JP2010106177A - 液晶性樹脂組成物およびその製造方法 - Google Patents

液晶性樹脂組成物およびその製造方法 Download PDF

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浩司 立川
Hideyuki Umetsu
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Abstract

【課題】液晶性樹脂組成物の精密成形時の熱滞留安定性が改良され、成形品へのブリスター発生が改善された液晶性樹脂組成物およびその製造方法が提供できる。
【解決手段】(A)液晶性ポリエステル100重量部に対して(B)充填材20〜200重量部からなる液晶性樹脂組成物100重量部に、更に(C)数平均粒子径1〜10μmの球状ヒドロキシアパタイト0.001〜0.5重量部を溶融混練やドライブレンドによって配合してなる液晶性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶性ポリエステルと無機充填材とからなる組成物に特定粒子径の球状ヒドロキシアパタイトを配合して得られる熱安定性が向上し、射出成形時のブリスター発生が改善された液晶性樹脂組成物、およびその製造方法に関するものである。
近年、液晶性ポリエステルは、その耐熱性、流動性、寸法安定性、難燃性などを活かし、電気・電子分野で用いられ、その需要が拡大している。
電気・電子分野においては、製品の小型化が加速しており、小型精密な部品を製造するために、従来の加工温度よりも高温で液晶性ポリエステルを射出成形することが多くなり、液晶性ポリエステルに対して更なる熱安定性が求められるようになっている。
しかし、これまでこのような精密成形における安定性の追求は行われていなかった。
一方、これまでに熱可塑性樹脂にヒドロキシアパタイトを配合した熱可塑性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1〜4)。
特許文献1、3には、比較例に粒子径0.4μmの板状ヒドロキシアパタイトを配合したナイロン樹脂組成物が記載されている。
特許文献2には、ポリアルキレンテレフタレートなどの熱可塑性ポリエステルに粒子径5〜200nmのヒドロキシアパタイトを配合したフィルム用の組成物が記載されている。
特許文献4には、食品に粒子径0.005〜0.5μmのヒドロキシアパタイトを配合した組成物が記載されている。
特開2007−56275号公報 特開2000−119495号公報 特開2002−33004号公報 特開2004−54925号公報
本発明は、液晶性樹脂組成物の精密成形時の熱滞留安定性が改良され、成形品へのブリスター発生が改善された液晶性樹脂組成物およびその製造方法を提供するものである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、液晶性ポリエステルに充填材を配合した液晶性樹脂組成物に、特定粒子径の球状ヒドロキシアパタイトを配合することで、特異的に精密成形安定性が改良された液晶性ポリエステルが得られることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は
(1)(A)液晶性ポリエステル100重量部に対して(B)充填材20〜200重量部からなる液晶性樹脂組成物100重量部に、更に(C)数平均粒子径1〜10μmの球状ヒドロキシアパタイト0.001〜0.5重量部を配合してなる液晶性樹脂組成物、
(2)(A)液晶性ポリエステルが下記構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)または下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)を有することを特徴とする上記(1)記載の液晶性樹脂組成物、
Figure 2010106177
(3)上記(1)または(2)記載の液晶性樹脂組成物を製造する製造方法であって、(A)液晶性ポリエステルと(B)充填材および配合する(C)球状ヒドロキシアパタイトの一部を溶融混練してなる液晶性樹脂組成物に対して残りの(C)をドライブレンドにより配合する液晶性樹脂組成物の製造方法を提供するものである。
液晶性樹脂組成物の精密成形時の熱滞留安定性が改良され、成形品へのブリスター発生が改善された液晶性樹脂組成物およびその製造方法が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明について詳述する。なお本発明において「重量」とは、「質量」を意味する。
本発明は、(A)液晶性ポリエステル100重量部に対して(B)充填材20〜200重量部からなる液晶性樹脂組成物100重量部に、更に(C)数平均粒子径1〜10μmの球状ヒドロキシアパタイト0.001〜0.5重量部を配合することを必須とする。
本発明で用いられる(A)液晶性ポリエステルとは、異方性溶融相を形成するポリエステルであり、例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、およびエチレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位を有する異方性溶融相を形成するポリエステルが挙げられる。
上記芳香族オキシカルボニル単位の具体例としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位が、芳香族ジオキシ単位の具体例としては、例えば、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3´,5,5´−テトラメチル−4,4´−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、および4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどから生成した構造単位が、芳香族ジカルボニル単位の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4´−ジカルボン酸、および4,4´−ジフェニルエーテルジカルボン酸などから生成した構造単位が、それぞれ挙げられる。
液晶性ポリエステルの具体例としては、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位を有する液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位を有する液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位を有する液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位を有する液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位を有する液晶性ポリエステル、およびp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、4,4´−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、イソフタル酸から生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位を有する液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
異方性溶融相を形成する液晶ポリエステルの好ましい例としては、下記(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位を有する液晶性ポリエステル、または、下記(I)、(II)、(III)、(V)および(VI)の構造単位を有する液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
特に好ましいのは、下記構造単位(I)、(II)、(III)、(V)および(VI)を有する液晶性ポリエステルである。
Figure 2010106177
上記構造単位(I)、(II)、(III) および(IV)を有する共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(IV)の合計に対して50〜90モル%では耐熱性、成形性が良好となるため好ましく、60〜85モル%においては本発明の効果であるブリスター低減効果が顕著に得られるためより好ましい。また、構造単位(IV)は構造単位(I)、(II)および(IV)の合計に対して50〜10モル%では、長期耐熱性が高くなるため好ましく、40〜15モル%では本発明の効果である熱安定性の向上効果が顕著に得られるためより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は75/25〜95/5であることが耐熱性、成形性のバランスが良いため好ましく、78/22〜93/7である場合には本発明の効果であるブリスター低減効果と熱安定性の向上効果が共に顕著に得られるためより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(II)および(IV)の合計と等モルであることが好ましい。等モルである場合には、熱安定性の向上効果が高くなるため好ましい。
上記構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)を有する共重合体の場合は構造単位(I)は構造単位(I)、(II)および(V)の合計に対して65〜80モル%である場合に成形可能性が良くなるため好ましく、68〜75モル%である場合には本発明の効果である熱安定性の向上効果が顕著に得られより好ましい。また、構造単位(II)は構造単位(II)および(V)の合計に対して60〜75モル%である場合にウェルド強度が高く、流動性に優れるため好ましく、65〜73モル%の場合に本発明の効果であるブリスター低減効果がより顕著に得られるためにより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(III)および(VI)の合計に対して60〜92モル%でる場合に耐熱性と成形性のバランスの良い液晶性樹脂組成物が得られ好ましく、60〜70モル%である場合には本発明の効果が顕著に得られるため好ましく、特に、構造単位(III)が構造単位(III)および(VI)の合計に対して62〜68モル%である場合には、本発明の特性である熱安定性とブリスター低減効果がバランス良く発現するため特に好ましい。
構造単位(II)および(V)の合計と(III)および(VI)の合計は等モルであることが好ましい。等モルである場合には、熱安定性の向上効果が高くなるため好ましい。
上記好ましく用いられる液晶ポリエステルは、上記構造単位(I) 〜(VI)を構成する成分以外に、3,3´−ジフェニルジカルボン酸、2,2´−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニル、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4´−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4´−ジヒドロキシビフェニルなどの芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−アミノフェノールなどを、液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法には特に制限がなく、公知の重縮合法に準じて製造できる。具体的には、次のような方法が挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4´−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンとテレフタル酸、イソフタル酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンとテレフタル酸、イソフタル酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸およびテレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法が好ましい。
さらに、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンの合計使用量とテレフタル酸およびイソフタル酸の合計使用量は、実質的に等モルであることが好ましい。無水酢酸の使用量は、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4´−ジヒドロキシビフェニルおよびハイドロキノンのフェノール性水酸基の合計の1.15当量以下であることが好ましく、1.10当量以下であることがより好ましく、下限については1.0当量以上であることが好ましい。
本発明における液晶性ポリエステルを脱酢酸重縮合反応により製造する際に、液晶性ポリエステルが溶融する温度で減圧下反応させ、重縮合反応を完了させる溶融重合法が好ましい。例えば、所定量のp−ヒドロキシ安息香酸および4,4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、テレフタル酸、イソフタル酸、無水酢酸を攪拌翼、留出管を備え、下部に吐出口を備えた反応容器中に仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら加熱し水酸基をアセチル化させた後、液晶性ポリエステルの溶融温度まで昇温し、減圧により重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。アセチル化させる条件は、通常130〜300℃の範囲、好ましくは135〜200℃の範囲で通常1〜6時間、好ましくは140〜180℃の範囲で2〜4時間反応させる。重縮合させる温度は、液晶性ポリエステルの溶融温度、例えば、250〜350℃の範囲であり、好ましくは液晶性ポリエステルの融点+10℃以上の温度である。重縮合させるときの減圧度は通常0.1mmHg(13.3Pa)〜20mmHg(2660Pa)であり、好ましくは10mmHg(1330Pa)以下、より好ましくは5mmHg(665Pa)以下である。なお、アセチル化と重縮合は同一の反応容器で連続して行っても良いが、アセチル化と重縮合を異なる反応容器で行っても良い。
得られたポリマーは、それが溶融する温度で反応容器内を例えば、およそ1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、反応容器下部に設けられた吐出口よりストランド状に吐出することができる。溶融重合法は均一なポリマーを製造するために有利な方法であり、ガス発生量がより少ない優れたポリマーを得ることができ、好ましい。
本発明における液晶性ポリエステルを製造する際に、固相重合法により重縮合反応を完了させることも可能である。例えば、本発明の液晶性ポリエステルのポリマーまたはオリゴマーを粉砕機で粉砕し、窒素気流下、または、減圧下、液晶性ポリエステルの融点−5℃〜融点−50℃(例えば、200〜300℃)の範囲で1〜50時間加熱し、所望の重合度まで重縮合し、反応を完了させる方法が挙げられる。固相重合法は高重合度のポリマーを製造するための有利な方法である。
液晶性ポリエステルの重縮合反応は無触媒でも進行するが、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグネシウムなどの金属化合物を使用することもできる。
本発明における液晶性ポリエステルは、数平均分子量は3,000〜25,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜20,000、より好ましくは8,000〜18,000の範囲である。
なお、この数平均分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒を使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定することが可能である。
また、本発明における液晶性ポリエステルの溶融粘度は1〜200Pa・sが好ましく、10〜200Pa・sがより好ましく、さらには10〜100Pa・sが特に好ましい。
なお、この溶融粘度は液晶性ポリエステルの融点+10℃の条件で、ずり速度1,000/sの条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
なお、本発明では、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
本発明における(B)充填材とは、無機または有機充填材を任意に選択できる。例えば繊維状、板状、粉末状、粒状などの充填材を使用することができる。具体的には、ガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維や液晶性ポリエステル繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填材、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、ガラスビーズ、ガラスフレーク、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、酸化チタン、酸化亜鉛、ポリリン酸カルシウムおよび黒鉛などの粉状、粒状あるいは板状の充填材が挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
これら充填材のなかで特にガラス繊維が入手性、機械的強度のバランスの点から好ましく使用される。ガラス繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものならば特に限定はなく、例えば、長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランドおよびミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。本発明で使用されるガラス繊維としては、弱アルカリ性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。特に酸化ケイ素含有量が50〜80重量%のガラス繊維が好ましく用いられ、より好ましくは65〜77重量%のガラス繊維である。また、ガラス繊維はエポキシ系、ウレタン系、アクリル系などの被覆あるいは収束剤で処理されていることが好ましく、エポキシ系が特に好ましい。またシラン系、チタネート系などのカップリング剤、その他表面処理剤で処理されていることが好ましく、エポキシシラン、アミノシラン系のカップリング剤が特に好ましい。
なお、ガラス繊維は、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
充填材の配合量は、液晶性ポリエステル100重量部に対し、通常20〜200重量部である場合に液晶性樹脂組成物の精密成形性と機械物性のバランスがとれ、かつ本願発明の効果である熱安定性向上効果や低ブリスター効果が発現し、25〜150重量部である場合には、熱安定性向上効果が顕著に得られるため好ましい。
本発明では、上記(A)液晶性ポリエステルと(B)充填材からなる液晶性樹脂組成物100重量部に対し、更に(C)数平均粒子径1〜10μmの球状ヒドロキシアパタイトを配合するものである。
ここでいう球状とは、長径/短径の比で算出されるアスペクト比が0.96〜1.04の真球度の高い形状をいい、より好ましくはアスペクト比が0.98〜1.02である。
アスペクト比は、組成物の任意断面の電子顕微鏡観察により、任意の50個の粒子について長径及び短径を測定し算出することで得られる。
粒子が球状であることによって、液晶性樹脂組成物の成形性に影響を与えることなく、その広い表面積に起因すると考えられるブリスター低減効果を顕著に発揮する。板状や不定形粒子の球状以外の形状では、液晶性樹脂組成物に要求される精密成形性に対して、流動性の低下や、成形安定性を乱したりといった悪影響がおこり好ましくない。
ここでいう平均粒子径とは、数平均粒子径のことをいい。例えば、組成物を焼成した灰分を沈降法によってヒドロキシアパタイトと充填材を分離し、その後レーザー回折式粒度分布計において測定したり、組成物の任意断面の電子顕微鏡観察により、任意の50個の粒子について長径を測定し算出することで得られる。
数平均粒子径が1〜10μmの特定範囲において、液晶性樹脂の成形性に悪影響を与えることなく、ブリスター低減効果が顕著に得られ、数平均粒子径が3〜9μmの際に好ましい。
数平均粒子径が1μm未満では、ナノ効果によるチクソ性が発現するためと考えられるが、液晶性樹脂の成形流動性を低下する上に、表面自由エネルギーが高くなり、凝集が生じてブリスター低減効果が低下するため好ましくない。また数平均粒子径が10μm超においては、液晶性樹脂の精密成形における薄肉部は100μm弱しかないため、大きな粒子が流路を塞ぎ未充填不良などを引き起こすだけでなく、表面積の低下によるブリスター低減効果も減少するために好ましくない。
本発明におけるヒドロキシアパタイト(Ca10(PO(OH))とは、水酸化カルシウムとリン酸カルシウムとの複塩であり、ミョウバンと硫酸アルミニウムが異なる化合物であるのと同様に、リン酸カルシウムとは明確に区別される。
ヒドロキシアパタイトの合成法としては、固相でリン酸三カルシウムと酸化カルシウムとを水蒸気雰囲気下で反応させたり、リン酸二カルシウムと炭酸カルシウムとを反応させる乾式法、リン酸二カルシウムの2水和物をオートクレーブ中で加水分解して合成する水熱法、水酸化カルシウム等の懸濁液やカルシウム成分の溶液にリン酸成分を加えて沈殿させる湿式法がなどが合成法として挙げられるが、本発明におけるヒドロキシアパタイト粒子の合成は、湿式法が好ましく採用される。また、合成した粒子を直接に用いてもよいが、合成後必要により焼成することもできる。
(A)液晶性ポリエステルと(B)充填材からなる液晶性樹脂組成物100重量部に対し、(C)数平均粒子径1〜10μmの球状ヒドロキシアパタイトの配合量は、0.001〜0.5重量部であるが、好ましくは0.005〜0.1重量部であり、更に好ましくは0.01〜0.05重量部である。この特定配合量においては、液晶性樹脂の精密成形性に影響を与えることなく、熱安定性の向上効果やブリスター低減効果が顕著に得られ好ましい。配合量が0.001重量部未満では、ブリスター低減効果が得られず、配合量が0.5重量部超では液晶性樹脂の精密成形の安定性に悪影響が生じるため好ましくない。
本発明の液晶性樹脂組成物には、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート)、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、滑剤および離型剤(モンタン酸およびその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料および顔料を含む着色剤、導電剤あるいは着色剤としてカーボンブラック、結晶核剤、可塑剤、難燃剤(臭素系難燃剤、燐系難燃剤、赤燐、シリコーン系難燃剤など)、難燃助剤、および帯電防止剤などの通常の添加剤、熱可塑性樹脂以外の重合体を配合して、所定の特性をさらに付与することができる。
本発明の液晶性樹脂組成物に任意の充填材、添加剤を配合する方法としては、特に限定されるものではなく、ドライブレンドや溶液配合法、液晶性ポリエステルの重合時添加、溶融混練などが用いることができ、ドライブレンドや溶融混練が好ましく、これらを併用することもできる。併用の方法としては、ドライブレンドして更に溶融混練するまたは、配合するヒドロキシアパタイトの一部を溶融混練により配合し、残りをドライブレンドによる配合することもでき、配合するヒドロキシアパタイトの1〜99wt%を溶融混練により配合し、1〜99wt%をドライブレンドによる配合することが好ましく、配合するヒドロキシアパタイトの10〜60wt%を溶融混練により配合し、40〜90wt%をドライブレンドによる配合することがより好ましい。
ドライブレンドした場合には、液晶性樹脂組成物の表面にヒドロキシアパタイト粒子が存在することにより、例えば射出成形における計量時の滑りを抑制し、計量安定性が向上し、ひいては成形サイクルの更なる安定化が得られ好ましい。
溶融混練した場合には、溶融混練時にもヒドロキシアパタイトにより、液晶性ポリエステルの熱安定性が向上し、成形時のブリスター抑制効果がより顕著になるため好ましい。
一部を溶融混練し、残りをドライブレンドした場合には、成形サイクルの安定化とブリスター抑制効果が共に発揮されて好ましい。
溶融混練には公知の方法を用いることができる。たとえば、バンバリーミキサー、ゴムロール機、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機などを用い、液晶性ポリエステルの融点−30℃〜融点+50℃以下で溶融混練して樹脂組成物とすることができる。中でも、二軸押出機が好ましく、温度としては、融点±10℃が更に好ましい。
混練方法としては、1)液晶性ポリエステル、充填材、ヒドロキシアパタイト、任意成分であるその他の添加剤との一括混練法、2)まず液晶性ポリエステルにヒドロキシアパタイトや任意成分であるその他の添加剤を高濃度に含む液晶性ポリエステル組成物(マスターペレット)を作成し、次いで規定の濃度になるように液晶性ポリエステル、充填材、残りのヒドロキシアパタイトおよびその他の添加剤を添加する方法(マスターペレット法)、3)液晶性ポリエステルとヒドロキシアパタイトの一部を一度混練し、ついで残りの充填材、ヒドロキシアパタイト、任意成分であるその他の添加剤を添加する分割添加法など、どの方法を用いてもかまわない。
かくして得られる本発明の液晶性樹脂組成物は、精密成形性に優れており、熱安定性が向上しており、成形時のブリスター発生が抑制されている。
本発明の液晶性樹脂組成物は、通常の射出成形、押出成形、プレス成形などの成形方法によって、優れた表面外観(色調)および機械的性質、耐熱性を有する成形品に加工することが可能である。
ここでいう成形品としては、射出成形品、押出成形品、プレス成形品、シート、パイプ、フィルム、繊維などが挙げられ、特に射出成形品とした場合に流動性などの本発明の効果が顕著に得られ好ましく、0.1mm以下の薄肉部を有する射出成形では特にその精密成形性が活かされる。得られる成形品はブリスター抑制などの本発明の効果が顕著に得られ好ましい。
このようにして得られた液晶性樹脂組成物からなる成形品は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、エアコン用モーターインシュレーター、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプベゼル、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。フィルムとして用いる場合は磁気記録媒体用フィルム、写真用フィルム、コンデンサー用フィルム、電気絶縁用フィルム、包装用フィルム、製図用フィルム、リボン用フィルム、シート用途としては自動車内部天井、ドアトリム、インストロメントパネルのパッド材、バンパーやサイドフレームの緩衝材、ボンネット裏等の吸音パット、座席用材、ピラー、燃料タンク、ブレーキホース、ウインドウオッシャー液用ノズル、エアコン冷媒用チューブおよびそれらの周辺部品に有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳述するが、本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。
液晶性ポリエステル(A)
(参考例1)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸870g(6.300モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル327g(1.890モル)、ハイドロキノン89g(0.810モル)、テレフタル酸292g(1.755モル)、イソフタル酸157g(0.945モル)および無水酢酸1367g(フェノール性水酸基合計の1.03当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、320℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を320℃に保持し、1.0時間で1.0mmHg(133Pa)に減圧し、更に90分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を1.0kg/cm2(0.1MPa)に加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−1)はp−オキシベンゾエート単位(I)がp−オキシベンゾエート単位(I)、4,4´−ジオキシビフェニル単位(II)および1,4−ジオキシベンゼン単位(V)の合計に対して70モル%、4,4´−ジオキシビフェニル単位(II)が4,4´−ジオキシビフェニル単位(II)および1,4−ジオキシベンゼン単位(V)の合計に対して70モル%、テレフタレート単位(III)がテレフタレート単位(III)およびイソフタレート単位(VI)の合計に対して65モル%からなり、構造単位(II)および(V)の合計と(III)および(IV)の合計は等モルである。Tm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃、液晶開始温度295℃で、数平均分子量12,000であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度324℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
なお、融点(Tm)は示差熱量測定において、ポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2)とした。
また、分子量は液晶性ポリエステルが可溶な溶媒であるペンタフルオロフェノールを使用してGPC−LS(ゲル浸透クロマトグラフ−光散乱)法により測定し、数平均分子量を求めた。
(参考例2)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994g(7.20モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を338.7g(1.80モル)、および無水酢酸965g(フェノール性水酸基合計の1.05当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、330℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を330℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−2)はp−オキシベンゾエート単位(I)が80モル%、6−オキシ−2−ナフタレート単位が20モル%であり、Tm(液晶性ポリエステルの融点)は320℃、液晶開始温度298℃で、数平均分子量11,100であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度330℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が20Pa・sであった。
(参考例3)
攪拌翼、留出管を備えた5Lの反応容器にp−ヒドロキシ安息香酸994重量部(7.20モル)、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部(0.67モル)、テレフタル酸112重量部(0.67モル)、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部(1.12モル)及び無水酢酸960重量部(フェノール性水酸基合計の1.10当量)を仕込み、窒素ガス雰囲気下で攪拌しながら145℃で2時間反応させた後、325℃まで4時間で昇温した。その後、重合温度を325℃に保持し、0.1MPaに窒素加圧し、20分間加熱撹拌した。その後、放圧し1.0時間で133Paに減圧し、更に120分間反応を続け、トルクが12kg・cmに到達したところで重縮合を完了させた。次に反応容器内を0.1MPaに加圧し、直径10mmの円形吐出口を1ケ持つ口金を経由してポリマーをストランド状物に吐出し、カッターによりペレタイズした。
この液晶性ポリエステル(A−3)はp−オキシベンゾエート単位(I)と4,4’−ジオキシビフェニル単位(II)の合計がp−オキシベンゾエート単位(I)と4,4’−ジオキシビフェニル単位(II)とエチレン時オキシ単位(IV)の合計に対して80モル%、エチレンジオキシ単位(IV)がp−オキシベンゾエート単位(I)と4,4’−ジオキシビフェニル単位(II)とエチレン時オキシ単位(IV)の合計に対して12.5モル%であり、p−オキシベンゾエート単位(I)の4,4’−ジオキシビフェニル単位(II)に対するモル比[(I)/(II)]は10.75であり、構造単位(III)は構造単位(II)および(IV)の合計と等モルである。Tm(液晶性ポリエステルの融点)は314℃、液晶開始温度292℃で、数平均分子量11,100であり、高化式フローテスター(オリフィス0.5φ×10mm)を用い、温度325℃、剪断速度1000/sで測定した溶融粘度が12Pa・sであった。
充填材(B)
B−1 日本電気硝子製 Eガラスチョップドストランド(ECS−03T747H)。
B−2 山口雲母工業所製 マイカ(ミカレット)
B−3 日本タルク製 タルク(NK64)。
ヒドロキシアパタイト(C)
C−1 サンギ製ヒドロキシアパタイト(SP−1):球状、数平均粒子径8.6μm
C−2 太平化学産業製ヒドロキシアパタイト(HAP−500):板状、数平均粒子径0.4μm
C−3 撹拌機を有するSUS316L製の内容量5lの反応容器に、10重量% Ca(OH)水性スラリー1000gを仕込み、50重量%リン酸水溶液をpH11.5になるまで100分かけて滴下した。更に10重量% Ca(OH)2300gを200分かけて滴下した。その際50重量%リン酸水溶液360gを内容液のpH11.5を保つように調節しながら同時に滴下した。50℃で1時間熟成を行い反応を終了した。得られたスラリーの濾過、水洗、乾燥を行い、数平均粒子径1.4μmの球状ヒドロキシアパタイトを得た。
C−4 C−3の反応pH11.5を7.5へ変えた以外は同条件で、同様の操作をし、数平均粒径が11.1μmの球状ヒドロキシアパタイトを得た。
C−5 C−3の反応pH11.5を12へ変えた以外は同条件で、同様の操作をし、数平均粒径が0.1μmの球状ヒドロキシアパタイトを得た。
C−6 C−3の反応pH11.5を9.5へ変えた以外は同条件で、同様の操作をし、数平均粒径が5μmの球状ヒドロキシアパタイトを得た。
C−7 特開平09−40408公報明細書中比較例2の製造方法に従い製造した数平均粒子径8μmの板状ヒドロキシアパタイト。
(実施例1〜11)、(比較例1〜11)
東芝機械製TEM35B型2軸押出機(噛み合い型同方向)に、液晶性ポリエステル(A−1〜A−3)100重量部をホッパーから投入し、表1に示す配合量の充填材(B−1〜B−3)および必要に応じてヒドロキシアパタイト(C−1〜C−7)をサイドから投入し、シリンダー温度を熱可塑性樹脂の融点+5℃に設定し、溶融混練してペレットとした。
溶融混練して得たペレットに表1に示した配合量でヒドロキシアパタイト(C−1)をドライブレンドした。
得られた組成物ペレットを熱風乾燥後、ファナックα30C射出成形機(ファナック製)に供し成形品を得て、下記(1)〜(3)の評価を行った。結果は表1および表2に示す。
(1)熱安定性
ファナック社製ロボショットα30C電動射出成形機を用い、幅12.7mm×長さ150mm×0.3mm厚の棒状試験片を得た。この試験片を200℃オーブン中で乾熱処理を200時間行い、ASTM D790−07に従って、処理前と処理後各5検体の曲げ強度を測定し、その平均値を算出して、処理前に対する処理後の強度保持率を評価した。
(2)成形安定性
ファナック社製ロボショットα30C電動射出成形機を用い、最小肉厚部0.1mmtの1.2ccの容積のコネクター金型を用い、1000ショット連続成形を行い、射出ピーク圧の変動を観察し、変動幅に相当する最大ピーク圧と最小ピーク圧の差を平均ピーク圧で除し100倍した値(変動率)を評価した。
(3)ブリスター
(2)の成形において、得たコネクター1000個についてブリスター(ふくれ)の有無を実体顕微鏡観察で評価した。
(4)数平均粒子径
(1)で得た成形品の中央付近を切削し、走査型電子顕微鏡観察により、断面に存在する任意の50個の粒子について長径を測定し、数平均粒子径を算出した。
Figure 2010106177
Figure 2010106177
表1および表2に示したように、本願の液晶性組成物は、極めて熱安定性に優れ、精密成形安定性が高く、さらにブリスターがほとんど発生しないため、高信頼の射出成形品が得られることがわかる。
また、その効果は、充填材の特定量を配合した液晶性樹脂組成物に、球状の特定粒子径のヒドロキシアパタイトを特定量配合した時にだけ発現する特異的なものであることがわかる。

Claims (3)

  1. (A)液晶性ポリエステル100重量部に対して(B)充填材20〜200重量部からなる液晶性樹脂組成物100重量部に、更に(C)数平均粒子径1〜10μmの球状ヒドロキシアパタイト0.001〜0.5重量部を配合してなる液晶性樹脂組成物。
  2. (A)液晶性ポリエステルが下記構造単位(I)、(II)、(III)、(V)、(VI)または下記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)を有することを特徴とする請求項1記載の液晶性樹脂組成物。
    Figure 2010106177
  3. 請求項1または2記載の液晶性樹脂組成物を製造する製造方法であって、(A)液晶性ポリエステルと(B)充填材および配合する(C)球状ヒドロキシアパタイトの一部を溶融混練してなる液晶性樹脂組成物に対して残りの(C)をドライブレンドにより配合する液晶性樹脂組成物の製造方法。
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