JP2010147215A - 極端紫外光光源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】レーザビームの照射による初期プラズマの発生後、できるだけ速やかに電極間で放電を発生させて効率よく初期プラズマを加熱してEUV放射を発生させること。
【解決手段】リセット回路部71は、可飽和リアクトルSR3の2次巻線LR3に対して、可飽和リアクトルSR3に流れる電流に基づき生ずる残留磁束と同方向に磁束が生ずるようにリセット電流を流す。スイッチSWをonにし、磁気スイッチSR1がonとなると、コンデンサC0に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC2に充電されるとともに、レーザが電極2aに塗布されている高温プラズマ原料に照射される。これにより高温プラズマ原料は気化し対向する第2の電極2bに達する。可飽和リアクトルSR3は、上記リセット電流により飽和してonとなっており、コンデンサC2から回転電極2a,2bに直ちにパルス電力が印加され、電極2a,2b間に大きな電流が流れ高温プラズマが発生する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、放電により生成したプラズマより極端紫外光を発生させる極端紫外光光源装置に関し、特に、放電電極近傍に供給された極端紫外光発生用高温プラズマ原料にエネルギービームを照射して気化して、気化後の高温プラズマ原料から放電により生成したプラズマより極端紫外光を発生させる極端紫外光光源装置に関するものである。
半導体集積回路の微細化高集積化につれて、その製造用の投影露光装置においては解像力の向上が要請されている。その要請に応えるため、露光用光源の短波長化が進められ、エキシマレーザ装置に続く次世代の半導体露光用光源として、波長13〜l4nm、特に波長13.5nmの極端紫外光(以下、EUV(Extreme Ultra Violet)光ともいう)光を放出する極端紫外光光源装置(以下、EUV光源装置ともいう)が開発されている。
EUV光源装置において、EUV光を発生させる方法はいくつか知られているが、そのうちの一つにEUV放射種の加熱励起により高温プラズマを発生させ、このプラズマから放射されるEUV光を取り出す方法がある。
このような方法を採用するEUV光源装置は、高温プラズマの生成方式により、LPP(Laser Produced Plasma:レーザ生成プラズマ)方式EUV光源装置とDPP(Discharge Produced Plasma:放電生成プラズマ)方式EUV光源装置とに大きく分けられる。
LPP方式EUV光源装置は、固体、液体、気体等のターゲットをパルスレーザで照射して発生する高温プラズマからのEUV放射光を利用するものである。
一方、DPP方式EUV光源装置は、電流駆動によって生成した高温プラズマからのEUV放射光を利用するものである。
上記した両方式のEUV光源装置において、波長13.5nmのEUV光を放出する放射種、すなわち、EUV発生用高温プラズマ原料として、現在10価前後のXe(キセノン)イオンが知られているが、より強い放射強度を得るための高温プラズマ原料としてLi(リチウム)イオンとSn(錫)イオンが注目されている。例えば、Snは、高温プラズマを発生させるための入力エネルギーに対する波長13.5nmのEUV光放射強度の比である変換効率がXeより数倍大きい。
以下、DPP各方式に基づくEUV放射のメカニズムを簡単に説明する。
DPP方式では、例えば内部に電極が配置された放電容器内をガス状の高温プラズマ原料雰囲気とし、当該雰囲気中の電極間において放電を発生させて初期プラズマを生成する。初期プラズマにおけるイオン密度は、例えば、1016cm-3程度、電子温度は、例えば、1eV以下程度である。
ここで、放電により電極間を流れる電流の自己磁場の作用により、上記した初期プラズマは収縮される。これにより初期プラズマの密度は高くなり、プラズマ温度が急激に上昇する。
このような作用を、以下ピンチ効果と称する。ピンチ効果による加熱によって、高温となったプラズマのイオン密度は1017〜1020cm-3、電子温度は20〜30eV程度に到達し、この高温プラズマからEUVが放射される。
次に、LAGDPP方式のEUV光源装置について説明する。ここでは、回転電極型のLAGDPP方式のEUV光源装置について説明する。
近年、DPP方式において、放電が発生する電極表面に供給された固体もしくは液体のSnやLiに対してレーザビーム等のエネルギービームを照射することにより気化し、その後放電によって高温プラズマを生成する方法が特許文献1において提案されている。
以下、エネルギービームがレーザビームである場合を説明する。また、上記したこの方式をLAGDPP(Laser Assisted Gas Discharge Produced Plasma)方式と称することにする。
以下、特許文献1に示されたEUV光源装置について説明する。同公報図1はEUV光源装置の断面図である。
以下、特許文献1に示されたEUV光源装置について説明する。図7は、同公報の図1に示されているEUV光源装置の断面図である。
21,22は円盤状の電極であり、所定の圧力に調整された放電空間20内に配置される。電極21および22は予め定義された領域23において、所定間隔だけ互いに離間しており、21a,22aを回転軸として回転する。
24は、波長13.5nmのEUV光を放射する高温プラズマ用原料である。高温プラズマ原料24は、加熱された溶融金属(melted metal)であり、コンテナ26に収容される。溶解金属24の温度は、コンテナ26内に設けられた温度調整手段25により調整される。
電極21,22は、その一部が溶融金属24を収容するコンテナ26の中に浸されるように配置される。電極21,22の表面上に乗った液体状の溶融金属24は、電極21,22が回転することにより、上記領域23の表面に輸送される。上記領域23の表面に輸送された溶解金属24に対して(すなわち、上記領域23において、所定間隔だけ互いに離間した電極21、22の表面に存在する溶解金属24に対して)、図示を省略したレーザ源よりレーザビームLBが照射される。レーザビームLBが照射された溶解金属24は気化する。
溶解金属24がレーザビームLBの照射により気化された状態で、電極21,22に、パルス電力が印加されることにより、領域23においてパルス放電が開始し、プラズマPが形成される。放電時に流れる大電流によりプラズマPが加熱励起され高温化すると、この高温プラズマからEUV放射が発生する。EUV放射は図面上側に取り出される。
すなわち、上記した特許文献1に記載されているLAGDPP方式では、固体や液体等のターゲット(高温プラズマ原料)に対してレーザビームを照射し、原料を気化してガス状の高温プラズマ原料雰囲気(初期プラズマ)を生成する。DPP方式同様、初期プラズマにおけるイオン密度は、例えば、1016cm-3程度、電子温度は、例えば、1eV以下程度である。その後、放電電流駆動による加熱によって、高温となったプラズマのイオン密度は1017〜1020cm-3、電子温度は20〜30eV程度に到達し、この高温プラズマからEUVが放射される。すなわち、この特許文献1に記載されているLAGDPP方式における放電電流駆動による加熱は、DPP方式と同様、ピンチ効果が利用されている。なお、27は電源に相当するキャパシターバンクであり、絶縁性のフィードライン29を介してコンテナ26に収容された溶融金属24と電気的に接続されている。溶融金属24は導電性であるので、キャパシターバンク27より、溶融金属24を介して、一部が溶融金属24に浸漬している電極21,22に電気エネルギーが供給される。
本方式によれば、常温では固体であるSnやLiを放電が発生する放電領域の近傍で気化させることが容易になる。すなわち、放電領域に効率よく気化したSnやLiを供給できるので、放電後、効果的に波長13.5nmのEUV放射を取り出すことが可能となる。
また、特許文献1に記載されたEUV光源装置においては、電極を回転させているので、次のような利点がある。
(ア)常に新しいEUV発生種である固体または液体状の高温プラズマ原料を放電領域に供給することができる。
(イ)電極表面における、レーザビームが照射される位置、高温プラズマが発生する位置(放電部の位置)が常に変化するので電極の熱負荷が低減し消耗を防ぐことができる。
上記したように、DPP方式やLAGDPP方式のEUV光源装置は、放電によりEUV放射を発生させているので一般にパルス光源となる。このようなEUV光源装置を露光用光源として採用する場合、当該EUV光源装置には、露光の制御性の観点からできるだけ高繰り返しのEUV放射動作が要求される。また、EUVを放射する高温プラズマを効率よく生成するには、電極間を流れる放電電流のパルス幅はある程度短パルスであることが望ましい。
よって、DPP方式やLAGDPP方式のEUV光源装置は、電極間において高繰り返しで短パルスの放電を発生させるためのパルス電力発生器を備える。特許文献2には、このようなパルス電力発生器が開示されている。
以下、DPP方式EUV光源装置に用いられるパルス電力発生器について、図8により説明する。
図8は、昇圧用のパルストランス方式を採用したDPP方式EUV光源装置に用いられるパルス電力発生器30を簡潔に示した構成例である。
DPP方式EUV光源装置においては、リング状の第1電極(カソード)31と第2電極(アノード)32とがリング状の絶縁体33を挟み、それぞれの貫通穴が略同軸上に位置するように配置され、原料ガス供給ユニット34からEUV放射種を含む原料ガスが供給される。また、予備電離ユニット35が設けられ、第1電極31、第2電極32間にパルス電力を供給し、主放電を発生させる前に予備電離が行われる。
例えば、予備電離は、予備電離ユニット35にて沿面放電を発生させて、容器内に導入されたガス状の高温プラズマ原料の電離を促進する。予備電離ユニットの構成例については、例えば特許文献3に開示されている。
このようなDPP方式光源装置において、予備電離ユニット35により予備電離放電を発生させたのちに、第1電極31、第2電極32間にパルス電力発生器30よりパルス電力が供給されると、絶縁体33表面に沿面放電が発生して第1電極31、第2電極32間は実質、短絡状態になり、パルス状の大電流が流れる。このとき、略同軸上に配置されたリング状の第1電極31、第2電極32、絶縁体33が形成する連通穴もしくは連通穴近傍にプラズマが形成される。その後、ピンチ効果およびジュール加熱等によって、上記プラズマの略中心部に高温プラズマ領域が形成され、この高温プラズマ領域から波長13.5nmのEUV光が放射される。
図8に示すパルス電力発生器は、高繰り返しが可能なように、可飽和リアクトルからなる2個の磁気スイッチSR2、SR3を用いた2段の磁気パルス圧縮回路部を有する。磁気スイッチSR1は、IGBT等の半導体スイッチング素子である固体スイッチSWでのスイッチングロスの低減用のものであり、磁気アシストとも呼ばれる。
なお、本明細書においては、以降、充電器CHにより充電されるコンデンサをC0、一対の電極と接続するコンデンサをC2、一対の電極とコンデンサC2との間に接続される可飽和リアクトルをSR3と呼ぶことにする。
図8において、まず、充電器CHによる充電電圧が所定の値(Vset)に調整され、充電器CHが動作状態となる。その結果、コンデンサC0が所定の電圧まで充電される。このとき、スイッチSWはoffになっている。コンデンサC0の充電が完了後、充電器CHの動作状態はoffとなる。その後、スイッチSWがonとなる。
スイッチSWがonとなったとき、磁気スイッチSR1を設けない場合は、コンデンサC0の電圧はスイッチSWの両端にかかる。しかしながら、磁気スイッチSR1を設けているので、コンデンサC0の電圧は主に磁気スイッチSR1の両端にかかる。その後、磁気スイッチSR1が飽和してonとなる。
磁気スイッチSR1に電圧が印加されてから磁気スイッチSR1がonとなるまでの時間は、スイッチSWが完全にonとなるまでの時間である。すなわち、磁気スイッチSW1は、スイッチSWが完全にonとなるまで、電圧を保持する。
磁気スイッチがonとなると、コンデンサC0、磁気スイッチSR1、昇圧トランスTr1の1次側、スイッチSW、コンデンサC0のループに電流が流れる。同時に、昇圧トランスTr1の2次側、コンデンサC1のループに電流が流れ、コンデンサC0に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC1に充電される。
この後、コンデンサC1における電圧の時間積分値が磁気スイッチSR2の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR2が飽和してonとなる。そして、コンデンサC1、磁気スイッチSR2、コンデンサC2、コンデンサC1のループに電流が流れ、コンデンサC1に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC2に充電される。
さらにこの後、コンデンサC2における電圧の時間積分値が磁気スイッチSR3の特性で決まる限界値に達すると、磁気スイッチSR3が飽和してonとなる。そして、負荷である第1電極31と第2電極32との間にパルス幅の短いパルス電力が印加される。
ここで、磁気スイッチSR2、コンデンサC1、及び、磁気スイッチSR3、コンデンサC2で構成される2段の容量移行型回路のインダクタンスを後段に行くにつれて小さくなるように設定することにより、各段を流れる電流パルスのパルス幅が順次狭くなるようなパルス圧縮動作が行われ、第1の主放電電極、第2の主放電電極間に短パルスの電力が印加される。
尚、詳細な図示を省略したが、スイッチSWへの駆動信号は制御部24より送信される。例えば、スイッチSWがIGBTである場合、制御部24から送信される駆動信号は、ゲート信号としてスイッチSWに入力される。また、スイッチSWへは大電流が流れることになるので、スイッチSWは、例えば、複数のIGBTを並列に接続して構成される。 この場合、制御部24から送信される駆動信号であるゲート信号は、各IGBTに入力される。
次に、上記磁気スイッチSR1〜SR3のリセット動作について説明する。
可飽和リアクトルである磁気スイッチSR1、SR2、SR3は、磁気スイッチ動作後には、飽和状態から非飽和状態に戻る。しかしながら、可飽和リアクトルを構成する磁性体(コア)には残留磁束が存在する。そのため次回動作時には、可飽和リアクトルのインダクタンスは十分に大きくならず、磁気スイッチSR2,SR3を用いたパルス圧縮部でのパルス圧縮が十分には達成されない。そのため、通常、磁気スイッチのリセット動作が行われる。
図9にリセット機能を付加した可飽和リアクトルの模式図を示す。
図9に示すように、可飽和リアクトルは、磁性体であるコアTcに主巻線M1が巻きつけられている。図9に示す可飽和リアクトルが磁気スイッチSR2である場合、コンデンサC1からの電流が主巻線M1を流れる。また、可飽和リアクトルが磁気スイッチSR3である場合、コンデンサC2からの電流が主巻線M1を流れる。
リセット回路Rsは、コアTcの2次巻線M2にインダクタンスL1を介して定電流源Issより電流を流す構成である。その際、2次巻線M2を流れるリセット電流の向きは、コアTcの残留磁束を打ち消す方向に磁束が発生するように設定される。
以下、磁気パルス圧縮回路における可飽和リアクトルの動作を、図10に示す可飽和リアクトルのコアの磁化曲線を用いて説明する。
ここで理解を容易にするために、初期状態において、可飽和リアクトルの動作点は0点にあるものとする。
(1)まず、コアTcに巻かれた2次巻線M2に流れるリセット電流により、コアの動作点が0点から(i) 点に移動する。
(2)可飽和リアクトルの前段のコンデンサ(SR2の場合C1、SR3の場合C2)からコアTcの主巻線M1に電流(励磁電流)が流れると、磁界強度Hが増加し、可飽和リアクトルのコアTcの動作点は図10の点(i) から点(ii)を通り点(iii) に向かって移動する。
(3)励磁電流により動作点が点(iii) に達すると、可飽和リアクトルのコアTc内の磁束密度が飽和磁束密度以上となり可飽和リアクトルは飽和する。このとき可飽和リアクトルのインダクタンスが急激に低下するため、前段のコンデンサ(SR2の場合C1、SR3の場合C2)から飽和状態にある可飽和リアクトルを介して、電流が後段へ流れる。可飽和リアクトルSR2の場合、電流がコンデンサC2に流れ込みこれを充電する。一方、可飽和リアクトルSR3の場合は、コンデンサC2に充電された電力が電極間に供給され、電極間で放電が発生する。
(4)可飽和リアクトルが飽和しているときのコアTcの動作点は、点(iii) よりもはるかに磁界強度Hが大きい点(iv)にあるが、電流の減少とともにHが小さい方(点(iv)から点(iii) への方向)に移動する。
このとき可飽和リアクトルのインダクタンスが急激に増加するので、可飽和リアクトルに流れる電流は急激に減少する。電流が0となったときの動作点は点(v) となり、リセット電流が流れていない場合、動作点は点(v) で停止して可飽和リアクトルのコアTcに磁束が残る(残留磁束)。
(5)ここで、点(v) にコアの動作点がある状態で再び図8のスイッチSWを投入すると、コアの動作点は点(v) から点(iii) を通り点(iv)へ移動するが、この場合の磁束密度変化量は小さいため非飽和時の可飽和リアクトルのインダクタンスが十分大きくならず、磁気パルス圧縮はほとんど行えなくなる。
(6)よって、磁気パルス圧縮を行った後はコアの動作点を図10の点(v) を介して点(i) に戻すように磁気リセットを行う。
特表2007−505460号公報 特開2008−53696号公報 特開2003−218025号公報
上記したように、DPP方式のEUV光源装置では、内部に電極が配置された放電容器内をガス状の高温プラズマ原料雰囲気とし、例えば、図8に示すパルス電力発生器を用いて当該雰囲気中の電極間において放電を発生させて初期プラズマを生成する。初期プラズマにおけるイオン密度は、例えば、1016cm-3程度、電子温度は、例えば、1eV以下程度である。その後、ピンチ効果による加熱によって、高温となったプラズマのイオン密度は1017〜1020cm-3、電子温度は20〜30eV程度に到達し、この高温プラズマからEUVが放射される。
ここでDPP方式の光源装置においては、図8に示すパルス電力発生器の可飽和リアクトルSR3が飽和状態となったとき(すなわち、磁気スイッチSR3(可飽和リアクトルSR3)がon状態となったとき)、電極31,32間に高電圧が印加され、放電が開始される。
なお、一般に、内部に電極が配置された放電容器内の圧力は1〜20Paに調節される。このような低い圧力下においては、電極構造によっては放電が発生し難くなり、結果としてEUV光の出力が不安定となる場合もある。
よって、前記したように、放電が発生し難い状況下で安定した放電を生じさせるために予備電離が行われる。すなわち、予備電離後に可飽和リアクトルSR3が飽和状態となるようにパルス電力発生器が設定される。これにより、放電が安定に発生する。
一方、LAGDPP方式の場合、放電が発生する電極表面に供給された固体もしくは液体のSnやLi(高温プラズマ原料)に対してレーザビームを照射することにより気化し、その後、放電によって高温プラズマを生成する。
ここで、電極間における放電は、電極表面に供給された高温プラズマ原料にレーザビームが照射されることにより発生する真空アーク放電から開始され、やがて、真空アーク放電が発生した空間に気化した高温プラズマ原料が十分に供給され、更に、電極間にパルス電力発生器により高電圧が印加されるにともないガス放電(ピンチ放電も含む)に移行する。すなわち、LAGDPP方式の場合、放電はレーザビームを高温プラズマ原料に照射されるタイミングにて開始する。
図11に、LAGDPP方式の光源装置において、図8に示すパルス電力発生器を用いて電極間にパルス電力を印加した場合のレーザビームの照射からEUV放射が発生するまでの時間的経過を示す。
図11(a)は、放電プラズマの時間的経過、(b)は、図8のコンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極(回転電極21,22)からなる回路ループを流れる電流の電流波形、(c)は、コンデンサC2の電圧の電圧波形を示す。
(1)時点(1)において、レーザビームが電極表面に供給されている高温プラズマ原料(例えば、Sn)に照射される。レーザビームが照射された高温プラズマ原料の一部は気化し、ガス状の高温プラズマ原料が初期プラズマとして噴出する。なお、初期プラズマにおけるイオン密度、電子温度は、例えば、1016cm-3程度、1eV以下程度である。
なお、レーザビームによって生成された初期プラズマが電極間を電気的に接続する(以下、電気的に接続することを橋絡するという)のとほぼ同時刻、あるいはそれより数100ns〜数ns早く、コンデンサC2の電圧が所定値となるように、SWをON状態にする。
(2)時点(2)において、初期プラズマによる電極間橋絡状態となり、真空アーク放電が開始する。放電開始直後の初期プラズマの形状は、細い形状を示す。
ここで、電極間で放電が開始したことにより、図8のコンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極(回転電極21,22)からなる回路ループ内で電流が流れる。
(3)上記したように、可飽和リアクトルSR3(磁気スイッチSR3)のコアの動作点は、初期状態では、図9に示すようなリセット回路により図10の(i) 点に設定されている。そして、上記回路ループ内で電流が流れる(すなわち、コアTcの主巻線M1に励磁電流が流れる)ことにより、コアTcにおける磁界強度Hが増加し、可飽和リアクトルのコアTcの動作点は図10の点(i) から点(ii)を通り点(iii) に向かって移動する。
(4)励磁電流により動作点が点(iii) に達すると、可飽和リアクトルのコアTc内の磁束密度が飽和磁束密度以上となり、図11の時点(3)において、可飽和リアクトルSR3は飽和する。このとき可飽和リアクトルのインダクタンスが急激に低下するため、コンデンサC2に充電された電力が、電極間に供給され、電極間で放電が発生する。なお、この時点で放電が発生する空間には高温プラズマ原料が十分に供給されているので、電極間で発生する放電はガス放電となる。
(5)電極間で放電発生後、電極間を流れる大電流によるピンチ効果により、レーザビームの照射により生成した初期プラズマは加熱される(時点(4)〜(5))。
(6)時点(6)において、加熱により高温となったプラズマのイオン密度は1017〜1020cm-3、電子温度は20〜30eV程度に到達し、この高温プラズマからEUVが放射される。
ここで、期間(2)〜(3)においては、電極間では真空アーク放電が開始して初期プラズマが形成されるが、可飽和リアクトルSR3が飽和していないので可飽和リアクトルのインダクタンスが高く、電極間にコンデンサC2に充電された電力が殆ど印加されない。
そのため、この期間内にて、初期プラズマの形状は膨張し崩れてしまう。
よって、時点(3)以降電極間を流れる大電流によるピンチ効果によって初期プラズマを加熱する際、初期プラズマの形状が膨張により太くなっているので、ピンチ効果による圧縮が十分行われずEUVを放射する高温プラズマのサイズが大きくなってしまう。高温プラズマのサイズが大きくなることは、EUV光源装置をリソグラフィ用光源として使用する際には、好ましくない。
また、場合によっては、ピンチ効果によっても高温プラズマの密度を十分に高くすることができず、EUV放射を得ることができない。
すなわち、放電の開始がレーザビームの照射に依存しているので、可飽和リアクトルにより構成される磁気スィッチSR3がonとなるタイミングと、放電の開始タイミングとの間にある程度の遅延が生じる。この遅延の間に、レーザビームの照射により形成される初期プラズマの形状が太くなってしまうので、効果的にコンデンサC2のエネルギーを初期プラズマに注入することが難しくなり、効率よく初期プラズマを加熱することが困難になる。
本発明の課題は、上記した磁気スイッチによる遅延の影響を抑制することにあり、レーザビームの照射により初期プラズマが発生したあと、できるだけ速やかに電極間で放電を発生させて、効率よく初期プラズマを加熱してEUV放射を発生させることが可能なEUV光源装置を提供することである。
以上のように、LAGDPP方式の光源装置においては、放電の開始がレーザビームの照射に依存しているので、前記図8に示すパルス電力発生器を用いた場合、可飽和リアクトル(磁気スイッチ)が飽和するまでの時間遅れにより、レーザ照射のタイミングと、放電の開始タイミングとの間にある程度の遅延が生じ、効率よくプラズマを加熱してEUV放射を発生できない。したがって、上記可飽和リアクトル(磁気スイッチ)による遅れのできるだけ小さくするのが望ましい。
本発明においては、電極表面に供給されている高温プラズマ原料にレーザビームを照射して初期プラズマを形成する(真空アーク放電が開始する)時点と、電極間で放電が開始する時点との間の遅延時間をできるだけ短くするように構成する。
このため、遅れが特に問題となる可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対して、当該可飽和リアクトル(SR3)を介して上記電極に流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流す。
これにより、放電を開始させるとき、可飽和リアクトル(SR3)は飽和し、on状態であり、高温プラズマ原料にレーザビームを照射し、気化した高温プラズマ原料により電極間に橋絡が発生したとき、コンデンサ(C2)に充電されたエネルギーが直ちに電極に印加されて、電極間で放電を開始させることができる。
なお、上記可飽和リアクトル(SR3)は、後述するように、放電発生後に生ずる反転電流により、コンデンサ(C2)が逆方向に充電されるのをブロックする機能を有しており、上記可飽和リアクトル(SR3)を省略するのは好ましくない。
以上に基づき、本発明においては、次のようにして前記課題を解決する。
(1)極端紫外光を放射させるための液体または固体の原料を供給する原料供給手段と、エネルギービームを上記原料に照射して当該原料を気化するエネルギービーム照射手段と、気化された上記原料を放電により上記容器内で加熱励起し高温プラズマを発生させるための、所定距離だけ離間した一対の電極と、電極にパルス電力を供給するパルス電力供給手段とを備えた極端紫外光光源装置において、上記パルス電力供給手段は、充電器(CH)と、負荷である一対の電極と接続するコンデンサ(C2)と、負荷である一対の電極と上記コンデンサとの間に、1次巻線が接続される可飽和リアクトル(SR3)を有し、上記可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対して、当該可飽和リアクトルを介して上記電極に流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流すリセット電流供給手段(LR3)を設ける。
(2)上記(1)の極端紫外光光源装置において、上記パルス電力供給手段を、上記充電器により充電される第2のコンデンサ(C0)と、上記第1のコンデンサ(C2)と上記第2のコンデンサ(C0)との間に接続される第2の可飽和リアクトル(SR1)とから構成し、第2の可飽和リアクトル(SR1)には、その2次巻線に対して、当該可飽和リアクトル(SR1)を介して上記第1のコンデンサ(C2)に流入する電流に基づき生ずる磁束と反対方向に残留磁束が発生する向きにリセットして電流を流す第2のリセット電流供給手段(LR1)を設ける。
(3)上記(2)において、可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対してリセット電流を流すリセット電流供給手段(LR3)と、上記第2のリセット電流供給手段(LR1)を一つの回路として構成し、リセット電流供給手段(LR3)と上記第2のリセット電流供給手段(LR1)に対して共通の電源から電流を供給する。そして、第2のリセット電流供給手段(LR1)の巻線の巻方向に対して、リセット電流供給手段(LR3)の巻線を反対方向に巻く。
(4)上記(2)において、可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対してリセット電流を流すリセット電流供給手段(LR3)と、上記第2のリセット電流供給手段(LR1)を別々の回路として構成し、それぞれの回路に電源を設けて、それぞれの電源から電流を供給する。
そして、第2のリセット電流供給手段(LR1)に流れる電流の向きと、第1のリセット電流供給手段(LR3)に流れる電流の向きを反対とする。
本発明においては、以下の効果を得ることができる。
(1)LAGDPP方式の光源装置に用いられるパルス電力供給手段において、高温プラズマを発生させるための一対の電極に直列接続される最終段の可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対して、当該可飽和リアクトルを介して上記電極に流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流すようにしたので、レーザ照射から放電発生までの時間を短くすることができ、変換効率のよいEUV放射を得ることができる。
(2)可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対して、当該可飽和リアクトルを介して上記電極に流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流し、可飽和リアクトル(SR3)を飽和させるようにしたので、可飽和リアクトル(SR3)による遅れを小さくすることができる。このため、繰り返し周波数を大きくすることが可能となる。また、可飽和リアクトル(SR3)は、放電発生後に生ずる反転電流に対してはインダクタとして作用するので、放電発生後に生ずる反転電圧により上記電極間に逆方向に電流が流れるのをブロックすることができる。
(3)LAGDPP方式の光源装置に用いられるパルス電力供給手段を、充電器(CH)と、負荷である一対の電極と接続するコンデンサ(C2)と、負荷である一対の電極と上記コンデンサとの間に、1次巻線が接続される可飽和リアクトル(SR3)と、上記可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対して、当該可飽和リアクトルを介して上記電極に流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流すリセット電流供給手段(LR3)とから構成し、回路動作を遅延させる回路素子を極力少なくしたので、回路動作を高速化することができ、繰り返し周波数を大きくすることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1に本発明が適用されるEUV光源装置の構成例を示す。
EUV光源装置は、放電容器であるチャンバ1を有する。チャンバ1は、放電部2とEUV光集光部3とを内部に有する。放電部2は、EUV放射種を加熱して励起する加熱励起手段である。
EUV光集光部3は、放電部2においてEUV放射種が加熱励起されて生成した高温プラズマから放出されるEUV光を集光して、チャンバ1に設けられたEUV光取出部4より、図示を省略した露光装置の照射光学系へ導く。チャンバ1は排気装置5と接続されていて、チャンバ1内部はこの排気装置5により減圧雰囲気とされる。
放電部2は、第1の放電電極2aと第2の放電電極2bとが絶縁材2cを挟むように配置された構造である。両電極はともに金属製の円盤状部材であり、両者の中心は略同軸上に配置され、絶縁材2cの厚みの分だけ離間した位置に固定されている。絶縁材2cの厚み、すなわち、第1の放電電極2aと第2の放電電極2bの離間距離は1mm〜10mm程度である。なお、第2の放電電極2bの直径は、第1の放電電極2aの直径よりもやや大きい。
第2の放電電極2bの中心には、モータ6の回転軸6aが取り付けられている。上記したように、第1の放電電極2aの中心と第2の放電電極2bの中心は、ほぼ一致して固定されているので、回転軸6aが回転すると、第1の放電電極2aと第2の放電電極2bは、同じ回転中心を中心として回転する。回転軸6aは、例えば、メカニカルシール6bを介してチャンバ1内に導入される。メカニカルシール6bは、チャンバ1内の減圧雰囲気を維持しつつ、回転軸6aの回転を許容する。
第2の放電電極2bの下側には、例えばカーボンブラシ等で構成される第1の摺動子7aおよび第2の摺動子7bが設けられている。第2の摺動子7bは第2の放電電極2bと電気的に接続される。一方、第1の摺動子7aは第2の放電電極を貫通する貫通孔2eを介して第1の放電電極2aと電気的に接続される。なお、図示を省略した絶縁機構により、第1の放電電極2aと電気的に接続される第1の摺動子7aと、第2の放電電極2bとの間では絶縁破壊が発生しないように構成されている。
第1の摺動子7aと第2の摺動子7bは摺動しながらも電気的接続を維持する電気接点であり、パルス電力発生器7と接続される。
パルス電力発生器7は、第1の摺動子7a、第2の摺動子7bを介して、第1の放電電極2aと第2の放電電極2bとの間にパルス電力を供給する。すなわち、モータ6が動作して第1の放電電極2aと第2の放電電極2bとが回転していても、第1の放電電極2aと第2の放電電極2bとの間には、第1の摺動子7a、第2の摺動子7bを介して、パルス電力発生器7よりパルス電力が印加される。
パルス電力発生器7は、コンデンサCと磁気スイッチSRとからなる磁気パルス圧縮回路部を介して、負荷である第1の放電電極2aと第2の放電電極2bとの間にパルス幅の短いパルス電力を印加する。なお、パルス電力発生器7から第1の摺動子7a、第2の摺動子7bとの配線は、図示を省略した絶縁性の電流導入端子を介してなされる。電流導入端子は、チャンバ1に取り付けられ、チャンバ1内の減圧雰囲気を維持しつつ、パルス電力発生器7から第1の摺動子7a、第2の摺動子7bとの電気的接続を可能とする。
金属製の円盤状部材である第1の放電電極2a、第2の放電電極2bの周辺部は、エッジ形状に構成される。パルス電力発生器7より第1の放電電極2a、第2の放電電極2bに電力が印加されると、両電極のエッジ形状部分間で放電が発生する。第2の放電電極2bの周辺部には溝部2dが設けられ、この溝部2dに、原料供給ユニット8から、高温プラズマ用原料である固体スズ(Sn)や固体リチウム(Li)が供給される。
原料供給ユニット8を用いる場合、原料供給ユニット8に加熱機構を持たせ、原料となるSnやLiを加熱により液化させ、この液化した原料を第2の放電電極2bに形成した溝部の中に供給するように構成してもよい。
モータ6は一方向にのみ回転し、モータ6が動作する事により回転軸6aが回転し、回転軸6aに取り付けられた第2の放電電極2b及び第1の放電電極2aが一方向に回転する。第2の放電電極2bに供給されたSnまたはLiは、第2の放電電極2bの回転により放電部2におけるEUV光出射側であるEUV光集光部3側に移動する。
一方、チャンバ1には、上記EUV集光部3側に移動したSnまたはLiに対してレーザ光を照射するレーザ照射機9が設けられる。レーザ照射機9からのレーザ光は、上記EUV集光部3側に移動した原料(SnまたはLi)上に照射される。レーザ光が照射された原料は、第1の放電電極2a、第2の放電電極2b間で気化し一部は電離する。
このような状態下で、第1、第2の放電電極2a,2b間にパルス電力発生器7より電圧が約+20kV〜−20kVであるようなパルス電力を印加すると、両電極2a,2bの周辺部に設けられたエッジ形状部分間で放電が発生する。このとき両電極2a,2b間で気化した原料の一部電離した部分にパルス状の大電流が流れる。その後、ピンチ効果によるジュール加熱によって、両電極2a,2b間の周辺部には、気化した原料による高温プラズマが形成され、この高温プラズマから波長13.5nmのEUV光が放射される。
放電部2により放出されたEUV光は、EUV光集光部3に設けられた斜入射型のEUV集光鏡3aにより集光され、チャンバ1に設けられたEUV光取出部4より図示を省略した露光装置の照射光学系へ導かれる。
EUV集光鏡3aは、径の異なる回転楕円体、または回転放物体形状のミラーを複数枚具える。これらのミラーは、同一軸上に、焦点位置が略一致するように回転中心軸を重ねて配置され、例えば、ニッケル(Ni)等からなる平滑面を有する基体材料の反射面側に、ルテニウム(Ru)、モリブデン(Mo)、およびロジウム(Rh)などの金属膜を緻密にコーティングすることで、0°〜25°の斜入射角度のEUV光を良好に反射できるように構成されている。
なお、EUV集光鏡3aにおける、複数のミラーの支持は、ミラーの径方向に伸びるスパイダと呼ばれる棒状の固定用部材で行われる。
上記した放電部2とEUV光集光部3との間には、EUV集光鏡3aのダメージを防ぐために、ホイルトラップ11が設置される。ホイルトラップ11は、第1および第2の放電電極2a,2bが高温プラズマによってスパッタされて生じる金属粉等のデブリや、原料のSnまたはLiに起因するデブリを捕捉してEUV光のみを通過させる。
上記のEUV光顔装置によれば、第1および第2の放電電極2a,2bが回転しているので、両電極2a,2bにおいてパルス放電が発生する位置はパルス毎に変化する。よって、第1および第2の放電電極2a,2bが受ける熱的負荷は小さくなり、放電電極の磨耗スピードが減少し、放電電極2a,2bの長寿命化が可能となる。
なお、EUV光源装置は、上記の原料供給ユニット8、排気装置5、パルス電力発生器7、モータ6、レーザ照射器9などを制御する制御部10を備える。また、制御部10はEUV光源装置が取り付けられる露光機(不図示)の制御部100と信号のやり取りを行う。
図2に本発明の実施例のパルス電力発生部の構成例を示す。
なお、前記したように、本実施例と本実施例の変形例(図4)においても、充電器CHにより充電されるコンデンサをC0、一対の電極と接続するコンデンサをC2、一対の電極とコンデンサC2との間に接続される可飽和リアクトルをSR3と呼ぶことにする。
図2のパルス電力発生器7は、前記図8に示すパルス電力発生器30から昇圧トランスTr1、コンデンサC1、磁気スイッチSR2を除去したものであり、可飽和リアクトルからなる磁気スイッチSR1、SR3を有する。磁気スイッチSR1は、IGBT等の半導体スイッチング素子である固体スイッチSWでのスイッチングロスの低減用の磁気アシストであり、可飽和リアクトルSR3に比べ、コアが飽和するまでのVT積(印加される電圧と印加時間の積)は小さく、電圧が印加されると比較的短時間で飽和する。
図2のパルス電力発生器7は、充電器CHと、この充電器により充電されるコンデンサC0と、該コンデンサC0に並列に接続され、ターンオン動作によりコンデンサC0からコンデンサC2へのエネルギー移行を行うスイッチSWと磁気スイッチSR1とコンデンサC2を直列接続した直列回路と、コンデンサC2の一方の端子と第2の回転電極2b間に接続される可飽和リアクトルSR3から構成され、コンデンサC2の他方の端子は、第1の回転電極2aに接続される。
また、図2には、図8では省略されているリセット回路部71が示されており、リセット回路部71は、可飽和リアクトルSR1、SR3の2次巻線(リセット巻線)LR1,LR3に、インダクタンスLを介して定電流源Issより電流を流す。
なお、同図の矢印の方向に流れるリセット電流通流時、磁気スイッチ(磁気アシスト)SR1の2次巻線と可飽和リアクトルSR3の2次巻線は、逆方向に磁束が発生するようにコアに巻き回されている。
次に、図2に示したパルス電力発生器の動作を説明する。
充電器CHによる充電電圧が所定の値(VCH)に調整され、充電器CHが動作状態となる。その結果、コンデンサC0は充電される。コンデンサC0の充電が完了後、スイッチSWがonとなる。
スイッチSWがonとなったとき、コンデンサC0の電圧は主に磁気スイッチSR1の両端にかかる。その後、磁気スイッチSR1が飽和してonとなる。
磁気スイッチSR1がonとなると、コンデンサC0、スイッチSW、磁気スイッチSR1、コンデンサC2、コンデンサC0のループに電流が流れ、コンデンサC0に蓄えられた電荷が移行してコンデンサC2に充電される。
ここで、コンデンサC0からコンデンサC2への電荷の移行が完了し、コンデンサC2が十分に充電されると、レーザが第1の電極2aに塗布されているEUV発生種である高温プラズマ原料に照射される。
レーザを照射された高温プラズマ原料は気化し、気化した高温プラズマ原料は対向する第2の電極2bに達し、電極間に橋絡が発生する。
なお、後述するように、可飽和リアクトルSR3の2次巻線に対しては、コンデンサC2から可飽和リアクトルSR3を介して電極2a,2bに流れる励磁電流による磁束と同方向に磁束が発生する向きにリセット電流を流しているので、可飽和リアクトルSR3は飽和してonとなっている。
そして、負荷である第1の回転電極2aと第2の回転電極2bとの間にパルス幅の短いパルス電力が印加され、第1の電極2aと第2の電極2bとの間に大きな電流が流れ高温プラズマが発生する。
ここで、リセット回路部71は、磁気スイッチ(磁気アシスト)SR1の2次巻線LR1に対しては、インダクタンスLを介して定電流源Issより電流を流す構成であり、リセット電流の向きは、通常の磁気スイッチと同様である。すなわち、上記磁気スイッチSR1がonとなり、コンデンサC0から、スイッチSW、磁気スイッチSR1、コンデンサC2に流れる電流により生ずる磁気スイッチSR1のコアの残留磁束を打ち消す方向にリセット電流を流す。
一方、リセット回路部71は、可飽和リアクトルSR3の2次巻線LR3に対しては、当該可飽和リアクトルSR3を介して上記電極2a,2bに流入する電流に基づき生ずる残留磁束と同方向に磁束が生ずるようにリセット電流を流す。
すなわち、コンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極(回転電極2a、2b)からなる回路ループにおいて、可飽和リアクトルSR3のコアの初期動作点を磁束密度Bが正である側に設定する。
このように、リセット回路部71においては、磁気スイッチSR1に対するリセット電流と可飽和リアクトルSR3に対するリセット電流は流す方向が反対になる。
そのため、図2に示すように、磁気スイッチSR1の2次巻線(リセット電流手段)LR1と、可飽和リアクトルSR3の2次巻線(リセット電流手段)LR3とが直列に接続され一つの回路として構成されている場合は、2次巻線(リセット電流供給手段)LR3の巻線を、2次巻線(リセット電流手段)LR1の巻線と反対方向に巻くことで、リセット電流の方向を反対にすることができる。
上記したように、コンデンサC2と電極との間に設けられ可飽和リアクトルSR3は飽和しており、コンデンサC2が充電されている期間のインダクタンスが大きくならないように設定される。
よって、コンデンサC2が充電されると、直ちにコンデンサC2の電圧は負荷である第1の回転電極と第2の回転電極との間に印加される。なお、コンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極からなる回路ループのインダクタンスは小さく設定されるので、第1の回転電極と第2の回転電極との間に印加されるパルス電力のパルス幅は短パルスとなる。
なお、詳細な図示を省略したが、スイッチSWへの駆動信号は制御部10より送信される。例えば、スイッチSWがIGBTである場合、制御部10から送信される駆動信号は、ゲート信号としてスイッチSWに入力される。また、スイッチSWへは大電流が流れることになるので、スイッチSWは、例えば、複数のIGBTを並列に接続して構成される。
この場合、制御部10から送信される駆動信号であるゲート信号は、各ZGBTに入力される。
次に、上記可飽和リアクトルSR3についてさらに説明する。
本発明のEUV光源装置は、電極表面に供給されている高温プラズマ原料にレーザビームを照射して初期プラズマを形成する(真空アーク放電が開始する)時点と、電極間で放電が開始する時点との間の遅延時間をできるだけ短くするように構成するものである。
具体的には、図2のコンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極(回転電極2a、2b)からなる回路ループにおいて、可飽和リアクトルSR3のコアの初期動作点を磁束密度Bが正である側に設定する。すなわち、可飽和リアクトルSR3のコアの2次巻線LR3にインダクタンスLを介して定電流源Issより電流を流す構成のリセット回路部71において、2次巻線LR3を流れるリセット電流の向きは、可飽和リアクトルSR3を介して電極2a,2bに流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生するように設定する。
以下、可飽和リアクトルSR3の動作を、図3に示す可飽和リアクトルのコアの磁化曲線を用いて説明する。
ここで理解を容易にするために、初期状態において、可飽和リアクトルの動作点は0点にあるものとする。
(1)コアに巻かれた2次巻線LR3に流れるリセット電流により、コアの動作点が0点から(vii) 点に移動する。
(2)可飽和リアクトルSR3の前段のコンデンサC2からコアの主巻線に電流(励磁電流)が流れると、磁界強度Hが増加し、可飽和リアクトルのコアの動作点は図8の点(vii) から点(viii)に向かって移動する(飽和状態)。
(3)動作点(vii) →(viii)の経路においては、B−H特性の傾き(透磁率)が小さい。すなわち、磁界強度の変化(電流の変化)はほとんど磁束の変化を起こさないので、可飽和リアクトルSR3は磁気スイッチとしては機能しない。すなわち、動作点(vii) (viii)における磁気スイッチのインダクタンスが非常に小さい状態であるので、コンデンサC2に充電された電圧は直ちに電極2a,2b間に印加される。
(4)可飽和リアクトルが飽和しているときのコアの動作点は、点(vii) よりもはるかに磁界強度Hが大きい点(viii)にあるが、電流の減少とともにHが小さい方(点(viii)から点(vii) への方向)に移動する。電流が0となったときの動作点は点(vi)となり、リセット電流が流れていない場合、動作点は点(vi)で停止して可飽和リアクトルSR3のコアに磁束が残る(残留磁束)。
(5)この状態で、再び図2のスイッチSWを投入するとコアの動作点は点(vi)から点(vii) を通り点(viii)に移動する。
上記と同様、動作点(vi)→(vii) →(viii)の経路においても可飽和リアクトルSR3のインダクタンスは小さい状態であるので、コンデンサC2に充電された電圧は直ちに電極2a,2b間に印加される。
但し、電流が0となったときの動作点である点(vi)の位置は必ずしも安定しない。なぜならB−H曲線の第2象現において、Hが負の領域でもdB/dH(すなわち透磁率、あるいはインダクタンス)の小さい領域が若干存在する。したがって、一般的にサイン波形である電流が半周期流れた後、逆方向電流が一瞬流れる。
その後、B−H曲線の非飽和(高インダクタンス)領域によって電流は遮断される。そのときの残留磁束密度は、放電条件によって異なるため、電流が0となったときの動作点である点(vi)の位置は必ずしも安定しない。
そのため、初回の放電動作以降もコアの残留磁束と同方向に磁束が発生するような方向にリセット電流を常時流し続けておくことにより、常に放電動作においてコアの動作点が点(vii) となるように設定する。このように設定することにより、コンデンサC2に充電された電力が電極間に印加される動作が安定に行われ、結果として放電pulse to pulseの安定性が向上する。
なお、図2に示すリセット回路部71において、2次巻線LR1にリセット電流が流れることにより、磁気アシストSR1のコアの残留磁束と逆方向に磁束が発生する。
すなわち、図2の矢印の方向に流れるリセット電流通電時、磁気アシストSR1のコアの残留磁束と逆方向に磁束が発生するように2次巻線LR1はコアに巻き回されている。これに対し、可飽和リアクトルSR3の残留磁束と同方向に磁束が発生するように、2次巻線LR3はコアに巻き回されている。
ここで、上記可飽和リアクトルSR3が必要な理由について説明する。
LAGDPP方式の光源装置においては、上記可飽和リアクトルSR3を省略した場合においても、レーザ照射のタイミングと高電圧パルス発生器7のスイッチSWがonとなるタイミングを調整することで、原理的には本発明と同様に、レーザ照射タイミングと放電開始タイミングとの遅延時間を小さくすることが可能である。
しかし、上記回路ループから可飽和リアクトルSR3を省略すると、放電発生後、反転電流により生ずる逆方向の電流が電極間に流れることになり、放電が安定しないという問題が生ずる。
上記ように、可飽和リアクトルSR3を設けることで、反転電流方向に対して可飽和リアクトルSR3は高インダクタンスを示すので、実質的にコンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極2a,2b(回転電極)からなる回路ループに流れる反転電流はブロックされる。
よって、逆方向に充電されるコンデンサC2への電力の殆どをパルス電力発生器の充電側に回生することが可能となり、EUV光源装置の運転効率が上昇する。なお、パルス電力発生器における回生方法に関しては、公知であるのでここでは説明を省略する。
以上のように本発明では、可飽和リアクトルSR3の2次巻線にリセット電流を流して、可飽和リアクトルSR3を飽和状態にすることにより、スイッチSWをonにしてから、コンデンサC2に充電された電圧が電極2a,2bに印加とされるまでの遅延時間を減少させているが、可飽和リアクトルSR3を飽和状態にせずに、可飽和リアクトルSR3による遅れに合わせて、レーザの照射タイミングを遅らせることも考えられる。
しかし、この方法は、次のような理由で実現が難しい。
すなわち、EUV光源装置においては、その出力を制御するため、充電器CHの電圧を制御することが行われているが、磁気スイッチは電圧が変わるとそれに応じて飽和するまでの時間が変化する。このため、可飽和リアクトルSR3を本発明のように飽和状態にさせない場合には、充電器CHの電圧を変える毎に、磁気スイッチの遅れに合わせて、レーザの照射タイミングを変える必要がでてくる。
しかし、このように、磁気スイッチの遅れ時間に合わせてレーザの照射タイミングを変えるのは難しく、通常は、高電圧パルス発生器のスイッチSWをonにしてからレーザ照射するまでのタイミングを調整している。このため、可飽和トランス(磁気スイッチ)の遅れ時間が変わると、レーザの照射タイミングがずれてしまうことになる。本発明のような構成することで、磁気スイッチの遅れに殆ど影響されることなく、レーザの照射タイミングを設定することができる。
なお、可飽和リアクトルSR0は磁気アシストであり、遅れ時間も小さいので、この可飽和リアクトルによる遅れはあまり問題とならない。
以上のように、本実施例においては、可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対して、当該可飽和リアクトルを介して上記電極に流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流すようにしたので、スイッチSWをonにしてから放電発生までの時間を短くすることができ、レーザ照射のタイミングに合わせて、放電を発生させることが可能となり、変換効率のよいEUV放射を得ることができる。
また、可飽和リアクトル(SR3)による遅れを小さくすることができ、また、回路動作を遅延させる回路素子を極力少なくしたので、回路動作を高速化することができ、繰り返し周波数を大きくすることが可能となる。
図4は、上記実施例の変形例を示す図であり、図2の高電圧パルス発生器において、リセット回路部を分割し、可飽和リアクトルSR1に対するリセット電流手段LR1と、可飽和リアクトルSR3に対するリセット電流手段LR3を別々の回路として構成した例であり、その他の構成は、図2と同じである。
すなわち、図4に示すように、磁気スイッチSR1の2次巻線LR1にリセット電流を流す定電流源Iss1とインダクタンスL1の直列回路からなる第1のリセット回路71−1と、可飽和リアクトルSR3の2次巻線LR3にリセット電流を流す定電流源Iss2とインダクタンスL2の直列回路からなる第2のリセット回路71−2を設ける。そして、同図の矢印に示すように、第1のリセット回路71−1と第2のリセット回路71−2の電流方向を逆方向とする。
このように構成すれば、リセット電流供給手段LR3の巻線とリセット電流供給手段LR1の巻線が同じ方向に巻かれていても、それぞれの回路の電流の向きを反対にすることで、可飽和リアクトルSR3に対するリセット電流と可飽和リアクトルSR1に対するリセット電流の方向を反対にすることができる。
図5に、レーザビームの照射からEUV放射が発生するまでの時間的経過を説明するための図を示す。
図5(a)は、放電プラズマの時間的経過、(b)は、図2のコンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極(回転電極)からなる回路ループを流れる電流の電流波形、(c)は、コンデンサC2の電圧の電圧波形を示す。
(1)点(1)において、レーザビームが電極表面に供給されている高温プラズマ原料(例えば、Sn)に照射される。レーザビームが照射された高温プラズマ原料の一部は気化し、ガス状の高温プラズマ原料が初期プラズマとして噴出する。
なお、初期プラズマにおけるイオン密度、電子温度は、例えば、1016cm-3程度、1eV以下程度である。また、初期プラズマの密度等は、レーザビームの照射強度を制御することにより調整される。
(2)時点(2)において、初期プラズマによる電極間橋絡状態となり、真空アーク放電が開始する。放電開始直後の初期プラズマの形状は、細い形状を示す。
ここで、電極間で放電が開始したことにより、図2、図4に示す高電圧パルス発生器のコンデンサC2、可飽和リアクトルSR3、電極2a,2b(回転電極)からなる回路ループ内で電流が流れる。
(3)上記したように、可飽和リアクトルSR3のコアの動作点は、初期状態では、図2に示すようなリセット回路71により図3の(vii) 点に設定されている。そして、上記回路ループ内で電流が流れる(すなわち、可飽和リアクトルSR3の主巻線に電流が流れる)ことにより、コアにおける磁界強度Hが増加し、可飽和リアクトルのコアの動作点は図3の点(vii) から点(viii)に向かって移動する。
(4)上記したように、動作点(vii)(viii) における可飽和リアクトルSR3のインダクタンスが非常に小さい状態であるので、コンデンサC2に充電された電力は直ちに電極2a,2b間に印加され、電極2a,2b間で放電が発生する。なお、この時点で放電が発生する空間には高温プラズマ原料が十分に供給されているので、電極間で発生する放電はガス放電となる。
(5)電極2a,2b間で放電発生後、電極間を流れる大電流によるピンチ効果により、レーザビームの照射により生成した初期プラズマは加熱される(時点(4)〜(5))。(6)時点(6)において、加熱により高温となったプラズマのイオン密度は1017〜1020cm-3、電子温度は20〜30eV程度に到達し、この高温プラズマからEUVが放射される。
上記期間(2)において、電極2a,2b間では真空アーク放電が開始して初期プラズマが形成される。この時点でコンデンサC2が充電されていると、可飽和リアクトルSR3のインダクタンスは上記したように小さくなるよう設定されているので、電極間にコンデンサC2に充電された電力が直ちに印加される。
そのため、初期プラズマの形状が膨張によって崩れてしまう前に電極間で放電が発生するので、ピンチ効果による圧縮が十分行われ、EUVを放射する高温プラズマのサイズを小さくすることができる。
よって本発明のEUV光源装置はリソグラフィ用光源として好適である。このように、初期プラズマの形成時点後、直ちに電極間にて放電を発生させることができるので、効果的にコンデンサC2のエネルギーを初期プラズマに注入することが可能となり、初期プラズマは効率よく加熱される。
図6は、EUV放射の発光の変換効率と、EUV放射の光強度を示す図であり、図6(a)にレーザ照射タイミングと放電開始タイミングとの遅延時間を変化させたときのEUV放射の発光の変換効率を示す。
同図は、横軸がレーザが原料に照射されてから、放電が開始するまでの遅延時間(ns)であり、縦軸がEUV放射の変換効率(CE)である。なお、変換効率とは、プラズマから放射されたEUVのエネルギーを電極間の放電に使われたエネルギーで割った値である。
また、図6(b)は、が本発明の場合のEUV放射の光強度を示す図であり、図6(c)が従来の場合である。
図6(b)においては、上記したように、可飽和リアクトルSR3のコアの動作点は、リセット回路71により、図3の(vii) 点に設定されている。そのため、レーザが照射されるとすぐ(約300ns後)に、コンデンサC2に充電された電力は直ちに電極間に印加され、電極間で放電が発生する。レーザ照射から放電開始までの時間が短いので、レーザ照射により気化したプラズマ原料はあまり大きくは広がっていない。したがって、高密度のプラズマを形成することができ、高い変換効率でEUVが放射される。
一方、図6(c)においては、可飽和リアクトルSR3のコアの動作点は、初期状態では、リセット回路により図10の(i) 点に設定されている。そのため、レーザが照射されても、コアの動作点が点(iii) に達するまでコンデンサC2に充電された電力が電極間に供給されず、放電が始まるまで約900nsかかる。
そのため、電極2a,2b間で放電が発生したときには、レーザ照射により気化した原料ガスは大きく広がって密度の薄いものになっており、したがってプラズマが形成されても、高い変換効率でEUVを放射することができない。
すなわち、図6(a)に示すように、遅延時間が短い方がEUV放射の変換効率は高く、遅延時間が長くなるほど変換効率は低くなるので、本発明のように可飽和リアクトルSR3のコアの動作点を、リセット回路により、図3の(vii) 点に設定しておけば、レーザ照射から放電発生までの時間を短くすることができ、その結果変換効率のよいEUV放射を得ることができる。
本発明が適用されるEUV光源装置の構成例を示す図である。 本発明の実施例の高電圧パルス発生部の構成例を示す図である。 本発明における可飽和リアクトルSR3の動作を説明するための可飽和リアクトルのコアの磁化曲線を示す図である。 本発明の実施例の高電圧パルス発生部の変形例を示す図である。 本発明において、レーザビームの照射からEUV放射が発生するまでの時間的経過を説明する図である。 EUV放射の発光の変換効率と、EUV放射の光強度を示す図である。 LAGDPP方式のEUV光源装置の断面図である。 昇圧用のパルストランス方式を採用したDPP方式EUV光源装置に用いられるパルス電力発生器の構成例を示す図である。 リセット機能を付加した可飽和リアクトルの模式図である。 可飽和リアクトルのコアの磁化曲線を示す図である。 LAGDPP方式の光源装置に図8に示すパルス電力発生器を用いた場合のレーザ照射からEUV放射が発生するまでの時間的経過を示す図である。
符号の説明
1 チャンバ
2 放電部
2a,2b 放電電極(回転電極)
2c 絶縁材
3 EUV光集光部
4 EUV光取出部
5 排気装置
6 モータ
6a 回転軸
6b メカニカルシール
7a,7b 摺動子
7 パルス電力発生器
71 リセット回路部
8 原料供給ユニット
9 レーザ照射機
10 制御部
CH 充電器
C0,C2 コンデンサ
SR1、SR3 磁気スイッチ(可飽和リアクトル)
SW スイッチ
LR1,LR3 2次巻線
Iss 定電流源
L,L1,L2 インダクタンス

Claims (4)

  1. 極端紫外光を放射させるための液体または固体の原料を供給する原料供給手段と、エネルギービームを上記原料に照射して当該原料を気化するエネルギービーム照射手段と、
    気化された上記原料を放電により上記容器内で加熱励起し高温プラズマを発生させるための、所定距離だけ離間した一対の電極と、
    電極にパルス電力を供給するパルス電力供給手段とを備えた極端紫外光光源装置において、
    上記パルス電力供給手段は、充電器(CH)と、
    負荷である一対の電極と接続するコンデンサ(C2)と、
    負荷である一対の電極と上記コンデンサとの間に接続される可飽和リアクトル(SR3)を有しており、
    上記可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対して、当該可飽和リアクトルを介して上記電極に流入する電流に基づき生ずる磁束と同方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流すリセット電流供給手段(LR3)が設けられている
    ことを特徴とする極端紫外光光源装置。
  2. 請求項1に記載の極端紫外光光源装置において、
    上記パルス電力供給手段は、
    上記充電器により充電される第2のコンデンサ(C0)と、
    上記第1のコンデンサ(C2)と上記第2のコンデンサ(C0)との間に接続される第2の可飽和リアクトル(SR1)と、をさらに備えた高繰り返しが可能なパルス電力供給手段であって、
    該第2の可飽和リアクトル(SR1)には、その2次巻線に対して、当該可飽和リアクトルを介して上記第1のコンデンサ(C2)に流入する電流に基づき生ずる磁束と反対方向に残留磁束が発生する向きにリセット電流を流す第2のリセット電流供給手段(LR1)が設けられている
    ことを特徴とする極端紫外光光源装置。
  3. 上記可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対してリセット電流を流すリセット電流供給手段(LR3)と、上記第2のリセット電流供給手段(LR1)は接続されて一つの回路として構成されており、
    第2のリセット電流供給手段(LR1)の巻線は、リセット電流供給手段(LR3)の巻線と反対方向に巻かれている
    ことを特徴とする請求項2に記載の極端紫外光光源装置。
  4. 上記可飽和リアクトル(SR3)の2次巻線に対してリセット電流を流すリセット電流供給手段(LR3)と、上記第2のリセット電流供給手段(LR1)は別々の回路として構成されており、
    第2のリセット電流供給手段(LR1)に流れる電流に向きと、(第1の)リセット電流供給手段に流れる電流の向きは反対である
    ことを特徴とする請求項2に記載の極端紫外光光源装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016031795A (ja) * 2014-07-28 2016-03-07 株式会社Ihi プラズマ光源の電源装置
CN106211531A (zh) * 2016-07-06 2016-12-07 哈尔滨工业大学 激光辅助锡介质ldp通过磁力拖动电极的放电真空室
WO2023188484A1 (ja) * 2022-03-30 2023-10-05 ウシオ電機株式会社 光源装置
RU2817541C1 (ru) * 2023-12-29 2024-04-16 Акционерное общество "Научно-производственное предприятие "Исток" имени А.И.Шокина" Безнакальный катод для активного элемента лазера на парах металлов

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