以下に図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2は本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す後方斜視図であり、図1は荷受台昇降装置の荷受台上昇時、図2は荷受台下降時の様子を表している。各実施の形態で例示する荷受台昇降装置はいわゆる小型車両・中型車両・大型車両のいずれにも適用可能であるが、図1及び図2では小型車両に荷受台昇降装置を搭載した場合を例示している。
図1及び図2に示した車両は、車枠1の前方に設けられた運転室2、車枠1上に設けられた荷室(荷箱)3、及び荷室3内の後部に設けられた荷受台昇降装置100を備えている。この荷受台昇降装置100は、荷役(昇降)作業の支援を必要とする比較的重量の大きい荷物の積み降ろし作業時等には、荷受台(プラットフォーム)30を展開し荷室3の荷床の高さと地面の高さとの間で昇降駆動させることにより荷役作業を支援する。なお、本実施の形態では、荷室3の後部に荷室3の開口部4とその開閉扉5とを備えているので、荷受台昇降装置100は荷室3の後部に荷受台30を展開することとなるが、荷室3の側部に開口部及び開閉扉がある場合には車両の側部に荷受台が展開されるように荷受台昇降装置100が設置される。本例の場合は荷室3の後部に展開するので、前後方向を荷受台30の奥行方向、左右方向を幅方向とする。
図3は車両に対する荷受台昇降装置100の取り合い構造を表す透視側面図、図4はその拡大図である。
図3及び図4に示すように、荷室3の床は、車枠1上に搭載される底部のベースフレーム6と、ベースフレーム6上に前後に適当な間隔で列設された左右方向に延びる複数のビーム7と、これらビーム7上に設けられた荷床8とで構成されている。ベースフレーム6の上面は後端部から距離Lまでの部分が切り欠かれていて他の部分よりも一段低く、また荷床8の後端は荷室3の後端部から距離Lの位置にあり、ベースフレーム6の切り欠き部の上方は荷床8のないスペースとなっている。ベースフレーム6の切り欠き部の上面(表面)はカバー9で被覆してある。
荷受台昇降装置100は、荷室3内の左右両側に設けられたリンク機構10と、リンク機構10の先端部に設けられて荷床高さと地面高さの間を昇降する上記の荷受台30とを備えている。
リンク機構10は、荷床8の左右両側の後端に配置された基部ブラケット11と、この基部ブラケット11にピン15,16を介してそれぞれ基端側が連結された基端側第1アーム12及び基端側第2アーム13と、これら基端側アーム12,13の先端側にピン17,18を介して基端側が連結された先端側アーム14とを備えている。基端側アーム12,13が前後方向に沿った鉛直平面内で上下方向に回動し、先端側アーム14を上下動させる。基端側第1アーム12は後方に傾倒したとき、ともに傾倒する基端側第2アーム13の上側に位置する。先端側アーム14の先端側には上記荷受台30が固定されている。図3に示したようにピン15−18の中心を結んだ形状は概ね平行四辺形で、基端側アーム12,13が平行リンクを構成する。そのため、基端側アーム12,13が上下に回動することにより、先端側アーム14及びこれに支持された荷受台30は姿勢を維持したまま(荷受面をほぼ水平に保った状態で)上下動する。また、基端側第1アーム12(ピン15,17間の長さ)を基端側第2アーム13の長さ(ピン16,18間の長さ)に対して若干長くすると、荷受台30は位置が下がるにつれて僅かずつ後方に下る向きに傾斜し、地面に対して先端部から接地する。
また左右のリンク機構10には、それぞれリフト駆動装置(シリンダ)20が設けられている。このリフト駆動装置20は、基端側第2アーム13におけるピン16,18の間に設けたピン21と基端側第1アーム12の先端の上記ピン17に両端がそれぞれ連結されており、伸縮動作に伴って荷受台30が昇降する。リフト駆動装置20は電動・油圧のいずれも適用可能である。
このとき、例えば図19に示すような中型以上の比較的大きな運搬車両を対象とし車両の下部に荷受台Pを格納するいわゆる格納式荷受台昇降装置Aの場合、荷受台Pをリンク機構L上に折り重ねるが、本実施の形態では、格納位置にあるときにはリンク機構10が起立した姿勢(図3及び図4に示した姿勢)を採る。特に図示していないが、荷室3内の左右にリンク機構10の格納空間を確保するカバーを設け、リンク機構10が起立したとき(格納姿勢に移行したとき)にカバーに収容されて荷室3内の荷物と干渉しないようにすることができる。
荷受台30は、リンク機構10(先端側アーム14)の先端部に取り付けられた荷受台基端部31と、この荷受台基端部31とともに連続した荷受面を構成する荷受台本体部32とを備えている。
荷受台基端部31は、上昇時には荷室3の荷床8の後続位置にきて荷受面が荷室3の床面の一部を構成する(図3及び図4の状態)。荷受台基端部31が上昇位置にあるとき、荷受台基端部31の下面と上記ベースフレーム6の切り欠き部(カバー9)の上面には間隙が介在し、この間隙が荷受台本体部32の格納空間となる(図4の破線は格納空間に格納された荷受台本体部32を表している)。この格納空間は、展開した荷受台30の昇降時の通過スペースと一部共用され、荷受台基端部31の前端下部の昇降時の軌跡R(図4参照)が荷受台本体部32の格納空間と重なっている。
一方、荷受台本体部32は、展開時には荷受台基端部31の後端部に連結されて荷受台基端部31と荷受面を連続させ、格納時(荷受台基端部31は上昇位置にあるものとする)には荷受台基端部31の下部に移動して荷床8の高さにある荷受台基端部31の下側の格納空間に格納される。
これら荷受台基端部31及び荷受台本体部32の前後方向の寸法は上記ベースフレーム6の後端の切り欠き部の寸法Lと同程度かそれよりも僅かに小さい程度であり、ベースフレーム6の切り欠き部に格納姿勢の荷受台30が収まるようになっている。また、荷受台基端部31と荷受台本体部32の対向端面にはそれぞれ凹部33と凸部34が設けられ、凹部33と凸部34が嵌合することで展開位置にあるときの荷受台本体部32の荷受台基端部31に対する上下方向への動きが拘束される。凹部33と凸部34の位置関係は逆でも良い。
なお、荷受台本体部32は、後端部を後述するロッド56によって前方のリンク機構10の先端側アーム14から吊り下げ支持されているため、荷受台基端部31の後続位置にある状態では当該支持構造によって荷受台基端部31側に付勢力を受ける。しかし、展開時に荷受台本体部32を荷受台基端部31に対してより万全に固定するために、荷受台本体部32と荷受台基端部31の対向部を鎹等の別途設けたロック手段で連結する構成とすることもできる。
ここで、荷受台本体部32の取り付け構造について説明する。
図5−図8はリンク機構10の先端側アーム14と荷受台30を抽出して表した図で、図5は全体を左後方から見た斜視図、図6は荷受台30の左端部近傍を拡大して表す斜視図、図7は荷受台30の左端部近傍の側面図、図8は荷受台30の右端部近傍を拡大して表す斜視図である。また図9は荷受台30を抽出して表した斜視図である。
図5−図9に示したように、荷受台基端部31の後部には被案内部材であるロータユニット40が、荷受台本体部32の左右両側にはロータユニット40を案内する案内手段であるガイドプレート41が設けられている。
ガイドプレート41は、荷受台本体部32の左右の側面部に前後方向に沿うように鉛直な姿勢で取り付けられており、ロータユニット40を案内するスリット42を左右方向に開口させている。左右のガイドプレート41の後端上部近傍は、リンク機構10の先端側アーム14に固定した支持部材55に対しロッド56を介して連結されている。ロッド56の両端は支持部材55及びガイドプレート41に対して回動可能に連結されている。
スリット42は、荷受台30の前後方向に延びる直線部43と、この直線部43の前端部から下方に折り返す円弧部44とを有し、「J」字状に形成されている。直線部43の長さは荷受台本体部32の前後方向の寸法程度であり、円弧部44は半円を描くように形成されている。またガイドプレート41の外壁面(左右方向外側を向いた面)には、スリット42の軌道の内側に沿うようにしてギア47(後述)の被駆動部であるラックギア48が設けられている。本実施の形態では、製作容易性の観点からガイドプレート41の外壁面に回転不能に取り付けた2つのギア(前方のもののみ図示した)に環状のチェーンを掛け回し、このチェーンの外周部におけるスリット42に沿う部分をラックギア48として利用している。しかし、ラックギア48の構成はこれに限定されず、歯面がスリット42に沿うように適宜機械加工で削り出す等して専用に形成することもできる。また、ラックギア48をガイドプレート41の内壁面(左右方向の内側を向いた面)側に設ける構成とすることもできる。
ロータユニット40は、両ガイドプレート41のスリット42に転動する転動部であるベアリング45と、両ベアリング45を連結する軸46と、軸46を荷受台基端部31に対して回転自在に支持するベアリング39とを有している。軸46は荷受台基端部31を左右方向に貫通し、両端部は上記スリット42を通ってガイドプレート41よりも外側に突出している。軸46の両端部には駆動モータ50(後述)からの駆動力を受ける被駆動部であるギア47が固定的に取り付けられており、これらギア47が左右のラックギア48に噛合する。ベアリング45は、ギア47よりも内側に配置され、スリット42内に位置するように軸46に取り付けられている。ベアリング45の外周部の直径は、スリット42の外周側の内壁にベアリング45の外周面が当接した状態でも、ラックギア48がギア47から外れない程度の寸法を要する。ベアリング39はベアリング45よりも内側に位置するように軸46に取り付けられている。
ロータユニット40の左右のギア47のうち左側(右側でも良い)のギア47は、右側のギア47に比べて左右に長く、ラックギア48よりも外側に先端部が突出している。ここで、リンク機構10の左側(長いギア47の側)の先端側アーム14には支持部材49を介して電動(油圧駆動式でも良い)の駆動モータ50が取り付けられており、ロータユニット40の左側ギア47のラックギア48よりも外側に突出した部分と駆動モータ50の出力軸に固定したギア51との間には駆動伝達手段であるチェーン52が掛け回され、駆動モータ50の駆動力がチェーン52を介してギア47に伝達されるようになっている。
次に上記構成の荷受台昇降装置100の動作及び作用効果を説明する。
荷受台昇降装置100の使用を開始する場合、図示しない操作装置で所定の操作を行い、格納位置にある荷受台本体部32(図4の破線の状態)を荷受台基端部31の後続位置に移動させて荷受台30を展開する。操作装置で所定の操作が行われると駆動モータ50が回転駆動し、駆動モータ50の駆動力がチェーン52を介して伝達されてロータユニット40が回転駆動する。ロータユニット40の回転運動は、ロータユニット40のギア47に噛合するラックギア48を介して荷受台本体部32の推進力に変換される。こうして荷受台本体部32に推力が与えられると、ロータユニット40のベアリング45が相対的にスリット42内を移動して直線部43の後端部から円弧部44の下端部に達し、荷受台本体部32は荷受面を上に向けた姿勢のまま、図4に実線矢印で示したように後方にスライドした後上昇しつつ前方に折り返し、荷受台基端部31の後続位置に移行する。
荷受台30を格納する際は、荷受台基端部31が荷床高さにあるときに上記と逆の手順を行い、荷室3の開閉扉5を閉めて荷受台昇降装置100全体を荷室3内に収容する。
荷役作業を行う場合、荷受台30の展開後、図示しない操作装置で所定の操作を行うと、リンク機構10に設けたリフト駆動装置20が縮み、荷受台30が荷床の高さから地面の高さまで下降する(図1及び図2参照)。荷受台30を上昇させる場合には、操作部で所定の操作を行ってリフト駆動装置20を伸長させる。リンク機構10にガイドされ、ほぼ水平の姿勢を保って荷床の高さと地面の高さとの間で昇降する。
以上、本実施の形態の荷受台昇降装置100は荷受台基端部31が上昇時に荷室3の床面の一部をなす構成であり、荷室3の床面の一部を荷受台として利用している。本実施の形態では基端側第1アーム12が格納時に多少後に傾斜する(ピン17がピン15より後方に位置する)レイアウトであることから荷役作業の際には荷受台30は上昇すると少なくとも一部が荷室3に入り込むので、上昇位置から荷受台30を平行リンクで下降させる場合には、上昇時の荷受台基端部31の下部に荷受台30の軌道を避けた相応の空間が適宜必要となる。そこで本実施の形態では荷受台30を前後に分割し、格納時には前半部の荷受台基端部31のみが荷室3の床面の一部をなし、荷室3の後端部において荷受台30の下部に創出される空間を、後半部の荷受台本体部32の格納空間として利用する構成としている。この構成により、荷受台昇降装置100の前後寸法を短縮することができ、適用対象が中型車両以下の比較的小型の車両であっても、図3及び図4に示すように後輪の車軸から車枠1の後端までの距離(リアオーバーハング)内に収めることができる。よって、格納時の装置全体の前後方向の寸法を小型車両のリアオーバーハング内に抑えるとともに、リフトアップ時及び格納時の荷室3の床面8と荷受台30との良好な連続性を確保することができ、車両1の後輪の車軸の跳ね上がり代を考慮して荷室3の床面を嵩上げする必要もなく、荷室3の容量を確保する上でも有利である。また荷受台昇降装置100は、格納時には荷受台30(荷受台基端部31)が荷室3の床面の一部となっているので不使用時にも邪魔にならず、荷受台昇降装置100を使用しない荷役作業に支障を来たすこともない。
また、軽量な荷物を多く取り扱う場合、荷受台昇降装置100を使用しない荷役作業の頻度が高く長期に亘って使用されない場合も生じ得る。この場合、格納時に外界に部分的にでも露出する構成であると、リフト駆動装置20等の駆動部品の凝着、泥や埃の付着等により、いざ使用する段になってスムーズに動作しない場合も起こり得る。また、劣悪な路面を走行中に何らかの障害物に衝突して損傷する恐れもあり、メンテナンスにも労力を要する。それに対し、本実施の形態の荷受台昇降装置100では、格納姿勢で荷室3の開閉扉5を閉めれば完全に荷室3の壁面及び開閉扉5に周囲をカバーされた状態となるので、汚れが抑制され直接的に障害物に衝突したりすることもないので、メンテナンスに要する労力も軽減される。さらに、荷受台昇降装置100を使用せずに軽量な荷物を取り扱うような場合には、図1に示す開閉扉5(図1では左右2枚)を1枚開くだけでも荷役作業を行うことができ、作業効率が良い。
なお、本実施の形態では動力伝達機構としてチェーンとギアを組み合わせた構成を用いたが、例えばギア47,51の代わりにプーリを、ラックギア48及びチェーン52の代わりにベルトを用いることもできる。駆動モータ50、チェーン52を省略して手動で荷受台30を展開・格納する構成としても良い。また、ラックギア48をスリット42の軌道の内側に沿わせ、ベアリング45がスリット42の円弧部44にあるときにロータユニット40のギア47がラックギア48に外接する場合を例に挙げて説明したが、ラックギア48をスリット42の軌道の外側に沿うように設けても良い。この場合、ベアリング45がスリット42の円弧部44にあるときロータユニット40のギア47がラックギア48に内接し、外接する場合に比べて円弧部44においてギア47とラックギア48の同時に噛み合う歯数が増すので、動力伝達効率や動作安定性の向上が期待できる。
図10は本発明の第2の実施の形態に係る荷受台昇降装置の荷受台の左端部近傍の側面図で、第1の実施の形態の図7に対応している。また、図11は荷受台基端部31と荷受台本体部32の展開時の対向端部の拡大図である。
第1の実施の形態では、荷受台基端部31と荷受台本体部32の対向端部に前後方向に係脱される凹部33及び凸部34を設けることによって展開位置にあるときの荷受台本体部32の荷受台基端部31に対する上下方向への動きを拘束する構成としたが、本実施の形態では、上下方向の動きに加えて前後方向への動きを併せて拘束する構成としている。
すなわち、図11に示したように、荷受台基端部31の後端には上を向いて開口した凹部60を有するフック61が後方に突設されており、荷受台本体部32の前端には下を向いて突出した凸部62を有するフック63が前方に突設されている。フック61にフック63を掛け、凹部60と凸部62を係合させた状態では、フック61,63を含めて荷受台基端部31と荷受台本体部32の荷受面が連続する。この状態のとき、荷受台本体部32に荷重がかかっても荷受台本体部32が荷受台基端部31より下にずれることはなく、また荷受台本体部32が後方に移動して荷受台基端部31から離れることもない。勿論、荷受台基端部31はリンク機構10に支持されているので、基端側の荷受台基端部31のみが荷受台本体部32を置いて下降することもない。
第1の実施の形態では凹部33と凸部34が前後方向に係合する構成であったが、本実施の形態では凹部60と凸部62が上下方向に係合する構成である。そこで、本実施の形態では、ガイドプレート41のスリット42の円弧部44の直径及び中心角を第1の実施の形態に比べて大きくしている。すなわち、第1の実施の形態では、円弧部44の中心線の直径が格納時の荷受台本体部32と荷受台基端部31の荷受面の高低差とほぼ等しく、円弧部44の中心線の中心角はほぼ180度であったのに対し、本実施の形態では、図10に示したように、円弧部44の中心線の直径が格納時の荷受台本体部32と荷受台基端部31の荷受面の高低差よりも大きく、円弧部44の中心線の中心角は180度を超えている。本実施の形態では、円弧部44の先端部の中心と直線部43の中心の高低差H1が格納時の荷受台本体部32と荷受台基端部31の荷受面の高低差とほぼ等しく、円弧部44の先端部の中心と円弧部44の中心線の最も低い点の高低差H2は凹部60と凸部62の噛み合い高さH3(図11参照)よりも大きくなっている。
すなわち、例えば荷受台本体部32が格納位置から展開位置に移動するとき、ベアリング45(図6参照)がスリット42の円弧部44に差し掛かると、荷受台本体部32は第1の実施の形態に比べて大きな弧を描いて上昇しつつ前方に折り返し、ベアリング45がスリット42の最下部に到達する頃には荷受台基端部31よりも荷受面が高くなるところまで上昇する。その後、ベアリング45が円弧部44の先端部に向かうのに相対して荷受台本体部32は前方に向かいつつ下降し、この際に荷受台本体部32の凸部62が荷受台基端部31の凹部60に上から嵌まり込む。
本実施の形態は上記の点を除いて第1の実施の形態と同様の構成であり、同様の効果を得ることができる。それに加え、本実施の形態では、荷受台展開時に荷受台本体部32の荷受台基端部31に対する前後方向の動きが拘束されるので、荷受台30の使用時の剛性感や安定感をより向上させることができる。
図12−図15は本発明の第3の実施の形態に係る荷受台昇降装置の荷受台の格納動作を表す斜視図である。
第1及び第2の実施の形態では荷受台基端部31の下部に荷受台本体部32をスライドさせて格納する構成を採ったが、本実施の形態では、荷受台本体部32Aを荷受台基端部31Aの後端部に回動可能に連結し、荷受台基端部31Aの下部に折り畳む構成としている。荷受台30Aの展開及び格納の動作は手作業を想定しているが、駆動装置を利用して展開・格納駆動する構成としても良い。
本実施の形態の荷受台昇降装置100Aは、荷受台基端部31Aの前方側部分及びリンク機構10の先端側アーム14の先端部を回動可能に連結する第1の軸70と、荷受台基端部31Aの後方側部分及び荷受台本体部32Aの前方側部分(荷受台基端部31Aと荷受台本体部32Aの互いの対向端部に設けたヒンジ部)を回動可能に連結する第2の軸71と、一端がリンク機構10の先端側アーム14にピン72を介して回動可能に連結され、荷受台本体部32Aの後方側部分に設けたピン73をガイドする長穴74を他端に有するガイドアーム75とを備えている。
なお、厳密には図12−図15に“ピン”73は図示されていないが、ピンに代えて荷受台本体部32Aに設けたピン挿入穴に符号73を付してある。特に図示していないが、ピン73は荷受台本体部32Aから左右に所定距離延在し、リンク機構10の先端側アーム14の外側で回動するガイドアーム75の長穴74に到達している。
また、本実施の形態では、第1の実施の形態と異なり、荷受台基端部31Aはリンク機構10の先端側アーム14とは固定関係になく、上記第1の軸70を介して先端側アーム14に対して回動可能に連結されている。そこで、荷受台基端部31Aの回動範囲の下限を制限するとともに、荷受台基端部31Aの水平姿勢を保持する目的で、先端側アーム14の下部(第1の軸70よりも下方でかつ後方の位置)には、水平姿勢の荷受台基端部31Aの底面を受けるストッパ76が内側(荷受台30A側)に突出して設けられている。
また、荷受台基端部31Aと荷受台本体部32Aの互いを連結するヒンジ部は展開姿勢にある荷受台30Aの下部に出張った構成であり、荷受台基端部31Aと荷受台本体部32Aの連結支点である上記第2の軸71は、荷受台30Aが展開したときに荷受台30Aの底面よりも下に位置する。このように第2の軸71を荷受台30Aの下側にオフセットさせることで、図15に示したように荷受台本体部32Aを荷受台基端部31Aと平行な姿勢に折り畳むことができるとともに、展開姿勢にある荷受台30Aの折れ曲がりを抑制することができる。すなわち、第1の軸70とピン73に前後両端が支持された展開姿勢の荷受台30Aに対して上から荷重がかかった場合、この荷重は荷受台30Aを下に凸の状態に折れ曲げる方向に作用するが、第2の軸72が荷受台30Aよりも下に位置することで、荷受台基端部31Aと荷受台本体部32Aの対向端面で第2の軸71周りのモーメントが拘束され、荷受台30Aが下に凸に折れ曲がることを抑制することができる。
このとき、荷受台本体部32Aの左右の側面は、ヒンジ部(荷受台基端部31Aと連結する前端部)を除く部分がヒンジ部から内側に段差となるように切り欠かれている。これにより、このように切り欠き部を設けることで、展開・格納時の中間形態(図14参照)のときに荷受台本体部32Aと上記ストッパ76との干渉を回避している。
上記の構成により、荷受台30Aは、展開状態(図12参照)から格納する際には荷受台基端部31A及び荷受台本体部32Aの連結部を上昇させた後(図13参照)、荷受台本体部32Aが荷受面を下に向けた姿勢に反転し(図14参照)、荷受台基端部31Aの下部に折り畳まれて格納される(図15参照)。
上記の構成及び動作を除き、本実施の形態は第1の実施の形態と同様であり、格納時には荷受台基端部31Aが荷室3の床面の一部を構成し、荷受台基端部31Aの下部の格納空間に荷受台本体部32Aが格納される。このような構成としても第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
図16−図18は本発明の第4の実施の形態に係る荷受台昇降装置の荷受台の格納動作を表す斜視図である。これらの図において既に説明した部材には既述の実施の形態と同符号を付して説明を省略する。
本実施の形態の荷受台昇降装置100Bは、第1の実施の形態においてロータユニット40やガイドプレート41及びその関連の構成部材を省略した構成に近く、荷受台30Bを展開する際(格納の場合は逆の手順)、荷受台本体部32Bを後方に引き出して荷受台本体部32Bの前端部を荷受台基端部31Bの後端部に係合させる例であり、展開時以外は荷受台基端部31Bと荷受台本体部32Bは互いに分離している。
荷受台昇降装置100Bは、荷受台基端部31Bの後端部に設けられた第1係合手段であるブラケット80と、荷受台本体部32Bの側面の前端部近傍に設けられ荷受台展開時にブラケット80と係合する第2係合手段であるピン81と、荷受台本体部32Bの側面の後端部近傍に設けたピン82と、ピン82とリンク機構10の先端側アーム14とを連結するガイドアーム83とを備えている。
ガイドアーム83の上端近傍部は、リンク機構10の先端側アーム14の上方側部分に上記のピン18を介して回動可能に連結されている。一方、ガイドアーム83の下端近傍部には長穴85が設けられており、荷受台本体部32Bのピン82を長穴85に通すことで、ガイドアーム83の下端側は荷受台本体部32Bに回動可能に連結されている。また荷受台基端部31Bは、第1及び第2の実施の形態と同様、リンク機構10の先端側アーム14と固定関係にある。
ブラケット80とピン81とは前後方向に係合するが、これらが係合しているとき(図16のように荷受台30Bが展開しているとき)、荷受台本体部32Bは、後端部をガイドアーム83によって前方のリンク機構10の先端側アーム14から吊り下げ支持されているため、第1及び第2の実施の形態と同じように、荷受台基端部31B側に付勢力を受けて勝手に外れないようになっている。但し図示しないが、例えばブラケット80のスリットの入口を上向きにし、かつ当該スリットの下端を前方に曲成し、荷受台30Bを展開し荷受台基端部31Bと荷受台本体部32Bを連結する際に、ブラケット80に上方からピン81を挿入した後、前方に少しスライドさせる構成とすることで、ピン80の上下前後への動きを拘束する係合構造とすることもできる。
本実施の形態では、例えば格納姿勢(図18参照)から荷受台30Bを展開する際には、荷受台基端部31Bの下部の格納空間に格納されている荷受台本体部32Bを手作業で後方に引き出す(図17参照)。このとき、荷受台本体部32Bは後端がガイドアーム83で支持された状態であり、前側は拘束されていない。荷受台本体部32Bを引き出したら、荷受台本体部32Bの前端のピン81を荷受台基端部31Bの後端のブラケット80に差し込み、荷受台本体部32Bを荷受台基端部31Bの後続位置に固定する(図16参照)。展開姿勢(図16参照)の荷受台本体部32Bを格納する手順はこの逆であり、荷受台本体部32Bはブラケット80とピン81の係合を解かれてガイドアーム83で後部のみが拘束された状態(図17参照)で荷受台基端部31Bの下部の格納空間に押し入れられる(図18参照)。
上記の構成及び動作を除き、本実施の形態は第1の実施の形態と同様であり、格納時には荷受台基端部31Bが荷室3の床面の一部を構成し、荷受台基端部31Bの下部の格納空間に荷受台本体部32Bが格納される。このような構成としても第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
また、手動展開式であるため、荷受台30の展開・格納に必要な駆動装置及び駆動伝達機構が省略でき、部品点数の低減、省スペース化、軽量化等の効果も得られる。
図20−図22は本発明の第5の実施の形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す図であり、図20は左側面図、図21は後面図、図22は平面図である。
図20−図22に示した車両は、車枠101の前方に設けられた運転室102、車枠101上に設けられた荷室(荷箱)103、及び荷室103内の後部に設けられた荷受台昇降装置100Cを備えている。この荷受台昇降装置100Cは、荷役(昇降)作業の支援を必要とする比較的重量の大きい荷物の積み降ろし作業時等には、荷受台(プラットフォーム)130を展開し荷室103の荷床の高さと地面の高さとの間で昇降駆動させることにより荷役作業を支援する。本実施の形態では、荷室103の後部に荷室103の開口部104とその開閉扉105とを備えているので、荷受台昇降装置100Cは荷室103の後部に荷受台130を展開することとなるが、荷室103の側部に開口部及び開閉扉がある場合には車両の側部に荷受台が展開されるように荷受台昇降装置100Cが設置される。本例の場合は荷室103の後部に展開するので、前後方向を荷受台130の奥行方向、左右方向を幅方向とする。
図23及び図24は車両に対する荷受台昇降装置100Cの取り合い構造を表す側面図で、図23は荷受台昇降装置100Cの格納時、図24は荷受台昇降装置100Cの作業時を表している。図25は格納時の荷受台昇降装置100Cの平面図、図26は後面図である。
図23−図26に示すように、荷室103の床は、車枠101上に搭載される底部のベースフレーム106と、ベースフレーム106上に前後に適当な間隔で列設された左右方向に延びる複数のビーム(不図示)と、これらビーム上に設けられた荷床108とで構成されている。ベースフレーム106の上面は後端部から距離Rまでの部分が前方に上る階段状に切り欠かれていて荷床108よりも低くなっており、このベースフレーム106の切り欠き部の上方には荷床108が存在しない。ベースフレーム106の切り欠き部の上面はカバー109で被覆してある。
図27はカバー109を抽出して表す斜視図である。
この図27に示したようにカバー109は、上段水平面109a、上段水平面109aよりも一段下がった下段水平面109b、上段水平面109aの前端から立ち上がる上段鉛直面109c、及び上下の水平面109a,109bを繋ぐ下段鉛直面109dによって、後方に下る階段状に形成されている。上段水平面109aは、車両の荷室103のベースフレーム106に対してボルト・ナット(不図示)等によって強固に固定されている。この上段水平面109aには、リンク機構110の基部ブラケット111(後述)を固定する部分の裏側に、カバー109を補強する補強部材99が固定されている。また、上下の鉛直面109c,109dは、荷室103の左右の側壁に取り付けたブラケット(不図示)に対してボルト・ナット(不図示)等によって強固に固定されている。
図23−図26において、荷受台昇降装置100Cは、荷室3内の左右両側に設けられたリンク機構110と、リンク機構110の先端部に設けられて荷床高さと地面高さの間を昇降する上記の荷受台130とを備えている。
リンク機構110は、第1の実施の形態で説明したリンク機構10と基本的に同様の構成である。すなわち、上記カバー109上段水平面109aの左右両側に配置された基部ブラケット111、左右の基部ブラケット111を連結し上面が荷床108の後端に連続するビーム111a、左右の基部ブラケット111にピン115,116を介してそれぞれ基端側が連結された基端側第1アーム112及び基端側第2アーム113、及びこれら基端側アーム112,113の先端側にピン117,118を介して基端側が連結された先端側アーム114を備えている。基端側アーム112,113が図23に示した起立姿勢と後方に回動して図24の倒伏姿勢との間で回動変位することで、先端側アーム114が上下動する。また左右のリンク機構10には、それぞれリフト駆動装置(シリンダ)120が設けられている。このリフト駆動装置120は、基端側第2アーム113におけるピン116,118の間に設けたピン121と基端側第1アーム112の先端の上記ピン117とに両端がそれぞれ連結されており、その伸縮動作に伴って基端側アーム112,113が傾動する。リフト駆動装置120は電動・油圧のいずれも適用可能である。
荷受台130は、リンク機構110の先端側アーム114の先端部に取り付けられた荷受台基端部131と、この荷受台基端部131とともに連続した荷受面を構成する荷受台本体部132とを備えている。これら荷受台基端部131及び荷受台本体部132の前後方向にとった寸法は、リンク機構110のビーム111aと合わせてベースフレーム106の後端の切り欠き部の寸法Rと同程度かそれよりも僅かに小さい程度であり、ベースフレーム106の切り欠き部に格納姿勢のビーム111a及び荷受台130が収まるようになっている。
図28は荷受台基端部131を抽出して表す側面図、図29は後面図、図30は平面図である。
図28−図30に示すように、荷受台基端部131は、荷受面を上に向けて左右に延びる板状の荷受面部133と、荷受面部133の左右の両端部に設けたブラケット部134とを備えている。
荷受台基端部131の荷受面部133は、上昇時にはリンク機構110のビーム111aの後続位置にきてビーム111aとともに荷受面が荷室103の床面の一部を構成する(図23、図25及び図26の状態)。荷受台基端部131が上昇位置にあるとき、荷受面部133と上記カバー109の下段水平面109bとの間には間隙が介在し、この間隙が荷受台本体部132の格納空間となる(図23参照)。この格納空間は、展開した荷受台130の昇降時の通過スペースと一部共用され、第1の実施の形態と同様、荷受台基端部131の前端下部の昇降時の軌跡が荷受台本体部132の格納空間と重なる。
ブラケット部134は、上下方向に延び、リンク機構110の先端側アーム114に対し当該ブラケット部134を取り付けるためのボルト136(図23等参照)を通す複数(本例では2つ)のパイプ135を備えている。先端側アーム114をパイプ135に被せてボルトの通し穴を合わせ、ボルト136を通してナット137(図23等参照)を締結することでリンク機構110の先端側アーム114に荷受台基端部131が固定される。また、ブラケット部134の後部には、荷受台本体部132を荷受台基端部131に対して格納姿勢又は展開姿勢のいずれかで選択的に拘束するロック装置138(後述)が備えられている。さらに、荷受台基端部131の後部には荷受面部133の後部を左右に貫通するようにしてロータユニット140(後述)が設けられている。
図31は荷受台本体部132を抽出して表す側面図、図32は後面図、図33は平面図である。
図31−図33に示すように、荷受台本体部132は、荷受面を上に向けて左右に延びる板状の荷受面部141aと、荷受面部141aの左右の両端部に設けたブラケット部141bと、ブラケット部141bの外壁部に設けたガイドプレート141cと、上記ロック装置138に係合するピン141d,141eとを備えている。
荷受台本体部132は、展開時には荷受台基端部131の荷受面部133に荷受面部141aを後続させ、格納時(荷受台基端部131は上昇位置にあるものとする)には荷床108の高さにある荷受台基端部131の下部の上記格納空間に移動して格納される。この荷受面部141aの後端面の車幅方向の中央部には、荷受台本体部132を展開位置に引き出す際の利便性に配慮して取っ手139が設けられている。
左右のブラケット部141bの後端部には、上方に向かってブラケット155が延設されており、このブラケット155がリンク機構110の先端側アーム114に対しロッド156(図24等参照)を介して連結されている。ロッド156の両端は先端側アーム114及びブラケット155に対して回動可能に連結されている。
図34はガイドプレート141cを車両左側から見た図である。
この図に示したように、ガイドプレート141cは、ロータユニット140を案内するスリット142を左右方向に開口させている。スリット142の内周面のうち、上側及び前側はギア状に加工され、ラックギア148を形成している。このラックギア148は、前後方向に延びる直線部143と、この直線部143の前端部から下方に折り返す円弧部144とを有し、「J」字状に形成されている。直線部143の長さは荷受台本体部132の荷受面部141aの前後方向の寸法程度であり、円弧部144は半円を描くように形成されている。このラックギア148には、前述した荷受台基端部131のロータユニット140が噛合する。
ロータユニット140は、両ガイドプレート141cのスリット142に通されラックギア148に噛合するギア147と、両ギア147を連結する軸146と、荷受台基端部131のブラケット部134に圧入されて軸146を回転自在に支持するベアリング(不図示)とを有している。軸146は荷受台基端部131を左右方向に貫通し、両端部が上記スリット142を通ってガイドプレート141cよりも外側に突出している。ギア147は軸146の両端部に固定的に取り付けられてラックギア148に噛合している。このギア147は、スリット142内でラックギア148に噛合して外れない程度の大きさを有する。
図35は前述したロック装置138の詳細構造を表す図である。
図35に示したように、ロック装置138は、荷受台基端部131のブラケット部134の後端部に回動自在に設けたフック150と、ブラケット部134の後端部のフック150よりも上方に回動自在に設けたブラケット151と、両端がフック150とブラケット151に回動自在に連結されたリンク152と、ブラケット151に取り付けたレバー153とを備えている。すなわち、レバー153を前後に回動操作すると、ブラケット151、リンク152を介してフック150が上下する構成であり、荷受台基端部131のブラケット部134の後端下部に後方に開口した凹部154に荷受台本体部132のピン141d又は141eが収まったときにフック150を下ろすことで、フック150でピン141d又は141eが拘束され、荷受台本体部132が荷受台基端部131に対して拘束される。フック150でピン141dが拘束されたとき荷受台本体部132が格納姿勢で固定され、ピン141eが拘束されたとき荷受台本体部132が展開姿勢で固定される。荷受台本体部132の姿勢を移行する場合は、フック150を上げてピン141d又は141eの拘束を解く。
次に上記構成の荷受台昇降装置100Cの動作及び作用効果を説明する。
荷受台昇降装置100Cの使用を開始する場合、レバー153を前方に倒して荷受台本体部132の拘束を解き、取っ手139を握って格納位置にある荷受台本体部132(図23)を後方に引き出す。そして、荷受台本体部132が荷受台基端部131の後続位置に来たら、レバー153を後方に引いて荷受台基端部131に対して荷受台本体部132を展開姿勢で固定する。荷受台130を格納する際は、荷受台基端部131が荷床高さにあるときに上記と逆の手順を行い、荷室103の開閉扉105を閉めて荷受台昇降装置100C全体を荷室103内に収容する。
荷役作業を行う場合、荷受台130の展開後、図示しない操作装置で所定の操作を行うと、リンク機構110に設けたリフト駆動装置120が縮み、荷受台130が荷床108の高さから地面の高さまで下降する(図24参照)。荷受台130を上昇させる場合には、操作部で所定の操作を行ってリフト駆動装置120を伸長させる。この際、リンク機構110の水平リンク機構によって、荷受台130はほぼ水平の姿勢を保って荷床108の高さと地面の高さとの間で昇降する。
以上、本実施の形態でも荷受台130を前後に分割し、前半部の荷受台基端部131の下部に荷受台本体部132を格納する構成としたので、第1の実施の形態と同様、格納時には荷受台基端部131のみが荷室103の床面の一部をなす。したがって、車両の床面108と荷受台130との良好な連続性を確保することができる。また、展開時には荷受台本体部132が収容されていた空間が空になり、この空間を荷受台130が通過することができる。この構成により、荷受台昇降装置100Cの前後寸法を、例えば中型以下の比較的小型の車両のリアオーバーハング内の寸法に収める上でも極めて有利である。よって、車両後輪の車軸の跳ね上がり代を考慮して荷室103の床面を嵩上げする必要もなく、荷室103の容量を確保する上でも有利である。また、格納時には荷受台基端部131が荷室103の床面の一部となっているので不使用時にも邪魔にならず、荷受台昇降装置100Cを使用しない荷役作業に支障を来たすこともない。
また、格納姿勢で荷室103の開閉扉105を閉めれば荷受台昇降装置100Cが荷室103の壁面及び開閉扉105で周囲をカバーされた状態となるので、汚れや車外の障害物との衝突から保護され、メンテナンスに要する労力も軽減される。さらに、荷受台昇降装置100Cを使用せずに軽量な荷物を取り扱うような場合には、左右の開閉扉105のうち1枚を開くだけで荷役作業を行うこともできるので、作業効率が良い。
加えて、本実施の形態においては、ロック装置138を設けたことにより、荷受台基端部131及び荷受台本体部132をより万全に固定することができる。また、ロック装置138は荷受台本体部132が格納姿勢にあるときにはピン141dを、展開姿勢にあるときにはピン141eを拘束する。すなわち、1つのロック装置138で、格納姿勢用のロック装置と展開姿勢用のロック装置を兼ねるので、格納姿勢用と展開姿勢用のロック装置を別々に設ける場合に比べて部品点数を抑えることができ、製造コストも抑えられる。なお、単に荷受台基端部131に対して荷受台本体部132を固定する上では、荷受台基端部131の下部に収容された姿勢で荷受台基端部131に対して荷受台本体部132を固定する第1ロック装置と、荷受台基端部131の後方側に展開された姿勢で荷受台基端部131に対して荷受台本体部132を固定する第2ロック装置とを別々に設ける構成とすることもできる。
さらには、荷受台昇降装置100Cを支えるカバー109を図27のように構成し、リンク機構110の基部ブラケット111を固定した上段水平面109aの前後の鉛直面109c,109dを車両の荷室103の側壁に固定している。すなわち、荷物の積み降ろし作業時には、荷受台昇降装置100C及び荷受台130の荷物の重量に起因してリンク機構110の基部を原点として車幅方向に軸をとったモーメントが発生し、それに伴い基部ブラケット111の取付部の前後に上下方向の力(図27中の矢印参照)がかかるが、当該軸周り(本例では基部ブラケット111の前後)に荷室108の側壁との連結部(本例では鉛直面109c,109d)を設けたことにより、上記の力を荷室103の側壁で効率的に支持することができる。なお、本例では上下段の鉛直面109c,109dの双方を荷室103の側壁に連結したが、いずれかで足りる場合は一方のみを連結すれば良い。
また、本例では上下段の水平面109a,109bを荷室103の側壁に連結していないが、カバー109をより強固に固定するためには、上下段の鉛直面109c,109dと同様に荷室103の左右の側壁にブラケットを取り付け、それに対して上下段の水平面109a,109bをボルト・ナット等によって固定しても良い。
図36−図41は本発明の第6の実施の形態に係る荷受台昇降装置の斜視図である。図36、図38、図40はそれぞれ展開姿勢、中間姿勢、格納姿勢の全体図を表しており、図37、図39、図41は各姿勢時の本実施の形態の要部拡大図を表している。これら図36−図41ではリンク機構110の手前側の先端側アーム114の手前側のカバーを取り外した状態を図示している。
本実施の形態は、第3の実施の形態と同じく、荷受台本体部132Dを荷受台基端部131Dの後端部に回動可能に連結して荷受台基端部131Dの下部に折り畳む構成例であるが、特に荷受台130Dの展開姿勢を保持するストッパ構造が第3の実施の形態と異なる。
本実施の形態の荷受台昇降装置100Dは、荷受台基端部131Dと、荷受台本体部132Dと、荷受台基端部131Dの前方側部分及びリンク機構110の先端側アーム114の先端部を回動可能に連結する軸(第1の軸)170と、荷受台基端部131Dと荷受台本体部132Dの対向端部を連結するダブルヒンジ171と、リンク機構110の先端側アーム114と荷受台本体部132Dの後方側部分にそれぞれピン172,173を介して両端が回動可能に連結されたガイドアーム175とを備えている。
ガイドアーム175は、リンク機構110の先端側アーム114にピン172を介して連結されたロッド部175aと、荷受台本体部132Dの後方側部分にピン173を介して連結されたブラケット部175bと、これらロッド部175a及びブラケット部175bを回動可能に連結するピン174とを備えている。
また、上記軸170を介してリンク機構110の先端側アーム114に対して回動可能に連結された荷受台基端部131Dの回動範囲の下限を制限するとともに、展開時又は格納時の荷受台基端部131Dの水平姿勢を保持する目的で、先端側アーム114の軸170より上方でかつ前方の位置にはストッパボルト176が固定されている。ストッパボルト176は先端側アーム114に固定したブロック176aに対して上下方向に進退可能である。このとき、本実施の形態において、上記の軸170は、先端側アーム114に対して固定されている。そして、先端側アーム114を構成する左右のカバーの間に位置するように、軸170に対して上記ストッパボルト176の相手部材であるブラケット177が回転摺動する。このブラケット177は、軸170を介して荷受台基端部131Dと連結され、荷受台基端部131Dと一体になって回動し、展開時及び格納時に荷受台基端部131Dが水平の姿勢にあるとき上記ストッパボルト176の下面に当接する。これにより荷受台基端部131Dの回動範囲の下限が制限され、外力を受けても荷受台基端部131Dが後方に向かって下る方向には傾斜しないように配慮されている。
また、上記ダブルヒンジ171は、荷受台基端部131D及び荷受台本体部132Dの対向端部にそれぞれ両端が回動可能に連結されており、こうした二重関節構造によって、荷受台本体部132Dが展開姿勢から荷受台基端部131Dの下部に180度折り畳まれた格納姿勢に移行可能な構成となっている。このダブルヒンジ171の両端の回動支点が第3の実施の形態の第2の軸に相当する。このとき、荷受台本体部132Dの前部にはストッパ178が前方(展開時の前方)に突出して設けられており、荷受台本体部132Dが展開姿勢に移行した場合には、このストッパ178が荷受台基端部131Dの上面に当接する。これにより、展開時に荷受台基端部131Dと荷受台本体部132Dの連結部が下に凸の状態に折れ曲がらないように配慮されている。
上記の構成により、荷受台130Dは、展開姿勢(図36及び図37)から格納姿勢(図40及び図41)に移行する際には、図38及び図39に示した中間姿勢の如く、荷受台基端部131D及び荷受台本体部132Dの連結部が持ち上がり、荷受台本体部132Dが荷受面を下に向けた姿勢に反転し、荷受台基端部131Dの下部に折り畳まれて格納される(図40及び図41)。このとき、展開姿勢と格納姿勢とではガイドアーム175の両端のピン172,173の距離が変化するが、本実施の形態ではガイドアーム175を屈曲構造としたことによってピン172,173の距離の変化が吸収される。
なお、上記ブラケット177は、軸170よりも後方の部分が先端側アーム114からバネ179によって上方に付勢されており、展開姿勢から格納姿勢に移行する際には、バネ179の復元力が荷受台基端部131Dを起こす力に加わって荷受台130Dを展開姿勢から中間姿勢に移行させる際のアシストとなる。また、中間姿勢から格納姿勢に移行する際には、バネ179が荷受台基端部131Dの倒伏動作に抵抗し、これがダンパーの役割を果たす。格納姿勢から展開姿勢に移行する際も同様である。
本実施の形態においても、基本的に第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態においては、ストッパボルト176に当接する相手部材として、専用にブラケット177を荷受台基端部131Dに設けたが、ストッパボルト176が荷受台基端部131Dの一部に当接する構成としても良い。
以上の各実施の形態で説明した各部構成は、適宜選択して任意に組み合わせ可能である。