JP2010129831A - 有機光電変換素子、及びその製造方法 - Google Patents

有機光電変換素子、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、高い光電変換効率や柔軟性を有する有機光電変換素子、及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】透明基材上に、少なくとも導電性繊維と導電性金属酸化物を含み構成される透明導電層を有する第一電極、p型半導体材料とn型半導体材料を含み構成される光電変換層部、第二電極をそれぞれ有する有機光電変換素子の製造方法において、透明基材上に少なくとも一種の導電性繊維を含む溶液、及び少なくとも一種の電磁波吸収能を有する導電性金属酸化物を含む溶液を塗設する第一電極組成物の塗設工程と、第一電極上に光電変換層部を塗設する工程と、光電変換層部が塗設された部材に対して電磁波を照射する工程を少なくとも有するプロセスにより作成されることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、発電効率や柔軟性に優れた有機光電変換素子及びその製造方法に関するものである。
グレッツェルらは、酸化チタン等の透明電極上に光電変換機能を有する有機色素の膜を形成し、電極間を電解質で満たすことにより、アモルファスシリコン光電変換素子に近い性能を有する色素増感型光電変換素子を報告している(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、この色素増感型光電変換素子は対電極との電気的接合を液体レドックス電解質によって行う湿式太陽電池であるため、長期に亘って使用すると電解液の枯渇や漏洩により光電変換機能が著しく低下してしまい、光電変換素子として機能しなくなってしまうことが懸念される。
そこで、電解液を用いず、コスト上有利な溶液塗布法で形成可能な光電変換素子として、透明電極と対電極との間に電子供与体層(p型半導体層)と電子受容体層(n型半導体層)とを挟んだヘテロ接合型(積層型)光電変換素子(例えば特許文献1)、あるいは、透明電極と対電極との間にp型半導体高分子とn型半導体材料を一様に混合したバルクヘテロ層を備えるバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子が提案されている。
有機光電変換素子の動作原理について説明すると、まず、色素・導電性高分子が光吸収によって励起子を生成し、発生した励起子はp型半導体とn型半導体の接触界面に移動し、そこで電荷分離が起こる。そして、電荷分離により生じた電子はn型半導体層を、正孔はp型半導体層を通り、一方の電極へと運ばれる。この結果、光電流が観測される。
有機光電変換素子からなる有機薄膜太陽電池は塗布法でも形成できることから大量生産に適した太陽電池として注目され、多くの研究機関で盛んに研究がなされている。有機薄膜太陽電池は電子ドナー材料と電子アクセプタ材料を混合した、所謂、バルクヘテロジャンクション構造によって、課題だった電荷分離効率を向上させている(例えば、特許文献2)。近年では光電変換効率は5〜6%台まで向上してきており、実用化に向けた研究がより活発化してきた分野といえる。しかしながら、今後の実用化に向けた有機光電変換素子においては、より高い効率で発電する有機光電変換素子の開発が望まれている。
バルクヘテロジャンクション構造においては、p型半導体とn型半導体がミクロ的に海島構造を取ったミクロ相分離構造を有していると考えられている。例えば、p型半導体として導電性高分子であるP3HT、n型半導体としてフラーレン誘導体であるPCBMのブレンド溶液を透明性基板上に塗設した後、140℃〜200℃程度の温度で10分〜60分程度の加熱によるアニールを行うと、ミクロ相分離と同時に導電性高分子P3HTの結晶化が促進される。その結果、P3HTとPCBMの接触界面が増大し、それにより光電荷分離の促進、キャリア(電子、正孔)の輸送経路となる伝導パスが形成され、再結合がより抑制される状態となり、光電変換効率が向上すると考えられている。
発電層に用いられる有機半導体の加熱処理に関しては、ホットプレートやオーブンを用いて、加熱処理時の温度に関する提案や加熱処理時に溶媒蒸気に暴露する提案など、これまでに多くの提案がなされている(例えば特許文献3)。また、近年ではITOガラス基板上に発電層を塗布して、マイクロ波照射によるアニール処理を行うことで、加熱によるアニール処理よりもバルクヘテロジャンクション層中の導電性高分子の結晶化が促進されることが報告されている(例えば非特許文献2)。しかしながら、いずれも変換効率や生産性、及びフレキシブルタイプにした場合の曲げ耐性といった観点からは十分満足できるものではなかった。
一方、生産性に優れた透明電極として、π共役系高分子に代表される導電性高分子材料を適当な溶媒に溶解又は分散した塗液を用いて、塗布や印刷によって透明電極を形成する方法も提案されている(例えば特許文献4参照)。しかし、真空成膜法によるITO等の金属酸化物透明電極に較べると、導電性が低くかつ透明性にも劣るという課題を有していた。
更に、カーボンナノチューブ(CNT)や金属ナノワイヤのような導電性繊維を用いる技術も開示されており、導電性繊維の一部を透明樹脂膜で基板に固定し、かつ導電性繊維の一部を透明樹脂膜表面に突起させて電極を形成することが提案されている(例えば特許文献5参照)。しかし、このような構成の電極は、表面に導電性繊維が突起した部分にしか導電性がないため、面電極としての機能を有しておらず、加えて、表面に導電性繊維が突起しているため、電極表面の平滑性が求められる有機光電変換素子の用途には適用できないという課題を有していた。
特許第4067115号公報 米国特許第5,331,183号明細書 米国特許第7,306,968号明細書 特開平6−273964号公報 特表2006−519712号公報 Journal of the America Chemical Society 115(1993)6382 Adv.Mater,2007,19,3520−3523
本発明の目的は、高い光電変換効率やフレキシブル化した場合の適性を有する有機光電変換素子、及びその製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.透明基材上に、少なくとも導電性繊維と導電性金属酸化物を含み構成される透明導電層を有する第一電極、p型半導体材料とn型半導体材料を含み構成される光電変換層部、第二電極をそれぞれ有する有機光電変換素子の製造方法において、透明基材上に少なくとも一種の導電性繊維を含む溶液、及び少なくとも一種の電磁波吸収能を有する導電性金属酸化物を含む溶液を塗設する第一電極組成物の塗設工程と、第一電極上に光電変換層部を塗設する工程と、光電変換層部が塗設された部材に対して電磁波を照射する工程を少なくとも有するプロセスにより作成されることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
2.前記電磁波がマイクロ波であることを特徴とする前記1記載の有機光電変換素子の製造方法。
3.導電性繊維が、金属ナノワイヤ及びカーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記1又は2記載の有機光電変換素子の製造方法。
4.前記導電性金属酸化物が酸化錫及び/又は酸化錫ゾルであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載の有機光電変換素子の製造方法。
5.前記1〜4のいずれか1項記載の有機光電変換素子の製造方法により作成されたことを特徴とする有機光電変換素子。
本発明により、高い光電変換効率を有する有機光電変換素子を提供するばかりでなく、フレキシブル基板を用いた場合、柔軟性に優れた有機光電変換素子を提供することができる。またその製造方法を提供するものである。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、有機光電変換素子の効率向上、及びフレキシブルタイプにした場合の柔軟性付与の課題に関して鋭意検討を行った結果、透明基材上に、少なくとも導電性繊維と導電性金属酸化物を含み構成される透明導電層を有する第一電極、p型半導体材料とn型半導体材料を含み構成される光電変換層部、第二電極をそれぞれ有する有機光電変換素子の製造方法において、透明基材上に少なくとも一種の導電性繊維を含む溶液、および少なくとも一種の電磁波吸収能を有する導電性金属酸化物を含む溶液を塗設する第一電極組成物の塗設工程と、第一電極上に光電変換層部を塗設する工程と、光電変換層部が塗設された部材に対して電磁波を照射する工程により有機光電変換素子を作成することで、高い光電変換効率をもつ有機光電変換素子や、柔軟性を有する有機光電変換素子が実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、これらについて詳細に説明する。
〔透明基材〕
本発明の透明電極に用いられる透明基材としては、高い光透過性を有していればそれ以外に特に制限はない。例えば、基材としての硬度に優れ、またその表面への導電層の形成のし易さ等の点で、ガラス基板、樹脂基板、樹脂フィルムなどが好適に挙げられるが、軽量性と柔軟性の観点から透明樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明において透明基材として好ましく用いることができる透明樹脂フィルムには特に制限はなく、その材料、形状、構造、厚み等について公知のものの中から適宜選択することができる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン(PE)樹脂フィルム、ポリプロピレン(PP)樹脂フィルム、ポリスチレン樹脂フィルム、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂フィルム、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂フィルム、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂フィルム、ポリサルホン(PSF)樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂フィルム、ポリカーボネート(PC)樹脂フィルム、ポリアミド樹脂フィルム、ポリイミド樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂フィルム等を挙げることができるが、可視域の波長(380〜780nm)における透過率が80%以上である樹脂フィルムであれば、本発明に係る透明樹脂フィルムに好ましく適用することができる。中でも透明性、耐熱性、取り扱いやすさ、強度及びコストの点から、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリエーテルサルホンフィルム、ポリカーボネートフィルムであることが好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムであることがより好ましい。
本発明に用いられる透明基材には、塗布液の濡れ性や接着性を確保するために、表面処理を施すことや易接着層を設けることができる。表面処理や易接着層については従来公知の技術を使用できる。例えば、表面処理としては、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理等の表面活性化処理を挙げることができる。また、易接着層としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ビニル系共重合体、ブタジエン系共重合体、アクリル系共重合体、ビニリデン系共重合体、エポキシ系共重合体等を挙げることができる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。また、透明基材にはバリアコート層が予め形成されていてもよいし、透光性の第一電極を設けるのとは反対側にはハードコート層が予め形成されていてもよい。
〔第一電極〕
本発明の有機光電変換素子において、透明導電層を有する第一電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、好ましくは、透明電極を陽極として用いることである。
本発明の透明導電層を有する第一電極の構造模式図を図1に示す。本発明の第一電極4は、透明基材5上に少なくとも金属ナノワイヤ1を含んでおり、また、好ましい構成として透明基材に近い側に全体を保持結着させている第一透明樹脂3を有し、透明基材から遠い側に導電性金属酸化物12を含む、第二透明樹脂成分含有部あるいは透明無機成分含有部2を有している。
図1の例では、金属ナノワイヤ1によって形成された三次元的なメッシュ構造(導電ネットワーク構造)の電極表面側の隙間に、導電性金属酸化物6を含む透明樹脂成分含有部2が存在する。金属ナノワイヤ1は透明樹脂成分含有部2と共に電極の表面を構成すると同時に、透明無機成分含有部2の補助電極として機能することができる。また、金属ナノワイヤ1の三次元的なメッシュ構造の透明基材5側の隙間から透明基材5までの間には第一透明樹脂3が存在し、金属ナノワイヤ1含有部を透明基材5に固定化している。
本発明の第一電極4においては、全光線透過率が60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが特に好ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。また、本発明の第一電極部の電気抵抗値としては、表面抵抗率として50Ω/□以下であることが好ましく、10Ω/□以下であることがより好ましく、3Ω/□以下であることが特に好ましい。50Ω/□を越えると受光面積の広い有機光電変換素子では光電変換効率が劣る場合がある。前記表面抵抗率は、例えば、JIS K 7194:1994(導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法)などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
本発明の透明電極の厚みには特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一般的に10μm以下であることが好ましく、厚みが薄くなるほど透明性や柔軟性が向上するためより好ましい。
〔金属ナノワイヤ〕
本発明の導電性繊維としては、金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブ等を用いることができるが、金属ナノワイヤが好ましい。
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体をいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとはnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
本発明に係る金属ナノワイヤとしては、一つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、また、適度な光散乱性を発現するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、更には3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の一種又は複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも一種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも一種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが二種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
本発明においては、金属ナノワイヤが互いに接触し合うことにより三次元的な導電ネットワークを形成し、高い導電性を発現するとともに、金属ナノワイヤが存在しない導電ネットワークの窓部を光が透過することが可能となり、更に、金属ナノワイヤの散乱効果によって、有機発電層部からの発電を効率的に行うことが可能となる。第一電極において金属ナノワイヤを有機発電層部に近い側に設置すれば、この散乱効果がより有効に利用できるのでより好ましい実施形態である。
(第一電極の金属ナノワイヤ以外の構成について)
本発明においては、第一電極に金属ナノワイヤを含有させることで、金属ナノワイヤの光を散乱させる効果に加えて、金属ナノワイヤが高い導電性を有しているので、導電性を劣化させることなく他の比較的低屈折率の樹脂等を併用することが可能となり、これによって第一電極の屈折率を光電変換層部(発電層部)よりも低く抑えることが可能となって、基材、第一電極、発電層部の各界面の反射を抑制し、発電層部に有効に光を到達させることができる。この効果を有効に発現させるためには、第一電極の平均の屈折率が光電変換層(発電層)部の平均の屈折率よりも低いことが好ましい。
本発明の第一電極は金属ナノワイヤを含有するが、金属ナノワイヤを保持するために何らかの透明樹脂や透明無機材料などと併用することが好ましく、前述の屈折率の関係を満足するように材料を適宜選択すればよい。こうした材は特に限定はないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、ブチラール系樹脂等を単独あるいは複数併用して用いることができる。また、UV硬化樹脂であっても良い。
更に、好ましい実施形態としては、第一電極を半分の膜厚で分割したとき、光電変換層(発電層)部に違い側の部分の平均ヘイズ値をEH1、透明基材に近い側の部分の平均ヘイズ値をEH2としたとき、EH1<EH2となっていることが好ましい。こうすることで、より効果的に入射光の散乱により光路長を伸ばすことでき、本発明の金属ナノワイヤの散乱効果が最大限に発揮できるようになる。
第一電極のヘイズ値は、金属ナノワイヤの含有量や直径、後述の導電性金属酸化物の含有量や粒子径などによって変化させることができる。
第一電極が金属ナノワイヤに加えて少なくとも第一透明樹脂成分(例えば前述の樹脂)と該透明樹脂成分よりも屈折率の高い第二透明樹脂成分とを含有し、該第二透明樹脂成分と金属ナノワイヤとが有機発電層部に近い側に、該第一透明樹脂成分が透明基材に近い側にそれぞれ多く含まれるように構成させたり、また、第一電極部が金属ナノワイヤに加えて少なくとも第一透明樹脂成分と該透明樹脂成分よりも屈折率の高い透明無機成分とを含有し、該透明無機成分と金属ナノワイヤが光電変換層(発電層)部に近い側に、該第一樹脂成分が透明基材に近い側にそれぞれ多く含まれるように構成させたりすることも本発明の好ましい実施形態である。
前述の第二透明樹脂成分としては導電性ポリマーが好ましく、また、本発明の効果を発現させるために、前述の透明無機成分としてマイクロ波を吸収する導電性金属酸化物を用いる。
マイクロ波吸収導電性金属酸化物を金属ナノワイヤまた第二透明樹脂成分と共に用いることにより、マイクロ波照射・吸収による発熱によって、第一電極において、金属ナノワイヤの導電ネットワークにおいてネッキングが促進され、第一電極の導電性、透明性についてこれを向上させ、完全な面電極として機能させ、電極性能を高めるものと推定している。
これにより発電性能が向上すると共に、曲げ耐性、また曲げた後の効率の保持度が向上するなど、フレキシブル適性が向上する。
また、同時に、この発熱により後述の光電変換層部についても、電磁波照射により第一電極において発生した熱が伝達することによって、光電変換層中の半導体のミクロ相分離また結晶化等を促進し、光電荷分離の促進、キャリア(電子、正孔)の伝導パスの形成により再結合を抑制し、光電変換効率を向上させる効果をもたらすと考えている。
導電性金属酸化物としては、ZrO、CeO、ZnO、TiO、SnO、Al、In、SiO、MgO、BaO、MoO、V等の導電性金属酸化物微粒子やこれらの複合酸化物微粒子や異種原子をドーピングした複合金属酸化物微粒子、あるいはこれらの金属酸化物ゾルをあげることができるが、本発明で必須となるマイクロ波吸収特性、及び導電性や透明性の点から、錫や亜鉛をドープした酸化インジウム(ITO、IZO)、アルミニウムやガリウムをドープした酸化亜鉛(AZO、GZO)、フッ素やアンチモンをドープした酸化錫(FTO、ATO)等の微粒子やゾルを好ましく用いることができる。これらは単独で用いても良いが、他の樹脂成分と併用しても良い。
また、これらの導電性金属酸化物の前駆体となる金属酸化物微粒子や複合金属酸化物微粒子、あるいは金属酸化物ゾル等を併用することもできる。
また、本発明の第一透明樹脂成分中に、微粒子を含有させると、第一電極部と透明基材の界面での光取り込みを向上させることが可能となり、本発明のより好ましい実施形態である。粒子径は0.05から5μmであることが好ましく、0.05から2μmであることがより好ましい。0.05μm未満では光を散乱、屈折させる効果が小さく、5μmよりも大きいと平滑性が問題となる。粒子の屈折率は1.1から2.0であることが好ましく、1.3から1.7であることがより好ましい。この範囲であれば光の後方散乱する成分が少なく、透過率の低下を押さえながら光取り込み効率を向上できる。こうした微粒子としては電磁波吸収能を有さない架橋アクリル系粒子、架橋スチレン系微粒子、シリカ系微粒子、メラミン/ホルムアルデヒド縮合物系微粒子、あるいは、こうした材料の複合微粒子などを併用することもできる。こうした微粒子は単独で用いても良いし、複数併用しても良い。
第二透明樹脂成分として導電性ポリマー、また導電性金属酸化物で金属ナノワイヤの存在しない窓部の微小領域にも通電することが可能となり完全な面電極として機能させることが可能となる。本発明では電磁波吸収能を有す導電性金属酸化物を第一電極に用いることは必須であるが、面電極としてより機能させるために導電性高分子を併用してもよい。
このように完全な面電極として働かせるためは、導電材料単独での面抵抗が1010Ω/□よりも小さいことが必要で、10Ω/□以下であることがより好ましい。
こうした、導電性ポリマーとしては、例えば、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる化合物等を挙げることができる。
(第一電極の形成方法)
第一電極の形成方法は特に制限はないが、総ての構成材料を塗布系で形成すれば、いわゆるロールtoロールプロセスが使用できるようになり、真空プロセスを用いる場合よりも簡単な設備で高速で連続的な生産が可能となりより好ましい。
また、平滑な離型性基材の離型面上に、金属ナノワイヤと透明導電性金属酸化物、および導電性ポリマーを含む層を形成した後、これらの層を透明基材上に転写することにより透明電極を形成する方法を用いることが好ましい。有機光電変換素子においては第一電極の平坦性が求められるが、この方法を用いることにより、簡便にかつ安定に高平滑化させることができる。更に、この方法により金属ナノワイヤや比較的高屈折率な導電性ポリマーあるいは透明導電性金属酸化物を含む層を第一電極の有機光電変換層(発電層)部に近い側に設置することが可能となる。
この転写プロセスを用いた透明電極の製造方法で用いられる離型性基板としては、樹脂基板や樹脂フィルムなどが好適に挙げられる。該樹脂には特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などの合成樹脂の単層あるいは複数層からなる基板やフィルムが好適に用いられる。更にガラス基板や金属基板を用いることもできる。また、離型性基板の表面(離型面)には、必要に応じてシリコーン樹脂やフッ素樹脂、ワックスなどの離型剤を塗布して表面処理を施してもよい。
離型性基板表面は、透明導電層を転写した後の表面の平滑性に影響を与えるため、高平滑であることが望ましく、具体的にはRy≦50nmであることが好ましく、Ry≦40nmであることがより好ましく、Ry≦30nmであることが更に好ましい。また、Ra≦5nmであることが好ましく、Ra≦3nmであることがより好ましく、Ra≦1nmであることが更に好ましい。
本発明において、透明導電層の表面の平滑性を表すRyとRaは、Ry=最大高さ(表面の山頂部と谷底部との高低差)とRa=算術平均粗さを意味し、JIS B601(1994)に規定される表面粗さに準ずる値である。本発明の透明電極は、透明導電層の表面の平滑性がRy≦50nmであることを特徴とする。また、併せて透明導電層の表面の平滑性はRa≦5nmであることが好ましい。本発明においてRyやRaの測定には、市販の原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いることができ、例えば、以下の方法で測定できる。
AFMとして、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800Nプローブステーション及びSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間力が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位で捉える。ピエゾスキャナーは、XY150μm、Z5μmが走査可能なものを使用する。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定する。測定領域80×80μmを、走査周波数0.1Hzで測定する。
離型性基材の離型面上に、金属ナノワイヤや導電性ポリマー及び透明導電性金属酸化物を含む層を形成する方法に特に制限はないが、生産性の改善、平滑性や均一性などの電極品質の向上、環境負荷軽減の観点から、塗布法や印刷法などの液相成膜法を用いることが好ましい。塗布法としては、ロールコート法、バーコート法、ディップコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、ダイコート法、ブレードコート法、バーコート法、グラビアコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ドクターコート法などを用いることができる。印刷法としては、凸版(活版)印刷法、孔版(スクリーン)印刷法、平版(オフセット)印刷法、凹版(グラビア)印刷法、スプレー印刷法、インクジェット印刷法などを用いることができる。なお、必要に応じて、密着性・塗工性を向上させるための予備処理として、離型性基材表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施すことができる。
透明基材上に転写する際の接着剤としては本発明の第一透明樹脂成分がこの機能を有すればよく、例えば、前述の透明樹脂を利用すれば良く、接着剤は離型性基板側に設けても良いし、透明基材側に設けても良い。接着剤としては、可視領域で透明で転写能を有する材料であれば特に限定されない。透明であれば、硬化型樹脂でも良いし、熱可塑性樹脂でもよい。硬化型樹脂として、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などが挙げられるが、これらの硬化型樹脂のうちでは、樹脂硬化のための設備が簡易で作業性に優れることから、紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。紫外線硬化型樹脂とは紫外線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂で、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましく用いられる。例えば、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、エポキシアクリレート系樹脂、ポリオールアクリレート系樹脂等が挙げられる。本発明では、バインダーとしてアクリル系、アクリルウレタン系の紫外線硬化型樹脂を主成分とすることが好ましい。
アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又はプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートにはメタクリレートを包含するものとしてアクリレートのみを表示する)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号に記載のものを用いることができる。例えば、ユニディック17−806(大日本インキ(株)製)100部とコロネートL(日本ポリウレタン(株)製)1部との混合物等が好ましく用いられる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させると容易に形成されるものを挙げることができ、特開昭59−151112号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させて生成するものを挙げることができ、特開平1−105738号に記載のものを用いることができる。
紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等を挙げることができる。
紫外線照射により架橋反応等を経て硬化するエチレン性不飽和二重結合を有する樹脂モノマーとしては、例えば、不飽和二重結合が一つのモノマーとして、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の一般的なモノマーを挙げることができる。また不飽和二重結合を二つ以上もつモノマーとして、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、1,4−シクロヘキシルジメチルアジアクリレート、前出のトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリルエステル等を挙げることができる。
これらの中で、バインダーの主成分として、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールエタン(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレートから選択されるアクリル系の活性線硬化樹脂が好ましい。
これら紫外線硬化型樹脂の光反応開始剤としては、具体的には、ベンゾイン及びその誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、α−アミロキシムエステル、チオキサントン等及びこれらの誘導体を挙げることができる。光増感剤と共に使用してもよい。上記光反応開始剤も光増感剤として使用できる。また、エポキシアクリレート系の光反応開始剤の使用の際、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等の増感剤を用いることができる。紫外線硬化型樹脂組成物に用いられる光反応開始剤また光増感剤は該組成物100質量部に対して0.1〜15質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。
透明導電層を形成した離型性基板と透明基材とを接着(貼合)し、紫外線等を照射して接着剤を硬化した後に離型性基板を剥離することにより、透明導電層を透明基材側に転写することができる。ここで、接着方法は特に限定されることなく、シートプレス、ロールプレス等により行うことができるが、ロールプレス機を用いて行うことが好ましい。ロールプレスは、ロールとロールの間に接着すべきフィルムを挟んで圧着し、ロールを回転させる方法である。ロールプレスは均一に圧力がかけられ、シートプレスよりも生産性がよく好適に用いることができる。
(パターニング)
本発明に係る第一電極はパターニングされていても良い。パターニングの方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。例えば、離型面上にパターニングされた金属ナノワイヤや導電性ポリマーまた透明導電性金属酸化物を含む層を形成した後、透明基材上に転写することによってパターニングされた透明電極を形成することができ、具体的には、以下のような方法を好ましく用いることができる。
i)離型性基板上に印刷法を用いて金属ナノワイヤや導電性ポリマーまた透明導電性金属酸化物を含む層をパターン様に直接形成する方法
ii)離型性基板上に金属ナノワイヤや導電性ポリマーまた透明導電性金属酸化物を含む層を一様に形成した後、一般的なフォトリソプロセスを用いてパターニングする方法
iii)例えば紫外線硬化型樹脂を含む金属ナノワイヤや導電性ポリマーまた透明導電性金属酸化物を含む層を一様に形成した後、フォトリソプロセス様にパターニングする方法
iv)離型性基板上に予めフォトレジストで形成したネガパターン上に本発明に係る金属ナノワイヤや導電性ポリマーあるいは透明導電性金属酸化物を含む層を一様に形成し、リフトオフ法を用いてパターニングする方法。
上記のいずれの方法においても、離型性基板上でパターニングした金属ナノワイヤや導電性ポリマーまた透明導電性金属酸化物を含む層を透明基材上に転写することにより、パターニングされた透明電極を形成することができる。
(第二電極)
第二電極は、導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。第二電極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。対電極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
第二電極の導電材として金属材料を用いれば第二電極側に来た光は反射されて第一電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。
また、第二電極は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤ、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤの分散物であれば、透明で導電性の高い対電極を塗布法により形成でき好ましい。
また、第二電極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の第二電極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性第二電極とすることができる。
(有機光電変換素子)
図2は、バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。図2において、バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子10は、透明基板11の一方面上に、透明電極12、バルクヘテロジャンクション層の光電変換層部14及び対電極13が順次積層されている。
透明基板11は、順次積層された透明電極12、光電変換層部14及び対電極13を保持する部材である。本実施形態では、透明基板11側から光電変換される光が入射するので、透明基板11は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して透明な部材である。透明基板11は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この透明基板11は、必須ではなく、例えば、光電変換層部14の両面に透明電極12及び対電極13を形成することでバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。
透明電極12には、本発明の第一電極を用いることが必要である。
対電極13は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、あるいは透明電極12の材料等を用いることができるが、これに限らない。
なお、図2に示すバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子10では、光電変換層部14が透明電極12と対電極13とでサンドイッチされているが、一対の櫛歯状電極を光電変換層部14の片面に配置するといった、バックコンタクト型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。
光電変換層部14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。ここで、電子供与体及び電子受容体は、“光を吸収した際に、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)を形成する電子供与体及び電子受容体”であり、電極のように単に電子を供与あるいは受容するものではなく、光反応によって、電子を供与あるいは受容するものである。
(p型半導体材料)
本発明に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族化合物や共役系化合物が挙げられる。
縮合多環芳香族化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
共役系化合物としては、例えば、ポリチオフェン及びそのオリゴマー、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、テトラチアフルバレン化合物、キノン化合物、テトラシアノキノジメタン等のシアノ化合物、フラーレン及びこれらの誘導体あるいは混合物を挙げることができる。
また、特にポリチオフェン及びそのオリゴマーのうち、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーを好適に用いることができる。
更に、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、等の有機分子錯体、C60、C70、C76、C78、C84等のフラーレン類、SWNT等のカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類等の色素等、さらにポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマーや特開2000−260999号公報に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
これらのπ共役系材料のうちでも、ペンタセン等の縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニン、金属ポルフィリンよりなる群から選ばれた少なくとも一種が好ましい。
ペンタセン類の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,Vol.127.No.14.4986等に記載の置換アセン類及びその誘導体等が挙げられる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。そのような化合物としては、J.Amer.Chem.Soc.,Vol.123、P9482、J.Amer.Chem.Soc.,Vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物、及び米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、特開2007−224019号公報等に記載のポルフィリンプレカーサ等のような、プレカーサタイプの化合物(前駆体)が挙げられる。これらの中でも、後者のプレカーサタイプの方が好ましく用いることができる。これは、プレカーサタイプの方が、変換後に不溶化するため、バルクヘテロジャンクション層の上に正孔輸送層・電子輸送層・正孔ブロック層・電子ブロック層等を溶液プロセスで形成する際に、バルクヘテロジャンクション層が溶解してしまうことがなくなるため、前記の層を構成する材料とバルクヘテロジャンクション層を形成する材料とが混合することがなくなり、一層の効率向上・寿命向上を達成することができるためである。
(n型半導体材料)
本発明に用いられるn型半導体材料の例としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物、またはこれらの構造を骨格として含む、高分子化合物が挙げられる。
(光電変換層部(発電層部)の形成方法)
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。この中で、特に塗布法が好ましい。
そして、光電変換層部14のバルクヘテロジャンクション層は、光電変換率を向上すべく、製造工程中において所定の温度でアニール処理され、微視的に一部結晶化されている。
図3において、透明基板11を介して透明電極12から入射された光は、光電変換層部14のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、透明電極12と対電極13の仕事関数が異なる場合では透明電極12と対電極13との電位差によって、電子は、電子受容体間を通り、また正孔は、電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。例えば、透明電極12の仕事関数が対電極13の仕事関数よりも大きい場合では、電子は、透明電極12へ、正孔は、対電極13へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば電子と正孔は、これとは逆方向に輸送される。また、透明電極12と対電極13との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
なお、光電変換層部14は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び前述のような半導体材料の化学反応を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。
また、上述のバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子10は、順次に透明基板11上に積層された透明電極12、バルクヘテロジャンクション層の光電変換層部14及び対電極13で構成されたが、これに限られず、例えば透明電極12や対電極13と光電変換層部14との間に正孔輸送層、電子輸送層、正孔ブロック層、電子ブロック層、あるいは平滑化層等の他の層を有してバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。これらの中でも、バルクヘテロジャンクション層と陽極(通常、透明電極12側)との中間には正孔輸送層又は電子ブロック層を、陰極(通常、対電極13側)との中間には電子輸送層又は正孔ブロック層を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層(電子ブロック層)としては、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、WO2006/019270号パンフレット等に記載のシアン化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
また電子輸送層(正孔ブロック層)としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
更に、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成としてもよい。図3は、タンデム型のバルクヘテロ層を備えるバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。タンデム型構成の場合、透明基板11上に、順次透明電極12、第一光電変換層部14を積層した後、電荷再結合層15を積層した後、第二光電変換層部16、次いで対電極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。第二光電変換層部16は、第一光電変換層部14の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。また、電荷再結合層15の材料としては、透明性と導電性を併せもつ化合物を用いた層であることが好ましく、ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等が好ましい。
また、作製した有機光電変換素子10が環境中の酸素、水分等で劣化しないために、公知の手法によって封止することが好ましい。例えば、アルミ又はガラスでできたキャップを接着剤によって接着することによって封止する手法、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等のガスバリア層が形成されたプラスチックフィルムと有機光電変換素子上10を接着剤で貼合する手法、ガスバリア性の高い有機高分子材料(ポリビニルアルコール等)をスピンコートする方法、ガスバリア性の高い無機薄膜(酸化ケイ素、酸化アルミニウム等)を直接堆積する方法、及びこれらを複合的に積層する方法等を挙げることができる。
(電磁波の照射)
本発明における電磁波については、マイクロ波を好ましく用いることができる。
本発明は、上述の第一電極上に少なくとも半導体材料及び/又は半導体材料前駆体を含む溶液を塗設する光電変換層部(発電層部)塗設工程と、光電変換層部が塗設された部材に対してマイクロ波を照射して、有機光電変換素子が形成されることが特徴である。本発明においては、少なくとも第一電極中に含まれる導電性金属酸化物がマイクロ波を吸収することが必要である。マイクロ波の照射は、本発明の第一電極上に光電変換層部が塗設された部材であればよく、光電変換層部を塗設し、光電変換層部の残留溶媒を除去した後に第二電極が設けられた後でもよい。
本発明に使用されるマイクロ波照射装置としては、0.3GHzの比較的低い周波数の装置から50GHzの高周波数の装置まで適用できるが、2.45〜28GHzであることがより好ましい。低周波数のマイクロ波を使用する場合には、均一な加熱を行うために放熱板やマイクロ波を透過しにくい低損失体を被マイクロ波照射体近傍に設置するなどの公知の方法を併用することができる。
マイクロ波を照射する雰囲気としては特に指定はなく、N、Arなどの不活性ガス雰囲気下、大気中、Ar+Hなどの還元ガスなど特に指定はないが、不活性ガス中で行われることがより好ましい。
また、マイクロ波照射において、熱伝導により少なからず基材にも熱は伝わることがあり、特に樹脂基板の様な耐熱性の低い基材の場合は、マイクロ波の出力、照射時間、更には照射回数を制御することで基板温度が50℃〜200℃、導電性金属酸化物を含有する第一電極の表面温度が150〜200℃になる様に処理することが好ましい。薄膜表面の温度、基板の温度等は熱電対を用いた表面温度計により測定できる。
この発熱によって、有機光電変換素子において、第一電極の金属ナノワイヤ間のネッキングを促進し電極性能を高めるほか、発電層部(光電変換層部)のアニール処理を行うことができる。アニール処理によって半導体材料の状態(例えば結晶状態)も変わり光電変換効率が向上するものと考えられる。
一般的に、マイクロ波とは0.3〜50GHzの周波数を持つ電磁波のことを指し、携帯通信で用いられる0.8MHz及び1.5GHz帯、2GHz帯、アマチュア無線、航空機レーダー等で用いられる1.2GHz帯、電子レンジ、構内無線、VICS等で用いられる2.4GHz帯、船舶レーダー等に用いられる3GHz帯、その他ETCの通信に用いられる5.6GHzなどは全てマイクロ波の範疇に入る電磁波である。
セラミックスの分野では、この様な電磁波を焼結に利用すること事が既に公知となっている。磁性を含む材料に電磁波を照射すると、その物質の複素透磁率の損失部の大きさに応じて発熱することを利用し、短時間で均一に、かつ高温にすることができる。一方で、金属にマイクロ波を照射すると自由電子が高い周波数で運動を始めるためアーク放電が発生し、加熱できないことも良く知られている。
この様な背景をもとに、発明者らは、本発明の電磁波吸収能をもつ導電性金属酸化物また導電性金属酸化物前駆体を、短時間で、且つ、均一に、高温まで加熱する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《有機光電変換素子STC−1》
バリア層を有するPENフィルム(全光透過率90%)上にITOを平均膜厚150nmで蒸着し、第一電極TC−1を作製した。
第一電極TC−1上に、導電性高分子であるPEDOT/PSS(poly(3,4−ethylenedioxythiophene)−poly(styrenesulfonate))(Baytron P4083、H.C.Starck製)を30nmの膜厚でスピンコートした後、140℃で大気中10分間加熱乾燥した。
これ以降は、基板をグローブボックス中に持ち込み、窒素雰囲気下で作業した。まず、窒素雰囲気下で上記基板を180℃で3分間加熱処理した。
次に、クロロベンゼンにP3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン)(リーケメタル製;Mn=45000、レジオレギュラータイプ、高分子p型半導体材料)1.0質量%、PCBM(6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)(Mw=911、低分子n型半導体材料)を1.0質量%溶解した液を調製し、0.45μmのフィルターで濾過しながら500rpmで60秒、次いで2200rpmで1秒間のスピンコートを行い、室温で30分放置後、160℃で30分加熱した。
次に、上記一連の有機発電層部を成膜した第一電極を真空蒸着装置内に設置した。10−3Pa以下にまでに真空蒸着機内を減圧した後、Alを80nm蒸着し、2mm角のサイズの有機光電変換素子STC−1を得た。
得られた有機光電変換素子STC−1は、アノード電極及びカソード電極の外部取り出し端子が形成できるように、端部を除きカソード電極の周囲に接着剤を塗り、ポリエチレンテレフタレートを基材とした可撓性封止部材を貼合した後、熱処理で接着剤を硬化させた。
《光電変換素子STC−2》
光電変換素子−1の作成において、クロロベンゼンにP3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン)(リーケメタル製;Mn=45000、レジオレギュラータイプ、高分子p型半導体材料)1.0質量%、PCBM(6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)(Mw=911、低分子n型半導体材料)を1.0質量%溶解した液をスピンコートしてから室温で30分放置後、160℃で30分加熱処理の代わりに、大気圧雰囲気下、熱電対による表面温度計を用いて、素子を、500W出力で160℃まで昇温後、マイクロ波出力をPID制御しながらマイクロ波照射を行って、表面温度を160℃に保ち30分加熱した。
《有機光電変換素子STC−3》
(金属ナノワイヤの調整)
本実施例では、金属ナノワイヤとして銀ナノワイヤを用いた。銀ナノワイヤは、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、平均直径75nm、平均長さ35μmの銀ナノワイヤを作製し、限外濾過膜を用いて銀ナノワイヤを濾別かつ水洗処理した後、エタノール中に再分散して銀ナノワイヤ(AgNW)分散液(銀ナノワイヤ含有量5質量%)を調製した。
(第一電極TC−3の作製)
離型性基材として、二軸延伸PETフィルムを用いた。該PETフィルム表面にコロナ放電処理を施した後、銀ナノワイヤ分散液を銀ナノワイヤの目付け量が80mg/mとなるようにアプリケータを用いて塗布し乾燥して、銀ナノワイヤネットワーク構造を形成した。
更に、第二透明樹脂成分として下記透明性無機成分含有液A−1を用いて、その乾燥膜厚が200nmとなるよう上記銀ナノワイヤネットワーク構造にオーバーコートし乾燥した後、80℃で3時間熱処理した。これを転写用AgNW含有フィルムとする。
次いで、バリア層と易接着層を有するPENフィルム(全光透過率90%)上に第一の透明樹脂成分として、下記UV硬化透明樹脂液1を5μmとなるように塗布した後、上記の転写用AgNW含有フィルムと貼合した。続いて、紫外線を照射して第一の透明樹脂成分を十分に硬化させた後、離型性基板であるPETフィルムを剥離することによって、転写用AgNW含有フィルム上に形成した層をPENフィルムに転写し、本発明に係る第一電極TC−3を作製した。
〈透明性無機成分含有液A−1〉
SbドープSnO微粒子((株)石原産業製SN100D、固形分30%)
160g
化合物(UL−1) 0.2g
変性ポリエステルA(固形分18%) 30g
水で1000mlに仕上げる。
Figure 2010129831
〈変性水性ポリエステルAの合成〉
重縮合用反応容器に、テレフタル酸ジメチル35.4質量部、イソフタル酸ジメチル33.63質量部、5−スルホ−イソフタル酸ジメチルナトリウム塩17.92質量部、エチレングリコール62質量部、酢酸カルシウム一水塩0.065質量部、酢酸マンガン四水塩0.022質量部を投入し、窒素気流下において、170〜220℃でメタノールを留去しながらエステル交換反応を行った後、リン酸トリメチル0.04質量部、重縮合触媒とし三酸化アンチモン0.04質量部及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸6.8質量部を加え、220〜235℃の反応温度で、ほぼ理論量の水を留去しエステル化を行った。その後、さらに反応系内を約1時間かけて減圧、昇温し、最終的に280℃、133Pa以下で約1時間重縮合を行い、変性水性ポリエステルAの前駆体を得た。前駆体の固有粘度は0.33であった。
攪拌翼、環流冷却管、温度計を付した2Lの三つ口フラスコに、純水850mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、150gの上記前駆体を徐々に添加した。室温でこのまま30分間攪拌した後、1.5時間かけて内温が98℃になるように加熱し、この温度で3時間加熱溶解した。加熱終了後、1時間かけて室温まで冷却し、一夜放置して、固形分濃度が15質量%の溶液を調製した。
攪拌翼、環流冷却管、温度計、滴下ロートを付した3Lの四つ口フラスコに、上記前駆体溶液1900mlを入れ、攪拌翼を回転させながら、内温度を80℃まで加熱した。この中に、過硫酸アンモニウムの24%水溶液を6.52ml加え、単量体混合液(メタクリル酸グリシジル28.5g、アクリル酸エチル21.4g、メタクリル酸メチル21.4g)を30分間かけて滴下し、更に3時間反応を続けた。その後、30℃以下まで冷却し、濾過して、固形分濃度が18質量%の変性水性ポリエステルAの溶液を調製した(ポリエステル成分/アクリル成分=80/20)。
〈UV硬化透明樹脂液1〉
SP−1(旭電化製) 3質量部
EP−1 20質量部
OXT221(東亞合成製) 40.4質量部
OXT212(東亞合成製) 25質量部
OXT101(東亞合成製) 3質量部
プロピレンカーボネート 3質量部
トリイソプロパノールアミン 0.1質量部
X−22−4272(信越シリコーン製) 0.5質量部
Figure 2010129831
(有機光電変換素子STC−3の作製)
有機光電変換素子STC−2作製において、第一電極をTC−1からTC−3に変更した以外は同様にして有機光電変換素子STC−3を作製した。
《光電変換素子STC−4》
(第一電極TC−4の作製)
TC−3において、透明性無機成分含有液A−1の代わりに下記透明性無機成分含有液A−2を用いて、その乾燥膜厚を200nmとした以外は同様にして透光性電極TC−4を作製した。
〈透明性無機成分含有液A−2〉
SnOゾル((株)多木化学社製セラメースS−8、固形分8%)
160g
化合物(UL−1) 0.2g
変性ポリエステルA(固形分18%) 30g
水で1000mlに仕上げる。
(有機光電変換素子STC−4の作製)
有機光電変換素子STC−3作製において、第一電極をTC−3からTC−4に変更した以外は同様にして有機光電変換素子STC−4を作製した。
《光電変換素子STC−5》
(第一電極TC−5の作製)
TC−3の作成において、導電性繊維をSWCNT(Unidym社製、HiPcoR単層カーボンナノチューブ)の分散液に変更し、SWCNTの目付け量がそれぞれ5mg/mになるように塗布した以外は同様にして、TC−5を作成した。
(有機光電変換素子STC−5の作製)
有機光電変換素子STC−3作製において、第一電極をTC−3からTC−5に変更した以外は同様にして有機光電変換素子STC−5を作製した。
〔有機光電変換素子の評価〕
《有機光電変換素子の評価:光電変換効率》
ガラス製の封止キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行った有機光電変換素子に、ソーラーシュミレーター(AM1.5G)の光を100mW/cmの強度で照射して、電圧−電流特性を測定し、開放電圧(Voc)(V)、短絡電流密度(Jsc)(mA/cm)、曲線因子(FF)の解析から、光電変換効率(η)(%)を求めた。
《曲げ耐性(曲げ後のエネルギー変換効率保持度)》
得られた有機光電変換素子を1inchφ(1inchは2.54cmである)の棒に表裏50回ずつ巻きつけた前後のエネルギー変換効率の変化を、巻きつける前のエネルギー変換効率に対し、巻きつけた後のエネルギー変換効率を保持率として計算し、表1に示した。
保持率=巻き付け後のエネルギー変換効率/巻き付け後のエネルギー変換効率×100(%)
評価の結果を表1に示す。
Figure 2010129831
表1から、電磁波吸収能を有する導電性金属酸化物及び/又は導電性金属酸化物(前駆体)を含む第一電極を用いた有機光電変換素子にマイクロ波を照射した本発明は高い光電変換効率を有し、更に曲げ耐性が向上していることが分かった。特に導電性繊維であるAgナノワイヤと電磁波吸収能を有する導電性金属酸化物を併用した第一電極で、より好ましい効果が得られることがわかった。
実施例2
《p型半導体材料》
p型半導体材料として、下記テトラベンゾポルフィリン誘導体を用いた。
Figure 2010129831
《有機光電変換素子STC−21〜25》
有機光電変換素子STC−1〜5の作製において、P3HT1.0質量%の代わりに、上記BP−1の1.2質量%を用いた以外は同様にして、有機光電変換素子STC−21〜25を作製した。
実施例1と同様に評価したところ、本発明の効果が得られることを確認した。
本発明の透明導電層を有する第一電極の構造模式図である。 バルクヘテロ接合型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。断面図 タンデム型のバルクヘテロ層を備えるバルクヘテロ接合型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。
符号の説明
1 金属ナノワイヤ
2 第二透明樹脂成分含有部あるいは透明無機成分含有部
3 第一透明樹脂
4 第一電極
5 透明基材
6 導電性金属酸化物
10 有機光電変換素子
11 透明基板
12 透明電極
13 対電極
14、16 光電変換層部
15 電荷再結合層

Claims (5)

  1. 透明基材上に、少なくとも導電性繊維と導電性金属酸化物を含み構成される透明導電層を有する第一電極、p型半導体材料とn型半導体材料を含み構成される光電変換層部、第二電極をそれぞれ有する有機光電変換素子の製造方法において、透明基材上に少なくとも一種の導電性繊維を含む溶液、及び少なくとも一種の電磁波吸収能を有する導電性金属酸化物を含む溶液を塗設する第一電極組成物の塗設工程と、第一電極上に光電変換層部を塗設する工程と、光電変換層部が塗設された部材に対して電磁波を照射する工程を少なくとも有するプロセスにより作成されることを特徴とする有機光電変換素子の製造方法。
  2. 前記電磁波がマイクロ波であることを特徴とする請求項1記載の有機光電変換素子の製造方法。
  3. 導電性繊維が、金属ナノワイヤ及びカーボンナノチューブの群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2記載の有機光電変換素子の製造方法。
  4. 前記導電性金属酸化物が酸化錫及び/又は酸化錫ゾルであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の有機光電変換素子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項記載の有機光電変換素子の製造方法により作成されたことを特徴とする有機光電変換素子。
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