JP2010223985A - 金属酸化物微粒子、塗料および光学積層体並びにその製造方法 - Google Patents

金属酸化物微粒子、塗料および光学積層体並びにその製造方法 Download PDF

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Tsutomu Murata
力 村田
Kazuya Oishi
和也 大石
Masaomi Kuwabara
将臣 桑原
Hideki Moriuchi
英輝 森内
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Abstract

【課題】 優れた物理的強度(鉛筆硬度および耐摩耗性)、耐薬品性を具備しながら、かつ、画面の視認性が良好で、LCDやPDPのディスプレイ用途にも好適に使用することができる金属酸化物微粒子、その金属酸化物微粒子を使用した塗料、およびその塗料を使用した光学積層体並びにその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 金属酸化物微粒子を表面処理した後、有機高分子化合物とミキシング処理したことを特徴とする金属酸化物微粒子。
【選択図】 図1

Description

本発明は、金属酸化物微粒子、塗料および液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等のディスプレイ表面に設ける光学積層体並びにその製造方法に関し、特に物理的強度、耐薬品性、画面の視認性を改善するための光学積層体に関する。
各種画像表示装置の一つにLCDがあるが、LCDの高視野角化、高精細化、高速応答性、色再現性などに関する技術革新に伴い、LCDを利用するアプリケーションも中小型のノートパソコンやモニターから大型テレビへと拡大してきた。LCDの基本的な構成は、二枚の透明電極を有する平板状ガラスの間に一定間隔のギャップがスペーサーにより設けられており、そこに、液晶材料が注入、封止されて、平板状ガラスの表裏面には偏光板が貼付されている。ディスプレイの最表面に位置する偏光板は傷付き易いため、例えば、LCD表面にガラスやプラスチックからなるカバープレートを装着するなどして、LCD表面に貼付している偏光板への傷付き防止を図っていた。しかし、カバープレートはコスト、重量の面で不利であり、次第に前記課題(偏光板への傷付き防止)を克服するハードコート処理が施された偏光板が用いられるようになってきた。
ハードコート層は、通常、熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等の電離放射線硬化型樹脂を用いて透明プラスチックフィルム基体上に数μm程度の薄い塗膜として形成される。しかしハードコート層の厚さが十分でないと、下地である透明プラスチックフィルム基体の影響を受け、表面部への物理的衝撃により、ハードコート層表面に傷が入ってしまう。LCD用途では、主にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムが透明プラスチックフィルム基体として使用されているが、ハードコート層表面の物理的強度を評価する代表的測定法である鉛筆硬度(JIS K5600)と、スチールウール耐摩耗試験(詳細後述)における耐加重は、それぞれ、2〜3H、250g/cm以下、が一般的であった。
LCDやPDPのテレビ市場への普及は目覚ましいが、これらのディスプレイに対しても、従来CRTテレビ同様、家庭用テレビの一般消費者による厳しい取り扱い(物理的・機械的・化学的刺激などによる負荷)を考慮した設計が求められている。一般消費者の厳しい取り扱いの例としては、ディスプレイ表面に付着した埃や指紋などの汚れを、ガラスクリーナー(界面活性剤系、有機溶剤系など様々)を染み込ませた布で拭いたり、子供がおもちゃなどで表面を擦ったりなどが想定される。CRTのブラウン管は耐薬品性に優れたガラス製で、表面硬度が鉛筆硬度で9H程度を有していたことから、これらの負荷に対する耐久性は充分であった。しかし、上記ディスプレイに搭載されている光学積層体の従来型のハードコート層表面は鉛筆硬度や耐摩耗性が不十分な上、耐薬品性にも問題があり、改善が求められている。
また、前記ハードコート層を挟む透明プラスチックフィルム基体と空気層との界面における光の反射でコントラストの低下や干渉ムラ(詳細後述)が生じ、視認性が低下するという問題も指摘されている。
ハードコート層表面の物理的強度を向上させる方法として、同層の厚みを増加させる方法等が考えられる。しかし、前記方法では硬度は硬くなるものの、ハードコート層の硬化収縮によって生じる光学積層体のシワやカール、ハードコート層の折れ・割れ・剥がれなどによって、光学積層体の生産や、光学積層体を適用した川下製品の生産に支障が出るといった問題があった。そこで、近年、光学積層体の高硬度化を実現させながら、これらの課題を解決する方法が幾つか提案されている。
例えば、基材上に、側鎖に重合性二重結合を有するアクリル系重合体と微粒子とを含む樹脂組成物を硬化させてなる機能層(ハードコート層)を備えた光学積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照)。この樹脂組成物に酸化物微粒子を添加することにより、ハードコート層の耐摩耗性および硬度が向上することが開示されている。そして、酸化物微粒子表面に重合性不飽和基を含む有機化合物を結合させる変性を行って、微粒子表面に重合性二重結合を導入することにより、重合性アクリル系重合体と架橋構造を形成し、塗膜(ハードコート層)の硬度が向上すると記載されている。
特開2007−293272号公報
しかしながら、重合性二重結合を有する微粒子と、重合性アクリル系重合体とを含有する樹脂組成物を硬化させてハードコート層を形成させるだけでは、ハードコート層の表面硬度は十分なものではなかった。すなわち、特許文献1のように、単に微粒子表面に重合性二重結合を導入するだけでは、この微粒子と重合性アクリル系重合体との間に、十分な架橋構造を形成することが困難であった。
また、特許文献1の光学積層体は、形成されたハードコート層中の微粒子の分散が不十分であり、当該微粒子が凝集して存在しやすいことから、光学積層体の視認性が低下する問題があった。
本発明は、優れた物理的強度(鉛筆硬度および耐摩耗性)、耐薬品性を具備しながら、かつ、画面の視認性が良好で、LCDやPDPのディスプレイ用途にも好適に使用することができる金属酸化物微粒子、その金属酸化物微粒子を使用した塗料、およびその塗料を使用した光学積層体並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記の技術的構成により上記課題を解決できたものである。
(1)金属酸化物微粒子を表面処理した後、有機高分子化合物とミキシング処理したことを特徴とする金属酸化物微粒子。
(2)少なくとも表面処理および有機高分子化合物とミキシング処理された金属酸化物微粒子と、エネルギー硬化型樹脂と、有機溶剤と、を含有することを特徴とする塗料。
(3)前記有機高分子化合物の分子量が10,000〜200,000であることを特徴とする前記(2)に記載の塗料。
(4)透光性基体上に、前記(2)または前記(3)に記載の塗料が塗布された後、該塗料をエネルギーにより硬化させてなるハードコート層が積層され、該ハードコート層中に前記金属酸化物微粒子が略均一に分散されてなることを特徴とする光学積層体。
(5)金属酸化物微粒子を表面処理する工程と、前記工程で表面処理された金属酸化物微粒子を有機高分子化合物とミキシング処理する工程と、を行うことを特徴とする金属酸化物微粒子の製造方法。
本発明によれば、優れた物理的強度(鉛筆硬度および耐摩耗性)と耐薬品性を具備しながら、かつ、画面の視認性が良好で、LCDやPDPのディスプレイ用途にも好適に使用することができる金属酸化物微粒子と、その金属酸化物微粒子を使用した塗料と、その塗料を使用した光学積層体と、その製造方法を提供することができる。
また、本発明によって得られる光学積層体は、ハードコート層が表面処理と有機高分子化合物とのミキシング処理を行った金属酸化物微粒子、エネルギー硬化型樹脂、有機溶剤からなる塗料により形成されていることから、物理的強度及び耐薬品性が優れたものになったと共に、ハードコート層内の金属酸化物微粒子の良好な分散により、視認性も従来より優れたものとなった。
本発明の光学積層体の断面図である。
本発明を図を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の光学積層体1は、透光性基体10上に、ハードコート層20が積層されたものを基本構成とする。ハードコート層20は、マトリックスとしての透光性樹脂(エネルギー硬化型樹脂をエネルギーにより硬化したもの)30中に、表面処理工程、有機高分子化合物とのミキシング処理工程を経た金属酸化物微粒子40が略均一に分散した構成からなる。
ここで、「略均一に分散」とは、均一に分散した状態をいうことに加え、均一に分散した状態と同程度であると認められる状態も含むものである。
本発明に係るハードコート層20は、光学積層体1の最表面に位置することが好ましい。ここで、前記ハードコート層20は透光性基体10の片面に積層されていても両面に積層されていてもよい。更には、当該光学積層体1は他の層を有していてもよい。ここで他の層としては、例えば、偏光層、光拡散層、低反射層、防汚層、帯電防止層、紫外線・近赤外線(NIR)吸収層、ネオンカット層、電磁波シールド層などを挙げることができる。当該各層の位置は、例えば、防汚層、低反射層の場合には前記ハードコート層20上とし、偏光層は前記ハードコート層20とは反対面の前記透光性基体10上とし、その他の機能性付与層の場合には前記ハードコート層20の下層とする。
以下、本形態に係る光学積層体を構成する材料を中心に説明する。
<金属酸化物微粒子>
ハードコート層において必須に含まれる金属酸化物微粒子について詳述する。
該金属酸化物微粒子の具体的な例としては、アルミナ微粒子、ジルコニア微粒子、チタニア微粒子、水酸化アルミ微粒子、酸化スズ微粒子、酸化亜鉛、酸化セシウムが挙げられる。特に前記物理強度の観点からアルミナ微粒子が好ましい。また、これらの金属酸化物微粒子は、アルミナゾル、ジルコニアゾル、チタニアゾル、水酸化アルミゾル、酸化スズゾル等の金属酸化物ゾルの状態で添加したものを使用することができる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して使用してもよい。
本発明を構成する金属酸化物微粒子は、少なくとも表面処理工程およびミキシング処理工程を経てなるものである。すなわち、金属酸化物微粒子を表面改質剤等で表面処理した後(表面処理工程)、有機高分子化合物とのミキシング処理を施すことで(ミキシング処理工程)、金属酸化物微粒子はハードコート層形成時、該ハードコート層内に均一に分散し、架橋反応基を有する透光性樹脂との親和性を向上させることができる。それによって、ハードコート層は高密度の架橋構造を形成し、良好な物理的強度、耐薬品性を発現する。加えて、ハードコート層内に金属酸化物微粒子が略均一に分散するため、光学積層体の視認性を向上させることができる。
表面処理の方法に関しては特に限定されないが、前記金属酸化物微粒子を所定の溶剤、具体的には有機溶剤などに分散させるとともに、表面改質剤を添加し、重縮合反応を生ぜしめて行うことが望ましい。この際、前記表面処理に供している溶液を、前記溶剤の沸点以下の温度に適宜加熱することもできるし、分散混合において、超音波、マイクロビーズミル、攪拌、及び高圧乳化などの手法を用いることもできる。また、前記攪拌の際には、製造スケールに応じて、マグネチックスターラー、攪拌翼付きモーターなど任意のものを用いることができる。尚、表面改質剤は、予め有機溶剤を用いて希釈しておくこともできる。前記表面処理が終了した後、金属酸化物微粒子の表面処理に寄与していない表面改質剤を、乾燥処理、固液分離、限外濾過などの従来手法により除去し、精製する。
前記表面改質剤は特に限定されるものではないが、従来のシランカップリング剤、シリル化剤、アルキルリチウム、アルキルアルミニウムなどの有機金属化合物を挙げることができる。これらのうちでも、シランカップリング剤、シリル化剤が、使い易さ・コストなどの観点から好ましい。ここで、表面改質剤の配合量は、金属酸化物微粒子又は金属酸化物ゾルを構成する金属酸化物微粒子の0.1〜10.0質量%が好ましい。0.1質量%未満では金属酸化物微粒子の分散性や透光性樹脂との親和性が低下しやすい。10.0質量%より多い場合は塗料化した時に塗料が凝集しやすくなるため、塗料の安定性に支障が生じる。
前記シランカップリング剤は、無機材料に対して親和性あるいは反応性を有する加水分解性のシリル基に、有機物に対して親和性或いは反応性を有する有機置換基を化学的に結合させた構造を持つシラン化合物である。ケイ素に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン、アセトキシ基、アルケノキシ基が挙げられるが、通常、アルコキシ基、特にメトキシ基、エトキシ基が用いられる。
前記有機置換基としては、アルキル基、アリール基、アミノ基、メタクリル基、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、メルカプト基などを挙げることができる。具体的には、アルキルトリクロロシラン、アルキルトリアルコキシシラン、アルキルジアルコキシクロロシラン、ジアルキルアルコキシクロロシラン、トリアルキルクロロシラン、トリアルキルアルコキシシラン、アリールトリクロロシラン、アリールトリアルコキシシラン、ジアリールジクロロシラン、ジアリールジアルコキシシラン、トリアリールクロロシラン、トリアリールアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジアルコキシシラン、(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシランなどを例示することができる。
シリル化剤としては、トリメチルシリル化剤、アルキルシラン類、アリルシラン類を挙げることができる。トリメチルシリル化剤としては、例えば、トリメチルクロロシラン、へキサメチルジシラザン、n−トリメチルシリルイミダゾール、ビス(トリメチルシリル)ウレア、トリメチルシリルアセトアミド、ビストリメチルシリルアセトアミド、トリメチルシリルイソシアネート、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどを例示することができる。アルキルシラン類としては、例えば、1,6−ビス(トリメトキシシリル)へキサン、ジメチルシリルジイソシアネート、メチルシリルトリイノシアネートなどを挙げることができる。アリルシラン類としては、フェニルシリルトリイソシアネートなどを例示することができる。
ここで、ハードコート層に含まれる金属酸化物微粒子は、粒径が著しく小さく光学的影響が少ないため、基本的にどのような屈折率であってもよい。
金属酸化物微粒子の粒径は、1〜100nmであることが好適であり、5〜50nmであることがより好適である。粒径が1nm未満の場合は、金属酸化物微粒子及び金属酸化物ゾルの製造コストが高くなるため好ましくない。
また、粒径が100nm超である場合は、ヘイズが上昇し、透過率ダウン、コントラストダウンなど光学積層体の光学特性に支障が生じる。「粒径」は、透過型電子顕微鏡の画像解析法、動的光散乱法、遠心沈降法などにより測定できるが、ここでは透過型電子顕微鏡の画像解析法により実測した100個の粒子の直径の平均値を指す。尚、全個数の内、当該微粒子の製造工程において混入する微細粉及び粗大粉は、5%未満(より好ましくは1%未満)である。金属酸化物微粒子の含有量は、ハードコート層中の固形成分の0.1〜10質量%が必要であり、0.3〜5.0質量%がより好適であり、0.5〜3.0質量%が更に好適である。含有量が前記範囲より小さい場合は耐スクラッチ性が悪くなる。含有量が前記範囲より多い場合は光学特性に支障が生じる。
次に、上記表面処理後の金属酸化物微粒子と有機高分子化合物とのミキシング処理について説明する。該ミキシング処理は金属酸化物微粒子同士の凝集を防止し、架橋反応基を有する透光性樹脂との親和性を向上させ、ハードコート層の高密度な架橋構造を実現させるための必須プロセスである。尚、金属酸化物微粒子同士の凝集が防止できる理由としては、弱い分子間力で金属酸化物微粒子と結びついている有機高分子化合物のクッション効果によるものと予想している。
本発明のミキシング処理の方法に関しては、表面処理された金属酸化物微粒子表面に高分子化合物を弱い分子間力で結びつけることができる方法であれば、特に限定されない。例えば、表面処理された金属酸化物微粒子と有機高分子化合物を、適切な溶媒で希釈した混合液を混練、もしくは攪拌することで行うことができる。混練は回分式のリボンミキサ、双椀ニーダ、加圧式ニーダ、インターナルミキサ、パワーミックス、連続式のパグミル、KRCニーダ、エクストルーダ、アルティミットニーダ、SCプロセッサなどの混練機を、攪拌はディスパー、ホモジナイザーなどの攪拌機を適宜選択して行うことができる。ミキシング処理効率をあげるためには、予め溶媒濃縮機などで上記混合液の全固形分濃度を高めた状態で、混練、溶媒希釈、攪拌といった順序のプロセスを踏むことが望ましい。混練前の全固形分濃度は50〜99%、好ましくは60〜90%、攪拌前の固形分濃度は10〜50%、好ましくは30〜50%の範囲が良い。混練・攪拌時間は金属酸化物微粒子の粒径を動的光散乱法や遠心沈降法などの測定装置で適宜、計測、モニターしながら所望の粒径範囲に入っていることを確認し、適宜調整する。
なお、上記の混合液を希釈する溶媒としては、後述する有機溶剤で例示したものを使用することが好ましい。
ミキシング処理に使用する有機高分子化合物は特に限定されるものではないが、高分子量の熱可塑性樹脂が該当する。例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリヒドロキシメタクリレート、ポリメタクリル酸メチル、エチレン・アクリル酸エチル共重合体等のアクリル系樹脂、脂肪族ポリエステル、ポリジメチレンマロネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリジエチレングリコールテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンフタレート、ポリエチレン−1,5−ナフタレート、ポリエチレン−1,4−ナフタレート、ポリエチレン−2,7−ナフタレート、ポリエステル(ジエチレングリコール−ジフェニルカルボン酸)、ポリエステル(ビス−P−カルボキシフェノキシブタン−エチレングリコール)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリブタジエン等のオレフィン系樹脂、ポリスチレン、AS樹脂、BS樹脂、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、塩化ビニリデン・アクリルニトリル共重合体、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、プロピレン・塩化ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルファイド樹脂、ポリスルホン酸、ポリウレタン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂、トリフルオロエチレン樹脂、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂、エチルセルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース等の繊維素系樹脂、エポキシ樹脂、アイオノマー樹脂、ロジン誘導体樹脂、等有機溶剤可溶性樹脂系、ゼラチン、ニカワ、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン、アラビアゴム、サッカロースオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アラギン酸ソーダ、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリアミド、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体等の水溶性樹脂系および前記した有機溶剤可溶性樹脂系のエマルジョン系等をあげることができる。これらは単独、もしくは複数混合して使用することができる。
有機高分子化合物の分子量は、10,000〜200,000が望ましい。より好ましくは20,000〜150,000であり、さらに好ましくは50,000〜100,000である。分子量が本発明の範囲を越えると、金属酸化物微粒子とのミキシング処理効率が悪くなり、透光性樹脂との親和性が悪くなる。更に、ハードコート層の架橋密度が低下し、ハードコート層の物理的強度、耐薬品性が低下する。尚、ここでいう、“分子量”とは、重量平均分子量(Mw)のことである。
<透光性基体>
本最良形態に係る透光性基体としては、透光性である限り特に限定されず、石英ガラスやソーダガラス等のガラスも使用可能であるが、PET、TAC、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルスルホン、セロファン、芳香族ポリアミド等の各種樹脂フィルムを好適に使用することができる。なお、PDP、LCDに用いる場合は、PETフィルム、TACフィルムおよび含ノルボルネン樹脂フィルムから選ばれる1種を使用することがより好ましい。
これら透光性基体の透明性は高いものほど良好であるが、全光線透過率(JIS K7105)としては80%以上、より好ましくは90%以上が良い。また、透光性基体の厚さとしては、軽量化の観点からは薄い方が好ましいが、その生産性やハンドリング性を考慮すると、1〜700μmの範囲のもの、好ましくは25〜250μmを使用することが好適である。
透光性基体表面に、アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理などのトリートメント処理、界面活性剤、シランカップリング剤などのプライマーコーティング、Si蒸着などの薄膜ドライコーティングなどを施すことで、透光性基体とハードコート層との密着性を向上させ、当該ハードコート層の物理的強度、耐薬品性を向上させることができる。また、透光性基体とハードコート層との間に他の層を設ける場合も、上記同様の方法で、各層界面の密着性を向上させ、当該ハードコート層の物理的強度、耐薬品性を向上させることができる。
<エネルギー硬化型樹脂>
エネルギー硬化型樹脂は、熱や放射線等のエネルギーにより硬化するものであれば制限されない。本発明においては、エネルギーにより硬化させたエネルギー硬化型樹脂を透光性樹脂と呼称する。エネルギー硬化型樹脂のうち、放射線で硬化する放射線硬化型樹脂組成物を使用することが好ましい。透光性樹脂として放射線硬化型樹脂組成物を使用することにより、架橋構造を形成するため、ハードコート層の耐摩耗性を向上させることができる。ここで、当該透光性樹脂を構成する放射線硬化型樹脂組成物としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等のラジカル重合性官能基や、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーを単独で、又は適宜混合した組成物が用いられる。モノマーの例としては、アクリル酸メチル、メチルメタクリレート、メトキシポリエチレンメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等を挙げることができる。オリゴマー、プレポリマーとしては、ポリエステルアクリレート、ポリウレタンアクリレート、多官能ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、アルキットアクリレート、メラミンアクリレート、シリコーンアクリレート等のアクリレート化合物、不飽和ポリエステル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を挙げることができる。これらは単独、もしくは複数混合して使用することができる。
上記放射線硬化型樹脂組成物は、そのままで電子線照射により硬化可能であるが、紫外線照射による硬化を行う場合は、光重合開始剤の添加が必要である。用いられる放射線としては、紫外線、可視光線、赤外線、電子線のいずれであってもよい。また、これらの放射線は、偏光であっても無偏光であってもよい。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独又は適宜組み合わせて使用することができる。
本形態では、上記放射線硬化型樹脂組成物に加えて、その重合硬化を妨げない範囲で高分子樹脂を添加使用することができる。この高分子樹脂は、後述する樹脂層塗料に使用される有機溶剤に可溶な熱可塑性樹脂であり、具体的にはアクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース又はセルロース誘導体等が挙げられ、これらの樹脂中には、カルボキシル基やリン酸基、スルホン酸基等の酸性官能基を有することが好ましい。
また、レベリング剤、増粘剤、帯電防止剤等の添加剤を使用することができる。レベリング剤は、塗膜表面の張力均一化を図り塗膜形成前に欠陥を直す働きがあり、上記放射線硬化型樹脂組成物より界面張力、表面張力共に低い物質が用いられる。増粘剤は、上記放射線硬化型樹脂組成物へチキソ性を付与する働きがあり、透光性微粒子や顔料等の沈降防止による樹脂層表面の微細な凹凸形状形成に効果がある。増粘剤は、特に限定されないが、例えば、合成雲母を使用することが好適である。更に、当該増粘剤の表面を4級アンモニウム塩などで有機化処理することが好適である。当該処理を行うことにより樹脂や金属酸化物との親和性が増し、性能が向上するほか、加工性適性も向上する。
<有機溶剤>
また、本発明で使用する有機溶剤としては、金属酸化物微粒子の分散と表面改質剤の溶解とが良好な有機溶剤を用いることが望ましい。分散性の低い有機溶剤を用いると、金属酸化物微粒子の凝集が起き、溶解性の低い有機溶剤を用いると改質剤の分離が生じる。有機溶剤としては例えば、アルコール系、エステル系、ケトン系、エーテル系、芳香族炭化水素から選ばれた単独又は混合溶剤を使用することができる。
<透光性有機微粒子>
ハードコート層を防眩層として使用する場合、ハードコート層に透光性有機微粒子を含有させることが好ましい。
透光性有機微粒子を構成する材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等を使用することができる。
ここで、透光性有機微粒子は、透光性樹脂との屈折率の差が、0.05以下であることが好適であり、0.03以下であることがより好適であり、0.01以下であることがより好適である。透光性樹脂と透光性有機微粒子の屈折率差が0.05より大きい場合は、光散乱の度合いが大きくなりすぎ、高コントラストへの寄与が低下する。透光性有機微粒子の屈折率は、好ましくは1.45〜1.58であり、より好ましくは1.50〜1.57である。「屈折率」は、JIS K−7142に従った測定値を指す。
透光性有機微粒子の粒径は、0.3〜10μmであることが好適であり、1〜5μmであることがより好適である。粒径が0.3μmより小さい場合は防眩性が低下するため、また10μmより大きい場合は、ギラツキを発生すると共に、表面凹凸の程度が大きくなり過ぎて表面が白っぽくなってしまうため好ましくない。更に、透光性有機微粒子の粒径は、膜厚の20〜80%が好適であり、30〜70%が更に好適である。「粒径」は、電子顕微鏡で実測した100個の粒子の直径の平均値を指す。尚、全個数の内、当該微粒子の製造工程において混入する微細粉及び粗大粉は、5%未満(より好ましくは1%未満)である。ハードコート層中の透光性微粒子の割合は特に限定されないが、ハードコート層中の固形成分の1〜50質量%とすることが好適であり、5〜10質量%とすることがより好適である。当該範囲とすると、防眩機能、ギラツキ等の特性を満足する上で好ましく、ハードコート層表面の微細な凹凸形状と光拡散をコントロールし易い。
透光性有機微粒子と金属酸化物微粒子の親和性を高めておくことで、少ない配合量で高い物理的強度を付与することができる。親和性を高める方法として、カルボン酸基やOH基などの官能基を有するモノマーと共重合した透光性有機微粒子を用いる方法がある。
その他、透光性有機微粒子と金属酸化物微粒子の双方に親和性を有する中間剤を添加する方法がある。この場合、中間剤として、例えば、合成雲母、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、レベリング剤(例えば、フッ素系)等を用いることができる。ここで、中間剤の含有量は、ハードコート層中の固形成分の0.1〜10質量%が好適であり、0.2〜0.5質量%がより好適である。
<本発明の塗料とハードコート層の構造>
表面処理工程、有機高分子化合物とのミキシング処理工程を経た金属酸化物微粒子を透光性樹脂、有機溶剤と混合することで本発明の塗料となる。混合の仕方について特に制約はないが、ミキシング処理工程における攪拌装置を使用し、混合することが望ましい。ハードコート層の膜厚は、3〜25μmの範囲であることが好適であり、5〜15μmの範囲であることがより好適であり、6〜12μmの範囲であることが更に好適である。膜厚が3μmより薄い場合は、比重の異なる微粒子を十分に厚さ方向に分離させることができない。25μmより厚い場合は、ハードコート層の硬化収縮によりカールが発生したり、マイクロクラックが発生したり、透光性基体との密着性が低下したり、さらには光透過性が低下したりする。そして、膜厚の増加に伴う必要塗料量の増加によるコストアップの原因ともなる。
<光学積層体>
本発明の光学積層体は、透過像鮮明度が5.0〜70.0の範囲(JIS K7105に従い0.5mm光学くしを用いて測定した値)が好ましく、20.0〜65.0がより好ましい。透過像鮮明度が5.0未満ではコントラストが悪化し、70.0を超えると防眩性が悪化するため、ディスプレイ表面に用いる光学積層体に適さなくなる。
当該光学積層体は、次式(1)〜(4)を充足する内部ヘイズ値(X)と全ヘイズ値(Y)を有することが好適である。ここで、「全ヘイズ値」は、光学積層体のヘイズ値を指し、「内部ヘイズ値」は、光学積層体の微細凹凸形状表面に、粘着剤付透明性シートを貼り合わせた状態のもののヘイズ値から粘着剤付透明性シートのヘイズ値を引いた値を指す。尚、いずれのヘイズ値も、JIS K7105に従い測定した値を指す。
Y>X (1)
Y≦X+7 (2)
X≦15 (3)
X≧1 (4)
ここで、Y>X+7、X≦15、X≧1の範囲では、表面での光拡散効果が大きくなることにより表面が白っぽくなり、コントラストが低下する。特に明室でのコントラストが悪くなる。Y>X、Y≦X+7、X>15の範囲では、光学積層体(特にハードコート層)内部の光拡散効果が大きくなることで、コントラストが低下する。特に暗室でのコントラストが低下する。Y>X、X<1、Y≦X+7の範囲では、光学積層体内部の光拡散効果が小さくなるため、ギラツキが発現する。好ましい範囲は、Y>X、Y≦X+7、3<X≦15である。
本形態に係る光学積層体のその他の構成については、従来の光学積層体の製造方法により製造され得る。例えば、透光性基体上にハードコート層を形成する方法に特に制限はなく、例えば、透光性基体上に、本発明の塗料に透光性微粒子が含有されるものを塗工し、乾燥後、硬化処理して表面に微細な凹凸形状を有するハードコート層を作成することにより行う。透光性基体上に塗料を塗工する手法としては、通常の塗工方式や印刷方式が適用される。具体的には、エアドクターコーティング、バーコーティング、ブレードコーティング、ナイフコーティング、リバースコーティング、トランスファロールコーティング、グラビアロールコーティング、キスコーティング、キャストコーティング、スプレーコーティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダーコーティング、ダムコーティング、ディップコーティング、ダイコーティング等のコーティングや、グラビア印刷等の凹版印刷、スクリーン印刷等の孔版印刷等の印刷等が使用できる。
以下、本発明を実施例を用いて説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。なお、「部」は「質量部」を意味する。
金属酸化物微粒子の分散液として、シーアイ化成社製「ナノテックアルミナ・アルコール分散品」(粒径31nm、全固形分濃度15%)を500部を用い、表面改質剤として信越化学工業社製「KBE−903」(=γ−アミノキシプロピルトリエトキシシラン)5部を添加し、ホモジナイザーにより室温で10分間攪拌、混合した。その後、攪拌を続けながら、トリエチルアミン0.2部をメタノールにて10倍に希釈したのち滴下し、60℃で12時間攪拌を続け、表面改質剤を十分反応させた。次に、この分散液を限外濾過装置(ダイセンメンブレン・システムズ社製「MQLSEP」FSIO−FUS1582:膜面積5m、ポリエーテルサルホン製、分画分子量15万、長さ1129mm×径89mm)に移して、未反応の表面改質剤の洗浄を行った。濾過圧が1.6kg/mとなるようにポンプで送液し、膜の外側には純イソプロパノールを送入した。濾過されずに通過したゾルを戻しつつ連続的に濾過を行い、ゾルが初期の6〜7割程度の量になったら純イソプロパノールを加えて濃度を維持して、本発明にかかる表面処理を終えた。次に、上記で調整した分散液(固形分濃度:15%)180部と有機高分子化合物の綜研化学社製「サーモラックLP45−M30」(Mw:88,000のポリメチルメタクリレート、MEK/トルエンの30%溶液)を10部を攪拌翼とスリーワンモーター(へイドン社製BL300R)で濃度を維持しながら攪拌し、本発明にかかるミキシング処理を行った。その後、溶媒分を留去し、金属酸化物微粒子のゾル(A液:固形分濃度30%)を得た。A液の固形分のうち90質量%が金属酸化物微粒子である。
次に、前記A液を含む表1記載の所定の混合物をディスパーにて30分間攪拌することによって得られたハードコート層用の本発明の塗料を、膜厚80μm、全光線透過率92%からなる透明基体のTAC(富士フィルム社製「TD80UL」)の片面上にロールコーティング方式にて塗布(ラインスピード;20m/分)し、風量0.5m/sec、30〜50℃で20秒間予備乾燥を経た後、100℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気(窒素ガス置換)中で紫外線照射(ランプ;集光型高圧水銀灯、ランプ出力;120W/m、灯数:4灯、照射距離:20cm)を行うことで塗工膜を硬化させた。このようにして、厚さ10.0μmのハードコート層を有する実施例1の光学積層体を得た。
ハードコート層用塗料を表1記載の所定の混合液とし、ミキシング処理工程の有機高分子化合物を綜研化学社製サーモラック「EF30」(ポリオール)に、そして、ハードコート層の膜厚を9.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の光学積層体を得た。
金属酸化物微粒子の分散液にビックケミージャパン社製「酸化亜鉛微粒子NANOBYK3841」(粒径40nm、40%分散液;メトキシプロピルアセテート希釈)を使用し、実施例1と同様にして、金属酸化物微粒子のゾル(B液)を得た(B液:固形分濃度40%)。次に、前記B液を含む表1記載の所定の混合物を、ディスパーにて30分間攪拌することによって得られたハードコート層用の本発明の塗料を、膜厚80μm、全光線透過率92%からなる透明基体のTAC(コニカミノルタオプト社製;KC4UYW)の片面上にマイクログラビアコーティング方式にて塗布(ラインスピード;20m/分)し、風量0.5m/sec、30〜50℃で20秒間予備乾燥を経た後、80℃で1分間乾燥し、窒素雰囲気(窒素ガス置換)中で紫外線照射(ランプ;集光型高圧水銀灯、ランプ出力;100W/cm、灯数;4灯、照射距離;20cm)を行うことで塗工膜を硬化させた。このようにして、厚さ5.0μmのハードコート層を有する実施例3の光学積層体を得た。
ハードコート層用塗料を表1記載の所定の混合液に変更し、ハードコート層の膜厚を7.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例4の光学積層体を得た。
[比較例1]
ハードコート層用塗料を表1記載の所定の金属酸化物微粒子を含有しない混合液に変更し、ハードコート層の膜厚を5.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光学積層体を得た。
[比較例2]
ハードコート層用塗料を表1記載の所定の金属酸化物微粒子を含有しない混合液に変更し、ハードコート層の膜厚を2.0μmとした以外は、実施例1と同様にして、比較例2の光学積層体を得た。
[比較例3]
金属酸化物微粒子の分散液として、A液のうち表面処理を行っただけで、ミキシング処理を行っていないもの(A’液)を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例3の光学積層体を得た。
[比較例4]
金属酸化物微粒子の分散液として、A液のうち、ミキシング処理を行っただけで、表面処理を行っていないもの(A’’液)を使用した以外は実施例1と同様にして、比較例4の光学積層体を得た。
実施例および比較例で使用した材料を表1にまとめた。
Figure 2010223985
下記方法によって、本発明の光学積層体の実施例、比較例の評価を行った。
密着性
ハードコート層と透光性基体との密着性をJIS K5600のクロスカット法に従い、行った。
尚、カットの間隔は1mmとし、カット数は11個とする。評価はクロスカットした格子の剥がれていない個数の割合を、%で表示する。例えば、5個剥がれていれば、95/100と表示する。
全光線透過率
JIS K7105に従い、へイズメーター(商品名:NDH2000、日本電色社製)を用いて測定した。
耐摩耗性
日本スチールウール社製のスチールウール#0000を耐摩耗試験機(Fu Chien社製Abrasion Tester,Model:339)に取り付け、ハードコート層面を荷重250g/cmにて10回往復させた。その後、摩耗部分の傷を蛍光灯下で確認した。傷の数が0本のときを◎、傷の数が1〜10本未満のときを○、傷の数が10〜30本未満のときを△、傷の数が30本以上のときを×とした。
表面硬度(鉛筆硬度)
ハードコート層面の表面硬度を鉛筆硬度計(ヨシミツ精機社製)を用い、JIS 5400に準拠して、測定した。測定回数は5回とし、傷がついてない本数を力ウントした。例えば、3Hの鉛筆で、3本傷がなければ、3/5(3H)というようにした。鉛筆硬度は4/5(3H)以上を良好とした。
コントラスト(C/R)
コントラストは各実施例及び各比較例の光学積層体形成面と反対面に、無色透明な粘着層を介して液晶ディスプレイ(商品名:LC−37GX1W、シャープ社製)の画面表面に貼り合せ、液晶ディスプレイ画面の正面上方60°の方向から蛍光灯(商品名:HH4125GL、ナショナル社製)にて液晶ディスプレイ表面の照度が200ルクスとなるようにした後、液晶ディスプレイを白表示及び黒表示としたときの輝度を色彩輝度計(商品名:BM−5A、トプコン社製)にて測定し、得られた黒表示時の輝度(cd/m)と白表示時の輝度(cd/m)を以下の式にて算出した時の値が、600〜800のときを×、801〜1000のとき○、1001〜1200のとき◎とした。
コントラスト=白表示の輝度/黒表示の輝度
耐薬品性
ハードコート層面に、アンモニア2[%]溶液、メタノール、トルエン、リグロイン、軽油、人工汗液、無鉛ガソリン、塩水10[%]、硫酸10[%],酢酸10[%]、IPA、エタノール、中性洗剤、炭酸飲料(コーラ)、ウェットナプキン、ハンドクリーム、ヘアリキッドの各試薬滴下後、2時間放置してから布(クラレ社製クリーンワイパー「ソリブ」)で拭き取り、ハードコート層面にクラック、フクレ、色変化などの外観変化を目視観察した。その結果、全ての薬品で外観変化がみとめられない場合を○、ひとつでも外観に変化が認められた場合を×とした。
表2に評価結果をまとめた。なお、表2には金属酸化物微粒子に表面処理を行っているものを○、行っていないものを×、ミキシング処理を行っているものを○、行っていないものを×と示した。
Figure 2010223985
以上のように本発明によれば、優れた物理的強度(鉛筆硬度および耐摩耗性)、耐薬品性を具備しながら、かつ、画面の視認性が良好で、LCDやPDPのディスプレイ用途にも好適に使用することができる塗料と、その塗料を使用した光学積層体を提供することができる。
1 光学積層体
10 透光性基体
20 ハードコート層
30 透光性樹脂
40 金属酸化物微粒子

Claims (5)

  1. 金属酸化物微粒子を表面処理した後、有機高分子化合物とミキシング処理したことを特徴とする金属酸化物微粒子。
  2. 少なくとも表面処理および有機高分子化合物とミキシング処理された金属酸化物微粒子と、エネルギー硬化型樹脂と、有機溶剤と、を含有することを特徴とする塗料。
  3. 前記有機高分子化合物の分子量が10,000〜200,000であることを特徴とする請求項2に記載の塗料。
  4. 透光性基体上に、請求項2または3に記載の塗料が塗布された後、該塗料をエネルギーにより硬化させてなるハードコート層が積層され、該ハードコート層中に前記金属酸化物微粒子が略均一に分散されてなることを特徴とする光学積層体。
  5. 金属酸化物微粒子を表面処理する工程と、前記工程で表面処理された金属酸化物微粒子を有機高分子化合物とミキシング処理する工程と、を行うことを特徴とする金属酸化物微粒子の製造方法。
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