JP2010106775A - 内燃機関の排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】NOx吸蔵還元触媒のNOx還元浄化処理と、パティキュレートフィルタのフィルタ再生処理とを同時期に効率的に行う。
【解決手段】機関排気通路内上流から順に、第1燃料添加弁16、NOx吸蔵還元触媒13、第2燃料添加弁17、パティキュレートフィルタを配置し、燃料消費量の積算値が予め定められた値となったときに、NOx還元浄化処理を行うべきときであると判定しNOx還元浄化処理を行うNOx還元浄化処理制御を行う。フィルタ再生処理中且つNOx還元浄化処理中のときには、第2燃料添加弁からの燃料添加を一時的に中断し、フィルタ再生処理中且つNOx還元浄化処理中でないときには、第2燃料添加弁近傍の排気通路内の温度が予め定められた温度よりも低くなると、排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ第1燃料添加弁より燃料を添加してこの添加された燃料の酸化反応熱により第2燃料添加弁近傍の排気通路内の温度を昇温させる。
【選択図】図1
【解決手段】機関排気通路内上流から順に、第1燃料添加弁16、NOx吸蔵還元触媒13、第2燃料添加弁17、パティキュレートフィルタを配置し、燃料消費量の積算値が予め定められた値となったときに、NOx還元浄化処理を行うべきときであると判定しNOx還元浄化処理を行うNOx還元浄化処理制御を行う。フィルタ再生処理中且つNOx還元浄化処理中のときには、第2燃料添加弁からの燃料添加を一時的に中断し、フィルタ再生処理中且つNOx還元浄化処理中でないときには、第2燃料添加弁近傍の排気通路内の温度が予め定められた温度よりも低くなると、排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ第1燃料添加弁より燃料を添加してこの添加された燃料の酸化反応熱により第2燃料添加弁近傍の排気通路内の温度を昇温させる。
【選択図】図1
Description
本発明は内燃機関の排気浄化装置に関する。
機関排気通路内に、NOx吸蔵還元触媒とその下流排気通路内に酸化触媒を担持し排気ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタとを配置すると共に、NOx吸蔵還元触媒の上流排気通路内に還元剤を添加する第1還元剤添加弁と、パティキュレートフィルタの上流排気通路内であってNOx吸蔵還元触媒の下流排気通路内に還元剤を添加する第2還元剤添加弁とを更に配置した内燃機関の排気浄化装置が公知である(特許文献1参照)。
ここで、NOx吸蔵還元触媒は、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを還元浄化する能力を有する。リーン空燃比のもとで燃焼が継続して行われるとNOxの吸蔵能力が飽和してしまいNOxを吸蔵できなくなるため、NOx吸蔵能力が飽和する前に、NOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比をリッチにし、吸蔵したNOxを還元浄化する必要がある(以下、このような処理を「NOx還元浄化処理」と称す。)。一方、パティキュレートフィルタは、堆積した粒子状物質が許容量を越えたとき、リーン空燃比のもとでパティキュレートフィルタの温度を所定温度(例えば、600度以上)まで昇温させ、堆積した粒子状物質を酸化除去する必要がある(以下、このような処理を「フィルタ再生処理」と称す)。
特許文献1に記載の発明によれば、フィルタ再生処理とNOx還元浄化処理とを両立させることができる。
しかしながら、NOx還元浄化処理とフィルタ再生処理は、必要な排気ガスの空燃比が異なるため、いずれか一方の処理を行おうとすると他方の処理ができないため、排気性状の悪化や燃焼状態の悪化等の問題が生じる可能性がある。特許文献1には、これら処理を同時期に行うこと関する具体的な方法について詳細には記載されていない。
そこで本発明は、NOx吸蔵還元触媒のNOx還元浄化処理と、パティキュレートフィルタのフィルタ再生処理とを同時期に効率的に行うことが可能な内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために請求項1に記載の発明によれば、機関排気通路内に、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを還元浄化するNOx吸蔵還元触媒と、該NOx吸蔵還元触媒の下流排気通路内に、酸化能を有する触媒を備えたフィルタであって排気ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタとを配置すると共に、燃焼室内又は排気通路内に燃料を添加してNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比を調整する第1燃料添加手段と、パティキュレートフィルタの上流排気通路内であってNOx吸蔵還元触媒の下流排気通路内に燃料を添加する第2燃料添加手段とを更に配置し、パティキュレートフィルタに堆積した粒子状物質が許容量を越えたとき、パティキュレートフィルタに流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ第2燃料添加手段より燃料を添加してこの添加された燃料の酸化反応熱によりパティキュレートフィルタを酸化除去温度まで昇温させて堆積した粒子状物質を酸化除去するフィルタ再生処理を行う内燃機関の排気浄化装置において、燃料消費量の積算値を算出する燃料積算値算出手段と、該積算値が予め定められた値となったときに、NOx還元浄化処理を行うべきときであると判定し、第1燃料添加手段より燃料を添加してNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリッチにし吸蔵したNOxを還元浄化するNOx還元浄化処理を行うNOx還元浄化処理制御手段とを具備し、前記フィルタ再生処理中であって且つNOx還元浄化処理中のときには、前記フィルタ再生処理における第2燃料添加手段からの燃料添加を一時的に中断し、前記フィルタ再生処理中であって且つNOx還元浄化処理中でないときには、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が予め定められた温度よりも低くなると、NOx吸蔵還元触媒から排出される排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ第1燃料添加手段より燃料を添加してこの添加された燃料の酸化反応熱によりNOx吸蔵還元触媒から排出される排気ガスを昇温し、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度を昇温させることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供される。
即ち、請求項1に記載の発明では、燃料消費量の積算値に基づいてNOx還元浄化処理を行うべき時期を決定するという新たなNOx還元浄化処理時期決定方法を提供すると共に、NOx還元浄化処理を行うべきときがフィルタ再生処理をすべきときと同時期である場合であっても、フィルタ再生処理のための燃料添加のタイミングを調整しつつ、これら処理を効率的に行うことが可能となる。また、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度を昇温させることによって、第2燃料添加手段から添加される燃料の気化が促進され、パティキュレートフィルタの昇温が効率よく行うことが可能となる。
また、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明において、前記NOx還元浄化処理制御手段は、NOx還元浄化処理を行うべきときであると判定した場合であって、NOx還元浄化処理による第1燃料添加手段から燃料を添加するとNOx吸蔵還元触媒の温度が予め定められた温度よりも高くなると予想されるときには、第1燃料添加手段からの燃料添加を禁止することを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供される。
即ち、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、燃料消費量の積算値に基づいて決定されたNOx還元浄化の時期にNOx還元浄化処理を行った場合、排気ガス中に含まれる未燃の燃料による酸化反応熱によってNOx吸蔵還元触媒が過度に昇温してしまう場合がある。そこで、NOx還元浄化処理制御手段が燃料消費量の積算値に基づいてNOx還元浄化処理を行うべきときであると判定した場合であっても、NOx還元浄化処理による第1燃料添加手段から燃料を添加するとNOx吸蔵還元触媒の温度が予め定められた温度よりも高くなると予想されるときには、第1燃料添加手段からの燃料添加を禁止することによって、NOx吸蔵還元触媒の過度の昇温が防止される。
また、請求項3に記載の発明によれば請求項1又は2に記載の発明において、前記第1燃料添加手段が燃焼室内に燃料を添加し不完全燃焼による排気ガス中のCO量を増大させる燃焼室内燃料添加手段と、NOx吸蔵還元触媒上流の排気通路内に燃料を添加する排気通路内燃料添加手段とからなり、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が予め定められた温度以上である場合には、燃焼室内燃料添加手段から燃料を添加してNOx吸蔵還元触媒に流入するCOによってNOx還元浄化処理を行い、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が前記予め定められた温度未満である場合には、排気通路内燃料添加手段から燃料を添加して該燃料によってNOx還元浄化処理を行うことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置が提供される。
即ち、請求項3に記載の発明では、燃焼室内燃料添加手段によれば還元性の高い一酸化炭素(CO)を還元剤として用いることができるが、その分排気ガスの温度が低下する。一方、排気通路内燃料添加手段によれば還元剤として燃料(HC)を利用するが、これはCOに比べて還元性は低い。しかしながら、燃料は酸化反応をすることによって排気ガスの温度を昇温させることが可能である。従って、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が十分高くなっていると判断される、予め定められた温度以上の場合には、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度の昇温よりも還元性を優先し、燃焼室内燃料添加手段による燃料を行う。一方、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が高くなっていない予め定められた温度未満の場合には、還元性よりも第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度の昇温を優先し、排気通路内燃料添加手段による燃料添加を行う。これにより、運転状態に応じた最適なNOx還元浄化処理を行うことができる。
各請求項に記載の発明によれば、NOx吸蔵還元触媒のNOx還元浄化処理と、パティキュレートフィルタのフィルタ再生処理とを同時期に効率的に行うことができるという共通の効果を奏する。
図1に圧縮着火式内燃機関の全体図を示す。図1を参照すると、1は機関本体、2は各気筒の燃焼室、3は各燃焼室2内にそれぞれ燃料を噴射するための電子制御式燃料噴射弁、4は吸気マニホルド、5は排気マニホルドをそれぞれ示す。吸気マニホルド4は吸気ダクト6を介して排気ターボチャージャ7のコンプレッサ7aの出口に連結され、コンプレッサ7aの入口は吸入空気量を検出するためのエアフローメータ8を介してエアクリーナ9に連結される。吸気ダクト6内にはステップモータにより駆動されるスロットル弁10が配置され、更に吸気ダクト6周りには吸気ダクト6内を流れる吸入空気を冷却するための冷却装置11が配置される。図1に示される実施形態では機関冷却水が冷却装置11内に導かれ、機関冷却水によって吸入空気が冷却される。
一方、排気マニホルド5は排気ターボチャージャ7の排気タービン7bの入口に連結され、排気タービン7bの出口は排気通路12を介してNOx吸蔵還元触媒13の入口に連結される。また、NOx吸蔵還元触媒13の出口は、排気管14を介して酸化触媒を担持したパティキュレートフィルタ15に連結される。更に、排気通路12には、NOx吸蔵還元触媒13の上流排気通路内に燃料を添加する第1燃料添加弁16が取り付けられ、排気管14には、パティキュレートフィルタ15の上流排気通路内に燃料を添加する第2燃料添加弁17が取り付けられる。本実施形態において、第1燃料添加弁16及び第2燃料添加弁17から添加される燃料には軽油を用いる。なお、NOx吸蔵還元触媒13の上流排気通路内に酸化触媒を更に配置してもよく、パティキュレートフィルタ15に酸化触媒を担持させる代わりに、パティキュレートフィルタ15の上流排気通路内であってNOx吸蔵還元触媒13の下流排気通路内に酸化触媒を備えてもよい。
排気マニホルド5と吸気マニホルド4とは排気ガス再循環(以下、EGRと称す)通路18を介して互いに連結され、EGR通路18内には電子制御式EGR制御弁19が配置される。また、EGR通路18周りにはEGR通路18内を流れるEGRガスを冷却するための冷却装置20が配置される。図1に示される実施形態では機関冷却水が冷却装置20内に導かれ、機関冷却水によってEGRガスが冷却される。一方、各燃料噴射弁3は燃料供給管21を介してコモンレール22に連結される。このコモンレール22内へは電子制御式の吐出量可変な燃料ポンプ23から燃料が供給され、コモンレール22内に供給された燃料は各燃料供給管21を介して燃料噴射弁3に供給される。
電子制御ユニット30はデジタルコンピュータからなり、双方向性バス31によって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)32、RAM(ランダムアクセスメモリ)33、CPU(マイクロプロセッサ)34、入力ポート35及び出力ポート36を具備する。NOx吸蔵還元触媒13はその温度を検出するための温度センサ25を備え、第2燃料添加弁17近傍の排気通路内の温度を検出するための温度センサ26が配置され、排気管14にはパティキュレートフィルタに流入する排気ガスの空燃比を検出するための空燃比センサ27が取り付けられる。パティキュレートフィルタ15には、その前後差圧を検出するための差圧センサ28が配置される。温度センサ25、26、空燃比センサ27、差圧センサ28及びエアフローメータ8の出力信号はそれぞれ対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。
アクセルペダル40にはアクセルペダル40の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ41が接続され、負荷センサ41の出力電圧は対応するAD変換器37を介して入力ポート35に入力される。更に入力ポート35にはクランクシャフトが例えば15°回転する毎に出力パルスを発生するクランク角センサ42が接続される。一方、出力ポート36は対応する駆動回路38を介して燃料噴射弁3、スロットル弁10駆動用ステップモータ、第1燃料添加弁16、第2燃料添加弁17、EGR制御弁19及び燃料ポンプ23に接続される。
図2はNOx吸蔵還元触媒13の構造を示している。図2に示される実施形態ではNOx吸蔵還元触媒13はハニカム構造をなしており、薄肉の隔壁60により互いに分離された複数個の排気ガス流通路61を具備する。各隔壁60の両側表面上には例えばアルミナからなる触媒担体が担持されており、図3(A)及び(B)はこの触媒担体65の表面部分の断面を図解的に示している。図3(A)及び(B)に示されるように触媒担体65の表面上には貴金属触媒66が分散して担持されており、更に触媒担体65の表面上にはNOx吸収剤67の層が形成されている。
本発明による実施形態では貴金属触媒66として白金Ptが用いられており、NOx吸収剤67を構成する成分としては例えばカリウムK、ナトリウムNa、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つが用いられている。
機関吸気通路、燃焼室2及び上流側の排気通路内に供給された空気及び燃料(炭化水素)の比を排気ガスの空燃比と称すると、NOx吸収剤67は排気ガスの空燃比がリーンのときにはNOxを吸収し、排気ガス中の酸素濃度が低下すると吸収したNOxを放出し還元浄化するNOxの吸放出作用を行う。
即ち、NOx吸収剤67を構成する成分としてバリウムBaを用いた場合を例にとって説明すると、排気ガスの空燃比がリーンのとき、即ち排気ガス中の酸素濃度が高いときには排気ガス中に含まれるNOは図3(A)に示されるように白金Pt66上において酸化されてNO2となり、次いでNOx吸収剤67内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら硝酸イオンNO3 -の形でNOx吸収剤67内に拡散する。このようにしてNOxがNOx吸収剤67内に吸収される。排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Pt66の表面でNO2が生成され、NOx吸収剤67のNOx吸収能力が飽和しない限りNO2がNOx吸収剤67内に吸収されて硝酸イオンNO3 -が生成される。
これに対し、排気ガスの空燃比がリッチ或いは理論空燃比にされると排気ガス中の酸化濃度が低下するために反応が逆方向(NO3 -→NO2)に進み、図3(B)に示されるようにNOx吸収剤67内の硝酸イオンNO3 -がNO2の形でNOx吸収剤67から放出される。次いで放出されたNOxは排気ガス中に含まれる未燃HC,COによって還元される。
このように排気ガスの空燃比がリーンであるとき、即ちリーン空燃比のもとで燃焼が行われているときには排気ガス中のNOxがNOx吸収剤67内に吸収される。しかしながらリーン空燃比のもとでの燃焼が継続して行われるとその間にNOx吸収剤67のNOx吸収能力が飽和してしまい、NOx吸収剤67によりNOxを吸収できなくなってしまう。そこで本発明による実施形態ではNOx吸収剤67の吸収能力が飽和する前に第1燃料添加弁16から燃料を添加することによって排気ガスの空燃比を一時的にリッチにし、それによってNOx吸収剤67からNOxを放出させるようにしている。以下、この処理をNOx還元浄化処理と称す。
一方、図4(A)及び(B)はパティキュレートフィルタ15の構造を示している。なお、図4(A)はパティキュレートフィルタ15の正面図を示しており、図4(B)はパティキュレートフィルタ15の側面断面図を示している。図4(A)及び(B)に示されるようにパティキュレートフィルタ15はハニカム構造をなしており、互いに平行をなして延びる複数個の排気流通路70,71を具備する。これら排気流通路は下流端が栓72により閉塞された排気ガス流入通路70と、上流端が栓73により閉塞された排気ガス流出通路71とにより構成される。なお、図4(A)においてハッチングを付した部分は栓73を示している。従って排気ガス流入通路70及び排気ガス流出通路71は薄肉の隔壁74を介して交互に配置される。言い換えると排気ガス流入通路70及び排気ガス流出通路71は各排気ガス流入通路70が4つの排気ガス流出通路71によって包囲され、各排気ガス流出通路71が4つの排気ガス流入通路70によって包囲されるように配置される。
パティキュレートフィルタ15は例えばコージライトのような多孔質材料から形成されており、従って排気ガス流入通路70内に流入した排気ガスは図4(B)において矢印で示されるように周囲の隔壁74内を通って隣接する排気ガス流出通路71内に流出する。本発明による実施形態では各排気ガス流入通路70及び各排気ガス流出通路71の周壁面、即ち各隔壁74の両側表面上及び隔壁74内の細孔内壁面上にも例えば白金Pt等の貴金属を担持している。
一方、排気ガス中に含まれるパティキュレート、即ち粒子状物質はパティキュレートフィルタ15上に捕集され、順次酸化される。しかしながら捕集される粒子状物質の量が酸化される粒子状物質の量よりも多くなると粒子状物質がパティキュレートフィルタ15上に次第に堆積し、この場合粒子状物質の堆積量が増大すると機関出力の低下を招いてしまう。従って粒子状物質の堆積量が増大したときには堆積した粒子状物質を除去しなければならない。この場合、空気過剰のもとでパティキュレートフィルタ15の温度をほぼ600℃以上に維持すると堆積した粒子状物質は酸化され、除去される。
そこで本発明による実施形態ではパティキュレートフィルタ15上に堆積した粒子状物質の量が許容量を越えたとき、例えば差圧センサ28により検出されたパティキュレートフィルタ15の前後差圧ΔPが許容値を越えたときにはパティキュレートフィルタ15に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ第2燃料添加弁17から燃料を添加してこの添加された燃料の酸化反応熱によりパティキュレートフィルタ15の温度をほぼ600℃以上に維持するようにしている。以下、この温度は、酸化除去温度と称し、このような処理をフィルタ再生処理と称す。
ところで、通常、フィルタ再生処理に必要な時間は、NOx還元浄化処理に必要な時間よりも長い。そのため、フィルタ再生処理中にNOx還元浄化処理を行わなければならなくなる場合がある。この場合において、排気通路上流側に配置されたNOx吸蔵還元触媒13に対して行われるNOx還元浄化処理は、上述のように流入する排気ガスの空燃比をリッチにする必要がある。従って、NOx還元浄化処理中にNOx吸蔵還元触媒13から排出される排気ガスの空燃比もリッチとなる。一方、排気通路下流側に配置されたパティキュレートフィルタ15に対して行われるフィルタ再生処理は、上述のように流入する排気ガスの空燃比をリーンにする必要がある。
従って、これら処理を全く同時に行うことは困難であり、本発明の実施形態においては、これら処理を同時期に行う必要がある場合には、NOx還元浄化処理の方を優先するようにしている。即ち、以下に説明する実施形態では、NOx還元浄化処理により第1燃料添加弁16から燃料が添加され、NOx吸蔵還元触媒13に流入する排気ガスの空燃比がリッチとされている間は、第2燃料添加弁17からの燃料添加を一時的に中断するようにしている。
ここで、NOx還元浄化処理を頻繁に行うと、その分フィルタ再生処理におけるパティキュレートフィルタ15の昇温のための第2燃料添加弁17からの燃料添加を中断しなければならず、パティキュレートフィルタ15の温度がその間に低下する。そうすると、再び酸化除去温度まで昇温のため追加の燃料添加が必要となり、フィルタ再生処理全体の時間が長くなる。このことは、燃費の観点から好ましいことではない。一方、NOx還元浄化処理を行わないとNOx吸蔵還元触媒13のNOx吸蔵能力が低下し、排気ガス中のNOxを十分吸蔵することができず、排気性状が悪化するという問題も生じる。
従って、NOx還元浄化処理は、それを行う頻度は可能な限り低くすると共にNOx吸蔵還元触媒13の吸蔵能力が確保される最適なタイミングで行うことが望ましい。従来、NOx還元浄化処理を行うタイミングは、例えば、回転数と負荷に応じた静的なマップ等に基づいて決定する方法を採用していた。この方法によれば、加速及び減速を繰り返した場合において正確な実行タイミングを決定することが困難であった。そこで、本発明では、新たに燃料消費量カウンタ及び熱量バランスカウンタという指標を用いることによって、フィルタ再生処理中におけるNOx還元浄化処理時期の最適化を行う。
図5は、NOx還元浄化処理を行う時期を示すタイミングチャートであり、燃料消費量カウンタ及び熱量バランスカウンタについて説明するための図である。第1燃料添加弁16のピークの高さは燃料の添加量を示し、V1はNOx還元浄化処理に用いられる燃料を、V2は後述する昇温添加処理に用いられる燃料を示す。熱量消費量カウンタとは、燃料消費量、即ち、燃焼室内に実際に噴射された燃料の積算値である。燃料噴射量の時間変化は運転状態によるが、例えば、図5では、図にIで示す平坦な区間は減速時を示し、燃焼室内に燃料が噴射されていないことを表している。その他の区間は緩やかな加速や急加速が行われ、それによって燃料消費量カウンタの傾きが変化する。なお、上記燃料消費量カウンタで表される燃料消費量を、燃焼室内及び排気通路内に実際に噴射された燃料の積算値としてもよい。
燃料消費量カウンタと共に用いられるのが燃費悪化フラグFfである。燃費悪化フラグFfは、通常OFFにされており、燃料消費量カウンタが予め定められた値となったときにONになる。燃費悪化フラグFfがONになる燃料消費量カウンタの値とは、例えば、或るNOx還元浄化処理から次のNOx還元浄化処理が行われるまでの燃料消費量カウンタの値に対する、1回のNOx還元浄化処理において添加される燃料量の割合によって求められる。具体的には、1回のNOx還元浄化処理において添加される燃料量を500mm3とした場合に、上記割合を5%とすると、燃費悪化フラグFfがONになる燃料消費量カウンタの値は、500mm3/0.05=10000mm3となる。即ち、燃料消費量カウンタの値が、10000mm3となったときに、燃費悪化フラグFfはONになる。
本実施形態では、燃費悪化フラグFfがONとなったときにNOx還元浄化処理を行うようにしている。燃費悪化フラグFfがONとなった場合、即ち、燃料消費量の積算値が所定量となったときというのは、NOx吸蔵還元触媒13にNOxの吸蔵量も増えていると考えられる。従って、燃費悪化フラグFfがONとなったときを、NOx還元浄化処理をすべきときであるとしている。このように本発明では、燃料消費量の積算値に着目することによって、機関の運転状態を意識することなく最適なNOx還元浄化処理のタイミングを決定することが可能となる。なお、図に示すように、NOx還元浄化処理中はフィルタ再生処理による第2燃料添加弁17からの燃料添加は停止される。
次に、熱量バランスカウンタについて説明する。熱量バランスカウンタは、第1燃料添加弁16によって添加された燃料から発生する熱量の積算値である発熱曲線Rと、温度センサ26によって検出される第2燃料添加弁17近傍の排気管14内の温度Te(以下、「排気管温度Te」と称す)とその目標温度との差に基づいて定まる傾きを有する直線である要求直線Lとからなる。発熱曲線Rは、第1燃料添加弁16から添加された燃料量によってその履歴は変化する。
まず、排気管温度Teの目標温度について説明する。第2燃料添加弁17から添加される燃料は、パティキュレートフィルタ15の昇温のために使用されるが、その燃料は、添加後、パティキュレートフィルタ15に到達するまでに排気管14内で十分に気化していることが必要である。仮に、十分気化していない場合には、燃料はパティキュレートフィルタ15に担持された酸化触媒上で酸化反応をすることなく、その下流へすり抜けてしまい排気性状を悪化させてしまう。そのため、第2燃料添加弁17からの燃料添加時には、排気管温度Teは燃料が気化するのに必要な最低限の温度以上でなければならない。以下、この温度を気化下限温度T0と称す。
そこで、上述の熱量バランスカウンタの説明に戻ると、要求直線Lの傾きは、排気管温度Teと気化下限温度T0との差分に吸入空気量を乗じることによって算出される。そして、発熱曲線Rと要求直線Lとの交点は、これらが交わった時点で第1燃料添加弁16から燃料を添加すると、NOx吸蔵還元触媒13上の酸化反応によってNOx吸蔵還元触媒13から排出される排気ガスが昇温し、排気管温度Teが気化下限温度T0以下となることはないという点である。即ち、この交点で第1燃料添加弁16から燃料添加を行う限り、排気管温度Teが気化下限温度T0以上に維持できる。
発熱曲線Rと要求直線Lとが交わったか否かのステータスを表すものとして熱量バランスフラグFbを用いる。熱量バランスフラグFbは、通常OFFにされており、発熱曲線Rと要求直線Lとが交わるとONになる。従って、熱量バランスフラグFbがONになったタイミングで第1燃料添加弁16から燃料添加を行う。即ち、この燃料添加は、NOx還元浄化処理において行われる燃料添加か、又は排気管温度Teを気化下限温度T0以上に維持するためだけの燃料添加である。以下、排気管温度Teを気化下限温度T0以上に維持するためだけに行われる燃料添加を昇温添加処理と称す。
昇温添加処理は、NOx吸蔵還元触媒13に吸蔵されたNOxを還元浄化することを目的とせず、また、フィルタ再生処理を妨げるものであってはならないので、パティキュレートフィルタ15に流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ行われる。
図6は、本発明の1番目の実施形態による第1燃料添加弁制御操作のフローチャートである。この操作は、電子制御ユニット(ECU)30によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ101では、燃費悪化フラグFf及び熱量バランスフラグFbが読み込まれ、ステップ102へと進む。次いで、ステップ102では、燃費悪化フラグFfがONであるか否かが判定される。燃費悪化フラグFfがONである場合には、ステップ103へと進む。次いで、ステップ103では、NOx還元浄化処理が行われ、ステップ104へと進む。なお、NOx還元浄化処理開始時、燃料消費量カウンタ及び熱量バランスカウンタがゼロにリセットされる。次いで、ステップ104では、燃費悪化フラグFfをOFFにセットし、次いで、ステップ105では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ102において、燃費悪化フラグFfがOFFである場合には、ステップ106へと進む。次いで、ステップ106では、熱量バランスフラグFbがONであるか否かが判定される。熱量バランスフラグFbがONである場合には、ステップ107へと進む。次いで、ステップ107では、排気管温度Teが目標温度、即ち、気化下限温度T0を下回らないように昇温させるため昇温添加処理が行われ、ステップ105へと進む。なお、昇温添加処理開始時、熱量バランスカウンタがゼロにリセットされる。次いで、ステップ105では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ106において、熱量バランスフラグFbがOFFである場合には、燃料の添加をせずにルーチンを終了する。
次に、本発明による2番目の実施形態について説明する。本実施形態における基本的な構成及び制御は、図1及び図5に示す1番目の実施形態における内燃機関の構成及び制御と同じである。1番目の実施形態では、NOx還元浄化処理のために第1燃料添加弁16からHCを添加し、そのHCを還元剤として使用した。それは同時に、HCの酸化反応熱により排気管温度Teの昇温にも寄与していた。本実施形態では、還元剤としてHCの他に、HCよりも還元能力の高いCOを用いる。COは燃焼室内において燃焼室内の空燃比を理論空燃比よりもリッチにした場合、不完全燃焼によって発生する。従って、COを用いて還元しようとする場合には、燃焼室内に所定量よりも多めに燃料を噴射し、意図的に不完全燃焼を起こすことによって排気ガス中にCOが多く含まれるようにする。
COは還元能力が高い反面、HCのようにNOx吸蔵還元触媒13上で酸化反応を起こすことがないため、それ自体が排気管温度Teの昇温に寄与することがない。従って、COを還元剤として使用する場合には、排気管温度Teが気化下限温度T0よりも十分に昇温している必要がある。
そこで、本実施形態では、NOx還元浄化処理をすべきときであって、COを還元剤に用いた場合、即ち、不完全燃焼を起こした場合には気化下限温度T0を確保できないと判断された場合には、還元剤によるNOx還元浄化処理を行い、逆に、COを還元剤に用いても、即ち、不完全燃焼を起こしても気化下限温度T0を確保できると判断された場合には、不完全燃焼によるNOx還元浄化処理を行うようにする。
HCとCOを用いたこれら2つの還元方法を切り替える境界となる温度を判定温度Tshとすると、NOx還元浄化処理をすべきときに、排気管温度Teが判定温度Tshよりも高い場合にはCOによるNOx還元浄化処理を行い、一方、排気管温度Teが判定温度Tshよりも低い場合にはHCによるNOx還元浄化処理を行う。図7は、排気管温度TeとNOx浄化率との関係から、気化下限温度T0と判定温度Tshとの関係を示している。
上記判定温度Tshは予め定められた所定値を用いてもよく、運転状態に応じて動的に変化する値としてもよい。例えば、気化下限温度T0に対し、運転状態に応じた冷却温度速度を考慮した余裕分Tαを機関回転数と機関負荷等の関数として予めマップとしてROM32に保存し、NOx還元浄化処理時の排気管温度Teに基づいて還元方法の切り替えを判断してもよい。この場合、判定温度Tsh=気化下限温度T0+余裕分Tα、となる。
図8は、本発明の2番目の実施形態による第1燃料添加弁制御操作のフローチャートである。この操作は、電子制御ユニット(ECU)30によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ201では、燃費悪化フラグFf、熱量バランスフラグFb、排気管温度Teが読み込まれ、ステップ202へと進む。次いで、ステップ202では、燃費悪化フラグFfがONであるか否かが判定される。燃費悪化フラグFfがONである場合には、ステップ203へと進む。次いで、ステップ203では、排気管温度Teが判定温度Tshより高いか否かが判定される。排気管温度Teが判定温度Tshよりも高い場合には、ステップ204へと進む。次いで、ステップ204では、COによるNOx還元浄化処理が行われ、ステップ206へと進む。なお、NOx還元浄化処理開始時、燃料消費量カウンタ及び熱量バランスカウンタがゼロにリセットされる。
一方、ステップ203において、排気管温度Teが判定温度Tsh以下の場合には、ステップ205へと進む。次いで、ステップ205では、HCによるNOx還元浄化処理が行われ、ステップ206へと進む。なお、NOx還元浄化処理開始時、燃料消費量カウンタ及び熱量バランスカウンタがゼロにリセットされる。
次いで、ステップ206では、燃費悪化フラグFfをOFFにセットし、次いで、ステップ207では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ202において、燃費悪化フラグFfがOFFである場合には、ステップ208へと進む。次いで、ステップ208では、熱量バランスフラグFbがONであるか否かが判定される。熱量バランスフラグFbがONである場合には、ステップ209へと進む。次いで、ステップ209では、排気管温度Teが気化下限温度T0を下回らないように昇温させるための昇温添加処理が行われ、ステップ207へと進む。なお、昇温添加処理開始時、熱量バランスカウンタがゼロにリセットされる。次いで、ステップ207では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ208において、熱量バランスフラグFbがOFFである場合には、燃料の添加をせずにルーチンを終了する。
上述のように、COによるNOx還元浄化処理は、不完全燃焼によって行われるため、例えば高負荷運転時のように、不完全燃焼を利用することが好ましくない場合もある。その場合には、排気管温度Teが十分に高くてもHCによるNOx還元浄化処理を行うようにしてもよい。
ところで、COはHCに比べて還元能力が高いことを考慮して、COによりNOx還元浄化処理を行う場合には、燃費悪化フラグFfがONになる燃料消費量カウンタの値を、HCによりNOx還元浄化処理を行う場合に比べて高くしてもよい。
これに関して図9を参照しながら説明する。HCによるNOx還元浄化処理の場合(例えば、図5の説明で用いた割合が5%で燃料消費量カウンタの値が10000mm3)、時間Txで燃費悪化フラグFfxがONになる場合、COによるNOx還元浄化処理の場合(例えば、上記割合を2%で燃料消費量カウンタの値が25000mm3)、時間Tyで燃費悪化フラグFfyがONになる。それによってΔTだけNOx還元浄化処理の間隔が延び、結果としてフィルタ再生処理を連続的に効率よく行うことができる。
次に、本発明による3番目の実施形態について説明する。本実施形態における基本的な構成及び制御は、図1及び図5に示す1番目の実施形態における内燃機関の構成及び制御と同じである。この構成において、高負荷運転が連続すると、熱量バランスフラグFbがONになる前、即ち、熱量バランスカウンタにおいて発熱曲線Rと要求直線Lが交わる前に、燃費悪化フラグがONになってしまう場合がある。このとき、1番目の実施形態で説明したように、燃費悪化フラグがONになった時点で、NOx還元浄化処理を行うと、NOx吸蔵還元触媒13がNOx還元浄化処理において添加されたHCの酸化反応熱によって過度に昇温してしまう場合がある。過度に昇温してしまうと、NOxの吸蔵能力が著しく低下し、排気ガス中のNOxを十分に吸蔵できなくなるという問題が生じる。
そこで、本実施形態では、燃費悪化フラグがONになった場合でも、NOx還元浄化処理において燃料を添加するとNOx吸蔵還元触媒13の温度が予め定められた温度(例えば550℃以上)よりも高くなると予想されるときには、NOx還元浄化処理を禁止し、NOx吸蔵還元触媒13の過度の昇温を防止する。以下、この予め定められた温度を吸蔵限界温度Txと称し、温度センサ25によって検出されるNOx吸蔵還元触媒13の温度をNOx吸蔵還元触媒温度Tnと称す。
次に、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Txを越えるか否かを判断する方法について説明する。上述の要求直線Lのときと同様に、NOx吸蔵還元触媒温度Tnと吸蔵限界温度Txとの差及び吸入空気量に基づいて求められた傾きを有する要求直線Kを求める。そして、発熱曲線Rと要求直線Kとの交点は、これらが交わった時点以降で、NOx還元浄化処理を行う限り、第1燃料添加弁16から添加された燃料によるNOx吸蔵還元触媒13上の酸化反応によって、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Txを越えることはないという点である。逆に、発熱曲線Rと要求直線Kとが交わる前に、NOx還元浄化処理を行うと、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Txを越えてしまう。
図10は、NOx還元浄化処理を行う時期を示すタイミングチャートである。発熱曲線Rと要求直線Kとが交わったか否かのステータスを表すものとして浄化許可フラグFnを用いる。浄化許可フラグFnは、通常OFFにされており、発熱曲線Rと要求直線Kとが交わるとONになる。従って、浄化許可フラグFnがONになった以降であれば、NOx還元浄化処理を行ってもNOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Txを越えることはない。
以上をまとめると、本実施形態では、熱量バランスフラグFbがONになる前に、燃費悪化フラグがONになった場合には、浄化許可フラグFnがONになるまで、NOx還元浄化処理を禁止するよう制御する。
図11は、本発明の3番目の実施形態による第1燃料添加弁制御操作のフローチャートである。この操作は、電子制御ユニット(ECU)30によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ301では、燃費悪化フラグFf、熱量バランスフラグFb、浄化許可フラグFn、排気管温度Te、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが読み込まれ、ステップ302へと進む。次いで、ステップ302では、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Tx未満であるか否かが判定される。NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Tx以上である場合には、燃料を添加することなくルーチンを終了する。
一方、ステップ302において、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Tx未満である場合には、ステップ303へと進む。次いで、ステップ303では、浄化許可フラグFnがONであるか否かが判定される。浄化許可フラグFnがOFFである場合には、燃料を添加することなくルーチンを終了する。
一方、浄化許可フラグFnがONである場合には、ステップ304へと進む。次いで、ステップ304では、燃費悪化フラグFfがONであるか否かが判定される。燃費悪化フラグFfがONである場合には、ステップ305へと進む。次いで、ステップ305では、NOx還元浄化処理が行われ、ステップ306へと進む。次いで、ステップ306では、燃費悪化フラグFf及び浄化許可フラグFnをOFFにセットし、次いで、ステップ307では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ304において、燃費悪化フラグFfがOFFである場合には、ステップ308へと進む。次いで、ステップ308では、熱量バランスフラグFbがONであるか否かが判定される。熱量バランスフラグFbがONである場合には、ステップ309へと進む。次いで、ステップ309では、排気管温度Teが目標温度、即ち、気化下限温度T0を下回らないように昇温させるため昇温添加処理が行われ、ステップ307へと進む。次いで、ステップ307では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ308において、熱量バランスフラグFbがOFFである場合には、燃料の添加をせずにルーチンを終了する。
次に、本発明による4番目の実施形態について説明する。本実施形態では、3番目の実施形態とは別の方法によって、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Txを越えてしまうことを防止する。3番目の実施形態では、浄化許可フラグFnを用いて、NOx還元浄化処理を行うタイミングを決定したが、本実施形態では、より簡便な方法を採用する。
この方法について図12を参照しながら説明する。図12は、NOx還元浄化処理を行う時期を示すタイミングチャートである。本実施形態では、熱量バランスフラグFbがONになる前に、燃費悪化フラグがONになってしまっても、熱量バランスフラグFbがONになるまでNOx還元浄化処理を禁止し、熱量バランスフラグFbがONになったらNOx還元浄化処理を行う。
図13は、本発明の4番目の実施形態による第1燃料添加弁制御操作のフローチャートである。この操作は、電子制御ユニット(ECU)30によって予め定められた設定時間毎の割り込みによって実行されるルーチンとして行われる。
まず、ステップ401では、燃費悪化フラグFf、熱量バランスフラグFb、排気管温度Te、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが読み込まれ、ステップ402へと進む。次いで、ステップ402では、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Tx未満であるか否かが判定される。NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Tx以上である場合には、燃料を添加することなくルーチンを終了する。
一方、ステップ402において、NOx吸蔵還元触媒温度Tnが吸蔵限界温度Tx未満である場合には、ステップ403へと進む。次いで、ステップ403では、燃費悪化フラグFfがONであるか否かが判定される。燃費悪化フラグFfがONである場合には、ステップ404へと進む。次いで、ステップ404では、熱量バランスフラグFbがONであるか否かが判定される。燃費悪化フラグFfがONである場合には、ステップ405へと進む。次いで、ステップ405では、NOx還元浄化処理が行われ、ステップ406へと進む。次いで、ステップ406では、燃費悪化フラグFfをOFFにセットし、次いで、ステップ407では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ404において、熱量バランスフラグFbがOFFである場合には、燃料の添加をせずにルーチンを終了する。
一方、ステップ403において、燃費悪化フラグFfがOFFである場合には、ステップ408へと進む。次いで、ステップ408では、熱量バランスフラグFbがONであるか否かが判定される。熱量バランスフラグFbがONである場合には、ステップ409へと進む。次いで、ステップ409では、排気管温度Teが目標温度、即ち、気化下限温度T0を下回らないように昇温させるため昇温添加処理が行われ、ステップ407へと進む。次いで、ステップ407では、熱量バランスフラグFbをOFFにセットし、ルーチンを終了する。
一方、ステップ408において、熱量バランスフラグFbがOFFである場合には、燃料の添加をせずにルーチンを終了する。
上述のすべての実施形態において、HCによるNOx還元浄化処理のために、第1燃料添加弁16を配置したが、その代わりに、圧縮上死点付近で行われる主噴射よりも後に行われ、HCが排気ガス中に含まれるように噴射する燃料噴射を行うようにしてもよい。
上述のすべての実施形態において、昇温添加処理における第1燃料添加弁16からの燃料添加がフィルタ再生処理における第2燃料添加弁17からの燃料添加と同時に行われることにより、パティキュレートフィルタ15に流入する排気ガスの空燃比がリッチとなってしまう可能性がある。そのような場合には、HCが未反応のまま下流へすり抜けてしまうため好ましくない。従って、かかる場合には、昇温添加処理を優先し、第2燃料添加弁17からの燃料供給量を減らすことによってパティキュレートフィルタ15に流入する排気ガスの空燃比を理論空燃比又はリーンとなるように調整する。なお、当然のことながら、パティキュレートフィルタ15に流入する排気ガスの空燃比を調整する際には、第1燃料添加弁16と第2燃料添加弁17との間の距離と、排気ガスの流速を考慮し、添加タイミングの調整を行う。
4 吸気マニホルド
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
13 NOx吸蔵還元触媒
15 パティキュレートフィルタ
16 第1燃料添加弁
17 第2燃料添加弁
5 排気マニホルド
7 排気ターボチャージャ
13 NOx吸蔵還元触媒
15 パティキュレートフィルタ
16 第1燃料添加弁
17 第2燃料添加弁
Claims (3)
- 機関排気通路内に、流入する排気ガスの空燃比がリーンのときには排気ガス中に含まれるNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比が理論空燃比又はリッチになると吸蔵したNOxを還元浄化するNOx吸蔵還元触媒と、該NOx吸蔵還元触媒の下流排気通路内に、酸化能を有する触媒を備えたフィルタであって排気ガス中の粒子状物質を捕集するパティキュレートフィルタとを配置すると共に、燃焼室内又は排気通路内に燃料を添加してNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比を調整する第1燃料添加手段と、パティキュレートフィルタの上流排気通路内であってNOx吸蔵還元触媒の下流排気通路内に燃料を添加する第2燃料添加手段とを更に配置し、パティキュレートフィルタに堆積した粒子状物質が許容量を越えたとき、パティキュレートフィルタに流入する排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ第2燃料添加手段より燃料を添加してこの添加された燃料の酸化反応熱によりパティキュレートフィルタを酸化除去温度まで昇温させて堆積した粒子状物質を酸化除去するフィルタ再生処理を行う内燃機関の排気浄化装置において、燃料消費量の積算値を算出する燃料積算値算出手段と、該積算値が予め定められた値となったときに、NOx還元浄化処理を行うべきときであると判定し、第1燃料添加手段より燃料を添加してNOx吸蔵還元触媒に流入する排気ガスの空燃比を一時的にリッチにし吸蔵したNOxを還元浄化するNOx還元浄化処理を行うNOx還元浄化処理制御手段とを具備し、前記フィルタ再生処理中であって且つNOx還元浄化処理中のときには、前記フィルタ再生処理における第2燃料添加手段からの燃料添加を一時的に中断し、前記フィルタ再生処理中であって且つNOx還元浄化処理中でないときには、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が予め定められた温度よりも低くなると、NOx吸蔵還元触媒から排出される排気ガスの空燃比をリーンに維持しつつ第1燃料添加手段より燃料を添加してこの添加された燃料の酸化反応熱によりNOx吸蔵還元触媒から排出される排気ガスを昇温し、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度を昇温させることを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
- 前記NOx還元浄化処理制御手段は、NOx還元浄化処理を行うべきときであると判定した場合であって、NOx還元浄化処理による第1燃料添加手段から燃料を添加するとNOx吸蔵還元触媒の温度が予め定められた温度よりも高くなると予想されるときには、第1燃料添加手段からの燃料添加を禁止することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化装置。
- 前記第1燃料添加手段が燃焼室内に燃料を添加し不完全燃焼による排気ガス中のCO量を増大させる燃焼室内燃料添加手段と、NOx吸蔵還元触媒上流の排気通路内に燃料を添加する排気通路内燃料添加手段とからなり、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が予め定められた温度以上である場合には、燃焼室内燃料添加手段から燃料を添加してNOx吸蔵還元触媒に流入するCOによってNOx還元浄化処理を行い、第2燃料添加手段近傍の排気通路内の温度が前記予め定められた温度未満である場合には、排気通路内燃料添加手段から燃料を添加して該燃料によってNOx還元浄化処理を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008280216A JP2010106775A (ja) | 2008-10-30 | 2008-10-30 | 内燃機関の排気浄化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008280216A JP2010106775A (ja) | 2008-10-30 | 2008-10-30 | 内燃機関の排気浄化装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2008280216A Withdrawn JP2010106775A (ja) | 2008-10-30 | 2008-10-30 | 内燃機関の排気浄化装置 |
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JP (1) | JP2010106775A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104162357A (zh) * | 2014-08-13 | 2014-11-26 | 北京源深节能技术有限责任公司 | 喷淋烟气余热回收及脱硝一体化装置 |
-
2008
- 2008-10-30 JP JP2008280216A patent/JP2010106775A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104162357A (zh) * | 2014-08-13 | 2014-11-26 | 北京源深节能技术有限责任公司 | 喷淋烟气余热回收及脱硝一体化装置 |
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