JP2010234264A - エチレンオキシド製造用触媒およびエチレンオキシドの製造方法 - Google Patents

エチレンオキシド製造用触媒およびエチレンオキシドの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】触媒の選択性および触媒寿命(耐久性)に優れるエチレンオキシド製造用触媒を提供する。
【解決手段】比表面積が1.0〜3.0m/g、Si含有量(SiO換算)が0.1〜1.0質量%、およびNa含有量(NaO換算)が0.001〜0.15質量%である担体に、銀(Ag)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)及びモリブデン(Mo)を含む触媒成分を担持してなる、エチレンオキシド製造用触媒。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレンオキシド製造用触媒およびエチレンオキシドの製造方法に関する。詳細には、本発明は、選択性および触媒寿命(耐久性)に優れ、長期にわたって高い選択率でエチレンオキシドを製造しうる触媒およびこの触媒を用いたエチレンオキシドの製造方法に関する。
エチレンを銀触媒の存在下で分子状酸素含有ガスにより接触気相酸化してエチレンオキシドを製造することは工業的に広く行われている。この接触気相酸化に用いる銀触媒については、その担体、担持方法、反応促進剤の種類やその添加量などに関し、多くの技術が提案されている。
例えば、触媒成分に注目して、アルカリ金属とレニウムとを促進剤として併用することにより、触媒の選択性を向上させる技術が開示されている(特許文献1、2)。特許文献1には、触媒成分としてレニウム/その化合物及びアルカリ金属等の他の金属/その化合物、ならびに20m/g未満の表面積を有する支持体を含有する、エチレンオキシド製造用触媒組成物が開示される。また、特許文献2には、銀金属と、レニウム、タングステン、モリブデン/その化合物と、ルビジウムまたはセシウムの一部をカリウムで置換した成分とを、500m/kg以上の表面積を有する担体上に堆積してなるエチレンオキシド製造用触媒組成物が開示される。
一方、銀、レニウムを触媒成分として使用した触媒における担体に注目して、触媒の活性、選択性を向上させる技術が開示されている(特許文献3、4)。特許文献3では、担体の細孔、特にある特定の範囲内の孔径を有する細孔がもたらす細孔径分布および細孔容積の性質が重要な役割を果たす点に注目し、少なくとも1m/gの表面積と、0.2μmから10μmまでの範囲の直径を有する細孔が細孔容積の合計の少なくとも70%に相当し、かつ該細孔が合わせて担体の重量に対して、少なくとも0.27ml/gの細孔容積を与えるような細孔径分布とを有する担体上に触媒の重量に対して少なくとも10g/kgの量で析出させた銀とを含む触媒が開示される。また、特許文献4には、銀(Ag)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)を触媒成分として含む酸化エチレン製造用触媒において、担体中のSiやNa成分含有率を調節することにより、Reの助触媒作用を高めて選択性を改良することができることに注目し、担体として、比表面積が0.6〜3.0m/g、かつSiO/NaO換算値で2〜50である担体を使用することが開示される。
特開昭63−126552号公報 特表2006−521927号公報 特表2005−518276号公報 特開2007−301553号公報
上記特許文献1、2では、助触媒としてのレニウムに注目して、触媒の選択性を向上させることを主題としていた。しかしながら、レニウムを添加した触媒は、レニウムの酸化状態の変化や移動・凝集などが起こりやすく、触媒の耐久性という面で問題があった。特許文献1、2では、この問題については何ら触れずに、触媒の選択性を主張している。
また、特許文献3では、担体として、少なくとも1m/gの表面積と、0.2μmから10μmまでの範囲の直径を有する細孔が細孔容積の合計の少なくとも70%に相当する担体が使用される。ここで、担体の表面積は、最も好ましくは1.6〜2.2m/gである(段落「0022」)。しかしながら、このような大きな表面積は銀を担持させる上では有効であるが、レニウムを触媒成分として使用する場合には、触媒組成によっては、触媒成分の移動などが生じ、触媒の耐久性が著しく低下する。
さらに、特許文献4では、触媒の選択性向上の観点から、担体中のNa含有率がNaO換算値で通常0.05〜0.50重量%、好ましくは0.16〜0.45重量%であることが記載されている(請求項3、段落「0016」)。しかしながら、このようなNa含有率では、触媒反応とともに進行する担体内部から表面への微量のナトリウム成分の移動が、触媒表面の銀と助触媒の間の相互作用を変化させ、触媒組成によっては、選択率及び活性の急激な低下を引き起こすという問題がある。
ゆえに、触媒の選択性および触媒寿命(耐久性)双方を十分満足するエチレンオキシド製造用触媒の開発が希求されているものの、いまだ実現していない。
したがって、本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、触媒の選択性および触媒寿命(耐久性)に優れるエチレンオキシド製造用触媒を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記触媒を用いてエチレンオキシドを製造する方法を提供することをも目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、銀、セシウム(Cs)、レニウム(Re)及びモリブデン(Mo)を触媒成分として含む触媒に使用される担体の比表面積、ケイ素(Si)含有量及びナトリウム(Na)含有量を特定の範囲に制御することにとよって、選択性および触媒寿命(耐久性)双方を十分満足するエチレンオキシド製造用触媒が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的は、比表面積が1.0〜3.0m/g、Si含有量(SiO換算)が0.1〜1.0質量%、およびNa含有量(NaO換算)が0.001〜0.15質量%である担体に、銀(Ag)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)及びモリブデン(Mo)を含む触媒成分を担持してなる、エチレンオキシド製造用触媒によって達成される。
また、上記目的は、本発明の触媒の存在下にエチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化することによりなるエチレンオキシドの製造方法によっても達成される。
本発明のエチレンオキシド製造用触媒は、選択性および触媒寿命(耐久性)に優れる。このため、本発明の触媒を使用することによって、エチレンオキシドを長期に亘って高選択率で製造できる。
本発明は、比表面積が1.0〜3.0m/g、Si含有量(SiO換算)が0.1〜1.0質量%、およびNa含有量(NaO換算)が0.001〜0.15質量%である担体に、銀(Ag)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)及びモリブデン(Mo)を含む触媒成分を担持してなる、エチレンオキシド製造用触媒を提供する。
一般的に、触媒の選択性と触媒寿命は、相反する関係にある。このため、上述したように、選択性および触媒寿命(耐久性)双方に優れるエチレンオキシド製造用触媒について、従来、様々な研究がなされてきたにもかかわらず、なかなか実現されてきていないのが現状である。エチレンオキシドの生産規模は、年間1800万トンと、非常に大きい。このため、例えば、100日後の選択率の低下が僅か1%抑えられるだけでも、原料エチレンの使用量が著しく節約され、その経済的効果は非常に大きい。このような事情から、より優れた触媒性能(選択性及び耐久性)を有する銀触媒の開発が当該技術分野の研究者の継続的なテーマとなっている。
また、触媒の分野では、一般的に、担体の物性や組成ならびに触媒成分の種類や量の組合せにより、触媒は異なる性能を示すことが知られており、所望の性能に合致する組合せを見出すことは困難である。ここで、銀、セシウム(Cs)及びレニウム(Re)を含む触媒(Ag/Cs/Re触媒)は、銀及びCsを含む触媒(Ag/Cs触媒)に比して、選択率が向上する。また、上記触媒にReの補助促進剤であるモリブデン(Mo)を加えた触媒(Ag/Cs/Re/Mo触媒)は、選択率、特に初期選択率が向上する。しかし、このようなAg/Cs/Re/Mo触媒は、Moを含まないAg/Cs/Re触媒に比して、劣化速度が非常に速くなり、耐久性の面で問題があった。本願発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討を行なった結果、Ag/Cs/Re/Mo触媒に最適な担体組成を見出した。当該担体を使用することにより、Ag/Cs/Re/Mo触媒であっても、劣化速度を有意に低減することができ、触媒の寿命を向上できる。
すなわち、本発明の触媒では、銀、セシウム(Cs)、レニウム(Re)及びモリブデン(Mo)を触媒成分として含む。このため、本発明の触媒は、優れた選択性を達成しうる。また、担体として、比表面積が1.0〜3.0m/g、Si含有量(SiO換算)が0.1〜1.0質量%、およびNa含有量(NaO換算)が0.001〜0.15質量%である担体を使用する。上記触媒成分のうち、レニウムおよびモリブデンは、触媒の劣化を誘発する作用を有するが、このような担体を使用することにより、触媒の性能低下を、抑制・防止することができる。このような効果が達成しうる機構は不明ではあるが、以下のように推測される。なお、本発明は下記推測によって限定されるものではない。すなわち、レニウムを含む触媒では、長期間使用していると、触媒中でレニウムおよびモリブデンの移動や凝集が起こったり、触媒の価数が変化するという状態変化が生じて、触媒性能が低下する。しかし、上記したような担体を使用すると、表面積が比較的大きい担体に触媒成分を担持することになるため、触媒成分の分散性が良好に保たれ、優れた初期性能が得られる。一方、表面積が小さくなりすぎると、触媒成分の分散性が低下して十分な担持が難しくなる問題がある。また、レニウムは、触媒上でセシウムと相互作用して、過レニウム酸セシウムの形で存在していると推測される。事実、触媒を調べてみると、反応後の触媒には過レニウム酸セシウムの凝集物が発生していることが多かった。これに対して、本発明に係る担体では、担体中のシリカおよび微量のナトリウムが、触媒中のカチオン成分及びアニオン成分と相互作用することで、レニウムおよびモリブデンの凝集、移動、状態変化が抑制され、性能低下度合いが小さくなっているものと推測される。
したがって、本発明のエチレンオキシド製造用触媒を使用することによって、エチレンオキシドを長期に亘って高選択率で製造でき、産業上非常に有益である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本願明細書において、「質量」と「重量」、「質量%」と「重量%」、および「質量部」と「重量部」は同義語であり、物性等の測定に関しては特に断りがない場合は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%で測定する。また、「ppm」は、特に断りがない限り、「質量ppm」である。
本発明において、担体組成は、α−アルミナを主成分とし、ケイ素(Si)を、SiO換算で0.1〜1.0質量%、ナトリウム(Na)を、NaO換算で0.001〜0.15質量%含むものであれば、特に制限されない。なお、Si含有量及びNa含有量ともに、担体の全質量100質量%を基準とする。また、担体が「α−アルミナを主成分とする」とは、担体におけるα−アルミナの含有量が、担体の全質量100質量%に対して、70質量%以上(上限=100質量%)であることを意味する。担体におけるα−アルミナの含有量は、好ましくは90質量%以上(上限=100質量%)であり、より好ましくは95質量%以上(上限=100質量%)である。担体は、α−アルミナを主成分とし、上記含有量でSi及びNaを含むのであれば、さらにその他の成分を含んでもよい。他の成分としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ金属(Naを除く)及びアルカリ土類金属ならびにこれらの酸化物、遷移金属およびこの酸化物などが挙げられる。これらの含有量については、特に制限はない。このうち、ナトリウム及びセシウム以外のアルカリ金属を実質的に含まないことが好ましく、より好ましくはナトリウム及びセシウム以外のアルカリ金属の含有量(酸化物換算)は、担体の全質量100質量%に対して、0.001質量%以下(下限は0質量%)である。また、アルカリ土類金属の含有量(酸化物換算)は、担体の全質量100質量%に対して、好ましくは、0〜5質量%であり、より好ましくは0.001〜0.5質量%である。また、遷移金属の含有量(酸化物換算)は、担体の全質量100質量%に対して、好ましくは、0.001〜1.0質量%である。
担体の比表面積(BET比表面積)は、1.0〜3.0m/gである。このような担体を使用することにより、触媒成分を十分量担持しつつ、レニウムおよびモリブデン等の触媒成分の移動を抑制・防止でき、性能低下を抑えることができる利点がある。好ましくは、担体の比表面積(BET比表面積)は、1.0〜3.0m/g、より好ましくは1.2〜2.0m/gである。なお、担体の比表面積が上記下限を下回ると、吸水率が充分に確保できず、触媒成分の担持が困難になるおそれがある。逆に、担体の比表面積が上記上限を超える場合には、熱的な劣化などで触媒成分が移動し、反応前と比較して反応中の触媒の担持状態が変化しやすいため、触媒性能の低下度合いが大きくなるおそれがある。なお、本明細書において、「比表面積」は、BET比表面積を表わす。ここで、「BET比表面積」は、B.E.T.法により測定され、具体的には、下記実施例で測定される値である。
担体は、ケイ素(Si)を、SiO換算で0.1〜1.0質量%、含む。このような量でケイ素を含むことにより、レニウムおよびモリブデンの触媒機能低下を抑制・防止でき、高選択率を長期間安定的に維持できるという利点がある。好ましくは、担体中のSi含有量(SiO換算)は、担体の全質量100質量%に対して、0.1〜1.0質量%、好ましくは0.5〜1.0質量%である。なお、担体中のSi含有量(SiO換算)が上記下限を下回る場合には、十分な寿命安定性が得られないおそれがあり、逆に上限を超える場合には、初期から高い選択率が得られないおそれがある。
また、担体は、ナトリウム(Na)を、NaO換算で0.001〜0.15質量%、含む。このような量でナトリウムを含むことにより、触媒性能の低下を抑制・防止できる利点がある。好ましくは、担体中のNa含有量(NaO換算)は、担体の全質量100質量%に対して、0.001〜0.045質量%、より好ましくは0.001質量%以上0.05質量%未満、さらにより好ましくは0.001〜0.045質量%、特に好ましくは0.005〜0.045質量%、最も好ましくは0.01〜0.04質量%である。なお、担体中のNa含有量(NaO換算)が上記下限を下回る場合には、十分な寿命安定性が得られないおそれがあり、逆に上限を超える場合には、初期から高い選択率が得られないおそれがある。
なお、上述した担体の組成や各成分の含有量は、蛍光X線分析法を用いて決定できる。より具体的には、測定装置としてRIGAKU製RIX2000およびまたはPHILIPS製PW2404を用い、ファンダメンタルパラメータ法(FP法)およびまたは検量線法にて測定することができる。
担体の形状は、特に制限されず、リング状、球状、円柱状、ペレット状のほか、従来公知の知見が適宜参照されうる。また、担体のサイズ(平均直径)についても特に制限はなく、好ましくは3〜20mmであり、より好ましくは4〜10mmである。
担体の細孔容積も特に制限されないが、好ましくは0.1〜1.0mL/gであり、より好ましくは0.2〜0.8mL/gであり、さらに好ましくは0.3〜0.6mL/gである。担体の細孔容積が0.1mL/g以上であれば、触媒成分の担持が容易となるという点で好ましい。一方、担体の細孔容積が1.0mL/g以下であれば、担体の強度が実用的な程度に確保されうるという点で好ましい。なお、担体の細孔容積の値としては、水銀圧入法により、200℃にて少なくとも30分間脱気した担体をサンプルとし、測定装置としてオートポアIII9420W(株式会社島津製作所製)を用い、1.0〜60,000psiaの圧力範囲及び60個の測定ポイントで測定される値を採用するものとする。
担体の有する細孔のサイズも特に制限されないが、平均細孔直径は、好ましくは0.1〜10μmであり、より好ましくは0.2〜4.0μmであり、さらに好ましくは0.3〜3.0μmである。平均細孔直径が0.1μm以上であれば、エチレンオキシド製造時の生成ガスの滞留に伴うエチレンオキシドの逐次酸化が抑制されうる。一方、平均細孔直径が10μm以下であれば、担体の強度が実用的な程度に確保されうる。なお、平均細孔直径の値としては、担体の細孔容積の測定方法として上述した手法(水銀圧入法)と同様の手法により測定される値を採用するものとする。
担体の吸水率についても特に制限はないが、好ましくは10〜70%であり、より好ましくは20〜60%であり、さらに好ましくは30〜50%である。担体の吸水率が10%以上であれば、触媒成分の担持が容易となる。一方、担体の吸水率が70%以下であれば、担体の強度が実用的な程度に確保されうる。なお、担体の吸水率の値としては、後述する実施例に記載の手法により得られる値を採用するものとする。
本発明の触媒は、上述した担体上に、少なくとも銀(Ag)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)及びモリブデン(Mo)を含む触媒成分が担持されてなる構成を有する。
上記触媒成分のうち、銀が、主として触媒活性成分としての役割を担う。ここで、銀の含有量(担持量)は、特に制限されず、エチレンオキシドの製造に有効な量で担持すればよい。また、銀の含有量(担持量)は、特に制限されないが、エチレンオキシド製造用触媒の質量基準で(担体及び触媒成分の合計質量基準で;以下、同様)、1〜30質量%であり、好ましくは5〜20質量%である。このような範囲であれば、エチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化してエチレンオキシドを製造する反応を効率よく触媒化できる。
また、セシウム(Cs)、レニウム(Re)は、一般に、銀の反応促進剤として作用する。これらの含有量(担持量)は、特に制限されず、エチレンオキシドの製造に有効な量で担持すればよい。また、セシウムの含有量(担持量)は、特に制限されないが、エチレンオキシド製造用触媒の質量基準で、500〜5000ppmであり、好ましくは1000〜3000ppmである。このような範囲であれば、エチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化してエチレンオキシドを製造する反応を有効に促進できる。また、レニウムの含有量(担持量)は、特に制限されないが、エチレンオキシド製造用触媒の質量基準で、50〜2000ppmであり、好ましくは100〜1000ppmである。このような範囲であれば、エチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化してエチレンオキシドを製造する反応を有効に促進できる。特にレニウムは触媒の選択性の点で重要な要素であると考えられる。このため、上記範囲にレニウム量を制御することによって、触媒の選択性を有効に向上できる。Reが上記範囲を超えると、選択率の上昇が認められなくなるだけでなく、反応温度を高くする必要があるため、寿命性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
モリブデン(Mo)は、レニウムの補助促進剤として作用する。このように各触媒成分が相互に作用することによって、本発明の触媒は、高い選択性を発揮できる。モリブデン(Mo)の含有量(担持量)は、特に制限されず、エチレンオキシドの製造に有効な量で担持すればよい。モリブデンの含有量(担持量)は、特に制限されないが、エチレンオキシド製造用触媒の質量基準で、好ましくは10〜500ppmであり、より好ましくは30〜300ppmである。このような範囲であれば、エチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化してエチレンオキシドを製造する際に、レニウムの効果(触媒の選択性の向上効果)を促進できる。
本発明の触媒は、上記触媒成分に加えて、他の触媒成分を含んでもよい。ここで、他の触媒成分としては、特に制限されないが、例えば、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、ニオブ、タングステン、スズ、アンチモン、タンタル、ビスマス、チタン、ジルコニウムなどが挙げられる。また、このような他の触媒成分の含有量(担持量)は、本発明による触媒成分の効果を阻害しない限り特に制限されないが、好ましくはエチレンオキシド製造用触媒の質量基準で、10〜1000ppmである。なお、上記触媒成分は、セシウム以外のアルカリ金属を実質的に含まないことが好ましく、より好ましくはセシウム以外のアルカリ金属の含有量(酸化物換算)は、エチレンオキシド製造用触媒の質量基準で5ppm以下(下限は0ppm)である。
本発明のエチレンオキシド製造用触媒は、上記したような担体を使用する以外は、従来公知のエチレンオキシド製造用触媒の製造方法に従って調製されうる。以下、本発明の触媒の製造方法の好ましい実施形態を記載する。しかし、本発明は、下記の好ましい実施形態に限定されず、適宜修飾してあるいは他の公知の方法に本発明に係る担体を使用することによって、触媒を製造できる。
本発明に係る担体の調製方法としては、特に制限されないが、例えば、次のような調製方法を採用することで、担体の組成が制御できる。すなわち、1)α−アルミナを主成分とする母粉体に、所望のサイズおよび量の気孔形成剤を添加する方法、2)物性の異なる少なくとも2種の母粉体を所望の混合比で調合する方法、3)担体を所望の温度にて所望の時間焼成する方法、などが挙げられる。なお、これらの方法は、単独で使用されてもよいが、これらを適宜組合せてもよい。これらの調製方法については、例えば、「多孔質体の性質とその応用技術」竹内雍監修、株式会社フジ・テクノシステム発行(1999年)に記載されている。また、特開平5−329368号公報、特開2001−62291号公報、特開2002−136868号公報、特許第2983740号公報、特許第3256237号公報、特許第3295433号公報なども参照されうる。または、本発明に係る特定の組成を有する担体を担体の製造業者に注文することによって得てもよい。
以下、本発明に係る担体の調製方法の好ましい形態を記載する。しかし、本発明は、下記の好ましい実施形態に限定されず、適宜修飾してあるいは他の公知の方法に本発明に係る担体を製造できる。
少なくともα−アルミナを主成分とするα−アルミナ粉体およびバインダーと、シリカを提供する原料としてのケイ素化合物、その他、気孔形成剤と、適当量の水とを加えて十分混練し、押出形成法等により所定の形状、例えば、球状、ペレット状等に成形したのち、必要に応じ乾燥し、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスおよび/または空気等のガス雰囲気下で焼成することにより担体前駆体が得られる。
上記α−アルミナを主成分とする担体を構成するα−アルミナ粉体としては、純度が90%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは99%以上、特に好ましくは99.5%以上のものが用いられる。また、担体原料のα−アルミナ粉体の粒径に関しても特に制限はないが、α−アルミナ粉体の一次粒子径は、好ましくは0.01〜100μmであり、より好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ましくは0.5〜10μmであり、特に好ましくは1〜5μmである。また、α−アルミナ粉体の二次粒子径は、好ましくは0.1〜1,000μmであり、より好ましくは1〜500μmであり、さらに好ましくは10〜200μmであり、特に好ましくは30〜100μmである。
上記α−アルミナを主成分とする担体は、このα−アルミナ粉体のほかに、酸化アルミナ、特に無定形のアルミナ、シリカ、シリカアルミ、ムライト、ゼオライトなど(これらを「無定形アルミナ等」と総称する);酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化セシウムなどのアルカリ金属酸化物およびアルカリ土類金属酸化物など(これらを「アルカリ等」と総称する);酸化鉄、酸化チタンなどの遷移金属酸化物を含んでいてもよい。なお、担体を成型体にする前の原料α−アルミナ粉体には、微量ながらナトリウム(酸化ナトリウム)が含まれていることがある。この場合には、予めその粉体中のナトリウム量を把握することにより、特定量のナトリウム含有量となるように、担体調製時にナトリウム化合物を添加し、担体を作製できる。
上記ケイ素化合物としては、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、シラン、硫化ケイ素などの共有結合化合物;ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アンモニウム、アルミノケイ酸ナトリウム、アルミノケイ酸アンモニウム、リンケイ酸ナトリウム、リンケイ酸アンモニウムなどのケイ酸塩類;長石、粘土などのケイ素を含むシリカの複塩;およびシリカ混合物を挙げることができる。このなかでも、酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、粘土などのケイ素を含むシリカの複塩などを使用することが好ましい。ここで、ケイ素化合物の添加量は、上記したようなSi含有量(SiO換算)となるような量に調節される。
上記バインダーは、滑性を付与することによって押出工程を容易にせしめる。無機バインダーには、特に硝酸または酢酸のようなペプタイザーと組合せたアルミナゲルが含まれる。有機バインダーとしては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチまたはそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。この中でも、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどを使用することが好ましい。
気孔形成剤は、焼成時に担体から完全に除去されて、該担体中に制御された気孔が残るように混合物に添加される材料である。これらの材料は、コークス、炭素粉末、グラファイト、(ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート等のような)粉末プラスチック、セルロースおよびセルロース基材料、おが屑、ならびに粉砕堅果穀、カシュー、くるみ)のような他の植物材料、のような炭質材料である。炭素基材バインダーもまた気孔形成剤として役に立つことができる。
このようにして得られる担体前駆体を、ヘリウム、窒素、アルゴン等の不活性ガスおよび空気等のガス雰囲気下で1,000〜1,800℃、好ましくは1,400〜1,700℃で焼成することにより、本発明に係る担体を製造することができる。
担体の表面積は、α−アルミナを主成分とする粉体の表面積、バインダー成分、焼成温度等を適宜選択することにより、適宜本発明の範囲内に収まるように調整すればよい。
また、担体中のシリカ含有量は、α−アルミナを主成分とする粉体およびケイ素化合物に含まれるシリカ量から算出することができる。担体中のナトリウム含有量は、ケイ素化合物、有機バインダーおよびα−アルミナに含まれるナトリウム量を勘案し調整すればよい。更には、このようにして得られたSiO、NaOを含有する担体に、ケイ素化合物、ナトリウムを含有する化合物を後付けすることで含有量を調整してもよいが、担体調製時にシリカおよびナトリウム化合物を添加するほうが好ましい。
また、本発明のエチレンオキシド製造触媒用担体の形状には特に制限はなく、エチレンオキシド製造触媒の調製に一般に用いられている担体の形状、例えば、リング状、サドル状、球状、ペレット状などから、圧力損失、強度などの工業的なポイントを考慮して適宜選択することができる。
次に、上記したようにして製造された本発明に係る担体を用いて、本発明のエチレンオキシド製造用触媒を製造するが、その製造方法は、上記したような担体を使用する以外は、従来公知のエチレンオキシド製造用触媒の製造方法に従って調製されうる。以下、上記担体を用いた本発明の触媒の製造方法の好ましい実施形態を記載する。しかし、本発明は、下記の好ましい実施形態に限定されず、適宜修飾してあるいは他の公知の方法に本発明に係る担体を使用することによって、触媒を製造できる。
まず、各触媒成分の前駆体を適当な溶媒に溶解して、触媒前駆体溶液を調製する。ここで、各触媒成分の前駆体としては、溶媒に溶解する形態であれば特に制限されないが、例えば、銀の場合には、例えば、硝酸銀、炭酸銀、シュウ酸銀、酢酸銀、プロピオン酸銀、乳酸銀、クエン酸銀、ネオデカン酸銀などが挙げられる。これらのうち、シュウ酸銀、硝酸銀が好ましい。また、レニウムの場合には、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸ナトリウム、過レニウム酸カリウム、過レニウム酸、塩化レニウム、酸化レニウム、過レニウム酸セシウムなどが挙げられる。これらのうち、過レニウム酸アンモニウム、過レニウム酸セシウムが好ましい。セシウムの場合には、セシウムの、硝酸塩、亜硝酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、ハロゲン化物、酢酸塩、硫酸塩、過レニウム酸塩、モリブデン酸塩などが挙げられる。これらのうち、硝酸セシウム、過レニウム酸セシウム、モリブデン酸セシウムが好ましい。モリブデンの場合には、酸化モリブデン、モリブデン酸、モリブデン酸塩、その他、ケイモリブデン酸、リンモリブデン酸などのヘテロポリ酸および/またはヘテロポリ酸の塩などが挙げられる。これらのうち、パラモリブデン酸アンモニウム、パラモリブデン酸セシウム、リンモリブデン酸アンモニウム、リンモリブデン酸セシウム、ケイモリブデン酸アンモニウム、ケイモリブデン酸セシウムが好ましい。上記各触媒成分は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。また、上記各触媒成分の添加量は、上記した所定の触媒組成となるように適宜決定できる。
上記各触媒成分の前駆体を溶解する溶媒もまた、各触媒成分を溶解できるものであれば特に制限されない。具体的には、水、メタノール、エタノールなどのアルコール類、トルエンの芳香族化合物などが挙げられる。これらのうち、水、エタノールが好ましい。
ここで、触媒前駆体溶液は、上記触媒成分に加えて、必要に応じて、錯体を形成するための錯化剤をさらに溶媒に添加してもよい。錯化剤としては、特に制限されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどが挙げられる。上記錯化剤単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
次いで、このように調製された触媒前駆体溶液を、上記で準備した担体に含浸させる。ここで、上記触媒前駆体溶液は、各触媒前駆体溶液毎に別々に調製して、担体に順次含浸してもあるいは各触媒前駆体を一つの溶媒に溶解して、一つの触媒前駆体溶液とし、これを担体に含浸してもよい。
続いて、上記担体を乾燥し、焼成する。乾燥は、空気、酸素、または不活性ガス(例えば、窒素)の雰囲気中で、必要であれば減圧下で、80〜120℃の温度で行うことが好ましい。また、焼成は、空気、酸素、または不活性ガス(例えば、窒素)の雰囲気中で、100〜800℃の温度で、好ましくは100〜600℃の温度で0.1〜100時間、好ましくは0.1〜10時間程度行うことが好ましい。なお、焼成は、1段階のみ行われてもよいし、2段階以上行われてもよい。好ましい焼成条件としては、1段階目の焼成を空気雰囲気中で100〜250℃にて0.1〜10時間行い、2段階目の焼成を窒素雰囲気中で250〜450℃にて0.1〜10時間行う条件が挙げられる。さらに好ましくは、かような空気雰囲気中での焼成後にさらに、不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなど)雰囲気中で450〜800℃にて0.1〜10時間、焼成を行ってもよい。
このようにして得られた本発明の触媒は、選択性および触媒寿命(耐久性)に優れる。したがって、本発明のエチレンオキシド製造用触媒を使用することによって、エチレンオキシドを長期に亘って高選択率で製造でき、産業上非常に有益である。
ゆえに、本発明はまた、本発明の触媒の存在下にエチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化することによりなるエチレンオキシドの製造方法もまた提供される。
本発明のエチレンオキシドの製造方法は、触媒として本発明のエチレンオキシド製造用触媒を使用する点を除けば、常法に従って行われうる。
例えば、工業的製造規模における一般的な条件、すなわち反応温度150〜300℃、好ましくは180〜280℃、反応圧力0.2〜4MPa、好ましくは0.5〜3MPa、空間速度1,000〜30,000hr−1(STP)、好ましくは3,000〜8,000hr−1(STP)が採用される。触媒に接触させる原料ガスとしては、エチレン0.5〜40容量%、酸素3〜10容量%、炭酸ガス1〜30容量%、残部の窒素、アルゴン、水蒸気等の不活性ガスおよびメタン、エタン等の低級炭化水素類からなり、さらに反応抑制剤としてのエチルクロライド、エチレンジクロライド、ビニルクロライド、メチルクロライドなどの塩化アルキルを0.1〜10容量ppm含有するものが挙げられる。本発明の製造方法において使用される分子状酸素含有ガスとしては、空気、酸素および富化空気が挙げられる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、本実施例において、担体の各種パラメータの測定は以下の手法により行われた。
<担体の比表面積の測定>
担体を粉砕した後、0.85〜1.2mmの粒径に分級したもの約0.2gを正確に秤量した。秤量したサンプルを200℃にて少なくとも30分間脱気し、BET(Brunauer−Emmet−Teller)法により測定した。
<担体中のアルカリ金属及びシリカ(SiO)含有量の測定>
蛍光X線分析法を用いて行った。測定装置としてPHILIPS製PW2404を用い、検量線法にて測定した。
<触媒中のアルカリ金属、レニウム、モリブデン及び銀の含有量(担持量)の測定>
上記と同じ蛍光X線分析法を用いて行った。
<担体の吸水率の測定>
日本工業規格(JIS R 2205(1998))に記載の方法に準拠して、以下の手法により測定した。
a)破砕前の担体を、120℃に保温した乾燥機中に入れ、恒量に達した際の質量を秤量した(乾燥質量:W1(g))。
b)上記a)で秤量した担体を水中に沈めて30分間以上煮沸した後、室温の水中にて冷却し、飽水サンプルとした。
c)上記b)で得た飽水サンプルを水中から取り出し、湿布ですばやく表面を拭い、水滴を除去した後に秤量した(飽水サンプル質量:W2(g))。
d)上記で得られたW1およびW2を用い、下記数式1に従って、吸水率を算出した。
Figure 2010234264
実施例1:触媒Aの調製
シュウ酸銀20g、硝酸セシウム0.1645g、過レニウム酸アンモニウム0.0359g、パラモリブデン酸アンモニウム4水和物0.0107gを、10gの水に溶解し、さらに錯化剤としてエチレンジアミン6.8mlを加え、触媒前駆体溶液Aを調製した。
この触媒前駆体溶液Aを、担体A(α−アルミナ担体、比表面積=1.64m/g、SiO含有量=0.69質量%、NaO含有量=0.038質量%、吸水率=39.5%、細孔容積=0.40ml/g、平均細孔直径=0.91μm)52.2gに含浸した後、90℃で減圧乾燥した。これを空気気流中300℃で0.25時間熱処理した後、窒素気流中570℃で3時間熱処理して触媒(A)を得た。
このようにして調製された触媒(A)の各成分の含有量(触媒の質量基準)は、Ag(銀換算)=14.8質量%、Cs(Cs換算)=1870質量ppm、Re(Re換算)=360質量ppm、Mo(Mo換算)=100質量ppmであった。
比較例1:触媒Bの調製
シュウ酸銀20g、硝酸セシウム0.2136g、過レニウム酸アンモニウム0.0457g、パラモリブデン酸アンモニウム4水和物0.0107gを、10gの水に溶解し、さらに錯化剤としてエチレンジアミン6.8mlを加え、触媒前駆体溶液Bを調製した。
この触媒前駆体溶液Bを、担体B(α−アルミナ担体、比表面積=0.87m/g、SiO含有量=2.1質量%、NaO含有量=0.179質量%、吸水率=39.1%、細孔容積=0.35ml/g、平均細孔直径=1.83μm)52.2gに含浸した後、90℃で減圧乾燥した。これを空気気流中300℃で0.25時間熱処理した後、窒素気流中570℃で3時間熱処理して触媒(B)を得た。
このようにして調製された触媒(B)の各成分の含有量(触媒の質量基準)は、Ag(銀換算)=14.8質量%、Cs(Cs換算)=2430質量ppm、Re(Re換算)=480質量ppm、Mo(Mo換算)=100質量ppmであった。
比較例2:触媒Cの調製
比較例1において、過レニウム酸アンモニウムの添加量を0.0457gから0.0359gに変更したこと以外は、比較例1と同様にして触媒(C)を得た。
このようにして調製された触媒(C)の各成分の含有量(触媒の質量基準)は、Ag(銀換算)=14.8質量%、Cs(Cs換算)=2430質量ppm、Re(Re換算)=370質量ppm、Mo(Mo換算)=100質量ppmであった。
[触媒性能評価]
上記実施例1ならびに比較例1及び2で製造された触媒(A)〜(C)を、それぞれ、600〜850μmに破砕した。次に、破砕した触媒1.20gを、それぞれ、内径3mm、管長300mmの外部が加熱式の二重管式ステンレス製反応器に充填し、この充填層にエチレン30容量%、酸素7.6容量%、二酸化炭素2.0容量%、エチルクロライド2.4ppm、残余がメタン、窒素、アルゴンおよびエタンからなるガスを導入し、0.8MPaで、空間速度5500hr−1の条件で、エチレン転化率が約8.3モル%となるようにして反応を行った。反応開始時の選択率及び反応温度(初期性能)、120時間反応後の選択率および反応温度(120時間後の性能)を、下記数式2および数式3に従って、エチレンオキシド製造時の転化率(数式2)および選択率(数式3)を算出した。初期性能および120時間経過後の性能を下記表1に示す。
Figure 2010234264
Figure 2010234264
Figure 2010234264
上記表1に示す結果から、本発明の触媒Aは、触媒B、触媒Cに比して、初期の選択率および活性が高いだけでなく、120時間(5日)反応後であっても選択率の低下が認められないことが分かる。
また、本発明の触媒Aについて、上記触媒性能評価に記載されるのと同様の条件で、600時間(25日)後の選択率および反応温度を測定したところ、選択率は91.9%であり、反応温度は255℃であり、本発明の触媒Aでは、高活性を維持し、600時間(25日)反応後であっても選択率の低下が認められないことが分かる。なお、上記触媒B及びCに関しては、120時間(5日)反応後での性能の劣化が激しいため、120時間で上記触媒性能評価を打ち切った。
以上の結果から、本発明によれば、活性および選択率の優れたエチレンオキシド製造用触媒が提供でき、当該触媒を用いたエチレンオキシドの製造方法によれば高選択率でエチレンオキシドを製造することが可能であることが考察される。

Claims (3)

  1. 比表面積が1.0〜3.0m/g、Si含有量(SiO換算)が0.1〜1.0質量%、およびNa含有量(NaO換算)が0.001〜0.15質量%である担体に、銀(Ag)、セシウム(Cs)、レニウム(Re)及びモリブデン(Mo)を含む触媒成分を担持してなる、エチレンオキシド製造用触媒。
  2. Na含有量(NaO換算)が0.001質量%以上0.05質量%未満である、請求項1記載のエチレンオキシド製造用触媒。
  3. 請求項1または2に記載の触媒の存在下にエチレンを分子状酸素含有ガスにより気相酸化することを有するエチレンオキシドの製造方法。
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