JP2010161889A - 発電装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 発電機と、該発電機で発生した電力に対してデューティ比制御を行い定電圧化するとともに、前記発電機から流入する電流を制限するスイッチング方式定電圧化回路と、該定電圧化回路で定電圧化された電力を交流電力に変換して電気器具に供給するインバータ回路を有することを特徴とする発電装置である。
【選択図】 図1
Description
ここで、人間が物理的仕事を効率よく行うことができる動作として、自転車のペダルをこぐという動作を挙げることができる。そして、自転車のペダルをこぐという物理的仕事を電力に変換する自転車型の人力発電機が種々開発されている。
ここで、人力で自転車をこぐ場合、こぐ速さによって発電機の回転数が変化するので、それに伴い起電力も変動する。そのため、インバータ(63)を用いる場合等は、バッテリー(64)(例えば、鉛バッテリー)を用いて、インバータへの入力電圧の大きさを常に略一定にする必要がある。
しかし、例えば12Vの鉛バッテリー(64)を使用する場合、人力発電機を100W程度の仕事率で動作させるとき、仮に100Wの電力を電気器具(62)に供給するためには、約8Aの大電流が必要となる。このような大電流を得ようとすると、発電機(61)の内部での電力損失が大きくなってしまい、結果的に電力の取り出し効率が低下してしまう。
即ち、鉛バッテリーのような低インピーダンスの回路に接続すると、発電機から電力を取り出す効率が僅か15%程度となってしまう。
また、人力発電機で発生させる電力の電圧を一定とすることで、バッテリーを使わないでインバータに接続することも可能であるが、バッテリー相当の電圧でインバータに電力を供給するためには電流を大きくする必要があり、発電機からの電力の取り出し効率が悪いという点では同じである。
図1は本実施形態に係る人力発電装置(100)を示すブロック図である。
また、コアレス発電機(12)で発生させた電力は、整流回路(2)、定電圧化回路(3)、インバータ回路(4)を経て、インバータ回路(4)からの出力電力が電気器具(5)に供給される。
本実施形態の人力発電機(100)は、サイクルトレーナーや自転車練習台と呼ばれる装置(実際の自転車を取り付けて固定し、車輪(W)に負荷のかかったローラ(11)を押しつけて回転させ、室内等で自転車競技の練習をするための装置)のローラ(11)に負荷をかける部分をコアレス発電機(12)(本実施形態ではスカイ電子製HR125型発電機)と取り換えたものを使用している。
発電部(1)は、図2に示すように、自転車の車輪(W)と接し且つ車輪(W)の回転に応じて回転するローラ(11)、ローラ(11)の両端に備えられたコアレス発電機(12)、はずみ車(13)からなる。また、コアレス発電機(12)は、内部に固定されたコイルと外側容器とともに回転する永久磁石(ロータ)からなる、アウターロータ型と呼ばれる発電機である。
使用者が自転車をこぐことにより車輪(W)を回転させることでローラ(11)を回転させる。そして、ローラ(11)に連動して永久磁石が回転し、それにより交流電力が発生する。
発電機(12)の起電力(電圧)は永久磁石の回転数(つまり、ローラ(11)の回転数)に比例して大きくなるが、増速機能を有することにより、容易に永久磁石(ロータ)の回転数をあげて、発生する電圧を大きくすることができるからである。
増速機能としては、自転車本体のチェーンと車輪に接触させるローラを挙げることができる。このようなローラを用い、自転車のギア比(チェーンの歯車比)、及び/又は車輪(W)の直径に対するローラ(11)の直径の比を調節することで、発電機の回転数を十分大きくすることができる。また、ベルトや歯車を用いた付加的な増速機能を備えてもよい。
永久磁石(ローラ(11))の回転数としては、自転車の車輪(W)の回転数の10倍以上が好ましい。例えば、ローラ(11)の直径を車輪(W)の直径の1/10以下にすることで、車輪(W)に対して10倍以上の回転数を得ることができる。
また、本実施形態では、発電部(1)の発電機(12)は1つであるが、発電機(12)の数は二つ以上でもよい。
以下、定電圧化回路(3)について詳細に説明する。
図3に示すように、定電圧化回路(3)はMOSFET(電界効果トランジスタ)(31)を用いた降圧スイッチング方式電源回路(降圧チョッパー回路)であり、入力電圧に対応したスイッチングパルスのデューティ比制御を行って、入力電圧の変動に高速に応答して出力電圧を常に一定に維持するとともに、発電機から流入する電流を必要最小限に制限し、定電圧化回路(3)の入力インピーダンスを高く(具体的には100Ω以上、より好ましくは200Ω以上)するためのものである。
発電機(12)(永久磁石)の回転数を大きくして起電力を高めたとしても、接続する回路が鉛バッテリーのような低入力インピーダンスである場合には大きな電流が流れてしまう。それにより、起電力の大部分は発電機(12)内部の捲き線抵抗で消費され、外部に取り出される電圧及び電力は小さくなってしまう。しかし、入力インピーダンスの高い定電圧化回路(3)を有することにより、電流量を小さくでき、発電機の内部抵抗損失を抑制することができる。
下記式1は定電圧化回路(3)における入力電圧と出力電圧の関係を示す式である。
(出力電圧)=(入力電圧)×(デューティ比)
(出力電圧)=(入力電圧)×(パルス幅)/(周期)と表すことができる。
つまり、パルス幅を一定にして、周期を入力電圧に正比例させることにより、出力電圧が常に一定になるようにデューティ比を制御することができる。
このような方法を採用することにより、アナログ回路でも容易に電圧を一定にすることができる。
なおデューティ比の制御においては出力電圧の過不足の信号をデューティ比制御発振回路にフィードバックしてパルス幅等を調節する方法を用いてもよい。
図4で示すように、デューティ比制御発振回路(32)は、入力電圧分圧回路(321)により分圧された入力電圧に正比例して周期が変化するアナログの第一発振回路(322)と、その発振信号をトリガーパルスとして同期して一定のパルス幅のパルスを発生させる第二発振回路(323)によって構成されている。
図6は、第一発振回路(322)のタイマーIC555に入力する制御電圧と周期の関係を示す図であり、定電流ダイオード(3221)を用いることにより、図6で示すように、制御電圧に対して周期が正比例して増加するように発振制御することができる。
なお、タイマーIC555を用いた従来の発振回路は定電流ダイオード(3221)の位置に抵抗が配置されていたが、抵抗の場合、制御信号電圧に対して周期が非線形に長くなり、制御電圧と周期の関係が正比例の関係にならないので好ましくない(図7参照)。
図8は過電流制限回路(33)の効果を説明するための説明図である。
仮に過電流制限回路(33)を有しないと、一定の負荷を接続した状態では、図8の曲線(a)で示すように、入力電圧と電流が反比例の関係となるため、こぎはじめ等回転数が小さい時には電圧が小さくなり、電流が大きくなる。電流が大きいとペダルをこぐトルクが大きくなって、ペダルが重くなり、発電機の内部損失も大きくなる。しかし、過電流制限回路(33)を有することにより、図8の直線(b)の値より電流が大きくならないので、当該問題を解決することができる。
パルスがOFFになると積分リセット(放電)ダイオード(332)を通してコンデンサ(333)の電圧が0に戻り、次のパルスでも同じ動作を繰り返す。これにより、定電圧化回路(3)における入力インピーダンスを常に一定の値以上に維持することができ、特に低電圧入力時の過大な入力電流を制限することができる。
図10は過電圧制限回路(35)の効果を説明するための説明図である。
一定の負荷を接続した状態では、図10の曲線(a)で示すように、発電機(12)の回転数(電圧に比例)があがるとトルク(電流に比例)が小さくなるため、ますますペダルは軽くなり、こぐのが楽になる。そのため、発電機の回転数が上がり過ぎ、過電圧になる可能性があり、電圧が定電圧化回路の最大定格電圧を超えないように制限することが必要である。過電圧制限回路(35)を有することにより、回路素子の最大定格電圧を超えるのを防ぐことができる。
過電圧制限回路(35)は、回路素子の最大定格に近い電圧(制限回路動作電圧)になると、ダミーの負荷として接続した抵抗(351)(電球や電熱線)のスイッチが入り負荷が大きくなり、トルク(ペダルを回す力)を強制的に大きくする。
但し、リレー等で急にスイッチをONにすると衝撃力がはたらいて、こぎ手がけがをする可能性があり危険であることから、前記定電圧化制御とは独立したMOSFETの降圧スイッチング回路(352)(降圧チョッパー回路)により、電圧がツェナーダイオード(353)の電圧を越えて過度に上昇すると、電圧上昇に比例して徐々に負荷が重くなるように設定されている。
最大定格電圧時におけるダミー負荷の大きさを、使用者の限界の仕事率(例えば、一般の人を対象とした場合には500W程度、スポーツ選手を対象とした場合には1000W程度)に設定すればよい。それにより、設定した仕事率以上の回転数に至ることを防ぎ、定電圧化回路(3)が過電圧で故障することを回避することができる。
人力発電装置(100)は、電気器具(5)に電力を供給し作動させることができるので、エネルギー環境教育の教材として有用である。特に、人力発電装置(100)は電力変換効率が非常に高いため(具体的には90%以上)、普段テレビを観るとき等に消費している約100Wの電力を、自分の肉体的な仕事率として体感することができ、エネルギーと環境の問題を定量的に理解する上で有効である。
さらにバッテリーを組み合わせて利用すれば、人力発電機による電力を蓄積した後、短時間ではあるが、人力よりも大きな電力を供給することも可能である。
本発明の発電装置は特に風車の回転で発電機をまわす風力発電にそのまま応用可能である。風力発電は風速の変化によって風車の回転が変動し、発電機の出力電圧が変動するが、本発明によれば発電機の電圧が大きく変動しても出力電圧を安定に維持することができる。また、過電流制限回路により、微風時の小さなトルクで容易に発電機が回り始めるという効果も奏する。
図12に示すように、入力電圧が150V程度以上のとき、出力電圧は約130Vで一定となり、定電圧化回路が正確に動作していることが確認できる。
図13で示すように、インバータ回路(3)を用いることにより、正弦波交流の波形と類似の擬似正弦波形(矩形波)が得られ、家庭用の電気器具に電力を供給する電源として利用できることが確認できる。
図14に示すように、入力電圧が150V程度以下のときは出力電圧が130V以下となり、電圧不足により上記電気器具が正常に動作しないため電流の値はばらつくが、入力インピーダンスを200Ω以上に保つ過電流制限回路(33)が動作することにより、低入力電圧時に過大な入力電流によって回転トルクが極端に大きくなることを回避できることがわかる。
入力電圧が150V以上になると上記電気器具は家庭の電源で使用するときと全く同様に安定に動作し、入力電圧と入力電流の積が電気器具に必要な電力である約50Wとなるように変化する。すなわち発電機(12)から定電圧化回路(3)に流入する電流を制限する機能が作動し、電気器具に必要な電力だけを発電機(12)から供給していることが確認できる。
なお、本実施例では素子の耐圧が800Vであることから過電圧制限回路(35)は700V以上で動作するように設定されており、600Vまでの測定においては、過電圧制限回路(35)は動作しない。
図15で示すように、自転車をこぐ動作は疲れや生体のリズムにより時間とともに変動するため、発電機(12)の電圧は140〜200V程度の範囲で変動しているが、図14にも示すように、発電機(12)の電流は定電圧化回路(3)によって電力に応じた必要最小限に常に調整され、電力は上記電気器具の動作に必要な50〜60W(電気器具の動作状態によって必要な電力は変動する)を継続して安定に供給することができる。
発電機の増速機能を高くして発電機の電圧をさらに高くすると、たとえば300Vでは電流が0.2A程度となり、内部抵抗による損失は約2W、電力変換効率は96%になる。
このように本発明の人力発電装置は発電機から電気器具へ電力変換回路において90%以上という極めて高い変換効率を実現し、人力を高効率で電気器具に利用することを可能とするものである。
また、自然エネルギー等を利用して発電する発電機を用いて電力を供給する場合にも好適に利用可能である。
2 整流回路
3 定電圧化回路
32 デューティ比制御発振回路
33 過電流制限回路
35 過電圧制限回路
36 出力電圧制限回路
4 インバータ回路
5 電気器具
Claims (8)
- 発電機と、
該発電機で発生した電力に対してデューティ比制御を行い定電圧化するとともに、前記発電機から流入する電流を制限するスイッチング方式定電圧化回路と、
該定電圧化回路で定電圧化された電力を交流電力に変換して電気器具に供給するインバータ回路を有することを特徴とする発電装置。 - 前記定電圧化回路における定電圧化を、パルス幅を一定にし、且つ周期を入力電圧に正比例させて長くして降圧スイッチングパルスのデューティ比が発電機の電圧に反比例するように制御することで行うことを特徴とする請求項1記載の発電装置。
- 前記定電圧化回路が、低出力負荷時の出力電圧の超過を防ぐための出力電圧制限回路を有することを特徴とする請求項1又は2記載の発電装置。
- 前記定電圧化回路が、低入力電圧時の過大な入力電流を防ぐための過電流制限回路を有することを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の発電装置。
- 前記定電圧化回路が、高入力電圧時の過大な入力電圧を防ぐための過電圧制限回路を有することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の発電装置。
- 前記発電機がコアレス発電機であることを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の発電装置。
- 前記発電機で得られた交流電力を整流平滑する整流回路を有し、
該整流回路で整流平滑した直流電力を前記定電圧化回路に入力することを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載の発電装置。 - 前記発電機が自転車型の人力発電機であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか記載の発電装置。
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-
2009
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