JP2010162958A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】運転者による走行状態や車両の走行コース等を考慮した車両の操作慣れ度を判断する車両制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車両が旋回する場合の車両状態と運転者の操舵角速度とに基づいて、運転者の車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置とする。また、慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて運転者の車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置とする。但し、車両が旋回する場合に、該旋回における横Gの最大値をGmaxとし、車両の速度をVとし、運転者の操舵角速度をΔθとし、車両のスタビリティファクタをKhとし、車両のホイールベースをLとし、車両の転舵角に対する操舵角となるギア比をNとすれば、慣れ評価変数Zは、各パラメータにより所定の式で与えられるものとする。
【選択図】図1
【解決手段】車両が旋回する場合の車両状態と運転者の操舵角速度とに基づいて、運転者の車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置とする。また、慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて運転者の車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置とする。但し、車両が旋回する場合に、該旋回における横Gの最大値をGmaxとし、車両の速度をVとし、運転者の操舵角速度をΔθとし、車両のスタビリティファクタをKhとし、車両のホイールベースをLとし、車両の転舵角に対する操舵角となるギア比をNとすれば、慣れ評価変数Zは、各パラメータにより所定の式で与えられるものとする。
【選択図】図1
Description
本発明は、車両状態に基づいて操舵慣れ度を判断する車両制御装置に関する。
ステアバイワイヤ方式を採用した操舵装置を備える車両において、運転者の操舵を補助する技術は種々の技術思想が提案されている。ステアバイワイヤ方式の車両では、運転者の操作するステアリングホイールに連結されたステアリングシャフトと、車両の進行方向を定める転舵輪とが機械的に分離される。
ステアバイワイヤ方式により、ステアリングの配置の自由度が高まるとともに、車両の運動状態や走行環境などに応じて転舵量を自動的に変化させることができ、より快適で安全な運転が実現できるものと期待される。
ステアバイワイヤ方式は、ステアリングホイールの操舵角と車輪の転舵角との比率(「ギア比」ともいう)を自由に設計できる。したがって、小さな操舵量に対して大きく転舵するように設計することも可能であるし、また大きな操舵量に対して小さく転舵するように設計することも可能である。このように、近年、操舵量と転舵量との転舵特性の自由度は高まる傾向にある。
ステアバイワイヤ方式を採用した車両を運転者が操舵することを補助する為に、運転者がその車両に対してどの程度操舵慣れしているかを判断する場合に、運転者の操舵角速度と車両状態とに基づいて判断されていなかった。
このため、車両制御装置が、運転者による走行状態や車両の走行コース等を考慮した車両の操作慣れ度をより正確に判断することは困難であった。
本発明は上述の問題点に鑑み為されたものであり、運転者による走行状態や車両の走行コース等を考慮した車両の操作慣れ度を判断する車両制御装置を提供することを目的とする。
この発明にかかる車両制御装置は、車両が旋回する場合の車両状態と運転者の操舵速度とに基づいて、運転者の車両の操作慣れ度を算出する。また、この発明にかかる車両制御装置は、好ましくは慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて運転者の車両の操作慣れ度を算出してもよい。但し、慣れ評価変数Zは、実測した横Gに関連する値に対する、運転者の操作に基づき演算した横Gの時間変化相当値であるものとする。また、この発明にかかる車両制御装置は、さらに好ましくは、実測した横Gに関連する値が、車両が旋回する場合の横Gの最大値であってもよい。
また、この発明にかかる車両制御装置は、好ましくは慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて運転者の車両の操作慣れ度を算出してもよい。但し、車両が旋回する場合に、該旋回における横Gの最大値をGmaxとし、車両の速度をVとし、運転者の操舵角速度をΔθとし、車両のスタビリティファクタをKhとし、車両のホイールベースをLとし、車両の転舵角に対する操舵角となるギア比をNとすれば、慣れ評価変数Zは下記式(1)で与えられるものとする。
また、この発明にかかる車両制御装置は、さらに好ましくは車両にかかる前記横Gが所定の横G閾値より大きいか否かにより車両が旋回する場合であるか否かを判断し、車両が旋回しない場合に、慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて運転者の車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置とする。但し、前記車両が旋回しない場合に、Gmaxが所定の横G閾値であるものとし、車両の速度をVとし、運転者の操舵角速度をΔθとし、車両のスタビリティファクタをKhとし、車両のホイールベースをLとし、車両の転舵角に対する操舵角となるギア比をNとすれば、慣れ評価変数Zは下記式(2)で与えられるものとする。
この発明により、運転者による走行状態や車両の走行コース等を考慮した車両の操作慣れ度を判断する車両制御装置を提供できる。
本実施形態で例示する車両制御装置は、ノーマルモードやスポーツ走行モード等の運転者の走行モードを反映させて、ステア特性に対する慣れ度合いを判断する。運転者の走行モードを反映させたステア特性に対する慣れ度合い判断により、より正確な操舵慣れ度合いの判断が可能となる。
例えば、同一のコースを同一の運転者が、速い速度と遅い速度とで走行した場合には、運転者の操作量の周波数特性にのみに基づいて操舵慣れ度合いを判断すれば、遅い速度で走行した場合のほうが高い慣れ度合いであると判断される傾向がある。
そこで、以下に説明する車両制御装置は、運転者の操作入力特定に加えて車両の旋回横G、ヨーレート等の車両の走行状態を加味した慣れ度合い判断とする。また、車両の走行状態は、車両走行位置情報等に基づいて判断してもよい。
例えば、車両があるコーナを旋回する場合に、車両制御装置は、車両の旋回中に横Gの検出値を記憶する。そして、車両の旋回が終了すると、その旋回における車両が受けた横Gの最大値Gmaxを決定する。また、旋回中の車両の速度と操舵角速度等と、横Gの最大値Gmaxとから慣れ評価変数Zを演算する。なお、横Gとは車両に加わる横方向の加速度であるものとする。
車両制御装置は、上述の慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて、運転者の車両操舵慣れ度を判断する。ここで、慣れ評価変数Zの周波数特性は、例えば慣れ評価変数Zの高周波成分を抽出した特性も含むものとする。運転者が不慣れな場合には、操舵角速度や操舵量等に高周波成分が多く重畳される傾向にあるが、慣れ評価変数Zも操舵角速度や操舵量等と同等に処理し評価することができる。そこで、以下に車両制御装置の動作処理について詳細に説明する。図1は、実施形態にかかる車両制御装置の動作処理を概念的に説明するフロー図である。
(ステップS110)
車両制御装置は、車両に取り付けられたGセンサ−により、車両の横Gを検出する。
車両制御装置は、車両に取り付けられたGセンサ−により、車両の横Gを検出する。
(ステップS120)
車両制御装置は、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きいか否かにより、車両が旋回中であるか否かを判断する。検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きければ、換言すれば車両が旋回中であれば、ステップS130へと進む。また、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きくなければ、換言すれば車両が旋回中でなければ、ステップS190へと進む。
車両制御装置は、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きいか否かにより、車両が旋回中であるか否かを判断する。検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きければ、換言すれば車両が旋回中であれば、ステップS130へと進む。また、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きくなければ、換言すれば車両が旋回中でなければ、ステップS190へと進む。
(ステップS130)
車両制御装置は、旋回中における車両の横G、すなわちGセンサ−の検出値を記憶する。
車両制御装置は、旋回中における車両の横G、すなわちGセンサ−の検出値を記憶する。
(ステップS140)
車両制御装置は、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きいか否かにより、車両が旋回中であるか否かを判断する。検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きければ、換言すれば車両が旋回中であれば、ステップS140で待機する。また、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きくなければ、換言すれば車両が旋回中でなければ、ステップS150へと進む。
車両制御装置は、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きいか否かにより、車両が旋回中であるか否かを判断する。検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きければ、換言すれば車両が旋回中であれば、ステップS140で待機する。また、検出した車両の横Gが所定の横G閾値(以下、適宜Kgmaxとも称する)より大きくなければ、換言すれば車両が旋回中でなければ、ステップS150へと進む。
(ステップS150)
車両制御装置は、ステップS130で記憶した車両の横Gの記憶値に基づいて、旋回したコーナの横Gの最大値Gmaxを算出する。すなわち、車両制御装置は、旋回したコーナのGセンサーの最大値を求める。
車両制御装置は、ステップS130で記憶した車両の横Gの記憶値に基づいて、旋回したコーナの横Gの最大値Gmaxを算出する。すなわち、車両制御装置は、旋回したコーナのGセンサーの最大値を求める。
なお、車両制御装置は、ステップS130乃至ステップS150においてそのカーブにおける横Gの最大値Gmaxのみを検出すればよいので、旋回中のGセンサーの全ての検出値を記憶しなくてもよい。車両制御装置は、旋回中のカーブの旋回済分の最大値のみを記憶することとし、記憶値を超える検出値である場合に差し替え記憶することとしてもよい。これにより、車両制御装置は、旋回終了時には、そのカーブにおける横Gの最大値Gmaxのみを記憶することとなる。
(ステップS160)
車両制御装置は、横Gの時間変化に相当するΔgを演算処理により求める。ここでΔgは、下記式(3)により演算するものとする。なおΔgは、運転者の操舵角速度から算出またはシミュレーション演算された車両のG(横G等)の時間変化相当量であればよく、Δgの算出方法は下記式(3)に限定されるものではない。
車両制御装置は、横Gの時間変化に相当するΔgを演算処理により求める。ここでΔgは、下記式(3)により演算するものとする。なおΔgは、運転者の操舵角速度から算出またはシミュレーション演算された車両のG(横G等)の時間変化相当量であればよく、Δgの算出方法は下記式(3)に限定されるものではない。
ここで、車両の速度をVとし、運転者の操舵角速度をΔθとし、車両のスタビリティファクタをKhとし、車両のホイールベースをLとし、車両の転舵角に対する操舵角となるギア比をNとする。車両の速度Vと運転者の操舵角速度Δθとは、車両の走行に伴い経過時間とともに変化するので、例えば所望のサンプリング時間ごと等に随時演算処理するものとする。なお、運転者の操舵角速度をΔθをギア比Nで除算すればタイヤ転舵角速度Δδとなるので、操舵角速度をΔθに替えてタイヤ転舵角速度Δδを用いてもよい。
なお、車両のスタビリティファクタKhは、車両のタイヤとサスペンションの性能を指標化した係数であって、フロント側とリア側とのタイヤに各々発生する力関係から決定される車両特有の安定係数であるが、当業者に周知であるのでここでは詳述を避ける。
(ステップS170)
車両制御装置は、慣れ評価変数(Z)を演算処理する。慣れ評価変数(Z)は、下記式(4)または下記式(5)により求まるものとする。なお、ステップS120で車両が旋回中であると判断された場合には下記式(4)を用い、ステップS120で車両が旋回中であると判断されなかった場合には下記式(5)を用いるものとする。式(4)と式(5)とに示すように、この実施形態で示す慣れ評価変数(Z)は、実測した横Gに関連する値に対する、運転者の操作に基づき演算した横Gの変化相当分であればよく、例示する関係式に限定されるものではない。なお、実測した横Gに関連する値の典型例はGmaxまたは横G閾値であるが、実測した横Gに関連する値は、例えば一定期間内に車両に生じる横Gの平均値としてもよくこれに限定されるものではない。また、運転者の操作に基づき演算した横Gの変化相当分の典型例は式(3)により算出されるΔgである。
車両制御装置は、慣れ評価変数(Z)を演算処理する。慣れ評価変数(Z)は、下記式(4)または下記式(5)により求まるものとする。なお、ステップS120で車両が旋回中であると判断された場合には下記式(4)を用い、ステップS120で車両が旋回中であると判断されなかった場合には下記式(5)を用いるものとする。式(4)と式(5)とに示すように、この実施形態で示す慣れ評価変数(Z)は、実測した横Gに関連する値に対する、運転者の操作に基づき演算した横Gの変化相当分であればよく、例示する関係式に限定されるものではない。なお、実測した横Gに関連する値の典型例はGmaxまたは横G閾値であるが、実測した横Gに関連する値は、例えば一定期間内に車両に生じる横Gの平均値としてもよくこれに限定されるものではない。また、運転者の操作に基づき演算した横Gの変化相当分の典型例は式(3)により算出されるΔgである。
車両の速度Vと運転者の操舵角速度Δθとは、車両の走行に伴い経過時間とともに経時変化するので、例えば所望のサンプリング時間ごと等に随時慣れ評価変数(Z)を演算処理するものとする。なお、車両がカーブを旋回していない場合には、ステップS190でGmaxの値が所定の横G閾値に固定されるので、車両が走行中の速度Vと、その時点の操舵角速度Δθとに基づいて式(5)からリアルタイムで慣れ評価変数(Z)を算出できる。一方で、車両がカーブを旋回している場合には、カーブの旋回が終了してステップS150でGmaxが決定されるまでは、カーブ旋回中の慣れ評価変数(Z)を算出できない。そこで、車両制御装置は、車両がカーブを旋回中に検出した速度Vと操舵角速度Δθとを関連づけて記憶しておいてもよい。車両制御装置は、カーブ旋回が終了してステップS150でGmaxが決定された後、記憶したカーブ旋回中の車両の速度Vと操舵角速度Δθとを読み出して、カーブ旋回中の慣れ評価変数(Z)を算出できる。
(ステップS180)
車両制御装置は、ステップS170で算出した慣れ評価変数(Z)を入力値として、慣れ評価変数(Z)自体の周波数成分により後述の操舵慣れ度を評価する。
車両制御装置は、ステップS170で算出した慣れ評価変数(Z)を入力値として、慣れ評価変数(Z)自体の周波数成分により後述の操舵慣れ度を評価する。
(ステップS190)
車両制御装置は、Gmaxを横G閾値(Kgmax)とする。
車両制御装置は、Gmaxを横G閾値(Kgmax)とする。
図2は、運転者の操舵角の時間変化と、車両のGセンサーで検出される横Gとの関係を説明する模式的概念図である。図2に示すように、横Gの絶対値がKgmaxより小さければ、車両制御装置は車両が旋回中であると判断しない。この場合には、Gmaxの値を算出せずにGmaxがKgmaxであるものとして演算処理する。
また、横Gの絶対値がKgmaxより大きい場合には、車両が旋回中であるとして、Gmaxの検出処理を行う。この場合に、Gmaxは、横Gの最大値または最小値となる。なお、図2に示すように、検出する横Gの符号がプラスマイナス逆転すれば、例えば右カーブと左カーブとのように、旋回方向が異なるものと考えられ異なるコーナであるものとする。
なお、所定の入力値の周波数特性に基づいて、運転者の操舵慣れ度を判断する事例について、下記に例示して説明する。車両制御装置は、例えば図1に示すステップS180での処理について、入力値を慣れ評価変数(Z)へと置き換えるのみで下記の演算処理例と同様に演算処理することとできる。
図3は、車両10の基本的な構成を示す図である。また、図3は四輪の車輪のうち前輪部分の模式図である。車両10は、転舵輪である右前輪FRおよび左前輪FLを操舵することによって車両の進行方向が定まる。
車両10は、運転者により操舵されるステアリングホイール12と、ステアリングホイールに連結されたステアリングシャフト14と、ステアリングシャフト14の下端に設けられたギヤボックス44と、出力軸がギヤボックス44に接続された操舵反力用モータ46とを備える。
操舵反力用モータ46によって生成された回転力は、ギヤボックス44を介してステアリングシャフト14に伝達され、ステアリングホイール12に対して操舵反力を与える。この操舵反力は、路面と転舵輪との間の摩擦力やセルフアライニングトルクなどを運転者に感覚的に伝達するために与えられる。
ステアリングシャフト14には、ステアリングシャフト14に生じているトルクを検出する操舵トルクセンサ16と、ステアリングホイール12の操舵角を検出する操舵角センサ18とが操作量センサとして設置される。操舵トルクセンサ16および操舵角センサ18を含む操作量センサの出力は、ステアリング制御ユニット100に送信される。
右前輪FRおよび左前輪FLは、転舵機構20により転舵される。転舵機構20は、ステアリングシャフト14と機械的に分離された状態で配置され、ステアリングホイール12の操舵角と車輪の転舵角との伝達比(ギア比に対応する)に関しあらかじめ設定された転舵特性にしたがって車輪を転舵させる。
転舵機構20は、車両の左右方向(車幅方向)に延設され軸長方向に摺動するラックバー22を含む。ラックバー22には、転舵用モータ24と不図示のボールねじ機構が組み合わされている。転舵用モータ24の回転は、ボールねじ機構によりラックバー22の左右方向への直線運動に変換される。
ラックバー22の両端には、それぞれタイロッド26R、26Lの一端が接続される。タイロッド26R、26Lの他端は、右前輪FR、左前輪FLを支持するナックルアーム30R、30Lに連結されている。ナックルアーム30R、30Lは、それぞれキングピン32R、32Lを支点として回転する。ラックバー22が直線運動をすると、右前輪FRおよび左前輪FLが転舵される。
左前輪FLの近傍には、車輪の回転数を検出して車速を出力する車速センサ36が取り付けられる。また、ラックバー22の中立位置を基準とした左右方向の変位量を検出し、その変位量に基づく左右輪の転舵角を出力する転舵角センサ34も設置される。車速および転舵角は、ステアリング制御ユニット100に送信される。
ステアリング制御ユニット100には、操舵トルクセンサ16、操舵角センサ18、転舵角センサ34、車速センサ36の出力値が入力される。ステアリング制御ユニット100は、これらの入力値に基づき操舵反力指令値および転舵角指令値を算出し、これらに応じた制御信号を操舵反力用モータ46および転舵用モータ24に出力する。
図3に示すようなステアバイワイヤ方式の車両では、ステアリングホイールの操舵角と車輪の転舵角との伝達比を自由に設計することができる。例えば、車輪を中立位置から最大転舵角まで到達させるために必要なホイールの操舵角を半周程度に収めるように設計することも考えられている。
これにより、例えば車両の右左折中に、ステアリングホイールを回転させるために左右の腕を入れ替える必要がなくなるので、運転者のホイール取り回しの労力を低減することができる。このようなステアリングホイールの操舵角と車輪の転舵角の対応を、小舵角ステアとも称する。
小舵角ステアの車両では上述のような利点がある一方、旋回に対して必要とされるステアリングホイールの操舵角が小さいために、運転者がそのような特性に不慣れな場合に必要以上に操舵してしまう可能性がある。必要以上に操舵してしまうと操舵角を戻す修正動作も必要となり、また修正動作が小刻みになされる結果、スムーズな操作が困難となるおそれがある。
そこで本実施の形態においては、運転者がその車両の転舵特性に慣れているかを判定し、その判定結果によっては転舵特性を変更して運転の快適性や安全性をより高めることとする。
図4は、運転者によるステアリングホイール操作量の変化を示す。図4において、実線は転舵特性に不慣れな運転者による操作量の変化を示し、破線は転舵特性に慣れた運転者による理想的な操作量の変化を示す。横軸が時間で、縦軸が操作量を示すものである。
ここでいう操作量は、例えばステアリングホイールの操舵角、操舵角速度、トルク等の入力量である。破線で示す理想的な波形は高周波成分の少ない滑らかな波形であるのに対し、実線で示す不慣れな運転操作の波形は高周波成分の多い小刻みな波形であることが現れている。したがって、実際の操作量から高周波成分を除くことによって、理想的な操作の波形が得られるものと仮定することができる。なお、ステアリングホイールの操舵角、操舵角速度、トルク等の入力量に替えて、上述したように慣れ評価変数(Z)を操作量として入力してもよい。
図5は、運転者によるステアリングホイール操作量と理想値との差分の変化を示す。すなわち、図4において実線で示される操作量と破線で示されるような理想値との差分の変化が図5のグラフに表される。横軸は時間tを示し、縦軸は差分δを示す。本実施の態様では、差分δが一定数a〜−aの範囲を超えるときに、そのときの転舵特性に対して運転者が不慣れであると判定することとする。
図6は、図3に示したステアリング制御ユニット100のうち本実施形態に関与する部分の構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や電子回路、電気回路で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
転舵制御部104は、ステアリングホイール12の操舵角に応じて転舵用モータ24の駆動制御を実行する。操舵反力制御部106は、ステアリングホイール12の操舵角に応じて操舵反力用モータ46の駆動制御を実行する。特性制御部102は、ステアリングホイール12の操舵角や車速等の情報に基づいて、運転者による操作の慣れ度合いを判定して適切な転舵特性を目標ヨーレート設定部120に設定する。
まず、転舵制御部104の各ブロックについて説明する。目標ヨーレート設定部120は、操舵角センサ18から操舵角Maを、車速センサ36から車速Vを受け取り、予め設定されているロジックにしたがって、車両の旋回を安定させるために車体に発生すべき目標ヨーレートYtを設定する。
目標ヨーレートYtは、予め準備された転舵特性として、操舵角Maに対して目標ヨーレートが定まる三次元マップを参照して求めてもよいし、または所定の計算式に操舵角Maを代入することによって求めてもよい。
逆モデル解析部122は車両の運動モデルを保持する。この運動モデルは、例えば左右輪の転舵角および車速を入力、ヨーレートを出力とし、それ以外の条件が一定であるという仮定のもとで車両を線形二輪モデルとみなした水平面内の運動方程式として表すことができる。
逆モデル解析部122は、この車両モデルの逆モデルに対して車速Vと目標ヨーレートYtとを代入し、目標ヨーレートYtを実現するための目標転舵角θtを算出する。このような車両モデルを使用してヨーレートを求める方法は周知であるから、本明細書では詳細な記載を省略する。
逆モデルを使用せず、単に目標ヨーレートYtに対応する目標転舵角θtが定められている二次元マップを参照して目標転舵角を求めるようにしてもよい。この場合、車速Vに応じて目標転舵角を補正するための補正係数を乗じるようにしてもよい。
転舵角演算指令部124は、目標転舵角θtを逆モデル解析部122から受け取るとともに、転舵角センサ34から実転舵角θrを受け取る。そして、目標転舵角θtと実転舵角θrとの差分に基づき、周知のPID制御演算によって転舵角指令値を求める。さらに、転舵角指令値に対応する制御信号をモータ駆動回路126に供給する。
モータ駆動回路126は、転舵角演算指令部124からの制御信号に応じて転舵用モータ24を駆動する。転舵用モータ24はボールねじ機構を介してラックバー22を左右方向に移動させ、これに伴い左前輪FLおよび右前輪FRが転舵される。
次に、操舵反力制御部106の各ブロックについて説明する。
目標操舵反力演算部128は、操舵角センサ18から操舵角Maを受け取り、これに応じて目標操舵反力Mtを設定する。目標操舵反力Mtは、予め準備された、操舵角Maに対して目標操舵反力が定まる二次元マップを参照して求めてもよいし、または所定の計算式に操舵角Maを代入することによって求めてもよい。
なお、目標操舵反力Mtは、ステアバイワイヤでない通常の車両において、車輪と路面との摩擦力やセルフアライニングトルク等に起因し、車輪からステアリングホイールを介して運転者に伝わる力を再現するように設定される。
操舵反力演算指令部132は、目標操舵反力Mtを受け取るとともに、操舵トルクセンサ16で検出された実トルクMtrを受け取る。そして、最終操舵反力Mtと実トルクMtrの差分に基づき、周知のPID制御演算によって反力トルク指令値を求める。さらに、反力トルク指令値に対応する制御信号をモータ駆動回路134に供給する。
モータ駆動回路134は、操舵反力演算指令部132からの制御信号に応じて操舵反力用モータ46を駆動し、ステアリングホイールの操舵反力が生じる。
なお、ステアバイワイヤ方式の車両における転舵角制御および操舵反力制御の基本的な制御方法は周知であるから、本明細書では特徴的部分以外についての詳細な記載を省略する。
次に、特性制御部102の各ブロックについて説明する。判定処理部114は、操作量センサの検出値に対して所定のフィルタ処理を用いて検出値と理想値との差分を求める。判定処理部114は、求めた差分の小ささによって、現在設定されている転舵特性への運転者の慣れ度合いを判定する。
転舵特性設定部116は、判定された慣れ度合いに基づき、検出値と理想値との差分が減少する方向へ向かうように転舵特性を目標ヨーレート設定部120に設定する。目標ヨーレート設定部120は、設定された転舵特性に応じた3次元マップまたは計算式を用いて目標ヨーレートYtを決定する。これにより、操舵角に対する転舵角の伝達比が変化する。
転舵特性設定部116は、操舵角に対して転舵角が比較的大きくなる、いわゆる小舵角ステアの転舵特性を初期的には目標ヨーレート設定部120へ設定することを原則とする。その上で、ステアリングホイール操作量の検出値と理想値との差分が所定の許容値より大きく、転舵特性に運転者が不慣れであると判定した場合に、転舵角が相対的に小さくなるような、小舵角ステアでない従来式の転舵特性を目標ヨーレート設定部120へ一時的に設定する。エンジンを終了させるとその一時的な設定も破棄され、次回の始動時には再び小舵角ステアの転舵特性が設定される。
異常検出部112は、所定の検出手段により走行路面上の異常を検出する。本実施の態様における異常検出部112は、外部モニタ40から得られる車両周囲の画像から画像認識処理によって通常の路面にはないような障害物や凹凸などの異物を検出する。車両周囲の画像は、進行方向前方の画像であってもよいし、車両側方や後方の画像であってもよい。
異常検出部112によって走行路面上に異常が検出された場合に、判定処理部114は慣れ度合いの判定を規制する。例えば、異常が検出された場合に、判定処理部114は慣れ度合いの判定そのものを回避してもよいし、慣れ度合いを示す値や判定基準値を変化させてもよい。
このように路面に異常があった場合は緊急回避する必要性からステアリング操作が一時的に急増するおそれがある。このような緊急回避の操作を慣れ度合い判定の解析対象から除外することにより、慣れ度合い判定の精度を高めることができるとともに、そのような状況に起因する転舵特性の無用な変更を抑制して転舵特性を一定状態に極力維持することができる。
なお、変形例として、異常検出部112は外部モニタ40に代えて超音波やレーダーなどの検出手段によって走行路面上の異常を検出してもよい。
次に、慣れ度合い判定の例を詳細に説明する。以下の例では、ステアリングホイールの操作量として操舵角に基づいて理想値との差分を求めることにより、運転者の慣れ度合いを判定する。
設定されている転舵特性に慣れた運転者による理想的な操作は、図4で説明したように高周波成分の少ない滑らかな波形になると考えられる。そこで本実施の形態における判定処理部114は、ステアリングホイール操作量の検出値に対し、所定の遮断周波数によるローパスフィルタ処理を加える。
また、フィルタ特性に応じた位相の遅れを補償するために、その値に対してさらに所定の補正量による位相補正処理を加えた値をステアリングホイール操作量の理想値とみなす。通常の運転に必要とされるステアリング操作量の変化はおおよそ1Hz以内の周波数成分と考えられるため、遮断周波数としても約1Hzといった値が用いられる。1次ローパスフィルタの一般式は式(6)の通りである。
ここで、Xは理想値を算出するための中間変数であり、X(n)はn回目のXの値を示す。Maはステアリングホイールの操舵角であり、Ma(n)はn回目の操舵角の値を示す。fはフィルタ定数であり、Tはサンプリング周期であり、X(t)は時刻tにおけるXの値を示す。
図7は、遮断周波数と車速の関係を示す。本図のグラフに示される通り、車速が増すにつれて必要なステアリングホイールの操舵角や操舵角速度は減少するため、遮断周波数も下げる必要があることがわかる。本図のような関係性を満たすように、フィルタ定数fが定められる。なお、本図では遮断周波数と車速の関係を示したが、遮断周波数と旋回の度合いとの関係性もほぼ同様の傾向となる。すなわち、旋回の度合いが増すにつれて必要なステアリングホイールの操舵角や操舵角速度は減少するため、遮断周波数も下げる必要がある。したがって、変形例として旋回の度合いを操舵角や操舵角速度などの検出値から求め、旋回の度合いに応じてフィルタ定数fを定めてもよい。あるいは、遮断周波数、車速、旋回度合いの関係性を定めた3次元マップを参照してフィルタ定数fを求めてもよい。
なお、旋回の度合いは、例えば操舵角センサ18から受け取る操舵角や、図示しないヨーレートセンサおよび横加速度センサから受け取るヨーレートおよび横加速度などの値に基づいて測定してもよい。あるいは、外部モニタ40から受け取る進行方向の画像から画像認識処理によって旋回の度合いを判定してもよい。
位相補正量をt1とすると、理想値Matを求める式は式(7)の通りである。
式(7)に基づいて、判定処理部114は操舵角の理想値Matを求める。
図8は、操舵角速度と位相補正量の関係を示す。本図のグラフに示される通り、ステアリングホイールの操舵角速度が増すにつれて、必要な位相補正量t1も増加させる。操舵角速度は、操舵角センサ18から得られる操舵角の時間微分値である。本図のグラフに示される関係性に基づいて位相補正量t1が定められる。なお、フィルタ処理の結果として補償すべき位相遅れは、実際にはフィルタの周波数特性によって異なる。そのため、状況ごとの必要なステアリング操作量の平均的な周波数帯に合わせて位相補正量が定められてもよい。例えば、数10ミリ秒〜数100ミリ秒といった補正量が考えられる。
判定処理部114は、操舵角Maと理想値Matの差分δを求める。このとき、位相補正における誤差をある程度許容するために、操舵角Maと理想値Matの差分の絶対値が定数K1を超えるか否かを判定する。定数K1を超えた場合は、定数K1を差し引いた値を差分δ2として式(8)の通り求める。
ただし、定数K1以下であった場合は、差分δ2はゼロとする。その上で、総和Iを式(9)の通り求める。
このように積分によって総和Iを定めるが、変形例としては、サンプリング時ごとのδ2を抽出してその二乗和によって総和Iを定めてもよい。
判定処理部114は、差分δの総和Iに基づいて慣れ度合いを判定するために、操作角Maの総和をMaIとし、MaIに対する総和Iの割合から慣れ度合いUを式(10)、式(11)の通り求める。
このように、操作角Maの総和に対する割合を求めて判定するのは、同じ差分の総量でも、全体の操作量が大きく異なれば差分の総量に対する評価も大きく異なるからである。この慣れ度合いUの値が大きいほど慣れ度合いが低いことを示し、慣れ度合いUがゼロに近いほど慣れ度合いが高いことを示す。
図9は、第1の実施の形態における慣れ度合いの判定過程を示すフローチャートである。まず、操舵角センサ18がステアリング操作量として操作角Maを検出し(S10)、車速センサ36が車速を検出する(S12)。判定処理部114が操作角Maにローパスフィルタ処理を施し(S14)、さらに位相補正処理を行い(S16)、操作角Maと理想値との差分δを算出し(S18)、差分δの総和Iを算出する(S20)。
ここで、累積の操作時間または累積の操作量が一定量に達していない場合、例えば車両の始動から間もないタイミングの場合(S22のN)、以降の処理をスキップする。累積の操作時間または累積の操作量がすでに一定量以上になっている場合は(S22のY)、以降の処理を実行する。
ステアリングホイールの操作量が所定値を超えたとき(S24のY)、走行路面上に異常がないかを判定する(S26)。走行路面上に異常がなければ(S26のN)、慣れ度合いUを判定するが(S28)、異常があれば(S26のY)、S24における検出値は異常回避のための操作とみなして以降の慣れ度合い判定の処理をスキップする。S24において操作量の検出値が所定値を超えていなければ(S24のN)、S26における異常判定の処理をスキップする。
S28における慣れ度合いの判定後、慣れ度合いUが所定値を超えている場合(S30のY)、現在設定されている転舵特性に対してその運転手は不慣れであるとみなして転舵特性を変更する(S32)。慣れ度合いUが所定値を超えていなければ(S30のN)、S32の処理をスキップする。
慣れ度合い判定の他の例を以下に詳細に説明する。上述ではローパスフィルタ処理を用いたのに対し、本実施の形態ではハイパスフィルタ処理を用いる。ハイパスフィルタ処理によって抽出される値は比較的高周波の成分であり、その成分自体が操作量の検出値と理想値の差分であるとみなす手法である。
その方法で抽出される差分の総量の総操作量に対する割合を求めて慣れ度合いUを算出し、慣れ度合いを判定する過程は第1の実施の形態と同様である。ここでもまた、ステアリングホイールの操作量として操舵角に基づく。
設定されている転舵特性に不慣れな運転者による操作は、高周波成分が多く、比較的小刻みな波形になると考えられる。そこで本実施の形態における判定処理部114は、ステアリングホイール操作量の検出値に対し、所定の遮断周波数によるハイパスフィルタ処理を加える。
処理としては理想値の抽出や理想値との比較を実行せずに差分を求める手法であり、位相補正処理が不要である分、簡便な手法ということができる。通常の運転に必要とされるステアリング操作量の変化はおおよそ1Hz以内の周波数成分と考えられるため、遮断周波数としても約1Hzといった値が用いられる。ハイパスフィルタの一般式は式(12)の通りである。
例えば、双一次変換を用いて離散化する場合、式(13)で表される。
実際の操舵角の検出値にハイパスフィルタ処理を施すことによって理想値との差分δを求める式は式(14)で示される。
車速や旋回の度合いが増すにつれて遮断周波数を下げる必要があることは第1の実施の形態における図7に示す通りであり、そのような関係性を満たすように、フィルタ定数fが定められる。
ここで、ハイパスフィルタ処理およびその遮断周波数の設定は、あくまでも理想値との差分を抽出するための仮定に基づくため、実際には不正確さも含んでいる。したがって、そうした不正確さに起因する誤差をある程度許容するために、差分δの絶対値が定数K1を超えるか否かを判定する。定数K1を超えた場合は、定数K1を差し引いた値を差分δ2として式(15)の通り求める。
ただし、定数K1以下であった場合は、差分δ2はゼロとする。その上で、総和Iを式(16)の通り求める。
このように積分によって総和Iを定めるが、変形例としては、サンプリング時ごとのδ2を抽出してその二乗和によって総和Iを定めてもよい。
判定処理部114は、差分δの総和Iに基づいて慣れ度合いを判定するために、操作角Maの総和をMaIとし、MaIに対する総和Iの割合から慣れ度合いUを式(17),式(18)の通り求める。
この慣れ度合いUの値が大きいほど慣れ度合いが低いことを示し、慣れ度合いUがゼロに近いほど慣れ度合いが高いことを示す。
図10は、慣れ度合いの判定過程を示すフローチャートである。まず、操舵角センサ18がステアリング操作量として操作角Maを検出し(S50)、車速センサ36が車速を検出する(S52)。判定処理部114が操作角Maにハイパスフィルタ処理を施し(S54)、操作角Maと理想値との差分δの総和Iを算出する(S56)。
ここで、累積の操作時間または累積の操作量が一定量に達していない場合、例えば車両の始動から間もないタイミングの場合(S58のN)、以降の処理をスキップする。累積の操作時間または累積の操作量が一定量以上になっている場合は(S58のY)、以降の処理を実行する。
ステアリングホイールの操作量が所定値を超えたとき(S60のY)、走行路面上に異常がないかを判定する(S62)。走行路面上に異常がなければ(S62のN)、慣れ度合いUを判定するが(S64)、異常があれば(S62のY)、S60における検出値は異常回避のための操作とみなして以降の慣れ度合い判定の処理をスキップする。S60において操作量の検出値が所定値を超えていなければ(S60のN)、S62における異常判定の処理をスキップする。
S64における慣れ度合いの判定後、慣れ度合いUが所定値を超えている場合(S66のY)、現在設定されている転舵特性に対してその運転手は不慣れであるとみなして転舵特性を変更する(S68)。慣れ度合いUが所定値を超えていなければ(S66のN)、S68の処理をスキップする。
以上、本発明をいくつかの実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態はあくまで例示であり、実施の形態どうしの任意の組合せ、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスの任意の組合せなどの変形例もまた、本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、変形例を例示する。
上記の各実施の形態においては、ステアリングホイール操作量として操舵角に基づいて運転者の慣れ度合いを判定する構成を説明した。変形例においては、操舵角以外の操作量、例えば操舵角速度や操舵トルクに基づいて慣れ度合いを判定してもよい。これらのパラメータに基づく慣れ度合いの判定であっても、運転者の慣れ度合いに応じた傾向の相違を検出でき、有効な判定結果を得ることができる。
上記の各実施の形態においては、原則として小舵角ステアとなる転舵特性を設定しておき、その特性に対する運転者の慣れ度合いが低いと判定したときに従来式の転舵特性へ設定し直す例を説明した。変形例においては、運転者の慣れ度合いを監視しながら適宜、小舵角ステアとなる転舵特性を試行的に設定する構成としてもよい。
実施形態で例示する車両制御装置は、運転者の操舵入力を周波数解析してステアリング特性に対する運転者の慣れ度合いを判断する方法を提供し、運転車の操舵入力のみでなく典型的には車速と横Gまたはヨーレートまたは走行位置情報を含めた車両状態量とに基づいて、慣れ評価変数の演算処理をし、走行モードを考慮した判断指標を提供する。
実施形態で例示する車両制御装置は、車両に同乗者がいるような穏やかな走行の場合と、スポーツ走行のような比較的車速が高い速度である場合とで、必要とされる操舵周波数が異なる場合においてもより正確な慣れ判断が可能となる。なお、実施形態で例示した操舵角速度に替えて、操舵角や操舵トルク等を用いてもよい。
本発明にかかる車両制御装置は、上述した実施形態での説明に限定されることはなく、自明な範囲で適宜その構成を変更し、また自明な範囲で動作及び処理を適宜変更して用いることができる。
10・・車両、12・・ステアリングホイール、14・・ステアリングシャフト、16・・操舵トルクセンサ、18・・操舵角センサ、20・・転舵機構、24・・転舵用モータ、34・・転舵角センサ、36・・車速センサ、40・・外部モニタ、44・・ギヤボックス、46・・操舵反力用モータ、100・・ステアリング制御ユニット、102・・特性制御部、104・・転舵制御部、106・・操舵反力制御部、112・・異常検出部、114・・判定処理部、116・・転舵特性設定部。
Claims (5)
- 車両が旋回する場合の車両状態と運転者の操舵速度とに基づいて、前記運転者の前記車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置。
- 請求項1に記載の車両制御装置において、
慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて前記運転者の前記車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置。
但し、前記慣れ評価変数Zは、実測した横Gに関連する値に対する、前記運転者の操作に基づき演算した横Gの時間変化相当値であるものとする。 - 請求項2に記載の車両制御装置において、
前記実測した横Gに関連する値は、前記車両が旋回する場合の横Gの最大値である
ことを特徴とする車両制御装置。 - 請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の車両制御装置において、
前記車両にかかる前記横Gが所定の横G閾値より大きいか否かにより前記車両が旋回する場合であるか否かを判断し、前記車両が旋回しない場合に、前記慣れ評価変数Zの周波数特性に基づいて前記運転者の前記車両の操作慣れ度を算出する車両制御装置。
但し、前記車両が旋回しない場合に、前記Gmaxが前記所定の横G閾値であるものとし、前記車両の速度をVとし、前記運転者の操舵角速度をΔθとし、前記車両のスタビリティファクタをKhとし、前記車両のホイールベースをLとし、前記車両の転舵角に対する操舵角となるギア比をNとすれば、慣れ評価変数Zは下記式(2)で与えられるものとする。
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-
2009
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US9415803B2 (en) | 2013-01-10 | 2016-08-16 | Nissan Motor Co., Ltd. | Stability control device |
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