JP2010064392A - 繊維強化プラスチックの製造方法および製造装置 - Google Patents

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高裕 小崎
Koichi Inasawa
幸一 稲澤
Natsuhiko Katahira
奈津彦 片平
Fujio Hori
藤夫 堀
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Abstract

【課題】RTM(Resin Transfer Molding)法を用いて均質な中空形状のFRP製品を製造する方法及びその装置を提供する。
【解決手段】成形型内に中空形状の中空中子3を設置し、中空中子3と成形型の間のキャビティ部4に強化繊維14を設置し、キャビティ部4に樹脂を注入する。キャビティ部減圧工程では中空中子3が強化繊維14を変形させない程度に押さえつけるように中空中子3の内圧を制御する。樹脂注入工程では強化繊維14を成形型に押し付ける方向の力が作用しないように中空中子3の内圧を制御し、樹脂硬化完了工程では強化繊維14を成形型に押し付ける方向の力を作用させるように中空中子3の内圧を制御する、樹脂の流動抵抗が大きくなり過ぎるのを抑制し、均質な中空形状のFRP製品を製造できるRTM法を用いた中空形状のFRP製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、RTM(Resin Transfer Molding)法によって繊維強化プラスチックを製造する方法装置に関する。
繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)は、強化繊維に流動性を有する樹脂を含浸し、その状態で樹脂を硬化させたものであり、航空宇宙産業から自動車産業等に至るまで、幅広い分野において利用されている。FRP製品には、軽量であることと同時に、強度および剛性が可及的に高いことが望まれるため、発泡ウレタン等のコア材を内部に包含させる場合や、中空形状に成形する場合がある。
中空形状のFRP製品を成形するために、中子を成形型の内部に設置し、成形型と中子の間の空間(キャビティ部)に流動性樹脂を注入して硬化させる方法が知られている。中子を利用することによって中空形状を作り出すことができる。
中子に中空中子を利用することがある。特許文献1に、弾性体の袋を中子に用いて中空形状のFRP製品を成形する方法が開示されている。この方法では、成形型の内面に沿って強化繊維を設置し、成形型を閉じると強化繊維に取り囲まれる位置に弾性体の袋を設置し、成形型を閉じ、弾性体の袋の内部に加圧気体を送り込むことによって弾性体の袋を膨張させ、膨張した袋によって強化繊維を成形型に押し付け、その状態で成形型と膨張した袋の間に樹脂を注入し、強化繊維に樹脂を含浸させ、強化繊維に含浸した樹脂を硬化させることによって中空形状のFRP製品を成形する。
RTM(Resin Transfer Molding)法は、成形型内部のキャビティ部に強化繊維を設置し、キャビティ部を減圧し、減圧したキャビティ部に樹脂を注入し、キャビティ部に注入した樹脂を硬化させる成形法である。減圧した状態で樹脂を注入するために強化繊維に樹脂が含浸し易く、強度と寸法精度に優れたFRP製品を製造することができる。RTM法は、品質安定性に優れ、低廃棄物なFRP成形方法として注目されている。
RTM法を用いてFRP製品を成形する場合にも、特許文献1のように、弾性体の袋等の中空中子を用いることで中空形状のFRP製品を製造することができる。
特許文献2の技術では、弾性体のチューブを中空中子に用いる。また、一方の成形型が他方の成形型にスライド可能な成形型を用いる。特許文献2の技術では、中空中子と成形型の間に形成されるキャビティ部に樹脂を注入するに先立ってキャビティ部を減圧する。特許文献2では、スライド可能な成形型を用いるために、キャビティ部を減圧すると、スライド可能な成形型がスライド不能な成形型に向かってスライドし、チューブを押しつぶす。そこで、キャビティ部の減圧によって生じる押し付け力に対抗できる程度にまでチューブ内を加圧してからキャビティ部を減圧する。
特開平4−246510号公報 特開2001−150465号公報
特許文献2の技術では、スライド可能な成形型を用いて、中空中子を利用したRTM法を実施するために、キャビティ部を減圧する際に中空中子の中空空間を加圧する。中空中子の中空空間を加圧することで、中空中子によって成形型に強化繊維を十分に押し付ける。
成形中は動かない成形型を用いる場合は、中空中子の中空空間を加圧する必要がない。中空中子の中空空間を加圧しなくても、すなわち中空中子の中空空間の圧力が大気圧に維持されていても、キャビティ部を減圧することによって、中空中子が膨張し、成形型に強化繊維を押し付けるからである。
しかしながら、中空中子の中空空間を加圧しなくても、すなわち中空中子の中空空間の圧力が大気圧に維持されていても、中空中子の中空空間の内圧に対してキャビティ部の内圧が低くなりすぎ、中空中子が過度に膨張し、キャビティ部の体積が縮小し過ぎたり、膨張した中空中子が強化繊維を過度に圧縮したりすることがある。このような状態で樹脂の注入を開始すると、樹脂の流動抵抗が増大し、強化繊維に樹脂が含浸しないといった現象が発生する。目的とするFRP製品が得られなくなってしまう。
従来の技術は、中空中子を利用してRTM法を実施すると、キャビティ部を減圧したときに中空中子が過度に膨張し、強化繊維が過度に圧縮され、キャビティ部の体積が過度に小さくなる現象が発生し、それが成形品質を低下させることを認識していない。
本発明は、中空中子を利用してRTM法を実施するにあたって、中空中子が過度に膨張して種々の問題を引き起こすことに対処する。
本発明は、中空中子を利用して中空形状のFRP製品をRTM法に成形する方法に関する。本発明の方法は、成形型とその成形型の内部に設置されている中空中子によって囲まれているキャビティ部に強化繊維が設置されている状態でキャビティ部と中空中子の中空空間とを減圧する工程と、減圧されているキャビティ部に樹脂を注入する工程と、キャビティ部に注入した樹脂を硬化させる工程を備えている。本発明の方法では、減圧工程で、キャビティ部の内圧Pと中空中子の内圧Pが大気圧Pに対してP>P>Pの関係を満たす状態を実現し、その関係が満たされている状態で注入工程を開始する。
本発明によれば、樹脂を注入するキャビティ部を減圧する際に、中空中子の中空空間をも減圧することから、中空中子が過度に膨張することを防止し、強化繊維が過度に圧縮されないようにし、キャビティ部の体積が過度に縮小しないようにできる。その状態で樹脂を注入することから、キャビティ部が狭すぎて樹脂が通過できない、あるいは強化繊維が密に圧縮されすぎて樹脂が含浸しない、あるいはキャビティ部が意図する形状(FRP製品の中空形状)からずれているといった一連の問題が発生しない。良好な中空形状のFRP製品をRTM法によって製造することができる。
本発明の方法では、注入樹脂流量を管理しながら樹脂を注入することが好ましい。注入樹脂流量を管理しながら樹脂を注入すると、キャビティ部を減圧しておいて樹脂を注入するRTM法を採用しても、樹脂の流動速度が過度に上昇することがなく、強化繊維がよれるといった問題の発生を防止することができる。
本方法は、新規な成形装置をも実現した。その成形装置は、成形型と、成形型の内部に設置される中空中子と、成形型と中空中子によって囲まれるキャビティ部に樹脂注入路を介して接続される樹脂注入装置と、キャビティ部に減圧路を介して接続される減圧装置と、記中空中子の中空空間に連通路を介して接続される加減圧装置と、キャビティ部の内圧Pを検知する第1圧力センサと、中空中子の内圧Pを検知する第2圧力センサと、制御装置を備えている。
制御装置は、第1圧力センサと第2圧力センサの検知結果に基づいて減圧装置および加減圧装置を制御して大気圧Pに対してP>P>Pの関係を満たす状態を実現し、その後に樹脂注入装置の運転を開始させる。
本装置によると、キャビティ部を減圧する際に中空中子の中空空間をも減圧し、中空中子が過度に膨張することを防止し、強化繊維が過度に圧縮されないようにし、キャビティ部の体積が過度に縮小しないようにしながらRTM法を実施することができる。
上記の技術によって、中空中子を利用してRTM法を実施する場合の樹脂注入開始段階の問題に対処することができる。
中空中子を利用してRTM法を実施する場合には、さらに樹脂の注入工程中、ならびに硬化工程における問題に対処することが好ましい。
このために、樹脂の注入工程では、キャビティ部の内圧Pと中空中子の内圧Pが、P≧Pの関係を満たすように制御し、樹脂の硬化工程では、キャビティ部の内圧Pと中空中子の内圧Pが、P>Pの関係を満たすように制御することが好ましい。
樹脂の注入工程中にP≧Pの関係を満たすように制御すると、中空中子が膨張することがないため、キャビティ部の隙間を確保できる。樹脂の注入抵抗が低く、樹脂が強化繊維に含浸しやすい。樹脂の注入工程中に中空中子を収縮させる向きに押しつけ力が作用しても、その後の硬化工程でP>Pの関係を満たすように制御すれば、膨張する中空中子によって樹脂を成形型に押しつけるため、FRP製品の中空形状が予定よりも小さくなる現象に対策することができる。また、硬化工程でP>Pの関係を満たすように制御すれば、FRP製品にヒケ(樹脂の成形収縮によって生じる窪み)が発生するのを防止することができる。
上記の製造方法は、樹脂注入装置の運転の継続中はP≧Pとなるように減圧装置および加減圧装置を制御し、樹脂注入装置の運転の停止後はP>Pとなるように減圧装置および加減圧装置を制御する制御装置を備えた繊維強化プラスチックの製造装置によって実行される。
本発明によれば、中空中子を利用して中空形状のFRP製品をRTM法によって成形する際に、中空中子が過度に膨張することを防止し、強化繊維が過度に圧縮されないようにし、キャビティ部の体積が過度に縮小しないようにできる。そのために、低い樹脂注入圧で樹脂を注入でき、樹脂が強化繊維に含浸しないといった問題の発生を抑制することができる。
また、樹脂の注入工程では中空中子が収縮して樹脂を注入しやすくし、硬化工程では膨張する中空中子によって樹脂を成形型に押しつけながら樹脂を硬化させることができる。低い注入圧でヒケのない高品質な中空形状のFRP製品を得ることができる。
以下に説明する実施例の主要な特徴を以下に列記する。
(特徴1)キャビティ部の減圧工程では、キャビティ部の内圧Pと中空中子の内圧Pとの差が、強化繊維が変形しない圧力差の範囲内に制御する。
(特徴2)樹脂の注入工程では、注入圧力を調整して樹脂の流量を管理する。
(特徴3)キャビティ部に樹脂を注入する工程では、キャビティ部の内圧Pが上昇するのに追従して、内圧Pよりも高くならない条件化で、中空中子の内圧Pを上昇させる。
(特徴4)樹脂注入圧が予め設定された閾値を超えないように制御される。樹脂注入圧が閾値に到達した場合には、注入する樹脂の流量を低減させる。
(特徴5)樹脂の硬化工程では、中空中子の内圧Pをキャビティ部の内圧Pよりも高く維持する。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。図1は本実施例のFRP製造装置のシステム構成図である。FRP製造装置は、第1成形型1、第2成形型2、中空中子3、キャビティ部4、樹脂注入装置5、減圧装置6、加減圧装置7、制御装置8によって構成されている。中空中子3には内圧と外圧の差で変形する等によって内容積が変化する材料が用いられており、例えば弾性体や塑性体を用いることができる。中空中子3は第1成形型1と第2成形型2を合わせて型閉じすることによって形成される成形型の内部空間に設置されている。第1成形型1および第2成形型2と中空中子3との間の空間がキャビティ部4となっている。キャビティ部4には強化繊維14が設置されている。強化繊維14はキャビティ部4の形状に合わせてに予め成形されている。発泡ウレタン製のコア15は図1に示すようにキャビティ部4内の一部に設置されている。尚、図1に示したFRP製造装置を用いると、図2に示すような中空の曲がり管状で一方の端部が閉塞した形状のFRP製品が製造される。
中空中子3の中空空間と加減圧装置7とは中空中子の連通路11によって接続されている。キャビティ部4と樹脂注入装置5とは樹脂注入路12によって接続されている。樹脂注入路12とは別にキャビティ部4に開口する樹脂排出路16が設置されている。樹脂排出路16はキャビティ部4と樹脂排出バルブ32とを接続している。また、樹脂排出路16は、キャビティ部4から樹脂排出バルブ32に至る前までの間において分岐しており、減圧路バルブ31に接続している。減圧路バルブ31と減圧装置6とは、減圧路13によって接続されている。
キャビティ部4の内圧Pを検知する第1圧力センサ21はキャビティ部4の内部に設置されている。中空中子3の内圧Pを検知する第2圧力センサ22は中空中子3の中空空間内部に設置されている。樹脂注入圧Pを検知する第3圧力センサ23は樹脂注入路12に設置されている。制御装置8は第1圧力センサ21、第2圧力センサ22、第3圧力センサ23の検知結果に基づいて、樹脂注入装置5、減圧装置6、加減圧装置7、減圧路バルブ31、樹脂排出バルブ32を制御する。
尚、本実施例においては、第1圧力センサ21をキャビティ部4に設置したが、樹脂排出路16においてキャビティ部4と樹脂排出バルブ32との間に第1圧力センサ21を設置してキャビティ部4の内圧Pを認識することもできる。同様に第2圧力センサ22を中空中子流通路11に設置して中空中子3の内圧Pを認識することもできる。
本実施例に係るFRP製造装置の制御方法を図3に示すフローチャートを用いて説明する。まず第1成形型1と第2成形型2の内部に強化繊維14およびコア15、中空中子3を設置し成形型を閉じる。この状態において第1および第2圧力センサ21、22の検知値P、Pはいずれも大気圧Pと等しくなっている。
成形型を閉じた後に、FRP製造装置の運転を開始する。ステップS1において減圧装置6を起動し、キャビティ部4の減圧を開始する。ステップS1では樹脂排出バルブ32は閉じられており、減圧路バルブ31は開かれている。次いでステップS2では内圧Pと内圧Pとの圧力差についてP−P=Aであるか否かを判定する。ここで、圧力差Aは正の定数であって、強化繊維が変形しない程度の押し付け力となるように実験や計算によって予め設定されている。P−P=Aでない場合にはステップS3に移行して中空中子3の圧力PをP=P+Aとなるように加減圧装置7で中空中子の内部空間を減圧した後、ステップS4に移行する。このように圧力差Aを正の定数としてP−P=Aとなるように制御し、内圧Pを減圧するのに追従させて中空中子3の内圧Pを減圧することで、減圧工程中においてP>P>Pの関係を実現できる。
ステップS4においては、キャビティ部4の内圧Pが圧力値Bに対してP≦Bであるか否かを判定する。圧力値Bは、減圧工程におけるPの目標値であり、PがBに達するまで減圧装置6によってキャビティ部4の内部を減圧する。P≦Bである場合にはステップS5に移行して減圧路バルブ31を閉じて減圧装置6を停止し、減圧工程を終了し、樹脂注入工程を開始する。すなわち、P>P>Pの関係を満たしており、かつ、内圧Pが十分に減圧された場合に、樹脂注入が開始される。尚、内圧PがP≦Bとなった後、一定時間後に樹脂注入工程を開始するようにしてもよい。内圧Pが安定した状態で樹脂注入を開始することができる。
ステップS5においてキャビティ部を減圧する工程が終了すると、ステップS6に移行する。ステップS6においては樹脂注入装置5を起動して樹脂の注入を開始する。樹脂注入開始時には樹脂の流動抵抗が低いため、樹脂注入圧Pを制御して注入を開始すると減圧されたキャビティ部4との差圧によってキャビティ部4に急激に樹脂が注入され、注入口付近の強化繊維が撚れてFRP製品の欠陥の原因となる。本実施例においては一定流量Q=Qで樹脂注入を開始するため、キャビティを減圧しておいて樹脂を注入するRTM法を採用しても、樹脂の流動速度が過度に上昇することがなく、強化樹脂が撚れるといった問題の発生を防止することができる。
樹脂注入開始移行、キャビティ部4の内圧Pは上昇していく。ステップS7では、予め設定した圧力差Cに対してP−P=Cであるか否かを判定し、P−P=Cである場合にはステップS9に移行する。P−P=Cでない場合にはステップS8においてP=P−Cとなるように加減圧装置7を制御した後、ステップS9に移行する。ここで圧力差Cは、C≧0を満たす定数である。このように内圧Pが上昇するのに追従させて中空中子3の内圧Pを加圧することで、樹脂の注入工程中においてP≧Pの関係を満たすように制御できる。
ステップS9では、キャビティ部4の内圧Pと樹脂注入圧PについてP≧Pであるか否かを判定し、P≧Pでない場合には、ステップS13に移行する。P≧Pである場合には、ステップS10において樹脂排出バルブ32を開く。樹脂排出バルブ32を開放することによってキャビティ部4にあった気体を抜き出し、過剰な樹脂を流出させて、樹脂を強化繊維に均質に含浸させる。樹脂排出バルブ32を開放すると内圧Pは小さくなる。ステップS11においてP<Pであると判定された場合には、ステップS12によって樹脂排出バルブ32が閉じられ、ステップS13に移行する。
次に、ステップS13において規定量の樹脂注入が完了したか否かを判定する。完了した場合にはステップS16に移行する。ステップS16では樹脂注入装置5を停止して、樹脂注入工程を終了する。キャビティ部4は封止された状態となる。完了していない場合にはステップS14に移行し、樹脂注入の流量制御を実施する。
樹脂を一定の流量で注入し続けると、樹脂の総注入量が増えるに従って樹脂注入圧Pとキャビティ部4の内圧Pは増加していく。ステップS14においてはキャビティ部4の内圧Pに対して予め閾値Dが設定されており、P≧Dであるか否かを判定する。ここで閾値Dは樹脂注入装置5の装置特性(例えば注入圧力の上限値)に合わせて設定することができる。また、本実施例のように一部に発泡ウレタン製のコアを含むFRP製品を製造する場合には、キャビティ4内の樹脂圧力が高過ぎると発泡ウレタン内部に樹脂が含浸してしまう。閾値Dをコア15に樹脂が含浸する含浸圧より小さく設定すれば、コア15の内部に樹脂が含浸してしまうことを防ぐことが可能である。尚、ステップS14においては内圧Pに代えて樹脂注入圧Pに対して閾値Dを設定し、P≧Dか否かを判定するようにしてもよい。
≧Dである場合にはステップS15に移行して樹脂注入の流量を低減した後、ステップS7に移行する。P≧Dでない場合には、直接、ステップS7に移行する。流量を低減することで内圧Pが低くなるため、ステップS7において内圧Pに追従させて中空中子3の内圧Pを減圧し、P−P=C(C≧0)となるように制御する。
ステップS17において制御装置8は予め設定した圧力差Eに対してP−P=Eである否かを判定し、P−P=Eでない場合にはステップS18に移行してP=P+Eとなるように加減圧装置7を制御した後、ステップS19に移行する。P−P=Eである場合には直接ステップS19に移行する。ここで、強化繊維を成形型に押し付ける方向の力が作用させるように圧力差Eは正の定数に設定されている。このように内圧Pを加圧することで、樹脂の注入工程中においてP>Pの関係を満たすように制御できる。
ステップS19では、樹脂の硬化を完了させ、FRP製造装置を停止する。製造されたFRP製品を取り出すと図2のような形状となっている。尚、中空中子3はFRP製品の中から取り出してもよいし、FRP製品内部に残しておいてもよい。
(実験例)
本実施例のFRP製造装置を用いた一実験例を図4に示す。図4は、キャビティ部4の内圧P、中空中子3の内圧P、および樹脂注入流量Qを示している。内圧Pおよび内圧Pは大気圧Pとの差圧で示されており、例えば−50kPaは、大気圧Pよりも50kPa低い圧力を示している。以下、圧力値については、大気圧Pとの差圧によって記載する。尚、本実験例においては、中空中子3としてはナイロン製の袋を用い、樹脂としてはエポキシ樹脂を用いて硬化剤によって硬化させた。ステップS2の圧力差をA=50kPa、ステップS4の圧力値BをB=−100kPaと設定した。これによって、図4に示すようにキャビティ部減圧工程ではP>P>Pとなるように制御され、内圧Pが−100kPa、内圧Pが−50kPaとなった状態で、樹脂の注入が開始された。
樹脂注入工程では樹脂の初期注入流量は500ml/minとした。尚、初期注入圧は大気圧Pよりも100kPa高い圧力であった。ステップS7において圧力差C=50kPaに設定した。図4に示すように樹脂を注入していくと内圧Pはほぼ線形に高くなり、内圧Pに追従して内圧Pが上昇し、P>Pとなるように制御された。
本実験例においては、発泡ウレタン製のコアを用いており、エポキシ樹脂に対して、この発泡ウレタン製のコアの含浸圧は大気圧Paより500kPa高い圧力であった。そこでステップS14では圧力値D=500kPaに設定した。また、ステップS15においては、ΔQ=Q/2とし、現在の流量が半減するように設定した。キャビティ部4の内圧Pが高くなり、P≧Dとなると、制御装置8によって樹脂注入流量が500ml/minから250ml/minへと半減し、これによって内圧Pはステップ状に低くなった。内圧Pが低くなったため、中空中子3の内圧PはP−P=Cとなるように加減圧装置7によって減圧され、P>Pとなるように制御された。樹脂が規定量注入されると、樹脂注入装置7を停止すると共にキャビティ部4が封止された。
ステップS19では、圧力差E=50kPaに設定した。樹脂注入装置の停止後、内圧PはP=P+E(E=50kPa)となるように加圧された。これによってP>Pとなるように制御が行われた。
上記のとおり、本実施例によれば、樹脂を注入するキャビティ部を減圧する際に、中空中子の中空空間をも減圧することから、中空中子が過度に膨張することを防止し、強化繊維が過度に圧縮されないようにし、キャビティ部の体積が過度に縮小しないようにできる。P>P>Pを満たした状態で樹脂を注入することから、キャビティ部が狭すぎて樹脂が通過できない、あるいは強化繊維が密に圧縮されすぎて樹脂が含浸しない、あるいはキャビティ部が意図する形状(FRP製品の中空形状)からずれているといった一連の問題が発生しない。良好な中空形状のFRP製品をRTM法によって製造することができる。
また、本実施例では、樹脂の注入工程中にP≧Pの関係を満たすように制御しており、中空中子が膨張することがないため、キャビティの隙間を確保できる。樹脂の注入抵抗が低く、樹脂が強化繊維に含浸しやすい。樹脂の注入中にキャビティ部の内圧からが中空中子を収縮させる向きに押しつけ力が作用しても、その後の硬化工程でP>Pの関係を満たすように制御しているため、FRP製品の中空形状が予定よりも小さくなる現象に対策することができる。また、硬化工程でP>Pの関係を満たすように制御すれば、FRP製品にヒケ(樹脂の成形収縮によって生じる窪み)が発生するのを防止することができる。
尚、本実施例においては、FRP製造装置を起動した時点での中空中子の内圧Pが大気圧Pに等しい状態だったため、樹脂注入前の減圧工程では中空中子内の減圧を行ったが、中空中子の内部空間を真空ポンプ等で予め減圧した後にFRP製造装置に設置する場合には、加減圧装置によって加圧することでP>P>Pを満たすように制御することもできる。
本実施例のFRP製造装置。 本実施例のFRP製造装置を用いて製造されるFRP製品。 本実施例のFRP製造装置のフローチャート。 本実施例のFRP製造装置を用いた実験例。
符号の説明
1 第1成形型
2 第2成形型
3 中空中子
4 キャビティ部
5 樹脂注入装置
6 減圧装置
7 加減圧装置
8 制御装置
11 中空中子の連通路
12 樹脂注入路
13 減圧路
14 強化繊維
15 コア
16 樹脂排出路
21 第1圧力センサ
22 第2圧力センサ
23 第3圧力センサ
31 減圧路バルブ
32 樹脂排出バルブ

Claims (5)

  1. 成形型とその成形型の内部に設置されている中空中子によって囲まれているキャビティ部に強化繊維が設置されている状態で前記キャビティ部と前記中空中子の中空空間とを減圧する減圧工程と、
    前記キャビティ部に樹脂を注入する注入工程と、
    前記キャビティ部に注入した樹脂を硬化させる硬化工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法であって、
    前記減圧工程で、前記キャビティ部の内圧Pと前記中空中子の内圧Pが大気圧Pに対してP>P>Pの関係を満たす状態を実現し、前記関係が満たされている状態で前記注入工程を開始することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
  2. 前記注入工程で、注入樹脂流量を管理しながら樹脂を注入することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
  3. 成形型と、
    成形型の内部に設置される中空中子と、
    前記成形型と前記中空中子によって囲まれるキャビティ部に樹脂注入路を介して接続される樹脂注入装置と、
    前記キャビティ部に減圧路を介して接続される減圧装置と、
    前記中空中子の中空空間に連通路を介して接続される加減圧装置と、
    前記キャビティ部の内圧Pを検知する第1圧力センサと、
    前記中空中子の内圧Pを検知する第2圧力センサと、
    制御装置を備えており、
    前記制御装置が、前記第1圧力センサと前記第2圧力センサの検知結果に基づいて前記減圧装置および前記加減圧装置を制御して大気圧Pに対してP>P>Pの関係を満たす状態を実現し、その後に前記樹脂注入装置の運転を開始することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造装置。
  4. 成形型と成形型の内部に設置されている中空中子によって囲まれているキャビティ部に強化繊維が設置されている状態で前記キャビティ部を減圧する減圧工程と、
    前記キャビティ部に樹脂を注入する注入工程と、
    前記キャビティ部に注入した樹脂を硬化させる硬化工程を含む繊維強化プラスチックの製造方法であって、
    前記注入工程では、前記キャビティ部の内圧Pと前記中空中子の内圧Pが、P≧Pの関係を満たすように制御し、
    前記硬化工程では、前記キャビティ部の内圧Pと前記中空中子の内圧Pが、P>Pの関係を満たすように制御することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
  5. 成形型と、
    成形型の内部に設置される中空中子と、
    前記成形型と前記中空中子によって囲まれるキャビティ部に樹脂注入路を介して接続される樹脂注入装置と、
    前記キャビティ部に減圧路を介して接続される減圧装置と、
    前記中空中子の中空空間に連通路を介して接続される加減圧装置と、
    前記キャビティ部の内圧Pを検知する第1圧力センサと、
    前記中空中子の内圧Pを検知する第2圧力センサと、
    制御装置を備えており、
    前記制御装置が、前記樹脂注入装置の運転の継続中はP≧Pとなるように前記減圧装置および前記加減圧装置を制御し、前記樹脂注入装置の運転の停止後はP>Pとなるように前記減圧装置および前記加減圧装置を制御することを特徴とする繊維強化プラスチックの製造装置。
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