本発明の一実施形態に係る氷供給装置及び該氷供給装置を備えた冷蔵庫について説明する。
本実施形態に係る冷蔵庫1は、図1に示すような外観を有し、ドアに設けられたディスペンサー部10において水や氷を提供する機能を有するものである。また、この冷蔵庫1は、ブロック状の氷(いわゆるブロックアイス)や細かく破砕された氷(いわゆるクラッシュドアイス)を提供することができる。さらに、この冷蔵庫1は、サイドバイサイドと呼ばれるタイプのものであり、図2にも示すように、貯蔵室が左右に大きく分割された構造を有するものである。
次に、図2を参照しつつ、冷蔵庫1の内部構造について説明する。冷蔵庫1は、貯蔵温度が0℃以下の第1貯蔵室20と、貯蔵温度が0℃より高い第2貯蔵室30とが左右に配置されている。具体的には、冷蔵庫1は、向かって左側の第1貯蔵室20が冷凍室(以下、適宜冷凍室20ともいう)とされ、向かって右側の第2貯蔵室30が横仕切部31を介して上下に分割され、上部が冷蔵室32とされ、下部が野菜室33とされている。そして、冷凍室20,冷蔵室32,野菜室33に対応して冷凍室ドア21,冷蔵室ドア34,野菜室ドア35が設けられており、この冷蔵庫1は、いわゆる3ドアタイプとなっている。
次に、第1貯蔵室(冷凍室)20について説明する。冷凍室20には、その上部に製氷装置22が設けられている。この製氷装置22では、概略直方体形状の氷が製造され、氷のサイズは、例えば42mm×32mm×25mmに設定されている。
また、冷蔵庫1には、製氷装置22で製造された氷を前記ディスペンサー部10において提供するのに用いられる氷供給装置100が設けられている。さらに、冷蔵庫1には、水を提供するための給水装置(図示しない)も設けられている。
氷供給装置100は、冷凍室ドア21の庫内側に設けられている。なお、製氷装置22は製造した氷を氷出口22aから下方に落下させるものであり、図3に示すように、氷供給装置100は、その氷を製氷装置22より下方で受け止める位置関係となっている。具体的には、氷供給装置100の氷貯蔵部110の上端開口部110aが製氷装置22の氷出口22aの直下となるように配置されている。そして、氷供給装置100は、冷凍室ドア21を閉じると、製氷装置22より下方に位置する状態となる。
ディスペンサー部10は、図1〜図3に示すように、冷凍室ドア21の高さ方向中程の位置に設けられている。ディスペンサー部10には、水や氷を提供するための提供空間11が形成され、該提供空間11より上方位置に、氷供給装置100や給水装置等を操作する操作部12及び各種情報を表示する表示部13が設けられている。
操作部12には、「水・ブロックアイス・クラッシュドアイス」といった提供物に対応したボタンが備えられている。表示部13には、各種情報を表示するディスプレイや、各種情報に対応して点灯するランプ等が備えられている。これらで表示される情報としては、例えば、庫内温度や、給水タンク36内の水の残量や、操作部12で選択された提供物の種類や、氷詰まり等が原因で駆動モータがロックしていること等である。
提供空間11は、冷凍室ドア21を内側に向かって凹状に凹ませて形成された部分であり、その下部には、コップ等を載置することができるように水平方向に沿う載置部14が設けられている。載置部14は、好ましくは、例えばコップの底面に付いた水滴等を切りやすくするために、網状の部材を用いて構成される。
また、ディスペンサー部10には、コップ等を押し付けて氷供給装置100や給水装置を作動させるためのレバー15が設けられている。なお、給水装置は、該給水装置の出水部がディスペンサー部10の提供空間11内に位置するように設けられる。
次に、図3を用いて冷凍室ドア21について説明する。冷凍室ドア21は、該冷凍室ドア21の内部と外部とが一部連通する構造を有する。具体的には、冷凍室ドア21は、連通開口23を介して冷凍室ドア21の内部と外部とが連通している。連通開口23は、水平方向及び鉛直方向に対して斜めに開口している。そして、この連通開口23より庫内側に、氷供給装置100が設置される。また、連通開口23より庫外側には、ディスペンサー部10が設けられている。冷凍室ドア21の連通開口23は、水平方向及び鉛直方向に対して斜めに開口している。なお、ディスペンサー部10の提供空間11は、連通開口23よりも庫外側の空間に相当する。
次に、図2を用いて、第2貯蔵室30(即ち、冷蔵室32及び野菜室33)について説明する。第2貯蔵室30は、製氷装置22や給水装置に給水する給水タンク36を備える。この給水タンク36は、冷蔵室32と野菜室33とを仕切る横仕切部31の上面に配置されている。また、前記給水装置は、配管によって給水タンク36と接続されており、給水装置用の配管は、給水タンク36から冷蔵庫1の奥行き方向に向かって冷蔵庫1の外側まで延び、そこから背面及び底面に沿って冷凍室ドア21まで延び、冷凍室ドア21の下方のヒンジ部24を経由して、冷凍室ドア21の中を上昇して、給水装置に到達するように設けられている。一方、製氷装置22用の配管は、給水タンク36から冷蔵庫1の奥行き方向に向かって冷蔵庫1の外側まで延び、そこから背面及び天井面に沿って冷凍室ドア
21側へ向かい、天井面の途中位置から冷蔵庫筐体を貫通して製氷装置22に到達するように設けられている。
次に、図4〜図7を用いて、氷供給装置100について説明する。図4は、冷凍室ドア21に設置された状態の氷供給装置100を庫内側から見た斜視図であり、図5は、氷供給装置100を背面側から見た断面斜視図であり、図6,図7は氷供給装置100を背面側から見た断面背面図である。
氷供給装置100は、製氷装置22で製造された氷が貯蔵される氷貯蔵部110と、氷貯蔵部110に貯蔵された氷を撹拌する撹拌部120と、氷貯蔵部110に貯蔵されていた氷を破砕可能な氷破砕部130と、これら撹拌部120及び氷破砕部130を駆動する駆動装置190とを備えるものである。また、氷供給装置100は、氷をディスペンサー部10の氷供給箇所(即ち、前記提供空間11)へ向けて供給するホッパー部180を備える。また、位置関係について説明すると、氷貯蔵部110は、氷供給装置100の上部位置に配置され、氷破砕部130は、氷貯蔵部110より下方に配置され、駆動装置190及びホッパー部180は、氷破砕部130より下方に配置される。
また、氷供給装置100は、図6及び図7に示すように、ベース部材200と、該ベース部材200に対して着脱自在に取り付けられる本体部材300とに分離可能に構成される。ベース部材200は、例えばネジ等によって冷凍室ドア21に固定される。ベース部材200と本体部材300とは、冷凍室ドア21の高さ方向(即ち、上下方向)に分離可能である。なお、以下、この方向を分離方向ということがある。
具体的には、本体部材300の下部がベース部材200の上部に嵌合可能である。そして、本体部材300の下部には、ベース部材200の上部を収容可能な空間(後述する下方側空間302)が設けられている。より具体的には、図5に示すように、本体部材300には、幅方向両側面に、上下方向に沿って切り欠かれた切欠部303が設けられており、ベース部材200には、それに対応して突起部201が設けられている。ただし、氷供給装置100の取付方法はこれに限定されるものではない。なお、図5では、ベース部材200及び本体部材300が合体した状態を示している。
また、図7に示すように、ベース部材200は、駆動装置190及びホッパー部180を有する部材である。一方、本体部材300は、上部位置に氷貯蔵部110が設けられるとともに、撹拌部120、及び氷破砕部130を内蔵する箱形状の部材である。即ち、本体部材300の上部が氷貯蔵部110を構成している。このように、氷貯蔵部110を備える本体部材300が重量のある駆動装置190を備えるベース部材200とは別に冷凍室ドア21から取り外せるため、氷貯蔵部110の清掃等を手軽に行うことができる。
本体部材300(即ち、氷貯蔵部110)は、図4に示すように、上面視概略四角形状に形成され、具体的には、一方の辺Wが他方の辺Dよりも長い概略長方形状を有する。また、本体部材300は、氷貯蔵部110の短い方の辺Dに沿う方向(短辺方向)が冷凍室ドア21の奥行き方向に沿い、且つ、長い方の辺Wに沿う方向(長辺方向)が冷凍室ドア21の幅方向に沿うように、冷凍室ドア21に取り付けられる(図2参照)。なお、氷供給装置100は、冷凍室ドア21に取り付けられた際に庫内側を向くこととなる二つの角部のうち、冷凍室ドア21を開閉する際に先端側となる角部が丸く角取りされている。
前記ホッパー部180は、図3に示すように、ディスペンサー部10の提供空間11内に先端部が位置するように配置される。即ち、前記ホッパー部180の先端部は、前記連通開口23から提供空間11内に突出するように設けられる。また、ホッパー部180の先端部には、冷蔵庫内外の空気の流通を遮断するための蓋体(ダンパー)181が設けられている。該蓋体181は、ソレノイド等のアクチュエータによって開閉駆動される。
氷貯蔵部110は、図5に示すように、下方側ほど内部空間(後述する上方側空間301)が小さくなるように形成される縮小部111を有し、この縮小部111の下方部位に氷排出部112が設けられる。即ち、縮小部111は、水平方向に沿う断面形状が下方側ほど漸次狭小となる形状を有する。具体的には、縮小部111は、氷貯蔵部110の内部空間を画成する内面のうち、貯蔵された氷を下方から支持する下面を水平方向に対して傾斜させることによって形成される。より具体的には、縮小部111は、水平方向に対して傾斜する傾斜面113によって画成される。これにより、氷貯蔵部110は、下方ほど窄まる形状となる。また、この傾斜面113に前記氷排出部112が設けられる。氷排出部112は、傾斜面113の最下方部に形成される氷排出孔として設けられ、氷排出部112は、製氷装置22で製造される氷が1又は2個通過可能な大きさを有する。
ところで、傾斜面113は、表面が融解していないいわゆる乾いた氷を載置した際に該氷を滑り落とすことができる程度の傾斜角度を有するものであれば、その傾斜角度は任意である。また、傾斜面113は、氷貯蔵部110の長辺方向に対して傾斜するように設定される。
傾斜面113は、互いに交差する2つの交差面114,115によって構成される。若しくは、傾斜面113は、互いに角度を有する2つの面114,115が繋がった屈曲面として形成される。そして、氷排出部112は、2つの交差面114,115の交差部分の近傍に配置される。より具体的には、氷排出部112は、2つの交差面114,115のうちの一方の交差面114に設けられる。さらに具体的には、氷排出部112は、その端縁の一部が2つの交差面114,115の境界部に含まれるように設けられる。
該2つの交差面114,115のうち一方の交差面114は、平坦状に形成される。なお、厳密には、この一方の交差面114は、上方と下方とで傾斜角度が10度程度異なる二つの部分から構成されるが、氷に対しては実質的に平坦状とみなすことができる。
また、他方の交差面115は、前記長辺方向に沿って延びるように形成される凹状部位115aを有する。具体的には、凹状部位115aは、氷排出部112と連続するように設けられる。より、具体的には、凹状部位115aは、前記短辺方向の中央部に形成される。
また、凹状部位115aは、湾曲面として設けられる。具体的には、図8に示すように、凹状部位115aは、断面円弧状を有する。なお、図8は、氷貯蔵部110を図5に示すC−C線で破断した状態の図面である。また、交差面114のうち後述する開口部305の部分は、内部構造が見えるように一部を斜線で示している。
ところで、この凹状部位115aは、氷を氷排出部112に案内するための案内部117として機能する。即ち、傾斜面113には、氷を氷排出部112に案内するための案内部117が氷排出部112に向かって延びるように設けられ、該案内部117は、凹状に窪んで形成されることとなる。
また、他方の交差面115は、短辺方向の両側に平坦部位115bを有する。該平坦部位115bは、図4,図5、及び図8から分かるように、短辺方向及び長辺方向の両方向に対して傾斜するが、長辺方向に対しての方が短辺方向に対してよりも大きい角度で傾斜する。そして、平坦部位115bが短辺方向に対して傾斜することにより、2つの交差面114,115が交差してできる境界部も、前記短辺方向に対して傾斜したものとなる。
また、平坦部位115bは、氷排出部112近傍ほど下方側となるように傾斜する。即ち、氷貯蔵部110の前記下面には、氷が実質的に安定して載置され得るような水平部分が存在しない。このため、氷貯蔵部110内部では、いずれの位置においても、氷排出部112へ向かう外力を氷に対して作用させることができる。
2つの交差面114,115は、図6,図7から分かるように、約90度の角度を有して交差する。また、各交差面114,115は、水平方向に対してそれぞれ約45度傾斜するように配置される。ただし、2つの交差面114,115の交差角度αは、約90度に限定されるものではなく、例えば、約45度や約120度であってもよく、任意に設定可能である。また、各交差面114,115の水平方向に対する傾斜角度も約45度に限定されるものではなく、任意に設定可能である。
ところで、前記本体部材300には、内部空間を概略的に上下に分割する分割部304が設けられている。本体部材300の内部空間は、上方側空間301と下方側空間302とに分割される。上方側空間301は、貯氷空間となり、下方側空間302は、ベース部材200や氷破砕部130を収容する収容空間となる。そして、この分割部304が傾斜して配置されることで、前記傾斜面113(即ち、交差面114,115)が形成されている。
なお、分割部304には、交差面114に対応する部分に開口部305が設けられており、この開口部305を閉塞するように後述する氷破砕部130が取り付けられる。具体的には、傾斜面113を構成する2つの交差面114,115のうちの一方の交差面114に、概略円形状の開口部305が形成される。そして、氷破砕部130を取り付けると氷破砕室140の上面146が開口部305を閉塞する態様となり、氷排出部112以外には連通部分を有しない前記一方の交差面114が完成される。
また、2つの交差面114,115は、氷貯蔵部110における前記長辺方向のいずれか一端側に偏った位置で交差する。即ち、2つの交差面114,115の交差部分(最も内部空間が小さくなる谷の部分)は、氷貯蔵部110における前記長辺方向のいずれか一端側に偏った位置に配置される。これにより、前記下方側空間302のうち交差面114の下方に形成される空間302Aは、交差面115の下方に形成される空間302Bよりも大きくなる。従って、後述する駆動装置190や氷破砕部130を本体部材300の投影領域からはみ出すことなく良好に収容することができる。
また、氷供給装置100が取り付けられる冷蔵庫などの筐体は水平・垂直の部材構成からなっており、図6,図7のように駆動モータ191を斜めに配置することで、駆動装置190の駆動時の振動や共振が防止することができる。さらに、斜めの構造により、氷貯蔵部110の強度を増すことができる。
さらに、駆動モータ191を斜めに配置するとき、駆動モータ191から出るモータ配線404を真下からずらした位置に配置することにより、駆動モータ191の表面の結露水や万が一の水の浸入の際に、モータ配線404を水が伝って駆動モータ191の内部に浸入するのを防止できる。
次に、撹拌部120について説明する。撹拌部120は、氷貯蔵部110内部の氷を撹拌する撹拌体121を備えて構成される。具体的には、撹拌体121は、氷貯蔵部110内部に回転可能に配置される。撹拌体121は、通常一定方向(図8等では反時計回り)に回転するように駆動される。ただし、例えば氷の詰まり等の異常が発生した場合には、これを解消すべく回転方向を逆転させることができる。
また、撹拌体121は、水平方向に対して傾斜して設定される回転軸(若しくは回転軸線)を中心に回転するように配置される。これにより、氷を氷貯蔵部110内部で対流(或いは循環)させることができる。具体的には、回転軸は、傾斜面113のうち前記一方の交差面114に対して直交する方向に設定され、前記他方の交差面115に平行に設定される。なお、回転軸は、断面円弧状を有する凹状部位115aの弧の中心と一致するように配置される。
撹拌体121は、氷貯蔵部110の下方部分(即ち、縮小部111の下方部分)から上方に向かって突出させて配置される。撹拌体121は、図6及び図7に示すように、基端部121aに比べて中間部121bが回転軸から離れた位置に配置され、且つ、その先端部121cが中間部121bよりも回転軸に近接する位置に配置される曲がった形状を有する。具体的には、中間部121bが約90度に屈曲している。
また、撹拌体121は、どの角度位置においても前記氷貯蔵部110の内面に対して傾斜した状態となるようになっている。従って、撹拌体121が回転する際に、傾斜面113及び鉛直面116との隙間に氷を挟んだとしても、撹拌体121の回転に伴って氷を隙間から脱出させることができるため、氷貯蔵部110において不測に氷を破砕若しくは粉砕してしまうことがない。
具体的には、撹拌体121のうち交差面114と対向する第一腕部121dは、どの角度位置においても交差面114に対して傾斜した状態で回転する。なお、この第一腕部121dは、基端部121aから中間部121bにかけての部分に相当する。また、交差面115及び鉛直面116と対向する第二腕部121eは、どの角度位置においても交差面115及び鉛直面116に対して傾斜した状態で回転する。なお、この第二腕部121eは、中間部121bから先端部121cにかけての部分に相当する。また、第一腕部121dは、中間部121bほど基端部121aよりも交差面114から遠ざかり、第二腕部121eは、先端部121cほど中間部121bよりも対向面(即ち、交差面115及び鉛直面116)から遠ざかるように設けられる。
なお、交差面114からの回転軸方向の突出量を「高さ」と表現すれば、中間部121bは、撹拌体121の高さの半分以下(好ましくは1/3)の高さ位置に配置される。また、中間部121bの回転半径は、先端部121cの回転半径の約半分に設定される。
好ましくは、撹拌体121は、2つ設けられ、該2つの撹拌体121は、各基端部121aが同一箇所に配置されるとともに、該箇所から分岐するように配置される。さらに、これら2つの撹拌体121は、回転軸を含む同一平面上に配置される。即ち、2つの撹拌体121は、回転軸を挟んで対称な位置に配置される。この2つの撹拌体121が組み合わさった状態では、基端部から中間部にかけて膨出し、中間部から先端部にかけて窄まる全体形状を有する。なお、撹拌体121は、2つに限定されず、1つであっても3つ以上であってもよい。
また、撹拌体121は、氷貯蔵部110の内部空間を画成する内面(即ち、交差面114,115や上面視概略長方形状の氷貯蔵部110を画成する鉛直面116)と干渉することなく回転可能に配置される。ところで、回転する撹拌体121が通過してできる撹拌体121の回転領域と氷貯蔵部110の内面との間隔は、撹拌体121の角度位置によって異なることとなる。
また、前記回転領域と氷貯蔵部110の内面との間の空間には、氷貯蔵部110に貯蔵される氷のサイズよりも小さい領域と大きい範囲とが存在するように設定される。特に、撹拌体121の回転領域と凹状部位115aとの間隔は、一つの氷よりも小さい寸法に設定される。また、撹拌体121の回転領域は、凹状部位115aによって囲まれる凹状の空間に入り込む態様となる。なお、凹状部位115aは、回転する撹拌体121に対する逃げ部位としても特定することができる。
かかる構造により、仮に複数の氷が合体して、例えば氷排出部112を通過することができない程度のサイズの氷塊になっていたとしても、この氷塊が撹拌体121とともに氷貯蔵部110内を回転すると、氷塊は撹拌体121と氷貯蔵部110の内面との間に挟まれつつ該内面に押し付けられる態様となり、氷塊を個々の氷に分解する(若しくは割る)ことができる。
ところで、撹拌体121の回転領域は、氷排出部112に対応して設定されている。具体的には、氷排出部112は、撹拌体121の回転領域を回転軸に直交する平面(具体的には、交差面114)に投影した投影領域と氷排出部112とが、一致するか若しくは少なくとも重複するように設けられる。より具体的には、氷排出部112は、前記投影領域のうち水平方向に沿い且つ前記回転軸を通る線よりも下方の領域に、その少なくとも一部が位置するように設けられる。さらに具体的には、氷排出部112は、撹拌体121が最も下方に来た際の角度位置から撹拌体121の回転方向に約90度の角度範囲に亘って円弧状に形成される。
かかる構造により、縮小部111の下方部分に存在する氷は、回転する撹拌体121によって、氷排出部112まで移送される。従って、氷を氷貯蔵部110内に余すことなく排出することができる。
次に、氷破砕部130について説明する。
氷破砕部130は、製氷装置22によって製造された氷を破砕することなくそのままの状態で提供するモードと、細かく破砕された状態で提供するモードとを切換可能に構成されるものである。具体的には、氷破砕部130は、氷排出部112から氷供給箇所へと移動する際に氷が通過する通過経路Pを2つの経路P1,P2に分けて設定されている。なお、通過経路Pの詳細については、図11を参照しつつ後述する。
氷破砕部130は、氷を破砕する際に用いられる氷破砕室140と、氷破砕室140内に配置される破砕部材150とを有する。
破砕部材150は、互いに相対変位する一対の刃体151,152によって構成され、これら一対の刃体151,152の間に氷を挟んで破砕するものである。具体的には、一対の刃体151,152のうちの一方の刃体151は固定され、他方の刃体152は可動に構成される。なお、以下では、説明の便宜上、前記一方の刃体を固定刃151と呼び、前記他方の刃体を可動刃152と呼ぶこととする。
具体的には、他方の刃体152は、回転可能に構成される。また、他方の刃体152は、水平方向に対して傾斜して設定される回転軸(若しくは回転軸線)を中心に回転するように配置される。
可動刃152は、破砕モード・非破砕モードのいずれの場合にも、通常一定方向(図10では反時計回り)に回転する。ただし、例えば氷の詰まり等の異常が発生した場合には、これを解消すべく回転方向を逆転させることができる。
好ましくは、固定刃151及び可動刃152は複数設けられ、各刃151,152は互いに回転軸方向に位置をずらして配置される。具体的には、固定刃151は2つ設けられ、可動刃152は3つ設けられる。なお、以下では、各固定刃151を個別に指す場合には、151a,151bといったようにアルファベットの添え字を用いることとする。各可動刃152に関しても、同様とする。
各可動刃152a〜152cは、間隔を空けて各固定刃151a,151bとすれ違う態様で回転する。各固定刃151a,151b同士は、回転方向の同角度位置に配置される。また、各可動刃152a,152b,152c同士は、回転軸方向に重複した状態で回転する。具体的には、各可動刃152a,152b,152cは、角度を僅かに違えて配置される。より具体的には、約2°程度ずらして配置される。また、最も上方の可動刃152aが最も回転方向前方側に配置される。なお、可動刃152a〜152cは、回転軸を中心にして直線状に延びる形状を有する。従って、可動刃152が一回転する間に固定刃151との間で二度氷を破砕することができる。
ところで、可動刃152の回転軸は、水平方向に対して傾斜して配置され、同様に、前記概略円筒形状の氷破砕室140は、高さ方向が水平方向に対して傾斜して配置される。従って、可動刃152は、水平面に対して傾斜する平面内で回転する。
また、一対の刃体151,152は、氷を挟んで対向することとなる各端縁部に凸部をそれぞれ有する。これにより、各刃体151,152の凸部によって氷に局所的な力を作用させることで、氷を容易に破砕することができる。
また、氷破砕部130は、図10に示すように、氷破砕室140の底面147に堆積し得る氷片を掻き出す掻き出し部153を備える。なお、図10においては、交差面114のうち後述する開口部305の部分は、内部構造が見えるように開放された状態で示している。具体的には、掻き出し部153は、各可動刃152a〜152cのうち最も下方に配置される可動刃(即ち、最も氷破砕室140の底面147に近い可動刃)152cに設けられる。より具体的には、掻き出し部153は、平坦な形状を有する可動刃152cの回転方向の順方向後方側端縁を折り曲げることにより形成される。なお、掻き出し部153は、前記可動刃152cとは別に設けられるものであってもよい。
ところで、撹拌体121の回転軸と可動刃152の回転軸とは一致して設けられる。具体的には、撹拌体121と可動刃152とは同一の軸部材310に設けられており、該軸部材125を回転駆動させることによって撹拌体121及び可動刃152を同時に回転させることができる。また、撹拌体121と可動刃152とは、軸部材310の回転軸周りに位置をずらして配置される。具体的には、撹拌体121と可動刃152とは、回転軸周りに約90度ずらした配置とされる。
氷破砕室140は、可動刃152が内壁と干渉することなく回転可能な内部形状を有する。また、氷破砕室140は、回転する可動刃152が通過してできる回転領域と氷破砕室140の内壁との間の空間が、破砕しようとする氷のサイズよりも小さくなるように設定される。具体的には、氷破砕室140の内部空間は、回転駆動される可動刃152に対応して概略円筒形状に形成される。
また、氷破砕室140は、氷貯蔵部110の氷排出部112から排出された氷が投入される投入部141と、投入された氷を外部に放出するための放出部142とを備える箱状体として設けられる。ここで、氷破砕室140は、氷貯蔵部110と氷排出部112を介して連通するものであり、投入部141は氷貯蔵部110の氷排出部112に相当するものであるが、説明の便宜上、別の名称及び符号を付して説明することとする。
投入部141は、氷破砕室140の上面146に形成される氷投入孔として設けられる。具体的には、投入部141は、可動刃152が最も下方に来た際の角度位置から可動刃152の回転方向に約90度の角度範囲に亘って円弧状に形成される。また、放出部142は、氷を下方に落下させる態様で放出すべく、下方側を向いて開口するように設けられる。具体的には、放出部142は、箱状を有する氷破砕室140の側壁に相当する部分に設けられており、氷破砕室140が水平方向に対して傾斜して配置されることにより、放出部142が鉛直方向に対して斜め下方を向いて開口する態様となる。
また、放出部142は、前記2つの経路P1,P2に対応して設けられる2つの放出部位143,144によって構成され、具体的には、図10によく表されるように、氷を破砕することなく放出する第一の放出部位143と、氷を破砕して放出する第二の放出部位144とで構成される。前記第一の放出部位143は、前記投入部141と鉛直方向に連通するように設けられる。
具体的には、概略円筒形状の氷破砕室140は、可動刃152の回転軸を中心とする所定の角度範囲に亘って周壁145が設けられず、この部分が放出部142となる。即ち、放出部142は、概略円筒形状の氷破砕室140の周壁145を所定の角度範囲に亘って切り欠くことによって形成される。
また、第一の放出部位143及び第二の放出部位144は、可動刃152が最も下方に来た際の角度位置を挟んで、可動刃152の回転方向両側に配置される。具体的には、第一の放出部位143及び第二の放出部位144は、所定の角度範囲に亘って開口する放出部142を、可動刃152が最も下方に来た際の角度位置で区分する態様で設けられる。より具体的には、放出部142は、約120度の角度範囲に亘って形成され、第一の放出部位143が約90度、第二の放出部位144が約30度の角度範囲に亘って開口する。
ところで、氷破砕室140は、底面147を傾斜させて配置されるため、氷は下方に向かって滑り落ちることとなる。従って、破砕した氷を第一の放出部位143ではなく第二の放出部位144から放出するためには、可動刃152が上方から下方に向かって回転している際に氷を破砕する必要がある。このため、固定刃151は、可動刃152が上方に向かって回転する上昇領域ではなく、下方に向かって回転する下降領域に配置される。
即ち、固定刃151は、可動刃152の回転角度範囲のうち上方位置(可動刃152が最も上方に来た際の角度位置)から下方位置(可動刃152が最も下方に来た際の角度位置)に向かう180°の角度範囲内に設けられる。具体的には、固定刃151は、可動刃152の回転中心から斜め下方に向かって延びるように配置される。
また、氷破砕室140は、切換体170が第一の放出部位143を閉塞した状態で、氷が第二の放出部位144側に移動することを阻止する必要がある。このため、固定刃151と進出状態の切換体170との間の隙間は、氷のサイズよりも小さくなるように設定される。即ち、固定刃151が氷の移動を阻止する阻止体として機能している。
次に、氷を破砕するモードと破砕しないモードとを切換可能とする氷破砕部130の構成について、図10及び図11を参照しつつ、以下に説明する。
氷破砕部130には、氷排出部112から氷供給箇所へ移動する際に氷が通過する通過経路Pを切り換えるための切換体170が設けられている。そして、該切換体170によって、氷の通過経路Pを、氷を破砕せずに提供する際の一方の経路P1と、氷を破砕して提供する際の他方の経路P2の2つの経路に切り換えている。
具体的には、切換体170は、放出部142の一部(即ち、第一の放出部位143)を閉塞若しくは閉鎖する位置に進出する進出状態と、閉塞しない位置に退避する退避状態とを切換可能に構成される。
切換体170は、氷破砕室140の第一の放出部位143に対応する形状を有し、退避状態では、該第一の放出部位143を閉塞するように構成される。よって、かかる切換体170は、第一の放出部位143を閉塞する蓋体のように機能する。具体的には、該切換体170は、氷破砕室140の周壁145に一端部を回転可能に支持される。また、切換体170は、氷破砕室140の周壁145と同程度の曲率半径を有し、且つ、第一の放出部位143が設けられる前記所定の角度範囲と同程度の角度範囲(即ち、約90度)に亘って形成される。従って、切換体170は、概略円筒形状の周壁145の一部を構成する態様で第一の放出部位143を閉塞する。
さらに、切換体170は、断面円弧状を有する凹状部位115aとも同じ曲率半径に設定され、放出部142を閉塞する位置に進出した際には、凹状部位115aと連続する連続面を形成する。これにより、氷は、凹状部位115aから氷破砕室140内部までスムーズに案内されることとなる。
ところで、切換体170は、常時第一の放出部位143を閉塞するように付勢体(例えばねじりコイルバネ等)を用いて付勢されている。そして、氷を破砕するモードが選択された場合には、アクチュエータを用いて切換体170を付勢体に対抗して引っ張り、第一の放出部位143を開放させる。
なお、撹拌部120と氷破砕部130とは、一体的に組み立てられた氷処理装置として設けられる。かかる氷処理装置は、氷供給装置100の本体部材300に一体的に取り付けられる。
次に、駆動装置190について説明する。駆動装置190は、駆動モータ191及びギア192によって構成される。また、駆動装置190には、撹拌部120や氷破砕部130において例えば氷の詰まり等の異常が発生したことを検知する検知手段として、駆動モータ191に流れ得る異常電流を検知する異常電流検知部(図示しない)が備えられる。
図3に示されるように、圧縮機501と冷却器502とが可燃性冷媒が流れる配管(図示せず)で接続された冷凍サイクルが備えられ、冷却器502と配管が内部に配置されて冷却される第1貯蔵室(冷凍室)を有する。冷却器502は、冷気の流れ方向の高さを低く抑えて、冷却器502の奥行き寸法を大きくした形状であるので、冷凍サイクルにおける配管の上端503の高さは、ディスペンサー部10及び氷供給装置100よりも低い位置に設定できる。
また、氷供給装置100に備えられた駆動装置190の下端が、配管の上端503から仕切棚101間高さ寸法Bより大きい寸法Aだけ上部に配置される。
仕切棚101は、高さ方向65mmピッチで設けられた仕切棚リブ(符号なし)の上に載せて使用することができる。仕切棚101間高さ寸法Bは、仕切棚101の配置により変化する。仕切棚101の上に保存する食品の形状を考えると仕切棚リブ2ピッチ以上、つまり寸法Bが130mm以上で使用することで食品を保存しやすく、取り出しやすくなり、使い勝手がよくなる。また、仕切棚101間に冷気吹出口107が来るように、仕切棚101を配置して使用すれば、各仕切棚101間の空間が均等に冷やされ、食品の保存性も向上する。
上記の構造により、万が一冷凍室20に可燃性冷媒が漏洩したとき、仕切棚101によって可燃性冷媒が上部に配置される駆動装置190までの到達を防止できる。
ここで、図12を用いて、駆動モータ191について説明する。駆動モータ191は、DCブラシレスモータであり、ステータ405にコイル406が巻かれ、モータ配線404とコイル406が接続される。モータ駆動用電源(図示なし)によりコイル406に電圧印加して電流を流す。モータ基板409に実装されたホール素子410により、モータ軸401の回転するロータ408の回転角度の検出する。回転角度の検出にあわせて、転流回路のスイッチング素子を用いてタイミング検出転流を行う。スイッチング素子にはトランジスタ,FET,IGBTが使用される。ロータ408はステータ405の外部にあり、アウターロータの構成となる。ロータ408にはモータ軸401が取り付けられており、ロータ408が回転することでモータ軸401が回転する構造となっている。
コイル406はステータ405やモータ基板409などの近辺部品との絶縁距離を確保するために、熱可塑性樹脂であるガラス入りポリブチレンテレフタラート樹脂で覆われたモールド407が備えられる。モールド407に使用される樹脂は、熱硬化性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂や、熱可塑性樹脂のガラス入りポリプロピレン樹脂であってもよい。
また、ステータ405とコイル406とロータ408は、モータ固定板402とモータカバー403に覆われる構造となっている。モータ固定板402やロータ408は鉄などの金属が望ましい。また、モータカバー403は鉄などの金属またはポリプロピレン樹脂などの樹脂であってもよい。モータ配線404はモータカバー403の一部を切り欠いて駆動モータ内部から出している(図示なし)。
上記の構造により、万が一冷凍室20に可燃性冷媒が漏洩したとき、駆動モータに可燃性冷媒が駆動装置190までの到達を防止できる。また、ブラシがない構造のため、動作時のスパークが発生せず可燃性冷媒が駆動モータ内部に侵入しても燃焼・引火を防止できる。さらに、図12の通りモータ固定板402とモータカバー403で構成されるモータ内の自由内部体積を20mm3以下の小さな体積に抑制することができ、可燃性冷媒が駆動モータ内部に侵入しても燃焼・引火を防止できる。
また、モータ固定板402とロータ408でコイル406が覆われる構造のため、万が一コイルがレアショートしたときの可燃性冷媒への燃焼・引火が発生しても、駆動モータ190の外部に火炎伝播するのを防止できる。
ここで、モータ固定板402は、ステータ405に間接的に接触しており、熱を伝える構造となっている。また、駆動装置190は冷凍室20内に配置されるため、冷凍温度帯で冷却される。さらに、氷供給装置100の駆動装置190を動作させるレバー15を押す時間により連続動作を禁止する制御を備える。また、冷凍室20の庫内温度を検知する温度センサ(図示なし)で検知された温度が所定温度以下でのみ駆動装置190を動作ONを許可する制御を備える。
上記の構造および制御により、連続して氷を供給しても駆動モータ191のコイル406の温度の絶対値を抑制することができるとともに、温度上昇を小さくすることができ、高価な不飽和ポリエステルでモールドすることなく、ガラス入りポリブチレンテレフタラート樹脂やガラス入りポリプロピレン樹脂を使用することができる。
ここで、図13のフローチャートを用いて、駆動モータ191の連続動作を禁止する制御について説明する。マイコン(図示せず)からの信号により、駆動モータ191を駆動させる、モータ駆動回路で構成されている。
フローチャートは氷供給装置100の電源ON時から1秒ごとにスタートする。まず、ステップS1において、氷供給装置の動作ONが許可されているか禁止されているかを判定する。動作ONが許可されているか禁止されているかは、マイコンに保存されている。マイコンには、駆動モータ191を駆動する時間を計るためのタイマー(図示せず)と、連続動作を制御するために使用するカウント(図示せず)とが設けられている。電源ON時の初期値は、冷凍室20内の温度により許可するか禁止するかを決定する。ステップS1の判定で、動作ONが禁止されている場合には、ステップS6に進む。動作ONが許可されている場合には、ステップS2に進む。
ステップS2において、動作ON中かOFF中か判定する。動作ON中の場合には、ステップS3に進む。動作OFF中の場合には、ステップS6に進む。
初めて電源ONする場合は、初期値としてカウントは0に設定されている。ステップS3において、カウントに100を足して更新し、ステップS4に進む。
ステップS4において、カウントが18,000以上かそれより小さいかを判定する。カウントが18,000以上の場合には、動作ONを禁止して(ステップS5)、ステップS1に戻る。
これにより、連続動作を積算180秒、すなわち3分間行うと、本制御により動作ONを強制的に禁止することができ、連続動作による駆動モータ191のコイル406の温度上昇を抑制することができる。
ここでステップS6において、カウントから10を引いたカウントが0より大きいか0以下を判定する。カウントから10を引いたカウントが0より大きい場合には、カウントから10を引いて更新し(ステップS7)、ステップS1に戻る。カウントから10を引いたカウントが0以下の場合には、カウントを0に更新し(ステップS8)、動作ONを許可して(ステップS9)、ステップS1に戻る。
これにより、連続動作により動作ON禁止となった後1,800秒、すなわち30分で、動作ON許可となり、駆動モータ191のコイル406の温度が十分下がった後に再び動作を可能とする。なお、図13では、ステップS4の数値を18,000としたが、これは駆動モータ191の温度上昇速度とコイル406の絶縁階級に伴い、設定を変えてもよい。また、ステップS6とステップS7の数値を10としたが、これはコイル406の冷却速度、すなわち温度下降速度に伴い、設定を変えてもよい。
さらに、本制御では連続動作の禁止の対象が駆動モータ191であったが、氷供給装置100の冷蔵庫内外の空気の流通を遮断するための蓋体(ダンパー)181の開閉駆動用のソレノイド等のアクチュエータ(図示せず)を対象にしてもよいし、駆動モータ191とアクチュエータの両方を対象としてもよい。
次に、図14を用いて、氷破砕に必要な駆動装置190の出力トルクについて説明する。氷未連結時(通常時)に氷破砕に必要な駆動装置190の出力トルクは実験の結果、5〜12Nmである。ここで、氷は水道水やミネラルウォーターを用いて製氷装置22で製造した氷を用いた。この氷は、製氷時間が早く、氷の中に空気の気泡が混ざるため、氷の硬度は高くない。また、氷未連結時とは、氷1個1個がお互いにくっついておらずに氷貯蔵部110に保存されている状態を示す。
ここで、氷連結時に氷破砕に氷破砕に必要な駆動装置190の出力トルクは実験の結果、7〜16Nmである。ここで、氷連結時とは、冷凍室ドア21の開閉が頻繁である場合に氷1個1個がお互いにくっついてしまい固まって氷貯蔵部110に保存されている状態を示す。
この実験結果を基に、駆動装置190の出力トルクを12〜16Nmと設定した。これにより、通常冷蔵庫の使用で想定される頻繁な冷凍室ドア21の開閉により、氷貯蔵部110の中で氷が固まってしまった場合でも、氷を破砕し供給することができる。また、出力トルクが大きいことで、製氷装置22で製造する硬度の高くない氷だけでなく、市販されている氷、いわゆるロックアイスも使用することができる。ロックアイスは使用する水内の不純物が少なく、また氷の結晶が大きいことから製氷装置22で製造する氷に比べて、硬度が高くなっている。
逆に、出力トルクを16Nm以上に設定すると、氷を破砕する際に氷供給装置100にかかる負荷が非常に大きくなり、氷破砕部130などの強度を十分に確保する必要がある。これについても、本発明の構造では斜めに配置されていることで氷貯蔵部110の強度を増すことができる。
ところで、上述のとおり、氷供給装置100は、ベース部材200と本体部材300とに分離可能なものであり、本体部材300には撹拌部120及び氷破砕部130が備えられる一方、ベース部材200には駆動装置190やホッパー部180が備えられる。このため、撹拌部120及び氷破砕部130とこれらを駆動する駆動装置190とは容易に係合及び離脱可能(即ち、係脱可能)である必要がある。これを可能とする構成について、以下に説明する。
図6,図7及び図5に示されるように、駆動装置190には、撹拌体121及び可動刃152が取り付けられる軸部材310との接続部分に、駆動力を伝達する伝達部193が設けられている。具体的には、伝達部193は、ギア192と直結される駆動軸体194の上端に設けられている。一方、撹拌体121及び可動刃152が取り付けられる軸部材310には、駆動装置190の駆動軸体194との接続部分に、駆動力が伝達される被伝達部311が設けられている。具体的には、被伝達部311は、軸部材310の下端に設けられている。
伝達部193は、被伝達部311に向かって延びる伝達突起195を有し、該伝達突起195は、駆動軸体194の回転軸を中心に該回転軸の外周を回転する。伝達突起195は、駆動軸体194の回転軸を中心とした同一円周上に複数設けられ、具体的には、駆動軸体194の回転軸を中心にして対称な位置に一対設けられる。
一方、被伝達部311は、伝達突起195を受け止める受止体312を有し、該受止体312は、軸部材310の回転軸を中心に回転する。そして、伝達部193と被伝達部311とが接続された状態では、伝達突起195が回転すると、それに押される態様で受止体312が回転する。具体的には、被伝達部311は、伝達部193の伝達突起195を内側に収容可能な環状部313を有し、受止体312は、その内周面から径方向内方に向かって延びるように形成されている。より具体的には、被伝達部311は、容器形状を有し、開口314を下方に向けた状態で配置されている。また、受止体312は、軸部材310の回転軸を中心とした同一円周上に複数設けられ、具体的には、軸部材310の回転軸を中心にして対称な位置に一対設けられる。
また、駆動軸体194の回転軸と軸部材310の回転軸とは、伝達部193と被伝達部311とが接続された状態で、同一直線上となるようにされている。そして、これら駆動軸体194及び軸部材310の回転軸は、水平方向に対して傾斜するように設定されている。一方、上述のように、本体部材300とベース部材200との着脱方向は鉛直方向となっている。従って、この本体部材300とベース部材200とをスムーズに着脱するために、伝達突起195と環状部313とは、互いに干渉しない寸法関係に設定されている。そして、かかる伝達部193と被伝達部311とが接続されると、図6に示すように、伝達突起195の先端部が環状部313の内部に入り込む状態となる。
具体的には、一対の伝達突起195のうち、環状部313の内部に入り込む先端部を前記分離方向に直交する平面(即ち、水平面)に投影した投影領域の大きさが、開口314を前記平面(即ち、水平面)に投影した投影領域内に収まる大きさに設定される。
次に、上記構成からなる氷供給装置100の動作について説明する。なお、氷供給装置100は、通常、氷破砕部130の切換体170が氷破砕室140の第一の放出部位143を閉塞する位置に進出する進出状態となっている。また、通常、可動刃152は、氷排出部141(若しくは、氷投入部112)を遮ってしまうことがないように、氷排出部142(若しくは、氷投入部112)の投影領域からずれた位置において停止されている。
まず、破砕されない氷が供給される場合について説明する。
利用者が操作部12を操作すると、氷破砕部130の切換体170が氷破砕室140の第一の放出部位143を閉塞しない位置に退避する退避状態(即ち、第一の放出部位143を開放する状態)となる。すると、氷が切換体170に阻止されて氷破砕室140に留まっていた場合には、その氷は重力に伴って提供箇所へ向かって落下する。また、撹拌体121が氷貯蔵部110内を回転し、貯蔵された氷を撹拌する。これらの動きに伴って、氷貯蔵部110に貯蔵された氷が、氷排出部112から氷破砕室140へと排出される。すると、これらの氷は、切換体170が退避しているため、氷破砕室140に留まることなく直ちに第一の放出部位143から放出される。
次に、破砕された氷が供給される場合について説明する。
利用者が操作部12を操作した際、氷破砕部130の切換体170は、氷破砕室140の第一の放出部位143を閉塞する位置に進出した進出状態のまま維持される。また、可動刃152が回転駆動され、切換体170に阻止されて氷破砕室140に留まっている氷は、可動刃152によって氷破砕室140内を斜め上方に掻き上げられつつ、固定刃151側へ向けて搬送される。
その後、氷は、可動刃152及び固定刃151に挟まれることによって破砕され、氷破砕室140の第二の放出部位144から放出される。なお、撹拌体121は、氷を破砕しない場合と同様に、氷貯蔵部110内を回転し、貯蔵された氷を撹拌する。
併せて、氷破砕部140に氷の詰まり等の異常が発生した場合の制御について説明する。まず、氷の詰まり等の異常が発生し可動刃152が回転不能な状態(いわゆる駆動モータ123のロック状態)となった場合、異常電流検知部がモータに流れる異常電流を検出され、該異常発生を報知する信号が制御部(図示しない)に送信される。
すると、制御部は、回復運転を実行するよう駆動装置190を制御する。回復運転としては、駆動モータ191の運転を停止するとともに、可動刃152を逆方向に回転させる制御を行う。この際、可動刃152は、所定の角度(例えば、約90度)逆回転するように制御され、その後、再度順方向に回転する通常の制御に復帰する。ただし、異常電流検知部が前記異常電流を再度検出した場合(即ち、依然として氷の詰まり等の異常が解消していない場合)には、再度可動刃152を逆方向に回転させる制御を行う。
なお、上記回復運転を複数回実行したにもかかわらず異常が解消しない場合には、駆動モータ191の運転を停止するよう制御し、ディスペンサー部10の表示部13に備えられるランプ等により、利用者に動作不能の旨を報知する。
以上のように、本実施形態に係る冷蔵庫1及び氷供給装置100によれば、貯蔵される氷は、重力に従って氷貯蔵部110の縮小部111に集められるため、該縮小部111に配置された氷排出部112から好適に排出することができる。従って、氷貯蔵部110に貯蔵される氷を余すことなく有効に利用することができる。
また、前記縮小部111は、氷貯蔵部110を画成する内面を水平方向に対して傾斜する傾斜面113とすることによって形成される。従って、氷を傾斜面113に沿ってスムーズに下方に集めて氷排出部112から排出することができる。
また、前記傾斜面113には、氷を氷排出部112に案内するための案内部117が前記氷排出部112に向かって設けられ、該案内部117は、凹状に窪んで形成される。従って、氷を確実に氷排出部112まで案内することができる。
また、前記傾斜面113は、互いに交差する2つの交差面114,115によって構成され、該2つの交差面114,115のうち一方の交差面114に前記氷排出部112が設けられ、他方の交差面115に前記案内部117が設けられる。このように、2つの交差面114,115の機能を分けることにより、氷の挙動を制御しやすくなり、より一層スムーズに氷を排出することができる。
また、前記氷貯蔵部110に貯蔵された氷を撹拌する撹拌部120を備える。従って、前記氷貯蔵部110に貯蔵された氷に擾乱を与えることができ、よりスムーズに下方に集めて氷排出部112から排出することができる。
また、前記撹拌部120は、前記氷貯蔵部110内を回転可能に配置される撹拌体121を備える。そして、前記氷貯蔵部110は、その内面と前記撹拌体121を回転させることによって形成される回転領域との間隔が前記撹拌体121の角度位置によって異なるように構成される。従って、撹拌体121を回転させることによって、氷を氷貯蔵部110の内面と不規則に衝突させることができ、より確実に氷に擾乱を与えることができる。また、仮に複数の氷が溶融及び固着して大きな氷塊になっていたとしても、衝突に伴って衝撃や外力が加えられることにより、個々の氷に分解することができる。
また、氷供給装置100は、前記氷排出部112から排出された氷を破砕可能な氷破砕部130を備え、前記氷破砕部130は、氷の通過経路Pを、氷を破砕せずに提供する一方の経路P1と、氷を破砕して提供する他方の経路P2とに切り換える切換体170を備える。従って、切換体170によって氷の供給態様を容易に切り換えることができる。また、この氷の供給態様は、切換体170の配置態様を変更することのみで切り換えることができる。
また、前記氷破砕部130は、氷を破砕する破砕部材150を備え、該破砕部材150は、前記氷破砕室140内を回転する可動刃152及び固定刃151によって構成され、前記可動刃152は、前記切換体170が前記一方の放出部位143を閉塞する状態の際に、前記氷破砕室140に投入された氷を移送しつつ回転して、固定刃151との間で挟むことにより破砕し、破砕された氷は、前記2つの放出部位143,144のうちの他方の放出部位144から外部に放出される。
また、前記可動刃152は、前記氷破砕室140の底面147に堆積し得る氷片を掻き出す掻き出し部153を備える。従って、可動刃152が回転する度に、堆積し得る氷片を掻き出すことができるため、氷片の堆積が原因で氷破砕部130の動作不良が発生するのを防止することができる。
また、前記氷破砕部130は、前記可動刃152を所定の方向にのみ回転させて氷を破砕するように構成され、可動刃152が回転不能となった場合には、前記可動刃152を一旦逆方向に回転させた後、再度順方向に回転させる運転を行う。可動刃152が回転不能となる場合としては、例えば氷の詰まり等の異常が発生した場合が考えられるが、このような場合であっても、可動刃152や、該可動刃152を駆動する駆動装置190が損傷するのを防止することができ、氷破砕部130ひいては氷供給装置100の保護を図ることができる。
また、氷供給装置100においては、前記撹拌部120及び氷破砕部130が前記傾斜面113の水平方向の投影領域内に収まるように配置される。従って、氷供給装置100の小型化を図ることができ、さらに、氷供給装置100を取り扱いやすいものとすることができる。
なお、本発明に係る冷蔵庫及び氷供給装置は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、前記傾斜面113を構成する2つの交差面114,115のうち一方の交差面114に前記氷排出部112が設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、2つの交差面114,115の両方に跨るように氷排出部112が設けられるものであってもよい。このようなものとしては、例えば、2つの交差面114,115が交差してできる谷間の部分に氷排出部が設けられるものが考えられる。
また、前記撹拌部120は、前記氷貯蔵部110内を回転可能に配置される撹拌体121を備えるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、氷を撹拌することができるものであれば、撹拌体121がどのような動作をするものであってもよい。さらに、氷に擾乱を与えることができるものであれば、例えば振動を与えるものであってもよい。
また、前記氷破砕部130は、氷の通過経路Pを切換体170によって2つに切り換えるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、通過経路は同一であるが、途中に氷を破砕する処理を行うか否かを変更するものであってもよい。この場合には、放出部は一つのみであってもよい。
また、前記破砕部材150は、前記氷破砕室140内を回転する可動刃152及び固定刃151によって構成されるものであるとして説明したが、これに限定されるものではなく、各刃が両方とも回転するものであってもよい。さらに、氷を破砕することができるものであれば、破砕部材の形状や動作はどのようなものであってもよい。
また、前記氷破砕室140の上面146は、前記一方の交差面114の一部を構成するものであるとして説明したが、これに限定されるものではない。また、前記氷破砕室140の上面146が前記一方の交差面114の一部を構成するものであった関係上、前記氷破砕室140の投入部141は前記氷貯蔵部110の氷排出部112に相当するものとなっていたが、これに限定されるものではなく、氷破砕室と氷貯蔵部とが離れた位置に設けられ、投入部と氷排出部とは別途設けられる氷の通路を介して接続されるものであってもよい。
また、氷供給装置100や給水装置は、提供空間11内に配置されたレバーを押すことで作動するものであるとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、駆動装置190は、ディスペンサー部10の操作部12を操作することによって駆動されるものであってもよい。その駆動の態様としては、利用者が操作部12を操作している(例えば、ボタンを押している)間のみ駆動を継続するものであってもよく、一旦操作部12を操作すると、所定の時間(例えば、5〜10秒)駆動した後に停止するものであってもよい。
また、製氷装置22は冷凍室20に設けられるものであるとして説明したが、これに限定されるものではなく、冷凍室ドア21側に設けられるものであってもよい。この場合には、例えば、氷供給装置100の真上に製氷装置を設ける構造が考えられる。
以上より、可燃性冷媒を使用する場合において、安全性の高い氷供給装置及び氷供給装置を備えた冷蔵庫を提供することができる。
また、氷がドア開閉や長期間放置によって固まっても、氷を破砕することができ、使用環境に関わらずいつでも氷を取り出せる信頼性の高い、便利な冷蔵庫とすることができる。