JP2010189291A - アディポネクチン増加剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れたアディポネクチン発現増加作用を有するアディポネクチン増加剤の提供。
【解決手段】パプリカ色素を有効成分とするアディポネクチン増加剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規なアディポネクチン増加剤に関する。
アディポネクチン(adiponectin)は、主に脂肪細胞から分泌される因子(アディポカイン)であるが、近年インスリン抵抗性改善作用や抗動脈硬化作用があることが報告されている(非特許文献1)。アディポネクチン以外のアディポカインとして、TNF-α(tumor necrosis factor α)、レジスチン、遊離脂肪酸、PAI-1(plasminogen activator inhibitor 1)などが知られているが、これらはいずれもインスリン抵抗性を惹起することが明らかになっている。アディポネクチンは多くのアディポカインとは異なりインスリン抵抗性を改善する善玉アディポカインであることから、最近、非常に注目されている。
アディポネクチンはその作用だけではなく、血中アディポネクチン量の低下が糖尿病発症の予知マーカーになることも臨床データとして示されている(非特許文献2)。また、血中アディポネクチン量は肥満度と逆相関を示すことが報告されており(非特許文献3)、肥満によるインスリン抵抗性、糖尿病、動脈硬化症、循環器疾患の発症、増悪においてアディポネクチンの低下が重要な役割を果たしていると推察されている。実際、血中アディポネクチンが低いほど心筋梗塞の発症リスクが高くなることが明らかになっている。さらに最近、血中アディポネクチン量が骨密度と正相関することが報告され(非特許文献4)、アディポネクチンを増加させることにより骨密度の低下を予防・改善できることが示唆されている。
アディポネクチン発現量を評価するin vitro 試験系はいくつか確立されており、例えば、脂肪前駆細胞株である3T3-L1細胞を分化させた系が知られている。この系において、TNF-α、インスリン、グルココルチコイド受容体アゴニストであるデキサメタゾンなどの添加でアディポネクチン発現量が低下することが報告されている(非特許文献5)。また、グルココルチコイドの添加によってもアディポネクチン発現量が低下すること、一方、悪玉アディポカインであるPAI-1の分泌は増加することが報告されている(非特許文献6)。さらに、ヒト臨床試験においてグルココルチコイドの投与により、血中アディポネクチンが低下することが報告されている(非特許文献7)。このことから、グルココルチコイド自体がアディポカインの異常を引き起こし、アディポネクチン発現・分泌に影響を与えると考えられている。
グルココルチコイドは、また、肥満における脂肪細胞機能異常にも関与していることもわかってきた。不活性型のグルココルチコイド(cortisone)を活性型(cortisol)に変換する酵素はHSD1(11β-hydroxysteroid dehydrogenase 1)であるが、肥満度と脂肪組織でのHSD1の発現量の間に正の相関があることが明らかとなっている(非特許文献8)。さらにHSD1のノックアウトマウスはメタボリックシンドロームが発症し難いことがわかっており(非特許文献9)、脂肪細胞で過剰産生されるグルココルチコイドがメタボリックシンドロームの発症要因のひとつになっていることが示唆されている。
以上のことから、脂肪細胞を用いたin vitro 試験系において、デキサメタゾン、グルココルチコイドの添加によってもアディポネクチン発現量を増加させる物質は、アディポネクチン発現を増加させる物質として有用であり、ひいては動脈硬化症、糖尿病、高血圧症などの各疾病や、各種生活習慣病の上流に位置するメタボリックシンドローム、骨密度の低下などの予防・改善に有用であると考えられる。
一方、パプリカ色素は、トウガラシの果実から得られるカプサンチンを主成分とする油溶性の色素であり、天然色素として食品などに広く利用されている。カプサンチンは、カロテノイド類に属する成分であり、カロテノイド類には低アディポネクチン状態によって引き起こされる疾患の予防・治療効果があると報告されているが(特許文献1)、カロテノイド類がアディポネクチン発現増加作用を有することを示すデータは全くない。また、特許文献1にはカプサンチンの例示はなく、これまでにパプリカ色素がアディポネクチンに対して与える影響については全く知られていない。
特開2005−232059号公報
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本発明は、優れたアディポネクチン発現増加作用を有するアディポネクチン増加剤を提供することに関する。
本発明者らは、アディポネクチン発現増加作用を有する物質について検討した結果、パプリカ色素が血中のアディポネクチン発現を有効に増加させることができ、アディポネクチン増加剤として有用であることを見出した。
前述したように、パプリカ色素の主成分であるカプサンチンは、カロテノイド類に属する成分であるが、特許文献1に例示されているカロテノイド類、例えばβ-カロテンにはアディポネクチン発現増加作用は認められなかった。また、カプサンチン、β-カロテンと同じカロテノイド類に属するクロセチンを主成分とするクチナシ黄色素も同様にアディポネクチン発現増加作用は認められなかった。更に、カプサンチンより抗酸化力の高いα−トコフェロールも同様にアディポネクチン発現増加作用は認められなかった。従って、パプリカ色素によって上記の効果が奏されるのは全く予想外のことである。
すなわち、本発明は、パプリカ色素を有効成分とするアディポネクチン増加剤を提供するものである。
本発明のアディポネクチン増加剤を用いれば、血中のアディポネクチン発現量を増加させることができ、その発現を増加することに有用性があると考えられる各種疾病、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症、肥満、メタボリックシンドローム、骨密度の低下などの予防・改善を図ることができる。
脂肪細胞におけるパプリカ色素のアディポネクチン発現増加効果を示す図である。 レム睡眠阻害系におけるパプリカ色素の血漿アディポネクチン発現増加効果を示す図である。
本発明で用いるパプリカ色素は、ナス科トウガラシ(Capsicum annuum Linne)の果実から得られる色素であり、カプサンチンを主成分とする。トウガラシは別名パプリカ、甘トウガラシとも称され、また、パプリカ色素は別名トウガラシ色素、カプシカム色素、Paprika oleoresin、カロチノイド、カロチノイド色素、カロテノイド、カロテノイド色素とも称され、それらの名称で市販されている。また、パプリカ色素は食品添加物として、着色料として広く食品に使用されている。
パプリカ色素は、トウガラシの果実より、そのままあるいは乾燥した後に適当な大きさに切断したり、粉砕加工したりしたものを抽出して得られる抽出物、その希釈液、その濃縮液、その乾燥末又はペースト状などが包含される。抽出方法は、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超臨界抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出等のいずれでもよい。
抽出溶剤としては、極性溶剤、非極性溶剤のいずれをも使用することができ、これらを混合して用いることもできる。例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;ピリジン類;超臨界二酸化炭素;油脂、ワックス、その他菜種油、オリーブ油、大豆油などのオイルなどが挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用でき、溶剤を変えて繰り返し行うことも可能である。このうち、エタノール、ヘキサン、超臨界二酸化炭素、油脂、オイル等を用いるのが好ましい。
抽出は、例えばトウガラシ1質量部に対して1〜50質量部の溶剤を用い、0〜100℃で数時間〜数週間浸漬又は加熱還流するのが好ましい。
本発明に用いられるパプリカ色素は、食品上・医薬品上許容し得る規格に適合し本発明の効果を発揮するものであれば粗精製物であってもよく、さらに得られた粗精製物を公知の分離精製方法を適宜組み合わせてこれらの純度を高めてもよい。精製手段としては、有機溶剤沈殿、遠心分離、限界濾過膜、高速液体クロマトグラフやカラムクロマトグラフ等が挙げられる。
本発明のアディポネクチン増加剤は、後記実施例に示すように、脂肪細胞を用いたin vitro 試験系及びレム睡眠阻害系において優れたアディポネクチン発現増加作用を示した。
アディポネクチン発現増加効果は、脂肪細胞を用いたin vitro 試験系においては、前述したようにアディポネクチンの発現・分泌を抑制すると考えられているグルココルチコイドの影響下においてもアディポネクチン発現量が増加するかを指標として評価できる。また、レム睡眠阻害系においては、ラットのレム睡眠阻害によって低下した血中アディポネクチンの改善を指標として評価できる。従って、本発明のアディポネクチン増加剤は、アディポネクチン分泌を増加することが有用であると考えられる各種疾病、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症、肥満、メタボリックシンドローム、骨密度の低下などの予防又は改善剤(以下、「アディポネクチン増加剤等」)として使用でき、さらにこれらの剤を製造するために使用することができる。
斯かるアディポネクチン増加剤等は、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症、肥満、メタボリックシンドローム、骨密度の低下の予防又は改善等の各効果を発揮する、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、食品、機能性食品として使用することができる。そして、当該アディポネクチン増加剤等は、例えば低アディポネクチン血症、耐糖能障害、糖尿病、2型糖尿病、インスリン抵抗性症候群、糖尿病合併症、高血糖症、動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症、心臓血管疾患、脳血管障害、血管狭窄、末梢血管疾患、動脈瘤、高脂血症、高コレステロール血症、肥満、メタボリックシンドローム、骨密度の低下の予防又は改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した食品、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品に応用できる。
本発明のアディポネクチン増加剤等を、医薬品として使用する場合、任意の投与形態で投与され得る。投与形態としては、経口、経腸、経粘膜、注射等が挙げられる。経口投与のための製剤の剤型としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等が挙げられる。非経口投与としては、静脈内注射、筋肉注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、点眼剤、点鼻剤等が挙げられる。
また、斯かる製剤では、本発明のパプリカ色素と、薬学的に許容される担体とを組み合わせて使用してもよい。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、光沢剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、香料、被膜剤等が挙げられる。
これらの投与形態のうち、経口投与が好ましく、経口投与用製剤として用いる場合の該製剤中の本発明のパプリカ色素の含有量は、通常、製剤全質量の0.005〜5質量%であり、0.01〜1質量%であるのが好ましい。
なお、パプリカ色素の含有量は、抽出物重量(抽出後、溶媒除去後の重量。以下同じ。)として算出したものである。
上記製剤の投与量は、患者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与の場合の成人1人当たりの1日の投与量は、通常、パプリカ色素(抽出物重量換算)として1〜2000mg、10〜1000mg、50〜500mgがより好ましい。また、上記製剤は、任意の投与計画に従って投与され得るが、1日1回〜数回に分けて投与することが好ましい。
本発明のアディポネクチン増加剤等を、食品として使用する場合、その形態は、固形、半固形または液状であり得る。食品の例としては、パン類、麺類、菓子類、ゼリー類、乳製品、冷凍食品、インスタント食品、でんぷん加工製品、加工肉製品、その他加工食品、飲料、スープ類、調味料、栄養補助食品等、およびそれらの原料が挙げられる。また、上記の経口投与製剤と同様、錠剤形態、丸剤形態、カプセル形態、液剤形態、シロップ形態、粉末形態、顆粒形態等であってもよい。
種々の形態の食品を調製するには、パプリカ色素を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
また、食品中におけるパプリカ色素(抽出物重量換算)の含有量は、その使用形態により異なるが、通常、飲料の形態では、通常0.001〜2質量%であり、0.002〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%がより好ましい。また、錠剤や加工食品などの固形食品形態では、通常0.01〜20質量%であり、0.02〜10質量%が好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
実施例1
[試験方法]
マウス脂肪前駆細胞株である3T3-L1細胞(ATCC社)を脂肪細胞に分化させた系で行った。基本培地はDMEM(高グルコース、インビトロジェン11965-092)を用いた。3T3-L1細胞を24穴プレートに7.5 x 103cell/wellで播種し、4日間通常培地(10%牛胎児血清/DMEM)中で培養した後、分化用培地1(1μMインスリン、0.5mMイソブチルメチルキサンチン、0.1μMデキサメタゾン、10%牛胎児血清/DMEM)中で3日間、さらに分化用培地2(1μMインスリン、10%牛胎児血清/DMEM)中で3日間、さらに通常培地中で3〜6日間培養した。
牛胎児血清を除いたDMEM培地に交換し、6時間培養した後、検体(パプリカ色素;「パプリカベース150」三栄源エフエフアイ(パプリカ色素として20%含有])、ニンジンカロテン;三共ライフテック、クチナシ黄色素;三栄源エフエフアイ、α-トコフェロール;和光純薬工業)及びデキサメタゾン(DEX)100nMをそれぞれ添加しさらに16時間培養した。その後、回収した細胞よりRNA抽出キット(RNeasy mini kit[キアゲン])を用いてRNAの抽出を行った。抽出したTotal RNAはオリゴdTプライマー(インビトロジェン)とMMLV RT(インビトロジェン)で逆転写反応(37℃、1時間)を行い、cDNAを作製した。作製したcDNAはTaqMan(登録商標)プローブを用いたReal-Time PCR法によりアディポネクチンmRNA発現量を測定した。なお発現量はGAPDH遺伝子量で補正した。TaqMan(登録商標)プローブおよびプライマーはアディポネクチン用としてTaqMan(登録商標) Gene Expression Assays(ABI、AssayID;Mm00456425_m1)、GAPDH用として4352339E(ABI社)を用いた。結果はコントロール群を100%としたときの相対値で示した。グラフの値は平均値±標準誤差で示した。
[結果]
グルココルチコイド受容体アゴニストであるデキサメタゾンを添加したコントロール群では、デキサメタゾン非添加群に比べてアディポネクチンmRNA発現量は低下した。
これに対し、パプリカ色素(6μg/ml)を添加した群では、コントロール群に比べアディポネクチンmRNA発現量は有意に増加した。しかし、パプリカ色素の主成分であるカプサンチンと同じカロテノイド類に属するβ-カロテンを主成分とするニンジンカロテン添加した群、およびクロセチンを主成分とするクチナシ黄色素を添加した群では、100μg/mlの用量で添加しても全くアディポネクチンmRNA発現量は増加せず、抗酸化作用を有するビタミンであるα−トコフェロール(20μM)を添加しても全くアディポネクチンmRNA発現量は増加しなかった(図1)。
実施例2
[試験方法]
パプリカ色素の動物における血中アディポネクチンの増加効果はラットを用いたレム睡眠阻害系で評価した。この評価系ではケージの中に水を張り、ラットが乗ることができる小さな円柱の台(プラットホーム)を設置する。ラットはプラットホーム上で休むことができるが、レム睡眠に入ると筋肉が弛緩するため体勢が崩れ水面に体がふれる。従って、ラットはノンレム睡眠をとることはできるが、レム睡眠をとることができない状態になる。このレム睡眠阻害系において血中アディポネクチンは短期間で低下し、アディポネクチン発現増加作用を有する物質であればその低下は抑制される。この系によってアディポネクチン増加剤の評価が可能であることは確認されている(特願2008-107047)。
SDラット(♂、10〜11週齢)を体重が等しくなるように群分けした。ケージの中にラットが休息できる直径6.0cm高さ2.5cmの円柱プラットホームを設置し、プラットホームの1cm下まで水を張った。このケージで2日間飼育(1匹/1ケージ)した。休息群は通常の床敷を入れたケージで飼育した。パプリカ色素(「パプリカベース150」三栄源エフエフアイ)投与群はパプリカ色素として60mg/kg(120mg/kg/day)の用量で1日2回ゾンデによる経口投与を行った。パプリカ色素の投与はレム睡眠阻害の負荷開始1日前より計3日間おこなった。コントロール群には蒸留水を投与し、休息群は通常の床敷を入れたケージで飼育し、蒸留水を投与した(各群N=6)。レム睡眠阻害終了後、直ちにフォーレン(大日本製薬)麻酔下で、腹大動脈より血液をベノジェクト真空採血管に採取し、得られたヘパリン血漿は使用まで-80℃で保存した。血漿アディポネクチンはマウス/ラットadiponectin ELISAキット(大塚製薬)により測定を行った。血漿はキット中の希釈バッファーで1111倍に希釈した後、キットプロトコールに従ってアディポネクチン濃度が測定された。グラフの値は平均値±標準誤差で示した。
[結果]
休息群に比べ、レム睡眠阻害を負荷したコントロール群では血漿アディポネクチンは有意に低下した。一方、パプリカ色素投与群ではコントロール群に比べて血漿アディポネクチンは有意に増加した(図2)。
この結果から、本発明のアディポネクチン増加剤は、血中アディポネクチン発現を有意に増加させることができることが確認された。

Claims (1)

  1. パプリカ色素を有効成分とするアディポネクチン増加剤。
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