JP2010116043A - 車両用ドアサッシュ - Google Patents

Abstract

【課題】鉄系材料の一部材（一板材）のロール成形品からなり、クリップを逃がす閉空間を形成する車両用ドアサッシュにおいて、断面における板材長を短縮した簡単な断面形状を有し、極限迄の軽量化を追求した車両用ドアサッシュを得る。
【解決手段】車内側から車外側に延び、ドアサッシュの延長方向に間隔をおいて複数のクリップ装着穴が穿設されたウェザーストリップ保持壁；及びウェザーストリップ保持壁の車内側の端部から窓ガラス側に折り曲げられて後車外側に折り返され、さらに該ウェザーストリップ保持壁にクリップ装着穴より車外側において接触して閉じられたクリップ収納空間を作る袋部形成壁；を備え、この袋部形成壁は、ウェザーストリップ保持壁に接触する当接壁の車内側に、該ウェザーストリップ保持壁に非接触で、断面コ字状をなすガラスランの底壁を支持するガラスラン保持底壁を備えている車両用ドアサッシュ。
【選択図】図１

Description

本発明は、車両用ドアサッシュに関し、特にウェザーストリップをクリップで固定する鉄系材料のロール成形品からなる車両用ドアサッシュに関する。

車両用ドアサッシュには、その輪郭に沿って、車両ドアを閉じたときに車両ボディのドア開口との間で圧縮されるウェザーストリップが固定される。このウェザーストリップの固定構造として、該ウェザーストリップの延長方向に適当な間隔をおいて配置したクリップを、ドアサッシュに挿入固定する構造が知られている。クリップ固定タイプは、サッシュ自体にウェザーストリップを保持するための溝形状を形成する必要がないので、サッシュの断面形状を単純化できるという利点がある。

このようなクリップ固定タイプの車両用ドアサッシュは、ウェザーストリップ側から挿入するクリップを逃がし（収納し）、窓ガラスとの干渉を防ぐ閉空間を形成するため、車外側の意匠部を有するロール成形部品と、車内側の袋状部を有するロール成形部品を溶接またはヘミング加工によって結合していた。
特開２００４-１４２６９５号公報 特開２００５-５３２８９号公報 特開２００６-８２７４９号公報

しかしながら、このように車内側と車外側のロール成形部品を別々に形成し、これらを後に結合する従来構造は、ロール成形設備あるいはプレス型設備に多くを要し、コストが高い。また、重量の点から見ても二つのロール成形品を結合する従来品は不利であり、軽量化を図ることが困難である。

本発明は、以上の問題意識に基づき、鉄系材料の一部材（一板材）のロール成形品からなり、クリップを逃がす閉空間を形成する車両用ドアサッシュであって、断面における板材長を短縮した簡単な断面形状を有し、極限迄の軽量化を追求した車両用ドアサッシュを得ることを目的とする。

本発明は、延長方向に沿って配置したウェザーストリップを、クリップで固定する車両用ドアサッシュにおいて、一連の一枚の板材からなるロール成形品であって、車内側から車外側に延び、車両用ドアサッシュの延長方向に間隔をおいて複数のクリップ装着穴が穿設されたウェザーストリップ保持壁；及びウェザーストリップ保持壁の車内側の端部から窓ガラス側に折り曲げられて後車外側に折り返され、さらに該ウェザーストリップ保持壁に上記クリップ装着穴より車外側において接触して閉じられたクリップ収納空間を作る袋部形成壁；を備え、この袋部形成壁は、ウェザーストリップ保持壁に接触する当接壁の車内側に、該ウェザーストリップ保持壁に非接触で、断面コ字状をなす上記ガラスランの底壁を支持するガラスラン保持底壁備えていることを特徴としている。

車外側の意匠部は、ウェザーストリップ保持壁（及び袋部形成壁）の車外側の端部に、別部材としての意匠部材を装着することが可能である。しかし、さらに、ウェザーストリップ保持壁の車外側の端部から車両ボディ側に曲折された第一意匠壁；及び上記袋部形成壁の車外側の端部から窓ガラス側に曲折され、上記第一意匠壁と面一をなす第二意匠壁；によって、車外側の意匠部を一体に形成することも可能である。

第一意匠壁と第二意匠壁の端部は、車内側に折り返されて密着するヘム構造とするのが好ましい。

ウェザーストリップ保持壁と袋部形成壁とは、その接触部において溶接（レーザ溶接）固定するのが実際的である。

第一、第二の意匠壁の車外側には、両意匠壁に跨らせて別部材からなるガーニッシュを装着することができる。

本発明は、別の態様では、以上のいずれかの車両用ドアサッシュを有する車両ドアである。

さらに別の態様では、以上の車両ドアを有する車両である。

本発明は、延長方向に直交する断面において板材の一筆書き断面で構成されるロール成形品からなり、ウェザーストリップをクリップで固定する車両用ドアサッシュにおいて、一筆書き断面の板材長を最短とすることができ、製造コストを低減し、軽量化を図ることができる。

図２は、本発明による車両ドア構造を適用する乗用車の側面形状を示している。車両ボディＢのドア開口（ボディ開口）Ａを開閉する車両ドア１０は、ドア本体（インナパネルとアウタパネル）１１の上部に窓開口１２を形成するドアサッシュ（窓枠）２０を備えている。

ドアサッシュ２０は、窓ガラスＧの上縁を受け入れる側面視で曲折したアッパサッシュ２０Ａと、車両ボディＢのセンターピラー１６に沿い窓ガラスＧの上下方向縁部を受け入れる立柱サッシュ２０Ｂとを有している。立柱サッシュ２０Ｂの上端部とアッパサッシュ２０Ａの上端部とは周知手段で接続固定される。

本実施形態のドアサッシュ２０は、アッパサッシュ２０Ａと立柱サッシュ２０Ｂのいずれにも適用できる。図１は、一実施形態を示すもので、図５のI-I線に沿う断面（アッパサッシュ２０Ａ又は（及び）立柱サッシュ２０Ｂの延長方向と直交する断面）の形状を示している。以下の説明では、同図に図示したように、車外側IＮ、車内側ＯＵＴ（車幅方向）、車両ボディ側Ｂ及び窓ガラス側Ｇを方向の基準とする。

ドアサッシュ２０は、一枚の鉄系材料の板材を、ロール成形によって一筆書き断面に加工して形成されており、車内側IＮから車外側ＯＵＴに延びる（あるいは車外側から車内側に延びる）ウェザーストリップ保持壁２１を有する。以下、このウェザーストリップ保持壁２１を基準にしてその壁面構造を説明する。このウェザーストリップ保持壁２１は、車両ボディＢのドア開口Ａの壁面と略平行をなしており、ドアサッシュ２０の延長方向に間隔をおいて、複数のクリップ装着穴２２が形成されている。このウェザーストリップ保持壁２１の車外側の端部は、車両前後（上下）方向に曲折された第一意匠壁２３に連なっており、車内側の端部は、袋部形成壁２４に連なっている。

袋部形成壁２４は、ウェザーストリップ保持壁２１の車内側の端部を窓ガラス側Ｇに車両前後（上下）方向と平行な方向に曲折した平行壁２４ａと、この平行壁２４ａの端部を車外側にかつウェザーストリップ保持壁２１との間隔を車外側に向けて徐々に広げるように曲折した傾斜壁２４ｂと、この傾斜壁２４ｂの車外側の端部を車両ボディ側Ｂに車両前後（上下）方向と平行な方向に曲折した平行壁２４ｃと、この平行壁２４ｃに車内側に凸に形成した凹部２４ｄと、平行壁２４ｃ（凹部２４ｄの端部）からウェザーストリップ保持壁２４ｅとの非接触状態を保って車外側に延びるガラスラン保持底壁２４ｅと、このガラスラン保持底壁２４ｅの端部からウェザーストリップ保持壁２１に向けて曲折した接近壁２４ｆと、クリップ装着穴２２より車外側においてウェザーストリップ保持壁２１に当接する（ウェザーストリップ保持壁２１の最も車外側に当接する）当接壁２４ｇを有している。この袋部形成壁２４によって、延長方向に直交する断面において閉じられたクリップ収納空間２４ｈが形成される。

以上の袋部形成壁２４の平行壁２４ｃ、凹部２４ｄ、ガラスラン保持底壁２４ｅ及び第二意匠壁２５によって形成されるガラスラン保持溝部２６には、ガラスランＧＲが保持されている。ガラスランＧＲは、窓ガラスＧが閉位置に移動するとき、窓ガラスＧの縁部を受け入れる溝を有するもので、その形状、材料ともに各種が周知であるが、底壁ＧＲ１と一対の弾接リップＧＲ２を有する全体として断面コ字状の基本形状を有している。本実施形態は、ガラスランＧＲの底壁ＧＲ１を保持する（に当接する）ガラスラン保持底壁２４ｅが、ウェザーストリップ保持壁２１と非接触であるため、クリップ収納空間２４ｈの断面積を大きくすることができ、ドアサッシュ２０の剛性を高めることができる。

袋部形成壁２４（当接壁２４ｇ）の車外側の端部は、窓ガラス側に向けて車両前後（上下）方向に曲折された第二意匠部２５に連なっており、この第二意匠壁２５と第一意匠壁２３は面一をなしている。第一意匠壁２３と第二意匠壁２５の端部は、車内側に折り返されて密着したヘム構造である。第一意匠壁２３と第二意匠壁２５は、ドア外面の一部とすることも可能であるが、第一意匠壁２３と第二意匠壁２５の外面に跨らせて、別部材からなるガーニッシュ（意匠部材）２７を設けることが好ましい。

袋部形成壁２４の当接壁２４ｇとウェザーストリップ保持壁２１とは周知の溶接手段（例えばレーザ溶接）により溶接箇所Ｘで溶接されている。このように、本実施形態は、一連の板材からなるロール成形品の重ね合わせ部分が当接壁２４ｇとウェザーストリップ保持壁２１の一箇所だけであるため、断面形状が簡易であって材料長を最短にすることができ、またその溶接作業も容易である。

合成樹脂材料からなる一様断面のウェザーストリップＷＳは、ドアサッシュ２０のウェザーストリップ保持壁２１に沿って配置されており、車両ドア１０を閉じたときの車両ボディＢによって圧縮変形する弾性変形部ＷＳ１と、クリップ保持溝ＷＳ２と、第一意匠壁２３の背面に接触する弾性リップ部ＷＳ３とを有している。クリップ保持溝ＷＳ２に頭部を挿入したクリップＣは、クリップ装着穴２２に挿入され、該ウェザーストリップＷＳがドアサッシュ２０（ウェザーストリップ保持壁２１）に係止される。ウェザーストリップＷＳをクリップＣで固定するため、ウェザーストリップ保持壁２１は単純な平面壁である。クリップＣの先端部は、クリップ収納空間２４ｈ内に位置するため、窓ガラスＧその他と干渉することがない。図示したウェザーストリップＷＳの形状は一例である。

以上の実施形態では、ウェザーストリップ保持壁２１（及び袋部形成壁２４の当接壁２４ｈ）の車外側の端部に、車外側の意匠部を構成する第一意匠部２３と第二意匠部２５を一体に形成したが、第一意匠部２３と第二意匠部２５を廃止して、その代わりに別部材としての意匠部材（例えば、図１の第一意匠部２３、第二意匠部２５及びガーニッシュ２７を一体に（一部材から構成した）意匠部材）を、ウェザーストリップ保持壁２１（及び袋部形成壁２４の当接壁２４ｈ）の車外側の端部に装着することも可能である。あるいは、第一意匠部２３と第二意匠部２５のいずれか一方のみを廃止する態様も可能である。

本発明による車両用ドアサッシュの一実施形態を示す、図２のI-I線に沿う断面図である。 本発明による車両用ドアサッシュを適用する車両ドアの一例を示す側面図である。

符号の説明

Ｂ 車両ボディ
Ａ ドア開口（ボディ開口）
Ｇ 窓ガラス
１０ 車両ドア
１１ ドア本体
１２ 窓開口
１６ センターピラー
２０ ドアサッシュ
２０Ａ アッパサッシュ
２０Ｂ 立柱サッシュ
２１ ウェザーストリップ保持壁
２２ クリップ装着穴
２３ 第一意匠壁
２４ 袋部形成壁
２４ａ 平行壁
２４ｂ 傾斜壁
２４ｃ 平行壁
２４ｄ 凹部
２４ｅ ガラスラン保持底壁
２４ｆ 接近壁
２４ｇ 当接壁
２４ｈ クリップ収納空間
２５ 第二意匠壁
２６ ガラスラン保持溝部
２７ ガーニッシュ
ＧＲ ガラスラン
ＧＲ１ 底壁
ＧＲ２ 弾接リップ
ＷＳ ウェザーストリップ
ＷＳ１ 弾性変形部
ＷＳ２ クリップ保持溝
Ｃ クリップ
Ｗ 溶接部分

Claims (6)

1. 延長方向に沿ってウェザーストリップとガラスランを配置する車両用ドアサッシュにおいて、
   一連の一枚の板材からなるロール成形品からなり、
   車内側から車外側に延び、車両用ドアサッシュの延長方向に間隔をおいて複数のクリップ装着穴が穿設されたウェザーストリップ保持壁；及び
   上記ウェザーストリップ保持壁の車内側の端部から窓ガラス側に折り曲げられて後車外側に折り返され、さらに該ウェザーストリップ保持壁に上記クリップ装着穴より車外側において接触して閉じられたクリップ収納空間を形成する袋部形成壁；
   を備え、
   上記袋部形成壁は、上記ウェザーストリップ保持壁に接触する当接壁の車内側に、該ウェザーストリップ保持壁に非接触で、断面コ字状をなす上記ガラスランの底壁を支持するガラスラン保持底壁を備えていることを特徴とする車両用ドアサッシュ。
2. 請求項１記載の車両用ドアサッシュにおいて、さらに、上記ウェザーストリップ保持壁の車外側の端部から車両ボディ側に曲折された第一意匠壁；及び上記袋部形成壁の車外側の端部から窓ガラス側に曲折され、上記第一意匠壁と面一をなす第二意匠壁；を有する車両用ドアサッシュ。
3. 請求項２記載の車両用ドアサッシュにおいて、第一意匠壁と第二意匠壁の端部は、車内側に折り返されて密着するヘム構造である車両用ドアサッシュ。
4. 請求項１ないし３のいずれか１項記載の車両用ドアサッシュにおいて、上記ウェザーストリップ保持壁と袋部形成壁とは、溶接固定されている車両用ドアサッシュ。
5. 請求項１ないし４のいずれか１項記載の車両用ドアサッシュにおいて、上記第一、第二の意匠壁の車外側には、別部材からなるガーニッシュが装着されている車両用ドアサッシュ。
6. 請求項１ないし５のいずれか１項記載の車両用ドアサッシュを有する車両ドア。

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