JP2010037700A - インクジェット捺染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク射出安定性に優れ、滲みを抑え、画像耐久性に優れた、高画質画像を備えたインクジェット捺染プリントを得ることのできるインクジェット捺染方法を提供する。
【解決手段】顔料、界面活性剤、水溶性溶媒としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含有し、かつ、カルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物を、インク総質量に対して1.0〜10質量%含有するインクジェット用水性顔料インクを用いて、少なくとも太さが1.0〜10dのポリエステル繊維Aと、太さ0.001d以上、1.0d未満のポリエステル繊維Bから構成され、該ポリエステル繊維Aと該ポリエステル繊維Bとの混合比率(A:B)が1:0.1〜1:10の範囲にある布帛に、該布帛を表面温度が40〜90℃の条件で加熱して記録することを特徴とするインクジェット捺染方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット捺染方法に関し、特に、太さの異なる2種類以上のポリエステル繊維を主体とする撚糸で形成されたインクジェット捺染用布帛を加熱して、特定の定着樹脂を含有するインクジェット水性顔料インクを用いて記録するインクジェット捺染方法に関するものである。
インクジェット方式による画像記録方法はインクの微小液滴を飛翔させ、記録媒体に付着させる方法であって、その機構が比較的簡便、安価であり、高精細、高品位な画像を形成できる利点がある。
このインクジェット方式の利点を生かして布帛へ記録する、いわゆるインクジェット捺染も行われている。インクジェット捺染は従来の捺染方法とは異なり、版を作製する必要がなく、種々の画像を少量作成するのに適している。また、画像形成のために必要な量だけのインクを用いるため廃液が少なく環境適正にも優れた画像形成方法である。
インクジェット捺染用布帛としては、インクの発色性、定着性、乾燥性や、インクの滲みの抑制などの性能が要求される。従来、これらの要求性能を満足させるためには、主として布帛に対して、予め前処理を施しておくことにより対応してきた。しかしながら、煩雑な前処理工程を経るのでは、インクジェット方式の簡便さという利点を生かしきれない。また、最終工程後のプリント画像の優劣は、使用する布帛自体の有する基本特性と、インクの基本特性に負うところが多い。
即ち、従来の捺染糊と比べて、格段に低粘度の水系インクジェットインクを用いて、このインクのドット表現により、画像を形成するインクジェット捺染方法は、従来の捺染方法と比べて布帛の物理的特性に基づく制約が極めて多く、特に、主としてポリエステル繊維からなる糸を含んで構成される布帛の場合、その制約が大きい。
上記のような制約を取り除いて、滲みが少ない高画質な画像を形成するために、種々の顔料インクが提案されている。例えば、特許文献1には、反応剤を含有する反応液を予め布帛に付着させ、次に顔料インクを吐出させる方法が開示されているが、反応液を付着させる工程が必要であり、作業として煩雑である。
一方、特許文献2には、架橋構造を有する重合体で顔料を包含した着色剤をインクジェット捺染に用いる方法が開示されているが、この技術をもってしても、滲みの課題を解決することができないのが現状である。
特開2003−55886号公報 特開2002−338859号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、インクの射出安定性に優れ、滲みを抑え、画像耐久性に優れた、高画質画像を備えたインクジェット捺染プリントを得ることのできるインクジェット捺染方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.顔料と、界面活性剤と、水溶性溶媒としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含有し、かつ、少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物を、インク総質量に対して1.0質量%以上、10質量%以下含有するインクジェット用水性顔料インクを用いて、少なくとも太さが1.0d(デニール)以上、10d以下のポリエステル繊維Aと、太さ0.001d以上、1.0d未満のポリエステル繊維Bから構成され、該ポリエステル繊維Aと該ポリエステル繊維Bとの混合比率(A:B)が1:0.1〜1:10の範囲にある布帛に、該布帛を表面温度が40℃以上、90℃以下の条件で加熱してインクジェット記録することを特徴とするインクジェット捺染方法。
2.更に、水系分散型ポリマー微粒子を含有するインクジェット用水性顔料インクを用いてインクジェット記録することを特徴とする前記1に記載のインクジェット捺染方法。
また、本発明において、更に好ましい態様としては、
3.前記布帛が、太さの異なる2種以上のポリエステル繊維の混織糸であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット捺染方法。
4.前記布帛が、太さの異なる2種以上のポリエステル繊維からそれぞれ形成された2種以上のマルチフィラメント糸を撚って形成した交撚糸であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット捺染方法。
5.前記布帛が、太さの異なる2種以上のポリエステル繊維からそれぞれ形成された2種以上の撚糸から形成された混織布であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット捺染方法。
6.前記水溶性溶媒であるグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を、インク総量に対して2質量%以上、20質量%以下含有するインクジェット用水性顔料インクを用いてインクジェット記録することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
7.前記水溶性共重合物の酸価が、80以上、300未満であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のインクジェット捺染方法。
本発明により、インクの射出安定性に優れ、滲みを抑え、画像耐久性に優れた、高画質画像を備えたインクジェット捺染プリントを得ることのできるインクジェット捺染方法を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、
1)顔料、
2)界面活性剤、
3)水溶性溶媒としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類、
4)少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物を、インク総質量に対して1.0質量%以上、10質量%以下含有するインクジェット用水性顔料インクを用いて、
5)少なくとも太さが1.0d(デニール)以上、10d以下のポリエステル繊維Aと、太さ0.001d以上、1.0d未満のポリエステル繊維Bから構成され、
6)該ポリエステル繊維Aと該ポリエステル繊維Bとの混合比率(A:B)が1:0.1〜1:10の範囲にある布帛に、
7)該布帛を表面温度が40℃以上、90℃以下の条件で加熱してインクジェット記録することを特徴とするインクジェット捺染方法により、
インクの射出安定性に優れ、滲みを抑え、画像耐久性に優れた、高画質画像を備えたインクジェット捺染プリントを得ることのできるインクジェット捺染方法を実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
本発明者は、本発明に係るインクジェット水性顔料インクを用いて、特定のポリエステル繊維にインクジェット捺染することにより、所望のプリント物が得られる理由を以下のように推測している。
一般に、従来のような捺染糊と比べて格段に低粘度のインクを用いて、必要最小限の量の色材だけを布帛に付与してドット表現により画像を形成するインクジェット捺染は、殊にポリエステル繊維を主たる構成成分とする布帛に記録する場合、他の方法に比べて布帛の物理的条件に対する制約が極めて多い。本発明のインクジェット捺染方法によれば、ポリエステル繊維からなる布帛に対しても、布帛に前処理等を施さなくても、滲みを抑え、耐久性に優れた高画質画像を簡易に得ることができるものである。
本発明に係るインクジェット用水性顔料インクは、特定の水溶性共重合物を含んでおり、この水溶性共重合物はアミンにより中和されてインク中に安定に溶解している。該インクを用いて本発明に係るポリエステル繊維を含む布帛を加熱しておいて記録すると、インク中の溶媒と、中和剤であるアミンが揮発することによって、該水溶性共重合物の濃度が増加する。その結果、着弾したインクはヘッドから射出される前よりも大きく増粘し、布帛上で色材が不必要に拡散しないので滲みの発生を抑えることができる。また、高粘度となった該インクは、布帛を構成する繊維に絡まり色材を強く定着させることによって画像耐久性を充たすこととなる。
このとき、布帛を構成するポリエステル繊維の太さは、本発明に係る水性顔料インクの機能である、滲み抑制と顔料定着性に大きく影響を及ぼすものである。
該ポリエステル繊維の太さが小さいものであれば、繊維の表面積は大きく、顔料が繊維に強くからみあうことによって、定着性などの耐久性を良好なものとする。一方、繊維が細すぎると布帛の搬送強度に課題が生じることもあり、適度の太さが必要であるが、繊維太さが大きいと滲みが発生しやすくなり、色材の定着性という観点での画像耐久性に不安が生ずる。
そこで、本発明に係る布帛においては、1.0以上、10d以下のポリエステル繊維Aと、太さが0.001d以上、1.0d未満のポリエステル繊維Bとを混合比率として質量比で1:0.1〜1:10となるように同一布帛中に含ませてある。
更に、本発明に係るインクは、水溶性共重合物と共に、特定の水溶性溶媒と、界面活性剤を併用しており、前述のような布帛を構成する糸内部に速やかに浸透することによって、糸同士の隙間を拡散するのを抑え、滲みを低減させることが可能となる。
また、本発明に係る布帛に色材を定着させている水溶性共重合物は、これを中和するに用いたアミンが、記録時に布帛を加熱することにより溶媒と共に揮発するので、再度布帛に水分が付着しても再溶解することなく布帛に固着し耐久性に優れたプリント物を形成することができるものと考えている。
以上のようにして、滲みを抑え、画像耐久性に優れたプリント物を形成するインクジェット捺染方法を提供することができる。
《インクジェット用水性顔料インク》
本発明に係るインクジェット用水性顔料インク(以下、単にインクともいう)は、主に、1)顔料、2)界面活性剤、3)水溶性溶媒としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類、4)少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物により構成されている。
〔顔料〕
本発明に適用可能な顔料は、水系で安定に分散できるものであればよく、高分子樹脂により分散した顔料分散体、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料、顔料表面を修飾し分散樹脂を用いなくても分散可能な自己分散顔料等から選択することができる。インクの保存性を特に重視する場合は、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を選択することが好ましい。
高分子樹脂により分散した顔料分散体を用いる場合、高分子樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような樹脂である。
顔料の分散方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
本発明に係る顔料分散体を調製するには、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましく用いられる。
また、水不溶性樹脂で被覆されたカプセル顔料を用いる場合の水不溶性樹脂とは、弱酸性ないし弱塩基性の水に対して不溶な樹脂であり、好ましくは、pH4〜10の水溶液に対する溶解度が2質量%未満の樹脂である。
このような樹脂としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル系、酢酸ビニル−アクリル系、酢酸ビニル−塩化ビニル系、ポリウレタン系、シリコン−アクリル系、アクリルシリコン系、ポリエステル系、エポキシ系の各樹脂を挙げることができる。
また、本発明では、顔料を分散するのに用いる樹脂として疎水性モノマーと親水性モノマーを構成成分として作成された樹脂を用いることができる。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられ、アクリル酸のような酸性基を有するものは、重合後に塩基で中和したものを好ましく用いることができる。
樹脂の分子量としては、重量平均分子量Mwで、3000〜500000のものを用いることができる。好ましくは、7000〜200000のものを用いることができる。
樹脂のTgは−30〜100℃程度のものを用いることができ、好ましくは−10〜80℃程度のものを用いることができる。
重合方法としては、溶液重合、乳化重合を用いることができる。重合はあらかじめ顔料と別途行ってもよいし、顔料を分散した系内にモノマーを供給して重合してもよい。
顔料を樹脂で被覆する方法としては、公知の種々の方法を用いることができるが、好ましくは、転相乳化法や酸析法の他に、顔料を、重合性界面活性剤を用いて分散し、そこへモノマーを供給し、重合しながら被覆する方法から選択することがよい。より好ましい方法としては、水不溶性樹脂をメチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解し、さらに塩基にて樹脂中の酸性基を部分的または完全に中和後、顔料及びイオン交換水を添加し、分散した後、有機溶剤を除去、必要に応じて加水し調製する製造方法が好ましい。
顔料と樹脂の質量比率は、顔料/樹脂比で100/40〜100/150から選択することができる。特に画像耐久性と射出安定性やインク保存性が良好なのは100/60〜100/110である。
水不溶性樹脂で被覆された顔料粒子の平均粒子径は、80〜150nm程度がインク保存安定性、発色性の観点から好ましい。
顔料粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法等を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。また、透過型電子顕微鏡による粒子像撮影を少なくとも100粒子以上に対して行い、この像をImage−Pro(メディアサイバネティクス製)等の画像解析ソフトを用いて統計的処理を行うことによっても求めることが可能である。
また、自己分散顔料としては、表面処理済みの市販品を用いることもでき、例えば、CABO−JET200、CABO−JET300(以上、キャボット社製)、ボンジェットCW1(オリエント化学工業社製)等を挙げることができる。
本発明に使用できる顔料としては、従来公知の有機及び無機顔料が使用できる。例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料のアゾ顔料や、フタトシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機溶剤、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
具体的な有機顔料を以下に例示する。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
〔界面活性剤〕
本発明に係る界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、シリコン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤またはアセチレン系界面活性剤等が挙げられる。
シリコン系界面活性剤としては、ジメチルポリシロキサンの側鎖または末端をポリエーテル変性したもの(ポリエーテル変性ポリシロキサン化合物)が好ましく、例えば、信越化学工業製のKF−351A、KF−642やビッグケミー製のBYK347、BYK348等が挙げられる。
また、フッ素系界面活性剤としては、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。この内、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。
フッ素系界面活性剤のうち、ある種のものは市販されており、例えば、大日本インキ化学工業社からメガファック(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子社からサーフロン(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(Zonyls)なる商品名で、またファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(Licowet)VPFなる商品名で、それぞれ市販されている。
また、非イオン性フッ素系界面活性剤としては、例えば、大日本インキ社製のメガファックス144D、旭硝子社製のサーフロンS−141、同145等を挙げることができ、また、両性フッ素系界面活性剤としては、例えば、旭硝子社製のサーフロンS−131、同132等を挙げることができる。
本発明で用いることのできるアセチレン系界面活性剤としては、アセチレングリコール系界面活性剤であり、分子中に三重結合を有し、その隣接炭素原子に水酸基及びアルキル基を有し、三重結合に対して左右対称構造であるものが好ましい。本発明で用いることができるアセチレングリコール化合物、アセチレンアルコール化合物は市販品として入手することができ、例えば、日信化学工業(株)製のサーフィノール、オルフィン、川研ファインケミカル社製のアセチレノール等が挙げられる。
〔水溶性溶媒〕
また、本発明に係るインクジェット用水性顔料インクでは、水溶性溶媒として、グリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含むことを特徴の一つとする。
水溶性共重合物と共に、グリコールエーテル類や1,2−アルカンジオール類を用いることにより、これら水溶性溶媒が、顔料分散体や該水溶性共重合物と疎水的な相互作用を起こし、特に、加熱された布帛へインクが着弾した後に、水分が減少してグリコールエーテル類等の濃度増加に伴ってより強く作用しあい、インクの増粘効果をもたらす。従って、該水溶性重合物とグリコールエーテル類等を併用することにより、滲み防止効果が顕著に発揮されると考えられる。
一方、該グリコールエーテル類等は、比較的表面張力が小さい溶媒であり、併用する界面活性剤との相乗効果で、本発明に係るインクジェット捺染用布帛に対する十分な親和性を発揮する。これにより、水性顔料インクは、特定範囲の太さのポリエステル繊維内部に速やかに浸透するので、糸同士の隙間を拡散して滲みを起こす現象は抑えられ、顔料は布帛に十分に定着されると本発明者は考えている。
本発明に係るグリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。また、1,2−アルカンジオール類としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ヘプタンジオール等が挙げられる。
本発明に係るグリコールエーテルまたは1,2−アルカンジオール系有機溶剤は、インク総質量に対して2〜20質量%含有することが、本発明の効果を顕著に奏するという観点において特に好ましい。
〔水溶性共重合物〕
本発明に係る水溶性共重合物は、カルボキシル基である親水性成分と、疎水性成分とを適切なバランスで有するものを設計して用いる。この際、カルボキシル基を揮発可能な塩基成分で中和することで、水溶性を付与した本発明に係る水溶性共重合体は上記の機能を十分に発揮するものである。このような水溶性共重合物としては、アクリル系、スチレン−アクリル系、アクリロニトリル−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、ポリウレタン系、ポリエステル系の各樹脂を例示することができる。
本発明に係る水溶性共重合物を構成する疎水性モノマーとしては、例えば、アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等)、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル等)、スチレン等が挙げられる。
本発明に係る水溶性共重合物を構成する親水性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等が挙げられる。
本発明に係る水溶性共重合物が有しているカルボキシル基のような酸性基は、部分的あるいは完全にアミンで中和されている必要がある。アミンとしては、例えば、アンモニア、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−メチルアミノエタノール等を好ましく用いることができる。
特に、沸点が200℃未満のアミンで中和することは、乾燥時にアミンが揮発し易く、疎水性を速く高めて画像の耐久性向上に寄与することから更に好ましい。
本発明に係る水溶性共重合物は、インク総質量に対して1.0質量%以上、10質量%以下含有することを特徴とし、より好ましくは2.0質量%以上、7.0質量%以下である。本発明に係る水溶性共重合物の含有量が1.0質量%以上であると、顕著に滲みを防止して高画質画像を得ることができる。また、10質量%以下であれば、インクの保存安定性が顕著に良好で、安定出射が可能で長期に渡って安定にプリントを得ることができる。
また、本発明に係る水溶性共重合物は、その酸価が80mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることが好ましいが、これによって該水溶性共重合物の、乾燥時の粘度増加が顕著になるとともに、乾燥後も更に強固に固化して顔料の定着性が良好である。更に好ましい酸価は90〜250mgKOH/g程度のものである。本発明で規定する酸価は、JIS K0070に準拠して測定できる。
本発明に係る水溶性共重合物の重合方法としては溶液重合であることが好ましい。本発明に係る水溶性共重合物の分子量としては、平均分子量で3000〜30000のものを好ましく用いることができ、より好ましくは7000〜20000である。
本発明に係る水溶性共重合物のTgは、−30℃〜100℃程度のものを好ましく用いることができ、より好ましくは−10℃〜80℃である。
〔水系分散型ポリマー微粒子〕
本発明に係るインクジェット用水性顔料インクにおいては、上記各構成要素に加えて、水系分散型ポリマー微粒子を含有することが好ましい。
本発明に係る水溶性共重合物は、乾燥時にインクを増粘させて滲みを防ぐ働きを示すと共に、中和剤としてのアミンが揮発することによって、水分に再溶解されにくく、顔料定着性にも優れるが、更に水系分散型ポリマー微粒子を含有させることによって、より顔料定着性を強固なものとして耐擦性向上に寄与することができる。また、水系分散型ポリマー微粒子との併用により、インクを増粘させる速さをコントロールして、着弾時のインク滴を適度にレベリングさせて画像表面に凸凹が生ずるのを防いで写像性を良好に保ち、滲み抑制、顔料定着性と併せて満足することができるという利点がある。
該水系分散型ポリマー微粒子のTgは、35℃以上であることが、画像の耐擦過性効果を特に発揮するという点においてより好ましく、さらに49℃以上であることがより好ましい。Tgの上限は特に制限されるものではないが、概ね100℃未満であれば柔軟なインク皮膜を得ることができ、プリント物の折り曲げ等による画像のひび割れ故障を抑制できるという点で好ましい。
水系分散型ポリマー微粒子の酸価は、44mgKOH/g以上が好ましく、更には60mgKOH/g以上が好ましい。酸価の上限は特に限定されるものではないが、より安定な分散物を得やすいという観点で110mgKOH/g未満が好ましい。
水系分散型ポリマー微粒子の平均粒子径は、インクジェット記録ヘッドのノズルにおける目詰まりがなく、良好な光沢感が得られる点で300nm以下であることが好ましく、より好ましくは130nm以下である。平均粒子径の下限は、微粒子の製造安定性の観点から30nmが好ましい。
水系分散型ポリマー微粒子の含有量は、色材の定着性とインクの保存安定性の観点から0.7%〜6%が好ましく、特に好ましくは、1〜3%である。
水系分散型ポリマー微粒子は、水系で重合された分散物をそのまま、あるいは処理したものを用いてもよいし、溶剤系で重合されたポリマーを水系に分散したものを用いてもよく、アクリル系、ウレタン系、スチレン系、酢酸ビニル系、塩化ビニリデン系、塩化ビニル系、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリロニトリル系、ポリブタジエン系、ポリエチレン系、ポリイソブチレン系、ポリエステル系等から選択することができる。
また、該水系分散型ポリマー微粒子は、吐出安定性の観点からソープフリー型の分散ポリマー粒子が好ましい。特に好ましい水系分散型ポリマー微粒子は、カルボキシル基を有する不飽和ビニルを単量体成分として重合した共重合体の自己分散型ディスパージョンであり、例えば、アクリル酸エチルなどのアクリル系モノマー単独もしくはアクリル系モノマーと共重合し得るエチレン姓の不飽和モノマーからなる組成物にカルボン酸モノマーとしてアクリル酸やマレイン酸などを乳化重合もしくは懸濁重合して得られた分散液をアルカリで膨潤後、機械的せん断により粒子を分割して得られるアクリルヒドロゾルである。尚、アクリルヒドロゾルの中でも、樹脂の屈折率を高めて高い光沢感が得られる点で、モノマー組成にスチレンを含有することが好ましい。
前記のアクリルヒドロゾルは、ジョンソンポリマー株式会社のジョンクリル(商品名)などが市販されている。
〔その他の溶媒〕
本発明に係るインクには、本発明に係る水溶性溶媒のほかにも、種々の液媒体を用いることもできる。該液媒体としては、水及び水溶性有機溶剤等の混合溶剤がさらに好ましく用いられる。例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)等が挙げられる。
〔インクセット〕
本発明に係るインクジェット捺染方法においては、該インクジェット用水性顔料インクが、顔料種が同一で、顔料濃度の異なる淡色インクジェットインクと濃色インクジェットインクとを含むインクセットであってもよい。
即ち、少なくとも一色のインクにおいて、淡色インクジェットインクと濃色インクジェットインクとで構成され、更には、二色以上のインクにおいて、淡色インクジェットインクと濃色インクジェットインクとを含むインクセットを用いることができる。
これは、低顔料濃度の淡色インクを用いることで、粒状感を低減させ、いわゆる「ざらつき」の無い、高品位の画像を形成することができる。特に、人間の視感度の高いマゼンタインクあるいはシアンインクにおいて、濃度の異なる少なくとも二つのインクを用いることによって、高品位画像を得ることができる。
この濃度が異なる淡色インクジェットインクと濃色インクジェットインクとの顔料濃度比は任意な値であってよいが、滑らかに諧調再現するためには、淡色インクと濃色インクとの比(淡色インクの顔料濃度/濃色インクの顔料濃度)は0.1〜1.0の間にあることが好ましく、0.2〜0.5の間にあることが更に好ましく、0.25〜0.4の間にあると更に好ましい。
《布帛》
本発明のインクジェット捺染方法においては、上記インクジェット用水性顔料インクを用いて画像形成を行う際に、少なくとも太さが1.0d(デニール)以上、10d以下のポリエステル繊維Aと、太さ0.001d以上、1.0d未満のポリエステル繊維Bから構成され、該ポリエステル繊維Aと該ポリエステル繊維Bとの混合比率(A:B)が1:0.1〜1:10の範囲にある布帛を用いることを、特徴とする。
以下、本発明に係る布帛について説明する。
本発明に係る布帛は、太さの異なるポリエステル繊維を2種以上用いることが必須である。
本発明に係る布帛では、各種特性を両立させるには、1d以上のポリエステル繊維群と1d未満のポリエステル繊維群とを1:0.1〜1:10といった特定の範囲に制御することが必要であるという知見に基づいたものである。
繊維の太さの測定については、一定長に切り揃えた繊維を秤量して、繊維数、質量を求め、9000m当たりの質量に換算してd(デニール)単位で表した。
上記各ポリエステル繊維は、撚り合わされて糸となるが、その際の糸の太さとしては、好ましくは5〜200d、より好ましくは、10〜100dの範囲である。
本発明に係る布帛を構成する、これら2種以上のポリエステル繊維を組み合わせる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、混織糸、交撚糸、混織布などの形態が好ましい。
ここで、混織糸からなる布帛とは、2種以上のフィラメント繊維を用いて撚り糸を形成して布帛としたものである。交撚糸からなる布帛とは、2種類以上のマルチフィラメント糸を合わせて撚糸とし(交撚糸)、それを布帛としたものである。更に、混織布とは、織りの段階で2種類以上の撚糸から形成した布帛を表す。
本発明に係る布帛はポリエステル糸を主として構成されているが、ポリエステルはエステル結合を有する合成繊維であり、ポリエステル糸は、引張強度、摩擦強度及び耐熱性が大きく、天然繊維や再生繊維等と混紡しても着心地がよく混紡性にも優れている。
本発明に係るポリエステルは、これに限定されるものではないが、主としてエチレングリコールとテレフタル酸の縮合物である。また、炭素数3〜8の直鎖ジオールとテレフタル酸の縮合物、あるいはエチレングリコールとテレフタル酸と炭素数3〜8の直鎖ジカルボン酸の縮合物が好ましい。
本発明に係るインクジェット捺染記録方法によりプリントされた布帛は、その後、所望の大きさに切り離され、その切り離された片は、縫着、接着、溶着などの最終的な加工品を得るための工程を施され、ワンピース、ドレス、ネクタイ、水着などの衣類や布団カバー、ソファーカバー、ハンカチ、カーテンなどを得ることができる。あるいは、Tシャツなど衣類等の形状を作成した後に、本発明に係るインクジェット捺染方法をもって記録しても同様に高画質画像を形成することができる。
《インクジェット捺染方法》
〔布帛の加熱〕
本発明のインクジェット捺染方法は、布帛を40〜90℃に加熱して印字することを特徴の一つとする。
布帛を加熱することで、インクの乾燥増粘速度が著しく向上し、高画質が得られる。また、画像の耐久性も向上する。40℃以上であれば、画質は十分であり、また十分な画像耐久性が得られることに加え、乾燥時間も比較的短時間ですむ。一方、90℃以下であれば、インクの安定射出性を確保し安定にプリントすることができる。更に好ましくは、記録媒体の記録表面温度を40〜60℃とすることが好ましい。加熱方法としては、記録媒体搬送系もしくはプラテン部材に発熱ヒーターを組み込み、記録媒体下方から接触式で加熱する方法や、ランプ等により下方または上方から非接触で加熱する方法を選択することができる。また、本発明では、印字後に後処理として、布帛の印字部を70℃以上で、10秒以上、再加熱して最終画像としてもよい。
〔インクジェットヘッド〕
本発明のインクジェット捺染方法に使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でもよく、また吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型)等などいずれの吐出方式を用いてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《布帛の作製》
〔布帛Aの作製:本発明〕
エチレングリコールとテレフタル酸の縮合物からなる0.5dのフィラメント状ポリエステル繊維Aを10本と、2.0dのフィラメント状ポリエステル繊維Bを10本とを混織した織物を作製し、これを布帛Aとした。布帛Aにおけるフィラメント状ポリエステル繊維Aとフィラメント状ポリエステル繊維Bとの質量比(A:B)は、1:4である。
〔布帛Bの作製:本発明〕
エチレングリコールとテレフタル酸とピメリン酸(モル比3:1:2)の共重合物からなる0.4dのフィラメント状ポリエステル繊維Aを15本と、2dのフィラメント状ポリエステル繊維Bを20本とを混織糸として用いて織布を作製し、これを布帛Bとした。布帛Bにおけるフィラメント状ポリエステル繊維Aとフィラメント状ポリエステル繊維Bとの質量比(A:B)は、1:6.7である。
〔布帛Cの作製:本発明〕
エチレングリコールとテレフタル酸の縮合物からなる0.3dのマルチフィラメント状ポリエステル繊維Aを20本と、3.0dのマルチフィラメント状ポリエステル繊維Bを12本とを交織糸として織物を作製し、これを布帛Cとした。布帛Cにおけるマルチフィラメント状ポリエステル繊維Aとマルチフィラメント状ポリエステル繊維Bとの質量比(A:B)は、1:6である。
〔布帛Dの作製:本発明〕
エチレングリコールとテレフタル酸の縮合物からなる0.2dのフィラメント状ポリエステル繊維Aの100本により作製した撚糸を横糸として用い、3.0dのフィラメント状ポリエステル繊維Bの6本より作製した撚糸を縦糸として混織布を作製し、これを布帛Dとした。布帛Dにおけるフィラメント状ポリエステル繊維Aとフィラメント状ポリエステル繊維Bとの質量比(A:B)は、1:0.9である。
〔布帛Eの作製:比較例〕
エチレングリコールとテレフタル酸の縮合物からなる0.2dのマルチフィラメント状で断面が円形のポリエステル繊維50本のみ用いて織布を作製し、これを布帛Eとした。
〔布帛Fの作製:比較例〕
エチレングリコールとテレフタル酸の縮合物からなる2.0dのマルチフィラメント状で断面が円形のポリエステル繊維13本のみ用いて織布を作製し、これを布帛Fとした。
《顔料分散体の調製》
〔顔料分散体−Cの調製〕
顔料分散剤としてスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678、分子量8500、酸価215)3部、ジメチルアミノエタノール1.3部、イオン交換水80.7部を70℃で攪拌混合して溶解した。
次いで、前記溶液に、C.I.ピグメントブルー15:3を15部添加してプレミックスした後、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、シアン顔料の含有量が15%の顔料分散体−Cを調製した。
〔顔料分散体−Y、M、Bkの調製〕
上記顔料分散体−Cの調製において、シアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3に代えて、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー−74、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122、ブラック顔料としてカーボンブラックをそれぞれ用いる以外は同様にして、顔料分散体−Y、顔料分散体−M、顔料分散体−Bkを調製した。
《水溶性共重合物の合成》
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。
そこへ、メタクリル酸n−ブチル80g、アクリル酸20g、メチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgからなる混合物を、滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流した。放冷後、減圧下で加熱し、メチルエチルケトンを留去して重合物残渣を得た。
イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当のジメチルアミノエタノールを溶解し、そこへ上記重合物残渣を添加して溶解した。次いで、イオン交換水で濃度を調整し、水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物1(酸価117mgKOH/g)の水溶液を得た。
〔水溶性共重合物2、3の合成〕
上記水溶性共重合物1の合成において、使用したモノマーを表1に記載のモノマーに代えた以外は同様にして、水溶性共重合物2(酸価155mgKOH/g)、水溶性共重合物3(酸価194mgKOH/g)を合成し、各水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物2、3の水溶液を得た。
〔比較用の水溶性共重合物Aの合成〕
滴下ロート、窒素導入官、還流冷却官、温度計及び攪拌装置を備えたフラスコにメチルエチルケトン50gを加え、窒素バブリングしながら、75℃に加温した。
そこへ、メタクリル酸n−ブチル80g、アクリル酸20g、メチルエチルケトン50g、重合開始剤(AIBN)500mgの混合物を滴下ロートより3時間かけ滴下した。滴下後さらに6時間、加熱還流した。放冷後、減圧下加熱しメチルエチルケトンを留去して重合物残渣を得た。
イオン交換水450mlに対して、モノマーとして添加したアクリル酸の1.05倍モル相当の水酸化ナトリウムを溶解し、そこへ上記重合物残渣を溶解した。イオン交換水で濃度を調整し、水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物Aの水溶液を得た。
《水溶性共重合物の特性値測定》
上記調製した各水溶性共重合物の酸価及び重量平均分子量を、下記の方法に従って測定した。
〔酸価の測定〕
水溶性共重合物の酸価は、JIS K0070 に準拠して測定した。
〔重量平均分子量Mwの測定〕
水溶性共重合物の重量平均分子量Mwは、高速液体クロマトグラフィーを用いて測定した。
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2010037700
《インクセットの調製》
〔インクセット1の調製:本発明〕
(インクC1の調製)
上記調製した顔料分散体−Cの46.6部を攪拌しながら、疎水モノマーを重合成分として有する上記水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物1の水溶液15.0部を添加し、次いで、下記に示す各化合物を順次添加してインク組成物を調製し、0.8μmのフィルターによりろ過してインクC1を得た。
顔料分散体−C 46.6部
水溶性共重合物1の水溶液(水溶性共重合物含有量:20%) 15.0部
PDX−7664A(BASF社製、アクリル粒子含有量:46%) 2.9部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10.0部
1,2−ヘキサンジオール 5.0部
ジエチレングリコール 11.2部
アセチレン系界面活性剤:オルフィン465(日信化学工業社製) 0.6部
イオン交換水を加えて全量100部に調製した。なお、インクC1中の水溶性共重合物1の含有量は3.0質量%、水系分散型ポリマー微粒子の含有量は1.9質量%である。
(インクY1、M1、Bk1の調製)
上記インクC1の調製において、顔料分散体−Cに代えて、顔料分散体−Y、M、及び、Bkを用いた以外は同様にして、インクY1、インクM1、及び、インクBk1を調製した。
以上のようにして調製したインクC1、インクY1、インクM1及びインクBk1を、インクセット1とした。
〔インクセット2の調製:本発明〕
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いた水溶性共重合物1に代えて、水溶性共重合物2を用いた以外は同様にして、各色インク(インクC2、インクY2、インクM2、及び、インクBk2)を調製し、これをインクセット2とした。
〔インクセット3の調製:本発明〕
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いた水溶性共重合物1に代えて、水溶性共重合物3を用いた以外は同様にして、各色インク(インクC3、インクY3、インクM3、及び、インクBk3)を調製し、これをインクセット3とした。
〔インクセット4の調製:比較例〕
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いた水溶性共重合物1のインク全質量に対する添加量を0.8質量%とした以外は同様にして、各色インク(インクC4、インクY4、インクM4、及び、インクBk4)を調製し、これをインクセット4とした。
〔インクセット5の調製:本発明〕
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いた水溶性共重合物1のインク全質量に対する添加量を1.2質量%とした以外は同様にして、各色インク(インクC5、インクY5、インクM5、及び、インクBk5)を調製し、これをインクセット5とした。
〔インクセット6の調製:本発明〕
上記水溶性共重合物の含有量が20%である水溶性共重合物1の水溶液の調製において、イオン交換水の濃度を調整して、水溶性共重合物1の含有量を40%に変更した水溶性共重合物1Aの水溶液を調製した。
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いた水溶性共重合物1の水溶液(20%)に代えて、上記水溶性共重合物1の含有量が40%の水溶性共重合物1Aの水溶液を用い、インク全質量に対する水溶性共重合物1の含有量を9.0質量%とした以外は同様にして、各色インク(インクC6、インクY6、インクM6、及び、インクBk6)を調製し、これをインクセット6とした。
〔インクセット7の調製:比較例〕
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いた水溶性共重合物1の水溶液(20%)に代えて、上記水溶性共重合物1の含有量を40%とした水溶性共重合物1Aの水溶液を用い、インク全質量に対する水溶性共重合物1の含有量を11.0質量%とした以外は同様にして、各色インク(インクC7、インクY7、インクM7、及び、インクBk7)を調製し、これをインクセット7とした。
〔インクセット8の調製:本発明〕
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いたPDX−7664A(BASF社製、アクリル粒子含有量:46%)を除いた以外は同様にして、各色インク(インクC8、インクY8、インクM8、及び、インクBk8)を調製し、これをインクセット8とした。
〔インクセット9の調製:比較例〕
上記インクセット1の調製において、各色インクの調製に用いた水溶性共重合物1に代えて、水溶性共重合物Aを用いた以外は同様にして、各色インク(インクC9、インクY9、インクM9、及び、インクBk9)を調製し、これをインクセット9とした。
《画像形成及び評価》
上記作製した布帛と上記調製したインクジェットセットとを、表2に記載の様に組み合わせた記録方法1〜14により、画像形成を行い、下記の各評価を行った。同時に、各インクセットについて、射出安定性を併せて評価した。
〔射出安定性〕
ノズル直径15μm、駆動周波数10kHz、ノズル数64のピエゾヘッドを用いて、出射性を評価した。駆動電圧は各インク体積が60plとなるように調整した。25℃、相対湿度40%の環境下で、各インクセットの各インク500mlを吐出し続け、インクがなくなるまでに発生した曲がり、欠射について観察してその平均値を求め、下記の基準に従って、射出安定性を評価した。
◎:全ノズルとも正常に出射
○:1〜7ノズルで曲がりが見られる
×:8以上のノズルで曲がり、欠射が見られる
〔画質の評価:滲み耐性〕
インクジェットプリンタNassengerKS−1600IIに接触式ヒーターを取り付け、布帛1〜6を、毎時10mの速度で搬送しながら、ベタ画像を印字し、プリントを作製した。尚、布帛の表面温度が50℃になるようにヒーター温度を調整した。
各インクセットのインクごとに作製した各ベタ画像について、印字部と非印字部の境界領域における各色インク画像の滲みの発生度合を目視観察し、下記基準に従って滲み耐性を評価した。
◎:全てのインク画像で、印字部と非印字部の境界で滲みが見られない
○:一部のインク画像で、インク印字部と非印字部の境界で滲みがわずかに見られる
×:全てのインク画像で、印字部と非印字部の境界で滲みが激しく発生
〔画像耐久性の評価〕
上記滲み耐性の評価と同様の方法で各インクセットの各々のインクごとにベタ画像を作成し、下記基準に従って画像耐久性の評価を行った。
◎:全てのインク画像が、水を浸した布で拭いても、拭いた布に汚れは殆ど無い
○:一部のインク画像が、水を浸した布で拭いても画像は見た目に変化はないが、拭いた布に色が付いて汚れる
×:全てのインク画像が、乾いたポリエステル布で拭いても画像は見た目に変化は少ないが、拭いた布に色が付いて汚れる
〔乾燥性の評価〕
表示耐久性の評価と同様にして各色ベタ画像を作成した後、記録媒体下方から50℃で引き続き加熱し続け、20秒ごとに綿棒で形成したベタ画像部をこすり、綿棒が着色しなくなるまでの時間を測定し、これを乾燥性の尺度とした。
以上により得られた乾燥性を除く各評価結果を、表2に示す。
Figure 2010037700
表2に記載の結果より、明らかなように、本発明で規定する構成からなるインクジェット用水性顔料インクと布帛を用いた本発明のインクジェット捺染方法により形成された画像は、比較例に対し、滲み耐性、画像耐久性に優れていることが分かる。加えて、本発明で規定する構成からなるインクジェット用水性顔料インクは、比較例に対し射出安定性に優れていることが分かる。
また、上記方法に従って乾燥性を評価した結果、本発明のインクジェット捺染方法により形成した画像は、いずれも乾燥時間が3分以内であり、良好な乾燥性を示した。

Claims (2)

  1. 顔料と、界面活性剤と、水溶性溶媒としてグリコールエーテル類または1,2−アルカンジオール類を含有し、かつ、少なくともカルボキシル基を有する不飽和ビニルをモノマー成分として重合した共重合体をアミンにより中和溶解した水溶性共重合物を、インク総質量に対して1.0質量%以上、10質量%以下含有するインクジェット用水性顔料インクを用いて、少なくとも太さが1.0d(デニール)以上、10d以下のポリエステル繊維Aと、太さ0.001d以上、1.0d未満のポリエステル繊維Bから構成され、該ポリエステル繊維Aと該ポリエステル繊維Bとの混合比率(A:B)が1:0.1〜1:10の範囲にある布帛に、該布帛を表面温度が40℃以上、90℃以下の条件で加熱してインクジェット記録することを特徴とするインクジェット捺染方法。
  2. 更に、水系分散型ポリマー微粒子を含有するインクジェット用水性顔料インクを用いてインクジェット記録することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット捺染方法。
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