JP2010051825A - ゴルフクラブヘッドの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属材料と繊維強化樹脂とからなるゴルフクラブヘッドにおいて接合部の強度を高め耐久性を向上させる。
【解決手段】金属材料からなる第1のヘッド部材M1と、繊維強化樹脂からなる第2のヘッド部材とが固着された中空構造のゴルフクラブヘッドの製造方法である。第1の接合部F1の内面に、少なくとも一部が開口部O2にはみ出して貼り付けられる少なくとも1枚の内のプリプレグPiと、内のプリプレグPiが貼り付けられた後、第1の接合部の外面F1に開口部O2を覆うように貼り付けられる少なくとも1枚の外のプリプレグとを含む。内のプリプレグPiは、開口部O2の縁に沿って貼り付けられる複数のテープ状体31又は中央に孔を設けたリング状体をなすことにより、前記開口部O2を完全に閉じないことを特徴とする。
【選択図】図20

Description

本発明は、金属材料と繊維強化樹脂とから形成されたゴルフクラブヘッドの製造方法に関する。
近年、金属材料と繊維強化樹脂とを用いて形成されたゴルフクラブヘッドが提案されている。このヘッドは、金属材料による高い強度や心地良い打球音などの利点と、繊維強化樹脂の低比重といった利点とを取り入れることができる。このようなヘッドを教える文献として下記特許文献1ないし2が知られている。
特許文献1は、ヘッドのクラウン部に切り欠かれた窓部を設けることを教える。ヘッドは、金属又は繊維強化樹脂からなり、窓部は切り欠かれたままの態様の他、低比重材料からなる蓋部によって閉塞される態様が含まれている。また特許文献2は、ボールを打球するフェース部とその縁から後方にのびる返り部とを有する金属製のフェース部材と、プリプレグパイルからなるアフトボディとを固着したヘッドを教えている。
実開平5−51374 特開2003−62130
図22に略示するように、金属材料からなる例えばフェース部材aと、繊維強化樹脂からなる例えばクラウン部材bとを接着する場合、フェース部材aに設けた接合部a1と、クラウン部材bに設けた接合部b1とは、ヘッド内外で重ねられて接着される。しかしながら、接着部の界面には、繰り返し行われる打球時の衝撃力により大きなせん断力が作用するため、接合面において、接着層の剥離や強度の低い繊維強化樹脂の破損などが生じやすいことが判明した。
本発明は、以上のような問題点に鑑み案出なされたもので、金属材料からなる第1のヘッド部材に設けられた第1の接合部と、繊維強化樹脂からなる第2のヘッド部材に設けられた第2の接合部との接合部の接合強度を高め、ひいては耐久性を向上しうるゴルフクラブヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
本発明のうち請求項1記載の発明は、金属材料からなる第1のヘッド部材と、繊維強化樹脂からなる第2のヘッド部材とが固着された中空構造のゴルフクラブヘッドを製造するゴルフクラブヘッドの製造方法であって、前記第2のヘッド部材が配される開口部が設けられるとともに、該開口部の周囲をなす第1の接合部に少なくとも一つの凹部が設けられた第1のヘッド部材を形成する工程と、前記第1の接合部に前記開口部を覆う少なくとも1枚のプリプレグを貼り付けることにより中空部を有するヘッド基体を形成する工程と、前記ヘッド基体を金型のキャビティの中で加熱するとともに、第1のヘッド部材の中空部へ挿入されたブラダーを膨張させることにより、前記プリプレグを成形しかつ前記第1の接合部に固着させて第2のヘッド部材を形成する工程と、前記ブラダーを収縮させて前記中空部から取り出す工程とを含み、前記プリプレグは、前記第1の接合部の内面に、少なくとも一部が前記開口部にはみ出して貼り付けられる少なくとも1枚の内のプリプレグと、前記内のプリプレグが貼り付けられた後、前記第1の接合部の外面に前記開口部を覆うように貼り付けられる少なくとも1枚の外のプリプレグとを含むとともに、前記内のプリプレグは、前記開口部の縁に沿って貼り付けられる複数のテープ状体又は中央に孔を設けたリング状体をなすことにより、前記開口部を完全に閉じないことを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記プリプレグの少なくとも一部は、前記第1の接合部の凹部の中に流れ込んで硬化した凸部をなすことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドの製造方法である。
また請求項3記載の発明は、前記内のプリプレグ及び/又は前記外のプリプレグは、接着剤を介して前記第1の接合部の前記内面及び/又は外面に前記貼り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法である。
また請求項4記載の発明は、前記第2のヘッド部材は、樹脂含有率が15〜35%であることを特徴とする請求項11記載のゴルフクラブヘッドの製造方法である。
ここで「樹脂含有率」とは、繊維強化樹脂である第2のヘッド部材の全重量に対する樹脂成分の重量比率を意味する。樹脂の重量は、測定対象となる樹脂部材ないしプリプレグから樹脂成分のみを化学的に分解、除去して繊維だけを取り出し、予め測定した樹脂部材の重量からこの繊維の総重量を差し引いて得ることができる。樹脂材料から樹脂を化学的に除去するには、例えば加熱硝酸液を使用して行うことができ、またプリプレグから樹脂を化学的に除去するには、例えばメチルエチルケトンを用いて行うことができる。
請求項1記載のゴルフクラブヘッドの製造方法では、第2のヘッド部材の周縁部に、断面二股状部分を容易に形成することができ、接合強度の高いゴルフクラブヘッドを製造しうる。また前記内のプリプレグ及び/又は前記外のプリプレグの少なくとも一部を、前記第1の接合部の凹部の中に入り込ませて硬化させることができ、前記凹部に嵌入した凸部を容易に形成できる。
また、前記内のプリプレグは、前記開口部の縁に沿って貼り付けられる複数のテープ状体又は中央に孔を設けたリング状体をなし、前記開口部を完全に閉じないときには、そこに設けられた空隙を利用して第1の接合部の内面に容易に内のプリプレグを貼り付けることができる。従って、作業性が大幅に向上する。
また請求項3記載の発明のように、前記内のプリプレグ及び/又は前記外のプリプレグは、接着剤を介して前記第1の接合部の前記内面及び/又は外面に前記貼り付けられるときには、より一層接合強度を向上できる。
また請求項4記載の発明のように、前記第2のヘッド部材は、樹脂含有率が15〜35%であるときには、成形時にプリプレグの樹脂が十分に流動し、第1の接合部と隙間無く密着することができる。またプリプレグの樹脂が第1の接合部の凹部へと流れ込みやすく前記凸部を確実に形成できる。
以下本発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1はゴルフクラブヘッド(以下、単に「ヘッド」ということがある。)1を規定のライ角、ロフト角(リアルロフト角)として水平面に載置した基準状態の斜視図、図2はその平面図、図3は同底面図、図4、図5は図2のA−A、B−B拡大断面図、図6はヘッドの分解斜視図をそれぞれ示す。なおこの実施形態では、ヘッド1として、ドライバー(#1)又はフェアウェイウッドといったウッド型のものが例示されている。
該ヘッド1は、ボールを打球する面であるフェース面2を外表面とするフェース部3と、前記フェース面2の上縁2aに連なりヘッド上面をなすクラウン部4と、前記フェース面2の下縁2bに連なりヘッド底面をなすソール部5と、前記クラウン部4とソール部5との間を継ぎ前記フェース面2のトウ側縁2tからバックフェースを通り前記フェース面2のヒール側縁2eに至ってのびるサイド部6と、フェース部3とクラウン部4とサイド部6とがヒール側で交わる交わり部の近傍に配されかつ図示しないシャフトの一端が装着されるネック部7とを具える。また、ヘッド1は、内部に中空部iを有する中空構造としている。これにより、中実のヘッドに比べて打球時の残響音を長引かせるのに役立つ。
またヘッド1は、金属材料からなる第1のヘッド部材M1と、繊維強化樹脂からなる第2のヘッド部材M2とを用いて構成されている。第1のヘッド部材M1は、図6〜図8に示す如く、フェース面2を形成するフェース壁部9と、ヘッド底面をなすソール壁部10と、ヘッド側面をなすサイド壁部11とを含むとともに、ネック部7が一体に形成されている。また第1のヘッド部材M1は、ヘッド上面に開口部O1を有するものが例示される。
この実施形態のフェース壁部9は、フェース面2の全域を形成するものが示されるが、このような態様に制限されるものではなく、例えばフェース面2の一部分、より好ましくは主要部(例えばフェース面2の60%以上)を形成するものでも良い。前記フェース壁部9は、フェース面2からフェース裏面2Bまでを形成している。このように、ボールと直接当接するフェース壁部9が、金属材料からなるため、本実施形態のヘッド1は、金属材料の高い強度による耐久性の向上と、甲高い打球音とを両立させることができる。
フェース壁部9の厚さは、使用する金属材料との兼ね合いにより種々定めることができる。例えば一定の厚さでも良く、また各部で異ならせても良い。本実施形態のフェース壁部9は、図4に示すように、中央部9aに比して周辺部9bの厚さを小としたものが例示される。中央部9aの厚さTcは、例えば2.5〜3.0mm、より好ましくは2.7〜2.9mmとするのが望ましく、また周辺部9bの厚さTpは、例えば2.0〜2.5mm、より好ましくは2.3〜2.5mmとするのが望ましい。また周辺部9bの巾などは適宜定めることができ、好ましくは周辺部9bの面積が中央部9aの面積の20〜50%程度となるよう定めるのが望ましい。
このような周辺薄肉構造のフェース壁部9は、ボールと直接接触する機会の多い中央部9aの厚さを大とするため耐久性を高め得るとともに、厚さを小とした周辺部9bによって耐久性を損ねることなくフェース部3を大きく撓ませることが可能となる。従って、本実施形態のヘッド1は、ボールにヘッドの運動エネルギーを効率良く伝え、ひいては打球の初速を増し、飛距離を増大させるのに役立つ。
前記ソール壁部10は、フェース壁部9の下側の縁からヘッド後方にのびる板状で構成されたものが例示される。本実施形態のソール壁部10は、前記ソール部5の全部を構成したものを示す。ただし、例えばソール部5の一部分(例えばソール部5の面積の60%以上、より好ましくは80%以上)の面積を持つものとしても構成しうる。ソール部5は、スイング時に地面と接し易いため、ソール壁部10を金属材料で構成することにより、ヘッドの耐外傷性、耐久性をより一層向上できる。またソール壁部10は、金属材料から構成される結果、大きな重量をヘッド下方に配することでヘッド重心をより低く位置させることができる。なおソール壁部10の厚さTsは、特に限定はないが、好ましくは0.9〜3.0mm、より好ましくは1.2〜2.0mmとすることが望ましい。
前記サイド壁部11は、本実施形態では、ソール壁部10の周囲から立ち上がるとともに、フェース壁部9のトウ側の縁からバックフェースを通りヒール側の縁まで連続してのびるものが例示される。サイド壁部11は、図4に示されるように、本例ではクラウン部4とサイド部6との境界E(稜線がある場合は該稜線とし、稜線がない場合には、境界に設けられた円弧面の中間とする)よりも僅かに小高さで終端するものが例示されている。サイド壁部11の厚さTbは、特に限定はないが、好ましくは0.8〜6.0mm、より好ましくは1.0〜5.0mmとすることが望ましい。このようなサイド壁部11は、重量をヘッドの周囲に配分するのに役立つ。
また本実施形態の第1のヘッド部材M1は、前記開口部O1の周囲に、第1の接合部F1が設けられる。第1の接合部F1は、後述の第2のヘッド部材M2とヘッド内、外で重なる部分を形成する。本実施形態の第1の接合部F1は、図6に示すように、フェース側の接合縁20と、サイド側の接合縁21とを含み、前記開口部O1の周囲に連続して形成されたものが例示される。
フェース側の接合縁20は、フェース壁部9の裏面2Bからヘッド後方に小長さで突設されかつトウ、ヒール方向にのびている。この例では、フェース側の接合縁20は、開口部O1とフェース壁部9とに挟まれる部分である。またフェース側の接合縁20の外面は、クラウン部4の表面から後述の第2のヘッド部材M2の厚さ分だけヘッド内方に控えて位置するものが示される。このようなフェース側の接合縁20は、第2のヘッド部材M2の厚さを吸収し、該第2のヘッド部材M2の外面をフェース面2の上縁2aと滑らかに連ねるのに役立つ。フェース側の接合縁20の前後方向の長さ、即ち、第1の接合部F1と第2の接合部F2との重なり幅L1(開口部O1の縁と直角方向に測定される)は、小さすぎると、第2のヘッド部材M2との接着面積や支持面積が減少するため、接合強度が低下する傾向があり、逆に大きすぎてもヘッド重量の増加を招き易く好ましくない。このような観点より、前記幅L1は例えば5.0mm以上、より好ましくは8.0mm以上、さらに好ましくは12.0mm以上が望ましく、上限については好ましくは25.0mm以下、より好ましくは20.0mm以下が望ましい。なおこの幅は、開口部O1の周囲で一定でも良く又変化させても良い。
また本実施形態のサイド側の接合縁21は、フェース側の接合縁20のトウ側端から開口部O1の周囲に沿ってバックフェース側にのびかつフェース側の接合縁20のヒール側に連なるものが例示される。具体的には、そのトウ側部分をなす第1のサイド側の接合縁部21aと、ヒール側部分をなす第3のサイド側の接合縁部21cと、これらの間の部分をなす第2のサイド側の接合縁部21bとを含んで構成されている。
第1のサイド側の接合縁部21aは、本実施形態では、サイド壁部11の上縁部分に形成された側接合縁部21a1と、この側接合縁部21a1に連なりかつクラウン部4に沿った面を形成する上接合縁部21a2とに跨って形成されている。また第3のサイド側の接合縁部21cも、サイド壁部11の上縁部分に形成された側接合縁部21c1と、この側接合縁部21c1に連なりかつクラウン部に沿った面を形成する上接合縁部21c2とに跨って形成されている。このように、前記上接合縁部21a2、21c2は、繊維強化樹脂からなる第2のヘッド部材M2との重なり幅L1を大とし強度を補うことによって、クラウン部4を打球時の衝撃力から保護するのに役立つ。また第1及び第3のサイド側の接合縁部21a、21cは、接合界面を多様化し、さらに第2のヘッド部材M2との接合強度を向上しうる。
他方、本実施形態の第2のサイド側の接合部21bは、サイド壁部11の上縁部分に形成された下接合縁部21b1のみで形成されており、上側接合部が設けられていないものが例示される。バックフェース付近では、打球時の衝撃力も小さいため、この部分では上接合縁部を排除し、その重量を軽減させるのが好ましい。ただし、この部分にも上接合縁部を設けることができる。
上接合縁部21a2、21c2の外面は、いずれもクラウン部4の表面から本実施形態では段差を有して凹む。同様に、側接合縁部21a1、21b1、21c1の外面も、サイド部6の外面から段差を有して凹んでいる。これにより、上接合縁部21a2、21c2や、側接合縁部21a1、21b1、21c1は、フェース側の接合部20と同様、第2のヘッド部材M2の厚さを吸収し、該第2のヘッド部材M2の外面を第1のヘッド部材M1の外面と滑らかに連ねるのに役立つ。
また本実施形態の第1の接合部F1には、凹部8aが形成されている。本実施形態の凹部8aは、フェース側の接合縁20及び上接合縁部21a2、21c2についてはクラウン部4の外面と直交する向きの深さを有するものとし、また側接合縁部21a1、21b、21c1については、サイド部6の外面と直交する向きの深さを有した円形の貫通孔で形成される。すなわち、凹部8aは、各接合部の表面と直交する向きの深さを有している。また凹部8aは、複数個が設けられ、第1の接合部F1に沿って隔設されたものが例示される。
第1のヘッド部材M1は、例えば鋳造により一体成形することが好ましい。これにより、ヘッドのロフト角、ライ角などを決定付けるネック部7とフェース壁部9とソール壁部10とを後から溶接する必要が無いため、前記ライ角、ロフト角などを精度良く仕上げるのに役立つ。凹部8aについては、鋳造により形成しても良く、また鋳造後に各種の機械加工(例えばNC加工)で形成することもできる。ただし、本発明は、第1のヘッド部材M1を、鍛造、プレス、圧延、切削などによって個々に形成された2以上の部品を溶接等により一体化して形成されるものを排除するものではない。
第1のヘッド部材M1に使用する金属材料としては、特に制限はないが、好ましくは比強度の大きいチタン合金が好適である。チタン合金としては、α+β系やβ系のチタン合金が好適である。より具体的には、Ti−6Al−4V、Ti−4.5Al−3V−2Fe−2Mo、Ti−2Mo−1.6V−0.5Fe−4.5Al−0.3Si−0.03C、Ti−15V−3Cr−3Al−3Sn、Ti−15Mo−5Zr−3Al、Ti−15Mo−5Zr−4Al−4V、Ti−15V−6Cr−4Al、Ti−20V−4Al−1Snなどが好ましい。
また第1のヘッド部材M1には、チタン合金以外にも、例えばアルミニウム合金、純チタン、ステンレス、その他各種の金属材料をも使用しうる。本実施形態の第1のヘッド部材M1は、鋳造に適したTi−6Al−4Vが採用され、ロストワックス精密鋳造法によって前記各部を一体成形した好ましい態様を示す。また必要に応じて、第1のヘッド部材M1は、比重が大きな異種金属をソール壁部10などに複合させても良い。この場合、第1のヘッド部材M1は、組成及び比重が異なる2種以上の金属材料を用いて形成される。
第2のヘッド部材M2は、第1のヘッド部材M1の前記開口部O1を覆うように配されクラウン部4の一部を形成するものが例示される。本実施形態の第2のヘッド部材M2は、ヘッド1のクラウン部4を形成する部分をなす基部12と、該基部12の縁で折れ曲がり小長さでヘッド下方に垂下した垂下片13とからなるものが例示される。
基部12は、実質的にクラウン部4の全域を形成しており、かつそのヒール側の縁は第1のヘッド部材M1に形成されたネック部7に沿って切り欠かれている。また垂下片13は、サイド部6に沿って設けられ、第1のヘッド部材M1と固着されることにより、サイド部6の一部を構成する。なお本実施形態の垂下片13は、基部12のトウ側縁からバックフェースを通りヒール側まで連続して形成されたものが例示される。ただし、このような態様に限定する趣旨ではない。
前記基部12の厚さTf(図4に示す)は、特に限定はされないが、小さすぎると強度が得られない傾向があり、大きすぎても無駄な重量をヘッド上部に配することとなり好ましくない。このような観点より、前記厚さTfは、例えば0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.8mm以上とし、上限については好ましくは3.0mm以下、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下が望ましい。また垂下片13の厚さTeも、特に限定はされないが、小さすぎると接合部での強度が得られない傾向があり、大きすぎても無駄な重量をヘッド上部に配することとなり好ましくない。このような観点より、前記厚さTeは、例えば0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上、特に好ましくは0.7mm以上が望ましく、上限については好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.2mm以下が望ましい。
このような第2のヘッド部材M2は、繊維強化樹脂によって形成されるため軽量化が可能であり、ひいては、ヘッド体積の大型化などを容易に実現できる。また第2のヘッド部材M2をクラウン部4に主に用いることによって、ヘッド上部側の重量を大幅に削減でき、ヘッド重心高さが大となるのを効果的に防止しうる。
また第2のヘッド部材M2の周囲には、前記第1の接合部F1と重なる第2の接合部F2が設けられる。本実施形態の第2の接合部F2は、基部12の前縁部12aと、前記垂下片13とを含んで構成される(図6に仮想線で示す)。第2の接合部F2のトウ側部分及びヒール側部分は、前記垂下片13と基部12とに跨る接合部14、15が設けられる。このような接合部14、15は、接合界面を直角に交わる平面に設けることにより多様化させ、第2のヘッド部材を第1のヘッド部材に強固に固着しうる。
また第2の接合部F2には、第1の接合部F1に設けられた凹部8aと嵌合しうる凸部8bが形成される。特に前記接合部14、15には、基部12及び垂下片13の双方に凸部8aが設けられている。凸部8bは、第1のヘッド部材M1に向かって突出する小高さの円柱状の突起により形成されたものが例示される。各凸部8bは、凹部8aそれぞれに対応した位置に設けられる。また凸部8bの突出高さは実質的に凹部8aの深さに等しいか、わずかに小さく設定されるのが望ましい。
このような第2のヘッド部材M2は、例えば第1のヘッド部材M1とは別に形成され、接着剤等にて第1のヘッド部材M1と一体化されても良い(ただし、この製法は参考例である)。また参考例では、一体成形法などを用いることができる。一体成形法では、例えば図9(A)に示されるように、内部に空気を封入した膨張可能なブラダBの外周面に、繊維の配列体を未硬化ないし半硬化の樹脂に含浸させてシート状としたプリプレグP1、P2…を貼り付けるとともに、図9(B)に示されるように、これを金型Md内に装着し、ブラダBをさらに膨張させて加熱した金型Md内で加熱加圧しプリプレグP1、P2…を所望の全体ないし主要部形状に成形することができる。しかる後、第2の接合部F2に凸部8bを熱溶着等を含む接着により固着できる。
繊維強化樹脂に用いる補強繊維としては、炭素繊維が好ましく、例えば引張弾性率が200GPa以上、より好ましくは240GPa以上、さらに好ましくは290GPa以上、特に好ましくは290〜500GPaのものが望ましい。具体的には、表1に示す繊維が好適である。
Figure 2010051825
これらの繊維は、ランダムに分散されたり、或いは織物状としたり、さらには一方向に配向され、例えばエポキシ系の熱硬化性樹脂に含浸されシート状のプリプレグを構成する。そしてこのプリプレグを所定形状に裁断しかつ必要な枚数だけ積層して所定形状に成形しかつ硬化させることにより第2のヘッド部材M2を成形しうる。なおこれらの製法を用いる場合、樹脂含有率は20〜25%程度であるのが望ましい。またプリプレグを積層する際には、各層で繊維が互いに交差するように積層し、強度を高めるのが好ましい。なお炭素繊維の引張弾性率は、JIS R7601:1986「炭素繊維試験方法」に準拠して測定された値とする。
前記ゴルフクラブヘッド1は、第1のヘッド部材M1と第2ヘッド部材M2とが、第1の接合部F1と第2の接合部F2との間に接着剤を介して重ねられるとともに、凸部8bを凹部8aにそれぞれ嵌入して一体化される。このようにして形成されたヘッド1は、接着剤による接着強度に加え、凸部8bと凹部8aとの嵌合による機械的な結合(いわゆるアンカー効果)が得られるため、接合部の強度が大幅に向上する。この結果、接着界面に作用するせん断力に対しても剥離や繊維強化樹脂の破損などを効果的に防止し、ヘッドの耐久性、信頼性を向上しうる。なお凹部8aを貫通孔とした場合、厳密に言えばこの部分では第1のヘッド部材M1と第2のヘッド部材M2とは重ならない。しかし、便宜上、本実施形態のような態様も、凹部8aが第1の接合部F1に設けられたものとする。
図10に部分的に拡大して示されるように、凹部8aの最大径Dが小さすぎると、これに嵌入される凸部8bも小径となり、そのせん断強度が低下する傾向がある。逆に凹部8aが大きすぎても、接合縁の強度を低下させやすく好ましくない。特に制限はされないが、好ましくは凹部8aの最大径Dは、2.0mm以上、より好ましくは3.0mm以上が望ましく、上限については好ましくは8.0mm以下、より好ましくは5.0mm以下が望ましい。特に好ましくは、凹部8a1個当たりの容積を1.5mm3 以上、より好ましくは5.6mm3 以上とするのが望ましく、上限については好ましくは102.0mm3 以下、より好ましくは30.0mm3 以下が望ましい。
凹部8aは、円形以外にも楕円形、長円状、スリット状又は多角形など種々の形状で形成することができ、凸部8bの形状もこれに応じて変形することができる。また仮想線で示すように、凸部8bの先端に、凹部8aよりも径を大とした抜け止め用の拡径部8cを設けることもできる。
また本実施形態では、凹部8aは、貫通孔からなるものを示したが、図11に示すように、有底孔とすることも勿論可能である。有底孔とする場合、その孔深さは、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.8mm以上とするのが望ましく、上限については好ましくは2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下が望ましい。前記孔深さが0.5mm未満では、前記アンカー効果が低下する傾向があり、逆に2.0mmを超える場合には、接合縁の厚さが大となりやすく好ましくない。また凹部8aを有底孔とする場合、図12に示されるように、開口部O1に沿って連続又は間欠的にのびる溝状のものでも良い。勿論、このような溝状の凹部8aを複数本形成することも可能である。また図13に示されるように、凹部8aを第2の接合部F2に、凸部8bを第1の接合部F1に設けることも勿論可能であり、また、以上の各実施形態を適宜組み合わせたり、凸部8bと凹部8aを第1、第2の接合部F1、F2双方に設けることも可能である。
特に好ましくは、個々の凹部8aの面積(凹んでいる部分の表面積)の総和である凹部全面積S1を、第1又は第2の接合部F1、F2の接合全面積S(凹部がないとしたときの全接着面積)の20%以上、より好ましくは30%以上とするのが望ましく、上限は好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下とすることが望ましい。これによって、接着剤による接着強度と凸部8bと凹部8aとの嵌合による機械的結合強度とをバランス良く維持でき、接合強度をより一層向上しうる点で好ましいものとなる。
本実施形態のヘッド1のヘッド体積は特に限定はされないが、好ましくは300cm3 以上、さらに好ましくは350cm3 以上、特に好ましくは350〜600cm3 、さらに好ましくは370〜550cm3 とするのが好ましい。このような大型ヘッドは、その体積の大型化と中空構造とによって打球音の響きをさらに向上でき、打球音の高音化、残響音の長期化にさらに役立つ。
以上のように構成されたヘッド1は、ボールを直接打球するフェース面2が金属材料からなるフェース壁部9で構成されるため、打球時のインパクト音を高音化でき、かつ打球後の残響音を長期に亘って持続させることが可能になる。これは、プレーヤーにボールが良く飛んだような印象を与える。また残響音の長期化により、プレーヤに心地良い打球フィーリングを与える。
またヘッド1では、第2のヘッド部材M2の小さな比重を生かしてヘッド重量の軽減を図ることができる。そして、軽減し得た重量を他の位置、例えばソール部5やサイド部6などにに自由に配分できる。従って、重量配分設計などの自由度を大幅に高め得る。これは、ヘッド体積を大型に維持したまま顕著な低重心化や慣性モーメントの増大等が可能となり、中空構造と相まって反発性能も向上できる。例えば、ヘッド体積を300cm3 以上としつつも、重心深度GLを35〜43mm、より好ましくは37〜43mm、さらに好ましくは38〜43mmとするのが望ましい。また重心高さGHを25〜35mm、より好ましくは25〜32mm、さらに好ましくは25〜30mmに設定することができる。なお実用上の耐久性を具えつつもこのようなスペックでヘッドを構成することは、金属材料からなるヘッドではきわめて難しいが、本発明ではこのようなヘッドを容易に製造できる。
なお前記重心深度は、図21に示すように、ヘッド1を規定のライ角、ロフト角で水平面に載置した基準状態において、ヘッド重心GとリーディングエッジLEとの間の水平距離GLである。また前記重心高さは、ヘッド重心Gからフェース面2に下ろした垂線が該フェース面2と交わるスイートスポット点SSの水平面HPからの高さGHである。
重心深度GLを35mm以上とすることにより、ヘッドのスイートエリアが著しく増大する。このため、スイートスポット点SS(図21に示す)を外した位置で打球したときでも、ヘッドのブレを最小限に減じ、打球の方向性を安定させ得る。また重心高さGHが低いため、スイートスポット点SSよりも上側のフェース領域を増やしこの領域でボールを打球し易くなる。この場合、縦のギア効果によって打球のバックスピン量が低減されるとともに打球の打ち出し角度が高められる。これは、良く飛ぶ弾道として理想的なものとなる。なお本発明は、ウッド型のみならず、アイアン型やパター型のヘッドにも適用しうるのは言うまでもない。
図14には、第1のヘッド部材M1の他の形態が示されている。この形態においても、ヘッド上面に第2のヘッド部材M2が配される開口部O2が設けられるが、該開口部O2は、クラウン部4の中に納まる大きさを持っている。また第1の接合部F1は、開口部O2の周囲に連続して設けられており、この部分もクラウン部4に納められている。このように、第1のヘッド部材M1の形状などは種々変形しうるのは言うまでもない。
図15には、参考例のヘッドが示されている。この形態では、第2の接合部F2は、第1の接合部F1とヘッド内側で重なる内側片F2iと、第1の接合部F1とヘッド外側で重なる外側片F2oとを有する断面二股状部分30を含むものが例示される。本形態では、内側片F2iには上方に向かって突出した内の凸部8biが設けられるとともに、外側片F2oには下方に向かって突出した外の凸部8boが設けられたものを例示している。接着前では、これらの各凸部は互いに離間できる。このような二股状部分30は、内側片F2iと外側片F2oとの間を弾性変形によって広げて第1の接合部F1に装着されるとともに、内、外の凸部8bi、8boを凹部8aに嵌め込むことができる。この際、内、外の凸部8bi、8boを接着剤にて一体化して凸部8bを形成することが望ましい。このような凸部8bは、内側片F2iと外側片F2oとを連結することによって、より一層、接合強度を高め、ヘッドの耐久性を向上させることができる。
また前記参考例では、第2のヘッド部材M2を、第1のヘッド部材M1とは別に成形硬化させた後、接着等により一体化しているため、製造時のバラツキ等が生じると、特に前記凹部8aと凸部8bとの嵌入部などにおいて隙間やガタツキが生じ接着強度の低下を招く場合がある。このような欠点を解消するために、他の製造方法として内圧成形法を用いても良い。内圧成形法は、繊維強化樹脂からなる第2のヘッド部材M2を、その成形と第1のヘッド部材M1への固着とを実質的に同時に行うことができる。
内圧成形法では、先ず第1のヘッド部材M1を準備する工程を含む。第1のヘッド部材M1は、例えば図6又は図14で示されたように、第2のヘッド部材M2が配される少なくともひとつの開口部O2が設けられる。開口部の位置は特に限定されるものではない。また開口部O1の周囲をなす第1の接合部F1には、少なくとも一つの凹部(この例では複数個の凹部)8aが設けられる。また本実施形態の第1のヘッド部材M1は、図14に示されるように、後述するブラダーBが出入り可能な透孔O3が予め設けられている。透孔O3の位置は、特に限定しないが、本実施形態ではサイド壁部11のトウ側部分に設けられた例が示されている。
次に本実施形態では、図16に示されるように、前記第1の接合部F1の内面に、少なくとも一部が前記開口部O2にはみ出す少なくとも1枚の内のプリプレグPiを貼り付ける工程が行われる。本実施形態では、内のプリプレグPiと第1の接合部F1の内面とは接着剤16を用いて仮接着される。これにより、内のプリプレグPiの位置ズレを防止でき成形精度を高めるのに役立つ。この接着剤としては、第1のヘッド部材M1の金属材料と内のプリプレグPiのマトリックス樹脂との接着性に優れたもの、例えばエポキシ系の熱硬化型の接着剤ないしプライマー等が好ましく採用される。また参考例では、内のプリプレグPiは、開口部O2を閉じる大きさを有した1枚からなり、その外周部分が第1の接合部F1の内面に塗布された前記接着剤16に接着される。
このような内のプリプレグPiの接着作業は、前記透孔O3から適宜内のプリプレグPiの内面を押し上げ得る棒状のレバーなどを併用し行うことができるし、また中空部iの中で収縮可能な風船状のブラダーを膨張させて内のプリプレグPiを第1の接合部F1の内面に押し付けることができる。また図19に示されるように、例えばフェース壁部9にフェース板(図示せず)を配するための開口部O4を設けることもできる。この場合、該開口部O4を用いて内のプリプレグPiの貼り付け作業性を向上できるし、この部分を後述のブラダーBの出入りする透孔として用いることもできる。なお該開口部O4は、後にフェース板が溶接等により固着されて閉塞される。
一方、本発明の製造方法では、図20に示されるように、内のプリプレグPiは、前記開口部O2の縁に沿って貼り付けられる複数のテープ状体31とすることもできる。この実施形態では、内のプリプレグPiが開口部O2を完全に閉じないため、該内のプリプレグPiの内縁間に間隙部33が形成され、この間隙部33を用いて第1の接合部F1の内面に内のプリプレグPiを容易に貼り付けできる。従って、ヘッド1の生産性を向上できる。なお内のプリプレグPiは、テープ状体31に代えて、例えば中央に孔を設けたリング状体(図示省略)とすることもできる。
その後、第1の接合部F1の外面には、前記開口部O2を覆う少なくとも1枚の外のプリプレグPoを貼り付ける工程が行われる。外のプリプレグPiと第1の接合部F1の外面とは、前記同様、接着剤17を用いて仮接着される。これにより、内のプリプレグPi同様、第1の接合部F1に対して外のプリプレグPoの位置ズレを防止できる。また本実施形態の外のプリプレグPoは、開口部O2を覆う大きさを有した1枚からなり、その外周部分が第1の接合部F1の外面に塗布された前記接着剤17にて接着される。これにより、本実施形態の開口部O2は、内、外のプリプレグPi、Poの少なくとも2層により閉塞される。また開口部O2で向き合う内のプリプレグPiと外のプリプレグPoとは、この段階では特に接着等は行われないが、必要に応じて接着剤等を用いて仮接着しても良い。これにより、第1のヘッド部材M1と、プリプレグとを複合化させた中空部iを有するヘッド基体1Aを形成することができる。
次に、図17、図18に示されるように、前記ヘッド基体1Aを金型18のキャビティ19の中で加熱する工程が行われる。金型18は、例えば分離可能な上型18a及び下型18bからなり、その内部には所望のヘッド1の形状をなすキャビティ19が刻設されている。キャビティ19の中でプリプレグPo、Piに十分な熱が加わり可塑変形が可能な状態において、ヘッド基体1Aの中空部iに前記透孔O3から挿入されたブラダーBを膨張させる。ブラダーBは大きな弾性変形が可能なゴム等により形成された袋状をなし、内部に高温高圧の気体ないし蒸気が充填されることにより図18の如くヘッド基体1Aの中空部iの中で風船状に膨張しうる。
このようなブラダーBの膨張により、内のプリプレグPi及び外のプリプレグPoは、ブラダーBとキャビティ19とで圧縮され、該キャビティ19と第1の接合部F1の各形状に沿って成形される。とくに各プリプレグPi、Poのマトリックス樹脂は、可塑状態で第1のヘッド部材M1の第1の接合部F1に沿って流動しかつ変形するため、両者の界面での隙間を実質的に減じ密着性が向上する。とりわけ本実施形態では、内、外のプリプレグPi、Poと第1のヘッド部材M1の第1の接合部F1との間に接着剤16、17の層を設けているため、さらに接着強度を向上させるのに役立つ。
また内のプリプレグPi及び/又は外のプリプレグPoのマトリックス樹脂の少なくとも一部は、第1の接合部F1の凹部8bの中に流れ込んで硬化して凸部8bを構成できる。この凸部8bは、好ましくは図18に示されるように、貫通された凹部8bの中で内、外のプリプレグPi、Po間を連続させることができる。さらに開口部O2で向き合っている内のプリプレグPiと外のプリプレグPoとは、互いのマトリックス樹脂同士が混ざり合い硬化することにより強固に一体に結合し得る。なお各プリプレグPi、Poにおいて、マトリックス樹脂の樹脂含有率が小さすぎると、上述のようなマトリックス樹脂の流れ込み等を円滑に行うことができず、逆に樹脂含有率が大きすぎても繊維強化樹脂の強度が不足しやすい。このような観点より、内圧成形法では各々のプリプレグ(換言すれば第2のヘッド部材M2)の樹脂含有率を15%以上、より好ましくは20%以上が望ましく、上限については35%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下とするのが望ましい。
各プリプレグPi、Poのマトリックス樹脂が完全に硬化し終えると、ブラダーBは収縮させられ前記中空部iから取り出す工程が行われる。またヘッド1は金型18から取り出される。ブラダーBを出入りさせた透孔O3は、必要により、カバー等によって適宜閉塞される。
以上のような内圧成形法でヘッド1を製造した場合、第1のヘッド部材M1と第2のヘッド部材M2とを別々に成形して接着した場合に比べて、接合強度が大幅に向上しヘッド1の耐久性をさらに高めうる。
[ヘッドタイプA]
図1に示した基本形態を有するヘッド体積が400cm3 のゴルフクラブヘッドを表2の仕様に基づき試作するとともに、耐久性、打球の飛距離、打球音について評価を行った。参考例において、第1のヘッド部材は、図6に示した基本形状とし、Ti−6Al−4Vをロストワックス精密鋳造法により一体に成形した。凹部は、直径が3.0mmの円形とし、貫通孔、有底孔それぞれ試作した。また凹部の個数を変化させることにより、凹部全面積S1と第1、第2の接合部F1、F2の接合全面積Sとの比(S1/S)とを変化させた。なお比較例のヘッドは、第1、第2の接合部から凹部、凸部を取り除いたものである。また第1のヘッド部材の統一仕様として、各部の厚さは次の通りとした。
フェース壁部の中央部の厚さTc:2.8mm
フェース壁部の周辺部の厚さTp:2.0mm
面積比(周辺部/中央部):20%
ソール壁部の厚さTs:1.3mm
サイド壁部の厚さTb:1.0mm
また第2のヘッド部材については、その主要部をブラダの外周面にプリプレグを貼り付け金型内で加熱加圧成形することにより製造した。炭素繊維には東レ社製「T−700S(樹脂含有率:37重量%)」、「T−800H(樹脂含有率:30重量%)」、「M−40J(樹脂含有率:33重量%)」を使用(併用)し、全体の平均樹脂含有率を33%とした。各部の厚さは次の通りである
クラウン壁部の基部の厚さTf:0.8mm
クラウン壁部の垂下部の厚さ:0.8mm
そして、第1、第2のヘッド部材をエポキシ系の接着剤により固着した。またテストは、次の要領で行った。
<耐久性>
各供試ヘッドにFRP製の同一のシャフトを装着し45インチのウッド型ゴルフクラブを試作するとともに、該クラブをスイングロボットに取り付け、ヘッドスピードが54m/sとなるように調節してゴルフボール(住友ゴム工業(株)製「MAXFRI HI−BRID」)を各クラブ毎に打撃した。そして、100発毎にフェース面及び接合部の破損具合を目視により観察し、ヘッドが破損するまでの打球数を求めた。9000発を最大打球数とした。
<打球の飛距離>
上記の各供試クラブをスイングロボットに取り付け、ヘッドスピードが45m/sとなるように調節して上記ゴルフボールを各クラブ毎に5球づつ打撃し、打ち出しされたボールの平均飛距離(キャリー+ラン)を測定した。結果は、参考例1を100とする指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
<打球音(官能)>
上記の各供試ゴルフクラブで、50名のアベレージゴルファ(ハンディキャップ15〜25)によって実打テストを行い、各ゴルファの官能により音の高さを主体に5点法で評価した。数値が大きいほど高音であることを示す。
テストの結果を表2に示す。
Figure 2010051825
テストの結果、参考例のヘッドは、優れた耐久性を実現しており、また打球も良く飛んでいることが確認できる。打球フィーリングにおいても良好な結果が得られた。
[ヘッドタイプB]
図16〜18で示した内圧成形法によりヘッド体積が400cm3 のゴルフクラブヘッドを試作し、ヘッドタイプ1と同様のテストを行った。該ヘッド1において、第1のヘッド部材には、図6及び図14に示したものが採用された。いずれもTi−6Al−4Vをロストワックス精密鋳造法による鋳造品である。また第2のヘッド部材は、実施例のみについて内のプリプレグを用い二股状部分を形成したが、その他は外のプリプレグだけで形成し二股状部分は具えていない。またプリプレグの仕様は表3に示す通りである。また第1ヘッド部材とプリプレグとの間には、エポキシ系の接着剤により仮固着を行った。テストの要領はヘッドタイプAの場合と同様である。テストの結果を表3に示す。
Figure 2010051825
Figure 2010051825
ゴルフクラブヘッドの全体斜視図である。 その平面図である。 ヘッドの底面図である。 図2のA−A拡大断面図である。 図2のB−B拡大断面図である。 ヘッドの分解斜視図である。 第1のヘッド部材の平面図である。 第1のヘッド部材の背面図である。 (A)、(B)は参考例として第2のヘッド部材の製造方法の一例を示す斜視図である。 第1のヘッド部材と第2のヘッド部材との接合部を拡大して示す断面図である。 第1のヘッド部材と第2のヘッド部材との他の実施形態の接合部を拡大して示す断面図である。 第1のヘッド部材と第2のヘッド部材との他の実施形態の接合部を拡大して示す断面図である。 第1のヘッド部材と第2のヘッド部材との他の実施形態の接合部を拡大して示す断面図である。 第1のヘッド部材の他の実施形態を示す斜視図である。 第1のヘッド部材と第2のヘッド部材との他の実施形態の接合部を拡大して示す断面図である。 内圧成形法を説明するヘッド基体の断面図である。 内圧成形法を説明する断面図である。 内圧成形法を説明する断面図である。 第1のヘッド部材の他の実施形態を示す斜視図である。 内圧成形法の他の実施形態を示す斜視図である。 重心深度、スイートスポット高さを説明するヘッド断面図である。 従来のゴルフクラブヘッドにおいて、金属部材と繊維強化樹脂部材との接合部を拡大して示す断面図である。
1 ゴルフクラブヘッド
2 フェース面
3 フェース部
4 クラウン部
5 ソール部
6 サイド部
7 ホーゼル部
8a 凹部
8b 凸部
9 フェース壁部
10 ソール壁部
11 サイド壁部
12 クラウン壁部
12a 基部
12b 垂下片
20 フェース側の接合縁
21 サイド側の接合縁
21a 第1のサイド側の接合縁
21b 第2のサイド側の接合縁
21c 第3のサイド側の接合縁
31 テープ状体
F1 第1の接合部
F2 第2の接合部
M1 第1のヘッド部材
M2 第2のヘッド部材
Pi 内のプリプレグ
Po 外のプリプレグ

Claims (4)

  1. 金属材料からなる第1のヘッド部材と、繊維強化樹脂からなる第2のヘッド部材とが固着された中空構造のゴルフクラブヘッドを製造するゴルフクラブヘッドの製造方法であって、
    前記第2のヘッド部材が配される開口部が設けられるとともに、該開口部の周囲をなす第1の接合部に少なくとも一つの凹部が設けられた第1のヘッド部材を形成する工程と、
    前記第1の接合部に前記開口部を覆う少なくとも1枚のプリプレグを貼り付けることにより中空部を有するヘッド基体を形成する工程と、
    前記ヘッド基体を金型のキャビティの中で加熱するとともに、第1のヘッド部材の中空部へ挿入されたブラダーを膨張させることにより、前記プリプレグを成形しかつ前記第1の接合部に固着させて第2のヘッド部材を形成する工程と、
    前記ブラダーを収縮させて前記中空部から取り出す工程とを含み、
    前記プリプレグは、前記第1の接合部の内面に、少なくとも一部が前記開口部にはみ出して貼り付けられる少なくとも1枚の内のプリプレグと、
    前記内のプリプレグが貼り付けられた後、前記第1の接合部の外面に前記開口部を覆うように貼り付けられる少なくとも1枚の外のプリプレグとを含むとともに、
    前記内のプリプレグは、前記開口部の縁に沿って貼り付けられる複数のテープ状体又は中央に孔を設けたリング状体をなすことにより、前記開口部を完全に閉じないことを特徴とするゴルフクラブヘッドの製造方法。
  2. 前記プリプレグの少なくとも一部は、前記第1の接合部の凹部の中に流れ込んで硬化した凸部をなすことを特徴とする請求項1記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
  3. 前記内のプリプレグ及び/又は前記外のプリプレグは、接着剤を介して前記第1の接合部の前記内面及び/又は外面に前記貼り付けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
  4. 前記第2のヘッド部材は、樹脂含有率が15〜35%であることを特徴とする請求項11記載のゴルフクラブヘッドの製造方法。
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