JP2010132792A - 消泡剤組成物、潤滑油組成物および潤滑油組成物の製造方法 - Google Patents
消泡剤組成物、潤滑油組成物および潤滑油組成物の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】
フッ素化シリコーン消泡剤を使用する場合において、基油に対する分散性が高く、優れた初期消泡性能を発揮すると共にその耐久性に優れ、かつ貯蔵しても初期の消泡性能を維持できる潤滑油組成物および潤滑油組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】
潤滑油基油ならびに該潤滑油基油に配合された成分(A)含フッ素系有機化合物、成分(B)フッ素化シリコーンおよび成分(C)有機溶媒からなることを特徴とする潤滑油組成物および該潤滑油組成物の成分として用いられる成分(A)成分(B)および成分(C)からなる消泡剤組成物ならびに消泡剤組成物を調製する工程と該消泡剤組成物を基油と混合する工程からなる潤滑油組成物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
かかるフッ素化シリコーンの問題点の解決については、前記特許文献のいずれにも開示がなく、また、その解決について示唆する点も当然なく、実用上の難点を包蔵したものである。
潤滑油組成物の成分として用いられる消泡剤組成物であって、下記の成分(A),(B)および(C);
(A)下記の一般式(1)および(2)で表される含フッ素有機化合物からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素有機化合物,
X−(R1)m (1)
Y−(R2)n (2)
(一般式(1)および(2)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基であり、
(iii)R1は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、二種以上存在する置換基については、互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)mは1〜6であり、
(v)R2は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、水素原子,フッ素原子,炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、二種以上存在する置換基については、互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(vi)nは2〜5である。)
(B)フッ素化シリコーン
および
(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒
からなることを特徴とする消泡剤組成物が提供される。
潤滑油基油と、該潤滑油基油に配合された消泡剤組成物とからなる潤滑油組成物であって、該消泡剤組成物が、
(A)下記の一般式(1)および(2)で表される含フッ素有機化合物からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素有機化合物,
X−(R1)m (1)
Y−(R2)n (2)
(一般式(1)および(2)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基であり、
(iii)R1は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、二種以上存在する置換基については、互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)mは1〜6であり、
(v)R2は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、水素原子,フッ素原子,炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、該二種の置換基については、互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(vi)nは2〜5である。)
(B)フッ素化シリコーン
および
(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒
からなることを特徴とする潤滑油組成物が提供される。
さらに、本発明によれば、
(A)下記の一般式(1)および(2);
X−(R1)m (1)
Y−(R2)n (2)
(一般式(1)および(2)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基であり、
(iii)R1は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、二種以上存在する置換基については互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)mは1〜6であり、
(v)R2は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、水素原子,フッ素原子,炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、二種以上存在する置換基については互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(vi)nは2〜5である。)
で表される含フッ素有機化合物からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素有機化合物と、(B)フッ素化シリコーンと、(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒とを混合することからなる消泡剤組成物を調製する工程
および
前記工程において調製された前記消泡剤組成物を潤滑油基油に配合する工程からなることを特徴とする潤滑油組成物の製造方法
が提供される。
(1)前記成分(A)の含フッ素有機化合物が、次の一般式(11)または一般式(22)で表される構造を有する化合物である前記消泡剤組成物。
R11−X−R12 (11)
R21−Y−R22 (22)
(一般式(11)および(22)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、OまたはSのヘテロ原子を少なくとも一種有する基であり、
(iii)R11およびR12は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の二個の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)R21およびR22は、各々前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、該置換基は互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基である。)
(2)前記一般式(11)において、R11およびR12が、それぞれ炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基および炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、Xが芳香族炭化水素基である前記消泡剤組成物。
(3)前記一般式(22)において、R21およびR22が、それぞれ炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基および炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、Yが酸素原子または硫黄原子を有する基である前記消泡剤組成物。
(4)前記消泡剤組成物の成分(A),成分(B)および成分(C)の配合割合が前記消泡剤組成物の全重量基準で成分(A)2〜98重量%,成分(B)0.01〜10重量%および成分(C)2〜98重量%である前記消泡剤組成物。
(5)前記消泡剤組成物の成分(A)、成分(B)および成分(C)の配合割合が前記消泡剤組成物の全重量基準で、成分(A)20〜80重量%、成分(B)0.1〜8重量%、成分(C)20〜80重量%である前記消泡剤剤組成物。
(6)前記(A),(B)および(C)からなる成分にさらに添加される成分が成分(D)フッ素系界面活性剤である前記消泡剤組成物。
(7)潤滑油基油と、該潤滑油基油に配合された前記(1)〜(6)のいずれかの消泡剤組成物とからなる前記潤滑油組成物。
(8)前記含フッ素有機化合物が、次の一般式(11)または一般式(22)で表される構造を有する化合物である前記潤滑油組成物の製造方法。
R11−X−R12 (11)
R21−Y−R22 (22)
(一般式(11)および(22)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、OまたはSのヘテロ原子を少なくとも一種有する基であり、
(iii)R11およびR12は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の二個の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)R21およびR22は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、該置換基は互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基である。)
(9)前記一般式(11)において、R11およびR12が、それぞれ炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基および炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、Xが芳香族炭化水素基である前記潤滑油組成物の製造方法。
(10)前記一般式(22)において、R21およびR22が、それぞれ炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基および炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜5のフッ素含有脂肪族炭化水素基であり、Yが酸素原子または硫黄原子を有する基である前記潤滑油組成物の製造方法。
(11)前記(A),(B)および(C)からなる成分にさらに添加される成分が成分(D)フッ素系界面活性剤である前記潤滑油組成物の製造方法。
(12)前記潤滑油基油の100℃における動粘度が2〜10mm2/Sである前記潤滑油組成物。
(13)前記潤滑油基油の配合割合が、前記潤滑油組成物全重量基準で、99.5〜50重量%である前記潤滑油組成物。
(14)潤滑油基油に(A)含フッ素有機化合物、(B)フッ素化シリコーンおよび(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒の混合溶液からなる消泡剤組成物を添加することによる初期消泡性能および耐久性の改善方法。
消泡剤組成物
本発明に係る消泡剤組成物は、潤滑油組成物の成分として用いられる構成成分であって、(A)含フッ素有機化合物、(B)フッ素化シリコーンおよび(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒からなるものであり、任意成分として(D)フッ素系界面活性剤が付加されてなる混合溶液である。かかる混合溶液は均質であり、透明のものが好適である。消泡剤組成物は添加剤パッケージの一成分として、また添加剤マスターバッチの形態で使用することもできる。
(A)含フッ素有機化合物
本発明に係る潤滑油組成物の構成成分である含フッ素有機化合物は、下記の一般式(1)および(2);
X−(R1)m (1)
Y−(R2)n (2)
一般式(1)および(2)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基である。
(iii)R1は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)mは1〜6であり、
(v)R2は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、水素原子,フッ素原子,炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、二種以上存在する置換基については互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(vi)nは2〜5である。
R11−X−R12 (11)
R21−Y−R22 (22)
一般式(11)および(22)で表される含フッ素系有機化合物は、芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素基または2価のヘテロ原子を有する基にそれぞれニ置換基を有するものである。前記炭化水素基のなかでは、芳香族炭化水素基が好適である。
1.芳香族炭化水素基
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜10を有するものであり、ベンゼン環、少なくとも一つのアルキル基、アルケニル基を有するベンゼン環、例えば、アルキルベンゼン、スチルベンゼン、キシレン等のほか、ナフタレン環等の縮合環を挙げることができるが、フッ素化シリコーンの溶解性の維持を図るという観点からは、ベンゼン環、ナフタレン環が好適であり、特に、ベンゼン環が好ましく、アルキルベンゼンとしては、特に2個の置換基を有するもの、例えば、2個のアルキルを有するベンゼン環がさらに好ましい。
2.脂環式炭化水素基
脂環式炭化水素基としては炭素数3〜10を有するシクロアルキル基または側鎖を有するシクロアルキル基を挙げることができるが、シクロアルキル基としては具体的にはシクロプロパン、シクロペンタン、シクロへキサン等が好ましい。また、特に2個の置換基を有するシクロアルキル基がさらに好ましい。
なお、前記芳香族炭化水素基および前記脂環式炭化水素基のなかでは、前記芳香族炭化水素基が好ましい。
3.O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を有する基
O,S,N,P,Siのヘテロ原子を有する基としては、酸素(−O−)、カルボニル基(−CO−)、カルボキシル基(−CO2−)、カーボネート(−CO3−)、イオウ(−S−)、スルホキシド基(−SO−)、スルホン基(−SO2−)、スルホン酸基(−SO3−)、硫酸基(−SO4−)、−O(R4O)n−(ここでR4は炭素数1〜10の2価の炭化水素基またはフッ素含有炭化水素基、nは1〜10の整数である。nが2以上の場合、R4は同一であっても異なるものであってもよい。)、窒素(−N=)、ホスホリル基(−PO=)、ホスホン酸基(−PO3=)、リン酸基(−PO4=)等を挙げることができる。
トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン
ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
メチルペンタフルオロベンゼン
ペンタフルオロトルエン
ヘキサフルオロベンゼン
パーフルオロトルエン
ベンゾトリフルオライド
o−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
m−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
p−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン
パーフルオロシクロペンタン
パーフルオロシクロヘキサン
2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール
オクタフルオロペンタノール
パーフルオロブチルメチルエーテル
パーフルオロブチルエチルエーテル
パーフルオロブチルブチルエーテル
パーフルオロブチルベンジルエーテル
パーフルオロブチルフェニルエーテル
ペンタフルオロアニソール
ペンタフルオロアセトフェノン
ペンタフルオロベンゾニトリル
パーフルオロトリブチルアミン
パーフルオロトリプロピルアミン
パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)
ビス(ヘプタフルオロイソプロピル)ケトン
F−DPC〔C2F5CH2O(C=O)OCH2C2H5〕
F−DEC〔CF3CH2O(C=O)OCH2C2F3〕
フルオロエチレンカーボネート、
前記の含フッ素有機化合物のなかで好ましい具体例として、トリス(トリフルロオメチル)ベンゼン、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(トリフルオロメチル)エーテル、メチルペンタフルオロベンゼン、トリフルオロメチルペンタフルオロエチルエーテル、トリフルオロメチルエチルエーテル、トリフルオロメチルトリフルオロエーテル、ビス(ペンタフルオロエチル)エーテル、ビス(テトラフルオロエチル)エーテル、トリフルオロエチルテトラフルオロエチルエーテル、ビス(トリフルオロエチルエーテル)、トリフルオロメチルイソプロピルエーテル、ビス(ヘプタフルオロn−プロピル)エーテル、エチルイソノナフルオロブチルエーテル等を挙げることができる。
(B)フッ素化シリコーン
本発明に係る消泡剤組成物の構成成分であるフッ素化シリコーンとしては、分子中にフッ素含有オルガノシロキサンおよびオルガノシロキサンを有する化合物が用いられる。
Rfの具体例としては、例えば、トリフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロペプチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロノニル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロウンデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロトリデシル基、パーフルオロテトラデシル基等を挙げることができる。
R7の具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、フェニレン基等を挙げることができる。
R6は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基の如きシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、フェニルエチル等のアラルキル基等である。
(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒
本発明に係る消泡剤組成物の構成成分としての有機溶媒は、フッ素化シリコーンの分散性の安定のために使用される媒体である。有機溶媒としては、フッ素化シリコーンの分散化および分散状態の維持にとって有効に作用するものであれば、例えば、カルボニル基を含有するものでも特に制限されることなく、任意に選択することができる。特に好ましい有機溶媒は、炭化水素系溶媒であり、具体的には、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、脂環式炭化水素等であり、また、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、エーテル等を含めた含酸素化合物を挙げることができる。さらに好ましい有機溶媒としては、脂肪族炭化水素および芳香族炭化水素を挙げることができる。特に引火点が−10℃〜200℃、好ましくは0℃〜150℃、さらに好ましくは10℃〜100℃のものを用いることができる。引火点が−10℃未満では本発明に係る消泡剤組成物を用いる潤滑油組成物の製造において、安全性確保のために冷却装置の導入が必要となる場合があり、一方、200℃を超えると良好な消泡性能は得られないという問題が生じるおそれがある。
(D)フッ素系界面活性剤
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキル基、親油基および親水基からなるオリゴマーを採用することができ、かかるオリゴマーは、分子中の疎水基の炭素原子に結合した水素原子の代わりにその全部または一部をフッ素原子で置換したものである。
潤滑油基油
本発明に係る潤滑油組成物の構成成分の基油は、通常の潤滑油基油として使用され、また使用が可能なものであれば、特に限定されるものではないが、本発明に係る潤滑油組成物の構成成分として用いられるフッ素化シリコーンを完全に溶解せず分散させることができるものが好適である。具体的には、かかる要求を満たす鉱油系基油、GTL(Gas to liquid)系基油、合成油系基油またはこれらの混合油系基油等が用いられる。
潤滑油基油としては、特に合成油系基油と鉱油系基油との混合油系基油が好適であり、GTL油系基油と鉱油系基油との混合油系基油、二種以上の鉱油系基油からなる混合油系基油または二種以上のGTL油系基油からなる混合油系基油等が好ましく、さらに、GTL油系基油と鉱油系基油との混合油系基油および二種以上の鉱油系基油からなる混合油系基油が粘度特性と経済性とのバランスを図る点から好適である。
潤滑油組成物
本発明に係る潤滑油組成物は、潤滑油基油と、該潤滑油基油に配合された消泡剤組成物とからなるものであり、潤滑油組成物の用途に応じて要求される性能を満たすためにさらに他の各種添加剤が任意に配合される。消泡剤組成物については前記に記載の通りであり、成分(A)の含フッ素有機化合物、成分(B)のフッ素化シリコーンおよび成分(C)の炭化水素系またはアルコール系有機溶媒からなるものであり、任意成分(D)としてフッ素系界面活性剤を含有させたものである。
潤滑油組成物の製造方法
本発明に係る潤滑油組成物の製造方法は、次の工程Iおよび工程IIによることが好ましい。
工程Iは、(A)下記の一般式(1)および(2);
X−(R1)m (1)
Y−(R2)n (2)
(一般式(1)および(2)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基である。
(iv)mは1〜6であり、
(v)R2は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、水素原子,フッ素原子,炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、該置換基は互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(vi)nは2〜5である。)
で表される含フッ素有機化合物、(B)フッ素化シリコーンおよび(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒を混合することからなる消泡剤組成物を調製する工程である。
工程IIは、前記工程Iにおいて調製された成分(A)、(B)および(C)好ましくはさらに(D)からなる消泡剤組成物を潤滑油基油に配合する工程である。配合の操作および条件として特に限定されるものではなく、通常の添加剤配合方法を採用すればよい。また、他の添加剤は、前記工程Iにおいて、前記成分(A)、(B)および(C)の混合溶液に加えてもよいが、工程IIにおいて基油に事前にまたは消泡剤組成物と同時に添加してもよい。
他の添加剤
本発明に係る潤滑油組成物は、自動変速機油、無段変速機油、油圧油、ギヤ油、タービン油、コンプレッサー油およびエンジン油等として好適なものであり、基油の選択により、必要な粘度調整を行ない、用途に応じてそれぞれ要求される性能を満たすために各種添加剤、例えば、粘度指数向上剤、無灰分散剤、有機酸金属塩(金属系洗浄剤)、摩擦調整剤、摩擦防止剤、酸化防止剤、極圧剤、金属不活性化剤、流動点降下剤、防錆剤、着色剤などを適宜添加することができる。
粘度指数向上剤としては、一般に非分散型ポリメタアクリレート、分散型ポリメタアクリレート、非分散型オレフィンコポリマー(ポリイソブチレン、エチレン−プロピレン共重合体)、分散型オレフィンコポリマー、ポリアルキルスチレン、スチレン−ブタジエン水添共重合体、スチレン−無水マイレン酸エステル共重合体、星状イソプレン等が挙げられる。非分散型オレフィンコポリマーとは、分子中に酸素または窒素を含有せずに分散性能を有しているものである。ポリイソブチレンやエチレン−プロピレン共重合体の分子量としては、重量平均分子量で10万以上(GPC分析においてポリスチレン換算量)のものが好ましい。これは単独だけでなく複数のものを併用してもよい。通常0.01重量%〜30重量%の割合で使用される。
無灰分散剤としては、コハク酸イミド、コハク酸アミド、ベンジルアミン、コハク酸エステル、コハク酸エステル−アミド等を含有する添加剤およびそれらのホウ素含有等が挙げられるが、コハク酸イミド系およびホウ素含有コハク酸イミド系が好ましく用いられる。コハク酸イミド系およびホウ素含有コハク酸イミド系の配合量は、通常0.05重量%〜8重量%である。
金属系清浄剤としては、例えば、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のスルホネート、フェネート、サリシレート、カルボキシレートから選択される化合物を含むものが挙げられ、過塩基性塩、塩基性塩、中性塩等の塩基価の異なるものを任意に選択して用いることができる。これらの配合量は、金属元素量として、通常0.05重量%〜5重量%の範囲で使用することが好ましい。
摩擦調整剤としては、例えば、有機モリブデン系化合物、脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、油脂類、アミン、ポリアミド、硫化エステル、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられる。これらは、通常0.05重量%〜5重量%の割合で使用される。
摩耗防止剤としては、一般にジチオリン酸亜鉛、ジチオリン酸金属塩(Pb,Sb,Moなど)、ジチオカルバミン酸金属塩(Zn,Pb,Sb,Moなど)ナフテン酸金属塩(Pbなど)、脂肪酸金属塩(Pbなど)、ホウ素化合物、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、通常0.1重量%〜5重量%の割合で使用される。
酸化防止剤としては、一般にアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化フェニル−α−ナフチルアミン等のアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネイト等の硫黄系酸化防止剤、ホスファイト等のリン系酸化防止剤、モリブデン系酸化防止剤、さらにジチオリン酸亜鉛等が挙げられ、特に、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤およびこれらの組合せが好ましく用いられる。これらは、通常0.05重量%〜5重量%の割合で使用される。
極圧剤としては、一般に無灰系サルファイド化合物、硫化油脂、リン酸エステル、亜リン酸エステル、リン酸エステルアミン塩等が挙げられ、これらは、通常0.05重量%〜3重量%の割合で使用される。
金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール、トリアゾール誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体等が挙げられ、これらは、通常0.01重量%〜3重量%の割合で使用される。
防錆剤としては、例えば、脂肪酸、アルケニルコハク酸ハーフエステル、脂肪酸セッケン、アルキルスルホン酸基、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸アミン、酸化パラフィン、アルキルポリオキシエチレンエーテル等が挙げられ、これらは、通常0.01重量%〜3重量%の割合で使用される。
また、特に、自動変速機油(ATF)用の添加剤パッケージとしては、自動変速機の駆動系流体としてスリップ制御等の性能を発揮できるように前記の添加剤群から有用な添加剤を選択して使用することができるが、摩擦調整剤のほか、通常、酸化防止剤、清浄分散剤、金属不活性化剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤、防錆剤、腐食防止剤等を含有するものである。各添加剤の配合量の具体例としては、下記記載の通りである。本発明に係る消泡剤組成物を配合した潤滑油組成物は、発泡を抑制し、または形成された気泡を破壊することができ、如何なる添加剤フォーミュレーションによっても泡立ち抑制上での問題は生じない。
金属清浄剤 0.05〜 5.0
粘度指数向上剤 4.0〜 30.0
無灰分散剤 0.1〜 5.0
酸化防止剤 0.1〜 3.0
極圧剤 0.1〜 2.0
金属不活性化剤 0.01〜 2.0
摩耗防止剤 0.1〜 3.0
摩擦調整剤 0.1〜 5.0
流動点降下剤 0.01〜 8.0
腐食防止剤 0.01〜 5.0
基油
(1)鉱油系基油
溶剤精製・水素化処理鉱油
100℃動粘度; 3mm2/s
(2)合成油系基油
ポリアルファオレフィンオリゴマー
100℃動粘度; 3mm2/s
消泡剤混合溶液
消泡剤混合溶液は、下記の成分(A)、(B)および(C)の混合溶液であり、各成分の混合割合については表1に示す。
(1)セントラルガラス社製MTF−TFM;CF3−C6H4−CF3
(2)アサヒガラス社製Asahi−CleanAE3000;
CF3−CH2−O−CF2−CHF2
(3)スリーエム社製 HFE7200; C4F9−O−C2H5
(4)デュポン社製 Vertrel; C5H2F10
成分(B);フッ素化シリコーン
(1)信越化学社製 FL−100−450CS
(2)信越化学社製 FA−630
成分(C);炭化水素系またはアルコール系有機溶媒
n−ヘプタン、ケロシン、軽油、アルケンL(新日石社製アルキルベンゼン)、トルエン、メタノール
成分(D).フッ素系界面活性剤
(1)DIC社製 メガファックF−477
(2)DIC社製 メガファックF−483
その他の添加剤
ATF用添加剤パッケージ
ATFWS消泡剤不含パッケージ
金属清浄剤
アフトンケミカル社製Hitech614(カルシウムスルホネート)
性能評価方法
外観観察試験および消泡性能を次の方法により評価した
(1)外観観察試験
試料を200CCビーカーに100CC採り、20℃に調整した恒温エアオーブン内で24時間保持した後、白色光源をビーカーの背後に設置した状態で目視観察を行なう。その際に、白色光源が鮮明に確認できる透過度の有無について、さらに分離および白濁の生成の有無について観察する。
(2)消泡性能試験
試料を500CCのトールビーカーに200CC採取し、ホットプレートで120℃に昇温後に空気を100ml/min吹き込みながらホモジナイザー(IKA社製)にて3分間撹拌した後の上昇した液面高さを測定し泡立ち量とする。
実施例1
フッ素化シリコーンFL−100−450csを含フッ素有機化合物MTF−TFM(ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン)に溶解させた後、さらに炭化水素溶媒(n−ヘプタン)に全体を溶解させ、フッ素化シリコーン3%、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン68% および n−ヘプタン29%の消泡剤混合溶液M1を調製した(表1−1参照。)。混合溶液M1を前記の性能評価試験に供し、外観を観察したところ透明であった。
実施例2
含フッ素有機化合物MTF−TFM(ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン)の代わりに、Asahi−clean AE−3000(CF3CH2OCF2CHF2)を使用したこと以外、すべて実施例1の成分と同一の成分を同一割合で含有する消泡剤混合溶液M2を調製した。混合溶液M2の外観観察によれば透明であった。
実施例3
含フッ素有機化合物MTF−TFM(ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン)の代わりに、含フッ素有機化合物HFE7200パーフルオロプチルエチルエーテル(C4F9OC2H5)を使用したこと以外、すべて実施例1の成分と同一の成分を同一割合で含有する消泡剤混合溶液M3を調製した。混合溶液M3は外観観察によれば透明であった。
実施例4〜6
表1−1に示すようにフッ素化シリコーンFA−630を用い、同表に示す割合で含フッ素有機化合物および炭化水素溶媒を用い、消泡剤混合溶液M4〜M6を調製した。
実施例7〜11
フッ素化シリコーンFL−100−450csおよび含フッ素有機化合物MTF−TFMと、表1−1及び表1−2に示す各種炭化水素溶媒とを同表に示す割合で混合し、混合溶液M7〜M11を調製した。これらの混合溶液は前記の外観観察によれば透明であった。
実施例12〜15
フッ素化シリコーンFA−630、含フッ素有機化合物MTF−TFMおよび炭化水素溶媒としてケロシンの混合物に対し、フッ素化界面活性剤F−477またはF−483を表1−2に示すように混合した混合溶液M12〜M15をそれぞれ基油に配合し、表2−1に示す組成の試作油12〜15を調製した。
試作油の性能評価は、前記の性能評価試験により行ない表2に示す結果が得られた。
実施例16〜19
表1−2に示す消泡剤混合溶液M12〜M15を、表2−1に示すように、ATF用パッケージの代わりに前記金属清浄剤を配合した基油に、それぞれ配合したこと以外すべて実施例1と同様にして試作油16〜19を調製した。性能評価の結果を表2−2に示す。
実施例20
基油として鉱油の代わりに合成油を使用したこと以外、すべて実施例1と同様に同一の消泡剤混合溶液M1を用いて試作油20を調製した。
試作油20の性能評価を前記の性能評価試験により行ない表2−2に示す消泡結果を得た。
実施例21
ATF用添加剤パッケージまたは金属清浄剤のいずれの添加剤も使用しなかったこと以外すべて実施例1と同様に同一の消泡剤混合溶液M1を用いて試作油21を調製した。
試作油21の性能評価を前記の性能評価試験により行ない表2−2に示す消泡効果を得た。
比較例1
表1−2に示す割合で、フッ素化シリコーンFL−100−450csを含フッ素脂肪族炭化水素溶媒C5H2F10に溶解させた後、炭化水素溶媒(ケロシン)に全体を溶解させ混合溶液M16を調製した。含フッ素脂肪族炭化水素溶媒は、本発明の含フッ素有機化合物の範囲を逸脱するものであり、混合溶液の外観は白濁状態であった。混合溶液M16を基油に配合し、表2−2に示す組成の試作油aを調製した。
試作油aの前記性能評価の結果を表2−2に示す。この結果から、特に貯蔵安定性に欠けることが判明した。
比較例2
フッ素化シリコーンFL−100−450csを含フッ素有機化合物HFE7200に溶解させて混合溶液M17を調製したが、炭化水素系またはアルコール系有機溶媒を使用しなかった。混合溶液M17の外観は透明であった。次に、混合溶液M17を基油に配合し、表2−2に示す組成の試作油bを得た。試作油bは前記の通り有機溶媒を欠如するものであり、同表に示すように初期消泡性能が低く、また、貯蔵安定性を欠如することが判明した。
比較例3
フッ素化シリコーンFL−100−450csを炭化水素溶媒(ケロシン)のみに溶解させた。得られた混合溶液M18は含フッ素有機化合物を欠如したものであり、透明であったが、混合溶液18を基油に配合し、試作油cを調製したところ、試作油cは二層に分離した。
比較例4
フッ素化シリコーンを使用せずに含フッ素有機化合物HFE7200と炭化水素溶媒(ケロシン)のみの混合溶液M19を調製した。混合溶液19の外観観察によれば透明であった。表2−2に示すように混合溶液M19を基油に配合し、同表に示す組成の試作油dを調製した。
試作油dを前記性能評価試験に供したところ、初期消泡性能、貯蔵安定性共に消泡剤性能は得られなかった。
比較例5
表2−2に示すように、潤滑油基油とATF用添加剤パッケージにフッ素化シリコーンFL−100−450csのみを配合し、試作油eを調製した。前記消泡性能試験により評価した結果を同表に示した。性能評価の結果、フッ素化シリコーンを配合したにも拘らず、フッ素化シリコーンを含有しない試作油fと比較して同様に初期消泡性能および貯蔵安定性が劣るものであった。この事実からも消泡剤混合溶液の有効性がわかる。
比較例6
表2−2に示すように、基油とATF用添加剤パッケージのみの組成の試作油fを調製した。性能評価の結果を同表に示す。
比較例7
ATF用添加剤パッケージの代わりに金属清浄剤を表2−2に示す割合で基油に配合したこと以外比較例6と同一の操作により試作油gを調製した。
以上の実施例および比較例の結果から、潤滑油組成物を調製する際に、含フッ素有機化合物、フッ素化シリコーンならびに炭化水素系またはアルコール系有機溶媒を混合した透明の消泡剤混合溶液を用いることにより潤滑油組成物の初期消泡性能およびその貯蔵安定性において顕著な効果を奏することが判明した。
Claims (10)
- 潤滑油組成物の成分として用いられる消泡剤組成物であって、下記の成分(A),(B)および(C)からなることを特徴とする消泡剤組成物。
(A)下記の一般式(1)および(2)で表されるフッ素有機化合物からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素有機化合物,
X−(R1)m (1)
Y−(R2)n (2)
(一般式(1)および(2)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基であり、
(iii)R1は、前記芳香族炭化水素基または前記脂環式炭化水素基の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、二種以上存在する置換基については、互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)mは1〜6であり、
(v)R2は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、水素原子,フッ素原子,炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、二種以上存在する置換基については、互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(vi)nは2〜5である。)
(B)フッ素化シリコーン
および
(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒。
- 前記成分(A)の含フッ素有機化合物が、次の一般式(11)または一般式(22)で表される構造を有する化合物である請求項1に記載の消泡剤組成物。
R11−X−R12 (11)
R21−Y−R22 (22)
(一般式(11)および(22)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、OまたはSのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基であり、
(iii)R11およびR12は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の二個の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、該置換基が互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、
(iv)R21およびR22は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、該置換基は互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基である。)
- 前記消泡剤組成物の成分(A),成分(B)および成分(C)の混合割合が前記消泡剤組成物の全重量基準で成分(A)2〜98重量%,成分(B)0.01〜10重量%および成分(C)2〜98重量%である請求項1ないし2のいずれか1項に記載の消泡剤組成物。
- 前記成分(A),成分(B)および成分(C)からなる成分にさらに添加される成分が成分(D)フッ素系界面活性剤である請求項1に記載の消泡剤組成物。
- 潤滑油基油と、該潤滑油基油に配合された請求項1ないし4のいずれか1項に記載の消泡剤組成物とからなることを特徴とする潤滑油組成物。
- 前記消泡剤組成物の配合量が、前記潤滑油組成物の全量を基準として
0.05〜10重量%である請求項5に記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油基油の100℃における動粘度が2〜10mm2/Sである請求項5に記載の潤滑油組成物。
- 前記潤滑油組成物の用途が自動車の自動変速機油、無段変速機油、その他の駆動系流体である請求項5ないし7のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
- (A)下記の一般式(1)および(2);
X−(R1)m (1)
Y−(R2)n (2)
(一般式(1)および(2)において、
(i)Xは芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基であり、
(ii)Yは、O,S,N,PまたはSiのヘテロ原子を少なくとも一種含有する基であり、
(iii)R1は、前記芳香族炭化水素基または脂環式炭化水素基の水素原子と置換されるフッ素原子、炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であって、二種以上存在する置換基については互いに同一でもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基がフッ素原子または炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、mは1〜6であり、
(iv)R2は、前記ヘテロ原子を含有する基に結合する置換基であって、水素原子,フッ素原子,炭素数1〜10の炭化水素基および炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基からなる群より選択される置換基であり、二種以上存在する置換基については互いに同一であってもまたは異なるものであってもよいが、少なくとも一種の置換基が炭素数1〜10のフッ素含有炭化水素基であり、nは2〜5である。)
で表される含フッ素有機化合物からなる群より選択される少なくとも一種の含フッ素有機化合物と、(B)フッ素化シリコーンと、(C)炭化水素系またはアルコール系有機溶媒とを混合することにより消泡剤組成物を調製する工程
および
前記工程において調製された前記消泡剤組成物を潤滑油基油に配合する工程
からなることを特徴とする潤滑油組成物の製造方法。
- 前記成分(A),成分(B)および成分(C)からなる成分にさらに添加される成分が成分(D)フッ素系界面活性剤である請求項9に記載の潤滑油組成物の製造方法。
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