JP2010180389A - 酸素吸収性多層ペレット - Google Patents

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Abstract

【課題】実用上十分な酸素吸収性能を有し、酸素吸収による不快な臭気成分の発生を低減させて臭気の発生を抑制し、さらに保管時の酸素吸収性能の失活が少ない多層ペレットを提供する。
【解決手段】実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を含む樹脂組成物(M)でなる中間層11、および炭化水素系樹脂からなる熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層12、を含み、該樹脂組成物(M)は、該熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、該遷移金属塩(C)を金属換算量で0.001質量部〜0.5質量部(10ppm〜5000ppm)の範囲で含み、該被覆層12は該中間層11の周囲を被覆するように積層されている多層ペレット10。
【選択図】図1

Description

本発明は、遷移金属塩による樹脂の劣化および臭気の発生を抑制し、さらに保管時の酸素吸収性能の失活が少ない、酸素吸収性能を有するペレットに関する。
近年、包装容器の内容物、特に食品、飲料、医薬品、化粧品などの保存性を高めるために、酸素吸収性材料を配合したガスバリア性樹脂を含む容器、外層にガスバリア性樹脂層を設け、内層に容器内の残存酸素を吸収する酸素吸収材料層を設けた積層体でなる容器などが提案されている。
従来、一般的に用いられている酸素吸収性材料としては、例えば、鉄系化合物からなる酸素吸収材や、エチレン性不飽和炭化水素系重合体、遷移金属塩および熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性樹脂組成物などが挙げられる。
鉄系化合物からなる酸素吸収材は、良好な酸素吸収性能を有する。しかし、水分の存在が不可欠であり、内容物の水分活性により酸素吸収性能に差が生じることがある。また、鉄系酸素吸収材を熱可塑性樹脂に練り込んで包装材料として用いた場合、金属を含むため電子レンジの使用が制限されたり、食品などの充填後、金属探知機を使用しての異物混入検査ができないという問題がある。さらに、容器の透明性が確保できず、透明性を要求される用途には、適用できないという問題もある(特許文献1参照)。
一方、エチレン性不飽和炭化水素系重合体、遷移金属塩および熱可塑性樹脂からなる酸素吸収性樹脂組成物は、酸素吸収後の熱可塑性樹脂の酸化劣化による臭気成分の発生や、樹脂組成物の着色などの問題がある。
特許文献2では、エチレン性不飽和炭化水素系重合体および遷移金属塩を含む酸素吸収性樹脂組成物が開示されているが、臭気に関する記載はない。ガスバリア性に乏しい熱可塑性樹脂に酸素吸収機能を付与した場合、得られる酸素吸収性樹脂組成物を用いた包装材における酸素吸収速度は、所望の性能を達成し得る。しかし、酸素の吸収に伴い、遷移金属塩の作用によって、エチレン性不飽和炭化水素系重合体だけではなく熱可塑性樹脂も酸化されてしまう。この酸化により、低分子酸化物が発生し、食品などの包装内容物に移行することによって、風味を特に重視する用途などでは問題となる。
特許文献3では、芯−鞘構造の酸素吸収性樹脂組成物が提案されている。しかし、酸化触媒である遷移金属塩が、ポリエチレンなどの自動酸化されやすい熱可塑性樹脂に練りこまれており、酸化劣化による樹脂の着色、臭気の発生などが容易に推察される。
特開2008−6635号公報 特開平5−115776号公報 特開2007−23193号公報
したがって、本発明の目的は、実用上十分な酸素吸収性能を有し、酸素吸収による不快な臭気成分の発生を低減させて臭気の発生を抑制し、さらに保管時の酸素吸収性能の失活が少ない多層ペレットを提供することにある。
本発明は、実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A)(以下、単に熱可塑性樹脂(A)と記載する)100質量部に対して、遷移金属塩(C)を金属換算量で0.001質量部〜0.5質量部(10ppm〜5000ppm)の範囲で含有する樹脂組成物(M)を中間層とし、該中間層の周囲が炭化水素系樹脂からなる熱可塑性樹脂(B)(以下、単に熱可塑性樹脂(B)と記載する)でなる被覆層で被覆された、多層ペレットである。
1つの実施態様では、上記被覆層は、上記中間層の両面に隣接するように積層されている。
1つの実施態様では、上記熱可塑性樹脂(A)は、ポリオクテニレンである。
1つの実施態様では、上記遷移金属塩(C)は、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、およびコバルト塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩である。
ある実施態様では、上記熱可塑性樹脂(B)は、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である。
別の実施態様では、上記熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤の量は、1000ppm以下である。
本発明によれば、実用上十分な酸素吸収能力を有し、酸素吸収による不快な臭気成分の発生を低減させて臭気の発生を抑制し、さらに保管時の酸素吸収性能の失活が少ない多層ペレットを提供することができる。
本発明の多層ペレットの一実施態様を示す模式図である。
本発明の多層ペレットは、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を含む樹脂組成物(M)でなる中間層、および熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層を含む。図1に、本発明の多層ペレットの一実施態様を示す。図1に示すように、本発明の多層ペレット10は、好適には、上記被覆層12が上記中間層11の両面に隣接するように積層された積層構造を有する。
本発明の多層ペレットは、例えば、中間層の両面を被覆層で被覆した多層シートを調製し、得られた多層シートをカンバーランドなどで裁断することによって得られる。
本発明の多層ペレットは、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を含む樹脂組成物(M)でなる中間層が、熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層で被覆されている。したがって、遷移金属塩(C)が熱可塑性樹脂(A)に効率的に働き、さらに遷移金属塩(C)による熱可塑性樹脂(B)の酸化劣化を抑制することができる。すなわち、優れた酸素吸収性能を有し、熱可塑性樹脂(B)の劣化による臭気物質の発生が極めて少なくなる。さらに、酸素吸収性を有する樹脂組成物(M)を熱可塑性樹脂(B)で覆うため、樹脂保管中の酸素吸収による失活を防ぐことが可能となる。
以下、本発明の多層ペレットに含まれる成分について説明する。
(1)熱可塑性樹脂(A)
本発明の多層ペレット(以下、単に多層ペレットと記載する場合がある)に用いられる熱可塑性樹脂(A)は、実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する。「実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する」とは、熱可塑性樹脂(A)の主鎖に存在する炭素−炭素二重結合が、分子内の全炭素−炭素二重結合の90%以上であり、側鎖に存在する炭素−炭素二重結合が、分子内の全炭素−炭素二重結合の10%以下であることをいう。側鎖に存在する炭素−炭素二重結合の割合は、好ましくは7%以下、より好ましくは5%以下である。
熱可塑性樹脂(A)としては、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリ(2−エチルブタジエン)、ポリ(2−ブチルブタジエン)などのポリジエンであって、主として1,4位で重合したもの;シクロオレフィンの開環メタセシス重合体(ポリオクテニレン、ポリペンテニレン、ポリノルボルネンなど)などが挙げられる。これらの中でも、1,4−ポリブタジエンおよびポリオクテニレンが好適であり、ポリオクテニレンがより好適である。
このような熱可塑性樹脂(A)は、分子内に炭素−炭素二重結合を有するため、酸素と効率よく反応することが可能であり、その結果、酸素吸収性能が得られる。ここで、「炭素−炭素二重結合」には、芳香環に含まれる多重結合は包含されない。
ここで、熱可塑性樹脂分子の主鎖に存在する炭素−炭素二重結合は、側鎖に存在する炭素−炭素二重結合と比較して、酸素吸収量が少なく、酸素吸収速度が遅い場合が多い。しかし、主鎖に、隣接する炭素−炭素二重結合の間にメチレン鎖が3個以上存在する繰り返し単位(すなわち、−C=C−(CHn≧3−C=C−)を有する熱可塑性樹脂は、炭素−炭素二重結合1個あたりの酸素吸収量が予想以上に多いことがわかった。したがって、本発明の多層ペレットでは、臭気を発生しにくく、少ない添加量で優れた酸素吸収性が得られるという観点から、熱可塑性樹脂(A)として、好ましくは、隣接する炭素−炭素二重結合の間にメチレン鎖が3個以上存在する繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂としては、ポリオクテニレン、ポリペンテニレンなどが挙げられ、ポリオクテニレンが特に好適である。
熱可塑性樹脂(A)に含まれる炭素−炭素二重結合の量は、0.001eq/g(当量/g)以上であることが好ましく、0.005eq/g以上がより好ましく、0.01eq/g以上がさらに好ましい。炭素−炭素二重結合の含有量が0.001eq/g未満の場合、得られる多層ペレットは、十分な酸素吸収性能を有さない傾向となる。
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、好適には1000〜500000であり、より好適には10000〜250000であり、さらに好適には40000〜200000の範囲である。熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量が1000未満の場合および500000を超える場合、多層ペレットの成形加工性、ハンドリング性、さらには成形品としたときの強度、伸度などの機械的性質が低下する傾向となる。
熱可塑性樹脂(A)を製造する方法としては、熱可塑性樹脂(A)の種類によっても異なるが、例えば、ポリオクテニレンは、シクロオクテンを原料モノマーとし、触媒としてタングステン系触媒、ルテニウム系触媒などを用いて開環メタセシス重合を行う方法;あるいは、1,9−デカジエンを原料モノマーとし、同様の触媒を用いて非環状ジエンメタセシス重合を行う方法によって合成できる。触媒としては、例えば、[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウムが挙げられる。重合は、無溶媒で行うことも可能であるが、必要に応じて溶媒を用いてもよい。
熱可塑性樹脂(A)が環状オレフィンの開環メタセシス重合体である場合、開環メタセシス重合の機構から、必然的にある程度のオリゴマーが混合することが避け難い。通常の使用条件では、モノマー(シクロオレフィンモノマー)が除去されていれば臭気などの問題は起きにくい。しかし、多層ペレットから得られた包装材(成形体)が高温高湿下で保管される場合、これらオリゴマーが存在すると被包装物に臭気が感じられる場合がある。一方、オリゴマー量は臭気などの観点から低いほど好ましいが、必要以上に低くしようとすると製造プロセスが煩雑になる。したがって、高温高湿下で保管を行うことを考慮すると、開環メタセシス重合体中に存在する分子量1000以下のオリゴマーは、好ましくは6質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。
開環メタセシス重合体からオリゴマーを除去する方法としては、アセトンなどの有機溶剤で洗浄除去する方法などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)は、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤としては、例えば、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−チオビス(6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−チオビス(6−tert−ブチルフェノール)、2−tert−ブチル−6−(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノール、2,2−メチレンビス(6−tert−ブチル−p−クレゾール)、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、チオジプロピオン酸ジラウリルなどが挙げられる。
熱可塑性樹脂(A)が酸化防止剤を含有する場合、その量は、多層ペレット中の各成分の種類、含有量、使用目的、保存条件などを考慮して適宜決定される。酸化防止剤を含有させるときの量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは0.01〜0.5質量部(100ppm〜5000ppm)であり、より好ましくは0.02〜0.08質量部(200ppm〜800ppm)である。酸化防止剤の含有量が0.5質量部(5000ppm)を超える場合、熱可塑性樹脂(A)と酸素との反応が妨げられる傾向となる。一方、酸化防止剤の含有量が0.01質量部(100ppm)未満では、熱可塑性樹脂(A)の保存時または溶融混練時に酸素との反応が進行し、得られる樹脂組成物(M)の実際の使用前に、酸素吸収性能が低下する場合がある。
(2)遷移金属塩(C)
遷移金属塩(C)は、熱可塑性樹脂(A)の酸化反応を促進することにより、樹脂組成物(M)の酸素吸収性能を向上させる効果がある。
遷移金属塩(C)に含まれる遷移金属としては、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルト、ロジウム、チタン、クロム、バナジウム、ルテニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。これらの中でも、鉄、ニッケル、銅、マンガン、コバルトが好ましく、マンガンおよびコバルトがより好ましく、コバルトがさらに好ましい。
遷移金属塩(C)に含まれる遷移金属の対イオンとしては、有機酸または塩化物由来のアニオンが挙げられる。有機酸としては、酢酸、ステアリン酸、アセチルアセトン、ジメチルジチオカルバミン酸、パルミチン酸、2−エチルへキサン酸、ネオデカン酸、リノール酸、トール酸、オレイン酸、カプリン酸、ナフテン酸などが挙げられる。特に好ましい塩としては、2−エチルへキサン酸コバルト、ネオデカン酸コバルト、およびステアリン酸コバルトが挙げられる。
遷移金属塩(C)は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、金属換算量で0.001質量部〜0.5質量部(10ppm〜5000ppm)の範囲で配合する。好ましくは、遷移金属塩(C)は金属換算量で、0.01質量部〜0.1質量部(100〜1000ppm)、より好ましくは0.02質量部〜0.08質量部(200ppm〜800ppm)の範囲で配合する。遷移金属塩(C)の配合量が0.001質量部(10ppm)未満の場合、得られる多層ペレットの酸素吸収性能および酸素吸収速度が不十分なものとなる傾向になる。一方、遷移金属塩(C)の配合量が0.5質量部(5000ppm)を超える場合、例えば、熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とを溶融混練する際、発熱を伴う分解ガスの発生、成形体のゲル・ブツの発生などが著しくなり、加工性が悪くなる傾向になる。さらに、溶融混練して得られた樹脂組成物の熱安定性が低下する傾向になる。また、加工中の酸化により、熱可塑性樹脂(A)の本来の酸素吸収性能が失活する懸念もある。
(3)熱可塑性樹脂(B)
本発明の多層ペレットは、被覆層として炭化水素系樹脂からなる熱可塑性樹脂(B)が用いられる。この熱可塑性樹脂(B)は、樹脂組成物(M)でなる中間層を被覆して酸素接触を防ぐ機能を有し、かつ該熱可塑性樹脂(B)が有する特性を多層ペレットに付与する働きを有する。
熱可塑性樹脂(B)としては、例えば、ポリエチレン(超低密度、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度など)、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなど)、ポリスチレン(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)など)、その他α−オレフィン系共重合体などが挙げられ、これらの市販品を使用することができる。
本発明の多層ペレットは、好ましくは樹脂組成物(M)でなる中間層の両面が熱可塑性樹脂(B)で被覆されている。本発明の多層ペレットにおいては、さらに相容化剤(D)が、樹脂組成物(M)に含まれていてもよく、熱可塑性樹脂(B)に含まれていてもよく、樹脂組成物(M)でなる中間層と熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層との間に積層されていてもよい。
相容化剤(D)は、本発明の多層ペレット中の中間層と被覆層と、必要に応じてその他の層とが積層される場合、これらの層(樹脂)の相容性を向上させ、得られる多層ペレットから成形される成形体に安定したモルフォロジーを与える目的で、必要に応じて含有される。相容化剤(D)の種類は、使用する熱可塑性樹脂(B)の種類、熱可塑性樹脂(A)などの組み合わせにより、適宜選択される。
相容化剤(D)としては、例えば相容化剤(D)が極性基を含有する炭化水素系重合体の場合には、重合体のベースとなる炭化水素重合体部分により、相容化剤(D)と熱可塑性樹脂(A)との親和性が良好となる。さらに、相容化剤(D)の極性基により、相容化剤(D)と熱可塑性樹脂(B)との親和性が良好となる場合がある。その結果、得られる樹脂組成物に安定したモルフォロジーを形成させることができる。
上記の極性基を含有する炭化水素系重合体のベースとなる炭化水素重合体部分を形成し得る単量体としては、次の化合物が挙げられる:エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、3−メチルペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィン類;スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレンなどのスチレン類;1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレンなどのビニルナフタレン類;インデン、アセナフチレンなどのビニレン基含有芳香族化合物;ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、ペンタジエン、ヘキサジエンなどの共役ジエン化合物など。上記炭化水素系重合体は、これらの単量体の一種を主として含有していてもよいし、二種以上を主として含有していてもよい。
上記単量体を用いて、極性基を含有する炭化水素系重合体が調製され、その際、該単量体は次のようなポリマーでなる炭化水素重合体部分を形成する:ポリエチレン(超低密度、低密度、直鎖状低密度、中密度、高密度など)、ポリプロピレン(ホモポリプロピレン、ランダムポリプロピレン、ブロックポリプロピレンなど)、ポリスチレン(汎用ポリスチレン(GPPS)、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)など)、スチレン−ジエン系ブロック共重合体(スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など)、その水添物などのスチレン系重合体など。これらの中でも、スチレン−ジエン系ブロック共重合体(スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など)、その水添物などのスチレン系重合体が好ましい。
相容化剤(D)に含有される極性基としては特に限定されないが、酸素原子を含有する官能基が好ましい。具体的には、活性水素含有極性基(−SOH、−SOH、−SOH、−CONH、−CONHR、−CONH−、−OHなど)、窒素を含有し活性水素を含有しない極性基(−NCO、−OCN、−NO、−NO、−CONR、−CONR−など)、エポキシ基、カルボニル基含有極性基(−CHO、−COOH、−COOR、−COR、>C=O、−CSOR、−CSOHなど)、リン含有極性基(−P(OR)、−PO(OR)、−PO(SR)、−PS(OR)、−PO(SR)(OR)、−PS(SR)(OR)など)、ホウ素含有極性基などが挙げられる。ここで、上記一般式中、Rはアルキル基、フェニル基、またはアルコキシ基を表す。
相容化剤(D)が炭化水素系重合体である場合に、特に好ましい極性基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸塩基などのカルボキシル基類;ボロン酸基、ボロン酸エステル基、ボロン酸無水物基、ボロン酸塩基などのホウ素含有極性基などが挙げられる。
本発明の多層ペレットは、多層ペレットの全質量を基準として、樹脂組成物(M)からなる中間層の質量および熱可塑性樹脂(B)からなる被覆層の質量の合計量が、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。相容化剤(D)を含む場合は、多層ペレットの全質量を基準として、熱可塑性樹脂(B)、樹脂組成物(M)、および相容化剤(D)の合計量が90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。
本発明の多層ペレットは、本発明の作用効果が阻害されない範囲内で、各種の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤の例としては、可塑剤、熱安定剤(溶融安定剤)、光開始剤、脱臭剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤、フィラー、乾燥剤、充填剤、顔料、染料、加工助剤、難燃剤、防曇剤、他の高分子化合物などが挙げられる。
熱可塑性樹脂(B)に酸化防止剤が含有される場合、熱可塑性樹脂(B)と樹脂組成物(M)とを混合して得られる酸素吸収性樹脂組成物の酸素吸収性能が阻害されることがある。これは、熱可塑性樹脂(B)に含有される酸化防止剤が樹脂組成物(M)にも影響するためである。したがって、熱可塑性樹脂(B)に含有される酸化防止剤の量は少ないほど好ましいが、成形体に加工する際に選択する熱可塑性樹脂(B)によっては、劣化、架橋、ゲル化が起こることがある。酸素吸収性樹脂組成物(P)の酸素吸収性能を阻害せず、かつ加工性を考慮した場合、熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤の量は、1000ppm以下が好ましい。
本発明の多層ペレットのメルトフローレート(MFR)(210℃、2160g荷重下、JIS K 7210に基づく)は、好ましくは0.1〜100g/10分であり、より好ましくは0.5〜50g/10分であり、さらに好ましくは1〜30g/10分である。メルトフローレートが上記の範囲から外れる場合、多層ペレットを成形品に加工する際の加工性が悪くなる場合がある。
本発明の多層ペレットを、例えば、溶融成形により加工した成形品を得る場合において、樹脂組成物(M)からなる粒子が、熱可塑性樹脂(B)に分散している態様が好ましい。このような態様の、多層ペレットからなる成形体は、酸素吸収性能を持続し易い。このとき、樹脂組成物(M)からなる粒子の平均粒径は、好ましくは10μm以下である。平均粒径が10μmを超えると、樹脂組成物(M)と熱可塑性樹脂(B)との界面の面積が小さくなり、酸素吸収性能が低下する場合がある。樹脂組成物(M)粒子の平均粒径は、より好ましくは5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。
熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を混練し得る装置としては、連続式インテンシブミキサー、ニーディングタイプ二軸押出機(同方向または異方向)、ミキシングロール、コニーダーなどの連続型混練機;高速ミキサー、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、加圧ニーダーなどのバッチ型混練機;株式会社KCK製KCK混練押出機などの石臼のような摩砕機構を有する回転円板を使用した装置;一軸押出機に混練部(ダルメージなど)を設けた装置;リボンブレンダー、ブラベンダーミキサーなどの簡易型の混練機などが挙げられる。これらの中でも、連続型混練機が好ましい。市販されている連続式インテンシブミキサーとしては、Farrel社製「FCM」(商品名)、株式会社日本製鋼所製「CIM」(商品名)、株式会社神戸製鋼所製「KCM」、「LCM」、および「ACM」(いずれも商品名)などが挙げられる。さらに、ニーディングディスクまたは混練用ロータを有する二軸混練押出機としては、例えば株式会社日本製鋼所製「TEX」(商品名)、Werner&Pfleiderer社製「ZSK」(商品名)、東芝機械株式会社製「TEM」(商品名)、池貝鉄工株式会社製「PCM」(商品名)などが挙げられる。多層ペレットを製造する方法は、例えば、上記のような押出機を2機以上使用する。押出機を例えば2機使用する場合、1機は、熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)とから樹脂組成物(M)を得るための押出機であり、もう1機は、熱可塑性樹脂(B)を溶融混練する押出機である。これらの押出機にダイを連結することにより、2種3層、3種5層などのような多層構造を構成し得る。これをペレタイザーに供給する前に水浴で冷却し、カンバーランドペレタイザーで裁断し、多層ペレットを得る。
樹脂組成物(M)の混練は、通常40〜150℃の温度で行われる。熱可塑性樹脂(A)と遷移金属塩(C)との混練は、酸化防止のため、ホッパー口を窒素パージし、40℃〜100℃の低温で押出すことが好ましい。また、熱可塑性樹脂(B)の混練は、選択する熱可塑性樹脂(B)の種類にもよるが、通常、140〜300℃の温度で行われる。混練時間は、長い方がよりよく混練できるが、長すぎると、押出機内で酸化反応が起こる場合がある。したがって、熱可塑性樹脂(A)の酸化防止および生産効率の観点から、混練時間は、通常10〜600秒であり、好ましくは15〜200秒であり、より好ましくは15〜150秒である。
本発明の多層ペレットを用いて多層構造の成形体を得る場合、成形体内部の酸素を吸収しやすくする観点から、成形体の内層を形成する樹脂は、比較的ガス透過性が高く疎水性の樹脂が好ましく、用途によってはヒートシール可能であることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。一方、成形体の外層を形成する樹脂は、成形性および機械的物性に優れる樹脂が好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。
容器外側から侵入する酸素を防止するため、本発明の多層ペレットからなる層の外層側に、ポリアミド、エチレンービニルアルコール共重合体などのガスバリア性樹脂からなる層が積層されていることが好ましい。さらに、本発明の多層ペレットからなる層とガスバリア性樹脂からなる層との間に、他の層が含まれていてもよい。
本発明の多層ペレットを、レトルト用包装材あるいは容器の蓋材として用いる場合、外層には、ポリアミド、ポリエステル、またはポリプロピレンなどのポリオレフィンが用いられ、特にポリプロピレンが好ましく用いられる。内層には、ポリプロピレンが好ましく用いられる。
ポリオレフィンは耐湿性、機械的特性、経済性、ヒートシール性などの点で好ましい。ポリエステルは機械的特性、耐熱性などの点で好ましい。
多層構造の成形体を得る方法としては、例えば、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共射出成形法、共押出成形法などが挙げられるが、特に限定されない。共押出成形法としては、共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法などが挙げられる。
このようにして得られた多層構造を有するシート、フィルム、パリソンなどを、含有される樹脂の融点以下の温度で再加熱し、絞り成形などの熱成形法、ロール延伸法、パンタグラフ式延伸法、インフレーション延伸法、ブロー成形法などにより一軸または二軸延伸して、延伸された成形物を得ることもできる。
本発明の多層ペレットが、例えば、包装材として用いられ、高湿度下に曝されることを考慮すると、多層ペレットからなる層の両側に、または包装材を使用する際に高湿度となる側に、水蒸気バリア性の高い層を設けることが好ましい。このような層を設けた成形体は、酸素吸収性能の持続期間が特に延長され、そのため、極めて高度なガスバリア性がより長い時間継続される。一方、本発明の多層ペレットを最内層に有する多層容器は、容器内の酸素吸収性能が速やかに発揮される。
本発明の多層ペレットを包装材として用いる場合、該包装材が有する、多層ペレットからなる酸素吸収層の酸素吸収速度は、23℃、50%RH(相対湿度)において5.0ml/(g・day)以上であることが好ましい。このような酸素吸収速度を有することにより、通常の室温条件下で、食品、ペットフードなどを空気下で包装材内に充填した場合、包装材内部の酸素を、内容物の風味の酸素による劣化が起こる前に効率よく吸収し得る。なお、酸素吸収速度は、後述の実施例で説明する方法により測定される。
上記の包装材は、優れた酸素吸収性能を有し、かつ酸化に伴う臭気物質の発生や移動が極めて小さいため、酸素の影響で何らかの劣化を生じやすい内容物、例えば食品、医薬品などに好適に使用できる。特に風味を重視する食品、飲料や品質変化に敏感なペットフードなどの包装材として好適である。
本発明の多層ペレットの酸素吸収性能は、用いられる熱可塑性樹脂(A)、遷移金属塩(C)、および熱可塑性樹脂(B)の割合、種類などによって異なるが、例えば、食品包装などで包装材内に残存した酸素を積極的に吸収させるという観点から、酸素吸収速度が5.0ml/g・day以上(23℃、50%RH条件下)であることが好ましい。
本発明の多層ペレットは、熱可塑性樹脂(A)、遷移金属塩(C)、および熱可塑性樹脂(B)を一括して溶融混練して得られる多層ペレットと比較し、その酸素吸収性能が向上し、さらに酸素吸収後の臭気発生が抑制される。
このような性能が向上するメカニズムの詳細は明らかではないが、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を含む樹脂組成物(M)を中間層とし、この中間層の両面に熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層が積層されることで、遷移金属塩(C)が熱可塑性樹脂(A)内に集中的に存在することになり、酸素吸収性能に関与する炭素−炭素二重結合に効率的に働き、酸素吸収性能が向上するものと推定される。
また、遷移金属塩(C)が熱可塑性樹脂(A)内に集中的に存在することにより、遷移金属塩(C)による熱可塑性樹脂(B)の酸化劣化を抑制するため、酸素吸収後の臭気が抑えられると推定される。
すなわち、樹脂組成物(M)を中間層とし、この中間層の両面に熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層が積層されると、多層ペレットにおける遷移金属塩の絶対量が減少するにも関わらず、酸素吸収性能は向上する。さらに、酸素吸収性能が向上するにも関わらず、酸素吸収後の臭気発生は抑制される。
さらに、本発明の多層ペレットは、酸素吸収性能を有する中間層が酸素と接触する面積を少なくできるため、該ペレットの保管中の酸素吸収性能の失活を防ぐことが可能となる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)熱可塑性樹脂(A)の分子構造
熱可塑性樹脂(A)の分子構造は、重クロロホルムを溶媒としたH−NMR(核磁気共鳴)測定(日本電子株式会社製「JNM−GX−500型」を使用)により、得られたスペクトルから決定した。
(2)熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量
熱可塑性樹脂(A)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定を行い、ポリスチレン換算値として示した。測定の詳細な条件は、以下の通りである。
<分析条件>
装置:Shodex製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)SYSTEM−11
カラム:Shodex製、KF−806L
カラム温度:40℃
移動相:テトラヒドロフラン、流速1.0ml/分
Run:15分
検出器:RI
濃度:0.1%
注入量:100μl
(合成例1:ポリオクテニレン(a−1)の合成)
攪拌機および温度計を装着した3つ口フラスコ内を、乾燥した窒素で置換した。3つ口フラスコに、cis−シクロオクテン110質量部およびcis−4−オクテン0.187質量部を溶解させたヘプタン624質量部を加えた。
次いで、[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン]ジクロロ(フェニルメチレン)(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム0.0424質量部を、トルエン3質量部に溶解させた触媒液を調製した。この触媒液をすばやく3つ口フラスコに加えて、55℃で開環メタセシス重合を行った。1時間後、反応液を、ガスクロマトグラフィー(株式会社島津製作所製、GC−14B;カラム:化学品検査協会製、G−100)により分析して、cis−シクロオクテンの消失を確認した。次いで、3つ口フラスコにエチルビニルエーテル1.08質量部を添加し、さらに10分間攪拌した。
得られた反応液に水200質量部を添加し、40℃で30分間攪拌した。次いで、40℃で1時間静置して分液後、水層を除去した。再度、反応液に水100質量部を添加し、45℃で30分間攪拌した。次いで、40℃で1時間静置して分液後、水層を除去した。有機層に酸化防止剤としてIrganox1076(商品名:チバスペシャルティケミカルズ株式会社製)を800ppm添加して攪拌した。次いで、ヘプタンを減圧下で留去し、さらに、真空乾燥機を用いて1Pa、100℃で6時間乾燥し、重量平均分子量(Mw)が142000、分子量1000以下のオリゴマーの割合が9.2質量%の重合体102.1質量部(収率92%)を得た。この重合体(ポリオクテニレン)の、側鎖中の炭素−炭素二重結合の、全炭素−炭素二重結合に対する比率は0%であった。
得られた重合体を1mm角程度に破砕し、攪拌機、還流管、温度計を装着したセパラブルフラスコに加えた。次いで、アセトン300質量部をセパラブルフラスコに加え、40℃で3時間攪拌した。アセトンをデカンテーションで除去した。再度、セパラブルフラスコにアセトン300質量部を加え、40℃で3時間攪拌した。アセトンをデカンテーションで除去した。残存するアセトンを減圧下で留去し、さらに、真空乾燥機を用いて1Pa、100℃で6時間乾燥し、重量平均分子量(Mw)が150000、数平均分子量が37000、分子量1000以下のオリゴマーの割合が3.1%の重合体(ポリオクテニレン(a−1))99質量部を得た。
(実施例1:多層ペレットの調製)
ポリオクテニレン(a−1)100質量部とステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト金属換算で400ppm)とをドライブレンドした。次いで、25mmφ二軸押出機(株式会社東洋精機製LABO PLASTOMIL MODEL 15C300)(以下、単に二軸押出機(L)と記載する)を用い、80℃で混練し中間層として多層ダイに供給した。同時に、直鎖状低密度ポリエチレン(HarmolexNF325(商品名)、日本ポリエチレン株式会社製;以下、LLDPEと記載する)を、被覆層として単軸押出機から160℃で溶融押出し、多層ダイに供給した。ダイより押出されたシートの厚み比が、被覆層/中間層/被覆層=45/10/45となるように調整した。次いで、得られたシートを水冷し、カンバーランドペレタイザーで細かく裁断し、多層ペレットを得た。
上記で得られた多層ペレットを、空気下40℃で1日保管し、また、これとは別に、得られたペレットをアルミ袋に入れて窒素パージし、常温で3ヶ月間保管した。それぞれ保管後の樹脂の色相変化および臭気発生の有無を確認した。外面の色相変化は、ほとんど見られず、一方、表2に示す臭気強度に基づいて6段階の官能評価で数値化したところ、強度指数は1(検知闘値)であり、臭気は、ほとんど感じられなかった。結果を表1に示す。
(フィルムの調製)
一方、得られた多層ペレットを20mmφ一軸押出機(株式会社東洋精機製:LABO PLASTOMIL A)に投入し、160℃で溶融混練しながらコートハンガーダイより押出を行い、厚さ20μmのフィルムを得た。
上記で得られたフィルムを、23℃、50%RH(相対湿度)の空気が充填された規格瓶(内部容量260ml)に入れた。規格瓶中の空気は、酸素:窒素が体積比で21:79であった。規格瓶の口を、アルミニウム層を含む多層シートを用いてエポキシ樹脂で封じてから、23℃で放置した。放置から1日後、7日後、14日後、および21日後に、規格瓶内部の空気をシリンジで採取し、この空気の酸素濃度を、ガスクロマトグラフィーを用いて測定した。サンプリング時に多層シートに生じた孔は、エポキシ樹脂を用いてサンプリング毎に封じた。測定によって得られた酸素と窒素との体積比から、酸素の減少量を計算し、23℃、50%RH雰囲気下におけるフィルムの酸素吸収量を求めた。結果を表3に示す。
(実施例2)
被覆層として、LLDPEの代わりにポリプロピレン(NovatecFY6C(商品名)、日本ポリエチレン株式会社製;以下、PPと記載する)を用い、押出温度を180℃にした以外は、実施例1と同様の手順で多層ペレットを得た。さらに、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の手順で厚さ20μmのフィルムを得た。
次いで、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の手順で色相変化および臭気発生の有無を確認した。さらに、得られたフィルムを用いて、実施例1と同様の手順で酸素吸収量を求めた。結果を表1および表3に示す。
(実施例3)
被覆層として、LLDPEの代わりにポリスチレン(HF−77(商品名)、PSジャパン株式会社製;以下、PSと記載する)のポリスチレンを用い、押出温度を230℃にした以外は、実施例1と同様の手順で多層ペレットを得た。さらに、得られたペレットを用いて、230℃で混練したこと以外は、実施例1と同様の手順で厚さ20μmのフィルムを得た。
次いで、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の手順で色相変化および臭気発生の有無を確認した。さらに、得られたフィルムを用いて、実施例1と同様の手順で酸素吸収量を求めた。結果を表1および表3に示す。
(比較例1)
LLDPE90質量部、ポリオクテニレン(a−1)10質量部、およびステアリン酸コバルト(II)0.4242質量部(コバルト金属換算で400ppm)を、二軸押出機(L)に一括投入し、160℃で溶融混練し、押出されたストランドを水冷後、ペレタイザーでカットしてペレットを得た。
上記で得られたペレットを用いて、実施例1と同様の手順で色相変化および臭気発生の有無を確認した。空気下、40℃で1日保管後ではペレットは薄紫色から淡い橙黄色に変化していた。また、表2に示す臭気強度に基づいて6段階の官能評価で数値化したところ、強度指数は2(認知闘値)であり、臭気が感じられた。さらに、常温で3ヶ月保管後のペレットは淡黄色に変化しており、酸系の臭気が感じられた。強度指数は3(中程度の臭い)であった。結果を表1に示す。
さらに、得られたペレットを用いて、実施例1と同様の手順で厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムを用いて、実施例1と同様の手順で酸素吸収量を求めた。結果を表3に示す。酸素吸収量自体は、実施例と比較して、それほど大きな差は見られないが、フィルムは着色していた。
(比較例2)
LLDPEの代わりに、PPを用いたこと以外は、比較例1と同様の手順でペレットを得た。さらに、得られたペレットを用いて、比較例1と同様の手順で厚さ20μmのフィルムを得た。
上記で得られたペレットを用いて、実施例1と同様の手順で色相変化および臭気発生の有無を確認した。空気下、40℃で1日保管後ではペレットは薄紫色から淡い橙黄色に変化していた。一方、表2に示す臭気強度に基づいて6段階の官能評価で数値化したところ、強度指数は2(認知闘値)であり、臭気が感じられた。さらに、常温で3ヶ月保管後のペレットは淡黄色に変化しており、酸系の臭気が感じられた。強度指数は3(中程度の臭い)であった。結果を表1に示す。
得られたフィルムを用いて、実施例1と同様の手順で酸素吸収量を求めた。結果を表3に示す。酸素吸収量自体は、実施例と比較して、それほど大きな差は見られないが、フィルムは着色していた。
Figure 2010180389
Figure 2010180389
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これらの結果から、熱可塑性樹脂(A)および遷移金属塩(C)を含む樹脂組成物(M)を中間層とし、この中間層の両面に熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層が積層された多層ペレットは、優れた酸素吸収性能を有し、かつ臭気をほとんど発生しないことがわかる。
本発明によれば、実用上十分な酸素吸収性能を有し、酸素吸収による不快な臭気成分の発生を低減させて臭気の発生を抑制し、さらに保管時の酸素吸収性能の失活が少ない酸素吸収性多層ペレットを提供することができる。したがって、本発明の多層ペレットは、特に風味が重視される食物、嗜好が敏感な動物用のペットフードの包装材料、酸素に敏感な医療用包装材などとして好適に使用される。
10 多層ペレット
11 中間層
12 被覆層

Claims (6)

  1. 実質的に主鎖のみに炭素−炭素二重結合を有する熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、遷移金属塩(C)を金属換算量で0.001質量部〜0.5質量部(10ppm〜5000ppm)の範囲で含有する樹脂組成物(M)を中間層とし、該中間層の周囲が炭化水素系樹脂からなる熱可塑性樹脂(B)でなる被覆層で被覆された、多層ペレット。
  2. 前記被覆層が、前記中間層の両面に隣接するように積層されている、請求項1に記載の多層ペレット。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A)が、ポリオクテニレンである、請求項1または2に記載の多層ペレット。
  4. 前記遷移金属塩(C)が、鉄塩、ニッケル塩、銅塩、マンガン塩、およびコバルト塩からなる群より選択される少なくとも1種の金属塩である、請求項1から3のいずれかの項に記載の多層ペレット。
  5. 前記熱可塑性樹脂(B)が、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリスチレンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂である、請求項1から4のいずれかの項に記載の多層ペレット。
  6. 前記熱可塑性樹脂(B)に含まれる酸化防止剤の量が、1000ppm以下である、請求項1から5のいずれかの項に記載の多層ペレット。
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