JP2010216518A - 伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車 - Google Patents

伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車 Download PDF

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Abstract

【課題】先に出願した、PCT/JP2008/066053と特願2009−26732の伝達誤差と遊びがゼロの歯車の、実現可能な形体を追加する。
【解決手段】歯の形状を円にすると、頂点の噛合いは遊びがゼロになる。1対1の径で、他の角度は、遊びの範囲に正しい伝達角度が在る。同じ噛合いを1周期とし、平面の歯車を微分の積層でヘリカルギアにすると、ピッチ点に位相のずれた噛合いが積層上に存在し、遊びがゼロの部分に歯車の挙動が制限される。1/2周期以上の積層の位相幅のヘリカルギアで伝達誤差と遊びのゼロが可能であり、頂点の噛合いの衝突方向の重複部分を削り、マージン設定する歯車であり、異なる歯数比の歯車では、噛合いの重複部分を削り伝達誤差と遊びをゼロにし、上記歯車を球面上で構成し、球の同心的な積層のスパイラルベベルギアにて、全ての軸の交差角度の歯車を構成するのが先の出願であり、本出願で実現可能な形状の定義を広げる。
【選択図】図1

Description

本発明は円弧を基礎とした歯の形状を有するヘリカルギアを組み合わせた歯車装置に関し、特に伝達誤差やバックラッシュを極めて小さくできる形状のヘリカルギアとスパイラルベベルギアを備えた歯車装置に関する。
従来、平歯の歯車では、伝達誤差と遊びが大きくなる傾向にある真円歯形状の歯車は、あまり多く使用されることはないが、円歯形状の歯車としては、いくつかの例外となる歯車が知られている。その1つは円弧歯形を利用した歯車であって、相手歯車と噛み合う部分の歯形曲線が接触の開始点から噛み合い率が1となる点までの間の歯形曲線の少なくとも1部をピッチサークル上に中心を有し、その両側の歯形曲線と滑らかに接続するようにしたもの(例えば、特許文献1参照。)などが知られている。
特開平11−94052号公報 特開昭49−9524号公報 特開昭50−152146号公報 特開昭51−13047号公報 特開昭53−22942号公報 特開2008−138874号公報 PCT/JP2008/066053 特願2009−26732
従来の真円歯の平歯車は、主に歯形基準円の大きさと歯数で歯車の大きさが決定され、衝突方向に偏差マージンが無いために、真円歯の歯車はあまり使われることはなかった。そのため、従来の楕円を基準とした設計がされており、その歯形状はそのまま、螺旋状に歯列を備えたヘリカルギアにも応用されていた。
そのため、噛み合う歯車の間で互いのピッチ円の間にある隙間であるバックラッシュをゼロとしたり、伝達誤差をゼロとする歯車を設計することが出来なかった。
そこで、上述の技術的な課題に鑑み、バックラッシュや伝達誤差を極めて小さくするような歯車装置の提供を目的とする。
以上が、先に出願のPCT/JP2008/066053の課題である。
先に出願のPCT/JP2008/066053において、相互の回転軸が平行でのみ、伝達誤差とバックラッシュがゼロに近い歯車を構成できるものであるため、特願2009−26732において、相互の回転軸が平行以外の全ての角度で噛合いが可能な、伝達誤差とバックラッシュがゼロに近い歯車を構成することである。
本出願において、伝達誤差とバックラッシュがゼロに近い歯車を構成できる形状を深く検証し、先に出願のPCT/JP2008/066053と特願2009−26732の実施される形態をより深くするものである。
上述の課題を解決するため、本発明の歯車装置は、第1の形体として平面上において、平歯車を軸方向に平面積層すると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするヘリカルギアであり、該ヘリカルギア同士を噛合するように組み合わせた歯車装置であって、第2の形体として球表面上において、球表面歯車を軸方向に同心球積層をすると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするスパイラルベベルギアであり、該スパイラルベベルギア同士を噛合するように組み合わせた歯車装置であって、上記の平面上および球表面上において、単数もしくは複数の歯形基準円が、歯車基準円の円周上に中心が位置し、歯形基準円の歯車基準円外周側もしくは歯車基準円内周側と、歯車基準円の円周上に沿う形状を外形とし、平面上もしくは球表面上に該外形を構成するもので、歯車基準円外周側と歯車基準円内周側の歯形基準円上の該外形を変形するものであり、歯形基準円上の噛合う摺接側部の一方において、歯先と歯底の組が、一部摺接部と面摺接部の組となる歯形状とし、正しい伝達角度において、該一部摺接部と重複する部分を削除し、他の噛合い重複部は噛合いのどちらか一方の重複部分を削除するものであり、噛合いのいずれかに、伝達摺接部の歯形状を構成し、平面積層および同心球積層された該歯車装置の全ての噛合いで、該伝達摺接部を構成する噛合い位相幅を有し、全ての噛合が正しい伝達角度であることを特徴とする。
上述の課題を解決するため、本発明の歯車装置は、上記の歯形基準円が、同心で径を異にした2重であり、摺接側部の一方が小径の歯形基準円で構成され、他方が大径の歯形基準円で構成されることを特徴とする。
また、本発明の歯車装置は、上記の歯形基準円の構成において、歯車基準円の円周上に中心が位置する歯形基準円が、連続に接して配置され、歯車基準円外周側の歯形基準円と、歯車基準円内周側の歯形基準円とを交互に外形とし、噛合い基準点以外を上記一部摺接部とし、該一部摺接部と重複している噛合い重複部を削除し、他の噛合い重複部は噛合いのどちらか一方の重複部分を削除することを特徴とする。
本発明の歯車装置については、本明細書と請求の範囲において、次のような用語によって説明がなされるものである。まず、“歯車基準円”は、歯車の回転軸を中心とした基準円であって、本発明では、その円周上に次に説明する歯形基準円の中心が並べられる構造とされる。また、“歯形基準円”は、本発明の歯車の歯先と歯底と歯面を形成するための基準となる円であり、先に説明した歯車基準円上に中心があり、連続で互いに接して並んでいるものである。これらの“歯車基準円”と“歯形基準円”は、それぞれ実際の歯車の外形をなすものではなく、設計の段階で考慮すべき仮想的な線図であり、ギアの回転軸に垂直な断面内で平面的な平歯車(スパーギヤ)を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とすることでヘリカルギアを形成することを技術的な思想としている。“歯車平面形状”は、回転軸に垂直な歯車の断面を示すものであり、歯車外形の包絡線を形成するための基礎となる平歯車の形状を言う。
“球表面歯車”は真円の球の表面に構成される歯車であり、上記の歯車平面形状を球面に置き換えたものであり、球表面歯車の回転軸の延長は球の中心を通過するものであり、球の中心から放射方向に厚みを有するもので、本発明特有の表現である。
“同心球積層”は同一の中心の複数の球の表面が、該球の径の差により複数の球表面が構成できるものであり、該球の中心を通る相互の回転軸線を、回転する球表面歯車が、各球面上で噛合って相互回転が可能であり、各球の径に比例して各球表面上の球表面歯車の大きさが変わることで、各球表面上で同一の噛合いが可能となるものであり、この各球表面上の球表面歯車を本発明記載の条件に従って、連続的に積層をするものであり、球表面歯車を限りなく薄くすることにより、滑らかなスパイラルベベルギアとなりうるものであり、本発明特有の表現である。
また、本発明での平面上の定義を、球面上の定義にする場合は、平面上の定義と球表面上の定義を置き換えるものである。距離の定義は球表面上の距離を示すものであり、直線の定義は球の中心から直線に見える、球表面上の線の定義と置き換えるものである。
“歯車基準円外周側”と“歯車基準円内周側”は、歯車基準円から見た外周側と内周側であり、歯形基準円の外周側と内周側とを区別するものである。
“平面積層”は、同心球積層に対応して、ギアの回転軸に垂直な断面内で平歯車(スパーギヤ)を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせることとする。また、平歯車(スパーギヤ)を限りなく薄くすることにより、滑らかなヘリカルギアとなりうるものである。
“ヘリカルギア”は、平歯車を段階的に平面積層されたものである。
“スパイラルベベルギア”は、球表面歯車を段階的に同心球積層されたものである。
“摺接側部”とは、歯車の噛合いを噛合い頂点の中心線で分岐し、一方の摺接部と、他方の摺接部を分けて示すものである。
“伝達摺接部”とは、正しい伝達角度での歯車の噛合いでの両側の摺接側部を示し、積層された歯車においては、積層された多数の噛合いの摺接側部のいずれかの、正しい伝達角度の両側の摺接側部を示すものである。
“一部摺接部”とは、歯形基準円の一部を外形とする歯形の、歯形基準円の円周上の部分を示すものである。“面摺接部”とは、歯形基準円の曲面を外形とする歯形の、歯形基準円の円周上の部分であり、一部摺接部が摺接して噛合う面を示すものである。
先に出願のPCT/JP2008/066053によれば、ヘリカルギア同士を組み合わせ、伝達誤差を小さく抑えて、バックラッシュをゼロに近い設定にすることができる。新しい歯形状の歯車設計法により、歯車の伝達誤差とバックラッシュをゼロに近いものにするものであり、正確に回転角度を伝えることが出来るものである。その二次的な効果として振動、駆動音が低減出来る。さらに、伝達誤差が極めて小さいため、高速回転でのストレスが少なくスムーズな高速回転が可能になる。また、伝達誤差が極めて小さいということから、エネルギー損失が少なく、省エネルギーになる。
上記のPCT/JP2008/066053は相互の回転軸が平行の場合のみの、歯車の噛合いであったが、次の出願の特願2009−26732によれば、相互の回転軸が平行以外の全ての角度で噛合いが可能となるものである。
本出願は上記出願の、伝達誤差とバックラッシュをゼロにする形状の定義を深くするものである。
本発明の単歯先歯車と単歯底歯車の平面図である。 円歯の歯車の平面図である。 径の比を1:1とする装置の円歯(歯形基準円)の回転移動を示す模式図である。 径の比を1:1とする装置の歯形基準円が楕円である歯車の回転移動を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の円歯同士の−25.71度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の円歯の−12度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の円歯の0度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の円歯の7度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の円歯の12度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の円歯の25.71度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の従来歯の0度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の従来歯の7度の噛合いの様子を示す模式図である。 7歯で径の比が1:1の従来歯の13度の噛合いの様子を示す模式図である。 円歯の噛合い位相のバックラッシュを示すグラフである。 従来歯の噛合い位相のバックラッシュを示すグラフである。 従来歯と円歯のヘリカルギアの斜視図である。 円歯の平歯車の歯車平面形状を積層しヘリカルギアを構成する模式図である。 円歯のヘリカルギアを横から視た場合の模式図である。 円歯の噛合いに影響の無い歯先、歯底を削ったところの歯車装置を示す模式図である。 円歯が中心線方向に重複したところの歯車装置を示す模式図である。 円歯の偏差許容の盛り込まれたところの歯車装置を示す模式図である。 30歯対3歯の歯形基準円の噛合いの模式図である。 図22に示す噛合い重複部の拡大図である。 30歯対3歯の歯形基準円の移動の軌跡の図である。 図24に示した歯先の移動軌跡の比較の図である。 30歯対3歯の歯形の比較図である。 30歯対3歯の歯底の深さの比較図である。 噛合いの歯形基準円と円歯中心線の図である。 歯車を構成する歯形基準円の全体図である。 噛合いパターン1(CASE1)の円歯中心線の長さの演算を導く図である。 噛合いパターン2(CASE2)の円歯中心線の長さの演算を導く図である。 噛合いパターン3(CASE3)の噛合い基準点と歯形基準円の中心との距離の演算を導く図である。 6歯対6歯の噛合いパターン1と2の円歯中心線の距離の変化の演算表である。 6歯対6歯の噛合いパターン3の噛合い基準点と歯形基準円の中心との距離の変化の演算表である。 3歯対30歯の噛合いパターン1と2の円歯中心線の距離の変化の演算表である。 3歯対30歯の噛合いパターン3の噛合い基準点と歯形基準円の中心との距離の変化の演算表である。 3歯対30歯の第4の条件の整形をされた噛合い位相0度の図である。 3歯対30歯の第4の条件の整形をされた噛合い位相30度の図である。 3歯対30歯の第4の条件の整形をされた噛合い位相10度の図である。 図39に示す歯車装置の接触面の拡大図である。 3歯対30歯の第4の条件の整形をされた噛合い位相2度の図である。 図41に示す歯車装置の接触面の拡大図である。 噛合い位相幅が1/2周期の、3歯対30歯の第4の条件の整形をされた噛合い位相−55度の図である。 図43に示す歯車装置の接触面の拡大図である。 噛合い位相幅が1周期の、3歯対30歯の第4の条件の整形をされた噛合い位相−55度の図である。 図45に示す歯車装置の接触面の拡大図である。 球表面に歯車基準円と歯形基準円を配置した斜視図である。 球表面歯車を断続の4層に同心球積層した設計思想の為の断面図である。 球表面の歯車基準円を球の中心まで同心球積層した斜視図である。 回転軸線が交差するスパイラルベベルギアを示す斜視図である。 単歯先歯車が−46.6度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先歯車が−30度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先歯車が0度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先歯車と単歯底歯車の噛合い位相のバックラッシュを示すグラフである。 歯先が削除の整形の単歯先2重歯形基準円歯車と単歯底2重歯形基準円歯車の平面図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が−42.81度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が−20度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が0度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が10度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が30度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が38.37度の噛合いの様子を示す模式図である。 歯先が削除の整形の単歯先2重歯形基準円歯車と単歯底2重歯形基準円歯車の噛合い位相のバックラッシュを示すグラフである。 歯底が削除の整形の単歯先2重歯形基準円歯車と単歯底2重歯形基準円歯車の平面図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が−46.58度の噛合いの様子を示す模式である。 単歯先2重歯形基準円歯車が−19.5度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が−16.7度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が−10度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が0度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が10度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が17.98度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が18度の噛合いの様子を示す模式図である。 単歯先2重歯形基準円歯車が40.55度の噛合いの様子を示す模式図である。 歯底が削除の整形の単歯先2重歯形基準円歯車と単歯底2重歯形基準円歯車の噛合い位相のバックラッシュを示すグラフである。
図2乃至図46は先に出願された、PCT/JP2008/066053の内容であり、図47乃至図50は先に出願された、特願2009−26732の内容であり、この発明が実施できる形態をさらに深く定義するものであり、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施が可能な形態の断面図である。
図2において、ここで各円歯の歯車(7,8)の断面形状について説明すると、歯車基準円(3)の円周上に中心が位置すると共に、それぞれ互いに接して配される複数の歯形基準円(4)が設けられ、該歯形基準円(4)の円周部分のうち、該歯車基準円(3)の内周側と外周側に位置する円周部分を該歯形基準円(4)の周方向に沿って交互に歯形状の一部としており、歯先側に歯形基準円(4)の外側に沿った凸部(62)を有し、その歯底側に歯形基準円(4)の内側に沿った凹部(61)を有する形状とされ、凸部(62)と凹部(61)は歯先と歯底の間で広がったS字を描いて連続するように形成されている。
また、特に本実施形態の歯車装置は、後述するように、一方の平歯車の歯先の頂点と他方の平歯車の歯底の頂点とが各回転軸を結ぶ中心線と重なる噛合い位置から、各平歯車の歯車平面形状を正しい伝達角度で角度回転させて、該歯車平面形状の重複部分を削除した歯形を有しており、特に歯車の生産誤差を見込んだ場合には、微細な切削量であっても重複部分を削り込んだ形状であることが望ましく、このような切削により理想的には、歯車の伝達誤差とバックラッシュを極めてゼロに近いものにすることができ、歯車間の伝達ロスなどを抑制させることができる。
次に、歯車装置について、その設計的な技術内容について詳しく説明するが、歯車装置では本明細書の範囲で次のような各用語を用いており、初めにこれらの用語について説明する。
“噛合い周期の起点”は、本明細書においては、歯車の噛合いにて、両歯車の回転軸同士を結んだ中心線上に一方の歯車の歯先の頂点と他方の歯車の歯底の頂点とが重なり合う状態の位相の原点を示すものである。同じ噛合い状態になる区間を1周期とするものである。
“噛合い頂点”は、本明細書においては、前記の噛合い周期の起点では歯先と歯底の頂点が重なり合い、噛合い周期の起点から1/2周期では、歯先と歯底が入れ替わった状態で頂点が重なり合う状態になり、この重なり合っている頂点を示すものである。
“噛合い接線”は、本明細書においては、ヘリカルギアの回転状態がxy軸上に在ると仮定すると、z軸上にピッチ点が直線状態で存在する。この直線を示すものである。
“噛合い位相”は、本明細書においては、噛合い周期の起点を噛合い位相0度として、時計回りの逆を「+」方向として角度を表すものである。
“噛合い位相幅”は、本明細書においては、回転軸方向に歯車平面形状すなわち平歯車を積層させ、該平歯車を回転方向にすこしずつずらせながら外形の包絡線を構成するとヘリカルギアを形成することになるが、ヘリカルギアの噛合い接線には、位相のずれる噛合いが連続して存在することから、ヘリカルギアの噛合いについての位相の幅を示すものである。
“噛合い重複部”及び“歯車平面形状の重複部分”は、本明細書においては、歯車平面形状で、正しい伝達角度で噛合わせる事による衝突部分(重なり合う部分)であり、設計段階ではこのような噛合い重複部や重複部分が存在することになるが、この重複部を切削などによって削ることで、重複部分は無くなり、理想の伝達を行う歯車同士として機能することになる。
“偏差許容”は、大量生産で発生するサイズのバラツキや温度環境や経年変化での変形に対応して、性能が保証出来るように、性能に影響の少ない部分を削除する整形を意味するもので、本発明の歯車装置に特有の表現である。また、“偏差マージン”は、上記のサイズのバラツキと起こりうる変形に対応する整形の量を示すものであり、偏差許容の程度を示すものであって、本発明の歯車装置に特有の表現である。
“円歯中心線”は、噛み合う歯車の歯形基準円の中心を結ぶ線であり、噛合い頂点では円歯中心線の長さは歯形基準円の直径と同じになる。また、“噛合い基準点”は、噛合い周期の起点での歯車の接点(円歯中心線と歯形基準円の交点)であり、歯車に依存する位置(歯形の整形の基準とする部分)であり、本発明特有の表現である。
“限界隙間”は、歯車として機能するための歯車同士の最小の隙間を示すもので、本発明特有の表現である。
“中心線方向の重複部分”は、本発明の平歯車の偏差許容の整形ために削除される部分であり、噛合い頂点で偏差マージンの距離を中心線方向に重複させて、その部分を削除するための重複した部分を言う。
“回転軸線”は回転軸の中心を通る線を延長したものである。本発明特有の表現である。
“軸角度”は噛合う歯車の相互の回転軸線が交わる角度を示すものである。本発明特有の表現である。
このような各用語の定義に基づいて、本実施形態の歯車装置について、その理論的な設計形状から偏差許容を加味した設計形状までの説明を、図面を参照しながら行う。また、本明細書において、球面上の定義の場合は平面上の定義を球面上の定義と置き換えるものであり、直線の定義は球の中心から見て、直線に見える球面上の線の定義と置き換えるものである。先ず、図2乃至図18を参照して、偏差許容を加味しない理論的な設計形状を説明する。
図2は、円歯の歯車(7、8)を示す図であり、この歯車装置では、速度伝達比が1対1の歯車基準円(3)と歯形基準円(4)で形成した円歯の歯車(7、8)を有している。図面は歯の形状の影響が出やすい(噛み合う角度の大きい)、少ない歯数の歯車で描画したものである。歯車基準円(3)の円周上に歯形基準円(4)の中心が在り、歯形基準円(4)は接して並んでいる。この図2に示す歯車装置では、該歯形基準円(4)の円周部分のうち、該歯車基準円(3)の内側と外側に位置する円周部分を該歯車基準円(3)の周方向に沿って交互に歯形状としており、外周部に目立つような直線部分は形成されていない。図中、ピッチ点(9)は歯車(7、8)の軸中心を結んだ中心線(10)上に位置している。
次に、図3と図4を用いて、歯形が円と楕円との対比を試みる。先ず、図3は、図2に示した円歯の1対1の径の歯車の噛合いの様子を歯形基準円(4)で表した図である。歯車基準円の中心からの直線(17)で示す所定角度回転した場合には、歯車(7)については歯形基準円の回転移動軌跡(11)のように歯が移動し、歯車(8)については歯形基準円の回転移動軌跡(12)のように歯が移動して、さらに移動した場合には、歯車(7)については歯形基準円の回転移動位置(13)の位置まで移動し、歯車(8)については歯形基準円の回転移動位置(14)の位置まで移動する。
歯形基準円の歯先の回転移動量(15)と歯形基準円の歯底の回転移動量(16)を比較しても明らかなように、歯車の回転で歯先と歯底では移動スピードに差が出てくる。歯形が円であれば、歯先も歯底も円周上に在るために、相互の歯車の歯先や歯底の角度が変わっても同じ形であり、噛合いに影響しないものである。すなわち、歯形基準円の中心の図面のx軸方向(図面右方向)の移動スピードが同じであるために、歯の形状が円であれば正しい伝達角度では歯同士が衝突しないことになるものである。
他方、図4は、1対1の径の楕円歯形の歯車の各回転移動軌跡(18、19)の噛合いの様子を表した図である。位相0度の歯形基準の楕円(20)の位置から楕円歯形の歯車が回転した場合、歯先と歯底では移動スピードに差があるため、歯形の基準の楕円が重なり合う部分(21)が発生することになる。これは図3に示すように、歯の形状が円であれば発生しないものであるが、楕円では発生してしまう。この現象のために、楕円を基準に歯形を形成しても、伝達誤差の原因になる。すなわち、図4に示すように、歯形の基準の楕円が重なり合う部分(21)が発生することから、バックラッシュ改善の目的で、楕円の歯形状を基に整形させたとしても、バックラッシュをゼロに近づけることが出来ても、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車を作ることは出来ないことを示している。
ここで、楕円ではなく円の歯形を採用して、速度伝達比が1対1において伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車の偏差許容の無い形状に歯車について、詳しく考察する。すなわち、円歯のヘリカルギアが伝達誤差とバックラッシュを無くすことの証明を試みるものである。
図5乃至図10は、1対1の径の7歯の平歯車について、噛み合いの各状態を図示したものである。まず、噛合い周期の起点を噛合い位相0度とし、時計回りの逆回転を「+」の角度とし、時計回り方向を「−」の角度として、図5乃至図10の間では、噛合い位相を−25.71度、−12度、0度、7度、12度、25.71度で変化させたものである。図5の噛合い位相−25.71度(1/2周期)では、バックラッシュはゼロになることが示されている。図6の噛合い位相−12度では、バックラッシュは1.7度であることが示されている。図7の噛合い位相0度では、バックラッシュはゼロになることが示されている。図8の噛合い位相7度では、バックラッシュは0.4度になることが示されている。図9の噛合い位相12度では、バックラッシュは1.7度になることが示されている。図10の位相25.71度(1/2周期)では、バックラッシュはゼロになることが示されている。各図5乃至図13では、左の歯車が規定の角度であり、右の歯車は「+」側に寄っている。
これに対して、図11乃至13は、径1:1の従来歯形状の7歯の歯車(22、23)の噛合いの各状態を図示している。図11は従来歯形状の歯車(22、23)が0度の噛合いの状態を示す図である。図12は従来歯形状の歯車(22、23)が7度の噛合いの状態を示す図である。図13は従来歯形状の歯車(22、23)が13度の噛合いの状態を示す図である。
次に、図14、15を参照して、これらの歯車についてのバックラッシュを解析する。図14、15の波形は、左の歯車の任意の位相角における、右の歯車のバックラッシュの角度を表現している。図14の波形は図5乃至図10の円歯の歯車のバックラッシュの波形であり、図15の波形は図11乃至図13の従来歯形の歯車のバックラッシュの波形である。右の歯車の「+」方向へのバックラッシュの上限角度を実線でグラフ化しており、右の歯車の「−」方向へのバックラッシュの上限角度を点線でグラフ化している。なお、この実線と点線の波形の間の角度で右の歯車の回転は自由である。図14、15の値は歯数7の円歯の歯車のバックラッシュをCAD(コンピューター作画)の実測で求めたものであり、従来歯形状の場合も図11乃至図13の従来歯形状をCADにて実測したものである。従来歯形状の場合は、歯形状の違いで、グラフの値の差が大きくなるが、波形の傾向を観る参考値になるものである。
噛合う歯車の回転方向は逆であるため、図面上の左右の歯車で±が逆の値が正しい伝達角度になる。円歯の歯車(7、8)の図5乃至10の噛合いを図14の波形で判断すると、全ての位相で、バックラッシュの範囲内には正しい伝達角度が存在することが解る。これに対して従来歯形状の歯車の図11乃至13の噛合いを図15の波形で判断すると、全体的に正弦波のようなバックラッシュの分布を示し、バックラッシュの範囲に正しい伝達角度が存在しない位相が多いことが判明している。すなわち、これら図14、15に示すデータの解析から、円歯(7,8)の方が正しい伝達角度に関して従来の形状の歯車に対して優位であることが証明されたことになる。
次に、ここまでの円歯についての平歯車についての技術的な考察を、該平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形としたものとすることができるヘリカルギアについて考察する。結論としては、伝達誤差とバックラッシュの両方を極めてゼロに近づけることができるものである。
図16は従来歯と円歯の歯車をヘリカルギアにした斜視図であり、従来歯のヘリカルギア(28)と円歯のヘリカルギア(29)を図示している。ヘリカルギアを横から観ると図18に示すようになり、円歯の歯先の頂点(30)と円歯の歯底の頂点(31)が回転軸に対して斜めに位置するように形成される。図17の様に、ヘリカルギア(29)は平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度(例えば5度)ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形としたものであり、図18に示すように、噛合い接線(9)の方向には位相のずれた歯車の噛合いが複合して存在することになる。
伝達誤差とバックラッシュをゼロにする条件について要約すると、先ず、1対1の径の円歯の歯車平面形状すなわち平歯車(スパーギア)において、図14に示すように、バックラッシュの範囲には、正しい伝達角度が含まれており、伝達誤差とバックラッシュがゼロになるのは、噛合い位相が0度のポイントと1/2周期ずれたポイントになる。平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形としたヘリカルギアでは、回転軸方向に1/2周期以上の噛合い位相幅を設けることが前提となる。回転軸方向に1/2周期以上の噛合い位相幅を設けることで、回転軸方向に仮想的に積層される平歯車の噛合い頂点における伝達角度は正しい伝達角度であり、よってヘリカルギアの挙動は全体としてバックラッシュがゼロの部分に制限されることになり、上記の積層を細分化すると、全ての噛合いの角度が正しい伝達角度であり、バックラッシュがゼロの歯車装置が得られることになる。
速度伝達比が1対1において、上述の伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車装置の成立の条件を定義すると、第1の条件は、平歯車(スパーギア)において、全ての噛合い位相でバックラッシュの範囲に正しい伝達角度が含まれている形状である。なお、この条件になるためには、歯形基準円は歯車基準円の円周上に中心が在り、歯形基準円は接して並んでいることが必要である。第2の条件は、第1の条件の平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形としたヘリカルギアを形成するものであり、該積層した平歯車の全てで噛合い頂点は正しい伝達角度であり、噛合い頂点での噛合いのバックラッシュがゼロである。そして、第3の条件は、ヘリカルギアの噛合い位相幅が1/2周期以上である。これらの第1〜第3の条件を満たすギアでは、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車装置が成立し得ることになる。
実際の歯車の場合には、加工精度によって多少の設計値からの誤差を含んだ形状に各歯車は形成され、先に説明した伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車に、偏差許容を得るための整形を行う必要が生じる。すなわち、先の歯車装置は一見すると完全な性能の、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車にも思えるが、大量生産の場合は製品のバラツキが存在し、さらに温度による変化や経年変化などで、誤差が生じるものであり、完全な形体であるが故に、歯車の衝突方向の変形の場合は、回転の障害もしくは回転停止につながるものである。そのために、生産上の誤差に対して許容を持たせなければ、歯車として実用とはならないものである。
歯車平面形状すなわち平歯車(スパーギヤ)において、歯形基準円が噛み合う歯車の隙間という概念で考察すると、歯形基準円を超えない歯形整形ならば、間隔を大きくするとバックラッシュは大きくなるが、バックラッシュの範囲内に正しい伝達角度が存在することに変わりは無いものである。先の伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車装置の成立の3つの条件を満たす歯形整形は、噛合い頂点で、バックラッシュがゼロの噛合いを実現していれば、先の第1乃至第3の条件が成立するものである。
図19の様に、噛合い頂点でバックラッシュがゼロの噛合いで、噛合いに影響の無い部分、歯形状の歯先付近あるいは歯底付近を削ることが出来る。この整形では先の第1乃至第3の条件が成立するものである。この図19に示された歯車の歯の形状については、図2に示した歯車の形状と同様に、歯車基準円の円周上に中心が位置すると共に、それぞれ互いに接して配される複数の歯形基準円(35、36)が設けられ、該歯形基準円(35,36)の円周部分のうち、該歯形基準円の内側と外側に位置する円周部分を該歯形基準円の周方向に沿って交互に歯形状の一部としており、歯先側に歯形基準円(35、36)の外側に沿った凸部を有し、その歯底側に歯形基準円(35、36)の内側に沿った凹部を有する形状とされ、凸部と凹部は歯先と歯底の間で広がったS字を描いて連続するように形成されている。各歯車(33、34)の歯底には、軸の中心側に向かって削り込んだ歯底平坦部(6)が形成され、各歯車(33、34)の歯先には、頂点部分を削り込んだ歯先平坦部(5)が形成され、これら歯底平坦部(6)と歯先平坦部(5)は、ギアの軸を中心とする円の接線方向に平行な面を有するように構成されている。中心線に近い角度の歯面には接触面(32)がバックラッシュがゼロで形成されている。
図20は、歯車(33、34)同士を中心線方向に重複させたものである。中心線に近い角度の歯面はほとんど重複していないことがわかる。偏差許容の対策は、この中心線方向の重複部分(37)を削るものである。この整形では、中心線に近い角度の歯面の接触面は、ほとんど削られておらず、先に説明したバックラッシュがゼロの噛合いの成立条件のうちの第2の条件の“噛合い頂点での噛合いのバックラッシュがゼロである。”は、完全ではないが、ほぼゼロに近いという意味で成立していると見做すことができる。
なお、上記の重複部分(37)の切削加工において、歯先側と歯底側のどちらの方を削ると良いかということについては、歯車について、中心線に近い角度の噛合いを優先すると、歯底側を削ることになる。
上記内容で整形した歯車が図21に示す歯車である。上記の設計法であれば、歯車の変形が大きくなる様な材質であっても、伝達誤差とバックラッシュの少ない歯車が実現でき、逆に、バラツキと変形の少ない材質であれば、伝達誤差とバックラッシュとがゼロに近い歯車を形成できることになる。
次に、速度伝達比が1対1以外での“伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車”について説明する。歯車の速度伝達比が違うと極僅かな程度であるが、平歯車形状の想定で噛合い重複部が発生する。
図22、図23に示す10対1(30歯対3歯)の速度伝達比で、噛合い位相Sθ=10°の条件は、噛合い重複部(21)が大きくなる角度である。この噛合い重複部は、同径の歯車では発生しないが、速度伝達比の差が大きくなる歯車ではより大きく発生するものである。図22、図23では、3歯の歯車の歯形基準円(39)と30歯の歯車の歯形基準円(40)が噛合い位相Sθ=10°の条件で示されており、30歯の歯車基準円(41)上には噛合い重複部(21)が発生していることが分かる。なお、図23は図22の歯車の噛み合い部分の要部拡大図である。
図24に示される歯形基準円の歯先の軌跡について考察すると、3歯の歯車の歯形基準円(39)と30歯の歯車の歯形基準円(40)の移動量を矢印で示すと、図25に示すように、3歯の歯形基準円の歯先の移動の軌跡(42)と30歯の歯形基準円の歯先の移動の軌跡(43)のように図示される。この図25に示すように、歯形基準円の歯先のy軸方向の移動に差(Δy)が生ずることになる。さらに、図26、図27に示すように、3歯の歯車(44)と30歯の歯車(45)を噛み合わせた場合に、3歯と30歯の歯底の形状の重ね合わせ位置(46)から判断できるように、歯数の多い歯車では歯底の深さが深くなることが分かる。
さらに、10対1(30歯対3歯)の速度伝達比の噛合い重複部について考察した場合には、図28のように、歯車での噛合いの状態は、歯形基準円の中心の座標を角とする長方形(73、74)で表すことができる。図28において、大きい歯車(例えば30歯)の噛合い頂点の歯形基準円(47)と小さい歯車(例えば3歯)の噛合い頂点の歯形基準円(48)が描かれており、その移動先としては、大きい歯車の移動先の歯形基準円(49)と小さい歯車の移動先の歯形基準円(50)というように移動することが描かれている。噛合い頂点では円歯中心線(51)は噛合い基準点(52)を中心とし歯形基準円の直径と同じになる。移動先の噛み合い状態を示す長方形(74)は、細い帯状に近い長方形となり、長辺がθyで短辺がθxの長方形である。一方、噛合い頂点の噛み合い状態を示す長方形(73)は、長方形(74)よりも面積の大きな長方形となり、長辺がy0で短辺がx0の長方形である。
歯形基準円の構造は図29に示すように、直角三角形から構成されるものであり、歯形基準円(4)の半径「r」と歯形基準円数「n」と歯車基準円の半径「R」の関係はr = R×sin(360/2n )となる。歯形基準円の位置関係は直角三角形で構成されているため、三角関数でそれぞれの座標と距離を求めることが出来るものである。なお、図29において、大きい歯車の歯車基準円は半径LRであり、小さい歯車の歯車基準円は半径SRである。
次ぎに、CASE1〜CASE3の各噛み合わせ状況において、噛合い重複部が発生するかどうかを算出する。先ず、図30、図31の噛合い(CASE1、CASE2)において、噛合い重複部が発生するかどうかを算出するには、円歯中心線の長さが歯形基準円の直径より短いと、噛合い重複部が発生していることになる。大径の歯車(歯車基準円)の中心を座標(Lx、Ly)とし、小径の歯車(歯車基準円)の中心を座標(Sx、Sy)として、噛合いの各角度ごとに円歯中心線の長さを算出する。図中、大きい歯車の噛合い頂点の歯形基準円(47)の移動先が歯形基準円(49)であり、小さい歯車の噛合い頂点の歯形基準円(48)が移動した先が歯形基準円(50)である。この場合の円歯中心線と歯形基準円の直径との差をΔrとすると、重複部が発生する条件はΔr<0となる。
同様に、図32に示すCASE3では、正しい伝達角度で、小径の歯車の噛合い基準点と大径の歯車の歯形基準円の外周との重複部を、各角度ごとに算出するものである。図中、大きい歯車の噛合い頂点の歯形基準円(47)の移動先が歯形基準円(49)であり、小さい歯車の噛合い頂点の歯形基準円(48)が移動した先が歯形基準円(50)である。小径の歯車の噛合い基準点の座標(SPx,SPy)と大径の歯車の歯形基準円(49)の中心の座標(Lx,Ly)との距離が、歯形基準円の半径より小さければ、噛合い重複部が発生していることになる。小径の歯車の噛合い基準点と大径の歯車の歯形基準円の中心との距離と、歯形基準円の半径との差をΔPrとすると、重複部が発生する条件はΔPr<0となる。
速度伝達比が1対1(6歯対6歯)の歯車で、図30のCASE1と、図31のCASE2の噛合いの状態の演算を行った結果が図33の表であり、図32のCASE3の噛合いの状態での演算を行った結果が図34の表である。ΔrとΔPrの値は歯形基準円の半径を1とした値であり、SnとLnが12であって、図33は角度を0から30度の間で2.5度ずつずらして演算している。速度伝達比が1対1(6歯対6歯)の歯車では演算結果により噛合い重複部は発生していない。演算結果のΔrとΔPrにマイナスの値が出ると、噛合い重複部が発生していることになる。先に説明した図14、図15はCADの作画上のバックラッシュの角度をグラフ化したものであるが、図33、図34表は正しい伝達角度での歯形基準円の重複距離(隙間)を演算によって導き出すものである。
次に、図35、図36の表は速度伝達比が1対10(3歯対30歯)の歯車の演算を行ったものである。図35は角度θを小径側で5度ずつずらし同時に大径側で0.5度ずつずらして、噛合いのパターンのCASE1、CASE2、CASE3に分けて演算したものである。ΔrとΔPrの値は歯形基準円の直径を1とした値である。演算結果より、非常に僅かな値ではあるが、ΔrとΔPrのマイナスの値(図中、参照符号54、55、56で示す。)が出てきており、噛合い重複部が発生しているものである。
このような演算に基づいて、ΔrとΔPrのマイナスの値が生ずる噛合い重複部を除去することで、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車の形成が可能になるものである。ΔrとΔPrのマイナスの値が生ずる噛合い重複部を除去することを定義すると、第4の条件として、速度伝達比が1対1以外の場合は、正しい伝達角度での噛合いの全ての位相において、歯車平面形状の噛合い基準点を残し噛合い重複部を削り、その歯面の整形をすることを条件とする。図30乃至図32の各状況において、噛合い頂点ではバックラッシュがゼロで噛合い重複部が無く噛合っている。双方の歯車の噛合い基準点は歯車基準円の中心を軸に回転しているため、噛合い基準点を残し噛合い重複部を削ると、正しい伝達角度での衝突が無い歯形を整形できるものである。
速度伝達比が1対1以外の場合は先の第2の条件(“第1の条件の平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形としたヘリカルギアを形成するものであり、該積層した平歯車の全てで噛合い頂点は正しい伝達角度であり、噛合い頂点での噛合いのバックラッシュがゼロである。”)を満足させるために、第4の条件の整形(“歯車平面形状すなわち平歯車の噛合いの全ての位相において、噛合い基準点を残して噛合い重複部を削り、その歯面の整形をすること”)をすることで、歯車装置が構成される。
この第4の条件の内容で、歯面と歯先を整形した歯車の噛合いが、図37〜図46で示される。噛合い重複部の大きさは、速度伝達比の差の大きな歯車であっても極僅かな値であって、偏差許容の大きな材質の歯車では偏差許容の範囲に入ってしまう程度である。
上記の歯形の整形により、先に説明した第1の条件の“歯車平面形状(スパーギア)において、全ての噛合い位相でバックラッシュの範囲に正しい伝達角度が含まれている形状である。”は実現している。
図43、図44の重複部(54、55、56)の削除方法は1/2周期の噛合い位相幅にて、全ての回転角度で、伝達誤差とバックラッシュをゼロにするものであるが、3歯の歯車(57)の谷が浅いので、噛合いの強度が弱くなるため、このような歯車の歯数が少ない場合は、噛合いの深い10歯の歯車(58)の谷をバックラッシュがゼロの噛合い基準点として、噛合い位相幅を1周期とするもので、その重複部(54、55、56)の削除方法は図45、図46となるものである。
図39乃至図46のように、歯車平面形状にて噛合い頂点以外で正しい伝達角度で接する面を整形し、平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするヘリカルギアにすると、噛合い接線上のいずれかに、噛合いの反対側の歯面に、正しい伝達角度で接する面があり、歯車平面形状の噛合い頂点以外で、正しい伝達角度でバックラッシュをゼロにする形体を構成するために、先の第3の条件の“ヘリカルギアの噛合い位相幅が1/2周期以上である。”は、1/2周期の噛合い位相幅を少なく出来るものである。この少なく出来る位相幅は、歯車の速度伝達比の違いや歯面の整形の違いで変わるものである。
歯車装置について、その設計法をまとめると以下のように説明される。先ず、速度伝達比が1対1の歯車装置の場合は、歯車基準円の円周上に中心が在る歯形基準円が連続に接して並んでおり、限界隙間の大きさで歯先は歯形基準円に対し僅かに内周側で、歯底は僅かに外周側に形成され、噛合い頂点で、歯車構造に推定される偏差の推定距離を歯車同士の中心線方向に移動した重複部分が削られるものであり、平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするヘリカルギアを構成し、その平歯車で、全ての積層される平歯車の噛合い頂点を正しい伝達角度にすると共に噛合い接線上に1/2周期以上の噛合い位相幅を設けることを設計方法とする。
また、速度伝達比が1対1以外の歯車装置の場合は以下のように説明される。歯車基準円の円周上に中心が在る歯形基準円が連続に接して並んでおり、限界隙間の大きさで歯先は歯形基準円に対し僅かに内周側で、歯底は僅かに外周側に形成され、平歯車の形状にて、全ての位相の噛合い重複部の、噛合い基準点を残して削ぎ落とす。また、噛合う部分に対し、限界隙間の幅で上記整形部分の歯形状を削り、噛合い頂点で、歯車構造に推定される偏差の推定距離を歯車同士の中心線方向に移動した重複部分を削る。平歯車を軸方向に重ねると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするヘリカルギアを構成し、歯車平面形状で、全ての積層の噛合い頂点を正しい伝達角度にすると共に噛合い接線上に1/2周期程度の噛合い位相幅を設けることを設計方法とする。
なお、図17で厚みのある歯車平面形状(スパーギア)を想定すると、図14で示されるバックラッシュがゼロに近い位相に幅があるため、スパーギアの位相を細分化していない、一定角度でずらせて軸方向に積層された歯車であっても、伝達誤差とバックラッシュがゼロに近い歯車を構成することが出来るものである。
以上に記載された内容が本件より先に提出の、PCT/JP2008/066053の内容である。上記の内容を応用し、噛合う歯車の相互の回転軸が平行でない場合の伝達誤差とバックラッシュがゼロに近い歯車を以下に説明するものである。
これより、前記内容を平面の定義から、球面の定義へと置き換えるものである。
図47に示すように、球表面上に球表面歯車を構成すると、噛合う相互の球表面歯車の回転軸線(76)が球の中心を通るもので、球の大きさや歯車の大きさにより、回転軸同士が平行でない、あらゆる軸角度(Aθ)での、歯車の噛合いが可能となるものである。上記の平面上で噛合う歯車平面形状の歯車の設計法の内容と同様に、球表面上に歯車基準円(3)の円周上に中心を持つ複数の歯形基準円(4)を接して配置する。歯車平面形状の内容と同様に球表面上に球表面歯車の形状を構成する。球(77)の表面で球表面歯車が回転軸線(76)を軸として回転しても球表面歯車が球(77)の表面からはみ出ることはなく、球(77)の表面上のみで噛合うものである。
球(77)の表面上で噛合う相互の球表面歯車の回転軸線(76)は球(77)の中心で交差するものである。図48に示されるように、同一の中心を持つ半径の違う複数の球の表面上の球表面歯車を、前記の平面上での第1〜4の条件を満足しながら、球表面歯車を軸方向に同心球積層をすると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするスパイラルベベルギアを構成することが、可能となるものである。図48は設計思想が理解しやすい断続的な4層であるが、積層を連続的に細分化して、第1から第3の条件を盛り込み構成すると、図50になるものである。
図49に示す、最外周の球(77)表面上の歯車基準円(3)を中心に向けて連続的に同心球積層していくと、底が球面の円錐形が構成される。この回転軸線(76)の交差の軸角度(Aθ)は、歯車基準円(3)と球(77)の大きさで任意に設定することが可能であるため、噛合う歯車の相互の回転軸線(76)が平行以外であっても、全ての軸角度で、噛合うことが可能となるものである。
平面上で円は、球面上でも円であり、外周に変形が無いものであるが、前記の平面形状の歯車の設計法を球表面上に置き換えることによる影響を考察する。
平面から球面に置き換えることで影響が大きくなるのは、平面に対し球の湾曲が大きくなることであり、軸角度(Aθ)が大きくなる、すなわち、球(77)に対し球表面歯車が大きくなることである。軸角度(Aθ)が90度を超えた場合は、球表面歯車の回転軸の回転力の伝達側を球表面歯車の対象側に移すことにより、最大角度を90度として、折り返すことが出来るため、軸角度(Aθ)が90度を最大角度とすることができる。
前記平面上の第1の条件において、球表面上でも歯形基準円は接して並んでいて、球表面歯車が同じ歯数であれば相互の歯先の移動スピードも、中心線の垂直方向で同じであり、図14の波形の、噛合いのバックラッシュの範囲に正しい伝達角度があることに変わりはなく、第1の条件への影響が無いものである。
前記平面上の第2の条件および第3の条件において、球表面歯車でも、同心球積層により平面の積層と同一の機能を持たせることが可能であり、第2の条件および第3の条件への影響が無いものである。
前記平面上の第4の条件の影響は、球表面上でも歯車基準円と歯形基準円は平面上と同様の構成であり、歯形基準円は接して並んでいるため、噛合い頂点では正しい伝達角度でバックラッシュがゼロであり、また、噛合い頂点からの噛合いの変化に注目した、噛合い基準点の移動は、平面上と球表面上とでは傾向の違いが無いものであり、噛合い重複部の程度に、平面上と球面上との差が発生したとしても、噛合い重複部は削除するものであり、正しい伝達角度での噛合いを構成することには影響がないものである。
上記により、平面形状の歯車の設計法を球表面上に置き換えることによる、前記の第1〜4の条件への影響はないものである。
上記段落番号の[0068]乃至[0073]が、先に出願の特願2009−26732である。上記の内容を対し、伝達誤差とバックラッシュがゼロに近い歯車が上記以外の内容で可能であるかどうかを考察するものである。
これより、平面上の定義と球表面上の定義の両方を、平面上の定義で説明するものである。
図1、図51乃至図53は、3歯の歯車の歯形基準円(4)が、歯車基準円(3)上に中心を位置し、一方の歯車に歯先が一つで、噛合う他方の歯車に歯底が一つの歯車装置を想定する。
また、これは図5乃至図15と同様に、噛合い周期の起点を噛合い位相0度とし、時計回りの逆回転を「+」の角度とし、時計回り方向を「−」の角度とし、単歯先歯車(86)が規定の角度とし、単歯底歯車(87)のバックラッシュを求めるものである。
この歯車装置の噛合いは、回転角度の0度を基準に対象の噛合いをするものである。
図51の、単歯先歯車(86)が、−46.6度と46.6度を超えると単歯底歯車(87)が空転の状態となる。図53の噛合い周期の起点では、伝達誤差とバックラッシュがゼロになる。
この歯車装置の噛合い角度によるバックラッシュの範囲を図54に示す、単歯底歯車(87)の空転は全角度がバックラッシュで、単歯底歯車(87)が空転しない範囲では、バックラッシュの範囲に正しい伝達角度が含まれているものである。そのため、第1の条件を満足するものであり、第3の条件を、ヘリカルギアの噛合い位相幅を歯車の1回転以上とすることで、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車装置が可能となる。
以上の内容から、速度伝達比が1対1以外の歯車装置と、噛合う歯車の相互の回転軸が平行でない歯車装置が可能であることは、上記段落番号の[0015]乃至[0073]により導かれる。
さらに、図55では、3歯の歯車の歯形基準円(4)が、歯車基準円(3)上に中心を位置し、歯形基準円(4)と同一の中心で80%の径の歯形基準円(90)の2重の歯形基準円であり、一方の歯車に歯先が一つで、噛合う他方の歯車に歯底が一つの歯車装置を想定し、前記の歯先と歯底の摺接側部の片側を大径の歯形基準円(4)とし、対象の片側を小径の歯形基準円(90)とする。
歯先は、歯形基準円の中心を軸とし、中心線から−45度と45度の各歯形基準円の交点の2箇所の摺接点と、各歯形基準円と歯車基準円との2箇所の交点を結ぶ変形台形の形状を持つ突起の、単歯先2重歯形基準円歯車(91)とする。単歯底2重歯形基準円歯車(92)は、歯先の頂点で分別する各歯形基準円を形状とする。
この同心の2つの歯形基準円で構成された、噛合いを考察する。これは、単歯先2重歯形基準円歯車(91)と単歯底2重歯形基準円歯車(92)が、噛合い周期の起点で、大小2つの歯形基準円を中心線で分別し、摺接側部の対象側を別の歯形基準円で構成するものである。これによる、噛合いの状態を図56乃至図61に描画する。
外側の歯形基準円(4)の噛合いは単歯先2重歯形基準円歯車(91)が−42.81度で、単歯底2重歯形基準円歯車(92)が、自由回転できる状態となる。
内側の歯形基準円(90)の噛合いは単歯先2重歯形基準円歯車(91)が38.37度で、単歯底2重歯形基準円歯車(92)が、自由回転できる状態となる。
この噛合いの、噛合い角度によるバックラッシュの範囲を図62に示すものである。この場合も上記段落番号の[0075]と同様に、単歯底2重歯形基準円歯車(92)の空転は全角度がバックラッシュで、空転しない範囲では、バックラッシュの範囲に正しい伝達角度が含まれているものである。そのため、第1の条件を満足するものであり、第3の条件を、ヘリカルギアの噛合い位相幅を歯車の1回転以上とすることで、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車装置が可能となる。
以上の内容から、速度伝達比が1対1以外の歯車装置と、噛合う歯車の相互の回転軸が平行でない歯車装置が可能であることは、上記段落番号の[0015]乃至[0073]により導かれる。
図55乃至図61では、単歯先2重歯形基準円歯車(91)の歯先を削除の整形をしているが、図63乃至図72では、単歯底2重歯形基準円歯車(92)の歯底を削除の整形をしていているものである。単歯先2重歯形基準円歯車(91)は各歯形基準円を外形とし、2箇所の摺接点の位置は、図55と同じである。単歯底2重歯形基準円歯車(92)の多くの部分において、2箇所の摺接点以外は、単歯先2重歯形基準円歯車(91)の歯先の面に、接触しない変形となる。
図65のバックラッシュの範囲と正しい伝達角度の差が小さくなっているのは、別の歯形基準円の、小径の歯形基準円(90)の単歯底2重歯形基準円歯車(92)の摺接点と、大径の歯形基準円(4)の単歯先2重歯形基準円歯車(91)の歯先が接しているためである。実施形態では突出させない整形をするものである。
図64乃至図72の噛合い角度によるバックラッシュの範囲を表した波形が図73であり。すなわち、バックラッシュの範囲に正しい伝達角度が含まれているものである。そのため、第1の条件を満足するものであり、第3の条件を、ヘリカルギアの噛合い位相幅を歯車の1回転以上とすることで、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車装置が可能となる。
以上の内容から、速度伝達比が1対1以外の歯車装置と、噛合う歯車の相互の回転軸が平行でない歯車装置が可能であることは、上記段落番号の[0015]乃至[0073]により導かれる。
3歯の噛合った歯車装置の歯形基準円(4)の構成は、図29の、図中の左の歯車基準円(3)に6個の歯形基準円(4)の同じ構成が噛合った形状であり、図中の左の歯形基準円(4)の構成のみで判断できる。
すなわち、3歯の歯車の、噛合い頂点での、噛合い基準点の歯形基準円(4)の中心からの角度は、中心線から60度であり、図55乃至図73及び、上記段落番号の[0015]乃至[0077]により導かれる内容により、図29の様な連続して接した歯形基準円により構成された歯車装置であっても、噛合い基準点以外の歯形基準円上の摺接点であっても、第1の条件を満足するものであり、伝達誤差とバックラッシュがゼロの歯車装置が可能となるものである。
正確な回転の歯車は、多種の装置の精度を上げ、騒音の低下、エネルギー損失の低下、高速回転の優位性があり、産業上の利用価値は高いものである。
1 スパイラルベベルギア1
2 スパイラルベベルギア2
3 歯車基準円
4 歯形基準円
5 歯先平坦部
6 歯底平坦部
7 円歯の歯車
8 円歯の歯車
9 噛合い接線(ピッチ点)
10 中心線
11 歯形基準円の回転移動軌跡(円歯の歯車(7))
12 歯形基準円の回転移動軌跡(円歯の歯車(8))
13 歯形基準円の回転移動位置(円歯の歯車(7))
14 歯形基準円の回転移動位置(円歯の歯車(8))
15 歯形基準円の歯先の回転移動量
16 歯形基準円の歯底の回転移動量
17 歯車基準円の中心からの直線
18 歯形基準が楕円の回転移動位置
19 歯形基準が楕円の回転移動位置
20 歯形基準が楕円の位相0度の位置
21 噛合いの重複部
22 従来歯の歯車
23 従来歯の歯車
24 円歯の「+」方向のバックラッシュ角度の波形
25 円歯の「−」方向のバックラッシュ角度の波形
26 従来歯の「+」方向のバックラッシュ角度の波形
27 従来歯の「−」方向のバックラッシュ角度の波形
28 従来歯のヘリカルギア
29 円歯のヘリカルギア
30 円歯の歯先の頂点
31 円歯の歯底の頂点
32 中心線に近い角度の歯面の接触面
33 整形した歯車
34 整形した歯車
35 整形した歯車(33)の歯形基準円
36 整形した歯車(34)の歯形基準円
37 中心線方向の重複部
38 偏差許容の隙間
39 3歯の歯形基準円
40 30歯の歯形基準円
41 30歯の歯車基準円
42 3歯の歯形基準円の歯先の移動の軌跡
43 30歯の歯形基準円の歯先の移動の軌跡
44 3歯の歯車の形状
45 30歯の歯車の形状の一部
46 3歯と30歯の歯底の形状の重ね合わせ
47 大きい歯車の噛合い頂点の歯形基準円
48 小さい歯車の噛合い頂点の歯形基準円
49 大きい歯車の移動先の歯形基準円
50 小さい歯車の移動先の歯形基準円
51 円歯中心線
52 噛合い基準点
53 噛合い基準点を示す矢印
54 3歯対30歯のCASE1の噛合いの重複部
55 3歯対30歯のCASE2の噛合いの重複部
56 3歯対30歯のCASE3の噛合いの重複部
57 条件4の整形がされた3歯の歯車
58 条件4の整形がされた30歯の歯車
61 凹部
62 凸部
71 回転軸1
72 回転軸2
73 噛合い頂点の歯形基準円の中心を角とする長方形1
74 回転移動先の歯形基準円の中心を角とする長方形2
75 球の中心
76 回転軸線
77 球
78 球(77)の内側に積層される同心の球
79 球(78)の内側に積層される同心の球
80 球(79)の内側に積層される同心の球
81 球表面歯車
82 球表面歯車(81)の内側に同心球積層される球表面歯車
83 球表面歯車(82)の内側に同心球積層される球表面歯車
84 球表面歯車(83)の内側に同心球積層される球表面歯車
85 球の中心まで同心球積層される歯車基準円
86 単歯先歯車
87 単歯底歯車
88 単歯底歯車の「+」方向のバックラッシュ角度の波形
89 単歯底歯車の「−」方向のバックラッシュ角度の波形
90 内側2重歯形基準円
91 単歯先2重歯形基準円歯車
92 単歯底2重歯形基準円歯車
LR 大きい歯車の歯車基準円の半径
SR 小さい歯車の歯車基準円の半径
Lθ 大きい歯車の回転移動角度(噛合い周期の起点からの回転角度)
Sθ 小さい歯車の回転移動角度(噛合い周期の起点からの回転角度)
Aθ 軸角度
Δx x軸方向の変化量
Δy y軸方向の変化量
r 歯形基準円の半径
n 歯形基準円数
Δr 歯形基準円の重複量
ΔPr 一方の歯車の噛合い基準点と他方の歯車の歯形基準円との重複量
x0 噛合い頂点で噛合っている歯形基準円のx軸方向の中心距離
y0 噛合い頂点で噛合っている歯形基準円のy軸方向の中心距離
θx 回転移動先で噛合っている歯形基準円のx軸方向の中心距離
θy 回転移動先で噛合っている歯形基準円のy軸方向の中心距離
Ln 大きい歯車の歯形基準円の数
Sn 小さい歯車の歯形基準円の数
Sx 回転移動先の小さい歯車の歯形基準円の中心のx軸の座標
Sy 回転移動先の小さい歯車の歯形基準円の中心のy軸の座標
Lx 回転移動先の大きい歯車の歯形基準円の中心のx軸の座標
Ly 回転移動先の大きい歯車の歯形基準円の中心のy軸の座標
SPx 回転移動先の小さい歯車の噛合い基準点のx軸の座標
SPy 回転移動先の小さい歯車の噛合い基準点のy軸の座標

Claims (3)

  1. 第1の形体として平面上において、平歯車を軸方向に平面積層すると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするヘリカルギアであり、該ヘリカルギア同士を噛合するように組み合わせた歯車装置であって、
    第2の形体として球表面上において、球表面歯車を軸方向に同心球積層をすると共に所定角度ずつずらせて該軸周りに形成される歯車外形の包絡線を外形とするスパイラルベベルギアであり、該スパイラルベベルギア同士を噛合するように組み合わせた歯車装置であって、
    上記の平面上および球表面上において、単数もしくは複数の歯形基準円が、歯車基準円の円周上に中心が位置し、該歯形基準円の歯車基準円外周側もしくは歯車基準円内周側と、該歯車基準円の円周上に沿う形状を外形とし、平面上もしくは球表面上に該外形を構成するもので、歯車基準円外周側と歯車基準円内周側の該歯形基準円上の該外形を変形するものであり、該歯形基準円上の噛合う摺接側部の一方において、歯先と歯底の組が、一部摺接部と面摺接部の組となる歯形状とし、
    正しい伝達角度において、該一部摺接部と重複する部分を削除し、他の噛合い重複部は噛合いのどちらか一方の重複部分を削除するものであり、噛合いのいずれかに、伝達摺接部の歯形状を構成し、
    平面積層および同心球積層された該歯車装置の全ての噛合いで、該伝達摺接部を構成する噛合い位相幅を有し、
    全ての噛合が正しい伝達角度であることを特徴とする歯車装置。
  2. 請求項1記載の歯形基準円が、同心で径を異にした2重であり、摺接側部の一方が小径の歯形基準円で構成され、他方が大径の歯形基準円で構成される歯車装置。
  3. 請求項1の歯形基準円の構成において、上記の歯車基準円の円周上に中心が位置する該歯形基準円が、連続に接して配置され、歯車基準円外周側の該歯形基準円と、歯車基準円内周側の該歯形基準円とを交互に外形とし、噛合い基準点以外を上記一部摺接部とし、該一部摺接部と重複している噛合い重複部を削除し、他の噛合い重複部は噛合いのどちらか一方の重複部分を削除することを特徴とする請求項1記載の歯車装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018141522A (ja) * 2017-02-28 2018-09-13 株式会社大阪タイユー ターンテーブル
CN111703293A (zh) * 2019-03-18 2020-09-25 Ntn株式会社 轮内电动机驱动装置
CN113404842A (zh) * 2021-05-11 2021-09-17 重庆大学 一种可实现齿轮时变啮合刚度近零波动的高阶调谐方法

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