以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明の光学素子の1実施例を示す一部断面図である。この光学素子は特定の方位及び視野角範囲において光の透過率を下げることができるものであり、表示装置に備えた場合、画面の視野角を制限することができる光学素子である。ここでは以下、このような機能を有する光学素子を視野角制限素子と呼ぶ。
本実施例の視野角制限素子30は第1の偏光板2000と第2の偏光板2100と、これら偏光板の間にディスコティック液晶層100を含む液晶フィルム1000を積層するものである。
偏光板はこれに入射する光のうち互いに直交する直線偏光成分の一方を透過し、他方を吸収するものである。
第1の偏光板2000としては例えば、ヨウ素や有機染料などの2色性の材料を染色あるいは吸着させたポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現する偏光層310をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の保護フィルム220,221で挟んだ構造のものを用いることができる。
また、第2の偏光板2100としては、第1の偏光板2000と同じくポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現する偏光層300をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の保護フィルム210,211で挟んだ構造のものを用いることができる。
液晶フィルム1000は基材フィルム200とその上に形成する液晶層100から構成される。
液晶フィルム1000はそれぞれ粘着層410で第1の偏光板2000と、粘着層400で第2の偏光板2100と粘着する。粘着層はアクリル系などの透明な粘着剤から構成される。
図2は液晶フィルム1000の構造を説明するための模式図である。液晶フィルム1000はトリアセチルセルロースなどの面内方向の位相差が小さく光学的に略等方な基材フィルム200上にポリイミドなどからなる配向膜500を設け、その上にトリフェニレン誘導体などのディスコティック液晶性を示すディスコティック化合物を成膜するものである。配向膜500にラビング処理などによる配向処理を行い、その上にディスコティック化合物を塗布し、温度制御することでディスコティックネマチック相を形成させ、配向状態を固定することで非流動化した液晶層100を形成する。
液晶層100は空気界面付近でディスコティック液晶の円盤面が界面に対して垂直、或いは垂直に近い配向となり、基材フィルム200側では円盤面が基材フィルム面に平行、あるいは平行に近い配向となるため、厚み方向で配向角度が連続的に変化するハイブリッド配向となる。
基材フィルム200側でディスコティック液晶の円盤面が基材フィルム面となす角度をθ1,基材フィルム200と反対側でディスコティック液晶の円盤面が基材フィルム面となす角度をθ2とすると、概ねθ1=2〜5°,θ2=65〜75°となる。
基材フィルム面に対するディスコティック液晶の円盤面の傾きは、配向膜500に行う配向処理の方向に沿って生じるものであり、配向の方向に平行な軸を以下、配向軸と呼ぶ。尚、液晶層100を非流動化するために、トリフェニレン誘導体などのディスコティック化合物の側鎖末端に重合性基を導入し、ハイブリッド配向状態で重合して配向状態を固定化する。
このような液晶フィルムは富士写真フィルムからWVフィルムという商品名で製品化されており、本発明の視野角制限素子を構成する液晶フィルムとして使用することができる。図3、及び図4は第1の偏光板2000の偏光層310の吸収軸2000Aと、液晶フィルム1000の液晶層100の配向軸1000Aと、第2の偏光板2100の偏光層300の吸収軸2100Aの関係を示す模式図である。
図示の通り、本実施例の視野角制限素子では第1の偏光板2000と第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸は互いに平行とし、液晶フィルムの液晶層の配向軸は偏光層の吸収軸と平行(図3)、もしくは直交(図4)するように配置する。
この場合、第2の偏光板2100(または第1の偏光板2000)側から入射する光は、第2の偏光板2100(または第1の偏光板2000)を通過した後、液晶フィルム1000を透過して第1の偏光板2000(または第2の偏光板2100)に入射する。
この際、液晶層100の配向軸と直交する方位において液晶フィルム1000を斜め方向に進む光には位相差が生じ、偏光状態が変化するため第1の偏光板2000(または第2の偏光板2100)で吸収されて透過率が低下する。
一方、液晶層100の配向軸と平行な方位において液晶フィルム1000を斜め方向に進む光には位相差がほとんど生じないので、第1の偏光板2000(または第2の偏光板2100)でほとんど吸収されることなく透過する。
つまり、液晶層の配向軸1000Aと直交する方位では液晶層の配向軸1000Aと平行な方位よりも、極角が大きい範囲において透過率が小さくなる光学素子が実現できる。換言すると液晶層の配向軸1000Aと直交する方位では液晶層の配向軸1000Aと平行な方位よりも、視野角が狭くなる視野角制限素子が実現できる。
図3や図4に例示する通り、液晶フィルムの液晶層の配向軸1000Aを、便宜上、上下方向と平行な方向とすると、上下方向よりも左右方向における視野角が小さい視野角制限素子が実現できる。
このような視野角特性は、携帯電話やノートPC,PDAなどの携帯機器や、ATMなどの公共用機器の表示装置に適用する場合、横方向からの覗き込み防止に効果がある。
あるいは、液晶フィルム1000の液晶層の配向軸を、左右方向と平行な方向とすると、左右方向よりも上下方向における視野角が小さくなる視野角制限素子が実現できる。このような視野角特性は車載用のモニターに適用する場合、自動車のフロントグラスへの画像光の映りこみ防止に効果がある。
尚、上記説明では液晶フィルム1000の液晶層をハイブリッド配向したディスコティック液晶で構成する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば液晶フィルム1000の液晶層としては棒状液晶分子をハイブリッド配向し、固定化したものを用いてもよい。
また、視野角制限素子を構成する部材の一部を共通化するようにしてもよい。図9は本発明の視野角制限素子の他の例を示す一部断面図である。この視野角制限素子は図1を参照して説明した素子において、第2の偏光板2100を構成する保護フィルム210を省略し、液晶フィルム1000を構成する基材フィルム200で、第2の偏光板2100を構成する保護フィルムの機能を兼用するものである。この場合、光学的な特性は上記実施例と大きく変わることがなく、粘着層400と保護フィルム210の分だけ薄型,軽量で低コストな視野角制限素子を実現することができる。
また、所望の特性を得るために液晶層を複数層積層するようにしても良い。図10は本発明の視野角制限素子の他の例を示す一部断面図である。この視野角制限素子は図9を参照して説明した視野角制限素子において、液晶フィルム1000(図10では1000aと表記)と第2の偏光板2100の間に、さらに液晶フィルム1000b,1000cを、透明な粘着層420,430を介して積層するものである。
液晶フィルム1000a,1000b,1000cはそれぞれ液晶層100aと基材フィルム200a,液晶層100bと基材フィルム200b,液晶層100cと基材フィルム200cとから構成される。
この場合、液晶フィルム1層では得られない視野角特性、例えばより視野角が狭い視野角特性を実現することができる。
次に本発明の表示装置の実施例について説明する。図5は本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は液晶表示パネル10と、その背面に配置する照明装置20と、液晶表示パネル10と照明装置20との間に配置する(実施例1)で説明した視野角制限素子30とから構成される。
照明装置20は液晶表示パネル10の表示領域をその背面側から照明するものである。照明装置20としてはエッジライト方式(導光体方式),直下方式(反射板方式),面状光源方式などがある。照明装置20はこれらの方式やその他の方式の中から用途や目的,表示領域の大きさに合わせて最適な方式を選べばよい。ここでは、エッジライト方式のバックライトについて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
照明装置20は、裏面に白色顔料によるドット印刷、或いは微細な凹凸形状やレンズ形状等の光の進行方向を変える手段を形成した透明な樹脂からなる導光体22と、導光体22の端面に配置した光源21と、導光体22の裏面側に配置した反射シート23と、導光体22の表面側に配置したプリズムシートや、拡散シートなどの光学フィルム24,25とを有している。
光源21としては冷陰極管や熱陰極管などの線状光源や発光ダイオード(LED)などの点状光源を使用することができる。ここでは以下、光源21としてLEDを使用する場合を説明するが本発明はこれに限定されるものではない。
光源21としてLEDを用いる場合は、光源からの光を導光体22に効率よく入射させるため、図示しない反射体を設けたり、発光部の周囲に形成するモールド樹脂の形状を工夫すると良い。
この構成において、光源21から出射し、導光体22に入射する光は全反射しながら導光体22内を伝播する。導光体22内を伝播する光のうち導光体裏面に施された、光の進行方向を変える手段に至った光は、その進行方向が変わり、導光体22の表面側から出射する。導光体22から出射する光は、プリズムシートや拡散シートなどの光学フィルムにより出射角度の分布や、面内での輝度分布が調整された後、視野角制限素子30を介して液晶表示パネル10に照射される。
液晶表示パネル10は照明装置20からの光の透過光量を調整することで映像を表示する透過型、或いは半透過反射型の液晶表示パネルを用いる。
液晶表示パネル10は偏光板を備え、液晶層に入射する光の偏光状態を制御することで映像表示を行うものが比較的低い駆動電圧でコントラスト比の高い映像が得られることから望ましい。このような液晶表示パネルでは直線偏光を映像光として利用している。
液晶表示パネル10としては例えばTN(Twisted Nematic)方式,STN(Super Twisted Nematic)方式,ECB(Electrical Controlled Birefringence)方式などを用いることができる。また、広視野角を特徴とするIPS(In Plane Switching)方式,VA(Vertical Alingned)方式を用いることができる。
あるいは液晶表示パネル10として、上記方式を応用した半透過反射型の液晶表示パネルを用いることができる。
ここでは以下、液晶表示パネル10としてIPS方式を用いる場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
液晶表示パネル10は、平坦かつ透明で光学的に等方なガラス、あるいはプラスチックからなる表示パネル用の透明基板11および透明基板12とを有する。透明基板11には、カラーフィルタや、ポリイミド系高分子からなる配向膜(いずれも不図示)が積層されている。透明基板12には、配向膜,画素を形成する電極,信号電極,薄膜トランジスタ等からなるスイッチング素子等(いずれも不図示)が形成されている。
図6は本実施例の液晶表示パネル10の1画素の構成を示す概略正面図である。液晶表示パネル10の1画素は透明基板12上に形成した共通電極33及び走査信号電極34と、これらの上層に図示しない絶縁膜を介して形成した映像信号電極3100及び画素電極32と、非晶質Si膜もしくは多結晶Si膜等により構成するスイッチング素子としてのTFT(Thin FilmTransistor)3500を有する。
また、画素電極32は共通電極33と一部重なり合い、保持容量を形成する。共通電極33、及び画素電極32は一画素を4つの領域に分割しており、互いに略一定の間隙を保ちながら、ジクザク型になっている。また、液晶表示パネルの画面上下方向に対する共通電極33、および画素電極32のジグザグの傾き角度γは約±10°である。さらにこれらの上層には保護層が形成され、その上に配向膜が形成される。
2枚の透明基板11,12は配向膜形成面を向かい合わせ、図示しないスペーサーにより一定の間隙を設けた状態で枠状のシール材で周囲を接着して内部に空間を形成する。この空間に誘電異方性が正のネマチック液晶を封入し、封止することで液晶層13が設けられる。
液晶層13は2枚の透明基板11,12上に形成された配向膜に施される配向処理により、その液晶分子長軸の配向方向が規定される。液晶層13の液晶配向方向は、2枚の透明基板11,12の間で捩じれのない、いわゆるホモジニアス配向とする。
透明基板11の前面と透明基板12の背面にはそれぞれ偏光板2200及び偏光板2000を備える。
図7は本実施例の表示装置の縦断面構造を説明するための概略断面図であり、特に液晶表示パネル10と視野角制限素子30の光学的な動作に関与する主な構成部材を描いたものである。
本表示装置は照明装置側から順に、視野角制限素子30と液晶表示パネル10を配置するもので、視野角制限素子30を構成する第1の偏光板2000は液晶表示パネル10の照明装置側に配置する偏光板と兼用するものである。
尚、視野角制限素子30に関しては上記実施例で説明しているため、同じ部分には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
視野角制限素子30は粘着層420により液晶表示パネル10を構成する表示パネル用の透明基板12に粘着する。粘着層はアクリル系などの透明な粘着剤を用いればよい。また、透明基板11と12の間には表示パネル用の液晶層13を有し、透明基板11の表面側には第3の偏光板を粘着層430により粘着する。
第3の偏光板2200は、第1の偏光板2000と同じくポリビニルアルコールなどからなる基材フィルムを延伸し、2色性の材料を配向させることで吸収2色性を発現する偏光層320をトリアセチルセルロースフィルムなどからなる2枚の保護フィルム230,240で挟んだ構造のものを用いることができる。
図8は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、表示パネル用液晶層の配向軸や、液晶フィルムを構成する液晶層の配向軸などの光学軸の一例を示す図である。
ここでは以下、図示の通り、表示パネル用液晶層13の配向軸13Aと第3の偏光板2200の直線偏光の吸収軸2200Aを画面の上下方向と平行とし、第1の偏光板2000の直線偏光の吸収軸2000Aと第2の偏光板2100の吸収軸2100Aと液晶フィルム1000の液晶層の配向軸1000Aが画面の上下方向と直交する場合を説明する。
照明装置20から出射する光は第2の偏光板2100を通過した後、液晶フィルム1000を透過して第1の偏光板2000に入射する。
この際、液晶フィルム1000の液晶層の配向軸1000Aと直交する方位では液晶フィルム1000を斜め方向に進む光には位相差が生じ、偏光状態が変化してその一部が第1の偏光板2000で吸収される。一方、液晶フィルム1000の液晶層の配向軸1000Aと平行な方位では液晶フィルム1000を斜め方向に進む光には位相差がほとんど生じないので、偏光状態はほぼ維持され第1の偏光板2000でほとんど吸収されることなく透過する。
第1の偏光板2000を透過する光は、液晶層13を通過して第3の偏光板2200に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を共通電極および画素電極に印加することで液晶層13を通過する光の偏光状態を制御し、偏光板2200を透過する光の量を調整することで所望の映像光を形成することができる。この場合、液晶フィルム1000を構成する液晶層100の配向軸1000Aと直交する方位では液晶層の配向軸1000Aと平行な方位よりも、極角(視野角)が大きい領域において画面が暗く視認性が悪い表示装置が実現できる。図8に例示する光学軸配置の場合には、画面の上下方向における映像光の漏れが小さくできるため、車載用のモニターに適用する場合、自動車のフロントグラスへの画像光の映りこみを防止する表示装置が実現できる。
また、本実施例の表示装置では視野角制限素子を構成する偏光層を含む偏光板と液晶表示パネルを構成する偏光層を含む偏光板を一つの偏光板で兼用している。
この場合、視野角制限素子で有効に利用される光と液晶表示パネルで有効に利用される光は同じ直線偏光であり、光損失の原因となる偏光層の数は減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
さらに、視野角制限素子の面内には液晶表示パネルの画素配列との間にモアレを生じるような規則性のある配列はないのでモアレによる画質の劣化のない表示が実現できる。
図11は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、表示パネル用液晶層の配向軸や、液晶フィルムを構成する液晶層の配向軸などの光学軸の他の一例を示す図である。ここでは図示の通り、表示パネル用液晶層13の配向軸13Aと第1の偏光板2000の直線偏光の吸収軸2000Aと第2の偏光板2100の吸収軸2100Aと液晶フィルム1000の液晶層の配向軸1000Aを画面の上下方向と平行とし、第3の偏光板2200の直線偏光の吸収軸2200Aを画面の上下方向と直交する。
この場合、画面の左右方向における映像光を暗くできるため、携帯電話やノートPC,PDAなどの携帯機器や、ATMなどの公共用機器の表示装置に適用する場合、横方向からの覗き込み防止に効果がある表示装置が実現できる。
尚、ここでは視野角制限素子を液晶表示パネル10と照明装置20の間に配置する場合を述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、視野角制限素子を液晶表示パネルの表面側に配置するようにしてもよい。
図15はこのような本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。この表示装置は液晶表示パネル10と、その背面に配置する照明装置20と、液晶表示パネル10の表面側に配置する(実施例1)で説明した視野角制限素子30とから構成されるものであり、上記実施例と同じ部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
図16はこの表示装置の縦断面構造を説明するための概略断面図であり、特に液晶表示パネル10と視野角制限素子30の光学的な動作に関与する主な構成部材を描いたものである。この表示装置は照明装置側から順に、液晶表示パネル10と視野角制限素子30を配置するもので、視野角制限素子30を構成する第2の偏光板2100は液晶表示パネル10の照明装置側に配置する偏光板と兼用するものである。視野角制限素子30は粘着層420により液晶表示パネル10を構成する表示パネル用の透明基板11に粘着する。
図17はこの表示装置に係る偏光板の吸収軸や、表示パネル用液晶層の配向軸や、液晶フィルムを構成する液晶層の配向軸などの光学軸の一例を示す図である。
ここでは図示の通り、液晶表示パネル10の液晶層13の配向軸13Aと第2の偏光板2100の直線偏光の吸収軸2100Aと、液晶フィルム1000の液晶層の配向軸1000Aと、第1の偏光板2000の直線偏光の吸収軸2000Aとを画面上下方向と平行とし、第3の偏光板2200の吸収軸2200Aを画面上下方向と直交させる。
この場合も視野角制限素子30の作用により上記実施例と同様の特性の表示特性が得られる。つまり、液晶フィルム1000を構成する液晶層100の配向軸1000Aと直交する方位では液晶層の配向軸1000Aと平行な方位よりも、極角(視野角)が大きい領域において画面が暗く視認性が悪い表示装置が実現できる。
この場合は特に液晶表示パネルとして半透過反射型の液晶表示パネルを用いる際、透過表示モードだけでなく、反射表示モードにおいても視野角を制限することができる表示装置が実現できる。
次に本発明の表示装置の他の実施例について説明する。図12は本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は液晶表示パネル10と、その背面に配置する照明装置20と、液晶表示パネル10と照明装置20との間に配置する視野角制限素子31とから構成される。
本実施例は図5を参照して説明した上記実施例において、視野角制限素子に新に反射型偏光板を設けたものである。このため、上記実施例と同じ部分には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
本実施例の表示装置は上記実施例において、第1の偏光板2000と液晶フィルム1000の間、及び第2の偏光板2100の裏面側にそれぞれ反射型偏光板3000と反射型偏光板3100を配置するものである。
図13は本実施例の表示装置の縦断面構造を説明するための概略断面図であり、特に液晶表示パネル10と視野角制限素子31の光学的な動作に関与する主な構成部材を描いたものである。
本表示装置は照明装置側から順に、視野角制限素子31と液晶表示パネル10を配置するもので、視野角制限素子31を構成する第1の偏光板2000は液晶表示パネル10の照明装置側に配置する偏光板と兼用するものである。
尚、視野角制限素子31は第1の偏光板2000と液晶フィルム1000との間に第1の反射型偏光板3000を配置し、それぞれ透明な粘着層440、及び410で粘着する。また、第2の偏光板2100の照明装置側には透明な粘着層450で第2の反射型偏光板3100を粘着する。
反射型偏光板としては、互いに直交する直線偏光成分を反射と透過で分離できるものを用いる。
このような反射型偏光板としては例えば特許文献4に開示されている異なる複屈折性を有する高分子フィルムを複数層積層した複屈折反射型偏光フィルム、もしくはコレステリック液晶フィルムの表と裏に位相差フィルムを配置したもの、もしくは屈折率の異なる誘電体を積層した誘電体多層膜、もしくは金属ワイヤーグリッドによる偏光フィルタを用いることができる。
複屈折反射型偏光フィルムの場合、これに入射する光のうち所定の直線偏光成分は透過し、これと偏光軸が直交する直線偏光成分は反射するフィルムが3M社(米国)からDBEFという商品名で製品化されており、これを反射型偏光板として使用することが可能である。金属ワイヤーグリッドによる偏光フィルタは透明基材上に千数百オングストロームのピッチで、銀,アルミニウム,クロムなどの導電性の金属線状パターンを形成するもので、透明基材を平板とすれば平板タイプの反射型偏光板を実現できる。
図14は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、表示パネル用液晶層の配向軸や、液晶フィルムを構成する液晶層の配向軸,反射型偏光板の反射軸などの光学軸の一例を示す図である。
ここでは以下、図示の通り、表示パネル用液晶層13の配向軸13Aと第3の偏光板2200の直線偏光の吸収軸2200Aを画面の上下方向と平行とし、第1の偏光板2000の直線偏光の吸収軸2000Aと第2の偏光板2100の吸収軸2100Aと液晶フィルム1000の液晶層の配向軸1000Aと、第1の反射型偏光板3000の直線偏光の反射軸3000Aと第2の反射型偏光板3100の直線偏光の反射軸3100Aが画面の上下方向と直交する場合を説明する。
照明装置20から出射する光は一般的に非偏光である。このため、照明装置20から出射し、第2の反射型偏光板3100に入射する光のうち、第2の反射型偏光板の反射軸に対応する直線偏光は反射し、これと偏光方向が直交する直線偏光は透過する。
第2の反射型偏光板2100で反射する光は照明装置20に戻り、照明装置20で反射される際その偏光状態が変化して再び第2の反射型偏光板2100に入射する。このさい、一部の光は第2の反射型偏光板で反射するが一部は透過する。これを繰り返すことで、照明装置20から出射する光の多くが第2の反射型偏光板を透過することになる。
第2の反射型偏光板を透過する光は第2の偏光板2100及び液晶フィルム1000を透過して、第1の反射型偏光板3000に入射する。
この際、液晶フィルム1000の液晶層の配向軸と直交する方位では液晶フィルム1000を斜め方向に進む光には位相差が生じ、偏光状態が変化するためその光の一部が第1の反射型偏光板3000で反射して、透過する光が小さくなる。
一方、液晶フィルム1000の液晶層の配向軸と平行な方位では液晶フィルム1000を斜め方向に進む光には位相差がほとんど生じないので、偏光状態はほぼ維持され第1の反射型偏光板3000でほとんど反射することなく透過し、第1の偏光板2000も透過する。
第1の偏光板2000を透過する光は、液晶層13を通過して第3の偏光板2200に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を共通電極および画素電極に印加することで液晶層13を通過する光の偏光状態を制御し、偏光板2200を透過する光の量を調整することで所望の映像光を形成することができる。
つまり、液晶フィルム1000を構成する液晶層の配向軸1000Aと直交する方位では液晶層の配向軸1000Aと平行な方位よりも、極角が大きい領域において画面が暗い表示装置が実現できる。
尚、第1の反射型偏光板で反射した光は、再び液晶フィルム1000を通過する際、位相差を生じ、偏光状態が変化して第2の偏光板2100及び第2の反射型偏光板3100を透過して、照明装置20へ戻る。
照明装置20は拡散シートなどの光を拡散反射する部材を備えるため、照明装置20に戻る光の一部は再び液晶表示パネル10の正面方向に向かって反射し、再利用されるため、正面方向の輝度が向上するという効果も得られる。
図14に例示する光学軸配置の場合には、画面の上下方向における映像光の漏れが小さくできるため、車載用のモニターに適用する場合、自動車のフロントグラスへの画像光の映りこみを防止する表示装置が実現できる。
また、本実施例の表示装置では視野角制限素子に反射型偏光板を備えることで、偏光板で吸収され損失となる光の量を減らすことができるため、光の利用効率が高く、明るい表示が得られる表示装置、或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
尚、表示装置に係る偏光板の吸収軸や、表示パネル用液晶層の配向軸や、液晶フィルムを構成する液晶層の配向軸などの光学軸を変更することで画面の左右方向において映像光が暗い表示装置を実現できることは上記実施例から明らかだろう。
また、本実施例の表示装置において、第1の偏光板2000と第2の偏光板2100の両方、または片方を省略してもよい。この場合も視野角制限素子は機能するが、一般に反射型偏光板の偏光度は吸収タイプの偏光板よりも低いため、光の遮蔽効果が小さくなる。しかし、この場合は光を吸収する部材が減る分より明るい表示装置が実現できるようになる。
次に本発明の視野角制限素子の他の実施例について説明する。図18は本発明の視野角制御素子の概略構成を示す一部断面図である。この視野角制限素子は図1を参照して説明した視野角制限素子において、主に液晶層の構成を変更したものであるため、基本的に上記実施例と同じ構成部材には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
本実施例の視野角制限素子32は第1の偏光板2000と第2の偏光板2100と、これら偏光板の間に液晶フィルム1100を備えるものである。
液晶フィルム1100は透明な基材フィルム250,251及びその間に形成する液晶層110から構成される。
液晶フィルム1100はそれぞれ粘着層410で偏光板2000と、粘着層450で第2の偏光板2100と粘着する。粘着層はアクリル系などの透明な粘着剤から構成される。
図19は液晶フィルム1100の構造を説明するための模式図である。この図には液晶層110の配向状態を固定する際の電極及び電源を合わせて模式的に示している。
液晶フィルム1100はトリアセチルセルロースなどの面内方向の位相差が小さく光学的に略等方な基材フィルム250及び基材フィルム251上にポリイミドなどからなる配向膜520,510をそれぞれ設け、これらの間に棒状の液晶分子からなる液晶層110を備えるものである。
液晶層110は基本的には配向膜520,510への配向処理により2枚の基材フィルム250,251の間で90°ねじれた配向とする。
尚、液晶層は非流動化するために液晶性化合物の側鎖末端に重合性基を導入し、電極5000,5100の間に電源5200を接続し、液晶層に所定の電圧を印加した状態で重合して配向状態を固定化することが重要である。
液晶層の配向状態を固定化する際の電界強度を制御することで、視野角制限素子の視野角特性は変えることができる。
図20は第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aと、液晶フィルム1100の液晶層の第1の偏光板側の配向軸1100OAと第2の偏光板側の配向軸1100LAと、第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸2100Aの関係を示す模式図である。
図示の通り、本実施例の視野角制限素子では第1の偏光板と第2の偏光板の偏光層の吸収軸は互いに直交し、液晶フィルムの液晶層の配向軸は偏光層の吸収軸と平行となるように配置する。
ここでは、図示の通り、便宜上、画面右側方向の方位角を0°とし、反時計回りに角度を定義すると、第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aは45°、液晶フィルム1100の液晶層の第1の偏光板側の配向軸1100Aは225°、第2の偏光板側の配向軸1100LAと、第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸2100Aは135°とする。
この場合、第2の偏光板2100(または第1の偏光板2000)側から液晶フィルムの液晶層に入射する光は、正面方向、すなわち方位角及び極角が0°の方向では液晶層を通過する際、偏光面が90°回転し、第1の偏光板2000(または第2の偏光板2100)を透過する。
一方、第2の偏光板2100(または第1の偏光板2000)側から液晶フィルムの液晶層に入射する光のうち、液晶層110の実効的な位相差が0、あるいは小さくなる所定の方位角及び極角の範囲では、第1の偏光板2000(または第2の偏光板2100)に吸収される。
つまり、所定の方位角及び極角の範囲において光を遮蔽できる視野角制限素子が実現できる。
例えば、図20に例示する光学軸配置であって、液晶フィルムを構成する液晶層が屈折率異方性Δnが0.1、誘電率異方性Δεが9.9のネマチック液晶化合物を用い、液晶層膜厚20μm、プレチルト角約3度、電界強度70KV/mの状態で配向状態を固定すると、図21に例示する特性の視野角制限素子が実現できる。
つまり、左右方向や下方向の視野角は広く、上方向のみ画面から発する光の量を小さくできる視野角制限素子が実現できる。このような視野角特性は車載用のモニターに適用する場合、自動車のフロントグラスへの画像光の映りこみ防止に効果がある。
尚、視野角制限素子を構成する部材はその一部を共通化するようにしてもよい。図22は本発明の視野角制限素子の他の例を示す一部断面図である。この視野角制限素子は図18を参照して説明した素子において、第2の偏光板2100を構成する保護フィルム210と第1の偏光板を構成する保護フィルム221を省略し、それぞれ液晶フィルム1100を構成する基材フィルム250及び251で、偏光板の保護フィルムの機能を兼用するものである。この場合、光学的な特性は上記実施例と大きく変わることがなく、粘着層や保護フィルムの分だけ薄型,軽量で低コストな視野角制限素子を実現することができる。
尚、所望の特性を得るために視野角制限素子を複数層積層するようにしても良い。この場合は複数の視野角制限素子を構成する液晶フィルムどうしの間に配置される2枚の偏光板(偏光層)を1枚で兼用することで、単純に2つの視野角制限素子を積層する場合よりも低コストで、薄型,軽量な視野角制限素子を実現できる。
具体的には、第1の偏光層,第2の偏光層及び第3の偏光層と、第1の液晶層及び第2の液晶層を備える視野角制限素子であって、第1の液晶層は第1の偏光層と第2の偏光層の間に配置し、第2の液晶層は第2の偏光層と第3の偏光層の間に配置し、第1の偏光層と第3の偏光層の吸収軸は互いに平行とし、第2の偏光層の吸収軸は第1の偏光層及び第3の偏光層の吸収軸とは直交するように配置する。
第1および第2の液晶層は棒状液晶分子からなり、その配向軸がそれぞれ近接する偏光層の吸収軸と平行、もしくは直交する様にねじれており、さらに液晶分子が所定の方位角及び極角において、実効的な位相差が0となる配向状態に固定する。
この場合、2つの液晶層のそれぞれで実効的な位相差が0となる所定の方位角及び極角において透過率が低い光学素子が実現できる。つまり、所定の2つの方位角及び極角において光を遮蔽できる視野角制限素子が実現できる。
この場合は、液晶フィルム1層では得られない視野角特性、例えばより視野角が狭い視野角特性や、複数の方位角及び極角の範囲において光の透過を制限できる視野角制限素子を実現することができる。
次に本発明の表示装置の実施例について説明する。図23は本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は液晶表示パネル10と、その背面に配置する照明装置20と、液晶表示パネル10と照明装置20との間に配置する(実施例4)で説明した視野角制限素子32とから構成される。このため、上記実施例と同じ部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
液晶表示パネル10は照明装置20からの光の透過光量を調整することで映像を表示する透過型、或いは半透過反射型の液晶表示パネルを用いる。
液晶表示パネル10は偏光板を備え、液晶層に入射する光の偏光状態を制御することで映像表示を行うものが比較的低い駆動電圧でコントラスト比の高い映像が得られることから望ましい。このような液晶表示パネルでは直線偏光を映像光として利用している。
液晶表示パネル10としては例えばTN(Twisted Nematic )方式,STN(SuperTwisted Nematic) 方式,ECB(Electrical Controlled Birefringence)方式などを用いることができる。また、広視野角を特徴とするIPS(In Plane Switching)方式,VA(Vertical Alingned)方式を用いることができる。
あるいは液晶表示パネル10として、上記方式を応用した半透過反射型の液晶表示パネルを用いることができる。
ここでは以下、液晶表示パネル10として画素ごとに薄膜トランジスタなどのスイッチング素子を備えるアクティブマトリクス駆動型で、表示モードとしてTN方式を用いる場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
液晶表示パネル10は、平坦かつ透明で光学的に等方なガラス、あるいはプラスチックからなる表示パネル用の透明基板11および透明基板12とを有する。透明基板11には、カラーフィルタや、透明電極,ポリイミド系高分子からなる配向膜(いずれも不図示)が積層されている。また、透明基板12には、配向膜,画素を形成する電極,信号電極,走査電極,薄膜トランジスタ等のスイッチング素子(いずれも不図示)が形成されている。
2枚の透明基板11,12は配向膜形成面を向かい合わせ、図示しないスペーサーにより一定の間隙を設けた状態で枠状のシール材で周囲を接着して内部に空間を形成し、この空間に誘電異方性が正のネマチック液晶を封入,封止することで液晶層16を設ける。
液晶層16は2枚の透明基板11,12上に形成された配向膜に施される配向処理により、その液晶分子長軸の配向方向が規定される。液晶層16は液晶分子の配向方向が、2枚の透明基板11,12の間で連続的に90°捩じれた、ツイストネマチック液晶からなる。透明基板11の前面と透明基板12の背面にはそれぞれ偏光板2200及び偏光板2000を配置する。
本表示装置は照明装置20側から順に、視野角制限素子32と液晶表示パネル10を配置するもので、視野角制限素子32を構成する第1の偏光板2000は液晶表示パネル10の照明装置側に配置する偏光板と兼用するものである。
尚、視野角制御素子32に関しては上記実施例で説明しているため、同じ部分には同じ符号を付け詳細な説明は省略する。
視野角制限素子32は粘着層により液晶表示パネル10を構成する透明基板12に粘着する。粘着層はアクリル系などの透明な粘着剤を用いればよい。また、透明基板11と12の間には液晶層16を有し、透明基板11の表面側には第3の偏光板2200を粘着剤により粘着する。
図24は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、表示パネル用液晶層の配向軸や、液晶フィルムを構成する液晶層の配向軸などの光学軸の関係を説明するための模式図である。
ここでは以下、便宜上、画面右側方向の方位角を0°とし、反時計回りに角度を定義する。図示の通り、第3の偏光板2200の偏光層の吸収軸2200Aと、第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸2100Aと、液晶フィルム1100の液晶層の第2の偏光板側の配向軸1100LAは135°とし、液晶層16の第3の偏光板側の配向軸16OAと、第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aは45°とし、液晶層16の第1の偏光板側の配向軸16LAは315°とし、液晶フィルム1100の液晶層の第1の偏光板側の配向軸1100OAは225°なるように配置する。
照明装置20から出射する光は第2の偏光板2100を通過した後、液晶フィルム1100を透過して第1の偏光板2000に入射する。
液晶フィルムの液晶層110を通過する光は正面方向、すなわち方位角及び極角が0°及びその近傍の範囲では液晶層を通過する際、偏光面が90°回転するため、第1の偏光板2000を透過する。
一方、第2の偏光板2100を透過して液晶フィルムの液晶層に入射する光のうち、液晶層110の実効的な位相差が0、あるいは位相差が小さくなる所定の方位角及び極角の範囲に進む光は第1の偏光板2000に吸収される。
第1の偏光板2000を透過する光は、液晶層16を通過して第3の偏光板2200に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を画素電極を介して液晶層に印加することで、液晶層を通過する光の偏光状態を制御し、偏光板2200を透過する光の量を調整することで所望の映像光を形成することができる。
本実施例の表示装置では図24に例示する光学軸配置とすることで左右方向や下方向の視野角は広く、上方向では画面から発する光が小さい表示装置が実現できる。このような視野角特性は車載用のモニターに適用する場合、自動車のフロントグラスへの画像光の映りこみ防止に効果がある。
また、本実施例の表示装置では視野角制限素子を構成する偏光層を含む偏光板と液晶表示パネルを構成する偏光層を含む偏光板とを一つの偏光板で兼用している。
この場合、視野角制限素子で有効に利用される光と液晶表示パネルで有効に利用される光は同じ直線偏光であり、光損失の原因となる偏光層の数は減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
さらに、視野角制限素子の面内には液晶表示パネルの画素配列との間にモアレを生じるような規則性のある配列はないのでモアレによる画質の劣化がない表示を実現できる。
次に本発明の視野角制御素子の実施例について図面を参照しながら説明する。図25は本発明の視野角制御素子の一例を説明するため概略断面図である。
視野角制御素子35は平坦かつ透明で光学的に等方なガラス、或いはプラスチックからなる第1の透明基板50及び第2の透明基板51と、液晶層150を備える偏光状態切り替え手段1200と、光学的に負の一軸異方性媒体からなる位相差板70と、第1の偏光板2000及び第2の偏光板2100とから構成される。
第2の透明基板51には透明電極60、及びポリイミド系高分子からなる配向膜550が積層形成されており、第1の透明基板50には第2の透明基板51と、同じく透明電極61、及び配向膜551が積層形成されている。
透明電極としてはインジウム・亜鉛・酸化物(IZOとも呼ぶ)、或いはインジウム・錫・酸化物(ITOとも呼ぶ)などの酸化インジウムを主原料とする透明導電材料を用いることができる。
尚、2枚の透明基板50,51のそれぞれに形成された透明電極60,61は図示しない配線、及びスイッチング素子を介して電源に接続することで、透明電極60,61に少なくとも2つの所定の電圧を選択的に印加できるように構成する。
つまり、透明電極60,61に所定の電位差を発生し、液晶層150に複数の所定の強度の電界を選択的に印加できるよう構成する。
2枚の透明基板50,51はそれぞれ透明電極及び配向膜を形成した面を向いあわせるように配置し、さらに図示しないスペーサーを介すことで2枚の透明基板の間に一定の間隙を設け、この間隙の周囲をシール材55で枠状にシールすることで空間を形成する。液晶層150はこの空間に誘電異方性が正のネマチック液晶を封入することで構成する。
第1の透明基板50に形成する配向膜551は液晶分子を基板面に対して垂直方向に配向させる垂直配向膜とし、第2の透明基板に形成する配向膜550はラビング処理等の配向処理により、液晶分子が基板面から2〜4度とわずかに傾いた状態で配向する配向膜とする。このため、この視野角制御素子の液晶層150は液晶分子が第1の透明基板側では基板面に対し、垂直、もしくは垂直に近い角度で配向し、第2の透明基板側では基板面に対して平行、もしくはわずかに傾いた状態で配向することで配向角度が厚み方向で連続的に変化するハイブリッド配向とする。
偏光状態切り替え部1200の第1の透明基板側には光学的に負の一軸異方性媒体からなる位相差板70を備える。位相差板70としては偏光板の保護フィルムに使用されるトリアセチルセルロースのフィルムを使用することができる。
位相差板70の光学的性質は式(1)で定義される厚み方向の位相差値Rthで特徴付けられる。
Rth=(nz−(nx+ny)/2)d ・・・(1)
ここで、nzは厚み方向の屈折率、nx及びnyは面内方向の主屈折率、dは厚みである。一般に偏光板の保護フィルムとして用いられるトリアセチルセルロースフィルムはRth=−40nm程度であるが、これの2〜3倍、つまり、Rth=−80〜−120nmといったトリアセチルセルロースフィルムもある。位相差板70に必要とされるRthの値は視野角制御素子に要求される特性により異なる。絶対値がより大きなRthを実現するにはトリアセチルセルロースフィルムの厚みを増大する、或いは複数のフィルムを積層する、或いは、トリアセチルセルロース以外でRthの絶対値が大きな高分子材料から成るフィルムを用いる、或いはコレステリック液晶層を用いる。
コレステリック液晶層を用いる場合は、コレステリック液晶層により発現する選択反射の波長域が可視波長域に存在しないようにピッチを調整すると良い。尚、斜め方向から光が入射すると、選択反射の波長域は短波長側にシフトするため、選択反射の波長域が紫外域となるようにして、斜めから光が入射しても可視波長域の光が反射することがないようにすることが望ましい。
位相差板70及び第2の透明基板51の外側にはそれぞれ第1の偏光板2000と第2の偏光板2100を備える。偏光板は上述の偏光板を用いることができる。
尚、第1の透明基板50と位相差板70,位相差板70と第1の偏光板2000,第2の透明基板51と第2の偏光板2100はアクリル系などの透明な粘着剤を介して粘着するとよい。
図26は本実施例の視野角制御素子に係る偏光板の吸収軸や、液晶層の配向軸などの光学軸の一例を示す図である。
ここでは以下、図示の通り、第1の偏光板2000の吸収軸2000Aと、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150の第2の透明基板51側における配向軸1200Aと、第2の偏光板2100の吸収軸2100Aがともに便宜上の上下方向と平行な方向とする。この場合、液晶層150に0〜3V程度のいずれかの電圧を印加すると、液晶層150の配向軸1200Aと直交する方位およびその近傍の領域では斜め方向、つまり極角が大きな範囲では透過率が低下し、視野角が狭くなる。これに対し、液晶層に7V以上の電圧を印加すると、同方位での斜め方向、つまり極角が大きな範囲での透過率は高くなり、視野角が広くなる。
この際、液晶層150の配向軸と平行な方向では液晶層150に印加する電圧の変化に関わらず、斜め方向においても透過率は変化しない。
例えば、液晶層150を構成するネマチック液晶として屈折率異方性Δnが0.095 、誘電率異方性Δεが5.2 のものを用い、液晶層膜厚を8μm、位相差板70のRthを−500nmとすると、図27、及び図28に例示する視野角特性の視野角制御素子を実現できる。
図27は視野角制御素子35の視野角特性を示す等透過率線図であり、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150に透明電極60及び透明電極61を介して印加する交流電圧を2Vと9Vとする場合の状態を示す。尚、図27は視野角(極角)0°における透過率を100%に規格化し、90%から20%までを10%毎に記述している。
また、図28は横軸が視野角(極角)、縦軸が透過率を示し、図26に示す便宜上の上下方向と左右方向における透過率の視野角依存性を示す図である。
図示の通り、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150を2Vで駆動する場合、左右方向では視野角の増加にともない透過率が低下する。一方、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150を9Vで駆動する場合は広い視野角範囲において高い透過率を実現できる。この際、上下方向は、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150の駆動電圧に関わらず透過率は変化しない。
つまり、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150へ印加する電圧、つまり駆動電圧を変化させることで、液晶層の配向軸と直交する方向の視野角を狭くしたり、広くしたりすることができる視野角制御素子が実現できる。
尚、位相差板70をトリアセチルセルロースで実現する場合、第1の偏光板の保護フィルムと位相差板70を兼用することで、保護フィルム及び粘着層を省略できるためより薄型,軽量な視野角制御素子が実現できる。
次に本発明の表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。図29は本発明の表示装置の実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は液晶表示パネル10と、その背面に配置する照明装置20と、液晶表示パネル10の表面側に配置する(実施例6)で説明した視野角制御素子35とから構成されるものであり、上述の実施例と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
ここでは以下、図5を参照して説明した上記実施例と同様、液晶表示パネル10としてIPS方式を用いる場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本表示装置は照明装置20側から順に、液晶表示パネル10と視野角制御素子35を配置するもので、視野角制御素子35を構成する第2の偏光板2100は液晶表示パネル10の表面側に配置する偏光板と兼用するものである。
このため、第2の偏光板2100は液晶表示パネル10の透明基板11に粘着剤により粘着し、視野角制御素子35の第2の透明基板51と離して配置しても良いが、不要な界面反射を低減するために第2の透明基板51と第2の偏光板2100の間に粘着剤を設ける、もしくはこれらと屈折率が近い透明な媒体で満たすようにしてもよい。
また、第3の偏光板2300は液晶表示パネルを構成する透明基板12に粘着剤により粘着する。
図30は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、液晶表示パネルの液晶層の配向軸や、偏光状態切り替え手段の液晶層の配向軸などの光学軸の関係を説明するための図である。
ここでは以下、図30に示す通り、第1の偏光板2000の吸収軸2000Aと、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150の配向軸1200Aと、第2の偏光板2100の吸収軸2100Aと、液晶表示パネルの液晶層13の配向軸13Aとが画面上下方向と平行であり、第3の偏光板2300の吸収軸2300Aが画面上下方向と直交するように配置する。
この場合、照明装置20から出射する光は液晶表示パネル10を構成する第3の偏光板2200に入射する。
第3の偏光板2200を透過した光は、液晶層13を通過して第2の偏光板2100に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を印加することで液晶層13を通過する光の偏光状態を制御し、偏光板2100を透過する光の量を調整することで映像光を形成する。
第2の偏光板2100を透過する映像光は視野角制御素子35を構成する偏光状態切り替え手段1200と位相差板70を通過し、第1の偏光板2000に入射する。
視野角制御素子の液晶層150に0〜3V程度のいずれかの電圧を印加すると、液晶層150の第2の偏光板2100側における配向軸と直交する方位およびその近傍の領域では斜め方向、つまり極角が大きな範囲では透過率が低下し、視野角が狭くなる。これに対し、液晶層150に7V以上の電圧を印加すると、同方位での斜め方向、つまり極角が大きな範囲での透過率は高くなり、視野角が広くなる。
この際、液晶層150の配向軸と平行な方向では液晶層150に印加する電圧の変化に関わらず、斜め方向においても透過率は変化しない。
つまり、偏光状態切り替え手段1200の液晶層150へ印加する電圧、つまり駆動電圧を変化させることで、液晶層150の配向軸と直交する方向の視野角を狭くしたり、広くしたりすることができる。
図30に例示する光学軸配置の場合には、画面の左右方向における映像光の明るさを任意に暗くして、視認性を悪くすることができる。このような視野角特性の切り替えは、携帯電話やノートPC,PDAなどの携帯機器や、ATMなどの公共用機器の表示装置に適用する場合に横方向からの覗き込み防止に効果がある。
また、本実施例の表示装置では視野角制御素子を構成する偏光板と液晶表示パネルを構成する偏光板とを一つの偏光板で兼用している。この場合、視野角制御素子で有効に利用される光と液晶表示パネルで有効に利用される光は同じ直線偏光であり、光の損失の原因となる偏光層の数は減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
尚、本実施例の表示装置では視野角制御素子35は液晶表示パネルの表側に配置している。この場合、液晶表示パネルとして半透過反射型を適用する場合、透過表示だけでなく、反射表示においても視野角を切り替えることができる表示装置が実現できることになる。
また、本実施例の表示装置では視野角制御素子を液晶表示パネルの表側に配置する場合を述べたが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、視野角制御素子を液晶表示パネルと照明装置の間に配置するようにしてもよい。
この際、視野角制御素子を構成する第1の偏光板と第2の偏光板の両方、もしくは少なくとも一方の偏光板の光源側に反射型偏光板を配置するとよい。或いは、第1の偏光板と第2の偏光板の両方、もしくは少なくとも一方を反射型偏光板とするとよい。さらに、照明装置には反射型偏光板で反射して照明装置に戻る光を拡散反射する拡散反射手段を備えると良い。
この場合、照明装置20から出射する光の一部は反射型偏光板で反射して再び照明装置20に戻る。照明装置20に戻る光は反射して再び利用されるが、この際、再利用される光の一部が正面方向に戻ることで、視野角制御素子により視野角を狭めた場合、正面方向の輝度が向上するといった効果が得られる。
次に本発明の視野角制御素子の他の実施例について図面を参照しながら説明する。図31は本発明の視野角制御素子の一例を説明するため概略断面図である。この視野角制御素子は実施例6で説明した視野角制御素子において、液晶層の液晶分子の配向状態と偏光板の吸収軸の方向を変え、さらに位相差板70を無くしたものであり、上記実施例と同じ部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
視野角制御素子36は第1の透明基板50及び第2の透明基板51と、液晶層160を備える偏光状態切り替え手段1300と、第1の偏光板2000及び第2の偏光板2100とから構成される。
第1の透明基板50には透明電極62、及びポリイミド系高分子からなる配向膜553が積層形成されており、第2の透明基板51には第1の透明基板50と、同じく透明電極63、及び配向膜552が積層形成されている。
尚、2枚の透明基板50,51のそれぞれに形成された透明電極62,63は図示しない配線、及びスイッチング素子を介して電源に接続することで、透明電極62,63に少なくとも2つの所定の電圧を選択的に印加できるように構成する。
つまり、透明電極62,63を所定の電位とすることで、液晶層160に複数の所定の強度の電界を選択的に印加できるよう構成する。
2枚の透明基板50,51はそれぞれ透明電極及び配向膜を形成した面を向い合わせるように配置する。この際、図示しないスペーサーを挟むことで2枚の透明基板の間に一定の間隙を設け、この間隙の周囲をシール材55で枠状にシールすることで空間を形成する。液晶層160はこの空間に誘電異方性が正のネマチック液晶を封入することで構成する。
尚、本実施例では2枚の透明基板に形成する配向膜553,552にそれぞれラビング処理等の配向処理を行うことで、液晶層160の液晶分子長軸が2枚の透明基板間で連続的に90°捩じれるよう構成した、いわゆるTN液晶素子を構成する。
第1の透明基板50と第2の透明基板51の外側にはそれぞれ第1の偏光板2000と第2の偏光板2100を備える。偏光板は上述の偏光板を用いることができる。
尚、第1の透明基板50と第1の偏光板2000、第2の透明基板51と第2の偏光板2100はアクリル系などの透明な粘着剤を介して粘着する。
図32は本実施例の視野角制御素子に係る偏光板の吸収軸や、液晶層の配向軸などの光学軸の一例を示す図である。図示の通り、本実施例の視野角制御素子では第1の偏光板2000と第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸は互いに直交とし、偏光状態切り替え手段1300の液晶層の配向軸はそれぞれ近接する偏光板の吸収軸と平行となるように配置する。
ここでは、図示の通り、便宜上、画面右側方向の方位角を0°とし、反時計回りに角度を定義すると、第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aは45°とし、偏光状態切り替え手段1300の液晶層160の第1の偏光板側の配向軸1300OAは225°とし、偏光状態切り替え手段1300の液晶層160の第2の偏光板側の配向軸1300LAと、第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸2100Aは135°とする。
偏光状態切り替え手段1300の液晶層160に駆動電圧が印加されていない場合、第2の偏光板2100を透過し、偏光状態切り替え手段1300に入射する光は液晶層160を通過する際、大部分の光はその偏光面が90°回転し、第1の偏光板2000を透過するため広い視野角範囲にわたって透過率が高くなる。
一方、偏光状態切り替え手段1300の液晶層160に駆動電圧を印加すると第2の偏光板2100を透過し、偏光状態切り替え手段1300に入射する光のうち、液晶層160の実効的な位相差が0、あるいは0に近い値となる所定の方位角及び極角方向に進む光は大部分が第1の偏光板2000に吸収される。
つまり、液晶層160に電圧を印加しない場合は広い視野角が得られ、液晶層に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において光を遮蔽できる視野角制御素子が実現できる。
例えば、液晶層160を構成するネマチック液晶として屈折率異方性Δnが0.1 、誘電率異方性Δεが9.9 のものを用い、液晶層膜厚を29μm、プレチルト角約3度とする場合、図33に例示する視野角特性の視野角制御素子を実現できる。
図33は横軸が視野角(極角)、縦軸が透過率を示し、図32に示す便宜上の上下方向における透過率の視野角依存性を示す図である。
図示の通り、偏光状態切り替え手段1300の液晶層160に電圧を印加すると左右方向や下方向の透過率はほとんど変化しないが、上方向のみ駆動電圧に応じた所定の視野角範囲において透過率を小さくすることができる。
つまり、左右方向や下方向の視野角は広く、上方向のみ必要に応じて画面の明るさを切り替えられる視野角制御素子を実現できる。このような視野角特性は車載用のモニターに適用する場合、自動車のフロントグラスへの画像光の映りこみ防止に効果がある。
尚、検討の結果、正面方向の透過率をほとんど変化させない状態で、所定の方位角及び極角方向における透過率を制御するには液晶層のΔndの値を2000nm以上とすることが望ましいことが判明した。これは液晶表示パネルにTN表示モードを適用する場合、液晶層のΔnd値が400〜500nm程度であることと比較すると、4倍程度大きく、容易に類推できる値ではない。
また、液晶層160のΔndの値は大きくしすぎると透過率を制御したい所定の方位角及び極角方向において得られる透過率の最低値が高くなり十分な光遮蔽効果を得られなくなる。このため、液晶層160のΔndの値は5000nm以下とすることが望ましい。
つまり、本実施例のようにTN液晶を用いた視野角制御素子の液晶層のΔndは2000nm以上,5000nm以下とすることが望ましい。特に透過率の制御をする必要のない方位角及び極角方向において、液晶層に所定の電圧が印加された際の透過率の変化をより小さくし、さらに透過率を制御したい所定の方位角及び極角方向において得られる透過率の最低値をより小さくするためには液晶層のΔnd2500nmから3500nmとすることが望ましい。
尚、液晶層160の駆動電圧は正面方向における透過率の変化を小さくするために交流3V以下、より望ましくは2V以下とすることが望ましい。この際、周波数はフリッカが見えず、液晶表示パネルの表示を劣化させない値とする。具体的には60Hz以上とすればよいだろう。
次に本発明の表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。図34は本発明の表示装置の実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は液晶表示パネル10と、その背面に配置する照明装置20と、液晶表示パネル10の表面側に配置する(実施例8)で説明した視野角制御素子36とから構成されるものであり、上記実施例と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
ここでは以下、図23を参照して説明した上記実施例と同様、液晶表示パネル10としてTN方式を用いる場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本表示装置は照明装置20側から順に、液晶表示パネル10と視野角制御素子36を配置するもので、視野角制御素子36を構成する第2の偏光板2100は液晶表示パネル10の表面側に配置する偏光板と兼用するものである。
このため、第2の偏光板2100は液晶表示パネル10の透明基板11に粘着剤により粘着し、視野角制御素子36の第2の透明基板51と離して配置しても良い。
また、第3の偏光板2300は液晶表示パネル10を構成する透明基板12に粘着剤により粘着する。
図35は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、液晶表示パネルの液晶層の配向軸や、偏光状態切り替え手段の液晶層の配向軸などの光学軸の関係を説明するための図である。
図35に示す通り、便宜上、画面右側方向の方位角を0°とし、反時計回りに角度を定義すると、第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aは45°とし、偏光状態切り替え手段1300の液晶層の第1の偏光板側の配向軸1300OAは225°とし、偏光状態切り替え手段1300の液晶層の第2の偏光板側の配向軸1300LAと、第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸2100Aは135°とする。
また、液晶表示パネル10の液晶層16の第2の偏光板側の配向軸16OAは45°とし、液晶表示パネル10の液晶層16の第3の偏光板側の配向軸16LAは315°とし、第3の偏光板の吸収軸2300Aは45°とする。
この場合、照明装置20から出射し、液晶表示パネル10を構成する第3の偏光板2300を透過した光は、液晶層16を通過して第2の偏光板2100に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を液晶層16に印加することで液晶層16を通過する光の偏光状態を制御し、第2の偏光板2100を透過する光の量を調整することで所望の映像光を形成することができる。
第2の偏光板2100を透過する映像光は視野角制御素子36を構成する偏光状態切り替え手段を通過し、第1の偏光板2000に入射する。
偏光状態切り替え手段の液晶層160に駆動電圧が印加されていない場合、第2の偏光板2100を透過し、偏光状態切り替え手段に入射する光は液晶層160を通過する際、その大部分の光の偏光面が90°回転し、第1の偏光板2000を透過するため広い視野角範囲にわたって高い透過率となる。
一方、偏光状態切り替え手段の液晶層160に駆動電圧を印加すると第2の偏光板2100を透過し、偏光状態切り替え手段に入射する光のうち、液晶層160の実効的な位相差が0、あるいは0に近くなる所定の方位角及び極角方向に進む光は第1の偏光板2000に吸収される。
つまり、液晶層160に駆動電圧を印加しない場合は広い視野角が得られ、液晶層に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において映像光を暗くできる表示装置が実現できる。
本実施例の表示装置では画面上方向において、映像光の明るさを制御できる表示装置が実現できる。このような視野角特性は車載用のモニターに適用する場合に必要に応じて自動車のフロントグラスへの画像光の映りこみを防止するのに効果がある。
また、視野角制御素子36の液晶層16の光学軸を変えることで画面の右方向に相当する方位角において、所定の極角方向から観察すると映像の明るさが切り替えられる表示装置が実現できる。例えば図36に示す通り、画面右側方向の方位角を0°とし、反時計回りに角度を定義すると、第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aは45°とし、偏光状態切り替え手段1300の液晶層の第1の偏光板側の配向軸1300OAは135°とし、偏光状態切り替え手段1300の液晶層の第2の偏光板側の配向軸1300LAは45°とし、第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸2100Aは135°とする。また、液晶表示パネル10の液晶層16の第2の偏光板側の配向軸16OAは45°とし、液晶表示パネル10の液晶層16の第3の偏光板側の配向軸16LAは315°とし、第3の偏光板の吸収軸2300Aは45°とする。
この場合、画面を右斜め方向から観察する際、明るい映像を観察できる状態と、映像が暗くなり十分な視認性が得られない状態を任意に切り替えられる表示装置が実現できる。
このような視野角特性を車載用のモニターに適用する場合、例えば右ハンドルの自動車であれば、自動車の走行状態に応じて、運転者側の視認性を切り替えることができるようになる。例えば、自動車が停車中は運転席からも助手席からも画面が観察できるが、自動車が走行中は助手席からは停車中と何ら変わりなく映像が観察できるが、運転席からは映像が十分に見えない状態とすることができる。
つまり、車載用のモニターにTVやDVDなどの映像を表示している場合は運転者以外の観察者からは通常とおりに映像をみることができるが、運転者には見えなくすることで運転者の集中力を高め安全な運転を促すことができる。
尚、本実施例の表示装置では視野角制御素子を構成する偏光板と液晶表示パネルを構成する偏光板とを一つの偏光板で兼用している。この場合、視野角制御素子で有効に利用される光と液晶表示パネルで有効に利用される光は同じ直線偏光であり、光の損失の原因となる偏光層の数は減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
また、本実施例の表示装置では視野角制御素子36を液晶表示パネルの表側に配置している。この場合、液晶表示パネルとして半透過反射型を適用する場合、透過表示モードだけでなく、反射表示モードにおいても視野角を切り替えることができる表示装置が実現できる。
また、本実施例の表示装置では視野角制御素子36を液晶表示パネル10の表側に配置する場合を述べたが本発明はこれに限定されるものではない。つまり、視野角制御素子36を液晶表示パネル10と照明装置20の間に配置するようにしてよい。
次に本発明の表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。図37は本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は(実施例9)で説明した表示装置の表面側にさらに視野角制御素子を追加するものである。つまり、本実施例の表示装置1は液晶表示パネル10と、その背面に配置する照明装置20と、液晶表示パネル10の表面側に配置する視野角制御素子36とさらにその表面側に配置する視野角制御素子37から構成されるものであり、上記実施例と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
この表示装置は照明装置20側から順に、液晶表示パネル10と視野角制御素子36と視野角制御素子37を配置するものである。
視野角制御素子37は視野角制御素子36と基本的な構造は同じである。つまり、透明電極と配向膜が形成された2枚の透明基板52,53とこれら透明基板の間に封入された液晶層170と、透明基板52の表面側と透明基板53の裏面側に配置する偏光板とから構成される。尚、視野角制御素子37を構成する液晶層170の配向軸とその表面側に配置する偏光板2400の偏光層の吸収軸は視野角制御素子36と異なる。
また、本実施例では視野角制御素子36を構成する第2の偏光板2100は液晶表示パネル10の表面側に配置する偏光板と兼用するものであり、視野角制御素子36を構成する第1の偏光板2000は視野角制御素子37の裏面側に配置する偏光板と兼用するものである。
ここでは、第1の偏光板2000は視野角制御素子36を構成する透明基板50に粘着剤により粘着し、第2の偏光板2100は液晶表示パネル10を構成する透明基板11に粘着剤により粘着する。また、第3の偏光板2300は液晶表示パネル10を構成する透明基板12に粘着剤により粘着し、偏光板2400は視野角制御素子37を構成する透明基板52に粘着剤により粘着するが本発明は偏光板を粘着する透明基板を限定するものではない。
図38は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、液晶表示パネルの液晶層の配向軸や、視野角制御素子の液晶層の配向軸などの光学軸の関係を説明するための図である。
図38に示す通り、本実施例の表示装置は液晶表示パネル10と視野角制御素子36の偏光板の吸収軸と液晶層の配向軸については図36を参照して説明した上記実施例と同じとする。また、視野角制御素子37の液晶層170の第1の偏光板2000側の配向軸170LAは225°とし、偏光板2400側の配向軸170OAは315°とする。また、偏光板2400の偏光層の吸収軸2400Aは135°する。
尚、図38では視野角制御素子36の液晶層の配向軸の符号の表記が図36と異なり、第1の偏光板2000側の液晶層160の配向軸を160OAと表記し、第2の偏光板2001側の液晶層160の配向軸160LAと表記している。これらはそれぞれ図36において、視野角制御素子36を構成する偏光状態切り替え手段1300の液晶層の第1の偏光板側の配向軸1300OAと、第2の偏光板側の配向軸1300LAと表記したものと同じものを示す。
この場合、照明装置20から出射し、液晶表示パネル10を構成する第3の偏光板2300を透過した光は、液晶層16を通過して第2の偏光板2100に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を液晶層16に印加することで液晶層16を通過する光の偏光状態を制御し、第2の偏光板2100を透過する光の量を調整することで所望の映像光を形成することができる。
第2の偏光板2100を透過する光は視野角制御素子36を構成する液晶層160を通過し、第1の偏光板2000に入射する。
視野角制御素子36の液晶層160に駆動電圧が印加されていない場合、第2の偏光板2100を透過し、液晶層160を通過する光はその大部分が偏光面が90°回転し、第1の偏光板2000を透過するため広い視野角範囲にわたって高い透過率となる。
一方、視野角制御素子36の液晶層160に駆動電圧を印加すると第2の偏光板2100を透過し、液晶層160を通過する光のうち、液晶層160の実効的な位相差が0、あるいは0に近くなる所定の方位角及び極角方向に進む光は第1の偏光板2000に吸収される。
つまり、液晶層160に駆動電圧を印加しない場合は広い視野角が得られ、液晶層に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において映像光が暗くなる。本実施例では視野角制御素子36によりで画面の右方向に相当する方位角において、所定の極角方向から観察すると映像の明るさが切り替えられる表示装置が実現できる。
次に第1の偏光板2000を透過する光は視野角制御素子37を構成する液晶層170を通過し、偏光板2400に入射する。視野角制御素子37の液晶層170に駆動電圧が印加されていない場合、第1の偏光板2000を透過し、液晶層170を通過する光の大部分は偏光面が90°回転し、偏光板2400を透過するため広い視野角範囲にわたって高い透過率となる。
一方、視野角制御素子37の液晶層170に駆動電圧を印加すると第1の偏光板2000を透過し、液晶層170を通過する光のうち、液晶層170の実効的な位相差が0、あるいは0に近くなる所定の方位角及び極角方向に進む光は偏光板2400に吸収される。
つまり、液晶層170に駆動電圧を印加しない場合は広い視野角が得られ、液晶層170に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において映像光が暗くなる。本実施例では視野角制御素子37によりで画面の左方向に相当する方位角において、所定の極角方向から観察すると映像の明るさが切り替えられる表示装置が実現できる。
このように本実施例の表示装置では画面の右方向または左方向、或いは右方向及び左方向に相当する方位角において所定の極角方向から観察すると映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。
つまり、視野角制御素子36のみを駆動すると画面の右方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。また、視野角制御素子37のみを駆動すると画面の左方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。さらに、視野角制御素子36及び視野角制御素子37を同時に駆動すると画面の右方向及び左方向に相当する方位角において所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。
このように本実施例の表示装置では画面の左右方向において、斜めから観察する場合に映像の明るさを暗くして視認性を悪くすることができる。このような視野角特性は、携帯電話やノートPC,PDAなどの携帯機器や、ATMなどの公共用機器の表示装置に適用する場合に横方向からの覗き込み防止に効果がある。
特に本実施例の表示装置では、所定の極角方向の映像の明るさを画面の左方向と右方向とでそれぞれ独立して制御できる。このため、例えば自分の左側の人に対しては画面を明るい状態とすることで視認性を向上していっしょに観察できるが、右方向からは覗き見されないようにするといったことができるようになる。
尚、本実施例の表示装置では視野角制御素子を構成する偏光板や液晶表示パネルを構成する偏光板を一つの偏光板で兼用している。この場合、視野角制御素子で有効に利用される光と液晶表示パネルで有効に利用される光は同じ直線偏光であり、光の損失の原因となる偏光層の数は減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
また、本実施例の表示装置では視野角制御素子36と視野角制御素子37を液晶表示パネル10の表側に配置している。この場合、液晶表示パネル10として半透過反射型の表示パネルを適用する場合に透過表示モードだけでなく、反射表示モードにおいても視野角を切り替えることができる表示装置が実現できる。
次に本発明の表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。図39は本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は(実施例10)で説明した表示装置において、視野角制御素子37を構成する透明基板53と、第1の偏光板2000との間に新たに反射型偏光板3200を配置するものであり、上記実施例と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
反射型偏光板としては、互いに直交する直線偏光成分を反射と透過で分離できるものを用いる。
このような反射型偏光板としては例えば特許文献4に開示されている異なる複屈折性を有する高分子フィルムを複数層積層した複屈折反射型偏光フィルム、もしくはコレステリック液晶フィルムの表と裏に位相差フィルムを配置したもの、もしくは屈折率の異なる誘電体を積層した誘電体多層膜、もしくは金属ワイヤーグリッドによる偏光フィルタを用いることができる。
複屈折反射型偏光フィルムの場合、これに入射する光のうち所定の直線偏光成分は透過し、これと偏光軸が直交する直線偏光成分は反射するフィルムが3M社(米国)からDBEFという商品名で製品化されており、これを反射型偏光板として使用することが可能である。
金属ワイヤーグリッドによる偏光フィルタは透明基材上に千数百オングストロームのピッチで、銀,アルミニウム,クロムなどの導電性の金属線状パターンを形成するもので、透明基材を平板とすれば平板タイプの反射型偏光板を実現できる。
ここでは、反射型偏光板3200はは視野角制御素子37を構成する透明基板53に粘着剤により粘着するが本発明は偏光板を粘着する透明基板を限定するものではない。
図40は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、反射型偏光板の反射軸や、液晶表示パネルの液晶層の配向軸や、偏光状態切り替え手段の液晶層の配向軸などの光学軸の関係を説明するための図である。
図40に示す通り、本実施例の表示装置は液晶表示パネル10と視野角制御素子36と視野角制御素子37の偏光板の吸収軸と液晶層の配向軸については図38を参照して説明した上記実施例と同じとする。また、反射型偏光板3200の反射軸は45°とする。
この場合も上記実施例と同様、画面の右方向または左方向、或いは右方向及び左方向に相当する方位角において所定の極角方向から観察すると映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。
つまり、視野角制御素子36のみを駆動すると画面の右方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。また、視野角制御素子37のみを駆動すると画面の左方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。さらに、視野角制御素子36及び視野角制御素子37を同時に駆動すると画面の右方向及び左方向に相当する方位角において所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。
特に本実施例の表示装置では、視野角制御素子37の液晶層170に3V以上より望ましくは5V以上の電圧を印加する場合、外部からの光が反射型偏光板3200で反射して鏡のような状態を実現することができる。
つまり、広い視野角を実現する状態と、所定の方位角及び極角方向において画面が暗くなり視認性を悪くする状態と、鏡のような状態とを切り替えることができる表示装置を実現することができる。
尚、画面を鏡のような状態にする場合には、照明装置20は消灯し、液晶表示パネル10に映像を表示しないようにすることが望ましい。これは、画面を鏡のような状態にしているときに照明装置20や液晶表示パネル10で不要な電力を消費することを防止することで表示装置の消費電力を下げるためである。
尚、本実施例の表示装置において第1の偏光板2000は省略することが可能である。この場合、光の損失の原因となる偏光層の数が減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
ただし、現状では一般に反射型偏光板3200の偏光度は低い。このため、第1の偏光板2000を省いた場合、視野角制御素子36によって明るさを制御する所定の方位角及び極角方向において実現される透過率の最低値は第1の偏光板2000を備える場合より高くなることが懸念される。
このため第1の偏光板2000の要否は要求特性に応じて選択すればよいだろう。
次に本発明の表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。図41は本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は(実施例10)で説明した表示装置において、視野角制御素子36,37と液晶表示パネル10の位置関係を変更するものであり、上記実施例と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
この表示装置は照明装置20側から順に、視野角制御素子37と視野角制御素子36と液晶表示パネル10とを配置するものである。
視野角制御素子37の裏面側には偏光板2400を配置し、視野角制御素子36を構成する第2の偏光板2100は視野角制御素子37の表面側の偏光板と兼用する。また、視野角制御素子36を構成する第1の偏光板2000は液晶表示パネル10の裏面側に配置する偏光板と兼用し、液晶表示パネル10の表面側には第3の偏光板2300を配置する。
ここでは、第1の偏光板2000は液晶表示パネル10を構成する透明基板12に粘着剤により粘着し、第2の偏光板2100は視野角制御素子36を構成する透明基板51に粘着剤により粘着する。また、第3の偏光板2300は液晶表示パネル10を構成する透明基板11に粘着剤により粘着し、偏光板2400は視野角制御素子37を構成する透明基板53に粘着剤により粘着するが本発明は偏光板を粘着する透明基板を限定するものではない。
図42は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、液晶表示パネルの液晶層の配向軸や、視野角制御素子の液晶層の配向軸などの光学軸の関係を説明するための図である。
図42に示す通り、本実施例の表示装置では偏光板2400の偏光層の吸収軸2400Aは45°とし、視野角制御素子37の液晶層170の偏光板2400側の配向軸170LAは225°とし、第2の偏光板2100側の配向軸170OAは315°とする。また、第2の偏光板2100の偏光層の吸収軸2100Aは135°とし、視野角制御素子36の液晶層160の第2の偏光板2100側の配向軸160LAは45°とし、第1の偏光板2000側の配向軸160OAは135°とする。また、第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aは45°とし、液晶表示パネル10の液晶層16の第1の偏光板2000側の配向軸16LAは315°とし、液晶表示パネル10の液晶層16の第3の偏光板2300側の配向軸16OAは45°とし、第3の偏光板2300の偏光層の吸収軸2300Aは135°とする。
この場合、照明装置20から出射し、視角制御素子37を構成する偏光板2400を透過する光は液晶層170を通過して、第2の偏光板2100に入射する。視野角制御素子37の液晶層170に駆動電圧が印加されていない場合、偏光板2400を透過し、液晶層170を通過する光の大部分は偏光面が90°回転し、第2の偏光板2100を透過するため広い視野角範囲にわたって高い透過率となる。
一方、視野角制御素子37の液晶層170に駆動電圧を印加すると偏光板2400を透過し、液晶層170を通過する光のうち、液晶層170の実効的な位相差が0、あるいは0に近くなる所定の方位角及び極角方向に進む光は第2の偏光板2100に吸収される。
つまり、液晶層170に駆動電圧を印加しない場合は広い視野角範囲において明るい照明光が得られ、液晶層170に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において照明装置20からの照明光が暗くなる。本実施例では視野角制御素子37によりで画面の左方向に相当する方位角であって所定の極角方向に向う照明光の明るさを切り替えられることになる。
次に第2の偏光板2100を透過する光は視野角制御素子36を構成する液晶層160を通過し、第1の偏光板2000に入射する。
視野角制御素子36の液晶層160に駆動電圧が印加されていない場合、第2の偏光板2100を透過し、液晶層160を通過する光はその大部分が偏光面が90°回転し、第1の偏光板2000を透過するため広い視野角範囲にわたって高い透過率となる。
一方、視野角制御素子36の液晶層160に駆動電圧を印加すると第2の偏光板2100を透過し、液晶層160を通過する光のうち、液晶層160の実効的な位相差が0、あるいは0に近くなる所定の方位角及び極角方向に進む光は第1の偏光板2000に吸収される。
つまり、液晶層160に駆動電圧を印加しない場合は広い視野角範囲において明るい照明光が得られ、液晶層160に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において照明装置20からの照明光が暗くなる。本実施例では視野角制御素子36によりで画面の右方向に相当する方位角であって所定の極角方向に向う照明光の明るさを切り替えられることになる。
第1の偏光板2000を透過する光は液晶表示パネル10を構成する液晶層16を通過して第3の偏光板2300に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を液晶層16に印加することで液晶層16を通過する光の偏光状態を制御し、第3の偏光板2300を透過する光の量を調整することで所望の映像光を形成することができる。
従って、視野角制御素子36のみを駆動すると画面の右方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。また、視野角制御素子37のみを駆動すると画面の左方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。さらに、視野角制御素子36及び視野角制御素子37を同時に駆動すると画面の右方向及び左方向に相当する方位角において所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。
このように本実施例の表示装置では画面の左右方向において、斜めから観察する場合に映像の明るさを暗くして視認性を悪くすることができる。このような視野角特性は、携帯電話やノートPC,PDAなどの携帯機器や、ATMなどの公共用機器の表示装置に適用する場合に横方向からの覗き込み防止に効果がある。
特に本実施例の表示装置では、所定の極角方向の映像の明るさを画面の左方向と右方向とでそれぞれ独立して制御できる。このため、例えば自分の左側の人に対しては画面を明るい状態とすることで視認性を向上していっしょに観察できるが、右方向からは覗き見されないようにするといったことができるようになる。
尚、本実施例の表示装置では視野角制御素子を構成する偏光板や液晶表示パネルを構成する偏光板を一つの偏光板で兼用している。この場合、視野角制御素子で有効に利用される光と液晶表示パネルで有効に利用される光は同じ直線偏光であり、光の損失の原因となる偏光層の数は減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
また、本実施例の表示装置では視野角制御素子36と視野角制御素子37を液晶表示パネル10の裏面側に配置している。この場合、液晶表示パネル10として半透過反射型の表示パネルを適用する場合は、液晶表示パネルの表面側に光を損失する部材が存在しないため反射表示モードにおいてより明るい表示が得られるようになる。また、表示装置の最表面に液晶表示パネル10を配置することで映像が表示される位置の奥行きがより小さな表示装置が実現できる。
次に本発明の表示装置の他の実施例を図面を参照しながら説明する。図43は本発明の表示装置の一実施例の概略構成を示す一部断面図である。
この表示装置は(実施例10)で説明した表示装置において、視野角制御素子36,37と液晶表示パネル10の位置関係を変更するものであり、上記実施例と同じ機能を果たす部材には同じ符号を付け、詳細な説明は省略する。
この表示装置は照明装置20側から順に、視野角制御素子37と液晶表示パネル10と視野角制御素子36とを配置するものである。
視野角制御素子37の裏面側には偏光板2400を配置し、液晶表示パネル10を構成する第3の偏光板2300は視野角制御素子37の表面側の偏光板と兼用する。また、視野角制御素子36を構成する第2の偏光板2100は液晶表示パネル10の表面側に配置する偏光板と兼用し、視野角制御素子36の表面側には第1の偏光板2000を配置する。
ここでは、第1の偏光板2000は視野角制御素子36を構成する透明基板50に粘着剤により粘着し、第2の偏光板2100は液晶表示パネル10を構成する透明基板11に粘着剤により粘着する。また、第3の偏光板2300は液晶表示パネル10を構成する透明基板12に粘着剤により粘着し、偏光板2400は視野角制御素子37を構成する透明基板53に粘着剤により粘着するが本発明は偏光板を粘着する透明基板を限定するものではない。
図44は本実施例の表示装置に係る偏光板の吸収軸や、液晶表示パネルの液晶層の配向軸や、視野角制御素子の液晶層の配向軸などの光学軸の関係を説明するための図である。
図44に示す通り、本実施例の表示装置では偏光板2400の偏光層の吸収軸2400Aは135°とし、視野角制御素子37の液晶層170の偏光板2400側の配向軸170LA は225°とし、第3の偏光板2300側の配向軸170OAは315°とする。また、第3の偏光板2300の偏光層の吸収軸2300Aは45°とし、液晶表示パネル10の液晶層16の第3の偏光板2300側の配向軸16LAは315°とし、液晶表示パネル10の液晶層16の第2の偏光板2100側の配向軸16OAは45°とする。視野角制御素子36の液晶層160の第2の偏光板2100側の配向軸160LAは45°とし、第1の偏光板2000側の配向軸160OAは135°とする。また、第1の偏光板2000の偏光層の吸収軸2000Aは45°とする。
この場合、照明装置20から出射し、視角制御素子37を構成する偏光板2400を透過する光は液晶層170を通過して、第2の偏光板2100に入射する。視野角制御素子37の液晶層170に駆動電圧が印加されていない場合、偏光板2400を透過し、液晶層170を通過する光の大部分は偏光面が90°回転し、第3の偏光板2300を透過するため広い視野角範囲にわたって高い透過率となる。
一方、視野角制御素子37の液晶層170に駆動電圧を印加すると偏光板2400を透過し、液晶層170を通過する光のうち、液晶層170の実効的な位相差が0、あるいは0に近くなる所定の方位角及び極角方向に進む光は第3の偏光板2300に吸収される。
つまり、液晶層170に駆動電圧を印加しない場合は広い視野角範囲において明るい照明光が得られ、液晶層170に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において照明装置20からの照明光が暗くなる。本実施例では視野角制御素子37によりで画面の左方向に相当する方位角であって所定の極角方向に向う照明光の明るさを切り替えられることになる。
第3の偏光板2300を透過する光は液晶表示パネル10を構成する液晶層16を通過して第2の偏光板2100に入射する。この際、映像情報発生部(不図示)から伝えられる映像情報に対応した電圧を液晶層16に印加することで液晶層16を通過する光の偏光状態を制御し、第2の偏光板2100を透過する光の量を調整することで所望の映像光を形成することができる。
次に第2の偏光板2100を透過する光は視野角制御素子36を構成する液晶層160を通過し、第1の偏光板2000に入射する。
視野角制御素子36の液晶層160に駆動電圧が印加されていない場合、第2の偏光板2100を透過し、液晶層160を通過する光はその大部分が偏光面が90°回転し、第1の偏光板2000を透過するため広い視野角範囲にわたって高い透過率となる。
一方、視野角制御素子36の液晶層160に駆動電圧を印加すると第2の偏光板2100を透過し、液晶層160を通過する光のうち、液晶層160の実効的な位相差が0、あるいは0に近くなる所定の方位角及び極角方向に進む光は第1の偏光板2000に吸収される。
つまり、液晶層160に駆動電圧を印加しない場合は広い視野角範囲において明るい映像が得られ、液晶層160に駆動電圧を印加する場合は所定の方位角及び極角方向において映像が暗くなる。本実施例では視野角制御素子36によりで画面の右方向に相当する方位角であって所定の極角方向における映像の明るさを切り替えられることになる。
従って、視野角制御素子36のみを駆動すると画面の右方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。また、視野角制御素子37のみを駆動すると画面の左方向に相当する方位角においてのみ所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。さらに、視野角制御素子36及び視野角制御素子37を同時に駆動すると画面の右方向及び左方向に相当する方位角において所定の極角方向の映像の明るさを切り替えられる表示装置が実現できる。
このように本実施例の表示装置では画面の左右方向において、斜めから観察する場合に映像の明るさを暗くして視認性を悪くすることができる。このような視野角特性は、携帯電話やノートPC,PDAなどの携帯機器や、ATMなどの公共用機器の表示装置に適用する場合に横方向からの覗き込み防止に効果がある。
本実施例の表示装置においても、所定の極角方向の映像の明るさを画面の左方向と右方向とでそれぞれ独立して制御できる。このため、例えば自分の左側の人に対しては画面を明るい状態とすることで視認性を向上していっしょに観察できるが、右方向からは覗き見されないようにするといったことができるようになる。
尚、本実施例の表示装置では視野角制御素子を構成する偏光板や液晶表示パネルを構成する偏光板を一つの偏光板で兼用している。この場合、視野角制御素子で有効に利用される光と液晶表示パネルで有効に利用される光は同じ直線偏光であり、光の損失の原因となる偏光層の数は減るため、より明るい表示の表示装置を実現できる。或いは同じ明るさの表示であればより低電力な表示装置が実現できる。
尚、上記実施例ではポリビニルアルコールを基材とする偏光層を保護フィルムで挟んだ構成の偏光板を使用する場合を説明したが、塗布型の偏光層を用いることで、保護フィルムを省くようにしてもよい。
また、各部材において空気と接する界面に反射防止膜による反射防止処理を行うようにしてもよい。
また、本発明の表示装置では、最表面に反射型偏光板を配置するようにしてもよい。この際、反射型偏光板の反射軸は表示装置を構成する偏光板のうち、もっとも表面側に配置する偏光板の偏光層の吸収軸と平行になるように配置する。
この場合、照明装置を点灯し、液晶表示パネルを駆動すると反射型偏光板を通して映像を見ることができる。一方、照明装置を消灯すると外光が反射型偏光板で反射するため、画面が鏡のような状態となる。
また、視野角制限素子、あるいは視野角制御素子により、斜め方向へ出射する映像光を制限する場合には反射型偏光板による外光の反射によって、より映像の視認性が悪くなり、高い覗き見防止効果が得られるようになる。