JP2010134448A - 偏光板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 偏光フィルムの少なくとも一方の面に、ケン化度が30〜70モル%のポリビニルアルコール系樹脂を主体とする接着剤層を介して、接着面の水の接触角が20〜90度である保護フィルムが積層されてなる。
【選択図】 なし
Description
偏光フィルムとしては高ケン化度のPVA系樹脂中にヨウ素などの二色性材料が分散、吸着され、延伸後、あるいは延伸と同時にホウ酸などの架橋剤によって架橋された一軸延伸フィルムが広く用いられている。
このPVA系樹脂の一軸延伸フィルムを用いた偏光フィルムは高湿度下において収縮しやすく、通常は、少なくとも一方の面、望ましくは両面に保護フィルムを貼り合わせることで耐湿性や強度を補い、これらを合わせて偏光板として用いられている。
一方、低ケン化度のPVA系樹脂は結晶性が小さいため吸湿しやすく、吸湿による物性の変化、例えば接着力低下が懸念されることから、本用途のような耐湿性が求められる接着剤として考えられることは無かった。
例えば、セルロースエステル系樹脂の場合にはその表面をアルカリ液でケン化処理し、アシロキシ基の一部を水酸基に変換したものが用いられている。(例えば、特許文献1参照。)
また、環状オレフィン系樹脂からなる保護フィルムの場合も、コロナ放電処理やプラズマ処理を施すことによって、親水性を高めたものが用いられている。(例えば、特許文献2、3参照。)
よって、親水化処理されていない疎水性保護フィルムを用いた偏光板、すなわち、偏光フィルムとの接着面が疎水性である保護フィルムを用いても、偏光フィルムとの接着性が良好である偏光板およびその製造方法が強く求められている。
すなわち本発明は、保護フィルムとして疎水性が高いものを用い、偏光板用の接着剤として、従来検討されることのなかった低ケン化度のPVA系樹脂を主体とするもの用いたことを最大の特徴とするものである。
さらに、本発明の偏光板は、疎水性保護フィルムを親水化処理せずに用いることが可能であることから、製造工程の短縮、および製造コストの削減が可能となり、工業上有用である。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明の偏光板に用いられる偏光フィルムについて説明する。
本発明の偏光板に用いられる偏光フィルムとしては、特に制限はなく、公知のものを使用することができる。例えば、(i)PVA系フィルム、部分ホルマール化PVA系フィルム、エチレン−ビニルアルコール樹脂系フィルム、等のビニルアルコール系樹脂フィルムに、ヨウ素や二色性色素などの二色性材料を吸着させて一軸延伸したもの(例えば、特開2001−296427号公報、特開平7−333426号公報参照。)、(ii)(i)において二色性材料とともに液晶性を有する複屈折材料をビニルアルコール系樹脂フィルム中に有するもの(例えば、特開2007−72203号公報参照。)、(iii)二色性材料を含有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムを一軸延伸したもの(例えば、特開2001−356213号公報参照。)、(iv)PVA系樹脂やエチレン−ビニルアルコール樹脂を脱水あるいは脱酢酸して連続するポリエン構造を導入し、これを延伸して得られるポリエン系フィルム(例えば、特開2007−17845号公報参照。)、などを挙げることができる。
中でも、偏光特性が優れる点から、PVA系フィルムにヨウ素が吸着された一軸延伸フィルムが好適である。
PVA系樹脂のケン化度は通常85〜100モル%であり、特に90〜100モル%、さらには95〜100モル%のものが好ましく用いられる。 かかるケン化度が低すぎると、偏光性能が不充分となったり、偏光フィルム作製時に耐水性が不足する傾向がある。
なお、PVA系樹脂のケン化度および平均重合度はJIS K6726に準じて測定したものである。
まずPVA系樹脂の水溶液から原反フィルムが形成される。かかる方法としては公知の製膜法として乾式製膜法、湿式製膜法、およびゲル製膜法等を用いることができ、通常は溶液流延法が採用されている。かかる溶液流延法を用いる場合、PVA系樹脂水溶液の濃度は通常1〜50重量%であり、かかる水溶液を金属ロール等に流延し、加熱乾燥することで原反フィルムがえられる。
次に、本発明で用いられる保護フィルムについて説明する。
かかる保護フィルムは、偏光フィルムの少なくとも一方の面、望ましくは両面に貼り合わせることで、偏光フィルムの問題点である高湿度下での耐久性不足を補うもので、本発明では特に偏光フィルムと接着される面が疎水性であるものを用いることを特徴とするもので、かかる接着面の水の接触角は20〜90度の範囲にあるものである。さらに、かかる接触角は、特に30〜80度、ことに30〜60度のものが好適に用いられる。なお、かかる保護フィルム表面の接触角は、23℃、50%RHの雰囲気下、液滴法によって測定したものである。かかる水の接触角が小さすぎるものや、大きすぎるものは、偏光フィルムとの接着性が不充分となる傾向がある。
さらに、本発明で用いられる保護フィルムに求められる特性としては、透明性、機械強度、熱安定性、水分遮蔽性、光学的等方性などを挙げることができる。
また、その他の材料として、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂、(含フッ素)ポリイミド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、エポキシ樹脂などを挙げることができる。
ノルボルネン系モノマーの具体例としては、ノルボルネン、ノルボルナジエンなどの二量体;ジシクロペンタジエン、ジヒドロキシペンタジエンなどの三環体;テトラシクロペンタジエンなどの七環体;これらのメチル、エチル、プロピル、ブチルなどのアルキル、ビニルなどのアルケニル、エチリデンなどのアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチルなどのアリールなどの置換体;さらにこれらのエステル基、エーテル基、シアノ基、ハロゲン、アルコキシカルボニル基、ピリジル基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミノ基、無水酸基、シリル基、エポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの炭素、水素以外の元素を含有する基を有する置換体などが挙げられる。
環状オレフィン系樹脂フィルムの市販品としては、JSR社製「ARTON」、日本ゼオン社製「ZEONOR」、「ZEONEX」、日立化成工業社製「OPTOREZ」、三井化学社製「APEL」などを挙げることができる。
かかる(メタ)アクリル系樹脂フィルムの市販品としては、三菱レイヨン社製「アクリペットVRL20A」、「アクリペットIRD−70」、UMGABS社製「MUX−60」などが挙げられる。
ただし、処理後の水との接触角が本発明で規定する範囲内になる程度であれば、保護フィルムに対し、上述の各種親水化処理を施すことを妨げるものではなく、特にコロナ放電処理やプラズマ処理は、接着性をさらに向上させるための有効な手段の一つである。
また、帯電防止剤を表面に塗布あるいはフィルム中に含有させたものも好ましく用いられる。
したがって、本発明における硬化塗膜層は、上記の如き硬化性樹脂を含む塗工液を、スピンコート法、マイクログラビアコート法など、公知の方法で酢酸セルロース系フィルムの表面に塗工し、紫外線硬化や熱硬化等により設けることができる。硬化塗膜層の厚みは1〜30μm 程度であり、好ましくは3μm 以上、また好ましくは20μm 以下である。
次に、本発明の偏光板において、偏光フィルムと保護フィルムと間に介在する接着剤層、およびかかる接着剤層の形成に用いられる接着剤について説明する。
本発明の偏光板における接着剤層は、ケン化度が30〜70モル%のPVA系樹脂を含有するもので、その含有量は、通常、接着剤層中の80重量%以上、特に90重量%以上である。かかる含有量が少なすぎると、接着力が不充分となる場合がある。
また、かかるPVA系樹脂のケン化度としては、特に40〜60モル%のものが好適に用いられる。かかるケン化度が低すぎたり、逆に高すぎたりすると、本発明で用いられる疎水性表面をもつ保護フィルムと偏光フィルムとの接着性が不充分となる傾向がある。
他の単量体としては、エチレンやプロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、3−ブテン−1−オール、4−ペンテン−1−オール、5−ヘキセン−1−オール、3,4−ジヒドロキシ−1−ブテン等のヒドロキシ基含有α−オレフィン類およびそのアシル化物などの誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類、その塩、モノエステル、あるいはジアルキルエステル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸類あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、ビニルエチレンカーボネート、2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン、グリセリンモノアリルエーテル、3,4−ジアセトキシ−1−ブテン、等のビニル化合物、酢酸イソプロペニル、1−メトキシビニルアセテート等の置換酢酸ビニル類、塩化ビニリデン、1,4−ジアセトキシ−2−ブテン、ビニレンカーボネート、等が挙げられる。
これらの共重合あるいは後変性による変性PVA系樹脂の中でも、架橋性の官能基、例えばアセトアセチル基やジアセトンアミド基、特にアセトアセチル基を有するものは、架橋剤と組み合わせることによって本発明の接着剤に対し、さらなる耐水性を付与することが可能であることから、より好ましい実施態様である。
かかるアルコール系溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数が1〜3である低級アルコールを挙げることができ、中でも最も沸点が低いメタノールが好適に用いられる。
かかる架橋剤としては、PVA系樹脂の架橋剤として公知のものを使用することができ、例えば、有機系架橋剤としては、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、グリオキシル酸やそのエステル、ナトリウム塩、カルシウム塩などのアルカリ(土類)金属塩などのアルデヒド化合物、尿素樹脂、グアナミン樹脂、メチロール化メラミンなどのメチロール基含有化合物、アミノ樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン等のグリシジル基含有化合物、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン、1,3−ビスアミノシクロヘキサン、ポリオキシアルキレン型ジアミン又はポリアミンなどのアミン系化合物、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジドなどのヒドラジド化合物、ポリイソシアネート、ブロックイソシアネートなどのイソシアネート系化合物、ヒドラジン化合物、酸無水物、などを挙げることができる。
また、無機系架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂などのホウ素化合物、クロロヒドロキシオキソジルコニウム(第一稀元素化学社製「ジルコゾールZC−2」)、硝酸ジルコニル(第一稀元素化学社製「ジルコゾールZN」)などのジルコニウム化合物、テトラアルコキシチタネート、水溶性チタン化合物(松本製薬社製「TC−310」「TC−400」)などのチタニウム化合物、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム化合物、亜リン酸エステル、ビスフェノールA変性ポリリン酸などのリン化合物、アルコキシ基やグリシジル基などの反応性官能基を有するシリコーン化合物、などを挙げることができる。
また、同様に各種添加剤として、消泡剤、レベリング剤、着色剤、染料、顔料、蛍光増白剤、顔料、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、可塑剤、帯電防止剤、熱安定化剤、界面活性剤、乾燥剤、消臭剤、抗菌剤、防腐剤、消泡剤等を含有させることができる。
本発明の偏光板は、偏光フィルムの少なくとも一方の面、好ましくは両面に、ケン化度が30〜70モル%のPVA系樹脂を主体とする接着剤層を介して、水の接触角が20〜90度である保護フィルムが積層されてなるものであり、通常は、上述のPVA系樹脂おを含有する液状接着剤を偏光フィルムあるいは保護フィルム、あるいはその両方に均一に塗布し、両者を貼り合わせた後に圧着、加熱乾燥することで形成される。
かかる液状接着剤を偏光フィルムあるいは保護フィルム上に塗工するにあたっては、ロールコーター法、エアードクター法、ブレードコーター法、噴霧法、浸漬法や、偏光フィルムと保護フィルムを貼り合わせる直前に、該フィルム間に適量供給して流し込んだ後、両者を貼り合わせる等の公知の方法を用いることができる。
貼り合わせ、および圧着には、例えばロールラミネーターなどを用いることができ、その圧力は0.1〜10MPaの範囲から選択される。また、加熱乾燥条件としては、通常5〜150℃、特に30〜120℃において、10〜60分、さらには30秒〜30分、特に1〜20分の条件で行われる。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
(1)接着剤の作製
平均重合度1700、ケン化度50モル%のPVAの10%水溶液にメタノールを加え、固形分濃度5重量%、水/メタノールの比率5/5(重量比)の接着剤溶液を作製した。
(2)偏光フィルムの作製
重合度2600、ケン化度99.8モル%のPVA系樹脂からなる厚さ50μmのPVAフィルムを30℃の水中に浸漬し、ついでヨウ素0.2g/L、ヨウ化カリウム20g/Lを含有する30℃の染色液に浸漬・延伸、さらにホウ酸50g/L、ヨウ化カリウム50g/Lを含有する53℃のホウ酸処理液に浸漬・延伸して、延伸倍率4.0倍、厚さ28μmの偏光フィルムを得た。
(3)偏光板の作製
(2)で得られた偏光フィルムに(1)で得られた接着剤溶液を介して厚さ80μmのトリアセチルセルロースからなる保護フィルムを貼り合わせ、0.33MPaの圧力をかけてラミネートし、70℃で10分間乾燥して偏光板を得た。
なお、かかるトリアセチルセルロースからなる保護フィルムの水の接触角は、接触角計(協和界面科学社製)を用い、23℃、50%RHの雰囲気下、液滴法にて測定(n=10の平均値)で測定したところ、60度であった。
〔接着強度〕
得られた偏光板から、偏光フィルムの延伸方向を長辺として100mm×25mmのサンプルを切り出し、保護フィルムと偏光フィルム間の接着強度を評価した。かかる評価は、島津製オートグラフAG−ISを用い、180度ピール法、試験速度300m/分で行った。結果を表1に示す。
実施例1において、接着剤に用いるPVAとして、平均重合度1700、ケン化度60モル%のものを用いた以外は実施例1と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、接着剤に用いるPVAとして、平均重合度600、ケン化度35モル%のものを用いた以外は実施例1と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、接着剤に用いるPVAに代えて、アセトアセチル基含有PVA系樹脂(アセトアセチル基含有量5モル%、平均重合度1700、ケン化度50モル%)を用い、架橋剤としてPVA系樹脂100重量部に対しグリオキザールを1部配合して接着剤とした以外は実施例1と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例4において、架橋剤としてPVA系樹脂100重量部に対しグリオキシル酸ナトリウムを10部配合して接着剤とした以外は実施例4と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、保護フィルムとして、トリアセチルセルロースにプラズマ処理(積水化学工業社製「常圧プラズマ表面処理実験装置」使用、電圧310V、搬送速度1000mm/分)を施し、水との接触角を34度としたものを用いた以外は実施例1と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、接着剤に用いるPVAとして、平均重合度2200、ケン化度78モル%のものを用いた以外は実施例1と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例4において、アセトアセチル基含有PVA系樹脂として、アセトアセチル基含有量5モル%、平均重合度1200、ケン化度99.2モル%のものを用いた以外は実施例4と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例1において、保護フィルムとして、水との接触角が92度であるフッ素系樹脂フィルム(AGC旭硝子社製「アフレックス」、25μm厚)を用いた以外は実施例1と同様に偏光板を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
さらに、本発明の偏光板は、保護フィルムの親水化処理が不要であり、製造工程の短縮、および製造コストの削減が可能となり、工業上有用である。
Claims (3)
- 偏光フィルムの少なくとも一方の面に、ケン化度が30〜70モル%のポリビニルアルコール系樹脂を含有する接着剤層を介して、接着面の水の接触角が20〜90度である保護フィルムが積層されてなることを特徴とする偏光板。
- 接着剤層中のポリビニルアルコール系樹脂が、架橋剤によって架橋されていることを特徴とする請求項1または2記載の偏光板。
- 偏光フィルムと接着面の水の接触角が20〜90度である保護フィルムをケン化度が30〜70モル%のポリビニルアルコール系樹脂を主体とする接着剤によって貼り合わせることを特徴とする請求項1または2記載の偏光板の製造方法。
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