JP2010138834A - 内燃機関の吸気温センサ異常診断装置 - Google Patents

内燃機関の吸気温センサ異常診断装置 Download PDF

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Abstract

【課題】排気ガス還流位置の近傍またはその下流側に配設された吸気温センサに異常が生じた場合、それを正確に判定することができる吸気温センサ異常診断装置を提供する。
【解決手段】吸気マニホールド63に備えられたインマニ吸気温センサ49の異常診断に際し、EGR量を増量させ、それに伴うインマニ吸気温センサ49の吸気温度検出値の変化量と、予め設定された判定閾値とを比較し、吸気温度検出値の変化量が判定閾値未満である場合には、センサ異常と判定する。上記判定閾値は、外気温度、吸入空気量、吸気過給圧を補正パラメータとし、外気温度が高いほど、吸入空気量が少ないほど、吸気過給圧が高いほど小さな値として設定される。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ディーゼルエンジン等に代表される内燃機関の吸気系に備えられた吸気温センサの異常の有無を診断する装置に係る。特に、本発明は、排気ガス還流位置の近傍またはその下流側に配設された吸気温センサの異常診断に関する。
従来から周知のように、自動車用エンジンとして使用されるディーゼルエンジン(以下、単にエンジンと呼ぶ場合もある)では、排出ガス特性、燃料消費特性、燃焼安定性及び動力性能等のエンジン特性が様々な要求を満たすべく、複雑な制御が行われる。
具体的には、エンジンの回転数や負荷に基づき決定されるエンジンの運転状態に応じた最適な燃料噴射量等の各制御パラメータの適合値を制御用マップとして予め設定して、これをエンジン制御用の電子制御ユニット(エンジンECU)に記憶させておく。そして、この制御用マップ上の適合値を参照しつつ、エンジンECUがエンジンの制御を行うようになっている。
また、この種のエンジンでは、排気エミッションの改善を図るために、排気ガスの一部を吸気通路に還流させる排気還流(EGR:Exhaust Gas Recirculation)装置が備えられている(例えば下記の特許文献1〜特許文献3を参照)。
このEGR装置は、エンジンの排気通路及び吸気通路を互いに連通させるEGR通路と、このEGR通路に設けられたEGRバルブとを備えている。そして、EGRバルブの開度を調整することにより、排気通路からEGR通路を通じて吸気通路へ還流される排気ガスの量(EGR量)を調整し、吸気中のEGR率を、予め設定された目標EGR率に設定するようにしている。このようにしてEGR装置によって排気ガスの一部が吸気通路に戻されると、混合気の燃焼温度が低下して燃焼室内での窒素酸化物(NOx)の生成が抑制され、排気エミッションが改善されることになる。
また、特許文献1にも開示されているように、上記吸気通路における排気ガスの還流位置の近傍には、吸気温センサ(インテークマニホールド吸気温センサとも呼ばれており、以下、インマニ吸気温センサという)が配設されている。還流された排気ガスが混合した吸気の温度を、このインマニ吸気温センサによって検出し、上記EGR量を適正化するための制御つまりEGRバルブ開度の補正制御や、燃料噴射弁からの燃料噴射量や燃料噴射タイミングの補正制御などが行われている。これにより、燃焼室内での燃焼性を良好にすると共に、排気エミッションの改善が図れるようにしている。
このように燃焼室内での燃焼性を良好にすると共に排気エミッションの改善を図るためには、上記インマニ吸気温センサの信頼性が十分に確保されていることが必要である。つまり、インマニ吸気温センサによる吸気温度の検出精度が高く得られている必要があると共に、このインマニ吸気温センサに故障等が発生した場合には、それを迅速に認識できるようにしておく必要がある。
これまでのインマニ吸気温センサの故障診断としては、一般的には、このインマニ吸気温センサ内部での断線やショート(短絡)の有無を検出しているに過ぎなかった。つまり、インマニ吸気温センサの出力信号(出力電圧)が、略0Vであった場合には断線が生じていると判断し、この出力信号が最大値(例えば略5V)であった場合にはショートが生じていると判断していた。
特開2008−150978号公報 特開2007−2700号公報 特開2006−300007号公報
ところが、強化されつつある近年の排出ガス規制に対応するためには、インマニ吸気温センサの断線やショートを検出するのみでは不十分であり、このインマニ吸気温センサの経時的な劣化等についても検出する必要が生じてきていることを本発明の発明者は着目した。例えば、吸気温度に応じて出力電圧信号が変化するインマニ吸気温センサの場合、インテークマニホールド内が同一吸気温度であっても、センサ劣化に伴って出力電圧値が徐々に変化していく可能性があり、従来の断線やショートのみを検出する故障診断では、このセンサ劣化を認識することができない。その結果、インマニ吸気温センサの温度検出精度の劣化に伴って、EGR量、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等が適正な量やタイミングから徐々にずれていき、適正な制御ができなくなって排気エミッションが悪化し、上記排出ガス規制への対応が困難になる可能性があった。
尚、上記特許文献2には排気温度センサの異常診断について開示されており、上記特許文献3にはEGR装置の異常診断について開示されている。このように、従来のEGR装置を備えたエンジンにあっては、排気還流位置の近傍に配設されたインマニ吸気温センサの劣化診断(異常診断)に関しては何ら考慮されておらず、インマニ吸気温センサの温度検出精度の劣化が認識されないままEGR量の補正制御などが行われているのが実情であった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、排気ガス還流位置の近傍またはその下流側に配設された吸気温センサに異常が生じた場合、それを正確に判定することができる吸気温センサ異常診断装置を提供することにある。
−課題の解決原理−
上記の目的を達成するために講じられた本発明の解決原理は、EGR装置を利用することで上記吸気温センサの異常判定を行うようにしている。つまり、EGR装置によるEGR量を強制的に増量させることで吸気温センサの環境雰囲気(吸気温センサの周囲を流れる吸気の温度)を高温側に移行させ、この場合に、吸気温センサが検出する吸気温度の値(吸気温度検出値)が、このEGR量の増量に応じた値として得られない場合に吸気温センサに異常が生じていると判定するようにしている。
−解決手段−
具体的に、本発明は、内燃機関の排気系に排出された排気ガスの一部を吸気系に還流させる排気還流装置を備えていると共に、上記吸気系における排気ガス還流位置の近傍またはその下流側に吸気温センサが配設された内燃機関を前提とする。そして、所定の吸気温センサ診断開始条件が成立した際、上記吸気系への排気ガス還流量を増量させ、この排気ガス還流量の増量に伴う上記吸気温センサの吸気温度検出値の変化に基づいて、この吸気温センサの異常の有無を判定するセンサ異常判定手段を備えさせている。
ここで、上記「吸気系における排気ガス還流位置の近傍」とは、吸気系に排気ガスが還流された場合に、その排気ガスの熱量の影響を受けて吸気温度の上昇を招く範囲をいう。
この特定事項により、上記吸気温センサ診断開始条件が成立して吸気温センサの診断が開始されると、先ず、吸気系への排気ガス還流量が増量される。例えば排気還流装置に備えられたEGRバルブの開度を強制的に大きくすることで排気ガス還流量を増量させる。これにより、比較的高温の排気ガスが吸気系へ増量導入され、吸気温センサの周囲を流れる吸気の温度が高くなる。そして、吸気温センサによる吸気温度検出値が、上記吸気温度の変化に応じた値として得られている場合には、吸気温センサには異常がないと判定される。一方、吸気温センサによる吸気温度検出値が、上記吸気温度の変化に応じた値として得られていない、つまり、実際の吸気温度は上昇しているにも拘わらず、吸気温センサによる吸気温度検出値がそれに応じた値として得られていない場合には、吸気温センサに異常が発生していると判定されることになる。このような異常判定動作が行われることで、吸気温センサの断線やショートばかりでなく、その劣化をも認識することが可能になり、吸気温センサに劣化等の異常が発生している場合には、そのことを早期に認識することが可能になる。
また、上記吸気温センサ診断開始条件は、内燃機関が燃料無噴射状態となった場合に成立するようにしている。
これによれば、上記診断動作に際して吸気系への排気ガス還流量が強制的に増量されたとしても、内燃機関としてはトルク要求されている運転状態ではないので、ドライバビリティの悪化を招くことがない。つまり、排気ガス還流量が増量されることによる悪影響が生じにくい内燃機関の運転状態において、上記吸気温センサ診断開始条件を成立させることとし、上記診断動作の実用性の向上を図ることができるようにしている。
上記吸気温センサの異常の有無を判定するための構成として具体的には以下のものが挙げられる。つまり、吸気系への排気ガス還流量の増量に伴う上記吸気温センサの吸気温度検出値の上昇量が所定の判定閾値未満である場合には吸気温センサに異常が生じていると判定するように、上記センサ異常判定手段を構成する。そして、排気ガスが混合される前の吸気の温度を変化させるパラメータに応じ、このパラメータが吸気の温度を高くする値であるほど、上記判定閾値を小さな値として設定する。
この場合、上記パラメータとしては、外気温度、吸入空気量、吸気過給圧であって、外気温度が高いほど、吸入空気量が少ないほど、また、吸気過給圧が高いほど、上記判定閾値を小さな値として設定するようにしている。
上記パラメータが吸気の温度を高くする値である場合、つまり、外気温度が高く、吸入空気量が少なく、吸気過給圧が高い場合、吸気系への排気ガス還流量の増量に対する吸気温度の上昇量は小さくなる。つまり、吸気温センサが正常であった場合に、その吸気温度検出値の上昇量は小さくなってしまう。このため、上記判定閾値を小さな値として設定することで、排気ガス還流量の増量に伴う吸気温度の上昇量が小さくなってしまう状況であっても、それに応じた吸気温センサの吸気温度検出値が得られていると認識できるようにして、吸気温センサの異常診断が正確に行えるようにしている。
また、吸気系への排気ガス還流量の増量に伴う上記吸気温センサの吸気温度検出値の上昇量が所定の判定閾値未満である場合には吸気温センサに異常が生じていると判定するように、上記センサ異常判定手段を構成する。そして、排気ガスが混合される前の吸気の温度を変化させるパラメータに応じ、このパラメータが吸気の温度を高くする値であるほど、上記判定閾値と比較される上記吸気温度検出値の上昇量を大きな値とするように補正する。
この場合、上記パラメータとしては、外気温度、吸入空気量、吸気過給圧であって、外気温度が高いほど、吸入空気量が少ないほど、また、吸気過給圧が高いほど、上記判定閾値と比較される上記吸気温度検出値の上昇量を大きな値とするように補正している。
この場合にも、上述した解決手段と同様に、排気ガス還流量の増量に伴う吸気温度の上昇量が小さくなってしまう状況であっても、吸気温センサの異常診断を正確に行うことができる。
本発明では、排気還流装置による排気還流量を増量させて吸気温センサの周囲を流れる吸気の温度を高温側に移行させ、この場合に吸気温センサが検出する吸気温度の検出値に基づいて吸気温センサの異常の有無を判定するようにしている。このため、吸気温センサの劣化等の異常が発生していることを早期に認識することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、自動車に搭載されたコモンレール式筒内直噴型多気筒(例えば直列4気筒)ディーゼルエンジン(圧縮自着火式内燃機関)に本発明を適用した場合について説明する。
−エンジンの構成−
先ず、本実施形態に係るディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)の概略構成について説明する。図1は本実施形態に係るエンジン1及びその制御系統の概略構成図である。また、図2は、ディーゼルエンジンの燃焼室3及びその周辺部を示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係るエンジン1は、燃料供給系2、燃焼室3、吸気系6、排気系7等を主要部とするディーゼルエンジンシステムとして構成されている。
燃料供給系2は、サプライポンプ21、コモンレール22、インジェクタ(燃料噴射弁)23、遮断弁24、燃料添加弁26、機関燃料通路27、添加燃料通路28等を備えて構成されている。
上記サプライポンプ21は、燃料タンクから燃料を汲み上げ、この汲み上げた燃料を高圧にした後、機関燃料通路27を介してコモンレール22に供給する。コモンレール22は、サプライポンプ21から供給された高圧燃料を所定圧力に保持(蓄圧)する蓄圧室としての機能を有し、この蓄圧した燃料を各インジェクタ23に分配する。インジェクタ23は、その内部に圧電素子(ピエゾ素子)を備え、適宜開弁して燃焼室3内に燃料を噴射供給するピエゾインジェクタにより構成されている。尚、インジェクタ23としては、ピエゾインジェクタに限らず、他の形式のインジェクタ(例えば電磁駆動式燃料噴射弁(ソレノイド式インジェクタ ))であってもよい。
また、上記サプライポンプ21は、燃料タンクから汲み上げた燃料の一部を、添加燃料通路28を介して燃料添加弁26に供給する。添加燃料通路28には、緊急時において添加燃料通路28を遮断して燃料添加を停止するための上記遮断弁24が備えられている。
また、上記燃料添加弁26は、後述するECU100による添加制御動作によって排気系7への燃料添加量が目標添加量(排気A/Fが目標A/Fとなるような添加量)となるように、また、燃料添加タイミングが所定タイミングとなるように開弁時期が制御される電子制御式の開閉弁により構成されている。つまり、この燃料添加弁26から所望の燃料が適宜のタイミングで排気系7(排気ポート71から排気マニホールド72)に噴射供給される構成となっている。尚、この燃料添加弁26の配設位置としてはこれに限らず、後述するターボチャージャ5の下流側から後述するマニバータ(触媒装置)77に向けて燃料(添加剤)を噴射供給するものであってもよい。
吸気系6は、シリンダヘッド15(図2参照)に形成された吸気ポート15aに接続される吸気マニホールド63を備え、この吸気マニホールド63に、吸気通路を構成する吸気管64が接続されている。また、この吸気通路には、上流側から順にエアクリーナ65、エアフローメータ43、スロットルバルブ62が配設されている。上記エアフローメータ43は、エアクリーナ65を介して吸気通路に流入される空気量に応じた電気信号を出力するようになっている。
排気系7は、シリンダヘッド15に形成された排気ポート71に接続される排気マニホールド72を備え、この排気マニホールド72に対して、排気通路を構成する排気管73,74が接続されている。また、この排気通路には、後述するNOx吸蔵触媒(NSR触媒:NOx Storage Reduction触媒)75及びDPNR触媒(Diesel Paticulate−NOx Reduction触媒)76を備えたマニバータ(排気浄化装置)77が配設されている。以下、これらNSR触媒75及びDPNR触媒76について説明する。
NSR触媒75は、吸蔵還元型NOx触媒であって、例えばアルミナ(Al23)を担体とし、この担体上に例えばカリウム(K)、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、セシウム(Cs)のようなアルカリ金属、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)のようなアルカリ土類、ランタン(La)、イットリウム(Y)のような希土類と、白金(Pt)のような貴金属とが担持された構成となっている。
このNSR触媒75は、排気中に多量の酸素が存在している状態においてはNOxを吸蔵し、排気中の酸素濃度が低く、かつ還元成分(例えば燃料の未燃成分(HC))が多量に存在している状態においてはNOxをNO2若しくはNOに還元して放出する。NO2やNOとして放出されたNOxは、排気中のHCやCOと速やかに反応することによってさらに還元されてN2となる。また、HCやCOは、NO2やNOを還元することで、自身は酸化されてH2OやCO2となる。すなわち、NSR触媒75に導入される排気中の酸素濃度やHC成分を適宜調整することにより、排気中のHC、CO、NOxを浄化することができるようになっている。本実施形態のものでは、この排気中の酸素濃度やHC成分の調整を上記燃料添加弁26からの燃料添加動作によって行うことが可能となっている。
一方、DPNR触媒76は、例えば多孔質セラミック構造体にNOx吸蔵還元型触媒を担持させたものであり、排気ガス中のPMは多孔質の壁を通過する際に捕集される。また、排気ガスの空燃比がリーンの場合、排気ガス中のNOxはNOx吸蔵還元型触媒に吸蔵され、空燃比がリッチになると、吸蔵したNOxは還元・放出される。さらに、DPNR触媒76には、捕集したPMを酸化・燃焼する触媒(例えば白金等の貴金属を主成分とする酸化触媒)が担持されている。
ここで、ディーゼルエンジン1の燃焼室3及びその周辺部の構成について図2を用いて説明する。この図2に示すように、エンジン本体の一部を構成するシリンダブロック11には、各気筒(4気筒)毎に円筒状のシリンダボア12が形成されており、各シリンダボア12の内部にはピストン13が上下方向に摺動可能に収容されている。
ピストン13の頂面13aの上側には上記燃焼室3が形成されている。つまり、この燃焼室3は、シリンダブロック11の上部にガスケット14を介して取り付けられたシリンダヘッド15の下面と、シリンダボア12の内壁面と、ピストン13の頂面13aとにより区画形成されている。そして、ピストン13の頂面13aの略中央部には、キャビティ13bが凹設されており、このキャビティ13bも燃焼室3の一部を構成している。
このピストン13は、コネクティングロッド18の小端部18aがピストンピン13cにより連結されており、このコネクティングロッド18の大端部はエンジン出力軸であるクランクシャフトに連結されている。これにより、シリンダボア12内でのピストン13の往復移動がコネクティングロッド18を介してクランクシャフトに伝達され、このクランクシャフトが回転することでエンジン出力が得られるようになっている。また、燃焼室3に向けてグロープラグ19が配設されている。このグロープラグ19は、エンジン1の始動直前に電流が流されることにより赤熱し、これに燃料噴霧の一部が吹きつけられることで着火・燃焼が促進される始動補助装置として機能する。
上記シリンダヘッド15には、燃焼室3へ空気を導入する吸気ポート15aと、燃焼室3から排気ガスを排出する上記排気ポート71とがそれぞれ形成されていると共に、吸気ポート15aを開閉する吸気バルブ16及び排気ポート71を開閉する排気バルブ17が配設されている。これら吸気バルブ16及び排気バルブ17はシリンダ中心線Pを挟んで対向配置されている。つまり、本エンジン1はクロスフロータイプとして構成されている。また、シリンダヘッド15には、燃焼室3の内部へ直接的に燃料を噴射する上記インジェクタ23が取り付けられている。このインジェクタ23は、シリンダ中心線Pに沿う起立姿勢で燃焼室3の略中央上部に配設されており、上記コモンレール22から導入される燃料を燃焼室3に向けて所定のタイミングで噴射するようになっている。
更に、図1に示す如く、このエンジン1には、過給機(ターボチャージャ)5が設けられている。このターボチャージャ5は、タービンシャフト51を介して連結されたタービンホイール52及びコンプレッサホイール53を備えている。コンプレッサホイール53は吸気管64内部に臨んで配置され、タービンホイール52は排気管73内部に臨んで配置されている。このためターボチャージャ5は、タービンホイール52が受ける排気流(排気圧)を利用してコンプレッサホイール53を回転させ、吸気圧を高めるといった所謂過給動作を行うようになっている。本実施形態におけるターボチャージャ5は、可変ノズル式ターボチャージャであって、タービンホイール52側に可変ノズルベーン機構(図示省略)が設けられており、この可変ノズルベーン機構の開度を調整することにより、エンジン1の過給圧を調整することができる。
吸気系6の吸気管64には、ターボチャージャ5での過給によって昇温した吸入空気を強制冷却するためのインタークーラ61が設けられている。このインタークーラ61よりも更に下流側に設けられた上記スロットルバルブ62は、その開度を無段階に調整することができる電子制御式の開閉弁であり、所定の条件下において吸入空気の流路面積を絞り、この吸入空気の供給量を調整(低減)する機能を有している。
また、エンジン1には、吸気系6と排気系7とを接続する排気還流通路(EGR通路)8が設けられている。このEGR通路8は、排気の一部を適宜吸気系6に還流させて燃焼室3へ再度供給することにより燃焼温度を低下させ、これによってNOx発生量を低減させるものである。また、このEGR通路8には、電子制御によって無段階に開閉され、同通路を流れる排気流量を自在に調整することができるEGRバルブ81と、EGR通路8を通過(還流)する排気を冷却するためのEGRクーラ82とが設けられている。
−センサ類−
エンジン1の各部位には、各種センサが取り付けられており、それぞれの部位の環境条件や、エンジン1の運転状態に関する信号を出力する。
例えば、上記エアフローメータ43は、吸気系6内のスロットルバルブ62上流において吸入空気の流量(吸入空気量)に応じた検出信号を出力する。このエアフローメータ43には、このエアフローメータ43内に導入された空気(外気)の温度を検出するための温度センサ(以下、上流側吸気温センサと呼ぶ)4Aが設けられている。この上流側吸気温センサ4Aは、吸入空気温度を検出して、その吸気温信号をECU100に送信する。
上記吸気マニホールド63には、この吸気マニホールド63内の吸気温度を検出するための吸気温センサ(以下、インマニ吸気温センサと呼ぶ)49が設けられている。このインマニ吸気温センサ49は、上記吸気マニホールド63に対するEGR通路8の接続位置の直下流側に配設されており、このEGR通路8により還流された排気ガスが混合された吸気の温度を検出して、その温度に応じた検出信号を出力する。
吸気圧センサ48は、吸気マニホールド63に配置され、吸入空気圧力に応じた検出信号を出力する。つまり、上記ターボチャージャ5によって過給された過給圧を検出し、その検出信号を出力する。A/F(空燃比)センサ44は、排気系7のマニバータ77の下流において排気中の酸素濃度に応じて連続的に変化する検出信号を出力する。排気温センサ45は、同じく排気系7のマニバータ77の下流において排気ガスの温度(排気温度)に応じた検出信号を出力する。レール圧センサ41はコモンレール22内に蓄えられている燃料の圧力に応じた検出信号を出力する。スロットル開度センサ42はスロットルバルブ62の開度を検出する。
−ECU−
ECU100は、図3に示すように、CPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104などを備えている。ROM102は、各種制御プログラムや、それら各種制御プログラムを実行する際に参照されるマップ等が記憶されている。CPU101は、ROM102に記憶された各種制御プログラムやマップに基づいて各種の演算処理を実行する。また、RAM103は、CPU101での演算結果や各センサから入力されたデータ等を一時的に記憶するメモリであり、バックアップRAM104は、例えばエンジン1の停止時にその保存すべきデータ等を記憶する不揮発性のメモリである。
以上のCPU101、ROM102、RAM103及びバックアップRAM104は、バス107を介して互いに接続されるとともに、入力インターフェース105及び出力インターフェース106と接続されている。
入力インターフェース105には、上記レール圧センサ41、スロットル開度センサ42、エアフローメータ43、A/Fセンサ44、排気温センサ45、吸気圧センサ48、インマニ吸気温センサ49、上流側吸気温センサ4Aが接続されている。さらに、この入力インターフェース105には、エンジン1の冷却水温に応じた検出信号を出力する水温センサ46、アクセルペダルの踏み込み量に応じた検出信号を出力するアクセル開度センサ47、及び、エンジン1の出力軸(クランクシャフト)が一定角度回転する毎に検出信号(パルス)を出力するクランクポジションセンサ40などが接続されている。
一方、出力インターフェース106には、上記インジェクタ23、燃料添加弁26、スロットルバルブ62、及び、EGRバルブ81などが接続されている。
そして、上記ECU100は、上記各種センサの出力に基づいて、エンジン1の各種制御を実行する。例えば、ECU100は、インジェクタ23の燃料噴射制御として、パイロット噴射、プレ噴射、メイン噴射、アフタ噴射、ポスト噴射を実行する。
これらの燃料噴射を実行する際の燃料噴射圧は、コモンレール22の内圧により決定される。このコモンレール内圧として、一般に、コモンレール22からインジェクタ23へ供給される燃料圧力の目標値、すなわち目標レール圧は、エンジン負荷(機関負荷)が高くなるほど、及び、エンジン回転数(機関回転数)が高くなるほど高いものとされる。すなわち、エンジン負荷が高い場合には燃焼室3内に吸入される空気量が多いため、インジェクタ23から燃焼室3内に向けて多量の燃料を噴射しなければならず、よってインジェクタ23からの噴射圧力を高いものとする必要がある。また、エンジン回転数が高い場合には噴射可能な期間が短いため、単位時間当たりに噴射される燃料量を多くしなければならず、よってインジェクタ23からの噴射圧力を高いものとする必要がある。このように、目標レール圧は一般にエンジン負荷及びエンジン回転数に基づいて設定される。
上記パイロット噴射やメイン噴射などの燃料噴射における燃料噴射パラメータについて、その最適値はエンジンや吸入空気等の温度条件によって異なるものとなる。
例えば、上記ECU100は、コモンレール圧がエンジン運転状態に基づいて設定される目標レール圧と等しくなるように、即ち燃料噴射圧が目標噴射圧と一致するように、サプライポンプ21の燃料吐出量を調量する。また、ECU100はエンジン運転状態に基づいて燃料噴射量及び燃料噴射形態を決定する。具体的には、ECU100は、クランクポジションセンサ40の検出値に基づいてエンジン回転速度を算出するとともに、アクセル開度センサ47の検出値に基づいてアクセルペダルへの踏み込み量(アクセル開度)を求め、このエンジン回転速度及びアクセル開度に基づいて総燃料噴射量(プレ噴射での噴射量とメイン噴射での噴射量との和)を決定する。
また、ECU100は、エンジン1の運転状態に応じてEGRバルブ81の開度を制御し、吸気マニホールド63に向けての排気還流量(EGR量)を調整する。このEGR量は、上記ROM102に予め記憶されたEGRマップに従って設定される。具体的に、このEGRマップは、エンジン回転数及びエンジン負荷をパラメータとしてEGR量(EGR率)を決定するためのマップであって、排気系へのNOx排出量を抑制できるEGR量を設定するためのものである。尚、このEGRマップは、予め実験やシミュレーション等によって作成されたものとなっている。つまり、上記クランクポジションセンサ40の検出値に基づいて算出されたエンジン回転数及びスロットル開度センサ42によって検出されたスロットルバルブ62の開度(エンジン負荷に相当)とをEGRマップに当て嵌めることでEGR量(EGRバルブ81の開度)が得られるようになっている。
また、上記EGR量は、上記インマニ吸気温センサ49によって検出される吸気マニホールド63内での吸気温度に応じて補正されるようになっている。例えば、インマニ吸気温センサ49によって検出される吸気温度が所定温度よりも低く、燃焼室3内での燃焼性が悪化する可能性がある場合には、上記EGR量を減量補正(上記EGRマップに従って得られるEGRバルブ81の開度よりも小さな開度とするように補正)して燃焼性を改善する等といった補正制御が行われる。尚、このようなEGR量の決定動作は一例であって、他の手法によってEGR量を決定するようにしてもよい。
また、ECU100は、車両走行中に、ドライバのアクセル操作が解除されてアクセルペダルの開度が「0」(アクセルOFF)となって車両が減速状態(エンジン1の被駆動状態)となった場合には、インジェクタ23からの燃料噴射を停止して、燃料消費率の改善を図るといったフューエルカット制御を実行する。この際、その後に、ドライバのアクセル操作が再開されて、フューエルカットが解除された場合、つまりインジェクタ23からの燃料噴射が再開された場合、それまでのEGR量が「0」であると、燃料噴射再開初期時にあってはNOx排出量が増大してしまう可能性がある。このため、上記ECU100は、このフューエルカット制御中であっても、上記EGRバルブ81を所定開度だけ開放しておき、継続的にEGR量を維持して、燃料噴射の再開に備えるような制御を行っている。
この場合のEGR量としては、例えば上記上流側吸気温センサ4Aによって検出される外気温度やクランクポジションセンサ40の出力に基づいて算出されるエンジン回転数等をパラメータとし、このパラメータに応じて設定される。具体的には、フューエルカット制御中におけるエンジン回転数等の上記パラメータに対するEGR量を決定するフューエルカット時EGRマップが上記ROM102に予め記憶されており、それに従ってEGR量が決定されるようになっている。このフューエルカット時EGRマップも、予め実験やシミュレーション等によって作成されたものである。
−インマニ吸気温センサ49の異常診断−
本実施形態の特徴は、吸気マニホールド63に配設された上記インマニ吸気温センサ49の異常診断動作にある。このインマニ吸気温センサ49は、上述した如く、吸気マニホールド63内の吸気温度を検出する。そして、この吸気温度に応じて、EGR量を適正化するための制御つまりEGRバルブ81の開度補正制御や、インジェクタ23からの燃料噴射量や燃料噴射タイミングの補正制御が行われる。これにより、燃焼室3内での燃焼性を良好にすると共に、排気エミッションの改善を図っている。そのため、このインマニ吸気温センサ49に劣化等が生じると、EGR量、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等が適正な量やタイミングからずれてしまい、適正な制御ができなくなって排気エミッションが悪化してしまう可能性がある。
本実施形態に係る異常診断動作は、このようなインマニ吸気温センサ49の劣化の有無を判定し、排気エミッションが悪化してしまう程度までインマニ吸気温センサ49の劣化が進んでいる場合に、そのことを認識するための動作である。
このインマニ吸気温センサ49の異常診断動作として、具体的には、所定の診断開始条件が成立した場合に、強制的にEGR量を増量させ、インマニ吸気温センサ49の周囲を流れる吸気温度を上昇させる。そして、この場合に、インマニ吸気温センサ49が検出する吸気温度(吸気温度検出値)が、上記EGR量の増量に応じた高い値として得られた場合には、インマニ吸気温センサ49が正常であると判断し、そうでない場合にはインマニ吸気温センサ49に異常が生じていると判断する。また、このインマニ吸気温センサ49の異常の有無を判定するための判定閾値を、エンジン1の運転状態などに応じて補正するようにもしている(センサ異常判定手段による吸気温センサ異常判定動作)。
以下、このインマニ吸気温センサ49の異常診断動作の手順について図4のフローチャートに沿って説明する。
先ず、ステップST1で、所定の診断開始条件(吸気温センサ診断開始条件)が成立したか否かを判定する。この診断開始条件としては、ドライバのアクセル操作が解除されてアクセルペダルの開度が「0」(アクセルOFF)となっており、車両の減速状態(エンジン1の被駆動状態)であって、インジェクタ23からの燃料噴射が停止していることが挙げられる。つまり、エンジン1に対するトルク要求が生じていない運転状態となっている場合に、上記診断開始条件は成立する。
また、この診断開始条件としては、上述したようにインジェクタ23からの燃料噴射が停止していることと、前回の異常診断動作の完了からの経過時間や車両の走行距離が所定値以上であることとをAND条件として成立するようにしてもよい。これによれば、インマニ吸気温センサ49の異常診断動作が必要以上に頻繁に行われることを防止できる。
上記診断開始条件が成立しておらず、ステップST1でNO判定された場合には、本制御ルーチンを一旦終了する。
一方、上記診断開始条件が成立しており、ステップST1でYES判定された場合には、ステップST2に移る。このステップST2では、この異常診断動作において使用する判定閾値αを算出するためのパラメータを取得する。具体的には、上記上流側吸気温センサ4Aによって検出される吸入空気温度(外気温度)、エアフローメータ43によって検出される吸入空気量、吸気圧センサ48によって検出される吸入空気圧力(吸気過給圧)の各値を取得する。
その後、ステップST3に移り、これらパラメータに基づいて、異常診断動作において使用する判定閾値αを算出する。
具体的には、後述するステップST4において実行されるEGR量の増量分(予め設定された増量分またはエンジン回転数等に応じて設定される増量分)に対応して吸気温度の上昇量(インマニ吸気温センサ49の周囲温度の上昇量)の基本値α0を予め設定しておき、この基本値α0に対して、上記パラメータの値に応じた補正値Aだけ補正(減算補正)を行って上記判定閾値αを算出する(α=α0−A)。
上記補正値Aとしては、上記パラメータの値が吸気温度を高くする値であるほど、大きく設定され、その結果、上記判定閾値αとしては小さな値に設定される。つまり、外気温度が高いほど、吸入空気量が少ないほど、吸気過給圧が高いほど、上記判定閾値αとしては小さな値として設定される。言い換えると、基本値α0に対する減算値を大きくするように補正値Aは設定される。その理由について以下に説明する。
外気温度が高いほど、吸入空気量が少ないほど、また、吸気過給圧が高いほど、吸気系6へのEGR量の増量に対する吸気温度の上昇量は小さくなる。つまり、インマニ吸気温センサ49が正常であった場合に、EGR量の増量に対する吸気温度検出値の上昇量は小さくなってしまう。このため、上記判定閾値αを小さな値として設定することで、EGR量の増量に伴う吸気温度の上昇量が小さくなってしまう状況であっても、インマニ吸気温センサ49の異常診断が正確に行えるようにするために上記パラメータに応じた補正が行われる。つまり、インマニ吸気温センサ49の吸気温度検出値の変化が比較的少なくてもインマニ吸気温センサ49が正常であることが認識できるような補正が行われる。
尚、この判定閾値αと、上記パラメータとの関係は、予め与えられた演算式によって算出するようにしてもよいし、判定閾値αと上記パラメータとの関係を規定した判定閾値算出マップを予めROM102に記憶させておき、この判定閾値算出マップに従って判定閾値αを求めるようにしてもよい。
その後、ステップST4に移り、上記EGRバルブ81の開度を所定量だけ増大し、これによって吸気系6に導入されるEGR量を増量する。尚、このEGR量の増量に先立って上記インマニ吸気温センサ49が検出している吸気温度(吸気温度検出値)をモニタして上記RAM103に記憶しておく。
上記増量されるEGR量としては、予め固定されたEGR率(例えば、EGR率として10%増量)であってもよいし、エンジン運転状態(例えばエンジン回転数等)に応じて設定するようにしてもよい。エンジン回転数に応じて増量されるEGR量を設定する場合、エンジン回転数が高いほど増量されるEGR量も多く設定されることになる。これは、エンジン回転数が高い場合、吸気流速が高く、還流された排気ガスがインマニ吸気温センサ49の周囲から急速に下流側に流れてしまってインマニ吸気温センサ49の吸気温度検出値が上昇しにくい状況になるので、このような状況であってもインマニ吸気温センサ49の周囲の温度を十分に高くするためである。
このようにしてEGR量を増量した状態で、ステップST5に移り、EGR量を増量する前に上記インマニ吸気温センサ49が検出していた温度(吸気温度検出値)と、EGR量を増量した後にインマニ吸気温センサ49が検出した温度(吸気温度検出値)との差(温度差ΔThia)を求め、この温度差(ΔThia)と、上記算出された判定閾値αとを比較する。つまり、上記温度差(ΔThia)が判定閾値α以上であるか否か、言い換えると、EGR量を増量したことに伴ってインマニ吸気温センサ49が検出する温度(吸気温度検出値)が、このEGR増量分に相当する程度まで上昇したか否かを判定する。
そして、この上記温度差(ΔThia)が判定閾値α以上となっており、ステップST5でYES判定された場合には、インマニ吸気温センサ49は正常であると判定する(ステップST6)。一方、ステップST5でNO判定された場合には、インマニ吸気温センサ49に異常が生じていると判定する(ステップST7)。この異常判定がなされた場合、車室内のメータパネル上のMIL(警告灯)が点灯し、運転者に警告を促すと共に、上記ECU100に備えられたダイアグノーシスに異常情報が書き込まれることになる。
以上説明したように、本実施形態では、インマニ吸気温センサ49の劣化を正確に認識することが可能になり、インマニ吸気温センサ49に劣化等の異常が発生している場合には、そのことを早期に認識することが可能になる。このため、インマニ吸気温センサ49の温度検出精度の劣化に伴って、EGR量、燃料噴射量、燃料噴射タイミング等が適正な量やタイミングからずれた状態でエンジン1の運転が継続されてしまうといった状況を回避することができ、排気エミッションの悪化を未然に防止することができる。その結果、強化されつつある近年の排出ガス規制に対応可能な車両を提供することが可能になる。
(変形例1)
上述した実施形態では、インマニ吸気温センサ49の異常診断時には、EGRバルブ81の開度を所定量だけ増大することによって吸気系6に導入されるEGR量を増量するようにしていた。
このEGR量を増量するための手法としてはこれに限らず、EGRバルブ81の開度を一定開度に維持した状態で、上記スロットルバルブ62の開度を小さくし、吸気系6における新気導入量を抑制することで、EGR通路8に作用する負圧を大きくしてEGR量を増量するようにしてもよい。この場合、エンジン回転数、EGRバルブ81の開度、スロットルバルブ62の開度と、増量されるEGR量との関係を、予め実験やシミュレーション等によって求めておき、この増量されるEGR量や上記吸気温度を変化させるパラメータに応じて上記判定閾値αを算出するようにする。
また、EGR量を増量するための手法として、EGRバルブ81の開度を大きくすることと、スロットルバルブ62の開度を小さくすることとの両方を行うようにしてもよい。
(変形例2)
上述した実施形態では、インマニ吸気温センサ49の異常の有無を判定するための判定閾値αを、エンジン1の運転状態などに応じて補正(上流側吸気温センサ4Aによって検出される吸入空気温度、エアフローメータ43によって検出される吸入空気量、吸気圧センサ48によって検出される吸入空気圧力に応じて補正)するようにしていた。これに代えて、上記温度差ΔThiaをエンジン1の運転状態などに応じて補正するようにしてもよい。
例えば、上述した外気温度、吸入空気量、吸気過給圧等をパラメータとし、これらパラメータが吸気の温度を高くする値であるほど、上記判定閾値と比較される上記温度差ΔThiaを大きな値とするように補正するものである。
このようにして上記温度差ΔThiaを補正することにより、上記実施形態において上記パラメータが吸気の温度を高くする値であるほど判定閾値αとしては小さな値として設定する場合と同様に、外気温度やエンジン1の運転状態に関わりなく、インマニ吸気温センサ49の異常診断を正確に行うことが可能になる。
−他の実施形態−
以上説明した実施形態及び変形例では、自動車に搭載される直列4気筒ディーゼルエンジンに本発明を適用した場合について説明した。本発明は、自動車用に限らず、その他の用途に使用されるエンジンにも適用可能である。また、気筒数やエンジン形式(直列型エンジン、V型エンジン、水平対向型エンジン等の別)についても特に限定されるものではない。
また、上記実施形態では、マニバータ77として、NSR触媒75及びDPNR触媒76を備えたものとしたが、NSR触媒75及びDPF(Diesel Paticulate Filter)を備えたものとしてもよい。
また、上記実施形態及び各変形例では、EGR還流位置よりも下流側に配設されたインマニ吸気温センサ49の異常診断を行う場合について説明した。本発明は、これに限らず、EGR還流位置よりも上流側であって且つスロットルバルブ62よりも下流側にインマニ吸気温センサ49が配設されている構成に対しても、このインマニ吸気温センサ49の異常診断を行うことが可能である。この場合、吸気マニホールド63内に還流された排気ガスを、その還流位置よりも上流側に導入可能とするように(インマニ吸気温センサ49の配設位置周辺まで流すことが可能となるように)、スロットルバルブ62を全閉または略全閉にすることになる。
実施形態に係るエンジン及びその制御系統の概略構成図である。 ディーゼルエンジンの燃焼室及びその周辺部を示す断面図である。 ECU等の制御系の構成を示すブロック図である。 インマニ吸気温センサの異常診断動作の手順を示すフローチャート図である。
符号の説明
1 エンジン(内燃機関)
23 インジェクタ
43 エアフローメータ
48 吸気圧センサ
49 インマニ吸気温センサ(吸気温センサ)
4A 上流側吸気温センサ
6 吸気系
7 排気系
8 EGR通路
81 EGRバルブ
82 EGRクーラ

Claims (6)

  1. 内燃機関の排気系に排出された排気ガスの一部を吸気系に還流させる排気還流装置を備えていると共に、上記吸気系における排気ガス還流位置の近傍またはその下流側に吸気温センサが配設された内燃機関において、
    所定の吸気温センサ診断開始条件が成立した際、上記吸気系への排気ガス還流量を増量させ、この排気ガス還流量の増量に伴う上記吸気温センサの吸気温度検出値の変化に基づいて、この吸気温センサの異常の有無を判定するセンサ異常判定手段を備えていることを特徴とする内燃機関の吸気温センサ異常診断装置。
  2. 上記請求項1記載の内燃機関の吸気温センサ異常診断装置において、
    上記吸気温センサ診断開始条件は、内燃機関が燃料無噴射状態となった場合に成立することを特徴とする内燃機関の吸気温センサ異常診断装置。
  3. 上記請求項1または2記載の内燃機関の吸気温センサ異常診断装置において、
    上記センサ異常判定手段は、吸気系への排気ガス還流量の増量に伴う上記吸気温センサの吸気温度検出値の上昇量が所定の判定閾値未満である場合には吸気温センサに異常が生じていると判定するようになっており、
    排気ガスが混合される前の吸気の温度を変化させるパラメータに応じ、このパラメータが吸気の温度を高くする値であるほど、上記判定閾値は小さな値として設定されることを特徴とする内燃機関の吸気温センサ異常診断装置。
  4. 上記請求項3記載の内燃機関の吸気温センサ異常診断装置において、
    上記パラメータは、外気温度、吸入空気量、吸気過給圧であって、外気温度が高いほど、吸入空気量が少ないほど、また、吸気過給圧が高いほど、上記判定閾値は小さな値として設定されることを特徴とする内燃機関の吸気温センサ異常診断装置。
  5. 上記請求項1または2記載の内燃機関の吸気温センサ異常診断装置において、
    上記センサ異常判定手段は、吸気系への排気ガス還流量の増量に伴う上記吸気温センサの吸気温度検出値の上昇量が所定の判定閾値未満である場合には吸気温センサに異常が生じていると判定するようになっており、
    排気ガスが混合される前の吸気の温度を変化させるパラメータに応じ、このパラメータが吸気の温度を高くする値であるほど、上記判定閾値と比較される上記吸気温度検出値の上昇量は大きな値となるように補正されることを特徴とする内燃機関の吸気温センサ異常診断装置。
  6. 上記請求項5記載の内燃機関の吸気温センサ異常診断装置において、
    上記パラメータは、外気温度、吸入空気量、吸気過給圧であって、外気温度が高いほど、吸入空気量が少ないほど、また、吸気過給圧が高いほど、上記判定閾値と比較される上記吸気温度検出値の上昇量は大きな値となるように補正されることを特徴とする内燃機関の吸気温センサ異常診断装置。
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