JP2010139941A - ハードコートフィルム、ハードコートフィルムの製造方法、偏光板及び表示装置 - Google Patents

ハードコートフィルム、ハードコートフィルムの製造方法、偏光板及び表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高硬度で、且つフィルムの巻き締まりによるブロッキングが抑制された平面性に優れるハードコートフィルム、及び該ハードコートフィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムにおいて、該ハードコート層の膜厚が、8μm以上、40μm以下であって、かつ該透明フィルム基材が、セルロースエステルの存在下、多塩基酸またはその無水物と多価アルコールとのエステル化反応、またはL−ラクチド、D−ラクチドの開環重合などを行わせることにより生成したセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とするハードコートフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明はハードコートフィルム、ハードコートフィルムの製造方法、偏光板及び表示装置に関する。
近年、画像表示装置の最表面の性能として物理的な損傷を受け易く、損傷を受けると表示画像品質を損なうので、ハードコート材を保護層にしたフィルム(以下、ハードコートフィルムという)を表面に設けた液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示体が、急速に普及している。とりわけ、液晶ディスプレイは大型化し、かつ不特定多数の消費者に使用されるようになったため、それに用いるハードコート材は、より高い硬度が要求されている。しかし、より高い硬度を得ようとして、ハードコート層の厚みを増加させると、ハードコート層の硬化収縮によるカールが大きくなる問題があった。
また、例えば、夏季のような高温、高湿の時期を想定した状態で、ハードコート層とハードコート層を形成していない面とを重ねておいた際、またはハードコートフィルムをロール状に巻き取った状態で保管しておくと、面同士がくっつき(ブロッキング)、ハードコート層表面にキズ等をつけると言った問題の発生しやすく、特に硬化収縮によるカールが大きい、ハードコートフィルムでは、フィルムの巻き締りが起こり、それによってフィルム間での空気層が得られにくく、よりフィルム同士がブロッキングしやすかった。これによって商品価値や生産性の低下を招いており、早急な解決が望まれていた。
ブロッキング防止として、例えば親水性無機質粉体を含む塩化ビニリデン樹脂系水性コーティング剤の技術が知られている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。しかしながら、高硬度ハードコート層を有したフィルムでのブロッキング防止効果は十分な効果が得られなかった。
特開平5−132645号公報 特開平9−291250号公報
従って、本発明の目的は、高硬度で、且つフィルムの巻き締まりによるブロッキングが抑制された平面性に優れるハードコートフィルム、及び該ハードコートフィルムの製造方法を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムにおいて、該ハードコート層の膜厚が、8μm以上、40μm以下であって、かつ該透明フィルム基材が下記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とするハードコートフィルム。
Figure 2010139941
[式中、A、Bは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基または、水酸基で置換された炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。但しAとBは同じであっても異なっていてもよい。]
2.前記透明フィルム基材が熱可塑性アクリル樹脂を含有し、該熱可塑性アクリル樹脂を前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して10質量部以上含有することを特徴とする前記1に記載のハードコートフィルム。
3.前記透明フィルム基材が熱可塑性アクリル樹脂を含有し、該熱可塑性アクリル樹脂を前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して50質量部以上含有することを特徴とする前記1に記載のハードコートフィルム。
4.前記ハードコート層が、重合性不飽和基を有する有機化合物によって表面処理された反応性シリカ粒子(Xa)を含有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
5.前記ハードコート層のマルテンス硬さ(HMs)が、400N/mm以上、800N/mm以下で有ることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
6.前記透明フィルム基材の膜厚が10μm以上、30μm以下であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
7.前記1〜6のいずれか1項に記載のハードコートフィルムのハードコート層の形成において、光照射後、更に加熱処理する工程からなることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
8.前記加熱処理をする工程において搬送方向または巾手方向にハードコートフィルムを300N〜500N/mで張力することを特徴とする前記7に記載のハードコートフィルムの製造方法。
9.前記1〜6のいずかれ1項に記載のハードコートフィルムを一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
10.前記9に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。
本発明によれば、高硬度で、且つフィルムの巻き締まりによるブロッキングが抑制された平面性に優れるハードコートフィルム、及び該ハードコートフィルムの製造方法を提供することができる。また、該ハードコートフィルムを用いた偏光板、表示装置を提供できる。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のハードコートフィルムは、透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムであり、該ハードコート層の膜厚が、8μm以上、40μm以下であって、かつ該透明フィルム基材が前記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする。
本発明では、高硬度なハードコート層を形成する為にハードコート層の膜厚(ドライ膜厚)を厚くする(8μm以上、40μm以下)際に発生し易い、硬化収縮によるフィルムの巻き締まりによるブロッキングを、該ハードコート層を上記特定構造のセルロースエステル樹脂を用いた透明フィルム上に設けることで顕著に抑制できることを見出し、本発明を成すに至った次第である。
以下本発明の特徴の一つであるハードコート層について説明する。
<ハードコート層>
本発明では、高硬度を発揮する点から、ハードコート層の膜厚(ドライ膜厚)は8μm以上、40μm以下であり、好ましくは14μm以上、26μm以下である。膜厚を前記範囲とする事で、表面硬度、ブロッキング耐性、平面性の全てにおいて優れる。膜厚が8μmよりも薄いと本発明の効果である高硬度とブロッキング耐性の両立が得られない。また、膜厚が40μmよりも厚いとハードコート層の平面性が保ちにくく、画像表示装置の保護フィルムとしての品質が得られない。
高硬度は、LCD等の表示装置の表面における使用や偏光板化工程において傷が付きにくいことから望まれおり、本発明でいう高硬度とは、硬度の指標で有る鉛筆硬度が3H以上であり、より好ましくは4H以上である。
鉛筆硬度は、作製したハードコートフィルムを温度23℃、相対湿度55%の条件で2時間以上調湿した後、JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した値である。
また、ハードコートのマルテンス硬さ(HMs)が、400N/mm以上、800N/mm以下であることが好ましい。該範囲にマルテンス硬さを調整することで、表面硬度に優れ、かつ本発明の目的効果がより良く発揮される。
マルテンス硬さ(ビッカース硬さ)とは、ビッカース圧子及び稜線同士の角度が115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計で、フィルムのハードコート表面を、ハードコート層の膜厚の略1/10の厚みまで圧子を押し込んだ時の負荷試験力−押し込み深さ曲線において、該負荷試験力−押し込み深さ曲線から求められる最大負荷試験力(Fmax)の50%値から90%値までの押し込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾き(m)より、下記式で定義される値をいう。
1HMs=1/(26.4m
次に、ハードコート層を形成する樹脂バインダーについて説明する。樹脂バインダーとしては、活性エネルギー線硬化樹脂が好ましい。活性エネルギー線硬化樹脂とは、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂をいう。活性エネルギー線硬化樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられ、紫外線や電子線のような活性線を照射することによって硬化させて活性エネルギー線硬化樹脂層が形成される。活性エネルギー線硬化樹脂としては紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等が代表的なものとして挙げられるが、特に、紫外線硬化樹脂が機械的膜強度(耐擦性、鉛筆硬度)に優れる点から好ましい。
紫外線硬化樹脂としては、多官能アクリレートが好ましい。該多官能アクリレートとしては、ペンタエリスリトール多官能アクリレート、ジペンタエリスリトール多官能アクリレート、ペンタエリスリトール多官能メタクリレート、及びジペンタエリスリトール多官能メタクリレートよりなる群から選ばれることが好ましい。ここで、多官能アクリレートとは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基及び/またはメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレートのモノマーとしては、例えばエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、イソボロニルアクリレート等が好ましく挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独または2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。エネルギー活性線硬化性樹脂の添加量は、ハードコート層形成組成物中(以下、ハードコート層塗布液とも言う。)では、固形分中の15質量%以上70質量%未満であることが好ましい。
また、ハードコート層にはエネルギー活性線硬化性樹脂の硬化促進のため、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤量としては、質量比で、光重合開始剤;エネルギー活性線硬化性樹脂=20:100〜0.01:100で含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
ハードコート層には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゼラチン等の親水性樹脂等のバインダーを用いることもできる。また、ハードコート層には滑り性や屈折率を調整するために無機化合物または有機化合物の粒子を含んでもよい。
ハードコート層に使用される無機粒子としては、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
また有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、またはポリ弗化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物を加えることができる。特に好ましくは、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)、フッ素含有アクリル樹脂微粒子が挙げられる。フッ素含有アクリル樹脂微粒子としては、例えば日本ペイント製:FS−701等の市販品が挙げられる。また、アクリル粒子として、例えば日本ペイント製:S−4000、アクリル−スチレン粒子として、例えば日本ペイント製:S−1200、MG−251等が挙げられる。
これらの微粒子粉末の平均粒径としては、0.01〜5μmが好ましく0.1〜5.0μm、更に、0.1〜4.0μmであることが特に好ましい。また、粒径の異なる2種以上の微粒子を含有することが好ましい。硬化性樹脂組成物と微粒子の割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.1〜30質量部となるように配合することが望ましい。
本発明においては、より過酷な耐久性試験後に目的効果をより良く発揮する点から、ハードコート層に重合性不飽和基を有する有機化合物によって表面処理された反応性シリカ粒子(Xa)を含有させることが好ましい。以下、重合性不飽和基を有する有機化合物によって表面処理された反応性シリカ粒子(Xa)について説明する。
〈シリカ粒子〉
シリカ粒子としては、公知のものを使用することができる。また、その形状は、球状でも不定形のものでもよく、通常のコロイダルシリカに限らず中空粒子、多孔質粒子、コア/シェル型粒子等であっても構わない。
また、動的光散乱法で求めたシリカ粒子の数平均粒子径は30nm以上が好ましく、更に好ましくは30〜200nmであり、特に好ましくは、40〜80nmである。シリカ粒子の数平均粒子径が30nm未満であると、硬化膜の硬度が低下するおそれがあり、200nmよりも大きいとハードコート層用塗布組成物に添加時した際、液の安定性(沈殿、析出等)が得られにくい。またシリカ粒子としては、pHが2.0〜6.5のコロイダルシリカが好ましい。シリカ粒子の分散媒は、水あるいは有機溶媒が好ましい。有機溶媒としては、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエ−テル類等の有機溶剤を挙げることができ、これらの中で、アルコール類及びケトン類が好ましい。これら有機溶剤は、単独で、又は2種以上混合して分散媒として使用することができる。市販品としては、例えば、コロイダルシリカとして、日産化学工業(株)製MEK−ST−L、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL等を挙げることができる。
〈重合性不飽和基を有する有機化合物〉
反応性シリカ粒子(Xa)は、重合性不飽和基を有する有機化合物(以下、「有機化合物(X)」という)で表面処理することによって得られる。反応性シリカ粒子(Xa)の製造に用いられる有機化合物(X)は、重合性不飽和基、好ましくはエチレン性不飽和基を有する化合物であり、さらに、下記一般式(a)に示す基を含む有機化合物であることが好ましい。また、[−O−C(=O)−NH−]基を含み、さらに、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つを含むものであることが好ましい。また、この有機化合物は、分子内にシラノール基を有する化合物又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物であることが好ましい。
Figure 2010139941
[一般式(a)中、Uは、NH、O(酸素原子)又はS(イオウ原子)を示し、Vは、O又はSを示す。]
[1]エチレン性不飽和基
有機化合物(X)に含まれるエチレン性不飽和基としては特に制限はないが、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基を好適例として挙げることができる。
このエチレン性不飽和基は、活性ラジカル種により付加重合をする構成単位である。
[2]前記一般式(a)に示す基
有機化合物に含まれる前記式(a)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、具体的には、[−O−C(=O)−NH−]、[−O−C(=S)−NH−]、[−S−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=O)−NH−]、[−NH−C(=S)−NH−]、及び[−S−C(=S)−NH−]の6種である。これらの基は、1種単独で又は2種以上を組合わせて用いることができる。中でも、熱安定性の観点から、[−O−C(=O)−NH−]基と、[−O−C(=S)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基の少なくとも1つとを併用することが好ましい。
前記式(a)に示す基[−U−C(=V)−NH−]は、分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、硬化物にした場合、優れた機械的強度、基材や隣接層との密着性に優れる。
[3]シラノール基又は加水分解によってシラノール基を生成する化合物
シラノール基を生成する化合物としては、ケイ素原子にアルコキシ基、アリールオキシ基、アセトキシ基、アミノ基、ハロゲン原子等が結合した化合物を挙げることができるが、ケイ素原子にアルコキシ基又はアリールオキシ基が結合した化合物、即ち、アルコキシシリル基含有化合物又はアリールオキシシリル基含有化合物が好ましい。
[4]好ましい態様
好ましい具体例としては、例えば、下記一般式(b)に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2010139941
一般式(b)中、R21、R22は、同一でも異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基若しくはアリール基であり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、フェニル、キシリル基等を挙げることができる。ここで、jは、1〜3の整数である。
[(R21O)22 3−jSi−]で示される基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができる。このような基のうち、トリメトキシシリル基又はトリエトキシシリル基等が好ましい。
23は、炭素数1〜12の脂肪族又は芳香族構造を有する2価の有機基であり、鎖状、分岐状又は環状の構造を含んでいてもよい。具体例として、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキサメチレン、シクロヘキシレン、フェニレン、キシリレン、ドデカメチレン等を挙げることができる。
24は、2価の有機基であり、通常、分子量14から1万、好ましくは、分子量76から500の2価の有機基の中から選ばれる。具体例として、ヘキサメチレン、オクタメチレン、ドデカメチレン等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン、ノルボルニレン等の脂環式又は多環式の2価の有機基;フェニレン、ナフチレン、ビフェニレン、ポリフェニレン等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。また、これら2価の有機基は炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよく、ポリエーテル結合、ポリエステル結合、ポリアミド結合、ポリカーボネート結合を含むこともできる。
25は、(k+1)価の有機基であり、好ましくは、鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基の中から選ばれる。
Zは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を示す。また、kは、好ましくは、1〜20の整数であり、さらに好ましくは、1〜10の整数、特に好ましくは、1〜5の整数である。
一般式(b)で示される化合物の具体例として、下記(b−1)又は下記(b−2)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2010139941
[(b−1)及び(b−2)中、「Acryl」は、アクリロイル基を示す。「Me」は、メチル基を示す。]
有機化合物(X)の合成は、例えば、特開平9−100111号公報に記載された方法を用いることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシランとイソホロンジイソシアネートをジブチルスズジラウレート存在下で混合し、60〜70℃で数時間程度反応させた後に、ペンタエリスリトールトリアクリレートを添加して、さらに60〜70℃で数時間程度反応させることにより製造される。
〈(Xa)反応性シリカ粒子〉
有機化合物(X)をシリカ粒子と混合し、加水分解させ、両者を結合させる。
シリカ粒子への有機化合物(X)の結合量は、反応性シリカ粒子(Xa)を100質量%として、好ましくは、0.01質量%以上であり、さらに好ましくは、0.1質量%以上、特に好ましくは、1質量%以上である。上記範囲において分散性に優れ、得られる硬化物の機械強度にも優れる。
また、反応性シリカ粒子(Xa)製造時の原料中のシリカ粒子の配合割合は、好ましくは、5〜99質量%であり、さらに好ましくは、10〜98質量%である。反応性シリカ粒子(Xa)を構成するシリカ粒子の含有量は、65〜95質量%であることが好ましい。
ハードコート層用塗布組成物中の、反応性シリカ粒子(Xa)の含有量は、組成物中の固形分全量を100質量%としたときに、5〜80質量%が好ましく、10〜80質量%がより好ましい。該範囲の割合で用いる事で、組成物中で安定に存在し、本発明の目的効果も発揮しやすい。
ハードコート層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。例えば、ヒンダードフェノール誘導体、チオプロピオン酸誘導体、ホスファイト誘導体等を挙げることができる。具体的には、例えば、4,4′−チオビス(6−tert−3−メチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)メシチレン、ジ−オクタデシル−4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルホスフェート等を挙げることができる。
ハードコート層形成組成物には、溶媒が含まれていてもよく、必要に応じて適宜含有し、希釈されたものであってもよい。塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(トルエン、キシレン、)、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)またはプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いるのが好ましい。
ハードコート層は、JIS B 0601で規定される中心線平均粗さ(Ra)が0.001〜0.1μmのクリアハードコート層、または微粒子等を添加しRaが0.1〜1μmに調整された防眩性ハードコート層であってもよい。中心線平均粗さ(Ra)は光干渉式の表面粗さ測定器で測定することが好ましく、例えばWYKO社製非接触表面微細形状計測装置WYKO NT−2000を用いて測定することができる。
また、防眩性ハードコート層では、ハードコート表面にロールや原盤でエンボスにて凹凸形状を形成してもよい。
ハードコート層は上記したフッ素系化合物やシリコーン化合物を含有しても良い。また、以下に示す界面活性剤を含有してもよい。具体的には、花王株式会社製:エマルゲン102KG(6.3)、エマルゲン103(8.1)、エマルゲン104P(9.6)、エマルゲン105(9.7)、エマルゲン106(10.5)、エマルゲン108(12.1)、エマルゲン109P(13.6)、エマルゲン120(15.3)、エマルゲン123P(16.9)、エマルゲン147(16.3)、エマルゲン210P(10.7)、エマルゲン220(14.2)、エマルゲン306P(9.4)、エマルゲン320P(13.9)、エマルゲン404(8.8)、エマルゲン408(10.0)、エマルゲン409PV(12.0)、エマルゲン420(13.6)、エマルゲン430(16.2)、エマルゲン705(10.5)、エマルゲン707(12.1)、エマルゲン709(13.3)、エマルゲン1108(13.5)、エマルゲン1118S−70(16.4)、エマルゲン1135S−70(17.9)、エマルゲン2020G−HA(13.0)、エマルゲン2025G(15.7)、エマルゲンLS−106(12.5)、エマルゲンLS−110(13.4)、エマルゲンLS−114(14.0)、エマルゲンMS−110(12.7)、エマルゲンA−60(12.8)、エマルゲンA−90(14.5)、エマルゲンA−500(18.0)、エマルゲンB−66(13.2)、ラテムルPD−420(12.6)、ラテムルPD−430(14.4)、ラテムルPD−430S(14.4)、ラテムルPD−450(16.2)、レオドールSP−L10(8.6)、レオドールSP−P10(6.7)、レオドールSP−S10V(4.7)、レオドールSP−S20(4.4)、レオドールSP−O10V(4.3)、レオドールスーパーSP−L10(8.6)、レオドールAS10V(4.7)、レオドールAO−10V(4.3)、レオドールAO−15V(3.7)、エマゾールL−10V(8.6)、エマゾールP−10V(6.7)、エマゾールS−10V(4.7)、エマゾールO−10V(4.3)、レオドールTW−L120(16.7)、レオドールTW−L106(13.3)、レオドールTW−P120(15.6)、レオドールTW−S120V(14.9)、レオドールTW−S106V(9.6)、レオドールTW−S320V(10.5)、レオドールTW−O120V(15.0)、レオドールTW−O106V(10.0)、レオドールTW−O320V(11.0)、レオドールスーパーTW−L120(16.7)、レオドール430V(10.5)、レオドール440V(11.8)、レオドール460V(13.8)、レオドールMS−60(3.5)、レオドールMS−165V(11.0)、エキセルT−95(3.8)、エキセルVS−95(3.8)、エキセルO−95R(3.5)、エキセル200(3.5)、エキセル122V(3.5)、エマノーン1112(13.7)、エマノーン4110(11.6)、エマノーンCH−25(10.7)、エマノーンCH−40(12.5)、エマノーンCH−60(K)(14.0)、エマノーンCH−80(15.0)、アミート102(6.3)、アミート105(9.8)、アミート105A(10.8)、アミート302(5.1)、アミート320(15.4)、アミノーンPK−02S(5.5)、アミノーンL−02(5.8)、日信化学工業株式会社製:サーフィノール104E(4)、サーフィノール104H(4)、サーフィノール104A(4)、サーフィノール104BC(4)、サーフィノール104DPM(4)、サーフィノール104PA(4)、サーフィノール104PG−50(4)、サーフィノール104S(4)、サーフィノール420(4)、サーフィノール440(8)、サーフィノール465(13)、サーフィノール485(17)、サーフィノールSE(6)、サーフィノールSE−F(6)、サーフィノール61(6)、サーフィノール604(8)、サーフィノール2502(8)、サーフィノール82(4)、サーフィノールDF110D(3)、サーフィノールCT111(8〜11)、サーフィノールCT121(11〜15)、サーフィノールCT136(13)、サーフィノールTG(9)、サーフィノールGA(13)、オルフィンSTG(9〜10)、オルフィンE1004(7〜9)、オルフィンE1010(13〜14)、信越化学工業株式会社製:X−22−4272(7)、X−22−6266(8)、KF−351(12)、KF−352(7)、KF−353(10)、KF−354L(16)、KF−355A(12)、KF−615A(10)、KF−945(4)、KF−618(11)、KF−6011(12)、KF−6015(4)、KF−6004(5)等が挙げられる。( )内はHLB値を示す。HLB値とは、Hydrophile−Lipophile−Balance、親水性−親油性−バランスのことであり、化合物の親水性又は親油性の大きさを示す値である。HLB値が小さいほど親油性が高く、値が大きいほど親水性が高くなる。
前記フッ素系化合物、シリコーン化合物及び界面活性剤は、前記エネルギー活性線硬化性樹脂との含有質量比率をフッ素系化合物、シリコーン化合物及び界面活性剤:活性光線硬化樹脂=0.05:100〜5.00:100で用いることがハードコート層形成組成物中及びハードコート層で安定して存在する。
ハードコート層には更に、硬化助剤としてポリウレタン樹脂の側鎖にビニル基とカルボキシル基を有し、重量平均分子量が10000以上30000以下であり、且つ、二重結合当量が500以上2000以下であるポリマーやポリマーの側鎖にビニル基を有し、重量平均分子量(Mw)が10000以上100000以下であり、二重結合当量が1000以下、ポリマーTgが−50℃以上120℃以下であるアクリルポリマー、他官能チオール化合物等を含有させてもよい。他官能チオール化合物としては例えば1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカブトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。市販品としては昭和電工社製、商品名カレンズMTシリーズ等が挙げられる。
また、フッ素−アクリル共重合体樹脂を含有しても良い。フッ素−アクリル共重合体樹脂とは、フッ素単量体とアクリル単量体とからなる共重合体樹脂で、特にフッ素単量体セグメントとアクリル単量体セグメントとから成るブロック共重合体が好ましい。フッ素−アクリル共重合体樹脂の分子量は、数平均分子量で5000〜1000000が良く、好ましくは10000〜300000、更に好ましくは10000〜100000である。フッ素−アクリル共重合体樹脂の製造は、ポリメリックペルオキシドを重合開始剤とした。公知の製造プロセス(例えば特公平5−41668号公報、特公平5−59942号公報)により製造できる。ポリメリックペルオキシドとは1分子中に2個以上のペルオキシ結合を持つ化合物である。ポリメリックペルオキシドとしては、特公平5−59942号公報に記載されている各種ポリメリックペルオキシドの一種または二種以上を使用することができる。フッ素−アクリル共重合体樹脂の市販品としては、日本油脂株式会社の商品名、モディパーF−200、モディパーF−600、モディパーF−2020等が挙げられる。
また、ハードコート層の屈折率は23℃、波長550nm測定で、屈折率を1.4〜2.2の範囲に調整することが好ましい。屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子等を添加することで達成できる。金属酸化また、用いる金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であるものが好ましく、1.85〜2.50であるものが更に好ましい。
金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることができ、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。本発明においては、中でも酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが特に好ましい。特にアンチモン酸亜鉛粒子を含有することが好ましい。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑えることもできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でもシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
ハードコート層はπ共役系導電性ポリマーを含有しても良い。π共役系導電性ポリマーとは、主鎖がπ共役系で構成されている有機高分子であれば使用することができる。例えば、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、ポリフェニレン類、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリアセン類、ポリチオフェンビニレン類、及びこれらの共重合体が挙げられる。重合の容易さ、安定性点からは、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリアセチレン類が好ましい。
π共役系導電性ポリマーは、無置換のままでも十分な導電性やバインダー樹脂への溶解性が得られるが、導電性や溶解性をより高めるために、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、シアノ基等の官能基を導入してもよい。
また、イオン性化合物を含有しても良い。イオン性化合物としては、イミダゾリウム系、ピリジウム系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、脂肪族ホスホニウム系の陽イオンとBF 、PF 等の無機イオン系、CFSO 、(CFSO、CFCO 等のフッ素系の陰イオンとからなる化合物等が挙げられる。また、イオン性化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号にみられるようなアニオン性高分子化合物、特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号などにみられるような、主鎖中に解離基を持つアイオネン型ポリマー、特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853号、同62−9346号にみられるような、側鎖中にカチオン性解離基を持つカチオン性ペンダント型ポリマー等を挙げることが出来る。また、特開平9−203810号に記載されているアイオネン導電性ポリマー或いは分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性ポリマー樹脂(例えば、以下に示すP−1)などを含有することも望ましい。上記したポリマー化合物は、一般に約0.05μm〜0.5μmの粒子サイズ範囲にあり、好ましくは0.05μm〜0.2μmの範囲の粒子サイズである。該ポリマーとバインダーの比率はポリマー100質量部に対して、バインダーが10〜400質量部が基材フィルムとの密着性の点で好ましく、特に好ましくは、ポリマー100質量部に対して、バインダーが100〜200質量部である。
Figure 2010139941
その他、種々の表示素子に対する色補正用フィルターとして色調調整機能を有する色調調整剤(染料もしくは顔料等)、電磁波遮断剤または赤外線吸収剤等を含有させても良い。
(塗工工程)
ハードコート層形成において、本発明の効果が得られやすい事から、ハードコート層は塗布乾燥後に、光照射し、更に加熱処理する工程が好ましい。
加熱処理する工程は、例えば図1に示すような形態が挙げられる。また、加熱処理する工程としては、温湿度が調整可能な場所で行うことが必要であり、塵のないクリーンルーム等で行うことが好ましい。
加熱処理の好ましい温度は、目的効果がより良く発揮される点から、80℃以上、更に好ましくは120℃以上である。また、加熱処理の時間としては、20分以下が好ましい。20分より長い時間、加熱処理を実施しても、より良く得られる目的効果は変わらず、フィルムが熱による変色や変形等、外観劣化が生じやすくなる。
ここでいう加熱処理時間とは、所望の温度に一定に保持されている時間をいい、昇温時の時間、降温時の時間は含まないものとする。
保持する温度は設定温度の±5℃の範囲とすることが好ましい。加熱処理工程は複数室有っても良い。その場合は、各々温度を変えることができるように設計されていても良い。
図1は、照射後に連続して加熱処理する工程を示した概略図である。長尺フィルムYは繰り出しロール1より繰り出され、搬送ローラー2により搬送され、押出しコータ3によりハードコート層が塗布される。この時ハードコート層は単層構成でも、複数から構成されている層でもよい。ハードコート層が塗布された長尺フィルムYは、次いで乾燥ゾーン5により乾燥される。乾燥ゾーン5の温度は50〜150℃の範囲で行うことが好ましい。乾燥は長尺フィルムYの表面もしくは裏面或いは両面より、温湿度が制御された温風を吹き付けることにより施される。乾燥後、光線照射ランプユニット6内の空冷活性光線ランプ6aにより活性光線、例えば紫外線などを照射することにより膜を硬化する。或いは照射量や照射条件を制御してハーフキュア状態とすることもできる。活性光線照射は、予め20〜120℃に温度制御された対向ロール4に長尺フィルムYを巻いた状態で行うこともできる。
その際空冷用Air通風口6bから活性光線照射部の温度調整のために冷却風を送ることも好ましく、また、N用供給チャンバーからハードコート層の硬化を促進するためにNガスを供給することも好ましい。
光照射ランプの例としては、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。これらの光源は空冷もしくは水冷方式のものが好ましく用いられる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性光線の照射量は好ましくは、50mJ/cm〜1J/cmであり、特に好ましくは50〜500mJ/cmである。また照射部には窒素パージにより酸素濃度を0.01%〜5%に低減することが好ましい。
活性線を照射する際には、フィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、更に好ましくは幅方向にも張力を付与しながら行うことである。付与する張力は30〜500N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよく、テンターにて幅方向、または2軸方向に張力を付与してもよい。これによって更に平面性優れたフィルムを得ることができる。幅手張力付与方法は特に限定されず、フリースパン、バックロール上などでしてもよい。また、幅手方向に幅規制装置を用いて張力を付与する方法も効果があり、好ましくは3.0%以下での延伸、更に好ましくは0.05%〜1.0%である。
次いで、光照射後、加熱ゾーン7で熱処理される。加熱ゾーン7は上下に配置された搬送ローラー2により長尺フィルムYを所定の温度で所定の時間、加熱処理を行う。
加熱処理工程において、フィルムの搬送方向または巾手方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、付与する張力は50〜500N/mが好ましく、更に好ましくは、300〜500N/mである。300〜500N/mにおいて、より過酷な耐久性試験後において、本発明の目的効果がより良く発揮される。500N/mを超えると、フィルムの平面性が保ちにくくなる。幅手張力付与方法は特に限定されず、フリースパン、バックロール上などでしてもよい。また、幅手方向に幅規制装置を用いて張力を付与する方法も効果があり、好ましくは3.0%以下での延伸、更に好ましくは0.05%〜1.0%延伸である。
加熱処理を行った長尺フィルムYは、巻き取り室8において、巻き取りロール9として巻き取られる。その際温風吹き出し口10から所定の温度の温風を吹き付けながら行うことも好ましい。帯電防止、ゴミ付着防止対策として、上記温風は相対湿度10〜70%RHの範囲、好ましくは20〜70%RH、特に40〜60%RHに調整することが好ましい。また、温風がイオン風であることが好ましく、巻き取り部近傍に除電装置やエアークリーナーを設置することが好ましい。
加熱処理は、図2のように塗布、乾燥、光照射後、巻き取られたハードコートフィルムのロールを移動可能な台車12に載せ、加熱処理室Aで加熱処理する方法でもよい。
加熱処理処理Aでは、急激な温度上昇によるフィルムロールの巻き内外の温度差が大きくなり、巻き芯近くに皺等が入るのをさけるため、徐々に温度を上昇または下降させるようにすることが好ましい。具体的には、昇温速度、降温速度は0.3〜5℃/時間が好ましい。
また、ブロッキングを防止したり、巻き姿を良好に保つため、ナーリング加工を施すことが好ましい。ナーリング加工はフィルムの少なくとも一方の面に形成されていればよく、また両面に形成されていてもよい。ナーリング部の厚みは、ハードコート層の膜厚よりも厚くすることが好ましく、ナーリング部の厚みを5〜30μmの範囲にすることが好ましい。好ましくは10〜25μmの範囲である。
また、ハードコートフィルムをロール状に巻き取る際の、巻きコアとしては、円筒上のコアであれは、どのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアであり、プラスチック材料としては加熱処理温度に耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、例えばフェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。またガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。これらの巻きコアへの巻き数は、100巻き以上であることが好ましく、500巻き以上であることが更に好ましく、巻き厚は5cm以上であることが好ましい。また、ロール状に巻き取ったハードコートフィルムを、巻き取った状態で前記加熱処理を行う時、該ロールを回転させてもよい。
回転は、1分間に1回転以下の速度が好ましく、連続でもよく断続的な回転であってもよい。また、加熱期間中に該ロールの巻き替えを1回以上行うことも好ましい。
コアに巻き取られた長巻のハードコートフィルムを加熱処理中に回転させるために、加熱処理室に専用の回転台を設けることが好ましい。より好ましくは、耐熱性のある回転機能を有する専用の台車にハードコートフィルムをセットして、加熱室にて加熱処理中に回転させることである。
加熱処理が終了したハードコートフィルムロールは例えば、巻き返し工程(不図示)に運ばれ、ハードコートフィルムの巻き返しを行いながら室温まで冷却し、巻き返しロールを得ることも好ましい。更に、巻き返し工程では、相対湿度10〜70%RHの雰囲気を通過させるか、該雰囲気で巻き取ることが好ましい。相対湿度は、好ましくは20〜70%RH、特に40〜60%RHであると、静電気故障や巻き姿の崩れはなく良好なハードコートフィルムロールを得ることができる。フィルム巻き替えの速度は、1〜200m/分、好ましくは10〜100m/分の範囲が好ましい。巻き替え時には、フィルムを引き出した状態で少なくとも1本以上のローラーと接触させて巻き取ることが、フィルム温度を低下させるためにも好ましい。
これらのロールの回転や巻き替えを行う際は、フィルムに静電気故障や傷が発生する可能性があり、除電装置の設置やクリーンルームでの実施が好ましく、又巻き替え時の接触ローラ表面は平滑性の高いものを用いることが好ましい。
上記加熱処理工程の加熱手段としては、熱風の吹き付け、加熱ロールによる接触伝熱、マイクロ波による誘導加熱、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等を利用できる。赤外線ヒーターは、電気式、ガス式、オイル式あるいはスチーム式の遠赤外セラミックヒーターが利用できる。市販の赤外線ヒーター(例えば(株)ノリタケカンパニーリミテド製)を用いてもよい。熱媒体が、オイルまたはスチームを用いるオイル式またはスチーム式の赤外ヒーターは、有機溶剤が共存する雰囲気における防爆の観点で好ましい。また、加熱時のフィルム温度や加熱温度は、一般に市販されている非接触式の赤外線温度計で測定できる。また、温度範囲を制御するために、加熱手段に対してフィードバック制御を行ってもよい。
これらのハードコート層の塗布方法としては、グラビアコータ、ディップコータ、リバースコータ、ワイヤーバーコータ、ダイコータ、インクジェット法等公知の方法で塗設することができる。
前記塗布方法を用いて基材フィルムの一方の面にウェット膜厚0.1〜100μmで塗布することが好ましい。
ハードコート層は1層でも2層以上の多層構造でも良い。
ハードコート層は以下の表面処理を行って良い。表面処理方法の方法としては、洗浄法、アルカリ鹸化処理法、プラズマ処理法、電子ビーム法、イオンビーム法、スパッタリング法、酸処理、コロナ処理法、大気圧グロー放電プラズマ法等が挙げられる。
アルカリ鹸化処理方法としては、フィルムをアルカリ溶液に浸潰した後、水洗して乾燥するサイクルで行われるのが、一般的である。また、アルカリ処理後、酸性水工程で中和してから、水洗、及び乾燥を行ってもよい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液があげられ、水酸化イオンの規定濃度は0.1〜3Nであることが好ましく、0.5N〜2Nであることが更に好ましい。前記範囲とすることで優れたハードコート層と低屈折率層との接着性が得られる。アルカリ溶液の温度は、アルカリ溶液の析出性等の点から、25〜90℃の範囲が好ましく、40〜70℃が更に好ましい。アルカリ処理時間は5秒〜5分、好ましくは30秒〜3分である。
また、アルカリ鹸化処理は、ハードコート層面にアルカリ溶液を塗布する方式でも良く、例えば特開2003−313326号公報、特開2007−332253号公報に記載の方法を用いても良い。
プラズマ処理としては、フレームプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、常圧プラズマ処理等が挙げられる。
また、プラズマ処理としては、特開2004−352777号公報、特開2004−352777号公報、特開2007−314707号公報等に開示されているプラズマ処理技術も参考にすることができる。
また、表面処理後のハードコート層表面の純水接触角は、60°以下が、例えば低屈折率層をハードコート層上に設けた場合、とハードコート層との密着性が向上する点から好ましい。接触角はJIS K 2396に基づいて測定を行うことができる。
<反射防止フィルム>
本発明に係るハードコート層上に直接又は他の層を介して低屈折率層が積層され反射防止機能を有しても良い。反射防止機能を有することで、画像表示装置に組み込んだ場合の視認性を高める効果が得られる。
〈低屈折率層〉
低屈折率層とは、フィルム基材の屈折率よりも低い層をいう。具体的な屈折率としては、23℃、波長550nmで1.20〜1.45の範囲のものが好ましい。また、低屈折率層の膜厚は、光学干渉層としての特性から、5nm〜0.5μmが好ましく、10nm〜0.3μmがより好ましく、30nm〜0.2μmであることが更に好ましい。
また、低屈折率層の他に、支持体よりも屈折率の高い高屈折率層を更に組み合わせて、反射防止層を構成しても良い。更に、中屈折率層(支持体よりも屈折率が高く、高屈折率層よりも屈折率の低い層)が積層されても良い。また、フィルム裏面にはバックコート層を設けてもよい。
具体的な反射防止フィルムの層構成としては下記のような構成が考えられるが、これに限定されるものではない。
透明フィルム/ハードコート層/中屈折率層/低屈折率層
透明フィルム/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層
透明フィルム/ハードコート層/低屈折率層
透明フィルム/ハードコート層/導電性層/低屈折率層
透明フィルム/ハードコート層/高屈折率層(導電性層)/低屈折率層
透明フィルム/ハードコート層/防眩性層/低屈折率層
バックコート層/透明フィルム/ハードコート層/低屈折率層
バックコート層/透明フィルム/ハードコート層/中屈折率層/低屈折率層
バックコート層/透明フィルム/ハードコート層/防眩性層/低屈折率層
バックコート層/透明フィルム/ハードコート層/導電性層/低屈折率層
バックコート層/透明フィルム/ハードコート層/高屈折率層(導電性層)/低屈折率層
低屈折率層形成用組成物は、シリカ系微粒子として、特に外殻層を有し内部が多孔質または空洞の粒子を少なくとも1種類以上含有しても良く、中でも該外殻層を有し内部が多孔質または空洞である粒子が、中空シリカ系微粒子が好ましい。
(中空シリカ系微粒子)
中空シリカ系微粒子は、(I)多孔質粒子と該多孔質粒子表面に設けられた被覆層とからなる複合粒子、または(II)内部に空洞を有し、かつ内容物が溶媒、気体または多孔質物質で充填された空洞粒子である。なお、低屈折率層には(I)複合粒子または(II)空洞粒子のいずれかが含まれていればよく、また双方が含まれていてもよい。
なお、空洞粒子は内部に空洞を有する粒子であり、空洞は被覆層(粒子壁ともいう。)で覆われている。空洞内には、調製時に使用した溶媒、気体または多孔質物質等の内容物で充填されている。このような中空微粒子の平均粒子径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。使用される中空微粒子の平均粒子径は、形成される低屈折率層の平均膜厚の3/2〜1/10好ましくは2/3〜1/10の範囲にあることが望ましい。これらの中空微粒子は、低屈折率層の形成のため、適当な媒体に分散した状態で使用することが好ましい。分散媒としては、水、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール)及びケトン(例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)、ケトンアルコール(例えばジアセトンアルコール)、或いはこれらを含む混合溶媒が好ましい。
複合粒子の被覆層の厚さまたは空洞粒子の粒子壁の厚さは、1〜20nm、好ましくは2〜15nmの範囲にあることが望ましい。複合粒子の場合、被覆層の厚さが1nm未満の場合は、粒子を完全に被覆することができないことがあり、後述する塗布液成分である重合度の低いケイ酸モノマー、オリゴマー等が容易に複合粒子の内部の空隙部分に進入して粒子の屈折率を増加させ、低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また、被覆層の厚さが20nmを越えると、前記ケイ酸モノマー、オリゴマーが内部に進入することはないが、複合粒子の多孔性(細孔容積)が低下し低屈折率の効果が十分得られなくなることがある。また空洞粒子の場合、粒子壁の厚さが1nm未満の場合は、粒子形状を維持できないことがあり、また厚さが20nmを越えても、低屈折率の効果が十分に現れないことがある。
複合粒子の被覆層または空洞粒子の粒子壁は、シリカを主成分とすることが好ましい。また、シリカ以外の成分が含まれていてもよく、具体的には、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等が挙げられる。複合粒子を構成する多孔質粒子としては、シリカからなるもの、シリカとシリカ以外の無機化合物とからなるもの、CaF、NaF、NaAlF6、MgF等からなるものが挙げられる。このうち特にシリカとシリカ以外の無機化合物との複合酸化物からなる多孔質粒子が好適である。シリカ以外の無機化合物としては、Al、B、TiO、ZrO、SnO、CeO、P、Sb、MoO、ZnO、WO等との1種または2種以上を挙げることができる。このような多孔質粒子では、シリカをSiOで表し、シリカ以外の無機化合物を酸化物換算(MO)で表したときのモル比MO/SiOが、0.0001〜1.0、好ましくは0.001〜0.3の範囲にあることが望ましい。多孔質粒子のモル比MO/SiOが0.0001未満のものは得ることが困難であり、得られたとしても細孔容積が小さく、屈折率の低い粒子が得られない。また、多孔質粒子のモル比MO/SiOが、1.0を越えると、シリカの比率が少なくなるので、細孔容積が大きくなり、更に屈折率が低いものを得ることが難しいことがある。
このような多孔質粒子の細孔容積は、0.1〜1.5ml/g、好ましくは0.2〜1.5ml/gの範囲であることが望ましい。細孔容積が0.1ml/g未満では、十分に屈折率の低下した粒子が得られず、1.5ml/gを越えると微粒子の強度が低下し、得られる被膜の強度が低下することがある。
なお、このような多孔質粒子の細孔容積は水銀圧入法によって求めることができる。また、空洞粒子の内容物としては、粒子調製時に使用した溶媒、気体、多孔質物質等が挙げられる。溶媒中には空洞粒子調製する際に使用される粒子前駆体の未反応物、使用した触媒等が含まれていてもよい。また多孔質物質としては、前記多孔質粒子で例示した化合物からなるものが挙げられる。これらの内容物は、単一の成分からなるものであってもよいが、複数成分の混合物であってもよい。
このような中空微粒子の製造方法としては、例えば特開平7−133105号公報の段落番号[0010]〜[0033]に開示された複合酸化物コロイド粒子の調製方法が好適に採用される。具体的に、複合粒子が、シリカ、シリカ以外の無機化合物とからなる場合、以下の第1〜第3工程から中空微粒子は製造される。
第1工程:多孔質粒子前駆体の調製
第1工程では、予め、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料のアルカリ水溶液を個別に調製するか、または、シリカ原料とシリカ以外の無機化合物原料との混合水溶液を調製しておき、この水溶液を目的とする複合酸化物の複合割合に応じて、pH10以上のアルカリ水溶液中に攪拌しながら徐々に添加して多孔質粒子前駆体を調製する。
シリカ原料としては、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機塩基のケイ酸塩を用いる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)やケイ酸カリウムが用いられる。有機塩基としては、テトラエチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類を挙げることができる。なお、アンモニウムのケイ酸塩または有機塩基のケイ酸塩には、ケイ酸液にアンモニア、第4級アンモニウム水酸化物、アミン化合物等を添加したアルカリ性溶液も含まれる。
また、シリカ以外の無機化合物の原料としては、アルカリ可溶の無機化合物が用いられる。具体的には、Al、B、Ti、Zr、Sn、Ce、P、Sb、Mo、Zn、W等から選ばれる元素のオキソ酸、該オキソ酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、第4級アンモニウム塩を挙げることができる。より具体的には、アルミン酸ナトリウム、四硼酸ナトリウム、炭酸ジルコニルアンモニウム、アンチモン酸カリウム、錫酸カリウム、アルミノケイ酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸セリウムアンモニウム、燐酸ナトリウムが適当である。
これらの水溶液の添加と同時に混合水溶液のpH値は変化するが、このpH値を所定の範囲に制御するような操作は特に必要ない。水溶液は、最終的に、無機酸化物の種類及びその混合割合によって定まるpH値となる。このときの水溶液の添加速度には特に制限はない。また、複合酸化物粒子の製造に際して、シード粒子の分散液を出発原料と使用することも可能である。当該シード粒子としては、特に制限はないが、SiO、Al、TiOまたはZrO等の無機酸化物またはこれらの複合酸化物の微粒子が用いられ、通常、これらのゾルを用いることができる。更に前記の製造方法によって得られた多孔質粒子前駆体分散液をシード粒子分散液としてもよい。シード粒子分散液を使用する場合、シード粒子分散液のpHを10以上に調整した後、該シード粒子分散液中に前記化合物の水溶液を、上記したアルカリ水溶液中に攪拌しながら添加する。この場合も、必ずしも分散液のpH制御を行う必要はない。このようにしてシード粒子を用いると、調製する多孔質粒子の粒径コントロールが容易であり、粒度の揃ったものを得ることができる。
上記したシリカ原料及び無機化合物原料はアルカリ側で高い溶解度を有する。しかしながら、この溶解度の大きいpH領域で両者を混合すると、ケイ酸イオン及びアルミン酸イオン等のオキソ酸イオンの溶解度が低下し、これらの複合物が析出して微粒子に成長したり、または、シード粒子上に析出して粒子成長が起る。従って、微粒子の析出、成長に際して、従来法のようなpH制御は必ずしも行う必要がない。
第1工程におけるシリカとシリカ以外の無機化合物との複合割合は、シリカに対する無機化合物を酸化物(MO)に換算し、MO/SiOのモル比が、0.05〜2.0、好ましくは0.2〜2.0の範囲内にあることが望ましい。この範囲内において、シリカの割合が少なくなる程、多孔質粒子の細孔容積が増大する。しかしながら、モル比が2.0を越えても、多孔質粒子の細孔の容積はほとんど増加しない。他方、モル比が0.05未満の場合は、細孔容積が小さくなる。空洞粒子を調製する場合、MO/SiOのモル比は、0.25〜2.0の範囲内にあることが望ましい。
第2工程:多孔質粒子からのシリカ以外の無機化合物の除去
第2工程では、前記第1工程で得られた多孔質粒子前駆体から、シリカ以外の無機化合物(珪素と酸素以外の元素)の少なくとも一部を選択的に除去する。具体的な除去方法としては、多孔質粒子前駆体中の無機化合物を鉱酸や有機酸を用いて溶解除去したり、または、陽イオン交換樹脂と接触させてイオン交換除去する。
なお、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体は、珪素と無機化合物構成元素が酸素を介して結合した網目構造の粒子である。このように多孔質粒子前駆体から無機化合物(珪素と酸素以外の元素)を除去することにより、一層多孔質で細孔容積の大きい多孔質粒子が得られる。また、多孔質粒子前駆体から無機酸化物(珪素と酸素以外の元素)を除去する量を多くすれば、空洞粒子を調製することができる。
また、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去するに先立って、第1工程で得られる多孔質粒子前駆体分散液に、シリカのアルカリ金属塩を脱アルカリして得られる、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有するケイ酸液または加水分解性の有機珪素化合物を添加してシリカ保護膜を形成することが好ましい。シリカ保護膜の厚さは0.5〜15nmの厚さであればよい。なおシリカ保護膜を形成しても、この工程での保護膜は多孔質であり厚さが薄いので、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することは可能である。
このようなシリカ保護膜を形成することによって、粒子形状を保持したまま、前記したシリカ以外の無機化合物を、多孔質粒子前駆体から除去することができる。また、後述するシリカ被覆層を形成する際に、多孔質粒子の細孔が被覆層によって閉塞されてしまうことがなく、このため細孔容積を低下させることなく後述するシリカ被覆層を形成することができる。なお、除去する無機化合物の量が少ない場合は粒子が壊れることがないので必ずしも保護膜を形成する必要はない。
また空洞粒子を調製する場合は、このシリカ保護膜を形成しておくことが望ましい。空洞粒子を調製する際には、無機化合物を除去すると、シリカ保護膜と、該シリカ保護膜内の溶媒、未溶解の多孔質固形分とからなる空洞粒子の前駆体が得られ、該空洞粒子の前駆体に後述の被覆層を形成すると、形成された被覆層が、粒子壁となり空洞粒子が形成される。
上記シリカ保護膜形成のために添加するシリカ源の量は、粒子形状を保持できる範囲で少ないことが好ましい。シリカ源の量が多過ぎると、シリカ保護膜が厚くなり過ぎるので、多孔質粒子前駆体からシリカ以外の無機化合物を除去することが困難となることがある。シリカ保護膜形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、フッ素置換したテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子の分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を無機酸化物粒子の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子前駆体の分散媒が、水単独、または有機溶媒に対する水の比率が高い場合には、ケイ酸液を用いてシリカ保護膜を形成することも可能である。ケイ酸液を用いる場合には、分散液中にケイ酸液を所定量添加し、同時にアルカリを加えてケイ酸液を多孔質粒子表面に沈着させる。なお、ケイ酸液と上記アルコキシシランを併用してシリカ保護膜を作製してもよい。
第3工程:シリカ被覆層の形成
第3工程では、第2工程で調製した多孔質粒子分散液(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体分散液)に、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有する加水分解性の有機珪素化合物またはケイ酸液等を加えることにより、粒子の表面を加水分解性有機珪素化合物またはケイ酸液等の重合物で被覆してシリカ被覆層を形成する。
シリカ被覆層形成用に使用される加水分解性の有機珪素化合物としては、前記したような一般式RSi(OR′)4−n〔R、R′:アルキル基、アリール基、ビニル基、アクリル基等の炭化水素基、n=0、1、2または3〕で表されるアルコキシシランを用いることができる。特に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシランが好ましく用いられる。
添加方法としては、これらのアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液に加え、アルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の表面に沈着させる。このとき、アルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。
多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)の分散媒が水単独、または有機溶媒との混合溶媒であって、有機溶媒に対する水の比率が高い混合溶媒の場合には、ケイ酸液を用いて被覆層を形成してもよい。ケイ酸液とは、水ガラス等のアルカリ金属ケイ酸塩の水溶液をイオン交換処理して脱アルカリしたケイ酸の低重合物の水溶液である。
ケイ酸液は、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中に添加され、同時にアルカリを加えてケイ酸低重合物を多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)表面に沈着させる。なお、ケイ酸液を上記アルコキシシランと併用して被覆層形成用に使用してもよい。被覆層形成用に使用される有機珪素化合物またはケイ酸液の添加量は、コロイド粒子の表面を十分被覆できる程度であればよく、最終的に得られるシリカ被覆層の厚さが1〜20nmとなるような量で、多孔質粒子(空洞粒子の場合は空洞粒子前駆体)分散液中で添加される。また前記シリカ保護膜を形成した場合はシリカ保護膜とシリカ被覆層の合計の厚さが1〜20nmの範囲となるような量で、有機珪素化合物またはケイ酸液は添加される。
次いで、被覆層が形成された粒子の分散液を加熱処理する。加熱処理によって、多孔質粒子の場合は、多孔質粒子表面を被覆したシリカ被覆層が緻密化し、多孔質粒子がシリカ被覆層によって被覆された複合粒子の分散液が得られる。また空洞粒子前駆体の場合、形成された被覆層が緻密化して空洞粒子壁となり、内部が溶媒、気体または多孔質固形分で充填された空洞を有する空洞粒子の分散液が得られる。
このときの加熱処理温度は、シリカ被覆層の微細孔を閉塞できる程度であれば特に制限はなく、80〜300℃の範囲が好ましい。加熱処理温度が80℃未満ではシリカ被覆層の微細孔を完全に閉塞して緻密化できないことがあり、また処理時間に長時間を要してしまうことがある。また加熱処理温度が300℃を越えて長時間処理すると緻密な粒子となることがあり、低屈折率の効果が得られないことがある。
このようにして得られた無機微粒子の屈折率は、1.42未満と低い。このような無機微粒子は、多孔質粒子内部の多孔性が保持されているか、内部が空洞であるので、屈折率が低くなるものと推察される。なお、中空シリカ系微粒子は触媒化成(株)から市販されているものも好ましく利用することができる。
外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子の低屈折率層中の含有量は、10〜50質量%であることが好ましい。低屈折率の効果を得る上で、15質量%以上が好ましく、50質量%を超えるとバインダー成分が少なくなり膜強度が不十分となる。特に好ましくは20〜50質量%である。
低屈折率層への添加方法としては、例えば前記テトラアルコキシシラン、純水、及びアルコールの混合溶液に触媒としての少量のアルカリまたは酸を添加した溶液を、前記中空シリカ系微粒子の分散液に加え、テトラアルコキシシランを加水分解して生成したケイ酸重合物を中空シリカ系微粒子の表面に沈着させる。このとき、テトラアルコキシシラン、アルコール、触媒を同時に分散液中に添加してもよい。アルカリ触媒としては、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物、アミン類を用いることができる。また、酸触媒としては、各種の無機酸と有機酸を用いることができる。また、シリカ系微粒子は、WO2007/099814号公報に記載の製造法により作製されたものを用いても良い。
(バインダー)
また、低屈折率層は、バインダーとして、前述のカチオン重合性化合物を含有することが、目的効果がより良く発揮される点から好ましい。カチオン重合性化合物としては、前述したハードコート層に記載した化合物を用いることが出来る。その他、カチオン重合性化合物の重合を促進する化合物として、上記の酸や光酸発生剤を用いることも好ましい。これらの酸や光酸発生剤は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.1〜20質量部の割合が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量部の割合で添加することが、低屈折率層形成組成物中での安定性、重合反応性等から好ましい。
また、バインダーとして、ラジカル重合性化合物を用いても良い。ラジカル重合性化合物としては、前述したハードコート層に記載の化合物を用いることが出来る。
ラジカル重合性化合物の硬化促進のために、光重合開始剤を用いることが好ましく、光重合開始剤とラジカル重合性化合物とを質量比で20:100〜0.01:100含有することが好ましい。
更に、前記一般式(OSi−2)で表されるフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含有させることもできる。
バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、形成される透明被膜自体が疎水性を有しているので、透明被膜が充分緻密化しておらず、多孔質であったり、またクラックやボイドを有している場合であっても、水分や酸・アルカリ等の薬品による透明被膜への進入が抑制される。更に、基板表面や下層である導電性層中に含まれる金属等の微粒子と水分や酸・アルカリ等の薬品とが反応することもない。このため、このような透明被膜は、優れた耐薬品性を有している。
また、バインダーとして、フッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、このような疎水性のみならず、滑り性がよく(接触抵抗が低く)、このためスクラッチ強度に優れた透明被膜を得ることができる。更に、バインダーが、このような構成単位を有するフッ素置換アルキル基含有シラン化合物を含んでいると、下層に導電性層が形成されている場合には、バインダーの収縮率が、導電性層と同等か近いものであるため導電性層と密着性に優れた透明被膜を形成することができる。更に、透明被膜を加熱処理する際に、収縮率の違いから、導電性層が剥離して、透明導電性層に電気的接触のない部分が生じることもない。このため、膜全体として充分な導電性を維持できる。
フッ素置換アルキル基含有シラン化合物と、前記外殻層を有し、内部が多孔質または空洞である中空シリカ系微粒子とを含む透明被膜は、スクラッチ強度が高い上に、消しゴム強度または爪強度で評価される膜強度が高く、鉛筆硬度も高く、強度の上で優れた透明被膜を形成することができる。
低屈折率層にはシランカップリング剤を含有してもよい。シランカップリング剤としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポシシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びβ−シアノエチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、珪素に対して2置換のアルキル基を持つシランカップリング剤の例として、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシジルオキシプロピルフェニルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが挙げられる。
これらのうち、分子内に二重結合を有するビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、珪素に対して2置換のアルキル基を持つものとしてγ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン及びメチルビニルジエトキシシランが好ましく、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン及びγ−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシランが特に好ましい。
2種類以上のカップリング剤を併用してもよい。上記に示されるシランカップリング剤に加えて、他のシランカップリング剤を用いてもよい。他のシランカップリング剤には、オルトケイ酸のアルキルエステル(例えば、オルトケイ酸メチル、オルトケイ酸エチル、オルトケイ酸n−プロピル、オルトケイ酸i−プロピル、オルトケイ酸n−ブチル、オルトケイ酸sec−ブチル、オルトケイ酸t−ブチル)及びその加水分解物が挙げられる。
また、低屈折率層にはCF(CF)nCHCHSi(OR1)で表される珪素化合物を含有しても良い。(式中、R1は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表し、そしてnは、0〜12の整数を表す。)具体的化合物としては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらは単独で又は二種以上組み合わせて用いることができる。また、HNCONH(CH)mSi(OR2)で表される末端位にウレイド基(HNCONH−)を有する珪素化合物を含有しても良い。(式中、R2は、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基を表し、mは、1〜5の整数を表す。)具体的化合物としては、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリプロポキシシランなどが挙げられる。これらの中でもγ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどが特に好ましい。
その他、低屈折率層はバインダーとして、例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、フルオロアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂等を用いることが出来る。
その他、バインダーとして例えば、ポリビニルアルコール、ポリオキシエチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、フルオロアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂が挙げられる。
低屈折率層は、全体で5〜80質量%のバインダーを含むことが好ましい。バインダーは、空隙を含む低屈折率層の構造を維持する機能を有する。バインダーの使用量は、空隙を充填することなく低屈折率層の強度を維持できるように適宜調整する。
(溶媒)
低屈折率層は有機溶媒を含有することが好ましい。具体的な有機溶媒の例としては、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
低屈折率層塗布組成物中の固形分濃度は1〜4質量%であることが好ましく、該固形分濃度が4質量%以下にすることによって、塗布ムラが生じにくくなり、1質量%以上にすることによって乾燥負荷が軽減される。
低屈折率層は、グラビアコータ、ディップコータ、リバースコータ、ワイヤーバーコータ、ダイコータ、インクジェット法等公知の方法を用いて、低屈折率層を形成する上記塗布組成物を塗布し、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化処理することで形成される。
塗布量は、ウェット膜厚として0.05〜100μmが適当で、好ましくは、0.1〜50μmである。また、ドライ膜厚が上記膜厚となるように塗布組成物の固形分濃度は調整される。
また、低屈折率層を形成後、温度50〜160℃で加熱処理を行う工程を含んでも良い。加熱処理の期間は、設定される温度によって適宜決定すればよく、例えば50℃であれば、好ましくは3日間以上30日未満の期間、100℃であれば1分以上1日以下の範囲が好ましい。硬化方法としては、加熱することによって熱硬化させる方法、紫外線等の光照射によって硬化させる方法などが挙げられる。熱硬化させる場合は、加熱温度は50〜300℃が好ましく、好ましくは60〜250℃、さらに好ましくは80〜150℃である。光照射によって硬化させる場合は、照射光の露光量は10mJ/cm〜10J/cmであることが好ましく、100mJ/cm〜500mJ/cmがより好ましい。
ここで、照射される光の波長域としては特に限定されないが、紫外線領域の波長を有する光が好ましく用いられる。具体的には、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm、好ましくは5〜150mJ/cmであるが、特に好ましくは20〜100mJ/cmである。
〈高屈折率層〉
反射防止層は、上述の低屈折率層の他に、下記のような高屈折率層を有してもよい。高屈折率層には、金属酸化物微粒子が含有されることが好ましい。金属酸化物微粒子の種類は特に限定されるものではなく、Ti、Zr、Sn、Sb、Cu、Fe、Mn、Pb、Cd、As、Cr、Hg、Zn、Al、Mg、Si、P及びSから選択される少なくとも一種の元素を有する金属酸化物を用いることができ、これらの金属酸化物微粒子はAl、In、Sn、Sb、Nb、ハロゲン元素、Taなどの微量の原子をドープしてあっても良い。また、これらの混合物でもよい。中でも酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム−スズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、及びアンチモン酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属酸化物微粒子を主成分として用いることが特に好ましい。特にアンチモン酸亜鉛粒子を含有することが好ましい。
これら金属酸化物微粒子の一次粒子の平均粒子径は10nm〜200nmの範囲であり、10〜150nmであることが特に好ましい。金属酸化物微粒子の平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)等による電子顕微鏡写真から計測することができる。動的光散乱法や静的光散乱法等を利用する粒度分布計等によって計測してもよい。粒径が小さ過ぎると凝集しやすくなり、分散性が劣化する。粒径が大き過ぎるとヘイズが著しく上昇し好ましくない。金属酸化物微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、針状或いは不定形状であることが好ましい。
高屈折率層の屈折率は、具体的には、支持体であるフィルムの屈折率より高く、23℃、波長550nm測定で、1.5〜2.2の範囲であることが好ましい。高屈折率層の屈折率を調整する手段は、金属酸化物微粒子の種類、添加量が支配的である為、金属酸化物微粒子の屈折率は1.80〜2.60であることが好ましく、1.85〜2.50であることが更に好ましい。
金属酸化物微粒子は有機化合物により表面処理してもよい。金属酸化物微粒子の表面を有機化合物で表面修飾することによって、有機溶媒中での分散安定性が向上し、分散粒径の制御が容易になるとともに、経時での凝集、沈降を抑えることもできる。このため、好ましい有機化合物での表面修飾量は金属酸化物粒子に対して0.1質量%〜5質量%、より好ましくは0.5質量%〜3質量%である。表面処理に用いる有機化合物の例には、ポリオール、アルカノールアミン、ステアリン酸、シランカップリング剤及びチタネートカップリング剤が含まれる。この中でもシランカップリング剤が好ましい。二種以上の表面処理を組み合わせてもよい。
前記金属酸化物微粒子を含有する高屈折率層の厚さは5nm〜1μmであることが好ましく、10nm〜0.2μmであることが更に好ましく、30nm〜0.1μmであることが最も好ましい。
使用する金属酸化物微粒子と後述する活性光線硬化樹脂等のバインダーとの比は、金属酸化物微粒子の種類、粒子サイズなどにより異なるが体積比で前者1に対して後者2から前者2に対して後者1程度が好ましい。金属酸化物微粒子の使用量は高屈折率層中に5質量%〜85質量%が好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、20〜75質量%が最も好ましい。使用量が少ないと所望の屈折率や本発明の効果が得られず、多過ぎると膜強度の劣化などが発生する。
上記金属酸化物微粒子は、媒体に分散した分散体の状態で、高屈折率層を形成するための塗布液に供される。金属酸化物粒子の分散媒体としては、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散溶媒の具体例としては、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、ケトンアルコール(例、ジアセトンアルコール)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが挙げられる。中でも、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びブタノールが特に好ましい。
また金属酸化物微粒子は、分散機を用いて媒体中に分散することができる。分散機の例としては、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライター及びコロイドミルが挙げられる。サンドグラインダーミル及び高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例としては、ボールミル、三本ロールミル、ニーダー及びエクストルーダーが挙げられる。分散剤を含有させることも好ましい。
更にコア/シェル構造を有する金属酸化物微粒子を含有させてもよい。シェルはコアの周りに1層形成させてもよいし、耐光性を更に向上させるために複数層形成させてもよい。コアは、シェルにより完全に被覆されていることが好ましい。
コアは酸化チタン(ルチル型、アナターゼ型、アモルファス型等)、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズ等を用いることができるが、ルチル型の酸化チタンを主成分としてもよい。
シェルは酸化チタン以外の無機化合物を主成分とし、金属の酸化物または硫化物から形成することが好ましい。例えば、二酸化珪素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化鉄、硫化亜鉛等を主成分とした無機化合物が用いられる。この内アルミナ、シリカ、ジルコニア(酸化ジルコニウム)であることが好ましい。また、これらの混合物でもよい。
コアに対するシェルの被覆量は、平均の被覆量で2〜50質量%である。好ましくは3〜40質量%、更に好ましくは4〜25質量%である。シェルの被覆量が多いと微粒子の屈折率が低下し、被覆量が少な過ぎると耐光性が劣化する。二種以上の無機微粒子を併用してもよい。
コアとなる酸化チタンは、液相法または気相法で作製されたものを使用できる。また、シェルをコアの周りに形成させる手法としては、例えば、米国特許第3,410,708号、特公昭58−47061号、米国特許第2,885,366号、同第3,437,502号、英国特許第1,134,249号、米国特許第3,383,231号、英国特許第2,629,953号、同第1,365,999号に記載されている方法等を用いることができる。
高屈折率層もしくは前述の低屈折率層には、下記一般式(CL1)で表される化合物またはそのキレート化合物を含有することができ、硬度などの物性を改善させることができる。
一般式(CL1) AMBx−n
式中、Mは金属原子、Aは加水分解可能な官能基または加水分解可能な官能基を有する炭化水素基、Bは金属原子Mに共有結合またはイオン結合した原子団を表す。xは金属原子Mの原子価、nは2以上でx以下の整数を表す。
加水分解可能な官能基Aとしては、例えば、アルコキシル基、クロル原子等のハロゲン、エステル基、アミド基等が挙げられる。上記一般式(CL1)に属する金属化合物には、金属原子に直接結合したアルコキシル基を2個以上有するアルコキシド、または、そのキレート化合物が含まれる。好ましい金属化合物としては、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドまたはそれらのキレート化合物を挙げることができる。チタンアルコキシドは反応速度が速くて屈折率が高く、取り扱いも容易であるが、光触媒作用があるため大量に添加すると耐光性が劣化する。ジルコニウムアルコキシドは屈折率が高いが白濁し易いため、塗布する際の露点管理等に注意しなければならない。また、チタンアルコキシドは紫外線硬化性樹脂、金属アルコキシドの反応を促進する効果があるため、少量添加するだけでも塗膜の物理的特性を向上させることができる。
チタンアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−iso−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン等が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシドとしては、例えば、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−iso−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
遊離の金属化合物に配位させてキレート化合物を形成するのに好ましいキレート化剤としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、アセチルアセトン、アセト酢酸エチル等であって分子量1万以下のものを挙げることができる。これらのキレート化剤を用いることにより、水分の混入等に対しても安定で、塗膜の補強効果にも優れるキレート化合物を形成できる。
金属化合物の添加量は、高屈折率層に含まれる該金属化合物由来の金属酸化物の含有量が0.3〜5質量%であるように調整することが好ましい。0.3質量%未満では耐擦傷性が不足し、5質量%を超えると耐光性が劣化する傾向がある。
高屈折率層には、ラジカル重合性化合物を、金属酸化物微粒子のバインダーとして、塗膜の製膜性や物理的特性の向上のために含有させることが好ましい。ラジカル重合性化合物としては、紫外線や電子線のような活性光線の照射により直接、または光重合開始剤の作用を受けて間接的に重合反応を生じる官能基を2個以上有するモノマーまたはオリゴマーを用いることができ、具体的にはポリオールアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレートもしくはそれらの混合物が好ましく、例えば前述したハードコート層に記載の多官能アクリレート化合物が好ましい。
ラジカル重合性化合物の添加量は、高屈折率組成物では固形分中の15質量%以上50質量%未満であることが好ましい。
ラジカル重合性化合物の硬化促進のために、光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤の添加量は、質量比で光重合開始剤:ラジカル重合性化合物=3:7〜1:9含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、具体的には、前述したハードコート層に記載の化合物を用いることが出来る。
高屈折率層をコーティングする際に用いられる有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられるが、特に、アルコール類、多価アルコール類、多価アルコールエーテル類が好ましい。
高屈折率層は上記組成物をグラビアコータ、ディップコータ、リバースコータ、ワイヤーバーコータ、ダイコータ、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いてハードコート層表面にウェット膜厚0.1〜100μmで塗布し、塗布後、加熱乾燥し、必要に応じて硬化して形成される。硬化工程は、低屈折率層で記載した内容を用いることができる。また、ドライ膜厚が上記膜厚になるようにするのは塗布組成物の固形分濃度で調整する。
〈導電性層〉
導電性層は透明フィルム基材上に設けることができ、例えば、ハードコート層と反射防止層との間、または該反射防止層が設けられた側とは反対の面の透明フィルム上に塗設することができる。
導電性層は、第1保護フィルムを取り扱いの際に帯電するのを防ぐ機能を付与するものであり、具体的には、ハードコート層に前述したπ共役系導電性ポリマー、イオン性高分子化合物、金属酸化物等が好ましく用いられる。
導電性層の表面比抵抗は1011Ω/□(25℃、55%RH)以下に調整されることが好ましく、更に好ましくは、1010Ω/□(25℃、55%RH)以下であり、特に好ましくは、10Ω/□(25℃、55%RH)以下である。
ここで、表面比抵抗値の測定の詳細は実施例に記載するが、試料を25℃、55%RHの条件にて24時間調湿し、川口電機株式会社製テラオームメーターモデルVE−30を用いて測定する。
導電性層上には、更にオーバーコート層を最表面層として設けることもあるが、表面比抵抗値の測定は、導電性層が設けられている側の最表面層における表面比抵抗値を実質的に導電性層の表面比抵抗値として定義する。
更に、イオン性高分子化合物としては、特公昭49−23828号、同49−23827号、同47−28937号にみられるようなアニオン性高分子化合物;特公昭55−734号、特開昭50−54672号、特公昭59−14735号、同57−18175号、同57−18176号、同57−56059号などにみられるような、主鎖中に解離基をもつアイオネン型ポリマー;特公昭53−13223号、同57−15376号、特公昭53−45231号、同55−145783号、同55−65950号、同55−67746号、同57−11342号、同57−19735号、特公昭58−56858号、特開昭61−27853、同62−9346にみられるような、側鎖中にカチオン性解離基をもつカチオン性ペンダント型ポリマー;等を挙げることができる。中でも、分子架橋を有する4級アンモニウムカチオンポリマーが特に好ましく、ダイオキシンの発生防止等環境安全性の観点から、塩素イオンを含まず、かつ、分子架橋を有する4級アンモニウムカチオンポリマーが特に好ましく用いられる。
イオン性高分子化合物は、これを単独で用いてもよいし、或いは数種類のイオン性高分子化合物を組み合わせて使用してもよい。イオン性高分子化合物の樹脂フィルム中の含有量は、0.02g〜1.0g/mが好ましく、特に好ましくは、0.02g〜0.5g/mである。
更に、導電性層には、微粒子を添加してもよい。例えば、シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等を構成成分として含有する微粒子を挙げることができる。
上記記載の微粒子の平均粒径は、0.01μm〜10μmが好ましく、より好ましくは0.01μm〜5μm、また添加量は、塗布剤中の固形分に対して質量比で0.05部〜10部が好ましく、特に好ましいのは0.1部〜5部である。
また、導電性層が十分な帯電防止効果を示し、かつ、オーバーコート層との易接着性を保持するためには、セルロースエステル系樹脂またはアクリル系樹脂を含有することが好ましい。
セルロースエステル系樹脂としては、例えばセルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、またはセルロースナイトレート等のセルロース誘導体が挙げられる。
また、アクリル系樹脂としては、例えば、アクリペットMD、VH、MF、V(三菱レイヨン(株)製)、ハイパールM−4003、M−4005、M−4006、M−4202、M−5000、M−5001、M−4501(根上工業株式会社製)、ダイヤナールBR−50、BR−52、BR−53、BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−82、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、BR−118等(三菱レイヨン(株)製)のアクリル及びメタクリル系モノマーを原料として製造した各種ホモポリマー並びにコポリマーなどが好ましく用いられる。
ここで使用する樹脂は、導電性層で使用している樹脂全体の60質量%以上、更に好ましくは80質量%以上であることが好ましく、必要に応じて活性光線硬化樹脂或いは熱硬化樹脂を添加することもできる。これらの樹脂はバインダーとして下記のような溶剤に溶解した状態で塗設される。
導電性層を塗設するための塗布組成物には、次の溶剤が好ましく用いられる。溶剤としては、炭化水素、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒(メチレンクロライド)を適宜混合して使用することができるが特にこれらに限定されるものではない。
上記炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられ、アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、2−メチル−2−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられ、エステル類としては、蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、乳酸エチル、乳酸メチル等が挙げられ、グリコールエーテル(C1〜C4)類としては、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、またはプロピレングリコールモノ(C1〜C4)アルキルエーテルエステル類としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、その他の溶媒としてメチレンクロライド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。特にこれらに限定されるものではないが、これらを適宜混合した溶媒も好ましく用いられる。
導電性層塗布組成物の塗布方法としては、グラビアコータ、ディップコータ、ワイヤーバーコータ、リバースコータ、押し出しコータ等を用いて、塗布液膜厚(ウェット膜厚ということもある)を1〜100μmとすることが好ましく、特に5〜30μmが好ましい。
〈バックコート層〉
ハードコート層を設けた側と反対側の面にバックコート層を設けることが好ましい。バックコート層は、ハードコート層やその他の層を設けることで生じるカールを矯正するために設けられる。即ち、バックコート層を設けた面を内側にして丸まろうとする性質を持たせることにより、カールの度合いをバランスさせることができる。なお、バックコート層はブロッキング防止層を兼ねて塗設されることが好ましいが、その場合、バックコート層塗布組成物には、ブロッキング防止機能を持たせるために微粒子が添加されることが好ましい。
バックコート層に添加される微粒子としては無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、ITO、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
これらの微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vがヘイズを低く保ちながら、ブロッキング防止効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明のハードコートフィルムは、活性光線硬化樹脂層の裏面側の動摩擦係数が0.9以下、特に0.1〜0.9であることが好ましい。
バックコート層に含まれる微粒子は、バインダーに対して0.1〜50質量%含有されることが好ましく、0.1〜10質量%であることがより好ましい。バックコート層を設けた場合のヘイズの増加は1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、特に0.0〜0.1%であることが好ましい。
バックコート層の塗布に用いられる溶媒としては、例えば、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、酢酸メチル、酢酸エチル、トリクロロエチレン、メチレンクロライド、エチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエタン、クロロホルム、水、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブタノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、または炭化水素類(トルエン、キシレン)等があげられ、適宜組み合わされて用いられる。
これらの塗布組成物をグラビアコータ、ディップコータ、リバースコータ、ワイヤーバーコータ、ダイコータ、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いてハードコートフィルムの表面にウェット膜厚1〜100μmで塗布するのが好ましいが、特に5〜30μmであることが好ましい。
バックコート層のバインダーとして用いられる樹脂としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとビニルアルコールの共重合体、部分加水分解した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩素化ポリ塩化ビニル、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体または共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(好ましくはアセチル基置換度1.8〜2.3、プロピオニル基置換度0.1〜1.0)、ジアセチルセルロース、セルロースアセテートブチレート樹脂等のセルロース誘導体、マレイン酸及び/またはアクリル酸の共重合体、アクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル−スチレン共重合体、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン−スチレン共重合体、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン樹脂、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ブタジエン−アクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。アクリル樹脂としては、導電層に前述した化合物を用いることが出来る。
バインダーとして用いられる樹脂としてはセルロースジアセテート、セルロースアセテートプロヒオネートなどのアセチル化セルロースとアクリル樹脂のブレンド物を用いることが好ましく、アクリル樹脂からなる微粒子を用いて、微粒子とバインダーとの屈折率差を0〜0.02未満とすることで透明性の高いバックコート層とすることができる。
バックコート層を塗設する順番は、ハードコート層を塗設する前でも後でも構わないが、バックコート層がブロッキング防止層を兼ねる場合は先に塗設することが望ましい。または2回以上に分けてバックコート層を塗布することもできる。また、バックコート層は偏光子との接着性を改善するための易接着層を兼ねることも好ましい。
(反射防止層の反射率)
反射防止層の反射率は、分光光度計、分光測色計により測定を行うことができる。その際、サンプルの測定側の裏面を粗面化処理した後、黒色スプレー、黒色アクリル板の貼り付け等して光吸収処理を行ってから、可視光領域(400〜700nm)の反射光を測定する。
反射率は低いほど好ましいが、可視光領域の波長における平均値が2.0%以下であることが、LCD等の画像表示装置の最表面に用いた場合の外光反射防止機能が好適に得られる点から好ましい。最低反射率は0.8%以下であることが好ましい。
また、可視光の波長領域において平坦な形状の反射スペクトルを有することが好ましい。また、反射防止処理を施した表示装置表面の反射色相は、反射防止膜の設計上可視光領域において短波長域や長波長域の反射率が高くなることから赤や青に色づくことが多いが、反射光の色味は用途によって要望が異なり、薄型テレビ等の最表面に使用する場合にはニュートラルな色調が好まれる。この場合、一般に好まれる反射色相範囲は、XYZ表色系(CIE1931表色系)上で0.17≦x≦0.27、0.07≦y≦0.17である。また、xy平面上の(x、y)=(0.31、0.31)の距離Δxyが、0.05以下となる範囲がより色味がないニュートラルに近いため好ましく、0.03以下が更に好ましい。色調は、各層の屈折率より、反射率、反射光の色味を考慮して膜厚を常法に従って計算できる。
<一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂>
透明フィルムを構成する本発明の特徴の一つである一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂について説明する。
該特定構造のセルロースエステル樹脂をフィルム基材に用いることで、フィルム変形が起こりにくく、平滑性が維持されるため、上記した高硬度ハードコート層と組み合わせる事で目的効果が発揮される。下記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂について詳細に説明する。
Figure 2010139941
[式中、A、Bは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基または、水酸基で置換された炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。但しAとBは同じであっても異なっていてもよい。]
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂である。
以下にAの具体例を挙げる。
A−1 −CHCH
A−2 −CHCHCH
A−3 −CH=CH−
Figure 2010139941
A−6 −CHC(CH
以下Bの具体例を挙げる。
B−1 −CHCH
B−2 −CHCHCHCH
Figure 2010139941
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するセルロースエステル樹脂は、未置換の水酸基を有するセルロース、またはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、フタリル基等のアシル基によってすでに一部の水酸基が置換されているセルロースエステルの存在下で、多塩基酸またはその無水物と多価アルコールとのエステル化反応、またはL−ラクチド、D−ラクチドの開環重合、L−乳酸、D−乳酸の自己縮合を行わせることによって得ることができる。
エステル化反応に用いる多塩基酸無水物として、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水フマル酸が挙げられるが特に限定されない。
エステル化反応に用いることができる多価アルコールとして、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられるが特に限定されない。
エステル化反応に用いる触媒としては、無触媒で反応をすることもできるが、公知のルイス酸触媒などを用いることができる。使用できる触媒としてはスズ、亜鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、アンチモン、ナトリウム、カリウム、アルミニウムなどの金属およびその誘導体が挙げられ、特に誘導体については金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ましい。具体的にはオクチルスズ、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化チタン、アルコキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、アルキルアルミニウムなどを例示することができる。また、触媒としてパラトルエンスルホン酸に代表される酸触媒を用いることもできる。また、カルボン酸とアルコールとの脱水反応を促進するためにカルボジイミド、ジメチルアミノピリジンなど公知の化合物を添加してもよい。
係る反応は、セルロースエステルおよびその他の反応させる化合物を溶解させることが可能な有機溶媒中における反応によってもよいし、剪断力を付加しながら加熱攪拌が可能なバッチ式ニーダーを用いた反応によるものであってもよいし、一軸或いは二軸のエクストルーダーを用いた反応によるものであってもよい。
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位は、セルロースに対して0.5〜190質量%の範囲で適宜含有させることができる。
該セルロースエステルの置換度は、適宜選択することができるが、2.2〜3であることが、熱可塑性、熱加工性の点から好ましい。
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂において、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20で具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂の重合度は、特に制限されず、例えば、粘度平均重合度で、70以上(例えば、80〜800)の範囲から選択でき、100〜500、好ましくは110〜400、さらに好ましくは120〜350程度であってもよい。
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位は、当該部分の数平均分子量として、例えば、80〜10000、好ましくは100〜5000、さらに好ましくは200〜2000程度、特に300〜1500、通常1000未満であってもよい。なお、当該セルロースエステルが有する繰り返し単位のみの数平均分子量は、エステル化反応する前のセルロースエステルと反応後のセルロースエステルをポリスチレン換算したGPCデータまたは、H−NMRにより比較して求めた。
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を、セルロースもしくはセルロースエステルに導入する際に副反応として、一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するオリゴマー、ポリエステルが生成することあるが、これらの化合物は可塑剤として作用することから精製により必ずしも完全に除去する必要はない。含有量としてはセルロースエステルに対して30質量%以下であれば、セルロースエステルの性質を大きく変化させることは少ない。可塑性の点から、好ましくは0.5〜20質量%である。これらのオリゴマー、ポリエステルの数平均分子量は、300〜10000であり、可塑性の点から好ましくは500〜8000である。
また、特開2008−197561に記載のグラフト共重合した変性グルカン誘導体(変性セルロース誘導体)も本発明の一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂として用いることが出来る。
また、一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂を含有する透明フィルム(以下、簡単に一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するセルロースエステルフィルム、或いは単にセルロースエステルフィルムとも言う)は、下記の特性を有することが好ましい。
透過率:80%以上
0nm≦Ro≦330nm
−100nm≦Rt≦340nm
なお、Ro=(nx−ny)×d
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、nxはセルロースエステルフィルムの面内の遅相軸方向の屈折率を、nyは面内で遅相軸に直交する方向の屈折率を、nzは厚み方向の屈折率を、dはセルロースエステルフィルムの厚み(nm)をそれぞれ表す。屈折率の測定波長は590nmである。)
上記屈折率は、例えばKOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。また含有溶媒量は、0.01質量%以下であることが好ましい。
また、前記セルロースエステルフィルムの膜厚は100μm以下が、光学フィルムとして用いる場合の取り扱い性や、液晶表示パネルを薄膜化できる点で好ましい。
また、特に前記セルロースエステルフィルムの膜厚が、30μm以下の薄膜フィルムにおいて、本発明の効果が得られやすく、実用上から10μm以上が好ましい。
また前記セルロースエステルフィルムは、長さ100m〜9000m、更に好ましくは、1000m〜7000mであり、幅は1.2m以上が好ましく、更に好ましくは1.4〜4mである。また前記セルロースエステルフィルムはロール状が好ましい。フィルムの長さ及び幅を前記範囲とし、ロール状で取り扱うことで、取り扱い性や生産性に優れ、本発明の目的効果も発揮されやすい。
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂を含有するフィルムは、輝点異物が少ないものであることが好ましい。輝点異物は、輝点の直径0.01mm以上が200個/cm以下であることが好ましく、さらに100個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以下であることが好ましく、30個/cm以下であることが好ましく、10個/cm以下であることが好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
また、0.005〜0.01mm以下の輝点についても200個/cm以下であることが好ましく、さらに100個/cm以下であることが好ましく、50個/cm以下であることが好ましく、30個/cm以下であることが好ましく、10個/cm以下であることが好ましいが、皆無であることが最も好ましい。
本発明では、より過酷な耐久性試験後に目的効果を発揮する点から、透明フィルムが熱可塑性アクリル樹脂を含有し、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、10質量部以上で含有することが好ましい。更に好ましくは、含有前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、50質量部以上で含有することが好ましい。添加量の上限としては特に制限はないが、セルロース樹脂との相溶性の点から、前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して、2000質量部以下で含有することが好ましい。また、透明フィルムの透明性を向上する点から、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂が相溶状態で含有される必要がある。
熱可塑性アクリル樹脂は、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては特に制限されるものではないが、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種以上の単量体を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
熱可塑性アクリル樹脂は、本発明の目的効果が良好に発揮されることから、重量平均分子量(Mw)が80000〜500000であることが好ましく、更に好ましくは、110000〜500000の範囲内である。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン
(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
アクリル樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系およびアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。重合温度については、懸濁または乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合では80〜160℃で実施しうる。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
また、市販品も使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80,BR83,BR85,BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
〈アクリル粒子〉
前記透明フィルムは、フィルムの脆性に優れる点から、アクリル粒子を含有しても良い。
アクリル粒子とは、前記熱可塑性アクリル樹脂及び前記セルロースエステル樹脂を相溶状態で含有するフィルム基材中に粒子の状態(非相溶状態ともいう)で存在するアクリル成分を表す。
上記アクリル粒子は、例えば、作製したフィルム基材を所定量採取し、溶媒に溶解させて攪拌し、充分に溶解・分散させたところで、アクリル粒子の平均粒子径未満の孔径を有するPTFE製のメンブレンフィルターを用いて濾過し、濾過捕集された不溶物の重さが、フィルム基材に添加したアクリル粒子の90質量%以上あることが好ましい。
アクリル粒子は特に限定されるものではないが、2層以上の層構造を有するアクリル粒子であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層重合体、ゴム弾性を示す架橋軟質層重合体、および最外硬質層重合体が、層状に重ね合わされてなる構造を有する粒子状のアクリル系重合体を言う。
すなわち、多層構造アクリル系粒状複合体とは、中心部から外周部に向かって最内硬質層、架橋軟質層、および最外硬質層からなる多層構造アクリル系粒状複合体である。この3層コア/シェル構造の多層構造アクリル系粒状複合体が好ましく用いられる。
アクリル粒子の粒子径については、特に限定されるものではないが、10nm以上、1000nm以下であることが好ましく、さらに、20nm以上、500nm以下であることがより好ましく、特に50nm以上、400nm以下であることが最も好ましい。
アクリル粒子の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製“メタブレン”、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”およびクラレ社製“パラペットSA”、メタブレンW−341(C2)(三菱レイヨン(株)製)、ケミスノーMR−2G(C3)、MS−300X(C4)(綜研化学(株)製)等を挙げることができる。
アクリル微粒子は、透明フィルムを構成する前記熱可塑性アクリル樹脂と前記セルロースエステル樹脂の総質量に対して、含有質量比でアクリル微粒子:熱可塑性アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂総質量=0.5:100〜30:100の範囲で含有させることが好ましく、更に好ましくは、アクリル微粒子:アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂の総質量=1.0:100〜15:100の範囲である。
<添加剤>
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂を含有するフィルムは、アクリル系重合体、及びピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した糖エステル化合物、から選択される少なくとも一種を含有しても良い。
〈糖エステル化合物〉
糖エステル化合物としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースなどが挙げられるが、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有するものが好ましい。例としてはスクロースが挙げられる。
糖エステル化合物は、糖化合物の有する水酸基の一部または全部がエステル化されているものまたはその混合物である。
糖エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基または水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 2010139941
11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子であることが好ましい。ベンゾイル基はさらに置換基R26(pは0〜5)を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、さらにこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も同様な方法で製造することができる。
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
市販品としては、例えばモノペットSB(第一工業製薬(株)製)等が挙げられる。
〈アクリル系重合体〉
アクリル系重合体を一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂を含有するフィルムに添加しても良い。なお、ここでアクリル系重合体にはメタクリル系重合体も含まれる。アクリル系重合体を含有させた場合、機能として延伸方向に対して負の複屈折性を示すことが好ましく、特に構造が限定されるものではないが、エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた重量平均分子量が500以上30000以下である重合体であることが好ましい。重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリル系重合体は、芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体またはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体であってもよい。
該重合体の重量平均分子量が500以上30000以下のもので該重合体の組成を制御することにより、上記セルロースエステルと該重合体との相溶性を良好にすることができる。
芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体またはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体について、好ましくは重量平均分子量が500以上10000以下のものであれば、上記に加え、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、偏光板用保護フィルムとして優れた性能を示す。
該重合体は、重量平均分子量が500以上30000以下であるから、オリゴマーから低分子量重合体の間にあると考えられるものである。このような重合体を合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
アクリル系重合体としては、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbと、Xa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下の重合体X、または芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上、3000以下の重合体Yであることが好ましい。
[重合体X、重合体Y]
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位をセルロースエステルフィルムのRoおよびRtを調整する方法としては、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽およびノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上、30000以下の高分子量の重合体X、そして、より好ましくは、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上、3000以下の低分子量の重合体Yを含有することが好ましい。
重合体Xは、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbとXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上、30000以下の重合体である。
好ましくは、Xaは分子内に芳香環と水酸基を有しないアクリルまたはメタクリルモノマー、Xbは分子内に芳香環を有せず水酸基を有するアクリルまたはメタクリルモノマーである。
重合体Xは、下記一般式(X)で表される。
一般式(X)
−[Xa]m−[Xb]n−[Xc]p−
上記一般式(X)において、Xaは分子内に芳香環と水酸基とを有しないエチレン性不飽和モノマーを表し、Xbは分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを表し、XcはXa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを表す。m、nおよびpは、各々モル組成比を表す。ただし、m≠0、m+n+p=100である。
さらに、重合体Xとして好ましくは、下記一般式(X−1)で表される重合体である。
一般式(X−1)
−[CH−C(−R1)(−COR2)]m−[CH−C(−R3)(−COR4−OH)−]n−[Xc]p−
上記一般式(X−1)において、R1、R3は、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。R2は炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。R4は−CH−、−C−または−C−を表す。Xcは、[CH−C(−R1)(−COR2)]または[CH−C(−R3)(−COR4−OH)−]に重合可能なモノマー単位を表す。m、nおよびpは、モル組成比を表す。ただしm≠0、m+n+p=100である。
重合体Xを構成するモノマー単位としてのモノマーを下記に挙げるが、これに限定されない。
Xにおいて、水酸基とは、水酸基のみならずエチレンオキシド連鎖を有する基をいう。分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaは、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることができる。中でも、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル(i−、n−)であることが好ましい。
分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbは、水酸基を有するモノマー単位として、アクリル酸またはメタクリル酸エステルが好ましく、例えば、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、またはこれらアクリル酸をメタクリル酸に置き換えたものを挙げることができ、好ましくは、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)およびメタクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)である。
Xcとしては、Xa、Xb以外のモノマーで、かつ共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば、特に制限はないが、芳香環を有していないものが好ましい。
XaおよびXbのモル組成比m:nは99:1〜65:35の範囲が好ましく、さらに好ましくは95:5〜75:25の範囲である。Xcのpは0〜10である。Xcは複数のモノマー単位であってもよい。
Xおよびモル組成比が多いと、セルロースエステルとの相溶性が良化するがフィルム厚み方向のリターデーション値Rtが大きくなる。Xbのモル組成比が多いと上記相溶性が悪くなるが、Rtを低減させる効果が高い。
また、Xbのモル組成比が上記範囲を超えると製膜時にヘイズが出る傾向があり、これらの最適化を図りXa、Xbのモル組成比を決めることが好ましい。
高分子量の重合体Xの分子量は、重量平均分子量が5000以上、30000以下であることがより好ましく、さらに好ましくは8000以上25000以下である。
重量平均分子量を5000以上とすることにより、一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するセルロースエステルフィルムの高温高湿下における寸法変化が少ない等の利点が得られ好ましい。
重量平均分子量が30000以下とした場合は、上記セルロースエステルとの相溶性がより向上し、高温高湿下においてのブリードアウト、さらに製膜直後でのヘイズの発生が抑制される。
本発明に係る重合体Xの重量平均分子量は、公知の分子量調節方法で調整することができる。そのような分子量調節方法としては、例えば、四塩化炭素、ラウリルメルカプタン、チオグリコール酸オクチル等の連鎖移動剤を添加する方法等が挙げられる。
また、重合温度は、通常、室温から130℃、好ましくは50℃から100℃で行なわれるが、この温度または重合反応時間を調整することで可能である。
なお、重量平均分子量等は、前述の方法に準じて求めることができる。
重合体Yは、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の重合体である。重量平均分子量500以上であれば重合体の残存モノマーが減少し好ましい。
また、3000以下とすることは、リターデーション値Rt低下性能を維持するために好ましい。Yaは、好ましくは芳香環を有さないアクリルまたはメタクリルモノマーである。
重合体Yは、下記一般式(Y)で表される。
一般式(Y)
−[Ya]k−[Yb]q−
上記一般式(Y)において、Yaは芳香環を有しないエチレン性不飽和モノマーを表し、YbはYaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを表す。kおよびqは、各々モル組成比を表す。ただし、k≠0、k+q=100である。
重合体Yにおいて、さらに好ましくは下記一般式(Y−1)で表される重合体である。
一般式(Y−1)
−[CH−C(−R5)(−COR6)]k−[Yb]q−
上記一般式(Y−1)において、R5は、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。R6は炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。Ybは、[CH−C(−R5)(−COR6)]と共重合可能なモノマー単位を表す。kおよびqは、それぞれモル組成比を表す。ただしk≠0、k+q=100である。
Ybは、Yaである[CH−C(−R5)(−COR6)]と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はない。Ybは複数であってもよい。k+q=100、qは好ましくは0〜30である。
芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーを重合して得られる重合体Yを構成するエチレン性不飽和モノマーYaは、アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はないが、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル等が好ましい。Ybは複数であってもよい。
重合体X、Yを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法で、かつできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、さらに特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、あるいは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、いずれも好ましく用いられる。
特に、重合体Yは、分子中にチオール基と2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用する重合方法が好ましい。この場合、重合体Yの末端には、重合触媒および連鎖移動剤に起因する水酸基、チオエーテルを有することとなる。この末端残基により、Yとセルロースエステルとの相溶性を調整することができる。
重合体XおよびYの水酸基価は、30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
なお、水酸基価の測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる。この水酸基価は、試料1およびアセチル化させおよびき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。
具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピリジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。
1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。
次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
さらに空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価は、次の式によって算出する。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/X}+D
式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す。
上述の重合体X、重合体Yはいずれも一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくともと一つ有するセルロースエステル樹脂を含有するフィルムとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
重合体Xと重合体Yのセルロースエステルフィルム中での含有量は、下記式(i)、式(ii)を満足する範囲であることが好ましい。重合体Xの含有量をXg(質量%=(重合体Xの質量/セルロースエステルの質量)×100)、重合体Yの含有量をYg(質量%)とすると、
式(i) 5≦Xg+Yg≦35(質量%)
式(ii) 0.05≦Yg/(Xg+Yg)≦0.4
式(i)の(Xg+Yg)の好ましい範囲は、10〜35質量%である。重合体Xと重合体Yは、セルロースエステル全質量に対し、総量として5質量%以上であれば、リターデーション値Rtの調整に十分な作用をする。重合体Xと重合体Yは、後述する溶融を構成する素材として直接添加し混練する。
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくともと一つ有するセルロースエステル樹脂を含有するフィルムは、フィルムに加工性を付与する可塑剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)、フィルムのリターデーションを調整するリターデーション調整剤等の添加剤を含有させても良い。
<その他の添加剤>
その他の添加剤としては、可塑剤を適宜選択することが必要とされる。
〈可塑剤〉
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくともと一つ有するセルロースエステル樹脂を含有するフィルムは製造において、フィルム形成材料中に少なくとも1種の可塑剤を含有することが好ましい。
可塑剤は単独あるいは2種以上混合して用いることができるが、少なくとも1種は有機酸と3価以上のアルコールが縮合した構造を有する分子量350〜1500の多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
使用することができるその他の可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは、多価アルコールエステル系可塑剤、芳香族末端ポリエステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリマー可塑剤、糖エステル化合物等から選択される。
可塑剤の使用量は、セルロース誘導体に対して1質量%未満ではフィルムの透湿度を低減させる効果が少ないため好ましくなく、20質量%を越えると高温耐久時のフィルムの物性が劣化するため、1〜20質量%が好ましい。以下、好ましい可塑剤について述べる。
(多価アルコールエステル系可塑剤)
多価アルコールエステル系可塑剤は、有機酸と多価アルコールとのエステルでありその有機酸は、下記一般式(3)で表される。
Figure 2010139941
式中、R〜Rは水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらはさらに置換基を有していてよい。Lは連結基を表し、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表す。
〜Rで表されるシクロアルキル基としては、炭素数3〜8のシクロアルキル基が好ましく、具体的にはシクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の基である。これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、フェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8のアシル基、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のカルボニルオキシ基等が挙げられる。
〜Rで表されるアラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、γ−フェニルプロピル基等の基を表し、また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−オクチルオキシ、イソプロポキシ、イソブトキシ、2−エチルヘキシルオキシ、もしくはt−ブトキシ等の各アルコキシ基である。
また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置換基としては、ハロゲン原子、例えば、塩素原子、臭素原子、フッ素原子等、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アラルキル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等を置換していてもよい)、アルケニル基、フェニル基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい)、アリールオキシ基(例えばフェノキシ基(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等によってさらに置換されていてもよい))、アセチル基、プロピオニル基等のアシル基が、またアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられる。
〜Rで表されるシクロアルコキシ基としては、無置換のシクロアルコキシ基としては炭素数1〜8のシクロアルコキシ基が挙げられ、具体的には、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシ等の基が挙げられる。
また、これらの基は置換されていてもよく、好ましい置できとしては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるアリールオキシ基としては、フェノキシ基が挙げられるが、このフェニル基にはアルキル基またはハロゲン原子等前記シクロアルキル基に置換してもよい基として挙げられた置換基で置換されていてもよい。
〜Rで表されるアラルキルオキシ基としては、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等が挙げられ、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基等の炭素数2〜8の無置換のアシル基が挙げられ(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるカルボニルオキシ基としては、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等の炭素数2〜8の無置換のアシルオキシ基(アシル基の炭化水素基としては、アルキル、アルケニル、アルキニル基を含む。)、またベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基が挙げられるが、これらの基はさらに前記シクロアルキル基に置換してもよい基と同様の基により置換されていてもよい。
〜Rで表されるオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、またフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基を表す。
これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rで表されるオキシカルボニルオキシ基としては、メトキシカルボニルオキシ基等の炭素数1〜8のアルコキシカルボニルオキシ基を表し、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、好ましい置換基としては、前記のシクロアルキル基に置換してもよい基を同様に挙げることができる。
〜Rのうちのいずれか同士で互いに連結し、環構造を形成していてもよい。
また、Lで表される連結基としては、置換または無置換のアルキレン基、酸素原子、または直接結合を表すが、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等の基であり、これらの基は、さらに前記のR〜Rで表される基に置換してもよい基としてあげられた基で置換されていてもよい。
なかでも、Lで表される連結基として特に好ましいのは直接結合であり芳香族カルボン酸である。
また、可塑剤となるエステル化合物を構成する、前記一般式(3)で表される有機酸としては、少なくともR1またはR2に前記アルコキシ基、アシル基、オキシカルボニル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニルオキシ基を有するものが好ましい。また複数の置換基を有する化合物も好ましい。
なお3価以上のアルコールの水酸基を置換する有機酸は単一種であっても複数種であってもよい。
前記一般式(3)で表される有機酸と反応して多価アルコールエステル化合物を形成する3価以上のアルコール化合物としては、好ましくは3〜20価の脂肪族多価アルコールであり、3価以上のアルコールは下記一般式(4)で表されるものが好ましい。
一般式(4) R′−(OH)m
式中、R′はm価の有機基、mは3以上の正の整数、OH基はアルコール性水酸基を表す。特に好ましいのは、mとしては3または4の多価アルコールである。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、ジグリセリン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ガラクチトール、イノシトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが好ましい。
一般式(3)で表される有機酸と一般式(4)で表される3価以上の多価アルコールのエステルは、公知の方法により合成できる。実施例に代表的合成例を示したが、前記一般式(3)で表される有機酸と、一般式(4)で表される多価アルコールを例えば、酸の存在下縮合させエステル化する方法、また、有機酸をあらかじめ酸クロライドあるいは酸無水物としておき、多価アルコールと反応させる方法、有機酸のフェニルエステルと多価アルコールを反応させる方法等があり、目的とするエステル化合物により、適宜、収率のよい方法を選択することが好ましい。
一般式(3)で表される有機酸と一般式(4)で表される3価以上の多価アルコールのエステルからなる可塑剤としては、下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
Figure 2010139941
式中、R〜R20は水素原子またはシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基を表し、これらはさらに置換基を有していてよい。R21は水素原子またはアルキル基を表す。
〜R20のシクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、アシル基、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、オキシカルボニルオキシ基については、前記一般式(3)のR〜Rと同様の基が挙げられる。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
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Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
〈芳香族末端ポリエステル系可塑剤〉
下記一般式(6)で表せる芳香族末端ポリエステル系可塑剤を使用することができる。
一般式(6) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはアリールカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(6)中、Bで示されるアリールカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系化合物と同様の反応により得られる。
芳香族末端ポリエステル系可塑剤のアリールカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
芳香族末端ポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記芳香族末端ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端ポリエステル系可塑剤の炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。
炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
芳香族末端ポリエステル系可塑剤は、nが1以上100以下であることが好ましく、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。
また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものである。
一般式(6)に示す芳香族末端ポリエステル系可塑剤は、セルロースエステルに対して、0.5〜30質量%含有させることが好ましい。
芳香族末端ポリエステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、これに限定されない。
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
Figure 2010139941
(ポリマー可塑剤)
前述のセルロースエステルフィルムは前記のアクリル系重合体以外のポリマー可塑剤を使用することも好ましい。
具体的には、脂肪族炭化水素系ポリマー、脂環式炭化水素系ポリマー、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリN−ビニルピロリドン等のビニル系ポリマー、メタクリル酸メチルとN−ビニルピロリドンの共重合体(例えば、共重合比1:99〜99:1の間の任意の比率)、ポリスチレン、ポリ4−ヒドロキシスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア等が挙げられる。
数平均分子量は1,000〜500,000程度が好ましく、特に好ましくは、5000〜200000である。1,000以下では揮発性が大きくなり、500,000を超えると可塑化能力が低下する傾向があり、セルロースエステル位相差フィルムの機械的性質に悪影響を及ぼす可能性がある。
これらポリマー可塑剤は1種のモノマーの繰り返し単位からなる単独重合体でも、複数のモノマーの繰り返し構造体を有する共重合体でもよい。また、上記ポリマーを2種以上併用して用いてもよい。
また表面の可塑剤量の測定法は特に限定されないが、例えば、ナイフなどを用いて、フィルムの表面から20nmほど削って定量分析する方法やフィルムの厚さ方向の可塑剤量をIRや原子吸光などでスキャンする方法などを用いて定量したものである。
〈酸化防止剤〉
酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。
例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“IrgafosXP40”、“IrgafosXP60”という商品名で市販されているものを含むものが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、チバ・ジャパン株式会社、“Irganox1076”、“Irganox1010”、(株)ADEKA“アデカスタブAO−50”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”および“ADK STAB 3010”、チバ・ジャパン株式会社から“IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名および販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、チバ・ジャパン株式会社から、“Tinuvin144(AO2)”および“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”というおよび名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“Sumilizer TPL−R“および“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学株式会社から、“Sumilizer GM”および“Sumilizer GS”という商品名で市販されているものが好ましい。
さらに、酸および剤として米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系および二重結合系化合物の併用は好ましい。
〈リターデーション調整剤〉
一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するセルロースエステル樹脂を含有する透明フィルムにおいてリターデーションを調整するための化合物を含有させてもよい。
リターデーションを調整するために添加する化合物は、欧州特許第911,656A2号明細書に記載されているような、二つ以上の芳香族環を有する芳香族化合物を使用することもできる。
また2種類以上の芳香族化合物を併用してもよい。該芳香族化合物の芳香族環には、芳香族炭化水素環に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環であることが特に好ましく、芳香族性ヘテロ環は一般に不飽和ヘテロ環である。なかでも1,3,5−トリアジン環を有する化合物が特に好ましい。
〈着色剤〉
着色剤を使用することが好ましい。着色剤と言うのは染料や顔料を意味するが、液晶画面の色調を青色調にする効果またはイエローインデックスの調整、ヘイズの低減を有するものを指す。着色剤としては各種の染料、顔料が使用可能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
〈紫外線吸収剤〉
紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。高分子型の紫外線吸収剤としてもよい。
〈マット剤〉
フィルムの滑り性を付与するためにマット剤を添加することが好ましい。マット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なうことがなく、溶融時の耐熱性があれば無機化合物または有機化合物どちらでもよく、例えば、タルク、マイカ、ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレー、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ワラストナイト、窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタン、炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタン、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタン、ホワイトカーボンなどが挙げられる。これらのマット剤は、単独でも二種以上併用しても使用できる。粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。
これらの中でも、セルロースエステルと屈折率が近いので透明性(ヘイズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。
粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。
なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
〈粘度低下剤〉
溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加することができる。水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。
これらは、セルロース樹脂の分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロース樹脂組成物の溶融温度を低下することができる。
または同じ溶融温度においてセルロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセルロース樹脂組成物の溶融粘度を低下することができる。
水素結合性溶媒としては、例えば、アルコール類:例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、2−エチルヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、ドデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、グリセリン等、ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン等、カルボン酸類:例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等、エーテル類:例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等、ピロリドン類:例えば、N−メチルピロリドン等、アミン類:例えば、トリメチルアミン、ピリジン等、等を例示することができる。
これら水素結合性溶媒は、単独で、または2種以上混合して用いることができる。これらのうちでも、アルコール、ケトン、エーテル類が好ましく、特にメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、オクタノール、ドデカノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランが好ましい。さらに、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン、テトラヒドロフランのような水溶性溶媒が特に好ましい。ここで水溶性とは、水100gに対する溶解度が10g以上のものをいう。これらの溶媒は、溶融製膜時に揮発し、最終的には含有溶媒量として0.01質量%以下とされる。
以下、前述したセルロースエステルフィルムの製膜方法について説明する。
<溶融流延製膜法>
溶融流延製膜とは、セルロースエステルおよび可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステルを含む溶融物を流延することを溶融製膜として定義する。加熱溶融する成形法は、さらに詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの中で、機械的強度および表面精度などに優れるセルロースエステルフィルムを得るためには、溶融押し出し法が優れている。
以下、溶融流延製膜方法について説明する。
(セルロースエステルと添加剤の溶融ペレット製造工程)
溶融押出に用いる複数の原材料は、通常あらかじめ混錬してペレット化しておくことが好ましい。ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステルや可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出機に供給し一軸や二軸の押出機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押し出し、水冷または空冷し、カッティングすることでできる。原材料は、押出する前に乾燥しておくことが原材料の分解を防止する上で重要である。特にセルロースエステルは吸湿しやすいので、除湿熱風乾燥機や真空乾燥機で70〜140℃で3時間以上乾燥し、水分率を200ppm以下、さらに100ppm以下にしておくことが好ましい。
添加剤は、押出機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。酸化防止剤等少量の添加剤さらに均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
酸化防止剤の混合は、固体同士で混合してもよいし、必要により、酸化防止剤を溶剤に溶解しておき、セルロースエステルに含浸させて混合してもよく、あるいは噴霧して混合してもよい。
真空ナウターミキサーなどが乾燥と混合を同時にできるので好ましい。また、フィーダー部やダイからの出口など空気と触れる場合は、除湿空気や除湿したN2ガスなどの雰囲気下にすることが好ましい。
また、押出機への供給ホッパー等は保温しておくことが吸湿防止できるので好ましい。
マット剤やUV吸収剤などは、得られたペレットにまぶしたり、フィルム製膜時に押出機中で添加したりしてもよい。
押出機は、せん断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、二軸押出機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
ニーダーディスクは、混錬性を向上できるが、せん断発熱に注意が必要である。ニーダーディスクを用いなくても混合性は十分である。ベント孔からの吸引は必要に応じて行えばよい。低温であれば揮発成分はほとんど発生しないのでベント孔なしでもよい。
(セルロースエステルと添加剤の溶融物をダイから押し出す工程)
除湿熱風や真空または減圧下で乾燥したポリマーを一軸や二軸タイプの押出し機を用いて、押し出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去したあと、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押し出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。
ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
濾過精度を粗、密と連続的に複数回繰り返した多層体としたものが好ましい。また、濾過精度を順次上げていく構成としたり、濾過精度の粗、密を繰り返す方法をとることで、フィルターの濾過寿命が延び、異物やゲルなどの補足精度も向上できるので好ましい。
ダイに傷や異物が付着するとスジ状の欠陥が発生する場合がある。このような欠陥をダイラインとも呼ぶが、ダイライン等の表面の欠陥を小さくするためには、押出機からダイまでの配管には樹脂の滞留部が極力少なくなるような構造にすることが好ましい。ダイの内部やリップにキズ等が極力ないものを用いることが好ましい。
押出機やダイなどの溶融樹脂と接触する内面は、表面粗さを小さくしたり、表面エネルギーの低い材質を用いるなどして、溶融樹脂が付着し難い表面加工が施されていることが好ましい。具体的には、ハードクロムメッキやセラミック溶射したものを表面粗さ0.2S以下となるように研磨したものが挙げられる。
可塑剤などの添加剤は、あらかじめ樹脂と混合しておいてもよいし、押出機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
(ダイから押し出された溶融物を冷却ロールと弾性タッチロールとの間に押圧しながら流延する工程)
冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度はフィルムのTg以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールが使用できる。冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
(延伸工程)
上記のようにして得られたフィルムは冷却ロールに接する工程を通過後、MDさらに、TDに延伸速度が400%/min〜1500%/minで延伸すること、前記フィルムを少なくとも製膜方向か幅手方向のどちらか一方に50%〜200%延伸することが好ましい。この延伸工程により、本発明のMD、TDの弾性率が決定付けられる。延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行なわれることが好ましい。
フィルム構成材料のガラス転移温度Tgはフィルムを構成する材料種および構成する材料の比率を異ならしめることにより制御できる。位相差フィルムを作製する場合、Tgは110℃以上、好ましくは125℃以上とすることが好ましい。フィルムのTgが高過ぎると、フィルム構成材料をフィルム化するとき温度が高くなるために加熱するエネルギー消費が高くなり、またフィルム化するときの材料自身の分解、それによる着色が生じることがあり、従って、Tgは250℃以下が好ましい。
また延伸工程には公知の熱固定条件、冷却、緩和処理を行ってもよく、目的とする位相差フィルムに要求される特性を有するように適宜調整すればよい。
延伸は、幅手方向で制御された均一な温度分布下で行うことが好ましい。好ましくは±2℃以内、さらに好ましくは±1℃以内、特に好ましくは±0.5℃以内である。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
延伸倍率としては、少なくとも一方に1%〜250%、より好ましくは2%〜200%、さらに好ましくは3%〜150%である。縦、横均等に延伸してもよいが、一方の延伸倍率を他方より大きくし不均等に延伸するほうがより好ましい。
縦(MD)、横(TD)いずれを大きくしてもよいが、小さい方の延伸倍率は0%〜30%が好ましく、より好ましくは0%〜25%であり、さらに好ましくは0%〜20%である。大きいほうの延伸倍率は1%〜250%であり、より好ましくは10%〜200%、さらに好ましくは30%〜150%である。
延伸倍率(%)=100×{(延伸後の長さ)−(延伸前の長さ)}/(延伸前の長さ)
これらの縦延伸と横延伸は、それぞれ単独で行ってもよく(一軸延伸)、組み合わせて行ってもよい(二軸延伸)。二軸延伸の場合、縦、横逐次で実施してもよく(逐次延伸)、同時に実施してもよい(同時延伸)。
このような延伸に引き続き、縦または横方向に0%〜10%緩和することが好ましい。さらに、延伸に引き続き、150℃〜250℃で1秒〜3分熱固定することも好ましい。
ここで、Roとは面内リターデーションを示し、面内の製膜方向MDの屈折率と幅手方向TDの屈折率との差に厚みを乗じたもの、Rtとは厚み方向リターデーションを示し、面内の屈折率(製膜方向MDと幅方向TDの平均)と厚み方向の屈折率との差に厚みを乗じたものである。
延伸は、例えばフィルムの製膜方向および幅手方向に対して、逐次または同時に行うことができる。このとき少なくとも1方向に対しての延伸倍率が小さ過ぎると十分な位相差が得られず、大き過ぎると延伸が困難となりフィルム破断が発生してしまう場合がある。
互いに直交する二軸方向に延伸することは、フィルムの屈折率nx、ny、nzを所定の範囲に入れるために有効な方法である。
ここで、nxとはフィルムMD方向の屈折率、nyとはTD方向の屈折率、nzとは厚み方向の屈折率である。
例えばフィルム製膜方向に延伸した場合、幅手方向の収縮が大き過ぎると、nzの値が大きくなり過ぎてしまう。この場合、フィルムの幅収縮を抑制、あるいは幅手方向にも延伸することで改善できる。幅手方向に延伸する場合、幅手方向で屈折率に分布が生じることがある。
この分布は、テンター法を用いた場合に現れることがあり、フィルムを幅手方向に延伸したことで、フィルム中央部に収縮力が発生し、端部は固定されていることにより生じる現象で、いわゆるボーイング現象と呼ばれるものと考えられる。
この場合でも、フィルム製膜方向に延伸することで、ボーイング現象を抑制でき、幅手方向の位相差の分布を少なくできる。互いに直交する二軸方向に延伸することにより、得られるフィルムの膜厚変動が減少できる。膜厚変動が大き過ぎると位相差のムラとなり、液晶ディスプレイに用いたとき着色等のむらが問題となることがある。
前述のセルロースエステルフィルムの膜厚変動は、±3%、さらに±1%の範囲とすることが好ましい。
延伸後、フィルムの端部をスリッターにより製品となる幅にスリットして裁ち落としたあと、エンボスリングおよびバックロールよりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)をフィルム両端部に施し、巻取り機によって巻き取ることにより、セルロースエステルフィルム(元巻き)の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。
(溶液流延製膜)
溶液流延による製膜製造では、樹脂及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。ドープ中の樹脂濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、樹脂の濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、フィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
フィルム乾燥工程では、雰囲気置換率を12回/時間以上、好ましくは12〜45回/時間の雰囲気下で搬送しながら処理することが好ましい。
雰囲気置換率は、熱処理室の雰囲気容量をV(m)、Fresh−air送風量をFA(m/hr)とした場合、下式によって求められる単位時間あたり熱処理室の雰囲気をFresh−airで置換する回数である。Fresh−airは熱処理室に送風される風のうち、循環再利用している風ではなく、揮発した溶媒もしくは可塑剤などを含まない、もしくはそれらが除去された新鮮な風のことを意味している。
雰囲気置換率=FA/V(回/時間)
12回/時間以上の雰囲気置換率では、フィルムから揮発した可塑剤による雰囲気中の可塑剤濃度を十分に低減することができ、フィルムへの再付着が低減でき好ましい。
(ハードコートフィルムの形態)
近年、画像表示装置の薄膜化が進んでおり、画像表示装置に用いられる保護フィルムや偏光膜といった部材についても薄膜が望まれている。従来、保護フィルムを薄膜化していくとフィルム弾性が低下し、変形しやすく、ロール状で保管しておくとフィルム同士がくっつき、ブロッキングを起こしやすい。
本発明のハードコートフィルムは、透明フィルムである上記セルロースエステルフィルムの膜厚を30μm以下といった薄膜とし、かつロール状で保管しておく際に、本発明の効果を発揮しやすい。また、生産の効率化から、ハードコートフィルムは長尺が好ましく、具体的には1000m以上、好ましくは3000m以上、更に好ましくは5000m以上である。また、長尺フィルムでの保管の際にもハードコートフィルム(透明フィルム)は薄膜の方が好ましい。
<偏光板>
本発明のハードコートフィルムを用いた偏光板について述べる。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明のハードコートフィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理したハードコートフィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光膜の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面に該ハードコートフィルムを用いても、別の保護フィルムを用いてもよい。本発明のハードコートフィルムに対して、もう一方の面に用いられる保護フィルムは、面内リターデーションRoが590nmで、20〜100nm、Rtが100〜400nmの位相差を有する光学補償フィルム(位相差フィルム)を用いることが好ましい。これらは例えば、特開2002−71957号、特願2002−155395号記載の方法で作製することができる。または、更にディスコチック液晶やネマチック液晶等の液晶化合物を配向させて形成した光学異方層を有している光学補償フィルムを兼ねる保護フィルムを用いることが好ましい。例えば、特開2003−98348号記載の方法で光学異方性層を形成することができる。或いは、特開2003−12859号記載のリターデーションRoが590nmで0〜5nm、Rtが−20〜+20nmの無配向フィルムも好ましく用いられる。本発明のハードコートフィルムを偏光板に組み合わせて使用することによって、平面性に優れる偏光板を得ることができる。裏面側に用いられる保護フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリシクロオレフィンフィルム、セロファン、セルロースアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートフタレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルローストリアセテート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体からなるフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム(例えば、ARTON(JSR社製)、ゼオネックス、ゼオノア(日本ゼオン社製))、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルフォンフィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、アクリルフィルム或いはポリアクリレート系フィルム等を挙げることができる。セルロースアセテートプロピオネートフィルム、セルローストリアセテートフィルム(TACフィルム)等のセルロースエステルフィルムは市販のフィルム、例えば、コニカミノルタオプト(株)製のコニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC16UR、KC4UE、KC8UE、KC4FR−1、KC4FR−2等が好ましく用いられる。他にシクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルムまたはポリアクリルフィルムも透明性、機械的性質、光学的異方性がない点等で好ましく使用できる。
偏光板の主たる構成要素である偏光膜とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光膜は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。偏光膜は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光膜の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光膜が好ましく用いられる。該偏光膜の面上に、本発明のハードコートフィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。また偏光板は、生産の効率化から、1500m、2500m、5000mとより長尺のほど、好ましい。
<表示装置>
本発明のハードコートフィルムを用いて作製した偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性、平面性及び表面硬度に優れた本発明の表示装置を作製することができる。
本発明のハードコートフィルムは前記偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型、フリンジ電場スイッチング(FFS:Fringe−Field Switching)、OCB型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられる。
また、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー等の各種表示装置にも好ましく用いられる。
本発明の液晶表示装置は、大型の液晶テレビに用いられる。画面サイズとしては、17型以上に用いることができ、好ましくは26型以上100型程度まで用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<ハードコートフィルム1の作製>
〈セルロースエステルフィルムAの作製(一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂からなる透明フィルムの作製)〉
(セルロースエステルXの合成)
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41)80部を加え、110℃、4時間、4Torr(1Torrは、133.322Paである)で減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン20部、シクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンが酢酸セルロースに反応したセルロースエステルXを得た。そして、H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応したε−カプロラクトンの平均モル数は0.43、平均置換度は0.08、平均重合度は5.1であった。
(ドープ液Aの調製)
下記材料を、順次密閉容器中に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行って、セルロースエステルを完全に溶解した。酸化ケイ素微粒子は予め添加する溶媒と少量のセルロースエステルの溶液中に分散して添加した。このドープを濾紙(安積濾紙株式会社製、安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープ液Aを得た。
(ドープ液A)
セルロースエステルX 100質量部
モノペットSB(糖エステル化合物) 9質量部
酸化ケイ素微粒子 0.1質量部
(アエロジルR972V、日本アエロジル株式会社製)
メチレンクロライド 400質量部
エタノール 40質量部
ブタノール 5質量部
上記の材料を混合してドープ液Aを調製し、得られたドープ液Aを、温度35℃に保温した流延ダイより、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる温度35℃の支持体上に流延して、ウェブを形成した。ついで、ウェブを支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が100質量%になった段階で、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
ついで、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で100℃の乾燥風にて乾燥させながら搬送し、続いて図3で示すテンターでウェブ両端部を把持した後、130℃で幅方向(TD)に延伸前の1.2倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で140℃の乾燥風にて乾燥させた。室温まで冷却して、両端部に幅1cm、平均高さ15μmのナーリング加工を施して巻き取り、幅1.5m、膜厚30μm、長さ6900m、長尺のセルロースエステルフィルムAを作製した。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のウェブ搬送方向(MD)の延伸倍率は、1.1倍であった。
次いで、上記作製したセルロースエステルフィルムA上に、下記ハードコート層塗布組成物1を孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層塗布液を調製し、図1の装置を用いてダイコータにより塗布し、70℃で乾燥後、酸素濃度が1.0体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、紫外線ランプを用い照射部の照度が300mW/cm、照射量を0.3J/cmとして塗布層を硬化させ、更に図1の加熱処理ゾーン7において、130℃で5分間、搬送張力300N/mで加熱処理し、ドライ膜厚18μmのハードコート層を形成し、ハードコートフィルム1を作製し、巻き取った。
(ハードコート層組成物1)
〈フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調製〉
以下、フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調整に用いた素材の市販品名を示す。
ラジカル重合性フッ素樹脂(A):セフラルコートCF−803(水酸基価60,数平均分子量15,000;セントラル硝子株式会社製)
片末端ラジカル重合性ポリシロキサン(B):サイラプレーンFM−0721(数平均分子量5,000;チッソ株式会社製)
ラジカル重合開始剤:パーブチルO(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート;日本油脂株式会社製)
硬化剤:スミジュールN3200(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット型プレポリマー;
住友バイエルウレタン株式会社製)
(ラジカル重合性フッ素樹脂(A)の合成)
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、セフラルコートCF−803(1554質量部)、キシレン(233質量部)、及び2−イソシアナトエチルメタクリレート(6.3質量部)を入れ、乾燥窒素雰囲気下で80℃に加熱した。80℃で2時間反応し、サンプリング物の赤外吸収スペクトルによりイソシアネートの吸収が消失したことを確認した後、反応混合物を取り出し、ウレタン結合を介して50質量%のラジカル重合性フッ素樹脂(A)を得た。
(フッ素−シロキサングラフトポリマーIの調製)
機械式撹拌装置、温度計、コンデンサー及び乾燥窒素ガス導入口を備えたガラス製反応器に、上記合成したラジカル重合性フッ素樹脂(A)(26.1質量部)、キシレン(19.5質量部)、酢酸n−ブチル(16.3質量部)、メチルメタクリレート(2.4質量部)、n−ブチルメタクリレート(1.8質量部)、ラウリルメタクリレート(1.8質量部)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(1.8質量部)、FM−0721(5.2質量部)、及びパーブチルO(0.1質量部)を入れ、窒素雰囲気中で90℃まで加熱した後、90℃で2時間保持した。パーブチルO(0.1部)を追加し、更に90℃で5時間保持することによって、重量平均分子量が171,000である35質量%フッ素−シロキサングラフトポリマーIの溶液を得た。
重量平均分子量はGPCにより求めた。また、フッ素−シロキサングラフトポリマーIの質量%はHPLC(液体クロマトグラフィー)により求めた。
下記材料を攪拌、混合しハードコート層塗布組成物1とした。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20.0質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50.0質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30.0質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 30.0質量部
イルガキュア184 5.0質量部
(チバ・ジャパン社製)
上記調製したフッ素−シロキサングラフトポリマーI(35質量%) 5.0質量部
シーホスターKEP−50(粉体のシリカ粒子、平均粒径0.47〜0.61μm、日本触媒株式会社製) 24.3質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
酢酸メチル 40質量部
メチルエチルケトン 60質量部
(マルテンス硬さの測定)
ハードコートフィルム1のハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)を、微小硬度計を用いて測定した。すなわち、ビッカース圧子及び稜線同士の角度が、115度の三角錐圧子を用いた微小硬度計(商品名、DUH−211,島津製作所社製)を用いて、先ずはハードコートフィルム表面のハードコート層を、膜厚の略1/10の厚みまで圧子を押し込み、圧子を押し込んだときの負荷試験力−押し込み深さ曲線を作成した。次に、作成した負荷試験力−押し込み深さ曲線から最大負荷試験力(Fmax)の50%値から90%値までの押し込み深さが負荷試験力の平方根に比例する傾き(m)より、下記式で定義されるハードコート層表面のマルテンス硬さ(Hms)の値を算出した。
1HMs=1/(26.4m
結果、ハードコートフィルム1のハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)は、408N/mmであった。
<ハードコートフィルム2〜4の作製>
ハードコートフィルム1と同様にして、表1に記載の条件で、図1の加熱処理ゾーン7における加熱処理条件、張力を変化させ、ハードコートフィルムフィルム2〜4を作製した。また、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)も測定し、表1に記載した。
<ハードコートフィルム5〜10の作製>
ハードコートフィルム1の作製において、膜厚を表1に記載のように変化させ、ハードコートフィルムフィルム5〜10を作製した。また、ハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)も測定し、表1に記載した。
<ハードコートフィルム11の作製>
ハードコートフィルム1の作製において、透明フィルムを下記のセルロースエステルフィルムBに変更した以外は、同様にしてハードコートフィルム11を作製した。
<セルロースエステルフィルムBの作製>
(セルロースエステルYの合成)
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41)80部を加え、110℃、4時間、4Torr(1Torrは、133.322Paである)で減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したL−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製)80部、シクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物を濾別することによって、L−ラクチドの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンが酢酸セルロースに反応したセルロースエステルY得た。そして、H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、そして、H−NMRにより得られたグラフト体の一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応したL−ラクチドの平均モル数は1.80、平均置換度は0.33、平均重合度は7.1であった。
(ドープ液Bの調製)
下記の材料を、順次密閉容器中に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行って、セルロースエステルを完全に溶解した。酸化ケイ素微粒子は予め添加する溶媒と少量のセルロースエステルの溶液中に分散して添加した。このドープを濾紙(安積濾紙株式会社製、安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープ液Bを得た。
(ドープ液B)
セルロースエステルY 100質量部
モノペットSB(糖エステル化合物) 9質量部
酸化ケイ素微粒子 0.1質量部
(アエロジルR972V、日本アエロジル株式会社製)
メチレンクロライド 400質量部
エタノール 40質量部
ブタノール 5質量部
上記の材料を混合してドープ液Bを調製し、得られたドープ液Bを、温度35℃に保温した流延ダイより、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる温度35℃の支持体上に流延して、ウェブを形成した。ついで、ウェブを支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が100質量%になった段階で、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
ついで、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で100℃の乾燥風にて乾燥させながら搬送し、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、130℃で幅方向(TD)に延伸前の1.2倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で140℃の乾燥風にて乾燥させた。室温まで冷却して、両端部に幅1cm、平均高さ15μmのナーリング加工を施して巻き取り、幅1.5m、膜厚30μm、長さ6900m、長尺のセルロースエステルフィルムBを作製した。ステンレスバンド支持体の回転速度とテンターの運転速度から算出される剥離直後のウェブ搬送方向(MD)の延伸倍率は、1.1倍であった。
<ハードコートフィルム12の作製>
ハードコートフィルム1の作製において、透明フィルムを下記のセルローストリアセテートフィルム1に変更した以外は、同様にしてハードコートフィルム12を作製した。
(セルローストリアセテートフィルム1の作製)
(ドープ液Cの調製)
下記の材料を、順次密閉容器中に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行って、セルローストリアセテートを完全に溶解した。酸化ケイ素微粒子は予め添加する溶媒と少量のセルローストリアセテートの溶液中に分散して添加した。このドープを濾紙(安積濾紙株式会社製、安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープ液Cを得た。
(ドープ液C)
セルローストリアセテート(アセチル基置換度2.9) 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 4質量部
酸化ケイ素微粒子 0.1質量部
(アエロジルR972V、日本アエロジル株式会社製)
メチレンクロライド 400質量部
エタノール 40質量部
ブタノール 5質量部
上記の材料を混合してドープ液Cを調製し、得られたドープ液Cを、温度35℃に保温した流延ダイを通過させ、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる温度35℃の支持体上に流延して、ウェブを形成した。ついで、ウェブを支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が100質量%になった段階で、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
ついで、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送の乾燥工程で100℃の乾燥風にて乾燥させながら搬送し、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、130℃で幅方向(TD)に延伸前の1.2倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で140℃の乾燥風にて乾燥させた。次いで室温まで冷却して両端部に幅1cm、平均高さ15μmのナーリング加工を施して巻き取り、幅1.5m、膜厚30μm、長さ6900mのセルローストリアセテートフィルム1を作製した。
<ハードコートフィルム13の作製>
ハードコートフィルム1の作製において、セルロースエステルフィルムAを特開2006−291192号公報実施例3を参考にして作製したシクロオレフィンポリマー1(COP1:厚み30μm)とし、大気圧プラズマ処理による表面処理を行った後、ハードコート層を形成した以外は同様にしてハードコートフィルム13を作製した。
<シクロオレフィンポリマーフィルム1(COP1)の作製>
(シクロオレフィンポリマー1の合成)
窒素置換した反応容器に、8−メチル−8−カルボキシメチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン225部と、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン25部と、分子量調節剤として1−ヘキセン18部と、溶媒としてトルエン750部とを仕込み、この溶液を60℃に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒としてトリエチルアルミニウム1.5モル/lを含有するトルエン溶液0.62部と、t−ブタノールおよびメタノールで変性した六塩化タングステン(t−ブタノール:メタノール:タングステン=0.35モル:0.3モル:1モル)を含有する濃度0.05モル/lのトルエン溶液3.7部とを添加し、この系を80℃で3時間加熱攪拌することにより開環共重合反応させて開環共重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97%であり、得られた開環共重合体溶液を構成する開環共重合体の30℃のクロロホルム中における固有粘度(ηinh)を測定したところ、0.65dl/gであった得られた開環共重合体溶液4000部をオートクレーブに仕込み、この開環共重合体溶液に、カルボニルクロロヒドリドトリス(トリフェニルホスフィン)ルテニウム:RuHCl(CO)[P(Cを0.48部添加し、水素ガス圧100kg/cm、反応温度165℃の条件下で3時間加熱攪拌することにより水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液)を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体(以下、「シクロオレフィンポリマー1」)を得た。得られたシクロオレフィンポリマー1について、水素添加率を、400MHzH−NMRスペクトルにより測定したところ、99.9%であった。また、GPC法(溶媒:テトラヒドロフラン)によりポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を測定したところ、数平均分子量(Mn)は39,000、質量平均分子量(Mw)は126,000、分子量分布(Mw/Mn)は3.23であった。
(ドープ液Dの調製)
シクロオレフィンポリマー1をトルエンに濃度が30%となるように溶解した。得られた溶液の室温における溶液粘度は30,000mPa・sであった。この溶液に、酸化防止剤としてペンタエリスリチルテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、シクロオレフィンポリマー1、100質量部に対して0.1質量部と、酸化ケイ素微粒子をシクロオレフィンポリマー1、100質量部に対して0.1質量部添加し、ドープ液Dを調製した。
得られたドープ液Dを、日本ポール製の孔径5μmの金属繊維焼結フィルターを用い、差圧が0.4MPa以内に収まるように溶液の流速をコントロールしながら濾過した後、温度35℃に保温した流延ダイを通過させ、ステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる温度35℃の支持体上に流延して、ウェブを形成した。ついで、ウェブを支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が80質量%になった段階で、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
ついで、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送の乾燥工程で110℃の乾燥風にて乾燥させながら搬送し、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、150℃で幅方向(TD)に延伸前の1.2倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で165℃の乾燥風にて乾燥させた。次いで室温まで冷却して両端部に幅1cm、平均高さ15μmのナーリング加工を施して巻き取り、幅1.5m、膜厚30μm、長さ6900mのシクロオレフィンポリマーフィルム1を作製した。
《ハードコートフィルムの評価》
作製したハードコートフィルム1〜13を用いて以下の評価を実施した。
(表面硬度:鉛筆硬度)
ハードコートフィルム1〜13の表面硬度について、鉛筆硬度試験で評価を行った。JIS−S6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS−K5400が規定する鉛筆硬度評価法に従い、500gのおもりを用いて各硬度の鉛筆で、ハードコート層表面を5回繰り返し引っ掻き、傷が1本までの硬度を測定した。数字か高いほど、高硬度を示す。本発明では3H以上が高硬度である。
(ブロッキング耐性評価)
上記作製したハードコートフィルム1〜13のロール状フィルム(ハードコート層と、ハードコートを形成していない層とが重なっている状態)を、55℃相対湿度80%の恒温槽で11日保存した。次ぎに保存後のブロッキング性を表面からの目視観察にて以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
◎:くっつき面積0%、ブロッキングは認められない。
○:くっつき面積が2%未満、僅かにブロッキングが発生している。
△:くっつき面積が2%以上〜10%未満、ブロッキングが発生しているものの、
実用上問題ないレベル。
×:くっつき面積が10%以上〜40%未満、ブロッキングが発生。
××:くっつき面積が40%以上、実用上極めて問題となる。
(平面性)
床から3mの高さの天井部に、昼色光直管蛍光灯(FLR40S・D/M−X パナソニック株式会社製)40W×2本を1セットとして、1.5m間隔で10セット配置した。次いで、ハードコートフィルム1〜13を、それぞれ1m切り出して、床から80cmの黒い机上に、蛍光灯がハードコートフィルムに垂直にあたるようにハードコート層を表面側にして置き、以下の基準で評価した。
○:蛍光灯が真っ直ぐに見える
△:蛍光灯が若干曲がったように見えるところがあるが、実用上問題ないレベル。
×:蛍光灯が曲がって見える。
(総合評価)
硬度、ブロッキング耐性及び平面性の評価から、総合評価として以下の基準で表1に示した。
◎:硬度4H以上でブロッキング及び平面性が○以上
○:硬度3H以上でブロッキング及び平面性が○以上
△:硬度3H以上で、ブロッキング及び平面性が△、
もしくはブロッキング或いは平面性のどちらかが△で、もう一方は○以上
×:硬度3H以上でブロッキング或いは平面性のどちらかが、×以下
××:硬度3H未満
総合評価△以上が、実用上問題ないレベル。
得られた結果を表1に示した。
Figure 2010139941
表1の結果からわかるようにハードコート層の膜厚を8μm以上、40μm以下とし、透明フィルムに一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステルフィルムを用いる事で、高硬度、平面性及びブロッキング耐性の全てにおいて優れる。特にハードコート層の膜厚が14μm以上、26μm以下において、優れた本発明の効果を発揮する。
ハードコート層の膜厚が8μmよりも薄いとブロッキング性は優れるが、高硬度が得られない。
ハードコート層の膜厚が40μmよりも厚いと高硬度は得られるが、ブロッキング性と平面性は良好な性能が得られない。
実施例2
<ハードコートフィルム14及び15の作製>
ハードコートフィルム2の作製において、図1の加熱処理ゾーン7を通したが、加熱処理せず(室温:25℃)、搬送張力を成り行き(200N/m)に条件変更した以外は同様にして、ハードコートフィルム14を作製した。また、ハードコートフィルム2の作製において、搬送張力を550N/mに条件変更した以外は同様にして、ハードコートフィルム15を作製した。
ハードコートフィルム14及び15のハードコート層表面のマルテンス硬さ(HMs)も測定し、表2に記載した。
次いで、上記作製したハードコートフィルム14、15及び実施例1で作製したハードコートフィルム2について、ブロッキング耐性評価の保存期間を16日間に変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表2に示した。
Figure 2010139941
表2の結果から判るように、光照射後、加熱処理と搬送張力を300N/m以上とすることで、よりブロッキング耐性に優れたハードコートフィルムが得られることが判る。また、搬送張力を500N/m以下とする事で、優れた平面性も得られる。
実施例3
<ハードコートフィルム16の作製>
ハードコートフィルム1の作製において、ハードコート層塗布組成物1を下記のハードコート層塗布組成物2に変更した以外は同様にしてハードコートフィルム16を作製した。次いで、上記作製したハードコートフィルム16、及び実施例1で作製したハードコートフィルム1について、ブロッキング耐性評価の耐久試験条件を70℃相対湿度90%に変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表3に示した。また、ハードコートフィルム16のマルテンス硬さも表3に示した。
(ハードコート層組成物2)
〈反応性シリカ粒子(Xa)の作製〉
(重合性不飽和基を有する有機化合物(X)の作製)
メルカプトプロピルトリメトキシシラン23部、ジブチルスズジラウレート0.5部からなる溶液にイソホロンジイソシアネート60部を攪拌しながら50℃で1時間かけて滴下後、70℃で3時間攪拌した。これに新中村化学製NKエステルA−TMM−3LM−N(ペンタエリスリトールトリアクリレート60質量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート40質量%とからなる溶液202部を30℃で1時間かけて滴下後、60℃で3時間加熱攪拌することで特定有機化合物(S1)を得た。生成物の赤外吸収スペクトルは原料中のメルカプト基に特徴的な2550cm−1の吸収ピーク及びイソシアネート基に特徴的な2260cm−1の吸収ピークが消失し、新たに、[−O−C(=O)−NH−]基及び[−S−C(=O)−NH−]基中のカルボニルに特徴的な1660cm−1のピーク及びアクリロイル基に特徴的な1720cm−1のピ−クが観察され、重合性不飽和基としてのアクリロイル基と[−S−C(=O)−NH−]基、[−O−C(=O)−NH−]基を共に有する特定有機化合物が生成していることを示した。上記製造した組成物9.36部(重合性不飽和基を有する有機化合物(X)を7.28部含む)、シリカ粒子分散液(シリカ濃度31%、日産化学製MEKゾル)98.07部、イオン交換水0.13部、及びp−ヒドロキシフェニルモノメチルエーテル0.01部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチルエステル1.45部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することで反応性シリカ粒子(Xa)の分散液を得た。この分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、35.7%であった。またこのシリカ粒子の平均粒子径は40nmであった。ここで、平均粒子径は透過型電子顕微鏡により測定した。
(ハードコート層塗布組成物2)
下記材料を攪拌、混合しハードコート層塗布組成物2とした。
ペンタエリスリトールトリアクリレート 20.0質量部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 50.0質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート 30.0質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート 30.0質量部
イルガキュア184 5.0質量部
(チバ・ジャパン社製)
上記調製したフッ素−シロキサングラフトポリマーI(35質量%) 5.0質量部
反応性シリカ粒子分散液(反応性シリカ粒子(Xa)35.7%) 68質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
酢酸メチル 40質量部
Figure 2010139941
表3の結果から判るようにハードコート層に重合性不飽和基を有する有機化合物によって表面処理された反応性シリカ粒子(Xa)を含有させることで、より過酷な耐久試験後のブロッキング耐性に優れ、かつ高硬度性能が得られる。
実施例4
<ハードコートフィルム17〜22の作製>
ハードコートフィルム1の作製において、セルロースエステルフィルムAを一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂(表4では、セルロースエステルXと記載)と熱可塑性アクリル樹脂とを表4に記載した割合で混合して、ドープ液を作製した。次に、これらドープ液を用いてセルロースエステル樹脂・熱可塑性アクリル樹脂フィルムを作製し、これらフィルムを基材に用いた以外は同様にして、ハードコートフィルム17〜22を作製した。次いで、上記作製したハードコートフィルム17〜22、及び実施例1で作製したハードコートフィルム1について、ブロッキング耐性評価の耐久試験条件を70℃相対湿度90%とし、保存期間も20日に変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表4に示した。また、ハードコートフィルム17〜22のマルテンス硬さも表4に示した。なお、熱可塑性アクリル樹脂は、ダイヤナールBR85(重量平均分子量(Mw):280000、三菱レイヨン(株)社製)を用いた。
Figure 2010139941
表4の結果から判るように、透明フィルムが、一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂と、該セルロースエステル樹脂100質量部に対して、熱可塑性アクリル樹脂を10質量部以上での割合で含有させることで、より過酷な耐久試験後のブロッキング耐性に優れることが判る。更に、該セルロースエステル樹脂100質量部に対して、熱可塑性アクリル樹脂を50質量部以上の割合で含有させることで、優れたブロッキング耐性に加えて、高硬度性能も得られる。
参考例1
<反射防止フィルム1及び2の作製>
実施例1で作製し、耐久試験(55℃・80%の恒温槽で11日保存)を実施したハードコートフィルム1及び13を再び繰り出して、ハードコート層上に、大気圧プラズマ処理を行った後、下記低屈折率層塗布液1を塗布し乾燥させた後、120℃で5分間熱硬化させ、更に紫外線を照射して硬化させ、厚さ85nmの低屈折率層を設けロール状に巻き取った。次いで、45℃で5日間加熱エージング処理して反射防止フィルム1及び2を作製した。
低屈折率層の屈折率は1.38であった。低屈折率層の表面の中心線平均粗さ(Ra)は100nm以下で、平滑であった。
(低屈折率層塗布液1)
〈テトラエトキシシラン加水分解物Aの調製〉
テトラエトキシシラン58gとエタノール114gを混合し、これに酢酸水溶液(1%)を60g添加した後に、25℃で1時間攪拌することでテトラエトキシシラン加水分解物Aを調製した。
テトラエトキシシラン加水分解物A 59.5質量部
下記シリカ系微粒子P−1 35質量部
γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学社製、KBM503)
5質量部
FZ−2222(日本ユニカー製、10%プロピレングリコールモノメチルエーテル溶液) 0.5質量部
イソプロピルアルコール 500質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME) 300質量部
メチルエチルケトン(MEK) 100質量部
〈シリカ系微粒子P−1の調製〉
平均粒径5nm、SiO濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiOとして0.98質量%のケイ酸ナトリウム水溶液9000gとAlとして1.02質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、ほとんど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO・Al核粒子分散液を調製した。(工程(a))
この核粒子分散液500gに純水1700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、ケイ酸ナトリウム水溶液を陽イオン交換樹脂で脱アルカリして得られたケイ酸液(SiO濃度3.5質量%)3000gを添加して第1シリカ被覆層を形成した核粒子の分散液を得た。(工程(b))
次いで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった第1シリカ被覆層を形成した核粒子分散液500gに純水1125gを加え、更に濃塩酸(35.5%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離し、第1シリカ被覆層を形成した核粒子の構成成分の一部を除去したSiO・Al多孔質粒子の分散液を調製した(工程(c))。上記多孔質粒子分散液1500gと、純水500g、エタノール1,750g及び28%アンモニア水626gとの混合液を35℃に加温した後、エチルシリケート(SiO28質量%)104gを添加し、第1シリカ被覆層を形成した。
多孔質粒子の表面をエチルシリケートの加水分解重縮合物で被覆して第2シリカ被覆層を形成した。次いで、限外濾過膜を用いて溶媒をエタノールに置換した固形分濃度20質量%のシリカ系微粒子(P−1)の分散液を調製した。
この中空シリカ系微粒子の第1シリカ被覆層の厚さは3nm、平均粒径は47nm、MOx/SiO(モル比)は0.0017、屈折率は1.28であった。ここで、平均粒径は動的光散乱法により測定した。
(反射色むら)
上記作製した反射防止フィルム目視により反射色むらを下記基準で評価した。結果を表5に示した。
◎:反射光の色調変化が認められない
○:ごく一部に反射光の色調変化が認められる(面積の10%未満)
△:部分的に反射光の色調変化が認められる(面積の10%以上30%未満)
×:全体的に反射光の色調変化が認められる
Figure 2010139941
表5結果から判るように、本発明のハードコートフィルムを用いて作製した反射防止フィルムは、反射色むらに優れた性能を示すことが分かった。
実施例5
下記の方法に従って、実施例1で作製し、耐久試験(55℃・80%の恒温槽で11日保存)を実施したハードコートフィルム1〜13と位相差フィルムであるコニカミノルタタックKC4FR−1(コニカミノルタオプト(株)製)、各々1枚を偏光板保護フィルムとして用いて偏光板101〜113を作製した。
(a)偏光膜の作製
厚さ120μmの長尺のポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gの比率からなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gの比率からなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し長尺の偏光膜を得た。
(b)偏光板の作製
次いで、下記工程1〜5に従って、偏光膜と偏光板用保護フィルムとを貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:ハードコートフィルム、及びKC4FR−1を2mol/Lの水酸化ナトリウム溶液に60℃で90秒間浸漬し、次いで水洗、乾燥させた。
工程2:前述の偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒間浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く取り除き、それを工程1でアルカリ処理したKC4FR−1とハードコートフィルムで挟み込んで、積層配置した。
工程4:2つの回転するローラにて20〜30N/cmの圧力で約2m/minの速度で貼り合わせた。このとき気泡が入らないように注意して実施した。
工程5:80℃の乾燥機中にて工程4で作製した試料を2分間乾燥処理し、偏光板を作製した。
市販の液晶表示パネル(NEC製 カラー液晶ディスプレイ MultiSync LCD1525J:型名 LA−1529HM)の最表面の偏光板を注意深く剥離し、ここに偏光方向を合わせた上記偏光板101〜113を、ハードコートフィルムが表面側になるように張り付け液晶表示装置501〜513を作製した。作製した液晶表示装置について、平滑性及び視認性を比較した結果、比較例のハードコートフィルムを使用したものと比べて、本発明のハードコートフィルムを使用した液晶表示装置は平滑性及び視認性ともに良好であった。
実施例6
実施例1のハードコートフィルム1の作製において、基材フィルムであるセルロースエステルフィルムAの膜厚を10μm、及び8μmに変更した以外は、同様にしてハードコートフィルム23及び24を作製した。次に、ハードコートフィルム1、23及び24について、実施例1と同様にして評価した。得られた結果を表6に示す。
Figure 2010139941
表6の結果から判るように、基材フィルムの膜厚を10μm以上とすることで、本発明の効果が良好に発揮されることがわかる。
本発明に係る活性光線照射後に連続して加熱処理する工程を示した概略図である。 本発明に係る巻き取り後のハードコートフィルムロールを加熱処理室Aで加熱処理する概略図である。 実施例で用いたテンター装置の模式図である。
符号の説明
Y 長尺フィルム
1 繰り出しロール
2 搬送ローラー
3 押出しコータ
4 対向ロール
5 乾燥ゾーン
6 活性光線照射ランプユニット
6a 空冷活性光線ランプ
6b 空冷用Air通風口
6c N2用供給チャンバー
7 加熱ゾーン
8 巻き取り室
9 巻き取りロール
10 温風吹き出し口
12 移動可能な台車
15 巻き取りコア
A 加熱処理室

Claims (10)

  1. 透明フィルム基材上にハードコート層を有するハードコートフィルムにおいて、該ハードコート層の膜厚が、8μm以上、40μm以下であって、かつ該透明フィルム基材が下記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とするハードコートフィルム。
    Figure 2010139941
    [式中、A、Bは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基または、水酸基で置換された炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。但しAとBは同じであっても異なっていてもよい。]
  2. 前記透明フィルム基材が熱可塑性アクリル樹脂を含有し、該熱可塑性アクリル樹脂を前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して10質量部以上含有することを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記透明フィルム基材が熱可塑性アクリル樹脂を含有し、該熱可塑性アクリル樹脂を前記セルロースエステル樹脂100質量部に対して50質量部以上含有することを特徴とする請求項1に記載のハードコートフィルム。
  4. 前記ハードコート層が、重合性不飽和基を有する有機化合物によって表面処理された反応性シリカ粒子(Xa)を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  5. 前記ハードコート層のマルテンス硬さ(HMs)が、400N/mm以上、800N/mm以下で有ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  6. 前記透明フィルム基材の膜厚が10μm以上、30μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハードコートフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコートフィルムのハードコート層の形成において、光照射後、更に加熱処理する工程からなることを特徴とするハードコートフィルムの製造方法。
  8. 前記加熱処理をする工程において搬送方向または巾手方向にハードコートフィルムを300N〜500N/mで張力することを特徴とする請求項7に記載のハードコートフィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜6のいずかれ1項に記載のハードコートフィルムを一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
  10. 請求項9に記載の偏光板を用いたことを特徴とする表示装置。
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