JP2010220833A - 心室補綴具 - Google Patents

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Abstract

【課題】外科手術が行なわれるまでの応急処置として、開胸せずに装着でき、脆弱化した心筋を保護できる心室補綴具を提供する。
【解決手段】急性心筋梗塞とともに心タンポナーデ等の合併症を併発した場合などに、心臓101の心室内に装着される心室補綴具1である。一端に開口2aを有する柔軟な袋状の隔膜部2と、常態において隔膜部2を開き状態に保持する保形部3と備える。隔膜部2は長軸の中心側に開口2aを有する半楕円体形状に形成されていて、保形部3が線状に圧縮変形可能に構成されている。
【選択図】 図6

Description

本発明は、心室が破れた場合等、応急的に心臓に装着される心室補綴具に関する。
心臓疾患の1つに急性心筋梗塞がある。急性心筋梗塞は、心臓を形成している心筋に血液を送る冠動脈が突然閉塞することにより血液の供給が途絶え、心筋が壊死する疾患である。閉塞は、主として粥種や血栓が血管内で詰まることによって引き起こされる。急性心筋梗塞によって心筋の広範な範囲で収縮機能が失われたり、心室細動のような致死性不整脈が発生すると、心臓が血液を駆出できなくなって突然死を招くおそれがある。
例えば、図1の(a)は、急性心筋梗塞を発症した患者の心臓101を表している。まず、心臓101には左心房102や左心室103、右心房104、右心室105がある。左右それぞれの心房102,104と心室103,105との間には三尖弁106や僧帽弁107があって、これらによって心房102,104と心室103,105との間が開閉可能に区画されている。左右の心房102,104間は心房中隔108によって、左右の心室103,105間は心室中隔109によってそれぞれ区画されている。このような構造の心臓101に対し、全身をまわった静脈血は大静脈110を通って右心房104に入り、三尖弁106、右心室105を経て、心臓101のポンプ作用によって肺に送られる。肺から戻る動脈血は、左心房102に入り、矢印線が示すように、僧帽弁107、左心室103を経て、心臓101のポンプ作用により、大動脈111を通って全身に送られる。
図示はしないが、問題となる冠動脈は複数あって、それぞれ概ね大動脈111の基部から心臓101を取り巻くように心尖部101aに向かって延びている。そのため、閉塞が発生する部位は様々ではあるが、心筋が壊死する部位(壊死部位112ともいう)は、図1に網目線で示すように、冠動脈の末端側に位置する心臓101の心尖部101a側で生じ易い傾向がある。壊死部位112の心筋は脆弱になるため、急性心筋梗塞になると様々な合併症が併発する。
例えば、同図の(b)に示すように、心室の自由壁が破綻すると心室破裂が起こって動脈血が心室の外に噴出する。心臓101は袋状の心膜113によって覆われているため、噴出した動脈血はその心膜113内に貯留し、心臓101を圧迫する「心タンポナーデ」を引き起こす。また、同図の(c)に示すように、心室中隔109が破綻して孔が開くと「心室中隔穿孔」を引き起こして動脈血が右心室105に大量に流入し、右心室105に大きな負担をかけることとなる。いずれの場合も、急性心不全や心停止をきたすおそれがある。
本発明に関し、大動脈瘤の治療に用いられるステントグラフトが知られている(特許文献1、2等)。例えば、特許文献2には、形状記憶合金製のワイヤーを網目状に交絡させて筒形に形成したステントに、人造チューブなどのグラフトを一体に被せたステントグラフトが開示されている。
うっ血性心不全に苦しむ患者の心臓の駆出率を改善するために、左心室内を生産的部分と非生産的部分とに区画する区画装置が提案されている(特許文献3、4)。この区画装置は漏斗状の外観を呈し、先端がJ字状等に形成されたステムと、このステムの基端から放射状に拡がる複数のリブと、これらリブに取り付けられた円錐状の区画膜とを備えている。各リブの先端は尖っている。区画装置は、折り畳んでカテーテルを介して患者の左心室に導入される。所定位置で区画装置を拡げるとリブの先端が心臓の組織に刺さって固定されるため、区画膜により左心室内が区画される。
特開2008−200293号公報 特開2004−344634号公報 特表2007−517596号公報 特表2008−545510号公報
急性心筋梗塞を発症し、心タンポナーデや心室中隔穿孔などの合併症を併発したような場合には、時間の経過とともに急激に救命率が低下するため、緊急に外科手術を行い、破綻箇所を縫合して止血する必要がある。
ところが、心臓カテーテル検査で診断が確定しても、患者の搬送や手術の準備など、実際に手術を行って処置が終わるまでには、少なくとも数時間は必要である。その間、心室からは動脈血が流出し続けるため、患者は強いうっ血性心不全の状態となり、激しい侵襲が患者を苦しめるうえに臓器障害をきたすおそれもある。また,図1(b)に示す心タンポナーデの状態を軽減するために胸壁体表から心嚢内110に管を挿入して血液を抜き出す処置(心嚢ドレナージ)を行うが,心室に孔があるため血液が出続けてしまう.
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、比較的容易に応急処置ができ、外科手術が行われるまで病態の急激な悪化を防ぐことができる心室補綴具を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明では、カテーテルを用いて比較的簡単かつ短時間で処置することができ、心室からの動脈血の流出を応急的に抑制できるように工夫した。
すなわち、本発明は、心臓の心室内に装着される心室補綴具であって、一端に開口を有する柔軟な袋状の隔膜部と、前記隔膜部に設けられ、常態において前記隔膜部を開き状態に保持する保形部と、を備え、前記隔膜部が長軸の中心側に前記開口を有する半楕円体形状に形成され、前記保形部が線状に圧縮変形可能に構成されている。
このような構成の心室補綴具によれば、まず、隔膜部が、心室の心尖部周辺の形状と同様の半楕円体形状に形成されているので、心室補綴具を心室内に装着したときにその内壁に密着し易い。隔膜部は柔軟であるため、小さく収縮させることができ、保形部も線状に圧縮変形可能に構成されているので、心室補綴具をカテーテル等の内部に収容して移送させることができる。隔膜部は、常態、つまり外力が作用していない通常の状態では保形部によって開き状態に保持されるため、心室内でカテーテル等から押し出すだけで、心室補綴具は自動的に拡がって心室の内壁に装着される。
従って、カテーテル等を用いて心室補綴具を心臓の心室内に送り込んで押し出すだけで装着できるので、開胸しなくてよいし操作も比較的簡単であるため、短時間で処置できる。心室の心尖部周辺の心筋全体(正常な部位も含む)に隔膜部が装着されるので、壊死部位が補強され、破綻や動脈血の流出を軽減することができる。保形部も圧縮変形可能であるので心臓のポンプ機能を維持することができる。
具体的には、前記保形部が、弾性変形可能な線状部材を用いて周方向に収縮可能に形成された環状の部材からなり、前記開口の縁に沿うように設けられているものとすることができる。
線状部材を用いて保形部を形成することで、線状に圧縮変形させ易くなってその総容積が小さくなるため、カテーテル等での移送を円滑にすることができる。保形部を周方向に収縮可能な環状の部材とすることで、心臓のポンプ作用を邪魔することなく隔膜部を心室の内壁に密着し易くできる。隔膜部の開口の縁に沿うように心室補綴具を設けることで、隔膜部をしっかりと開くことができ、動脈流によって隔膜部が捲れ上がったりするのを防ぐことができる。
より具体的には、前記保形部が、複数の直線状の枝腕部を有し、隣接する2つの枝腕部の一端が互いに弾性屈曲可能に接続されて波線状に形成されているようにすればよい。かかる構成によれば、簡素でありながら保形部をその周方向に大きく収縮させることができるし、弾性にも優れる。
また、前記保形部と同形態の補助保形部を更に備え、1個以上の前記補助保形部が前記隔膜部の尖端側に設けられているようにしてあってもよい。。
そうすれば、隔膜部がよりいっそう半楕円体形状に保持されるため、隔膜部が心室の内壁に密着し易くなって脆弱化した心筋をしっかりと保護することができる。
前記保形部は、例えば、半楕円形状に形成された弾性変形可能な複数の線状部材で構成され、これら各線状部材が、それぞれ前記隔膜部と一体に取り付けられて放射状に組み合わされているものであってもよい。
この場合、各線状部材が隔膜部の形状に合わせて半楕円形状に形成されていて、隔膜部と一体に取り付けられて放射状に組み合わされているので、隔膜部が半楕円体形状に保持され易くなり、脆弱化した心筋をしっかりと保護することができる。構造も簡素で製造コストや部材コストの面で有利であるし、保形部の占める容積も小さくなってカテーテルでの移送が楽になる。
特に、前記開口の縁部の一端から他端に糸状部材を渡しておくのが好ましい。
そうすれば、糸状部材で隔膜部の開口の開き量を規制することができる。開き量を調整することで大きさの異なる心臓により適切に対応できるようになり、心臓により負担をかけずに済む。また、装着時に、心室補綴具が位置ずれしたり傾いたりした場合に、この糸状部材を摘んで装着状態を簡単に修正することができる。
また、前記保形部は、弾性変形可能な複数の線状部材で構成され、これら各線状部材が、それぞれ前記開口内に渡されて放射状に組み合わされているようにしてあってもよい。
この場合、線状部材が開口内に渡されて放射状に組み合わされているので、よりしっかりと開口を開き状態に保持できる。構造が簡素になるため、製造コストや部材コストの面で有利である。圧縮変形時に保形部が占める容積も小さくなるため、移送し易くなる。更に、糸状部材がなくても線状部材を摘んで心室補綴具の装着位置を簡単に修正することができる。
以上説明したように、本発明の心室補綴具によれば、診断が確定した時点で開胸せずに比較的短時間で心室内に装着でき、脆弱化した心筋を応急的に保護することができる。外科手術が行なわれるまで病態の急激な悪化を防ぐことができるようになり、外科手術での救命率を向上させることができる。
急性心筋梗塞やその合併症を説明するための図である。(a)は急性心筋梗塞が発生した心臓を、(b)は心タンポナーデを併発した心臓を、(c)は心室中隔穿孔を併発した心臓をそれぞれ表している。 本実施形態の心室補綴具の概略斜視図である。(a)はその常態を、(b)は収縮した状態をそれぞれ表している。 心室補綴具を心室に装着する操作を説明するための図である。 心室補綴具を心室に装着する操作を説明するための図である。(a)、(b)はそれぞれ操作の主な段階を表している。 心室補綴具を心室に装着する操作を説明するための図である。(a)、(b)はそれぞれ操作の主な段階を表している。 心室補綴具を心室に装着した状態を示す図である。 心室補綴具の装着状態を修正する操作を説明するための図である。 心室補綴具の変形例を示す概略斜視図である。(a)はその常態を、(b)は収縮した状態をそれぞれ表している。 心室補綴具の変形例を示す概略斜視図である。(a)はその常態を、(b)は収縮した状態をそれぞれ表している。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。
(心室補綴具)
図2に、本実施形態の心室補綴具1を示す。この心室補綴具1には、一端に開口2aを有する袋状の隔膜部2や保形部3、補助保形部4が備えられている。同図の(a)に示すように、この心室補綴具1は、外力が作用していない通常の状態(常態)では口の開いた立体的形状となり、押さえ付けると、同図の(b)に示すように、細長い線状に圧縮変形してカテーテル等に挿入可能となる。
隔膜部2は、シート状の素材を用いて、長軸の中心側が開口する半楕円体形状に形成されている。この形状は、心室の心尖部101a側の形状に合わせて形成されたものであり、心室補綴具1を心室内の心尖部101a側に装着したときに、隔膜部2が心筋内壁と密着するように当接し、脆弱化した心筋を内側からしっかりと保護できるようになっている。隔膜部2の長軸側の長さ寸法や開口径等は、心臓101の大きさに応じて任意に設定することができる。
隔膜部2の素材としては、成形が比較的容易であることから、ポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂が好適に使用できる。隔膜部2は一体成形で形成してもよいし、1または2以上の部材を接合して立体的に形成してもよい。ただし、その素材は、小さく収縮できるように、柔軟性を有し、厚みの薄いものが好ましく、心筋への負荷を軽減するために、伸縮性が低くて強度に優れたものが好ましい。また、血液の透過性がないものかあるいは極めて小さいものが好ましい。
保形部3は、弾性変形可能な金属や合成樹脂を素材とする径の細い線状の部材(線状部材3aともいう)を用いて形成された環状の部材からなる。線状部材3aは、周方向に波線状に延びるように形成されていて、周方向に収縮可能となっている。詳しくは、保形部3は、その周方向の一定間隔ごとに位置する直線状の枝腕部3b,3b,…を複数有し、これら枝腕部3b,3b,…がそれぞれ互い違いに隔膜部2の周面に沿って斜め方向に延びており、隣接する2つの枝腕部3b,3bの一端どうしが互いに弾性屈曲可能に接続されている。
従って、保形部3を圧縮して、隣接する枝腕部3b,3bどうしが互いに接するように収縮させると、保形部3は図2の(b)に示すように細長く線状に弾性変形する。保形部3は、隔膜部2の開口2aの縁に沿うようにその内側に一体に設けられ、半径方向外側から外力が加わると容易に収縮して、隔膜部2を開き方向に付勢する機能を有している。
隔膜部2の尖端2b側には、保形部3に隣接して補助保形部4が設けられている。この補助保形部4は、その直径寸法が保形部3よりも小さく形成されている点を除けば保形部3と同様の形態をしている。すなわち、補助保形部4も弾性変形可能な波線状の線状部材4aで環状に形成されていて、隣接する一端どうしが互いに弾性屈曲可能に接続された複数の枝腕部4b,4b,…を有している。本実施形態では、補助保形部4を1つ設けたが、2つ以上設けてあってもよい。但し、隔膜部2の尖端2bの部分には、収縮させてカテーテル内を移送させるときに線状部材4aが集中して隔膜部2を突き破らないように、隔膜部2のみが存在する保護領域2cを設けておくのが好ましい。
心室補綴具1の開口2aには糸状部材5が設けられている。この糸状部材5は、非伸縮性あるいは低伸縮性の素材を用いて形成された細い糸状の部材である。糸状部材5は、隔膜部2における開口2aの縁部の所定の一端から対向する他端に渡されている。本実施形態では糸状部材5は複数設けられていて、各糸状部材5がそれぞれ開口2aの中心で重なるように放射状に配設されている。
(心室補綴具の装着方法)
次に、このような形態の心室補綴具1の装着方法について説明する。図3に人体の要部を表した模式図を示す。例えば、心臓カテーテル検査で検査した結果、急性心筋梗塞が認められ、心タンポナーデを併発していると診断されたとする。その場合、時間の経過とともに病態が悪化して救命率が急激に低下するため、直ちに緊急の外科手術を行う必要がある。
しかし、そのような外科出術を行う設備がない場合には、患者を設備のある施設まで搬送する必要があるし、設備があっても外科手術の準備には時間を要するため、診断が確定しても直ぐに処置できるとは限らない。その間、心室からは動脈血が流出し続けるため、患者は強いうっ血性心不全の状態となり、激しい侵襲が患者を苦しめるうえに臓器障害をきたすおそれもある。
そこで、外科出術が行われるまでの間、脆弱化した心筋の壊死部位112を保護して心室からの動脈血の流出を軽減させるために、カテーテル51等を用いて心室補綴具1を左心室103に装着する。まず、患者のそけい部を切開し、ガイドワイヤ52をそこから大腿静脈114を介して中枢側に送り込み、心臓101の右心房104まで挿入する。なお、心室補綴具1を心室に装着するための器具には、一般に僧帽弁狭窄症の治療で行われる経皮経静脈僧帽弁交連裂開術(PTMC)の器具が利用できる。
図4の(a)に示すように、ガイドワイヤ52をガイドとして右心房104に送り込んだ穿刺針55で心房中隔108を穿通し、ガイドワイヤ52の先端部を左心房102に送り込む。このガイドワイヤ52に沿わしてカテーテル51を送り込み、同図の(b)に示すように、カテーテル51の先端部分が僧帽弁107を介して左心室103内の心尖部101a近くに達するまで送り込む。このカテーテル51を左心室103内に送り込む一連の操作は、レントゲン透視ガイドで行ってもよいが、レントゲン透視ガイドでは僧帽弁107などが見えないため、経食道心エコー法(TEE)ガイドにより行うのが好ましい。
図5の(a)に示すように、こうして先端部分が左心室103内に送り込まれたカテーテル51の基端部から、線状に圧縮変形させた心室補綴具1をその隔膜部2の尖端2b側から挿入し、ロッド53を操作して心室補綴具1を中枢側に送り込んでいく。同図の(b)に示すように、カテーテル51の先端から心室補綴具1が押し出されると、心室補綴具1は補助保形部4や保形部3の作用により自動的に膨張する。心室補綴具1の全体を押し出すと、図6に示すように左心室の心尖部101a周辺部位を心室補綴具1によって内側から覆うことができる。
このようにカテーテル51等を用いて心室内に押し出すだけで心室補綴具1を装着できるため、開胸せずに診断の確定後直ぐに応急処置ができる。
隔膜部2の形状は装着される心尖部101a周辺の形状に合わせて形成されているので、正常な部位を含めた左心室103の比較的大きな領域全体で内圧が受け止められ、脆弱化した心筋の壊死部位112を保護することができる。隔膜部2の開口2aの開き量も糸状部材5で規制できるので、個々の心臓101に合わせて微調整でき、隔膜部2を適正に装着することができる。心室補綴具1を開き状態に保持する保形部3や補助保形部4は圧縮変形可能であるため、心臓101のポンプ機能は維持される。しかも、保形部3等は隔膜部2を開き方向に付勢しながら収縮するため、心臓101が動脈血を送り出すために収縮すればするほど、保形部3や補助保形部4は心室内壁によく密着する。従って、隔膜部2と心室内壁との間に動脈血が漏れて入り込むのを効果的に抑制できる。
このように、心筋の壊死部位112に大きな負荷をかけずに、心臓101本来の機能を維持発揮させることができるので、外科手術が行われるまでの間、急激な病態の悪化を防ぐことができる。なお、左心室103に装着された心室補綴具1は外科手術の際に取り出せばよい。
ところで、カテーテル51から心室補綴具1を押し出したとき、心室補綴具1が傾いたりずれたりして適正に装着できないおそれがある。そのような場合には糸状部材5を利用して心室補綴具1の装着状態を修正できるようになっている。例えば、図7に示すように、カテーテル51を介して先端に鉗子を備えた器具54を送り込み、その器具を操作して糸状部材5を摘んで心室補綴具1の装着状態を修正すればよい。糸状部材5は開口2aの内側に張り渡されているので簡単に摘んで短時間で処置できる。
なお、本発明にかかる心室補綴具1は、前記の実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。
例えば、図8に心室補綴具の変形例を示す。この心室補綴具1Aには、保形部3や補助保形部4と同様の機能を発揮する異なる形態の保形部(第2保形部3Aともいう)が設けられている。なお、第2保形部3Aを除けば、上記実施形態と同様であるため、同じ構成については同じ符号を付してその説明は省略する。
第2保形部3Aは、半楕円形状に曲げられた弾性変形可能な複数の線状部材30,30,…で構成されている。各線状部材30の素材は上記実施形態と同様である。各線状部材30は、それぞれ隔膜部2の内側の周面に沿うようにして隔膜部2に一体に取り付けられている。各線状部材30の曲がった中間部分はそれぞれ隔膜部2の尖端2bに重なって位置し、隔膜部2の長軸方向に見てそこから放射状に拡がるように各線状部材30が組み合わされている。
従って、この心室補綴具1は、同図の(a)に示すように、常態では開き状態に保持され、半径方向から押しつぶすと、各線状部材30がその中間部分で大きく弾性変形して第2保形部3Aが線状に圧縮変形し、カテーテル51等に挿入できるようになる。もちろん、外力が無くなれば、第2保形部3Aが膨張して元の状態に復帰する。
この場合、隔膜部2が半楕円体形状に保持され易くなるため、左心室103により密着するように装着できる。構造も簡素で製造コストや部材コストの面でも有利である。線状部材30の占める容積も相対的に小さくなるため、カテーテル51内を移送し易くなる。
図9に、心室補綴具の別の変形例を示す。この心室補綴具1Bでも、保形部3や補助保形部4と同様の機能を発揮する異なる形態の保形部(第3保形部3Bともいう)が設けられている。
第3保形部3Bは、僅かに湾曲した弾性変形可能な複数の線状部材31,31,…で構成されている。この変形例でも各線状部材31の素材は上記実施形態と同様である。各線状部材31は、その突出側を隔膜部2の内側に向けた状態で、それぞれ開口2aの縁部における対向する端部間を渡るように隔膜部2に設けられている。各線状部材31の中間部分はそれぞれ開口2aの中央部分に重なって位置し、隔膜部2の長軸方向に見てそこから放射状に拡がるように各線状部材31が組み合わされている。
従って、この心室補綴具1は、同図の(a)に示すように、常態では開き状態に保持され、半径方向から押しつぶすと、各線状部材31がその中間部分で大きく弾性変形して第3保形部3Bが線状に圧縮変形し、カテーテル51等に挿入できるようになる。もちろん、外力が無くなれば、第3保形部3Bが膨張して元の状態に復帰する。
この場合、線状部材31が開口2a内に渡されて放射状に組み合わされているので、よりしっかりと開口2aを開き状態に保持できる。構造も簡素で製造コストや部材コストの面で有利である。線状部材31が占める容積も相対的に小さくなるため、カテーテル51内を移送し易くなる。しかも、線状部材31を摘むことができるので、心室補綴具1の装着位置を簡単に修正することができる。
1 心室補綴具
2 隔膜部
2a 開口
2b 尖端
3 保形部
3a 線状部材
3b 枝腕部
4 補助保形部
5 糸状部材

Claims (7)

  1. 心臓の心室内に装着される心室補綴具であって、
    一端に開口を有する柔軟な袋状の隔膜部と、
    前記隔膜部に設けられ、常態において前記隔膜部を開き状態に保持する保形部と、
    を備え、
    前記隔膜部が長軸の中心側に前記開口を有する半楕円体形状に形成され、
    前記保形部が線状に圧縮変形可能に構成されている心室補綴具。
  2. 請求項1に記載の心室補綴具であって、
    前記保形部が、弾性変形可能な線状部材を用いて周方向に収縮可能に形成された環状の部材からなり、前記開口の縁に沿うように設けられている心室補綴具。
  3. 請求項2に記載の心室補綴具であって、
    前記保形部が、複数の直線状の枝腕部を有し、隣接する2つの枝腕部の一端が互いに弾性屈曲可能に接続されて波線状に形成されている心室補綴具。
  4. 請求項2または請求項3に記載の心室補綴具であって、
    前記保形部と同形態の補助保形部を更に備え、
    1個以上の前記補助保形部が前記隔膜部の尖端側に設けられている心室補綴具。
  5. 請求項1に記載の心室補綴具であって、
    前記保形部が半楕円形状に形成された弾性変形可能な複数の線状部材で構成され、これら各線状部材が、それぞれ前記隔膜部と一体に取り付けられて放射状に組み合わされている心室補綴具。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の心室補綴具であって、
    前記開口の縁部の一端から他端に糸状部材が渡されている心室補綴具。
  7. 請求項1に記載の心室補綴具であって、
    前記保形部が弾性変形可能な複数の線状部材で構成され、これら各線状部材が、それぞれ前記開口内に渡されて放射状に組み合わされている心室補綴具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016508389A (ja) * 2013-01-25 2016-03-22 メドテンシア インターナショナル エルティーディー オーワイ 一時的な心房支援装置
US11241571B2 (en) 2019-09-24 2022-02-08 Marvin Liu Implantable ventricular assist device
CN114504352A (zh) * 2022-03-09 2022-05-17 山东省千佛山医院 一种室间隔穿孔隔绝用心尖塞装置及***

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