JP2010043447A - 自然石連結部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】自然石と連結部材とが強固に接着し、且つ連結した複数の自然石同士を水中に敷設した場合でも錆びによる連結部材の強度が低下せず、しかも自然石との強固な連結を長期間可能とする自然石連結部材を提供する。
【解決手段】複数の自然石同士を連結させる部材であって、芯部の周囲に芯部に比べて融点が低い鞘部が設けられた芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体にて構成され、この繊維集合体の前記鞘部に熱融着が施されたものであることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は自然石連結部材に関し、例えば河床の洗堀を防止する根固工、河岸を保護する護岸工、海岸を保護する防波工、豪雨時の大量土砂の流出を防止する砂防堰堤工等の土木構造物として使用する複数の自然石同士を連結するための自然石連結部材に関するものである。
台風、大雨、豪雨等による河川の増水や氾濫、海面上昇に伴う高波から河川、海岸を保護するために、河川や海岸にブロックや石材を敷設する様々な根固工法や護岸工法が広く知られている。ところが、根固工法や護岸工法によりブロックや石材を敷設する場合、河川や海岸に少量を敷設しただけでは安定した重量・敷設面積を有さないため、河川の増水や氾濫、海面上昇に伴う高波による激しい水流・水圧により押し流されてしまう恐れがある。そのため河川や海岸付近にブロックや石材を敷設する際には押し流されることのないようある程度安定した重量・面積となるように多数のブロックや石材を一塊の集合体にして敷設することが多い。
一塊の集合体にして敷設された多数のブロックや石材は、河川や海岸において河川の増水や氾濫、海面上昇に伴う高波の際にも押し流されることなく安定して敷設状態を維持しているため、河川、海岸を十分に保護する効果を有するとともに、ある程度の敷設面積も有していることから一度で広範囲にわたり敷設が可能となり敷設作業工程の簡略化にも繋がり効率的となる。
また、一塊の集合体にして敷設する際には、敷設場所や護岸・防砂・防波等の利用目的に応じて重量・形状を自由に設計・調整する事ができる理由から、コンクリート製のブロックが多く使用されている。特に河川では積みブロックや張りブロック、海岸では波消ブロック等、コンクリート製の護岸構造物が各所で敷設されているところを見受けられることが多い。上記したコンクリート製のブロックを一塊の集合体として河川、海岸に敷設する方法の一つとしては、ブロックに取り付けられた連結部材によってブロック同士を連結させて土木構造物とする連結工法が挙げられる。この際、土木構造物に用いられる複数のコンクリート製のブロック同士を連結させる連結部材としては金属製品を用いることが多く、様々な手法により複数のブロック同士を金属製品により連結させている(例えば、特許文献1参照)。
ところが、連結部材により連結された複数のブロック同士は主に水中に敷設されるため、連結部材が金属製品である場合は錆びが生じる。錆が生じた金属材料は、金属表面から内部に腐食が進行するため、金属が本来有する強度を有さなくなる。その結果、複数のブロック同士を連結する部材としての強度が低下し、連結部材としての効力を十分に発揮することができなくなる。
また近年、地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガスである二酸化炭素の発生を抑制することが非常に重要となっている。土木構造物として用いられ、重量・形状を自由に設計・調整する事ができるブロックの原料であるコンクリートは岩石材料をセメントで固めることによって得られる。ところが、セメント成分である生石灰が生成される工程で主原料の石灰岩から二酸化炭素が放出される。すなわち、これまで土木構造物として多く使用されているブロックの原料であるコンクリートは、製造される際に二酸化炭素を排出することからコンクリート製ブロックの使用は地球温暖化の要因となる。
そのため、土木構造物においてコンクリートを原料としたブロックを用いる代わりに自然石を用いることによって、セメント生成時に生じる二酸化炭素の排出を低減することができ、地球温暖化の防止につなげることができる提案がされている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、土木構造物において自然石を用いる場合でも、自然石同士を連結する連結部材としてやはり金属製品を使用するため、水中使用では連結部材を構成する金属製品に錆びが生じ、連結部材としての効力を十分に発揮することができなくなることに変わりはなく、錆びによる連結部材の強度低下は避けられないものであった。
特開2001−295248号公報 特開平10−331133号公報
本発明の課題は、自然石と連結部材とが強固に接着し、且つ連結した複数の自然石同士を水中に敷設した場合でも錆びによる連結部材の強度が低下せず、しかも自然石との強固な連結を長期間可能とする自然石連結部材を提供することにある。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、自然石同士を連結する部材として、芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体を用いることによって、繊維集合体外周に形成される熱融着層により繊維集合体内部へ接着剤が浸透しなくなることから自然石と繊維集合体とが強固に接着され、且つ連結した複数の自然石同士を水中に敷設した場合でも強度の低下がなく、しかも自然石との強固な連結を長期間可能とする連結部材を提供できることを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は
(1)複数の自然石同士を連結させる部材であって、芯部の周囲に芯部に比べて融点が低い鞘部が設けられた芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体にて構成され、この繊維集合体の前記鞘部に熱融着が施されたものであることを特徴とする自然石連結部材、
(2)芯鞘構造を有する繊維の芯部と鞘部とがいずれもポリエステル系重合体であることを特徴とする(1)記載の自然石連結部材、
(3)互いに連結される自然石のそれぞれに凹部が形成され、(1)または(2)のいずれか1つに記載の自然石連結部材が部分的に各自然石の凹部に挿入されて当該凹部内で接着剤により固定されていることを特徴とする自然石の連結構造、
を要旨とするものである。
本発明によれば、河川、海岸、河岸等において豪雨・増水時の洪水や悪天候時の高波からの保護を行う土木構造物を構成する自然石同士の連結部材として芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体を用いることによって、繊維集合体の外周に熱融着層が設けられるため繊維集合体内部へ接着剤が浸透せず接着剤のロスを低減できることから自然石と繊維集合体とが強固に接着し、且つ水中に敷設した場合でも連結部材としての強度が低下せず、しかも自然石との強固な連結を長期間可能とする連結部材を提供できることが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。但し、本発明はこの内容に限定されない。
本発明の自然石連結部材は、土木構造物の構成物である複数の自然石同士を連結する部材が、芯部の周囲に芯部に比べて融点が低い鞘部が設けられた芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体にて構成され、この繊維集合体の前記鞘部に熱融着が施されたものであることを特徴とする。
本発明では、従来使用していたコンクリート製ブロックではなく自然石を土木構造物の構成物として用いる。自然石の凹部に挿入された繊維集合体は、自然石の凹部内で接着剤により自然石と固定される。ところが、従来は土木構造物の構成物としてコンクリート製ブロックを使用していたためコンクリート製ブロックに設けられた凹部に接着剤が投入された際、コンクリート製ブロックの凹部表面に点在する無数の微細な空隙内に接着剤が浸透するため、本来必要な接着剤量が減少する。その結果、連結する土木構造物の構成物としてコンクリート製ブロックを使用した場合、繊維集合体とコンクリートブロックとの接着性が悪くなる。一方、土木構造物の構成物として本発明の自然石を使用した場合、自然石表面には無数の微細な空隙が無いため接着剤量の減少がなく、本来必要な接着剤量で連結部材と自然石とを十分に接着できる。更に、ブロック原料のコンクリート生成過程で生じる二酸化炭素が発生しなくなるため、大気中への二酸化炭素の排出を低減することが可能となり、地球温暖化の防止につながる。
また、本発明では、自然石同士を連結する連結部材として従来使用していた金属製品ではなく繊維集合体を用いる。これにより、自然石を水中に敷設した場合でも連結部材に錆びが生じなくなるため、錆による連結部材の強度が低下せず、しかも長期間使用可能となる自然石連結部材を提供することが可能となる。
本発明における繊維集合体は、自然石の凹部に挿入された後、凹部内の接着剤によって自然石と固定される。この凹部に挿入する繊維集合体は、芯部の周囲に芯部に比べて融点が低い鞘部が設けられた芯鞘構造を有する繊維を含むことが必要である。芯鞘構造を有する繊維は、鞘部の繊維の融点以上かつ芯部の繊維の融点未満の温度で熱処理することによって、芯部よりも融点の低い鞘部が溶融し、繊維同士間で熱融着を起こし熱融着層を形成する。その際、繊維集合体内部の各繊維は熱融着により固定化されると共に、繊維集合体の外周が熱融着層で覆われるため、熱融着層で覆われていない繊維集合体と異なり繊維集合体内部に接着剤が浸透しなくなることから、自然石と繊維集合体との接着が確実に行われる。即ち、繊維集合体中の隣接する繊維同士は熱融着により固定されるため、個々の繊維を引張っても繊維抜けが生じない繊維集合体が得られると共に、繊維集合体内部への接着剤の浸透がなく、自然石との接着に優れた繊維集合体が得られる。
繊維集合体に含まれる芯鞘構造繊維の量は20質量%以上が好ましく、40質量%以上が更に好ましい。すなわち、芯鞘構造繊維の含有量が20質量%以上であれば、繊維集合体の外周が熱融着層で覆われるため繊維集合体内部へ接着剤が浸透しなくなり自然石との接着力を保持できるが、20質量%以下となると繊維集合体の外周に熱融着層が形成されにくくなるため、繊維集合体と自然石との接着に必要な接着剤の大部分が繊維集合体の束を構成する繊維同士の間に浸透してしまい本来接着に必要な接着剤量が不足することとなり好ましくない。
ここで、繊維集合体が芯鞘構造繊維を含まない場合は、自然石の凹部に挿入された繊維集合体と自然石との接着力が低下しないよう所要の接着効果を得るため、繊維集合体の外周を接着剤が浸透しにくい樹脂等で被覆して固める後加工を施す必要が生じる。繊維集合体の外周を樹脂等で被覆して固めてしまうことで、繊維集合体内部に接着剤が浸透しなくなるため、自然石との接着に十分な接着剤量を維持したまま繊維集合体と自然石との接着効果が得られるからである。
一方、本発明の繊維集合体は、芯鞘構造繊維を含んでいるため、熱融着効果により繊維集合体の外周に熱融着層が形成され、接着剤が浸透しなくなるため、ことさら樹脂層を設ける必要がないという利点がある。よって、繊維集合体の外周に別の樹脂層を設けるために必要なコストを抑えることができるため効果的である。
芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体は、芯鞘構造繊維と他の繊維とで構成されてもよいし、芯鞘構造繊維を100%含んだ繊維で構成されてもよい。すなわち、芯鞘構造繊維と他の繊維とで繊維集合体としてもよいし、または芯鞘構造繊維のみにより繊維集合体としてもよい。このとき、繊維集合体に含まれる他の繊維は任意であるが、繊維集合体の熱処理時に少なくとも芯鞘構造を有する繊維の鞘部の融点では溶融しない繊維であることが必要である。繊維集合体の熱処理時に他の繊維が溶融してしまうと、繊維形態を保持しなくなるからである。
本発明における繊維集合体は、繊維集合体自体が芯部と鞘部とからなる芯鞘構造で構成されることが好ましい。たとえば、芯鞘構造を有する繊維集合体としては、複数のヤーンやストランドを撚り合わせることによって繊維集合体の芯部を構成するとともに、この芯部の周囲に別の複数のヤーンやストランドを配置して繊維集合体の鞘部を構成することで、ロープや組紐などの形態とすることが挙げられる。その際、繊維集合体の芯部は、芯鞘構造の繊維のみで構成することが可能であるとともに、芯鞘構造繊維以外の他の繊維で構成することもできるし、あるいは芯鞘構造繊維と他の繊維との混合体にて構成することもできる。また、繊維集合体の鞘部は、芯鞘構造繊維のみで構成するか、あるいは芯鞘構造繊維と他の繊維との混合体にて構成することが必要である。つまり、少なくとも芯鞘構造繊維を含んでいることが必要である。繊維集合体の鞘部に芯鞘構造繊維を含まなければ、繊維集合体の外周に熱融着効果による熱融着層が形成されなくなり、繊維集合体内部に接着剤が浸透し、自然石との接着力が悪くなるからである。
本発明における繊維集合体を構成する繊維及び芯部と鞘部とからなる芯鞘構造繊維は、ポリアミド、脂肪族ポリエステル、芳香族ポリエステル、ビニロン、ポリプロピレン、アラミド等の重合体を用いたいずれの繊維でもよく、繊維断面としては丸断面であっても偏平もしくは異形断面であってもよい。
本発明における芯鞘構造を有する繊維は、芯部と鞘部とがいずれもポリエステル系重合体であることがより好ましい。すなわち、芯鞘構造繊維の芯部がポリエステル系重合体からなり且つ鞘部が芯部のポリエステル系重合体より融点の低いポリエステル系共重合体からなることが好ましい。このような繊維としては、たとえば芯部に高粘度ポリエステルが配され鞘部に共重合ポリエステルが配された芯鞘構造を有する、ユニチカファイバー社製の「メルセット」などを用いることが好適である。
また、本発明における繊維集合体としては、芯鞘構造繊維と他の繊維とを混合させる場合には、芯鞘構造繊維と他の繊維とが同等のポリマーで構成されていることが望ましい。芯鞘構造繊維と他の繊維とが異なるポリマーで構成された場合、芯鞘構造繊維と他の繊維との相溶性が低くなって、熱融着の際に融着成分となる芯鞘構造繊維の鞘部が他の繊維と互いに固着し難くなったり、引張った時に繊維の抜けが生じたりする。
本発明における繊維集合体に利用できる芯鞘構造繊維や他の繊維としては、着色剤、抗菌剤、耐候剤等が添加された機能繊維や、先染め糸を用いたものなどであっても差し支えない。
本発明の自然石連結部材を用いた連結構造は、自然石に設けられた凹部に連結部材となる外周に熱融着層が形成された繊維集合体を部分的に挿入して接着剤で固着し、この固着された繊維集合体を用いて自然石同士を連結しているものであればよく、その形状としては、一本の索状の繊維集合体によって自然石同士を連結したものを例示することができる。あるいは、繊維集合体における自然石に接続された一端部とは反対側の他端部がフック状やループ状であり、その他端部を用いて相互の繊維集合体を連結することができればよく、特に限定するものではない。
このような連結構造の具体例を図1から図4に示す。
図1のように、索状の繊維集合体2を熱処理して熱融着層5が形成された連結部材の一端を一方の自然石1の凹部3に挿入し、この連結部材の他端を他方の自然石1の凹部3に挿入し、挿入した箇所を接着剤4でそれぞれ固定して連結する構造が挙げられる。
また、図2のように先端にフック6が形成された連結部材を用意して接着剤4により自然石1と接着する。フック6は、連結時の所要強度を有するように、芯鞘構造繊維の鞘部を熱融着したものや、樹脂で固めたものとする。これにより得たフック付き連結部を有した自然石同士を図3のようにフック同士を互いに引っ掛けることで、自然石が連結された状態とする。
また、図4のように連結部をループ状7の構成とした連結部材同士を用いて複数の自然石を連結した状態としてもよい。
また、連結部材となる繊維集合体は、連結後の自然石の総重量を上回る強力を有している必要があり、連結後の自然石の総重量に対する繊維集合体の強力である安全率(すなわち、安全率=繊維集合体の強力/連結後の自然石の総重量)が1.1〜1.5であることが好ましい。安全率が1.1未満であると、連結部材の強力が連結後の自然石の総重量に負けてしまい、敷設時の吊り上げ作業等において、繊維集合体が切断するなどして危険である。反対に安全率が1.5以上であると、連結部材が必要以上の強力を有していることで、連結部材に余分なコストを費やすことに繋がる。
連結部材で連結された複数の自然石の総重量は2t〜5tであることが一般的である。したがって、連結部材となる繊維集合体の強力もこの総重量に耐え得るものであることが必要であると想定され、これに前述した安全率との兼ね合いにより、繊維集合体の強力を決定する必要がある。本発明の繊維集合体は芯鞘構造繊維を含んでいるため、熱融着効果により繊維集合体の外周に熱融着層が形成され、且つ各繊維同士が熱融着されることから連結部材として使用するに十分な引張強力を有した繊維集合体が得られる。
また河川、海岸、港湾、湖岸等は、土木構造物を使用する環境として厳しい状況下であるため、様々な劣化要因があり、特に気候による劣化が最も懸念されるところである。即ち、河川、海岸、港湾、湖岸等に敷設される土木構造体は、一般的に敷設後約30年の耐久性が要求されるところ、本発明の連結部材は金属製品ではないため水中に敷設した場合でも錆が生じないため、連結部材として適した強度を有し、且つ連結部材としての強度を長期間保持することが可能となる。
更に、本発明の連結部材を構成する繊維集合体は、上述のように芯鞘構造を有する繊維を含んでいて繊維集合体の外周が熱融着層で覆われているため、太陽光や紫外線が繊維内部へ入り込むのを妨げることから耐候性が良くなる。これに対し、連結部材が芯鞘構造繊維を含まない繊維で構成されている場合は、繊維集合体の表面が何ら被覆されないため太陽光や紫外線が繊維集合体の内部に入り込み、そのため繊維が太陽光や紫外線により劣化しやすくなる。
本発明の自然石連結部材の耐久性としては、敷設後30年においても前述した安全率1.1〜1.5の強力を有していることが好ましい。長期間の強度保持は耐候劣化を考慮した繊維集合体の強力により判断する必要があり、耐候後の繊維集合体の強力劣化は40%未満が好ましく、特に好ましくは20%未満である。耐候後の繊維集合体の強力劣化が40%以上となると、安全率1.1〜1.5の強力を有するために繊維集合体を構成する必要となる繊維の量が増えることで、コストが高くなり好ましくない。
繊維集合体の総繊度及び直径は、繊維集合体を構成する繊維単体の強力から計算して想定される総強力が、前記した安全率の範囲内となるように設計されていれば特に限定するものではなく、連結後の自然石の総重量によって適宜変化することができる。
繊維集合体を構成する繊維単体の繊度は、特に限定するものではないが、280dtex〜3000dtexが好ましい。繊維単体の繊度が280dtex以下であると、繊維単体の強力が弱いため、繊維集合体を形成する際に非常に多くの繊維を用いることとなり、作業上において非常に手間のかかることになる。また繊維単体の繊度が3000dtex以上であると原糸の製造が困難になる。
自然石と連結部材を固着させるために使用される接着剤は、特に限定するものではない。接着剤の種類としては、無機系接着剤、有機系接着剤、天然系接着剤または合成系接着剤が挙げられる。しかし、連結部材を自然石に強固に固着させることを考慮すれば、合成系接着剤が好ましい。具体的には、α-オレフィン系接着剤やウレタン樹脂溶剤系接着剤及びエーテル系セルロ−ス等に代表される溶液系、アクリル樹脂系接着剤やエポキシ樹脂系接着剤及びシリコーン系接着剤等に代表される反応系、アクリル樹脂エマルジョン接着剤やウレタン樹脂エマルジョン接着剤及びエポキシ樹脂エマルジョン接着剤等に代表される水分散系が挙げられる。石材等において強力な接着効果を得るには反応系が好ましく、中でもアクリル樹脂系接着剤が特に好ましい。
次に、実施例、比較例により本発明を具体的に説明する。なお、実施例、比較例中の各値の測定及び評価は以下のように行った。また、実施例、比較例の試料には、連結後の総質量が3tとなる自然石同士を連結するための連結部材を使用した。
(1)引張強力
島津製作所社製オートグラフAG−I型を用い、試料長25cmの試験片について引張速度30cm/分で引張強力の測定を行い、試験片の破断時の引張張力を測定値とした。
(2)耐候性(耐候後強力及び外観観測)
西山製作所社製サンシャインウェザーメータを用いた促進試験を実施し、7500時間照射後の引張強力及び外観観測を行った。外観観測は目視にて行い、試験前後における変化の有無を評価した。
(3)接着状況
接着剤(アクリル樹脂系接着剤)を自然石の凹部に投入後、凹部に試料を挿入し1時間放置した後の自然石と凹部に挿入された試料との接着状況を観測し、下記の基準で評価した。
○:完全に接着している。
△:試料の一部が接着している。
×:接着していない。
(実施例1)
芯部にポリエステル系共重合体(融点260℃)、鞘部に芯部に比べて融点の低いポリエステル系共重合体(融点160℃)が配された1100dtexの芯鞘構造繊維を6本(Z−250T/m、下撚り)×3本(S−120T/m、上撚り)で合撚して芯ヤーンを形成した。次に、得られた芯ヤーン5本を撚数S−60T/Mで合撚してロープ芯部を得た。
一方、芯ヤーンと同条件で合撚することによって鞘ヤーンを形成した。
得られた鞘ヤーン11本で前記ロープ芯部の周囲をS−60T/Mにより覆い、ロープ鞘部を構成した。これらのロープ芯部とロープ鞘部とによって1本のストランドを得た。このストランドを撚数Z−25T/Mで3本合撚することによって、ロープ総繊度が950400dtex、ロープ径が14mmのロープを得た。
得られたロープを、芯鞘構造繊維の鞘部を構成するポリエステル系共重合体の融点以上、芯部を構成するポリエステル系共重合体の融点未満の温度域である200℃×10分で熱処理することによって、ロープを構成するストランドの鞘部である鞘ヤーンが熱融着して、少なくともロープの外周に熱融着層が形成された繊維集合体を形成して、実施例1の自然石連結部材を得た。
(実施例2)
ロープ芯部について、実施例1で使用した芯鞘構造繊維の代わりに、ポリエチレンテレフタレートマルチフィラメント(融点260℃、以下PETと称す)のみを使用した。それ以外は実施例1と同様の方法でロープ芯部を得た。得られたロープ芯部は、PETのみで構成されており芯鞘構造繊維を有していないものであった。
また、実施例1と同じ条件で鞘ヤーンを形成した。
得られた鞘ヤーン11本を用いて、PETのみからなる前記ロープ芯部の周囲をS−60T/Mで覆い、ロープ鞘部を構成した。これらのロープ芯部とロープ鞘部とによって1本のストランドを得た。このストランドを撚数Z−25T/Mで3本合撚することによって、ロープ総繊度が950400dtex、ロープ径が14mmであるロープを得た。
以降は実施例1と同様にして、実施例2の自然石連結部材を得た。
尚、当該試料のロープ芯部に用いたPETとロープ芯部の周囲を覆った鞘ヤーンを構成する芯鞘構造繊維の比率は、芯鞘構造繊維:PET=69:31(質量%比)であった。
(実施例3)
実施例1で使用した芯鞘構造繊維の代わりにPETのみを使用して、1100dtexのPETを6本(Z−250T/m、下撚り)×3本(S−120T/m、上撚り)で合撚して芯ヤーンを形成した。次に、得られた芯ヤーン14本を撚数S−60T/Mで合撚してロープ芯部を得た。
一方、実施例1と同じ条件で鞘ヤーンを形成した。
得られた鞘ヤーン2本を用いて、前記PETのみからなるロープ芯部の周囲をS−60T/Mで覆いロープ鞘部とした。これらのロープ芯部とロープ鞘部とによって1本のストランドを得た。このストランドを撚数Z−25T/Mで3本合撚することによって、PETのみからなるロープ芯部の周囲を芯鞘構造繊維からなる鞘ヤーンを用いた鞘部で覆ったストランドで構成される、ロープ総繊度が950400dtex、ロープ径が14mmであるロープを得た。以降は実施例1と同様にして、比較例2の自然石連結部材を得た。
当該連結部材のロープ芯部に用いたPETとロープ芯部の周囲を覆った芯鞘構造繊維の比率は、芯鞘構造繊維:PET=12.5:87.5(質量%比)であった。
(比較例1)
実施例1で使用した芯鞘構造繊維の代わりにPETのみを用いて繊維集合体を形成した。それ以外は実施例1と同様にして、比較例1の試料を得た。即ち、芯ヤーンに形成されたロープ芯部、鞘ヤーンで形成されたロープ鞘部はいずれもPETのみで形成した。
尚、当該試料は、実施例1の芯鞘構造とは異なりPETのみで構成されているため、熱融着を目的とする熱処理は行わなかった。
(比較例2)
直径が14mmである亜鉛アルミ合金鍍金鉄線を比較例2とした。
実施例1〜3及び比較例1、2で得られたそれぞれの自然石連結部材の試験結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1、2に用いた試料は、芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体で構成されていたため、熱融着効果により繊維集合体の外周に鞘成分による熱融着層が設けられた結果、接着剤が繊維集合体内部に浸透することがなかった。即ち、実施例1、2に用いた試料は、繊維集合体中に芯鞘構造を有する繊維を20質量%以上含んでいたため、繊維集合体と自然石とが接着剤によって強固に接着していた。一方、実施例3に用いた試料は、芯鞘構造を有する繊維を含んでいたが、繊維集合体中の含有量が20質量%以上ではなかったため、鞘成分による熱融着効果は満足なものではあるが実施例1,2ほどではなかった。その結果、繊維集合体内部に接着剤がわずかに浸透してしまい、自然石との間で一応の接着性能が発揮されるというものであった。
また、実施例1〜3は、金属材料を使用していないため、錆による連結部材としての強力の低下が生じなかった。そのため、耐候試験前後の連結部材としての安全率はいずれも1.1以上であり、引張強力は十分保持されていた。
比較例1は、金属材料ではなく繊維集合体で構成されていたため、錆による連結部材としての強力の低下が生じなかった。そのため、耐候試験前後の連結部材としての安全率はいずれも1.1以上であり、引張強力を十分に保持していた。ところが、芯鞘構造を有する繊維を全く含んでいなかったため、熱融着効果により繊維集合体外周に鞘成分による熱融着層が設けられなかったことから繊維集合体内部に接着剤が著しく浸透してしまい、自然石と試料とが全く接着していなかった。
比較例2に用いた試料は金属材料であるため、金属内部への接着剤の浸透がなかった。そのため自然石と金属材料とのの接着力は十分保持されていた。しかし、耐候試験時に金属材料に錆が発生し、これが原因で金属材料が腐食したことから連結部材としての安全率が1.1以下となり、強力低下が著しい状態となった。
以上を踏まえて、実施例1〜3は本発明における効果を十分に満たすものであることが確認できた。
Figure 2010043447
本発明によれば、河川、海岸、河岸等において豪雨・増水時の洪水や悪天候時の高波から沿岸地域を保護する土木構造物として原料であるコンクリート生成時に二酸化炭素が発生するブロックを使用するのではなく自然石を使用し、自然石同士を連結するための連結部材として水中に敷設しても錆びが生じない特定の繊維集合体を使用するため、水中に敷設した場合でも連結部材として必要な引張強度、強力および自然石との接着力を十分に有している自然石連結部材を提供することが出来る。
本発明における自然石連結部材を用いた連結方法の一例図 本発明におけるフック型の自然石連結部材の一例図 本発明におけるフック型の自然石連結部材を用いた連結方法の一例図 本発明におけるループ型の自然石連結部材を用いた連結方法の一例図
符号の説明
1:自然石
2:自然石連結部材(繊維集合体)
3:凹部
4:接着剤
5:熱融着部分
6:フック状の繊維集合体
7:ループ状の繊維集合体

Claims (3)

  1. 複数の自然石同士を連結させる部材であって、芯部の周囲に芯部に比べて融点が低い鞘部が設けられた芯鞘構造を有する繊維を含む繊維集合体にて構成され、この繊維集合体の前記鞘部に熱融着が施されたものであることを特徴とする自然石連結部材。
  2. 芯鞘構造を有する繊維の芯部と鞘部とがいずれもポリエステル系重合体であることを特徴とする請求項1記載の自然石連結部材。
  3. 互いに連結される自然石のそれぞれに凹部が形成され、請求項1または請求項2のいずれか1項記載の自然石連結部材が部分的に各自然石の凹部に挿入されて当該凹部内で接着剤により固定されていることを特徴とする自然石の連結構造。
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