JP2010059337A - 熱可塑性重合体組成物の製造方法 - Google Patents

熱可塑性重合体組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた難燃性等の機能性と、機械的強度を併せ持つ熱可塑性重合体組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】架橋性重合体ゴム(A)、熱可塑性樹脂(B)、熱可塑性ポリマー添加剤(C)及び架橋剤(D)を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法であって、
(i)前記(A)、(B)及び(C)成分を混合して、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を低下させる工程、
(ii)前記工程(i)と同時又は前記工程(i)に次いで、架橋剤(D)を混合して前記樹脂組成物を架橋する工程、
を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性重合体組成物の製造方法に関するものである。更に詳しくは、卓越した難燃性等の機能性と、機械的強度を併せ持つ熱可塑性重合体組成物の製造方法に関するものである。
熱可塑性重合体は、成形性に優れることに加え、耐衝撃性、可撓性に優れていることから、自動車材料、電気・電子材料を始めとする多岐の材料分野で使用されており、更にその機能性を高めるために難燃剤等のポリマー用添加剤が添加されている。
熱可塑性重合体の機能化の一つである難燃化の方法としては、ハロゲン系、リン系、無機系の難燃剤を熱可塑性重合体に添加することが知られており、それによりある程度難燃化が達成されている。しかしながら、近年、火災に対する安全性の要求がとみにクローズアップされ、更に高度な難燃化技術の開発と共に、機械的性質の低下がなく、環境上の問題のない難燃化技術開発が強く望まれている。
熱可塑性重合体の難燃化技術として、ポリプロピレンとスチレン系熱可塑性エラストマーに、ポリリン酸アンモニウムと金属水和物を配合した被覆材料(特許文献1)が開示されている。
一方、架橋材料としては、熱可塑性樹脂に特定のハロゲン系難燃剤と三酸化アンチモンを配合し、電子線架橋したチューブあるいは熱収縮チューブ(特許文献2)や、初期に対して架橋後の機械的特性が特定の値を有する難燃性電線(特許文献3)が開示されている。
また、熱可塑性樹脂と液状物質との樹脂組成物の製造方法において、両者を混合して熱可塑性樹脂のTgを低下させ、溶融押出機で溶融押出する製造方法(特許文献4)が開示されている。
特開平9−31267号公報 特許第2765361号公報 特開平10−168248号公報 特開平11−172009号公報
しかしながら、特許文献1に開示された被覆材料は成形性及び可撓性に優れているものの、架橋されていないため耐摩耗性及び耐久性が劣る。
また、特許文献2及び3に開示された2つの架橋材料は、耐久性に優れているものの、熱可塑性を有していないため生産性が劣る。
更に、特許文献4には架橋技術を適用することについては全く触れられていない。
従って、難燃性等の機能性に優れ、かつ、機械的強度を満足した熱可塑性重合体組成物の開発が求められているのが現状である。
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、優れた難燃性等の機能性と、機械的強度を併せ持つ熱可塑性重合体組成物の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果
架橋性重合体ゴム(A)、熱可塑性樹脂(B)、熱可塑性ポリマー添加剤(C)及び架橋剤(D)を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法であって、
(i)前記(A)、(B)及び(C)成分を混合して、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を低下させる工程、
(ii)前記工程(i)と同時又は前記工程(i)に次いで、架橋剤(D)を混合して前記樹脂組成物を架橋する工程、
を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法により、難燃性等の機能性と機械的強度が飛躍的に向上した熱可塑性重合体組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
架橋性重合体ゴム(A)、熱可塑性樹脂(B)、熱可塑性ポリマー添加剤(C)及び架橋剤(D)を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法であって、
(i)前記(A)、(B)及び(C)成分を混合して、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を低下させる工程、
(ii)前記工程(i)と同時又は前記工程(i)に次いで、架橋剤(D)を混合して前記樹脂組成物を架橋する工程、
を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法。
[2]
前記(A)成分は芳香族ビニル系熱可塑性重合体ゴムである、上記[1]記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
[3]
前記芳香族ビニル系熱可塑性重合体ゴムは芳香族ビニル系ランダム共重合体ゴム及び/又は芳香族ビニル系ブロック共重合体ゴムである、上記[2]記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
[4]
前記(B)成分はポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又は芳香族ビニル系樹脂である、上記[1]〜[3]のいずれか記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
[5]
前記(C)成分は熱可塑性難燃剤である、上記[1]〜[4]のいずれか記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
[6]
前記熱可塑性難燃剤はリン系難燃剤である、上記[5]記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
本発明の熱可塑性重合体組成物の製造方法により、優れた難燃性等の機能性と、機械的強度を併せ持つ熱可塑性重合体組成物を得ることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、本実施の形態)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態の熱可塑性重合体組成物の製造方法は、
架橋性重合体ゴム(A)、熱可塑性樹脂(B)、熱可塑性ポリマー添加剤(C)及び架橋剤(D)を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法であって、
(i)前記(A)、(B)及び(C)成分を混合して、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を低下させる工程、
(ii)前記工程(i)と同時又は前記工程(i)に次いで、架橋剤(D)を混合して前記樹脂組成物を架橋する工程、を含む。
本実施の形態の製造方法における工程(i)は、(A)、(B)及び(C)成分を混合して、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を低下させる工程である。本実施の形態の製造方法においては、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を、好ましくは1〜200℃、より好ましくは10〜100℃、更に好ましくは20〜100℃、特に好ましくは20〜50℃低下させる。
本工程により樹脂組成物の熱可塑性を維持しつつ、後述する工程(ii)において架橋剤(D)により架橋することが可能であり、結果として、熱可塑性重合体組成物の機能性と機械的強度を大幅に向上させることが可能となる。本実施の形態の製造方法により、優れた機能性と、機械的強度の両方を付与することが可能となった理由としては、樹脂組成物のTgを低下させることにより架橋のレベルが向上するだけでなく、モルフォロジーも同様に向上したためと推定される。
以下、本実施の形態の工程(i)における各成分について説明する。
[(A)成分:架橋性重合体ゴム]
本実施の形態における(A)成分としては、例えば、ポリブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリ(スチレン−イソプレン)等のジエン系ゴム、及び当該ジエン系ゴムを水素添加した飽和重合体ゴム(水素添加共重合体ゴム)、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体(EPDM)等のエチレン・α―オレフィン共重合体等の架橋性ゴム状重合体、あるいは上記ゴム成分を含有する熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。
上記の中でも、(B)成分との相溶性が良好であり、組成物中に均一分散し易くなる傾向にあるため、芳香族ビニル系単量体単位を含有したジエン系ゴム(以下、芳香族ビニル系熱可塑性重合体ゴムと称する)が好ましく、例えば、共役ジエン系単量体と芳香族ビニル系単量体とからなる共重合体ゴム等が挙げられる。また、立体規則性についてはランダム(芳香族ビニル系ランダム共重合体ゴム)でも、ブロック(芳香族ビニル系ブロック共重合体ゴム)でもよい。
上記共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1、3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1、3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレン等を挙げることができ、中でも、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンがより好ましい。上記共役ジエン系単量体は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができ、中でも、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。上記芳香族ビニル系単量体は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(A)成分が共役ジエン系単量体と芳香族ビニル系単量体とからなる共重合体ゴムである場合、その組成比としては、立体規則性がランダム結合を主体とする場合は、共役ジエン系単量体単位が、好ましくは10〜49質量%、より好ましくは20〜49質量%、更に好ましくは25〜45質量%であり、芳香族ビニル系単量体単位が、好ましくは51〜90質量%、より好ましくは51〜80質量%、更に好ましくは25〜45質量%である。一方、立体規則性がブロック結合を主体とする場合は、共役ジエン系単量体単位が、好ましくは51〜90質量%、より好ましくは51〜80質量%、更に好ましくは25〜45質量%と、芳香族ビニル系単量体単位が、好ましくは10〜49質量%、より好ましくは20〜49質量%、更に好ましくは25〜45質量%である。
(A)成分は、必要に応じて、例えば、オレフィン系、メタクリル酸エステル系、アクリル酸エステル系、不飽和ニトリル系、塩化ビニル系単量体等の共役ジエンと共重合可能な単量体(以下、共重合可能な単量体という。)を共重合したものでもよい。
芳香族ビニル系単量体、及び必要に応じて共重合可能な単量体を含む共重合体においては、ランダム結合を主体とする場合には、ブロック状の芳香族ビニル系単量体及びブロック状の共重合可能な単量体を含んでもよい。ブロック状の芳香族ビニル系重合体の含有率は、全芳香族ビニル系単量体中の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。一方、上記共重合体において、ブロック結合を主体とする場合には、ランダム状の芳香族ビニル系単量体及びランダム状の共重合可能な単量体を含んでもよい。ランダム状の芳香族ビニル系重合体の含有率は、全芳香族ビニル系単量体中の20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
上記共重合体ゴムにおいて、立体規則性がランダム結合を主体とする場合には、水素添加前の共役ジエン系単量体部分のビニル結合は、分子内に均一に存在していても、分子鎖に沿って増減あるいは減少していてもよいし、あるいは、ビニル結合含有量の異なった複数個のブロックを含んでもよい。芳香族ビニル系単量体は共役ジエン系単量体部分の中でランダムに結合することが好ましいが、ブロック状の芳香族ビニル系単量体を含んでもよい。ブロック状の芳香族ビニル重合体の含有率は、全芳香族ビニル単量体中の好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
上記共重合体ゴムにおいて、立体規則性がブロック結合を主体とする共重合体としては、芳香族ビニルブロックと共役ジエンブロックを有する共重合体又はその水素添加物が挙げられる。具体的には、水素添加スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水素添加スチレン−イソプレンブロック共重合体等である。また、必要に応じて、不飽和カルボン酸又はその無水物あるいはエポキシ変性されたブロック共重合体も含まれる。
上記ブロック構造は、芳香族ビニル単位からなる重合体ブロックをSで表示し、共役ジエン及び/又はその部分的に水素添加された単位からなる重合体ブロックをBで表示する場合、SB、S(BS)n(但し、nは1〜3の整数)、S(BSB)n(但し、nは1〜2の整数)のリニア−ブロック共重合体や、(SB)nX(但し、nは3〜6の整数。Xは四塩化ケイ素、四塩化スズ、ポリエポキシ化合物等のカップリング剤残基。)で示され、B部分を結合中心とする星状(スタ−)ブロック共重合体であることが好ましい。中でも、SBの2型、SBSの3型、SBSBの4型のリニア−ブロック共重合体が好ましい。
芳香族ビニル系熱可塑性重合体ゴムの全オレフィン性二重結合の水素添加率は、好ましくは50%以上、より好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上である。また、主鎖の残存二重結合は好ましくは5%以下、側鎖の残存二重結合は好ましくは5%以下である。
水素添加率の測定方法としては、公知のNMR法で行うことができ、その詳細は、例えば、WO01/48079号公報に記載されている。水素添加された重合体ゴムの具体例としては、例えば、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ(スチレン−イソプレン)等のスチレン・ジエン系ゴムを部分的又は完全に水素添加したゴム状重合体を挙げることができる。
水素添加された重合体ゴムは、上述したスチレン・ジエン系ゴムを公知の水素添加方法で部分水素添加することにより得ることができる。水素添加の方法としては、例えば、F.L.Ramp,etal,J.Amer.Chem.Soc.,83,4672(1961)記載のトリイソブチルボラン触媒を用いて水素添加する方法、Hung Yu Chen,J.Polym.Sci.Polym.Letter Ed.,15,271(1977)記載のトルエンスルフォニルヒドラジドを用いて水素添加する方法、あるいは特公昭42−8704号公報に記載の有機コバルトー有機アルミニュウム系触媒あるいは有機ニッケルー有機アルミニュウム系触媒を用いて水素添加する方法等を挙げることができる。
ここで、特に好ましい水素添加の方法としては、低温、低圧の温和な条件下で水素添加が可能な触媒を用いる特開昭59−133203号、特開昭60−220147号の各公報に記載された方法、あるいは、不活性有機溶媒中にて、ビス(シクロペンタジエニル)チタニウム化合物と、ナトリウム原子、カリウム原子、ルビジウム原子又はセシウム原子を有する炭化水素化合物とからなる触媒の存在下に水素と接触させる特開昭62−207303号公報に記載された方法等が挙げられる。
本実施の形態において用いられる(A)成分は、複数の種類のものを混合して用いてもよい。そのような場合には、加工性のさらなる向上を図ることが可能となる。
本実施の形態においては、(A)成分の架橋レベル向上の観点から、(A)成分中に占めるポリスチレン換算分子量が15万以下の重合体の割合が30%以下であることが好ましい。重合体の割合を制御する方法としては、分子量が15万以下の部分が30%以下になるように全体の分子量を高める方法、又は、分子量15万以下の部分を抽出等の操作で除去する方法、あるいは、重合触媒等により選択的に分子量15万以下が生成しないように重合する方法等が挙げられる。
(A)成分のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは30℃以下である。ここで、Tgは、示差走査熱量測定法(DSC)により測定した値を意味する。
(A)成分の100℃で測定したムーニー粘度(ML)(ISO 289−985(E)準拠)は、好ましくは20〜150、より好ましくは50〜120である。
[(B)成分:熱可塑性樹脂]
本実施の形態において(B)成分は、(A)成分と相溶もしくは均一分散し得るものであればとくに制限はなく、例えば、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリオキシアルキレン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂等が挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を混合したものを使用することができる。上記の中でも、(A)成分との相溶性が良好であり、組成物中に均一分散し易くなる傾向にあるため、芳香族ビニル系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、オレフィン系樹脂が好ましい。
上記芳香族ビニル系樹脂とは、芳香族ビニル単量体の単独重合体や、不飽和ニトリル単量体単位と芳香族ビニル単量体単位とからなる重合体等の、芳香族ビニル単量体が主体の共重合体であり、ゴム変性体であってもゴム非変性体であってもよい。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体を必須成分とし、必要に応じて、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、炭素数が1〜8のアルキル基からなるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル、あるいは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を含有した共重合体であることが好ましい。
また、芳香族ビニル系樹脂は、必要に応じてゴム変性することも可能であり、上記重合体のマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散してなるゴム変性重合体が好ましい。このようなゴム変性重合体の具体例としては、HIPS樹脂(ゴム変性ポリスチレン)、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレン共重合体)等が挙げられる。
(B)成分がポリフェニレンエーテル(以下、PPEとも称する)である場合には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体等が好ましく、中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。PPEの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3,306,874号明細書に記載の方法による第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、例えば、2,6キシレノールを酸化重合することにより容易に製造できる。その他にも、米国特許第3,306,1075号明細書、米国特許第3,257,357号明細書、米国特許3,257,358号明細書、及び特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報に記載された方法でも容易に製造できる。
上記PPEの還元粘度ηsp/C(0.5g/dL、クロロホルム溶液、30℃測定)は、0.20〜0.70dL/gの範囲にあることが好ましく、0.30〜0.60dL/gの範囲にあることがより好ましい。
(B)成分がオレフィン系樹脂である場合には、例えば、エチレン系又はプロピレン系樹脂等の、炭素数2〜20であるエチレン及び/又はα−オレフィンの単独もしくは2種以上を含有する共重合樹脂が挙げられ、中でも、プロピレン系樹脂が好ましい。
上記プロピレン系樹脂としては、具体的には、ホモのアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1等の他のα−オレフィンとのアイソタクチック共重合樹脂(ブロック、ランダムを含む)等が挙げられる。
オレフィン系樹脂の一つであるプロピレンを主体としたα−オレフィンとのランダム共重合樹脂は、高圧法、スラリー法、気相法、塊状法、溶液法等で製造することができ、その際の重合触媒としては、Ziegler−Natta触媒、シングルサイト、メタロセン触媒が好ましい。特に狭い組成分布、分子量分布が要求される場合には、メタロセン触媒を用いたランダム共重合法が好ましい。
また、オレフィン系樹脂のメルトインデックスとしては、0.1〜100g/10分(230℃、2.16kg荷重(0.212Pa))の範囲のものが好ましく用いられる。熱可塑性重合体組成物の耐熱性、機械的強度の観点から100g/10分以下であることが好ましく、流動性、成形加工性の観点から0.1g/10分以上であることが好ましい。
本実施の形態における(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100質量部中の含有量比については、(A)成分が、好ましくは1〜99質量部、より好ましくは20〜80質量部、更に好ましくは、30〜70質量部である。
[(C)成分:熱可塑性ポリマー添加剤]
本実施の形態における(C)成分の熱可塑性ポリマー添加剤は、熱可塑性重合体組成物に難燃性等の望ましい性質を付与するための成分であると同時に、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のTgを低下させるための成分である。
(C)成分は、100℃における粘度が100万センチストークス以下であることが好ましく、より好ましくは10万センチストークス以下であり、更に好ましくは1万センチストークス以下である。(C)成分の100℃における粘度が1万センチストークス以下であると、重合体組成物に対する溶解力が増大する傾向にある。この条件を満足するためには、(C)成分は分子量が1000以下の化合物であることが好ましい。また、(C)成分はポリマー、オリゴマーのいずれでもよい。
(C)成分としては、例えば、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、着色剤、発泡剤、滑剤、香料、発煙抑制剤、粘着付与剤、防腐剤、保温剤、耐衝撃性向上剤、忌避剤、湿潤剤、界面活性剤、乳化剤、不安定化剤、凝固剤、消泡剤、凍結防止剤、クリーミング剤、増粘剤、感熱剤、起泡剤等のポリマー用添加剤又は溶剤等が挙げられる。上記の中でも、可塑剤、熱安定剤、難燃剤、光安定剤が重合体組成物との相溶性が大きいため好ましい。
本実施の形態における熱可塑性重合体組成物中の(C)成分の含有量は、好ましくは1〜99質量%、より好ましくは1〜50質量%、更に好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。
本実施の形態における(C)成分の1種である難燃剤は、ハロゲン系、リン系、窒素系、ケイ素系、無機系、チャー形成剤等から選ばれる1種以上の難燃剤であり、中でも、非ハロゲン系が好ましく、リン系難燃剤がより好ましい。
上記ハロゲン系難燃剤としては、例えば、ハロゲン化ビスフェノ−ル、芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体等が挙げられる。
上記リン系難燃剤としては、有機リン化合物、無機系リン酸塩等が挙げられる。有機リン化合物としては、例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等が挙げられる。より具体的には、トリフェニルフォスフェート、メチルネオペンチルフォスファイト、ぺンタエリスリトールジエチルジフォスファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリトールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハイポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスファイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハイポジフォスフェート等である。
また、有機リン化合物としては、下記式(1)で表される芳香族系リン酸エステル単量体、下記式(2)で表される芳香族系リン酸エステル縮合体が好ましい。
(式中、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4、Ar5、Ar7、Ar8は、それぞれ独立に無置換又は炭素数1〜10の炭化水素基で少なくとも一つ置換されたフェニル基から選ばれる芳香族基を示す。Ar6は炭素数6〜20の二価の芳香族基を示す。mは1以上の整数を示す。)
上記ケイ素系難燃剤としては、シリコ−ン樹脂、シリコ−ンオイル、ポリオルガノシリケート、シリカから選ばれる1種以上の難燃剤が挙げられる。
上記シリコーンオイル又はポリオルガノシリケートとしては、例えば、下記式(3)で表される化合物が好ましい。
(式中、R1〜R4は炭素数1〜20の炭化水素基を示す、p、qは0又は1、nは1以上の整数を示す。)
ここで、R1〜R4は炭素数1〜20の炭化水素基であり、特に、メチル基、フェニル基、アルキル基で置換されたフェニル基、アルケニル基から選ばれる置換基を有することが好ましい。また、R1〜R4は同一でも異なっていてもよい。
シリコーンオイル及びポリオルガノシリケートの粘度は、好ましくは600〜1000000センチストークス(25℃)であり、より好ましくは90000〜150000センチストークス(25℃)である。
(C)成分の1種である可塑剤としては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル等のフタル酸エステル、フタル酸ブチルベンジルエステル等のフタル酸混基エステル、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル等の脂肪族2塩基酸エステル、ジエチレングリコ−ルジベンゾエート等のグリコールエステル、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル等の脂肪族酸エステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ可塑剤等が挙げられ、その他にも、トリメリット酸トリオクチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィン、ポリプロピレンアジペート、ポリエチレンセバケート、トリアセチン、トリブチリン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ等が挙げられる。
[工程(ii)]
本実施の形態の製造方法における工程(ii)は、前記工程(i)と同時又は前記工程(i)に次いで、架橋剤(D)を混合して前記樹脂組成物を架橋する工程である。
[(D)成分:架橋剤]
本実施の形態における架橋剤(D)は、架橋開始剤(D−1)を必須成分とし、必要に応じて多官能単量体(D−2)、単官能単量体(D−3)を含有する。架橋剤(D)は、(A)成分100質量部に対し、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.005〜3質量部の量で用いられる。架橋剤(D)の使用量が上記範囲内であると、架橋のレベルが高まり、熱可塑性重合体組成物の耐熱性とゴム特性のバランスが向上する傾向にある。
架橋開始剤(D−1)としては、有機過酸化物、有機アゾ化合物等のラジカル開始剤等が挙げられ、具体的には、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン及びn−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びm−トリオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウリレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート及びクミルパーオキシオクテート等のパーオキシエステル類;ならびに、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド及び1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類を挙げることができる。
上記化合物の中でも、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及び2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3が好ましい。
架橋開始剤(D−1)の含有量は、(D)成分中で、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%である。架橋性の観点からは1質量%以上であることが好ましく、機械的強度の観点からは80質量%以下であることが好ましい。
本実施の形態において架橋剤(D)に必要に応じて含まれる多官能単量体(D−2)は、官能基としてラジカル重合性の官能基を有していることが好ましく、ビニル基を有していることがより好ましい。多官能単量体(D−2)の官能基の数は2以上であるが、(D−3)との組み合わせで3個以上の官能基を有することが好ましい。
多官能単量体(D−2)の具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ダイアセトンジアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジイソプロペニルベンゼン、P−キノンジオキシム、P,P’−ジベンゾイルキノンジオキシム、フェニルマレイミド、アリルメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、テトラアリルオキシエタン、1,2−ポリブタジエン等が挙げられる。上記化合物の中でも、トリアリルイソシアヌレートが好ましい。これらの多官能単量体(D−2)は単独で用いても、複数を併用して用いてもよい。
多官能単量体(D−2)の含有量は、(D)成分中で、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%である。架橋性の観点からは1質量%以上であることが好ましく、機械的強度の観点からは80質量%以下であることが好ましい。
本実施の形態において架橋剤(D)に必要に応じて含まれる単官能単量体(D−3)は、架橋反応速度を制御するために加えるビニル系単量体であり、好ましくはラジカル重合性のビニル系単量体であり、例えば、芳香族ビニル単量体、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体、アクリル酸エステル単量体、メタクリル酸エステル単量体等のエステル系単量体、アクリル酸単量体、メタクリル酸単量体等の不飽和カルボン酸単量体、無水マレイン酸単量体等の不飽和カルボン酸無水物、N−置換マレイミド単量体等を挙げることができる。
単官能単量体(D−3)の含有量は、(D)成分中で、好ましくは1〜80質量%、より好ましくは10〜50質量%である。架橋性の観点からは1質量%以上であることが好ましく、機械的強度の観点からは80質量%であることが好ましい。
特に好ましい架橋剤(D)としては、架橋開始剤(D−1)として、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(例えば、日本油脂社製、商品名パーヘキサ25B)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3(例えば、日本油脂社製)、多官能単量体(D−2)として、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)(例えば、日本化成(株)製)又はジビニルベンゼンとの組み合わせが、優れた機械的強度を発現する傾向にあるため好ましい。
本実施の形態においては、その効果を損なわない範囲で、熱可塑性重合体組成物中に、(C)成分以外の、無機フィラー、可塑剤、有機・無機顔料、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、発泡剤、帯電防止剤、抗菌剤等のその他の添加剤を含有することが可能である。
本実施の形態における熱可塑性重合体組成物の製造には、通常の樹脂組成物、エラストマー組成物の製造に用いられるバンバリーミキサー、ニーダー、単軸押出機、2軸押出機等の一般的な方法を採用することが可能である。とりわけ効率的に動的架橋を達成するためには2軸押出機が好適に用いられる。2軸押出機は、(A)(B)、(A)(B)(C)、又は(A)(B)(C)(D)を均一かつ微細に分散させ、更に他の添加剤を添加して架橋反応を生じさせることで熱可塑性重合体組成物を連続的に製造するのに適している。
本実施の形態における熱可塑性重合体組成物の製造方法については、例えば、以下の(1)〜(4)の加工工程を経由して製造することができる。
(1):(A)及び(B)成分を溶融混合後、(C)成分を添加し溶融混合し、更に(D)成分を添加して溶融混合する。
(2):(A)及び(B)成分を溶融混合後、(C)及び(D)成分を添加して溶融混合する。
(3):(A)、(B)及び(C)成分を溶融混合後、(D)成分を添加し溶融混合する。
(4):(A)〜(D)の全成分を同時に溶融混合する。
(D)成分については、(A)〜(C)成分と同時に当初から添加しても、押出機の途中から添加しても、当初と途中とに分けて添加してもよい。また、(A)及び(B)成分の一部を押出機の途中から添加してもよい。
より具体的には、例えば、芳香族ビニル系共重合体ゴム(a)、ポリフェニレンエーテル(b)、リン酸エステル(c)からなる樹脂組成物を動的架橋法により架橋した組成物の製造方法として、(a)及び(b)を押出機の前段で溶融混練した後に、サードフィーダーで途中から(c)をフィードして、溶融混練し重合体組成物のTgを下げペレット化を行う。次いで、上記ペレットと架橋剤(d)を混合後、押出機で動的架橋を行いペレットを得る方法が挙げられる。その際に上記二段階工程を一段階で実施してもよい。
また、特に好ましい溶融押出法としては、原料添加部を基点としてダイ方向に長さLを有し、かつL/Dが5から100(ここで、Dはバレル直径)である二軸押出機を用いる方法が挙げられる。二軸押出機は、その先端部からの距離を異にするメインフィ−ド部とサイドフィ−ド部の複数箇所の供給用部を有し、複数の上記供給用部の間及び上記先端部と上記先端部から近い距離の供給用部との間にニ−ディング部分を有し、上記ニ−ディング部分の長さが、それぞれ3D〜10Dであることが好ましい。
また、本実施の形態において用いられる製造装置の一つの二軸押出機は、二軸同方向回転押出機でも、二軸異方向回転押出機でもよい。また、スクリュ−の噛み合わせについては、非噛み合わせ型、部分噛み合わせ型、完全噛み合わせ型があり、いずれの型でもよい。低いせん断力をかけて低温で均一な樹脂を得る場合には、異方向回転・部分噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。より大きな混練作用を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。さらに大きな混練作用を要する場合には、同方向回転・完全噛み合わせ型スクリュ−が好ましい。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本実施の形態はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例における各種物性の評価に用いた試験法は以下の通りである。
(1)難燃性
東洋精機製作所製、コーンカロリーメータIIIを用い、ASTM−E1354に準拠した方法により発熱速度(kW/m2)を測定した。測定条件としては、照射熱量(Radiant Heat Flux 50kW/m2)、試料設置 水平方向、試料表面積 0.006m2とした。数値が小さいほど難燃性は良好であると判断できる。
(2)アイゾット衝撃強度
ASTM−D256に準拠した方法で測定した。(23℃、Vノッチ付き1/8インチ厚み試験片、単位:J/m)
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量測定法(DSC)により行った。具体的には島津製作所製、熱分析装置DT−40を用いて、5mg試料を窒素気流下、10℃/分で昇温することにより測定した。
(4)メルトフローレート(MFR)
ASTM D−1238に準拠した方法で測定した。(条件:230℃/10kg)
実施例及び比較例における各成分としては以下のものを用いた。
(1)架橋性重合体ゴム(A):芳香族ビニル系熱可塑性重合体ゴム
(1−1)芳香族ビニル系ランダム共重合体
WO01/48079号公報等に記載の公知の方法に基づき、スチレン−ブタジエンランダム共重合体を水素添加することにより芳香族ビニル系ランダム共重合体を製造した。水素添加率は99%であり、数平均分子量は10万であった。その際に異なったスチレン/ブタジエンの組成比を有する前駆体を用いた。
(1−2)芳香族ビニル系ブロック共重合体
WO01/48079号公報等に記載の公知の方法に基づき、スチレン−ブタジエンブロック共重合体を水素添加することにより芳香族ビニル系ブロック共重合体を製造した。水素添加率は99%であり、数平均分子量は10万であった。その際に異なったスチレン/ブタジエンの組成比を有する前駆体を用いた。
(2)熱可塑性樹脂(B)
(2−1)ポリスチレン
ゴム非変性ポリスチレン(PS)
MFR:2.0g/10分(230℃、10kg荷重)
(2−2)ポリフェニレンエーテル
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)(PPE)
還元粘度ηsp/C(0.5g/dL、クロロホルム溶液、30℃測定):0.50dL/g
(2−3)ポリブチレンテレフタレート(PBT)
MFR:1.0g/10分(230℃、10kg荷重)
(2−4)ポリアミド−6(PA6)
MFR:0.5g/10分(230℃、10kg荷重)
(2−5)ポリオキシメチレン(POM)
MFR:0.5g/10分(230℃、10kg荷重)
(3)熱可塑性ポリマー添加剤(C)
(3−1)ビス(ジブロモプロピル)テトラブロモビスフェノールAエーテル(FR1)
第一工業製薬(株)製:ハロゲン系難燃剤
(3−2)芳香族リン酸エステル縮合体:ビスフェノールA ビス(ジフェニルホスフェート)(FR2)
ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エステル(大八化学工業(株)製、商品名:CR741)
(4)架橋剤(D)
(4−1)架橋開始剤(D−1)
2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(POX)
(4−2)多官能単量体(D−2)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)
[実施例1〜18及び比較例1〜6]
2軸押出機を用いて、表1及び2に記載の組成比で、250℃で溶融押出することにより熱可塑性重合体組成物を製造した。表1及び2中の(1)〜(5)の製造方法は以下の通りである。
製造方法(1):(A)及び(B)成分を溶融混合後、(C)成分を添加し溶融混合し、更に(D)成分を添加して溶融混合する。
製造方法(2):(A)及び(B)成分を溶融混合後、(C)及び(D)成分を添加して溶融混合する。
製造方法(3):(A)、(B)及び(C)成分を溶融混合後、(D)成分を添加し溶融混合する。
製造方法(4):(A)〜(D)の全成分を同時に溶融混合する。
製造方法(5):(A)及び(B)成分を溶融混合後、(D)成分を添加し溶融混合し、更に(C)成分を添加して溶融混合する。
このようにして得られた熱可塑性重合体組成物から、Tダイ押出機を用いて、2mm厚のシート成形品を作製し、各種評価を行なった。ここで、機械的強度の評価として、得られた熱可塑性重合体組成物を、その組成物中に配合された(B)成分の樹脂に添加してアイゾット衝撃強度を測定した。具体的には、(B)成分/熱可塑性重合体組成物=90/10の質量比率で溶融混合して、上述の方法で測定した。測定結果を表1及び2に示した。
本発明の製造方法によって得られた熱可塑性重合体組成物は、自動車用部品、自動車用内装材、エアバッグカバー等の自動車材料、機械部品、電気部品、ケーブル、ホース、ベルト、玩具、雑貨、日用品、建材、シート、フィルム等を始めとする用途への産業上利用可能性を有する。成形材料としては、発泡成形材料、カレンダー成形材料、パウダースラッシュ成形材料、複層成形材料、インサート成形材料、共押出成形材料、射出成形材料、ブロー成形材料、押出シート成形材料、異型押出成形材料、繊維補強成形材料に有用である。具体的には、壁紙、封止材料、エッジ材料、防水シート、管状材料、電線被覆材料、滑り止め材料、緩衝材料、水泳用品、床被覆材料等であり、産業界に果たす役割は大きい。

Claims (6)

  1. 架橋性重合体ゴム(A)、熱可塑性樹脂(B)、熱可塑性ポリマー添加剤(C)及び架橋剤(D)を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法であって、
    (i)前記(A)、(B)及び(C)成分を混合して、(A)及び(B)成分からなる樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)を低下させる工程、
    (ii)前記工程(i)と同時又は前記工程(i)に次いで、架橋剤(D)を混合して前記樹脂組成物を架橋する工程、
    を含む、熱可塑性重合体組成物の製造方法。
  2. 前記(A)成分は芳香族ビニル系熱可塑性重合体ゴムである、請求項1記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
  3. 前記芳香族ビニル系熱可塑性重合体ゴムは芳香族ビニル系ランダム共重合体ゴム及び/又は芳香族ビニル系ブロック共重合体ゴムである、請求項2記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
  4. 前記(B)成分はポリフェニレンエーテル系樹脂及び/又は芳香族ビニル系樹脂である、請求項1〜3のいずれか1項記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
  5. 前記(C)成分は熱可塑性難燃剤である、請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
  6. 前記熱可塑性難燃剤はリン系難燃剤である、請求項5記載の熱可塑性重合体組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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