JP2010060356A - 電波センサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】送信信号を生成する発振回路と、誘電体からなる基板1の一方の表面または内部の略全面に形成された送信信号のグランドとして作用する接地電極と、基板1の他方の表面に形成された、送信信号として電波ビームを前方に放射する矩形状の複数の送信電極3a、3bと、複数の送信電極から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4と、受信電極4にて受信した受信信号を検波する検波素子5と、検波素子5にて検波された受信信号を外部に出力する出力線路とを備え、複数の送信電極3a、3bを電力均等分配回路となる伝送線路にて相互に接続し、個々の送信電極に伝播される送信信号の電力を小さくする。
【選択図】図9
Description
従来技術記載の電波センサは、送信アンテナを中心として対称な位置に複数の受信アンテナを配置しているため、送信アンテナの周囲に受信アンテナを近接して配置しても相互干渉による電波ビームの放射方向の偏りを防止できる。
しかしながら、送信アンテナと受信アンテナを近接して配置するほど、センサ前方に被検知体や障害物が存在しなくても送信アンテナから放射された電波ビームが受信アンテナに回り込み、受信アンテナに電流が流れて受信信号の直流電圧値レベル(オフセット電圧)が上昇してしまう。そのため、受信信号を増幅回路にて増幅する際、直流電圧レベルでの増幅率が低下し、高いS/N比が得られなくなり、被検知体の微小な動きを検出しずらくなる。
尚、以下実施例における図面の基板の厚みやパターン寸法は説明の都合上、実際の形状とは異なる。
図1は、本発明における電波センサの第1実施形態を示す、(a)送受信部の正面図、(b)送受信部の背面図、(c)発振部の正面図、(b)発振部の背面図である。図2は同、組立て図である。
誘電体からなる基板1aの一方の表面の略全面には送信信号のグランドとして作用する接地電極2aが形成され、基板1aの他方の表面には送信信号として前方に電波ビームを放射する矩形状の送信電極3と送信電極3から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4が形成されている。基板1bに形成された発振回路9により生成された送信信号は、送信電極3の内部に設けられた基板1aの表裏を貫通する貫通孔11aに配置される給電線12(同軸ケーブルや樹脂被覆リード線等)を介し直接、送信電極3に伝播され、送信電極3から電波ビームとして放射される。貫通孔11aはインピーダンスが50Ωとなる送信電極3の内部に設けられている。
送信電極3は、基板1a上における送信信号(使用周波数)の約半波長(λg/2:λg…基板1aを伝搬する高周波信号の波長である。また、真空中における高周波信号の電波の波長をλ、基板1aの比誘電率をεrとすると、λ=εr1/2・λgである。)の長さLを少なくとも一辺にもつ略正方形状の薄膜電極であり、接地電極2aが反射板として作用するマイクロストリップ構造の送信アンテナである。従って、接地電極2aを境界として送信電極3から前方(接地電極2aに対し送信電極3が形成された方向)に向かい効率良く電波ビームを放射することができる。
本実施例では、励振方向と平行する送信電極3の端辺と励振方向と平行する受信電極4の端辺とが対向するよう送信電極3と受信電極4を同一平面状に各々配置したが、励振方向と直交する送信電極の端辺と励振方向と直交する受信電極の端辺とが対向するように配置しても良いし、送信電極の端辺の一部と受信電極の端辺の一部とが対向するよう配置しても良い。そうすれば、受信電極4を導波器として作用させたとき、対向する送信電極3の端面から受信電極の端面までの距離をさらに短くでき、高いアンテナゲイン(高指向性利得)が得られるため、さらにセンサの少電力化、小型化が図れる。また、送信電極3と受信電極4は同一平面状にある必要は無い。使用環境(検知性能)に応じて送信電極3と受信電極4の位置関係は自由に変更することができ、例えば、送信電極3に対し後方側(電波ビームの放射方向とは反対方向)に受信電極4を配置すれば、送信電極3から受信電極4への電波ビーム(電流)の回り込みを抑制できる。また、偏波方式は送信電極と受信電極の形状を略正方形状(垂直偏波)から略正方形の角部を旋回方向に応じてカットすれば円偏波方式に容易に変えることができる。
基板1bの一方の表面には基板1bの表裏を貫通する導通端子13が接続され、基板1aの一方の表面に形成された接続電極14まで送信された受信信号は、導通端子13を介し増幅回路16へ送信される。増幅回路16における増幅率は使用環境や検知性能に応じて適宜、設定すれば良く、等倍(ボルテージフォロワ:入力1に対し出力1の比率)以上の増幅回路16を一体で備えれば、ノイズ耐性が向上し電波センサから外部に出力される受信信号の電圧値変動を抑制できる。本実施例には記載していないが、必要に応じて増幅回路の前段または後段に必要な周波数成分のみを抽出するフィルター回路を組み込むこともできる。
本発明の電波センサは、送信信号の周波数帯域としてマイクロ波やミリ波の帯域を利用すると、定在波の影響によりセンサ前方における電力分布が送信信号の周波数の2分の1波長間隔にてゼロから最大まで変化する領域が連続的に生じる。従って、センサに向かい接近する被検知体の動きに対して受信信号が矩形波または三角波状に変化する。そのため、赤外線センサのように受信信号の一瞬の電圧値レベルの変動からセンサ前方における被検知体の有無を精度良く検出することは困難であるが、電波センサから出力された受信信号の周期と送信信号の周波数からセンサに向かい接近する被検知体の移動速度を容易に検出できる。例えば、送信信号の周波数が10ギガヘルツだとすると1波長は約30ミリメートルとなり、センサ前方における電力分布は約15ミリメートル間隔にてゼロから最大まで変化する領域が連続的に生じる。相対的な移動距離は送信信号の周波数により決定するため、センサから出力される受信信号に基づいて前のパルスの立上り(または電圧ピーク値)から次のパルスの立上り(または電圧ピーク値)までの時間を抽出すれば、約15ミリメートルの移動距離に対する移動速度を容易に検出することができ、さらにこの移動速度を連続的に検出すれば被検知体の移動状態の変化を容易に認識できる。
図3に示す自動水栓装置は、水道配管に直結され通水または断水を電気的に切り替え可能な構造を有した図示しない電磁弁と、片端から水道水が流入し他端に設けられた吐水口から流出する水栓装置21と、上述した第1実施形態の電波センサとから構成されている。図示しない電磁弁と水栓装置21の片端は図示しない給水ホースにより配管接続され、使用者が吐水口に向かい洗面ボウル22内に手を差し出したとき自動的に水を吐水口から流出させるために、電波センサ、図示しない動作判断回路、図示しない出力回路、図示しない電磁弁の順に電気的に接続されている。水栓装置21は吐水口が洗面ボウル22の中心線上に位置するように壁23に固定され、吐水口よりも壁23側となる洗面ボウル22の裏側に、受信電極4が送信電極3よりも吐水口側に近くなるよう電波センサが設置され、送信電極3面に対し斜め上方向に向かい電波ビームが放射される。ここでいう、電波ビームの放射方向とは最大放射強度方向を示し、電波ビームの放射方向と吐水口に向かい接近する手の進入方向とは対向することが好ましい。
CASE2で示すように吐水口に向かい手が接近するとセンサから出力される受信信号の電圧値レベルはパルス状に増加し吐水口(電波センサ)に接近するほど電圧振幅値が大きくなる。本実施例に記載していないが、逆に吐水口から手が離遠すると受信信号の電圧値レベルはパルス状に減少する。
また、手洗いするために使用者が吐水口付近で両手を前後方向にに擦り合わせて動かしている場合、センサに対して手(指先)が接近・離遠を連続的に繰り返す状態となりCASE3で示すように周波数的には比較的低い傾向となるが電圧振幅値がある程度大きく変動する。
CASE2およびCASE3の現象は前述した通り電波センサの波長に寄因する。例えば、電波センサの送信信号の周波数を電波法にて使用が許可されている10・50〜10.55GHzとすると、1波長は約28ミリメートルとなり約14ミリメートル間隔にてセンサ前方に電波の放射強度がゼロから最大まで変化する領域が連続的に生じる。そのため、センサ前方における放射強度のムラがそのまま手から反射して受信電極4にて受信されるため、前方からセンサ(吐水口)に向かって接近する動きに対してパルス状の受信信号がセンサから出力されることになる。従って、その受信信号の電圧振幅値の時間的変化を抽出すれば、センサに向かい手が接近するのか、それともセンサから手が離遠するのか、手の移動方向を容易に検出できる。さらに、前のパルスの立上り(またはピーク電圧値)から次のパルスの立上り(またはピーク電圧値)までの距離は送信信号の周波数により決定するため、経過時間tを抽出すれば相対的な移動速度を容易に検出できる。
以下、前述した実施例と重複する部分の記載については説明を省略する。
図1に示した電波センサの送受信部はマイクロストリップ構造を有するパッチアンテナであったのに対し、図5に示す電波センサの送受信部はマイクロストリップ構造を有するダイポールアンテナである。基板1aの他方の表面には基板1a上において送信信号の周波数の約2分の1波長に相当するLの長さを有する矩形状の薄膜電極が送信電極3として形成されている。送信電極3の略中央部には給電線12を接続するため基板1aの表裏を貫通する貫通孔11aが設けられている。基板1aの一方の表面に形成された接地電極2aが反射板として作用するため、ダイポールアンテナではあるが無指向性ではなく前方(接地電極2aに対し送信電極3が形成された方向)に向かい電波ビームを放射できる。また、送信電極3と平行するように薄膜矩形状の2つの受信電極4a、4bが所定の間隔を設け一直線状に形成され、励振方向と直交し且つ対向する受信電極4aの端辺から受信電極4bの端辺までの略中間位置に検波素子5としてダイオード5が配置されている。受信電極4aの端辺近傍にはダイオード5のアノード端子が接続され、受信電極4bの端辺と対向する受信電極4aの端辺近傍に基板1aの表裏を貫通する導通孔8aが設けられ、基板1aの一方の表面に形成された接地電極2aと受信電極4aとが導通孔8aを介し接続されている。受信電極4bの端辺近傍にはダイオード5のカソード端子が接続され、励振方向と平行する受信電極4bの端辺にはダイオード5にて検波した受信信号を外部に出力するための出力線路6が接続されている。そして、基板1aの表裏を貫通する導通孔8bを介し基板1aの一方の表面に形成された接続電極14と出力線路6とが接続されている。
図1(a)に示したマイクロストリップアンテナに対し、基板1aの他方の表面に矩形状の送信電極3を中心として対称な位置に矩形状の受信電極4a、4bを形成している。従って、受信電極4a、4bの内部に設けられた導通孔8a、8cを介し接続される図示しない周波数調整線路を調整し受信電極4a、4bを導波器として作用させると、アンテナゲインが向上し、より鋭い電波ビームを送信電極3面に対し鉛直方向に向かい放射できる。従って、送信電極3から受信電極4a、4bへの電波ビーム(電流)の回り込みをさらに抑制でき、導通孔8b、8dを介し接続された図示しないダイオード5a、5bにて検波する受信信号の電圧値レベルは初期(送信電極3の前方に被検知体が存在しない状態)から低くできるため、本構成のマイクロストリップアンテナを電波センサに備えれば、さらに検知精度が向上する。また、受信電極4a、4bの内部に設けられた導通孔8a、8cを介し接続される図示しない周波数調整線路を調整し受信電極4a、4bを反射器として作用させると、送信電極3から放射された電波ビームは送信電極3に対し受信電極4aと受信電極4bが配置された方向に向かいスプリット(分離)として放射される。従って、受信電極4aと受信電極4bにおける受信信号の電圧値レベルや電圧振幅値の時間的変化(位相差)を比較することにより、陶器や樹脂の裏側にセンサを隠蔽した状態でセンサ前方における被検知体の位置や移動状態(センサに対し接近・離遠する移動方向や速度、センサ前方を横断する移動方向や速度)を識別することができる。また、送信電極3から放射される電波ビームは、赤外線を利用したセンサと比較すると指向角が広く、受信電極4a、4bにて受信信号が得られる検知範囲が重複するため、被検知体の動きが連続した動きであるか否かを容易に認識できる。
図1に示した電波センサは電波ビームを送受信する送受信部と電波ビームとなる高周波の送信信号を生成する発振部とが別体にて構成されていたのに対し、図7に示す電波センサは、送信信号のグランドとして作用する接地電極2を内部に埋設し積層した基板1を使用し、電波ビームを送受信する送受信部と電波ビームとなる高周波の送信信号を生成する発振部とが一体にて構成されている。
誘電体からなる基板1の一方の表面には送信信号として前方に電波ビームを放射する矩形状の送信電極3と送信電極3から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4が形成されている。送信電極3には伝送線路17の片端を接続するため伝送線路17の線路幅(インピーダンス)に応じ必要な切り欠きが設けられ、そこに伝送線路17の片端が接続され、伝送線路17の他端には基板1の表裏を貫通する導通孔8aが設けられ、基板1の他方の表面に形成された発振回路9により生成された送信信号が、導通孔8aを介し送信電極3まで伝播される。送信電極3は、基板1上において送信信号の周波数の約2分の1波長に相当する長さLを少なくとも一辺に有する矩形状の薄膜電極であり、接地電極2が反射板として作用するマイクロストリップ構造の送信アンテナである。
図1に示した電波センサは電波ビームを送受信する送受信部の送信電極と受信電極が各1つであったのに対し、図9に示す電波センサの送受信部は複数の送信電極と1つの受信電極から構成されている。
誘電体からなる基板1の一方の表面には送信信号として前方に電波ビームを放射する矩形状の送信電極3a、3bと送信電極3a、3bから放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極4が形成されている。送信電極3a、3bは電力均等分配回路となる伝送線路17にて相互に接続され、図示しない発振回路9にて生成された送信信号が貫通孔11を介し送信電極3a、3bまで伝播される。送信電極3a、3bは、基板1上において送信信号の周波数の約2分の1波長に相当する長さLを少なくとも一辺に有する矩形状の薄膜電極であり、基板1の内部または他方の表面に形成された図示しない接地電極2が反射板として作用するマイクロストリップ構造の送信アンテナである。
2、2a、2b 接地電極
3、3a、3b、3c、3d 送信電極
4、4a、4b 受信電極
5 検波素子(ショットキーダイオード)
6、6a、6b 出力線路
7 周波数調整線路
8a、8b、8c、8d 導通孔
9 発振回路
10 シールドケース
11、11a、11b 貫通孔
12 給電線
13 導通端子
14 接続電極
15 スペーサー
16 増幅回路
17 伝送線路
18 仕切り手段
21 水栓装置
22 洗面ボール
23 壁
24a、24b、24c、24d 給電孔
Claims (4)
- 送信信号を生成する発振回路と、
誘電体からなる基板と、
前記基板の一方の表面または内部の略全面に形成された送信信号のグランドとして作用する接地電極と、
前記基板の他方の表面に形成された、送信信号として電波ビームを前方に放射する矩形状の複数の送信電極と、前記複数の送信電極から放射され被検知体に衝突し反射して戻ってきた電波ビームを受信信号として受信する矩形状の受信電極と、
前記受信電極に接続された、前記受信電極にて受信した受信信号を検波する検波素子と、前記検波素子にて検波された受信信号を外部に出力する出力線路とを備え、
前記複数の送信電極は電力均等分配回路となる伝送線路にて相互に接続されたことを特徴とする電波センサ。 - 励振方向と平行な前記複数の送信電極の端辺と前記受信電極の端辺とが対向しないよう前記複数の送信電極の周囲に前記受信電極を配置したことを特徴とする請求項1記載の電波センサ。
- 励振方向と直交する前記複数の送信電極の端辺と前記受信電極の端辺とが対向しない、且つ前記複数の送信電極の間となる位置に前記受信電極を配置したことを特徴とする請求項2記載の電波センサ。
- 前記複数の送信電極の共振周波数と前記受信電極の共振周波数は略同一であることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の電波センサ。
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