以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の空調システム(10)は、温度調節装置である空調機(20)と、湿度調節装置である外気処理機(50)とを備えている。また、この空調システム(10)では、空調機(20)に設けられた空調側コントローラ(91)と、外気処理機(50)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)とが、制御手段である制御システム(90)を構成している。
〈空調機の構成〉
空調システム(10)を構成する空調機(20)は、一台の室外ユニット(21)と、四台の室内ユニット(22a,22b,22c,22d)とを備えている。この空調機(20)では、室外ユニット(21)と各室内ユニット(22a〜22d)を配管で接続することによって空調用冷媒回路(30)が形成されている。なお、室外ユニット(21)及び室内ユニット(22a〜22d)の台数は、単なる例示である。
室外ユニット(21)には、室外回路(40)と室外ファン(23)とが収容されている。室外回路(40)には、空調用圧縮機(41)と、アキュームレータ(42)と、四方切換弁(43)と、室外熱交換器(44)と、室外膨張弁(45)と、レシーバ(46)と、液側閉鎖弁(47)と、ガス側閉鎖弁(48)とが設けられている。
室外回路(40)において、空調用圧縮機(41)は、その吐出側が四方切換弁(43)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(42)を介して四方切換弁(43)の第2のポートに接続されている。四方切換弁(43)の第3のポートは、室外熱交換器(44)のガス側端に接続されている。室外熱交換器(44)の液側端は、室外膨張弁(45)の一端に接続されている。室外膨張弁(45)の他端は、レシーバ(46)を介して液側閉鎖弁(47)に接続されている。四方切換弁(43)の第4のポートは、ガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
室外回路(40)には、高圧センサ(26)と低圧センサ(27)とが設けられている。高圧センサ(26)は、空調用圧縮機(41)の吐出側と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒の圧力を計測する。低圧センサ(27)は、アキュームレータ(42)と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、空調用圧縮機(41)へ吸入される低圧冷媒の圧力を計測する。
空調用圧縮機(41)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。空調用圧縮機(41)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、空調用圧縮機(41)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、空調用圧縮機(41)の運転容量が変化する。
室外熱交換器(44)は、室外ファン(23)によって供給された室外空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。四方切換弁(43)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。
各室内ユニット(22a〜22d)には、室内回路(35a,35b,35c,35d)が一つずつ収容されている。また、各室内ユニット(22a〜22d)には、室内ファン(24a,24b,24c,24d)と、室内温度センサ(25a,25b,25c,25d)とが一つずつ設けられている。
各室内回路(35a〜35d)には、室内熱交換器(36a,36b,36c,36d)と、室内膨張弁(37a,37b,37c,37d)とが一つずつ設けられている。室内熱交換器(36a〜36d)は、室内ファン(24a〜24d)によって供給された室内空気を冷媒と熱交換させるフィン・アンド・チューブ型の熱交換器である。
各室内回路(35a〜35d)において、室内熱交換器(36a〜36d)は、その一端が室内回路(35a〜35d)のガス側端に接続され、その他端が室内膨張弁(37a〜37d)を介して室内回路(35a〜35d)の液側端に接続されている。各室内回路(35a〜35d)は、それぞれの液側端が液側連絡配管(31)を介して室外回路(40)の液側閉鎖弁(47)に接続され、それぞれのガス側端がガス側連絡配管(32)を介して室外回路(40)のガス側閉鎖弁(48)に接続されている。
図示しないが、各室内ユニット(22a〜22d)には、空気の吸込口と吹出口が形成されている。各室内ユニット(22a〜22d)は、それぞれに形成された吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各室内ユニット(22a〜22d)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込み、室内熱交換器(36a〜36d)を通過した室内空気を同一の室内空間へ吹き出す。
〈外気処理機の構成〉
空調システム(10)を構成する外気処理機(50)は、一台の圧縮機ユニット(51)と、二台の調湿ユニット(52a,52b)とを備えている。この外気処理機(50)では、圧縮機ユニット(51)と各調湿ユニット(52a,52b)を配管で接続することによって調湿用冷媒回路(60)が形成されている。なお、圧縮機ユニット(51)及び調湿ユニットの台数は、単なる例示である。
圧縮機ユニット(51)には、圧縮機側回路(70)が収容されている。圧縮機側回路(70)には、調湿用圧縮機(71)と、アキュームレータ(72)と、高圧側閉鎖弁(73)と、低圧側閉鎖弁(74)とが設けられている。圧縮機側回路(70)において、調湿用圧縮機(71)は、その吐出側が高圧側閉鎖弁(73)に接続され、この吸入側がアキュームレータ(72)を介して低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
調湿用圧縮機(71)は、いわゆる全密閉型の圧縮機である。調湿用圧縮機(71)の電動機には、図外のインバータを介して電力が供給される。インバータから電動機へ供給される交流の周波数(即ち、調湿用圧縮機(71)の運転周波数)を変化させると、電動機の回転速度が変化し、その結果、調湿用圧縮機(71)の運転容量が変化する。
図2にも示すように、各調湿ユニット(52a,52b)には、調湿用回路(80a,80b)が一つずつ収容されている。各調湿用回路(80a,80b)には、四方切換弁(83a,83b)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)とが一つずつ設けられている。
各調湿用回路(80a,80b)において、四方切換弁(83a,83b)は、その第1のポートが調湿用回路(80a,80b)の高圧側端に接続され、その第2のポートが調湿用回路(80a,80b)の低圧側端に接続されている。また、各調湿用回路(80a,80b)では、四方切換弁(83a,83b)の第3のポートから第4のポートに向かって順に、第1吸着熱交換器(81a,81b)と、調湿用膨張弁(84a,84b)と、第2吸着熱交換器(82a,82b)とが配置されている。各調湿用回路(80a,80b)は、それぞれの高圧側端が高圧側連絡配管(61)を介して圧縮機側回路(70)の高圧側閉鎖弁(73)に接続され、それぞれの低圧側端が低圧側連絡配管(62)を介して圧縮機側回路(70)の低圧側閉鎖弁(74)に接続されている。
第1吸着熱交換器(81a,81b)と第2吸着熱交換器(82a,82b)は、何れもフィン・アンド・チューブ型の熱交換器の表面にゼオライト等の吸着剤を担持させたものである。これら吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱され又は冷却され、そこを通過する空気が吸着剤と接触する。各四方切換弁(83a,83b)は、第1のポートが第3のポートに連通し且つ第2のポートが第4のポートに連通する第1状態(図2(A)に示す状態)と、第1のポートが第4のポートに連通連通し且つ第2のポートが第3のポートに連通する第2状態(図2(B)に示す状態)とに切り換わる。
各調湿ユニット(52a,52b)には、給気ファン(53a,53b)と排気ファン(54a,54b)とが収容されている。また、各調湿ユニット(52a,52b)には、空気通路が形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)では、図外のダンパを開閉することによって、空気の流通経路が切り換え可能となっている。そして、各調湿ユニット(52a,52b)は、室内空気と室外空気を吸い込むと共に、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室内空気を室外へ排出し、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)を通過した室外空気を室内へ供給するように構成されている。
具体的に、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側における空気の流通経路が、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られて室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られて室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。また、各調湿ユニット(52a,52b)では、吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の下流側における空気の流通経路が、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られる状態(図2(A)に示す状態)と、第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過した空気が給気ファン(53a,53b)へ送られて第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過した空気が排気ファン(54a,54b)へ送られる状態(図2(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
各調湿ユニット(52a,52b)には、室内温度センサ(55a,55b)と、室内湿度センサ(56a,56b)と、室外温度センサ(57a,57b)と、室外湿度センサ(58a,58b)とが設けられている。これらのセンサ(53a,54,…,53b,54b,…)は、空気の流通経路における吸着熱交換器(81a,82a,81b,82b)の上流側に設置されている。室内温度センサ(55a,55b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の温度を計測する。室内湿度センサ(56a,56b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室内空気の相対湿度を計測する。室外温度センサ(57a,57b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の温度を計測する。室外湿度センサ(58a,58b)は、調湿ユニット(52a,52b)へ吸い込まれた室外空気の相対湿度を計測する。
図示しないが、各調湿ユニット(52a,52b)には、室内空気の吸込口及び吹出口と、室外空気の吸込口及び吹出口とが形成されている。各調湿ユニット(52a,52b)は、それぞれに形成された室内空気の吸込口及び吹出口の全てが同一の室内空間に連通するように設置されている。つまり、各調湿ユニット(52a,52b)は、同一の室内空間から室内空気を吸い込んで室外へ排出し、取り込んだ室外空気を同一の室内空間へ供給する。
また、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口が連通する室内空間は、空調機(20)の各室内ユニット(22a〜22d)の吸込口及び吹出口が連通する室内空間と同一の空間である。つまり、本実施形態の空調システム(10)では、各調湿ユニット(52a,52b)に形成された室内空気の吸込口及び吹出口と、各室内ユニット(22a〜22d)に形成された吸込口及び吹出口とは、何れも共通の室内空間に連通している。
〈制御システムの構成〉
上述したように、空調システム(10)の制御システム(90)は、空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)とによって構成されている。
空調側コントローラ(91)は、空調機(20)の室外ユニット(21)に収容されている。空調側コントローラ(91)には、低圧センサ(27)や高圧センサ(26)の計測値が入力される。また、空調側コントローラ(91)には、ユーザーによって設定された室内温度の目標値(即ち、目標室内温度Ts)が、図外のリモコンを介して入力される。
空調側コントローラ(91)は、空調機(20)の運転動作を制御するように構成されている。空調機(20)の冷房運転中において、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)に接続されたインバータの出力周波数を、室内の顕熱負荷に応じて調節する。つまり、空調側コントローラ(91)は、室内の顕熱負荷に応じて空調用圧縮機(41)の運転容量を調節するように構成されている。
調湿側コントローラ(92a,92b)は、外気処理機(50)の調湿ユニット(52a,52b)に一つずつ収容されている。各調湿側コントローラ(92a,92b)には、室内湿度の目標値(即ち、目標室内湿度Hs)が、図外のリモコンを介して入力される。第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)には、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)の運転動作を制御するように構成されている。第2の調湿ユニット(52b)に設けられた調湿側コントローラ(92b)には、第2の調湿ユニット(52b)に設けられた室内温度センサ(55b)、室内湿度センサ(56b)、室外温度センサ(57b)、及び室外湿度センサ(58b)の計測値が入力される。この調湿側コントローラ(92b)は、第2の調湿ユニット(52b)の運転動作を制御するように構成されている。
第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)の運転制御と、空調側コントローラ(91)に対する目標蒸発温度Tesの送信とを行うように構成されている。外気処理機(50)の運転中において、調湿側コントローラ(92a)は、調湿用圧縮機(71)に接続されたインバータの出力周波数を、室内の潜熱負荷に応じて調節する。つまり、調湿側コントローラ(92a)は、室内の潜熱負荷に応じて調湿用圧縮機(71)の運転容量を調節するように構成されている。また、空調機(20)の冷房運転中において、調湿側コントローラ(92a)は、空調用冷媒回路(30)における冷媒蒸発温度の目標値(即ち、目標蒸発温度Tes)を算出して空調側コントローラ(91)へ送信する。
また、調湿側コントローラ(92a)は、目標蒸発温度Tesを算出するために室内空気の露点温度Tdpを算出するように構成されている。具体的に、調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた室内温度センサ(55a)及び室内湿度センサ(56a)の計測値を用いて室内空気の露点温度Tdpを算出する。本実施形態では、調湿側コントローラ(92a)と、室内温度センサ(55a)と、室内湿度センサ(56a)とによって露点温度検出手段が構成されている。
なお、本実施形態では、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)が調湿用圧縮機(71)の運転制御と、空調側コントローラ(91)に対する目標蒸発温度Tesの送信とを行うように構成されているが、これは単なる一例である。つまり、本実施形態のような複数台の調湿ユニット(52a,52b)を備える外気処理機(50)では、各調湿ユニット(52a,52b)に設けられた調湿側コントローラ(92a,92b)のうちの一つが、調湿用圧縮機(71)の運転制御と、空調側コントローラ(91)に対する目標蒸発温度Tesの送信とを行うように構成されていればよい。
−運転動作−
空調システム(10)の運転動作について説明する。本実施形態の空調システム(10)において、空調機(20)では冷房運転と暖房運転が切り換え可能となり、外気処理機(50)では除湿運転と加湿運転が切り換え可能となっている。この空調システム(10)では、空調機(20)の冷房運転中に外気処理機(50)が除湿運転を行う場合もあれば加湿運転を行う場合も有り得る。また、この空調システム(10)では、空調機(20)の暖房運転中に外気処理機(50)が除湿運転を行う場合もあれば加湿運転を行う場合も有り得る。
〈空調機の運転動作〉
上述したように、空調機(20)では、冷房運転と暖房運転とが切り換え可能となっている。冷房運転中と暖房運転中の何れにおいても、空調機(20)の空調用冷媒回路(30)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
空調機(20)の冷房運転について説明する。冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第1状態(図1に実線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)が全開状態に設定され、各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、冷房運転中の空調用冷媒回路(30)では、室外熱交換器(44)が凝縮器として動作し、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。
冷房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された高圧冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気へ放熱して凝縮する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、室外膨張弁(45)とレシーバ(46)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気から吸熱して蒸発する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、ガス側連絡配管(32)へ流入して合流した後に室外回路(40)へ流入し、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、冷房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が蒸発器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において冷却した後に室内へ送り返す。
空調機(20)の暖房運転について説明する。暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、四方切換弁(43)が第2状態(図1に破線で示す状態)に設定され、室外膨張弁(45)及び各室内膨張弁(37a〜37d)の開度が適宜調節される。また、暖房運転中の空調用冷媒回路(30)では、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作し、室外熱交換器(44)が蒸発器として動作する。
暖房運転中の空調用冷媒回路(30)における冷媒の流れを具体的に説明する。空調用圧縮機(41)から吐出された冷媒は、四方切換弁(43)を通過後にガス側連絡配管(32)へ流入し、各室内回路(35a〜35d)へ分配される。各室内回路(35a〜35d)へ流入した冷媒は、室内熱交換器(36a〜36d)へ流入し、室内空気へ放熱して凝縮する。各室内回路(35a〜35d)において室内熱交換器(36a〜36d)から流出した冷媒は、室内膨張弁(37a〜37d)を通過後に液側連絡配管(31)へ流入して合流してから室外回路(40)へ流入する。室外回路(40)へ流入した冷媒は、レシーバ(46)を通過後に室外膨張弁(45)へ流入し、室外膨張弁(45)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となる。室外膨張弁(45)を通過した冷媒は、室外熱交換器(44)へ流入し、室外空気から吸熱して蒸発する。室外熱交換器(44)から流出した冷媒は、四方切換弁(43)を通過後に空調用圧縮機(41)へ吸入されて圧縮される。
上述したように、暖房運転中には、各室内熱交換器(36a〜36d)が凝縮器として動作する。各室内ユニット(22a〜22d)は、吸い込んだ室内空気を室内熱交換器(36a〜36d)において加熱した後に室内へ送り返す。
〈外気処理機の運転動作〉
上述したように、外気処理機(50)では、除湿運転と加湿運転とが切り換え可能となっている。除湿運転中と加湿運転中の何れにおいても、外気処理機(50)の調湿用冷媒回路(60)では、冷媒を循環させることによって蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
外気処理機(50)の除湿運転について、図2を参照しながら説明する。除湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1動作と第2動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1動作と第2動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図2(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して凝縮する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して蒸発する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
図2(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。
第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れを具体的に説明する。調湿用回路(80a,80b)の高圧側端には、調湿用圧縮機(71)から吐出された高圧冷媒が高圧側連絡配管(61)を通じて供給される。調湿用回路(80a,80b)へ流入した高圧冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に第2吸着熱交換器(82a,82b)へ流入して凝縮する。第2吸着熱交換器(82a,82b)から流出した冷媒は、調湿用膨張弁(84a,84b)を通過する際に減圧されて低圧冷媒となり、その後に第1吸着熱交換器(81a,81b)へ流入して蒸発する。第1吸着熱交換器(81a,81b)から流出した冷媒は、四方切換弁(83a,83b)を通過後に低圧側連絡配管(62)へ流入し、その後に調湿用圧縮機(71)へ吸入されて圧縮される。
また、図2(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室内空気に付与される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室外空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。
外気処理機(50)の加湿運転について、図3を参照しながら説明する。加湿運転中において、各調湿ユニット(52a,52b)は、第1動作と第2動作を交互に所定の時間毎(例えば3分間毎)に切り換えて行う。なお、各調湿ユニット(52a,52b)における第1動作と第2動作の相互切り換えのタイミングは、互いに同期している必要はない。
図3(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第1状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第1動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第1吸着熱交換器(81a,81b)が凝縮器として動作し、第2吸着熱交換器(82a,82b)が蒸発器として動作する。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第1動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(A)に示すように、第1動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られ、室内空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られる。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に加湿された室外空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第2吸着熱交換器(82a,82b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
図3(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、四方切換弁(83a,83b)が第2状態に設定され、調湿用膨張弁(84a,84b)の開度が適宜調節される。そして、第2動作中の調湿用回路(80a,80b)では、第2吸着熱交換器(82a,82b)が凝縮器として動作し、第1吸着熱交換器(81a,81b)が蒸発器として動作する。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって加熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)では、その表面に担持された吸着剤が冷媒によって冷却される。第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れは、除湿運転の第2動作中の調湿用回路(80a,80b)における冷媒の流れと同じである。
また、図3(B)に示すように、第2動作中の調湿ユニット(52a,52b)では、室外空気が第2吸着熱交換器(82a,82b)へ送られ、室内空気が第1吸着熱交換器(81a,81b)へ送られる。第2吸着熱交換器(82a,82b)では、加熱された吸着剤から脱離した水分が室外空気に付与される。第2吸着熱交換器(82a,82b)を通過する際に加湿された室内空気は、給気ファン(53a,53b)に吸い込まれ、その後に室内へ供給される。一方、第1吸着熱交換器(81a,81b)では、室内空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(81a,81b)を通過する際に除湿された室内空気は、排気ファン(54a,54b)に吸い込まれ、その後に室外へ排出される。
〈制御システムの動作〉
空調側コントローラ(91)と調湿側コントローラ(92a,92b)とによって構成された制御システム(90)の動作について説明する。ここでは、空調機(20)が冷房運転を行うと共に外気処理機(50)が除湿運転を行う場合における制御システム(90)の動作について、図4のフロー図を参照しながら説明する。
図外のリモコンに設けられた電源ボタンをユーザーが操作すると、空調システム(10)の電源が投入される。空調システム(10)の電源が投入されると、ステップST1において、室内空気の温度の目標値(目標室内温度Ts)と、室内空気の相対湿度の目標値(目標室内湿度Hs)とが、第1の調湿ユニット(52a)の調湿側コントローラ(92a)に対してリモコンから入力される。次のステップST2において、調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた給気ファン(53a)及び排気ファン(54a)を起動する。給気ファン(53a)及び排気ファン(54a)が起動すると、第1の調湿ユニット(52a)へ室内空気と室外空気が取り込まれる。
ステップST3において、調湿側コントローラ(92a)は、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた温度センサ(55a,57a)及び湿度センサ(56a,58a)の計測値を読み込む。つまり、調湿側コントローラ(92a)は、室内温度センサ(55a)の計測値Tr(即ち、室内空気の温度の実測値)と、室内湿度センサ(56a)の計測値Hr(即ち、室内空気の相対湿度の実測値)と、室外温度センサ(57a)の計測値To(即ち、室外空気の温度の実測値)と、室外湿度センサ(58a)の計測値Ho(即ち、室外空気の相対湿度の実測値)とを読み込む。そして、調湿側コントローラ(92a)は、目標除湿量の算出と、室内空気の露点温度Tdpの算出と、空調用冷媒回路(30)における蒸発温度の目標値(目標蒸発温度Tes)の設定とを行う。
具体的に、調湿側コントローラ(92a)は、目標室内湿度Hsと室外湿度センサ(58a)の計測値Ho等を用いて各調湿ユニット(52a,52b)に要求される除湿量を算出し、その値を目標除湿量に設定する。また、調湿側コントローラ(92a)は、室内温度センサ(55a)の計測値Trと室内湿度センサ(56a)の計測値Hrとを用いて、室内空気の露点温度Tdpを算出する。また、調湿側コントローラ(92a)は、目標室内温度Tsと室内温度センサ(55a)の計測値Tr等を用いて、空調用冷媒回路(30)における目標蒸発温度Tesを設定する。その際、調湿側コントローラ(92a)は、目標蒸発温度Tesの値を室内空気の露点温度Tdpよりも高い値に設定する。
調湿側コントローラ(92a)が目標蒸発温度Tesを設定する動作について説明する。調湿側コントローラ(92a)は、目標室内温度Tsや室内温度センサ(55a)の計測値Tr等と所定の相関式等とを用いて、冷媒蒸発温度の仮の目標値を算出し、この仮の目標値を、室内空気の露点温度Tdpよりも高い値(Tdp+γ)に設定された基準値と比較する。“γ”の値は、例えば「1℃」に設定される。そして、調湿側コントローラ(92a)は、算出した冷媒蒸発温度の仮の目標値が基準値(Tdp+γ)よりも高ければ、算出した仮の目標値を目標蒸発温度Tesとする一方、算出した仮の目標値が基準値以下であれば、基準値(Tdp+γ)を目標蒸発温度Tesとする。調湿側コントローラ(92a)は、設定した目標蒸発温度Tesを空調側コントローラ(91)へ送信する。
ステップST3が終了すると、ステップST4とステップST6が並行して実行される。
ステップST4では、空調側コントローラ(91)が、空調用圧縮機(41)を起動して空調機(20)に冷房運転を開始させる。ステップST4に続くステップST5において、空調側コントローラ(91)は、低圧センサ(27)の計測値LP(即ち、空調用圧縮機(41)へ吸入される冷媒の圧力の実測値)を読み込み、この低圧センサ(27)の計測値LPを用いて空調用冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度Teを算出する。
そして、ステップST4において、空調側コントローラ(91)は、算出した冷媒蒸発温度Teが目標蒸発温度Tesとなるように、空調用圧縮機(41)の運転容量を調節する。具体的に、空調側コントローラ(91)は、算出した冷媒蒸発温度Teが目標蒸発温度Tesを下回っている場合は空調用圧縮機(41)の運転周波数を引き下げ、算出した冷媒蒸発温度Teが目標蒸発温度Tesを上回っている場合は空調用圧縮機(41)の運転周波数を引き上げる。
一方、ステップST6では、調湿側コントローラ(92a)が、調湿用圧縮機(71)を起動して外気処理機(50)に除湿運転を開始させる。ステップST6に続くステップST7において、調湿側コントローラ(92a)は、調湿ユニット(52a,52b)に要求される除湿量を算出し、除湿量の算出値が目標除湿量となるように調湿用圧縮機(71)の運転容量を調節する。具体的に、調湿側コントローラ(92a)は、除湿量の算出値が目標除湿量を上回っている場合は調湿用圧縮機(71)の運転周波数を引き下げ、除湿量の算出値が目標除湿量を下回っている場合は調湿用圧縮機(71)の運転周波数を引き上げる。
ステップST5とステップST7が終了すると、ステップST8へ移行し、調湿側コントローラ(92a)がステップST3における動作と同じ動作を行う。つまり、調湿側コントローラ(92a)は、室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)の計測値を読み込み、目標除湿量の算出と、室内空気の露点温度Tdpの算出と、空調用冷媒回路(30)における蒸発温度の目標値(目標蒸発温度Tes)の設定とを行う。
ステップST8が終了すると、ステップST9とステップST11が並行して実行される。
ステップST9では、空調側コントローラ(91)が、室内温度センサ(55a)の計測値Trを読み込み、この計測値Trから目標室内温度Tsを差し引いた値“Tr−Ts”と、所定の基準値“−α”とを比較する。なお、“α”の値は、例えば「1℃」に設定される。
ステップST9において“Tr−Ts”が“−α”よりも大きい場合(Tr−Ts>−α)は、室内空気の温度が充分に下がっておらず、従って室内空気の冷却を継続して行う必要があると判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、ステップST5へ戻り、その後、ステップST8とステップST9を順に実行する。つまり、“Tr−Ts”が“−α”よりも大きい状態が続けば、制御システム(90)では、ステップST5とステップST8とステップST9とが所定の時間毎(例えば15秒毎)に繰り返し実行される。
一方、ステップST9において“Tr−Ts”が“−α”以下の場合(Tr−Ts≦−α)は、室内空気の温度が充分に下がっており、従って室内空気を冷却し続ける必要はないと判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、ステップST10へ移行する。ステップST10では、空調側コントローラ(91)が空調用圧縮機(41)を停止させる。また、空調側コントローラ(91)は、室外ファン(23)と各室内ファン(24a〜24d)も併せて停止させる。
ステップST11では、調湿側コントローラ(92a)が、室内湿度センサ(56a)の計測値Hrを読み込み、この計測値Hrから目標室内湿度Hsを差し引いた値“Hr−Hs”と、所定の基準値“−β”とを比較する。なお、“β”の値は、例えば「3%」に設定される。
ステップST11において“Hr−Hs”が“−β”よりも大きい場合(Hr−Hs>−β)は、室内空気の相対湿度が充分に下がっておらず、従って室内へ供給される室外空気の除湿を継続して行う必要があると判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、ステップST7へ戻り、その後、ステップST8とステップST11を順に実行する。つまり、“Hr−Hs”が“−β”よりも大きい状態が続けば、制御システム(90)では、ステップST7とステップST8とステップST11とが所定の時間毎(例えば15秒毎)に繰り返し実行される。
一方、ステップST9において“Hr−Hs”が“−β”以下の場合(Hr−Hs≦−β)は、室内空気の相対湿度が充分に下がっており、従って室内へ供給される室外空気を除湿し続ける必要はないと判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、ステップST12へ移行する。ステップST12では、調湿側コントローラ(92a)が調湿用圧縮機(71)を停止させる。ただし、調湿側コントローラ(92a)は、室内の換気を継続して行う必要があるため、各調湿ユニット(52a,52b)の給気ファン(53a,53b)及び排気ファン(54a,54b)の運転を継続させる。
ステップST10において空調側コントローラ(91)が空調用圧縮機(41)を停止させた場合、又はステップST12において調湿側コントローラ(92a)が調湿用圧縮機(71)を停止させた場合は、ステップST13が実行される。ステップST13では、調湿側コントローラ(92a)がステップST3における動作と同じ動作を行う。つまり、調湿側コントローラ(92a)は、室内温度センサ(55a)、室内湿度センサ(56a)、室外温度センサ(57a)、及び室外湿度センサ(58a)の計測値を読み込み、目標除湿量の算出と、室内空気の露点温度Tdpの算出と、空調用冷媒回路(30)における蒸発温度の目標値(目標蒸発温度Tes)の設定とを行う。
制御システム(90)は、ステップST10を経てステップST13へ至った場合は、続いてステップST14へ移行する。ステップST14では、空調側コントローラ(91)が、室内温度センサ(55a)の計測値Trを読み込み、この計測値Trから目標室内温度Tsを差し引いた値“Tr−Ts”と、所定の基準値“α”とを比較する。
ステップST14において“Tr−Ts”が“α”未満の場合(Tr−Ts<α)は、室内空気の温度が充分に低いままであり、従って室内空気の冷却を再開する必要はないと判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、空調機(20)を休止状態に保ったままでステップST13へ戻り、調湿側コントローラ(92a)が所定の動作を行うと再びステップST14へ移行する。つまり、“Tr−Ts”が“α”未満の状態が続けば、制御システム(90)では、ステップST13とステップST14とが所定の時間毎(例えば15秒毎)に繰り返し実行される。
一方、ステップST14において“Tr−Ts”が“α”以上の場合(Tr−Ts≧α)は、室内空気の温度が上昇してきており、従って、室内空気の冷却を再開させる必要があると判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、ステップST15へ移行する。ステップST15では、空調側コントローラ(91)が空調用圧縮機(41)を起動させる。また、空調側コントローラ(91)は、室外ファン(23)と各室内ファン(24a〜24d)も併せて起動させる。その後、制御システム(90)は、ステップST5へ戻る。そして、制御システム(90)では、再びステップST9において“Tr−Ts”が“−α”以下(Tr−Ts≦−α)と判断されるまでの間は、ステップST5とステップST8とステップST9とが順に繰り返し実行される。
制御システム(90)は、ステップST12を経てステップST13へ至った場合は、続いてステップST16へ移行する。ステップST16では、調湿側コントローラ(92a)が、室内湿度センサ(56a)の計測値Hrを読み込み、この計測値Hrから目標室内湿度Hsを差し引いた値“Hr−Hs”と、所定の基準値“β”とを比較する。
ステップST16において“Hr−Hs”が“β”未満の場合(Hr−Hs<β)は、室内空気の相対湿度が充分に低いままであり、従って室内へ供給される室外空気の除湿を再開する必要はないと判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、外気処理機(50)を休止状態に保ったままでステップST13へ戻り、調湿側コントローラ(92a)が所定の動作を行うと再びステップST16へ移行する。つまり、“Hr−Hs”が“β”未満の状態が続けば、制御システム(90)では、ステップST13とステップST16とが所定の時間毎(例えば15秒毎)に繰り返し実行される。
一方、ステップST16において“Hr−Hs”が“β”以上の場合(Hr−Hs≧β)は、室内空気の相対湿度が上昇してきており、従って、室内へ供給される室外空気の除湿を再開させる必要があると判断できる。そこで、この場合、制御システム(90)は、ステップST17へ移行する。ステップST17では、調湿側コントローラ(92a)が調湿用圧縮機(71)を起動させる。その後、制御システム(90)は、ステップST7へ戻る。そして、制御システム(90)では、再びステップST11において“Hr−Hs”が“−β”以下(Hr−Hs≦−β)と判断されるまでの間は、ステップST7とステップST8とステップST11とが順に繰り返し実行される。
−実施形態1の効果−
本実施形態の空調システム(10)において、外気処理機(50)では室内へ供給される空気の湿度調節が行われる一方、冷房運転中の空調機(20)では冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度よりも高い値に保たれる。このように、本実施形態の空調システム(10)には、外気処理機(50)が空気の湿度調節を行うので空調機(20)は空気の温度だけを調節すればよいという特性がある。そこで、本実施形態では、冷房運転中の空調機(20)における冷媒の蒸発温度を室内空気の露点温度よりも高い値に保ち、空調機(20)において空気の温度だけを調節するようにしている。このため、空調機(20)の空調用冷媒回路(30)では、冷媒の蒸発温度を、空調機(20)の室内ユニット(22a〜22d)において空気の除湿をも行う場合に比べて高い値に設定することができる。
従って、本実施形態によれば、冷房運転中の空調機(20)の空調用冷媒回路(30)における低圧圧力(即ち、冷媒の蒸発圧力)を高く設定することができ、空調用冷媒回路(30)が行う冷凍サイクルの高圧と低圧の差を縮小することができる。その結果、空調用冷媒回路(30)の空調用圧縮機(41)の消費電力を削減でき、空調機(20)の運転効率を向上させることができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。本実施形態は、上記実施形態の空調システム(10)において、制御システム(90)が行う動作を変更したものである。ここでは、本実施形態の制御システム(90)について、上記実施形態1と異なる点を説明する。
本実施形態において、第1の調湿ユニット(52a)に設けられた調湿側コントローラ(92a)は、上記実施形態1において行う動作に加えて、各室内ユニット(22a〜22d)に設けられた室内ファン(24a〜24d)の送風量の目標値(目標風量)を設定する動作を行うように構成される。調湿側コントローラ(92a)は、設定した室内ユニット(22a〜22d)の目標風量を、空調側コントローラ(91)へ送信する。また、本実施形態において、空調側コントローラ(91)は、調湿側コントローラ(92a)から送信された室内ユニット(22a〜22d)の目標風量に基づいて各室内ファン(24a〜24d)の回転速度を調節する動作を行うように構成されている。
−制御システムの動作−
本実施形態の制御システム(90)が行う動作について説明する。
図5のフロー図に示すように、本実施形態の制御システム(90)が行う動作では、ステップST3とステップST5における動作が、上記実施形態1における動作と異なっている。ここでは、本実施形態の制御システム(90)が行う動作について、上記実施形態1と制御システム(90)が行う動作と異なる点を説明する。
ステップST3において、調湿側コントローラ(92a)は、上記実施形態1の制御システム(90)のステップST3において調湿側コントローラ(92a)が行う動作に加えて、各室内ユニット(22a〜22d)に設けられた室内ファン(24a〜24d)の送風量の目標値(目標風量)を設定する動作を行う。
調湿側コントローラ(92a)が室内ファン(24a〜24d)の目標風量を設定する動作について説明する。ステップST3において、調湿側コントローラ(92a)は、上記実施形態1と同様に、空調用冷媒回路(30)における目標蒸発温度Tesを、室内空気の露点温度Tdpよりも高い値に設定する。そして、調湿側コントローラ(92a)は、この目標蒸発温度Tesに応じて室内ファン(24a〜24d)の目標風量を設定し、設定した目標風量を空調側コントローラ(91)へ送信する。
上述したように、調湿側コントローラ(92a)は、目標蒸発温度Tesを、室内空気の露点温度Tdpよりも高い値に設定する。このため、室内空気の露点温度Tdpが高くなると、それに伴って目標蒸発温度Tesも高くなる。そして、空調用冷媒回路(30)における目標蒸発温度Tesが高くなると、冷房運転中の室内熱交換器(36a〜36d)における冷媒と空気の温度差が縮小し、室内ユニット(22a〜22d)で得られる冷房能力が減少するおそれがある。
一方、冷房運転中の室内熱交換器(36a〜36d)における冷媒と空気の温度差が小さくなっても、室内熱交換器(36a〜36d)を通過する空気の流量を増やせば、室内熱交換器(36a〜36d)において冷媒が空気から吸熱する熱量の減少を抑えられる。そこで、調湿側コントローラ(92a)は、空調用冷媒回路(30)における目標蒸発温度Tesが高くなるにつれて、室内熱交換器(36a〜36d)を通過する空気の風量を増やすために、室内ファン(24a〜24d)の目標風量の値を高くする。調湿側コントローラ(92a)は、この動作を能力保持動作として行う。
ステップST5において、空調側コントローラ(91)は、空調用圧縮機(41)の運転容量の制御に加えて、室内ファン(24a〜24d)の回転速度の制御を行う。具体的に、空調側コントローラ(91)は、室内ファン(24a〜24d)によって室内熱交換器(36a〜36d)へ供給される空気の流量が調湿側コントローラ(92a)から送信された目標風量となるように、室内ファン(24a〜24d)の回転速度を調節する。
−実施形態2の効果−
本実施形態では、制御システム(90)の調湿側コントローラ(92a)が能力保持動作を行って蒸発器となる室内熱交換器(36a〜36d)の通過風量を増やすことで、空調用冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度が比較的高い値になった状態でも、室内ユニット(22a〜22d)の冷房能力の低下を抑えている。従って、本実施形態によれば、空調用冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度が室内空気の露点温度よりも高い値(即ち、一般的な空調機よりも高い値)に設定された状態においても、空調機(20)の冷房能力の低下を抑えて室内の快適性を確保することができる。
−実施形態2の変形例−
本実施形態の制御システム(90)は、室内ユニット(22a〜22d)のうち運転されるものの台数を強制的に増やす動作を、動力保持動作として行うように構成されていてもよい。
ところで、複数の室内ユニット(22a〜22d)を備える空調機(20)では、リモコンを操作することによってユーザーが各室内ユニット(22a〜22d)の運転と停止を個別に指令できる場合がある。そのような場合には、空調機(20)に設けられた室内ユニット(22a〜22d)のうちの一部だけが運転されて残りが停止したままとなることも有り得る。本変形例の制御システム(90)は、このような各室内ユニット(22a〜22d)の運転と停止を個別に設定できる空調機(20)について有効である。
ここでは、本変形例の制御システム(90)の調湿側コントローラ(92a)が行う能力保持動作について、第1及び第2の室内ユニット(22a,22b)が運転だけがユーザーによって指令された状態を例に説明する。この状態において、調湿側コントローラ(92a)は、空調用冷媒回路(30)における目標蒸発温度Tesが高くなるにつれて、室内ユニット(22a〜22d)のうち運転されるものの台数を強制的に増やす動作を、能力保持動作として行う。つまり、調湿側コントローラ(92a)は、目標蒸発温度Tesが高くなり過ぎて第1及び第2の室内ユニット(22a,22b)だけでは充分な冷房能力が得られないと判断した場合には、ユーザーからの運転指令が入力されていない第3の室内ユニット(22c)を強制的に起動させる。また、調湿側コントローラ(92a)は、それでも充分な冷房能力が得られないと判断した場合は、更に第4の室内ユニット(22d)も強制的に起動させる。
このように、本変形例では、制御システム(90)の調湿側コントローラ(92a)が能力保持動作を行って室内ユニット(22a〜22d)の運転台数を増やすことで、空調用冷媒回路(30)における冷媒の蒸発温度が比較的高い値になった状態でも、空調機(20)の冷房能力の低下を抑えることができる。
《その他の実施形態》
−第1変形例−
図6に示すように、上記の各実施形態では、各調湿ユニット(52a,52b)に調湿用圧縮機(71a,71b)が一台ずつ搭載されていてもよい。図6に示す空調システム(10)では、外気処理機(50)が二台の調湿ユニット(52a,52b)だけによって構成される。各調湿ユニット(52b)の調湿用回路(80a,80b)において、調湿用圧縮機(71a,71b)は、その吐出側が四方切換弁(83a,83b)の第1のポートに接続され、その吸入側がアキュームレータ(72a,72b)を介して四方切換弁(83a,83b)の第2のポートに接続される。
−第2変形例−
図7に示すように、上記の各実施形態では、室外ユニット(21)の室外回路(40)に設けられた圧縮機(41)が図1における調湿用圧縮機(71)を兼ねていてもよい。図7に示す空調システム(10)では、一台の室外ユニット(21)と、四台の室内ユニット(22a〜22d)と、二台の調湿ユニット(52a,52b)とを配管で接続することによって、一つの冷媒回路(15)が形成されている。
具体的に、本変形例では、室外回路(40)の高圧側閉鎖弁(73)と低圧側閉鎖弁(74)とが接続されている。本変形例の室外回路(40)において、高圧側閉鎖弁(73)は圧縮機(41)の吐出側と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続され、低圧側閉鎖弁(74)はアキュームレータ(42)と四方切換弁(43)を繋ぐ配管に接続されている。そして、実施形態1と同様に、高圧側閉鎖弁(73)には高圧側連絡配管(61)が接続され、低圧側閉鎖弁(74)には低圧側連絡配管(62)が接続される。
−第3変形例−
上記各実施形態の空調システム(10)では、全ての室内ユニット(22a〜22d)と全ての調湿ユニット(52a,52b)とが同一の室内空間へ空気を供給するように配置されているが、一部の室内ユニット(22a〜22d)又は一部の調湿ユニット(52a,52b)が他のユニットとは異なる室内空間へ空気を供給するように配置されていてもよい。つまり、上記各実施形態の空調システム(10)では、4台の室内ユニット(22a〜22d)の少なくとも一つと、2台の調湿ユニット(52a,52b)のうちの少なくとも一つとが、同一の室内空間へ空気を供給するように配置されていればよい。
例えば、上記各実施形態の空調システム(10)では、第1及び第2の室内ユニット(22a,22b)と第1及び第2の調湿ユニット(52a,52b)とが同一の室内空間へ空気を供給するように配置される一方、これらユニット(22a,22b,52a,52b)とは別の室内空間へ空気を供給するように第3及び第4の室内ユニット(22c,22d)が配置されていてもよい。
また、上記各実施形態の空調システム(10)では、第1から第4の各室内ユニット(22a〜22d)と第2の調湿ユニット(52b)とが同一の室内空間へ空気を供給するように配置される一方、これらユニット(22a〜22d,52b)とは別の室内空間へ空気を供給するように第1の調湿ユニット(52a)が配置されていてもよい。この場合には、室内ユニット(22a〜22d)と同一の室内空間へ空気を供給するように配置された第2の調湿ユニット(52b)の調湿側コントローラ(92b)が、上記実施形態1及び2において第1の調湿ユニット(52a)の調湿側コントローラ(92a)が行う動作と同じ動作を実行する。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。