以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の第1実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態である圧送移動式便器を示す斜視図、図2及び図3は圧送移動式便器に接続される給排水ユニットを構成する収納ボックス内を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の水洗圧送移動式便器10は、便器本体30と、その便器本体30に接続される給水ホースSH及び排水ホースDHとを備えている。給水ホースSH及び排水ホースDHは、給排水ユニット20に接続されている。給排水ユニット20は、収納ボックス21と、カバー22とを備えている。図2及び図3は、収納ボックス21からカバー22を取り外した状態を示している。図2及び図3には明示しないけれども収納ボックス21内においては、建物に配管された給水管と給水栓13側の管路との接続部と、同じく排水管と排水栓14側の管路との接続部と、が収納されている。
図2,図3に示すように、本実施形態では、近接して設けられた給水栓13、排水栓14に対しそれぞれ給水ホースSH(図1参照)、排水ホースDHを移動側給排水継手及び固定側給排水継手を介して接続することにより給水経路及び排水経路が形成される。この継手構造は雄継手と雌継手とで構成され、給水栓13に雄継手13m、給水ホースSHに雌継手(図示せず)が設けられ、排水栓14に雌継手14f、排水ホースDHに雄継手12mが設けられている。給水栓13及び排水栓14にはそれぞれ開閉ハンドル13a,14aが設けられ、排水ホースDHにも開閉ハンドル12aが設けられている。
図2に示すように、排水ホースDHの雄継手12mの先端が給水栓13の雄継手13mに接触するのを防止するための接触防止部材15が排水ホースDHの雄継手12mの周囲に設けられている。また、この接触防止部材15が給水栓13の雄継手13mに接触するのを防止するための邪魔部材としての邪魔板16が給水栓13の雄継手13mの周囲に設けられている。さらに、給水経路側の継手構造と、排水経路側の継手構造と、を区画する平板状の仕切板24aが設けられている。
接触防止部材15は、排水ホースDHの雄継手12mの先端開口部12bより基端側にフランジ状に形成された底部15bと、底部15bから先端開口部12bに向かって円筒状に形成された本体部15pとを有している。また、接触防止部材15の本体部15pには、二つの貫通孔15wが互いに対向する位置に開設され、本体部15pの先端には、排水栓14の水平突出部14bの下面部分と係合可能な略半円形状をした一対の凹部15aが設けられている。
図2に示すように、給水栓13及び排水栓14が配置された壁面には、平板状の支持基材24が固定され、この支持基材24の一部を起立状に折り曲げることにより邪魔板16及び仕切板24aが形成されている。支持基材24は、給水栓13及び排水栓14と、給水ホースSH(図1参照)及び排水ホースDHとの接続部分を覆うカバー22(図1参照)を固定するための部材である。
邪魔板16は、支持基材24から起立する水平部16aと、水平部16aの先端から垂下する垂直部16bと、垂直部16bの下端から支持基材24に向かって折り曲げられたガード部16cと、を備えている。邪魔板16の水平部16aには、給水栓13の雄継手13mの基端部を挿通する貫通孔16dが開設され、垂直部16bの両側及びガード部16cの先端には、それぞれ湾状の切欠部16e,16fが設けられている。仕切板24aは、支持基材24から起立する垂直部24aaと、垂直部24aaの先端を折り曲げて形成された補強リブ24abと、を備えている。更に、仕切板24aの上方には、支持基材24から延出する継手保護部24eが設けられている。継手保護部24eは、雄継手13mと雄継手12mとの上方を覆い、飛散防止部としての仕切板24aと並設配置されている。
本実施形態では、接触防止部材15は、フランジ状の底部15bと、円筒状の本体部15pとを有している。従って、図3に示すように、排水栓14の雌継手14fから排水ホースDHの雄継手12mを分離させたとき、排水栓14側から落下する残汚水DWは、雄継手12mの外周面と底部15bと本体部15pの内周面とによって囲まれた部分に収容される。このため、残汚水DWが落下して床などを汚損するのを防止することができる。更に、排水ホースDHから接触防止部材15が着脱可能なように構成されているので、収容した残汚水DWを簡便に捨てて洗うことができる。
接触防止部材15の本体部15pには一対の貫通孔15wが開設されているため、図3に示すように、排水ホースDHの雄継手12mを排水栓14の雌継手14fに接続するとき、貫通孔15wを通して接続状態を目視確認することができる。更に、貫通孔15wを通して、排水ホースDHの雄継手12mと排水栓14の雌継手14fとのロック機構を解除することができる。また、排水ホースDHの雄継手12mを排水栓14の雌継手14fに接続したとき、排水栓14の水平突出部14bの下面部分が、接触防止部材15の本体部15pの先端の凹部15aに収容されるため、接続部分が本体部15pで包囲された状態となり、保護機能も優れている。
一方、邪魔板16の垂直部16bの両側には切欠部16eが設けられているため、給水ホースSH(図1参照)の雌継手を給水栓13の雄継手13mに接続するときに、切欠部16eを通して接続状態を目視確認することができるとともに、給水ホースSH(図1参照)の雌継手を給水栓13の雄継手13mに接続するときに垂直部16bが妨げにならない。また、邪魔板16のガード部16cの先端には切欠部16fが設けられているため、給水ホースSH(図1参照)の雌継手を給水栓13の雄継手13mに接続するときにガード部16cが妨げにならない。
続いて、本発明の実施形態である水洗圧送移動式便器10の構成について説明する。図4は、水洗圧送移動式便器10を示す概略構成図である。図4に示すように、本発明の一実施形態による水洗圧送移動式便器10は、便器本体30と、この便器本体30に便器給水路4aを経て給水する給水装置4とを備えている。
便器本体30への給水量は、電磁バルブ等からなる給水弁4cが制御装置6(制御手段)によって開閉制御されて調整されるようになっている。
例えば、便器本体30の着座検知用センサ(着座状態検知手段)301が使用者の着座を検知したり、使用者がリモコンの操作パネル(図4に明示せず)等に設けられた給水指令用の給水スイッチ(図示せず)をオンにすると、制御装置6が、これらの着座検知用センサ(図示せず)の検知情報や給水スイッチ(図示せず)等からの指令に基づいて給水装置4に給水指令し、給水装置4から便器本体30内へ所定時間給水が行われ、便器本体30内に所定量の水が溜まるようになっている。さらに、使用者がトイレ使用後、便器本体30を洗浄するためのリモコンの洗浄スイッチ(洗浄操作スイッチ、図4に明示せず)をオンにすると、給水装置4から便器本体30に洗浄用の給水がなされて、便器本体30が洗浄されるようになっている。尚、着座検知用センサ301は、赤外線やマイクロ波等を用いた近接検知手段でも、実際に着座したことを静電センサ等で検知する実着座検知手段でも構わない。
また、便器本体30の外部には固形物粉砕圧送装置である圧送装置8が設けられており、この圧送装置8は、便器本体30の排出口2aに連結された貯留槽40を備えている。この便器本体30の排出口2aにはフラップ弁9(遮断弁)が設けられ、このフラップ弁9は、便器洗浄の前までは排出口2aを閉鎖している。さらに、このフラップ弁9は、便器本体30の洗浄が行われて便器本体30内の汚水を貯留槽40に排出する際には、制御装置6からの指令によって、排出口2aを所定時間開放して便器本体30内の汚水を排出した後、閉鎖するようになっている。
さらに、貯留槽40内には、便器本体30の排出口2aから貯留槽40に排出された汚水中の糞やトイレットペーパ等の固形物41を粉砕する粉砕部42と、この粉砕部42の下部には、貯留槽40内の汚水を外部へ強制的に圧送するポンプ44が設けられている。
また、粉砕部42は、複数の孔46を有するスクリーン48によって形成された粉砕室50(粉砕装置)を備え、便器本体30の排出口2aから貯留槽40内に排出される汚水は、まず粉砕室50に一旦収容されるようになっている。この粉砕室50内の汚水については、スクリーン48の孔46の大きさよりも大きい固形物41は孔46を通過できずに粉砕室50内に捕捉され、水分やスクリーン48の孔46の大きさよりも小さい固形物は、孔46を通過して粉砕室50から貯留槽40へ流れるようになっている。
さらに、粉砕室50内にはカッター52(粉砕装置)が設けられており、このカッター52が回転することにより、粉砕室50内に捕捉された固形物41が粉砕されるようになっている。カッター52の回転軸54の下端にはインペラ56が取り付けられており、回転軸54の上端には、回転軸54を正逆転可能に駆動する粉砕圧送用モータ58(粉砕装置)が取り付けられている。この粉砕圧送用モータ58の駆動は、貯留槽40に設けられた水位センサ60(水位検出手段、詳細は後述する)が検知した水位に基づき制御装置6によって可変に制御されるようになっており、カッター52とインペラ56の回転は、互いに連動して制御されるようになっている。
圧送路62には、圧送抑制手段として電動ボール弁64が設けられている。この電動ボール弁64は、水位センサ60の水位情報に基づく制御装置6からの指令に応じて開閉し、特に、粉砕時にポンプ44からの圧送される汚水量を抑制して貯留槽40内の水位低下を抑制するようになっている。
また、上述した給水装置4については、粉砕部42に追加給水する粉砕部給水路4bが設けられている、この給水装置4及び粉砕部給水路4bは、水位センサ60の水位情報に基づく制御装置6からの指令により給水弁4dが開き、固形物の粉砕時に粉砕部42の水位がカッター52の上端の水位(カッター上端水位)よりも常に高くなるように粉砕部42に追加給水するようになっている。
本実施形態の水洗圧送移動式便器10では、上述した給水装置4に粉砕部給水路4bを設ける代わりに、給水装置4とは別体となる追加給水装置(図示せず)を独立に設け、便器本体30の使用中でも追加給水装置(図示せず)から粉砕部42に追加給水できるようにしてもよい。また、粉砕部給水路4bの粉砕部42への給水口(図示せず)については、その形状や配置を工夫することにより、粉砕部給水路4bの給水口(図示せず)から貯留槽40内へ噴霧洗浄ができるようにしてもよい。
さらに、本実施形態による水洗圧送移動式便器10は粉砕完了検知装置66を備え、この粉砕完了検知装置66により、粉砕部42のカッター52による固形物41の粉砕が完了したことを検知するようになっている。具体的には、この粉砕完了検知装置66が、粉砕圧送用モータ58あるいはカッター52のトルクや回転抵抗等を検出し、これらの検出した値の程度によって粉砕状況を判断して、状況に応じて制御装置6により粉砕圧送用モータ58を制御したり、粉砕部給水路4bからの粉砕部42への追加給水を制御するようになっている。
つぎに、貯留槽40に設けられている上述した水位センサ60の詳細について説明する。本実施形態では、水位センサ60が検知する貯留槽40内の水位として、便器本体30から1回の洗浄によって排出される排水量、ポンプ44の排水能力、貯留槽40の容量等を考慮し、貯留槽40の下方側からポンプ作動停止水位L1、封水待機水位L2、ポンプ作動開始水位(待機許容水位)L3、便器使用時許容水位L4、及び、第1許容限界水位L5の5つの特定水位が設定されている。便器本体30の洗浄後、汚水が貯留槽40内に排出されて貯留槽40内の水位が上昇し、水位センサ60が検知した水位がポンプ作動開始水位L3に達した場合には、粉砕圧送用モータ58と共にポンプ44の作動が開始されるようになっている。ポンプ44が所定時間駆動して水位が低下し、水位センサ60が検知した水位がポンプ作動停止水位L1に達した場合には、粉砕圧送用モータ58と共にポンプ44の作動が停止するようになっている。
さらに、上述した第1許容限界水位L5は、ポンプ作動開始水位L3及び便器使用時許容水位L4よりも上方に位置し、貯留槽40が満水となる水位よりも低く設定されている。この第1許容限界水位L5は、水洗圧送移動式便器10の正常な運転下では達することのない水位であるが、圧送路62の配管の詰まりやポンプ44の不具合等の排水系のトラブルによって、貯留槽40内の水位が異常に上昇した場合に、水位センサ60が第1許容限界水位L5で異常を検知するようになっている。
ここで、本実施形態で使用される水位センサ60としては、空洞管60aを用いた感圧式の水位センサが好ましい。この感圧式の水位センサ60では、空洞管60aの開口下端部60bが水没すると、空洞管60a内の空気は、開口下端部60bの水面と空洞管60aの上端に設けられた感圧部60cとによって気密的な状態となり、この空洞管60a内の空気を介して感圧部60cが水圧を感知するようになっている。この感圧部60cが感知した水圧に応じて貯留槽40内の相当な水位が出力され、水位を非接触で感圧検知できるようになっている。
また、貯留槽40内の水位が開口下端部60bの水位を下回ると水位が測定できなくなるため、貯留槽40内の底面と開口下端部60bとの間の距離hをできるだけ小さくして開口下端部60bを低位置にするのが好ましいが、貯留槽40内の底面と開口下端部60bとの間に汚物がひっかからないように、距離hについては、10mm以上に設定するのが好ましい。
一方、開口下端部60bの直径Dについては、20mm程度の寸法であれば閉塞しないことが経験的にわかっているため20mm程度が好ましい。また、開口下端部60b以外の部分についての直径寸法を20mmよりも小さく設定し、貯留槽40内の容量をかせいでもよい。
さらに、水位センサ60の近傍には非常用のリミットセンサ61が設けられており、このリミットセンサ61は、水位センサ60とは別に、上述した第1許容限界水位L5よりもやや高めの水位となる第2許容限界水位L6を検知できるようになっている。このリミットセンサ61により、水位センサ60の不具合によって第1許容限界水位L5を検知できなくなっても、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6で異常を検知できるようになっている。
ここで、本実施形態で使用されるリミットセンサ61としては、電極式のセンサが好ましい。この電極式のリミットセンサ61は、電極61a,61bの間に水が浸水した際の電極61a,61b間の抵抗変化に基づいて、水位を検知するものである。また、電極61a,61bの周囲には、円筒状の遮蔽体61cが設けられており、この遮蔽体61cにより、粉砕部42のスクリーン48の孔46等から飛散した汚物が電極61a,61bに直撃しないようになっている。遮蔽体61cは無底かつ円筒状の形態をなしているので、貯留槽40内の水位が上昇してきた場合に、その水を遮ることなく電極61a,61bによって検知可能なように構成されている。
また、リミットセンサ61としては、上述した電極式のセンサ以外にも、上述した水位センサ60と同様な感圧式のセンサも適用可能であるが、水位センサ60とリミットセンサ61に同種のセンサを用いると、故障が同時に起こる可能性もあるため、ダイアフラム式のセンサ、静電式のセンサ、あるいはフロート式のセンサ等、感圧式のセンサとは異なる種類のセンサを用いることも好ましい。
なお、本実施形態では、水位センサ60として感圧式のセンサを使用した例を説明しているが、このセンサ以外にも超音波式のセンサ等、他の種類のセンサを使用してもよい。例えば、圧力を電位によって検知し、制御装置6において水位を演算して求めるような態様も好ましいものである。
さらに、制御装置6には異常表示器63が接続されている。水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知するか、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知すると、制御装置6は、排水系や給水系のトラブル等の異常事態が水洗圧送移動式便器10に発生しているものと判断し、異常表示器63に各種トラブル等の異常に関する警告を表示させると共に、給水ができなくなるように給水弁4c,4dを閉じて給水装置4を作動させないようになっている。
また、制御装置6は、ポンプ44を所定時間作動させた後、水位センサ60又はリミットセンサ61によって検知される水位が所定水位まで低下していない場合、又は、水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知し、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知した場合には、異常表示器63に排水異常を表示させるようになっている。
さらに、制御装置6は、給水装置4を所定時間作動させた後、水位センサ60が検知した水位が所定水位未満である場合には、異常表示器63に給水異常を表示させるようになっている。
また、制御装置6は、水位センサ60が第1許容限界水位L5を検知せずに、リミットセンサ61が第2許容限界水位L6を検知した場合には、異常表示器63に水位センサ60の異常を表示させるようになっている。尚、異常表示器63では、その他のユーザーに知らせるべき報知情報を知らせるようにも構成されており、この詳細については後述する。
本実施形態の水洗圧送移動式便器10には、他の水回り機器としての手洗器70が設置されている。手洗器70には給水配管71と排水配管72が設けられている。給水配管71は、給水装置4に設けられてなる手洗器用給水路4eに継手71aを介して接続されている。排水配管72は、貯留槽40に設けられてなる手洗器用排水路67に継手72bを介して接続されている。手洗器用排水路67には逆流防止手段及び排水トラップと同等に機能する逆止弁67aが設けられていて、貯留槽40から汚水及び異臭が逆流しないように構成されている。尚、給水配管71は、給水装置4を経由せずに給水ホースSHから直接分岐した管に接続されても構わない。
次に制御装置6の機能的な構成について、図5に示すブロック図を参照しながら説明する。図5に示すように、制御装置6は、CPU80と、メモリ81と、インターフェイスとしての操作受付部800、水位検知部801、リミット検知部802、着座検知部803、継手識別部804、モータ駆動部805、給水弁駆動部806、排水弁駆動部807、表示部808、圧送抑制部809と、を備えている。
操作受付部800は、操作パネル82から入力される操作信号をCPU80に出力する部分である。水位検知部801は、水位センサ60から出力される水位信号をCPU80に出力する部分である。リミット検知部802は、リミットセンサ61から出力されるリミット水位信号をCPU80に出力する部分である。着座検知部803は、着座検知用センサ301から出力される着座信号をCPU80に出力する部分である。継手識別部804は、給水ホースSH及び排水ホースDHに設けられている継手センサ15sから出力される建物側の給排水継手を識別するための識別信号をCPU80に出力する部分である。モータ駆動部805は、CPU80から出力される制御信号に基づいて粉砕圧送用モータ58にモータ駆動信号を出力する部分である。給水弁駆動部806は、CPU80から出力される制御信号に基づいて給水弁4c,4dに給水弁駆動信号を出力する部分である。排水弁駆動部807は、CPU80から出力される制御信号に基づいてフラップ弁9に排水弁駆動信号を出力する部分である。表示部808は、CPU80から出力される制御信号に基づいて異常表示器63に排水異常報知や暫定運転報知を行う表示信号を出力する部分である。圧送抑制部809は、CPU80から出力される制御信号に基づいて電動ボール弁64にボール弁駆動信号を出力する部分である。
CPU80は、操作受付部800、水位検知部801、リミット検知部802、着座検知部803、及び継手識別部804のそれぞれから出力される信号を受け取って所定の情報処理を行い、その情報処理の結果実行する制御に応じた制御信号をモータ駆動部805、給水弁駆動部806、排水弁駆動部807、表示部808、及び圧送抑制部809のそれぞれに出力する。その結果、CPU80は、排水状態測定手段、排水異常処理手段、閾値設定手段、閾値計測開始手段、選択支持手段、選択手段として機能する。このように構成された制御装置6は、水洗圧送移動式便器10が使用される特性や使用される方の特性に合わせて様々な制御を行うことが可能になる。
まず制御装置6は、圧送装置8の動作時における排水状態を測定し、排水状態測定値を取得する排水状態測定手段と、予め記憶された排水異常判定閾値と、排水異常判定時に排水異常処理を実行する排水異常処理手段と、を有し、排水状態測定値が排水異常閾値を下回った時に排水異常処理手段を実行させるものであって、排水環境を測定して排水環境測定値を取得し、この取得した排水環境測定値に基づいて排水異常判定閾値を演算し、基準値として記憶する閾値設定手段を備えるものとして機能する。
この側面において制御装置6を備えた水洗圧送移動式便器10は、排水環境を測定して排水環境測定値を取得するので、この水洗圧送移動式便器10が設置される排水環境が変動してもその変動した排水環境に応じた排水環境測定値を取得することができる。このように排水環境に応じて取得した排水環境測定値に基づいて排水異常判定閾値を演算し基準値として記憶するので、例えば部屋と部屋との間を移動したり、部屋が異なる階にそれぞれあったりしたとしても、排水環境に応じた基準値に基づいた排水異常処理を行うことができる。従って、排水環境が場所ごとに異なる病院等であっても、設置したい場所に水洗圧送移動式便器10を設置することができ、非常に使い勝手のよい水洗圧送移動式便器10を提供することができる。
また、制御装置6は、圧送装置8の動作時における排水状態を測定する排水状態測定手段と、この排水状態測定手段から出力される信号に基づいて排水異常と判定した場合に排水異常処理を実行する排水異常処理手段と、を有し、排水異常処理手段は、排水異常と判定した場合の所定期間中に所定の動作を実行する暫定異常動作手段と、排水異常であることを報知する排水異常報知を実行する異常処理実行手段とを有しているものとして機能する。
この側面において制御装置6を備えた水洗圧送移動式便器10は、設置される排水環境の変化により柔軟に対応することができるものとなる。具体的には、水洗圧送移動式便器10は、部屋と部屋との間で移動されるものであって、それらの部屋は同じ階にある場合もあれば違う階にある場合もある。このように可搬性を高めるため給水ホースSH及び排水ホースDHをさほど大きくすることができず、そのような細い給水ホースSH及び排水ホースDHでは屈曲状態等によって排水環境が大きく変動し、一時的な排水不良状態となる恐れがある。また、給水ホースSH及び排水ホースDHが正常な状態であっても、瞬間的に汚物が引っかかってしまい、一時的な排水不良状態となる場合も想定される。このような事情を考慮すると、真に排水不良状態となっていなくても、排水異常と判断されてしまうことが偶発的に起こりうると考えられる。そこで、このような一時的な排水不良状態を解消するために、暫定異常動作手段を有することで、排水異常と判定した所定期間中に所定の動作を行わせることが可能となり、その所定の動作によって排水不良状態を解消するように構成したものである。これにより、排水異常と判定する閾値を緩和して真に汚物詰まりが発生してしまうことを回避しつつ、過剰な排水異常判定をも回避することができる。更に、異常処理実行手段を有することで、本来的な動作ではない暫定異常動作手段の動作に使用者が違和感を覚えないように、少なくとも排水異常であることを報知する排水異常報知を実行することが可能となっている。
また、制御装置6は、使用待機中は便器本体30内に溜水をせず、圧送装置8内に溜水を行うことで封水を構成するように制御している。更に、制御装置6は、着座検知部から出力される信号に基づいて着座判定及び離座判定を行い、着座判定で使用者が便器本体30に着座したと判定した場合には便器本体30に給水して溜水を行い、離座判定で使用者が着座して用便した後に離座したものと判定した場合には便器本体30の溜水を排水するように制御するものであって、着座判定及び離座判定を行うための着座判定値を第1着座判定値及び第2着座判定値として少なくとも二つ有し、第1着座判定値及び第2着座判定値はそれぞれ判定基準となる連続着座時間が異なるように構成され、着座判定には、短い連続着座時間に対応する第1着座判定値を用い、離座判定には、長い連続着座時間に対応する第2着座判定値を用いている。
制御装置6がこのような着座判定及び離座判定を行うのは、この水洗圧送移動式便器10を使用すると想定している使用者が、実際に用便をするための準備が困難で、便器本体30への着座及び離座を何度も繰り返すためである。制御装置6がこのような着座判定及び離座判定を行うことで、最初に着座したタイミングで溜水を供給すれば便器本体30に溜水が無い状態で用便をされてしまうことを回避できるので、第1着座判定値に対応する連続着座時間を短くすることで溜水が無い状態で用便がされてしまうようなことがなくなる。一方で、脱衣のために着座と離座を繰り返した後に用便をするために最終的に着座した場合には、それよりも前の着座時間に比較して長い時間連続して着座しているものであるから、その判定値としては長い時間とすることが必要である。そこで制御装置6は、第2着座判定値に対応する連続着座時間を長くすることで、その判定値によって着座と判定されれば用便をしているものと判断し、その後使用者が離座したと判定された場合には便器本体30の溜水を排水するものとしている。従って、短い連続着座時間に対応する第1着座判定値と、長い連続着座時間に対応する第2着座判定値とを有し、それぞれを使い分けて着座判定及び離座判定を行うことで、便器本体30への着座及び離座の判定を誤らずに的確に給水及び排水を行うことができるように構成しているものである。
また、上述したように圧送装置8には、便器本体30を経由する排水を取り入れる排出口2aに繋がる第1取入口と、便器本体30を経由しない排水を取り入れるために粉砕部給水路4bに繋がる第2取入口とが設けられている。これに対応して制御装置6は、便器本体30の使用動作に関係なく、圧送装置8内の排水を行うように構成されている。
圧送装置8に便器本体30を経由する排水を取り入れる第1取入口に加えて、便器本体30を経由しない排水を取り入れる第2取入口が設けられているので、手洗器70といった他の水回り機器からの排水を受け入れることが可能となっている。更に、便器本体30の使用動作に関係なく圧送装置8内の排水を行うことができるので、第2取入口から受け入れた他の水回り機器からの排水を適宜排水することが可能となり、便器本体30の使用への影響を低減することができる。このような構成とすることで、水洗圧送移動式便器10への給排水手段である固定側給排水設備(図2及び図3参照)を設けるだけで、別途手洗器70への給排水設備を設けることなく、手洗器70の給排水環境を整えることができるように構成されている。
また、制御装置6は、第1水量モード若しくは、第1水量より少ない水量で洗浄を行う第2水量モードを選択的に実行可能であって、第1水量モード及び第2水量モードのいずれか一方を実行させる選択手段を備えるように構成されている。また、制御装置6は、上述したように待機中は、便器本体30内に溜水をして封水をせず、圧送装置8内に溜水をして封水を構成するように制御している。その上で制御装置6は、選択手段から出力される信号が第1水量モードの実行を指示するものである場合には、便器本体30内に溜水用の給水を開始する一方で、選択手段から出力される信号が第2水量モードの実行を指示するものである場合には、便器本体30内への溜水用の給水量を第1水量モードの給水量より少なくなるように制御している。
このように、第1水量モードと第2水量モードとは選択手段によって選択可能に構成されているので、使用者の意思に基づいて給水量の異なるモードを実行することができる。従って、大用と小用とで第1水量モードと第2水量モードとを使い分けたり、大用であっても排便量が多い場合と少ない場合とで第1水量モードと第2水量モードとを使い分けたりといったように、使用状況に応じて使用水量を異ならせるようにすることが可能となっている。
また、制御装置6は、水洗圧送移動式便器10の通常使用時に行う通常給排水制御と、通常給排水制御とは別に、使用者の操作に基づいて入力される予め定められた操作信号に対応してその都度一回だけ特殊給排水制御を実行可能であって、通常給排水制御と特殊給排水制御とを切換実行させるために選択指示手段を備えている。
このように、選択指示手段によって通常給排水制御とは切替実行される特殊給排水制御を有しており、その特殊給排水制御は、使用者の操作に基づいて入力される操作信号に対応してその都度一回だけ実行されるので、使用者の意思に基づいて通常の汚水を流す通常給排水とは異なるパターンの特殊給排水を実行することができる。従って、その特殊給排水の態様を水洗圧送移動式便器10特有の多様な課題に対応させることで、水洗圧送移動式便器特有の課題を柔軟に解決することができるものである。尚、特殊給排水制御の詳細については後述する。
上述のように概括した制御装置6によって制御される水洗圧送移動式便器10の動作について、図6〜図21に示すフローチャート等を参照しながら説明する。最初に、図6〜図8を参照しながら、基本的な給排水制御について説明する。図6〜図8は、基本的な給排水制御を説明するためのフローチャートである。尚、以下の説明における溜水量や給水量、注水量は、便器本体30のボール容量に応じて適宜変更されるものである。
ステップS01では、水洗圧送移動式便器10は待機状態にある。この場合、便器本体30には溜水がされておらず、圧送装置8内に封水が形成されている。圧送装置8内の水位は、封水待機水位L2である(図4参照)。この段階では、便器本体30に溜水がされておらず、フラップ弁9が閉じられており、圧送装置8内に封水が構築されているので、水洗圧送移動式便器10を移動しても転倒や衝突時に水漏れが無く、搬送時の安全性が図られている。また、圧送装置8の封水よりも上流部分に汚物が付着したままにならないように清潔性を保つことで、この状態での臭気の発生を抑えることができる。ステップS01の状態からステップS02の処理に進む。
ステップS02では、着座検知用センサ301及び着座検知部804によって使用者が着座したことが検知されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって水を便器本体30に溜めるためのスイッチがオンされたかを判断する。その判断の結果、いずれかが検知されていればステップS03の処理に進み、いずれも検知されていなければリターンする。
ステップS03では、便器本体30に溜水を1.4L給水し、使用可能な状態に遷移する。この溜水の給水は、ステップS02において着座の検知やスイッチのオンが検知されてから即座に(例えば、1.5秒程度)行われる。ステップS03の処理に続いてステップS04の処理が実行される。
ステップS04では、離座判定が行われ便器本体30を自動洗浄していいと判断されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって便器本体30の溜水を流すためのスイッチがオンされたかを判断する。その判断の結果、いずれかが検知されていればステップS05の処理に進み、いずれも検知されていなければリターンする。
ステップS05では、圧送装置8内の封水が排水される。本実施形態では圧送装置8を小型化するため、圧送装置8内の貯留槽40の容量を必要最小限なものとしている。そのため、圧送装置8内に封水が残ったままの状態で便器本体30の溜水を圧送装置8内に流し込むとオーバーフローしてしまう恐れがある。そこでこのステップS05の処理では、まず圧送装置8内の封水を排水し、圧送装置8内に便器本体30の溜水を受け入れるスペースを確保する。ステップS05の処理に並行して、図7に示すステップS06の処理が実行される。
ステップS06では、ステップS05の封水の圧送が問題なく実行されているのを確認してから、ステップS05の処理と並行して、便器本体30の洗浄が行われる。この便器本体30の洗浄は、便器本体30に1.2Lの水を供給することで行われる。ステップS06の処理に続いてステップS07の処理が実行される。
ステップS07では、ステップS05の封水の圧送が問題なく完了したことを確認してから、フラップ弁9が開かれる。フラップ弁9を開くことによって、便器本体30内の汚物及び汚水が圧送装置8内に導入される。前述したように圧送装置8内の貯留槽40の容量はコンパクトなものであるけれども、ステップS05の処理で圧送装置8内の封水が排水されているので、オーバーフローすることなく処理が進行する。ステップS07の処理に続いてステップS08の処理が実行される。
ステップS08では、フラップ弁9を閉じて粉砕部給水路4bから圧送装置8内へと0.3Lの補注水がなされる。フラップ弁9を閉じてから補注水がなされているので、フラップ弁9よりも上まで水位が上昇し、続いて行われる粉砕圧送工程に必要十分な水を確保することができる。尚、この水洗圧送移動式便器10に温水洗浄便座機能が付加されている場合には、温水洗浄便座から吐水される洗浄水の量を補注水量から減じて、圧送装置8内へと注水することも好ましい態様である。例えば、温水洗浄便座から0.2Lの洗浄水が吐水されていれば、標準の補注水量0.3Lからその分を減じて、0.1Lの水を圧送装置8内へと補注水するものである。このようにすることで、温水洗浄便座からの洗浄水を有効に活用して過剰な補注水を行わないように構成できる。ステップS08の処理に続いてステップS09の処理が実行される。
ステップS09では、粉砕圧送用モータ58が回転することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や圧送が実行される。上述したステップS05からステップS09に至る処理は一回目の洗浄工程に相当し、ステップS09に続いて実行されるステップS10からは二回目の洗浄工程に相当する。
ステップS10では、ステップS09の汚物の圧送が問題なく実行されているのを確認してから、便器本体30の二回目の洗浄を行うために便器本体30に2.5Lの水を給水する。ステップS10の処理に続いてステップS11の処理が実行される。
ステップS11では、フラップ弁9が開かれる。フラップ弁9を開くことによって、便器本体30内の洗浄後の水が圧送装置8内に導入される。ステップS11の処理に続いてステップS12の処理が実行される。
ステップS12では、上述した圧送回数が10回となったか否かを判断する。上述した圧送回数が10回以上であれば、圧送装置8内が汚れていると考えられるのでステップS15からステップS17に示す圧送装置8の強力洗浄工程が実行される。上述した圧送回数が10回を下回っていれば、ステップS13の処理が実行される。
ステップS13は、フラップ弁9を閉じて粉砕部給水路4bから圧送装置8内へと1.5Lの補注水がなされる。フラップ弁9を閉じてから補注水がなされているので、フラップ弁9よりも上まで水位が上昇する。更に、ステップS08での補注水に比べてより多くの水が供給されるので、ステップS09の処理の際に圧送装置8の内壁に飛び散った汚物を洗い流すことができる。ステップS13の処理に続いてステップS14の処理が実行される。
ステップS14では、粉砕圧送用モータ58が回転することでカッター52やインペラ56が回転し、圧送装置8の貯留槽40内の洗浄やその洗浄水の圧送が実行される。ステップS14の処理に続いてステップS18の処理が実行される。
ここで、ステップS15からの圧送装置8内の強力洗浄について説明する。ステップS16では、実質的にステップS11のように洗浄後の水が圧送装置8内に溜まっている状態で、フラップ弁9を閉じて粉砕部給水路4bから圧送装置8内へと2.5Lの補注水がなされる。フラップ弁9を閉じてから補注水がなされているので、フラップ弁9よりも上まで水位が上昇する。ステップS16における補注水は2.5LとステップS13における1.5Lの補注水よりも多く、圧送装置8内の水面が更に上昇し、圧送装置8の内壁のかなり上方まで洗浄することができる。ステップS16の処理に続いてステップS17の処理が実行される。
ステップS17では、粉砕圧送用モータ58が逆回転を5秒間継続した後に成果移転することでカッター52やインペラ56が正逆交互に回転し、圧送装置8の貯留槽40内の洗浄やその洗浄水の圧送が強力に実行される。ステップS17の処理に続いてステップS18の処理が実行される。
ステップS18では、圧送装置8内へと封水用の水が1.7L供給され、圧送装置8内に封水が構築される。
上述したステップS01からステップS17までの給排水制御は、便器本体30において大便がなされても大丈夫なように、比較的多くの水で洗浄するいわば大水量制御である。一方で、水洗圧送移動式便器10の使用態様によってはより少ない水で洗浄するいわば小水量制御を行うこともできる。この小水量制御について図9を参照しながら説明する。図9は、小水量制御のフローチャートである。図9に示す小水量制御のフローは、図6から図8を参照しながら説明した大水量制御の処理ステップを一部省略することで形成されている。
ステップS20では、大水量制御のステップS01と同様に、水洗圧送移動式便器10は待機状態にある。この場合、便器本体30には溜水がされておらず、圧送装置8内に封水が形成されている。圧送装置8内の水位は、封水待機水位L2である(図4参照)。この段階では、便器本体30に溜水がされておらず、フラップ弁9が閉じられており、圧送装置8内に封水が構築されているので、水洗圧送移動式便器10を移動しても転倒や衝突時に水漏れが無く、搬送時の安全性が図られている。また、圧送装置8の封水よりも上流部分に汚物が付着したままにならないように清潔性を保つことで、この状態での臭気の発生を抑えることができる。ステップS20の状態からステップS21の処理に進む。
ステップS21では、大水量制御のステップS02と同様に、着座検知用センサ301及び着座検知部804によって使用者が着座したことが検知されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって水を便器本体30に溜めるためのスイッチがオンされたかを判断する。その判断の結果、いずれかが検知されていればステップS22の処理に進み、いずれも検知されていなければリターンする。
ステップS22では、大水量制御のステップS03と同様に、便器本体30に溜水を1.4L給水し、使用可能な状態に遷移する。この溜水の給水は、ステップS02において着座の検知やスイッチのオンが検知されてから即座に(例えば、1.5秒程度)行われる。ステップS22の処理に続いてステップS23の処理が実行される。
ステップS23では、大水量制御のステップS04と同様に、離座判定が行われ便器本体30を自動洗浄していいと判断されるか、若しくは操作パネル82及び操作受付部800によって便器本体30の溜水を流すためのスイッチがオンされたかを判断する。その判断の結果、いずれかが検知されていればステップS24の処理に進み、いずれも検知されていなければリターンする。
ステップS24では、便器本体30の洗浄が行われる。この便器本体30の洗浄は、便器本体30に0.6Lの水を供給することで行われる。大水量制御と異なり、圧送装置8内の封水を排水せず、小水量での洗浄が実行される。ステップS24の処理に続いてステップS25の処理が実行される。
ステップS25では、大水量制御のステップS07と同様に、フラップ弁9が開かれる。フラップ弁9を開くことによって、便器本体30内の汚物及び汚水が圧送装置8内に導入される。ステップS25の処理に続いてステップS26の処理が実行される。
ステップS26では、大水量制御のステップS09と同様に、粉砕圧送用モータ58が回転することでカッター52やインペラ56が回転し、汚物の粉砕や圧送が実行される。大水量制御では、このステップS26に相当する処理の後、二回目の洗浄工程であるステップS10からS14及びステップS15からS17までが実行されたけれども、小水量制御ではこれらのステップはスキップされ、続くステップS27の処理に進む。
ステップS27では、大水量制御のステップS18と同様に、圧送装置8内へと封水用の水が1.7L供給され、圧送装置8内に封水が構築される。
尚、図9に示した小水量制御のステップS24では、便器本体30に0.6Lの水を供給することで便器本体30の洗浄を行ったけれども、大水量制御のステップS06における供給水量1.2Lよりも多い水量を供給しても構わない。
続いて、図10を参照しながら、水洗圧送移動式便器10の排水に異常が生じた場合の制御について説明する。
ステップS30では、水洗圧送移動式便器10の排水継手である雄継手12m(図3参照)が建物側の雌継手14f(図3参照)に接続されているか判断する。この判断の結果、雄継手12mが雌継手14fに接続されていなければステップS39の処理に進み、雄継手12mが雌継手14fに接続されていればステップS31の処理に進む。
ステップS39では、ポンプ44の運転を禁止し、給水装置4からの給水も禁止してリターンする。一方、ステップS31では、排水異常判定閾値Q1を読み込む。この排水異常判定閾値Q1は、排水環境を測定して排水環境測定値を取得し、その取得した排水環境測定値に基づいて演算され基準値として記憶されるものである。尚、排水環境測定の詳細は後述する。ステップ31の処理に続いてステップS32の処理が実行される。
ステップS32では、貯留槽40の水位が水位センサ60及び水位検知部801によって所定時間間隔で測定され記憶される。ステップS32の処理に続いてステップS33の処理が実行される。
ステップS33では、ステップS32で測定された貯留槽40の水位上昇が連続して所定流量Q3以上続いたか判断する。貯留槽40の水位上昇が連続して所定流量Q3以上続けばステップS40の処理に進み、続いていなければステップS34の処理に進む。
ステップS34では、ステップS32で測定された貯留槽40の水位減少が連続して所定流量Q2以上続いたか判断する。貯留槽40の水位減少が連続して所定流量Q2以上続けばステップS35の処理に進み、続いていなければリターンする。ステップS35では、ポンプ44が運転中であるか判断する。ポンプ44が運転中であればステップS36の処理に進み、運転中でなければステップS44の処理に進む。
ステップS36では、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っているか判断する。排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていれば正常であるものと判断してリターンし、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていなければ、ステップS37の処理を実行する。
ステップS37では、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態が、ポンプ44を運転して排水処理を4回連続して実行しても継続されるか判断する。その結果、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態となれば正常であるものと判断してリターンし、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っている状態が継続すればステップS38の処理を実行する。
ステップS38では、排水経路に何らかのエラーが生じているものとして、排水エラー処理を実行する。排水エラー処理としては、水洗圧送移動式便器10のシステム停止や、排水経路の遮断による排水停止や、排水エラー表示を実行する。
ステップS40では、貯留槽40に給水中であるか判断する。貯留槽40に給水中であればステップS45の処理に進み、給水中でなければステップS41の処理に進む。
ステップS41では、貯留槽40内の水位が待機水位であるポンプ作動開始水位L3以上となっているか判断する(図4及び各水位を排出口2aに対して示した図18を参照)。ポンプ作動開始水位L3以上となっていなければ特段の異常は認められないものとしてリターンし、ポンプ作動開始水位L3以上となっていればステップS42の処理に進む。給水中で無いのにポンプ作動開始水位L3以上となるのは手洗器70からの排水が流入しているものと仮定し、ステップS42では、ポンプ44を駆動して排水動作を実行し、その排水動作を3回連続で行う処理を実行する。ステップS42に続くステップS43では、連続して3回連続して排水してもなお、貯留槽40の水位がポンプ作動開始水位L3以上となるか、すなわち4回連続してポンプ作動開始水位L3以上となるか判断する。4回連続してポンプ作動開始水位L3以上となればステップS44の処理を実行し、ポンプ作動開始水位L3以上とならなければリターンする。
ステップS44では、給排水経路に何らかのエラーが生じているものとして、給排水エラー処理を実行する。給排水エラー処理としては、水洗圧送移動式便器10のシステム停止や、給排水経路の遮断による給排水停止や、給排水エラー表示を実行する。
ステップS45では、貯留槽40内の水位が第1許容限界水位L5以上となっているか判断する。ステップS45は、ステップS40において給水中であると判断した結果の処理であるので、第1許容限界水位L5以上となっていなければ通常の給水状態であると判断してリターンする。一方、第1許容限界水位L5以上となっていれば、ステップS44の処理を実行する。
続いて、図11を参照しながら、水洗圧送移動式便器10の環境適合処理制御について説明する。
ステップS50では、水洗圧送移動式便器10が商用電源に接続されたか判断する。水洗圧送移動式便器10が商用電源に接続されていなければリターンし、水洗圧送移動式便器10が商用電源に接続されていればステップS51の処理を実行する。
ステップS51では、この環境適合処理が既に実行済みか否かを判断する。継手センサ15s及び継手識別部803によって同じ場所に設置されたものと判断された場合や、移動されていないものと判断された場合は、環境適合処理が実行済みであるものと判断してステップS52の処理を実行し、環境適合処理が実行済みでない場合はステップS53の処理を実行する。
ステップS52では、その設置場所に適合するものとして記録されている排水異常判定閾値Q1を読み込む。尚、排水異常判定閾値Q1の記録態様としては、上書き記録態様でも構わないので、その場合はその記録されている排水異常判定閾値Q1を読み込む。また、排水異常判定閾値Q1の記録態様としては、5つ程度の記録ブロックごとに上書き記録する記録態様でも構わないので、その場合は適合する記録ブロックの最新の排水異常判定閾値Q1を読み込む。また、継手センサ15s及び継手識別部804によって建物側のどの継手に接続されたかが識別可能であれば、適合する記録ブロックの選択を自動的に行うこともできる。
ステップS53では、表示部808及び異常表示器63によって、排水環境をチェックして環境適合処理を行っている旨の表示を行い、ユーザーからの許可指示入力を待機する。続くステップS54では、ユーザーからの許可指示入力があったか否かを判断する。ユーザーからの許可指示入力があればステップS55の処理を実行し、ユーザーからの許可指示入力がなければステップS60の処理を実行する。ステップS60では、水洗圧送移動式便器10の通常使用を規制する処理を実行する。通常使用の規制態様としては、水洗圧送移動式便器10のシステム停止や、使用規制報知を表示部808及び異常表示器63によって行うものがある。
ステップS55では、給水ホースSH及び排水ホースDHが建物側の継手に接続されているか判断する。給水ホースSH及び排水ホースDHが建物側の継手に接続されていればステップS56の処理を実行し、給水ホースSH及び排水ホースDHが建物側の継手に接続されていなければ上述したステップS60の処理を実行する。
ステップS56では、排水ホースDHの接続不良チェックを実行する。具体的には、圧送装置8内に2L給水し、ポンプ44の回転数を徐々に上げたり変動させたりしながら排水を実行する。その結果、排水ホースDHにおいて漏水が確認されれば、表示部808及び異常表示器63によって漏水確認報知を実行する。
ステップS57では、ステップS56の接続不良チェックの結果、正常判定がなされたか否かを判断する。正常だと判断されていればステップS58の処理を実行し、正常だと判断されていなければ上述したステップS60の処理を実行する。
ステップS58では、排水環境チェックを実行する。具体的には、圧送装置8内に2L給水し、ポンプ44を通常回転で駆動して圧送し、その圧送による排水流量Qを計測する。この排水流量Qから排水異常判定閾値Q1を、Q1=Q×0.6として算出し、算出した排水異常判定閾値Q1を記録する。続くステップS59では、表示部808及び異常表示器63によって通常使用許可通知を表示する。
尚、この実施形態では、排水異常判定閾値Q1を、Q1=Q×0.6として算出したけれども、算出方法はこれに限られるものではない。排水流量Qが大きければ排水異常判定閾値Q1の低下量が小さくなるように、Q1=Q×0.8として算出することも好ましい。このように排水異常判定閾値Q1を調整すれば、排水不良の回避と排水異常誤判定の発生防止とを高い次元で両立することができる。また、排水異常判定閾値Q1が低い値の場合は、図10で説明した連続異常判定の回数(ステップS43及びステップS37)を増やすことも好ましい。
また、この実施形態では排水異常判定閾値Q1が変動するように構成しているけれども、この排水異常判定閾値Q1とは別に更新されない固定値としての第二排水異常閾値Qfを用いて排水異常判定を実行することも好ましい。この第二排水異常閾値Qfは排水異常判定閾値Q1よりも厳しく(小さく)設定されており、排水状態測定値がこの第二排水異常閾値Qfを下回った場合には、より厳しい緊急停止措置などの排水異常処理を実行することが好ましい。
また、排水異常判定閾値Q1によらずに、圧送装置8からの連続排水時間が所定時間以上連続した場合に、排水異常処理を実行することも好ましい。また、排水流量Qの1.5倍の値の緊急判定閾値Quを保持し、測定流量がこの緊急判定閾値Quを越えた場合には、1回の事象発生で緊急停止することも好ましい。
続いて、図12を参照しながら、水洗圧送移動式便器10の暫定異常処理制御について説明する。図12のステップS70は、図10のステップ36に相当する処理であり、その以前の処理ステップは省略する。
ステップS70では、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っているか判断する。排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていれば正常であるものと判断してリターンし、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていなければ、ステップS71の処理を実行する。
ステップS71では、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態が、ポンプ44を運転して排水処理を3回連続して実行しても継続されるか判断する。その結果、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態となればステップS75のクリーニング工程を実行し、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っている状態が継続すればステップS72の処理を実行する。ステップS75では、表示部808及び異常表示器63によって洗浄運転をしている旨を表示し、ポンプ44を逆回転させたり正逆反転回転させたりして貯留槽40内を攪拌し、リターンする。このステップS75のクリーニング工程によって配水管内に脈動が発生し、排水ホースDHの詰まりを除去が促進される。
ステップS72では、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態が、ポンプ44を運転して排水処理を4回連続して実行しても継続されるか判断する。その結果、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態となればステップS76のクリーニング工程を実行し、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っている状態が継続すればステップS73の処理を実行する。ステップS76では、表示部808及び異常表示器63によって洗浄運転をしている旨を表示し、ポンプ44を逆回転させたり正逆反転回転させたりして貯留槽40内を攪拌し、これらの動作を2回繰り返した後にリターンする。
ステップS73では、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態が、ポンプ44を運転して排水処理を4回連続して実行しても継続されるか判断する。その結果、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っていない状態となればリターンし、排水流量が排水異常判定閾値Q1を上回っている状態が継続すればステップS74の処理を実行する。
ステップS74では、水洗圧送移動式便器10への給水を停止し、便器本体30に溜水があればフラップ弁9を開いて圧送装置8の貯留槽40内へと搬送する。その後、貯留槽40内の水を排水して停止する。この停止後、表示部808及び異常表示器63によって排水異常となっている旨を報知する。
尚、この実施形態では、溜水を給水せずに停止したけれども、便器本体30に溜水をし、その溜水を保持したまま停止することも好ましい。
続いて、図13から図15を参照しながら、水洗圧送移動式便器10の着座判定及び離座判定を行う着座判定制御について説明する。図13は着座判定制御のフローチャートであり、図14及び図15は着座判定のための第1着座判定値及び第2着座判定値について説明するための図である。図14において、「Lo」とは、着座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されていないことを示し、「Hi」とは出力されていることを示している。また、t1からt2は約2秒、t2からt3は約2秒、t3からt4は約4秒、t4からt5は約8秒、t5からt6は約1秒、t6からt7は約2秒であり、t1からt7は約19秒である。
ステップS80では、着座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されているか判断する。着座検知信号が出力されていなければリターンし、出力されていればステップS81の処理を実行する。
ステップS81では、第1着座判定値を用いて着座判定を実行する。具体的には、第1着座判定値である2秒と、着座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されている時間とを比較し、着座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されている時間が第1着座判定値を下回っていればリターンし、上回っていればステップS82の処理を実行する。
ステップS82では、着座判定である第1着座判定を許可し、便器本体30内に給水して溜水を行う。続くステップS83では、第2着座判定値を用いて離座判定を行う。具体的には、第2着座判定値である20秒と、着座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されている時間とを比較し、着座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されている時間が第2着座判定値を下回っていればリターンし、上回っていればステップS84の処理を実行する。
ステップS84では、離座判定である第2着座判定を許可し、座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されなくなれば離座したものとして排水を許可する。
このように着座判定と離座判定とを行うことで、例えば体の自由があまり利かない高齢者の方などが、便器本体に座ったり立ったりを繰り返しながら排便の準備を行った場合でも的確に溜水を行い、排水を行うことができる。このような方々が水洗圧送移動式便器10を使用すると、図14に示すような着座検知信号が出力される場合がある。図14に示す例では、t1で最初に着座し、t7までは着座と離座とを繰り返しながら排便の準備を行い、t7以降において排便動作を行っているものである。
上述した着座判定制御を行えば、t2からt3のような短い時間の離座は本格的な離座ではないと判断するので、このタイミングでの無駄な排水を行うことを防止できる。また、t7を過ぎた段階で着座が継続すると、その後の離座は本格的な離座として判定することができる。
ここで、図14に示すようにt7で本格的な着座がなされたと事後的に判明するので、t1からt7までの時間を着座準備時間として取り扱うことも好ましい。この着座準備時間を計測記憶し、この着座準備時間の3回分の平均時間をもとに第2着座判定値を定めることも好ましい。このようにすれば、図15に示すように、第2着座判定値を10秒から120秒の間で変動するようにし、着座準備時間と連動させることができる。着座準備時間と第2着座判定値とを連動させることで、障害の程度など、使用者の体の程度に合わせて第2着座判定値を定めることができ、誤判定をより効果的に防止することができる。
ところで、図13に示すような着座判定制御を実行すると、例えば図14においてt7に至る前に排便を中止してしまった場合等、便器本体30の溜水が排水されない場合も想定される。そこで、図16に示すような強制排水制御を行うことが好ましい。
ステップS90では、便器本体30内に溜水があるか否かを判定する。便器本体30内に溜水があればステップS91の処理を実行し、便器本体30内に溜水がなければリターンする。ステップS91では、離座状態が15分継続しているか判断する。離座状態は、着座検知用センサ301及び着座検知部803から着座検知信号が出力されているか否かに基づいて判断する。離座状態が15分継続していればステップS93の処理を実行し、離座状態が15分継続していなければステップS92の処理を実行する。
ステップS92では、便器本体30に溜水がある状態が30分継続しているか判断する。便器本体30に溜水がある状態が30分継続していなければリターンし、便器本体30に溜水がある状態が30分継続していればステップS93の処理を実行する。ステップS93では、通常の便器本体30の洗浄と同じ排水シーケンスを実行し、強制的に便器本体30の溜水を排水する。
尚、ステップS91の離座判定は省略し、ステップS92の溜水継続判定のみで強制排水の実行可否を決定することも好ましい。また、ステップS91やステップS92における判断基準時間は着座時間によって学習し、変動させることも好ましい。例えば、平均着座時間の3倍を判断基準時間とし、その下限時間を30分、上限時間を1時間とするような定め方も好ましい。
続いて、図17を参照しながら、水洗圧送移動式便器10の手洗排水制御について説明する。
ステップS100では、水洗圧送移動式便器10が使用中であるか判断する。水洗圧送移動式便器10が使用中であればステップS101の処理を実行し、水洗圧送移動式便器10が使用中でなければステップS108の処理を実行する。
ステップS101では、便器本体30から圧送装置8の貯留槽40へ汚水を搬送する工程に移行するか否かを判断する。貯留槽40へ汚水を搬送する工程に移行すると判断すればステップS110の処理を実行し、貯留槽40へ汚水を搬送する工程に移行しないと判断すればステップS102の処理を実行する。ステップS110では、手洗器70の使用に対して規制を行う処理を実行する。具体的には、表示部808及び異常表示器63によって手洗器70の使用規制を報知し、手洗器70への給水を停止若しくは抑制する。
ステップS102では、フラップ弁9が開いているか判断する。フラップ弁9が開いていれば上述したステップS110の処理を実行し、フラップ弁9が開いていなければステップS103の処理を実行する。ステップS103では、圧送装置8の貯留槽40の水位が、第1許容限界水位L5を超えているか判断する。圧送装置8の貯留槽40の水位が、第1許容限界水位L5を超えていれば上述したステップS110の処理を実行し、第1許容限界水位L5を超えていなければステップS104の処理を実行する。
ステップS104では、圧送装置8の貯留槽40から排水中であるかを判断する。貯留槽40から排水中であればリターンし、貯留槽40から排水中でなければステップS105の処理を実行する。ステップS105では、圧送装置8の貯留槽40に給水中であるか判断する。貯留槽40に給水中であればステップS111の処理を実行し、貯留槽40に給水中でなければステップS106の処理を実行する。ステップS111では、貯留槽40内の水位が待機許容推移であるポンプ作動開始水位L3近傍を維持するように制御する。
ステップS106では、貯留槽40の水位が便器使用時許容水位L4を超えているか判断する。貯留槽40の水位が便器使用時許容水位L4を超えていなければリターンし、貯留槽40の水位が便器使用時許容水位L4を超えていればステップS107の処理を実行する。ステップS107では、ポンプ44を低回転で駆動し、貯留槽40内の水位が封水水位L2となるように制御する。
ステップS100で水水洗圧送移動式便器10が使用中でないと判断された場合に実行されるステップS108では、貯留槽40の水位がポンプ作動開始水位L3を超えているか判断する。貯留槽40の水位がポンプ作動開始水位L3を超えていなければリターンし、貯留槽40の水位がポンプ作動開始水位L3を超えていればステップS109の処理を実行する。ステップS109では、ポンプ44を低回転で駆動し、貯留槽40内の水位が封水水位L2となるように制御する。尚、ステップS108において手洗器70の使用が継続すると判断すれば、判断基準水位を便器使用時許容水位L4としても構わない。
続いて、図19から図21を参照しながら、水洗圧送移動式便器10の特殊給排水制御について説明する。図19は特殊給排水制御の検便モード制御を示すフローチャートであり、図20は、特殊給排水制御の搬送モード制御を示すフローチャートであり、図21は、特殊給排水制御の強力洗浄モード制御を示すフローチャートである。
図19に示すように、ステップS120では、検便モードに設定されているか判断する。検便モードに設定されていればステップS121の処理を実行し、検便モードに設定されていなければリターンする。
ステップS121では、水洗圧送移動式便器10の実行工程が洗浄工程以降であるか判断する。水洗圧送移動式便器10の実行工程が洗浄工程以降であればステップS123の処理を実行し、水洗圧送移動式便器10の実行工程が洗浄工程以降でなければステップS122の処理を実行する。ステップS123では、表示部808及び異常表示器63によって特殊モードである検便モードへの移行を禁止する旨の報知を実行する。
ステップ122では、検便モードを実行する。具体的には、便器本体30内に0.3Lの溜水を供給する。これによって、便器本体30内側への便のこびりつき等を抑制することができる。尚、便器本体30に既に0.3L以上の溜水がある場合には、この溜水を抜いて対応する。その後、2.3Lの水を給水しながら便器本体30を洗浄する。
図20に示すように、ステップS130では、搬送モードに設定されているか判断する。搬送モードに設定されていればステップS131の処理を実行し、搬送モードに設定されていなければリターンする。
ステップ131では、水洗圧送移動式便器10が待機中であるか判断する。水洗圧送移動式便器10が待機中であればステップS132の処理を実行し、水洗圧送移動式便器10が待機中でなければステップS133の処理を実行する。ステップS133では、表示部808及び異常表示器63によって特殊モードである搬送モードへの移行を禁止する旨の報知を実行する。
ステップS132では、搬送モードを実行する。具体的には、圧送装置8の貯留槽40内の封水を排水し、表示部808及び異常表示器63によって給排水継手(図2及び図3参照)の取り外し許可を報知する。
図21に示すように、ステップS140では、強力洗浄モードに設定されているか判断する。強力洗浄モードに設定されていればステップS131の処理を実行し、強力洗浄モードに設定されていなければリターンする。
ステップ141では、水洗圧送移動式便器10が待機中であるか判断する。水洗圧送移動式便器10が待機中であればステップS142の処理を実行し、水洗圧送移動式便器10が待機中でなければステップS143の処理を実行する。ステップS143では、表示部808及び異常表示器63によって特殊モードである強力洗浄モードへの移行を禁止する旨の報知を実行する。
ステップS142では、強力洗浄モードを実行する。具体的には、表示部808及び異常表示器63によって便器本体30内に洗剤を投入するように報知し、便器本体30内に給水した後、その溜水を圧送装置8へと搬送する。更に、圧送装置8の貯留槽40内へ5Lの給水を2回実行し、圧送装置8のポンプ44を60秒程度逆回転し、その後正回転させて排水する動作も2回実行する。