JP2010097681A - 垂直磁気記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 磁気記録層のSNRをさらに向上し、更なる高記録密度化を達成することが可能な垂直磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】 基体上に少なくとも、柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の第1磁気記録層122aと、第1磁気記録層122aの上に設けられた介在層122bと、介在層122bの上に設けられ柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の第2磁気記録層122cと、第2磁気記録層122cの上に設けられた分断層124と、分断層124の上に設けられ基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した補助記録層126とを備えることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、垂直磁気記録方式のHDD(ハードディスクドライブ)などに搭載される垂直磁気記録媒体に関するものである。
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDDの面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。最近では、HDD等に用いられる2.5インチ径の磁気記録媒体にして、1枚あたり200GByteを超える情報記録容量が求められるようになってきており、このような要請にこたえるためには1平方インチあたり400GBitを超える情報記録密度を実現することが求められる。
HDD等に用いられる磁気記録媒体において高記録密度を達成するために、近年、垂直磁気記録方式が提案されている。垂直磁気記録方式に用いられる垂直磁気記録媒体は、磁気記録層の磁化容易軸が基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は従来の面内記録方式に比べて、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、いわゆる熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高記録密度化に対して好適である。
垂直磁気記録方式に用いる磁気記録媒体としては、高い熱安定性と良好な記録特性を示すことから、CoCrPt−SiO垂直磁気記録媒体(非特許文献1参照)が提案されている。これは磁気記録層において、Coのhcp構造(六方最密結晶格子)の結晶が柱状に連続して成長した磁性粒子の間に、SiOが偏析した非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造を構成し、磁性粒子の微細化と保磁力Hcの向上をあわせて図るものである。非磁性の粒界(磁性粒子間の非磁性部分)には酸化物を用いることが知られており、例えばSiO、Cr、TiO、TiO、Taのいずれか1つを用いることが提案されている(特許文献1)。
またグラニュラー構造を有する磁性層(磁気記録層)は、粒界を形成する酸化物の種類や、酸化物の含有量によって静磁気特性および電磁変換特性を調整することができる。高い保磁力と低ノイズはいずれも重要であるが、一方を上げれば他方が下がるというトレードオフの関係にある。このため従来からも、磁気記録層を複数の層に分け、役割分担させることが行われている。例えば酸化物を少なくして保磁力Hcの向上を図る層と、酸化物を多くしてSNR(Signal to Noise Ratio:シグナルノイズ比)の向上を図る層とを設けることにより、両方の特性を得ることができる。
ところで磁気記録層に強い磁界を印加すると、隣接トラックへの漏れ磁場も大きくなることから、WATE(Wide Area Track Erasure)、すなわち、書込みの対象となるトラックを中心に数μmにわたって記録情報が消失する現象が問題となる。WATEを低減させる手法として、磁気記録層の逆磁区核形成磁界Hnを負とし、さらにその絶対値を大きくすることが重要である。高い(絶対値の大きい)Hnを得るために、グラニュラー構造を有する磁気記録層の上方又は下方に高い垂直磁気異方性を示す薄膜が形成されたCGC(Coupled Granular Continuous)媒体が考案されている(特許文献2)。
CGC媒体はCoB磁性膜とPd非磁性膜の薄膜を積層した構造であり、交換結合を利用して高いHnを得るものであった。しかしCGC媒体では磁性膜を薄膜にしなければ交換結合作用が得られない上、1つの層では効果が微弱であるためにCoBとPdを3回ほど繰り返して積層する必要があった。そのため近年では、基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続し、垂直磁気異方性の高い単一の膜(補助記録層)を磁気記録層の上に形成する場合が多い。
また磁気記録層の保磁力Hcを向上させていくと、高記録密度化が達成できる反面、磁気ヘッドによる書き込みが困難になる傾向にある。そこで補助記録層は、飽和磁化Msを向上させることにより、書き込みやすさ、すなわちオーバーライト特性を向上させる役割も有している。言い換えれば、磁気記録層の上に補助記録層を設ける目的は、逆磁区核形成磁界Hnを向上させてノイズを低減し、飽和磁化Msを向上させてオーバーライト特性も向上させることである。なお補助記録層は連続層またはキャップ層とも呼ばれる場合もある。
T. Oikawa et. al.、 IEEE Trans. Magn、 vol.38、 1976-1978(2002)
特開2006−024346号公報 特開2003−346315号公報
上記の如く高記録密度化している磁気記録媒体であるが、今後さらなる記録密度の向上が要請されている。高記録密度化のために重要な要素としては、保磁力Hcや逆磁区核形成磁界Hnなどの静磁気特性の向上と、オーバーライト特性(OW特性)やSNR、トラック幅の狭小化などの電磁変換特性の向上がある。その中でも保磁力Hcの向上とSNRの向上は、面積の小さな記録ビットにおいても正確に且つ高速に読み書きするために重要である。
SNRの向上は、主に磁気記録層の磁化遷移領域ノイズの低減により行われる。ノイズ低減のために有効な要素としては、磁気記録層の結晶配向性の向上、磁性粒子の粒径の微細化、および磁性粒子の孤立化が挙げられる。中でも、磁性粒子の孤立化が促進されると隣接する磁性粒子との磁気的相互作用を遮断されるため、ノイズを大幅に低減することができ、SNRを著しく向上させることが可能となる。上述のグラニュラー構造の垂直磁気記録媒体では、酸化物によって粒界を形成することによって磁性粒子を孤立化および微細化し、SNRを向上させている。
しかし上記のように、磁気記録層において保磁力とSNRはトレードオフの関係にある。磁気記録層を複数の層から構成して、保磁力が高い層とSNRが高い層に役割分担することにより両方の特性を得ることはできるが、やはり保磁力の高い層はノイズが多い点は変わらない。このため従来は保磁力の高い層の膜厚を薄めにしてノイズを抑えていたが、最低限必要な保磁力を確保する必要があるため、ある程度のノイズは容認する必要があった。
また、上記の補助記録層はグラニュラー構造を有しておらず、面内方向に磁気的にほぼ連続した構造となっている。このため、補助記録層によりオーバーライト特性を改善できる反面、ノイズの増加を招くこととなる。特に補助記録層は、媒体の上方に位置することになるため、ノイズ増加に対する影響は大きい。かといって、補助記録層なしではOW特性が極端に低くなり、昨今の保磁力の高い磁気記録層は、もはや書き込むことができなくなってしまう。このため、やはりある程度のノイズは容認する必要があった。
したがって、上記の技術を用いてSNRを更に向上させることは困難であるため、磁気記録媒体の更なる高記録密度化の達成には、磁気記録層のSNRを更に向上することが可能な新たな手法の確立が課題となっていた。
本発明は、このような課題に鑑み、磁気記録層のSNRをさらに向上し、更なる高記録密度化を達成することが可能な垂直磁気記録媒体を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために発明者らが鋭意検討したところ、さらにSNRを向上させるためには、いままでノイズを容認せざるを得なかった高保磁力の磁気記録層と、高Msの補助記録層に着目した。そして磁気記録層については、高保磁力であるためには硬磁性(磁化方向が反転しにくいこと)であればよいのであって、かならずしも高Msである必要はないと考えた。また補助記録層については、補助記録層も磁性層であって高い磁気異方性を得るためには高い結晶配向性が必要であるところ、磁気記録層はグラニュラー構造を有しており、補助記録層は一様な膜であるから、磁気記録層の上に補助記録層を成膜するとその結晶配向性等に影響を及ぼしている可能性があると考えた。
そして、さらに研究を重ねることにより、従来は第1磁気記録層および補助記録層がSNRの高い主記録層に対してそれぞれ連続していたところを、磁気的相互作用によって接続させることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、上記課題を解決するために本発明にかかる垂直磁気記録媒体の代表的な構成は、基体上に少なくとも、柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の第1の磁性層と、第1の磁性層の上に設けられた第1の非磁性層と、第1の非磁性層の上に設けられ柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の第2の磁性層と、第2の磁性層の上に設けられた第2の非磁性層と、第2の非磁性層の上に設けられ基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した第3の磁性層とを備えることを特徴とする。
第1の磁性層(第1磁気記録層)と第2の磁性層(第2磁気記録層)の間、もしくは第2の磁性層と第3の磁性層(補助記録層)との間に第1または第2の非磁性層を介在させることにより、これらの磁性層間に磁気的な相互作用を発生させ、かつコントロールすることができる。すなわち非磁性層の膜厚を変化させることで磁性層の間に、反強磁***換結合(AFC:Antiferro-magnetic exchange coupling)を発生させたり、強磁***換結合(FC:Ferromagnetic exchange coupling)を調整したりする。これにより非磁性層の上下の磁性層間の結合状態や強さを調整することで、磁化軸の揺らぎを低減させたり、ノイズを低減させたりすることができる。
特に第1の非磁性層は、比較的厚め(例えば0.6nm〜1.2nm)に膜厚を設定することにより、第1および第2の磁性層の磁気を遮断し、AFCを発生させることができる。また第1の磁性層においては、膜厚を薄くすることにより、グラニュラー磁性粒子の縦横比が短くなることから、磁石の内部に発生する反磁界が強くなる。このため第1の磁性層は硬磁性であるにもかかわらず、外部に出す磁気モーメントが小さくなり、高い保磁力を発揮しながらもノイズの少ない磁性層とすることができる。
一方、第2の非磁性層は比較的薄め(例えば0.2nm〜0.6nm)に膜厚を設定する。第2の非磁性層の膜厚は第1の非磁性層より薄く、AFCを発生させない範囲の膜厚である。これにより、第1および第2の磁性層の磁気を遮断せず、これらの交換結合の強さを適度に調整することができる。これにより第3の磁性層に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRを向上させることができる。これは、第2の磁性層と第3の磁性層との間に第2の非磁性層を設けることにより、補助記録層と磁気記録層の交換結合が適度に調整されるためと推察される。
第1または第2の非磁性層は、Ru又はRu化合物で構成されていてもよい。Ruは磁性粒子を構成するCoと同様の結晶形態(hcp)を有する為、磁性層の間に介在させてもCo結晶粒子のエピタキシャル成長を阻害しにくいためである。
第1または第2の非磁性層は、さらに酸素または酸化物を含んでいてもよい。非磁性層のうちグラニュラー磁性層の粒界の上に位置する部分は、非磁性層にRuと酸素とを含ませることによって、含有させた酸素原子は磁性層粒界に含まれている酸素原子と親和性が高く、Ru酸化物として磁性層の粒界構造を継承する。あるいは非磁性層に酸化物を含んでいる場合、その酸化物が磁性層粒界と親和性が高くなり、同様に磁性層の粒界構造を継承することとなる。したがって、磁性層の粒界構造を阻害することなく、上層のCoを成長させることができる。
第1または第2の非磁性層は、RuO、RuWO、またはRuTiOであってもよい。酸化物としては様々なものが考えられるが、特にRu、W(タングステン)、Ti(チタン)の酸化物を用いることにより、電磁変換特性(SNR)を向上させることができる。中でも、WOは高い効果を得ることができる。これは、WOが不安定な酸化物であるので、スパッタ中により多くの酸素が解離され、より効果的に酸素添加の効果を示すためである。
第1の磁性層の厚さが5nm以下であってもよい。このとき、第1の磁性層は粒界部が少なく保磁力Hcが高い層、第2の磁性層は粒界部が多くSNRが高い層であることが好ましい。これにより第1の磁性層の反磁界を強くして、第1の磁性層から出る磁界を低減することができる。したがって第1の磁性層から出るノイズは磁気ヘッドに到達しないため、第1の磁性層は酸化物を減らして保磁力Hcを強くすることができる。
第1または第2の非磁性層の厚さが2Å〜10Åであってもよい。非磁性層の膜厚を10Å以上とすると、非磁性層の上下の磁性層が磁気的に完全に分離されて結晶配向性の継承を全く失ってしまうためである。また10Å以上に膜厚が厚くなると、磁性層間で生じる交換結合が弱くなってしまうために、所望のSNRが得られない。一方、膜厚が2Å以下では皮膜を形成できなくなってしまうためである。
第2の磁性層は2種以上の酸化物を含んでいてもよい。これにより、複数の酸化物の特性を得ることができ、第2の磁性層の磁性粒子のさらなる微細化と孤立化を図ることによりノイズを低減し、かつSNRを向上させて高記録密度化を図ることのできる垂直磁気記録媒体を得ることができる。
第2の磁性層はSiO、TiO、またはCoOから選択される1または複数の酸化物を含んでいてもよい。SiOは磁性粒子の微細化および孤立化を促進し、TiOは電磁変換特性(特にSNR)を向上させる特性がある。そしてこれらの酸化物を複合させて第2の磁性層の粒界に偏析させることにより、双方の利益を享受することができる。
第2の磁性層は、粒界部を構成する酸化物を5mol%以上含んでいてもよい。5mol%以上であるとき高い静磁気特性と電磁変換特性とを得ることができると共に、そのような範囲では第3の磁性層の特性が無視できないほどに低下するところ、上記の非磁性層を設けることによって特性の改善を得ることができるためである。
第2の磁性層は、第1の非磁性層の上に設けられCo酸化物を含まない第1主記録層と、第1主記録層の上に設けられ少なくともCo酸化物を含む第2主記録層と、から構成してもよい。
上述したように、磁性層では、柱状に成長した結晶粒子(磁性粒子)間に粒界部を有するグラニュラ構造が形成されており、粒界部は、磁性層に含有させた酸化物を析出させることで形成されている。このように酸化物を含有させた磁性層では、かかる酸化物の酸素が脱離することにより単体となった元素が磁性粒子に取り込まれる(酸素欠損が生じる)傾向がある。これのような現象が起きると、磁性粒子の結晶性および結晶配向性が低下し、保磁力Hcの低下を招いてしまう。
そこで、粒界部を構成する酸化物として少なくともCoの酸化物(Co酸化物)を用いる。Co酸化物はギブスの自由化エネルギーΔGが大きく、Coイオンと酸素イオンが分離しやすい。このため、Co酸化物から優先的に酸素が脱離し、磁性層に含まれる酸化物において生じた酸素欠損を補うことができる。したがって、その酸化物を構成する元素の磁性粒子への混入を防ぎ、磁性粒子の結晶性および結晶配向性を向上させることが可能となる。
しかし、第2の磁性層全体にCo酸化物を含有させると、SNRの低下が生じてしまう。したがって、上記構成では、第2の磁性層を第1主記録層と第2主記録層の2層で構成し、第2主記録層のみにCo酸化物を含有させる。これにより、第1主記録層により高SNRを確保しつつ、第2主記録層により高い保磁力Hcを得ることが可能となる。なお、上述したようにCo酸化物から酸素が脱離するとCoイオンが発生するが、磁性粒子がCo合金であるため、かかるCoイオンが磁性粒子に混入しても磁気特性の低下を招くことはない。
当該垂直磁気記録媒体は、第1の磁性層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層を更に備え、第1もしくは第2の非磁性層のいずれか一方または両方は、下地層成膜時のガス圧よりも低いガス圧で成膜されたRuからなる層であるとよい。
スパッタリングにより成膜される皮膜は、成膜時のガス圧を高くするにつれて低密度(粗な状態)となり、低くするにつれて高密度(密な状態)となる。故に、上記構成によれば、非磁性層は下地層よりも高密度な皮膜となる。皮膜の密度が低いと、当該垂直磁気記録媒体に成膜された層の下方から析出した金属が、かかる皮膜を通過して媒体表面に到達しコロージョンが生じてしまう。換言すれば、皮膜の密度が高ければ、かかる皮膜により、析出した金属の媒体表面への到達を防ぐことができる。また、磁性層は粒界(粒界部)に酸化物を析出させたグラニュラ構造を有しているため、膜密度としては粗になっており、コロージョン耐性は期待できない。これに対し、上記構成のように酸化物を含まないメタル層を介在させることにより、コロージョン耐性を向上させることができる。しかも、このメタル層を低いガス圧で成膜することによって密度を高くすれば、極めて効果的に析出した金属の媒体表面への到達を防止し、コロージョンの発生を防ぐことが可能となる。
本発明によれば、磁気記録層のSNRをさらに向上し、更なる高記録密度化を達成することが可能な垂直磁気記録媒体を提供することができる。
第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 第1磁気記録層、介在層、第2磁気記録層、分断層、および補助記録層からなる2つの反強磁***換結合のモデルを説明する図である。 非磁性の有無による実施例と比較例を示す図である。 非磁性層の組成を異ならせて比較した図である。 第2実施形態にかかる垂直磁気記録媒体の構成を説明する図である。 第2磁気記録層が複数の層から構成される垂直磁気記録媒体におけるSNRを説明する図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
(第1実施形態)
第1実施形態では、まず本発明にかかる垂直磁気記録媒体の第1実施形態について説明した後に、磁気記録層と補助記録層の間に設けた非磁性層について詳細に説明する。
[垂直磁気記録媒体]
図1は、第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100の構成を説明する図である。図1に示す垂直磁気記録媒体100は、ディスク基体110、付着層112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、前下地層116、第1下地層118a、第2下地層118b、非磁性グラニュラー層120、第1磁気記録層122a(第1の磁性層)、介在層122b(第1の非磁性層)、第2磁気記録層122c(第2の磁性層)、分断層124(第2の非磁性層)、補助記録層126(第3の磁性層)、媒体保護層128、潤滑層130で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cは、あわせて軟磁性層114を構成する。第1下地層118aと第2下地層118bはあわせて下地層118を構成する。第1磁気記録層122aと介在層122b、第2磁気記録層122cとはあわせて磁気記録層122を構成する。
ディスク基体110は、アモルファスのアルミノシリケートガラスをダイレクトプレスで円板状に成型したガラスディスクを用いることができる。なおガラスディスクの種類、サイズ、厚さ等は特に制限されない。ガラスディスクの材質としては、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ソーダアルミノケイ酸ガラス、アルミノボロシリケートガラス、ボロシリケートガラス、石英ガラス、チェーンシリケートガラス、又は、結晶化ガラス等のガラスセラミックなどが挙げられる。このガラスディスクに研削、研磨、化学強化を順次施し、化学強化ガラスディスクからなる平滑な非磁性のディスク基体110を得ることができる。
ディスク基体110上に、DCマグネトロンスパッタリング法にて付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行い、媒体保護層128はCVD法により成膜することができる。この後、潤滑層130をディップコート法により形成することができる。なお、生産性が高いという点で、インライン型成膜方法を用いることも好ましい。以下、各層の構成について説明する。
付着層112はディスク基体110に接して形成され、この上に成膜される軟磁性層114とディスク基体110との剥離強度を高める機能と、この上に成膜される各層の結晶グレインを微細化及び均一化させる機能を備えている。付着層112は、ディスク基体110がアモルファスガラスからなる場合、そのアモルファスガラス表面に対応させる為にアモルファス(非晶質)の合金膜とすることが好ましい。
付着層112としては、例えばCrTi系非晶質層、CoW系非晶質層、CrW系非晶質層、CrTa系非晶質層、CrNb系非晶質層から選択することができる。中でもCoW系合金膜は、微結晶を含むアモルファス金属膜を形成するので特に好ましい。付着層112は単一材料からなる単層でも良いが、複数層を積層して形成してもよい。例えばCrTi層の上にCoW層またはCrW層を形成してもよい。またこれらの付着層112は、二酸化炭素、一酸化炭素、窒素、又は酸素を含む材料によってスパッタを行うか、もしくは表面層をこれらのガスで暴露したものであることが好ましい。
軟磁性層114は、垂直磁気記録方式において磁気記録層122に垂直方向に磁束を通過させるために、記録時に一時的に磁路を形成する層である。軟磁性層114は第1軟磁性層114aと第2軟磁性層114cの間に非磁性のスペーサ層114bを介在させることによって、AFCを備えるように構成することができる。これにより軟磁性層114の磁化方向を高い精度で磁路(磁気回路)に沿って整列させることができ、磁化方向の垂直成分が極めて少なくなるため、軟磁性層114から生じるノイズを低減することができる。第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成としては、CoTaZrなどのコバルト系合金、CoCrFeB、CoFeTaZrなどのCo−Fe系合金、[Ni−Fe/Sn]n多層構造のようなNi−Fe系合金などを用いることができる。
前下地層116は、非磁性の合金層であり、軟磁性層114を防護する作用と、この上に成膜される下地層118に含まれる六方最密充填構造(hcp構造)の磁化容易軸をディスク垂直方向に配向させる機能を備える。前下地層116は面心立方構造(fcc構造)の(111)面がディスク基体110の主表面と平行となっていることが好ましい。また前下地層116は、これらの結晶構造とアモルファスとが混在した構成としてもよい。前下地層116の材質としては、Ni、Cu、Pt、Pd、Zr、Hf、Nb、Taから選択することができる。さらにこれらの金属を主成分とし、Ti、V、Cr、Mo、Wのいずれか1つ以上の添加元素を含む合金としてもよい。例えばfcc構造を取る合金としてはNiW、CuW、CuCrを好適に選択することができる。
下地層118はhcp構造であって、磁気記録層122のCoのhcp構造の結晶をグラニュラー構造として成長させる作用を有している。したがって、下地層118の結晶配向性が高いほど、すなわち下地層118の結晶の(0001)面がディスク基体110の主表面と平行になっているほど、磁気記録層122の配向性を向上させることができる。下地層118の材質としてはRuが代表的であるが、その他に、RuCr、RuCoから選択することができる。Ruはhcp構造をとり、また結晶の格子間隔がCoと近いため、Coを主成分とする磁気記録層122を良好に配向させることができる。
下地層118をRuとした場合において、スパッタ時のガス圧を変更することによりRuからなる2層構造とすることができる。具体的には、下層側の第1下地層118aを形成する際にはArのガス圧を所定圧力、すなわち低圧にし、上層側の第2下地層118bを形成する際には、下層側の第1下地層118aを形成するときよりもArのガス圧を高くする、すなわち高圧にする。これにより、第1下地層118aによる磁気記録層122の結晶配向性の向上、および第2下地層118bによる磁気記録層122の磁性粒子の粒径の微細化が可能となる。
また、ガス圧を高くするとスパッタリングされるプラズマイオンの平均自由行程が短くなるため、成膜速度が遅くなり、皮膜が粗になるため、Ruの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、Coの結晶粒子の微細化も可能となる。
さらに、下地層118のRuに酸素を微少量含有させてもよい。これによりさらにRuの結晶粒子の分離微細化を促進することができ、磁気記録層122のさらなる孤立化と微細化を図ることができる。なお酸素はリアクティブスパッタによって含有させてもよいが、スパッタリング成膜する際に酸素を含有するターゲットを用いることが好ましい。
非磁性グラニュラー層120はグラニュラー構造を有する非磁性の層である。下地層118のhcp結晶構造の上に非磁性のグラニュラー層を形成し、この上に第1磁気記録層122a(または磁気記録層122)のグラニュラー層を成長させることにより、磁性のグラニュラー層を初期成長の段階(立ち上がり)から分離させる作用を有している。これにより、磁気記録層122の磁性粒子の孤立化を促進することができる。非磁性グラニュラー層120の組成は、Co系合金からなる非磁性の結晶粒子の間に、非磁性物質を偏析させて粒界を形成することにより、グラニュラー構造とすることができる。
本実施形態においては、かかる非磁性グラニュラー層120にCoCr−SiOを用いる。これにより、Co系合金(非磁性の結晶粒子)の間にSiO(非磁性物質)が偏析して粒界を形成し、非磁性グラニュラー層120がグラニュラー構造となる。なお、CoCr−SiOは一例であり、これに限定されるものではない。他には、CoCrRu−SiOを好適に用いることができ、さらにRuに代えてRh(ロジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Os(オスミウム)、Ir(イリジウム)、Au(金)も利用することができる。また非磁性物質とは、磁性粒(磁性グレイン)間の交換相互作用が抑制、または、遮断されるように、磁性粒の周囲に粒界部を形成しうる物質であって、コバルト(Co)と固溶しない非磁性物質であればよい。例えば酸化珪素(SiOx)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr23)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)を例示できる。
なお本実施形態では、下地層188(第2下地層188b)の上に非磁性グラニュラー層120を設けているが、これに限定されるものではなく、非磁性グラニュラー層120を設けずに垂直磁気記録媒体100を構成することも可能である。
磁気記録層122は、Co系合金、Fe系合金、Ni系合金から選択される硬磁性体の磁性粒の周囲に非磁性物質を偏析させて粒界を形成した柱状のグラニュラー構造を有している。この磁性粒は、非磁性グラニュラー層120を設けることにより、そのグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長することができる。磁気記録層122は、本実施形態では組成および膜厚の異なる第1磁気記録層122aと、第2磁気記録層122c、およびこれらの間に設けられた介在層122bとから構成されている。これにより、第1磁気記録層122aの結晶粒子から継続して第2磁気記録層122cの小さな結晶粒子が成長し、主記録層たる第2磁気記録層122cの微細化を図ることができ、SNRの向上が可能となる。
本実施形態では、第1磁気記録層122aにCoCrPt−Crを用いる。CoCrPt−Crは、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に、非磁性物質であるCrおよびCr(酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラー構造を形成した。この磁性粒は、非磁性グラニュラー層のグラニュラー構造から継続してエピタキシャル成長した。
介在層122bは非磁性の薄膜であって、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122cの間に介在させることにより、これらの磁性層間の磁気的な連続性は分断される。したがってこれらの磁性層の間には、反強磁***換結合(AFC)が発生する。これにより介在層122bの上下の磁性層の間では磁化方向が反平行となり、相互に磁化方向を固定するように作用するため、磁化軸の揺らぎが低減し、ノイズを低減することができる。
また第2磁気記録層122cには、CoCrPt−SiO−TiOを用いる。第2磁気記録層122cにおいても、CoCrPtからなる磁性粒(グレイン)の周囲に非磁性物質であるCrおよびSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒が柱状に成長したグラニュラー構造を形成した。
なお、上記に示した第1磁気記録層122aおよび第2磁気記録層122cに用いた物質は一例であり、これに限定されるものではない。また、本実施形態では、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122bで異なる材料(ターゲット)であるが、これに限定されず組成や種類が同じ材料であってもよい。非磁性領域を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
さらに本実施形態では、第1磁気記録層122aにおいて1種類の、第2磁気記録層122cにおいて2種類の非磁性物質(酸化物)を用いているが、これに限定されるものではなく、第1磁気記録層122aまたは第2磁気記録層122cのいずれかまたは両方において2種類以上の非磁性物質を複合して用いることも可能である。このとき含有する非磁性物質の種類には限定がないが、本実施形態の如く特にSiOおよびTiOを含むことが好ましい。したがって、本実施形態とは異なり、磁気記録層122が1層のみで構成される場合、かかる磁気記録層122はCoCrPt−SiO−TiOからなることが好ましい。
分断層124は、磁気記録層122(第2磁気記録層122b)と補助記録層126との間に設けられた非磁性の層である。本実施形態において分断層124は、Ru、Ru化合物、Ruと酸素、またはRuと酸化物を含む薄膜によって構成することができる。分断層124が酸素を含むことにより、多量の酸化物を含む磁気記録層122の上に分断層124を成膜し、さらにその上に酸素を含まない補助記録層126を成膜した場合の磁気的、構造的な橋渡しとなる。
補助記録層126は基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した磁性層である。補助記録層126は磁気記録層122に対して磁気的相互作用を有するように、隣接または近接している必要がある。補助記録層126の材質としては、例えばCoCrPt、CoCrPtB、またはこれらに微少量の酸化物を含有させて構成することができる。補助記録層126は逆磁区核形成磁界Hnの調整、保磁力Hcの調整を行い、これにより耐熱揺らぎ特性、OW特性、およびSNRの改善を図ることを目的としている。この目的を達成するために、補助記録層は垂直磁気異方性Kuおよび飽和磁化Msが高いことが望ましい。なお本実施形態において補助記録層126は磁気記録層122の上方に設けているが、下方に設けてもよい。
なお、「磁気的に連続している」とは磁性が連続していることを意味している。「ほぼ連続している」とは、補助記録層126全体で観察すれば一つの磁石ではなく、結晶粒子の粒界などによって磁性が不連続となっていてもよいことを意味している。粒界は結晶の不連続のみではなく、Crが偏析していてもよく、さらに微少量の酸化物を含有させて偏析させても良い。ただし補助記録層126に酸化物を含有する粒界を形成した場合であっても、磁気記録層122の粒界よりも面積が小さい(酸化物の含有量が少ない)ことが好ましい。補助記録層126の機能と作用については必ずしも明確ではないが、磁気記録層122のグラニュラ磁性粒と磁気的相互作用を有する(交換結合を行う)ことによってHnおよびHcを調整することができ、耐熱揺らぎ特性およびSNRを向上させていると考えられる。またグラニュラ磁性粒と接続する結晶粒子(磁気的相互作用を有する結晶粒子)がグラニュラ磁性粒の断面よりも広面積となるため磁気ヘッドから多くの磁束を受けて磁化反転しやすくなり、全体のOW特性を向上させるものと考えられる。
媒体保護層128は、真空を保ったままカーボンをCVD法により成膜して形成することができる。媒体保護層128は、磁気ヘッドの衝撃から垂直磁気記録媒体100を防護するための層である。一般にCVD法によって成膜されたカーボンはスパッタ法によって成膜したものと比べて膜硬度が向上するので、磁気ヘッドからの衝撃に対してより有効に垂直磁気記録媒体100を防護することができる。
潤滑層130は、PFPE(パーフロロポリエーテル)をディップコート法により成膜することができる。PFPEは長い鎖状の分子構造を有し、媒体保護層128表面のN原子と高い親和性をもって結合する。この潤滑層130の作用により、垂直磁気記録媒体100の表面に磁気ヘッドが接触しても、媒体保護層128の損傷や欠損を防止することができる。
以上の製造工程により、垂直磁気記録媒体100を得ることができた。次に、本発明の特徴である磁気記録層122および分断層124についてさらに詳述する。
上述したように、介在層122b(第1の非磁性層)は、それぞれ第1磁気記録層122a(第1の磁性層)と第2磁気記録層122c(第2の磁性層)との間に設けられた非磁性層である。これにより、これらの磁性層(第1の磁性層と第2の磁性層)間の磁気的な連続性は分断される。したがってこれらの磁性層の間には、磁気的効果として反強磁***換結合(AFC)が発生する。また結晶構造上は、第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122cが同様のグラニュラー構造であることから、これらの結晶配向性の継承を妨げない。介在層122bには磁気記録層ほど大量の酸化物が含まれていないために粒界は形成しないが、1nm以下という極端な薄膜であり、かつRuがhcp構造を有することから、結晶成長を阻害しないものと推察される。
また分断層124(第2の非磁性層)は、磁気記録層122と補助記録層126(第3の磁性層)の間に設けた、Ruと酸素を含む非磁性の層である。ただし介在層122bよりも薄く形成することにより、磁気記録層122と補助記録層126の間には磁気的効果として反強磁***換結合ではなく、強磁***換結合が発生する。
このような分断層124を設けることにより、補助記録層126に起因すると考えられるノイズを低減させてSNRを向上させることができる。これは、結晶構造上の効果として、補助記録層126が結晶成長する際に磁気記録層122から継承する微細構造を調整できるためと推察される。分断層124のうち磁気記録層122の磁性粒子の上に位置する部分は、Ruが磁気記録層122のCoの結晶構造を補助記録層126のCoまで継承させる。分断層124のうち磁気記録層122の粒界の上に位置する部分は、粒界を形成する酸化物とRuの格子定数が大きく異なることから結晶配向性の継承は存在せず、Ruと酸素原子は自由にマイグレーションを生じながら皮膜(結晶)を形成する。そしてこのRuの結晶の上に補助記録層126が成膜されることにより、補助記録層126のCo粒子は、より分離が促進され、低ノイズ化が達成される。したがって、全体として補助記録層126の結晶配向性が向上する。
介在層122bおよび分断層124は、Ru又はRu化合物で構成されていてもよい。Ruは磁性粒子を構成するCoと格子定数が近いため、磁性層の間に介在させてもCo結晶粒子のエピタキシャル成長を阻害しにくいためである。
非磁性層(介在層122b、分断層124)の厚さは、それぞれ2Å〜10Åであってもよい。非磁性層の膜厚を10Å以上とすると、非磁性層の上下の磁性層が完全に分断されて結晶配向性の継承を全く失ってしまうためである。また10Å以上に膜厚が厚くなると、磁性層間で生じる交換結合が弱くなってしまうために、所望のSNRが得られない。一方、膜厚が2Å以下では皮膜を形成できなくなってしまうためである。なおAFCの交換結合の強さは介在する分断層124の厚みによって振動しながら減衰するため、振動のピークを得られる膜厚とすることが好ましい。
図2は第1磁気記録層122a、介在層122b、第2磁気記録層122c、分断層124、および補助記録層126からなる2つの磁気結合のモデルを説明する図である。図2に示すように第1磁気記録層122aと第2磁気記録層122cは磁化方向が反平行となり、第2磁気記録層122cと補助記録層126とは磁化方向が平行となり、相互に磁化方向を固定するように作用する。このため、磁化軸の揺らぎが低減し、ノイズを低減することができる。
ここで第1磁気記録層122aは、介在層122bがなければ第2磁気記録層122cと連続した磁石であったところ、介在層122bによって分断されるために個別の短い磁石となる。そして、さらに第1磁気記録層122aの膜厚を薄くすることにより、グラニュラー磁性粒子の縦横比が短くなることから(垂直磁気記録媒体においては、膜厚方向が磁化容易軸の縦方向にあたる)、磁石の内部に発生する反磁界が強くなる。このため第1磁気記録層122aは硬磁性であるにもかかわらず、外部に出す磁気モーメントが小さくなり、磁気ヘッドによって拾われにくくなる。すなわち、第1磁気記録層122aの膜厚を調節することによって、磁気ヘッドまで磁束が到達しにくく、かつ第2磁気記録層122cに対しては磁気的相互作用を有する程度に磁気モーメント(磁石の強さ)を設定することにより、高い保磁力を発揮しながらもノイズの少ない磁気記録層122とすることができる。
第1磁気記録層122aの厚さは、5nm以下であってもよい。このとき、第1磁気記録層122aは粒界部が少なく保磁力Hcが高い層、第2磁気記録層122cは粒界部が多く(酸化物が多く)SNRが高い層であることが好ましい。これにより第1磁気記録層122aの反磁界を強くして、第1磁気記録層122aから出る磁気モーメントを低減することができる。したがって第1磁気記録層122aから出るノイズは磁気ヘッドに到達しないため、第1磁気記録層122aは酸化物を減らして保磁力Hcを強くすることができる。
さらに、非磁性層(介在層122b、分断層124)をRuのみから構成してもOW特性等の向上はみられるが、Ruと酸素を含有させることによりSNRの飛躍的な向上がみられる。これは、多量の酸素を含む粒界の上に、Ruのみからなる皮膜を形成しても、高い保磁力が得られないためである。一方、本発明のように非磁性層にRuと酸素とを含ませることによって、含有させた酸素原子は粒界に含まれている酸素原子と親和性が高く、選択的に析出する。特に分断層124においては、非磁性層に磁気記録層122に含まれる酸化物よりも少ない割合で酸素を含ませることにより、多量の酸素を含む磁気記録層122の粒界と、酸素を含まない補助記録層126との橋渡しをすることが可能になったものと推察される。
非磁性層においてRuに含有させる酸素には、単体としての酸素原子、もしくは酸化物としての酸素原子のいずれか一方または両方が含まれる。Ruに微少量の酸素を含有させるにあたり、ターゲットにあらかじめ酸素を含有させる方法と、スパッタリングの際に雰囲気ガスに酸素を添加するリアクティブスパッタ法がある。リアクティブスパッタ法は、スパッタリングを行うチャンバ内に供給する雰囲気ガスに活性ガスを添加し、ターゲットの原子と活性ガスの原子との化合物膜または混合膜を成膜する方法である。したがって、非磁性層のスパッタリングの際に活性ガスとして酸素ガスを添加することで、非磁性層に酸素を含有させることができる。
ただし、リアクティブスパッタ法は、雰囲気ガスに添加する酸素ガスの量が少量であるため、非磁性層に含有される酸素の量が所望する量になるよう調整することが非常に困難である。また雰囲気ガス中において活性ガスが均一に分布するよう調節することが難しいため、非磁性層における酸素の分布が不均一になってしまう。更には、非磁性層の成膜の際に層内に混入した酸素ガスを完全に脱気することが困難であるため、チャンバ内に残留した酸素ガスが、非磁性層より後の層を成膜するチャンバに入り込んでしまう。そこで非磁性層をRuと酸化物からなるターゲットを用いてスパッタリングを行う方が、膜全体に均一に酸素を含有させられるために好ましい。
非磁性層は、RuO、RuWO、またはRuTiOであってもよい。上記のように、スパッタリングのターゲットに酸化物を含有させることにより、非磁性層に酸素を含有させることが好ましい。酸化物としては様々なものが考えられるが、特にW、Ti、Ruの酸化物を用いることにより、電磁変換特性(SNR)を向上させることができる。中でも、WOは高い効果を得ることができる。これは、WOが、不安定な酸化物であるので、スパッタ中に酸素が解離され、解離された酸素が、酸素添加の効果も示す。つまり、WOを使うことにより、酸素添加の効果と酸化物添加の効果を併せ持つことができるので、好適である。酸化物の他の例としては、酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコン(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
非磁性層は、膜厚が2Å以上〜10Å以下(0.2nm以上〜1nm以下)であってもよい。このような薄膜とすることにより非磁性層は完全な膜を形成せず、磁気記録層122の結晶粒子から補助記録層126へと続く結晶配向性の継承は阻害されない。非磁性層の膜厚を10Å以上とすると、磁気記録層122と補助記録層126とが完全に分断されて結晶配向性の継承を全く失ってしまう。また特に7Å〜9Åとすることにより、強い交換結合を得ることができる。10Å以上に膜厚が厚くなると、磁気記録層122と補助記録層126との間で生じる交換結合が弱くなってしまうために、所望のSNRが得られない。一方、膜厚が2Å以下では皮膜を形成できなくなってしまう。
磁気記録層122は2種以上の酸化物を含んでいてもよい。これにより、複数の酸化物の特性を得ることができ、磁気記録層122の磁性粒子のさらなる微細化と孤立化を図ることによりノイズを低減し、かつSNRを向上させて高記録密度化を図ることのできる垂直磁気記録媒体を得ることができる。
磁気記録層122は酸化物としてSiOとTiOを含んでいてもよい。SiOは磁性粒子の微細化および孤立化を促進し、TiOは電磁変換特性(特にSNR)を向上させる特性がある。そしてこれらの酸化物を複合させて磁気記録層122の粒界に偏析させることにより、双方の利益を享受することができる。
磁気記録層122は、粒界部を構成する酸化物を5mol%以上含んでいてもよい。5mol%以上であるとき高い静磁気特性と電磁変換特性とを得ることができると共に、そのような範囲では補助記録層126の特性が無視できないほどに低下するところ、上記の分断層124を設けることによって特性の改善を得ることができるためである。
(実施例)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行った。付着層112は、CrTiとした。軟磁性層114は、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成はCoFeTaZrとし、スペーサ層114bの組成はRuとした。前下地層116の組成はfcc構造のNiW合金とした。第1下地層118aは所定圧力(低圧:例えば0.6〜0.7Pa)のAr雰囲気下でRu膜を成膜した。第2下地層118bは、酸素が含まれているターゲットを用いて所定圧力より高い圧力(高圧:例えば4.5〜7Pa)のAr雰囲気下で、酸素を含有するRu膜を成膜した。非磁性グラニュラー層120の組成は非磁性のCoCr−SiOとした。第1磁気記録層122aは粒界部に酸化物の例としてCrを含有し、CoCrPt−Crのhcp結晶構造を形成した。第2磁気記録層122cは、粒界部に複合酸化物(複数の種類の酸化物)の例としてSiOとTiOを含有し、CoCrPt−SiO−TiOのhcp結晶構造を形成した。介在層122bおよび分断層124は膜厚を3Åとし、その組成は、下記のような実施例と比較例を作成して比較した。補助記録層126の組成はCoCrPtBとした。媒体保護層128はCVD法によりCおよびCNを用いて成膜し、潤滑層130はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
図3は非磁性層の有無による実施例と比較例を示す図である。実施例1は介在層122bおよび分断層124を設け第2磁気記録層122cに複数の酸化物を複合した例、実施例2はさらに酸化物としてCoOを追加した例、実施例3は酸化物が単一材料の場合である。比較例1は介在層122bおよび分断層124を設けていない例、比較例2は分断層124のみを設けた例、比較例3は介在層122bのみを設けた例である。そして各実施例および比較例について、静磁気特性として保磁力Hcおよび逆磁区核形成磁界Hn、電磁変換特性としてSNRを測定した。保磁力Hcおよび逆磁区核形成磁界Hnは絶対値が大きいほどよいため、同軸上に絶対値としてグラフに示している。
図3からわかるように、実施例は比較例に対してHcとHnも向上しているが、特にSNRが顕著に向上している。比較例1〜比較例3で比べれば、比較例2により分断層124はSNRを向上させることがわかり、比較例3により介在層122bもSNRを少し向上させていることがわかる。しかし実施例のように両方を兼ね備えることにより、飛躍的に性能の向上を図ることができる。
また実施例1と実施例3を比較すれば、第2磁気記録層122cの酸化物を複数の酸化物を混合させた方が高い効果を得られることがわかる。また実施例2を参照すれば、さらにCoOを添加している方がHc、Hn、およびSNRのいずれもさらに高くなっていることがわかる。
図4は分断層124の組成を異ならせて比較した図である。実施例2は非磁性層(介在層122bおよび分断層124)をRuWOにて形成した例、実施例4は非磁性層をRu−SiOにて形成した例、実施例5は非磁性層をRu+O曝露にて形成した例、実施例6は非磁性層をRuのみによって形成した例である。
図4から、Ruのみによって形成した実施例6よりも、酸素を含有する実施例2〜実施例5の方が大幅にSNRが向上していることがわかる。中でも、RuWOにて非磁性層を形成した実施例2が最もSNRが向上していた。
上記説明した如く、第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100によれば、磁気記録層のSNRをさらに向上させることができる。これにより、垂直磁気記録媒体100の更なる高記録密度化を達成することが可能である。
(第2実施形態)
以下に、本発明にかかる垂直磁気記録媒体の第2実施形態について説明する。上述した第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100では、第2磁気記録層122bが1層で構成されていたのに対し、第2実施形態にかかる垂直磁気記録媒体は、第2磁気記録層が2層で構成される。なお、第1実施形態と同一の機能、構成を有する要素については同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[垂直磁気記録媒体]
図5は、第2実施形態にかかる垂直磁気記録媒体200の構成を説明する図である。図5に示す垂直磁気記録媒体200は、ディスク基体110、付着層112、第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114c、前下地層116、第1下地層118a、第2下地層118b、非磁性グラニュラー層120、第1磁気記録層122a(第1の磁性層)、介在層222b(第1の非磁性層)、第1主記録層222c、第2主記録層222d、分断層124(第2の非磁性層)、補助記録層126(第3の磁性層)、媒体保護層128、潤滑層130で構成されている。なお第1軟磁性層114a、スペーサ層114b、第2軟磁性層114cは、あわせて軟磁性層114を構成する。第1下地層118aと第2下地層118bはあわせて下地層118を構成する。第1主記録層222cと第2主記録層222dはあわせて第2磁気記録層222a(第2の磁性層)を構成し、第1磁気記録層122aと介在層222b、第2磁気記録層222aとはあわせて磁気記録層222を構成する。
介在層222bは非磁性の薄膜であって、これを第1磁気記録層122aと第1主記録層222cの間に介在させることにより、これらの間の磁気的な連続性は分断される。このとき介在層222bの膜厚を所定の膜厚(0.7〜0.9nm)とすることにより、第1磁気記録層122aと第1主記録層222cとの間には反強磁***換結合(AFC)が発生する。これにより介在層222bの上下の層の間では磁化が引き合い、相互に磁化方向を固定するように作用するため、磁化軸の揺らぎが低減し、ノイズを低減することができ、第1実施形態にかかる垂直磁気記録媒体100と同様の利点を得ることができる。
本実施形態では、介在層222bを、下地層118成膜時のガス圧よりも低いガス圧で成膜されたRuからなる層とする。介在層222bをRuから構成することより、第1実施形態の介在層122bと同様の利点を得ることができる。また介在層222bを下地層118よりも低ガス圧で成膜することにより、介在層122bは下地層118よりも高密度な皮膜となる。したがって、介在層222bよりも下に成膜された層から金属が析出したとしても、かかる金属の当該垂直磁気媒体200表面への到達を防ぐことが可能となり、コロージョンの発生を防止することができる。
なお、本実施形態においては、介在層222bを低ガス圧で成膜されたRuからなる層としたが、少なくとも介在層222bまたは分断層124のいずれか一方を低ガス圧で成膜されたRuからなる層とすれば上述した利点を得ることができる。また介在層222bおよび分断層124の両方を低ガス圧で成膜されたRuからなる層とすることも可能である。ただし、第1実施形態において述べたように、非磁性層(介在層222b、分断層124)にRuと酸素を含有させることによりSNRの飛躍的な向上が図れる。このことから、本実施形態のように、介在層222bまたは分断層124のいずれか一方を低ガス圧で成膜されたRuからなる層とし、他方をRuと酸素を含有させた層とすることが好ましい。
本実施形態において、第2磁気記録層222aは、介在層222b上(ディスク基体110側)に設けられる第1主記録層222cと、第1主記録層222c上(当該垂直磁気記録媒体200の主表面側)に設けられる第2主記録層222dとから構成される。
第1主記録層222cはCoCrPt−SiO−TiOを用いる。これにより、第1主記録層222cにおいて、CoCrPtからなる磁性粒子(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒子が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
第2主記録層222dは第1主記録層222cと連続しているが、組成および膜厚が異なっている。第2主記録層222dはCoCrPt−SiO−TiO−CoOを用いる。これにより、第2主記録層222dにおいても、CoCrPtからなる磁性粒子(グレイン)の周囲に非磁性物質であるSiO、TiO、CoO(複合酸化物)が偏析して粒界を形成し、磁性粒子が柱状に成長したグラニュラ構造を形成した。
上記のように本実施形態では、第2主記録層222dにCoO(Coの酸化物)を含有させ、第2主記録層222dが第1主記録層222cよりも多くの酸化物を含む構成としている。これにより、第1主記録層222cから第2主記録層222dにかけて、結晶粒子の分離を段階的に促進することができる。
また上記のように第2主記録層222dにCo酸化物を含有させることにより、酸素欠損による磁性粒子の結晶性および結晶配向性の低下を防ぐことができる。詳細には、SiOやTiO等の酸化物を磁気記録層222に混入すると、酸素欠損が生じる事実があり、SiイオンやTiイオンが磁性粒子に混入して結晶配向性が乱れ、保磁力Hcが低下してしまう。そこでCo酸化物を含有させることにより、この酸素欠損を補うための酸素担持体として機能させることができる。Co酸化物としてはCoOを例示するが、Coでもよい。
Co酸化物はSiOやTiOよりもギブスの自由化エネルギーΔGが大きく、Coイオンと酸素イオンが分離しやすい。したがって、Co酸化物から優先的に酸素が分離し、SiOやTiOにおいて生じた酸素欠損を補って、SiやTiのイオンを酸化物として完成させ、粒界に析出させることができる。これにより、SiやTiなどの異物が磁性粒子に混入することを防止し、その混入によって磁性粒子の結晶性を乱すことを防止することができる。このとき余剰となったCoイオンは磁性粒子に混入すると考えられるが、そもそも磁性粒子がCo合金であるために、磁気特性を損なうことはない。したがって磁性粒子の結晶性および結晶配向性が向上し、保磁力Hcを増大させることが可能となる。また、飽和磁化Msが向上することから、オーバーライト特性も向上するという利点を有している。
ただし、磁気記録層222にCo酸化物を混入すると、SNRが低下するという問題がある。そこで、上記のようにCo酸化物を混入しない第1主記録層222cを設けることにより、第1主記録層222cで高いSNRを確保しつつ、第2主記録層222dで高い保磁力Hcおよびオーバーライト特性を得ることが可能となる。なお第1主記録層222cの膜厚よりも第2主記録層222dの膜厚が厚いことが好ましく、好適な一例として第1主記録層222cを2nm、第2主記録層222dを8nmとすることができる。
なお、上記に示した第1主記録層222cおよび第2主記録層222dに用いた物質は一例であり、これに限定するものではない。粒界を形成するための非磁性物質としては、例えば酸化珪素(SiO)、クロム(Cr)、酸化クロム(Cr)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化タンタル(Ta)、酸化鉄(Fe)、酸化ボロン(B)等の酸化物を例示できる。また、BN等の窒化物、B等の炭化物も好適に用いることができる。
(実施例)
ディスク基体110上に、真空引きを行った成膜装置を用いて、DCマグネトロンスパッタリング法にてAr雰囲気中で、付着層112から補助記録層126まで順次成膜を行った。付着層112は、CrTiとした。軟磁性層114は、第1軟磁性層114a、第2軟磁性層114cの組成はCoFeTaZrとし、スペーサ層114bの組成はRuとした。前下地層116の組成はfcc構造のNiW合金とした。第1下地層118aは所定圧力(低圧:例えば0.6〜0.7Pa)のAr雰囲気下でRu膜を成膜した。第2下地層118bは、酸素が含まれているターゲットを用いて所定圧力より高い圧力(高圧:例えば4.5〜7Pa)のAr雰囲気下で、酸素を含有するRu膜を成膜した。非磁性グラニュラー層120の組成は非磁性のCoCr−SiOとした。第1磁気記録層122aは粒界部に酸化物の例としてCrを含有し、CoCrPt−Crのhcp結晶構造を形成した。介在層222bは、下地層118成膜時よりも低いガス圧にて成膜されたRuにより形成した。第1主記録層222cは、粒界部に複合酸化物(複数の種類の酸化物)の例としてSiOおよびTiOを含有し、CoCrPt−SiO−TiOのhcp結晶構造を形成した。第2主記録層222dは、粒界部に複合酸化物(複数の種類の酸化物)の例としてSiO、TiOおよびCoOを含有し、CoCrPt−SiO−TiO−CoOのhcp結晶構造を形成した。分断層124は、RuWOにより形成した。補助記録層126の組成はCoCrPtBとした。媒体保護層128はCVD法によりCおよびCNを用いて成膜し、潤滑層130はディップコート法によりPFPEを用いて形成した。
図6は、第2磁気記録層が複数の層から構成される垂直磁気記録媒体200におけるSNRを説明する図である。図6中、実施例7は上述のように第2磁気記録層を2層で構成した垂直磁気記録媒体200である。実施例8は、第2磁気記録層以外は実施例7と同様の構成とし、第2磁気記録層は第1実施形態と同様に1層で構成した垂直磁気記録媒体100であり、実施例7の比較対象である。
図6を参照すると、実施例7では実施例8よりも高いSNRを確保できていることがわかる。このことから、第2磁気記録層222aを第1主記録層222cおよび第2主記録層222dの2層で構成し、第2主記録層222dにCoO(Co酸化物)を含有させることにより、垂直磁気記録媒体のSNRを高め、更なる高記録密度化の達成に寄与することが可能であることが理解できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、垂直磁気記録方式のHDDなどに搭載される垂直磁気記録媒体として利用することができる。
100…垂直磁気記録媒体、110…ディスク基体、112…付着層、114…軟磁性層、114a…第1軟磁性層、114b…スペーサ層、114c…第2軟磁性層、116…前下地層、118…下地層、118a…第1下地層、118b…第2下地層、120…非磁性グラニュラー層、122…磁気記録層、122a…第1磁気記録層、122b…介在層、122c…第2磁気記録層、124…分断層、126…補助記録層、128…媒体保護層、130…潤滑層、200…垂直磁気記録媒体、222…磁気記録層、222a…第2磁気記録層、222b…介在層、222c…第1主記録層、222d…第2主記録層

Claims (11)

  1. 基体上に少なくとも、
    柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の第1の磁性層と、
    前記第1の磁性層の上に設けられた第1の非磁性層と、
    前記第1の非磁性層の上に設けられ柱状に成長した結晶粒子の間に非磁性の粒界部を形成したグラニュラー構造の第2の磁性層と、
    前記第2の磁性層の上に設けられた第2の非磁性層と、
    前記第2の非磁性層の上に設けられ基体主表面の面内方向に磁気的にほぼ連続した第3の磁性層とを備えることを特徴とする垂直磁気記録媒体。
  2. 前記第1または第2の非磁性層は、Ru又はRu化合物で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  3. 前記第1または第2の非磁性層は、さらに酸素または酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  4. 前記第1または第2の非磁性層は、RuO、RuWO、またはRuTiOであることを特徴とする請求項3に記載の垂直磁気記録媒体。
  5. 前記第1の磁性層の厚さが5nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 前記第1または第2の非磁性層の厚さが2Å〜10Åであることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  7. 前記第2の磁性層は2種以上の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  8. 前記第2の磁性層はSiO、TiO、またはCoOから選択される1または複数の酸化物を含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  9. 前記第2の磁性層は、前記粒界部を構成する酸化物を5mol%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  10. 前記第2の磁性層は、前記第1の非磁性層の上に設けられCo酸化物を含まない第1主記録層と、該第1主記録層の上に設けられ少なくともCo酸化物を含む第2主記録層と、から構成されることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
  11. 当該垂直磁気記録媒体は、前記第1の磁性層より下に設けられRuまたはRu化合物からなる下地層を更に備え、
    前記第1もしくは第2の非磁性層のいずれか一方または両方は、前記下地層成膜時のガス圧よりも低いガス圧で成膜されたRuからなる層であることを特徴とする請求項1に記載の垂直磁気記録媒体。
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