JP2010082616A - フィルタモジュールおよびフィルタモジュールの製造方法 - Google Patents

フィルタモジュールおよびフィルタモジュールの製造方法 Download PDF

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裕二 久里
Tokusuke Hayami
徳介 早見
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智 原口
Takahiko Shindo
尊彦 新藤
Yoshiyasu Ito
義康 伊藤
Tsuneji Kameda
常治 亀田
Akira Tanaka
明 田中
Satoru Kubotani
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Abstract

【課題】支持部材によって膜を損傷することなく支持することができるとともに、膜と支持部材との間のシールを確実に行い、コンパクト化を図ることができるフィルタモジュールおよびフィルタモジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】水処理用フィルタモジュール10は、セラミックス材料からなる多孔質のシート状のフィルタ40と、このフィルタ40を支持する支持部材20、30と、フィルタ40と支持部材20とを接合する接合部材50とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、膜を備えたフィルタモジュールおよびフィルタモジュールの製造方法に関する。
浄化膜の中には、例えば、水処理施設に設置され、各種有機物や微生物の除去を行うものがある。
例えば、河川の水は、雨水を溜めて利用するが、この雨水には、大気中に存在する硫化物、塩化物、あるいはその他の有害物質が溶け込んでいる恐れがある。このような有害物質が溶け込んだ雨水は、砂礫や土壌による自然の浄化作用では除去しきれないことがあり、このことは、現代も継続する水循環の大きな社会問題となっている。
また、上記した河川の水を利用して得られる水道水には、様々な有害成分が含有される他、微生物の殺菌のために加えられる塩化物のために、発ガン性が疑われるトリハロメタンなどが存在している。これは、各種有機廃水の他、天然水中に存在するフミン質などの有機物質と、浄化処理に使用される遊離塩素とが反応して生成されるものであり、安全な飲料水を得るためには、これらの微量成分やバクテリアなども取り除く必要がある。これらの微量成分やバクテリアなどを取り除く方法としては、蒸留やろ過が主な方法であるが、現在、多く用いられているのは、活性炭フィルタによってろ過する方法(例えば、特許文献1参照。)であり、活性炭フィルタとして様々な形状のものが市販されている。
活性炭フィルタに用いる上水処理用の活性炭の選定基準は、日本水道協会規格(JWWA K113−1974)によって規定されている。浄水場では、ウェットカーボンをスラリー状にして混入するが、注入地点の選定や、混和接触時間を長くするための敷地や動力などの面で制約が大きい。また、使用する活性炭の種類によっては、トリハロメタンを完全に除去することができないものや全く除去できないものがある。
化学工場や食品加工場では、金属や有機物を含む多量の廃水が出る。一定の基準値以下であっても、微量の有害成分が継続されると蓄積量が多くなるので無視できない汚染を生むことになる。そのため、廃水を継続的に浄化する浄化部材が必要となる。この浄化部材として、主に活性炭が用いられているが、大量に用いられることにより経費が膨大となり、また頻繁な取り替えが必要となる。
また、飲料水の場合と同様に、浄化部材の適切な交換時期がわからずに有害成分を環境中に流してしまう恐れがある。したがって、通水に優れ、安価であり、吸着能力の優れた浄化部材が望まれている。
化学合成された製品、あるいは天然物質から抽出され精製される製品における精製過程においては、従来、活性炭が使用されていた。精製に活性炭を用いる理由は、夾雑物を均一な溶質から分離するためであり、活性炭の細孔によって夾雑物を吸着する。しかしながら、活性炭の吸着能力は、強力ではあるが、吸着能力には限界があり、より優れた吸着技術が求められている。
また、精製過程の中で、脱色は極めて困難な過程である。多くの色素は、様々な精製法を用いても、取り除くのは困難な物質の一つであり、高度に精製されても完全に除去することは困難である。この脱色過程においても、従来は活性炭が用いられてきたが、やはり吸着能力には限界があり、より能力の高い物質あるいは方法が模索されている。特に、高粘性溶液の脱色や精製には、従来、活性炭が用いられてきたが、粘性の高い物質は、活性炭を通過し難いという問題がある。この高粘性溶液が通過しやすくするために活性炭の粒径を大きくすれば、吸着力が落ち、活性炭の粒径を小さくして吸着能力を高めると、高粘性溶液が通過できなくなる。そのため吸着性に優れ、通過しやすいという双方を満たす部材が求められている。
また、現在、日本で販売されている浄水器は、活性炭と中空糸膜(マイクロフィルタ)とを併用するタイプが主流になっている(例えば、特許文献2参照。)。このタイプの浄水器では、活性炭で匂い物質や有機物を除去し、中空糸膜で雑菌やサビを取る。また、抗菌のため、活性炭の表面に銀をコーティングしたものが用いられている。中空糸膜は、プラスチックからなり、マカロニのように中が空洞になった、例えば直径が0.4mmの繊維を束ねて形成される。繊維の壁面には、0.1〜0.01μmの小さな孔が無数に開いており、また膜の表面には、合成界面活性剤(合成洗剤の主剤)からなる親水化剤が塗られている。例えば、繊維の壁面に設けられた小さな孔の直径よりも大きな固形粒子を含む水が中空糸膜を通過する際、固形粒子はこの孔を通過できずに水だけが中空糸膜の内側へ通過する。
また、最近では、中空糸膜フィルタは、原子力発電所や火力発電所の復水ろ過装置にも適用されている。特に、火力発電プラントにおいては、近年、エネルギ効率の向上やプラントにおける信頼性の向上のために、以前にも増して復水や給水の水質の最適管理が求められている。
また、不純物除去のため設置されている復水浄化設備では、イオン交換樹脂式の脱塩装置と、中空糸膜フィルタ開発の前から適用されていた電磁フィルタが併用されている。現在の火力発電プラントの給水系には、系統腐食抑制のために薬品が注入されている。近年、プラントにおける信頼性の向上のために、この薬品の注入量を抑制する技術が適用されつつあるが、この場合、電磁フィルタによる不純物除去能力が低下する。
また、近年、金属多孔体の膜を使用して、混合物の中から有効成分を分離したり、水を浄化したりする技術が、環境対策、省エネルギの観点から期待されている。金属多孔体は、高い気孔率(95%以上)を有することができ、連結空孔からなる多孔質材料で構成される。具体的には、様々な材質で作製された三次元網目状構造を有する発泡金属で構成され、薄膜状に構成することもできる。
また、高温での使用や再利用を考慮して、水処理用フィルタをセラミック材料で構成する技術も開発されている(例えば、特許文献3参照。)。
特開平10−37885号公報 特開2004−290749号公報 特開2003−10841号公報
上記したように、従来の浄水器の浄化フィルタにおいては、活性炭と中空糸膜とが使用され、活性炭に銀をコーティングして、抗菌性を持たせるようにしている。しかしながら、抗菌力が強ければ、銀中毒などの人体への影響も考慮しなければならず、この方法による抗菌力の向上は期待できない。
一方、中空糸膜では、小さな孔によって雑菌やサビをカットするが、ここで溜まった雑菌の死骸などにカビが発生すると浄水の味に変化が生じる。さらに、中空糸膜の原料であるプラスチックは、撥水性を有し、上記したように流体の通路が超微小孔で形成されているため大量の流体を通過させることはできない。さらに、水圧や微生物等の除去を行う際の逆洗により形状変化を生じる。この形状変化が生じることにより孔径が変化し、本来除去できるはずの雑菌やさび等を除去することができなくなる。
また、上述した金属多孔体は、連結空孔からなる多孔質材料であり、具体的には、三次元網目状構造を有する発泡金属で構成される。しかしながら、水圧や微生物等の除去を行う際の逆洗により形状変化を生じる。この形状変化が生じることにより孔径が変化し、本来除去できるはずの雑菌やさび等を除去することができなくなる。また、金属メッシュによるフィルタを用いた場合には、使用するメッシュによって開孔率が異なり、一様ではないため、同じ供給圧力でも常に同じ流量とはならない。
また、水処理用フィルタをセラミック材料で構成し、水処理用フィルタを支持する支持部材等を金属やプラスチックで構成した従来のモジュールの場合、水処理用フィルタの線膨張係数と、この水処理用フィルタを支持する支持部材に接合する接合部材の線膨張係数とが大きく異なる。そのため、常温では使用する場合には特に問題は生じないが、例えば、原子力や火力等の発電所において従来のモジュールを使用する場合には、高温場での使用となり、線膨張係数の差が顕著となり、接合部等にき裂が発生することがあった。また、従来のモジュールにおいては、水処理用フィルタと支持部材の接合部のシールを適正に行うため、接合部すなわちシール部が厚くなり、モジュールのコンパクト化、さらにはこのモジュールを備えた設備のコンパクト化を図ることが難しかった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、支持部材によって膜を損傷することなく支持することができるとともに、膜と支持部材との間のシールを確実に行い、コンパクト化を図ることができるフィルタモジュールおよびフィルタモジュールの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一態様によれば、セラミックス材料からなる多孔質のシート状のフィルタと、前記フィルタを支持する支持部材と、前記フィルタと前記支持部材とを接合する接合部材とを具備することを特徴とするフィルタモジュールが提供される。
また、本発明の一態様によれば、セラミックス材料からなる多孔質のシート状のフィルタと、前記フィルタを前記フィルタの一方の表面側から支持する第1の支持部材と、前記フィルタを前記フィルタの他方の表面側から支持する第2の支持部材と、前記フィルタの一方の表面の外周縁と前記第1の支持部材との間および/または前記フィルタの他方の表面の外周縁と前記第2の支持部材との間を密閉する密閉部材とを具備することを特徴とするフィルタモジュールが提供される。
さらに、本発明の一態様によれば、セラミックス材料からなるフィルタを備えたフィルタモジュールを製造するフィルタモジュールの製造方法であって、セラミックス材料からなる多孔質のシート状のフィルタ、前記フィルタを支持する支持部材、および前記フィルタと前記支持部材とを接合する接合材料を用意し、前記フィルタの、前記支持部材と接合する部分の表面、または前記支持部材の、前記フィルタと接合する部分の表面に前記接合材料を塗布する塗布工程と、前記フィルタを前記支持部材に装着する装着工程と、前記支持部材に前記フィルタを装着した状態で加熱して前記接合材料を焼成し、前記フィルタと前記支持部材とを接合する接合工程とを具備することを特徴とするフィルタモジュールの製造方法が提供される。
本発明のフィルタモジュールおよびフィルタモジュールの製造方法によれば、支持部材によって膜を損傷することなく支持することができるとともに、膜と支持部材との間のシールを確実に行い、コンパクト化を図ることができる。
本発明に係る第1の実施の形態の水処理用フィルタモジュールの断面を模式的に示した図である。 本発明に係る第1の実施の形態の水処理用フィルタモジュールを複数備えた水処理装置の断面を模式的に示した図である。 フィルタを液体の流出側から見たときの平面図である。 図3のA−A断面図である。 フィルタを構成する第2の多孔質層の構成を示す斜視図である。 せん断試験を行う試料の断面を示す図である。 水処理用フィルタモジュールにおける、支持部材とフィルタとの接合部材による密着強度を評価するヘリウムリークディテクタ装置の概要を示す図である。 密着強度評価試験の結果を示した図である。 本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュールの断面を模式的に示した図である。 本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュールにおいて、フィルタを設置する前の状態の支持部材を上方から見たときの平面図である。 本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュールにおいて、中空構造体からなるガスケットを備えたときの水処理用フィルタモジュールの断面を模式的に示した図である。 本発明に係る第2の実施の形態の、1つのガスケットを備える水処理用フィルタモジュールの断面を模式的に示した図である。 本発明に係る第2の実施の形態の、1つのガスケットを備える水処理用フィルタモジュールの断面を模式的に示した図である。 本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュールを複数備えた水処理装置の断面を模式的に示した図である。 本発明に係る第3の実施の形態の水処理用フィルタモジュールの分解斜視図である。 本発明に係る第3の実施の形態の水処理用フィルタモジュールの断面を示す図である。 本発明に係る第3の実施の形態の水処理用フィルタモジュールを複数積層して構成されるモジュール積層体の断面を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る第1の実施の形態の水処理用フィルタモジュール10の断面を模式的に示した図である。また、図2は、本発明に係る第1の実施の形態の水処理用フィルタモジュール10を複数備えた水処理装置100の断面を模式的に示した図である。図3は、フィルタ40を液体Lの流出側から見たときの平面図である。図4は、図3のA−A断面図である。図5は、フィルタ40を構成する第2の多孔質層の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、水処理用フィルタモジュール10は、支持部材20、30と、フィルタ40と、接合部材50とを備える。また、図2に示すように、水処理用フィルタモジュール10は、水処理装置100に装着され、水処理用フィルタモジュール10を通過して処理された液体Lは、水処理装置100の主流路110に導入され、主流路110を通って水処理装置100の外部に排出される。なお、水処理用フィルタモジュール10は、例えばねじ止めなどによって、水処理装置100に着脱可能に構成されている。すなわち、水処理装置100において、水処理用フィルタモジュール10のみを交換することができるように構成されている。
支持部材20、30は、フィルタ40を支持するものである。支持部材20は、筐体状の形状に構成され、表面21に、処理される液体Lを導入するための開口が形成されている。この開口には、メッシュ構造の支持部材30が備えられ、この支持部材30を介して液体Lが水処理用フィルタモジュール10内に導入される。支持部材30は、支持部材20と一体的に構成されても、別体で構成されてもよい。支持部材30が、支持部材20と別体で構成された場合には、支持部材30は、例えば、接合部材50と同様の接合部材などによって支持部材20に固定される。また、支持部材20の裏面22の内壁面22aには、突起部23が形成されている。この突起部23を備えることで、フィルタ40と支持部材20の裏面22の内壁面22aとの間に空隙ができ、フィルタ40を通過した液体Lが流れる流路24が形成される。また、各流路24が連通するように、突起部23が形成されている。さらに、流路24は、支持部材20の側壁に設けられた、液体Lを排出するための排出口25に連通している。また、例えば、支持部材20の少なくとも1つの側壁は、取り外し可能に構成され、フィルタ40などを支持部材20内に装着する際に取り外され、装着後固定される。
支持部材20は、少なくとも、液体Lに対する耐腐食性を有し、かつ液体Lの温度に対して耐熱性を有する材料で構成されることが好ましい。支持部材20を構成する材料として、例えば、ステンレス鋼などが挙げられる。特に、接合部材50としてコバルトやコバルト酸化物を組成に含むセラミックス接合材料を用いた場合には、支持部材20は、少なくとも鉄(Fe)を含有する金属材料で構成されることが好ましい。少なくとも鉄を含有する金属材料として、具体的には、ステンレス鋼、インコネル(スペシャルメタル社製)などが挙げられる。
支持部材30は、フィルタ40をフィルタ40の上流側から支持したり、フィルタ40を保護したりする機能を有する。なお、図1では、支持部材30とフィルタ40との間に空隙を有する一例が示されているが、支持部材30とフィルタ40とを積層した構成としてもよい。この支持部材30は、上記した機能を主として発揮するとともに、液体Lを通過させる機能も備えている。そのため、液体Lが通過する際の圧力損失をできる限り小さくする構成が好ましく、支持部材30は、例えば、上記したようにメッシュ構造などで構成される。また、支持部材30は、メッシュ構造以外にも、例えばハニカムなどの構造で構成してもよい。
支持部材30は、支持部材20と同様に、少なくとも、液体Lに対する耐腐食性を有し、かつ液体Lの温度に対して耐熱性を有する材料で構成されることが好ましい。支持部材20を構成する材料として、例えば、ステンレス鋼などが挙げられる。
フィルタ40は、セラミックス材料から構成され、多孔質のシート状の形状を有している。ここで、フィルタ40の構成の一例について説明する。
図3および図4に示すように、フィルタ40は、第1の多孔質層41と第2の多孔質層42とから構成され、第1の多孔質層41上に第2の多孔質層42が形成されている。第1の多孔質層41は、骨格41aと、表面から裏面に貫通し、ランダムに配向した第1の細孔41bとを備える。第2の多孔質層42は、骨格42aと、表面から裏面に貫通するとともに、1次元的に配向してなる第2の細孔42bとを備える。また、図5に示すように、第2の多孔質層42における骨格42aはハニカム状であり、第2の細孔42bは、ハニカム状の骨格42a内に形成されている。
第1の多孔質層41は、第2の多孔質層42の基材として機能し、多孔質層本来の機能は、第2の多孔質層42が担う。したがって、第1の多孔質層41は、第2の多孔質層42の本来的な機能を損なわないように構成する必要がある。したがって、第1の多孔質層41の第1の細孔41bの孔径は、第2の多孔質層42の第2の細孔42bの孔径よりも大きく構成される。例えば、第1の細孔41bの孔径を200nm〜1000nmとし、第2の細孔42bの孔径を10〜100nmの範囲とすることができる。
なお、第2の細孔42bの孔径を10〜100nmの範囲とすることで、例えば、上水道における浄水処理、浄水器、原子力の炉水など水処理用フィルタに求められる除粒子性能を発揮することができる。
また、第1の細孔41bの孔径の上限は、特に限定されるものではないが、製造上の限界値は10μm程度である。しかしながら、本発明における実用上の観点からは、上限は1μm程度が好ましい。これより大きい孔径であると、媒体に混入した大きな粒子が直接第2の多孔質層42に衝突し、この第2の多孔質層42を破損させる可能性があるからである。
また、第1の多孔質層41および第2の多孔質層42の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば第1の多孔質層41の厚さを10〜30μmとし、第2の多孔質層42の厚さを1〜3μmとすることができる。第2の多孔質層42の厚さを上記した範囲に設定することで、第2の細孔42bのアスペクト比を小さくすることができるので、上述したように、フィルタ40における圧力損失を抑制することができる。また、第1の多孔質層41の厚さを上記した範囲に設定することで、フィルタ40として必要な機械的強度を確保することができる。
なお、フィルタ40は、第1の多孔質層41から第2の多孔質層42に向けて液体Lが流れるように設置される。すなわち第1の多孔質層41が上流側に設置される。
また、第1の多孔質層41および第2の多孔質層42は、セラミックス材料で形成される。第1の多孔質層41を形成するセラミックス材料として、酸化アルミニウム(例えば、αアルミナ)、酸化チタン(TiO)などが挙げられる。また、第2の多孔質層42を形成するセラミックス材料として、酸化アルミニウム(例えば、αアルミナ)、酸化チタンなどが挙げられる。ここで、第1の多孔質層41は、例えば、粉体の焼結などの方法で作製することができる。また、第2の多孔質層42は、陽極酸化処理などの方法で作製することができる。
また、第1の多孔質層41および第2の多孔質層42の線膨張係数(20℃)は、7.2×10−6/K〜9.9×10−6/Kであることが好ましい。この範囲の線膨張係数が好ましいのは、接合部材や支持部材との線膨張係数の調整ができるからである。
なお、フィルタ40の構成は、上記した構成に限定されるものではない。上記したフィルタ40では、第1の多孔質層41および第2の多孔質層42の2層構造からなる一例を示したが、例えば単層構造であってもよい。この場合には、上記した第2の多孔質層42のようなフィルタとしての機能を発揮することができる層で構成される。すなわち、フィルタ40は、高温場でも使用できるようにセラミックス材料で形成され、用途に応じて孔径等が設定される細孔を備えるものであればよい。さらに、フィルタ40は、上記した範囲の線膨張係数であることがより好ましい。
接合部材50は、フィルタ40と支持部材20とを接合する機能を有するとともに、支持部材30を通過した液体Lがフィルタ40を通過せずに流路24側へ流出するのを防止するシール機能を有する。すなわち、接合部材50は、フィルタ40を支持部材20に封着している。この接合部材50は、少なくとも、コバルトおよび/またはコバルト酸化物を含むセラミックス接合材料を焼成して構成されている。また、接合部材50は、ガラスフリットを含むフリット接合材料を焼成して構成されてもよい。
まず、接合部材50として、上記したセラミックス接合材料を使用する場合について説明する。
コバルトおよび/またはコバルト酸化物を含むセラミックス接合材料を使用する場合、前述したように、支持部材20は、少なくとも鉄を含有する金属材料で構成される。これらの材料で構成することで、焼成時に、支持部材20と接合部材50との接合界面に、支持部材20に含まれる鉄とセラミックス接合材料に含まれるコバルトの金属間化合物が形成される。この金属間化合物は、安定な化合物であり、再度高温に晒されてもほとんど成長せず、金属間化合物の厚さがほとんど変化しない。また、セラミックス接合材料に含まれるコバルトおよび/またはコバルト酸化物の含有率は、1〜10重量%であることが好ましい。この含有率の範囲が好ましいのは、コバルトおよび/またはコバルト酸化物の含有率が1重量%未満となる場合および10重量%を超える場合には、接合部材50のシール性が低下するからである。
また、接合部材50は、セラミックス材料からなるフィルタ40と金属材料からなる支持部材20との双方の間に位置し、さらに双方と接合される。支持部材20と接合部材50との線膨張係数の差が大きい場合には、支持部材20と接合部材50との接合部が剥離したり、接合部にき裂が生じたりすることがある。そこで、接合部材50の線膨張係数は、支持部材20の線膨張係数の±10%となる範囲とすることが好ましい。すなわち、接合部材50の線膨張係数は、支持部材20の線膨張係数の0.9倍以上、1.1倍以下の範囲となる。例えば、支持部材20としてステンレス鋼を使用した場合、ステンレス鋼の線膨張係数(20℃)は、14.7×10−6/Kであるため、接合部材50の線膨張係数は、13.2×10−6/K〜16.2×10−6/Kの範囲に設定される。
この範囲とすることで、上記した支持部材20と接合部材50との接合部が剥離したり、接合部にき裂が生じたりすることを防止することができる。なお、接合部材50における線膨張係数の調整は、後述する添加材の添加量を調整することで行うことができる。また、実際に使用される環境下においても、接合部材50の線膨張係数は、支持部材20の線膨張係数の±10%の範囲となることが好ましい。また、線膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)などを用いて測定される。
セラミックス接合材料として、例えば、酸化アルミニウム(Al)を主成分とし、コバルト(Co)および/またはコバルト酸化物を含有するものが挙げられる。また、セラミックス接合材料として、例えば、酸化チタンを主成分とし、コバルトおよび/またはコバルト酸化物を含有するものが挙げられる。フィルタ40の線膨張係数との差異を小さくするという観点から、例えばフィルタ40が、酸化アルミニウムを主成分とする場合には、酸化アルミニウムを主成分とするセラミックス接合材料を使用することが好ましく、酸化チタンを主成分とする場合には、酸化チタンを主成分とするセラミックス接合材料を使用することが好ましい。
コバルト酸化物としては、例えば、酸化コバルト(CoO)、四酸化三コバルト(Co)などが挙げられる。また、添加材としては、例えば、一酸化ケイ素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ビスマス(Bi)などが挙げられる。この添加材は、上記したように接合部材50における線膨張係数の調整をするためや接合強度の向上のために添加される。具体的には、セラミックス接合材料として、酸化アルミニウムを80重量%以上、酸化コバルトを1〜10重量%を含み、添加材として一酸化ケイ素および酸化マグネシウムを含み、例えば、有機溶剤などのエタノール系の溶剤でペースト状に混合されたものが挙げられる。また、セラミックス接合材料として、酸化チタンを80重量%以上、酸化コバルトを1〜10重量%を含み、添加材として一酸化ケイ素および酸化マグネシウムを含み、例えば、有機溶剤などのエタノール系の溶剤でペースト状に混合されたものが挙げられる。
なお、セラミックス接合材料の組成は、これに限られるものではなく、酸化アルミニウムまたは酸化チタンを主成分とし、コバルトおよび/またはコバルト酸化物を含有するもので、焼成の際上記した線膨張係数の範囲となるものであればよい。
次に、接合部材50として、上記したフリット接合材料を使用する場合について説明する。
フリット接合材料として、例えば、ガラス材、添加材および溶剤を混合してペースト状にしたものが挙げられる。ここで、ガラス材としては、二酸化ケイ素(SiO)、酸化ホウ素(B)、酸化ビスマス(Bi)などが挙げられる。添加材としては、Ti系化合物、Ti酸化物、Al系化合物、Al系酸化物、Co系酸化物、Co系化合物、Ba系化合物、Ba系酸化物、Si系酸化物、Bi系化合物、Bi系酸化物、Mg酸化物、Mg化合物のうちのいずれか少なくとも1種が挙げられる。これらの添加物として、具体的には、チタン酸バリウム(BaTiO)、チタン・コバルト合金(TiCo)、酸化チタン、アルミン酸カルシウム(Ca(AlO)、酸化アルミニウム、酸化コバルト(Co)、酸化バリウム(BaO)、二酸化ケイ素、チタン酸ビスマスナトリウム(( Bi1/2Na1/2TiO)、酸化ビスマス、チタン酸マグネシウム(MgTiO)、酸化マグネシウムなどが挙げられる。なお、例えば、酸化ビスマスは、ガラス材および添加物の双方の機能を備えている。溶剤としては、例えば、有機溶剤などのエタノール系の溶剤が挙げられる。
また、接合部材50の線膨張係数(20℃)は、8×10−6/K〜10×10−6/Kであることが好ましい。接合部材50は、セラミックス材料からなるフィルタ40と金属材料からなる支持部材20との双方の間に位置し、さらに双方と接合される。支持部材20と接合部材50との線膨張係数の差、またはフィルタ40と接合部材50との線膨張係数の差が大きい場合には、接合部が剥離したり、接合部にき裂が生じたりすることがある。そこで、フィルタ40の線膨張係数(20℃)は、8×10−6/K〜9×10−6/Kであり、支持部材20の線膨張係数(20℃)は、13.2×10−6/K〜16.2×10−6/Kであるため、接合部材50の線膨張係数の値を、フィルタ40の線膨張係数の値と支持部材20の線膨張係数の値との間の値とすることが好ましい。さらに好ましくは、接合部材50の線膨張係数の値を、フィルタ40の線膨張係数の値と支持部材20の線膨張係数の値の平均値とすることが好ましい。この範囲とすることで、接合部が剥離したり、接合部にき裂が生じたりすることを防止することができる。なお、接合部材50における線膨張係数の調整は、添加材の添加量を調整することで行うことができる。また、実際に使用される環境下においても、接合部材50の線膨張係数は、フィルタ40の線膨張係数の値と支持部材20の線膨張係数の値との間の値となるように設定することが好ましい。
ここで、フリット接合材料に含まれるガラス材の含有率は、50〜80重量%とすることが好ましい。この範囲が好ましいのは、ガラス材の含有率が、50重量%未満の場合には、ガラス化が不十分であり、80重量%を超える場合には、割れる恐れがあるからである。また、フリット接合材料に含まれる添加材の含有率は、10〜40重量%とすることが好ましい。この範囲が好ましいのは、添加材の含有率が、10重量%未満の場合には、線膨張係数の調整が難しく、40重量%を超える場合には、ガラス成分が少なくなるため、シール性が劣ることが懸念されるからである。そして、フリット接合材料に含まれるガラス材と添加材の含有率は、90重量%以上であることが好ましい。この範囲が好ましいのは、ガラス材と添加材の含有率が90重量%未満の場合には、密着強度が低下することがあるからである。
具体的には、フリット接合材料として、例えば、酸化ホウ素を10重量%、酸化ビスマスを30重量%、二酸化ケイ素を10重量%、残部が酸化チタンおよびエタノールからなるものなどが挙げられる。また、フリット接合材料として従来から用いられている、例えば、酸化ホウ素を10重量%、一酸化鉛を30重量%、残部が二酸化ケイ素およびエタノールからなるものなども挙げられる。
次に、接合部材50を用いてフィルタ40を支持部材20に封着する方法について説明する。
まず、接合部材50として、上記したセラミックス接合材料を使用する場合について説明する。
上記したセラミックス接合材料を、フィルタ40の、支持部材20と接合する部分の表面、または支持部材20の、フィルタ40と接合する部分の表面に塗布する。なお、接合部材50中におけるボイド欠陥やき裂など発生を防止するため、セラミックス接合材料に対して脱ガス処理を施すことが好ましい。
ここで、セラミックス接合材料を均一に塗布するために、例えば、公知なスクリーン印刷法によって、メッシュ状のマスクを用いて行う。また、塗布されるセラミックス接合材料の厚さは、このマスクのメッシュ径により調整することができる。例えば、マスクのメッシュ径が30μmの場合、塗布されるセラミックス接合材料の厚さは30μm程度となる。
続いて、フィルタ40を支持部材20に装着する。これによって、フィルタ40は、セラミックス接合材料を介して支持部材20に装着された状態となる。
続いて、支持部材20にフィルタ40を装着した状態で加熱してセラミックス接合材料を焼成し、フィルタ40と支持部材20とを接合し、フィルタ40を支持部材20に封着する。焼成は、まず、第1の温度である、100℃に所定時間(例えば10分間)維持し、セラミックス接合材料に含まれる溶剤を除去する。その後、第2の温度である、500℃まで加熱し、この温度で所定時間(例えば10分間)維持し、支持部材20を構成する成分のFeと、セラミックス接合材料に含まれるCoとを拡散させ、支持部材20と接合部材50との接合界面にFeとCoの金属間化合物を形成する。その後冷却する。なお、冷却は、例えば自然冷却などによって行われる。また、第2の温度は、例えば、支持部材20を構成する成分のFeと、セラミックス接合材料に含まれるCoとを拡散させ、支持部材20と接合部材50との接合界面にFeとCoの金属間化合物を形成する温度またはこの温度よりも若干高い温度に設定される。
このように、焼成処理を施すことで、フィルタ40と支持部材20とが接合され、フィルタ40は支持部材20に封着される。また、フィルタ40が酸化アルミニウム(アルミナ)で構成されている場合には、焼成後、結晶構造αを有する安定なαアルミナとなる。すなわち、焼成処理を施すことで、支持部材20とフィルタ40とを接合するとともに、フィルタ40の結晶構造を変化させることができる。また、例えば、フィルタ40がチタン(Ti)で構成されている場合には、焼成処理を施すことで、支持部材20とフィルタ40とを接合するとともに、フィルタ40を酸化チタン膜に変化させることができる。これによって、製造工程を短縮することができ、製造コストを削減することができる。また、フィルタ40と支持部材20との間の接合部材50の厚さを10μm程度にできるので、水処理用フィルタモジュール10の薄型化を図ることができる。
次に、接合部材50として、上記したフリット接合材料を使用する場合について説明する。
上記したフリット接合材料を、フィルタ40の、支持部材20と接合する部分の表面、または支持部材20の、フィルタ40と接合する部分の表面に塗布する。なお、接合部材50中におけるボイド欠陥やき裂など発生を防止するため、フリット接合材料に対して脱ガス処理を施すことが好ましい。
ここで、フリット接合材料を均一に塗布するために、例えば、公知なスクリーン印刷法によって、メッシュ状のマスクを用いて行う。また、塗布されるフリット接合材料の厚さは、このマスクのメッシュ径により調整することができる。例えば、マスクのメッシュ径が30μmの場合、塗布されるフリット接合材料の厚さは30μm程度となる。
続いて、フィルタ40を支持部材20に装着する。これによって、フィルタ40は、フリット接合材料を介して支持部材20に装着された状態となる。
続いて、支持部材20にフィルタ40を装着した状態で加熱してフリット接合材料を焼成し、フィルタ40と支持部材20とを接合し、フィルタ40を支持部材20に封着する。焼成は、まず、第1の温度である、100℃に所定時間(例えば5分間)維持し、フリット接合材料に含まれる溶剤を除去する。その後、第2の温度である、450℃まで加熱し、この温度で所定時間(例えば5分間)維持し、フリット接合材料に含まれるガラス材を軟化させて、その後冷却し固化させる。なお、冷却は、例えば自然冷却などによって行われる。また、第2の温度は、例えば、フリット接合材料に含まれるガラス材の軟化点または軟化点よりも若干高い温度に設定される。
このように、焼成処理を施すことで、フィルタ40と支持部材20とが接合され、フィルタ40は支持部材20に封着される。また、フィルタ40が酸化アルミニウム(アルミナ)で構成されている場合には、焼成後、結晶構造αを有する安定なαアルミナとなる。すなわち、焼成処理を施すことで、支持部材20とフィルタ40とを接合するとともに、フィルタ40の結晶構造を変化させることができる。また、例えば、フィルタ40がチタン(Ti)で構成されている場合には、焼成処理を施すことで、支持部材20とフィルタ40とを接合するとともに、フィルタ40を酸化チタン膜に変化させることができる。これによって、製造工程を短縮することができ、製造コストを削減することができる。また、フィルタ40と支持部材20との間の接合部材50の厚さを30μm程度にできるので、水処理用フィルタモジュール10の薄型化を図ることができる。
上記したように、本発明に係る水処理用フィルタモジュール10によれば、接合部材50の線膨張係数をフィルタ40や支持部材20の線膨張係数に基づいて設定することで、き裂等を生じることなくフィルタ40を支持部材20に接合することができるとともに、実際に使用する際においても接合部にき裂等が生じることなく、フィルタ40を支持部材20に封着することができる。また、フィルタ40と支持部材20との間の接合部材50の厚さを薄くすることができるので、水処理用フィルタモジュール10の薄型化やコンパクト化を図ることができる。また、水処理用フィルタモジュール10のフィルタ40としてセラミックス材料を使用し、接合部材50として、上記したセラミックス接合材料やフリット接合材料を使用することで、例えば、300℃程度の高温水が循環する原子力の炉水などを浄化するフィルタとして利用することも可能となる。
次に、本発明に係る水処理用フィルタモジュール10における、支持部材20とフィルタ40とが接合部材50によって優れた密着強度を有して接合されていることを説明する。
(セラミックス接合材料からなる接合部材50を使用した場合)
図6は、せん断試験を行う試料の断面を示す図である。
セラミックス接合材料としては、酸化アルミニウムを80重量%、酸化コバルトを10重量%、添加材として一酸化ケイ素を3重量%、酸化マグネシウムを2重量%、溶剤としてエタノールを5重量%含むペースト状の混合物を準備した。一方、コバルトを含有しないセラミックス接合材料として、酸化アルミニウムを90重量%、添加材として一酸化ケイ素を3重量%、酸化マグネシウムを2重量%、溶剤としてエタノールを5重量%含むペースト状の混合物を準備した。そして、この混合物を口出し用ガラス容器に設置し、ロータリーポンプにより5分間吸引することで、脱ガス処理を施した。
縦が50mm、横が10mm、厚さが6mmの2枚のステンレス鋼(SUS316)からなる平板(以下、ステンレス板210、220という)を準備した。そして、一方のステンレス板210の端縁に、幅が6mm、厚さが0.1mmとなるようにセラミックス接合材料を、スクリーン印刷法によって塗布した。続いて、図6に示すように、他方のステンレス板220の端縁をセラミックス接合材料が塗布された一方のステンレス板の端縁にセラミックス接合材料を介して積層した。
続いて、この積層した積層体を、100℃で10分間加熱し、その後、500℃まで加熱し、この温度で10分間維持した。そして、自然冷却によって室温まで積層体を冷却した。
ここで、コバルトを含有するセラミックス接合材料を使用して接着されたものを試料1と、コバルトを含有しないセラミックス接合材料を使用して接着されたものを試料2とした。なお、上記した試料は、日本工業規格「JIS Z 3198」に準じて作製され、各試料をそれぞれ3個ずつ作製した。
また、20℃における、ステンレス板210、220の線膨張係数は、14.7×10−6/Kであり、試料1の接合部230の線膨張係数は、15×10−6/Kあり、試料2の接合部230の線膨張係数は、14×10−6/Kであった。なお、線膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)を用いて測定した。
せん断試験では、図6に示すように、一方のステンレス板210の端部と、他方のステンレス板220の端部をチャッキングし、それぞれ逆の方向(図6の矢印方向)に10mm/分で引張り、せん断破壊時の接合部230におけるせん断荷重を測定した。なお、せん断試験は、大気圧および室温の下で行われた。表1は、せん断試験の結果を示す。
Figure 2010082616
表1に示すように、接合部230におけるせん断荷重は、試料1の方が試料2よりも高いことがわかった。すなわち、せん断荷重は、Coを含有しないセラミックス接合材料を使用した場合よりも、Coを含有するセラミックス接合材料を使用した場合の方が高いことがわかった。
(フリット接合材料からなる接合部材50を使用した場合)
図7は、水処理用フィルタモジュールにおける、支持部材20とフィルタ40との接合部材50による密着強度を評価するヘリウムリークディテクタ装置の概要を示す図である。
フリット接合材料としては、ガラス材としてSiOを80重量%、添加材としてBiを10重量%、溶剤としてエタノールを10重量%含むペースト状の混合物を準備した。また、ガラス材および添加材の含有率の合計が90重量%未満となるフリット接合材料としては、ガラス材としてSiOを65重量%、添加材としてBiを20重量%、溶剤としてエタノールを15重量%含むペースト状の混合物を準備した。そして、この混合物を口出し用ガラス容器に設置し、ロータリーポンプにより5分間吸引することで、脱ガス処理を施した。
縦が50mm、横が10mm、厚さが6mmの2枚のステンレス鋼(SUS316)からなる平板(以下、ステンレス板250、260という)を準備した。一方のステンレス板250の中央には、直径が30mmの貫通孔251を設けた。
そして、一方のステンレス板250の端縁に、幅が6mm、厚さが0.1mmとなるようにフリット接合材料を、スクリーン印刷法によって塗布した。続いて、図7に示すように、他方のステンレス板260をフリット接合材料を介して一方のステンレス板250上に積層した。
続いて、この積層した積層体を、100℃で5分間加熱し、その後、450℃まで加熱し、この温度で5分間維持した。そして、自然冷却によって室温まで積層体を冷却した。
ここで、ガラス材および添加材の含有率の合計が90重量%以上となるフリット接合材料を使用して接着されたものを試料3と、ガラス材および添加材の含有率の合計が90重量%未満となるフリット接合材料を使用して接着されたものを試料4とした。
また、20℃における、ステンレス板250、260の線膨張係数は、14.7×10−6/Kであり、試料3の接合部270の線膨張係数は、15×10−6/Kであり、試料4の接合部270の線膨張係数は、14×10−6/Kであった。なお、線膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)を用いて測定した。
ヘリウムリークディテクタ装置300を用いた密着強度評価試験では、図7に示すように、ヘリウムリークディテクタ装置300の真空引き用流路310にステンレス板250の貫通孔251が連通するように試料を支持台311上に設置した。また、支持台311上に設置された試料をチャンバ312内に収容した。そして、チャンバ312内にヘリウムガスを圧入し、チャンバ312内を2気圧に加圧した。続いて、真空引き用流路310を介して試料内を真空とし、時間の経過に伴うリーク量(Pa・m/s)を測定した。図8は、密着強度評価試験の結果を示した図である。
図8に示すように、試料4においては、5分経過前からリーク量が増加した。一方、試料3においては、測定した時間内でリーク量は低下しなかった。試料4においては、接合部270における密着強度が小さく、ヘリウムガスのリーク量が増加したものと考えられる。これらの結果から、ガラス材および添加材の含有率の合計が90重量%以上となるフリット接合材料を使用して接着した場合には、優れた密着強度が得られることがわかった。
(第2の実施の形態)
次に、本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400について説明する。
図9は、本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400の断面を模式的に示した図である。図10は、本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400において、フィルタ40を設置する前の状態の支持部材410を上方から見たときの平面図である。
なお、以下に示す第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400において、前述した第1の実施の形態の水処理用フィルタモジュール10と同一の構成部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
図9および図10に示すように、水処理用フィルタモジュール400は、支持部材410、420と、フィルタ40と、ガスケット430a、430bとを備える。また、水処理用フィルタモジュール400は、支持部材410と支持部材420とを狭持して、水処理用フィルタモジュール400を一体構成とするためのカシメ部材440を備える。
支持部材410、420は、フィルタ40を支持するものである。支持部材410、420は、一方が開口した、断面が矩形の箱状部材から構成される。支持部材420を構成する箱状部材の閉鎖壁には、処理される液体Lを導入するための複数の開口421が形成されている。なお、複数の開口421の形状は、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜に変更可能である。
支持部材410を構成する箱状部材の閉鎖壁の内壁面411には、複数の突起部412が形成されている。この突起部412を備えることで、フィルタ40と支持部材410の閉鎖壁の内壁面411との間に空隙ができ、フィルタ40を通過した液体Lが流れる流路413が形成される。また、各流路413が連通するように、突起部412が形成されている。また、この突起部412でフィルタ40を支持することによって、例えば、フィルタ40の一方の表面側と他方の表面側の圧力差が大きい場合でも、フィルタ40が流路413側へ変形するのを防止することができる。
さらに、支持部材410を構成する箱状部材の閉鎖壁の内壁面411には、複数の突起部412が形成された領域を囲むように周状に、ガスケット430aを支持するための支持用突起部414が形成されている。この支持用突起部414の一部には、図9に示すように、突起部412間の流路413を流れる液体Lを、支持部材410を構成する箱状部材の側壁の一部に設けられた排出口415に導くための貫通口414aが形成されている。
ここで、突起部412間の流路413を流れる液体Lを、支持部材410を構成する箱状部材の側壁の一部に設けられた排出口415に導くための構成は、上記した支持用突起部414に形成された貫通口414aに限られるものではない。例えば、支持用突起部414の一部を切り欠いて、液体Lを排出口415に導くための通路を形成してもよい。また、リング状のガスケット430aの一部を切り欠いて、液体Lを排出口415に導くための通路を形成してもよい。
支持部材410、420は、少なくとも、液体Lに対する耐腐食性を有し、かつ液体Lの温度に対して耐熱性を有する材料で構成されることが好ましい。支持部材410、420を構成する材料として、例えば、ステンレス鋼などが挙げられる。
ガスケット430a、430bは、密閉部材として機能し、リング状の部材で構成される。ガスケット430aは、支持部材410の支持用突起部414とフィルタ40との間に配置され、ガスケット430bは、支持部材420とフィルタ40との間に配置される。これらのガスケット430a、430bは、フィルタ40の周縁部を支持するとともに、支持部材410、420とフィルタ40との間をシールする機能を有する。
ガスケット430a、430bは、例えば、金属材料や黒鉛材料などで構成することができる。金属材料としては、例えば、軟鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタンなどを使用することができる。
上記した金属材料のうち、軟鋼、銅、アルミニウムは、比較的軟らかい軟性材料(例えば、ビッカース硬さが30〜200程度のもの)である。そのため、支持部材410、420をカシメ部材440によって締め付ける際、締め付け圧力が小さくても、ガスケット430a、430bに、支持部材410、420の内壁面やフィルタ40を密着させ、確実にシール機能を発揮することができる。例えば、フィルタ40として使用されるアルミニウム陽極酸化膜からなるセラミックスの平板膜は、一般的に脆い。このようなフィルタ40を使用した場合において、上記した軟性材料でガスケット430a、430bを構成することで、小さい締め付け圧力が小さくても、シール機能を十分に発揮することができる。
一方、上記した金属材料のうち、チタン、ステンレス鋼は、硬度が高く、高温高圧となる環境下での使用に適している。また、これらの金属以外にも、例えばハステロイ(商品名)やインコネル(商品名)などのNi基合金を使用することもできる。また、これらの金属は、表面に安定な酸化物皮膜が形成されることから、化学的安定性が高く、適用可能な環境が広い。
また、黒鉛は、耐熱性、耐薬品性に優れ、柔軟性を有するため、適用範囲が広い。例えば、黒鉛は、温度範囲が−240℃〜400℃の範囲で使用可能である。
また、ガスケット430a、430bは、金属−非金属の複合型構造体としてもよい。具体的には、例えば、膨張黒鉛、フッ素樹脂などの非金属からなる芯材を、例えば、軟鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタンなどの金属材料で被覆して複合型構造体を構成することができる。具体的には、ガスケット430a、430bは、例えば、上記した金属材料からなるパイプの内部に、上記した非金属を充填することで構成される。
このように、表面を金属材料で構成することで、金属材料が有する耐熱性、耐水性、耐薬品性などを得ることができるとともに、芯材を非金属材料で構成することで、非金属材料が有する柔軟性などを得ることができる。
また、ガスケット430a、430bは、金属材料からなる中空構造体で構成されてもよい。中空構造体は、例えば、金属材料からなるパイプなどで構成される。中空構造体を構成する金属材料として、軟鋼、ステンレス鋼、銅、アルミニウム、チタンなどを使用することができる。なお、使用する金属材料は、使用する用途などによって適宜選択される。
このように、ガスケット430a、430bを中空構造体で構成することで、支持部材410、420をカシメ部材440によって締め付ける際、中実構造体で構成するよりも、締め付け圧力が小さくても、ガスケット430a、430bに、支持部材410、420の内壁面やフィルタ40を密着させ、確実にシール機能を発揮することができる。
図11は、本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400において、中空構造体からなるガスケット430a、430bを備えたときの水処理用フィルタモジュール400の断面を模式的に示した図である。
図11に示すように、支持部材410の支持用突起部414には、ガスケット430aを配置するための溝450aが周状に形成されている。また、支持部材420を構成する箱状部材の閉鎖壁の内壁面には、ガスケット430bを配置するための溝450bが周状に形成されている。溝450aと溝450bは、対向するように形成されている。これらの溝450a、450bの深さは、例えば、ガスケット430a、430bを構成するパイプの外径の60〜90%程度に形成されることが好ましい。また、これらの溝450a、450bの幅は、例えば、ガスケット430a、430bを構成するパイプの外径の120〜250%程度に形成されることが好ましい。
このように、溝450a、450bを備えることで、ガスケット430a、430bが締め付けにより変形した際、ガスケット430a、430bが溝450a、450bの底面の他、溝450a、450bの側面とも接触するため、より確実なシールを行うことができる。また、溝450a、450bを備えることで、水処理用フィルタモジュール400自体の厚さを薄く構成することできる。
なお、前述した、中実構造体からなるガスケット430a、430bを使用する場合にも、支持部材410、420に溝450a、450bを形成してもよい。これによって、中空構造体からなるガスケット430a、430bを使用する場合よりも変形が小さい中実構造体からなるガスケット430a、430bを使用する場合においても、水処理用フィルタモジュール400自体の薄型化を図ることが可能なる。
また、ここでは、支持部材410、420に溝450a、450bを形成する一例を示したが、中空構造体からなるガスケット430a、430bを使用する場合でも、支持部材410、420に溝450a、450bを形成せずにシール機能を発揮させてもよい。
カシメ部材440は、例えば、断面がコ字状の金属材料からなる板状部材で構成される。カシメ部材440は、支持部材410と支持部材420とを組み合わせた状態で、少なくとも、対向する2つの端縁を狭持するように設けられている。また、カシメ部材440が、支持部材410の排出口415側に設けられる場合には、図9に示すように、カシメ部材440の、その排出口415に対応する位置に排出口415と同程度の開口440aが形成される。これによって、支持部材410の排出口415側にカシメ部材440が設けられた場合でも、液体Lを外部に排出することができる。
カシメ部材440は、化学的安定性が高く、支持部材410と支持部材420とを締め付けることができる弾性材料で構成されることが好ましい。カシメ部材440を構成する材料として、具体的には、例えば、ステンレス鋼、銅合金、コバルト基合金、ニッケル基合金、チタン、チタン合金などが使用される。
このカシメ部材440によって、ガスケット430a、430bが配置された支持部材410と支持部材420とを厚さ方向に圧縮して狭持することにより、ガスケット430a、430bが、支持部材410、420およびフィルタ40と密着し、シール機能を発揮する。
上記した水処理用フィルタモジュール400において、例えば、図9に示すように、処理される液体Lは、支持部材420の開口421から流入し、フィルタ40を通過する。液体Lは、フィルタ40を通過することで浄化される。浄化された液体Lは、突起部412間に形成された流路413を通過し、支持用突起部414の貫通口414aに導かれる。支持用突起部414の貫通口414aを通過した液体Lは、支持部材410を構成する箱状部材の側壁の一部に設けられた排出口415から排出される。
ここで、上記した水処理用フィルタモジュール400では、2つのガスケット430a、430bを備える一例を示したが、この構成に限られるものではない。
図12は、本発明に係る第2の実施の形態の、1つのガスケット430aを備える水処理用フィルタモジュール400の断面を模式的に示した図である。
図12に示すように、支持部材420の一方の表面と、フィルタ40との間にガスケット430bを設けずに、支持部材420の一方の表面とフィルタ40の一方の周端面を直接接触させて構成してもよい。なお、この場合、支持部材420は平板形状に構成される。
図13は、本発明に係る第2の実施の形態の、1つのガスケット430bを備える水処理用フィルタモジュール400の断面を模式的に示した図である。
図13に示すように、支持部材410の支持用突起部414と、フィルタ40との間にガスケット430aを設けずに、支持部材410の支持用突起部414の表面とフィルタ40の他方の周端面を直接接触させて構成してもよい。この場合、支持部材410の支持用突起部414の高さは、突起部412の高さと同じに構成される。なお、図12および図13では、上記した中実構造体からなるガスケット430a、430bを例示しているが、ガスケット430a、430bは、上記した中空構造体や複合型構造体で構成されてもよい。
次に、上記した水処理用フィルタモジュール400を複数備えた水処理装置100について説明する。
図14は、本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400を複数備えた水処理装置100の断面を模式的に示した図である。
図14に示すように、水処理用フィルタモジュール400は、水処理装置100の水処理用フィルタモジュール400を装着する装着部105に、図示しないが、例えばねじ止めなどによって、着脱可能に装着される。すなわち、水処理装置100では、例えば、水処理用フィルタモジュール400を適宜取り外して、新たな水処理用フィルタモジュール400と交換することができる。また、水処理装置100は、各水処理用フィルタモジュール400から排出された液体Lを外部に導く主流路110を備えている。
この水処理装置100において、各水処理用フィルタモジュール400を通過して浄化された液体Lは、主流路110に導入される。主流路110に導入された液体Lは、主流路110を通って水処理装置100の外部に排出される。
上記したように、第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400によれば、前述したガスケット430a、430bを備え、支持部材410、420をカシメ部材440によって締め付けることで、締め付け圧力が小さくても、ガスケット430a、430bに、支持部材410、420の内壁面やフィルタ40を密着させることができる。これによって、ガスケット430a、430bのシール機能を確実に発揮することができる。
(第3の実施の形態)
本発明に係る第3の実施の形態では、本発明に係る第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400の基本構成を有する水処理用フィルタモジュール500について説明する。
図15は、本発明に係る第3の実施の形態の水処理用フィルタモジュール500の分解斜視図である。図16は、本発明に係る第3の実施の形態の水処理用フィルタモジュール500の断面を示す図である。図17は、本発明に係る第3の実施の形態の水処理用フィルタモジュール500を複数積層して構成されるモジュール積層体600の断面を示す図である。なお、第1および第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュールと同一の構成部分には、同一の符号を付して重複する説明を省略または簡略する。
図15に示すように、水処理用フィルタモジュール500は、第1の箱状部材510と、この第1の箱状部材510に密着される第2の箱状部材520と、第1の箱状部材510と第2の箱状部材520との間にガスケット430a、430bを介して狭持されるように配置されるフィルタ40とを備えている。
第1の箱状部材510は、例えば、一方が開口した、断面が矩形の箱状部材で構成される。この第1の箱状部材510は、処理される液体Lを一方の表面510a側から導入するための複数の開口511aを有する液体導入部511を備えている。また、第1の箱状部材510には、液体導入部511から導入され、フィルタ40によって浄化された液体Lを外部に排出するための排出口512が形成されている。ここでは、開口511aを円形に構成した一例を示しているが、開口511aの形状は、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜に変更可能である。また、ここでは、複数の開口511aを有する液体導入部511を円形状に構成した一例を示しているが、液体導入部511の形状は、特に限定されるものではなく、用途などに応じて適宜に変更可能である。また、液体導入部511は、周状に配置されるガスケット430bの内周内の範囲に形成されている。
なお、第1の箱状部材510は、前述した第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400の支持部材420を構成する材料と同じ材料で構成される。
図16に示すように、フィルタ40は、ガスケット430bを介して第1の箱状部材510に接触している。そのため、第1の箱状部材510の開口511aから流入する処理される液体Lは、すべてフィルタ40を通過することとなる。
第2の箱状部材520は、第1の箱状部材510と同様に、例えば、一方が開口した、断面が矩形の箱状部材で構成される。なお、第2の箱状部材520は、第1の箱状部材510と気密に接合する必要があることから、第1の箱状部材510と同じ外形形状に構成されることが好ましい。この第2の箱状部材520は、フィルタ40を通過した液体Lを外部に排出するための排出口521を備えている。また、第2の箱状部材520の一方の表面520aには、この排出口521にフィルタ40を通過した液体Lを導く、凹部からなる流路522を備えている。また、排出口521は、第1の箱状部材510の排出口512と連通するように構成されている。
また、凹部からなる流路522には、第2の箱状部材520が第1の箱状部材510に密着された際、フィルタ40を支持する複数の突起部523が形成されている。この複数の突起部523は、所定の間隔をあけて設けられている。この突起部523でフィルタ40を支持することによって、例えば、フィルタ40の一方の表面側と他方の表面側の圧力差が大きい場合でも、フィルタ40が流路522側へ変形するのを防止することができる。また、突起部523間は、流路522として機能し、フィルタ40を通過した液体Lが突起部523間を排出口521に向かって流れる。
なお、ここでは、円柱状に形成された突起部523の一例を示しているが、この形状に限られるものではなく、突起部523は、フィルタ40を第2の箱状部材520側から支持し、突起部523間に液体Lを流す流路を形成することができる構成を有していればよい。なお、突起部523は、前述した第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400の突起部412と同じ機能を有するものである。
また、第2の箱状部材520の一方の表面520aに形成された凹部には、複数の突起部523が形成された領域を囲むように周状に、ガスケット430aを支持するための支持用突起部524が形成されている。この支持用突起部524の一部には、図16に示すように、突起部523間の流路522を流れる液体Lを、排出口521に導くための貫通口524aが形成されている。なお、支持用突起部524は、前述した第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400の支持用突起部414と同じ機能を有するものである。図16に示すように、フィルタ40は、この支持用突起部524上に配置されたガスケット430aを介して第2の箱状部材520と接触している。
また、図15に示すように、排出口521付近の流路522の断面積が、排出口521に近づくに伴って徐々に減少するように流路522を構成してもよい。換言すると、排出口521付近の流路522の流路幅が、排出口512に近づくに伴って徐々に減少するように流路522を構成してもよい。なお、排出口512につながる流路522の端部の流路幅は、排出口512の開口径と同じか、それよりも若干大きい程度に構成されることが好ましい。このような流路を備えることで、排出口512に液体Lを導く際の流路522における圧力損失を低減させることができる。
なお、第2の箱状部材520は、前述した第2の実施の形態の水処理用フィルタモジュール400の支持部材410を構成する材料と同じ材料で構成される。
次に、上記した水処理用フィルタモジュール500を積層して構成されるモジュール積層体600について説明する。
図17に示すように、モジュール積層体600は、例えば、開口610aが形成された矩形形状の平板からなるスペーサ部材610を介して、複数の水処理用フィルタモジュール500をそれぞれ積層することで構成されている。また、スペーサ部材610の開口610aおよびモジュール積層体600の排出口512、521のそれぞれが連通するように積層して、各水処理用フィルタモジュール500によって浄化された液体Lをモジュール積層体600の外部に導くための排出流路620を形成している。
この排出流路620の一端には、排出流路620を流れる液体Lを外部に導くための配管621が設けられ、排出流路620の他端には、液体Lが外部へ流出するのを防止するための封止部材622が設けられている。これによって、排出流路620を流れる液体Lは、排出流路620の一端から配管621を通って外部に導かれる。なお、排出流路620の両端に配管621を設け、排出流路620の両端から液体Lを外部に導くように構成してもよい。
ここで、モジュール積層体600は、例えば、各水処理用フィルタモジュール500およびスペーサ部材610の所定の対応する位置に形成された固定用開口(図示しない)を介して、図17に示すように、例えば、ボルトおよびナットなどの固定部材で各水処理用フィルタモジュール500およびスペーサ部材610を固定することで構成されてもよい。
スペーサ部材610は、上記した、第1の箱状部材510や第2の箱状部材520を構成する材料として示した材料から、使用される環境などに応じて選択された材料で構成される。例えば、スペーサ部材610を、水処理用フィルタモジュール500の第1の箱状部材510や第2の箱状部材520に使用されている材料と同じ材料で構成することができる。
上記したモジュール積層体600における水処理工程について説明する。
浄化される液体Lは、第1の箱状部材510の複数の開口511aから水処理用フィルタモジュール500内に流入し、フィルタ40を通過する。フィルタ40によって浄化された液体Lは、流路522を流れ、支持用突起部524の貫通口524aを通り、排出流路620内に導入される。排出流路620内に導入された液体Lは、外部に排出される。
上記したモジュール積層体600によれば、薄型化を図ることができ、水処理用フィルタモジュール500全体の体積に対するフィルタ40の膜表面積を増大することができる。これによって、水処理用フィルタモジュール500における水処理能力を向上させることができる。
なお、水処理用フィルタモジュール500において、図13および図14に示した水処理用フィルタモジュール400と同様に、ガスケット430bまたはガスケット430aの1つのガスケットを備える水処理用フィルタモジュール構成としてもよい。また、上記した水処理用フィルタモジュール500では、前述した中実構造体からなるガスケット430a、430bを例示しているが、ガスケット430a、430bは、前述した中空構造体や複合型構造体で構成されてもよい。
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態にのみ限定されるものではなく、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で拡張もしくは変更することができ、この拡張、変更した実施形態も本発明の技術的範囲に含まれるものである。
例えば、上記した実施の形態では、水処理用のフィルタモジュールについて例示したが、処理されるものは水に限られず、液体全般に適用することができる。さらに、本発明に係るフィルタモジュールの構成は、例えば、液体の浄化以外にも、気体の浄化にも適用することができる。本発明に係るフィルタモジュールの構成を気体の浄化に適用する場合、例えば、気体中の細菌やウイルスを除去することができる。
10,400,500…水処理用フィルタモジュール、20,410,420…支持部材、21…表面、22…裏面、22a,411…内壁面、23,412,523…突起部、24,413,522…流路、25,415,512,521…排出口、30…支持部材、40…フィルタ、50…接合部材、100…水処理装置、110…主流路、105…装着部、414,524…支持用突起部、414a,524a…貫通口、421,440a,511a,610a…開口、430a,430b…ガスケット、440…カシメ部材、450a,450b…溝、510,520…箱状部材、510a,520a…表面、511…液体導入部、600…モジュール積層体、610…スペーサ部材、620…排出流路、621…配管、622…封止部材、L…液体。

Claims (17)

  1. セラミックス材料からなる多孔質のシート状のフィルタと、
    前記フィルタを支持する支持部材と、
    前記フィルタと前記支持部材とを接合する接合部材と
    を具備することを特徴とするフィルタモジュール。
  2. 前記支持部材は、少なくとも鉄を含有する金属材料で構成され、
    前記接合部材は、少なくとも、コバルトおよび/またはコバルト酸化物を含むセラミックス接合材料を焼成して構成されていることを特徴とする請求項1記載のフィルタモジュール。
  3. 前記セラミックス接合材料に含まれるコバルトおよび/またはコバルト酸化物の含有率は、1〜10重量%であることを特徴とする請求項2記載のフィルタモジュール。
  4. 前記接合部材は、ガラスフリットを含むフリット接合材料を焼成して構成されていることを特徴とする請求項1記載のフィルタモジュール。
  5. 前記フリット接合材料が、Ti系化合物、Ti酸化物、Al系化合物、Al系酸化物、Co系酸化物、Co系化合物、Ba系化合物、Ba系酸化物、Si系酸化物、Bi系化合物、Bi系酸化物、Mg酸化物、Mg化合物のうちのいずれか少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項4記載のフィルタモジュール。
  6. 前記接合部材の線膨張係数は、前記支持部材の線膨張係数の0.9倍以上、1.1倍以下であることを請求項2または3記載のフィルタモジュール。
  7. 前記接合部材の線膨張係数は、前記フィルタの線膨張係数の値と前記支持部材の線膨張係数の値との間の値であることを特徴とする請求項4または5記載のフィルタモジュール。
  8. セラミックス材料からなる多孔質のシート状のフィルタと、
    前記フィルタを前記フィルタの一方の表面側から支持する第1の支持部材と、
    前記フィルタを前記フィルタの他方の表面側から支持する第2の支持部材と、
    前記フィルタの一方の表面の外周縁と前記第1の支持部材との間および/または前記フィルタの他方の表面の外周縁と前記第2の支持部材との間を密閉する密閉部材と
    を具備することを特徴とするフィルタモジュール。
  9. 前記密閉部材が、金属材料または非金属材料からなるガスケットであることを特徴とする請求項8記載のフィルタモジュール。
  10. 前記密閉部材が、中空構造を有する金属材料からなるガスケットであることを特徴とする請求項8記載のフィルタモジュール。
  11. 前記密閉部材が、非金属材料からなる芯材を金属材料で被覆して形成された複合型のガスケットであることを特徴とする請求項8記載のフィルタモジュール。
  12. セラミックス材料からなるフィルタを備えたフィルタモジュールを製造するフィルタモジュールの製造方法であって、
    セラミックス材料からなる多孔質のシート状のフィルタ、前記フィルタを支持する支持部材、および前記フィルタと前記支持部材とを接合する接合材料を用意し、
    前記フィルタの、前記支持部材と接合する部分の表面、または前記支持部材の、前記フィルタと接合する部分の表面に前記接合材料を塗布する塗布工程と、
    前記フィルタを前記支持部材に装着する装着工程と、
    前記支持部材に前記フィルタを装着した状態で加熱して前記接合材料を焼成し、前記フィルタと前記支持部材とを接合する接合工程と
    を具備することを特徴とするフィルタモジュールの製造方法。
  13. 前記支持部材は、少なくとも鉄を含有する金属材料で構成され、
    前記接合材料は、少なくとも、コバルトおよび/またはコバルト酸化物を含むセラミックス接合材料であることを特徴とする請求項12記載のフィルタモジュールの製造方法。
  14. 前記セラミックス接合材料に含まれるコバルトおよび/またはコバルト酸化物の含有率は、1〜10重量%であることを特徴とする請求項13記載のフィルタモジュールの製造方法。
  15. 前記接合材料は、ガラスフリットを含むフリット接合材料であることを特徴とする請求項12記載のフィルタモジュールの製造方法。
  16. 前記フリット接合材料が、Ti系化合物、Ti酸化物、Al系化合物、Al系酸化物、Co系酸化物、Co系化合物、Ba系化合物、Ba系酸化物、Si系酸化物、Bi系化合物、Bi系酸化物、Mg酸化物、Mg化合物のうちのいずれか少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項15記載のフィルタモジュールの製造方法。
  17. 前記接合工程において、第1の温度で所定時間維持し、前記第1の温度よりも高い第2の温度で所定時間維持することを特徴とする請求項12乃至16のいずれか1項記載のフィルタモジュールの製造方法。
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