JP2010051990A - ネック付きエルボの製造方法 - Google Patents

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Kunihiro Yabuki
訓啓 矢吹
Masahiro Asai
正寛 浅井
Munekatsu Furukata
宗勝 古堅
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Abstract

【課題】全長に亘り偏肉をなくすとともに、曲げ部におけるしわ発生や局所扁平を抑制し、優れた寸法特性や品質特性を確保することができるネック付きエルボ製品を提供する。
【解決手段】対称ダイスを用いて縮径加工するネック部成形プロセスと、偏芯ダイスに切り換えて縮径加工し、前記素管を曲げアームで保持して所定の曲げ角度に至るまで曲げ加工する曲げ部成形プロセスとを組み合わせてネック付きエルボを製造する方法であって、前記曲げ部成形プロセスにおいて、縮径加工により前記素管の曲げ外周側の肉厚を曲げ内周側の肉厚に比べて増肉させると同時に、前記曲げアームに所定のオフセット量Osを設けて曲げ加工を施すことを特徴とするネック付きエルボの製造方法である。オフセット量Os(mm)と偏芯ダイスの仕上直径d(mm)との関係は、Os/d=0.09〜0.18とするのが望ましい。
【選択図】図6

Description

本発明は、配管系に使用され、接続用の直管を端部に設けたネック付きエルボの製造方法に関し、さらに詳しくは、ネック部および曲げ部の全長に亘り、寸法特性(偏平度、偏肉率)や品質特性(しわ等)に優れ、高能率生産に最適なネック付きエルボの製造方法に関するものである。
発電および化学プラント等に用いられるエルボ配管は、エルボとエルボの両端に溶接された直管部とから構成される。エルボ配管に用いられるエルボの成形方法としては、押し曲げ方式やマンドレル方式があるが、通常の肉厚寸法品(t/D≦15%)を主体として、マンドレル方式が広く適用されている。
マンドレル方式でエルボを製造する場合には、例えば、非特許文献1の41頁、図3.6に示すような、マンドレル拡管曲げ(ハンブルグ曲げ)がエルボの加工法として最も普及している。このマンドレル拡管曲げでは、素管とマンドレルを加熱した状態で加工が施され、マンドレルの形状は素管外径が製品側に向かって徐々に大きくなるように構成されているのが特徴であり、素管は拡管しながら曲げ成形される。このようにして得られたエルボ製品は、曲げ外周側の減肉が小さく、また曲げ内周側のしわも抑制されることが経験的に認識されている。
また、特許文献1では、冷間加工によりマンドレルを用いた押通し曲げ方式でエルボを成形する曲管の製造装置を提案している。すなわち、提案の製造装置では、ワーク導入坑道を具えたガイド金型と、ガイド金型の上方に設けられ曲管の内側曲率と合致する円弧状型面を具えた内金型と、曲管の外側曲率と合致する円弧状型面を具えた外金型と、当該外金型と内金型の型締に基づき構成される彎曲坑道内にその上方口側から挿脱可能に嵌挿し、ワークの肉厚相当の環状間隙を成形するための彎曲マンドレルとで成形金型を構成しており、所定の曲率を具えた曲管を成形することができる。
上述の加工方法および製造装置は、エルボの成形加工に関するものであり、一定の品質と生産効率を確保することができる。ところが、配管系に使用されるエルボとして、配管の溶接施工性を向上させるため、接続用の直管部を片端または両端に設けたネック付きエルボが有用であることから、これらを効率的に製造することが必要になる。
ネック付きエルボの製造に際し、例えば、従来の代表的な加工法であるマンドレル拡管曲げ法でネック付きエルボを製造する場合には、前述した装置構成(非特許文献1の41頁、図3.6)により、端部のネック長さを見込んだ長めのエルボ管を成形加工し、次いで、ネック部に相当する部分を金型に入れて直管に矯正加工することが必要になる。
すなわち、従来のネック付きエルボの製造では、管の曲げ加工とその後のネック付け加工との2行程からなる加工作業を必要としていたため、製造行程が煩雑になるとともに、成形されるネック長さには限界があり、JIS B 2312等では従来の曲げ加工法を前提として短めのネック長さ、例えば、16〜30mm程度に限定されている。
実際の配管作業において、ネックに直管を溶接する場合に、JIS規格より長いネック部を設けたエルボを用いることにより、作業性を大幅に改善できる。このようなことから、所定のネック長さを具備したネック付きエルボを、優れた寸法特性や品質特性を確保しつつ、効率的に製造することが要請される。
チューブフォーミング(管材の二次加工と製品設計)、日本塑性加工学会編、コロナ社、2002年11月25日発行 特開平6−114453号公報
本出願人は、ネック付きエルボの製造効率化の要請に対応し、押し通しによるエルボ成形加工を施す際に、ダイス穴径の入側中心軸と出側中心軸とが偏芯しているダイス(以下、「偏芯ダイス」という)を用い、素管を押し抜いて縮径加工と同時に曲げ加工を施し、1行程でネック付きエルボを製造する方法を提案した(特願2007−007118号参照)。
図1は、偏芯ダイスの構成をダイス穴径の入側中心軸と出側中心軸とが一致しているダイス(以下、「対称ダイス」という)と比較して説明する図であり、(a)は対称ダイス、(b)は偏芯ダイスを示している。
対称ダイス1aではダイス穴径の入側中心軸と出側中心軸とが一致し、周方向に亘り均一にダイス角度αが設けられている。これに対し、偏芯ダイス1bはダイス穴径の入側中心軸と出側中心軸とが偏芯しているダイスであり、周方向に亘りダイス角度βが変化する。図1(b)に示すように、偏芯ダイス1bのA部ではテーパ面が成形されダイス角度βが大きく、B部ではダイス角度βがほぼゼロ(0°)でありテーパ面が成形されない。
素管を曲げ加工する場合には、前記図1(b)に示す偏芯ダイス1bのA部(ダイス角度βが大きい部位)が曲げ加工で曲げ外周側に位置するように、B部(ダイス角度βを設けない部位)が曲げ内周側に位置するように偏芯ダイス1bを配置する。このように配置された偏芯ダイス1bを用い、素管を押し抜いて縮径加工を行うと、A部で主に塑性変形し外径が縮み肉厚が増えるのに対し、B部では塑性変形そのものが小さく肉厚変動は殆ど生じない。
さらに、成形加工において縮径加工と曲げ加工を組み合わせると、素管の押し抜き縮径加工によって管断面は塑性変形状態となり、その状態で素管に曲げ加工を加えることにより、成形加工する部位に組み合わせ応力の効果を生じさせることができる。すなわち、塑性変形状態にある素管に曲げ加工を施すことにより、曲げ加工のために新たに加えるべき曲げモーメントを小さくすることができる。
曲げ加工の際に、素管に加えるべき曲げモーメントを抑制できるようになると、曲げ手段として、旋回機能を有する曲げアームのような簡易な構造からなる手段を採用することができる。このように、曲げ手段として比較的簡易な構造を採用できるようになると、上述した偏芯ダイスの作用と組み合わせて、両ネックまたは片ネックに拘わらず、ネック付きエルボを1行程からなる縮径加工と曲げ加工によって効率的に製造できる。
図2は、両ネック付きエルボを1行程からなる縮径加工と曲げ加工によって製造する方法を説明する図であり、(a)は先端側ネックの成形プロセスを示し、(b)は曲げ部の成形プロセスを示し、(c)は後端側ネックの成形プロセスを示す。ネック付きエルボ2の成形加工には、素管3を案内するガイドチューブ4と、素管3を挿入側から逐次または連続的に押し抜く装置5とを備えて、偏芯ダイス1bを用いた縮径加工に引き続き、素管3の管端を曲げアーム6でクランプすることにより曲げ加工を行う。
先端側のネック成形は、曲げアーム6で素管の管端をクランプすることなくネック長さN1に相当する直管部を押し抜く(図2(a))。次に、曲げ部の成形は、素管3の管端を曲げアーム6でクランプし曲げ加工に移行し、所定の曲げ角度に至るまで曲げ加工を行う(図2(b))。さらに、後端側のネック成形は、曲げ加工が所定の曲げ角度に至るまで進行したのち、素管3の管端から曲げアーム6のクランプを開放し、ネック長さN2の直管部を押し抜く(図2(c))。
前記図2に示す成形方法によれば、ネック付きエルボを効率的に製造することができるが、ネック部における寸法特性が悪化し、特に偏肉の発生が顕著になる。また、曲げ加工された管の内周側では圧縮応力が作用することから、内周側の肉厚は厚くなるとともに、内周側でしわを発生し易い。
さらに、偏芯ダイス出側に配置された曲げアームを用いた曲げ加工では、偏芯ダイスから押し抜かれた後、曲げ加工の進捗にともなって曲げ部に加わる曲げモーメントが増大する。このため、曲げ部に新たな塑性変形が生じることから、局所扁平が生じ易くなる。
本発明は、このようなネック付きエルボの製造方法における問題に鑑みてなされたものであり、ネック部および曲げ部の全長に亘り肉厚変動(偏肉)をなくすとともに、曲げ部におけるしわ発生や局所扁平を抑制し、寸法特性や品質特性に優れ、高能率生産に最適なネック付きエルボの製造方法を提供することを目的としている。
本発明者らは、前記の課題を解決するため、押し通し縮径曲げによるエルボ成形加工について検討した結果、適切に対称ダイスと偏芯ダイスを切り替え、同時に偏芯ダイスを適正に配置することにより、素管を押し抜いて縮径加工と同時に曲げ加工を施すことにより、ネック部および曲げ部の全長に亘り偏肉をなくすことができ、両ネックまたは片ネックのいずれを形成するのに拘わらず、1行程からなる効率的な成形プロセスにより、ネック付きエルボを製造できることに着目した。
図3は、全長に亘り偏肉のないネック付きエルボを成形加工するプロセスを模式的に説明する図であり、(a)はネック部の成形プロセスを示し、(b)は曲げ部の成形プロセスを示している。図3(a)に示すように、ネック部の成形プロセスでは、対称ダイス1aを用い周方向に均一なダイス角度αで縮径加工を行い、その後も曲げ加工を加えることなく所定長さの直管部を押し抜く。このため、ネック部では素管肉厚を周方向に均等に増肉することが可能であり、成形加工にともなう偏肉発生をなくすことができる。
図3(b)に示す曲げ部の成形プロセスでは、対称ダイス1aを偏芯ダイス1bに切り換えて縮径加工を行い、引き続き所定の曲げ角度に至るまで曲げ加工を施す。対称ダイス1aから偏芯ダイス1bに切り替えるのは、対称ダイス1aをダイス傾斜角θで傾斜させることにより、偏芯ダイス1bを構成することができる。偏芯ダイス1bに切り換えることにより、偏芯ダイス1bのA部におけるダイス角度βは(α+θ、ただし、θ<α)となる。
このとき、偏芯ダイス1bのダイス角度βの大きいA部が曲げ外周側に位置するように、ダイス角度βの小さいB部が曲げ内周側に位置するように配置することにより、素管3の縮径加工にともない、A部では材料が主に塑性変形し外径が縮み肉厚が増えるのに対し、B部では材料の塑性変形そのものが小さく肉厚変動は殆ど生じない。このため、引き続いて曲げ加工を行うことにより、曲げ外周側に位置するA部では縮径加工による増肉と曲げ加工による減肉とを相殺させ減肉を少なくできる。
次に、後端側ネック部を成形する場合には、前記図3(a)に示すように、偏芯ダイス1bを対称ダイス1aに切り替えて、対称ダイス1aによる周方向に均一なダイス角度αで縮径加工を行い、その後も曲げ加工を加えることなく所定長さの直管部を押し抜く。これにより、後端側ネック部の成形加工にともなう偏肉発生をなくすことができる。
偏芯ダイスを用いて縮径加工を行う場合に、ダイス穴径の入側中心軸と出側中心軸とには偏芯Hが生じる。このため、図3(b)に示すように、曲げ部の成形プロセスで偏芯ダイスを用いて縮径加工を行う際に、ダイス穴径の出側中心軸と素管のパスラインと一致させ、ダイス穴径の入側中心軸を素管のパスラインより偏芯Hを下方に移動させる。
曲げ部の成形プロセスで縮径加工を行う場合の偏芯Hの修正法として、図4に示すように、曲げ部の成形プロセスで縮径加工を行う際に、偏芯ダイスのダイス穴径の入側中心軸と素管のパスラインと一致させ、ダイス穴径の出側中心軸を素管のパスラインより偏芯Hを上方に移動させる方式を採用することができる。
上記図3では、両ネック付きエルボ製品を対象として成形加工プロセスを説明したが、その成形加工プロセス内容は両ネック付きエルボ製品に限定されるものではなく、片ネック付きエルボ製品の成形加工にも適用できるものである。
ところで、上記図3で示す成形加工プロセスでは、曲げ部の成形プロセスで縮径加工と曲げ加工を組み合わせることにより、組み合わせ応力の効果が生じ、所要の曲げモーメントを小さくすることができるが、偏芯ダイスの出側において、曲げ加工の進捗にともなって曲げ部に加わる曲げモーメントが増大することがある。
例えば、エルボ製品の曲げ加工の中間過程で曲げモーメントが最大になる現象が現れると、偏芯ダイスから押し抜かれた素管に新たな塑性変形が生じることになる。このため、エルボ製品の曲げ部に局所扁平が生じ易くなる。
さらに、曲げ部の内周側に発生するしわは、曲げ加工時の圧縮応力に起因するものである。このため、曲げ加工に要する曲げモーメントを抑制できれば、曲げ外周側の引張応力および曲げ内周側の圧縮応力を小さくでき、圧縮応力に起因する曲げ内周側に発生するしわを防止できる。
通常、ネック付きエルボの成形加工には、素管を逐次または連続的に押し抜きながら、曲げ加工手段として旋回用の曲げアームを用い、素管の管端をクランプする方式が用いられる。この場合に、曲げ加工にともなう曲げモーメントは、曲げアーム旋回中心の配置条件、および曲げアームの旋回速度と押し抜き速度との比で示される速度比λの影響を受けることになる。
本発明は、上記図3に示すネック付きエルボを1行程で成形加工するプロセスを前提とする検討結果や知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)および(2)のネック付きエルボの製造方法を要旨としている。
(1)ガイドチューブに挿入された素管を挿入側から逐次または連続的に押し抜きながら、対称ダイスを用いて縮径加工するネック部成形プロセスと、偏芯ダイスに切り換えて縮径加工し、前記素管を曲げアームで保持して所定の曲げ角度に至るまで曲げ加工する曲げ部成形プロセスとを組み合わせてネック付きエルボを製造する方法であって、前記曲げ部成形プロセスにおいて、縮径加工により前記素管の曲げ外周側の肉厚を曲げ内周側の肉厚に比べて増肉させると同時に、前記曲げアームの旋回中心を偏芯ダイスの出側先端位置よりダイス入側に移動させた位置とし、所定のオフセット量Osを設けて曲げ加工を施すことを特徴とするネック付きエルボの製造方法である。
(2)上記(1)のネック付きエルボの製造方法は、前記曲げアームの旋回中心と偏芯ダイスの出側先端位置との距離で示されるオフセット量Os(mm)と、偏芯ダイスの仕上直径d(mm)との関係が下記(1)式を満足するのが望ましい。
Os/d=0.09〜0.18 ・・・ (1)
さらに、安定して扁平やしわ発生をなくすために、曲げアームの旋回速度Vφ(R・ω)と素管の押し抜き速度Vw(mm/s)との比で示される速度比λ(Vφ/Vw)を0.9〜1.1の範囲で管理するのが望ましい。速度比λ(Vφ/Vw)がこの範囲を外れる場合、すなわち曲げアーム旋回速度Vφが過度に遅かったり、または速かったりすると、扁平やしわ発生をし易いことによる。さらに、また旋回アームに過度の荷重が働くことから、設備保全上からも望ましくない。
本発明のネック付きエルボの製造方法によれば、適切に対称ダイスと偏芯ダイスを切り替え、同時に偏芯ダイスを適正に配置することにより、素管を押し抜いて縮径加工し曲げ加工を施すとともに、曲げアームのオフセット量(旋回中心と偏芯ダイスの出側先端位置との距離)を適切に選択し、さらに速度比(曲げアームの旋回速度と押し抜き速度の比)を制御することにより、両ネックまたは片ネックを形成するに拘わらず、高能率に製造することができる。
しかも、得られたネック付きエルボ製品は、ネック部および曲げ部の全長に亘り偏肉をなくすとともに、曲げ部におけるしわ発生や局所扁平を抑制し、優れた寸法特性や品質特性を確保することができる。
図5は、本発明が対象とするネック付きエルボ製品の外観形状を示す図であり、(a)は片ネック付きエルボ製品を、(b)は両ネック付きエルボ製品を示している。ネック付きエルボ2の形状は軸心を基準とする曲率半径R並びに外径D、内径および肉厚tで規定されており、用途によってロングエルボ(曲率半径Rが1.5×外径D)、またはショートエルボ(曲率半径Rが外径D)に区分される。
図5(a)に示す片ネック付きエルボ2は、曲げ部の片端に溶接施工用の直管からなる長さNのネック部を設けており、図5(b)に示す両ネック付きエルボ2は、曲げ部の両端に溶接施工用の直管からなる長さNのネック部を設ける。
図6は、本発明のネック付きエルボの製造方法を実施するための模式的な装置構成例を示す図である。素管3を挿入するガイドチューブ4と素管3を挿入側から逐次または連続的に押し抜くための押し抜き装置5が配置される。そして、ガイドチューブ4の先端側にダイスタンド7が設けられており、このダイスタンド7に縮径加工を施すためのダイス装置1と、曲げ加工を施す曲げ手段として曲げアーム6が配置される。
ダイス装置1は傾斜機構を備えており、ネック部または曲げ部の成形プロセス切替にともなって、対称ダイスと偏芯ダイスとの切替を行う。対称ダイスを用いて縮径加工する場合は、素管肉厚は周方向に均等に増肉される。一方、偏芯ダイスを用いて縮径加工する場合は、偏芯ダイスのダイス角度βが大きい部位が曲げ外周側に位置し、ダイス角度βの小さい部位が曲げ内周側に位置するように配置され、素管肉厚は曲げ外周側において曲げ内周側に比べて増肉される。
曲げアーム6は、ダイス装置1の出側領域に配置され、ダイスタンド7に固定される。このとき、曲げアーム6は、旋回中心を偏芯ダイスの出側先端位置よりダイス入側に移動させた位置とし、所定のオフセット量Osを設けて配置される。曲げアーム6の先端には、図示しないが、素管3を保持するためのアームクランプが設けられる。アームクランプは、ネック部または曲げ部の成形プロセス切替にともない、保持または開放の操作を繰り返す。
さらに、ダイスタンド7には、偏芯ダイスを用いて縮径加工を行う場合に、偏芯Hを修正するため、ダイス装置1および曲げアーム6と連動して昇降可能な装置が設置される。
素材鋼管から設計寸法に切断された素管3は、ガイドチューブ4に挿入され、ガイドチューブ4の後端側に配置された押し込み装置5の油圧シリンダーの作動によって、押し抜き速度Vw(mm/s)でダイス装置1に押し込まれる。
先端側ネック部の縮径加工のプロセスでは、対称ダイスを用いて素管肉厚を周方向に均等に増肉し、曲げアーム6のアームクランプで素管を保持することなく所定長さの直管部を押し抜く。このため、先端側ネック部では、成形加工にともなう偏肉を発生することがない。
曲げ部の縮径加工のプロセスでは、対称ダイスを偏芯ダイスに切り換えるため、ダイス傾斜角度θが設定され、これと連動してダイスタンド7が偏芯Hを修正すると同時に、曲げアーム6のアームクランプが素管3を保持し、曲げアーム6は旋回速度Vφ(R・ω)で、所定の曲げ角度φに至るまで曲げ加工を施す。
このときの曲げ部の縮径加工のプロセスでは、縮径加工された素管3は、偏芯ダイスのダイス角度βが大きい部位で増肉加工され、その後の曲げ加工にともなう減肉と相殺されるため、肉厚変動が小さくなる。
後端側ネック部の縮径加工プロセスでは、曲げアーム6が所定の曲げ角度φに達した後、偏芯ダイスから対称ダイスに切り換えるため、ダイス傾斜角度θをゼロ(零)に設定し、これと連動してダイスタンド7を下降させ、偏芯Hをゼロ(零)にすると同時に、曲げアーム6のアームクランプによる素管の保持を開放し、所定長さのネック部を押し抜く。
本発明のネック付きエルボの製造方法では、上記図6に示す装置構成において、曲げアームの旋回中心を偏芯ダイスの出側先端位置よりダイス入側に移動させた位置に配置し、曲げアームの旋回中心と偏芯ダイスの出側先端位置との距離で示されるオフセット量Osを設ける。
オフセット量Osを適切に選択して曲げ加工を施すことにより、偏芯ダイスから押し抜かれた素管に付加される曲げモーメントを増大させることがない。このため、偏芯ダイス出側を通過した素管に新たな塑性変形が生じることがなく、曲げ加工にともなう扁平変形が解消され、曲げ部に局所扁平が発生することを防止できる。同様に、曲げ内周側の圧縮応力を低減できるので、圧縮応力に起因するしわ発生を防止できる。
適切なオフセット量Osは、素管の押し抜き寸法との関係が確認されており、曲げアームのオフセット量Os(mm)と、偏芯ダイスの仕上直径d(mm)との関係が下記(1)式を満足するのが望ましい。
Os/d=0.09〜0.18 ・・・ (1)
上記(1)式において、Os/d値が0.09未満であると、偏芯ダイスから押し抜かれた素管に付加される曲げモーメントの増加が見られ、新たな塑性変形が生じ曲げ加工にともなう変形により、曲げ部に局所扁平が発生し易くなる。
一方、上記Os/d値が0.18を超えるようになると、偏芯ダイスから押し抜き後、曲げモーメントの増大は回避できるが、曲げ内周側にしわの起点が生じ、曲げ部にしわが発生し易くなる。
本発明のネック付きエルボの製造方法では、曲がり部に発生する扁平を軽減し、同時にしわ発生をなくすために、曲げアームの旋回速度Vφ(R・ω)と素管の押し抜き速度Vw(mm/s)との比で示される速度比λ(Vφ/Vw)を0.9〜1.1で稼働させるのが望ましい。すなわち、速度比λ(Vφ/Vw)がこの範囲を外れる場合、具体的には、曲げアーム旋回速度Vφが過度に遅かったり、または速かったりする場合には、扁平やしわ発生をし易く、また旋回アームに過度の荷重が働くことから、設備保全上も望ましくない。
前記図6に示す装置構成例からなる押し通し装置を用いて、寸法が外径60.5mm×肉厚3.8mm×長さ400mmである素管(炭素鋼)を準備し、偏芯ダイスによる押し抜き仕上寸法が55mmとなる両ネック付きエルボを製造した。このときの成形加工による縮径率は10%に相当する。
ダイス半角αが7.5°の対称ダイスを用い、素管の押し抜き速度Vwを2.5mm/sで一定として、ネック部の成形加工を行った。次いで曲げ部の成形加工の開始と同時にダイスを傾斜し、傾斜角度θ=αとして偏芯ダイスに切り替えた。このときの曲げアームの旋回速度Vφ(R・ω)を制御し、速度比λ(Vφ/Vw)と曲げアームのオフセット量Os(mm)を設定した。
本実施例では、先端側ネック部の長さ100mmを縮径加工し、次いで偏芯ダイスに切り替え、曲げアームで素管をクランプして所定の曲げ角度に至るまで曲げ加工を行い、曲げ加工後はダイス傾斜を戻し対称ダイスに切り替えて後端側ネック部を縮径加工し、曲がり部の扁平率の測定、並びに局所扁平およびしわ発生の評価を行った。
図7は、ネック付きエルボ成形加工後の測定位置を示す図である。該当する測定位置での短径d1および長径d2から平均径d0を算出して、下記(2)より扁平率Frを求めた。算出された扁平率Frの結果および評価結果を表1に示す。
Fr(%)={(d2−d1)/d0}×100 ・・・ (2)
Figure 2010051990
表1の結果から、オフセット量Osを設けない場合には(試験No.1、2)、曲げ加工の中間過程において曲げモーメントが大きくなって、扁平率が増大し、曲げ部に局所扁平が観察された。
一方、オフセット量Osを大きくしすぎて、Os/d値が0.27になると(試験No.7、8)、ダイス出側位置の曲げ部内周側にしわ発生があった。
これに対し、本発明で規定するOs/d値が0.09〜0.18の範囲においては(試験No.3〜6)、いずれも曲げ加工の中間過程において曲げモーメントの増加が抑制され、扁平率Frは20%未満に低減されるとともに、しわ発生は観察されなかった。
本実施例では、扁平率Frの測定と同時に、縮径加工された素管が偏芯ダイスのダイス角度βが大きい部位で増肉加工され、その後の曲げ加工にともなう減肉と相殺され、肉厚変動が小さくなり、偏肉率が6%以下に抑制されていることを確認している。
本発明のネック付きエルボの製造方法によれば、適切に対称ダイスと偏芯ダイスを切り替え、同時に偏芯ダイスを適正に配置することにより、素管を押し抜いて縮径加工し曲げ加工を施すとともに、曲げアームのオフセット量(旋回中心と偏芯ダイスの出側先端位置との距離)を適切に選択し、さらに速度比(曲げアームの旋回速度と押し抜き速度の比)を制御することにより、両ネックまたは片ネックを形成するに拘わらず、高能率に製造することができる。
しかも、得られたネック付きエルボ製品は、ネック部および曲げ部の全長に亘り偏肉をなくすとともに、曲げ部におけるしわ発生や局所扁平を抑制し、優れた寸法特性や品質特性を確保することができる。これによりエルボ配管に用いられるネック付きエルボの成形加工法として広く利用することができる。
偏芯ダイスの構成を対称ダイスと比較して説明する図であり、(a)は対称ダイス、(b)は偏芯ダイスを示している。 両ネック付きエルボを1行程からなる縮径加工と曲げ加工によって製造する方法を説明する図であり、(a)は先端側ネックの成形プロセスを示し、(b)は曲げ部の成形プロセスを示し、(c)は後端側ネックの成形プロセスを示す。 全長に亘り偏肉のないネック付きエルボを成形加工するプロセスを模式的に説明する図であり、(a)はネック部の成形プロセスを示し、(b)は曲げ部の成形プロセスを示している。 曲げ部の成形プロセスで縮径加工を行う場合に適用できる、他の偏芯Hの修正法を示す。 本発明が対象とするネック付きエルボ製品の外観形状を示す図であり、(a)は片ネック付きエルボ製品を、(b)は両ネック付きエルボ製品を示している。 本発明のネック付きエルボの製造方法を実施するための模式的な装置構成例を示す図である。 ネック付きエルボ成形加工後の測定位置を示す図である。
符号の説明
1:ダイス、ダイス装置、 1a:対称ダイス
1b:偏芯ダイス、 2:エルボ
3:素管、 4:ガイドチューブ
5:押し抜き装置、 6:曲げアーム
7:ダイスタンド

Claims (3)

  1. ガイドチューブに挿入された素管を挿入側から逐次または連続的に押し抜きながら、ダイス穴径の入側中心軸と出側中心軸とが一致しているダイス(以下、「対称ダイス」という)を用いて縮径加工するネック部成形プロセスと、
    前記対称ダイスをダイス穴径の入側中心軸と出側中心軸とが偏芯しているダイス(以下、「偏芯ダイス」という)に切り換えて縮径加工し、前記素管を曲げアームで保持して所定の曲げ角度に至るまで曲げ加工する曲げ部成形プロセスとを組み合わせてネック付きエルボを製造する方法であって、
    前記曲げ部成形プロセスにおいて、縮径加工により前記素管の曲げ外周側の肉厚を曲げ内周側の肉厚に比べて増肉させると同時に、前記曲げアームの旋回中心を偏芯ダイスの出側先端位置よりダイス入側に移動させた位置とし、所定のオフセット量Osを設けて曲げ加工を施すことを特徴とするネック付きエルボの製造方法。
  2. 前記曲げアームの旋回中心と偏芯ダイスの出側先端位置との距離で示されるオフセット量Os(mm)と、偏芯ダイスの仕上直径d(mm)との関係が下記(1)式を満足することを特徴とする請求項1に記載のネック付きエルボの製造方法。
    Os/d=0.09〜0.18 ・・・ (1)
  3. 前記曲げアームの旋回速度Vφ(R・ω)と素管の押し抜き速度Vw(mm/s)との比で示される速度比λ(Vφ/Vw)が0.9〜1.1であることを特徴とする請求項1または2に記載のネック付きエルボの製造方法。
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