JP2010214622A - 印刷方法、印刷装置およびテストパターン - Google Patents

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Abstract

【課題】用紙上の各位置に生じ得る印刷結果のずれを、紙面全体で総合的あるいは平均的に修正することは困難であった。また、このような印刷結果のずれを紙面全体で総合的あるいは平均的に修正するには、かかるずれの検出に最適なテストパターンが必要となる。
【解決手段】複数のノズルを第一の方向に並べたノズル列を複数並列させたインク吐出部を備える印刷装置を用いて、当該インク吐出部のノズルから印刷媒体に対してインクを吐出することにより所定のパターンを印刷する印刷方法であって、異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出することにより、当該各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であって上記第一の方向に直交する第二の方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、印刷媒体上の複数箇所に印刷することを特徴とする。
【選択図】図7

Description

本発明は、印刷方法、印刷装置およびテストパターンに関する。
用紙に対してインクを吐出して画像を形成するインクジェット式のプリンターが使用されている。このようなプリンターは、用紙と、ノズルが並ぶノズル列を有する印刷ヘッドとの位置関係を相対的に変化させながら、ノズルからインクを吐出して印刷を行う。ここで、ノズルからインクを吐出する際に印刷ヘッドと用紙との相対的な位置関係が変化する方向(特定方向)に対して、用紙は常に一定の角度を保つことが理想である。具体的には、プリンターが、用紙の紙幅に対応した長さのノズル列を備えた印刷ヘッドを固定し、当該印刷ヘッドのノズル列の向きに直交する向きを用紙の搬送方向として紙幅分の印刷を一度に行ういわゆるラインヘッドタイプのプリンターであれば、用紙は搬送方向(特定方向)と平行を保って搬送されることが理想である。
あるいはプリンターが、主走査方向の移動に伴ってインク吐出を行なう印刷ヘッドを有し、この主走査方向に直交する向きを用紙の搬送方向とし、印刷ヘッドの移動と用紙の搬送とを交互に繰り返すことで印刷を行ういわゆるシリアルタイプのプリンターであれば、用紙は主走査方向(特定方向)に対して垂直に搬送されることが理想である。
しかしながら、プリンターにおいては、用紙の搬送精度誤差(用紙が微妙に蛇行して搬送される搬送精度誤差)等がある場合には、上記特定方向に対して用紙の角度を一定に保つことが困難となる。
特開平7‐256933号公報 特開平7‐81190号公報 特開平8‐324012号公報 特開2003‐39646号公報
上述したように特定方向に対して用紙の角度が一定に保たれない場合、印刷ヘッドと用紙との相対的角度は、用紙の搬送に応じて微妙に変化する。言い換えると、プリンターにおいて用紙に対し印刷を行なう場合に、用紙上の位置毎に印刷時の印刷ヘッドと用紙との相対的角度が異なってしまう。このような、印刷ヘッドと用紙との相対的角度の違いは、用紙上においてノズル毎の印刷結果間のずれとして表れてしまい、かかるずれは用紙上の位置によって異なる程度や方向で表れる。従来、このような用紙上の各位置に生じ得る印刷結果のずれを、紙面全体で総合的あるいは平均的に修正することは困難であった。また、このような印刷結果のずれを紙面全体で総合的あるいは平均的に修正するには、かかるずれの検出に最適なテストパターンが必要となる。
本発明は上記課題にかんがみてなされたもので、印刷媒体の搬送精度誤差などに起因して印刷媒体上の各位置に生じ得る印刷結果のずれを総合的あるいは平均的に修正する際に用いて最適なテストパターン、当該パターンを印刷可能な印刷方法および印刷装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、複数のノズルを第一の方向に並べたノズル列を複数並列させたインク吐出部を備える印刷装置を用いて、当該インク吐出部のノズルから印刷媒体に対してインクを吐出することにより所定のパターンを印刷する印刷方法であって、異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出することにより、当該各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であって上記第一の方向に直交する第二の方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、印刷媒体上の複数箇所に印刷する構成としてある。本発明によれば、印刷媒体に印刷された各罫線パターンについて、罫線パターンを構成する罫線の位置関係を機械により或いは人為的に観察することにより、印刷媒体の各箇所における印刷結果のずれを容易かつ確実に検出することができる。つまり、印刷媒体の各箇所における印刷結果のずれを総合的あるいは平均的に修正する際に、ずれの検出に用いて最適なパターンが得られる。
上記印刷方法では、異なるノズル列に属する各ノズルであって上記第一の方向において位置が離れている各ノズルからインクを吐出することにより、上記複数の罫線が第一の方向に略沿って櫛歯状に並列する罫線パターンを印刷するとしてもよい。当該構成によれば、罫線パターンを構成する罫線が櫛歯状に並列しているか、櫛歯状が崩れているか(どのように崩れているか)等を観察することにより、印刷媒体の各箇所における印刷結果のずれを容易かつ確実に検出することができる。
上記印刷方法では、異なるノズル列に属する各ノズルであって上記第一の方向において位置が同一である各ノズルからインクを吐出することにより、上記複数の罫線が略連続してなる罫線パターンを印刷するとしてもよい。当該構成によれば、罫線パターンを構成する罫線が連続して直線状であるか、直線性が崩れているか(どのように崩れているか)等を観察することにより、印刷媒体の各箇所における印刷結果のずれを容易かつ確実に検出することができる。
上記印刷方法では、同色のインクを吐出する各ノズルから同色のインクを吐出することにより、同色の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを印刷するとしてもよい。当該構成によれば、罫線パターンを構成する同色の罫線の位置関係を観察することにより、印刷媒体の各箇所における印刷結果のずれを容易かつ確実に検出することができる。
上記印刷方法では、異なる色のインクを吐出する各ノズルから異なる色のインクを吐出することにより、異なる色の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを印刷するとしてもよい。当該構成によれば、罫線パターンを構成する異なる色の罫線の位置関係を観察することにより、印刷媒体の各箇所における印刷結果のずれを容易かつ確実に検出することができる。
本発明の技術的思想は、印刷方法以外によっても実現可能である。例えば、上記印刷方法において実行される処理を実行する印刷装置の発明や、上記印刷方法において実行される処理をコンピューターに実行させる印刷プログラムの発明をも把握可能である。また、上記印刷方法によって印刷されるパターン自体を一つの発明として捉えることもできる。つまり、複数のノズルを第一の方向に並べたノズル列を複数並列させたインク吐出部を備える印刷装置を用いて、当該インク吐出部のノズルから印刷媒体に対してインクを吐出することにより印刷されたテストパターンであって、異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出し、当該各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であって上記第一の方向に直交する第二の方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを印刷媒体上の複数箇所に配置することにより印刷されたテストパターンを、一つの発明として把握することができる。
さらに、上記のように印刷したパターンから検出した印刷媒体の各箇所における各ずれに基づいて、これら各ずれを平均的に修正するための調整値を求め、当該求めた調整値に基づいて印刷装置に対して所定の調整処理(インク吐出部の取付角度や位置の調整)を行なうことにより、用紙の各位置に生じた印刷結果のずれを紙面全体で総合的・平均的に修正することができる。
プリンター調整システムを示したブロック図である。 プリンターがラインヘッドタイプである場合の用紙とインク吐出部との関係を示した図である。 プリンターがシリアルタイプである場合の用紙とインク吐出部との関係を示した図である。 傾き調整処理を示したフローチャートである。 インク吐出部としての印刷ヘッドの一例を示した図である。 実施例1における印刷ヘッドとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例1における印刷ヘッドとテストパターンとの関係の他の例を示した図である。 罫線パターンの印刷に用いられたノズル列と罫線パターンとの関係を拡大して例示した図である。 インク吐出部としての印刷ヘッドの他の例を示した図である。 実施例2における印刷ヘッドとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例2における印刷ヘッドとテストパターンとの関係の他の例を示した図である。 インク吐出部としての印刷ヘッドユニットの一例を示した図である。 実施例3における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例3における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の他の例を示した図である。 実施例3における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の他の例を示した図である。 実施例4における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例4における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の他の例を示した図である。 実施例4における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の他の例を示した図である。 インク吐出部としての印刷ヘッドユニット群を示した図である。 実施例6における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 インク吐出部としての印刷ヘッドユニットの他の例を示した図である。 縦アライメント調整処理を示したフローチャートである。 実施例8における印刷ヘッドユニット群とテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例9における印刷ヘッドユニット群とテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例10における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例11における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 印刷タイミング調整処理を示したフローチャートである。 実施例14における印刷ヘッドとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例15における印刷ヘッドとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例16における印刷ヘッドとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例17における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例18における印刷ヘッドユニットとテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例19における印刷ヘッドユニット群とテストパターンとの関係の一例を示した図である。 実施例20における印刷ヘッドユニット群とテストパターンとの関係の一例を示した図である。 テストパターンの例を示した図である。 テストパターンの例を示した図である。
1.システムの概略構成
図1は、本実施形態にかかるプリンター調整処理を実現するためのプリンター調整システム60(システム60)を、ブロック図により示している。システム60は、概略的には、コンピューター10と、プリンター20と、スキャナー30とを含む。プリンター20は、少なくとも用紙搬送ユニット21、インク吐出部22、コントローラー23、インターフェース(I/F)24及び駆動信号生成回路25を有する。プリンター20は、本発明の印刷方法を実現する印刷装置である。また、システム60は、インク吐出部22の調整等を自動で行なうための治具50(鎖線)を適宜備える。
コンピューター10は、プリンター20に対する制御装置として機能する。プリンター20はI/F24を介してコンピューター10から印刷データを受信する。そして、受信したデータに基づいてプリンター20のコントローラー23が、プリンター20の各部(用紙搬送ユニット21、インク吐出部22、駆動信号生成回路25)を制御し、用紙S(印刷媒体の一種)に画像を印刷する。コンピューター10には、スキャナー30が接続している。スキャナー30は、プリンター20によって印刷された用紙S上の印刷画像をスキャンすることができ、当該スキャンによって取得した画像データをコンピューター10に転送する。
用紙搬送ユニット21は、用紙Sを所定方向(搬送方向)に搬送させるための装置であり、不図示の給紙ローラー、用紙搬送用ローラー、各ローラーを回転させるためのモーター、ローラー間に掛け渡された搬送用ベルト等、必要な機構を適宜備える。
インク吐出部22は、複数のノズルを一定の方向に並べることにより構成されたノズル列を、複数並列させてなる機構であり、対面する用紙Sに各ノズルから所定の色のインク滴(ドット)を吐出することが可能である。一つのノズル列を構成するノズルが並ぶ方向をノズル列方向と呼ぶ。
所定数のノズル列を複数並列させて構成される単位を印刷ヘッドと呼ぶ。また、所定数の印刷ヘッドをノズル列方向に沿って所定の配置パターンで並べて構成される単位を印刷ヘッドユニットと呼ぶ。また、所定数の印刷ヘッドユニットをノズル列方向に直交する方向に沿って所定の配置パターンで並べて構成される単位を印刷ヘッドユニット群と呼ぶ。インク吐出部22は、印刷ヘッド、印刷ヘッドユニット、印刷ヘッドユニット群のいずれであってもよい。
図2は、用紙搬送ユニット21によって搬送される用紙Sとインク吐出部22との関係を、プリンター20上方からの視点で簡易的に示している。図2では、プリンター20がラインヘッドタイプの機種であることを前提としており、ノズル列方向の長さが用紙Sの紙幅Wをカバーする長さのインク吐出部22を示している。このようなラインヘッドとしてのインク吐出部22は、プリンター20内に固定されている(ただし傾きや位置の調整は可能)。また図2では、インク吐出部22のノズル列方向に略直交する方向を搬送方向としている。従って、用紙Sは基本的には搬送方向に沿って搬送され、インク吐出部22下を通過する際にインク吐出部22からインク吐出を受ける。
図3は、用紙搬送ユニット21によって搬送される用紙Sとインク吐出部22との関係であって、図2とは異なる例をプリンター20上方からの視点で簡易的に示している。図3では、プリンター20がシリアルタイプの機種であることを前提としており、ノズル列方向の長さが用紙Sの一部分だけをカバーする長さのインク吐出部22を示している。図3の構成では、インク吐出部22は基本的に、図示しないキャリッジ機構によってノズル列方向に直交する方向(主走査方向)に移動し、当該移動に伴ってインクを吐出する。また、用紙搬送ユニット21は、主走査方向に直交する方向を搬送方向としている。図3の構成では、所定量の用紙Sの搬送と、インク吐出部22の主走査方向の移動(往復)を交互に繰り返すことにより、インク吐出部22の移動経路下の用紙Sに対してインク吐出が実行される。本実施形態で用いるプリンター20は、ラインヘッドタイプでも、シリアルタイプでも、どちらでもよい。
コントローラー23は、プリンター20全体の制御を行なう制御ユニットであり、制御のための演算処理を行なう。コントローラー23は、I/F24に接続しており、コンピューター10と通信可能となっている。また、コントローラー23は、プログラムおよびデータを記憶するメモリーを含んでいる。そして、メモリーに格納されているプログラムに従って各部を制御する。上記キャリッジ機構も、コントローラー23によって制御される。
駆動信号生成回路25は、ドットをノズルから吐出させるために、インク吐出部22内に各ノズルに対応して設けられている圧電素子に印加する駆動信号を生成する回路である。駆動信号生成回路25は、コントローラー23の制御によって駆動信号をインク吐出部22に出力する。
本実施形態のプリンター調整処理は、「傾き調整処理」、「縦アライメント調整処理」および「印刷タイミング調整処理」を含む。以下、各処理を順に説明する。
2.傾き調整処理
図4は、システム60が実行するインク吐出部22の傾き調整処理をフローチャートにより示している。傾き調整処理では、プリンター20における調整対象のインク吐出部22が備える異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出することにより、当該各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であってノズル列方向に直交する方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、用紙S上にできるだけ満遍なく印刷する(罫線パターンが満遍なく配置されたテストパターンを印刷する)。そして、各罫線パターンにおける罫線の位置に基づいて、上記調整対象としたインク吐出部22の取り付け角度(傾き)を調整する。傾き調整処理の開始時点においては、インク吐出部22は、搬送方向との関係に基づきある程度理想的な角度(初期設定角度)で配設されている。なお本実施形態のプリンター調整処理では、基本的には、罫線パターンを用紙Sの全面に亘って複数印刷する。用紙Sの全面とは、用紙S上におけるプリンター20が記録可能な領域を意味し、例えば用紙Sの上下左右にマージンが設定されている場合は、当該マージンを除いた領域を意味する。
以下、図4のフローチャートに基づき、傾き調整処理の実施例1〜7を説明する。
実施例1
図5は、実施例1において調整対象とするインク吐出部22を示している。実施例1では、インク吐出部22は単体の印刷ヘッド22aを一つ備える。図5を含めインク吐出部22を示す図9,12,21では、理解容易とするためにプリンター20を上から見たときのノズル(白丸)の配列を示す。印刷ヘッド22aにおいては、複数のノズル列(a〜h列)が並列している。一つのノズル列は一種類のインクを吐出するためのものであり、一例として、a,h列がブラック(K)インク、b,g列がシアン(C)インク、c,f列がマゼンダ(M)インク、d,e列がイエロー(Y)インクを吐出する構成となっている。
a〜h列は夫々N個のノズルを含む。各ノズル列では、ノズル列方向の一端側から他端側に向かって各ノズルに♯1〜♯Nのノズル番号が付されている。単独のノズル列におけるノズル間の距離Lは、例えば180dpiである。複数のノズル列をまとめて見たとき、ノズルは千鳥状に配置されている。つまり、奇数番目のa,c,e,g列に属する同じノズル番号の各ノズルは、ノズル列方向において同じ位置に形成され、同様に、偶数番目のb,d,f,h列に属する同じノズル番号の各ノズルは、ノズル列方向において同じ位置に形成されている。従って、印刷ヘッド全体でとらえた場合は、ノズルはノズル列方向においてL/2で並ぶ。以下では、L/2という長さを、ノズルピッチ(P)と表現する。
インク吐出部22は、角度調整プレート411と角度調整ダイヤル412を有している。角度調整プレート411は、用紙Sの搬送面と平行な平面内で回転可能なプレートである。印刷ヘッド(印刷ヘッド22aまたは後述の印刷ヘッド22b)と角度調整プレート411とは連結されており、角度調整プレート411が回転すると印刷ヘッド全体がこれにあわせて回転する。角度調整プレート411は、角度調整ダイヤル412の回転に伴って回転する。角度調整ダイヤル412には、不図示の目盛りが刻まれている。そして、角度調整ダイヤル412の回転量に対する角度調整プレート411の回転量が予め求められており、この関係により角度調整ダイヤル412を用いて印刷ヘッドを所望の角度だけ回転させることができる。
また、インク吐出部22は、並進移動プレート413と並進移動ダイヤル414を有している。並進移動プレート413は、用紙Sの搬送面と平行な平面内で上下方向に移動可能なプレートである。本実施形態では、プリンター20がシリアルタイプであれば、用紙Sの搬送方向上流側が上、搬送方向下流側が下となり、左右はこの上下を基準として定義される。一方、プリンター20がラインヘッドタイプであれば、用紙Sの搬送方向上流側が左、搬送方向下流側が右となり、上下はこの左右を基準として定義される。印刷ヘッド(印刷ヘッド22aまたは後述の印刷ヘッド22b)と並進移動プレート413とは連結されており、並進移動プレート413が上下方向に移動すると印刷ヘッド全体がこれにあわせて上下方向に移動する。並進移動プレート413は、並進移動ダイヤル414の回転に伴って移動する。並進移動ダイヤル414には、不図示の目盛りが刻まれている。そして、並進移動ダイヤル414の回転量に対する並進移動プレート413の移動量が予め求められており、この関係により並進移動ダイヤル414を用いて印刷ヘッドを所望の距離だけ上下方向に移動させることができる。なお、並進プレート413による移動は、後述の「縦アライメント調整処理」において行なわれる。
上述した構成において、ステップS(以下“ステップ”の表記を省略)100では、システム60はテストパターンTP1を複数の用紙Sに印刷する。
図6は、実施例1において用紙Sに印刷するテストパターンTP1と印刷ヘッド22aとの関係を簡易的に例示している。図6では、プリンター20がシリアルタイプであることを前提としている。テストパターンTP1は、用紙S上において主走査方向および搬送方向に配列された複数の罫線パターンLP1からなる。罫線パターンLP1は、主走査方向を略向いた所定長さの複数かつ同色の罫線がノズル列方向に略沿って櫛歯状に並列するパターンである。印刷ヘッド22aの主走査方向の移動(インク吐出を伴う移動)によって、主走査方向に並んだ複数の罫線パターンLP1からなるパターン行が印刷され、このような印刷を用紙Sの所定量の搬送の度に行うことにより、当該パターン行が搬送方向に沿って繰り返し印刷される。
図7は、実施例1において用紙Sに印刷するテストパターンTP1と印刷ヘッド22aとの関係であって、図6とは異なる例を示している。図7では、プリンター20がラインヘッドタイプであることを前提としており、印刷ヘッド22aの各ノズル列は、用紙Sの紙幅Wに対応する長さとなっている。図7においても、テストパターンTP1の内容は、図6に示したものと同様である。
実施例1では、罫線パターンLP1を構成する各罫線は、印刷ヘッド22aにおける異なるノズル列に属するノズルであって、同色のインクに対応したノズルによって印刷される。具体的には、図6,7の例では、罫線パターンLP1は、Kインクを吐出するa列およびh列のノズルによって印刷されたKインクの罫線(K罫線)で構成されている。図5から判るように、a列のノズルとh列のノズルとの位置は、ノズル列方向において互いにPだけずれている。そのため、a列のノズルで印刷した罫線とh列のノズルで印刷した罫線は、基本的に互いの間に配置される関係となり、その結果、櫛歯状の罫線パターンLP1が形成される。
S100では、コンピューター10は、テストパターンを表現したカラー画像データ(各画素がインクの階調値で表現されたカラー画像データ)を生成(取得)する。次に、カラー画像データを対象とし、ディザ法や誤差拡散法など公知の手法を用いたハーフトーン処理を実行し、画素毎かつインク種類毎にドットの吐出/非吐出を規定したハーフトーンデータを生成する。さらにコンピューター10は、ハーフトーンデータに対して所定のラスターライズ処理を施してプリンター20が印刷する順番に並べ替え、インク種類毎のラスターデータを生成し、ラスターデータ(印刷データ)をプリンター20に順次出力する。この結果、プリンター20では、コントローラー23の制御によって、用紙搬送ユニット21、駆動信号生成回路25、インク吐出部22が駆動制御され、ラスターデータに基づいたテストパターンが用紙Sに印刷される。
図6,7では、ノズル列方向において罫線パターンLP1と罫線パターンLP1との間に空白を設けているが、この空白を設けずに罫線が連続して並列するパターンを印刷してもよい。また図6,7および以下の各実施例で印刷されるテストパターンの図では、理解容易とするために罫線の数を少なくしているが、実際に印刷される罫線の数は図に示すものより多い。また、罫線パターンLP1等のように櫛歯状のパターンを印刷する場合、印刷に用いるノズル列(罫線パターンLP1の印刷であれば印刷ヘッド22aのa列およびh列)の全ノズルを用いる必要はなく、ノズル列方向においてある程度飛び飛びに存在するノズルを選択して印刷に用いてもよい。ただしこの場合、一方のノズル列のノズルとノズルとの中間位置に他方のノズル列のノズルが配置される位置関係(例えば、a列のノズル♯2,♯5,♯8…と、h列のノズル♯1,♯4,♯7…との関係)にあるノズルを両ノズル列から選択して用いる。
S110では、システム60は、直近のS100で印刷した複数枚のテストパターンTP1に基づく評価を行い、評価値を算出する。システム60では、スキャナー30によって、上記複数の用紙Sに印刷されたテストパターンTP1を一枚ずつ読み取り、当該読み取りによって得た各テストパターンTP1の画像データを、スキャナー30からコンピューター10へ転送する。コンピューター10は、転送された各画像データを解析することにより、テストパターンTP1に対する点数評価を行なって上記評価値を算出する。
図8A,8Bは、罫線パターンLP1と印刷ヘッド22aにおける罫線パターンLP1の印刷に用いられたa,h列との関係を拡大して示している。図8A,Bの印刷ヘッド22aでは、a,h列以外のノズル列は図示を省略している。図8Aは、パターン印刷時のノズル列方向と用紙Sとの相対的角度が理想的な角度である場合(ラインヘッドタイプのプリンター20であればノズル列方向に対して用紙Sが垂直に搬送されている場合。シリアルタイプのプリンター20であれば用紙Sが向く方向に対してインク吐出部22が垂直に移動している場合。)を示している。一方、図8Bは、パターン印刷時のノズル列方向と用紙Sとの相対的角度が理想的ではなく傾いている場合(特にノズル列方向に対して用紙Sが斜めの角度で搬送された場合)を示している。
図8Aに示すように、上記相対的角度が理想的な角度である場合、印刷ヘッド22aのh列で印刷された罫線(例えば、h列のノズル♯nで印刷された罫線)は、その罫線を本来挟むべきa列で印刷された罫線(a列のノズル♯n−1,♯nで印刷された各罫線)間の略中央に位置する。一方、図8Bに示すように、上記相対的角度が理想的な角度から傾いている場合、h列で印刷された罫線は、その罫線を本来挟むべきa列で印刷された罫線間の中央に位置せず上側または下側にずれたり、当該挟むべき罫線に重なったり、更には当該挟むべき罫線よりも上側または下側にずれたりする。
このようなh列(a列)で印刷した罫線のa列(h列)で印刷した罫線に対するずれは、主に、用紙搬送ユニット21によって用紙Sが搬送される際の用紙Sの微妙な蛇行に起因する。また、このようなずれはシリアルタイプのプリンター20においてインク吐出部22の主走査方向への移動の直線性が完全には保たれない場合にも起こり得る。また、このようなずれは、用紙S上の位置に応じて、その程度や方向が異なる。そこでコンピューター10は、上記複数枚のテストパターンTP1の画像データを解析し、各用紙Sに満遍なく印刷された各罫線パターンLP1を構成する罫線であって、印刷に用いられたノズル列のうち一方のノズル列(例えばh列)で印刷された所定本数の罫線についてそれぞれ、他方のノズル列(a列)で印刷された罫線間の本来あるべき中央位置にあるか、中央位置よりも上側に位置しているか、中央位置よりも下側に位置しているか、の評価を下す。
コンピューター10は、例えば、中央位置にあると評価した罫線に対しては得点として「0点」を与え、中央位置よりも上側に位置していると評価した罫線に対しては「+1点」を与え、中央位置よりも下側に位置していると評価した罫線に対しては「−1点」を与える。そして、このように所定本数の罫線に対して与えた点数を全て合計し、合計点を、上記複数枚印刷されたテストパターンTP1に対する全体の評価値とする。
S120では、コンピューター10は、直近のS110で算出した評価値が、予め定めた高評価範囲(0点±所定点)以内であるか否か判定し、評価値が高評価範囲内である場合には、図4のフローチャートを終了する。つまり、評価値が0点か或いは0点に所定程度近い値であれば、複数の用紙Sの各位置における印刷結果に、上記蛇行等に起因するずれが多少はあっても、複数の用紙S全体で見たときにずれの影響を最も感じさせない妥当な角度でインク吐出部22が取り付けられていると言えるからである。一方、上記評価値が高評価範囲外である場合には、コンピューター10は、インク吐出部22の角度調整が必要であると判断しS130に進む。
S130では、コンピューター10は、直近のS110で算出した評価値に対応する、インク吐出部22の回転量を特定する。コンピューター10は、評価値と回転量との対応関係を定めたテーブルや関数などを予め情報として有しており、当該対応関係を参照して評価値に一義的に対応する回転量を特定する。ここでは、例えば、評価値が正の値である場合にはその値に応じた−方向(時計回り)の回転量とし、評価値が負の値であればその値に応じた+方向(反時計回り)の回転量とする、等といった対応関係が定められている。
S140では、システム60は、直近のS130で特定した回転量に従って、調整対象のインク吐出部22の角度を調整する。一例として、システム60は所定の治具50(図1参照)を当該調整に用いる。治具50はコンピューター10と接続しており、コンピューター10からの指示に応じて、インク吐出部22(実施例1では印刷ヘッド22a)の角度や位置を調整する装置である。つまりコンピューター10は、上記特定した回転量に従った印刷ヘッド22aの角度調整の指令を治具50に送り、当該指令を受けた治具50は、上記回転量に従って角度調整プレート411を回転させる。このとき、治具50は上記回転量に従って角度調整ダイヤル412を操作して回転させてもよいし、角度調整プレート411を直接回転させてもよい。
S140の後、再びS100に戻り、複数枚のテストパターンTP1の印刷からの処理を繰り返す。つまり、上記評価値が高評価範囲内に収束するまでテストパターンの印刷と印刷結果に基づく調整とを繰り返す。その結果、用紙Sに蛇行等の搬送誤差等が生じていたとしても、インク吐出部22(印刷ヘッド22a)の角度を、当該蛇行等の影響による印刷結果のずれが全体的に最も見えにくい角度に調整することができる。なお、用紙Sの蛇行の特徴は、用紙搬送ユニット21のローラーやモーター等の回転特性に起因してある周期で繰り返し生じると考えられる。そのため、傾き調整処理では、テストパターンを複数枚印刷し、複数枚のテストパターンの各位置における印刷結果に基づいて評価値を得ることにより、あらゆる蛇行状態に対して平均的に妥当なインク吐出部22の角度を決めるようにしている。
本実施形態では、図4のS110〜S140のうち一部あるいは全部の処理を人為的に行うとしてもよい。例えば、S100で印刷されたテストパターンをユーザが目視で観察し、ユーザが各罫線に対する点数付けを行うとしてもよい。この場合、ユーザは、コンピューター10に各罫線に付けた点数を入力することで、コンピューター10側ではその合計値(評価値)の算出以降の処理を行うことができる。あるいは、ユーザが合計値(評価値)の算出までの処理を行い、算出した評価値をコンピューター10に入力してもよい。あるいは、ユーザが上記回転量の特定までの処理を行い、特定した回転量をコンピューター10に入力してもよい。あるいはコンピューター10によって特定された上記回転量に従って、ユーザが角度調整ダイヤル412を操作してインク吐出部22の角度調整を行うとしてもよい。
罫線パターンLP1をKインクで印刷した理由は、印刷ヘッド22aのインク列のうちKインクに対応する二つのノズル列が、ノズル列に直交する方向において最も遠い位置関係にあったからである。つまり、印刷ヘッド22a内のできるだけ遠い位置関係にあるノズル列でそれぞれ罫線を印刷することにより、上記相対的角度のずれが罫線間の位置ずれに表れやすいようにしている。言い換えると、Kにかかわらず、罫線パターンLP1の印刷に用いる色としては、そのとき調整対象とした印刷ヘッド22aにおいて二つのノズル列ができるだけ遠い位置関係にある色を選択すればよい。罫線パターンの印刷にできるだけ遠い位置関係にあるノズル列を用いるという思想は、以下の実施例2〜13にも共通する。
実施例2
実施例2および他の実施例3〜7では、実施例1と異なる部分について説明する。
図9は、実施例2において調整対象とするインク吐出部22を示している。実施例2で用いるインク吐出部22は単体の印刷ヘッド22bである。印刷ヘッド22b内のノズル列が対応するインク色の順序は上記印刷ヘッド22aとは異なる。印刷ヘッド22bにおいては、a,b列がKインク、c,d列がCインク、e,f列がYインク、g,h列がMインクに対応している。S100では、システム60はプリンター20によってテストパターンTP2を複数の用紙Sに印刷する。
図10は、実施例2において用紙Sに印刷するテストパターンTP2と印刷ヘッド22bとの関係を簡易的に例示している。なお、実線の印刷ヘッド22bはシリアルタイプである場合を示し、二点鎖線の印刷ヘッド22bはラインヘッドタイプである場合を示している。テストパターンTP2は複数の罫線パターンLP2からなる。罫線パターンLP2は、ノズル列方向に直交する方向を略向く複数の異なる色の罫線がノズル列方向に略沿って櫛歯状に並列するパターンである。罫線パターンLP2を構成する各罫線は、印刷ヘッド22bにおける異なるノズル列に属するノズルであって、異なる色のインクに対応したノズルによって印刷される。
具体的には、図10に示した罫線パターンLP2は、a列のノズルによって印刷されたK罫線と、h列のノズルによって印刷されたMインクの罫線(M罫線)とが交互に並列している。つまり、a列のノズルとh列のノズルとの位置は、ノズル列方向において互いにPだけずれているため、a列のノズルで印刷したK罫線とh列のノズルで印刷したM罫線は、基本的に互いの間に配置される関係となる。むろん罫線パターンLP2は、b列のノズルおよびg列のノズルを用いてK罫線とM罫線とによって形成してもよい。このように異なる色の罫線の組み合わせ(K罫線とM罫線の組み合わせに限らない)で印刷されたテストパターンTP2は、その印刷結果において、異なる色の罫線間の位置関係が評価される。ただし、テストパターンTP2を印刷する場合、罫線は必ずしも櫛歯状である必要はない。
図11は、実施例2において用紙Sに印刷するテストパターンTP2であって、図10とは異なる例を示している。図11のテストパターンTP2は、複数の罫線パターンLP3からなり、各罫線パターンLP3は、ノズル列方向に直交する方向を略向く異なる色の罫線が略連続することにより構成されている。具体的には、罫線パターンLP3は、b列のノズルによって印刷されたK罫線と、h列のノズルによって印刷されたM罫線とが略連続している。b列のノズルとh列のノズルとの位置は、ノズル列方向において同一位置である。そのため、b列のノズルで印刷したK罫線とg列のノズルで印刷したM罫線は、基本的に直線状に連続する。むろん罫線パターンLP3は、a列のノズルおよびg列のノズルを用いてK罫線とM罫線とによって形成するとしてもよい。
上記のようなテストパターンTP2を印刷した場合、上記S110においてシステム60は、複数枚のテストパターンTP2に基づく評価を行い、評価値を算出する。つまり、図10に示したようにパターンが櫛歯状であれば、印刷に用いられたノズル列のうち一方のノズル列(例えばh列)で印刷された所定本数の罫線(M罫線)について、他方のノズル列(a列)で印刷された罫線(K罫線)間の本来あるべき中央位置にあるか、中央位置よりも上側に位置しているか、中央位置よりも下側に位置しているか、の評価を下す。一方、図11に示したようにパターンが直線状であれば、印刷に用いられたノズル列のうち一方のノズル列(例えばh列)で印刷された所定本数の罫線(M罫線)について、他方のノズル列(b列)で印刷された罫線(K罫線)と直線状に連続している(0点)か、直線性がくずれて上側にずれている(+1点)か、直線性がくずれて下側にずれている(−1点)か、の評価を下す。このように異なる色の罫線の組み合わせでテストパターンTP2を印刷すれば、罫線間の位置ずれの有無や程度を評価しやすい為、好適である。
実施例3
図12は、実施例3において調整対象とするインク吐出部22を示している。実施例3で用いるインク吐出部22は一つの印刷ヘッドユニット22cである。本実施形態では、印刷ヘッドユニットは一つのラインヘッドを形成し、印刷ヘッドユニットの長手方向の長さは用紙Sの紙幅Wに対応している。印刷ヘッドユニット22cの各印刷ヘッドの構成は、印刷ヘッド22a(図5参照)と同じである。図12では、印刷ヘッドユニット22cの一端側から順に4つの印刷ヘッド22a1,22a2,22a3,22a4のみを示しているが、印刷ヘッドユニット22cを構成する印刷ヘッドの数は特に限られない。印刷ヘッドユニット22cでは、奇数番目の印刷ヘッド22a1,22a3…は一つの列を形成し、同様に、偶数番目の印刷ヘッド22a2,22a4…も一つの列を形成している。奇数番目の印刷ヘッドの列と偶数番目の印刷ヘッドの列とは、互いに列方向においてずれており、一方の列の印刷ヘッドが他方の列の印刷ヘッド間に位置するように配置されている。
印刷ヘッドユニット22cの各印刷ヘッドは、ノズル列方向において上下の印刷ヘッドと一部重なっている。本実施形態では、印刷ヘッドユニットにおいて印刷ヘッド同士が重なる範囲をオーバーラップ範囲ORと呼ぶ。印刷ヘッドユニット22cのオーバーラップ範囲ORでは、重なり合う一方の印刷ヘッドのノズル位置と他方の印刷ヘッドのノズル位置とが、ノズル列方向において一致している。具体的には、印刷ヘッド22a1と印刷ヘッド22a2とのオーバーラップ範囲ORでは、印刷ヘッド22a1のa列のノズル位置と印刷ヘッド22a2のa列のノズル位置とがノズル方向において一致し、同様に、両印刷ヘッド22a1,22a2のb〜h列についても、同じノズル列同士は、そのノズル位置がノズル列方向において一致している。本実施形態では、オーバーラップ範囲ORで重なり合う印刷ヘッドのノズル位置がノズル方向において一致している印刷ヘッドユニットを、印刷ヘッドが理想アライメントで配置されている印刷ヘッドユニットと呼ぶ。
インク吐出部22が印刷ヘッドユニット(印刷ヘッドユニット22cまたは後述の印刷ヘッドユニット22d)である場合にも、インク吐出部22は、角度調整プレート411、角度調整ダイヤル412、並進移動プレート413および並進移動ダイヤル414を有している。印刷ヘッドユニットは角度調整プレート411と連結されており、角度調整プレート411が回転すると印刷ヘッドユニット全体がこれにあわせて回転する。角度調整プレート411と角度調整ダイヤル412との関係は既に述べたとおりである。また、印刷ヘッドユニットは並進移動プレート413と連結されており、並進移動プレート413が移動すると印刷ヘッドユニット全体がこれにあわせて移動する。並進移動プレート413と並進移動ダイヤル414との関係は既に述べたとおりである。S100では、システム60はプリンター20によってテストパターンTP3を複数の用紙Sに印刷する。
図13は、実施例3において用紙Sに印刷するテストパターンTP3と印刷ヘッドユニット22cとの関係を簡易的に例示している。テストパターンTP3は複数の櫛歯状の罫線パターンLP1(図6,7参照)からなる。テストパターンTP3では、各罫線パターンLP1が、用紙Sを上下方向において分割した領域1,2,3,4…毎に印刷されている。例えば、領域1の各罫線パターンLP1は、印刷ヘッド22a1のa列およびh列のノズルによって印刷されたK罫線から構成されている。同様に、領域2,3,4…の各罫線パターンLP1は、各印刷ヘッド22a2,22a3,22a4…のa列およびh列のノズルによって印刷されたK罫線から構成されている。図13に示した各罫線パターンLP1は、それぞれ対応する印刷ヘッドにおけるオーバーラップ範囲ORに属さないノズルによって印刷されている。
図14は、実施例3において用紙Sに印刷するテストパターンTP3であって、図13とは異なる例を示している。図14においても、テストパターンTP3は複数の罫線パターンLP1からなり、各罫線パターンLP1が、用紙Sの領域1‐2,2‐3,3‐4毎に印刷されている。図14のテストパターンTP3は、オーバーラップ範囲ORで重なる一方の印刷ヘッドのノズル列と他方の印刷ヘッドのノズル列によって印刷されている。一例として、領域1‐2の各罫線パターンLP1は、印刷ヘッド22a1および印刷ヘッド22a2のオーバーラップ範囲ORにおける、印刷ヘッド22a1のa列のノズルによって印刷されたK罫線と、印刷ヘッド22a2のh列のノズルによって印刷されたK罫線とによって構成されている。同様に、領域2‐3の各罫線パターンLP1は、印刷ヘッド22a2および印刷ヘッド22a3のオーバーラップ範囲ORにおける印刷ヘッド22a2のh列および印刷ヘッド22a3のa列のノズルによって印刷されたK罫線で構成され、領域3‐4の各罫線パターンLP1は、印刷ヘッド22a3および印刷ヘッド22a4のオーバーラップ範囲ORにおける印刷ヘッド22a3のa列および印刷ヘッド22a4のh列のノズルによって印刷されたK罫線で構成されている。
図15は、実施例3において用紙Sに印刷するテストパターンTP3であって、図13,14とは異なる例を示している。図15のテストパターンTP3は、複数の罫線パターンLP4からなる。各罫線パターンLP4は、ノズル列方向において位置が一致する同色のノズルによって印刷された同色の罫線が2本略連続することにより、ノズル列方向に直交する方向を略向くように構成されている。各罫線パターンLP4は、用紙Sの領域1‐2,2‐3,3‐4毎に印刷されており、かつオーバーラップ範囲ORで重なる一方の印刷ヘッドのノズル列と他方の印刷ヘッドのノズル列によって印刷されている。一例として、領域1‐2の各罫線パターンLP4は、印刷ヘッド22a1および印刷ヘッド22a2のオーバーラップ範囲ORにおける、印刷ヘッド22a1および印刷ヘッド22a2のa列のノズルによって印刷されたK罫線で構成されている。同様に、領域2‐3の各罫線パターンLP4は、印刷ヘッド22a2および印刷ヘッド22a3のオーバーラップ範囲ORにおける印刷ヘッド22a2および印刷ヘッド22a3のa列のノズルによって印刷されたK罫線から構成され、領域3‐4の各罫線パターンLP4は、印刷ヘッド22a3および印刷ヘッド22a4のオーバーラップ範囲ORにおける印刷ヘッド22a3および印刷ヘッド22a4のa列のノズルによって印刷されたK罫線から構成されている。むろん、テストパターンTP3を構成する罫線の色はKに限られない。
上記のようなテストパターンTP3を印刷した場合、上記S110においてシステム60は、複数枚のテストパターンTP3に基づく評価を行い、評価値を算出する。図13または図14に示したテストパターンTP3に対する評価手法は、テストパターンTP1(実施例1)に対する評価手法と同じである。テストパターンTP3が、図15に示したような直線状のパターンであれば、2本の罫線で構成された各罫線パターンLP4において、左右の罫線のうち一方(例えば、右側)の罫線について、他方(左側)の罫線と直線状に連続している(0点)か、直線性がくずれて上側にずれている(+1点)か、直線性がくずれて下側にずれている(−1点)か、の評価を下す。
S140では、システム60は、直近のS130で特定した回転量に従って、インク吐出部22(実施例3では印刷ヘッドユニット22c)の角度を調整する。当該調整は、印刷ヘッドユニット22cに連結された上記角度調整プレート411や角度調整ダイヤル412を操作して行う。このように実施例3によれば、テストパターンTP3に基づいて印刷ヘッドユニット22c全体の傾き調整を行なうことができる。
実施例4
S100において、システム60はテストパターンTP4を複数の用紙Sに印刷する。図16は、実施例4におけるインク吐出部22とテストパターンTP4との関係を簡易的に例示している。実施例4では、インク吐出部22を印刷ヘッドユニット22dとしている。印刷ヘッドユニット22dと上記印刷ヘッドユニット22c(図12参照)との違いは各印刷ヘッドにおけるノズル列の配列態様だけである。印刷ヘッドユニット22dの各印刷ヘッド22b1,22b2,22b3,22b4の構成は、印刷ヘッド22b(図9参照)と同じである。よって、印刷ヘッドユニット22dも、各印刷ヘッドが理想アライメントで配置されている。
上記実施例3と実施例4との違いは、前者で印刷するテストパターンTP3が同色で印刷されている一方、後者で印刷するテストパターンTP4が異なる色で印刷されている点である。図16のテストパターンTP4は、複数の櫛歯状の罫線パターンLP2(図10参照)からなり、一例として、領域1の各罫線パターンLP2は、印刷ヘッド22b1のa列(b列)およびh列(g列)のノズルによって印刷されたK罫線およびM罫線で形成されている。同様に、領域2,3,4…の各罫線パターンLP2は、各印刷ヘッド22b2,22b3,22b4…のa列(b列)およびh列(g列)のノズルによって印刷されたK罫線およびM罫線で形成されている。図16に示した各罫線パターンLP2は、それぞれ対応する印刷ヘッドにおけるオーバーラップ範囲ORに属さないノズルによって印刷される。
図17は、実施例4において用紙Sに印刷するテストパターンTP4であって、図16とは異なる例を示している。図17のテストパターンTP4は、領域1‐2,2‐3,3‐4毎に印刷された複数の罫線パターンLP2からなり、これらはオーバーラップ範囲ORのノズルで印刷されている。つまり、領域1‐2の各罫線パターンLP2は、印刷ヘッド22b1および印刷ヘッド22b2のオーバーラップ範囲ORにおける、印刷ヘッド22b1のa列(b列)および印刷ヘッド22b2のh列(g列)のノズルによって印刷されたK罫線およびM罫線で形成されている。領域2‐3の各罫線パターンLP2や、領域3‐4の各罫線パターンLP2についても同様に、それぞれが対応するオーバーラップ範囲ORの各印刷ヘッドのノズルによって印刷されている。
図18は、実施例4において用紙Sに印刷するテストパターンTP4であって、図16,17とは異なる例を示している。図18のテストパターンTP4は、領域1‐2,2‐3,3‐4毎に印刷された複数の罫線パターンLP3(図11参照)からなり、これらはオーバーラップ範囲ORのノズルで印刷されている。つまり、領域1‐2の各罫線パターンLP3であれば、印刷ヘッド22b1および印刷ヘッド22b2のオーバーラップ範囲ORにおける、印刷ヘッド22b1のa列(b列)および印刷ヘッド22b2のg列(h列)の各ノズルによって印刷されたK罫線およびM罫線で形成されている。領域2‐3の各罫線パターンLP3や、領域3‐4の各罫線パターンLP3についても同様に、それぞれが対応するオーバーラップ範囲ORの各印刷ヘッドのノズルによって印刷されている。
さらに実施例4では、図16〜18に示したテストパターンTP4に限定されることなく、印刷ヘッドユニット22dの各印刷ヘッド22b1,22b2,22b3,22b4…のオーバーラップ範囲OR外のノズルによって領域1,2,3,4…のそれぞれに上記罫線パターンLP3を印刷することにより、別のテストパターンTP4を出力するとしてもよい。上記のようなテストパターンTP4を印刷した場合、上記S110における複数枚のテストパターンTP4に基づく評価は、実施例2に示した評価方法と同じとなる。このように異なる色の罫線の組み合わせでテストパターンTP4を印刷すれば、罫線間の位置ずれの有無や程度を評価しやすい為好適であり、また印刷ヘッドユニット22d全体の傾き調整を行なうことができる。
実施例5
図19は、インク吐出部22としての印刷ヘッドユニット群22eを示している。印刷ヘッドユニット群22eは、複数(2つ)の印刷ヘッドユニット22cをノズル列方向に直交する方向に並べることにより(あるいは、2つの印刷ヘッドユニット22dをノズル列方向に直交する方向に並べることにより)形成されている。印刷ヘッドユニット群22eでは、用紙Sの搬送方向上流側に位置する印刷ヘッドユニットを先行ユニットと呼び、搬送方向下流側に位置する印刷ヘッドユニットを後行ユニットと呼ぶ。また、印刷ヘッドユニット群22eでは、ノズル列方向における先行ユニットと後行ユニットとの位置関係がP/2だけずれている。つまり、先行ユニットと後行ユニットは、両ユニットにおける同じ印刷ヘッドの同じノズル列の同じノズル番号のノズル位置が、ノズル列方向においてP/2ずれている関係にある。ノズル列方向における先行ユニットと後行ユニットとの位置関係をずらすことで、印刷ヘッドユニット群22e全体でとらえたときにノズル列方向においてノズルがP/2で並ぶことになり、高精細な印刷が可能となる。
実施例5では、先行ユニットについて既に図4に従った傾き調整処理(実施例3または実施例4)が完了している状況において、図19に示したように、後行ユニットについて図4に従った傾き調整処理(実施例3または実施例4)を行なう。つまり、印刷ヘッドユニット群22eを構成する印刷ヘッドユニット単位で、テストパターンを印刷し印刷結果に基づいた傾き調整を行う。ただし、既に傾き調整が完了している先行ユニットの角度を基準として、後行ユニットの傾き調整を行うとしてもよい。この場合、システム60は、先行ユニットのあるノズル列と後行ユニットのあるノズル列とによって用紙Sに対して罫線を印刷する。そして、先行ユニットで印刷した罫線に対する、後行ユニットで印刷した罫線の傾きに応じて、後行ユニットの角度をどれだけ修正すべきか決定し、当該決定した角度の修正量(回転量)に従って後行ユニットの角度を調整する。
上記では、印刷ヘッドユニット群22eを例にして、実施例5の説明を行なったが、インク吐出部22は、例えば、複数(2つ)の“印刷ヘッド”をノズル列方向に直交する方向に並べることにより構成された“印刷ヘッド群”であってもよい。印刷ヘッド群は、印刷ヘッドユニットのように印刷ヘッドをノズル列方向に複数並べたものではない。そして、印刷ヘッド群を構成する各印刷ヘッド(先行印刷ヘッド、後行印刷ヘッド)について、それぞれ個別に図4に従った傾き調整処理(実施例1または実施例2)を行なうこともできるし、既に傾き調整が完了している先行印刷ヘッドの角度を基準として、後行印刷ヘッドの傾き調整を行うこともできる。
実施例6
図20では、印刷ヘッドユニット22c(または印刷ヘッドユニット22d)を構成する印刷ヘッド22a1,22a2,22a3,22a4(または印刷ヘッド22b1,22b2,22b3,22b4)単位で傾きの調整を行う様子を示している。つまり、印刷ヘッドユニット内の所望の印刷ヘッドについて、図4に従った傾き調整処理(実施例1または実施例2)を行うことができる。ただし実施例6では、印刷ヘッドユニット内の一つの印刷ヘッドが調整対象となるため、用紙Sの紙幅W全体に亘ってはテストパターンは印刷されず、そのとき調整対象としている印刷ヘッド(例えば、印刷ヘッド22a2)に対応した領域のみに用紙Sの搬送方向に亘ってテストパターンが印刷される。
実施例7
上記印刷ヘッドユニット(印刷ヘッドユニット22cまたは印刷ヘッドユニット22d)は、印刷ヘッドが理想アライメントで配置されているものに限られず、図21に示すように、印刷ヘッドのオーバーラップ範囲ORにおいて、一方の印刷ヘッドのノズル位置と他方の印刷ヘッドのノズル位置とがノズル列方向においてずれたものであってもよい。図21の例では、オーバーラップ範囲ORに属する両印刷ヘッドの各a〜h列について、同じノズル列同士は、そのノズル位置がノズル列方向においてP/2だけずれている。このように、オーバーラップ範囲ORで重なり合う両印刷ヘッドにおける同じノズル列のノズル位置がノズル列方向においてP/nだけずれている印刷ヘッドユニットを、印刷ヘッドがn分の1アライメントで配置された印刷ヘッドユニットと呼ぶ。なお図21では角度調整プレート411等の各構成を適宜省略している。
印刷ヘッドがP/nアライメントで配置された印刷ヘッドユニットを用いて、上述した実施例3〜6の傾き調整処理を行ってもよい。ただしオーバーラップ範囲ORに属する両印刷ヘッドのノズルを用いてテストパターンを印刷する場合には、オーバーラップ範囲ORで重なる両印刷ヘッドの一方の印刷ヘッドのノズルおよび他方の印刷ヘッドのノズルであって、ノズル列方向において交互かつ等間隔に位置する関係にあるノズルを選択(例えば、図21(印刷ヘッドがP/2アライメントで配置された印刷ヘッドユニット22d)では、黒丸で示した、印刷ヘッド22b1のa列‐♯177、b列‐♯179、a列‐♯180の各ノズルおよび、印刷ヘッド22b2のg列‐♯2、h列‐♯4の各ノズル等を選択)し、このように選択したノズルを用いて上記櫛歯状のパターンを印刷する。
3.縦アライメント調整処理
図22は、システム60が実行するインク吐出部22の縦アライメント調整処理をフローチャートにより示している。縦アライメント調整処理においても、調整対象のインク吐出部22が備える異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出することにより、各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であってノズル列方向に直交する方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、用紙S上にできるだけ満遍なく印刷する。そして、各罫線パターンにおける罫線の位置に基づいて、上記調整対象としたインク吐出部22の位置(上下方向における位置。縦位置とも呼ぶ。)を調整する。縦アライメント調整処理の開始時点においては、インク吐出部22はプリンター20内のある程度理想的な縦位置(初期設定位置)に配設されている。
以下、図22のフローチャートに基づき、縦アライメント調整処理の実施例8〜13を説明する。なお、縦アライメント調整処理については、傾き調整処理で既に説明した事項と異なる点について説明する。
実施例8
S200では、システム60はプリンター20によってテストパターンTP5を複数の用紙Sに印刷する。
図23は、実施例8におけるインク吐出部22と用紙Sに印刷されるテストパターンTP5との関係を簡易的に例示している。実施例8では、インク吐出部22は、2つの印刷ヘッドユニット22dで構成された印刷ヘッドユニット群22eである。実施例8では、先行ユニットの縦位置を基準として、後行ユニットの縦位置を調整する。テストパターンTP5は複数の櫛歯状の罫線パターンLP1(図6,7等参照)からなる。テストパターンTP5においては、各罫線パターンLP1が、用紙Sを上下方向において分割した領域1,2,3,4…毎に印刷されている。
各領域の罫線パターンLP1は、その領域に対応する先行ユニットの印刷ヘッドおよび後行ユニットの印刷ヘッドによって印刷されている。一例として、領域1の各罫線パターンLP1は、先行ユニットの印刷ヘッド22b1のa,b列および後行ユニットの印刷ヘッド22b1のa,b列によって印刷されたK罫線で形成されている。上述したように、先行ユニットと後行ユニットはノズル列方向においてP/2ずれている。そのため、先行ユニット、後行ユニットそれぞれの同色のノズル列からインクを吐出することにより、同色の罫線による櫛歯状のパターンが印刷される。同様に、領域2,3,4…の各罫線パターンLP1は、先行ユニットおよび後行ユニットの各印刷ヘッド22b2、先行ユニットおよび後行ユニットの各印刷ヘッド22b3、先行ユニットおよび後行ユニットの各印刷ヘッド22b4…によって印刷されたK罫線で形成されている。
テストパターンTP5を印刷した場合、S210においてシステム60は、複数枚のテストパターンTP5に基づく評価を行い、評価値を算出する。評価値の算出方法は、実施例1のS110と同じである。S220の処理も、上記S120と同じである。
S230では、コンピューター10は、直近のS210で算出した評価値に対応する、インク吐出部22の移動量を特定する。コンピューター10は、評価値と移動量との対応関係を定めたテーブルや関数などを予め情報として有しており、当該対応関係を参照して評価値に一義的に対応する移動量を特定する。ここでは、例えば、評価値が正の値である場合にはその値に応じた−方向(下側)への移動量とし、評価値が負の値であればその値に応じた+方向(上側)への移動量とする、等といった対応関係が定められている。
S240では、システム60は、直近のS230で特定した移動量に従って、インク吐出部22(実施例8では、印刷ヘッドユニット群22e内の後行ユニット)の縦位置を調整する。当該調整にもシステム60は治具50を用いることが可能である。つまりコンピューター10は、上記特定した移動量に従った後行ユニットの移動の指令を治具50に送り、当該指令を受けた治具50は、移動量に従って上記調整対象とした後行ユニットの並進移動プレート413を上下方向において移動させる。このとき、治具50は上記移動量に従って並進移動ダイヤル414を操作して移動させてもよいし、並進移動プレート413を直接移動させてもよい。
上記S240の後、再びS200に戻り、複数枚のテストパターンTP5の印刷からの処理を繰り返す。つまり、上記評価値が高評価範囲内に収束するまでテストパターンの印刷と印刷結果に基づく調整とを繰り返す。その結果、用紙Sに蛇行等などの搬送誤差が生じていたとしても、インク吐出部22を構成する先行ユニットと後行ユニットとの上下方向における位置関係を、当該蛇行等の影響による印刷結果のずれが用紙全体的に最も見えにくい位置関係に調整することができる。なお、図22のS210〜S240のうち一部あるいは全部の処理、つまり各罫線に対する点数付け、評価値の算出、移動量の特定、インク吐出部22の縦位置調整等の一部あるいは全部の処理を人為的に行うとしてもよい。
上述したように、用紙Sの蛇行の特徴は用紙搬送ユニット21のローラーやモーター等の回転特性に起因してある周期で繰り返し生じると考えられる。そのため縦アライメント調整処理においても上記のようにテストパターンを複数枚印刷し、複数枚のテストパターンの各位置における印刷結果に基づいて上記評価値を得ることにより、そのとき調整対象としているインク吐出部22についての縦位置を、あらゆる蛇行状態に対して平均的に妥当な位置に調整する。
実施例9
実施例9および他の実施例10〜13では、実施例8と異なる部分について説明する。上記実施例8と実施例9との違いは、前者で印刷するテストパターンTP5が同色で印刷される一方、後者で印刷するテストパターンTP6が異なる色で印刷される点である。
つまり図24のテストパターンTP6は、複数の櫛歯状の罫線パターンLP2(図10等参照)からなり、各罫線パターンLP2が、用紙Sを上下方向において分割した領域1,2,3,4…毎に印刷されている。
各領域の罫線パターンLP2は、その領域に対応する先行ユニットの印刷ヘッドおよび後行ユニットの印刷ヘッドによって印刷されている。一例として、領域1の各罫線パターンLP2は、先行ユニットの印刷ヘッド22b1のa,b列で印刷されたK罫線および後行ユニットの印刷ヘッド22b1のg,h列で印刷されたM罫線で形成されている。先行ユニットと後行ユニットとはノズル列方向においてP/2ずれているため、先行ユニット、後行ユニットの互いに異なる色のノズル列からインクを吐出することにより、異なる色の罫線による櫛歯状のパターンが印刷される。同様に、領域2,3,4…の各罫線パターンLP2は、先行ユニットおよび後行ユニットの各印刷ヘッド22b2における異なる色のノズル列、先行ユニットおよび後行ユニットの各印刷ヘッド22b3における異なる色のノズル列、先行ユニットおよび後行ユニットの各印刷ヘッド22b4における異なる色のノズル列…によって印刷された罫線で形成されている。
上記のようなテストパターンTP6を印刷した場合、上記S210における複数枚のテストパターンTP6に基づく評価は、実施例2に示した評価手法と同じとなる。このように異なる色の罫線の組み合わせでテストパターンTP6を印刷すれば、罫線間の位置ずれの有無や程度を評価しやすい為好適である。実施例8,9の適用対象となる印刷ヘッドユニット群22eは、印刷ヘッドを理想アライメントで配置した構成であっても、印刷ヘッドをn分の1アライメントで配置した構成であってもよい。また上記では、印刷ヘッドユニット群22eの先行ユニットおよび後行ユニットの関係を例にして実施例8,9の説明を行なったが、実施例8,9の対象となるインク吐出部22は、既述の印刷ヘッド群であってもよい。つまり、図22のフローチャートに従い、印刷ヘッド群を構成する先行印刷ヘッドの位置を基準にした後行印刷ヘッドの縦位置の調整を行なうとしてもよい。
実施例10
S200では、システム60はプリンター20によってテストパターンTP7を複数の用紙Sに印刷する。
図25は、実施例10におけるインク吐出部22と用紙Sに印刷されるテストパターンTP7との関係を簡易的に例示している。実施例10では、インク吐出部22は、複数の印刷ヘッド22b1,22b2,22b3,22b4…を理想アライメントで配置した印刷ヘッドユニット22dである。実施例10では、印刷ヘッドユニット22dの印刷ヘッド単位で縦アライメント調整を行う。つまり、一つの印刷ヘッドを調整対象として選択し、当該調整対象の印刷ヘッドとオーバーラップ範囲ORを共有する他の印刷ヘッドの縦位置を基準として、当該調整対象とした印刷ヘッドの縦位置を調整する。
図25では、印刷ヘッド22b2を調整対象として選択した場合を例示している。この場合、テストパターンTP7は、印刷ヘッド22b2と印刷ヘッド22b1とが重なるオーバーラップ範囲ORのノズルで印刷された複数の櫛歯状の罫線パターンLP1と、印刷ヘッド22b2と印刷ヘッド22b3とが重なるオーバーラップ範囲ORのノズルで印刷された複数の櫛歯状の罫線パターンLP1とからなる。印刷ヘッド22b1および印刷ヘッド22b2のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP1は、印刷ヘッド22b1のa列(b列)のノズルで印刷されたK罫線および印刷ヘッド22b2のb列(a列)のノズルで印刷されたK罫線によって構成され、印刷ヘッド22b2および印刷ヘッド22b3のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP1は、印刷ヘッド22b3のa列(b列)のノズルで印刷されたK罫線および印刷ヘッド22b2のb列(a列)のノズルで印刷されたK罫線によって構成されている。
むろん、図15に示したテストパターンTP3の一部と同様に、印刷ヘッド22b1および印刷ヘッド22b2のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP4(印刷ヘッド22b1および印刷ヘッド22b2のa列のノズルで印刷されたK罫線で構成された罫線パターン)と、印刷ヘッド22b2および印刷ヘッド22b3のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP4(印刷ヘッド22b2および印刷ヘッド22b3のa列のノズルで印刷されたK罫線で構成された罫線パターン)とを、印刷ヘッド22b2を調整対象にした場合のテストパターンTP7として印刷してもよい。
S240では、システム60は、S230で特定した移動量に従って、インク吐出部22(実施例10では、印刷ヘッドユニット22d内の印刷ヘッド22b2)の縦位置を調整する。当該調整は、調整対象の印刷ヘッドに連結された上記並進移動プレート413や並進移動ダイヤル414を操作して行う。このように実施例10によれば、テストパターンTP7に基づいて印刷ヘッドユニット内の印刷ヘッド単体の縦アライメント調整を行なうことができる。
実施例11
S200では、システム60はプリンター20によってテストパターンTP8を複数の用紙Sに印刷する。
図26は、実施例11におけるインク吐出部22と用紙Sに印刷されるテストパターンTP8との関係を簡易的に例示している。実施例11では、インク吐出部22は、複数の印刷ヘッド22b1,22b2,22b3,22d4…を理想アライメントで配置した印刷ヘッドユニット22dである。上記実施例10と実施例11との違いは、前者で印刷するテストパターンTP7が同色で印刷されている一方、後者で印刷するテストパターンTP8が異なる色で印刷されている点である。
図26では、印刷ヘッド22b2を調整対象として選択した場合を例示している。この場合、テストパターンTP8は、印刷ヘッド22b2と印刷ヘッド22b1とが重なるオーバーラップ範囲ORのノズルで印刷された複数の櫛歯状の罫線パターンLP2と、印刷ヘッド22b2と印刷ヘッド22b3とが重なるオーバーラップ範囲ORのノズルで印刷された複数の櫛歯状の罫線パターンLP2とからなる。つまりテストパターンTP8では、印刷ヘッド22b1および印刷ヘッド22b2のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP2は、印刷ヘッド22b1のa列(b列)および印刷ヘッド22b2のh列(g列)のノズルによって印刷されたK罫線およびM罫線で形成されている。また、印刷ヘッド22a2および印刷ヘッド22a3のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP2は、印刷ヘッド22a3のa列(b列)および印刷ヘッド22b2のh列(g列)のノズルによって印刷されたK罫線およびM罫線で形成されている。
むろん、図18に示したテストパターンTP4の一部と同様に、印刷ヘッド22b1および印刷ヘッド22b2のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP3(印刷ヘッド22b1のa列(b列)および印刷ヘッド22b2のg列(h列)で印刷されたK罫線およびM罫線で構成した罫線パターン)と、印刷ヘッド22b2および印刷ヘッド22b3のオーバーラップ範囲ORに対応した各罫線パターンLP3(印刷ヘッド22b3のa列(b列)および印刷ヘッド22b2のg列(h列)で印刷されたK罫線およびM罫線で構成した罫線パターン)とを、印刷ヘッド22b2を調整対象にした場合のテストパターンTP8として印刷してもよい。
上記のようなテストパターンTP8を印刷した場合、上記S210における複数枚のテストパターンTP8に基づく評価は、実施例2に示した評価手法と同じとなる。このように異なる色の罫線の組み合わせでテストパターンTP8を印刷すれば、罫線間の位置ずれの有無や程度を評価しやすい為好適であり、また印刷ヘッドユニット内の印刷ヘッド単体の縦アライメント調整を行なうことができる。
実施例12
上記実施例10は、インク吐出部22が、各印刷ヘッドをn分の1アライメントで配置した印刷ヘッドユニット22d(図21参照)である場合にも適用できる。この場合、オーバーラップ範囲ORに属するノズルで同色の罫線からなる上記テストパターンTP7を印刷する際には、実施例7と同様に、オーバーラップ範囲ORで重なる両印刷ヘッドの一方の印刷ヘッドのノズルおよび他方の印刷ヘッドのノズルであって、ノズル列方向において交互かつ等間隔に位置する関係にあるノズルを選択(図21の例で言えば、印刷ヘッド22b1のa列‐♯177、b列‐♯179、a列‐♯180の各ノズルおよび、印刷ヘッド22b2のa列‐♯2、b列‐♯4の各ノズルを選択)し、この選択したノズルを用いて上記櫛歯状のパターンを印刷する。
実施例13
上記実施例11は、インク吐出部22が、各印刷ヘッドをn分の1アライメントで配置した印刷ヘッドユニット22d(図21参照)である場合にも適用できる。この場合、オーバーラップ範囲ORに属するノズルで異なる色の罫線からなる上記テストパターンTP8を印刷する際には、実施例7と同様に、オーバーラップ範囲ORで重なる両印刷ヘッドの一方の印刷ヘッドのノズルおよび他方の印刷ヘッドのノズルであって、ノズル列方向において交互かつ等間隔に位置する関係にあるノズルを選択(図21の例で言えば、印刷ヘッド22b1のa列‐♯177、b列‐♯179、a列‐♯180の各ノズルおよび、印刷ヘッド22b2のg列‐♯2、h列‐♯4の各ノズルを選択)し、この選択したノズルを用いて上記櫛歯状のパターンを印刷する。
なお、インク吐出部22が先行ヘッドおよび後行ヘッドからなる印刷ヘッドユニット群22eであって、印刷ヘッドユニット群22e内の印刷ヘッド単体に対する縦アライメント調整処理を行なう際にも、上記実施例10〜13を適用することが可能である。
4.印刷タイミング調整処理
図27は、システム60が実行するインク吐出部22の印刷タイミング調整処理をフローチャートにより示している。印刷タイミング調整処理では、プリンター20における調整対象のインク吐出部22が備える所定のノズル列からインクを吐出することにより、ノズル列方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、用紙S上における、ノズル列方向に直交する方向に間隔を空けた複数箇所に印刷する(罫線パターンが満遍なく配置されたテストパターンを印刷する)。そして、各罫線パターンにおける罫線の位置に基づいて、上記調整対象としたインク吐出部22の各ノズル列からのインク吐出タイミングを調整する。
以下、図27のフローチャートに基づき、印刷タイミング調整処理の実施例14〜21を説明する。
実施例14
S300では、システム60はテストパターンTP9を複数の用紙Sに印刷する。
図28は、実施例14において調整対象としたインク吐出部22と用紙Sに印刷するテストパターンTP9との関係を示している。実施例14では、インク吐出部22は印刷ヘッド(印刷ヘッド22aまたは印刷ヘッド22b。以下同様。)であり、プリンター20はシリアルタイプである場合を前提としている。テストパターンTP9は、用紙S上において主走査方向に所定の間隔を空けて印刷された同色の罫線パターンLP5からなる。一つの罫線パターンLP5は、ノズル列方向を略向いた複数かつ同色の罫線を略連続させてなる略直線状のパターンである。図28においては、一つの罫線パターンLP5は、用紙Sを上下方向に分割した領域1,2,3,4…にそれぞれ印刷された罫線が略連続することによって形成されている。
つまり、印刷ヘッドの主走査方向の移動(インク吐出を伴う移動)によって、主走査方向に間隔を空けて複数の罫線が印刷され、このような印刷を用紙Sの所定量の搬送の度に行うことにより、各領域1,2,3,4…に罫線が順に印刷される。具体的には、印刷ヘッドは、奇数番目の領域1,3…に対して主走査往路方向(左から右への方向)に移動しながらインク吐出を行うことで罫線を印刷し、偶数番目の領域2,4…に対して主走査復路方向(右から左への方向)に移動しながらインク吐出を行うことで罫線を印刷する。実施例14では、罫線パターンLP5を構成する各罫線は、印刷ヘッドにおける同じ色に対応するノズル列によって印刷される。図28では、一例として、罫線パターンLP5を構成する各罫線はK罫線としている。
罫線パターンLP5(実施例15〜20で印刷する罫線パターンについても同様)は、直線を表現した画像データに基づいて印刷される。よって、罫線パターンLP5は、理想的には用紙S上で直線で表現される。しかしプリンター20においては、インクを吐出する際のインク吐出部22と用紙Sとの相対的速度(シリアルタイプのプリンター20においては、静止した用紙S上を移動するインク吐出部22の速度、またラインヘッドタイプのプリンター20においては、静止したインク吐出部22下を搬送される用紙Sの速度)は厳密には一定ではない。そのため、用紙Sの位置毎に印刷時のインク吐出部22と用紙Sとの相対的速度がばらつく。また、このようなばらつきはシリアルタイプのプリンター20であれば主走査往路方向の移動と主走査復路方向の移動とで異なる。従って、用紙Sで罫線パターンLP5はノズル列方向において必ずしも正確な直線になるとは限らず、図28に示したように各罫線が左右にずれた形状になり得る。そのため、用紙S上の罫線パターンLP5等を“罫線を略連続させてなる略直線状のパターン”と表現している。
S300におけるテストパターンの用紙Sへの印刷手順は、上記S100で説明したとおりである。S310では、システム60は、直近のS300で印刷した複数枚のテストパターンTP9に基づく評価を行い、評価値を算出する。S310でも上記S110,S210と同様に、システム60は、スキャナー30によってテストパターンを一枚ずつ読み取り、当該読み取りによって得た各テストパターンの画像データをコンピューター10へ転送する。コンピューター10は、転送された各画像データを解析することにより、テストパターンに対する点数評価を行なって上記評価値を算出する。具体的には、領域1,2,3,4…のうち一つの領域を基準領域とし、基準領域に印刷された罫線に対する他の領域(対象領域)の罫線の位置を評価する。
一例として、コンピューター10は、領域1を基準領域とし、領域1に隣接する対象領域(領域2)の罫線の位置を評価する。つまりコンピューター10は、複数枚のテストパターンTP9の画像データを解析し、各用紙Sの領域2に印刷された各罫線それぞれについて、本来直線状に連続しているべき上方の領域1の罫線と連続して直線になっているか(本来連続しているべき領域1の罫線と主走査方向における位置が一致している(中央位置にある)か)、本来直線状に連続しているべき領域1の罫線よりも右側に位置しているか、本来直線状に連続しているべき領域1の罫線よりも左側に位置しているか、の評価を下す。コンピューター10は、例えば、中央位置にあると評価した罫線に対しては得点として「0点」を与え、中央位置よりも左側に位置していると評価した罫線に対しては「+1点」を与え、中央位置よりも右側に位置していると評価した罫線に対しては「−1点」を与える。このように各領域2の各罫線に対して与えた点数を全て合計し、合計点を、複数枚のテストパターンTP9の領域2に対する全体の評価値とする。
S320では、コンピューター10は、直近のS310で算出した評価値が、予め定めた高評価範囲(0点±所定点)以内であるか否か判定し、評価値が高評価範囲内である場合には、そのときの対象領域(領域2)に関する評価および調整を終了する。つまり、評価値が0点か、或いは0点に所定程度近い値であれば、複数の用紙Sに渡って領域1における印刷タイミングと領域2における印刷タイミングに上記相対的速度のばらつきに起因する多少のずれはあるにしても、複数の用紙S全体で見たときにずれの影響を最も感じさせない妥当な各印刷タイミングで領域1,2それぞれにおいて印刷が実行されていると言えるからである。一方、上記評価値が高評価範囲外である場合には、コンピューター10は、対象領域(領域2)に対する印刷タイミングの調整が必要であると判断し、S330に進む。
S330では、コンピューター10は、直近のS310で算出した評価値に対応する、インク吐出部22の印刷タイミング(インク吐出部22で上記対象領域を印刷する際の印刷タイミング)の調整量を特定する。コンピューター10は、評価値と調整量との対応関係を定めたテーブルや関数などを予め情報として有しており、当該対応関係を参照して評価値に一義的に対応する調整量を特定する。また、上記のように主走査往路方向および主走査復路方向それぞれの移動の際に印刷を行う場合には、対象領域の印刷を主走査往路方向、主走査復路方向のいずれで行うかも考慮して、調整量を特定する。例えば、対象領域が主走査往路方向の移動によって印刷される領域(領域3等)である場合には、評価値が正の値であればその値に応じて、印刷タイミングを遅くする調整量とし、評価値が負の値であればその値に応じて、印刷タイミングを早くする調整量とする。一方、対象領域が主走査復路方向の移動によって印刷される領域(領域2等)である場合には、評価値が正の値であればその値に応じて、印刷タイミングを早くする調整量とし、評価値が負の値であればその値に応じて、印刷タイミングを遅くする調整量とする。
S340では、コンピューター10は、プリンター20に対し、直近のS330で特定した調整量に従って対象領域(領域2)に対するインク吐出部22によるインク吐出のタイミングの調整をすべき旨を指示し、プリンター20は当該指示に応じてインク吐出のタイミング調整を実行する。プリンター20では、駆動信号生成回路25が駆動信号を生成してインク吐出部22の各ノズルに供給する。駆動信号は、インク吐出部22と用紙Sとの相対的速度がある値であることを前提に設定された周期で駆動パルスを発生させる信号であり、この所定周期の駆動パルスがノズルの圧電素子に印加される度に、ノズルからインクが吐出される。駆動パルスのノズルへの印加は、ラスターデータにおける吐出(ドットオン)を示す値「1」に応じて行われ、非吐出(ドットオフ)を示す値「0」では行なわれない。よって、プリンター20(コントローラー23)は、用紙Sの対象領域(領域2)に主走査復路方向の移動に伴ってインク吐出を行う際に駆動信号生成回路25に生成させる駆動信号における駆動パルスの発生タイミングを、上記特定された調整量に応じて調整して(遅らせるあるいは早める)設定する。なお、ここで調整対象となる駆動信号は、インク吐出部22のノズル列のうち、罫線パターンLP5の印刷に用いられたノズル列(Kインクに対応するノズル列)のノズルに対して供給される駆動信号である。
S340の後、再びS300に戻り、複数枚のテストパターンTP9の印刷からの処理を繰り返す。むろん2回目以降のS300では、上記対象領域に対するパターン印刷の際には、それまでのS340で駆動パルスの発生タイミングが調整された駆動信号に基づいて印刷を行う。そして、上記評価値が高評価範囲内に収束するまでテストパターンの印刷と印刷結果に基づく調整とを繰り返す。その結果、印刷時のインク吐出部22と用紙Sとの相対的速度にばらつきが生じていたとしても、上記対象領域に対する印刷タイミングを、上記基準領域の印刷結果に対する上記対象領域の印刷結果のずれが用紙全体的に最も出にくい印刷タイミングに調整することができる。なお、上記相対的速度のばらつきは、インク吐出部22を移動させるキャリッジのモーターや、用紙搬送ユニット21のローラーやモーター等の回転特性に起因してある周期で繰り返し生じると考えられる。そのため、印刷タイミング調整処理でも上記のようにテストパターンを複数枚印刷し、複数枚のテストパターンの印刷結果に基づいて上記評価値を得ることにより、あらゆる相対的速度のばらつきに対して平均的に妥当なインク吐出部22の吐出タイミングを決めるようにしている。
上記のように領域2を対象領域とした印刷タイミング調整処理が終わった後、システム60は、基準領域と対象領域との関係を変更して処理を繰り返す。つまり、印刷タイミング調整済みの領域2を新たな基準領域とし、基準領域に隣接する領域3を対象領域として上記と同様に印刷タイミング調整処理を行い、その後、領域3を新たな基準領域とし、基準領域に隣接する領域4を対象領域とし…というように、繰り返し(玉突き的に)印刷タイミング調整処理を行う。その結果、複数の用紙S全体に亘って領域1,2,3,4…の各罫線がほぼ直線状に連続する罫線パターンを印刷可能に調整されたプリンター20が得られる。図27のS310〜S330のうち一部あるいは全部の処理、つまり、各罫線に対する点数付け、評価値の算出、調整量の特定等の一部あるいは全部の処理を、人為的に行うとしてもよい。
なお上記では、上下方向に並ぶ各領域のうち一番上の領域を最初の基準領域として、順次、調整済みの下方の各領域を玉突き的に基準領域として最終的に全領域の調整を行うとした。ただし、このような調整方法は一例に過ぎない。例えば、下記の各実施例も含め印刷タイミング調整処理では、上下両側において他の領域と隣接する領域(例えば領域2)を基準領域とし、当該基準領域の上下の領域(領域1,3)それぞれを対象領域として同時に印刷タイミングの調整を行い、その後、調整後の3つの領域(領域1〜3)に対して隣接する領域(領域4)の印刷タイミング調整を、当該3つの領域(領域1〜3)を基準領域として行うとしてもよい。
実施例15
実施例15および他の実施例16〜21では、実施例14と異なる部分について説明する。上記実施例14では、領域1,2,3,4…のある一色の印刷タイミングを合わせる調整を行った。しかしプリンター20においては、全てのインク色の印刷タイミングを合わせる必要がある。そこで実施例15では、領域毎にインク色間の印刷タイミングを合わせる調整を行う。S300では、システム60はテストパターンTP10を複数の用紙Sに印刷する。
図29は、実施例15において調整対象としたインク吐出部22と用紙Sに印刷するテストパターンTP10との関係を示している。テストパターンTP10は、用紙S上において主走査方向に所定の間隔を空けて印刷された複数の罫線パターンLP6からなる。一つの罫線パターンLP6は、基準色(例えばK)によるノズル列方向を略向いた複数の罫線(K罫線)を略連続させてなる略直線状のパターン(基準色パターン)と、対象色(例えばM)によるノズル列方向を略向いた複数の罫線(M罫線)を略連続させてなる略直線状のパターン(対象色パターン)とが重なるように印刷されたパターンである。基準色パターンおよび対象色パターンはそれぞれ、用紙Sを上下方向に分割した領域1,2,3,4…に印刷された罫線が略連続することによって形成されている。
基準色パターンは、インク吐出部22のKインクに対応するノズル列によるインク吐出タイミングを上記実施例14で領域1,2,3,4…毎に調整された印刷タイミングとすることにより印刷されている。そのため、いずれの基準色パターンも基本的には直線状となっている。一方、対象色パターンは、Mインクに対応するノズル列によるインク吐出タイミングを、領域1,2,3,4…間で、上記実施例14で領域1,2,3,4…毎に調整された印刷タイミングに応じて調整することにより印刷されている。そのため、基準色パターンと同様に基本的に直線状となっている。
罫線パターンLP6は、直線の基準色パターンと、基準色パターンと同一位置における直線の対象色パターンとを表現した画像データに基づいて印刷される。よって、罫線パターンLP6は、理想的には、用紙S上で基準色パターンおよび対象色パターンが完全に重なった状態で表現される。しかしインク吐出部22では、基準色に対応するノズル列と対象色に対応するノズル列はノズル列方向に直交する方向において一定の距離を有しており、また上述したようにインク吐出部22と用紙Sとの相対的速度はばらついている。そのため、ノズル列間の距離を考慮した時間差で基準色に対応するノズル列および対象色に対応するノズル列からそれぞれインクを吐出した場合であっても、上記ばらつきの影響を受けて、両ノズルから吐出されたドットが用紙S上で正確に重ならない場合もあり、また、かかる両ノズルから吐出されたドット間のずれは用紙Sの位置毎に(罫線パターンLP6毎に)異なる。そのため、用紙S上の罫線パターンLP6等を“基準色パターンと対象色パターンとが重なるように印刷されたパターン”と表現している。
上記のようなテストパターンTP10を印刷した場合、上記S310においてシステム60は、複数枚のテストパターンTP10に基づく評価を行い、評価値を算出する。つまり領域1,2,3,4…のうち一つを対象領域とし、対象領域毎に基準色パターンの罫線に対する対象色パターンの罫線の位置を評価する。例えばコンピューター10は、各用紙Sの領域1に印刷された対象色パターンの各罫線それぞれについて、本来同一位置にあるべき領域1の基準色パターンの罫線と同一位置にあるか(中央位置にあるか)、本来同一位置にあるべき領域1の基準色パターンの罫線よりも右側に位置しているか、本来同一位置にあるべき領域1の基準色パターンの罫線よりも左側に位置しているかの評価を下し、点数を与える。コンピューター10は、このように各領域1の対象色パターンの各罫線に対して与えた点数を全て合計し、合計点を、複数枚のテストパターンTP10の領域1に対する全体の評価値とする。
S320では、コンピューター10は、直近のS310で算出した評価値が、予め定めた高評価範囲(0点±所定点)以内であるか否か判定し、評価値が高評価範囲内である場合には、そのときの対象領域(領域1)に関する評価および調整を終了する。つまり、評価値が0点か、或いは0点に所定程度近い値であれば、領域1における基準色パターンと対象色パターンとのずれが複数の用紙S全体で見たときに最も見えにくい妥当な各印刷タイミングで印刷が実行されていると言えるからである。一方、S330では、コンピューター10は、直近のS310で算出した評価値に対応する印刷タイミングの調整量を特定する。S340では、コンピューター10は、プリンター20に対し、直近のS330で特定した調整量に従って対象領域(領域1)に対する対象色のインク吐出のタイミングの調整をすべき旨を指示し、プリンター20は当該指示に応じてインク吐出のタイミング調整を実行する。
つまりプリンター20(コントローラー23)は、用紙Sの対象領域(領域1)に主走査往路方向の移動に伴って対象色(M)のノズル列からインク吐出を行う際に駆動信号生成回路25に生成させる駆動信号における駆動パルスの発生タイミングを、上記特定された調整量に応じて調整して(遅らせるあるいは早める)設定する。S340の後、再びS300に戻り、複数枚のテストパターンTP10の印刷からの処理を繰り返す。その結果、印刷時のインク吐出部22と用紙Sとの相対的速度にばらつきが生じていたとしても、上記対象領域における基準色の印刷タイミングに対する対象色の印刷タイミングを、互いの印刷結果のずれが用紙全体的に最も見えにくい印刷タイミングに調整することができる。このように領域1を対象領域とした印刷タイミング調整処理が終わった後、システム60は、他の領域2,3,4…を順次対象領域とし、基準色に対する対象色の印刷タイミングの調整処理を繰り返す。その結果、プリンター20は、直線状の基準色パターンおよび対象色パターンがほぼ重なった罫線パターンLP6を複数の用紙S全体に亘って印刷可能に調整される。
なお上記では、領域1,2,3,4…のうち一つを対象領域とし、対象領域毎に基準色パターンの罫線に対する対象色パターンの罫線の位置を評価した。しかし上述したように、罫線パターンLP6を構成する基準色パターンおよび対象色パターンはいずれも各領域に亘って直線状であることが多いため、評価を領域単位で行うのではなく全ての領域を合わせて評価を行ってもよい。つまり、全領域1,2,3,4…を合わせた領域を一つの対象領域として捉え、罫線パターンLP6毎に基準色パターンの位置に対する対象色パターンの位置を評価する(一つの対象色パターンに対して一つの点数を与える)としてもよい。また実施例15(実施例16,18,20も同様)の説明では、基準色(K)と一つの対象色(M)との関係についてのみ言及しているが、他のインク色(C,Y等)についても順次対象色として選択して上記と同様の処理を繰り返すことにより、全インク色の印刷タイミングが合うように調整を行う。
実施例16
S300では、システム60はテストパターンTP11を複数の用紙Sに印刷する。
図30は、実施例16において調整対象としたインク吐出部22と用紙Sに印刷するテストパターンTP11との関係を示している。実施例16では、インク吐出部22はラインヘッドタイプの印刷ヘッドである。テストパターンTP11は、テストパターンTP10と同様に、用紙S上において搬送方向に所定の間隔を空けて印刷された複数の罫線パターンLP6(基準色パターンと対象色パターンとが重なるように印刷されたパターン)からなる。実施例16では、用紙Sがインク吐出部22下を通過することで、紙幅Wに亘って罫線パターンLP6が印刷される。実施例16では、実施例15と同様に、インク色間の印刷タイミングを合わせる調整を行う。パターンについての評価および評価に基づく調整は、複数の紙面全体を一つの対象領域と捉えて上記実施例15の手法を適用する。
実施例17
S300では、システム60はテストパターンTP12を複数の用紙Sに印刷する。
図31は、実施例17において調整対象としたインク吐出部22と用紙Sに印刷するテストパターンTP12との関係を示している。実施例17では、インク吐出部22は印刷ヘッドユニット(印刷ヘッドユニット22cまたは印刷ヘッドユニット22d。以下同様。)である。なお、印刷タイミング調整処理の実施例17以下においては、印刷ヘッドユニットは、印刷ヘッドが理想アライメントで配置されたものであってもP/nアライメントで配置されたものであっても、どちらでも構わない。テストパターンTP12は、用紙S上において搬送方向に所定の間隔を空けて印刷された同色の罫線パターンLP5(図28参照)からなる。罫線パターンLP5は実施例14と同様に、用紙Sを上下方向に分割した領域1,2,3,4…にそれぞれ印刷された同色の罫線が略連続することによって形成されている。ただし実施例17では、各領域1,2,3,4…の罫線は、印刷ヘッドユニットを構成する各印刷ヘッドのKインクのノズル列によって印刷されている。
つまり実施例14では、印刷ヘッドで基準領域(例えば、領域1)に対して罫線を印刷する際のタイミングと、同じ印刷ヘッドで隣接する対象領域(領域2)に対して罫線を印刷する際のタイミングとを合わせる調整を行ったが、実施例17では、基準となる印刷ヘッド(基準ヘッド。例えば印刷ヘッド22b1。)によって基準領域(領域1)に対して罫線を印刷する際のタイミングと、隣接する印刷ヘッド(対象ヘッド。印刷ヘッド22b2。)で対象領域(領域2)に対して罫線を印刷する際のタイミングとを合わせる調整を行う。具体的には、S340では、プリンター20(コントローラー23)は、対象領域(領域2)に用紙Sの搬送に伴ってインク吐出を行う際に駆動信号生成回路25に生成させる駆動信号における駆動パルスの発生タイミングを、上記特定された調整量に応じて調整して(遅らせるあるいは早める)設定する。ここで調整対象となる駆動信号は、対象ヘッドにおける罫線パターンLP5の印刷に用いられたノズル列(Kインクに対応するノズル列)のノズルに対して供給される駆動信号である。
むろん、ある基準ヘッドと対象ヘッドとの関係において上記調整を行った後は、調整済みの対象ヘッドを新たな基準ヘッドとし、新たな基準ヘッドとこれに隣接する対象ヘッドとの関係において同様の調整を行う。その結果、プリンター20は、印刷ヘッドユニットによって領域1,2,3,4…の各罫線がほぼ直線状に連続する罫線パターンを複数の用紙S全体に亘って印刷可能に調整される。
実施例18
実施例17では、印刷ヘッドユニット内の印刷ヘッド間で同色のノズル列の印刷タイミングを合わせる調整を行ったが、実施例18では、印刷ヘッドユニット内の異なる色のノズル列の印刷タイミングを合わせる調整を行う。S300では、システム60はテストパターンTP13を複数の用紙Sに印刷する。
図32は、実施例18において調整対象としたインク吐出部22(印刷ヘッドユニット)と用紙Sに印刷するテストパターンTP13との関係を示している。テストパターンTP13は、用紙S上において搬送方向に所定の間隔を空けて印刷された複数の罫線パターンLP6(図29,30参照)からなる。罫線パターンLP6は、実施例15,16と同様に、基準色(例えばK)による基準色パターンと、対象色(例えばM)による対象色パターンとが重なるように印刷されたパターンである。ただし、実施例18の罫線パターンLP6を形成する各領域1,2,3,4…のK罫線およびM罫線は、印刷ヘッドユニットを構成する各印刷ヘッドのKのノズル列およびMのノズル列によって印刷されている。基準色パターンは、各印刷ヘッドのKインクに対応するノズル列によるインク吐出タイミングを上記実施例17で領域1,2,3,4…毎に調整された印刷タイミングとすることにより印刷されている。そのため、いずれの基準色パターンも基本的に直線状となっている。一方、対象色パターンは、各印刷ヘッドのMインクに対応するノズル列によるインク吐出タイミングを、領域1,2,3,4…間で、上記実施例17で領域1,2,3,4…毎に調整された印刷タイミングに応じて調整することにより印刷されている。そのため、基準色パターンと同様に基本的に直線状となっている。
上記のようなテストパターンTP13を印刷した場合、上記S310においてシステム60は、複数枚のテストパターンTP13に基づく評価を行い、評価値を算出する。S310〜S330の処理は、実施例15で説明した通りである。S340では、コンピューター10は、プリンター20に対し、直近のS330で特定した調整量に従って対象領域(例えば領域1)に対応する印刷ヘッド(印刷ヘッド22b1)の対象色のインク吐出のタイミングの調整をすべき旨を指示し、プリンター20は当該指示に応じてインク吐出のタイミング調整を実行する。プリンター20(コントローラー23)は、用紙Sの搬送に伴って対象領域(領域1)に印刷ヘッド(印刷ヘッド22b1)における対象色(M)のノズル列からインク吐出を行う際に駆動信号生成回路25に生成させる駆動信号における駆動パルスの発生タイミングを、上記特定された調整量に応じて調整して(遅らせるあるいは早める)設定する。
S340の後、再びS300に戻り、複数枚のテストパターンTP13の印刷からの処理を繰り返す。その結果、印刷時のインク吐出部22と用紙Sとの相対的速度にばらつきが生じていたとしても、上記対象領域における基準色の印刷タイミングに対する対象色の印刷タイミングを、互いの印刷結果のずれが用紙全体的に最も出にくい印刷タイミングに調整することができる。このように領域1(印刷ヘッド22b1)を対象領域とした印刷タイミング調整処理が終わった後、システム60は、他の領域2,3,4…(他の印刷ヘッド22b2,22b3,22d4…)を順次対象領域にして、基準色に対する対象色の印刷タイミングの調整処理を繰り返す。
実施例19
S300では、システム60はテストパターンTP14を複数の用紙Sに印刷する。
図33は、実施例19において調整対象としたインク吐出部22と用紙Sに印刷するテストパターンTP14との関係を示している。実施例19では、インク吐出部22は印刷ヘッドユニット群22eである。テストパターンTP14は、用紙S上において搬送方向に所定の間隔を空けて印刷された同色(例えばK)の罫線パターンLP5からなる。実施例19にかかる罫線パターンLP5は、用紙Sを上下方向に分割した領域1,2,3,4,5,6,7,8…にそれぞれ印刷された罫線が略連続することによって形成されている。具体的には、奇数番目の領域1,3,5,7…の罫線は、先行ユニットの各印刷ヘッドによって印刷されており、偶数番目の領域2,4,6,8…の罫線は、後行ユニットの各印刷ヘッドによって印刷されている。
つまり実施例19では、基準ヘッド(例えば、先行ユニットの印刷ヘッド22b1)によって基準領域(領域1)に罫線を印刷する際のタイミングと、罫線の印刷領域が隣接する対象ヘッド(後行ユニットの印刷ヘッド22b1)で対象領域(領域2)に対して罫線を印刷する際のタイミングとを合わせる調整を行う。具体的には、S340では、プリンター20(コントローラー23)は、対象領域(領域2)に用紙Sの搬送に伴ってインク吐出を行う際に駆動信号生成回路25に生成させる駆動信号における駆動パルスの発生タイミングを、上記特定された調整量に応じて調整して(遅らせるあるいは早める)設定する。調整対象となる駆動信号は、対象ヘッドにおける罫線パターンLP5の印刷に用いられたノズル列(Kインクに対応するノズル列)のノズルに対して供給される駆動信号である。むろん、ある基準ヘッドと対象ヘッドとの関係において上記調整を行った後は、調整済みの対象ヘッドを新たな基準ヘッドとし、新たな基準ヘッドとこれに罫線の印刷領域が隣接する対象ヘッドとの関係において同様の調整を行う。その結果、プリンター20は、印刷ヘッドユニット群22eによって領域1,2,3,4,5,6,7,8…の各罫線がほぼ直線状に連続する罫線パターンを複数の用紙S全体に亘って印刷可能に調整される。
実施例20
実施例19では、印刷ヘッドユニット群22e内の異なる印刷ヘッド間で、同色のノズル列の印刷タイミングを合わせる調整を行ったが、実施例20では、印刷ヘッドユニット群22eにおける先行ユニット、後行ユニット間で、異なる色のノズル列の印刷タイミングを合わせる調整を行う。S300では、システム60はテストパターンTP15を複数の用紙Sに印刷する。
図34は、実施例20において調整対象としたインク吐出部22(印刷ヘッドユニット群22e)と用紙Sに印刷するテストパターンTP15との関係を示している。テストパターンTP15は、用紙S上において搬送方向に所定の間隔を空けて印刷された複数の罫線パターンLP6からなる。罫線パターンLP6は、実施例15,16,18と同様に、基準色(例えばK)による基準色パターンと、対象色(例えばM)による対象色パターンとが重なるように印刷されたパターンである。実施例20の罫線パターンLP6を形成する領域1,2,3,4…それぞれのK罫線およびM罫線は、先行ユニットの印刷ヘッド22b1のKのノズル列および後行ユニットの印刷ヘッド22b1のMのノズル列、先行ユニットの印刷ヘッド22b2のKのノズル列および後行ユニットの印刷ヘッド22b2のMのノズル列、先行ユニットの印刷ヘッド22b3のKのノズル列および後行ユニットの印刷ヘッド22b3のMのノズル列、先行ユニットの印刷ヘッド22d4のKのノズル列および後行ユニットの印刷ヘッド22d4のMのノズル列、によって印刷されている。
基準色パターンは、先行ユニットの各印刷ヘッドのKインクに対応するノズル列によるインク吐出タイミングを上記実施例19で印刷ヘッド毎に調整された印刷タイミングとすることにより印刷されている。そのため、いずれの基準色パターンも基本的に直線状となっている。一方、対象色パターンは、後行ユニットの各印刷ヘッドのMインクに対応するノズル列によるインク吐出タイミングを上記実施例19で印刷ヘッド毎に調整された印刷タイミングに応じて調整することにより印刷されている。そのため、基準色パターンと同様に基本的に直線状となっている。
上記のようなテストパターンTP15を印刷した場合、上記S310においてシステム60は、複数枚のテストパターンTP15に基づく評価を行い、評価値を算出する。S310〜S330の処理は、実施例15で説明した通りである。S340では、コンピューター10は、プリンター20に対し、直近のS330で特定した調整量に従って対象領域(領域1)に対応する両印刷ヘッド(先行ユニットの印刷ヘッド22b1および後行ユニットの印刷ヘッド22b1)のうち、後行ユニットの印刷ヘッドによる対象色のインク吐出のタイミングの調整をすべき旨を指示し、プリンター20は当該指示に応じてインク吐出のタイミング調整を実行する。プリンター20(コントローラー23)は、用紙Sの搬送に伴って対象領域(領域1)に後行ユニットの印刷ヘッド22b1における対象色(M)のノズル列からインク吐出を行う際に駆動信号生成回路25に生成させる駆動信号における駆動パルスの発生タイミングを、上記特定された調整量に応じて調整して(遅らせるあるいは早める)設定する。
S340の後、再びS300に戻り、複数枚のテストパターンTP15の印刷からの処理を繰り返す。その結果、印刷時のインク吐出部22と用紙Sとの相対的速度にばらつきが生じていたとしても、上記対象領域における基準色の印刷タイミングに対する対象色の印刷タイミングを、互いの印刷結果のずれが用紙全体的に最も出にくい印刷タイミングに調整することができる。このように領域1を対象領域とした印刷タイミング調整処理が終わった後、システム60は、他の領域2,3,4…(先行・後行ユニット間における印刷ヘッド22b2間の関係、印刷ヘッド22b3間の関係、印刷ヘッド22d4間の関係…)を順次対象にして、基準色に対する対象色の印刷タイミングの調整処理を繰り返す。
実施例21
上記実施例14,17,19では、用紙Sの領域間における印刷タイミングのずれを判断するための罫線パターンとして、ノズル列方向を向いた複数かつ同色の罫線を連続させることにより構成される罫線パターンLP5を用紙Sに印刷するとした。しかし、罫線パターンLP5の具体的レイアウトは、上述したものに限られない。例えば、用紙Sを上下方向に分割した各領域のうち隣接し合う一方の領域に配置されたノズル方向を向いた複数の罫線と他方の領域に配置されたノズル方向を向いた複数の罫線とが、ノズル方向に直交する方向に沿って交互に櫛歯状に並列するパターンを印刷するとしてもよい。このような櫛歯状のパターンを印刷した場合、一方の領域の罫線間の中央位置に本来位置すべき他方の領域の罫線が正確に位置しているか否かを評価することにより、用紙Sの領域間における印刷タイミングのずれを判断することができる。
5.総合的なプリンター調整処理
上記では、「傾き調整処理」、「縦アライメント調整処理」および「印刷タイミング調整処理」を別々に説明したが、むろんこれら3つの処理を連続して行なうことも可能である。つまり、システム60では、プリンター20に配設されたインク吐出部22を対象として、傾き調整処理、縦アライメント調整処理および印刷タイミング調整処理を連続して行なう。一例として、システム60は、インク吐出部22が印刷ヘッドユニット群であれば、先行ユニット、後行ユニットそれぞれに対する傾き調整を行い、次に、先行ユニットの縦位置を基準とした後行ユニットの縦アライメント調整を行い、最後に、先行ユニット、後行ユニット間の印刷タイミング調整を行うことができる。
このように本実施形態によれば、プリンター20において用紙Sの蛇行等の搬送精度誤差や、上記相対的速度のばらつきがある状況であっても、用紙S上の各位置における印刷結果のずれを総合的に少なく見せることができる最も妥当な、インク吐出部22の取付角度、縦位置および印刷タイミングを決定することができる。
図35,36は、システム60において印刷可能なテストパターンの他の例を示している。図35は、印刷ヘッドユニットによって印刷するテストパターンTP16であり、図36は、印刷ヘッドユニットによって印刷するテストパターンTP17である。テストパターンTP16は、図13に示したテストパターンTP3における罫線パターンLP1と、図31に示したテストパターンTP12における罫線パターンLP5とを含むパターンとなっている。またテストパターンTP17は、図14に示したテストパターンTP3における罫線パターンLP1と、図31に示したテストパターンTP12における罫線パターンLP5とを含むパターンとなっている。つまり、システム60では、インク吐出部22として印刷ヘッドユニットを備えるプリンター20に上記テストパターンTP16を印刷させることにより、テストパターンTP16の印刷結果に基づいて、傾き調整処理および印刷タイミング調整処理に必要な評価値をそれぞれ得ることができる。また、システム60では、印刷ヘッドユニットを備えるプリンター20に上記テストパターンTP17を印刷させることにより、テストパターンTP17の印刷結果に基づいて、傾き調整処理、縦アライメント調整処理および印刷タイミング調整処理に必要な評価値をそれぞれ得ることができる。
10…コンピューター、20…プリンター、21…用紙搬送ユニット、22…インク吐出部、22a,22a1,22a2,22a3,22a4,22b,22b1,22b2,22b3,22b4…印刷ヘッド、22c,22d…印刷ヘッドユニット、22e…印刷ヘッドユニット群、23…コントローラー、24…I/F、25…駆動信号生成回路、30…スキャナー、50…治具、60…プリンター調整システム、411…角度調整プレート、412…角度調整ダイヤル、413…並進移動プレート、414…並進移動ダイヤル

Claims (7)

  1. 複数のノズルを第一の方向に並べたノズル列を複数並列させたインク吐出部を備える印刷装置を用いて、当該インク吐出部のノズルから印刷媒体に対してインクを吐出することにより所定のパターンを印刷する印刷方法であって、
    異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出することにより、当該各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であって上記第一の方向に直交する第二の方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、印刷媒体上の複数箇所に印刷することを特徴とする印刷方法。
  2. 異なるノズル列に属する各ノズルであって上記第一の方向において位置が離れている各ノズルからインクを吐出することにより、上記複数の罫線が第一の方向に略沿って櫛歯状に並列する罫線パターンを印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
  3. 異なるノズル列に属する各ノズルであって上記第一の方向において位置が同一である各ノズルからインクを吐出することにより、上記複数の罫線が略連続してなる罫線パターンを印刷することを特徴とする請求項1に記載の印刷方法。
  4. 同色のインクを吐出する各ノズルから同色のインクを吐出することにより、同色の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを印刷することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷方法。
  5. 異なる色のインクを吐出する各ノズルから異なる色のインクを吐出することにより、異なる色の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを印刷することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の印刷方法。
  6. 複数のノズルを第一の方向に並べたノズル列を複数並列させたインク吐出部を備え、当該インク吐出部のノズルから印刷媒体に対してインクを吐出することにより所定のパターンを印刷する印刷装置であって、
    異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出することにより、当該各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であって上記第一の方向に直交する第二の方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、印刷媒体上の複数箇所に印刷することを特徴とする印刷装置。
  7. 複数のノズルを第一の方向に並べたノズル列を複数並列させたインク吐出部を備える印刷装置を用いて、当該インク吐出部のノズルから印刷媒体に対してインクを吐出することにより印刷されたテストパターンであって、
    異なるノズル列に属する各ノズルからインクを吐出し、当該各ノズルから吐出されるインクで表される複数の罫線であって上記第一の方向に直交する第二の方向を略向いた複数の罫線の組み合わせからなる罫線パターンを、印刷媒体上の複数箇所に配置することにより印刷されたテストパターン。
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