JP2010106710A - シリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】シリンダライナのホーニング加工時に、凝着の発生がなく、シリンダライナの摺動面部に傷がつかないホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケットのシール性が維持されるシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックを提供すること。
【解決手段】エンジンのシリンダブロック12に設けられ、ピストンを摺動させる摺動面部31とピストンと非接触の非摺動面部32とを有するシリンダライナ30において、摺動面部31が円筒体の内壁面で構成されるとともに、非摺動面部32が円筒体の端部30tで内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面32kで構成され、円筒体の端部30tが、端部30tの外壁面30gから半径方向の内方に徐々に縮径される縮径外壁傾斜面30kを有し、拡径内壁傾斜面32kと縮径外壁傾斜面30kとが交差するよう円筒体の端部30tが形成されたことを特徴とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、ピストンを摺動させる摺動面部とピストンと非接触の非摺動面部とを有するシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックに関する。
従来から、エンジンのシリンダブロックは、アルミニウムを含む軽合金で製造されたものが多く採用されており、エンジンの軽量化が図られている。
この種のシリンダブロックにおいては、内部に形成されているシリンダの内壁面部が高速で往復運動するピストンから繰り返し衝撃を受けるので、耐衝撃性や耐摩耗性などの機械的強度が要求されており、特に、アルミニウム合金製のシリンダブロックの場合、シリンダの内壁面部の補強が必要となる。
このようなシリンダの内壁面部を補強するため、一般的に、シリンダの内壁面部に高い機械的強度を有するシリンダライナを装着したり、内壁面部の表面に硬質の溶射皮膜を形成したりして、耐摩耗性や耐衝撃性を向上させている。
この種のシリンダの内壁面部に装着するシリンダライナとして、シリンダライナを円筒部と、この円筒部の外表面から突出し円筒部に一体的に形成されたトゲとを含んで構成し、この円筒部のシリンダヘッド側の端部に、トゲを含んでテーパ状に面取り加工された面取部が形成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このシリンダライナにおいては、円筒部のトゲによりシリンダライナがシリンダブロックに密着するとともに、面取部にトゲが含まれるようにして、シリンダライナの端部におけるシリンダブロックとトゲの接合部分からのクラック発生が抑制されるようになっている。このシリンダライナは、鋳鉄で形成されており、アルミニウム合金製のシリンダブロックの耐摩耗性や耐衝撃性が高められるとともに、クラック発生抑制によるシール性が改善されている。
また、この種の溶射皮膜を形成したシリンダライナとして、円筒部を有するシリンダライナに代えて、シリンダブロックの内周面に炭化クロムなどの硬質の金属からなる溶射皮膜が被覆され、アルミニウム合金製のシリンダブロックの耐摩耗性や耐衝撃性が高められたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
このシリンダライナにおいては、ピストンと非接触の非摺動面部にレーザなどの高密度エネルギが照射されて、シリンダブロックの溶射皮膜の端部と母材との境界部分でアルミニウム合金と溶射皮膜が溶融し、皮膜全体と母材との密着力が高められ、耐剥離性が高められている。その結果、シリンダライナの摺動特性が維持され耐久性が高められている。
特開2005−188398号公報 特開平8−28705号公報
しかしながら、従来のシリンダの内壁面部に装着するシリンダライナの場合には、シリンダライナのシリンダヘッド側の端部と、シリンダブロックの内壁面部との界面が、ピストンを摺動させるシリンダの摺動面部に露出しているので、摺動面部を仕上げるホーニング加工時に以下のような問題がある。
すなわち、シリンダの内壁面部はアルミニウムを含む合金で形成されているので、円柱の側面に設けられた複数の砥石からなるホーン工具が、回転しつつシリンダの摺動面部を往復運動して目的の表面あらさ、寸法および形状に仕上げる際、ホーン工具の表面にアルミニウムの凝着が生じてしまう。このような凝着が生じたホーン工具でホーニング加工を続行すると、摺動面部を構成しているシリンダライナの内壁面部に、凝着が生じたホーン工具による傷が発生してしまうという問題があった。特に、シリンダライナがアルミニウム合金で形成されている場合には、たとえシリンダの内壁面部より硬質の材料でシリンダライナが形成されていても、シリンダライナの内壁面部に傷がつき易いという問題があった。
また、従来の溶射皮膜を形成したシリンダライナの場合には、ピストンを摺動させる摺動面部とピストンと非接触の非摺動面部とで構成され、非摺動面部にレーザなどの高密度エネルギが照射されて、シリンダライナの非摺動面部とシリンダブロックの内壁面部とが溶融し、溶射皮膜がシリンダブロックに形成されている。この融着部分の一部がピストンの摺動面部に露出するため、摺動面部を仕上げるホーニング加工時に以下のような問題がある。
すなわち、前述のホーン工具が、アルミニウムを含む合金で形成されている融着部分を研磨することになるので、回転しつつシリンダの摺動面部を往復運動して目的の表面あらさ、寸法および形状に仕上げる際、ホーン工具の表面にアルミニウムの凝着が生じてしまう。
このような凝着が生じたホーン工具でホーニング加工を続行すると、摺動面部を構成しているシリンダライナの内壁面部に、凝着が生じたホーン工具による傷が発生してしまうという問題があった。
この場合も、シリンダライナがアルミニウム合金で形成されている場合には、たとえシリンダの内壁面部より硬質の材料でシリンダライナが形成されていても、シリンダライナの内壁面部に傷がつき易いという問題があった。
このようなホーン工具に、凝着が生じないよう構成したシリンダライナが考えられる。
例えば、図8(a)に示すように、シリンダブロック1に鋳込まれるシリンダライナ2のシリンダヘッド側の内周側端部に面取り2cを形成したものが考えられる。この面取り2cを形成することにより、前述のホーン工具がアルミニウム合金で形成されたシリンダブロックに接触しないので、凝着の問題が解消される。
しかしながら、このシリンダライナの場合、シリンダブロック1とシリンダライナ2との界面3が、シリンダブロック1とシリンダヘッドとの間に介装されているシリンダヘッドガスケット4のシール部4sの近傍に形成されると、界面3によりシール部4sが損傷するおそれがありシール性が低下するおそれがあるという問題がある。
また、凝着が生じないよう構成したシリンダライナとして、図8(b)に示すように、シリンダブロック5に鋳込まれるシリンダライナ6のシリンダヘッド側の内周側端部に面取り6cが形成されるとともに、シリンダブロック5の内壁面部にフランジ5fが形成され、シリンダヘッドガスケット7のシール性が確保されるようにしたものが考えられる。
しかしながら、このシリンダライナの場合、フランジ5fの厚みが小さく形成されると、シリンダライナ6の端部が当接する角部8から亀裂が生ずるおそれがある。このような亀裂がフランジ5fのシリンダヘッドガスケット7に接触する上面に達すると、亀裂によりシール部7sが損傷するおそれがありシール性が低下するおそれがあるという問題がある。
本発明は、前述の従来の問題を解決するためになされたもので、シリンダライナのホーニング加工時に、加工工具に凝着が生ずることがなく、シリンダライナの摺動面部に傷がつかないホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケットのシール性を維持することができるシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックを提供することを課題とする。
本発明に係るシリンダライナは、課題を解決するため、(1)エンジンのシリンダブロックに設けられ、ピストンを摺動させる摺動面部と前記ピストンと非接触の非摺動面部とを有するシリンダライナにおいて、前記摺動面部が円筒体の内壁面で構成されるとともに、前記非摺動面部が前記円筒体の端部で前記内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面で構成され、前記円筒体の前記端部が、前記端部の外壁面から前記半径方向の内方に徐々に縮径される縮径外壁傾斜面を有し、前記拡径内壁傾斜面と前記縮径外壁傾斜面とが交差するよう前記円筒体の前記端部が形成されたことを特徴とする。
この構成により、シリンダライナが、拡径内壁傾斜面で構成されている非摺動面部を有しているので、シリンダブロックが作製された後、シリンダライナの摺動面部がホーニング加工される際、摺動面部にホーン工具による加工の際の傷が発生することはない。すなわち、シリンダライナとシリンダブロックとの界面が、非摺動面部に位置するので、シリンダライナに挿入されたホーン工具が、シリンダブロックの内壁面と接触することがなく、従来、生じていた凝着が発生することはない。ホーン工具に凝着が発生しないので、凝着により従来生じていた傷が生ずるという問題が解消される。したがって、本来の最適な状態でホーニング加工が行われ、目的とする摺動面部の表面あらさ、寸法および形状が得られる。
また、シリンダライナの端部に、縮径外壁傾斜面が形成されているので、縮径外壁傾斜面に接するシリンダブロックが所定の角度を有して半径方向の内方に突出しており、従来のように角部を有して突出していない。その結果、シリンダライナを支持するシリンダブロックに集中応力が生ずることはなく、亀裂の発生が防止される構造となっている。またシリンダブロックの縮径外壁傾斜面に接蝕する部分と、シリンダブロックのシリンダヘッドガスケットのシール部とが接触する上方端面との間の肉厚が充分に確保され、機械的剛性が高められているので、ピストンの往復運動による衝撃がシリンダブロックに加わっても、シリンダブロックに亀裂が生ずることはない。したがって、シリンダブロックの亀裂によるシール性の低下のおそれはなく、シリンダヘッドガスケットのシール性が確実に維持される。
上記(1)に記載のシリンダライナにおいて、(2)前記円筒体が、アルミニウムを含む合金で形成されたことを特徴とする。
この構成により、シリンダライナがシリンダブロックと同種のアルミニウムを含む合金で形成されるので、シリンダライナの軽量化が図られるとともに、シリンダブロックとシリンダライナとの密着性が高められる。その結果、シリンダブロックとシリンダライナとに剥離や亀裂などの損傷が生ずるおそれがないので、シリンダブロックの損傷によるシール性の低下のおそれはなく、シリンダヘッドガスケットのシール性が確実に維持される。
上記(1)または(2)に記載のシリンダライナにおいて、(3)前記シリンダブロックが鋳造により形成され、前記円筒体が、シリンダブロックの鋳造の際に鋳込まれるとともに、前記円筒体の前記外壁面から前記半径方向の外方に突出する複数の突起が前記円筒体に形成されたことを特徴とする。
この構成により、シリンダブロックとシリンダライナとが同時に鋳造され効率よく一体化されるとともに、シリンダライナから突出して形成された複数の突起により、シリンダブロックとシリンダライナとの密着性が高められる。その結果、シリンダブロックとシリンダライナとに剥離や亀裂などの損傷が生ずるおそれがないので、シリンダブロックの損傷によるシール性の低下のおそれはなく、シリンダヘッドガスケットのシール性が確実に維持される。
本発明に係るシリンダブロックは、課題を解決するため、(4)上記(1)ないし(3)の少なくともいずれかに記載のシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックであって、前記シリンダライナを鋳込む鋳込み部を有し、前記鋳込み部が、前記ピストンの摺動方向の上方で開口する上端開口部を有し、前記上端開口部の開口内壁面が前記半径方向の外方に徐々に拡径される開口拡径内壁傾斜面を有し、前記開口拡径内壁傾斜面が、前記シリンダライナの前記円筒体の前記端部に形成された前記拡径内壁傾斜面と略同一の傾斜面を構成することを特徴とする。
この構成により、シリンダライナが、(1)ないし(3)のように構成されているので、シリンダブロックにシリンダライナが鋳込まれて、シリンダブロックが鋳造された後、本来の最適な状態でホーニング加工が行われ、目的とする摺動面部の表面あらさ、寸法および形状が得られる。また、シリンダライナを支持する鋳込み部に集中応力が生ずることはなく、亀裂が発生することはないので、シリンダブロックの亀裂によるシール性の低下のおそれはなく、シリンダヘッドガスケットのシール性が確実に維持される。
本発明によれば、シリンダライナのホーニング加工時に、加工工具に凝着が生ずることがなく、シリンダライナの摺動面部に傷がつかないホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケットのシール性を維持することができるシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックを提供することができる。
以下、本発明の実施の形態に係るシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックを含むエンジンの部分断面図である。図2は、シリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックの一部を破断した分解斜視図であり、図3(a)は、シリンダブロックの部分断面図であり、図3(b)は、図3(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。
まず、構成を説明する。
図1に示すように、エンジン10は、シリンダ11が設けられたシリンダブロック12と、シリンダブロック12に固定されたシリンダヘッド13と、シリンダブロック12とシリンダヘッド13との間に介装されたシリンダヘッドガスケット14とを含んで構成されている。
また、エンジン10は、シリンダ11内に収容されたピストン15と、ピストン15と図示しないクランクシャフトとを連結するコネクティングロッド16と、ピストン15とコネクティングロッド16とを回転可能に連結するピストンピン17と、シリンダヘッド13内に収容された吸気バルブ18および吸気バルブ18を駆動する吸気カムシャフト19と、排気バルブ21および排気バルブ21を駆動する排気カムシャフト22と、フューエルインジェクタ23と、図示しない点火装置とを含んで構成されている。
シリンダブロック12は、図示しない側面部で、エンジンマウントを介して車体にマウントされている。
シリンダブロック12は、図2に示すように、シリンダ11のほかシリンダ24、25、26を含めて直列に配置された4個のシリンダを備えており、ガソリンを燃料とするエンジン10を構成している。なお、エンジン10は、このような直列4気筒のものに限られず、V型などのように任意に気筒配列された多気筒であってもよく、ディーゼルエンジンなどの他の公知のエンジンであってもよい。
このシリンダブロック12は、例えば、アルミニウムを含む軽合金からなり、エンジンの軽量化が図られている。このシリンダブロック12は、鋳造により形成されており、鋳造の際には、シリンダライナ30がシリンダブロック12内に鋳込まれる。このシリンダライナ30の内壁面により、シリンダ11が画成されている。
シリンダ24、25、26も、シリンダ11と同様、シリンダブロック12の鋳造の際に鋳込まれたシリンダライナ30の内壁面によりそれぞれ画成されている。
また、シリンダライナ30の周囲のシリンダブロック12には、複数のウォータージャケット12wが設けられており、ウォータージャケット12w内に冷却水が流通し、シリンダブロック12、シリンダライナ30およびピストン15を冷却するようになっている。
また、シリンダライナ30の周囲のシリンダブロック12には、複数のオイル戻り通路12oが設けられており、エンジン10内の潤滑要素を潤滑したオイルがオイル戻り通路12oを通って図示しないオイルパン内に還流するようになっている。
図3(a)に示すように、シリンダライナ30は、例えば、シリンダブロック12を形成する材料よりも硬質であって、耐摩耗性および耐衝撃性の高いアルミニウム軽合金からなる円筒体で構成され、ピストン15を摺動させる摺動面部31とピストン15と非接触の非摺動面部32とを有している。なお、シリンダライナ30は、より高い耐摩耗性および耐衝撃性が得られる鋳鉄などの他の金属で形成するようにしてもよい。
摺動面部31は、円筒体の内壁面で構成されるとともに、非摺動面部32は、円筒体の端部30tで、円筒体の内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面32kで構成されている。
また、円筒体の端部30tは、その外壁面30gから半径方向の内方に徐々に縮径される縮径外壁傾斜面30kを有しており、非摺動面部32の拡径内壁傾斜面32kと端部30tの縮径外壁傾斜面30kとが交差するよう、拡径内壁傾斜面32kおよび縮径外壁傾斜面30kとが形成されている。
具体的には、図3(b)に示すように、非摺動面部32の拡径内壁傾斜面32kは、厚みtで形成された円筒体の端部30tの頂部30cから下方に距離Laだけ離隔した位置から、半径方向の外方に角度αで傾斜するよう形成されている。
端部30tの縮径外壁傾斜面30kは、端部30tの頂部30cから下方に距離Lbだけ離隔した位置から、半径方向の内方に角度βで傾斜するよう形成されている。そして、拡径内壁傾斜面32kと縮径外壁傾斜面30kは、頂部30cで交差している。
このシリンダライナ30は、シリンダブロック12に鋳込まれて、シリンダブロック12の鋳込み部12iと、外壁面30gおよび縮径外壁傾斜面30kで密着している。
この鋳込み部12iは、ピストン15の摺動方向の上方で開口する上端開口部12kを有しており、この上端開口部12kの開口内壁面が、半径方向の外方に徐々に拡径される開口拡径内壁傾斜面12mで構成されている。
この開口拡径内壁傾斜面12mは、シリンダライナ30の円筒体の端部30tに形成された拡径内壁傾斜面32kと略同一の傾斜面になるよう頂部30cから鋳込み部12iの上方端面12jまでの距離Lcの間で形成され、拡径内壁傾斜面32kの角度αとほぼ同じ角度で傾斜している。また、鋳込み部12iの上方端面12jは平坦で滑らかな表面で形成されており、シリンダヘッドガスケット14のシール部14sが当接するようになっている。
この距離La、Lb、Lc、角度α、β、円筒体の厚みt、摺動面部31によって画成されるシリンダ11の内径、すなわちシリンダボア径などの寸法およびシリンダライナ30を構成するアルミニウム軽合金の材料は、エンジン10の種類、構造、大きさなどの設定諸元に基づいて適宜選択される。例えば、角度α、βは、それぞれ10度ないし80度程のものであり、30度ないし60度が好ましい。また、厚みtは、シリンダライナ30がアルミニウム合金で形成されている場合には、1mmないし8mm程度であり、シリンダライナ30が鋳鉄で形成されている場合には、1mmないし4mm程度で形成される。
図1に示すように、シリンダヘッド13は、シリンダブロック12と同様、アルミニウムを含む軽合金からなり、一端が図示しない吸気マニホールドの吸気通路に連通し他端がシリンダ11に連通する吸気ポート13kpと、一端が図示しない排気マニホールドの排気通路に連通し他端がシリンダ11に連通する排気ポート13hpとを有している。
吸気ポート13kp内には、吸気バルブ18が収容されており、排気ポート13hp内には、吸気バルブ18が収容されている。
また、吸気ポート13kpとシリンダ11との連通部分には、吸気バルブ18が着座するバルブシート部13ksが形成されており、吸気バルブ18の昇降によりバルブシート部13ksが開閉されるようになっている。
また、排気ポート13hpとシリンダ11との連通部分には、排気バルブ21が着座するバルブシート部13hsが形成されており、バルブシート部13hsが開閉されるようになっている。
このシリンダヘッド13の下面、シリンダ11およびピストン15の頂面により燃焼室11nが画成されており、この燃焼室11n内には吸気ポート13kpから吸入空気が流入するようになっている。
また、シリンダヘッド13には、先端部が吸気ポート13kp内に露出するようフューエルインジェクタ23が設けられており、このフューエルインジェクタ23から燃料が吸気ポート13kp内に噴射され、吸入空気と混合し混合気が生成され、燃焼室11nに送り込まれるようになっている。
吸気バルブ18および排気バルブ21により密閉された燃焼室11n内の混合気は、ピストン15の上昇により圧縮され爆発膨張し、ピストン15を下降させクランクシャフトに動力が出力されるようになっている。
シリンダ24、25、26の周辺部分も、シリンダ11の周辺部分と同様に構成されている。
図1および図2に示すように、ピストン15は、ピストン本体15hと、トップリング15tと、セカンドリング15sと、オイルリング15oとを含んで構成されている。
ピストン本体15hは、例えば、アルミ合金などの軽量な金属で円筒状に鋳造され、ピストン本体15hには、その軸線方向と直交する方向にピンボス部15pが形成されており、ピストンピン17が装着されるようになっている。
トップリング15tは、鋳鉄や鋼鉄などの金属で、円環状に形成され、薄幅・軽量化に耐える高強度を有している。また、トップリング15tは、高い靱性と、熱ヘタリに強い耐熱性も有している。
トップリング15tは、ピストン本体15hに装着された際、ピストン15とシリンダライナ30の摺動面部31との間のすき間を無くし、燃焼室11nから図示しないクランクケース側に圧縮ガス、すなわちブローバイガスが抜けるのを防ぐようにしている。
また、トップリング15tとシリンダライナ30の摺動面部31とが密着し、ピストン15の熱をシリンダライナ30に伝達するようにしている。
また、外周面には、窒化クロムからなる硬質皮膜を形成するコーティングや硬質クロムメッキなどの表面処理が施されており、耐摩耗性の向上が図られている。
セカンドリング15sは、トップリング15tと同様に、鋳鉄や鋼鉄などの金属で、円環状に形成され、トップリング15tの機能を補いながら、ピストン15とシリンダライナ30の摺動面部31との間の余分なオイルを掻き下げるオイルコントロール機能も有している。
オイルリング15oは、トップリング15tと同様に、鋳鉄や鋼鉄などの金属で、円環状に形成され、コイルスプリングからなる図示しないエキスパンダを有している。このエキスパンダにより、トップリング15tおよびセカンドリング15sの張力よりも高い張力がオイルリング15oに付与されるとともに、外周に溝部が形成され、オイルリング15oとシリンダライナ30の摺動面部31との接触部分を二重にして、前述のオイルコントロール機能を向上させている。
コネクティングロッド16は、軽量かつ機械的強度の高い金属からなり、一端がピストンピン17と回動可能に連結され、他端が図示しないクランクピンと連結されており、ピストン15の往復直線運動をクランクシャフトの回転運動へ変換するよう構成されている。
ピストンピン17は、ピストン本体15hの貫通孔15aに挿入され、コネクティングロッド16にピストン15の往復直線運動を伝達するようになっている。
吸気バルブ18は、例えば、マルテンサイト系の耐熱鋼からなり、吸気カムシャフト19により開閉されるようになっている。排気バルブ21も、吸気バルブ18と同様に形成され、排気カムシャフト22により開閉されるようになっている。
フューエルインジェクタ23は、燃料噴射装置の一部を構成しており、図示しない電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)により、噴射タイミングや燃料の噴射量が制御され、エンジン10の要求に応じた燃料が適宜吸気ポート13kp内に2噴射されるようになっている。
このECUは、CPU(Central Processing Unit)と、燃料噴射装置、点火装置などのエンジン10の各部の動作を実行させるためのプログラムなどが記憶されたROM(Read Only Memory)と、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)と、バッテリを電源として作動し書換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)と、A/D変換器やバッファなどの入力インターフェース回路および駆動回路などの出力インターフェース回路とを含んで構成されている。
点火装置は、シリンダ11、24、25、26毎にシリンダヘッド13に設けられており、スパークプラグと、ディストリビューターと、イグニッションコイルとを含んで構成されている。スパークプラグの電極間隙に高電圧が加えられて、火花放電が発生し、シリンダ11、24、25、26内に送り込まれた混合気が点火され、燃焼するようになっており、ECUによりエンジン回転速度や負荷の変化などに応じた最適な時期に点火されるようになっている。
次いで、本発明の実施の形態に係るシリンダライナ30を備えたシリンダブロック12の製造方法を簡単に説明する。
まず、シリンダライナ30が形成され、次いで、シリンダブロック12が形成される。
シリンダライナ30は、円筒状の素材を切削や絞り加工などの機械加工により作製してもよく、ダイカストなどの鋳造により成形加工により作製してもよい。
作製されたシリンダライナ30は、シリンダブロック12に鋳込まれる際に、シリンダライナ30とシリンダブロック12との密着性を向上させるため表面処理が施される。特に、アルミニウム合金以外の鋳鉄などの他の金属でシリンダライナ30が形成された場合には、シリンダライナ30とアルミニウム合金で形成されたシリンダブロック12とが異種金属で形成されるので、密着性を向上させるための表面処理が必要となる。例えば、シリンダライナ30に対して溶融アルミニウムに浸漬させるアルフィン処理や、アルカリ脱脂処理、溶剤脱脂処理など表面処理がなされる。
次いで、シリンダライナ30が、シリンダブロック12を鋳造する鋳型にセットされ、シリンダブロック12が鋳造される。このとき、シリンダライナ30がシリンダブロック12に鋳込まれる。シリンダブロック12の鋳造方法は、例えば、アルミ合金の溶湯に高い圧力を加えアルミ合金を鋳型に打ち込む高圧ダイキャスト鋳造であってもよく、アルミ合金の溶湯に圧力を加えずアルミ合金を鋳型に流し込むグラビティ鋳造であってもよく、シリンダブロック12を鋳造する際に使用するシリンダブロック12の模型を鋳造過程で消失させるフルモールド鋳造であってもよい。
シリンダブロック12が鋳造された後、シリンダライナ30の摺動面部31が、ホーニング加工される。具体的には、円柱の側面に設けられた複数の砥石からなるホーン工具が、シリンダライナ30に挿入され、ホーン工具の回転および往復運動により、目的とする摺動面部31の表面あらさ、寸法および形状になるようシリンダライナ30が加工される。
さらに、湯口部分やシリンダブロック12に生じたバリなどの不要な部分が除去される。
次いで、エンジン10の動作について簡単に説明する。
図1に示すエンジン10が始動すると、吸気行程、圧縮行程、爆発行程および排気行程のサイクルで、停止するまでピストン15が往復運動し、コネクティングロッド16を介して図示しないクランクシャフトに動力が伝達される。
吸入行程においては、排気行程に続いてピストン15が下降し、吸気バルブ18が開いて吸入空気が吸気ポート13kpから燃焼室11n内に吸入され、ECUの制御によりフューエルインジェクタ23から燃焼室11n内に燃料が噴射され、燃焼室11n内で混合される。
続く圧縮行程においては、ピストン15が上昇し、吸入空気と燃料との混合気が燃焼室11n内で圧縮され、温度、圧力共に上昇した状態になる。爆発行程においては、圧縮された混合気がECUの制御により点火装置が動作して燃焼が開始され、急激に燃焼ガスが膨張する。このとき吸気バルブ18および排気バルブ21が閉じているので、燃焼ガスはピストン15を押し下げつつ、さらに膨張し、ピストン15が下降しクランクシャフトに動力が伝達される。
排気行程においては、爆発行程を終ったピストン15がその慣性力で上昇し、排気バルブ21が開かれ、膨張した燃焼ガスを排気ポート13hpから大気へ排出する。
このような1サイクルが行われる間にクランクシャフトは2回転していることになる。
また、1サイクルが行われる間に、シリンダブロック12の下部に設けられた図示しないオイル噴射口から、図1の矢印で示すように、ECUにより制御された適量のオイルが上方のピストン15に向けて噴射される。このとき、ピストン15のトップリング15t、セカンドリング15sおよびオイルリング15oにオイルが供給され、各リングとシリンダブロック12のシリンダライナ30が潤滑される。
また、シリンダブロック12内のウォータージャケット12w内を流通する冷却液により、シリンダライナ30および各リングおよびピストン15が冷却される。
本実施の形態に係るシリンダライナ30は、以上説明したように構成されているので、下記の効果が得られる。
すなわち、本実施の形態に係るシリンダライナ30は、ピストン15を摺動させる摺動面部31とピストン15と非接触の非摺動面部32とを備え、摺動面部31が円筒体の内壁面で構成されるとともに、非摺動面部32が円筒体の端部30tで摺動面部31から半径方向の外方に徐々に拡径され、角度αで形成された拡径内壁傾斜面32kで構成されている。また、円筒体の端部30tが、その外壁面30gから半径方向の内方に徐々に縮径され、角度βで形成された縮径外壁傾斜面30kを有し、拡径内壁傾斜面32kと縮径外壁傾斜面30kとが交差するよう円筒体の端部30tが形成されたことを特徴としている。
その結果、シリンダライナ30が、拡径内壁傾斜面32kで構成されている非摺動面部32を有しているので、シリンダブロック12が鋳造された後、シリンダライナ30の摺動面部31がホーニング加工される際、ホーン工具が、摺動面部31のみに接触し非摺動面部32には接触しないので、摺動面部31に加工の際の傷が発生することはない。
すなわち、シリンダライナ30とシリンダブロック12との界面が、非摺動面部32に位置するので、シリンダライナ30に挿入されたホーン工具が、シリンダブロック12の内壁面と接触することがなく、従来、生じていた凝着が発生することはない。ホーン工具に凝着が発生しないので、凝着により従来生じていた傷が生ずるという問題が解消される。
したがって、本実施の形態に係るシリンダライナ30においては、本来の最適な状態でホーニング加工が行われ、目的とする摺動面部31の表面あらさ、寸法および形状に加工されるという効果が得られる。
また、シリンダライナ30の端部30tに、縮径外壁傾斜面30kが形成されているので、縮径外壁傾斜面30kに接するシリンダブロック12の鋳込み部12iが角度βを有して半径方向の内方に突出しており、従来のように鋳込み部12iが角部を有して突出していない。その結果、シリンダライナ30を支持する鋳込み部12iに集中応力が生ずることはなく、亀裂の発生が防止される構造となっている。また、鋳込み部12iの縮径外壁傾斜面30kに接蝕する部分と、シリンダブロック12のシリンダヘッドガスケット14のシール部14sとが接触する上方端面12jとの間の肉厚が充分に確保され、機械的剛性が高められているので、ピストン15の往復運動による衝撃が鋳込み部12iに加わっても、シリンダブロック12に亀裂が生ずることはない。したがって、本実施の形態に係るシリンダライナ30においては、シリンダブロック12の亀裂によるシール性の低下のおそれはなく、シリンダヘッドガスケット14のシール性が確実に維持されるという効果が得られる。
本実施の形態に係るシリンダブロック12は、以上説明したように構成されているので、下記の効果が得られる。
すなわち、シリンダライナ30が、前述のように構成されているので、シリンダブロック12にシリンダライナ30が鋳込まれて、シリンダブロック12が鋳造された後、本来の最適な状態でホーニング加工が行われ、目的とする摺動面部31の表面あらさ、寸法および形状が得られるという効果がある。また、前述のように、本実施の形態に係るシリンダブロック12においては、シリンダライナ30を支持する鋳込み部12iに集中応力が生ずることはなく、亀裂が発生することはないので、シリンダブロック12の亀裂によるシール性の低下のおそれはなく、シリンダヘッドガスケット14のシール性が確実に維持されるシリンダブロック12を提供することができるという効果が得られる。
本実施の形態に係るシリンダライナ30を備えたシリンダブロック12を、前述の構造で構成した場合について説明したが、他の構造で構成してもよい。以下、他の構造で構成した実施の形態の第1の変形例ないし第4の変形例に係るシリンダライナ130、230、330、430およびシリンダブロック112、212、312、412についてそれぞれ説明する。
図4(a)は、本発明の実施の形態の第1の変形例に係るシリンダライナ130を備えたシリンダブロック112の部分断面図であり、図4(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。
このシリンダブロック112は、シリンダライナ130が鋳込まれている以外は、実施の形態と同様に構成されている。
図4(a)、(b)に示すように、シリンダライナ130は、ピストン15を摺動させる摺動面部131とピストン15と非接触の非摺動面部132とを有している。
摺動面部131は、円筒体の内壁面で構成されるとともに、非摺動面部132は、円筒体の端部130tで、円筒体の内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面132kで構成されている。なお、摺動面部131に、オイル溜まりとなる図示しないクロスハッチングを設けることにより、オイルを保持させピストンの焼き付きを防止するとともに、シリンダライナ130およびピストン15の摩耗を少なくするようにしてもよい。
また、円筒体の端部130tは、その外壁面130gから半径方向の内方に徐々に縮径される縮径外壁傾斜面130kを有しており、非摺動面部132の拡径内壁傾斜面132kと端部130tの縮径外壁傾斜面130kとが交差するよう、拡径内壁傾斜面132kおよび縮径外壁傾斜面130kとが形成されている。
具体的には、図4(b)に示すように、非摺動面部132の拡径内壁傾斜面132kは、厚みt1で形成された円筒体の端部130tの頂部130cから下方に距離La1だけ離隔した位置から、半径方向の外方に角度α1で傾斜するよう形成されている。
端部130tの縮径外壁傾斜面130kは、端部130tの頂部130cから下方に距離Lb1だけ離隔した位置から、半径方向の内方に角度β1で傾斜するよう形成されている。そして、拡径内壁傾斜面132kと縮径外壁傾斜面130kは、頂部130cで交差している。
このシリンダライナ130は、シリンダブロック112に鋳込まれて、シリンダブロック112の鋳込み部112iと、外壁面130gおよび縮径外壁傾斜面130kで密着している。この外壁面130gには、例えば、スパイニ処理により複数の鋸状の突起が形成されており、シリンダブロック112の鋳込み部112iと、外壁面130gとの密着性が高められている。
この鋳込み部112iは、ピストン15の摺動方向の上方で開口する上端開口部112kを有しており、この上端開口部112kの開口内壁面が、半径方向の外方に徐々に拡径される開口拡径内壁傾斜面112mで構成されている。
この開口拡径内壁傾斜面112mは、シリンダライナ130の円筒体の端部130tに形成された拡径内壁傾斜面132kと略同一の傾斜面になるよう頂部130cから鋳込み部112iの上方端面112jまでの距離Lc1の間で形成され、拡径内壁傾斜面132kの角度α1と同じ角度で傾斜している。また、鋳込み部112iの上方端面112jは平坦で滑らかな表面で形成されており、シリンダヘッドガスケット14のシール部14sが当接するようになっている。
このように構成することにより、最適な状態でシリンダライナ130のホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケット14のシール性が維持される。
図5(a)は、本発明の実施の形態の第2の変形例に係るシリンダライナ230を備えたシリンダブロック212の部分断面図であり、図5(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。
このシリンダブロック212は、シリンダライナ230が鋳込まれている以外は、実施の形態と同様に構成されている。
図5(a)、(b)に示すように、シリンダライナ230は、ピストン15を摺動させる摺動面部231とピストン15と非接触の非摺動面部232とを有している。
摺動面部231は、円筒体の内壁面で構成されるとともに、非摺動面部232は、円筒体の端部230tで、円筒体の内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面232kで構成されている。
また、円筒体の端部230tは、その外壁面230gから半径方向の内方に徐々に縮径される縮径外壁傾斜面230kを有しており、非摺動面部232の拡径内壁傾斜面232kと端部230tの縮径外壁傾斜面230kとが交差するよう、拡径内壁傾斜面232kおよび縮径外壁傾斜面230kとが形成されている。
具体的には、図5(b)に示すように、非摺動面部232の拡径内壁傾斜面232kは、厚みt2で形成された円筒体の端部230tの頂部230cから下方に距離La2だけ離隔した位置から、半径方向の外方に角度α2で傾斜するよう形成されている。
端部230tの縮径外壁傾斜面230kは、端部230tの頂部230cから下方に距離Lb2だけ離隔した位置から、半径方向の内方に角度β2で傾斜するよう形成されている。そして、拡径内壁傾斜面232kと縮径外壁傾斜面230kは、頂部230cで交差している。また、縮径外壁傾斜面230kと外壁面230gとが交わる部分に曲率半径rの円弧部230rが形成されており、衝撃力の作用により生ずる応力の集中を抑制し亀裂の発生を効果的に防止するようにしている。
このシリンダライナ230は、シリンダブロック212に鋳込まれて、シリンダブロック212の鋳込み部212iと、外壁面230gおよび縮径外壁傾斜面230kで密着している。この外壁面230gには、例えば、スパイニ処理により複数の角型の凹凸状の突起が形成されており、シリンダブロック212の鋳込み部212iと、外壁面230gとの密着性が高められている。この鋳込み部212iは、ピストン15の摺動方向の上方で開口する上端開口部212kを有しており、この上端開口部212kの開口内壁面が、頂部230cから上方向に距離Lc2の間で円筒状に形成された円筒部212eを有している。
また、鋳込み部212iの上方端面212jは平坦で滑らかな表面で形成されており、シリンダヘッドガスケット14のシール部14sが当接するようになっている。
このように構成することにより、最適な状態でシリンダライナ230のホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケット14のシール性が維持される。
図6(a)は、本発明の実施の形態の第3の変形例に係るシリンダライナ330を備えたシリンダブロック312の部分断面図であり、図6(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。
このシリンダブロック312は、シリンダライナ330が円筒体としての溶射皮膜で形成されている以外は、実施の形態と同様に構成されている。
図6(a)、(b)に示すように、シリンダライナ330は、ピストン15を摺動させる摺動面部331とピストン15と非接触の非摺動面部332とを有している。
摺動面部331は、溶射皮膜の内壁面で構成されるとともに、非摺動面部332は、溶射皮膜の端部330tで、溶射皮膜の内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面332kで構成されている。
具体的には、図6(b)に示すように、非摺動面部332の拡径内壁傾斜面332kは、厚みt3で形成された溶射皮膜の上端部330jから下方に距離Ldだけ離隔した位置から、半径方向の外方に角度γで傾斜するよう形成されている。また、鋳込み部312iの上方端面312jは平坦で滑らかな表面で形成されており、この溶射皮膜の上端部330jから距離Leだけ離隔した位置にシリンダヘッドガスケット14のシール部14sが当接するようになっている。
この溶射皮膜は、燃料および酸素の燃焼や電気エネルギなどの熱源を用いて溶射材料を加熱し、溶融またはそれに近い状態にした粒子をシリンダブロック312の内壁面に吹き付ける溶射装置により形成される。例えば、ガス溶射、ガス炎を熱源とするフレーム溶射、アーク溶射、プラズマ溶射などの溶射方法により、溶射材料を溶融し溶射粒子を溶射ガンから吐出することにより行われる。この溶射材料として、例えば、アルミニウム、モリブデンなどの金属粉末、コバルトおよびクロムを含むステライト合金、クロムと鉄の合金、ニッケルとクロムの合金粉末、アルミナ、ジルコニアなどのセラミック粉末などが使用される。
このように構成することにより、シリンダブロック312が、摺動面部331および非摺動面部332に露出することはなく、最適な状態でシリンダライナ330のホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケット14のシール性が維持される。
図7(a)は、本発明の実施の形態の第4の変形例に係るシリンダライナ430を備えたシリンダブロック412の部分断面図であり、図7(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。
このシリンダブロック412は、シリンダライナ430が鋳込まれている以外は、実施の形態と同様に構成されている。
図7(a)、(b)に示すように、シリンダライナ430は、ピストン15を摺動させる摺動面部431とピストン15と非接触の非摺動面部432とを有している。
摺動面部431は、円筒体の内壁面で構成されるとともに、非摺動面部432は、円筒体の端部としてのフランジ部430fで、円筒体の内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面432kで構成されている。
具体的には、図7(b)に示すように、非摺動面部432の拡径内壁傾斜面432kは、厚みt4で形成された円筒体の上端部430jから下方に距離Lfだけ離隔した位置から、半径方向の外方に角度γ1で傾斜するよう形成されている。
フランジ部430fは、円筒体の外壁面430gから半径方向の外方に距離Lhだけ突出して形成され、厚みt5は、厚みt4とほぼ同一かそれより僅かに大きい程度で形成されている。
このシリンダライナ430は、シリンダブロック412に鋳込まれて、シリンダブロック412の鋳込み部412iと、外壁面430gおよびフランジ部430fで密着している。
また、フランジ部430fの上端部430jは平坦で滑らかな表面で形成されており、シリンダヘッドガスケット14のシール部14sが当接するようになっている。
このように構成することにより、最適な状態でシリンダライナ430のホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケット14のシール性が維持される。
本実施の形態に係るシリンダライナ30を備えたシリンダブロック12を、シリンダライナ30のシリンダヘッド13側の端部にピストン15を摺動させる摺動面部31とピストン15と非接触の非摺動面部32とを形成した場合について説明した。
しかしながら、本発明のシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックにおいては、シリンダライナを他の構造で構成してもよい。例えば、シリンダライナのシリンダヘッドと離隔する側、すなわちシリンダライナの下端部に、本実施の形態と同様に、ピストンを摺動させる摺動面部とピストンと非接触の非摺動面部とを形成してもよい。
本実施の形態に係るシリンダライナ30を備えたシリンダブロック12においては、シリンダライナ30を鋳込んでシリンダブロック12を鋳造した場合について説明した。
しかしながら、本発明のシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックにおいては、シリンダライナを鋳込む以外の方法で、シリンダブロックに設けるようにしてもよい。
例えば、シリンダライナのシリンダヘッド側、またはシリンダライナのシリンダヘッドと離隔する側からシリンダライナをシリンダブロックに圧入することにより、シリンダライナをシリンダブロックに設けてもよい。
以上のように、本発明に係るシリンダライナは、シリンダライナのホーニング加工時に、加工工具に凝着が生ずることがなく、最適な状態でホーニング加工がなされるとともに、シリンダヘッドガスケットのシール性を維持することができるシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロックを提供することができるという効果を有し、エンジンに適用されるシリンダライナおよびそれを備えたシリンダブロック全般に有用である。
本発明の実施の形態に係るシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックを含むエンジンの部分断面図である。 本発明の実施の形態に係るシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックの一部を破断した分解斜視図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係るシリンダブロックの部分断面図であり、(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態の第1の変形例に係るシリンダブロックの部分断面図であり、(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態の第2の変形例に係るシリンダブロックの部分断面図であり、(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態の第3の変形例に係るシリンダブロックの部分断面図であり、(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。 (a)は、本発明の実施の形態の第4の変形例に係るシリンダブロックの部分断面図であり、(b)は、(a)の一部を拡大した部分拡大断面図である。 (a)は、従来のシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックの部分断面図であり、(b)は、従来のシリンダライナが鋳込まれた他のシリンダブロックの部分断面図である。
符号の説明
10 エンジン
11、24、25、26 シリンダ
11n 燃焼室
12、112、212、312、412 シリンダブロック
12i、212i、312i、412i 鋳込み部
12j、212j、312j 上方端面
12k、212k 上端開口部
12m、112m 開口拡径内壁傾斜面
12o オイル戻り通路
12w ウォータージャケット
13 シリンダヘッド
14 シリンダヘッドガスケット
14s シール部
15 ピストン
30、130、230、330、430 シリンダライナ
30c、130c、230c 頂部
30g、130g、230g、330g、430g 外壁面
30k、130k、230k 縮径外壁傾斜面
30t、130t、230t、330t 端部
31、131、231、331、431 摺動面部(内壁面)
32、132、232、332、432 非摺動面部
32k、132k、232k、332k、432k 拡径内壁傾斜面
230r 円弧部
430f フランジ部
430j 上端部

Claims (4)

  1. エンジンのシリンダブロックに設けられ、ピストンを摺動させる摺動面部と前記ピストンと非接触の非摺動面部とを有するシリンダライナにおいて、
    前記摺動面部が円筒体の内壁面で構成されるとともに、前記非摺動面部が前記円筒体の端部で前記内壁面から半径方向の外方に徐々に拡径される拡径内壁傾斜面で構成され、
    前記円筒体の前記端部が、前記端部の外壁面から前記半径方向の内方に徐々に縮径される縮径外壁傾斜面を有し、前記拡径内壁傾斜面と前記縮径外壁傾斜面とが交差するよう前記円筒体の前記端部が形成されたことを特徴とするシリンダライナ。
  2. 前記円筒体が、アルミニウムを含む合金で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のシリンダライナ。
  3. 前記シリンダブロックが鋳造により形成され、前記円筒体が、シリンダブロックの鋳造の際に鋳込まれるとともに、前記円筒体の前記外壁面から前記半径方向の外方に突出する複数の突起が前記円筒体に形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリンダライナ。
  4. 前記請求項1ないし請求項3の少なくともいずれか1の請求項に記載のシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックであって、前記シリンダライナを鋳込む鋳込み部を有し、
    前記鋳込み部が、前記ピストンの摺動方向の上方で開口する上端開口部を有し、
    前記上端開口部の開口内壁面が前記半径方向の外方に徐々に拡径される開口拡径内壁傾斜面を有し、前記開口拡径内壁傾斜面が、前記シリンダライナの前記円筒体の前記端部に形成された前記拡径内壁傾斜面と略同一の傾斜面を構成することを特徴とするシリンダブロック。
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