向に移動させて行った。
被削材:ダクタイル鋳鉄(JIS−FCD600)
切削速度:500m/min
送り速度:0.1mm/刃
切り込み深さ:1.0mm
切削油:なし
実験の結果を、下記表2に示すが、特に本発明の切削インサートの試料(No.1〜15)のVB摩耗量が少なく、比較例に比べて耐摩耗性に優れていることが分かる。
本発明の試料No.16、17においては、電気抵抗値が22MΩ以下の試料の場合は密着性が良く、VB摩耗は、0.18mmであったが、導電性が悪く密着性の悪い試料では、切削初期にセラミック硬質膜に剥離が生じることがある。なお、表2では、その様に剥離してしまう場合があることを、「切削初期に剥離アリ」としている。
なお、比較例の試料No.Aは、本発明例と比べて焼結性が悪く、耐摩耗性、耐欠損性等の基材自体の性能が低く、好ましくない(切削負荷や切削距離を伸ばすと刃先が欠損してしまう)。比較例の試料No.B〜Dは、膜厚が薄いので、耐摩耗性が悪く、また、基材に導電性が無いため、本発明例に比べてセラミック硬質膜の基材との密着性が低く、切削加工において剥離が起こることがある。比較例の試料No.Eは、膜厚が薄いので、耐摩耗性
が悪い。
(6)切削インサートの耐摩耗性(その2)
下記表3〜表5の各試料の切削インサートを用いて、前記(5)切削インサートの耐摩耗性(その1)と同じ切削条件で切削試験を行って、切削インサートにおけるVB摩耗量、前逃げ摩耗量、刃先後退量を測定した。ここでは、セラミック硬質膜の被覆の無いものと有るものの両方で実験を行った。
実験の結果を、下記表3〜表5及び図6〜図8に示すが、本発明の範囲の切削インサートの試料(No.7〜9)の切削性能は、比較例の切削インサートの試料(No.E)と比較して、耐摩耗性が高く、長寿命を実現できることが分かる。
また、前記表3〜表5の耐摩耗性の実験結果を、前記表2にまとめて示すが、同表の○は比較例の試料No.Eに対して耐摩耗性が優れていることを示している。なお、同表の×は、○よりも耐摩耗性が劣ることを示している。
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
1…セラミック焼結体
2…セラミック硬質膜
3…切削インサート
5…切削工具
7…フライスカッター

Claims (9)

  1. 物理蒸着法によってセラミック硬質膜が被覆されるセラミック焼結体であって、
    非導電性セラミックスを主体とし、導電性の硬質成分として、タングステン及び/又はチタンの炭化物、窒化物、炭窒化物を含むことを特徴とするセラミック焼結体。
  2. 前記導電性の硬質成分を、外体積%で10〜40体積%含むことを特徴とする請求項1に記載のセラミック焼結体。
  3. 前記電気抵抗値が、22.2MΩ以下であることを特徴とする前記請求項1又は2に記載のセラミック焼結体。
  4. 前記非導電性セラミックスは、サイアロン又はアルミナであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセラミック焼結体。
  5. 前記請求項1〜4のいずれかに記載のセラミック焼結体の表面に、Al及び/又はTiを含有するセラミック硬質膜を備えたことを特徴とする被覆セラミック焼結体。
  6. 前記セラミック硬質膜の厚みは、1〜3μmであることを特徴とする請求項5に記載の被覆セラミック焼結体。
  7. 前記請求項5又は6に記載の被覆セラミック焼結体からなることを特徴とする切削インサート。
  8. 前記切削インサートは、ダクタイル鋳鉄の切削加工用であることを特徴とする請求項7に記載の切削インサート。
  9. 前記請求項7又は8に記載の切削インサートが取り付けられたことを特徴とする切削工具。
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