以下、この発明を実施するための最良の形態を例示的に説明する。以下に示す実施形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
<構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置1の外観図である。なお、ナビゲーション装置としては、例えば富士通テン株式会社のAVN(登録商標。Audio Visual Navigation)等の車載用ナビゲーション装置がある。但し、本発明は、例えば携帯型のナビゲーション機能を有する電子機器等、車載して利用できるものであれば如何なる電子機器にも適用可能である。本実施形態に係るナビゲーション装置1は、2DIN(Deutsche Industrie Normen)の本体・モニタ一体型カーナビゲーション装置であり、車両の現在地や目的地までの経路の案内等を行うカーナビゲーション機能や、各種オーディオ/ビジュアル(以下、AVという)コンテンツの再生機能、放送波を受信する機能等を有している。ナビゲーション装置1は、運転席や助手席の乗員の手が届きやすいダッシュボードの中央付近に設置された状態で使用されるものであり、メインユニット2とディスプレイユニット3とで構成されている。
図2は、ナビゲーション装置1の構成図である。メインユニット2は、電子部品類で構成されており、ブレーキ検知部4、リバース検知部5、携帯式プレーヤインターフェース
6、放送波受信部7、外部音声/映像入力部8、GPS情報受信部9、車速検知部10、カメラ映像入力部11、アンプ12、開閉制御部13A、角度制御部13B、角度センサ14、モータ15、CDドライブ16、カードメモリインターフェース17、リセットボタン18、ジャイロセンサ19、制御部20が内蔵されている。ディスプレイユニット3は、主に、車両の乗員に対して各種の情報を映像で表示するとともに、ユーザ操作を受け付ける役割を司るデバイス類で構成されており、タッチパネル21、表示処理部22、操作受付部23、操作ボタン24、赤外線受/発光部25を内蔵している。
以下、メインユニット2の構成について説明する。ブレーキ検知部4は、車両のパーキングブレーキがかけられているか否かを検知し、これを制御部20に通知する。ブレーキ検知部4は、パーキングブレーキレバー(あるいはペダル)の動きと連動してオンオフするスイッチの通電状態により、ブレーキの状態を検知する。ブレーキ検知部4は、このスイッチの通電状態を、端子26Aを介して電気的に検知する。
リバース検知部5は、車両の変速レバーがリバース(後進)になっているか否かを検知し、これを制御部20に通知する。リバース検知部5は、変速レバーと連動して動くスイッチのオンオフにより、変速レバーの状態を検知する。リバース検知部5は、このスイッチの通電状態を、端子26Bを介して電気的に検知する。
携帯式プレーヤインターフェース6は、音楽等を再生する携帯式のプレーヤ(例えば、iPod(登録商標))と双方向通信を行うためのインターフェースである。携帯式プレーヤインターフェース6は、このような携帯式のプレーヤが外部接続されると双方向通信を開始し、プレーヤから送られるオーディオ信号を制御部20へ送り、制御部20から送られる再生開始や曲送り等の制御信号をプレーヤへ送る。携帯式プレーヤインターフェース6は、端子26Cに接続されるコードを介してプレーヤと通信を行う。
放送波受信部7は、ワンセグチューナ(「ワンセグ」は商標登録出願中)、AMチューナ(AM:Amplitude Modulation)、及びFMチューナ(FM:Frequency Modulation)で構成される回路である。放送波受信部7は、制御部20からの制御信号に応じてチューナの受信状態を制御し、端子26Dに接続されるアンテナが受信した電波の信号を制御部20へ送る。
外部音声/映像入力部8は、端子26Eに接続されるビデオ/オーディオ機器からのコンポジット映像信号や音声信号を受け付け、これを制御部20へ送る回路である。
GPS情報受信部9(GPS:Global Positioning System)は、端子26Fに接続されるGPSアンテナが受信したGPS衛星からの電波の信号を受信し、受信した信号を制御部20へ送る。周知のように、GPSは、地球を周回する多数のGPS衛星のうち少なくとも3つ以上の衛星からの電波に基づいて車両の位置を測位するシステムである。GPS情報受信部9は、地球を周回するこれらGPS衛星の電波の信号を処理する。GPS情報受信部9によって受信されたGPS衛星からの信号は、カーナビゲーションに用いられる。
車速検知部10は、車軸の回転角に応じて発生する車速パルス信号を検知し、これを制御部20へ送る回路である。車速検知部10が検知する車速パルス信号は、車速センサまたは車両のエンジンやブレーキを制御する電子制御ユニットから出力されるステップ状の車速パルス信号であり、単位時間当たりのパルス数から車両速度を割り出す際に用いられる。単位時間当たりのパルス数が増えていれば車両が加速しており、減っていれば車両が減速していることになる。車両の速度と車速パルスとの相関関係は、車両を製造するメーカや車種、装着される車輪の大きさや空気圧等に応じて変化する。このため、制御部20
では、GPSによる測位結果に基づいて算出される車両の移動距離とその間を走行する間に検知されたパルス数との相関から、車両の速度と車速パルスとの相関関係が適宜更新される。車速検知部10は、電子制御ユニットから出力される車速パルス信号を、端子26Gを介して電気的に検知する。
カメラ映像入力部11は、車両の後方を撮影するビデオカメラであるバックアイカメラからの映像信号を受け付け、制御部20へ送る回路である。すなわち、カメラ映像入力部11は、リバース検知部5が車両のリバースを検知した際、端子26Hに接続されているビデオカメラからの映像信号を制御部20へ送る。
アンプ12は、制御部20から車室内に設置されるスピーカへ送られる音声信号を増幅する回路である。アンプ12は、制御部20からの制御信号に応じて増幅率を任意に変更可能である。
開閉制御部13Aは、ディスプレイユニット3の開閉動作を行う回路である。開閉制御部13Aは、制御部20からの制御信号に応じてモータ15を制御したり、角度センサ14からの信号を処理したりすることにより、ディスプレイユニット3を開閉する。図3は、制御部20からの制御信号を受けた開閉制御部13Aがモータ15を制御することにより実現するディスプレイユニット3の開閉動作を示したものである。開閉制御部13Aは、図3に示すように、ディスプレイユニット3の姿勢を三段階に調整することが可能であり、CDドライブ16(CD:Compact Disc)の挿入口を閉じた「クローズ」状態、CDドライブ16のCD挿入口27を開いた「セミオープン」状態、及びカードメモリインターフェース17のカード挿入口28やリセットボタン18を開いた「フルオープン」状態を実現する。ディスプレイユニット3の姿勢が「クローズ」状態の場合、CD挿入口27やカード挿入口28、リセットボタン18はディスプレイユニット3に隠れた状態である。また、ディスプレイユニット3の姿勢が「セミオープン」状態の場合、カード挿入口28やリセットボタン18がディスプレイユニット3に隠れ、CD挿入口27がナビゲーション装置1の正面からアクセス可能な状態になる。また、ディスプレイユニット3の姿勢が「フルオープン」状態の場合、CD挿入口27、カード挿入口28、及びリセットボタン18がナビゲーション装置1の正面からアクセス可能な状態になる。
角度制御部13Bは、ディスプレイユニット3の角度調整を行う回路である。角度制御部13Bは、開閉制御部13Aと同様、制御部20からの制御信号に応じてモータ15を制御したり、角度センサ14からの信号を処理したりすることにより、ディスプレイユニット3の角度を調整する。なお、ディスプレイユニット3の角度とは、ナビゲーション装置1の左右方向に伸びる軸を中心とする、メインユニット2の正面とディスプレイユニット3の正面(すなわち、タッチパネル21の表面)との相対的な角度である。図4は、角度制御部13Bが実現するディスプレイユニット3の角度調整状態を示したものである。角度制御部13Bは、図4に示すように、ディスプレイユニット3の仰角を多段階に調整してチルトアップすることが可能である。
角度センサ14は、ディスプレイユニット3の角度を検知するセンサであり、検知した角度を電気信号で開閉制御部13Aへ通知する。モータ15は、ディスプレイユニット3の角度を調整するモータであり、ディスプレイユニット3の上端を上下に動かしたり、ディスプレイユニット3の下端を前後に動かしたりする。開閉制御部13Aおよび角度制御部13Bは、制御部20からの制御信号を受けると、角度センサ14で検知されるディスプレイユニット3の角度と制御信号に基づいて決定される角度の目標値との差を割り出し、角度センサ14で検知されるディスプレイユニット3の角度が制御目標値と一致するようにモータ15をフィードバック制御する。
CDドライブ16は、音楽等のオーディオコンテンツが記録されたCDを読み取って再生する光ディスク読取装置であり、光ピックアップレンズや発光素子、ディスク駆動モータ等で構成されている。
カードメモリインターフェース17は、記憶保持動作が不要な不揮発性の半導体メモリカードを読み書きするメモリカードリーダライタである。カードメモリインターフェース17に挿入されるメモリカードは、4GB程度の記憶容量を有しており、高速道路や一般道等の道路情報、テーマパーク、ガソリンスタンドといった各種施設に関する地点情報(以降、POI(Point Of Interest)データとも表記)等を含む地図データ、並びに電話番号や施設名称等のデータが記録されている。制御部20は、メモリカードに記録されている地図データにアクセスすることでカーナビゲーションのルート検索等の諸機能を実現する。
ジャイロセンサ19は、メインユニット2に内蔵される2軸ジャイロセンサである。ジャイロセンサ19は、GPS衛星からの電波をGPS情報受信部9が受信できない時でも車両の測位を可能にするためのものである。なお、GPS衛星からの電波を受信できない時の車両の位置は、制御部20により、車速検知部10が検知する車両速度とジャイロセンサ19が検知する車両の進行方向とに基づいて算出される。
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等で構成されている。制御部20は、車両のアクセサリー電源がオンになると、ROMに記録されたコンピュータプログラムを実行し、カードメモリインターフェース17に挿入されたメモリカードのデータやRAMに格納されているデータ等を使って各種機能を実現する。制御部20が実現する各種機能の詳細については後述する。
次に、ディスプレイユニット3を構成する各構成要素について説明する。タッチパネル21は、カラー液晶ディスプレイとタッチセンサとを組み合わせたGUI(Graphical User Interface)であり、7.0インチのEGA(Enhanced Graphics Adapter)型液晶ディスプレイで画面を表示すると共に、画面に表示されたアイコン等が押されるとタッチセンサがこれを検知する。
表示処理部22は、タッチパネル21の液晶ディスプレイに表示する画面を描画処理する回路である。表示処理部22は、制御部20から送られる映像信号に基づき、液晶ディスプレイに格子状に均等配列された薄膜トランジスタを駆動することで、タッチパネル21の画面を描画する。
操作受付部23は、タッチパネル21へのタッチ操作をタッチセンサが感知すると、タッチされた画面上の位置を特定し、操作された位置の情報を制御部20へ送る。
操作ボタン24は、タッチパネル21にアイコン表示されるボタンではなく、機械的なボタンであり、図1等に示すように、タッチパネル21の下に配置される操作用の押しボタン式スイッチである。操作ボタン24は、ディスプレイユニット3の左側から順に、開閉ボタン、現在地ボタン、音量調整ボタンで構成されている。音量調整ボタンは、右側が押されると音量アップ、左側が押されると音量ダウンになるように設定されている。これらのボタンが押されると、押されたボタンの信号が制御部20へ送られる。
赤外線受/発光部25は、ナビゲーション装置1と携帯電話とが赤外線で双方向通信を行うためのインターフェースであり、電気で赤外線を発光する発光素子と、受光した赤外
線を電気にする受光素子で構成されている。赤外線受/発光部25は、制御部20から送られる制御信号やデータを携帯電話へ送るとともに、携帯電話から送られる制御信号やデータを制御部20へ送る。
次に、メインユニット2の制御部が実現する各種諸機能について詳述する。図5は、制御部20が実現する各種機能部を図示した機能ブロック図である。車両のアクセサリー電源がオンになると、制御部20は、図5に示すように操作処理機能部51、測位機能部52、ルート案内機能部53、地図データ処理機能部54、ユーザデータ処理機能部55、音声処理機能部56、映像処理機能部57、及び周辺施設処理機能部58を実現するコンピュータプログラムを実行する。
操作処理機能部51は、各種機能部の動作を制御するための操作画面を、映像処理機能部57を介してタッチパネル21に表示したり、操作受付部23や操作ボタン24、リセットボタン18からの操作信号を処理し、各種機能部の動作を制御したりする。
測位機能部52は、車両のアクセサリー電源がオンになると、GPS情報受信部9から送られる衛星からの電波の情報、車速検知部10から通知される車両速度の情報、及びジャイロセンサ19から送られる角速度の情報に基づいて車両の位置(緯度と経度)を測位する。
ルート案内機能部53は、車両の現在地からユーザが設定した目的地までのルートを索出し、ルート案内を行う機能部である。ルート案内機能部53は、測位機能部52が測位した車両の位置から目的地までの走行ルートを、カードメモリインターフェース17に挿入されるメモリカードの地図データから索出する。そして、索出した走行ルートと車両の位置との関係から車両の進路を音声、及び映像で案内する。
地図データ処理機能部54は、カードメモリインターフェース17に挿入されたメモリカードの地図データやルート案内機能部53が索出した走行ルートのデータ、放送波受信部7を介してFM放送波から取得されるVICS(登録商標)の道路交通情報のデータ、測位機能部52が測位した車両の位置データ等に基づき、タッチパネル21に表示する地図のグラフィックデータを生成する。
ユーザデータ処理機能部55は、ユーザが登録しようとする地点情報(例えば、自宅の位置情報等)やルート検索の履歴情報、アイコンの表示非表示等の設定情報をRAMに書き込んだり、RAMから読み出したりする。
音声処理機能部56は、アンプ12を介してスピーカから出力する音声の信号を処理する機能部である。すなわち、音声処理機能部56は、放送波受信部7が受信したラジオ放送、携帯式プレーヤインターフェース6がプレーヤから取得するオーディオ信号、CDドライブ16が再生するオーディオ信号をアンプ12へ送ったり、これらのオーディオ信号にルート案内機能部53からのルートガイダンスの音声信号を重畳し、アンプ12へ送ったりする。
映像処理機能部57は、タッチパネル21に表示させる映像データを生成する機能部である。すなわち、映像処理機能部57は、操作処理機能部51が生成する操作画面のデータと、地図データ処理機能部54が生成する表示用地図の画面のデータとを重畳して表示処理部22へ送ったり、放送波受信部7が受信したテレビジョン放送の映像データを表示処理部22へ送ったり、或いはリバース検知部5による車両後退の検知に連動してカメラ映像入力部11からの映像信号を表示処理部22へ送ったりする。なお、映像処理機能部57は、テレビジョン放送の映像データを表示処理部22へ送っている際にブレーキ検知
部4がパーキングブレーキの解除を検知すると、映像データの通知を止める。
周辺施設処理機能部58は、タッチパネル上に車両のナビゲーション用の地図が表示されているときに、車両の現在地等の基準点の周辺施設、すなわち基準点から所定の近距離範囲内に位置する施設(以下、単に「周辺施設」と言う。)をユーザに情報提供するための機能部である。この周辺施設処理機能部58による周辺施設に関する情報提供は、必ずしも上記ルート案内機能部53によるルート案内が行われているときに行われるわけではなく、ユーザが自車位置等の基準点の周辺に位置する施設の位置を知りたいと要求したときに、当該情報提供が行われるように機能する。また、当該情報提供時には、上記音声処理機能部56や映像処理機能部57と協調して機能を発揮する。なお、周辺処理機能部58の詳細については、具体的な実施例とともに後述する。
<動作>
以下、ナビゲーション装置1の動作について説明する。図6はナビゲーション装置1のメイン画面の画面遷移図であり、図7はナビに関する画面遷移図である。また、図8は、AV画面の表示モードを示した図である。以下、図6〜8に基づいてナビゲーション装置1の動作について説明する。
(D101)オープニング画面(D101)について説明する。車両のアクセサリー電源がオンになり、ナビゲーション装置1に電力が供給されると、制御部20は、ROMに格納されているコンピュータプログラムを実行してナビゲーション装置1を初期化し、図5に示す各種機能部を実現する。ここで、映像処理機能部57は、ROMに格納されているオープニング画面のデータを参照し、タッチパネル21にオープニング画面を表示させる。なお、オープニング画面が表示されている間、制御部20の各機能部では、次のような処理が実行される。すなわち、操作処理機能部51は、操作受付部23や操作ボタン24、リセットボタン18からの信号を走査してユーザ操作を受け付ける。また、測位機能部52は、GPS情報受信部9で取得される測位情報や車速検知部10、ジャイロセンサ19の信号を処理し、車両の位置を測定する。また、地図データ処理機能部54は、カードメモリインターフェース17に挿入されているカードメモリへアクセスし、測位機能部52が測位した自車位置の周辺の地図データを読み出す。
(D102)次に、マルチ画面(D102)について説明する。オープニング画面が表示されてから4秒経つと、映像処理機能部57は、ROMに格納されている操作ボタン類の画像データや地図データ処理機能部54が読み出した地図データを基に、AVの操作画面とナビの操作画面とを組み合わせたマルチ画面(D102)を生成し、タッチパネル21に表示する。図9は、マルチ画面の図である。映像処理機能部57は、図9に示すように、AV類の操作ボタン類を配置したAV領域の画面をタッチパネル21の左側に表示し、ナビの地図や操作ボタン類を配置したナビ領域の画面をタッチパネル21の右側に表示する。AV領域は、更に、ソースを選択するための操作ボタン類をまとめて表示するソース選択領域と、選択されたソースに関連するボタンや情報を表示するソース操作領域とに区分されている。
図9に示すように、映像処理機能部57は、AV領域の内のソース選択領域に、「ラジオ」、「CD」、「ワンセグ」、「iPod」、「外部入力」、「OFF」、及び「AV」ボタンを表示する。何れかのソースボタンがタッチされると、そのソースが選択される。図9の例では、「ラジオ」が選択されており、受信周波数やAM/FMの切り替えボタン、選局ボタン等の選択されたソースに関連する操作ボタンや情報がソース操作領域に表示されている状態を図示している。従って、このとき、音声処理機能部56は、放送波受信部7が受信したAM放送の音声信号を、アンプ12を介してスピーカから出力している。他方、映像処理機能部57は、ナビ領域に、地図データ処理機能部54が読み出した地図データに基づいて描画される地図の他、「メニュー」、「目的地」、「周辺」、「自宅
」、「ナビ」、「地図拡大」、及び「地図縮小」ボタンを表示する。なお、マルチ画面(D102)では、AV領域とナビ領域の2つが存在するため、AV領域がAV全画面(D104)の時よりも狭い。そこで、マルチ画面(D102)のソース操作領域には、そのソースに関わる操作ボタンや情報のうち基本的なものだけが表示されるようになっている。
この状態で「AV」ボタンが押されたことを操作処理機能部51が検知すると、映像処理機能部57は、AV全画面(D104)の画面表示状態に遷移する。なお、その他のボタンが押された場合についてはナビ全画面(D103)、及びAV全画面(D104)の説明の後に詳述する。
(D103)次に、ナビ全画面(D103)について説明する。映像処理機能部57は、マルチ画面(D102)に表示されている「ナビ」ボタンが押されたことを操作処理機能部51が検知すると、AV領域を徐々に隠し、ナビ領域を全画面に表示する。図10は、ナビ全画面の図である。映像処理機能部57は、図10に示すように、AV領域を消し、ナビ領域をタッチパネル21に全画面表示する。
図10に示すように、ナビ領域には、マルチ画面(D102)と同様、地図や、「メニュー」、「目的地」等の操作ボタンが表示されている。ここで、映像処理機能部57は、ナビ全画面に表示される自車位置のアイコンが、ナビ領域の中心に位置するように画面を表示している。このため、タッチパネル21の表示画面がマルチ画面(D102)からナビ全画面(D103)に遷移すると、自車位置のアイコンや地図の表示が、画面内で若干スクロールする。一方、映像処理機能部57は、「メニュー」や「目的地」等の操作ボタン類がタッチパネル21の表示画面上で同じ位置になるように画面を表示する。このため、タッチパネル21の表示画面がマルチ画面(D102)からナビ全画面(D103)に遷移しても、ナビの操作ボタン類がタッチパネル21の画面上でスクロールせず、同じ位置に表示され続ける。但し、「ナビ」ボタンのみ「AV+ナビ」ボタンに表示が切換わる。なお、「AV+ナビ」ボタンが押されると、映像処理機能部57は、ナビ全画面(D103)からマルチ画面(D102)へ表示を切り替える。
(D104)次に、AV全画面(D104)について説明する。映像処理機能部57は、マルチ画面(D102)に表示されている「AV」ボタンが押されたことを操作処理機能部51が検知すると、ナビ領域を徐々に隠し、AV領域を全画面に表示する。図11は、AV全画面の図である。映像処理機能部57は、図11に示すように、ナビ領域を消し、AV領域をタッチパネル21に全画面表示する。
図11に示すように、AV領域には、マルチ画面(D102)と同様、「ラジオ」、「CD」、「ワンセグ」、「iPod」、「外部入力」、及び「OFF」ボタンがソース選択領域に表示されている。また、AV領域には、ソース操作領域が拡大されて、マルチ画面(D102)で表示されていなかった放送局の名称やプリセットの選局ボタン、チャンネル設定ボタンや音設定ボタンが表示されている。また、CDドライブ16にCDが挿入されていることを示す「CDIN」が表示されている。ここで、AV領域には、マルチ画面(D102)で表示されていた「ラジオ」等の操作ボタン類が同じ位置に表示されている。但し、「ナビ」ボタンのみ「AV+ナビ」ボタンに表示が切換わる。以下、マルチ画面とAV全画面の両方で表示される領域を「AV通常領域」といい、AV全画面でのみ表示される領域を「AV拡張領域」という。なお、「AV+ナビ」ボタンが押されると、映像処理機能部57は、AV全画面(D104)からマルチ画面(D102)へ表示を切り替える。なお、AV全画面(D104)では、ナビ領域が存在しないので、AV領域がマルチ画面(D102)の時よりも広い。そこで、AV全画面(D104)のソース操作領域には、そのソースに関わる全ての操作ボタンや情報が表示されるようになっている。こ
のように、AV全画面(D104)の場合にのみ表示されるソースの操作ボタンや情報類の表示領域が「AV拡張領域」であり、ソース操作領域の一部を構成している。一方、マルチ画面(D102)とAV全画面(D104)の何れにも表示されるソースの操作ボタンや情報類の表示領域が「AV通常領域」であり、ソース操作領域の一部とソース選択領域とを構成している。
ナビゲーション装置1のメイン画面の画面遷移(図6)については以上の通りである。以下、マルチ画面(D102)からナビ全画面(D103)、或いはAV全画面(D104)へ画面が遷移する際の、ナビ領域、及びAV領域の画面上の動き方について詳述する。図12は、マルチ画面(D102)からナビ全画面(D103)へ遷移する際の、AV領域の消え方を示す図である。また、図13は、マルチ画面(D103)からAV全画面(D104)へ遷移する際の、ナビ領域の消え方を示す図である。映像処理機能部57は、マルチ画面からナビ、或いはAV全画面へ表示を切り替えるに際し、ナビ領域やAV領域がスクロールして見えるように画面表示を行っている。すなわち、映像処理機能部57は、マルチ画面からナビ全画面へ表示を切り替える際、AV領域が徐々に左側に退出していくように、換言すれば、AV領域の表示面積が徐々に減少するようにスクロールすると共に、ナビ領域の表示面積が徐々に増加するようにスクロールしていくように、画面を表示する。また、映像処理機能部57は、マルチ画面からAV全画面へ表示を切り替える際、その反対にAV領域が徐々に右側に進入してくるように画面を表示する。これにより、ユーザは、ナビ画面上にAV画面が抜き差しされるように感じ取ることができる。従って、ナビの画面を見たければ、マルチ画面(D102)の右側に表示されている「ナビ」ボタンを押すことにより、ナビ全画面(D103)に遷移することを視覚的に容易に理解することができ、AVの画面を見たければ、マルチ画面(D102)の左側に表示されている「AV」ボタンを押すことにより、AV画面が抜き差しされることを容易に理解することができる。図14は、メイン画面の画面遷移の様子を示した概念図である。ユーザは、図14に示すように、表示窓から覗き込むと見える右側の面(本実施形態でいうナビ画面に相当する)の上に、左側の面(本実施形態でいうAV画面に相当する)が左側から抜き差しされるようなイメージで、ナビゲーション装置1のメイン画面を操作できる。よって、今どこにいるのかが判りやすく、安心して操作することができる。
(D201)次に、ナビゲーション装置1のナビに関する画面について説明する。まず始めに、メニュー画面(D201)について説明する。マルチ画面(D102)またはナビ全画面(D103)のナビ領域に表示されている「メニュー」ボタンが押されたことを操作処理機能部51が検知すると、映像処理機能部57は、メニュー画面(D201)をタッチパネル21に表示する。図15は、メニュー画面(D201)の図である。映像処理機能部57は、図15に示すように、ナビ領域の「メニュー」ボタンから立ち上がるようにメニューのポップアップを表示する。ここで、映像処理機能部57は、メニューのポップアップが「メニュー」ボタンから徐々に立ち上がるようにアニメーション表示し、更に、マルチ画面(D102)がポップアップの下側に見えるようにしている。なお、ポップアップとは、画面に表示されるボタンを押すと、そのボタンから立ち上がるように表示される領域であり、例えば、メニューの項目等が表示される領域である。図16は、マルチ画面(D102)からメニュー画面(D201)へ遷移する際のアニメーションを示した図である。マルチ画面(D102)の「メニュー」ボタンが押されると、「メニュー」ボタンから立ち上がるようにメニューのポップアップが表示される。従って、ユーザは、メニュー画面がマルチ画面から遷移して表示されていることを視覚で容易に理解することが可能であり、またボップアップ表示画面の下に先の表示画面が位置していることが分かるため、安心して操作することができる。なお、メニュー画面(D201)には、アイコンや施設表示等のユーザ設定用ボタンや、お気に入り地点の編集用ボタンが表示される。ユーザが登録した地点情報等は、ユーザデータ処理機能部55により、制御部20内のRAMに記憶される。
(D202)次に、目的地設定画面(D202)について説明する。映像処理機能部57は、マルチ画面(D102)またはナビ全画面(D103)のナビ領域に表示されている「目的地」ボタンが押されたことを操作処理機能部51が検知すると、目的地設定画面(D202)をタッチパネル21に表示する。すなわち、映像処理機能部57は、図17に示すように、ナビ領域の「目的地」ボタンから立ち上がるように目的地設定用のボタンが配置されたポップアップをアニメーション表示する。映像処理機能部57は、操作処理機能部51が目的地設定用の何れかのボタンが押されたことを検知すると、これに対応する画面を表示する。映像処理機能部57は、例えば、「50音で探す」ボタンが押されれば文字入力用の画面を表示し、「住所で探す」ボタンが押されれば都道府県等を選択する画面を表示し、「携帯連携で探す」ボタンが押されれば赤外線受/発光部25に携帯電話を近づけるようユーザに促す画面を表示し、「履歴で探す」ボタンが押されれば過去に検索したことのある目的地を表示する。赤外線受/発光部25によって携帯電話から供される通信データには、目的地の緯度や経度、或いは住所や電話番号といった位置情報が含まれている。「50音検索」、「住所で探す」、「携帯連携で探す」、或いは「履歴で探す」ボタンを押すと表示される画面により目的地が設定されると、ルート案内機能部53は、測位機能部52が計測する自車位置と目的地までの最短ルートを索出し、ルートガイドを開始する。なお、ルートガイドについては従来の技術が適用でき、その詳細な説明は割愛する。
(D203)次に、周辺施設検索画面(D203)について説明する。映像処理機能部57は、マルチ画面(D102)またはナビ全画面(D103)のナビ領域に表示されている「周辺」ボタンが押されたことを操作処理機能部51が検知すると、周辺施設検索画面(D203)をタッチパネル21に表示する。すなわち、映像処理機能部57は、図18に示すように、ナビ領域の「周辺」ボタンから立ち上がるように周辺施設検索用のボタン類を配置したポップアップをアニメーション表示する。そして、上述したD203と同様、何れかのボタンが押されればこれに対応する画面を表示する。すなわち、映像処理機能部57は、「周辺」ボタンが押されると、検索対象とする施設のカテゴリをユーザに選択させるボタンを表示し、検索対象のカテゴリが指定されると、自車位置の周辺にあるガソリンスタンドやコンビニエンスストア等、指定されたカテゴリに対応する周辺施設を、自車に近い順等で表示する。なお、具体的な周辺施設検索の処理については、後述する。
(D204)次に、交差点拡大画面(D204)について説明する。上述した目的地設定画面(D202)、或いは周辺検索画面(D203)で目的地が設定されるか、または、マルチ画面(D102)やナビ全画面(D103)に表示されている「自宅」ボタンが押されて目的地が設定されると、ルート案内機能部53によるルートガイドが開始される。ルート案内機能部53は、測位機能部52が計測する自車位置と、地図データ処理機能部54がカードメモリから読み出す地図データとに基づいてルートの案内を行う。ルート案内機能部53は、右折あるいは左折等を行う交差点に車両が接近したら、交差点拡大画面(D204)を表示すると共に、音声処理機能部56に経路案内用の音声データを渡す。図19は、交差点拡大画面(D204)を示す図である。図19に示すように、ナビ領域には交差点の拡大図が表示され、車両の進むべき進路が矢印で図示される。なお、このとき、AV領域には、オーディオ/ビジュアル用の操作ボタン類が表示されている。
次に、ナビゲーション装置1のAV画面の表示モードについて説明する。図8で示したように、ナビゲーション装置1のAV画面には、ラジオモード、CDモード、ワンセグモード、iPodモード、外部入力モード、及びオフモードの6つの画面が用意されている。映像処理機能部57は、AV領域の左側に用意されている何れかのソース選択ボタン或いは「OFF」ボタンが押されると、これに対応するモードのAV操作画面を表示する。映像処理機能部57は、例えば、「ラジオ」ボタンが押されれば、図9に示すようなラジ
オの周波数や選局ボタンを表示する。CDやiPodボタンについても同様である。また、映像処理機能部57は、「ワンセグ」ボタンや「外部入力」ボタンが押されれば、AV領域に選局ボタン等を表示すると共に、ナビ領域の表示を放送波受信部7からの映像や外部音声/映像入力部8の映像に切り替える。但し、映像処理機能部57は、ブレーキ検知部4がパーキングブレーキ信号の解除を検知した場合、放送波受信部7や外部音声/映像入力部8からの映像表示を止める。
ナビゲーション装置1の動作説明について、以上の通りである。本実施形態に係るナビゲーション装置1は、AVとナビゲーションの両方の操作性を高めるため、画面表示をAVとナビゲーションの2つの領域に分けている。そして、AVとナビゲーションの操作を行うための操作ボタンが画面上で同じ位置に表示されるようにすることで、タッチパネル21による画面操作を容易にしている。なお、以上の実施形態では車載用として説明したが、本発明は、車載用に利用できるものであれば如何なるものにも適用可能である。例えば、携帯型のナビゲーション機能を有する電子機器にも適用できる。
<周辺施設検索について>
ナビゲーション装置1においては、周辺施設の検索ができるのは上述の通りである。以下に、その詳細な説明を行う。なお、この周辺施設の検索は、上記ルート案内機能部53によるナビゲーションルートの案内が行われているときだけではなく、タッチパネル21上に、地図データ処理機能部54や映像処理機能部57の働きによって、車両の現在の自車位置等の地図情報が表示されている場合にも実行可能である。すなわち、タッチパネル21上に表示される情報を元に、ユーザが自車位置等の所定基準点の周辺にある施設の情報を取得したいという要求に対応すべく、当該周辺施設の検索処理は行われる。したがって、本発明に係るナビゲーション部は、上記ルート案内機能部53をその一部に含み、さらに車両が進むべきナビゲーションルートのガイドを行わずとも、ナビゲーション地図上に車両の現在位置を示す機能部も含むものである。
ここで、周辺施設の検索を行うための周辺施設処理機能部58の詳細な構成を、図20に示す。図20も、図5と同様にコンピュータプログラムの実行によって実現される機能ブロック図である。詳細には、周辺施設処理機能部58は、主に、検索要求受付部58a、周辺施設検索部58b、縮尺決定部58c、地図表示部58d、リスト表示受付部58e、リスト表示部58f、ルート沿い施設抽出ボタン表示部58g、ルート沿い施設抽出受付部58h、ルート沿い施設表示部58iを含む。
検索要求受付部58aは、ユーザからの周辺施設の検索要求を受け付け、その要求に従って周辺施設検索部58bが周辺施設の検索を行う。本実施例に係るナビゲーション装置1においては、周辺施設検索のための基準点としては、タッチパネル21上に示されている車両の自車位置か、もしくはユーザがタッチパネル上で表示されている地図の中心に車両が位置していないときは、その地図中心位置が採用される。そこで、周辺施設検索部58bは、この基準点から一定の距離範囲内にある施設を周辺施設として、検索する。さらに、縮尺決定部58cは、検索された周辺施設を、表示用の地図に表示する際の、当該地図の縮尺を決定し、地図表示部58dによって地図上に周辺施設の表示が行われる。この際、周辺施設に加えて、周辺施設に関する操作を受け付けるための操作ボタンも表示される。詳細は後述する。
また、リスト表示受付部58eは、上記操作ボタンとしてのリスト表示用部のボタンを介して、ユーザからのリスト表示要求を受け付け、その要求に従って、リスト表示部58fがリスト表示を行う。また、ルート沿い施設抽出ボタン表示部58gは、ルート案内機能部53によってルート案内が行われているときのナビゲーションルートと周辺施設との位置関係を踏まえて、特定の周辺施設を抽出するための操作ボタンをどのようにタッチパ
ネル21上に表示するかを調整する。そして、ルート沿い施設抽出ボタン表示部58gによって表示されるルート沿い施設抽出ボタンを介して得られるユーザの施設抽出の要求を、ルート沿い施設抽出受付部58hが受け付ける。その後、ルート沿い施設表示部58iが、当該ユーザの要求に従って抽出されたルート沿い施設を地図上に表示する。
ここで、このような機能部を有する周辺施設処理機能部58による、ナビゲーション装置1での周辺施設の処理のフローについて、図21〜図25に基づいて説明する。図21および図22は、周辺施設処理機能部58によって実行される、周辺施設検索処理とオプション処理のフローチャートである。前者の処理は、所定の基準点の周辺に存在する施設を検索し、周辺施設の表示のためにタッチパネル21に設定される周辺表示用地図上に当該周辺施設を表示するための処理である。また、後者の処理は、前者の処理で検索された周辺施設の中からナビゲーションルートに沿った所定の条件を満たす施設を抽出し、表示するための処理である。
先ず、周辺施設検索処理について説明する。S101では、ユーザからの周辺施設の検索要求が受け付けられる。当該処理は、上記検索要求受付部58aによって実行され、具体的には、図18に示したように、タッチパネル21上に表示された「周辺」のボタンをユーザが押下したことを検索要求受付部58aが検出することで、ユーザの検索要求が受け付けられることになる。その後、S102では、周辺施設として検索される施設のジャンルの受付が行われる。具体的には、図18に示したように、「ガソリンスタンド」「コンビニ」「駐車場」「ファミレス」の中から選択するようにユーザに促し、そのユーザの選択を、施設ジャンル情報として、S101と同様に検索要求受付部58aが受け付ける。このようにS101とS102で受け付けられた検索要求に関する情報は、周辺施設検索部58bに引き渡され、S103以降の処理が行われることになる。なお、施設ジャンルとしては、一例として上記四つを挙げたが、当然にこれら以外のジャンルの選択を受け付けてもよい。また、ユーザにジャンルを選択させることなく、ジャンルを問わない全ての周辺施設を以降の処理で検索するようにしてもよい。
S103では、タッチパネル21上の表示が車両の現在地表示を行っているか否かが判定される。ナビゲーション装置1において車両の現在位置表示が行われるときは、ナビゲーション用地図の中心に車両マーカーが位置するように設定されるため、言い換えればS103ではタッチパネル21に表示されているナビゲーション用の地図(図9、図10等を参照)の中心に、車両を示すマーカーが位置しているか否かが判定される。当該判定が肯定判定であればS104へ進み、否定判定であればS105へ進む。そして、S104では、車両の現在位置、すなわち自車位置が周辺施設の検索のための基準点に設定される。一方で、S105では、ナビゲーション用地図の中心位置が検索のための基準点に設定される。このようにナビゲーション用地図の中心位置を基準点に設定するのは、ユーザが、自車位置にかかわらず、特定の場所の周辺施設を検索したいと考える場合があるからであり、そのような場合には、ユーザによってナビゲーション用地図での表示をスクロール変化させて当該特定場所を表示させ、その時点で周辺施設の検索要求を受け付けることで、ユーザの要求に的確に対応することが可能となる。S104又はS105の処理が終了すると、S106へ進む。
S106では、S104又はS105で設定された基準点に基づいて、その周辺の施設が周辺施設として検索される。具体的には、S102で受け付けられたジャンル情報を満たす施設であって、カードメモリインターフェース17に挿入されたメモリカード内に地図データとともに格納されている施設の位置情報(緯度、経度情報)と、上記基準点の緯度、経度情報から算出される二点間の距離(以下、「施設距離」と言う。)が順に短い施設を最大で200件、当該基準点を中心として半径10km内のエリアから検索する。このように、S104〜S106の周辺施設検索に関する処理は、上記周辺施設検索部58
bによって実行される。
つぎに、S106の処理後は、S107の処理が行われる。S107では、周辺施設の結果を表示するためにタッチパネル21に、車両のナビゲーション用地図とは別に設定される地図である周辺表示用地図の縮尺が決定される。ここで、周辺表示用地図の一例を図23A、図23Bに示す。これらの地図は、一見するとナビゲーション用地図と同じように見えるが、地図の表示制御的には、ナビゲーション用地図とは切り離された地図である。したがって、この周辺表示用地図を表示している間に車両の位置が変化しても、それに追従して車両位置の表示変化は行われない。また、周辺表示用地図の縮尺は、周辺施設を表示するために適した縮尺に、また後述する周辺施設に関連する操作を行うために適した縮尺に調整され、ナビゲーション用地図の縮尺に拘束されない。この縮尺の決定は、上記縮尺決定部58cによって実行され、具体的には上記基準点とそこに最も近い最近周辺施設との間の距離に基づいて、適した縮尺が決定される。例えば、図23Aに示すように基準点である自車位置から比較的近い範囲内に最近周辺施設が位置する場合には、一例として周辺表示用地図の縮尺は「400m」と設定されるが、図23Bに示すように基準点から比較的近い範囲内に最近周辺施設が位置しない場合は、図23Bに示す地図の縮尺は、図23Aに示す地図の縮尺よりも大きく設定され、少なくとも周辺表示用地図上に一つの最近周辺施設が表示されるように調整される。そのため、図23Bに示す地図の縮尺は、「1km」となる。このように、S107では、検索された周辺施設に関する施設距離に基づいて、適切な周辺表示用地図の縮尺が決定される。S107の処理が終了すると、S108へ進む。
S108では、周辺施設の表示が行われ、当該処理は上記地図表示部によって行われる。先に示したように、周辺施設の表示は周辺表示用地図上に行われる。例えば、図23Aに示すように、周辺表示用地図に、A〜Eまでの周辺施設が表示されている。さらに、タッチパネル上の周辺表示用地図を除いた場所には、検索された周辺施設に関するユーザからの操作を受け付ける操作ボタンが表示されているのが分かる。図23Aでは、「近い順」と「ここに行く」という2つの操作ボタンが表示されている。これらの操作ボタンの説明については、後述する。また、図23A等に示すように、周辺表示用地図とともに上記操作ボタンを表示することで、タッチパネル上の表示領域は全て埋められた状態となる。すなわち、タッチパネル21においては、ナビゲーション用地図は周辺表示用地図に覆い隠された状態となっている。
このように周辺施設の表示にあたって、周辺表示用地図とそれに関連する操作ボタンをまとめて表示することにより、ユーザの周辺施設に関する操作が行いやすくなる。特に、周辺表示用地図はナビゲーション用地図とは切り離されているため、車両のナビゲーション状態に影響されること無くユーザは周辺施設に関する操作を地図の表示に従って行うことができるため、ユーザ操作の向上は格段である。
つぎに図22に示すオプション処理について説明する。当該処理は、図23A等の周辺表示用地図がタッチパネル21の画面に表示された際に、操作ボタンである「近い順」ボタンが押下されたときに実行される。S201では、周辺施設をリスト表示するためのユーザからの要求が、上記リスト表示受付部58eによって受け付けられる。具体的には、図23Aに示した「近い順」ボタンがユーザによって押下されたことをもって、要求の受付として処理する。ここで、上記2つの操作ボタンについて説明する。「近い順」という操作ボタンは、S106の処理で検索された周辺施設を、基準点から近い順にリスト表示するためのボタンである。検索された周辺施設をリスト表示した画面の一例を図24A、図24Bに示す。これらに示すように、A〜Eまでの周辺施設(本実施例ではジャンルが銀行である周辺施設)の詳細(施設名称、基準点からの方向、基準点からの距離)がリスト表示される。なお、このリスト表示画面は、「近い順」ボタンからボップアップ表示さ
れるため、ユーザは、自分が現在行っている操作が何であるか視覚的に理解しやすい。また、「ここに行く」ボタンは、ユーザが、周辺表示用地図に表示された周辺施設をタッチにより選択し、当該「ここに行く」ボタンを押下することで、その選択された周辺施設が、ナビゲーション装置1における車両のナビゲーションの目的地として設定される。その後は、ルート案内機能部53による処理に委ねられるとともに、タッチパネル21上の表示は、周辺表示用地図から、ナビゲーション用地図に移行する。
再び、オプション処理の説明に戻る。S201の処理が終了すると、S202で、ナビゲーション装置1において、ルート案内機能部53によって車両のナビゲーションルートの案内が行われているか否かが判定される。すなわち、ナビゲーション用地図において、車両が進むべきルートが示されているか否かが判定される。ここで肯定判定されるとS203へ進み、否定判定されるとS204へ進む。S203では、ナビゲーションルートが設定されているときに当該ルートに沿った周辺施設を、先の周辺検索処理によって検索された周辺施設の中から抽出するための操作ボタンである「ルート沿い施設抽出」ボタンを強調表示するように設定し、S204では、当該「ルート沿い施設抽出」ボタンを非強調表示するように設定する。S203又はS204の処理が終了すると、S205へ進む。
S205では、先に示した図24A、図24Bのように、周辺施設を基準点からの距離が短い順にリスト表示する。このとき、S203の処理を経てS205の処理が行われた場合は、図24Aに示すように「ルート沿い施設抽出」ボタンがハイライト状態(強調状態)で表示されている。このときユーザはこのボタンを押下することで、ルート沿い施設の抽出を行うことができる。この抽出処理の詳細については後述する。また、S204の処理を経てS205の処理が行われた場合は、図24Bに示すように「ルート沿い施設抽出」ボタンは黒く塗りつぶされた状態(非強調状態)で表示されている。このときユーザはこのボタンを押下しても、ルート沿い施設の抽出を行うことはできない。なお、これらS202〜S205の処理のうち、リスト表示の部分について上記リスト表示部58fによって実行され、「ルート沿い施設抽出」ボタンの表示については、ルート沿い施設抽出ボタン表示部58gによって実行される。S205の処理が終了すると、S206へ進む。
S206では、ルート沿い施設の抽出を行うべきとのユーザの要求があったか否かが判定される。具体的には、図24Aに示す強調状態のルート沿い施設抽出ボタンがユーザによって押下されたか否かが判定され、当該処理は、上記ルート沿い施設抽出受付部58hによって実行される。ここで肯定判定されるとS207へ進み、否定判定されると本オプション処理を終了する。
S207では、先の周辺施設検索処理で検索された周辺施設の中から、ルート案内機能部53によって設定されたナビゲーションルート沿いにある施設を抽出する処理が行われる。当該処理について、図25に示すモデルを参考に説明する。図25には、設定されたナビゲーションルートR1が表示されている。ここで、自車位置は、ルートR1上に三角形で示されている。ここで、検索された周辺施設がルート沿いに存在する周辺施設と認定されるための条件は、自車位置から進行方向に向かって伸びる部分のルートから、両側に50mずつの幅で確定される領域か、もしくは自車位置から進行方向とは反対の方向(後進方向)に半径50mの円弧で画定される領域のどちらかの領域(図中L50で示される領域)に属していることである。ただし、上記L50に属する施設であっても、図25のR2で示される領域のように、既に車両が通過したルートと領域L50が干渉する部分については、仮に当該部分に周辺施設が存在していたとしても、それはルート沿い周辺施設とは認められないものとする。なお、このルート沿い周辺施設として認めるための基準はあくまでも一例であり、上記以外の基準に従ってルート沿い施設を抽出してもよい。S207の処理が終了すると、S208へ進み、抽出されたルート沿い施設が周辺表示用地図
の上に表示される。たとえば、図23Aに示すように周辺表示用地図にA〜Eの5つの周辺施設が示された状態で、このルート沿い施設の抽出が行われると、周辺施設B、Cのみが抽出され、その結果、周辺表示用地図には周辺施設B、Cのみが表示されることになる。なお、これらS207およびS208の処理は、上記ルート沿い施設表示部58iによって実行される。
このようにルート沿い施設の抽出を周辺表示用地図を基点として、リスト表示画面を経由して行わせるため、ユーザの操作は容易である。また、抽出されたルート沿いの周辺施設は、周辺表示用地図上に表示されるため、ユーザがナビゲーション用地図と混同することはなく、周辺施設に関する操作を容易なものとすることができる。さらに、図24A、図24Bに示すように、「ルート沿い施設抽出」ボタンを強調、非強調状態のいずれかで示すことで、ルート案内機能部53によるルート案内の有無にかかわらず、ユーザに対しては当該ボタンの存在を知らしめることができる。したがって、図24Bの状態に接したユーザが、ルート沿い施設の抽出を行いたいと思うときは、ナビゲーションルートの設定をすればよいことが直感的に感じ取ることができ、これもユーザの操作性向上に資する。