JP2010082967A - 射出成形用金型及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法 - Google Patents

射出成形用金型及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好な外観の熱可塑性樹脂成形体を成形することができる射出成形用金型及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、熱可塑性樹脂が注入されるキャビティ7を形成する固定側型4及び可動側型5を備える射出成形用金型1であって、固定側型4のキャビティ面18a及び可動側型5のキャビティ面19aのうち少なくとも一方には、熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在し、内壁20aに熱可塑性樹脂が接触する複数の溝20が形成され、複数の溝20の間隔、複数20の溝の深さ、及び、複数の溝20の幅のうちの少なくとも1つは不均一である。
【選択図】図5

Description

本発明は、射出成形用金型及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法に関する。
従来、熱可塑性樹脂の射出成形に用いられる射出成形用金型として、例えば特許文献1記載のものが知られている。特許文献1記載の射出成形用金型は、金型取付板を介して射出成形機に固定されると共に、溶融樹脂の流動経路を形成するマニホールド部と、断熱板を介してマニホールド部に保持された第1の型と、第1の型との間にキャビティを形成する第2の型とを備え、マニホールド部によって型のキャビティ面の平面度を保つことで、熱可塑性樹脂成形体のバリの発生すなわち外観不良の発生の抑制を図っている。
特開2000−15665号公報
しかしながら、前述した従来の射出成形用金型においては、例えば、流れの末端側において成形品にヒケ等の外観不良が生じやすくなるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、良好な外観の熱可塑性樹脂成形体を成形することができる射出成形用金型及び熱可塑性樹脂成形体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る射出成形用金型は、熱可塑性樹脂が注入されるキャビティを形成する第1及び第2の型を備え、キャビティの入口であるゲートからキャビティ内に流入した熱可塑性樹脂の流れがキャビティ内における熱可塑性樹脂の流れの末端側まで到達することにより、キャビティ内に熱可塑性樹脂が充填される射出成形用金型であって、第1の型のキャビティ面及び第2の型のキャビティ面のうち少なくとも一方には、熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在する複数の溝が形成され、複数の溝間の間隔、複数の溝の深さ、及び、複数の溝の幅のうちの少なくとも1つは不均一である。
本発明に係る熱可塑性樹脂成形体の製造方法は、第1及び第2の型によって形成されるキャビティ内に溶融状熱可塑性樹脂を注入する注入工程と、キャビティ内に注入された溶融状熱可塑性樹脂を冷却する冷却工程と、を備え、第1の型のキャビティ面及び第2の型のキャビティ面のうち少なくとも一方は、熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在し、内壁に熱可塑性樹脂が接触する複数の溝が形成され、複数の溝間の間隔、複数の溝の深さ、及び、複数の溝の幅のうちの少なくともひとつは不均一であることを特徴とする。
ヒケ等の外観不良が起こるのは、その部分において他の部分に比べて樹脂の冷却速度が遅くなるためと考えられる。例えば、流れの末端側ではゲート側に比べて充填圧力が低くなるため、流れの末端側において樹脂の充填が不十分となって樹脂と金型との密着性が低下し、ゲート側に比べて樹脂の冷却速度が小さくなると考えられる。本発明によれば、複数の溝が熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在しても、熱可塑性樹脂の注入時にキャビティへの樹脂の流動は、ほとんど影響を受けない。さらに、キャビティ面に形成された所定の不均一な構成の複数の溝は、熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在するので、溝への樹脂充填は促進され、キャビティ内に注入された溶融状態の熱可塑性樹脂と型との接触面積が大きくなる。その結果、キャビティ面の複数の溝が形成された部分における樹脂の冷却速度を向上させることができるので、当該部分のヒケ等の発生を抑制することができ、良好な外観の熱可塑性樹脂成形体を成形することが可能となる。
ここで、複数の溝は、キャビティ面のうち熱可塑性樹脂の流れの末端側に形成されていることが好ましい。ここで、熱可塑性樹脂の流れの末端側とは、キャビティ内において、キャビティの入口であるゲートとゲートから流入した熱可塑性樹脂の流れが最後に到達する流れの末端との中間点を基準として、この中間点より流れの末端寄りの少なくとも一部の領域を意味する。このような熱可塑性樹脂の流れの末端側は特にヒケが発生しやすいので、これにより効果的にヒケ等の発生を抑制することができる。
また、複数の溝が形成されたキャビティ面のうちゲート側には、さらに熱可塑性樹脂の流れ方向と略直交する方向に延在する複数の溝が形成されていることが好ましい。ここで、ゲート側とは、キャビティ内において、キャビティの入口であるゲートとゲートから流入した熱可塑性樹脂の流れが最後に到達する流れの末端との中間点を基準として、この中間点よりゲート寄りの少なくとも一部の領域を意味する。
このような構成によれば、熱可塑性樹脂の流れ方向と略直交する方向に延在する複数の溝により、これらの溝への樹脂の充填が一時的に妨げられ樹脂の冷却が抑制され、流れの末端側において先に樹脂の充填がなされやすくなる。これにより、流れの末端側のヒケをより一層抑制できる。また、ゲート側は、熱可塑性樹脂の流れ方向と略直交する方向に延在する複数の溝があって溝への樹脂の充填が妨げられても流れの末端側と比べて充填圧力が高くなりやすいので、ゲート側においてヒケが発生することも少ない。
本発明によれば、良好な外観の熱可塑性樹脂成形体を成形することができる。
以下、本発明に係る射出成形用金型の好適な実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、同一の部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、図面に示すように、X軸及びY軸は水平面上で互いに90度をなし、鉛直方向をZ軸方向と定め、以下必要な場合にX軸、Y軸、Z軸を用いる。
図1及び図2に示されるように、熱可塑性樹脂成形体の射出成形に利用される射出成形用金型1は、X軸方向に対向して配置された固定側取付板2と可動側取付板3とを有している。固定側取付板2は、溶融状態の熱可塑性樹脂を射出する射出装置側に固定されており、可動側取付板3は、図示しない型開閉機構によりX軸方向に往復動する。
固定側取付板2と可動側取付板3との間には、固定側型(第1の型)4及び可動側型(第2の型)5がX軸方向に対向して配置されている。固定側型4は、X軸方向に移動可能に構成されており、固定側取付板2の内面から突出する4本のガイドピン6によってガイドされる。また、可動側型5は、後述するスペーサーブロック10及び受け板11を介して可動側取付板3に固定されており、可動側取付板3の移動に伴ってX軸方向に往復動する。
固定側型4と可動側型5とは、可動側取付板3の往復動に伴って、固定側型4と可動側型5とが接触した閉状態(図1参照)と、固定側型4と可動側型5とが離間した開状態(図2参照)との間を移行する。固定側型4と可動側型5とは、閉状態において、その内部に矩形板状のキャビティ7を形成する。
固定側取付板2の中央には、図示しない射出装置のノズル先端が入り込む略漏斗状のスプルーブッシュ8が設けられている。また、固定側取付板2と固定側型4との間には、ガイドピン6に貫通されたランナストッパプレート9が配置されており、ランナストッパプレート9と固定側型4とは、溶融状態の熱可塑性樹脂の流路を構成するランナ成形部12を形成している。ランナ成形部12は、スプルーブッシュ8の出口側に接続されている。
固定側型4内には、固定側型4をX軸方向に貫通するスプル成形部13が形成されている。また、固定側型4と可動側型5との間には、キャビティ7の入口を構成するゲート成形部14が形成されている。このゲート成形部14とランナ成形部12とは、スプル成形部13を介して連通している。
可動側型5におけるキャビティ7と反対側の面には、受け板11が固定されている。この受け板11と可動側取付板3との間には、キャビティ7内で固化した熱可塑性樹脂成形体を型から外すための4本のエジェクタピン16を保持するエジェクタプレート17が設けられている。また、受け板11と可動側取付板3との間には、X軸方向に移動するエジェクタプレート17の両側にスペーサーブロック10が配置されている。
図3及び図4に示されるように、固定側型4のキャビティ7側には、金属板18が設けられている。金属板18は、例えば鋼やSUS等の他、アルミ合金、亜鉛合金、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金等の金属が用いられている。金属板18におけるキャビティ7を形成する面(以下、「キャビティ面」とする)18aは、成形される熱可塑性樹脂成形体の意匠面の模様に対応する例えば凹凸形状に形成されている。
また、可動側型5のキャビティ7側には、金属板19が設けられている。この金属板19は、金属板18と同様の素材であってもよく、また異なる素材であってもよい。金属板19のキャビティ面19aは、成形体の非意匠面に対応している。キャビティ面19aの少なくとも一部には、図5(a)〜図5(c)に示すように、熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在する複数の溝20が形成されている。ここで図5のGは、キャビティ7の入り口であるゲートを示し、Eは、ゲートGから注入された熱可塑性樹脂の流れの末端、すなわちキャビティ7内に流入した熱可塑性樹脂の流れが最後に到達する場所を示す。熱可塑性樹脂の流れの方向とは、ゲートGから流れの末端Eに向かう方向である。
例えば、図5(a)に示すように、キャビティ面19aの全面に複数の溝20が形成されていてもよい。また、図5(b)に示すように、キャビティ面19aにおいて熱可塑性樹脂の流れ方向の末端E側のみに熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在する複数の溝20が形成されていることも好ましい。さらに、図5(c)に示すように、熱可塑性樹脂の流れ方向の末端E側のみに熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在する複数の溝20が形成される一方、熱可塑性樹脂のゲートG側に、熱可塑性樹脂の流れ方向と略垂直な方向に延在する複数の溝21が形成されていることがより一層好ましい。
具体的には、図6に示されるように、複数の溝20は、溝20間の間隔(溝の中心軸線と隣の溝の中心軸線との間隔)、各溝の深さ(溝を形成する2つの壁における最も高い点と最も低い点との差分)、及び、各溝の幅(溝を形成する2つの壁の最も高い点間の距離)のうちの少なくともひとつが互いに不均一となっている。図6(a)に示す溝20は、例えばサンドペーパを用いてキャビティ面19aを所定方向に研磨することにより形成することができ、また、図6(b)に示す溝は、切削により形成することができ、また、図6(c)に示す溝は、サンドブラスト等により浮遊砥粒加工によって形成することもできる。また、複数の溝20を、放電加工や、電鋳等によって形成してもよく、例えばサンドペーパにより複数の溝20が形成された板を入れ子のようにキャビティ面19上に配置してもよい。
溝20の寸法は特に限定されない。例えば、幅は1〜200μmが好ましい。また、深さは1〜100μmが好ましい。また、溝のアスペクト比(深さ/幅)は0.1以上が好ましく、0.2〜5.0が特に好ましい。また、溝間の間隔は、1〜200μm程度が好ましい。
また、熱可塑性樹脂の流れ方向と略垂直な方向に延在する複数の溝21も、方向以外は複数の溝20と同様でよいが、溝21の間隔、溝の深さ、及び、溝の幅が均一でもよい。
次に、以上の構成を有する射出成形用金型1における熱可塑性樹脂成形体の製造方法について説明する。まず、熱可塑性樹脂を射出装置に投入して熱可塑性樹脂成形体の基材となる溶融状熱可塑性樹脂を用意する。
ここで、熱可塑性樹脂は特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、アクリロニトリルースチレンーブタジエンブロック共重合体、ポリスチレン、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体等の一般的な熱可塑性樹脂、EPM、EPDM等の熱可塑性エラストマー、これらの混合物、これらを用いたポリマーアロイ等が挙げられる。
また、これらの熱可塑性樹脂には、必要に応じて通常使用されるガラス繊維、各種の無機、有機フィラー等の充填材等が含有されてもよい。また、通常使用される各種の安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、離型剤、滑材、帯電防止剤、顔料等の各種添加材が含有されてもよい。
本実施形態に係る射出成形用金型1においては、先ず固定側型4と可動側型5とを閉状態にした後、射出装置によって溶融状態の熱可塑性樹脂を矢印A方向に射出して、スプルーブッシュ8内に注入する。スプルーブッシュ8内に注入された熱可塑性樹脂は、ランナストッパプレート9と固定側型4との間のランナ成形部11、固定側型4のスプル成形部12、及び固定側型4と可動側型5との間のゲート成形部13を経て、キャビティ7内に流入し、その流れがキャビティ7内における熱可塑性樹脂の流れの末端側まで到達することによって、熱可塑性樹脂がキャビティ7内に充填される(図1参照)。その後、キャビティ7内に充填された熱可塑性樹脂を所定時間冷却して固化させる。そして、可動側取付板3を移動させて固定側型4と可動側型5とを開状態とし、エジェクタピン16を用いて熱可塑性樹脂成形体Hを可動側型5から取り外す。その後、所定の処理を施して製品としての成形体が完成する。
なお、成形時の樹脂の射出速度や、注入する樹脂の温度、金型の温度は特に限定されず、キャビティの大きさや、樹脂材料等に応じて、適切に管理をすればよい。
以上説明した射出成形用金型1によれば、キャビティ面19a上の複数の溝20が熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在しても、熱可塑性樹脂の注入時にキャビティ7への樹脂の流動は、ほとんど影響を受けない。さらに、キャビティ面19aに所定の不均一な構成の複数の溝20は、熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在するので、溝20への樹脂充填は促進され、キャビティ7内に注入された溶融状態の熱可塑性樹脂と金属板19との接触面積が大きくなる。その結果、キャビティ面19aの複数の溝20が形成された部分において熱可塑性樹脂の冷却効率が向上するので、この部分におけるヒケやディンプル等の表面不良の発生を抑制することができ、良好な外観の熱可塑性樹脂成形体Hを成形することが可能となる。
なお、本明細書では、成形品の表面にできた窪みをヒケと呼び、ヒケの中でも円形状の窪みをディンプルと呼ぶ。熱可塑性樹脂の中でも、特に、ポリプロピレン等の結晶性の熱可塑性樹脂は、熱収縮率が大きく、ヒケやディンプルができやすい。なお、成形品におけるヒケやディンプルが少ないことを、面張り性がよいということがある。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、矩形板状のキャビティ7を形成する金型を採用しているが、これに限られず、種々の形状の平板、曲面板、立体的形状物等の種々の物品の射出成形用の金型に適用可能である。特に、キャビティが大きい、例えば、樹脂のゲートから末端部までの距離が100mm以上であると特に効果的である。
また、上記実施形態では、1つのキャビティ7に対して1つのゲートGを有しているが、1つのキャビティに対して複数のゲートGを有する金型にも適用することができる。例えば、図7に示すように、矩形板状のキャビティの両側にそれぞれゲートG1,G2を設けた場合、熱可塑性樹脂の流動の末端E部は、樹脂が合流する略中央部であり、ここにヒケやディンプルができやすいが、熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在する複数の溝20を例えば全面や、端部のみに形成することにより、上記実施形態と同様の効果が得られる。
また、上記実施形態では、キャビティの非意匠面に複数の溝20が形成されているが、成形品の表面品質が特に要求されない場合には、意匠面に複数の溝を形成してもよく、意匠面と非意匠面の両面に複数の溝を形成するとより好ましい。
また、ゲートGからの注入方式も特に限定されず、コールド式でもホットランナー式等でも構わない。
さらに、熱可塑性樹脂の流れに略平行な複数の溝20は、必ずしも、熱可塑性樹脂の流れの末端Eに設けなくてもよく、キャビティの形状に応じて、流れの末端以外の特にヒケ等ができやすい部分に選択的に設けても本発明の実施は可能である。
また、上記実施形態では、形板に設けられた金属板に複数の溝を設けているが、金属板を用いずに型に直接、複数の溝20を形成してもよい。
以下、金属板19のキャビティ面19aの実施例及び比較例を挙げ、本発明についてより具体的に説明する。
[実施例A1−1〜A1−4]
実施例A1−1〜A1−4では、射出成形機として、日精樹脂工業(株)製のFS160(最大圧力1435kgf/cm,最大射出率195cm/s)を使用した。金属板19の材質としてアルミを選択し、完成した成形体の外寸が、長さ400mm、幅100mm、厚さ2mmとなり、長手方向の一端中央の1つのゲートから他端に向かって樹脂を注入する金型を採用し、金型の一方のキャビティ面の全面に、樹脂の流れの方向と平行な方向(MD方向)の溝を♯240のサンドペーパで形成したアルミニウム板(図5(a)参照)を配置し、インサート成形を行なった。射出成形条件としては、射出成形機のシリンダ温度を220℃、金型の温度を40℃、射出速度を最大射出速度の50%とし、樹脂の計量位置を89mm、サックバックを1mm、射出・保圧の合計時間を15秒、冷却時間を30秒、背圧を最大圧力の10%、1次圧を最大圧力の60%とした。V−P切替までの時間は概ね1.8秒であった。成形材料となる熱可塑性樹脂としてPP(ポリプロピレン:AZ864E4(MFR30g/10min,230℃):住友化学(株))を採用した。また、実施例A1−1〜A1−4において、保圧、V−P切替を、それぞれ、表1に示すように異ならせた。ここで、保圧とは、射出成形機の最大圧力(1435kgf/cm)に対する満充填完了後の保持圧力、V−P切替とは、射出装置における樹脂の制御を速度制御から圧力制御に切り替えるタイミングであり、射出装置におけるスクリュの位置によって表した。そして、実施例A1−1が満充填(ジャストパック)、実施例A1−4が不足充填(ショートショット)であった。
[比較例A1−1〜A1−4]
金型の一方のキャビティ面の全面に溝を形成しなかった以外は、実施例A1−1〜A1−4とそれぞれ同様にした。
[比較例A2−1〜A2−4]
金型の一方のキャビティ面の全面に、樹脂の流れ方向と垂直な方向(TD方向)の溝を♯240のサンドペーパで予め形成したアルミ板を用いた以外は、実施例A1−1〜A1−4とそれぞれ同様にした。
[実施例B1−1〜B1−4]
成形材料となる熱可塑性樹脂としてタルク入りの複合PP(ポリプロピレン:タルク20wt%含有、MFR42g/10min,230℃)を採用し、保圧、V−P切替を、それぞれ、表1に示すように設定した以外は、実施例A1−1〜A1−4と同様にした。
[比較例B1−1〜B1−4]
金型の一方のキャビティ面の全面に溝を形成しなかった以外は、実施例B1−1〜B1−4とそれぞれ同様にした。
[比較例B2−1〜B2−4]
金型の一方のキャビティ面の全面に、樹脂の流れ方向と垂直な方向(TD方向)の溝を♯240のサンドペーパで予め形成した形成したアルミ板を用いた以外は、実施例B1−1〜B1−4とそれぞれ同様にした。
これらの結果を表1に示す。なお、表1に示すディンプルの数は、各条件において4回ずつ射出成形した熱可塑性樹脂成形体におけるディンプルの数の平均値である。
Figure 2010082967
表1に示されるように、溝なし、あるいは、樹脂の流れに垂直な方向(TD方向)の溝を形成した比較例と比べて、樹脂の流れに平行な方向(MD方向)の溝をキャビティ面19aに形成した実施例においては、熱可塑性成形体のディンプルの数が大幅に減少した。この結果は、熱可塑性樹脂をPPから複合PPに変えた場合においても顕著に現れた。なお、表1〜3において、「平行溝」とは樹脂の流れ方向に平行な方向に延在する複数の溝を意味し、「垂直溝」とは樹脂の流れに垂直な方向に延在する複数の溝を意味する。
[実施例C1]
完成した成形体の外寸が、長さ400mm、幅100mm、厚さ2mmとなる金型を採用し、射出成形機のシリンダ温度を250℃、樹脂の計量位置を90mmとし、保圧0%、V−P切替を25mmとし、♯120のサンドペーパで予め溝を形成したアルミ板を用いた以外は実施例B1−1と同じとした。射出時間は、表2のようになった。
[実施例C2]
キャビティ面を樹脂の流れ方向で2つに等分割し、流れの末端側のみを流れと平行な方向(MD方向)に延びる溝とし、ゲート側に溝を設けなかった(図5(b)参照)以外は実施例C1と同様にした。
[実施例C3]
キャビティ面を樹脂の流れ方向で2つに等分割し、流れの末端側を流れと平行な方向(MD方向)に延びる溝とし、ゲート側を流れと垂直な方向(TD方向)に延びる溝とした(図5(c)参照)以外は実施例C1と同様にした。
[比較例C1]
キャビティ面に溝を一切設けなかった以外は実施例C1と同様にした。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2010082967
なお、表2における射出時間とは射出装置から1回分の熱可塑性樹脂が射出されるまでの時間である。
表2に示されるように、キャビティ面19aに溝がない比較例C1と比べて、樹脂の流れに平行な複数の溝20を有する実施例C1〜C3の方がディンプル数が少なくなった。また、樹脂の流れに平行な複数の溝20をキャビティ面19aの流れの末端E側のみに形成した実施例C2と比べて、全面に形成した実施例C1の方がディンプルの数がより減少した。さらに、キャビティ面19aのうちゲートG側に樹脂の流れに垂直な複数の溝21を設け、樹脂の流れの末端E側に樹脂の流れに平行な複数の溝20を形成した実施例C3において、ディンプルの数は著しく減少した。
[実施例D1]
完成した成形体の外寸が長さ300mm、幅50mm、厚さ2mmとなり、両端にゲートG1,G2が位置している金型を用い、樹脂の計量位置を90mm、サックバックを2mmとし、射出・保圧の合計時間を10秒、保圧0%、V−P切替を25mm(満充填)とし、ゲートG1、G2の両方から樹脂を注入する(図7参照)以外は実施例B1−1と同じとした。なお、キャビティ面(非意匠面)の全面に樹脂の流れと平行な方向(MD方向)の溝が形成されている金型を用いた。
[実施例D2]
V−P切替を23.5mmとし、満充填でなく不足充填とする以外は実施例D1と同様にした。
[比較例D1、D2]
キャビティ面(非意匠面)の全面に、樹脂の流れと垂直な方向(TD方向)の溝を形成した以外は、実施例D1、D2と同様にした。
結果を表3に示す。なお、実施例3においては、熱可塑性樹脂の流れの末端は、矩形状のキャビティ面を長さ方向に等分した中央近傍に位置する。
Figure 2010082967
表3に示されるように、両端にゲートG1,G2を有する場合においても、樹脂の流れに垂直な複数の溝が形成された比較例D1,D2と比べて、樹脂の流れに平行な複数の溝20が形成された実施例D1,D2の方がディンプル数が少なくなった。この結果は、満充填でも不足充填でも変わらなかった。
本発明に係る射出成形用金型の一実施形態を示す断面図である。 図1に示す射出成形用金型の開状態を示す断面図である。 図1に示す固定側型を示す斜視図である。 図1に示す可動側型を示す斜視図である。 図1に示す可動側型の金属板の一例を示す平面図である。 金属板の表面形状を示す概略拡大図である。 可動側型の金属板の他の例を示す平面図である。
符号の説明
1…射出成形用金型、2…固定側取付板、3…可動側取付板、4…固定側型(第1の型)、5…可動側型(第2の型)、7…キャビティ、14…ゲート成形部、18,19…金属板、18a,19a…キャビティ面、20…溝、21…溝、E…樹脂の流れの末端、G,G1,G2…ゲート、H…熱可塑性樹脂成形体。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂が注入されるキャビティを形成する第1及び第2の型を備え、前記キャビティの入口であるゲートから前記キャビティ内に流入した前記熱可塑性樹脂の流れが前記キャビティ内における前記熱可塑性樹脂の流れの末端まで到達することにより、前記キャビティ内に前記熱可塑性樹脂が充填される射出成形用金型であって、
    前記第1の型のキャビティ面及び前記第2の型のキャビティ面のうち少なくとも一方には、前記熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在する複数の溝が形成され、前記複数の溝間の間隔、前記複数の溝の深さ、及び、前記複数の溝の幅、のうちの少なくとも1つは不均一である射出成形用金型。
  2. 前記複数の溝は、前記キャビティ面のうち前記熱可塑性樹脂の流れの末端側に形成されている請求項1記載の射出成形用金型。
  3. 前記複数の溝が形成された前記キャビティ面のうちゲート側には、さらに、前記熱可塑性樹脂の流れ方向と略直交する方向に延在する複数の溝が形成されている請求項2記載の射出成形用金型。
  4. 第1及び第2の型によって形成されるキャビティ内に溶融状熱可塑性樹脂を注入する注入工程と、
    前記キャビティ内に注入された前記溶融状熱可塑性樹脂を冷却する冷却工程と、を備え、
    前記第1の型のキャビティ面及び前記第2の型のキャビティ面のうち少なくとも一方には、前記熱可塑性樹脂の流れ方向と略平行な方向に延在する複数の溝が形成され、前記複数の溝間の間隔、前記複数の溝の深さ、及び、前記複数の溝の幅、のうちの少なくともひとつは不均一である熱可塑性樹脂成形体の製造方法。
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