JP2010186512A - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】均一な膜厚の記録層を有する光記録媒体、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】2枚の対向する基板3,4間にスペーサー1と光記録層2を有する光記録媒体において、前記スペーサーが、以下の条件で測定した圧縮変形率が10%以上である材料よりなることを特徴とする光記録媒体。圧縮変形率;試料を直径6.35mmの2枚の円板間に少なくともその上下円板の内面全面で試料が圧縮されるように挟み、23℃で、10Nの荷重下での材料の厚み(D2)と、無荷重下での材料の厚み(D1)とを測定し、以下の式により算出される割合を圧縮変形率と定義する。圧縮変形率(%)=〔(D1−D2)/D1〕×100
【選択図】図2

Description

本発明は、光記録媒体、中でもホログラムを用いた光記録媒体、及びその製造方法に関する。
近年、光記録媒体の更なる大容量化、高密度化に向けて、光の干渉による光強度分布に応じて記録層の屈折率を変化させ、ホログラムとして情報を記録するホログラム方式の光記録媒体が開発されている。
ホログラム作製に関する一般的原理は、いくつかの文献や専門書等に記載されている。これらによれば、2光束のコヒーレントなレーザー光の一方を記録対象物に照射し、その光を受け取れる位置に感光性のホログラム記録材料が置かれる。ホログラム記録材料には、対象物を経た光の他に、もう一方のコヒーレントな光が、対象物に当たらずに直接照射される。対象物を経た光を物体光、又、直接記録材料に照射される光を参照光といい、参照光と物体光との干渉縞が画像情報として記録される。次に、処理された記録材料に参照光と同じ光(再生光)を照射すると、記録の際に対象物から記録材料に最初に到達した反射光の波面を再現するようにホログラムによって回折され、その結果、対象物の実像とほぼ同じ物体像を3次元的に観測することができる。参照光と物体光を同じ方向からホログラム記録材料に入射させて形成されるホログラムを透過型ホログラム、参照光と物体光を反対側から入射させて形成したホログラムを反射型ホログラムという。干渉縞間隔に対して膜厚が十分に厚い(通常は干渉縞間隔の5倍以上、又は1μm以上程度の膜厚を言う。)ホログラムを体積型ホログラムといい、膜厚方向に記録を行えるために、膜厚が大きいほうが高密度での記録が可能である。
公知の体積型ホログラム記録材料の例としては、湿式処理や漂白処理が不要なライトワンス形式があり、その組成としては、樹脂マトリックスに光活性化合物を相溶させたものが一般的である。例えば、樹脂マトリックスに、ラジカル重合やカチオン重合が可能なモノマーを組み合わせたフォトポリマー方式が挙げられる(特許文献1〜4参照)。このフォトポリマー方式では、情報の記録時は、物体光と参照光が照射されると、記録層には明部と暗部からなる干渉縞が形成される。例えば、光活性化合物がラジカル重合性化合物である場合、明部では、光重合開始剤が光を吸収してラジカル活性種へと変化する。このラジカル活性種は近隣のラジカル重合性化合物に付加反応し、その付加生成物はラジカル活性種へと変化する。更に、このラジカル活性種となった付加生成物は近隣のラジカル重合性化合物に付加反応する。この一連の光重合反応が繰り返し起こることで記録層に明部のポリマーが生成される。一方、明部の重合反応に伴ってラジカル重合性化合物の濃度勾配ができ、記録層中の暗部にあるラジカル重合性化合物は明部へと拡散移動し、反対に、明部にある他の成分は暗部へと拡散移動する。これにより、干渉縞の明部と暗部は異なる化合物により構成されて、異なる屈折率を持つようになる。その結果、ホログラム光記録媒体は、この屈折率差を情報として保持する。屈折率差が大きいほど回折効率が大きくなるため、屈折率差を持たせるために、樹脂マトリックス又は重合可能なモノマーのどちらか一方に、芳香環、ヘテロ環、塩素、臭素等を有する化合物を用いる等の工夫がなされている。又、フォトポリマー方式は、一般的に、樹脂マトリックス、光活性化合物、光重合開始剤の基本組成からなり、高回折効率と乾式処理を両立できうる実用的で有望な方式であるが、記録に際しての高い感度、十分な回折効率、高S/N比を有し、高い多重度を達成するものが求められており、更に記録信号の安定性や信頼性に優れるものが望まれている。それらを達成するために記録用組成物の組成や媒体の製法について種々検討がなされている。
こういった体積型ホログラム媒体の作製においては、数μm以上、場合によっては数mmといった厚い記録材料を均一に記録層として形成する必要がある。記録層形成の一つの手段として、スペーサーを用いる方法が提案されている。これは、基板上に均一の厚みを持ったスペーサーを配し、該基板とスペーサーで規定された領域に液状の記録材料を注入し、硬化させることで記録層の厚みをスペーサーの厚みで制御するという方法である。その際、円盤状の記録媒体の場合、スペーサーは内周及び外周の2箇所に同心円状に配されるのが一般的である。例えば、ポリカーボネートやポリテトラフルオロエチレン等の樹脂を用いたスペーサーを使用する製造方法が知られている(特許文献5、6参照)。
特許第3737306号 特開2005−43862号公報 特表2005−502918号公報 特開2004−158117号公報 特開2007−72164号公報 特開2008−134623号公報
これらの特許文献で用いられているスペーサーは、いずれも基板間の距離を一定に保つために、圧縮変形しにくい材質の材料を用いることが常識となっており、後述する比較例1に示すように3、4%程度以下の低い圧縮変形率の樹脂材料が用いられている。しかしながら、本発明者の知見によれば、スペーサーを介することで記録層膜厚を制御しようとした場合、記録材料の硬化収縮による膜厚変動が問題になることが判明した。例えば、図1は、従来技術における光記録媒体の製造時の状態を示す光記録媒体の平面図及び縦断面図であるが、2枚の対向する基板3、4にスペーサー1と光記録層2を有する光記録媒体は、従来のスペーサー材料を用いた場合、スペーサー1近傍では記録層2の厚みがほぼスペーサーの厚みと等しくなるが、スペーサー1から離れた位置では記録材料の硬化収縮のために膜厚が減少してしまう。このとき、ディスクの表面は凹状に歪むこととなり、こういった記録層膜厚の不均一性、ディスク表面の歪がホログラム記録再生特性に大きな障害となる。更に、記録材料と基板の密着性が比較的弱い場合は、記録層が基板から剥離するということも起こりやすくなる。基板が樹脂のような比較的柔らかい材質であるとき、こういった変形、歪はより顕著になる。又、基板がガラスのような比較的硬質のものであれば基板自体の歪は小さくなるが、記録膜の基板からの剥離が起こりやすくなる。
こういった記録材料の硬化収縮は、記録材料によって程度の差はあるものの不可避の問題であり、例え硬化収縮があっても均一な膜厚が保持可能であるようなホログラム記録媒体の製造方法の開発が望まれていた。従って、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、均一な膜厚の記録層を有する光記録媒体、及びその製造方法を提供するものである。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、クッション性を有するスペーサーを用いることで記録層膜厚の均一性を大きく向上できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の要旨は、2枚の対向する基板間にスペーサーと光記録層を有する光記録媒体において、前記スペーサーが、以下の条件で測定した圧縮変形率が10%以上である材料よりなることを特徴とする光記録媒体、に存する。
圧縮変形率;試料を直径6.35mmの2枚の円板間に少なくともその上下円板の内面全面で試料が圧縮されるように挟み、23℃で、10Nの荷重下での材料の厚み(D2)と、無荷重下での材料の厚み(D1)とを測定し、以下の式により算出される割合を圧縮変形率と定義する。
圧縮変形率(%)=〔(D1−D2)/D1〕×100
更に、本発明の要旨は、2枚の対向する基板間に、スペーサーを用いて、光又は熱硬化化性樹脂マトリックス中に少なくとも光活性化合物と光重合開始剤とが分散された光記録組成物からなる層を形成した後、該光又は熱硬化性樹脂を硬化させて光記録組成物層を光記録材料からなる光記録層とした光記録媒体を製造する方法において、前記スペーサーとして、前記の条件で測定した圧縮変形率が10%以上である材料を用いることを特徴とする光記録媒体の製造方法、に存する。
本発明によれば、均一な膜厚の記録層を有する光記録媒体、及びその製造方法を提供することができる。
従来技術における光記録媒体の製造時の状態を示す光記録媒体の平面図及び縦断面図である。 本発明の光記録媒体の製造方法を説明するための光記録媒体の平面図及び縦断面図である。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。尚、以下の説明は本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔I〕光記録媒体
本発明の光記録媒体は、2枚の対向する基板間にスペーサーと光記録層を有する。ここで、「スペーサーと光記録層を有する」、「スペーサーを用いて、・・・光記録組成物からなる層を形成」とは、光記録層、光記録組成物層の全周をスペーサーで囲む場合や、断続的に囲む場合を含み、例えば、周方向に断続的にスペーサーを存在させる場合や、方形の記録媒体の場合において対向する2辺の箇所にスペーサーを存在させる場合等も含むものとする。又、本発明の光記録媒体は、必要に応じて更に、保護層、反射層等、その他の層を備えて構成される。
〔I−1〕スペーサー
〔I−1−1〕スペーサー材料
本発明の光記録媒体において、スペーサーは、以下の条件で測定した圧縮変形率が10%以上である材料よりなることを必須とする。
圧縮変形率;試料を直径6.35mmの2枚の円板間に少なくともその上下円板の内面全面で試料が圧縮されるように挟み、23℃で、10Nの荷重下での材料の厚み(D2)と、無荷重下での材料の厚み(D1)とを測定し、以下の式により算出される割合を圧縮変形率と定義する。
圧縮変形率(%)=〔(D1−D2)/D1〕×100
本発明において、スペーサーは、圧縮変形率が20%以上である材料よりなるのが好ましく、30%以上である材料よりなるのが特に好ましい。圧縮変形率が前記範囲未満では、光記録層の膜厚が不均一となる。但し、圧縮変形率が90%以上あるような材料は、わずかな圧力のばらつきでも敏感に変形して、却って不均一性の要因となるので好ましくない。即ち、圧縮変形率の上限は、通常90%未満、好ましくは80%以下である。
本発明の光記録媒体におけるスペーサー材料としては、上述したような圧縮変形率を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金属、樹脂、セラミックス、紙、布等の中から、光記録材料との反応性、硬さ等を踏まえ、任意の材料を選択し、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
金属の具体例としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の比較的柔らかく加工が容易で、光記録材料と反応しにくい性質を有する金属が挙げられる。又、樹脂の具体例としては、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン等の、光記録材料と反応しにくく、かつ適度な耐熱性を有する樹脂が挙げられる。又、セラミックスの具体例としては、多孔質アルミナ、アモルファスカーボン等の、光記録材料と反応しにくく、比較的軟質なセラミックスが挙げられる。
尚、記録層形成等の製造プロセスにおいて脱水や硬化促進のための加熱工程を経ることがあること、又、媒体使用時に高温に晒されることもあること、等から、スペーサー材料は、80℃以上の耐熱性を有することが好ましい。例えば、スペーサー材料が結晶性である場合には、前記加熱工程において融点を越えて溶融状態となってしまうと膜厚を保つ機能を果たせない。従って、スペーサー材料の融点は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上である。融点は、示差走査熱量計等の通常の測定装置により測定することができる。又、スペーサー材料として樹脂を用いる場合、その分子量は、樹脂の種類によっても異なるが、重量平均分子量で、通常5,000〜200,000のものが用いられる。又、光記録材料と反応しにくいという面から、ポリウレタンを含む光記録材料用いる場合には、イソシアネートと水分との反応を避ける意味で、吸水性の低いものを用いることが好ましく、光記録材料と反応しにくいという面からは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。
尚、これらの材料のうち、材料自体が所定の圧縮変形率を有する場合にはそのままスペーサーとして用いることができるが、必要に応じて空隙を含む構造とすることで所定の圧縮変形率を得ることもできる。その際の空隙形成方法としては、金属材料の場合には、低温蒸発する材料と金属粉を混ぜて低温蒸発する材料を蒸発させた後に焼結する方法や、発泡樹脂型を用いた鋳造法等がある。又、樹脂材料の場合には、化学発泡法や物理発泡法、及び、酸、アルカリ処理により部分的に結合を切断する方法、微粉末を焼成する方法、レーザーやX線を照射する方法等がある。これらの空隙を含む構造のスペーサー材料としては、光記録材料との反応性が抑制される点で、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレン等の発泡ポリオレフィン系樹脂が特に好ましい。
又、空隙を含む構造とする場合の空隙率は、スペーサー材料自体の柔軟性に応じて所定の圧縮変形率になるように適宜選択されるが、通常10〜90%、好ましくは20〜80%である。その空隙率を制御する方法としては、例えば、発泡ポリオレフィンにおいては、樹脂と発泡剤との混合物を加熱して、発泡剤を分解或いは気化させることから、発泡剤の種類と量等で空隙率を制御することができる。又、発泡ポリウレタンにおいては、イソシアネートと水との反応で発泡するので、反応時に添加する水の量等で空隙率を制御することができる。
〔I−1−2〕スペーサーの厚み
本発明の光記録媒体におけるスペーサーの厚みは、光記録材料、特にホログラム記録再生系等の記録材料との組み合わせにより導かれる所望の記録層膜厚を得るための厚みに応じて設定され、通常10μm以上、中でも50μm以上、又、通常5mm以下、中でも3mm以下である。光記録材料を形成する光記録組成物の樹脂マトリックスが光又は熱硬化性である場合、硬化後の記録材料の収縮に伴って、スペーサー厚みも初期のそれより減少するので、光記録媒体の製造に当たっては、予め所望の記録層厚みに収縮分を足し合わせた厚みのスペーサーを用いることが好ましい。具体的には所望の記録層厚みに対し5〜30%程度厚い厚みのスペーサーを用いることが好ましい。
〔I−1−3〕スペーサーの形状及び配置
スペーサーの形状は媒体形状によって適宜変更できる。円盤状の記録媒体の場合、スペーサーは記録に使用する領域を挟んで内周及び外周の2箇所に同心円状に配されることが一般的である。方形の記録媒体の場合は記録に使用する領域を囲む方形、ないし対向する2辺のみにスペーサーを配することとしてもよい。スペーサーの幅については、狭すぎる場合はスペーサーとしての強度が不足してしまうので1mm以上が好ましい。広すぎる場合は記録に使用可能な領域を少なくしてしまうため20mm以下が好ましい。尚、スペーサーは、後述する基板上に接着せずに、ただ配置するのみでもよいが、記録層の領域を正確に規定するという意味では、記録材料を配する以前にスペーサーと基板が接着されていることが好ましい。この目的で、スペーサーに予め均一な厚さの接着層を設けておくことは好ましい形態である。その接着層としては、本発明の効果を損なわない限り、任意の材料を用いることができる。
又、基板上にスペーサーを設ける方法としては、成形や切り出し等によって予め所望形状に作製したスペーサーを基板上に載置する方法の外、基板上にスペーサー作製用材料を塗布し、必要に応じて硬化させることによりスペーサーを形成する方法によってもよい。後者の方法における基板上へのスペーサー作製用材料の塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、及びドクターロールコート法等の、この種塗布において従来公知の方法を採ることができる。尚、塗布の際、塗布液は、所望のスペーサー厚みに応じて粘度を調整しておくことが好ましい。スペーサー材料を無溶媒で塗布してもよいし、粘度の調整において、溶媒を用い、塗布後乾燥させてスペーサーを形成することとしてもよい。尚、スペーサーは、設置箇所により独立に材料を選択し、厚み、形状を制御することもできる。
〔I−2〕光記録層
〔I−2−1〕光記録層の構成材料
本発明の光記録媒体の光記録層は、光記録能を有する材料を含むものであれば特に制限されないが、光による硬化収縮が起こり易いホログラム記録材料から形成されるホログラム記録層であることが好ましい。このようなホログラム記録層は、光の干渉によって生じる干渉縞を三次元的に記録することが可能ものであれば特に制限されず、フォトポリマー系、非フォトポリマー系を問わず、任意のホログラム記録材料から形成することが可能である。記録層形成時の硬化収縮に伴う変形を軽減し膜厚均一性を確保する、という本発明の効果を発現する意味では、マトリックス樹脂として三次元架橋する樹脂、即ち、光又は熱硬化性樹脂を用いた硬化樹脂である場合に特に有効である。又、初期の液状或いは軟化した状態から光又は熱硬化性樹脂における硬化或いは熱可塑性樹脂における固化したときの体積収縮率が2%以上ある樹脂を用いる場合に大きな効果がある。より好ましくは体積収縮率が3%以上ある樹脂に用いることである。尚、体積収縮率があまり大きい場合は、本発明における高圧縮変形率のスペーサーでも厚みの変動を抑えることができなくなるため、その上限は、通常10%以下、好ましくは8%以下である。従来から知られている硬いスペーサーの場合、硬化収縮にかかわらずスペーサー近傍の厚みは変化しないので、そこを埋めるために記録材料がスペーサー近傍に移動する。スペーサーから遠い部分では硬化収縮に加え記録材料の減少が起こるので、実際には上記の体積収縮率より大きな記録層厚み変動が発生する。
〔I−2−2〕光記録層を構成する光記録材料の構成成分
以下に、光記録層を構成する前述の光記録材料の構成成分について、一般的なフォトポリマー系ホログラム記録材料の主要成分である光活性化合物(a)、光重合開始剤(b)、及びマトリックス樹脂(c)と、必要に応じて添加できるその他の成分について説明する。
〔I−2−2(a)〕光活性化合物
本発明の光記録媒体に用いるホログラム記録材料に含まれる光活性化合物の種類は特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択することが可能であるが、通常は、重合性を有するモノマーが用いられる。重合性モノマーの例としては、カチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマー等が挙げられ、これら各モノマーの何れか一種を単独で使用してもよく、各モノマーの中で、或いは各モノマー間で二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。尚、本発明の光記録媒体の記録層中に含まれる光活性化合物は、ホログラム記録等によってその一部が重合等の化学的な変化を生じるものである。従って、記録後の光記録媒体においては、光活性化合物の一部が消費され、重合体等の反応後の化合物として存在する。該光活性化合物の消費量は、記録情報量によっても変動すると考えられるが、データ記録後に、記録部分に一様な光を当てて残存する光活性化合物をあえて消費させる、いわゆる「後露光」のような工程を経る場合には、該光活性化合物の大半が反応後の化合物に変化するものである。
〔I−2−2(a−1)〕カチオン重合性モノマー
カチオン重合性モノマーの例としては、オキシラン環を有する化合物、スチレン及びその誘導体、ビニルナフタレン及びその誘導体、ビニルエーテル化合物、N−ビニル化合物、オキセタン環を有する化合物等を挙げることができる。中でも、少なくともオキセタン環を有する化合物を用いることが好ましく、更には、オキセタン環を有する化合物と共にオキシラン環を有する化合物を併用することが好ましい。
オキシラン環を有する化合物としては、1分子内に2個以上のオキシラン環を含有するプレポリマーを挙げることができる。このようなプレポリマーの例としては、脂環式ポリエポキシ類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエテーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物及びエポキシ化ポリブタジエン類等が挙げられる。
スチレン及びその誘導体の例としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
ビニルナフタレン及びその誘導体の例としては、1−ビニルナフタレン、α−メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物の例としては、イソブチルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル等が挙げられる。
N−ビニル化合物の例としては、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン等が挙げられる。
オキセタン環を有する化合物の例としては、特開2001−220526号公報、特開2001−310937号公報等に記載されている、公知の各種のオキセタン化合物が挙げられる。
〔I−2−2(a−2)〕アニオン重合性モノマー
アニオン重合性モノマーの例としては、炭化水素モノマー、極性モノマー等が挙げられる。
炭化水素モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ブタジエン、イソプレン、ビニルピリジン、ビニルアントラセン、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
極性モノマーの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)メタクリル酸イソプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;メチルビニルケトン、イソプロピルビニルケトン、シクロヘキシルビニルケトン、フェニルビニルケトン等のビニルケトン類;メチルイソプロペニルケトン、フェニルイソプロペニルケトン等のイソプロペニルケトン類;アクリロニトリル、アクリルアミド、ニトロエチレン、メチレンマロン酸エステル、シアノアクリル酸エステル、シアン化ビニリデン等のその他の極性モノマー等が挙げられる。
〔I−2−2(a−3)〕ラジカル重合性モノマー
ラジカル重合性モノマーとは、1分子中に1つ以上のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物であり、例としては、(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル類、ビニル化合物、スチレン類等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(n−又はi−)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、i−、sec−又はt−)ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アダマンチル、クロロエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシベンジル(メタ)アクリレート、クロロベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェネチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシフェネチル(メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、クロロフェニル(メタ)アクリレート、スルファモイルフェニル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−(ヒドロキシフェニルカルボニルオキシ)エチル(メタ)アクリレート、フェノールEO変性(メタ)アクリレート、パラクミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、ビスフェノールF EO変性ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性ジアクリレート、ジブロモフェニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジ(メタ)アクリレート、( メタ) アクリロキシフェニルベンゾチアゾール等のベンゾチアゾール環を有する(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリロキシフェニルチアンスレン、(メタ)アクリロキシフェニルビスチアンスレン等のチアンスレン骨格を有する(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリロキシフェニルジベンゾチオフェン、(メタ)アクリロキシフェニルビスジベンゾチオフェン等のジベンゾチオフェン骨格を有する(メタ)アクリル化合物、(メタ)アクリロキシフェニルジベンゾフラン等のジベンゾフラン骨格を有する(メタ)アクリル化合物等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−トリル(メタ)アクリルアミド、N−(ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)(メタ)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート、安息香酸ビニル、t−ブチル安息香酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、4−エトキシ安息香酸ビニル、4−エチル安息香酸ビニル、4−メチル安息香酸ビニル、3−メチル安息香酸ビニル、2−メチル安息香酸ビニル、4−フェニル安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル等が挙げられる。ビニルエステル類以外のビニル化合物としては、N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、p−アセチルスチレン、p−ベンゾイルスチレン、2−ブトキシメチルスチレン、4−ブチルスチレン、4−sec−ブチルスチレン、4−tert−ブチルスチレン、2−クロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロスチレン、ジクロロスチレン、2,4−ジイソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、p−エトキシスチレン、2−エチルスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェノキシスチレン、p−フェニルスチレン等が挙げられる。
上記例示したカチオン重合性モノマー、アニオン重合性モノマー、ラジカル重合性モノマーは、何れを使用することもできるが、樹脂マトリックスを形成する反応を阻害しにくいという理由から、本発明における光活性化合物としては、ラジカル重合性モノマーを使用することが好ましい。
又、本発明における光活性化合物としては、光照射時の架橋に伴う収縮率低減の点及び記録層中の移動度の確保という観点などから、分子量200以上であるのが好ましく、300以上であるのが特に好ましく、又、分子量2,500以下であるのが好ましく、2,000以下であるのが特に好ましい。又、該光活性化合物は、記録媒体等の保存安定性を向上させる理由から、通常水不溶性であることが好ましい。ここで「水不溶性」とは、25℃、1気圧の条件下における水に対する溶解度が、通常0.1重量%以下、好ましくは0.5重量%以下であることを言う。
〔I−2−2(b)〕光重合開始剤
本発明の光記録媒体に用いるホログラム記録材料に含まれる光重合開始剤は、活性光線の照射を受けたときに、ラジカル、酸、又は塩基等の活性種を発生し、前記の光活性化合物を重合に至らしめる化合物である。この光重合開始剤として、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ヒドロキシベンゼン類、チオキサントン類、アントラキノン類、ケタール類、ヘキサアリールビイミダゾール類、チタノセン類、アシルフォスフィンオキサイド類、オキシムエステル類、ハロゲン化炭化水素誘導体類、有機硼素酸塩類、有機過酸化物類、オニウム塩類、スルホン化合物類、カルバミン酸誘導体類、スルホンアミド類、トリアリールメタノール類等が挙げられる。これらは何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
又、これらの光重合開始剤の吸収波長域としては、好ましくは340nm以上、特に好ましくは350nm以上であり、好ましくは700nm以下、特に好ましくは650nm以下に吸収を有するものである。例えば、光源が青色レーザーの場合は少なくとも350〜430nmに吸収を有するのが好ましく、緑色レーザーの場合は少なくとも500〜550nmに吸収を有するのが好ましい。吸収波長域が上述の範囲と異なる場合は、照射された光エネルギーを効率的に光重合反応に使いにくくなるため感度が低下しやすい傾向がある。
尚、光重合開始剤の吸収スペクトルは、例えば、光重合開始剤を約10−5モル濃度となるようにテトラヒドロフラン溶媒に溶解させた溶液を通常の紫外・可視光吸収スペクトルメーターで測定する等により容易に求められる。
〔I−2−2(c)〕マトリックス樹脂
本発明の光記録媒体に用いるホログラム記録材料に含まれるマトリックス樹脂は、光の照射によって化学的かつ物理的に大きく変化しない有機物であり、主に有機の重合物で構成される。
マトリックス樹脂は、膜状に保ち、記録層を保護しかつ補強した上で平板状に形状を保つ基板との密着性を担う役割を有し、前述した光活性化合物や光重合開始剤等との相溶性に優れることが強く求められる。マトリックス樹脂とこれらの成分との相溶性が低いと、材料同士の間で界面を作り、界面で光が屈折したり反射することで必要でない部分に光が漏れるので干渉縞が歪んだり切れたりして不適当な部分に記録されることにより情報の劣化を起す。マトリックス樹脂と他の成分との相溶性は、例えば、特許第3737306号公報等に記載があるように、サンプルに対して、透過する光と角度をもって検出器を設置することにより得られる散乱光強度等に基づいて評価することができる。
本発明において、ホログラム記録材料を構成するマトリックス樹脂としては、熱可塑性樹脂であっても、光又は熱硬化性樹脂を三次元架橋させた硬化樹脂であってもよい。記録層形成時の硬化収縮に伴う変形を軽減し膜厚均一性を確保する、という本発明の効果を発現する意味では、三次元架橋させた硬化樹脂を用いる場合に特に有効である。
〔I−2−2(c−1)〕熱可塑性樹脂
マトリックス樹脂として熱可塑性樹脂を用いる場合、ホログラム記録層は、全部の材料を混合して均一に分散した後、プレスや射出成形等の溶融加工法で形成することができる。この際、熱で樹脂を溶融させる必要があるので一般的には高温を必要とし、重合性の反応性化合物の劣化に注意が必要である。
又、溶剤に溶解可能であるので、溶剤に溶かして基板の上に溶液を供給し、回転や機械的なならし作業で厚みを整え、溶剤を除去した後に別の基板を重ねて張り合わせることでホログラム記録層を形成することもできる。又、異なる基板の上で上記のように形成した後、一旦基板から剥がして別の基板の上に移して別の基板と挟んで張り合わせることもできる。但し、何れにしても溶剤を除く必要があり、一回の操作で厚い膜を作るのは困難であり、複数回の作業が必要になる。
熱可塑性樹脂の例としては、塩素化ポリエチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレートと他のアクリル酸アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニルとアクリロニトリルとの共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、エチルセルロース、アセチルセルロース等が挙げられる。この中で好ましくは、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルブチラールである。
これらの樹脂の溶剤としては、これらを溶かすものであれば特に制約はないが、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等を挙げることができる。又、これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
〔I−2−2(c−2)〕光又は熱硬化樹脂
一般に、光又は熱により三次元架橋させた硬化樹脂は溶剤不溶性であり、常温で液状である重合性化合物と重合性化合物に対し反応活性な化合物との反応硬化物を含む。三次元架橋させた硬化樹脂は、高温でも形状が保持されやすく、物理的な障害となるため、記録時における体積変化を抑制しやすい。即ち、記録後の記録層では、明部は膨張し暗部は収縮し、体積ホログラム光記録媒体表面に凹凸が生じてしまう。この体積変化を抑制するために、記録層の樹脂マトリックスには三次元架橋させた硬化樹脂を用いるのがより好ましい。この中で、相溶性や基板との密着性の観点で、マトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂の加熱による熱硬化樹脂が好ましい。
三次元架橋樹脂マトリックスを形成するのに使用できる硬化性樹脂の硬化反応の例としては、これらに限定されるものではないが、ラジカル重合、カチオンエポキシ重合、カチオンビニルエーテル重合、カチオンアルケニルエーテル重合、カチオンアレンエーテル重合、カチオンケテンアセタール重合、エポキシ−アミン付加重合、エポキシ−チオール付加重合、不飽和エステル−アミン付加重合(マイケル付加)、不飽和エステル−チオール付加重合(マイケル付加)、ビニル−シリコンヒドリド付加重合(ヒドロシリル化)、イソシアネート−ヒドロキシル付加重合(ウレタン形成)、イソシアネート−チオール付加重合、及びイソシアネート−アミン付加重合(ウレア形成)等がある。これらの中で、イソシアネートとポリオールとのイソシアネート−ヒドロキシル付加重合反応で得られるポリウレタン樹脂が好ましい。
上記の各種反応は、適当な触媒により可能になり、又は促進される。例えば、カチオンエポキシ重合反応は、BF3 を主成分にした触媒を用いて室温で速く起こり、他のカチオン重合反応はプロトン存在下で進行し、エポキシ−チオール付加重合反応、マイケル付加による不飽和エステル−アミン付加重合、不飽和エステル−チオール付加重合反応はアミン等の塩基により促進され、ヒドロシリル化によるビニル−シリコンヒドリド付加重合反応は白金等の遷移金属触媒の存在化で速く進行し、ウレタン形成によるイソシアネート−ヒドロキシル付加重合、ウレア形成によるイソシアネート−アミン付加重合反応はスズ触媒が用いられるときに速く進行する。又、ラジカル重合は適当な熱もしくは光重合開始剤を用いることにより進行させることが可能である。尚、樹脂マトリックスの形成に光重合開始剤を用いる場合、ホログラム記録媒体の記録時にも光を照射するので、マトリックス形成時の光硬化波長と記録する時の波長が異なることが重要であり、波長の差としては小さくとも10nm、好ましくは30nmである。開始剤の選択は概ね開始剤の吸収波長から予想することができる。
上述した三次元架橋樹脂マトリックスを形成するのに使用できる反応のうち、イソシアネート−ヒドロキシル付加重合、イソシアネート−アミン付加重合、イソシアネート−チオール付加重合、エポキシ−アミン付加重合、エポキシ−チオール付加重合等は適当な温度範囲で反応が進行すること等から反応制御が容易で、又、工業的な生産性(相溶性、基板との密着性等)も良好なため好ましく用いられる。以下これらの反応に用いることができる原料化合物及び触媒について説明する。
〔I−2−2(c−2−1)〕イソシアネート
イソシアネート−ヒドロキシル付加重合、イソシアネート−アミン付加重合、イソシアネート−チオール付加重合で使用できるイソシアネートとしては、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートであれば、その種類は特に制限されない。1分子中のイソシアネート基の数としては、通常2以上であれば特に制限されない。イソシアネート基の数が少ないとマトリックスとして必要な硬さが得られなくなる場合がある。一方、イソシアネート基の数の上限は特に制限されないが、通常5以下が好ましい。イソシアネート基がマトリックス中に多く残存すると、マトリックスの保存安定性を悪化させる可能性がある。
本発明で使用するポリイソシアネートの例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族イソシアネート;トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5’−ジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;及びこれらの多量体等が挙げられ、中でも3〜7量体が好ましい。又、水、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類との反応物等も挙げられる。これらの中では、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びこれらの多量体、若しくはその誘導体が特に好ましい。又、上記のポリイソシアネート類と、分子内に2個以上の活性水素を有する化合物とを反応させ、多官能の末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート(プレポリマー)なども使用することができる。分子内に2個以上の活性水素を有する化合物としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、及び、後述のポリオール類等を用いることができる。
これらのポリイソシアネートの平均的な分子量は、数平均で100以上50,000以下が好ましく、更に好ましくは150以上10,000以下、特に好ましくは150以上5,000以下である。100未満だと、架橋密度が上がるためにマトリックスの硬度やガラス転移温度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。又、50,000超過だと、他成分との相溶性が低下したり、架橋密度が下がるためにマトリックスの硬度やガラス転移温度が低くなりすぎ記録内容が不安定となったり、消失する場合がある。尚、ポリイソシアネートは、本発明の効果を著しく損なわない範囲において、イソシアネート基以外の構成要素を含んでいてもよい。
〔I−2−2(c−2−2)〕ポリオール
イソシアネート−ヒドロキシル付加重合で使用できるヒドロキシル化合物としては、1分子中に2つ以上のヒドロキシル基を有するポリオールであれば、その種類は特に制限されない。1分子中のヒドロキシル基の数としては、通常2以上であれば特に制限されない。ヒドロキシル基の数が少ないとマトリックスとして必要な硬さが得られなくなる場合がある。一方、ヒドロキシル基の数の上限は特に制限されないが、通常7以下が好ましい。ヒドロキシル基がマトリックス中に多く残存すると、マトリックスの吸湿性が高くなり、記録の保存安定性に影響を及ぼす場合もある。
本発明で使用するポリオールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエンチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
これらのポリオールの平均的な分子量は、数平均で100以上50,000以下が好ましく、更に好ましくは150以上10,000以下、特に好ましくは150以上5,000以下である。100未満だと、架橋密度が上がるためにマトリックスの硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。又、50,000超過だと、他成分との相溶性が低下したり、架橋密度が下がるためにマトリックスの硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
尚、ポリオールの使用量は、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数に対する割合で、0.1当量以上とするのが好ましく、0.7当量以上とするのが特に好ましく、又、2.0当量以下とするのが好ましく、1.5当量以下とするのが特に好ましい。使用量が少なすぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を失ってしまう場合がある。
〔I−2−2(c−2−3)〕エポキシ化合物
エポキシ−アミン付加重合、エポキシ−チオール付加重合に使用できるエポキシ化合物としては、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するものであれば、その種類は特に制限されない。1分子中のエポキシ基の数としては、通常2以上であれば特に制限されない。エポキシ基の数が少ないとマトリックスとして必要な硬さが得られなくなる場合がある。一方、エポキシ基の数の上限は特に制限されないが、通常5以下が好ましい。エポキシ基がマトリックス中に多く残存すると、記録の保存安定性に影響を及ぼす場合もある。
本発明で使用するエポキシ化合物の例としては、(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)テトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等のポリオールのポリグリシジジルエーテル化合物;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート等の4〜7員環の環状脂肪族基を有する脂環式エポキシ化合物;ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノール又はクレゾールノボラック型エポキシ化合物等の芳香族エポキシ化合物等が挙げられる。
これらのエポキシ化合物の平均的な分子量は、数平均で100以上50,000以下が好ましく、更に好ましくは150以上10,000以下、特に好ましくは150以上5,000以下である。100未満だと、架橋密度が上がるためにマトリックスの硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。又、50,000超過だと、他成分との相溶性が低下したり、架橋密度が下がるためにマトリックスの硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
〔I−2−2(c−2−4)〕アミン
イソシアネート−アミン付加重合、エポキシ−アミン付加重合に使用できるアミン化合物の例としては、1分子中に2つ以上のアミノ基を有するものであればその種類は特に制限されない。
本発明で使用するアミン化合物の例としては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族アミン;イソホロンジアミン、メンタンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等の脂環族アミン;m−キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン等の芳香族アミン等がある。
これらのアミン化合物の平均的な分子量は、数平均で100以上50,000以下が好ましく、更に好ましくは150以上10,000以下、特に好ましくは150以上5,000以下である。100未満だと、架橋密度が上がるためにマトリックスの硬度が高くなりすぎ、記録速度が低下する可能性がある。又、50,000超過だと、他成分との相溶性が低下したり、架橋密度が下がるためにマトリックスの硬度が低くなりすぎ記録内容が消失する場合がある。
尚、アミン化合物の使用量は、ポリイソシアネートのイソシアネート基、又はエポキシ化合物のエポキシ基のモル数に対する割合で、0.1当量以上とするのが好ましく、0.7当量以上とするのが特に好ましく、又、2.0当量以下とするのが好ましく、1.5当量以下とするのが特に好ましい。使用量が少なすぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を失ってしまう場合がある。
〔I−2−2(c−2−5)〕チオール
イソシアネート−チオール付加重合、エポキシ−チオール付加重合に使用できるチオール化合物の例としては、1分子中に2つ以上のチオール基を有するものであればその種類は特に制限されない。
本発明で使用するチオール化合物の例としては、1,3−ブタンジチオール、1,4−ブタンジチオール、2,3−ブタンジチオール、1,2−ベンゼンジチオール、1,3−ベンゼンジチオール、1,4−ベンゼンジチオール、1,10−デカンジチオール、1,2−エタンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,9−ノナンジチオール等が挙げられる。
尚、チオールの使用量は、ポリイソシアネートのイソシアネート基、又はエポキシ化合物のエポキシ基のモル数に対する割合で、0.1当量以上とするのが好ましく、0.7当量以上とするのが特に好ましく、又、2.0当量以下とするのが好ましく、1.5当量以下とするのが特に好ましい。使用量が少なすぎても多過ぎても、未反応の官能基数が多く、保存安定性を失ってしまう場合がある。
〔I−2−2(c−2−6)〕触媒
前述の通り、本発明における樹脂マトリックスを形成する場合、適当な触媒を用いることによりその形成を容易に進行させることができたり、その形成が促進される場合がある。そのような触媒の例として、ビス(4−t −ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホン酸、ビス(4−t −ブチルフェニル)ヨードニウムp−トルエンスルホン酸、ビス(4−t −ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホン酸、(4−ブロモフェニル)ジフェニルスフホニウムトリフラート、(4−t −ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−1−ブタンスルホン酸、(4−フルオロフェニル) ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ジフェニル−4−メチルフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホン酸、ビス(アルキルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスホン酸等のオニウム塩類;塩化亜鉛、塩化すず、塩化鉄、塩化アルミニウム、BF3 等のルイス酸を主成分にした触媒;塩酸、リン酸等のプロトン酸;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエチエレンジアミン、ジメチルベンジルアミン、ジアザビシクロウンデセン等のアミン類;2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、トリメリット酸−1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリルウム等のイミダゾール類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等の塩基類;ジブチルスズラウレート、ジオクチルスズラウレート、ジブチルスズオクトエート等のスズ触媒等が挙げられる。又、ラジカル重合は、適当な熱もしくは光重合開始剤を用いることにより進行させることが可能である。光重合開始剤の具体例としては、前述の〔I−2−2(b)〕に例示するものなどが挙げられる。これらの触媒は、樹脂マトリックス形成成分の総量に対し、好ましくは0.1ppm以上、特に好ましくは1ppm以上、又、好ましくは10%重量以下、特に好ましくは5重量%以下の量で用いられる。
〔I−2−2(d)〕各構成成分の含有割合
本発明において、光記録層を構成する前述の光記録材料の構成成分としての、一般的なフォトポリマー系ホログラム記録材料の主要成分である前記光活性化合物(a)、前記光重合開始剤(b)、及び前記マトリックス樹脂(c)の各含有割合は、(a)+(b)+(c)の合計量に対して、前記光活性化合物(a)が、好ましくは0.5重量%以上、特に好ましくは1重量%以上、又、好ましくは20重量%以下、特に好ましくは15重量%以下、前記光重合開始剤(b)が、好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上、又、好ましくは25重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、前記マトリックス樹脂(c)が、好ましくは55重量%以上、特に好ましくは60重量%以上、又、好ましくは99.49重量%以下、特に好ましくは98.9重量%以下の範囲である。
〔I−2−2(e)〕その他構成成分
本発明において、一般的なフォトポリマー系ホログラム記録材料の主要成分である前記光活性化合物(a)、前記光重合開始剤(b)、及び前記マトリックス樹脂(c)以外に、本発明の効果を損なわない限りにおいてその他の成分を含有してもよく、例えば、ホログラム記録に関しては、記録時の明部で生じる光反応を制御することが重要になるため、重合を制御することができる添加剤等を添加するのが好ましい。重合を制御することができる添加剤としては、テルペノイド骨格を有する化合物、少なくとも2個の二重結合を有し、更にその二重結合の位置が相対的1,4位に存する環状或いは非環状化合物、アリル化合物、メルカプト化合物、アミン系化合物、フェノール類等が挙げられる。
又、本発明のホログラム記録材料には、増感体の励起波長や励起エネルギーの制御、反応の制御、特性の改良等の必要に応じて、各種添加剤を添加することができる。それらの中で、増感体の励起を制御する化合物の例としては、増感剤、増感補助剤等が挙げられる。
その増感剤としては、公知の各種の増感剤の中から、任意に選択して用いることができ、記録に使用するレーザー光の波長と使用する開始剤の種類にもよるが、緑色レーザーを用いる系の場合、好ましい増感剤の具体例としては、特開平5−241338号公報、特開平2−69号公報、特公平2−55446号公報等に記載されている化合物が、青色レーザーを用いる系の場合は、特開2000−10277号公報、特開2004−198446号公報、特開2005−62415号公報、特開2005−91593号公報、特開2004−191938号公報、特開2004−272212号公報、特開2004−212958号公報、特開2004−252421号公報、特開2005−107191号公報、特開2004−264834号公報等に記載されている化合物が挙げられる。上記例示の各種の増感剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
尚、得られるホログラム記録材料に無色透明性が要求される場合には、増感剤としてシアニン系色素を使用することが好ましい。即ち、シアニン系色素は一般に光によって分解し易いため、後露光を行なう、即ち、室内光や太陽光の下に数時間から数日放置することで、ホログラム記録材料中のシアニン系色素が分解されて可視域に吸収を持たなくなり、無色透明なホログラム記録材料が得られる。
増感剤の量は、形成される記録層の厚さによって増減する必要があるが、前述の〔I−2−2(b)〕の光重合開始剤に対する比率で、好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは中でも0.1重量%以上、又、好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下とする。増感剤の使用量が少な過ぎると、開始効率が低下し、記録に多大な時間を要する場合がある。一方、増感剤の使用量が多過ぎると、記録や再生に使用する光の吸収が大きくなり、深さ方向へ光が届き難くなる場合がある。2以上の増感剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
上記以外の添加剤として、反応効率の向上や記録層の物性調整のための可塑剤、記録層の吸水率制御のため等の添加剤等を用いることができる。その可塑剤の例としては、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ−n−ブチル等のアジピン酸エステル類;セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル等のセバシン酸エステル類;リン酸トリクレシル等のリン酸エステル類;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル類;トリメリット酸トリオクチル等のトリメリット酸エステル類;エポキシ化大豆油;塩素化パラフィン;アセトキシメトキシプロパン等のアルコキシ化(ポリ)アルキレングリコールエステル;ジメトキシポリエチレングリコール等の末端アルコキシ化ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
これらの可塑剤はホログラム記録材料の全固形分に対する比率で、好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.05重量%以上、又、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは20重量%以下とする。これらの可塑剤の使用量がこれより少ないと、反応効率の向上や物性の調整に対する効果が発揮されず、これより多いと記録層の透明性が低下したり、可塑剤のブリードアウトが顕著になったりして好ましくない。
更に、反応の制御に使用する化合物を添加することもできる。この場合の例としては、重合開始剤、連鎖移動剤、重合停止剤、相溶化剤、反応補助剤等が挙げられる。これらの具体例としては、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、ジエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、アニリン等のアミン化合物;p−メトキシフェノール、2,6−ジーt−ブチルーp−クレゾール、2,4,6−トリメチルフェノール、ベンジルアミノフェノール、ジヒドロキシベンゼン、ピロガロール、レゾルシノール等のフェノール類;ベンゾキノン、ヒドロキノン等のキノン類;ニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン等のニトロ化合物;酢酸アリル、ブタン酸アリル、ジアリルマロン酸ジエチルアリルベンゼン、アリルアルコール、アリルアミン等のアリル化合物;ベンゼンチオール、ベンジルメルカプタン、ドデカンチオール等のチオール類;ジフェニルジスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ブチルジスルフィド等のスルフィド類;テルピノレン、α―テルピネン等のテルペノイド;1,4−シクロヘキサジエン等の1,4−ジエン類等が挙げられる。
その他、特性改良上必要とされ得る添加剤の例としては、分散剤、消泡剤、可塑剤、防腐剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの添加剤は、何れか1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
これらの添加剤の使用量は、ホログラム記録材料の全固形分に対する比率で、好ましくは0.0005重量%以上、特に好ましくは0.001重量%以上、又、好ましくは30重量%以下、特に好ましくは10重量%以下とする。2以上の添加剤を併用する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
〔I−2−3〕光記録層の膜厚
本発明の光記録媒体における光記録層の膜厚は、特に制限は無く、記録方法等を考慮して適宜定めればよいが、一般的には、50μm以上であるのが好ましく、100μm以上であるのが特に好ましく、又、5mm以下であるのが好ましく、3mm以下であるのが特に好ましい。記録層が厚過ぎると、ホログラム記録層の場合、光記録媒体における多重記録の際、各ホログラムの選択性が低くなり、多重記録の度合いが低くなる場合がある。又、記録層が薄過ぎると、記録層全体を均一に成形することが困難であり、各ホログラムの回折効率が均一で且つS/N比の高い多重記録が難しくなる場合がある。本発明は、光記録層が厚膜である光記録媒体において特に効果を発揮する。
又、本発明の光記録媒体は、スペーサーを特定のものとしたことによって、光記録層が厚い膜厚であっても均一性を有することができる点で有利である。例えば、スペーサーに接する記録層のスペーサー部での膜厚(T)に対して、該膜厚(T)との差の絶対値が最大である記録層の最大又は最小膜厚部での膜厚(TM )との差(T−TM =ΔT)から求められる記録層膜厚変動ΔT/Tが、好ましくは±10%以内であり、特に好ましくは±7%以内である。尚、ここで、光記録層の膜厚の測定は、マイクロメータやレーザー変位計を用いる方法、切断した断面から光学顕微鏡を用いる方法等によりなされる。
〔I−3〕基板
基板は、必要な強度及び耐久性を有しているものであれば、その詳細に特に制限はなく、任意の材料を使用することができる。又、基板の形状に制限は無いが、通常は平板状又はフィルム状である。尚、2枚の対向する基板間に前述の光記録層を有する本発明の光記録媒体において、基板の少なくとも何れか一方は、活性エネルギー線(励起光、参照光、再生光等)を透過させるように、透明に構成する。記録層の両側に透明基板を有する光記録媒体の場合、透過型又は反射型のホログラムが記録可能である。又、片側に反射特性を有する基板を用いる場合は、反射型のホログラムが記録可能である。
〔I−3−1〕基板の材質
基板を構成する材質にも制限は無く、透明であっても不透明であってもよいが、少なくとも記録、再生光を入射する面においては、その波長の光に対して透明である必要がある。基板の材料として透明なものを挙げると、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、アモルファスポリオレフィン、ポリスチレン、酢酸セルロース等の有機材料;ガラス、シリコン、石英等の無機材料が挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート、アクリル、
ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アモルファスポリオレフィン、ガラス等が好ましく、特に、ポリカーボネート、アクリル、アモルファスポリオレフィン、ガラスが好ましい。一方、基板の材料として不透明なものを挙げると、アルミ等の金属;前記の透明基板上に金、銀、アルミ等の金属、又は、フッ化マグネシウム、酸化ジルコニウム等の誘電体をコーティングしたものを等が挙げられる。
〔I−3−2〕基板の表面
又、基板は、表面処理が施されたものであってもよい。この表面処理は、通常、基板と記録層との接着性を向上させるためになされる。表面処理の例としては、基板にコロナ放電処理を施したり、基板上に予め下塗り層を形成したりすることが挙げられる。ここで、下塗り層の組成物としては、ハロゲン化フェノール、又は部分的に加水分解された塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。又、前記スペーサーを基板上に接着する目的で、スペーサーと基板の間に均一な厚さの接着層を設けてもよい。このような接着層としては、具体的にはアクリル系、ウレタン系やエポキシ系の樹脂等が挙げられる。更に、表面処理は、接着性の向上以外の目的で行なってもよい。その例としては、例えば、金、銀、アルミ等の金属を素材とする反射コート層を形成する反射コート処理;フッ化マグネシウムや酸化ジルコニウム等の誘電体層を形成する誘電体コート処理等が挙げられる。又、これらの処理層は、単層で形成してもよく、2層以上を形成してもよい。
更に、基板にデータアドレス用のパターニングを設けてもよい。パターニング方法に制限は無いが、例えば、基板自体に凹凸を形成してもよく、後述する反射層にパターンを形成してもよく、これらを組み合わせた方法により形成してもよい。基板自体に凹凸を形成する場合、予め凹凸の入った原盤に樹脂を押圧するか、射出成型することでその凹凸を写し取ることにより所望の基板を得ることができる。
〔I−3−3〕基板の厚み
基板の厚みにも特に制限は無いが、通常は0.1mm以上、1cm以下の範囲とすることが好ましい。基板が薄過ぎると光記録媒体の機械的強度が不足し基板が反る場合があり、厚過ぎると光の透過量が減り、又、コストが高くなる場合がある。
〔I−4〕その他の層
本発明の光記録媒体には、上述した記録層及び基板以外に、その他の層を設けてもよい。その他の層の例としては、保護層、反射層、反射防止層(反射防止膜)等が挙げられる。
〔I−4−1〕保護層
保護層は、酸素や水分による感度低下や保存安定性の劣化等の悪影響を防止するための層である。保護層の材料に制限はなく、公知のものを任意に適用することが可能である。例えば、水溶性ポリマー、有機/無機材料等からなる層を保護層として形成することができる。
〔I−4−2〕反射層
又、反射層は、光記録媒体を反射型に構成する際に形成される。反射型の光記録媒体の場合、反射層は基板と記録層との間に形成されていてもよく、基板の外表面に形成されていてもよいが、通常は、基板と記録層との間にあることが好ましい。
〔I−4−3〕反射防止層
更に、透過型及び反射型の何れの光記録媒体についても、記録光及び読み出し光が入射及び出射する側や、或いは記録層と基板との間に、反射防止膜を設けてもよい。反射防止層は、光の利用効率を向上させ、かつゴースト像の発生を抑制する働きをする。
〔II〕光記録媒体の製造方法
本発明の光記録媒体の製造方法は、2枚の対向する基板間に、スペーサーを用いて、光又は熱硬化性樹脂マトリックス中に少なくとも前記光活性化合物(a)と前記光重合開始剤(b)とが分散された光記録組成物からなる層を形成した後、該光又は熱硬化性樹脂を硬化させて前記マトリックス樹脂(c)として、光記録組成物層を光記録材料からなる光記録層とした光記録媒体を製造する方法において、前記スペーサーとして、前記の条件で測定した圧縮変形率が10%以上である材料を用いることを特徴とする。
〔II−1〕光記録層の形成
〔II−1−1〕光記録組成物層の形成
スペーサーを挟んで対向する2枚の基板間に液状あるいは軟化した光記録組成物を配し、その後、光記録組成物層の平坦性を向上させるために、スペーサー全体にほぼ均一な圧力を付加して光記録組成物層を形成する
尚、光記録組成物を配する方法としては、例えば、スペーサーを配した片側の基板に光記録組成物を塗布した後、もう一枚の基板で挟み込む方法がある。又、予めスペーサーを挟んで2枚の基板を圧着した後、スペーサーで設けられた間隙に光記録組成物を注入する方法もある。前者の手法において、塗布方法としては、例えば、スプレー法、スピンコート法、ワイヤーバー法、ディップ法、エアーナイフコート法、ロールコート法、及びブレードコート法、ドクターロールコート法等が挙げられる。尚、気泡が入るのを防ぐために少なくとももう一枚の基板で挟み込む工程を真空中で行うことが好ましい。後者の手法としても、気泡の混入を防ぐために光記録組成物の注入を真空中で行うことが好ましい。
又、前者の方法において、塗布する光記録組成物を溶剤に溶解させた溶液として基板上に塗布し、乾燥させて光記録組成物層を形成してもよい。この場合の塗布方法としても、前述した塗布方法と同様の方法が挙げられる。又、溶剤の種類にも特に制限はないが、通常は、使用成分に対して十分な溶解度を持ち、良好な塗膜性を与え、且つ、基板及びスペーサーを侵さないものを使用することが好ましい。
溶剤の例を挙げると、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤;ジアセトンアルコール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン等のケトンアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶剤;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラフルオロプロパノール、オクタフルオロペンタノール等のパーフルオロアルキルアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド等の高極性溶剤;n−ヘキサン、n−オクタン等の鎖状炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環状炭化水素系溶剤;或いはこれらの混合溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は、何れか一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
又、その際の光記録組成物の濃度としては、塗布効率や取り扱い性等の面から、塗布液の固形分濃度が1重量%以上、10重量%以下程度となるように、溶剤の使用量を調整することが好ましい。但し、溶剤を用いる方法は、厚膜を形成する場合に、複数回の操作を必要とする等、作業工程が複雑になる傾向があるため、厚膜を形成するにおいては、無溶剤で光記録組成物層を形成する方法を採ることが好ましい。
〔II−1−2〕光記録層の形成
前記で形成した光記録組成物層を、該層中のマトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であれば、冷却固化することにより、又、該層中のマトリックス樹脂が光又は熱硬化性樹脂であれば、光照射又は加熱して硬化させることにより、光記録材料からなる光記録層を形成することができる。
その際、前述の光記録組成物層の形成のときと同様に、ほぼ均一な圧力を付加しながら、前記光記録組成物を硬化させることが好ましい。スぺーサー厚みが多少異なっていても、付加する圧力の調整により硬化後の膜厚をある程度所望の厚みに合わせることが可能である。前述の光記録組成物層の形成の際、及びこの際の付加する圧力は50Pa以上とするのが好ましく、100Pa以上とするのが特に好ましく、又、3,000Pa以下とするのが好ましく、2,000Pa以下とするのが特に好ましい。硬化時に付加する圧力が低すぎると、媒体中で多少の硬化収縮の不均一性が発生する。又、圧力が高すぎると、この時点でスペーサーが潰れてしまい、本来の目的である硬化収縮時にスペーサーを縮ませる効果がなくなってしまう。
尚、その際、圧力を付加する方法としては、錘を載せる方法や平坦な金属やセラミックスの板を機械的に押し当てる方法等がある。平坦な板を押し当てる場合、真空吸着等で基板表面を平坦な板に密着させることで平坦性を確保することも可能である。又、スペーサーは基板と接着せずに、ただ配置するのみでもよいが、記録層の領域を正確に規定するという意味では、光記録組成物の配置以前にスペーサーと基板とが接着されていることが好ましい。
尚、一般に光記録組成物は水分と反応する場合が多いため、製造工程の全体、ないし少なくとも一部を、水分を低減した環境下で行うことが好ましい。特に光記録組成物の滴下や注入時、或いは光又は熱硬化性樹脂の硬化時に水分を低減させることは好ましい形態である。水分を低減させるには、低湿度の空気中、窒素雰囲気中、真空中といった環境を用いることができる。
又、例えば、イソシアネート化合物と活性水素を有する化合物との反応により三次元架橋樹脂マトリックスを成型するような場合は、イソシアネート化合物を主とする組成物と活性水素を有する化合物を主とする組成物との混合は、層形成直前とし、そのまま光記録層を形成させるような手法を取ることもできる。
〔II−2〕反射層の形成
反射層としては、Au、Ag、Cu、Al、Pt、Rh等の高反射率の金属単体或いはそれらに5原子%以下程度の、例えば、Ti、Ta、Ni、Bi、Nd、Cu、Mg、Eu等の添加物を加えた合金が好ましく用いられる。又、屈折率の異なる複数の誘電体を積層して作成した誘電体ミラーも好ましく用いられる。誘電体ミラーの場合には、光の波長によって反射率、透過率を大きく変えることが可能であるので、例えば青色の光を反射することで記録再生を行い、赤色の光を透過することで反射層の下にあるアドレス情報を読み取るようにすることも可能である。低屈折率の材料としてはMgFやSiO2 、高屈折率の材料としてはTiO2 、Ta2 O5 、Si3 N4 、ZnS等が用いられる。反射層の形成には真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD等の一般的真空薄膜製造プロセス、或いはメッキ法やゾルゲル法等も用いることができる。中でも緻密で反射率の高い膜が得られる真空プロセス、中でもスパッタリングを用いることが好ましい。
〔II−3〕保護層の形成
保護層は、例えば有機のアクリル系やエポキシ系等の保護層をスピンコート法、バーコート法、スプレー法等で塗布し、硬化させる方法がある。或いは無機薄膜を反射膜と同様の方法で設けることもできる。保護層は複数の単層ではなく複数の層を組み合わせてもよい。このとき無機と有機の層を組み合わせることも可能である。例えば、有機保護層と記録層の間に無機保護層を挟むことで記録層材料と有機保護層が互いに混ざり合うことを防ぐことができる。記録層の保護を行うという目的で、媒体の端面を封止して水分の進入を避けるのは好ましい形態である。例えば、エポキシ系樹脂等の封止剤を端面に塗布したり、アルミニウム等の金属と樹脂を貼りあわせたテープを端面に貼り付けたりすることもできる。
〔II−4〕反射防止層の形成
基板の光入射面に反射防止層を設けることは、光の利用効率を高める効果、及び表面反射光によるノイズを低減する効果が期待できるので好ましい。反射防止層は、屈折率の異なる複数の誘電体を積層して設けることができる。低屈折率の材料としてはMgFやSiO2 、高屈折率の材料としてはTiO2 、Ta2 O5 、Si3 N4 、ZnS等が用いられる。反射層の形成には真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD等の一般的真空薄膜製造プロセス、或いはメッキ法やゾルゲル法等も用いることができる。中でも緻密で反射率の高い膜が得られる真空プロセス、中でもスパッタリングを用いることが好ましい。又、フッ素樹脂のような基板より低い屈折率を持った液状の樹脂をスピンコート法等により塗布し、硬化させることで反射防止層を得ることも可能である。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
実施例1
サンプル瓶1にヘキサメチレンジイソシアネート1.00g、N−ビニルカルバゾール0.155g、およびビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド0.008gを秤量し、各成分が溶解するまで攪拌した。一方、サンプル瓶2にはポリプロピレントリオール(三洋化成社製「GP1000」、平均分子量1000)3.993gとジオクチルスズジラウレート0.001gを秤量し、各成分が溶解するまで攪拌した。その後、サンプル瓶1、2の液を混ぜ合わせ攪拌し、ベルジャー内で数分間減圧下脱気を行うことで光記録組成物の液を得た。
次いで、光記録媒体サンプルを図2に示すようにして作製した。図2は、本発明の光記録媒体の製造方法を説明するための光記録媒体の平面図及び縦断面図であるが、幅25mm、長さ75mm、厚み1.1mmのポリカーボネート樹脂基板4上に、幅10mmのスペーサー1、1を長さ方向2箇所に長さ方向に直角に40mmの間隔を空けて配置した。スペーサー1、1間に前記光記録組成物2を直径20mmのほぼ円形となるように滴下した後、同一形状のポリカーボネート基板3を載せて挟み、更に均一な圧力をかけるために基板と同一形状の27gのガラス(図示せず)を載せた。このときスペーサー1、1にかかる圧力はほぼ530Paに相当する。スペーサー1、1としては、リンテック(株)製ポリエチレンフォーム「TL52BM−05」(0.62mm厚)を用いた。スペーサーの圧縮変形率は、(株)ミツトヨ製マイクロメータ「MDQ−30」を用い、前記した方法により測定、算出した。
全体を窒素雰囲気のオーブン内に入れ、60℃で15時間加熱して光記録組成物2中の熱硬化性樹脂を熱硬化させることにより光記録媒体サンプルを作製した。光記録層の膜厚はマイクロメータでサンプル全体の厚みを測定し、そこから両側の基板3、4の厚みを差し引くことにより求めた。そして、スペーサー1、1に接する記録層のスペーサー部での膜厚(T)に対して、該膜厚(T)との差の絶対値が最大である記録層の最大又は最小膜厚部での膜厚(TM )との差(T−TM =ΔT)から、光記録層膜厚変動ΔT/Tを求めた。但し、スペーサー部より記録層部分が薄い場合を正の符号としている。尚、この光記録媒体サンプルの光記録組成物の硬化前後での体積収縮率を調べたところ、4%であった。
実施例2
スペーサーとして、(株)ニトムズ製発泡ブチルゴムシート(0.75mm厚)を使用した以外は、実施例1と同様にして光記録媒体サンプルを作製した。
実施例3
スペーサーとして、SANYO社製発泡ポリエチレンシート「エアフォームシート(1mm厚)を使用した以外は、実施例1と同様にして光記録媒体サンプルを作製した。
実施例4
スペーサーとして、大日本インキ化学工業(株)製ポリウレタンエラストマー「バンデックス1145A/1145B」を使用した。主剤「1145A」と硬化剤「1145B」を100:110の比率で混合し、減圧下で脱気した後、基板に塗布し、硬化させることにより、実施例1と同様の形状のスペーサーを作製した。スペーサーの高さは塗布液の粘度によって決まるが、この場合は約0.4mmとなった。引き続いて、実施例1と同様にして光記録媒体サンプルを作製した。
実施例5
スペーサーとして、大日本インキ化学工業(株)製ゲルウレタン「バンデックスGCA−11/GCB−41−30」を使用した。主剤「GCA−11」と硬化剤「GCB−41−30」を9.5:100の比率で混合し、減圧下で脱気した後、基板に塗布し、硬化させることにより、実施例1と同様の形状のスペーサーを作製した。スペーサーの高さは塗布液の粘度によって決まるが、この場合は約0.5mmとなった。引き続いて、実施例1と同様にして光記録媒体サンプルを作製した。
比較例1
スペーサーとして、前述の特許文献6に記載のポリテトラフルオロエチレン樹脂シート(0.5mm厚)を使用した以外は、実施例1と同様にして光記録媒体サンプルを作製した。
上記実施例及び比較例の結果を第1表に示す。尚、各々の実施例、比較例は2サンプルずつ作製した結果の平均値をとっている。
Figure 2010186512
1:スペーサー
2:光記録層、光記録組成物
3,4:基板

Claims (3)

  1. 2枚の対向する基板間にスペーサーと光記録層を有する光記録媒体において、前記スペーサーが、以下の条件で測定した圧縮変形率が10%以上である材料よりなることを特徴とする光記録媒体。
    圧縮変形率;試料を直径6.35mmの2枚の円板間に少なくともその上下円板の内面全面で試料が圧縮されるように挟み、23℃で、10Nの荷重下での材料の厚み(D2)と、無荷重下での材料の厚み(D1)とを測定し、以下の式により算出される割合を圧縮変形率と定義する。
    圧縮変形率(%)=〔(D1−D2)/D1〕×100
  2. スペーサーが発泡樹脂よりなる請求項1に記載の光記録媒体。
  3. 2枚の対向する基板間に、スペーサーを用いて、光又は熱硬化性樹脂マトリックス中に少なくとも光活性化合物と光重合開始剤とが分散された光記録組成物からなる層を形成した後、該光又は熱硬化性樹脂を硬化させて光記録組成物層を光記録材料からなる光記録層とした光記録媒体を製造する方法において、前記スペーサーとして、以下の条件で測定した圧縮変形率が10%以上である材料を用いることを特徴とする光記録媒体の製造方法。
    圧縮変形率;試料を直径6.35mmの2枚の円板間に少なくともその上下円板の内面全面で試料が圧縮されるように挟み、23℃で、10Nの荷重下での材料の厚み(D2)と、無荷重下での材料の厚み(D1)とを測定し、以下の式により算出される割合を圧縮変形率と定義する。
    圧縮変形率(%)=〔(D1−D2)/D1〕×100
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