JP2010103203A - 薄膜トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

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桂 平井
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礼子 小渕
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Abstract

【課題】半導体のプロセス耐性が向上し、且つ、生産効率が向上した薄膜トランジスタの製造方法を提供し、且つ、該製造方法により製造された半導体特性の安定した薄膜トランジスタを提供する。
【解決手段】基体上に少なくとも、ゲート電極、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、該酸化物半導体層に接する保護層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、該保護層が塗布法により形成される工程を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、酸化物半導体を用いたプロセス耐性に強く生産効率の高い薄膜トランジスタの製造方法またそれにより得られる安定性の高い薄膜トランジスタに関する。
酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタの技術が開示されている(例えば、特許文献1〜3及び非特許文献1参照。)。
これら酸化物半導体を用いた薄膜トランジスタ(TFT)は、前駆体の熱酸化法等により簡便容易に高性能の半導体薄膜が得られることに特徴がある。
しかしながら、高性能を示す反面、大気中での素子の保存安定性や、半導体膜のプロセス耐性(特に、保護層を形成する際に用いるプラズマCVDに対するプラズマ耐性)に課題があり、これらの特性の大幅な改善が要望されていた。
特開2006−165527号公報 特開2006−165528号公報 特開2007−73705号公報 IDW’07(International Display Workshop 2007) p1783
本発明の目的は、半導体のプロセス耐性が向上し、且つ、生産効率が向上した薄膜トランジスタの製造方法を提供し、且つ、該製造方法により製造された半導体特性の安定した薄膜トランジスタを提供することである。
本発明の上記目的は下記の構成により達成された。
1.基体上に少なくとも、ゲート電極、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、該酸化物半導体層に接する保護層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、
該保護層が塗布法により形成される工程を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
2.前記保護層が金属酸化物を含有することを特徴とする前記1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
3.前記保護層がポリマーを含有することを特徴とする前記1または2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
4.前記酸化物半導体層が、酸化物半導体または該酸化物半導体の前駆体の溶液または分散液の塗布膜から形成される工程を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
5.電極の少なくとも一つが流動性電極材料から形成される工程を有することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法により製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
本発明により、半導体のプロセス耐性が向上し、且つ、生産効率が向上した薄膜トランジスタの製造方法を提供し、且つ、該製造方法により、半導体特性の安定した薄膜トランジスタを得ることができた。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法においては、請求項1〜5のいずれか1項に記載の構成により、半導体のプロセス耐性が向上し、且つ、生産効率が向上した薄膜トランジスタの製造方法を提供することができた。また、該製造方法により、半導体特性の安定した薄膜トランジスタを提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらにより限定されない。
《薄膜トランジスタの製造方法》
本発明の薄膜トランジスタの製造方法について説明する。
本発明の薄膜トランジスタの製造方法は、基体上に少なくとも、ゲート電極、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、該酸化物半導体層に接する保護層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、該保護層が塗布法により形成される工程を有することを特徴とする。
ここで、薄膜トランジスタの製造方法に係る保護層の形成材料、保護層の形成方法について説明する。
《保護層の構成材料及び保護層の形成方法》
本発明において保護層として用いられる材料としては、金属酸化物、金属窒化酸化物、金属窒化物、有機ポリマー等が挙げられる。このような保護層を有することにより、有機薄膜トランジスタの耐久性が向上する。
金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、窒化酸化ケイ素等が挙げられる。
本発明に係る保護層の形成は、塗布法(ウェットプロセス等ともいう)により行われ、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法等が好ましい方法として挙げられる。
中でも、保護層の成膜によりチャネル間距離が規制されるので、精度のよいパターニングを行えることが好ましい。従って、ウェットプロセスを用いる場合にはインクジェット方式、中でも、静電吸引方式のインクジェット装置が描画の精度がよく、高細精なパターンを形成できるので好ましい。
また、成膜後、加熱処理(例えば、マイクロ波照射等)が施され、保護層が形成される。
特に金属酸化物、窒化物等の場合、ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤またはは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を用い、塗布または印刷・乾燥する方法や、加水分解重縮合により金属酸化物、窒化物等を形成する金属酸化物前駆体材料等を塗布し形成する方法、例えば金属アルコキシド体の加水分解重縮合物の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法等が用いられ好ましい。
ケイ素酸化物(シリカ)の場合には、テトラアルコキシシラン中でもテトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類、シラザン類、またペルヒドロポリシラザン等が好ましく用いられる。また、ペルヒドロポリシラザンのごとく大気中の水分等と反応(加水分解重縮合)してシリカに転化する有機溶媒系の材料等が特に好ましい(例えばAZエレクトロニックマテリアルズ社製アクアミカ(登録商標))。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等を用いることもできる。ポリマー皮膜はポリマー材料の溶液、分散液等をやはり塗布、印刷する等の方法で成膜することができる。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら保護層の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
これら金属化合物の加水分解またその重縮合により形成される塗布型の保護層は、従来のスパッタ法、またプラズマCVD等により形成されたものに比べると半導体層に対する影響が少なく保護性能が向上し、薄膜トランジスタの性能劣化、又そのバラツキがさらに少ないことが判った。
また、本発明の薄膜トランジスタ素子の製造方法においては、酸化物半導体層上に、保護層を形成したのち、ソース電極またはドレイン電極を形成することが好ましい。
尚、酸化物半導体層、ソース電極、ドレイン電極等については、後に詳細に説明する。
本発明に係る保護層の形成に好ましく用いられる液体吐出装置について説明する。
(液体吐出装置)
以下、本発明に係る液体吐出装置として好ましく用いられる、液体吐出ヘッドおよびそれを用いた液体吐出装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明に好ましく用いられる帯電させた液滴を吐出する液体吐出装置の全体構成を示す断面図である。なお、本発明の液体吐出ヘッド2は、いわゆるシリアル方式或いはライン方式等の各種の液体吐出装置に適用可能である。
本実施形態の液体吐出装置1は、インク等の帯電可能な液体Lの液滴Dを吐出するノズル10が形成された液体吐出ヘッド2と、液体吐出ヘッド2のノズル10に対向する対向面を有するとともにその対向面で液滴Dの着弾を受ける基材Kを支持する対向電極3とを備えている。
液体吐出ヘッド2の対向電極3に対向する側には、複数のノズル10を有する樹脂製のノズルプレート11が設けられている。液体吐出ヘッド2は、ノズルプレート11の対向電極3に対向する吐出面12からノズル10が突出されない、或いは前述したようにノズル10が30μm程度しか突出しないフラットな吐出面を有するヘッドとして構成されている(例えば、後述する図2(D)参照)。
各ノズル10は、ノズルプレート11に穿孔されて形成されており、各ノズル10には、それぞれノズルプレート11の吐出面12に吐出孔13を有する小径部14とその背後に形成されたより大径の大径部15との2段構造とされている。
本実施形態では、ノズル10の小径部14および大径部15は、それぞれ断面円形で対向電極側がより小径とされたテーパ状に形成されており、小径部14の吐出孔13の内部直径(以下、ノズル径という。)が10μm、大径部15の小径部14から最も離れた側の開口端の内部直径が75μmとなるように構成されている。
尚、ノズル10の形状は前記の形状に限定されず、例えば、図2(A)〜(E)に示すように、形状が異なる種々のノズル10を用いることが可能である。
また、ノズル10は、断面円形状に形成する代わりに、断面多角形状や断面星形状等であってもよい。
ノズルプレート11の吐出面12と反対側の面には、例えばNiP等の導電素材よりなりノズル10内の液体Lを帯電させるための帯電用電極16が層状に設けられている。本実施形態では、帯電用電極16は、ノズル10の大径部15の内周面17まで延設されており、ノズル内の液体Lに接するようになっている。
また、帯電用電極16は、静電吸引力を生じさせる静電電圧を印加する静電電圧印加手段としての帯電電圧電源18に接続されており、単一の帯電用電極16がすべてのノズル10内の液体Lに接触しているため、帯電電圧電源18から帯電用電極16に静電電圧が印加されると、全ノズル10内の液体Lが同時に帯電され、液体吐出ヘッド2と対向電極3との間、特に液体Lと基材Kとの間に静電吸引力が発生されるようになっている。
帯電用電極16の背後には、ボディ層19が設けられている。ボディ層19の前記各ノズル10の大径部15の開口端に面する部分には、それぞれ開口端にほぼ等しい内径を有する略円筒状の空間が形成されており、各空間は、吐出される液体Lを一時貯蔵するためのキャビティ20とされている。
ボディ層19の背後には、可撓性を有する金属薄板やシリコン等よりなる可撓層21が設けられており、可撓層21により液体吐出ヘッド2が外界と画されている。
尚、ボディ層19には、キャビティ20に液体Lを供給するための図示しない流路が形成されている。
具体的には、ボディ層19としてのシリコンプレートをエッチング加工してキャビティ20、共通流路、および共通流路とキャビティ20とを結ぶ流路が設けられており、共通流路には、外部の図示しない液体タンクから液体Lを供給する図示しない供給管が連絡されており、供給管に設けられた図示しない供給ポンプにより或いは液体タンクの配置位置による差圧により流路やキャビティ20、ノズル10等の液体Lに所定の供給圧力が付与されるようになっている。
可撓層21の外面の各キャビティ20に対応する部分には、各々圧力発生手段としての圧電素子アクチュエータであるピエゾ素子22が設けられ、ピエゾ素子22には、素子に駆動電圧を印加して素子を変形させるための駆動電圧電源23が接続されている。
ピエゾ素子22は、駆動電圧電源23からの駆動電圧の印加により変形して、ノズル内の液体Lに圧力を生じさせてノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成させるようになっている。
尚、圧力発生手段は、本実施形態のような圧電素子アクチュエータのほかに、例えば、静電アクチュエータやサーマル方式等を採用することも可能である。
駆動電圧電源23及び帯電用電極16に静電電圧を印加する前記帯電電圧電源18は、それぞれ動作制御手段24に接続されており、それぞれ動作制御手段24による制御を受けるようになっている。
動作制御手段24は、本実施形態では、CPU25やROM26、RAM27等が図示しないBUSにより接続されて構成されたコンピュータからなっており、CPU25は、ROM26に格納された電源制御プログラムに基づいて帯電電圧電源18及び各駆動電圧電源23を駆動させてノズル10の吐出孔13から液体Lを吐出させる。
なお、本実施形態では、液体吐出ヘッド2のノズルプレート11の吐出面12には、吐出孔13からの液体Lの滲み出しを抑制するための撥液層28が吐出孔13以外の吐出面12全面に設けられている。
撥液層28は、例えば、液体Lが水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体Lが油性であれば撥油性を有する材料が用いられるが、一般に、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布や蒸着等の方法で吐出面12に成膜されている。
尚、撥液層28は、ノズルプレート11の吐出面12に直接成膜してもよいし、撥液層28の密着性を向上させるために中間層を介して成膜することも可能である。
液体吐出ヘッド2の下方には、基材Kを支持する平板状の対向電極3が液体吐出ヘッド2の吐出面12に平行に所定距離離間されて配置されている。対向電極3と液体吐出ヘッド2との離間距離は、0.1mm〜3mm程度の範囲内で適宜設定される。
本実施形態では、対向電極3は接地されており、常時接地電位に維持されている。そのため、前記帯電電圧電源18から帯電用電極16に静電電圧が印加されると、ノズル10の吐出孔13の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界が生じるようになっている。
また、帯電した液滴Dが基材Kに着弾すると、対向電極3はその電荷を接地により逃がすようになっている。
尚、対向電極3または液体吐出ヘッド2には、液体吐出ヘッド2と基材Kとを相対的に移動させて位置決めするための図示しない位置決め手段が取り付けられており、これにより液体吐出ヘッド2の各ノズル10から吐出された液滴Dは、基材Kの表面に任意の位置に着弾させることが可能とされている。
液体吐出装置1による吐出を行う液体Lとしては、液体吐出装置により酸化物半導体の前駆体薄膜を形成する場合には、前駆体溶液が、水またはアルコール類を50質量%以上含有することが好ましい。
但し、薄膜トランジスタのその他の構成層の形成については、例えば、無機液体としては、水、COCl、HBr、HNO、HPO、HSO、SOCl、SOCl、FSOHなどを用いてもよく、有機液体としては、メタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどのアルコール類;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾールなどのフェノール類;ジオキサン、フルフラール、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エピクロロヒドリンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−4−ペンタノン、アセトフェノンなどのケトン類;ギ酸、酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸などの脂肪酸類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸−3−メトキシブチル、酢酸−n−ペンチル、プロピオン酸エチル、乳酸エチル、安息香酸メチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、炭酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、セロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、アセト酢酸エチル、シアノ酢酸メチル、シアノ酢酸エチルなどのエステル類;ニトロメタン、ニトロベンゼン、アセトニトリル、プロピオニトリル、スクシノニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、エチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、o−トルイジン、p−トルイジン、ピペリジン、ピリジン、α−ピコリン、2,6−ルチジン、キノリン、プロピレンジアミン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、N−メチルピロリドンなどの含窒素化合物類;ジメチルスルホキシド、スルホランなどの含硫黄化合物類;ベンゼン、p−シメン、ナフタレン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキセンなどの炭化水素類;1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、1,2−ジクロロエチレン(cis−)、テトラクロロエチレン、2−クロロブタン、1−クロロ−2−メチルプロパン、2−クロロ−2−メチルプロパン、ブロモメタン、トリブロモメタン、1−ブロモプロパンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。また、上記各液体を二種以上混合して用いてもよい。
更に、高電気伝導率の物質(銀粉等)が多く含まれるような導電性ペーストを液体Lとして使用し、吐出を行う場合には、前述した液体Lに溶解または分散させる目的物質としては、ノズルで目詰まりを発生するような粗大粒子を除けば、特に制限されない。
また、前駆体薄膜を記録媒体上(単に、基板、基盤、支持体等ともいう)に強固に接着させるために、各種バインダーを添加してもよい。
用いられるバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースおよびその誘導体;アルキッド樹脂;ポリメタクリタクリル酸、ポリメチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート・メタクリル酸共重合体、ラウリルメタクリレート・2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体などの(メタ)アクリル樹脂およびその金属塩;ポリN−イソプロピルアクリルアミド、ポリN,N−ジメチルアクリルアミドなどのポリ(メタ)アクリルアミド樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、スチレン・マレイン酸共重合体、スチレン・イソプレン共重合体などのスチレン系樹脂;スチレン・n−ブチルメタクリレート共重合体などのスチレン・アクリル樹脂;飽和、不飽和の各種ポリエステル樹脂;ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化ポリマー;ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体などのビニル系樹脂;ポリカーボネート樹脂;エポキシ系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタールなどのポリアセタール樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合樹脂などのポリエチレン系樹脂;ベンゾグアナミンなどのアミド樹脂;尿素樹脂;メラミン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂及びそのアニオンカチオン変性;ポリビニルピロリドンおよびその共重合体;ポリエチレンオキサイド、カルボキシル化ポリエチレンオキサイドなどのアルキレンオキシド単独重合体、共重合体及び架橋体;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;ポリエーテルポリオール;SBR、NBRラテックス;デキストリン;アルギン酸ナトリウム;ゼラチン及びその誘導体、カゼイン、トロロアオイ、トラガントガム、プルラン、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアガム、ペクチン、カラギニン、にかわ、アルブミン、各種澱粉類、コーンスターチ、こんにゃく、ふのり、寒天、大豆蛋白などの天然或いは半合成樹脂;テルペン樹脂;ケトン樹脂;ロジン及びロジンエステル;ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンイミン、ポリスチレンスルフォン酸、ポリビニルスルフォン酸などを用いることができる。これらの樹脂は、ホモポリマーとしてだけでなく、相溶する範囲でブレンドして用いてもよい。
なお、リブとは一般的に障壁を意味し、半導体用途として磁性体、強誘電体、導電性ペースト(配線、アンテナ)などのパターンニング塗布に有効に応用することができる。
ここで、液体吐出ヘッド2における液体Lの吐出原理について本実施形態を図3を用いて説明する。
本実施形態では、帯電電圧電源18から帯電用電極16に静電電圧を印加し、ノズル10の吐出孔13の液体Lと対向電極3の液体吐出ヘッド2に対向する対向面との間に電界を生じさせる。また、駆動電圧電源23からピエゾ素子22に駆動電圧を印加してピエゾ素子22を変形させ、それにより液体Lに生じた圧力でノズル10の吐出孔13に液体Lのメニスカスを形成させる。
本実施形態のように、ノズルプレート11の絶縁性が高くなると、図3にシミュレーションによる等電位線で示すように、ノズルプレート11の内部に、吐出面12に対して略垂直方向に等電位線が並び、ノズル10の小径部14の液体Lや液体Lのメニスカス部分に向かう強い電界が発生する。
特に、図3でメニスカスの先端部では等電位線が密になっていることから分かるように、メニスカス先端部では非常に強い電界集中が生じる。そのため、電界の静電力によってメニスカスが引きちぎられてノズル内の液体Lから分離されて液滴Dとなる。さらに、液滴Dは静電力により加速され、対向電極3に支持された基材Kに引き寄せられて着弾する。その際、液滴Dは、静電力の作用でより近い所に着弾しようとするため、基材Kに対する着弾の際の角度等が安定し正確に行われる。
このように、本発明の液体吐出ヘッド2における液体Lの吐出原理を利用すれば、フラットな吐出面を有する液体吐出ヘッド2においても、高い絶縁性を有するノズルプレート11を用い、吐出面12に対して垂直方向の電位差を発生させることで強い電界集中を生じさせることができ、正確で安定した液体Lの吐出状態を形成することができる。
発明者らが、電極間の電界の電界強度が実用的な値である1.5kV/mmとなるように構成し、各種の絶縁体でノズルプレート11を形成して下記の実験条件に基づいて行った実験では、ノズル10から液滴Dが吐出される場合と吐出されない場合があった。
また、本発明に係る帯電させた液滴を吐出する液体吐出装置として好ましく用いられる別の一態様について説明する。
《電界アシスト吐出方式のインクジェット装置》
前駆体溶液を塗布して前駆体薄膜のパターニングを行う為には、電界アシスト吐出方式のインクジェット装置においてインクの着弾精度の向上を図ることで、電子回路基板で要求されているインクの着弾精度を大幅に向上させてより高品質化を可能とし、インクの高着弾精度が要求される本発明の薄膜トランジスタへの生産プロセス適用を可能にするSIJ装置として好ましく用いられる。
以下、図面を参照しながら本発明に好ましく用いられる電界アシスト吐出方式のインクジェット装置について説明する。但し、本発明はこれらに限定されない。
本発明に用いられる電界アシスト吐出方式のインクジェット装置は、図4に示すようにマルチノズルヘッド100を有している。マルチノズルヘッド100はノズルプレート31、ボディプレート32及び圧電素子33を有している。ノズルプレート31は150μm〜300μm程度の厚みを有したシリコン基板または酸化シリコン基板である。ノズルプレート31には複数のノズル101が形成されており、これら複数のノズル101が1列に配列されている。
ボディプレート32は、200μm〜500μm程度の厚みを有したシリコン基板である。ボディプレート32にはインク供給口201、インク貯留室202、複数のインク供給路203及び複数の圧力室204が形成されている。
インク供給口201は直径が400μm〜1500μm程度の円形状の貫通孔である。
インク貯留室202は幅が400μm〜1000μm程度で深さが50μm〜200μm程度の溝である。
インク供給路203は幅が50μm〜150μm程度で深さが30μm〜150μm程度の溝である。圧力室204は幅が150μm〜350μm程度で深さが50μm〜200μm程度の溝である。
ノズルプレート31とボディプレート32とは互いに接合されるようになっており、接合した状態ではノズルプレート31のノズル101とボディプレート32の圧力室204とが1対1で対応するようになっている。
ノズルプレート31とボディプレート32とが接合された状態でインク供給口201にインクが供給されると、当該インクはインク貯留室202に一時的に貯留され、その後にインク貯留室202から各インク供給路203を通じて各圧力室204に供給されるようになっている。
圧電素子33はボディプレート32の圧力室204に対応した位置に接着されるようになっている。圧電素子33はPZT(lead zirconium titanate)からなるアクチュエータであり、電圧の印加を受けると変形して圧力室204の内部のインクをノズル101から吐出させるようになっている。
なお、図4では図示しないが、ノズルプレート31とボディプレート32と間には硼珪酸ガラスプレート34(図5参照)が介在している。
図5に示す通り、1つの圧電素子に対応してノズル101と圧力室204とが1つずつ構成されている。
ノズルプレート31においてノズル101には段が形成されており、ノズル101は下段部101aと上段部101bとで構成されている。下段部101aと上段部101bとは共に円筒形状を呈しており、下段部101aの直径D1(図5中左右方向の距離)が上段部101bの直径D2(図5中左右方向の距離)より小さくなっている。
ノズル101の下段部101aは上段部101bから流通してきたインクを直接的に吐出する部位である。下段部101aは直径D1が1μm〜10μmで、長さL(図5中上下方向の距離)が1.0μm〜5.0μmとなっている。下段部101aの長さLを1.0μm〜5.0μmの範囲に限定するのは、インクの着弾精度を飛躍的に向上させることができるからである。
他方、ノズル101の上段部101bは圧力室204から流通してきたインクを下段部101aに流通させる部位であり、その直径D2が10μm〜60μmとなっている。
上段部101bの直径D2の下限を10μm以上に限定するのは、10μmを下回ると、ノズル101全体(下段部101aと上段部101b)の流路抵抗に対し上段部101bの流路抵抗が無視できない値となり、インクの吐出効率が低下しやすいからである。
逆に、上段部101bの直径D2の上限を60μm以下に限定するのは、上段部101bの直径D2が大きくなるほど、インクの吐出部位としての下段部101aが薄弱化して(下段部101aが面積増大して機械的強度が小さくなる。)、インクの吐出時に変形し易くなり、その結果インクの着弾精度が低下するからである。すなわち、上段部101bの直径D2の上限が60μmを上回ると、インクの吐出に伴い下段部101aの変形が非常に大きくなり、着弾精度を規定値(=0.5°)以内に抑えることができなくなる可能性があるからである。
ノズルプレート31とボディプレート32との間には数100μm程度の厚みを有した硼珪酸ガラスプレート34が設けられており、硼珪酸ガラスプレート34にはノズル101と圧力室204とを連通させる開口部34aが形成されている。開口部34aは、圧力室204とノズル101の上段部101bとに通じる貫通孔であり、圧力室204からノズル101に向けてインクを流通させる流路として機能する部位である。圧力室204は、圧電素子33の変形を受けて当該圧力室204の内部のインクに圧力を与える部位である。
以上の構成を具備するマルチノズルヘッド100では、圧電素子33が変形すると、圧力室204の内部のインクに圧力を与え、当該インクは圧力室204から硼珪酸ガラスプレート34の開口部34aを流通してノズル101に至り、最終的にノズル101の下段部101aから吐出されるようになっている。
なお、本発明に係るインクジェット装置の一態様としては、マルチノズルヘッド100のノズルプレート1に対向する位置に基板電極が設けられており(図示略)、ノズル101と当該基板電極との間には静電界が作用するようになっている。
そのため、ノズル101から吐出されたインクはその静電界の作用を受けながら基板電極上の被記録物に着弾するようになっている。
また、本発明の薄膜トランジスタの製造方法では、酸化物半導体層が、酸化物半導体または該酸化物半導体の前駆体の溶液または分散液の塗布膜から形成される工程を有することが好ましい。
《酸化物半導体の前駆体》
本発明において、前駆体は、熱酸化、またプラズマ酸化等でもよいが、加熱また酸化的な分解により金属酸化物(半導体)に転換する材料であり、加熱により前駆体は酸化物半導体に転化される。
(前駆体)
本発明において酸化物半導体の前駆体としては、金属原子含有化合物が挙げられ、金属原子含有化合物としては、金属原子を含む、金属塩、ハロゲン化金属化合物、有機金属化合物等を挙げることができる。
金属塩、ハロゲン金属化合物、有機金属化合物の金属としては、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Cd、In、Ir、Sn、Sb、Cs、Ba、La、Hf、Ta、W、Tl、Pb、Bi、Ce、Pr、Nd、Pm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等を挙げることができる。
それらの金属塩のうち、In(インジウム)、Sn(錫)、Zn(亜鉛)のいずれかの金属イオンを含むことが好ましく、それらを併用して混合させてもよい。
また、その他の金属として、Ga(ガリウム)またはAl(アルミニウム)を含むことが好ましい。
金属塩としては、硝酸塩、硫酸塩、燐酸塩、炭酸塩、酢酸塩または蓚酸塩が好ましく、更に、硝酸塩、酢酸塩等を、ハロゲン金属化合物としては塩化物、ヨウ化物、臭化物等を好適に用いることができる。
有機金属化合物としては、下記の一般式(I)で示すものが挙げられる。
一般式(I) RxMRyR
式中、Mは金属、Rはアルキル基、Rはアルコキシ基、Rはβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基およびケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基であり、金属Mの価数をmとした場合、x+y+z=mであり、x=0〜m、またはx=0〜m−1であり、y=0〜m、z=0〜mで、いずれも0または正の整数である。
のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等を挙げることができる。Rのアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、3,3,3−トリフルオロプロポキシ基等を挙げることができる。またアルキル基の水素原子をフッ素原子に置換したものでもよい。
のβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基及びケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基としては、β−ジケトン錯体基として、例えば、2,4−ペンタンジオン(アセチルアセトンあるいはアセトアセトンともいう)、1,1,1,5,5,5−ヘキサメチル−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸エステル錯体基として、例えばアセト酢酸メチルエステル、アセト酢酸エチルエステル、アセト酢酸プロピルエステル、トリメチルアセト酢酸エチル、トリフルオロアセト酢酸メチル等を挙げることができ、β−ケトカルボン酸として、例えば、アセト酢酸、トリメチルアセト酢酸等を挙げることができ、またケトオキシとして、例えば、アセトオキシ基(またはアセトキシ基)、プロピオニルオキシ基、ブチリロキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等を挙げることができる。
これらの基の炭素原子数は18以下が好ましい。また直鎖または分岐のもの、また水素原子をフッ素原子にしたものでもよい。
有機金属化合物の中では、分子内に少なくとも1つの酸素を有するものが好ましい。このようなものとしてRのアルコキシ基を少なくとも1つを含有する有機金属化合物、またRのβ−ジケトン錯体基、β−ケトカルボン酸エステル錯体基、β−ケトカルボン酸錯体基およびケトオキシ基(ケトオキシ錯体基)から選ばれる基を少なくとも1つ有する金属化合物が最も好ましい。
金属塩のうちでは、硝酸塩が好ましい。硝酸塩は高純度品が入手しやすく、また使用時の媒体として好ましい水に対する溶解度が高い。硝酸塩としては、硝酸インジウム、硝酸錫、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム等が挙げられる。
以上の酸化物半導体の前駆体のうち、好ましいのは、金属の硝酸塩、金属のハロゲン化物、アルコキシド類である。具体例としては、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウム、硝酸スズ、硝酸アルミニウム、塩化インジウム、塩化亜鉛、塩化スズ(2価)、塩化スズ(4価)、塩化ガリウム、塩化アルミニウム、トリ−i−プロポキシインジウム、ジエトキシ亜鉛、ビス(ジピバロイルメタナト)亜鉛、テトラエトキシスズ、テトラ−i−プロポキシスズ、トリ−i−プロポキシガリウム、トリ−i−プロポキシアルミニウムなどが挙げられる。
(酸化物半導体の前駆体薄膜の成膜方法)
これらの酸化物半導体の前駆体となる金属を含有する薄膜を形成するためには、公知の成膜法、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法など種々の方法を用いることができるが、本発明においては金属塩、ハロゲン化物、有機金属化合物等を適切な溶媒に溶解した溶液を用いて基板上に連続的に塗設することで生産性を大幅に向上することができ好ましい。
溶解性の観点からも、金属化合物として、塩化物、硝酸塩、酢酸塩、金属アルコキシド等を用いることが好ましい。
溶媒としては、水のほか、金属化合物を溶解するものであれば特に制限されるところではないが、水や、エタノール、プロパノール、エチレングリコールなどのアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等グリコールエーテル系、また、アセトニトリルなど、さらに、キシレン、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、o−ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、m−クレゾール等の芳香族系溶媒、ヘキサン、シクロヘキサン、トリデカンなどの脂肪族炭化水素溶媒、α−テルピネオール、また、クロロホルムや1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化アルキル系溶媒、N−メチルピロリドン、2硫化炭素等を好適に用いることができる。
金属ハロゲン化物および/または金属アルコキシドを用いた場合には、比較的極性の高い溶媒が好ましく、中でも沸点が100℃以下の水、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、またはこれらの混合物を用いると乾燥温度を低くすることができため、樹脂基板に塗設することが可能となり、より好ましい。特に、水またはアルコール類を50質量%以上含有すること溶媒が好ましい。
また、溶媒中に金属アルコキシドと種々のアルカノールアミン、α−ヒドロキシケトン、β−ジケトンなどの多座配位子であるキレート配位子を添加すると、金属アルコキシドを安定化したり、カルボン酸塩の溶解度を増加させたりすることができ、悪影響が出ない範囲で添加することが好ましい。
酸化物半導体の前駆体を含有する液体を基材上に適用して薄膜を形成する方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、バーコート法、ダイコート法など塗布法、また、凸版、凹版、平版、スクリーン印刷、インクジェットなどの印刷法等、広い意味での塗布による方法が挙げられる。薄膜の塗布が可能な、インクジェット法、スプレーコート法等も好ましい方法である。
成膜する場合、塗布後、50℃〜150℃程度で溶媒を揮発させることにより金属酸化物前駆体の薄膜が形成される。
尚、溶液を滴下する際、基板自体を上記温度に加熱しておくと、塗布、乾燥の二つのプロセスを同時に行えるので好ましい。
(金属の組成比)
好ましい、金属の組成比としては、Inを1としたとき、ZnSn1−y(ここにおいてyは0〜1の正数)は0.2〜5、好ましくは0.5〜2とする。さらにInを1としたときに、Gaの組成比は0.2〜5、好ましくは0.5〜2が好ましい。
また、前駆体薄膜の膜厚は1nm〜200nm、より好ましくは5nm〜100nmである。
(非晶質酸化物)
熱酸化によって形成される酸化物半導体としては、単結晶、多結晶、非晶質のいずれの状態も使用可能だが、好ましくは非晶質の薄膜である。
酸化物半導体の前駆体となる金属化合物材料から形成された、本発明に係る金属酸化物である非晶質酸化物の電子キャリア濃度は1018/cm未満が実現されていればよい。電子キャリア濃度は室温で測定する場合の値である。室温とは、例えば25℃であり、具体的には0℃から40℃程度の範囲から適宜選択される温度である。なお、本発明に係るアモルファス(非晶質)酸化物の電子キャリア濃度は、0℃から40℃の範囲全てにおいて、1018/cm未満を充足する必要はない。例えば、25℃において、キャリア電子密度1018/cm未満が実現されていればよい。また、電子キャリア濃度をさらに下げ、1017/cm以下、より好ましくは1016/cm以下にするとノーマリーオフの薄膜トランジスタが歩留まりよく得られる。
電子キャリア濃度の測定は、ホール効果測定により求めることができる。
金属酸化物である半導体の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体膜の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
本発明においては、前駆体材料、組成比、製造条件などを制御して、例えば、電子キャリア濃度を、1012/cm以上1018/cm未満とする。より好ましくは1013/cm以上1017/cm以下、さらには1015/cm以上1016/cm以下の範囲にすることが好ましい。
前駆体薄膜306’は、これを酸化物半導体306に転化するには、前駆体材料薄膜を有する基板を加熱すればよい、前駆体材料の加熱による酸化物半導体への転化は、基本的には熱酸化であり、大気中等、酸素の存在下において加熱処理を行う。
加熱の方法としては特に限定はないが、具体的には、前記の加熱は、基板、また基板上に形成される他の要素が、熱により変性しない温度範囲、すなわち、70℃〜120℃、好ましくは180℃〜400℃、さらに好ましくは200℃〜350℃で、20秒〜30分間、好ましくは20秒〜10分間の加熱による。
加熱条件(温度、時間)は前駆体材料の種類また酸素条件等によって異なるため、上記の範囲で適宜選択する。加熱は、あらゆる適切な加熱手段により行われるが、各種電気オーブン、ドライ・ヒートブロック、マイクロウェーブ・オーブン、各種ヒータなどが例示される。しかし、これらに限定されるものではない。
マイクロ波を利用すれば、マイクロ波の吸収を利用した発熱により加熱処理することができ、加熱された領域において前駆体材料を酸化物半導体に転化させることができる。例えば、マイクロ波吸収源を近傍においておくことで、マイクロ波を照射すればこれを発熱させ近傍を加熱することができる。例えば、図1の場合、ゲート電極2を、例えばITO等のマイクロ波吸収材料により形成しておけば、マイクロ波をこれに照射して発熱させて、近傍を加熱することができる。マイクロ波とは0.3GHz〜50GHzの周波数をもつ電磁波のことをさす。
また、プラズマ酸化や、酸素の存在下紫外光照射を行い光酸化処理する等の方法でも前駆体材料薄膜を半導体層に転化することができる。
半導体層の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、半導体層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10nm〜300nmが好ましい。
以下、本発明において、薄膜トランジスタまた薄膜トランジスタシートを構成する他の各要素についてさらに説明する。
(電極)
本発明において、TFT素子を構成するソース電極、ドレイン電極、ゲート電極等の電極に用いられる導電性材料としては、電極として実用可能なレベルでの導電性があればよく、特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、また、例えば、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛等の電磁波吸収能をもつ電極材料、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられる。
また、導電性材料として、導電性ポリマーや金属微粒子などを好適に用いることができる。
金属微粒子を含有する分散物としては、例えば公知の導電性ペーストなどを用いても良いが、好ましくは、粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である。金属微粒子から電極を形成するには、前述の方法を同様に用いることができ、金属微粒子の材料としては上記の金属を用いることができる。
(電極等の形成方法)
電極の形成方法としては、上記を原料として、マスクを介して蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成する方法、また蒸着やスパッタリング等の方法により形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等により、レジストを形成しエッチングする方法がある。
また、導電性ポリマーの溶液または分散液、金属微粒子を含有する分散液等を直接インクジェット法によりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーション等により形成してもよい。さらに導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
また、ソース、ドレイン、またゲート電極等、またゲートバスライン、ソースバスライン等を、エッチングまたはリフトオフ等感光性樹脂等を用いた金属薄膜のパターニングなしに形成する方法として、無電解メッキ法による方法が知られている。
無電解メッキ法による電極の形成方法に関しては、特開2004−158805号公報にも記載されたように、電極を設ける部分に、メッキ剤と作用して無電解メッキを生じさせるメッキ触媒を含有する液体を、例えば印刷法(インクジェット印刷含む。)によって、パターニングした後に、メッキ剤を、電極を設ける部分に接触させる。そうすると、前記触媒とメッキ剤との接触により無電解メッキが施されて、電極パターンが形成されるというものである。
無電解メッキの触媒とメッキ剤の適用を逆にしてもよく、またパターン形成をどちらで行ってもよいが、メッキ触媒パターンを形成し、これにメッキ剤を適用する方法が好ましい。
印刷法としては、例えば、スクリーン印刷、平版、凸版、凹版又インクジェット法による印刷などが用いられる。
また、本発明の薄膜トランジスタの製造方法においては、電極の少なくとも一つが流動性電極材料から形成される工程を有することが好ましい。
電極としては、具体的には、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極等が挙げられるが、本発明では、ソース電極、ドレイン電極の形成方法として、塗布または印刷法等のウェットプロセスにより、容易に成膜が可能な流動性電極材料を用いて形成されることが好ましい。
流動性電極材料としては、公知の導電性ペーストなどを用いてもよいが、平均粒子径は1nm〜300nmの金属微粒子分散物が好ましく、さらに、中でも粒子径が1nm〜50nm、好ましくは1nm〜10nmの金属微粒子を含有する分散物である金属ナノ微粒子分散液等が挙げられる。また導電性ポリマー溶液、分散液等を好適に用いることができる。
このような金属微粒子の分散物の作製方法として、ガス中蒸発法、スパッタリング法、金属蒸気合成法などの物理的生成法や、コロイド法、共沈法などの、液相で金属イオンを還元して金属微粒子を生成する化学的生成法が挙げられるが、好ましくは、特開平11−76800号公報、同11−80647号公報、同11−319538号公報、特開2000−239853号公報等に示されたコロイド法、特開2001−254185号公報、同2001−53028号公報、同2001−35255号公報、同2000−124157号公報、同2000−123634号公報、特許第2561537号などに記載されたガス中蒸発法により製造された金属微粒子の分散物である。
導電性ポリマーや金属微粒子を含有する導電性インク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法により適用する方法を用いることができる。
印刷等により基板上に適用後、150℃〜450℃の温度で焼成処理を行うことで融着が進み低抵抗の電極となる。
(ゲート絶縁層)
薄膜トランジスタのゲート絶縁層としては、種々の絶縁層を用いることができる。特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマCVD法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤または水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
これらのうち好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
ゲート絶縁層が陽極酸化膜または該陽極酸化膜と絶縁層とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウムまたはタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂またはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等を用いることもできる。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁層の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
(基体(基板、支持体等ともいう))
基体を構成する材料としては、種々の材料が利用可能であり、例えば、ガラス、石英、酸化アルミニウム、サファイア、チッ化珪素、炭化珪素などのセラミック基板、シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素、ガリウム燐、ガリウム窒素など半導体基板、紙、不織布などを用いることができるが、本発明において支持体(基板)は樹脂からなることが好ましく、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。
プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができると共に、衝撃に対する耐性を向上できる。
(素子構成)
次に薄膜トランジスタ回路の構成に用いた例を示す。
図7に作製したトランジスタ回路の画素単位の回路構成をその等価回路図と共に示した。トランジスタ回路はスイッチングトランジスタ(Sw−TFT)および駆動トランジスタ(D−TFT)の二つのトランジスタ及び容量コンデンサCs、バスラインB(Vscan、Vdata、Vss)、表示電極8等からなり表示素子(OLED)及びこれ以降の配線部分(Vk)については示されていない。
以下、本発明に係る酸化物半導体層と該酸化物半導体層に隣接する保護層(保護層ともいう)を有する薄膜トランジスタの製造方法、得られた薄膜トランジスタの特性等についてその実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
《薄膜トランジスタ1の製造》
本発明の好ましい実施形態における薄膜トランジスタ製造の各工程を図6の断面模式図を用いて説明する。
支持体301として、ポリエーテルスルホン樹脂フィルム(200μm)を用い、この上に、先ず、50W/m/分の条件でコロナ放電処理を施した。その後以下のように接着性向上のため下引き層を形成した。
(下引き層の形成)
下記組成の塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させた。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
さらにその層の上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を設け、これらの層を下引き層(バリア層)310とした(図6(1))。
尚、大気圧プラズマ処理装置は特開2003−303520号公報に記載の図6に準じた装置を用いた。
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(ヘリウムガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm
尚、上記の大気圧プラズマ処理は、PECVD法(Plasma Enhanced CVD法)、即ち、プラズマ化学気相成長法を表す。
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
次いで、ゲート電極を形成する。スパッタ法により、厚さ300nmのITO膜を一面に成膜した後、フォトリソグラフ法によりエッチングしてゲート電極302を形成した。(図6(1))
次いで、さらにフィルム温度200℃にて、上述した大気圧プラズマ法により厚さ180nmの酸化珪素膜を設けゲート絶縁層303を形成した。(図6(2))
次いで、オクチルトリクロロシラン(C17SiCl)(OTS)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に基板を10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、さらに、超音波洗浄器中で10分間処理後、乾燥させることで、ゲート絶縁層303の表面全面がOTSと反応し表面処理された。
表面処理によりオクチルトリクロロシランによる単分子膜が形成するが図では便宜的に表面処理層308でこの単分子膜を表した(図6(3))。
上記の表面処理を行ったSiウェハー上に、半導体チャネル領域に対応させた光透過部を有するフォトマスクMを介して、低圧水銀灯を用いて波長254nmの紫外光を照射した(図6(4))。
これにより、露光部の表面が分解され、表面処理部が親水化された。エタノールで洗浄し分解物を除去して、チャネル領域に対応する部分のゲート絶縁層303表面を露出させた(図6(5))。
次ぎに、硝酸インジウム、硝酸亜鉛、硝酸ガリウムを金属比率で1:1:1(モル比)で混合した10質量%水溶液としたものをインクとして、図1〜5で説明した静電吸引型インクジェット装置(SIJ)にて、バイアス電圧2000Vの電圧を印加し、さらにパルス電圧(400V)を重畳させて半導体層パターン(略ゲート電極パターン)に従ってインクを吐出し、半導体の前駆体材料薄膜306’を形成した(図6(6))。
ノズル吐出口の内径は10μmとし、ノズル吐出口と基材とのギャップは500μmに保持した。
100℃で熱処理し乾燥し、形成した前駆体材料薄膜306’の平均膜厚は30nmであった。
さらに、支持体側からマイクロ波照射を行った。即ち、酸素と窒素の分圧が1:1の雰囲気、大気圧条件下で、500Wの出力でマイクロ波(2.45GHz)を照射し200℃で20分間の処理を行った。
ITO(ゲート電極302)のマイクロ波吸収による発熱で前駆体材料は酸化物半導体に変換され、ゲート絶縁層303上、ゲート電極302に対向して酸化物半導体層306が形成された(図6(7))。
さらに、オクチルトリクロロシラン(C17SiCl)(OTS)を溶解したトルエン溶液(0.1質量%、60℃)に基板を10分間浸漬した後、トルエンですすぎ、さらに、超音波洗浄器中で10分間処理後、乾燥させることで、形成した酸化物半導体層306表面もOTSと反応し単分子膜が形成され表面処理された。同様に、表面処理層308でこの単分子膜を表した(図6(8))。
単分子膜308を各々有する半導体層306及びゲート絶縁層303上の電極を形成する領域以外を覆うマスクを用いて、電極形成領域を254nmの紫外光にて照射し、電極を形成する領域のOTSを分解した(図6(9))。
半導体層306及びゲート絶縁層303上の電極を形成する領域に、銀微粒子分散液(Cabot社製 CCI−300(銀含有率20質量%))を、ピエゾ方式のインクジェットヘッドから射出し、半導体層306の露出領域を含むソース電極、ドレイン電極が各々形成される領域に銀粒子分散液を供給した(図6(10)。
次いで、200℃で30分間熱処理して、ソース電極304およびドレイン電極305を形成した(図6(11))。
ソース電極304、ドレイン電極305の各々のサイズは、幅40μm、長さ100μm(チャネル幅)厚さ100nmであり、チャネル長は20μmとした。
次に、UVオゾン処理により、残っている表面処理層308を分解し、ゲート絶縁層303および酸化物半導体層306の表面の一部を露出させた(図6(12))。
次に、酸化物半導体層306及び、酸化物半導体層306の上または接している部分のソース電極304、ドレイン電極305の各々を被覆するようにパーヒドロポリシラザン(AZエレクトロニックマテリアルズ社製 アクアミカNP110(登録商標))キシレン溶液を同様の静電吸引方式のインクジェット装置を用いて吐出した(図6(13))。
吐出後、これを150℃〜500℃の範囲、ここでは前記同様にマイクロ波を照射してゲート電極302の発熱により、200℃、20分程度の熱処理を行って、二酸化ケイ素の薄膜層に転化させ保護層307を形成した(図6(14))。
得られた保護層307の厚みは200nmであった。
以上の方法により製造した薄膜トランジスタ1は良好に駆動し、n型のエンハンスメント動作を示した。ドレインバイアスを10Vとし、ゲートバイアスを−10Vから+20Vまで掃引した時のドレイン電流の増加(伝達特性)が観測された。
また、I−V特性の飽和領域から見積もられた移動度は5.2cm/Vs、on/off比は7.5桁、閾値Vtは4.3Vであった。
閾値Vtはゲートバイアスに対するドレイン電流値の平方根√Idの関係にて、√Id=0に外挿して得たゲートバイアスの値とした。
《薄膜トランジスタ素子2〜4の製造》
薄膜トランジスタ素子1の製造において、保護層の構成材料をポリシラザンの代わりに、TEOS(テトラエトキシシラン)、硝酸アルミニウム、ポリマー(フェノール樹脂硬化)に変更した以外は同様にして、薄膜トランジスタ素子2〜4を各々製造した。
《比較の薄膜トランジスタ素子5及び6の製造》
薄膜トランジスタ素子1の製造において、保護層を設けない、保護層として、PECVD法によりSiO膜を形成した以外は同様にして、比較の薄膜トランジスタ素子5、6を各々製造した。
《薄膜トランジスタ素子1〜5の評価》
得られた薄膜トランジスタ素子1〜5を各々大気中60℃で20日間放置し、移動度の劣化を評価した。評価結果は、放置前の素子の移動度を100%として、放置後の劣化の程度を%で評価した。
素子 保護層の構成 移動度の劣化 備考
1 ポリシラザン塗布膜 −3% 本発明
2 TEOS塗布 −5% 本発明
3 硝酸アルミニウム塗布 −2% 本発明
4 フェノール樹脂硬化 −5% 本発明
5 保護層なし −60% 比較例
6 PECVD二酸化珪素膜 −80% 比較例
※:PECVD法とは、Plasma Enhanced CVD法、即ち、プラズマ化学気相成長法を表す。
上記から、本発明の薄膜トランジスタ素子1〜5に比べて、比較の素子は、放置後の移動度の劣化が著しいことが明かである。
本発明に係るインクジェット装置の好ましい一態様を示す断面図である。 インクジェット装置の形状が異なるノズルの一例を示す模式図である。 インクジェット装置の吐出ヘッドから液体の吐出原理を示す模式図である。 インクジェット装置のマルチノズルヘッドの一例を示す模式図である。 インクジェット装置のノズルヘッドの断面図である。 薄膜トランジスタを製造する本発明の方法を説明する図である。 トランジスタ回路の画素単位の回路構成及びその等価回路図を示す。
符号の説明
301 支持体
302 ゲート電極
303 ゲート絶縁層
304 ソース電極
305 ドレイン電極
306 酸化物半導体層
307 保護層
308 表面処理層
309
310 下引き層(バリア層)

Claims (6)

  1. 基体上に少なくとも、ゲート電極、ゲート絶縁層、酸化物半導体層、該酸化物半導体層に接する保護層を有する薄膜トランジスタの製造方法において、
    該保護層が塗布法により形成される工程を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。
  2. 前記保護層が金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  3. 前記保護層がポリマーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  4. 前記酸化物半導体層が、酸化物半導体または該酸化物半導体の前駆体の溶液または分散液の塗布膜から形成される工程を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  5. 電極の少なくとも一つが流動性電極材料から形成される工程を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタの製造方法により製造されたことを特徴とする薄膜トランジスタ。
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