JP2010209027A - 水中での脱水縮合によるエステル製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硫酸を用いる水中でのエステル化反応を効率よく進行させる。
【解決手段】フラスコに4−フェニル酪酸(4.4mmol)、ブレンステッド酸としての硫酸(0.20mmol)及び有機塩基としてのN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン(0.20mmol)を加え、80℃にて30分間攪拌した。この混合物に1−ドデカノール(4.0mmol)及び水(2mL)を加え、60℃にて激しく攪拌した。反応混合物を室温まで放冷した後、1H NMR(CDCl3)で解析することにより収率を算出したところ、85%であった。
【選択図】なし
【解決手段】フラスコに4−フェニル酪酸(4.4mmol)、ブレンステッド酸としての硫酸(0.20mmol)及び有機塩基としてのN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン(0.20mmol)を加え、80℃にて30分間攪拌した。この混合物に1−ドデカノール(4.0mmol)及び水(2mL)を加え、60℃にて激しく攪拌した。反応混合物を室温まで放冷した後、1H NMR(CDCl3)で解析することにより収率を算出したところ、85%であった。
【選択図】なし
Description
本発明は、水中での脱水縮合によるエステル製造方法に関する。
エステル化反応は有機合成の最も基本的かつ重要な反応の一つであり、これまでに膨大な報告例がある。近年、本発明者らは、特許文献1に示すように、ヘプタンなどの非極性溶媒中、嵩高いジアリールアミンとペンタフルオロベンゼンスルホン酸とのアンモニウム塩を触媒として用いることにより、脱水操作をしなくても高収率でエステル縮合を製造する方法を確立している。この方法では、嵩高いジアリールアミンとして、ジメシチルアミンや2,6−ジイソプロピルフェニルメシチルアミンなどを用いている。
しかしながら、特許文献1の方法では、高い反応性を実現するためには、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸のような比較的高価な酸を使用したり、ヘプタンのような非極性溶媒を使用したりする必要があった。これに対して、硫酸はペンタフルオロベンゼンスルホン酸などに比べて安価な酸であり、水中でのエステル化反応は非極性溶媒中でのエステル化反応に比べて溶媒のコストがかからず廃液処理の負荷も軽減されることから、硫酸を用いる水中での脱水縮合によるエステル化反応は工業的にみて意義が高い。このため、硫酸を用いる水中でのエステル化反応を効率よく進行させることが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、硫酸を用いる水中でのエステル化反応を効率よく進行させることを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、水中で特定の有機塩基と硫酸の存在下で、カルボン酸とアルコールとを脱水縮合したところ、高収率でエステル化合物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のエステル製造方法は、水中で以下の(1)〜(3)から選ばれた1種以上の有機塩基と硫酸の存在下で、カルボン酸と1級又は2級アルコールとを脱水縮合してエステル化合物を製造するものである。
(1)2級アミンAr1Ar2NH(Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基であって少なくとも片方のオルト位に分岐アルキル基、置換基を有する分岐アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するシクロアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基を持つものである)
(2)3級アミンAr1Ar2Ar3N(Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基であるが、Ar1,Ar2,Ar3がすべてパラ位にアルキル基を有している場合を除く)
(3)3級アミンRAr1Ar2N(Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有するシクロアルキル基であり、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基である)
(1)2級アミンAr1Ar2NH(Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基であって少なくとも片方のオルト位に分岐アルキル基、置換基を有する分岐アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するシクロアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基を持つものである)
(2)3級アミンAr1Ar2Ar3N(Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基であるが、Ar1,Ar2,Ar3がすべてパラ位にアルキル基を有している場合を除く)
(3)3級アミンRAr1Ar2N(Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有するシクロアルキル基であり、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基である)
本発明のエステル製造方法によれば、硫酸を触媒として用いるため、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸などを用いる場合に比べてエステル化合物を安価に製造することができる。また、水中でエステル化合物を製造するため、非極性溶媒中でエステルを製造する場合に比べて溶媒のコストがかからず廃液処理の負荷も軽減される。なお、本発明の反応機構は定かではないが、硫酸が相互作用によって多数集合してクラスターを形成し、その硫酸のクラスターの周りを有機塩基が取り囲んで反応場を形成している可能性がある。
本発明のエステル製造方法において、有機塩基としては、以下の(1)〜(3)から選ばれた1種以上を用いることができる。
(1)2級アミンAr1Ar2NH
Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基であって少なくとも片方のオルト位に分岐アルキル基、置換基を有する分岐アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するシクロアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基を持つものである。ここで、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基などが挙げられる。分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチル−1−ブチル基、sec−アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ネオペンチル基、3−ペンチル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。また、分岐アルキル基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。なお、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。シクロアルキル基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。アリール基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。アルキル基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。
Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基であって少なくとも片方のオルト位に分岐アルキル基、置換基を有する分岐アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するシクロアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基を持つものである。ここで、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基などが挙げられる。分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−メチル−1−ブチル基、sec−アミル基、イソアミル基、tert−アミル基、ネオペンチル基、3−ペンチル基などが挙げられる。シクロアルキル基としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などが挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。また、分岐アルキル基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。なお、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。シクロアルキル基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。アリール基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。アルキル基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。
こうした2級アミンAr1Ar2NHの構造式の一例を以下に示す。なお、Ar1としての2−(1,1’−ビナフチル)基は、オルト位にナフチル基を有するナフチル基とみることができるから、オルト位に置換基を有するナフチル基の一例とみなすものとする。ここで、2級アミンAr1Ar2NHとしては、入手しやすいさとエステル化合物の収率の良さを考慮すると、Arが両方のオルト位に分岐アルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基を持つフェニル基であり、Ar2が両方のオルト位にアルキル基を持つフェニル基であることが好ましい。なお、両方のオルト位にアルキル基を持つフェニル基は、その他の位置に置換基を有していてもよい。
(2)3級アミンAr1Ar2Ar3N
Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基であるが、Ar1,Ar2,Ar3がすべてパラ位にアルキル基を有している場合を除く。Ar1,Ar2,Ar3がすべてパラ位にアルキル基を有している場合を除くとしたのは、その場合にはエステル化合物の収率を向上させる効果が得られないからである。ここで、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基などが挙げられる。アリール基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。なお、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例は既述したとおりである。こうした3級アミンAr1Ar2Ar3Nの構造式の一例を以下に示す。ここで、3級アミンAr1Ar2Ar3Nとしては、入手しやすさとエステル化合物の収率の良さを考慮すると、Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してフェニル基又はフルオロ基を有するフェニル基であることが好ましい。
Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基であるが、Ar1,Ar2,Ar3がすべてパラ位にアルキル基を有している場合を除く。Ar1,Ar2,Ar3がすべてパラ位にアルキル基を有している場合を除くとしたのは、その場合にはエステル化合物の収率を向上させる効果が得られないからである。ここで、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基などが挙げられる。アリール基が置換基を有している場合、その置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、エステル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基などが挙げられる。なお、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基の具体例は既述したとおりである。こうした3級アミンAr1Ar2Ar3Nの構造式の一例を以下に示す。ここで、3級アミンAr1Ar2Ar3Nとしては、入手しやすさとエステル化合物の収率の良さを考慮すると、Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してフェニル基又はフルオロ基を有するフェニル基であることが好ましい。
(3)3級アミンRAr1Ar2N
Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有するシクロアルキル基であり、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基である。ここで、アルキル基やシクロアルキル基の具体例は既述したとおりである。また、アルキル基やシクロアルキル基が置換基を有している場合、その置換基の具体例も既述したとおりである。こうした3級アミンRAr1Ar2Nの構造式の一例を以下に示す。ここで、3級アミンRAr1Ar2Nとしては、入手しやすさとエステル化合物の収率の良さを考慮すると、Rは炭素数8〜20のアルキル基、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してフェニル基又は1つ以上フルオロ基を有するフェニル基であることが好ましい。
Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有するシクロアルキル基であり、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基である。ここで、アルキル基やシクロアルキル基の具体例は既述したとおりである。また、アルキル基やシクロアルキル基が置換基を有している場合、その置換基の具体例も既述したとおりである。こうした3級アミンRAr1Ar2Nの構造式の一例を以下に示す。ここで、3級アミンRAr1Ar2Nとしては、入手しやすさとエステル化合物の収率の良さを考慮すると、Rは炭素数8〜20のアルキル基、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してフェニル基又は1つ以上フルオロ基を有するフェニル基であることが好ましい。
本発明のエステル製造方法において、カルボン酸とアルコールの使用量は、カルボキシ基とヒドロキシ基とが1:1になるようにしてもよいし、いずれか一方が過剰になるようにしてもよい。
本発明のエステル製造方法において、硫酸の使用量は、特に限定するものではないが、カルボン酸及びアルコールの使用量のうち少ない方を基準として1mol%〜20mol%とするのが好ましい。1mol%未満だとエステル化が進行しにくくなるため好ましくなく、20mol%を超えてもエステル化の反応速度が大きく変わらないため経済的見地から好ましくない。なお、硫酸の使用量は、2mol%〜10mol%とするのがより好ましい。また、有機塩基の使用量は、特に限定するものではないが、硫酸に対して0.1〜2倍molとするのが好ましい。硫酸に対して0.1倍未満だとエステル化が進行しにくくなるため好ましくなく、2倍molを超えてもエステル化の反応速度はほとんど変わらないため経済的見地から好ましくない。なお、有機塩基の使用量は、0.25〜2倍molとするのがより好ましい。
本発明のエステル製造方法において、アルコールは炭素数7以上の1級又は2級アルコールを用いることが好ましい。これらのアルコールは疎水性を示すため、エステル化反応が進行しやすい。こうした1級アルコールとしては、例えば、カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの飽和アルコール;オレイルアルコール、リノリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなどの不飽和アルコールなどが挙げられる。また、2級アルコールとしては、5−ノナノール、6−ウンデカノールなどの脂肪族飽和アルコール;シクロドデカノール、2−アダマンタノールなどの脂環式アルコールなどが挙げられる。一方、酸に不安定なアリルアルコール類、例えばゲラニオールやシンナミルアルコールなどのエステル化反応では、これらの二量化が進行してエーテルが生成しやすいが、本発明のエステル製造方法によれば、こうしたエーテルの生成を十分抑えることもできる。
本発明のエステル製造方法において、カルボン酸は疎水性であることが好ましい。カルボン酸が疎水性の方がエステル化反応が進行しやすいからである。このようなカルボン酸としては、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸などの飽和脂肪酸、オレイン酸などの不飽和脂肪酸及びこれらにフェニル基のような置換基が結合したものなどが挙げられる。また、シクロペンタンカルボン酸やシクロヘキサンカルボン酸などの脂環式カルボン酸などを用いてもよいし、フタル酸、テレフタル酸などのように1分子中に複数のカルボキシ基を有するカルボン酸を用いてもよい。また、疎水性のカルボン酸と親水性のカルボン酸との混合物を用いてもよい。この場合、疎水性のカルボン酸のエステル化が選択的に進行する。
本発明のエステル製造方法において、反応温度は反応速度や副生成物の比率などを考慮して適宜設定すればよいが、例えば20〜100℃の範囲で設定するのが好ましく、40〜80℃の範囲で設定するのがより好ましい。
本発明のエステル製造方法において、反応時間は、反応基質、反応温度などに応じて適宜設定すればよいが、通常は数分〜数10時間である。なお、エステル化反応はカルボン酸及びアルコールのうち使用量の少ない方が完全に消費されるまで行ってもよいが、反応が進むにつれて反応速度が極端に遅くなる場合には完全に消費されなくても反応を終了してエステル化合物を取り出した方が好ましい場合もある。
本発明のエステル製造方法において、目的とするエステル化合物を単離するには、通常知られている単離手法を適用すればよい。例えば、反応混合物に炭酸水素ナトリウム水溶液などの塩基性水溶液を加えて硫酸を中和すれば、目的とするエステル化合物が水と分離するため、そのエステル化合物を容易に単離することができる。得られたエステル化合物は、必要に応じて、カラムクロマトグラムなどで精製することができる。
[実施例1]
1級アルコールである1−ドデカノールと4−フェニル酪酸とを脱水縮合することによりエステル化合物を製造した。なお、以下のカッコ内の当量やmol%は、1−ドデカノールを基準にして算出した値である。まず、10mLのフラスコに4−フェニル酪酸(4.4mmol,1.1当量)、ブレンステッド酸としての硫酸(0.20mmol,5mol%)及び有機塩基としてのN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン(0.20mmol,5mol%)を加え、80℃にて30分間攪拌した。この混合物に1−ドデカノール(4.0mmol)及び水(2mL)を加え、60℃にて激しく攪拌した。反応混合物を室温まで放冷した後、1H NMR(CDCl3)で解析することにより収率を算出したところ、85%であった。なお、1H NMRの化学シフト(ppm)は、1−ドデカノール:δ3.61(t、J=6.9Hz,sH)、エステル:δ4.06(t、J=6.9Hz,2H)であった。
1級アルコールである1−ドデカノールと4−フェニル酪酸とを脱水縮合することによりエステル化合物を製造した。なお、以下のカッコ内の当量やmol%は、1−ドデカノールを基準にして算出した値である。まず、10mLのフラスコに4−フェニル酪酸(4.4mmol,1.1当量)、ブレンステッド酸としての硫酸(0.20mmol,5mol%)及び有機塩基としてのN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)アミン(0.20mmol,5mol%)を加え、80℃にて30分間攪拌した。この混合物に1−ドデカノール(4.0mmol)及び水(2mL)を加え、60℃にて激しく攪拌した。反応混合物を室温まで放冷した後、1H NMR(CDCl3)で解析することにより収率を算出したところ、85%であった。なお、1H NMRの化学シフト(ppm)は、1−ドデカノール:δ3.61(t、J=6.9Hz,sH)、エステル:δ4.06(t、J=6.9Hz,2H)であった。
[比較例1〜7]
ここでは、ブレンステッド酸の種類について検討した。比較例1〜7につき、実施例1に準じて、表1の条件でエステル化反応を行った。その結果を表1に示す。なお、表1には実施例1の結果も併せて示した。表1から明らかなように、比較例1及び実施例1では、硫酸を用いて水中での脱水縮合によるエステル化反応を行ったところ、有機塩基を用いなかった比較例1ではエステル化合物が15%しか得られなかったのに対して、有機塩基を用いた実施例1ではエステル化合物が85%という高収率で得られた。一方、水中での脱水縮合を、比較例2,3ではp−トルエンスルホン酸、比較例4,5ではペンタフルオロベンゼンスルホン酸、比較例6,7ではトリフルオロメタンスルホン酸を用いて行ったが、いずれも有機塩基の有無にかかわらずエステル化合物の収率は低かった。以上の結果から、水中での脱水縮合によるエステル化反応は、ブレンステッド酸として硫酸を使用したときのみ、有機塩基によって活性化されることがわかった。
ここでは、ブレンステッド酸の種類について検討した。比較例1〜7につき、実施例1に準じて、表1の条件でエステル化反応を行った。その結果を表1に示す。なお、表1には実施例1の結果も併せて示した。表1から明らかなように、比較例1及び実施例1では、硫酸を用いて水中での脱水縮合によるエステル化反応を行ったところ、有機塩基を用いなかった比較例1ではエステル化合物が15%しか得られなかったのに対して、有機塩基を用いた実施例1ではエステル化合物が85%という高収率で得られた。一方、水中での脱水縮合を、比較例2,3ではp−トルエンスルホン酸、比較例4,5ではペンタフルオロベンゼンスルホン酸、比較例6,7ではトリフルオロメタンスルホン酸を用いて行ったが、いずれも有機塩基の有無にかかわらずエステル化合物の収率は低かった。以上の結果から、水中での脱水縮合によるエステル化反応は、ブレンステッド酸として硫酸を使用したときのみ、有機塩基によって活性化されることがわかった。
[実施例2〜12,比較例8〜11]
ここでは、有機塩基の種類及びその使用量について検討した。実施例2〜11,比較例8〜11につき、実施例1に準じて、表2の条件でエステル化反応を行った。その結果を表2に示す。表2から明らかなように、有機塩基を用いなかった場合には、反応時間を長くしてもエステル化合物は22%しか得られなかった(比較例8)。また、有機塩基として、N,N,N−トリス(p−メチルフェニル)アミンのようなトリアリールアミンを用いた場合には、有機塩基を用いなかった場合と同程度しかエステル化合物が得られなかった(比較例9)。これは、3つのアリール基がすべてパラ位にアルキル基を有していたことが原因と考えられる。これに対して、トリアリールアミンのうち、アリール基が無置換(つまりフェニル基)のものやアリール基に電子求引基であるフッ素原子が結合しているものを用いた場合には、エステル化合物の収率が飛躍的に向上した(実施例2〜4)。また、炭素数が8個のアルキル基を持つアルキルジアリールアミンを用いた場合も、エステル化合物の収率が向上した(実施例5,6)。一方、N,N−ジフェニルアミンやN,N−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)アミンのようなジアリールアミンを用いた場合には、有機塩基を用いなかった場合と同程度しかエステル化合物は得られなかった(比較例10,11)。これは、2つのアリール基がいずれもオルト位に嵩高い置換基を有していないことが原因と考えられる。これに対して、2つのアリール基のオルト位に嵩高い置換基が結合したジアリールアミンでは、エステル化合物の収率は飛躍的に向上した(実施例7〜12)。
ここでは、有機塩基の種類及びその使用量について検討した。実施例2〜11,比較例8〜11につき、実施例1に準じて、表2の条件でエステル化反応を行った。その結果を表2に示す。表2から明らかなように、有機塩基を用いなかった場合には、反応時間を長くしてもエステル化合物は22%しか得られなかった(比較例8)。また、有機塩基として、N,N,N−トリス(p−メチルフェニル)アミンのようなトリアリールアミンを用いた場合には、有機塩基を用いなかった場合と同程度しかエステル化合物が得られなかった(比較例9)。これは、3つのアリール基がすべてパラ位にアルキル基を有していたことが原因と考えられる。これに対して、トリアリールアミンのうち、アリール基が無置換(つまりフェニル基)のものやアリール基に電子求引基であるフッ素原子が結合しているものを用いた場合には、エステル化合物の収率が飛躍的に向上した(実施例2〜4)。また、炭素数が8個のアルキル基を持つアルキルジアリールアミンを用いた場合も、エステル化合物の収率が向上した(実施例5,6)。一方、N,N−ジフェニルアミンやN,N−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)アミンのようなジアリールアミンを用いた場合には、有機塩基を用いなかった場合と同程度しかエステル化合物は得られなかった(比較例10,11)。これは、2つのアリール基がいずれもオルト位に嵩高い置換基を有していないことが原因と考えられる。これに対して、2つのアリール基のオルト位に嵩高い置換基が結合したジアリールアミンでは、エステル化合物の収率は飛躍的に向上した(実施例7〜12)。
硫酸を用いた水中でのエステル化反応に有用な有機塩基の使用量は、硫酸に対して等量(5mol%)としてもよいが、その半分(2.5mol%)としても十分な収率が得られる(実施例2,3、実施例5,6、実施例7,8)。表2には示していないが、有機塩基としてN−(2,6−ジフェニルフェニル)−N−(2,4,6−トリメチルフェニル)を1−ドデカノールに対して2.5mol%用いた場合、硫酸をアルコールに対してそれぞれ5mol%,2.5mol%,1mol%使用したところ、エステル化合物の収率はそれぞれ87%,82%,59%であったことから、硫酸の使用量はアルコールに対して2mol%以上(特に2.5mol%以上)が好ましい。なお、実施例7の反応時間6時間のケースは実施例1に該当し、比較例10の反応時間6時間のケースは比較例1に該当する。
[実施例13〜17,比較例12]
ここでは、2級アルコールのエステル化を検討した。実施例13〜17,比較例12につき、実施例1に準じて、表3の条件でエステル化反応を行った。その結果を表3に示す。表3から明らかなように、有機塩基を用いなかった場合には、エステル化合物は11%しか得られなかった(比較例12)。これに対して、実施例13〜17の有機塩基を用いた場合には、エステル化合物の収率が飛躍的に向上した。なお、硫酸を用いた水中での脱水縮合によるエステル化反応では、2級アルコールのオレフィン化はほとんどみられなかった。
ここでは、2級アルコールのエステル化を検討した。実施例13〜17,比較例12につき、実施例1に準じて、表3の条件でエステル化反応を行った。その結果を表3に示す。表3から明らかなように、有機塩基を用いなかった場合には、エステル化合物は11%しか得られなかった(比較例12)。これに対して、実施例13〜17の有機塩基を用いた場合には、エステル化合物の収率が飛躍的に向上した。なお、硫酸を用いた水中での脱水縮合によるエステル化反応では、2級アルコールのオレフィン化はほとんどみられなかった。
[実施例18〜22]
ここでは、有機塩基の使用量について詳しく検討した。実施例18〜22につき、実施例1に準じて、有機塩基の使用量を1−ドデカノールに対してそれぞれ0.63mol%,1.25mol%,2.5mol%,5mol%,10mol%(硫酸に対して×0.125,×0.25,×0.5,×1,×2)として、エステル化反応を行った。各実施例18〜22の時間に対するエステル化合物への変換率を表すグラフを図1に示す。図1から明らかなように、有機塩基の使用量が1−ドデカノールに対して0.63〜10mol%(硫酸に対して×0.125〜2)の範囲で触媒活性はほとんど変わらなかった。なお、実施例22ではわずかに触媒活性が低下しているが、エステル化合物の収率は反応時間を長くすることにより他の実施例と同等にすることができた。
ここでは、有機塩基の使用量について詳しく検討した。実施例18〜22につき、実施例1に準じて、有機塩基の使用量を1−ドデカノールに対してそれぞれ0.63mol%,1.25mol%,2.5mol%,5mol%,10mol%(硫酸に対して×0.125,×0.25,×0.5,×1,×2)として、エステル化反応を行った。各実施例18〜22の時間に対するエステル化合物への変換率を表すグラフを図1に示す。図1から明らかなように、有機塩基の使用量が1−ドデカノールに対して0.63〜10mol%(硫酸に対して×0.125〜2)の範囲で触媒活性はほとんど変わらなかった。なお、実施例22ではわずかに触媒活性が低下しているが、エステル化合物の収率は反応時間を長くすることにより他の実施例と同等にすることができた。
[実施例23,24,比較例13,14]
ここでは、酸に不安定なアリルアルコールのエステル化を検討した。実施例23,24、比較例13,14につき、実施例1に準じて表4の条件でエステル化反応を行った。その結果を表4に示す。表4から明らかなように、無溶媒でエステル化反応を行った比較例13,14では、アルコールが二量化したエーテルが副生成物として多量に生成したのに対して、水溶媒でエステル化反応を行った実施例23,24では、エーテルの生成が抑制され、エステル化合物の収率が向上した。
ここでは、酸に不安定なアリルアルコールのエステル化を検討した。実施例23,24、比較例13,14につき、実施例1に準じて表4の条件でエステル化反応を行った。その結果を表4に示す。表4から明らかなように、無溶媒でエステル化反応を行った比較例13,14では、アルコールが二量化したエーテルが副生成物として多量に生成したのに対して、水溶媒でエステル化反応を行った実施例23,24では、エーテルの生成が抑制され、エステル化合物の収率が向上した。
[実施例25,26]
ここでは、疎水性カルボン酸と親水性カルボン酸との混合物のエステル化を検討した。疎水性カルボン酸としてはラウリン酸、シクロヘキサンカルボン酸を用い、親水性カルボン酸としては酢酸を用いた。実施例25,26につき、実施例1に準じて表5の条件でエステル化を行った。その結果を表5に示す。表5から明らかなように、実施例25,26のいずれも疎水性カルボン酸のエステル化合物が高選択的に得られた。
ここでは、疎水性カルボン酸と親水性カルボン酸との混合物のエステル化を検討した。疎水性カルボン酸としてはラウリン酸、シクロヘキサンカルボン酸を用い、親水性カルボン酸としては酢酸を用いた。実施例25,26につき、実施例1に準じて表5の条件でエステル化を行った。その結果を表5に示す。表5から明らかなように、実施例25,26のいずれも疎水性カルボン酸のエステル化合物が高選択的に得られた。
[有機塩基について]
上述した実施例、比較例で使用した有機塩基のうち新規化合物について、その合成例を以下に示す。
上述した実施例、比較例で使用した有機塩基のうち新規化合物について、その合成例を以下に示す。
実施例4,14で使用したN−ペンタフルオロフェニル−N,N−ジフェニルアミンは、以下のようにして合成した。まず、ジフェニルアミン(11mmol)、リチウムアミド(10mmol)およびTHF(10mL)の混合物を−70℃にて1時間撹拌した。この溶液を−78℃に冷却した後、ヘキサフルオロベンゼン(40mmol)のTHF(20mL)溶液を滴下し、室温にて12時間、さらに70℃に昇温して1時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、塩酸を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層をあわせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(1.4g,収率41%)を得た。目的物の構造は,1H NMR,13C NMR,IR,HRMSにより決定した。1H NMR(CDCl3)δ6.99(d,J=7.5Hz,4H),7.07(tt,J=1.0,7.5Hz,2H),7.28(dt,J=1.0,7.5Hz,4H);13C NMR(CDCl3)δ121.3,123.5,129.4,145.6;IR(KBr)1592,1517,1450,1273,1233,1033,1010,998cm-1;HRMS(FAB)336.0791.
実施例5,6,16で使用したN−オクタデシル−N,N−ジフェニルアミンは、以下のようにして合成した。ジフェニルアミン(5mmol)および水素化ナトリウム(10mmol)のTHF(5mL)溶液を室温にて3時間撹拌した。この溶液に、1−ブロモオクタデカン(5mmol)を加え、40℃にて2日間撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却した後、水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層をあわせ、水で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(1.2g,収率55%)を得た。目的物の構造は,1H NMR,13C NMR,IR,HRMSにより決定した。1H NMR(CDCl3)δ0.88(t,J=7.0Hz,3H),1.19−1.26(m,30H),1.65(quint,J=7.5Hz,2H),3.67(t,J=7.5Hz,2H),6.93(tt,J=1.0,7.0Hz,1H),6.98(m,2H),7.25(m,2H);13C NMR(CDCl3)δ14.1,22.7,27.1,27.4,29.36,29.44,29.58,29.63,29.66,29.69,31.9,52.3,120.8,121.0,129.2,148.1;IR(KBr)1589,1497,1469,1367,1287,1270,1250,1242,1145cm-1;HRMS(FAB)422.3773.
実施例9で使用したN−(2,6−ジイソプロピルフェニル)−N−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)アミンは、文献(J. Am. Chem. Soc. 2005, vol.127, p.4168.)に記載されている方法に従って、2,6−ジイソプロピルアニリンと2,4,6−トリイソプロピルブロモベンゼンから合成した。目的物の構造は,1H NMR,13C NMR,IR,HRMSにより決定した。1H NMR(CDCl3)δ1.07(d,J=7.0Hz,12H),1.08(d,J=7.0Hz,12H),1.24(d,J=7.0Hz,6H),2.86(sept,J=7.0Hz,1H),3.05(sept,J=7.0Hz,2H),3.11(sept,J=7.0Hz,2H),4.77(s,1H),6.93(s,2H),6.94−6.99(m,1H),7.05−7.08(m,2H);13C NMR(CDCl3)δ23.5,23.6,24.2,27.6,27.9,33.9,121.6,121.8,123.8,138.0,139.8,140.9,141.7,143.6;IR(KBr)3450,1490,1467,1456,1382,1362,1344,1320,1284,1251,1106cm-1;HRMS(FAB)380.3292.
実施例10で使用したN−(2,6−ジフェニルフェニル)−N−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)アミンは、文献(J. Am. Chem. Soc. 2005, vol.127, p.4168.)に記載されている方法に従って、2,6−ジフェニルアニリンと2,4,6−トリイソプロピルブロモベンゼンから合成した。目的物の構造は,1H NMR,13C NMR,IR,HRMSにより決定した。1H NMR(CDCl3)δ0.97(d,J=7.0Hz,12H),1.07(d,J=7.0Hz,2.62(sept,J=7.0Hz,1H),2.97(sept,J=7.0Hz,1H),5.34(s,1H),6.50(s,2H),6.84(t,J=7.5Hz,1H),7.09(tt,J=1.5,7.5Hz,4H),7.15(tt,J=1.5,7.5Hz,4H),7.19−7.24(m,4H);13C NMR(CDCl3)δ24.1,28.3,34.2,117.0,120.2,126.5,127.7,128.8,129.2,130.9,134.8,140.1,140.9,144.0,145.6;IR(KBr)3412,1491,1457,1410,1317,1234,1069cm-1;HRMS(FAB)448.3004.
実施例15で使用したN−(p−オクチルフェニル)−N,N−ジフェニルアミンは、以下のようにして合成した。p−オクチルブロモベンゼン(6mmol)、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム(0.25mmol)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(0.375mmol)のトルエン(20mL)溶液を窒素雰囲気下にて10分間撹拌した。この溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド(7.5mmol)およびジフェニルアミン(5mmol)を加え、90℃にて24時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷した後、水を加え、ジエチルエーテルで抽出した。有機層をあわせて水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、目的物(1.64g,収率46%)を得た。目的物の構造は,1H NMR,13C NMR,IR,HRMSにより決定した。1H NMR(CDCl3)δ0.88(t,J=7.5Hz,3H),1.20−1.38(m,10H),1.60(quint,J=8.0Hz,2H),2.55(t,J=8.0Hz,2H),6.95(tt,J=2.0,7.0Hz,2H),7.00(dt,J=2.0,8.5Hz,2H),7.03−7.08(m,6H),7.20(tt,J=2.0,7.0Hz,4H);13C NMR(CDCl3)δ14.1,22.7,29.3,29.4,29.5,31.5,31.9,35.4,122.2,123.6,124.7,129.07,129.14,137.8,145.3,148.0;IR(KBr)1589,1508,1493,1326,1312,1278cm-1;HRMS(FAB)358.2527.
本発明は、主に薬品化学産業に利用可能であり、例えば種々の油脂やポリエステルを製造したり医薬品や農薬の中間体として利用される種々のカルボン酸エステルを製造したりする際に利用することができる。
Claims (8)
- 水中で以下の(1)〜(3)から選ばれた1種以上の有機塩基と硫酸の存在下で、カルボン酸と1級又は2級アルコールとを脱水縮合してエステル化合物を製造する、エステル製造方法。
(1)2級アミンAr1Ar2NH(Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基であって少なくとも片方のオルト位に分岐アルキル基、置換基を有する分岐アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有するシクロアルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基を持つものである)
(2)3級アミンAr1Ar2Ar3N(Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基であるが、Ar1,Ar2,Ar3がすべてパラ位にアルキル基を有している場合を除く)
(3)3級アミンRAr1Ar2N(Rは、アルキル基、置換基を有するアルキル基、シクロアルキル基又は置換基を有するシクロアルキル基であり、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してアリール基又は置換基を有するアリール基である) - 前記有機塩基は、前記(1)の2級アミンAr1Ar2NHであって、Ar1は、両方のオルト位に分岐アルキル基、アリール基又は置換基を有するアリール基を持つフェニル基であり、Ar2は、両方のオルト位にアルキル基を持つフェニル基である、
請求項1に記載のエステル製造方法。 - 前記有機塩基は、前記(2)の3級アミンAr1Ar2Ar3Nであって、Ar1,Ar2,Ar3は、それぞれ独立してフェニル基又はフルオロ基を有するフェニル基である、
請求項1に記載のエステル製造方法。 - 前記有機塩基は、前記(3)の3級アミンRAr1Ar2Nであって、Rは炭素数8〜20のアルキル基であり、Ar1,Ar2は、それぞれ独立してフェニル基又はフルオロ基を有するフェニル基である、
請求項1に記載のエステル製造方法。 - 前記硫酸を、前記カルボン酸及び前記アルコールの使用量のうち少ない方を基準として1mol%〜20mol%使用し、前記有機塩基を、前記硫酸に対して0.1〜2倍mol使用する、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のエステル製造方法。 - 前記アルコールは、炭素数7以上の1級又は2級アルコールである、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のエステル製造方法。 - 前記アルコールは、アリルアルコール類である、
請求項1〜5のいずれか1項に記載のエステル製造方法。 - 疎水性のカルボン酸と親水性のカルボン酸との混合物から前記疎水性のカルボン酸を選択的にエステル化する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のエステル製造方法。
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JP2009058719A JP2010209027A (ja) | 2009-03-11 | 2009-03-11 | 水中での脱水縮合によるエステル製造方法 |
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WO2013099623A1 (ja) | 2011-12-28 | 2013-07-04 | 国立大学法人名古屋大学 | エステルの加水分解によるカルボン酸及びアルコールの製造方法 |
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2009
- 2009-03-11 JP JP2009058719A patent/JP2010209027A/ja active Pending
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WO2013099623A1 (ja) | 2011-12-28 | 2013-07-04 | 国立大学法人名古屋大学 | エステルの加水分解によるカルボン酸及びアルコールの製造方法 |
US9206107B2 (en) | 2011-12-28 | 2015-12-08 | National University Corporation Nagoya University | Method for producing carboxylic acid and alcohol by hydrolysis of ester |
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