JP2010194639A - 形彫放電加工の工具電極の設計方法 - Google Patents

形彫放電加工の工具電極の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】最大許容誤差に対するデータ量が多く、加工形状によって形状喪失部位または形状誤差部位を発生し作業の負担が大きく、実質的に揺動加工に適応する工具電極を生成できない場合がある。
【解決手段】所望の加工形状を表わす被加工物のソリッドモデルをZ−Mapモデルに変換してZ−Mapの被加工物モデルから反転モデルを生成する。そして、Z−Mapの被加工物モデルと反転モデルとを所定の初期位置から所望の電極減寸量と予め設定された揺動形状に基づく揺動軌跡に従って1格子ずつ相対移動させて被加工物モデルと反転モデルとの重複部位を反転モデルから削除する演算を繰り返して基礎モデルを生成し、基礎モデルを工具電極モデルに変換する。
【選択図】図1

Description

本発明は、形彫放電加工における工具電極を設計するコンピュータ支援設計に関する。特に、工具電極を加工穴の深さ方向に対して垂直な方向に相対移動させる揺動加工に適応する工具電極を設計する方法に関する。
形彫放電加工は、工具電極と被加工物を対向配置して工具電極と被加工物とで形成される加工間隙に電圧パルスを印加して両極間に間歇的に放電を発生させ、工具電極の外郭形状を被加工物に転写するようにして被加工物に所望の加工形状の加工穴を形成する。所望の加工形状の反転形状を有する工具電極を総型電極、総型電極の一部分の外郭形状を有する工具電極を部分電極、円柱または角柱の工具電極を単純電極として、加工計画に基づいて工具電極が設計製作される。
一発の放電における放電エネルギが大きいほど被加工物から除去される材料の量が多くなる。放電エネルギの大きさは、加工間隙に流れる放電電流の電流密度に依存する。したがって、放電一発当たりの加工除去量は、放電電流パルスのピーク電流値とパルス幅によって異なる。放電一発当たりの加工除去量が多いほど加工速度が速くなる一方で、加工面粗さが粗くなるとともに、加工形状精度が低下する傾向にある。
そのため、加工穴のサイズが小さく加工除去量が極端に少ない場合を除いて、一般的な形彫放電加工に求められる十数μmRz以下の加工面粗さで寸法誤差が十数μm以下の加工形状精度を得ることができる小さい放電エネルギの電気加工条件で放電加工を行なうと、加工速度が遅く許容できない加工時間を要する。そこで、荒加工工程から最終仕上げ加工工程までの複数回の加工工程に分けて放電エネルギを段階的に小さくしながら加工穴を放電加工するようにされている。
総型電極は、放電ギャップが存在するため所望の加工形状に対して少なくとも放電ギャップの大きさだけ小さく製作される必要がある。工具電極を小さくする寸法を電極減寸量(電極縮小代)という。加工間隙に供給される平均加工電圧に対応して設定されるサーボ基準電圧で放電ギャップの大きさが変わる。また、放電加工によって工具電極からも少しずつ材料が除かれ消耗して小さくなる。そのため、複数回の加工工程で所望の加工形状の加工穴を放電加工する場合は、電極減寸量が異なる加工工程の同数の工具電極が必要になり、工具電極の設計製作に相当の時間を要する。
そこで、工具電極を加工穴の深さ方向に相対移動させるとともに深さ方向に対して垂直な方向に相対移動させる、いわゆる揺動加工または寄せ加工と称される加工方法が広く採用されている。揺動加工方法は、数回の加工工程を1本の工具電極で加工することができるので、放電加工全体で要求される工具電極の数を大幅に減らすことができ、作業効率が大幅に向上する。以下、工具電極の深さ方向に対して垂直な方向の相対移動を揺動、工具電極が揺動する方向を揺動方向、工具電極が揺動する基準の平面を揺動平面、揺動平面上の工具電極の相対移動軌跡を揺動軌跡、揺動軌跡の形態を揺動形状という。
揺動加工では、工具電極を揺動方向に所定の揺動量(揺動振幅)相対移動させて工具電極と被加工物との間に加工間隙を形成させるので、電極減寸量は、推定される工具電極の消耗量を含む安全代を無視して考えると、放電ギャップに加工面粗さと揺動量とを加算した寸法になる。また、加工穴の全ての側面において所定の加工間隙が形成されるためには、所望の加工形状、具体的には加工穴の底面形状に合わせて揺動形状が決定される。
そのため、単純に所望の加工形状全体を電極減寸量だけ小さくした相似形状の総型電極では、所望の加工形状が形成されないケースが存在する。したがって、揺動加工に適応する工具電極を設計するときは、所望の電極減寸量と揺動形状で決定する揺動軌跡上の全ての相対位置で放電加工が可能であるかどうかを判断した上で正しい寸法を計算して電極形状を決定しなければならない。その結果、工具電極を設計する作業者に高度な知識と技術が要求され、作業者に大きな負担であり、作業効率を改善することが望まれている。
このような工具電極の設計は、工具電極設計用のコンピュータ支援設計システム(CAD, Computer Aided Design System)を用いて行なわれることが多くなっている。揺動加工に適応する工具電極を設計する基本的な技術思想が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される手法は、加工形状モデルの反転モデルを電極減寸量オフセットした基礎モデル作成し、基礎モデルを揺動形状(揺動パターン)に従って平行コピーして生成される複数の複写モデルを集合演算して得られる積集合モデルを工具電極モデルとする。
基本的な技術思想に基づいて二次元を三次元に進化させた工具電極の設計方法が、例えば、特許文献2または特許文献3に開示されている。特許文献2または特許文献3に開示される手法は、最終製品を設計する三次元CADシステムで作成された所望の加工形状を表わす被加工物の三次元形状モデル(ソリッドモデル)の反転モデルに基づいて基礎モデルを作成し、基礎モデルを電極減寸量と揺動形状とに従って移動複写して生成される複数の複写モデルを集合演算して得られる積集合モデルを工具電極モデルとする。
特開平5−92348号公報 特開2005−324259号公報 特開2006−35320号公報
複写モデルの積集合から工具電極モデルを得る場合、図9に示されるように、積集合による避け難い寸法誤差が発生する。複写モデルの数を増大することによって寸法誤差を小さくすることができるが、複写モデルの数に依存してデータ量が増加して演算時間が長くなり、最大許容誤差以内の工具電極モデルを生成するまでに長時間を要する。また、実際の電極形状よりも大きくなる部位が存在する可能性がある。特に、最大許容誤差が小さい高精度の三次元の工具電極モデルを得ようとする場合は、各モデルを構成する最小の構成要素のデータ量が膨大であり、汎用のパーソナルコンピュータの演算装置ではハングアップして計算できなくなることがある。
また、図10に示されるように、加工形状によって加工形状と揺動する工具電極との間に干渉が発生する場合があるため、積集合モデルに形状喪失部位が発生して正しい工具電極モデルを生成できないケースが数多く存在する。自由設計される任意の所望の加工形状から干渉の発生を識別して積集合モデルの形状喪失部位を変形修正することは、相当困難であり、仮に積集合モデルの変形修正が可能であるとしても、変形修正に要求される作業者の負担が増大する。また、演算プロセスが一層複雑化するので、工具電極設計用のシステムにおけるソフトウェアの作成にかかる負担が大きい。
また、図11に示されるコーナRのように揺動形状によって基礎モデルと要求される正しい工具電極モデルとの間で異なる形状になる形状誤差部位を有する加工形状の場合、揺動形状に対応して基礎モデルの段階で形状誤差部位を予め変形修正してから複写モデルを生成する必要がある。しかしながら、基礎モデルの段階で形状誤差部位を変形修正する演算アルゴリズムは簡単ではなく、演算装置にかかる負担も増大するため、工具電極を設計する方法に改良の余地がある。
本発明は、コンピュータ支援設計で揺動加工のための工具電極モデルを設計する方法において、演算にかかる負担を増大することなく生成される工具電極モデルの誤差を小さくできる工具電極の設計方法を提供することを主たる目的とする。特に、演算にかかる負担を増大することなく生成される工具電極モデルの誤差を小さくし、総型電極で物理的に揺動加工が可能である工具電極モデルの設計をより容易にする工具電極の設計方法を提供することを目的とする。その他の本発明の工具電極の設計方法の有利な点は、具体的な発明の実施の形態の説明においてその都度示される。
本発明の工具電極の設計方法は、所望の加工形状を表わす被加工物のソリッドモデルをZ−Mapモデルに変換する工程と、Z−Mapモデルに変換された被加工物モデルを反転した反転モデルを生成する工程と、被加工物モデルと反転モデルとを所定の初期位置から所望の電極減寸量と予め設定された揺動形状に基づく揺動軌跡に従って単位移動量相対移動させて単位移動量相対移動させるたびに被加工物モデルと反転モデルとが重複する重複部位を反転モデルから削除する演算を初期位置に戻るまで繰返し行なって基礎モデルを生成する工程と、基礎モデルに基づいて工具電極モデルを生成する工程と、を有する。
特に、ソリッドモデルをZ−Mapモデルに変換する工程の前にソリッドデータで求められる底面形状または輪郭形状のデータを取得する工程と、底面形状または輪郭形状を所定の形状種類に分別する工程と、分別された前記形状種類に対応して予め定義されている手法に従って揺動形状を選定する工程と、を含んでなる。
本発明の工具電極の設計方法は、加工形状モデルと反転モデルとを揺動軌跡に従って相対移動させたときに生じる重複部分を反転モデルから削除していく手法で工具電極モデルを求めるので、基本的に形状喪失部位または形状誤差部位が発生せず、殆んどの揺動加工が可能な加工形状で工具電極モデルの形状が破綻するおそれがない。そのため、実質的に基礎モデルの変形修正が要求されない。そして、演算アルゴリズムが比較的簡単で処理するデータ量が少ないので、演算装置にかかる負担が大幅に軽減され、最大許容誤差以内の工具電極モデルを生成するために要する時間が短縮される。
また、加工形状モデルと反転モデルとの重複部位の削除の計算をZ−Mapモデルで行なうので、生成される工具電極モデルの寸法誤差が元来データ量の小さいZ−Mapモデルの格子の大きさに依存するので、格子を最大許容誤差に合わせるだけでよく、比較的高精度の工具電極モデルであっても演算処理するデータ量が急激に増加することがない。その結果、最大許容誤差以内の高精度の工具電極モデルを生成する時間が大幅に短縮される。また、演算装置が計算不能に陥って工具電極モデルが生成できなくなることがない。
加えて、ソリッドモデルの集合演算で得られる工具電極モデルが実際の電極形状と一致する部位を超えて大きくなる部位が存在するおそれがあるのに対して、Z−Mapモデルの各格子点は、ある程度間引かれているものの、全て実際の電極形状の内側にある点である。したがって、演算アルゴリズムで得られる工具電極モデル上の各格子点の座標値は、揺動加工に適応する実際の工具電極の中に実在し、実際の電極形状を越えて大きくなることがない。そのため、本質的に加工の失敗に至る不適当な工具電極が生成されることがなく、信頼性が高い。
このように、本発明の工具電極の設計方法によると、工具電極の設計に要する作業者と演算装置の負担を軽減し作業時間が削減され、作業効率を向上させる効果を奏する。そして、従来の工具電極の設計方法では困難であった物理的に総型電極で揺動加工が可能である多くの任意の加工形状に対して工具電極のコンピュータ支援設計ができるので、より容易に揺動加工のための工具電極を設計でき、作業効率が大幅に向上する。また、揺動加工が可能であるにも関わらずに多数の工具電極を準備しておこなっていた加工あるいは部分電極で行なっていた加工の揺動加工を行なうための総型電極の設計をより容易に行なって揺動加工を行なうことができるので、加工効率を向上させる効果を奏する。
本発明の工具電極を設計するプロセスを示すフローチャートである。 本発明の揺動形状を選定するプロセスを示すフローチャートである。 被加工物モデルから反転モデルを得るプロセスを示すZ−Mapモデルの模式図である。 被加工物モデルと反転モデルとの重複部位を削除するプロセスを示すZ−Mapモデルの模式図である。 星型正多角形の揺動加工における加工形状と工具電極モデルとの関係を示す平面図である。 鋭角頂点多角形の揺動加工における加工形状と工具電極モデルとの関係を示す平面図である。 鈍角頂点を含む多角形の揺動加工における加工形状と工具電極モデルとの関係を示す平面図である。 角揺動による揺動加工が可能な加工形状の実例を示す斜視図である。 円揺動における積集合モデルの寸法誤差を示す平面図である。 角揺動における積集合モデルの形状喪失部位を示す平面図である。 コーナRを有する積集合モデルの形状誤差部位を示す平面図である。
図1は、本発明の工具電極の設計方法における好ましい実施の形態の具体的なプロセスを示す。図2は、本発明の工具電極の設計方法において揺動形状を選定するプロセスを示す。図3および図4は、被加工物モデルから基礎モデルを得るまでのプロセスを示す。図5ないし図8は、揺動加工の例を示す。以下、図9ないし図11の揺動加工の例を含めて、各図を用いて本発明の工具電極の設計方法を詳細に説明する。ただし、実施の形態では、基本的に加工穴を二次元揺動加工で形彫放電加工する場合で説明され、特に言及がある場合に限り金型コアのような凸部品を揺動加工する場合を説明する。
工具電極を設計するに当たって最終製品を設計する三次元CADシステムから所望の加工形状を表わす被加工物のソリッドモデル(三次元形状モデル)のデータを取得する(S1)。そして、取得したソリッドモデルをZ−Mapモデルに変換する(S2)。Z−Mapモデルに変換された被加工物モデルの格子の最小単位は、生成する工具電極モデルに要求される最大許容誤差に基づいて予め定められている。
Z−Mapモデルは、XY平面上にマトリックス状に配設される格子で定められる格子要素をX値とY値とし、格子要素の中に収納される格子高要素をZ値として、各格子点の集合で構成される。したがって、三次元形状モデルの境界における格子点のデータが存在すると、モデルの中実部分に当たる格子点のデータは、X値とY値とからZ値を得ることで決定される。このようなZ−Mapモデルの特徴からZ−Map法による立体の表現は、最終製品を設計するCADシステムで適用されていない。したがって、最終製品を設計するCADシステムで生成された加工形状を表わす被加工物のソリッドデータを工具電極設計用のCADシステムで適用するZ−Mapモデルに変換するようにしている。
ソリッドモデルをZ―Mapモデルに変換する手法は、例えば、ソリッドモデルの表面を形成するポリゴンあるいはボクセルのような構成要素の中心座標値または平均座標値を最大許容誤差の範囲で格子点の座標値に順次変換する。または、ソリッドモデルから得られるサーフェスモデルの表面を構成するポリゴンやパラメトリック曲線の座標値を最大許容誤差の範囲で格子点の座標値に順次変換する。中実部分のZ値は、表面におけるX値とY値から求めることができる。例えば、図3左側に示されるように、予め定められたZ−Map領域に所望の加工形状を表わす被加工物のZ−Mapモデルが生成される。
次に、Z−Mapモデルに変換された被加工物モデルを反転した反転モデルを生成する(S3)。図3に示されるように、反転モデルを表わす格子数は、被加工物モデルと同じ格子数であるから、反転モデルにおける各格子におけるZ値は、X値とY値から数1で求められる。ただし、zwn[x,y]は被加工物モデルのn番目の格子におけるX値とY値に対するZ値、hは予め定められているZ−Map領域における被加工物を包含する全高、zen[x,y]は反転モデルにおけるn番目の格子におけるX値とY値に対するZ値である。
Figure 2010194639
反転モデルを生成したら、被加工物モデルと反転モデルとを所定の初期位置から所望の電極減寸量と予め設定された揺動形状に基づく揺動軌跡に従って単位移動量相対移動させて単位移動量相対移動させるたびに被加工物モデルと反転モデルとが重複する重複部位を反転モデルから削除する演算を初期位置に戻るまで繰返し行なうシミュレーションを行なって基礎モデルを生成する。
実施の形態の工具電極の設計方法では、単位移動量を1格子とする。揺動軌跡における初期位置は、一般的に工具電極の中心位置であり、被加工物モデルの完全な反転モデルの場合は、被加工物モデルと重複することがない被加工物モデルと相対向する位置である。揺動軌跡は、作業者が入力する所望の電極減寸量と予め設定された揺動形状に基づいて決定される。そのため、電極減寸量と揺動形状のデータを取得する(S4)。
揺動形状のデータは、作業者がディスプレイの表示画面上に表示されるいくつかの揺動形状の中から選択設定してCADシステムに与えられる。所望の電極減寸量は、要求される加工面粗さないしは加工形状精度と加工速度に従う電気加工条件および工具電極の製作上確保しなければならない寸法のようないくつかの制約の範囲内で決定される。
シミュレーションでは、図4左側に示される初期位置における初期状態から図示しない所定の揺動軌跡に従って反転モデルを被加工物モデルに対して1格子相対移動させる(S5)。図4中央では、図面向かって右側に1格子相対移動させた状態を示している。図4に示されるように、1格子相対移動させると、被加工物モデルと反転モデルとが重複する重複部位が生じる。
ここで、重複部位を反転モデルから削除する演算を行なう(S6)。被加工物モデルと反転モデルは、共にZ−Mapモデルであり、同一のZ−Map領域の格子上に配置されているので、反転モデルの各格子におけるZ値を求めるだけでよい。任意の格子における反転モデルのZ値は、数2で求められる。ただし、zwn[x,y]は被加工物モデルのn番目の格子におけるX値とY値に対するZ値、hは予め定められているZ−Map領域における被加工物を包含する全高、zen[x,y]は、n番目の格子における被加工物モデルとの重複部位が削除された後の反転モデルのX値とY値に対するZ値である。
Figure 2010194639
反転モデルが所定の揺動軌跡に従って1格子相対移動され、重複部位が削除された後の反転モデルの形状が図4右側に示される。このようにして、反転モデルを1格子ずつ相対移動させて重複部位を削除する工程を初期位置に戻るまで繰返し行なう(S7)。そして、被加工物モデルと反転モデルとを1格子ずつ相対移動させて順次重複部位を削除していくと、所望の電極減寸量で予め設定された揺動形状に合致する基礎モデルが生成される。
実施の形態の工具電極の設計方法では、基礎モデルから工具電極モデルを生成するときには、実質的に変更修正をすることが要求されない。したがって、基礎モデルが工具電極モデルとして生成される。ただし、基礎モデルは、Z−Mapモデルであるので、実施の形態の工具電極の設計方法においては、一般で広く利用されている最終製品を設計するCADシステムで工具電極モデルをディスプレイの画面に精密に表示したり、モデルを変形したりするような編集をすることができるようにするために、基礎モデルをソリッドモデルに変換して工具電極モデルを生成する(S8)。
基礎モデルのZ−Mapモデルを工具電極のソリッドモデルに変換する手法は、例えば、各格子点の座標値を中心座標または外側座標として各格子点をソリッドモデルの最小の構成要素に順次変換する。Z−Mapモデルにおける中実部分のZ値は、表面におけるX値とY値から求めることができる。このとき、1格子点に対してソリッドモデルの1つの構成要素に置き換えるのではなく、格子点間を埋めるように複数の構成要素に置き換えるようにすることができる。
このように、本発明の工具電極の設計方法は、被加工物モデルと重複する重複部位を反転モデルから削除するので、実質的に反転モデルのZ値を計算するだけで反転モデルを生成することができる。そのため、演算アルゴリズムが簡単でデータ量が少なく、高精度の工具電極モデルを演算装置にストレスを与えずに短時間で生成できる点で優位である。また、各格子点が全て実際の電極形状の内側に存在するようになるため、工具電極モデルが加工形状を超える大きさにならず、本質的に加工の失敗を招来する不適当な工具電極モデルが生成されない。
そして、被加工物モデルと反転モデルを所望の電極減寸量と揺動形状に基づいて規定される揺動軌跡に沿って最大許容誤差を超えない1格子ごとに相対移動させるシミュレーションを行なって重複部位を削除することで基礎モデルを得るので、形状喪失部位または形状誤差部位が発生せず、変形修正が要求されない。そのため、これまで工具電極の設計が困難であった多くの揺動加工可能な加工形状に対して寸法誤差が最大許容誤差内で工具電極が容易に生成される優れた利点を有する。
以上のプロセスは、加工穴を放電加工する工具電極を生成する場合を示したが、形彫放電加工において数が多くないものの、凸部品を放電加工する場合がある。工具電極側が凹形状である場合は、実施の形態のプロセスで説明された被加工物モデルと反転モデルを反対に置き換えて考えることで、実施の形態と同一のプロセスで工具電極モデルを生成することができる。
次に、揺動形状を自動的に選定する方法のプロセスを具体的に説明する。揺動形状の選定は、工具電極モデルを生成する主プロセスにおける揺動形状のデータを取得する前に行なわれる。実施の形態の工具電極の設計方法では、説明を簡単にするために、二次元揺動形状を選定するプロセスを説明するが、開示されるプロセスを加工要求に対応して揺動形状を選択できるように変形することで、与えられた所望の加工形状から三次元揺動形状を自動的に選択できるようにすることは困難なことではない。
加工穴を揺動加工で形彫放電加工する揺動形状は、基本的に加工穴の底面形状または加工穴の輪郭形状を平面上に投影した投影形状に基づいて選定される。そのため、最終製品を設計するCADシステムから所望の加工形状を表わす被加工物のソリッドデータで求められる底面形状または輪郭形状のデータを取得する。なお、被加工物における所望の加工形状が凸部品である場合は、凸部品の輪郭形状を平面上に投影した投影形状のデータを取得する。以下、揺動軌跡を選定する基準となる形状を加工穴の底面形状として説明する。
加工穴の底面形状は、所定の形状種類に分別される。実施の形態における予め定められた形状種類は、具体的に、円形、星形正多角形、鋭角頂点多角形、鈍角頂点を含む多角形、ブロック形状、勾配またはフィレットを有する形状、自由曲面である。特定の形状種類に分別されて特定されたら、特定された形状種類に対応して予め定義されている手法に従って揺動形状を選定する。数値制御装置は、揺動形状と揺動量が与えられると、工具電極を選定された揺動形状と揺動量に基づく揺動軌跡に従って工具電極を揺動させることができる。なお、揺動軌跡をサブプログラムとしてNCプログラムに記述することも可能である。
底面形状が頂点を有さない円形の加工穴であるときは(S11)、揺動形状として円形状が選択される(S12)。最終仕上げ加工工程以外の揺動量は、所望の電極減寸量から電気加工条件で決定する放電ギャップと加工面粗さを差し引いた距離である。したがって、揺動軌跡は、例えば、図9に示されるように、初期位置を中心に揺動量だけ拡大して周回した後に初期位置に戻る円である。
ただし、工具電極は、電極減寸量だけ小さく製作される必要があるので、被加工物モデルと反転モデルとを単位移動量ずつ相対移動させて反転モデルから基礎モデルを得るシミュレーションを行なうときは、揺動軌跡の拡大する方向の距離を揺動量ではなく、電極減寸量である。このことは、本質的に以下に説明される全ての揺動軌跡について同じである。
例外的に投影形状が“星型正多角形”である凸部品を放電加工する場合は(S13)、揺動形状として辺放射形状が選択される(S14)。ここでいう星型正多角形とは、図5に示されるように、底面形状が同一角度の鋭角頂点と同一角度の鈍角頂点とを交互に有する形状を示す。星形正多角形状の凸部品は、適当な揺動形状が選定できず、総型電極で揺動加工することができなかったが、工具電極の任意の辺を延長した延長線上の方向に往復移動させることで揺動加工できることが判明した。したがって、揺動軌跡は、初期位置を中心に任意に選択される一辺の延長線の方向に揺動量往復移動する直線である。
底面形状が“鋭角頂点多角形”である加工穴であるときは(S15)、揺動形状として多角形の相似形状または放射形状が選択される(S16)。ここでいう鋭角頂点多角形とは、図6に示されるように、工具電極の頂点が全て鋭角になる多角形を示す。したがって、揺動軌跡は、初期位置を中心に揺動量だけ拡大して底面形状と相似の形状を周回した後に初期位置に戻る形状である。
底面形状が鈍角頂点を含む多角形である加工穴であるときは(S17)、揺動形状として鈍角頂点の外角方向に移動する鈍角方向放射形状が選択される(S18)。ここでいう鈍角頂点を含む多角形とは、図7に示されるように、工具電極の頂点の中に鈍角の頂点部位が存在する多角形を示す。したがって、揺動軌跡は、初期位置を中心に鈍角頂点の方向に沿って揺動量だけ往復する直線である。
底面形状がブロック形状、勾配またはフィレットを有する形状、自由曲面の形状である加工穴であるときは(S19)、揺動形状として角形状が選択される(S20)。ブロック形状とは、図8(A)に示されるように、NCプログラムのNCコードで指定できる直線または円弧のブロックのみで形成されている加工形状である。勾配またはフィレットを有する形状とは、図8(B)に示されるように、加工穴の底面に勾配またはフィレットがある形状である。図8(C)は、自由曲面の例を示す。したがって、揺動軌跡は、例えば、図10に示されるように、初期位置を中心に揺動量拡大してコーナを通って周回した後に初期位置に戻る四角形である。
加工穴の底面形状が揺動軌跡を選定するプロセス中の何れの形状にも属さない場合は、現在の加工技術で基本的に揺動加工ができない形状であり、該当する揺動加工のための工具電極モデルが実質的に存在しない(S21)。したがって、揺動加工を行なわない総型電極の工具電極モデルを作成するか、複数の部分電極の工具電極モデルを作成する。
以上に説明される実施の形態の工具電極の設計方法は、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で、すでにいくつかの例が挙げられているように変形、置換、組合せのような応用が可能であり、主プロセスにいくつかのプロセスを追加することができる。
本発明の工具電極の設計方法は、コンピュータ支援設計で適用される。本発明の工具電極の設計方法は、形彫放電加工において揺動加工に適応する工具電極の設計の作業効率を向上させ、信頼性を高め、形彫放電加工の発展に寄与する。
L 電極減寸量
X 揺動方向

Claims (2)

  1. 所望の加工形状を表わす被加工物のソリッドモデルをZ−Mapモデルに変換する工程と、Z−Mapモデルに変換された被加工物モデルを反転した反転モデルを生成する工程と、前記被加工物モデルと前記反転モデルとを所定の初期位置から所望の電極減寸量と予め設定された揺動形状に基づく揺動軌跡に従って単位移動量相対移動させて前記単位移動量相対移動させるたびに前記被加工物モデルと前記反転モデルとが重複する重複部位を前記反転モデルから削除する演算を前記初期位置に戻るまで繰返し行なって基礎モデルを生成する工程と、前記基礎モデルに基づいて工具電極モデルを生成する工程と、を含んでなる形彫放電加工の工具電極の設計方法。
  2. 前記ソリッドモデルをZ−Mapモデルに変換する工程の前に前記ソリッドデータで求められる底面形状または輪郭形状のデータを取得する工程と、前記底面形状または輪郭形状を所定の形状種類に分別する工程と、分別された前記形状種類に対応して予め定義されている手法に従って前記揺動形状を選定する工程と、を含んでなる請求項1に記載の形彫放電加工の工具電極の設計方法。
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