JP2010089335A - グラビア製版ロール及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無な表面強化被覆層として鉄−リン合金メッキ層を具備するとともに耐刷力に優れた新規なグラビア製版ロール及びその製造方法を提供する。
【解決手段】版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面を被覆する鉄−リン合金メッキ層とを含むようにした。前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、及び前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが0.1〜15μmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、グラビアセル形成層及び表面強化被覆層として鉄−リン合金メッキ層を具備するグラビア製版ロール及びその製造方法に関する。
グラビア印刷では、版母材に対し、製版情報に応じた微小な凹部(グラビアセル)を形成して版面を製作し当該グラビアセルにインキを充填して被印刷物に転写するものである。一般的なグラビア製版ロールにおいては、アルミニウムや鉄などの金属製中空ロール(版母材)又はCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)等のプラスチック製中空ロール(版母材)の表面に版面形成用の銅メッキ層(版材)を設け、該銅メッキ層にエッチング法又は電子彫刻法によって製版情報に応じ多数の微小な凹部(グラビアセル)を形成し、次いでグラビア製版ロールの耐刷力を増すためのクロムメッキによって硬質のクロム層を形成して表面強化被覆層とし、製版(版面の製作)が完了する。しかし、クロムメッキ工程においては毒性の高い六価クロムを用いているために、作業の安全維持を図るために余分なコストがかかる他、公害発生の問題もあり、クロム層に替わる表面強化被覆層の出現が待望されているのが現状である。
一方、高い硬度を有する鉄−リン膜を形成する方法として、鉄−リン合金メッキ方法が提案されている(特許文献1等参照)。
特表2007−525600
本発明者らは、上記した従来技術の問題点に鑑み、グラビア製版ロールにおけるクロム層に替わる表面強化被覆層についてあわせて研究を続けたところ鉄−リン合金メッキ層を形成することによって従来のクロム層に匹敵する強度を有しかつ毒性はなく公害発生の心配も全くない表面強化被覆層を得ることができることを見出し、また鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルを直接形成することによってグラビア製版ロールを形成することが可能であることを見出し本発明を完成した。
本発明は、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無な表面強化被覆層として鉄−リン合金メッキ層を具備するとともに耐刷力に優れた新規なグラビア製版ロール及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のグラビア製版ロールの第1の態様は、版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面を被覆する鉄−リン合金メッキ層とを含むことを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法の第1の態様は、版母材を準備する工程と、該版母材の表面に銅メッキ層を形成する銅メッキ工程と、該銅メッキ層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、該グラビアセルが形成された銅メッキ層の表面に鉄−リン合金メッキ層を形成する鉄−リン合金メッキ工程とを含むことを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの第1の態様及びグラビア製版ロールの製造方法の第1の態様において、前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、好ましくは5〜150μm、及び前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが0.1〜15μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは3〜10μmであることが好適である。
本発明のグラビア製版ロールの第2の態様は、版母材と、該版母材の表面に設けられた銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された鉄−リン合金メッキ層とを含むことを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法の第2の態様は、版母材を準備する工程と、該版母材の表面に銅メッキ層を形成する銅メッキ工程と、該銅メッキ層の表面に鉄−リン合金メッキ層を形成する鉄−リン合金メッキ工程と、該鉄−リン合金メッキ層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの第2の態様及びグラビア製版ロールの製造方法の第2の態様において、前記銅メッキ層の厚さが3〜30μm、好ましくは5〜30μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、好ましくは5〜150μm、及び前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが3〜200μm、好ましくは10〜200μmであることが好適である。
本発明のグラビア製版ロールの第3の態様は、版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された鉄−リン合金メッキ層とを含むことを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法の第3の態様は、版母材を準備する工程と、該版母材の表面に鉄−リン合金メッキ層を形成する鉄−リン合金メッキ工程と、該鉄−リン合金メッキ層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、を含むことを特徴とする。
本発明のグラビア製版ロールの第3の態様及びグラビア製版ロールの製造方法の第3の態様において、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、好ましくは5〜150μm、及び前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが3〜200μm、好ましくは10〜200μmであることが好適である。
前記グラビアセルの形成は、エッチング法又は電子彫刻法によって行えばよいが、エッチング法が好適である。ここでエッチング法は版母材の銅メッキ層に感光液を塗布して直接焼き付けた後、エッチングしてグラビアセルを形成する方法である。電子彫刻法は、デジタル信号によりダイヤモンド彫刻針を機械的に作動させ版母材の銅メッキ層表面にグラビアセルを彫刻する方法である。
本発明のグラビア製版ロールの第1の態様においては、表面強化被覆層として鉄―リン合金メッキ層を用いることにより、クロムメッキ工程を省略することができるので、毒性の高い六価クロムを用いることがなくなり、作業の安全性を図るための余分なコストが不要で、公害発生の心配も全くなく、しかも鉄―リン合金メッキ層はクロム層に匹敵する強度を有し耐刷力にも優れるという大きな効果を奏するものである。本発明のグラビア製版ロールの第2の態様においては、銅メッキ層の上に形成した鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルを形成するので、上記した鉄―リン合金メッキ層の利点に加えて表面強化被覆層を改めて設ける必要がないという利点がある。本発明のグラビア製版ロールの第3の態様においては、銅メッキ層を形成することなく、鉄―リン合金メッキ層のみを形成しかつ当該鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルを形成するので、上記した鉄―リン合金メッキ層の利点に加えて、銅メッキ工程が省略できるので、工程の簡略化によるコスト低減を図ることができるという利点がある。
本発明のグラビア製版ロールの製造方法の第1〜第3の態様によれば、本発明のグラビア製版ロールの第1〜第3の態様を公害発生の心配も全くなく有効に製造できるものである。
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これら実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
本発明のグラビア製版ロールの第1の態様の製造方法について図1及び図2を用いて説明する。図1は本発明のグラビア製版ロールの第1の態様の製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は版母材(中空ロール)の全体断面図、(b)は版母材の表面に銅メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は版母材の銅メッキ層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は版母材の銅メッキ層表面に鉄―リン合金メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図である。図2は本発明のグラビア製版ロールの第1の態様の製造方法を示すフローチャートである。
図1(a)において、符号10は版母材で、アルミニウムや鉄などの金属製中空ロール又はCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)等のプラスチック製中空ロールが用いられる(図2のステップ100)。該版母材10の表面には銅メッキ処理によって銅メッキ層12が形成される(図2のステップ102)。
該銅メッキ層12の表面には多数の微小な凹部(グラビアセル)14が形成される(図2のステップ104)。グラビアセル14の形成方法としては、エッチング法(版胴面に感光液を塗布して直接焼き付けた後、エッチングしてグラビアセル14を形成する)や電子彫刻法(デジタル信号によりダイヤモンド彫刻針を機械的に作動させ銅表面にグラビアセル14を彫刻する)等の公知の方法を用いることができるが、エッチング法が好適である。
次に、前記グラビアセル14を形成した銅メッキ層12(グラビアセル14を含む)の表面に鉄―リン合金メッキ層16を形成する(図2のステップ106)。鉄―リン合金メッキ層16の形成方法については後述する。
上記した鉄―リン合金メッキ層16を被覆し、この鉄―リン合金メッキ層16を表面強化被覆層として作用させることによって、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無となるとともに耐刷力に優れた第1の態様のグラビア製版ロール10aを得ることができる。
前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、好ましくは5〜150μm、前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが0.1〜15μm、好ましくは1〜10μm、さらに好ましくは3〜10μmであることが好適である。
次いで、本発明のグラビア製版ロールの第2の態様の製造方法について図3及び図4を用いて説明する。図3は本発明のグラビア製版ロールの第2の態様の製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は版母材(中空ロール)の全体断面図、(b)は版母材の表面に銅メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は版母材の銅メッキ層表面に鉄―リン合金メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図である。図4は本発明のグラビア製版ロールの第2の態様の製造方法を示すフローチャートである。
図3(a)において、符号10は版母材で、アルミニウムや鉄などの金属製中空ロール又はCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)等のプラスチック製中空ロールが用いられる(図4のステップ200)。該版母材10の表面には銅メッキ処理によって銅メッキ層12が形成される(図4のステップ202)。
該銅メッキ層12の表面に鉄―リン合金メッキ層16を形成する(図4のステップ204)。次に、前記鉄―リン合金メッキ層16の表面に多数の微小な凹部(グラビアセル)14が形成される(図4のステップ206)。グラビアセル14の形成方法としては、公知の方法を適用すればよいが、エッチング法(版胴面に感光液を塗布して直接焼き付けた後、エッチングしてグラビアセル14を形成する)が好適である。
上記した鉄―リン合金メッキ層16を銅メッキ層12の表面に形成し、この鉄―リン合金メッキ層16にグラビアセル14を形成することによって、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無となるとともに耐刷力に優れた第2の態様のグラビア製版ロール10bを得ることができる。
前記銅メッキ層の厚さが3〜30μm、好ましくは5〜30μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、好ましくは5〜150μm、前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが3〜200μm、好ましくは10〜200μmであることが好適である。
続いて、本発明のグラビア製版ロールの第3の態様の製造方法について図5及び図6を用いて説明する。図5は本発明のグラビア製版ロールの第3の態様の製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は版母材(中空ロール)の全体断面図、(b)は版母材の表面に鉄―リン合金メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図である。図6は本発明のグラビア製版ロールの第3の態様の製造方法を示すフローチャートである。
図5(a)において、符号10は版母材で、アルミニウムや鉄などの金属製中空ロール又はCFRP(炭素繊維強化プラスチックス)等のプラスチック製中空ロールが用いられる(図6のステップ300)。該版母材10の表面には鉄―リン合金メッキ処理によって鉄―リン合金メッキ層16が形成される(図6のステップ302)。
次に、前記鉄―リン合金メッキ層16の表面に多数の微小な凹部(グラビアセル)14が形成される(図6のステップ304)。グラビアセル14の形成方法としては、公知の方法を適用すればよいが、エッチング法(版胴面に感光液を塗布して直接焼き付けた後、エッチングしてグラビアセル14を形成する)が好適である。
上記した鉄―リン合金メッキ層16を版母材10の表面に形成し、この鉄―リン合金メッキ層16にグラビアセル14を形成することによって、毒性がなくかつ公害発生の心配も皆無となるとともに耐刷力に優れた第3の態様のグラビア製版ロール10cを得ることができる。
前記グラビアセルの深度が1〜150μm、好ましくは5〜150μm、前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが3〜200μm、好ましくは10〜200μmであることが好適である。
本発明において使用される鉄―リン合金メッキ処理としては公知の方法を適用すればよいが、例えば、特許文献1に記載されたメッキ方法が好適に使用される。即ち、(A)鉄が電解で析出し得る少なくとも1つの化合物と、(B)ホスフィン酸イオンと、(C)スルホアルキル化ポリエチレンイミン、スルホン化サフラニン染料、およびメルカプト脂肪酸スルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩から選択される硫黄含有化合物とを含む、水性で酸性の鉄リン浴を用いてメッキ処理すればよい。具体的には、特許文献1に記載された実施例1〜15のメッキ浴組成が適用でき、例えば、FeSO・7HO:400g/l,FeCl・4HO:80g/l,HPO:2.24g/l,MPS:0.05g/l,水:残りの浴組成を使用できる。電気メッキの条件は、約0.5〜約300A/dm2若しくは約50〜約100A/dm2の電流密度の条件で上記電気メッキ浴から鉄ーリン合金メッキ層を形成することができる。メッキ時間は形成するメッキ層の厚さに応じて設定すればよい。
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
(実験例1)
円周600mm、面長1100mmの版母材(アルミ中空ロール)について、ブーメランライン(株式会社シンク・ラボラトリー製グラビア製版ロール製造装置)を用いて下記する銅メッキ層の形成及びエッチング処理までを行った。まず、版母材(アルミ中空ロール)をメッキ槽に装着し、陽極室をコンピューターシステムによる自動スライド装置で20mmまで中空ロールに近接させ、メッキ溶液をオーバーフローさせ、中空ロールを全没させて18A/dm2、6.0Vで80μmの銅メッキ層を形成した。メッキ時間は20分、メッキ表面はブツやピットの発生がなく、均一な銅メッキ層を得た。この銅メッキ層の表面を4H研磨機(株式会社シンク・ラボラトリー製研磨機)を用いて12分間研磨して当該銅メッキ層の表面を均一な研磨面とした。
上記形成した銅メッキ層に感光膜(サーマルレジスト:TSER−2104E4)を塗布(フオンテインコーター)、乾燥した。得られた感光膜の膜厚は膜厚計(FILLMETRICS社製F20、松下テクノトレーデイング社販売)で計ったところ、4μmであった。ついで、画像をレーザー露光し現像した。上記レーザー露光は、Laser Stream FXを用い露光条件5分/m2/10Wで所定のパターン露光を行った。また、上記現像は、TLD現像液(株式会社シンク・ラボラトリー製現像液)を用い、現像液希釈比率(原液1:水7)で、24℃60秒間行い、所定のパターンを形成した。このパターンを乾燥(バーニング)してレジスト画像を形成した。
さらに、シリンダーエッチングを行ってグラビアセルからなる画像を彫り込み、その後レジスト画像を取り除くことにより印刷版を形成した。このとき、グラビアセルの深度を12μmとしてシリンダーを作製した。上記エッチングは、銅濃度60g/L、塩酸濃度35g/L、温度37℃、時間70秒の条件でスプレー方式によって行った。
上記したシリンダー版母材に対して鉄―リン合金メッキ層の形成を以下のように行った。
メッキ条件
液組成:フェロプレートDK(アトテックジャパン株式会社製)の原液
攪拌: スターラー攪拌(400rpm)
温度: 55〜60℃
電流密度:約10A/dm2
メッキ時間:4分30秒(8μm狙い)
上記条件で各シリンダー版母材に対してメッキ処理を行い、鉄―リン合金メッキ層を形成した。得られたグラビアシリンダーについて、ビッカース硬度を測定したところ、890であった。このグラビアシリンダーに対して350℃で2時間の熱処理を施し、そのビッカース硬度を測定したところ、1020であった。この結果、作成されたメッキ層に熱処理を加えることによってその硬度が大幅に向上することがわかった。
さらに、作成されたグラビアシリンダーに対して印刷インキとしてシアンインキザーンカップ粘度18秒(サカタインクス社製水性インクスーパーラミピュア藍800PR−5)を適用しOPP(Oriented Polypropylene Film:2軸延伸ポリプロピレンフィルム)を用いて印刷テスト(印刷速度:120m/分)を行った。得られた印刷物は版カブリがなく、50,000mの長さまで印刷できた。パターンの精度は変化がなかった。また、エッチングされた銅メッキシリンダーに対する鉄―リン合金メッキ層の密着性は問題がなかった。この本発明のグラビアシリンダーのハイライト部からシャドウ部のグラデーションは、常法に従って作製したクロムメッキグラビアシリンダーと変わらなかったことからインキ転移性は問題ないと判断される。この結果として、鉄―リン合金メッキ層は従来のクロム層に匹敵する性能を有し、クロム層代替品として充分使用できることを確認した。
(実験例2)
図3及び図4に示した手順により、実験例1と同様の版母材を用い、かつ銅メッキ処理及び鉄―リン合金メッキ処理を実験例1と同様に行い、鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルをエッチングによって形成してグラビアシリンダーを作成した。このグラビアシリンダーを用いて実験例1と同様の印刷テストを行ったところ同様に良好な結果が得られた。
(実験例3)
図5及び図6に示した手順により、実験例1と同様の版母材を用い、かつ鉄―リン合金メッキ処理を実験例1と同様に行い、鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルをエッチングによって形成してグラビアシリンダーを作成した。このグラビアシリンダーを用いて実験例1と同様の印刷テストを行ったところ同様に良好な結果が得られた。
本発明のグラビア製版ロールの第1の態様の製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は版母材(中空ロール)の全体断面図、(b)は版母材の表面に銅メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は版母材の銅メッキ層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は版母材の銅メッキ層表面に鉄―リン合金メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図である。 本発明のグラビア製版ロールの第1の態様の製造方法を示すフローチャートである。 本発明のグラビア製版ロールの第2の態様の製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は版母材(中空ロール)の全体断面図、(b)は版母材の表面に銅メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は版母材の銅メッキ層表面に鉄―リン合金メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(d)は鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図である。 本発明のグラビア製版ロールの第2の態様の製造方法を示すフローチャートである。 本発明のグラビア製版ロールの第3の態様の製造工程を模式的に示す説明図で、(a)は版母材(中空ロール)の全体断面図、(b)は版母材の表面に鉄―リン合金メッキ層を形成した状態を示す部分拡大断面図、(c)は鉄―リン合金メッキ層にグラビアセルを形成した状態を示す部分拡大断面図である。 本発明のグラビア製版ロールの第3の態様の製造方法を示すフローチャートである。
符号の説明
10:版母材(中空ロール)、10a、10b、10c:グラビア製版ロール、12:銅メッキ層、14:グラビアセル、16:鉄―リン合金メッキ層。

Claims (12)

  1. 版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面を被覆する鉄−リン合金メッキ層とを含むことを特徴とするグラビア製版ロール。
  2. 前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、及び前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが0.1〜15μmであることを特徴とする請求項1記載のグラビア製版ロール。
  3. 版母材を準備する工程と、該版母材の表面に銅メッキ層を形成する銅メッキ工程と、該銅メッキ層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、該グラビアセルが形成された銅メッキ層の表面に鉄−リン合金メッキ層を形成する鉄−リン合金メッキ工程とを含むことを特徴とするグラビア製版ロールの製造方法。
  4. 前記銅メッキ層の厚さが50〜200μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、前記鉄−リン合金メッキ層の厚さが0.1〜15μmであることを特徴とする請求項11記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  5. 版母材と、該版母材の表面に設けられた銅メッキ層と、該銅メッキ層の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された鉄−リン合金メッキ層とを含むことを特徴とするグラビア製版ロール。
  6. 前記銅メッキ層の厚さが3〜30μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、及び前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが3〜200μmであることを特徴とする請求項5記載のグラビア製版ロール。
  7. 版母材を準備する工程と、該版母材の表面に銅メッキ層を形成する銅メッキ工程と、該銅メッキ層の表面に鉄−リン合金メッキ層を形成する鉄−リン合金メッキ工程と、該鉄−リン合金メッキ層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、を含むことを特徴とするグラビア製版ロールの製造方法。
  8. 前記銅メッキ層の厚さが3〜30μm、前記グラビアセルの深度が1〜150μm、前記鉄−リン合金メッキ層の厚さが3〜200μmであることを特徴とする請求項7記載のグラビア製版ロールの製造方法。
  9. 版母材と、該版母材の表面に設けられかつ表面に多数のグラビアセルが形成された鉄−リン合金メッキ層とを含むことを特徴とするグラビア製版ロール。
  10. 前記グラビアセルの深度が1〜150μm、及び前記鉄―リン合金メッキ層の厚さが3〜200μmであることを特徴とする請求項9記載のグラビア製版ロール。
  11. 版母材を準備する工程と、該版母材の表面に鉄−リン合金メッキ層を形成する鉄−リン合金メッキ工程と、該鉄−リン合金メッキ層の表面に多数のグラビアセルを形成するグラビアセル形成工程と、を含むことを特徴とするグラビア製版ロールの製造方法。
  12. 前記グラビアセルの深度が1〜150μm、及び前記鉄−リン合金メッキ層の厚さが3〜200μmであることを特徴とする請求項11記載のグラビア製版ロールの製造方法。
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