図1〜図16は、本発明の静電吸着部材清掃装置及び静電吸着部材清掃方法の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の静電吸着部材清掃装置及び静電吸着部材清掃方法の一実施例を適用したインクジェットプリンタ1の概略構成図である。
図1において、インクジェットプリンタ1は、給紙機構部2、画像形成部3、清掃機構部4及び排紙機構部5等を備えている。
給紙機構部2は、給紙トレイ21、図示しない給紙ローラ及び搬送ローラ22等を備えており、給紙トレイ21内には、複数枚の用紙等の記録媒体Pが収納される。給紙機構部2は、給紙ローラで給紙トレイ21内の記録媒体Pを1枚ずつ分離して送り出し、給紙トレイ21から送り出された記録媒体Pを搬送ローラ22によって画像形成部3に搬送する。
画像形成部3は、一対のローラ31、32に張り渡された無端状の静電吸着ベルト(静電吸着部材)33及びガイドシャフト34(図3参照)に支持されたキャリッジ(走行体)35等を備えており、静電吸着ベルト33の周囲には、静電吸着ベルト33に電荷を付与する帯電ローラ(図示略)、静電吸着ベルト33を除電するための除電ブラシ(図示略)及び後述する清掃機構部(静電吸着部材清掃装置)4が、それぞれ静電吸着ベルト33の外周面(記録媒体Pを吸着する記録媒体吸着面)に近接する状態または接触する状態で配設されている。ローラ31、32は、主走査方向(図1に矢印で示すベルト回転方向と直交する方向)に最大幅の記録媒体Pよりも長く延在する方向に配設されており、図示しないベルト駆動モータ(吸着部材駆動手段)によって回転駆動されて、静電吸着ベルト33をベルト回転方向(図1の反時計方向)に回転駆動させる。静電吸着ベルト33は、主走査方向に最大記録媒体幅サイズ以上の幅を有する無端ベルト状に形成されており、記録媒体Pを静電吸着するための絶縁層が形成されていて、さらに、表面に光触媒が所定の厚さでコーティングされている。静電吸着ベルト33の表面にコーティングされている光触媒は、静電吸着ベルト33の部材、絶縁層の厚さ及び印加電圧とのバランスでその厚さが設定されている。すなわち、静電吸着ベルト33に帯電ローラによって電圧をかけた場合、同じ電圧であっても絶縁層の厚さが薄い方が、静電吸着ベルト33の表面の電位を大きくして記録媒体Pと静電吸着ベルト33との間の吸着力を上げることができるが、絶縁層の厚さが薄いと、帯電ローラによって印加する電圧の値によっては静電吸着ベルト33の表面の絶縁層が破壊される。この絶縁層の絶縁破壊電圧の値は、静電吸着ベルト33の材料により異なるが、絶縁破壊電圧は絶縁層の厚みの0.65乗に比例することが一般に知られている。例えば、絶縁層100μmのときに12kVで絶縁破壊をおこす絶縁材料を用いた場合、4.2kVの電圧を印加した場合の絶縁破壊電圧に至る絶縁層の厚みは、20μmとなる。静電吸着ベルト33の材料として、この材料を使用した場合、実使用上は環境や材料のバラツキ、時間的な劣化を想定して、絶縁層と光触媒層を合わせた厚みは、その倍の40μmであることが計算上望ましいが、上記条件で実験を行ったところ、40μmの厚みであれば、絶縁層の破壊は発生せず、また、十分な吸着力を得ることができることを確認することができた。
キャリッジ35は、記録媒体Pの搬送方向と直交する主走査方向に延在して配設されたガイドシャフト34(図3参照)に支持されており、図示しないキャリッジ駆動モータにより、ガイドシャフト34に沿って主走査方向に移動される。キャリッジ35は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)及びK(ブラック)の各色のインクヘッドと該各色のインクヘッドに各色のインクを供給するインクカートリッジ等を搭載しており、各色のインクヘッドには、静電吸着ベルト33によって搬送される記録媒体Pにインクを吐出するノズルが設けられている。
画像形成部3は、ローラ31、32に張り渡された静電吸着ベルト33をベルト駆動モータによって回転駆動させて、給紙機構部2から搬送されてきた記録媒体Pを、回転駆動される静電吸着ベルト33に吸着させて副走査方向に搬送しつつ、キャリッジ駆動モータによってキャリッジ35を主走査方向に移動させ、キャリッジ35の搭載する各色のインクヘッドのノズルからインクを該記録媒体Pに吐出して、記録媒体Pにカラーの画像を形成する。
そして、画像形成装置3は、図示しないが、静電吸着ベルト33の回転量(例えば、回転数)を検出するベルト回転量センサ、キャリッジ35の主走査方向の移動量を検出するキャリッジ移動量センサ等のセンサが設けられている。ベルト回転量センサは、例えば、静電吸着ベルト33に所定間隔で形成されたリニアスケールと該リニアスケールを検出する反射型または透過型の光センサ等やベルト駆動モータの回転を検出するエンコーダ等が用いられ、キャリッジ移動量センサは、例えば、キャリッジ駆動モータの回転量を検出するエンコーダやキャリッジ35の移動位置を検出する光センサ等が用いられる。
排紙機構部5は、排紙ローラ51及び図示しない排紙トレイ等を備えており、画像形成部3で画像形成された記録媒体Pが静電吸着ベルト33によって搬送指されてくると、該画像の形成された記録媒体Pを排紙トレイ上に排出する。
清掃機構部4は、汚れ検出部41、光照射部42、水分付与部43及び清掃部44等を備えており、静電吸着ベルト33に付着したインクを清掃する。汚れ検出部(汚れ検出手段)41は、静電吸着ベルト33の記録媒体Pの付着される面(表面:記録媒体吸着面)に検出光を投射する光源と記録媒体Pからの該検出光の反射光を受光するフォトセンサ等からなる汚れセンサを備えており、静電吸着ベルト33の表面に付着しているインク等の汚れの有無を検出する。この汚れ検出部41の汚れセンサは、例えば、フォトセンサ等の主走査方向に所定の短い長さで汚れを検出する場合、例えば、図2に示すように、静電吸着ベルト33の主走査方向に複数(図2では、5個)の汚れセンサ41a〜41eを配設し、静電吸着ベルト33の主走査方向における所定間隔毎の汚れの有無を検出するようにしてもよい。また、汚れ検出部41は、静電吸着ベルト33の主走査方向幅にわたってライン状に汚れを検出するライン汚れセンサで静電吸着ベルト33の汚れを検出してもよい。さらに、汚れ検出部41は、図3に示すように、キャリッジ35に汚れセンサ41pを取り付け、キャリッジ35をガイドシャフト34に沿って移動させて主走査方向の所定検出位置(図3では、検出位置Ka、Kb、Kc等)で汚れセンサ41pによって静電吸着ベルト33の汚れを検出するようにしてもよい。
上記光照射部(光照射手段)42は、図4に示すように、紫外光(活性光)を発光する光源42aと反射板42b等を備えており、光源42aは、例えば、静電吸着ベルト33にコーティングされている光触媒を活性化させる波長(例えば、365nm程度の波長)の光(活性光)を発光する。光照射部42は、光源42aの発光した光を直接静電吸着ベルト33に照射するとともに、反射板42bで反射させて静電吸着ベルト33に照射する。なお、光源42aとしては、上述のように、静電吸着ベルト33の光触媒を活性化させる365nm程度の波長の光を発光するものを用いるが、光触媒も、400nm〜600nm等の可視光において反応する光触媒もあるため、実際に静電吸着ベルト33の表面にコーティングされている光触媒の種類に応じた波長を発光する光源を使用する。光照射部42は、静電吸着ベルト33に光照射することで、静電吸着ベルト33にコーティングされている光触媒を活性化させて、親水性を向上させ、静電吸着ベルト33の表面を超親水性状態とする。
上記水分付与部(水分付与手段)43は、静電吸着ベルト33の表面に水分を供給する機能を有しており、例えば、図5に示すように、水43aを貯留する水貯留部43b、静電吸着ベルト33に離接可能に配設されている水分付与部材43c及び図示しない部材移動部(水分付与部材移動機構部)等を備えている。水分付与部材43cは、親水性樹脂等が用いられ、水貯留部43bに貯留されている水43aを毛細血管現象により水分付与部材43cの全体に吸い上げる。水分付与部43は、水分供給タイミングに、部材移動部が駆動されて水分付与部材43cを静電吸着ベルト33に接触させ、水分付与部材43cに水43aを供給して静電吸着ベルト33の表面を濡らす。
なお、水分付与部43は、図6に示すように、水43aを水貯留部43bに自動補給する水補給機能部43dを備えていてもよい。水補給機能部(水補給手段)43dは、ペルチェ素子43eとフィン43fを備えており、フィン43fは、ペルチェ素子43eのN→P接合部分に取り付けられている。ペルチェ素子43eは、そのPN接合部に電流が流れると、N→P接合部分では吸熱現象が、P→N接合部分では放熱現象が発生し、N→P接合部分の吸熱現象により、該N→P接合部分に取り付けられているフィン43fの温度が下がって、フィン43fの周辺の温度が下がる。その結果、結露による水がフィン43f上に付着し、フィン43fに付着した水が、水自身の自重で水貯留部43b内に落下して、水貯留部43b内に水43aが溜まる。
また、水分付与部43としては、上述のように、水分を含んだ水分付与部材43cを静電吸着ベルト33に接触させて静電吸着ベルト33に水分を供給する構成に限るものではなく、例えば、水貯留部43b内に超音波振動子を設置し、水分供給タイミングに、該超音波振動子を稼動させて、水貯留部43b内の水43aを気化させて静電吸着ベルト33の表面に付着させる構成であってもよい。また、水分付与部43の他の構成としては、例えば、水貯留部43bまたは水貯留部43b内の水43aをヒータ等で加熱して水蒸気は発生させ、水蒸気を静電吸着ベルト33の表面に付着させる構成であってもよい。
また、水分付与部43は、例えば、図7に示すように、キャリッジ35に少なくとも水分供給ヘッド43gが搭載されていて、水分供給タイミングに、静電吸着ベルト33の幅方向に移動されるキャリッジ35に搭載される該水分供給ヘッド43gから静電吸着ベルト33の表面に直接水分を吐出する構成であってもよい。この水分供給ヘッド43gは、例えば、上記超音波振動子等を用いて水分を噴射させる構造とすることができ、図7に示す水分供給幅Hで静電吸着ベルト33の表面に水分を供給する。
そして、このような水分付与部43から静電吸着ベルト33に供給される水分は、静電吸着ベルト33が、先に、光照射部42から光照射されて親水性が向上されているので、静電吸着ベルト33の表面全面に広がるとともに、光触媒が超親水状態となっているため、インク等の汚れと静電吸着ベルト33の表面との間に水が入り込んで、汚れを浮き上がらせた状態とする。
上記清掃部(清掃手段)44は、静電吸着ベルト33の表面に付着したインクを清掃するものであり、例えば、図8に示すように、静電吸着ベルト33に離接可能に配設されている清掃部材44a、清掃部材クリーニング部材44b及び図示しない清掃部材移動部等を備えている。
清掃部材44aは、静電吸着ベルト33の表面のインク汚れが水により浮き上がっており、インク等の汚れの除去に必要な力が少ないため、柔軟性を有し静電吸着ベルト33に密着して汚れを除去するとともに水分を吸収しない部材、例えば、ゴムやその他の樹脂等を用いることができ、特に、車のワイパーゴムのように柔軟性を有し静電吸着ベルト33の表面にソフトに密着してゴミを除去するとともに、水分を吸収しない材料が好適である。清掃部材移動部(清掃部材移行機構部)は、清掃部材44aが連結されているソレノイド等が用いられており、清掃部材44aを清掃時にのみ静電吸着ベルト33方向に移動させて該静電吸着ベルト33に密接させ、非清掃時には、静電吸着ベルト33から引き離す。清掃部材クリーニング部材44bは、清掃部材44aの周囲に密接して、清掃部材44aが清掃部材移動部によって移動される際に、該清掃部材44aに付着している静電吸着ベルト33から除去したインク汚れ等の汚れを除去する。
そして、インクジェットプリンタ1は、図9に示すようにブロック構成されており、上記給紙機構部2、画像形成部3、清掃機構部4、排紙機構部5を備えているとともに、CPU(Central Processing Unit )6、ROM(Read Only Memory)7、RAM(Random Access Memory)8、I/F9及び図示しない操作表示部等を備えていて、各部はバス10によって接続されている。
ROM7は、インクジェットプリンタ1としての基本プログラムや後述する本発明の搬送部材清掃方法をコンピュータに実行させる搬送部材清掃処理プログラム及び必要な基本データが格納されており、CPU6がROM7内のプログラムに基づいて、RAM8をワークメモリとして利用して、インクジェットプリンタ1の各部を制御して、インクジェットプリンタ1としての基本処理を及び搬送部材清掃処理を実行する。
すなわち、インクジェットプリンタ1は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Video Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の搬送部材清掃方法を実行する清掃制御プログラムを読み込んでROM7や図示しないハードディスク等に導入することで、後述する静電吸着ベルト33を効率的にかつ適切に清掃する搬送部材清掃方法を実行するインクジェットプリンタ1として構築されている。この清掃制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
I/F9には、図示しないコンピュータ等のインクジェットプリンタ1に印刷データを転送して画像形成させるホスト装置が、ネットワークを介してまたはケーブルによって直接接続され、I/F9は、該ホスト装置との間で画像形成処理に必要な制御信号及びデータの授受を行う。
操作表示部は、インクジェットプリンタ1を操作するのに必要な各種キーを備えるとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)やLED(Light Emitting Diode)等のランプを備え、操作キーからは、インクジェットプリンタ1を利用したプリント処理に必要な各種操作や後述するように静電吸着ベルト33の清掃処理での各種操作が行われ、ディスプレイには、操作キーから入力された命令内容やインクジェットプリンタ1からオペレータに通知する各種情報、特に、静電吸着ベルト33の搬送部材清掃処理による異常通知が表示される。上記I/F9及び操作表示部は、静電吸着ベルト33が適切に行われなかった旨の警告を通知する警告手段として機能する。
次に、本実施例の作用を説明する。本実施例のインクジェットプリンタ1は、その清掃機構部4が、画像形成時の記録媒体Pの搬送を行う静電吸着ベルト33に付着したインク等の汚れを確実かつ効率的に除去する。
すなわち、インクジェットプリンタ1は、画像形成時、給紙機構部2から画像形成部3に搬送した記録媒体Pを、副走査方向であるベルト回転方向に回転駆動される静電吸着ベルト33に吸着させて副走査方向に搬送しつつ、キャリッジ35を主走査方向に移動させながら、キャリッジ35の搭載している各色のインクヘッドのノズルからインク滴を記録媒体Pに向かって噴射させて、記録媒体Pに画像を形成する。インクジェットプリンタ1は、画像形成の完了した記録媒体Pを排紙ローラによって排紙トレイ上に排出・載置する。
インクジェットプリンタ1は、この画像形成時に、ノズルから噴射されたインク滴の一部が記録媒体P上の意図した位置には着弾せずに、ミストとしてインクヘッド近傍に飛散して、静電吸着ベルト33に付着する。静電吸着ベルト33は、その表面にインク等の汚れが付着すると、静電吸着ベルト33の表面の電位が低下して、記録媒体Pの静電吸着ベルト33への吸着性が弱くなり、記録媒体Pの搬送性が低下して、形成画像の画像品質が低下したり、記録媒体Pのジャムが発生するおそれがある。
そこで、インクジェットプリンタ1は、図10に示すように、清掃機構部4によって静電吸着ベルト33の表面の汚れを検出して、汚れ程度に応じて静電吸着ベルト33を清掃するベルト清掃基本制御処理(搬送部材清掃基本制御処理)を行う。すなわち、インクジェットプリンタ1は、図10に示すように、所定タイミング、例えば、インクジェットプリンタ1の電源が投入されたタイミング、記録媒体Pのジャム発生後の復帰動作タイミング等の画像形成中ではない任意のタイミングに、CPU7が、内部に備えているベルト清掃カウンタをクリアし、静電吸着ベルト33の汚れを検出するために、ベルト駆動モータを回転駆動させて、静電吸着ベルト33の回転を開始し(ステップS101)、ベルト清掃カウンタのカウンタ値が予め設定されている所定値Kaよりも小さいかチェックする(ステップS102)。なお、画像形成中でないタイミングに静電吸着ベルト33の汚れの検出を行うのは、画像形成の生産性を落とすことなく、汚れの検出を行うためである。ここで、ベルト清掃カウンタは、静電吸着ベルト33の清掃回数をカウント(清掃シーケンスを1回りする毎にカウント)するカウンタであり、具体的には、静電吸着ベルト33が1回転する毎にカウントアップされる。所定値Kaは、異常通知を行うまでに、静電吸着ベルト33を清掃のために何回回転させたかを示す値である。所定値Kaとしては、静電吸着ベルト33またはインクジェットプリンタ1が新品のときには、静電吸着ベルト33の汚れが少なくまた少ない清掃回数で汚れを除去できるため、「1」が設定されるが、静電吸着ベルト33やインクジェットプリンタ1の2年、3年等の経年使用に応じて汚れる頻度も増え、また、複数回の清掃処理によって除去できる汚れが付着する機会も増えるため、サービスマンが使用されるマシンの状況に応じて任意に変更できることが望ましい。
ステップS102で、ベルト清掃カウンタのカウンタ値が所定値Kaよりも小さいと、CPU7は、静電吸着ベルト33の表面が汚れているか否かを汚れ検出部41の検出結果に基づいて判別する(ステップS103)。CPU7は、この静電吸着ベルト33の汚れの有無を、汚れ検出部41の汚れセンサからの検出信号に基づいて行うが、詳細については、後で説明する。
ステップS103で、静電吸着ベルト33の表面が汚れていると、CPU7は、光照射部42の光源を点灯させて、静電吸着ベルト33の表面に紫外線を照射する(ステップS104)。本実施例のインクジェットプリンタ1の静電吸着ベルト33は、その表面に、光触媒がコーティングされており、光触媒は、紫外線が照射されることで、活性化して、静電吸着ベルト33の表面が、超親水状態となる。
次に、CPU7は、水分付与部43を駆動させて静電吸着ベルト33に水分を供給し、静電吸着ベルト33の表面をぬらして汚れを浮き上がらせる(ステップS105)。すなわち、静電吸着ベルト33の表面は、光触媒が紫外線照射によって活性化して、超親水状態となっているため、水分付与部43から供給された水分は、静電吸着ベルト33の表面全体に一様に広がり、また、一様に広がった水分が、静電吸着ベルト33の光触媒層との結びつきが強く、インク等の汚れと静電吸着ベルト33の表面との間に入り込んで、静電吸着ベルト33に付着しているインク等の汚れを浮き上がらせる。
次に、CPU7は、清掃部44の清掃部材移動部を駆動させて清掃部材44aにより、該浮き上がった静電吸着ベルト33のインク等の汚れを清掃させ(ステップS106)、ベルト清掃カウンタをインクリメント(「+1」)して(ステップS107)、ステップS102に戻る。CPU7は、ステップS102に戻ると、ベルト清掃カウンタが所定値Kaよりも小さいかチェックして(ステップS102)、ベルト清掃カウンタが所定値Kaよりも小さいと、上記同様に、清掃機構部4による静電吸着ベルト33の汚れの検出から汚れの清掃を順次行う(ステップS103〜S107)。
ステップS103で、静電吸着ベルト33の表面が汚れていないと判定すると、CPU7は、静電吸着ベルト33の回転を停止させて、搬送部材清掃処理を終了する(ステップS108)。
ステップS102で、ベルト清掃カウンタが所定値Ka以上になると、CPU7は、静電吸着ベルト33の清掃を所定回数Kだけ実行しても清浄な状態にならなかったと判断して、静電吸着ベルト33の回転を停止させ(ステップS109)、操作表示部のディスプレイに静電吸着ベルト33が汚れておりサービスマン等への清掃の依頼等の対応処理が必要である旨の警告通知を行ったり、I/F9を介して所定のホスト装置への警告通知を送信する等の方法によって異常告知を行い、搬送部材清掃処理を終了する(ステップS110)。
そして、インクジェットプリンタ1は、汚れ検出部41の汚れセンサが、図2に示したように、主走査方向(静電吸着ベルト33の幅方向)に複数(図2では、4つ)の汚れセンサ41a〜41eが配設されているときには、ステップS103における静電吸着ベルト33の汚れ検出処理を、図11に示すように行う。すなわち、CPU7は、汚れ検出において、まず、静電吸着ベルト33の回転量をカウントするベルト回転カウンタを一旦クリアした後(ステップS201)、該ベルト回転カウンタカウントアップを開始して(ステップS202)、汚れ検出部41の各汚れセンサ41a〜41eの値の読み取りを開始し(ステップS203)、ベルト回転カウンタのカウント値が予め設定されている汚れ判定回転量Kbよりも大きいかチェックする(ステップS204)。このベルト回転カウンタは、静電吸着ベルト33の回転移動量をカウントするCPU7に内蔵されているカウンタであり、例えば、静電吸着ベルト33の駆動モータの回転量を検出するエンコーダ等の回転センサの検出信号に基づいて、静電吸着ベルト33の回転量としてカウントする。なお、ベルト回転カウンタは、該回転センサの検出信号をカウントして静電吸着ベルト33の移動量をカウントするものに限らず、例えば、静電吸着ベルト33を回転駆動させるベルト駆動モータの回転数は予め分かっているため、ベルト回転カウンタとして、該ベルト駆動モータの回転時間をカウントして、該回転時間から静電吸着ベルト33の移動量を算出するようにしてもよい。汚れ判定回転量Kbは、静電吸着ベルト33の表面のインク等の汚れを汚れセンサ41a〜41eの検出結果で判定するために、汚れセンサ41a〜41eによって連続して静電吸着ベルト33の状態を検出する静電吸着ベルト33の回転量であり、少なくとも静電吸着ベルト33が1回転する回転量のカウント値が設定されて、予めROM7等に格納されている。
CPU7は、ステップS204で、ベルト回転カウンタのカウント値が汚れ判定回転量Kbになるのを待って、各汚れセンサ41a〜41eの検出値の読み取りを終了し、汚れ判定回転量Kbだけ静電吸着ベルト33が回転している間に各汚れセンサ41a〜41eが検出した検出値の平均値(平均検出値)を算出する(ステップS205)。
CPU7は、複数の汚れセンサ41a〜41eの平均検出値のうち、いずれかの汚れセンサ41a〜41eの平均検出値が予め設定されている汚れ基準値Vを越えているかチェックし(ステップS206)、いずれかの汚れセンサ41a〜41eの平均検出値が汚れ基準値Vを越えていると、静電吸着ベルト33の表面にインク等による汚れがあると判定する(ステップS207)。また、ステップS206で、いずれの汚れセンサ41a〜41eの平均検出値も汚れ基準値Vを越えていないときには、CPU7は、静電吸着ベルト33の表面は汚れていないと判定する(ステップS208)。
なお、インクジェットプリンタ1は、汚れ検出部41の汚れセンサが、図3に示したように、キャリッジ35に搭載されているときには、ステップS103における静電吸着ベルト33の汚れ検出処理を、図12に示すように、図3の複数の検出位置Pa〜Pcにおいて所定測定範囲の汚れを、該キャリッジ35に搭載されている汚れセンサ41pによって検出することで行う。
すなわち、CPU7は、キャリッジ駆動モータを駆動させて、キャリッジ35を、静電吸着ベルト33の幅方向で最初の検出位置Paに移動させ(ステップS301)、ベルト回転カウンタをクリアした後(ステップS302)、汚れセンサ41pによる汚れ検出を開始する(ステップS303)。CPU7は、静電吸着ベルト33の回転を開始して(ステップS304)、ベルト回転カウンタのカウントアップを開始する(ステップS305)。CPU7は、ベルト回転カウンタのカウント値が汚れ判定回転量Kbになるのを待って(ステップS306)、汚れセンサ41pの検出値の読み取りを終了し、汚れ判定回転量Kbだけ静電吸着ベルト33が回転している間に汚れセンサ41pが検出した検出値の平均値(平均検出値)を算出する(ステップS307)。
CPU7は、汚れセンサ41pの平均検出値が予め設定されている汚れ基準値Vを越えているかチェックし(ステップS308)、汚れセンサ41pの平均検出値が汚れ基準値Vを越えていると、静電吸着ベルト33の表面にインク等による汚れがあると判定する(ステップS309)。また、ステップS308で、汚れセンサ41pの平均検出値が汚れ基準値Vを越えていないときには、CPU7は、キャリッジ35を静電吸着ベルト33の幅方向で次の検出位置Pbに移動させ(ステップS310)、該検出位置Pbで、上記同様に汚れ検出を行う。すなわち、CPU7は、ベルト回転カウンタをクリアした後(ステップS311)、汚れセンサ41pによる汚れ検出を開始する(ステップS312)。CPU7は、静電吸着ベルト33の回転を開始して(ステップS313)、ベルト回転カウンタのカウントアップを開始する(ステップS314)。CPU7は、ベルト回転カウンタのカウント値が汚れ判定回転量Kbになるのを待って(ステップS315)、汚れセンサ41pの検出値の読み取りを終了し、汚れ判定回転量Kbだけ静電吸着ベルト33が回転している間に汚れセンサ41pが検出した検出値の平均値(平均検出値)を算出する(ステップS316)。
CPU7は、汚れセンサ41pの平均検出値が予め設定されている汚れ基準値Vを越えているかチェックし(ステップS317)、汚れセンサ41pの平均検出値が汚れ基準値Vを越えていると、静電吸着ベルト33の表面にインク等による汚れがあると判定する(ステップS309)。
ステップS317で、汚れセンサ41pの平均検出値が汚れ基準値Vを越えていないときには、CPU7は、キャリッジ35を静電吸着ベルト33の幅方向で次の検出位置Pbに移動させ(ステップS318)、該検出位置Pbで、上記同様に汚れ検出を行う。すなわち、CPU7は、ベルト回転カウンタをクリアした後(ステップS319)、汚れセンサ41pによる汚れ検出を開始する(ステップS320)。CPU7は、静電吸着ベルト33の回転を開始して(ステップS321)、ベルト回転カウンタのカウントアップを開始する(ステップS322)。CPU7は、ベルト回転カウンタのカウント値が汚れ判定回転量Kbになるのを待って(ステップS323)、汚れセンサ41pの検出値の読み取りを終了し、汚れ判定回転量Kbだけ静電吸着ベルト33が回転している間に汚れセンサ41pが検出した検出値の平均値(平均検出値)を算出する(ステップS324)。
CPU7は、汚れセンサ41pの平均検出値が予め設定されている汚れ基準値Vを越えているかチェックし(ステップS325)、汚れセンサ41pの平均検出値が汚れ基準値Vを越えていると、静電吸着ベルト33の表面にインク等による汚れがあると判定する(ステップS309)。
ステップS325で、汚れセンサ41pの平均検出値が汚れ基準値Vを越えていないときには、CPU7は、静電吸着ベルト33に汚れがないと判定して、汚れ検出処理を終了する(ステップS326)。
次に、図10のステップS104における光照射処理の詳細について、図13に基づいて説明する。CPU7は、上記汚れ検出処理で静電吸着ベルト33の表面に汚れがあると判定すると、ベルト回転カウンタを一旦クリアして(ステップS401)、ベルト回転カウンタのカウントアップを開始し(ステップS402)、光照射部42の光源42aを点灯させて、静電吸着ベルト33の表面への紫外線の照射を開始する(ステップS403)。
CPU7は、静電吸着ベルト33の表面への光照射を開始すると、ベルト回転カウンタが、予め設定されている静電吸着ベルト33の照射長さを示す照射設定値Lを越えたかチェックし(ステップS404)、ベルト回転カウンタが照射設定値Lを越えると、光照射部42の光源42aを消灯させて光照射処理を終了する(ステップS405)。この照射設定値Lは、最低でも静電吸着ベルト33が1回転する回転量が設定されており、静電吸着ベルト33の表面全体に光照射部42の光源42aから紫外線を照射して、静電吸着ベルト33の表面全体にコーティングされている光触媒を活性化させて、該静電吸着ベルト33の表面を超親水性状態とする。
次に、図10のステップS105における水分供給処理の詳細について、図14に基づいて説明する。CPU7は、ベルト回転カウンタを一旦クリアして(ステップS501)、ベルト回転カウンタのカウントアップを開始し(ステップS502)、水分付与部43の部材移動部を駆動させて、水43aを含んだ親水性の水分付与部材43cを静電吸着ベルト33の表面に接触させることで、静電吸着ベルト33の表面への水分の供給を開始する(ステップS503)。
CPU7は、静電吸着ベルト33の表面への水分供給を開始すると、ベルト回転カウンタが、予め設定されている静電吸着ベルト33の水分供給長さを示す水分供給設定値M1を越えたかチェックし(ステップS504)、ベルト回転カウンタが水分供給設定値M1を越えると、水分付与部43の部材移動部の駆動を停止させて水分付与部43による静電吸着ベルト33の表面への水分供給を終了する(ステップS505)。この水分供給設定値M1は、最低でも静電吸着ベルト33が1回転する回転量が設定されており、先の光照射処理で超親水性状態となっている静電吸着ベルト33の表面全体に水分付与部43からの水分を供給して、静電吸着ベルト33の表面に付着しているインク等の汚れを浮かせた状態とする。
なお、水分付与部43が、図7に示したように、少なくとも水分供給ヘッド43gがキャリッジ35に搭載されて、該水分供給ヘッド43gから静電吸着ベルト33の表面に水分を吐出する構成であるときには、図15に示すように水分供給処理を行う。すなわち、CPU7は、キャリッジ35が静電吸着ベルト33の幅方向(主走査方向)に一方向分(片道分)だけ移動したときにカウントアップされるカウンタであるキャリッジ移動カウンタを一旦クリアし(ステップS601)、キャリッジ移動カウンタが予め設定されている設定移動量カウンタ値C以下であるか、すなわち、キャリッジ35を静電吸着ベルト33の表面全域に水分供給ヘッド43gから水分供給する移動量だけ移動させたかチェックする(ステップS602)。
ステップS602で、キャリッジ移動カウンタのカウンタ値が設定移動量カウンタ値C以下のときには、CPU7は、静電吸着ベルト33の全表面に水分を供給していないと判断して、ベルト駆動モータを停止させて静電吸着ベルト33の回転移動を停止させ、静電吸着ベルト33の回転量をカウントするベルト回転カウンタを一旦クリアする(ステップS603)。CPU7は、水分付与部43を駆動させて水分を該水分供給ヘッド43gから吐出させながら、キャリッジ駆動モータを回転駆動させてキャリッジ35を片道分だけさせるキャリッジ移動を開始し(ステップS604)、ベルト駆動モータを駆動させて静電吸着ベルト33の回転駆動を開始して、ベルト回転カウンタのカウントアップを開始する(ステップS605)。CPU7は、ベルト回転カウンタのカウンタ値が、予め設定されている静電吸着ベルト33の水分供給長さを示す水分供給設定値M2を越えたかチェックし(ステップS606)、水分供給設定値M2を上回ると、キャリッジ移動カウントを「1」だけインクリメント(「+1」)して(ステップS607)、ステップS602に戻る。
なお、上記処理において、水分供給設定値M2は、静電吸着ベルト33がキャリッジ35に搭載されている水分供給ヘッド43gによって水分供給幅Hの距離を進むベルト移動量に設定される。また、設定移動量カウンタ値Cは、静電吸着ベルト33の表面全体に水分が供給されるのに必要なキャリッジ移動回数であり、例えば、静電吸着ベルト33の移動方向の長さが60cmで、水分供給ヘッド43gによる水分供給幅Hが3cmの場合、計算上、キャリッジ35を静電吸着ベルト33の幅方向に20回移動させることで、静電吸着ベルト33の表面全体に水分を供給することができるため、「20」が設定移動量カウンタ値Cの値として設定される。
CPU7は、ステップS602に戻ると、上記同様に、キャリッジ移動カウンタが設定移動量カウンタ値C以下であるかチェックし(ステップS602)、設定移動量カウンタ値C以下であると、上記同様に、キャリッジ35を移動させて水分を静電吸着ベルト33に供給して、キャリッジ移動カウンタをインクリメントした後、ステップS602に戻る(ステップS603〜S607)。
ステップS602で、キャリッジ移動カウンタのカウント値が設定移動量カウンタ値Cを越えると、CPU7は、水分供給処理を終了する。
上記水分供給処理により静電吸着ベルト33の表面全体に水分が供給されると、該水分は、静電吸着ベルト33の表面の光触媒表層が光照射処理で活性化されて超親水性となっているため、静電吸着ベルト33の表面全体に一様に拡がるとともに、静電吸着ベルト33の表面に形成されている光触媒層との結びつきが強いため、インク等の汚れと静電吸着ベルト33の表面との間に入り込み、静電吸着ベルト33の表面に付着しているインク等の汚れを浮き上がらせる。
そして、インクジェットプリンタ1は、図10のベルト清掃処理を、図16に示すように実行する。すなわち、CPU7は、まず、ベルト回転カウンタを一旦クリアした後(ステップS701)、ベルト回転カウンタのカウントアップを開始する(ステップS702)。次に、CPU7は、清掃部材移動部を駆動させて清掃部材44aを静電吸着ベルト33の表面に接触させて、静電吸着ベルト33の表面に浮き上がっているインク等の汚れの除去を開始する(ステップS703)。このとき、静電吸着ベルト33は、上記水分供給処理で水分の供給が開始されたときから回転駆動が継続されているので、清掃部材44aが静電吸着ベルト33の表面に接触した時点から汚れの除去を行っている。
次に、CPU7は、ベルト回転カウンタが予め設定されている設定清掃カウンタ値Nを上回るまで、清掃部材44aを静電吸着ベルト33に接触させて静電吸着ベルト33の表面に付着している汚れの除去を継続して、ベルト回転カウンタが設定清掃カウンタ値Nを上回ると、清掃部材44aを静電吸着ベルト33から離接させて清掃処理を終了する(ステップS705)。この設定清掃カウンタ値Nは、清掃部材44aによって静電吸着ベルト33の表面全面を清掃するのに必要な静電吸着ベルト33の回転移動量をカウントするカウンタ値であり、少なくとも静電吸着ベルト33が1回転する回転移動量をカウントするカウンタ値が設定される。
そして、この清掃時には、静電吸着ベルト33の表面に付着しているインク等の汚れが静電吸着ベルト33の表面から浮き上がっているため、清掃部材44aから大きな摩擦力等を加えることなく、容易にかつ適切に汚れを除去して、静電吸着ベルト33を清掃することができる。また、清掃部44は、清掃部材44aの周囲に密接して、清掃部材44aが清掃部材移動部によって移動される際に、該清掃部材44aに付着している静電吸着ベルト33から除去したインク汚れ等の汚れを除去する。したがって、清掃部材44aを常に清浄な状態とすることができ、静電吸着ベルト33を適切に清掃することができる。
このように、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、絶縁層の表面に光触媒層が形成されていて、インクジェットヘッドからインクが吹き付けられる記録媒体Pを静電吸着して、記録媒体Pの搬送方向に移動されることで記録媒体Pを搬送する静電吸着ベルト33を、搬送方向へ移動させつつ、静電吸着ベルト33の記録媒体Pを吸着する面である記録媒体吸着面の汚れを汚れセンサ41で検出し、汚れを検出すると、搬送方向に移動される静電吸着ベルト33の光触媒層を活性化させる活性光を光照射部41から照射して、該活性光の照射された静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面に水分付与部43から水分を付与した後、静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面上を清掃部44で清掃している。
したがって、静電吸着ベルト33に付着したインク等の汚れを静電吸着ベルト33に対する付着力を弱めて清掃することができ、静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面を傷つけるような強い力でこすることなく、汚れを静電吸着ベルト33から確実かつ容易に除去して、静電吸着ベルト33の静電吸着力を弱めることなく、静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面を清浄に清掃することができる。すなわち、静電吸着ベルト33にコーティングされている光触媒を紫外線照射によって活性化させて、その後に付与する水分を静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面の一面に行き渡らせるとともに、汚れと記録媒体吸着面との間に入り込ませ、汚れが記録媒体吸着面から浮き上がった状態で該汚れを除去している。したがって、静電吸着ベルト33に傷を付けて静電吸着力を弱めることなく、効果的にかつ清浄に汚れを除去することができる。
また、本実施例のインクジェットプリンタ1は、その清掃機構部4が、CPU6の制御下で、静電吸着ベルト33を搬送方向所定長さに渡って移動させつつ、汚れ検出部41に静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面の汚れを検出させて汚れが検出されると、記録媒体吸着面へ光照射部42に活性光を照射させて、活性光の照射された記録媒体吸着面に水分付与部43に水分を付与させた後、該水分の付与された記録媒体吸着面を清掃部44に清掃させている。
したがって、静電吸着ベルト33にコーティングされている光触媒を、光照射部42からの紫外線照射によって活性化させて、その後に、水分付与部43から水分を付与して、該水分を静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面一面に行き渡らせるとともに、汚れと記録媒体吸着面との間に入り込ませ、汚れが記録媒体吸着面から浮き上がった状態で、清掃部43によって該汚れを除去することができ、静電吸着ベルト33に傷を付けて静電吸着力を弱めることなく、効果的にかつ清浄に汚れを除去することができる。
さらに、本実施例のインクジェットプリンタ1の静電吸着ベルト33は、絶縁層が、該絶縁層の構成材料、印加電圧及び光触媒層の厚さに基づいた厚さに形成されている。
したがって、記録媒体Pを適切かつ確実に静電吸着することができ、常に安定して記録媒体Pを搬送することができる。
また、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、汚れ検知部41が、静電吸着ベルト33の主走査方向において複数の検出領域で複数の汚れセンサ41a〜41eによって記録媒体吸着面の汚れを検出している。
したがって、静電吸着ベルト33の汚れを適切に検出して、汚れの除去処理を適切に行うことができ、記録媒体Pの搬送性を常に良好なものとすることができる。
さらに、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、汚れ検知部41の汚れセンサ41pが、インクヘッドを搭載するキャリッジ(走行体)35に搭載されていて、キャリッジ35の主走査方向への移動によって静電吸着ベルト33の主走査方向所定幅にわたって記録媒体吸着面の汚れを検出してもよい。
このようにすると、1つの汚れ検出センサ41pで静電吸着ベルト33の汚れを検出することができ、安価に静電吸着ベルト33の汚れを検出して、記録媒体Pの搬送性を安価に向上させることができる。
また、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、水分付与部43が、水の貯留される水貯留部43bと、静電吸着ベルト33の主走査方向所定長さを有し水貯留部43bの水を含水して静電吸着ベルト33に水分を付与する水分付与部材43cと、水分付与部材43cを静電吸着ベルト33に離接可能に移動させる水分付与部材移動部と、を備えている。
したがって、簡単な構成で、適切に水分を静電吸着ベルト33に付与することができ、静電吸着ベルト33の汚れを適切に浮かせて除去することができる。
さらに、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、水分付与部43が、水の貯留される水貯留部と、キャリッジ35に搭載され水貯留部内の水を静電吸着ベルト33の記録媒体吸着面に噴出する水分噴出ヘッド43gとを備えている。
したがって、簡単な構成で、キャリッジ35を移動させつつ、静電吸着ベルト33に適切に水分を静電吸着ベルト33に付与することができ、静電吸着ベルト33の汚れを適切に浮かせて除去することができる。
また、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、ペルチェ素子43eとペルチェ素子43eに接触して取り付けられてペルチェ素子43eへの通電によって発生する水を水分付与部43の水貯留部43bに補給する冷却フィン43fとを有する水補給機能部43dを備えている。
したがって、水貯留部43bへの水の補給作業を省くことができ、作業性・利用性を向上させることができるとともに、水貯留部43bの水が無いことによる静電吸着ベルト33の清掃の不適切さを解消して、清掃性能を向上させることができる。
さらに、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、清掃部44が、所定の柔軟性と非水分吸収性を有し静電吸着ベルト33の主走査方向所定領域にわたる長さの清掃部材44aと、清掃部材44aを静電吸着ベルト33に離接可能に移動させる清掃部材移動部と、を備えている。
したがって、簡単な構成で静電吸着ベルト33に傷等を付けることなく、静電吸着ベルト33を清浄に清掃することができる。
また、本実施例のインクジェットプリンタ1の清掃機構部4は、清掃部44が、清掃部材移動部による清掃部材44aの静電吸着ベルト33への離接動作に伴って清掃部材44aをクリーニングする清掃部材クリーニング部材44bを備えている。
したがって、常に清浄な清掃部材44aで静電吸着ベルト33を清掃することができ、静電吸着ベルト33をより一層清浄に清掃することができる。
さらに、本実施例のインクジェットプリンタ1は、CPU6が、清掃部44による静電吸着ベルト33の清掃直後に汚れ検出部41が静電吸着ベルト33の汚れを検出すると、操作表示部のディスプレイに静電吸着ベルト33が汚れていて、サービスマン等への清掃の依頼等の対応処理が必要である旨の警告通知を行ったり、I/F9を介して所定のホスト装置への警告通知を送信する等の方法によって異常告知を行っている。
したがって、インクジェットプリンタ1の異常、特に、静電吸着ベルト33の異常に対する対応処置を速やかに行うことができ、静電吸着ベルト33による記録媒体Pの搬送を適切なものとして、インクジェットプリンタ1の維持管理と利用性を向上させることができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。