JP2010032338A - 生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法 - Google Patents
生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2010032338A JP2010032338A JP2008194222A JP2008194222A JP2010032338A JP 2010032338 A JP2010032338 A JP 2010032338A JP 2008194222 A JP2008194222 A JP 2008194222A JP 2008194222 A JP2008194222 A JP 2008194222A JP 2010032338 A JP2010032338 A JP 2010032338A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- biological sample
- luminescent
- light
- light intensity
- concentration
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
Abstract
【課題】 実験用小動物等の生物試料の内部に於ける蛍光試薬等の濃度を光学顕微鏡等を用いたイメージング技術を用いて検出することのできる方法を提供すること。
【解決手段】 本発明の生物試料の内部の発光物質の濃度を検出する方法は、生物試料の内部へ発光物質と第一の発光固体粒子とを注入する過程と、第二の発光固体粒子を生物試料の表面上に配置する過程と、イメージング装置を用いて生物試料の内部の第一の発光固体粒子、発光物質及び生物試料の表面上に配置された第二の発光固体粒子の各々の発する光の強度を計測する過程と、それらの光強度に基づいて、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度を算出する過程と、算出された光強度に基づいて生物試料の内部に分布する発光物質の濃度を決定する過程とを含む。
【選択図】 図3
【解決手段】 本発明の生物試料の内部の発光物質の濃度を検出する方法は、生物試料の内部へ発光物質と第一の発光固体粒子とを注入する過程と、第二の発光固体粒子を生物試料の表面上に配置する過程と、イメージング装置を用いて生物試料の内部の第一の発光固体粒子、発光物質及び生物試料の表面上に配置された第二の発光固体粒子の各々の発する光の強度を計測する過程と、それらの光強度に基づいて、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度を算出する過程と、算出された光強度に基づいて生物試料の内部に分布する発光物質の濃度を決定する過程とを含む。
【選択図】 図3
Description
本発明は、蛍光試薬などの光を発する発光物質を用いて実験用小動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等)の個体、胚、摘出臓器、培養組織などの生物試料の内部又は深部の観測をする方法に係り、より詳細には、上記の如き生物試料内部又は深部に於ける蛍光試薬等の発光物質の濃度を検出する方法に係る。
医学的、薬学的又は生物学的研究の分野に於いて、近年の光学顕微鏡(実体顕微鏡を含む)を用いたイメージング技術の進歩により、実験用小動物の個体、胚、摘出臓器、培養組織といった比較的ボリュームの大きな生物試料の内部又は深部を蛍光試薬等の光を用いて観測する実験が種々の態様にて実施されるようになってきた。そのような実験の例としては、例えば、生物試料の血管へ蛍光試薬等を投与し、蛍光試薬等の光によって血管系の構造を可視化したり、或いは、血管へ投与された蛍光試薬等が血管から漏洩する様子を観測するといった実験が行われている(例えば、非特許文献1、2、特許文献1参照。)。このような血管系の可視化や血管からの蛍光試薬等の漏出を観測するなどの実験は、例えば、生体内の腫瘍細胞近傍の血管系の構造や強さの調査のため或いは新規治療薬の生体内での動態観察のためのモデル実験として実施され、腫瘍細胞へのドラッグデリバリーの効率を評価するためなどに於いて有用である。
上記の如く光学顕微鏡を用いて実験用小動物の個体、胚、摘出臓器、培養組織といった厚みのある試料の内部又は深部を観測する場合、観測されるべき部位(観測部位)から光検出器へ到達するまでの光路は、試料中の組織や培養液などを通過することとなるので、観測部位から光検出器に到達する光の強度は、その光路中に於ける試料による光の一部の吸収などによって減衰することとなる。即ち、観測部位から実際に光検出器に到達する光の強度は、試料表面からの観測部位の距離若しくは深さによって変化し、そうなると、観測部位の構造が正確に観測できなくなるおそれがある(当業者にとって理解される如く、一般に光を用いた或る構造の観測では、基本的には、検出された光の明るさとコントラストにより構造を把握する。光の減衰が生ずると、明るさとコントラストが低減し、鮮明な或いは正確な像が得られず、構造を把握することが難しくなる。)。そこで、例えば、特許文献2は、培養液試料に於いて試料表面から種々の距離(試料の深さ)に配置された蛍光ビーズの像を予め撮影し、それらの像の明るさと試料に於ける観測部位の深さとの関係を求めておき、そこで得られた関係に基づいて、試料表面から観測部位までの深さによる検出光の強度の変動を補正することを提案している(同文献では、蛍光共焦点顕微鏡による3次元イメージングシステムに於ける光軸方向のシェーディング補正のために用いられる。)。また、特許文献3では、トモグラフィ技術により試料表面から深さのある観察部位を画像化することなどが提案されている。
特開2006−227000
特開2005−275199
米国特許第6,615,063号明細書
ドレアー(Dreher, Matthew R)他5名 ジャーナル・オブ・ザ・ナショナル・カンサー・インスティテュート(Journal of the National Cancer Institute) 98, No.5 335-344 2006年3月1日
ニッタ(Nitta, Takehiro)他7名 ザ・ジャーナルオブ・セル・バイオロジー(The Journal of Cell Biology) 161,3,653-660 2003年5月12日
VisEn社インターネットホームページ http://www.visenmedical.com/technologies/near_infra_red/index.html
ところで、実験用小動物の個体、胚、摘出臓器、培養組織などの生物試料に対して蛍光試薬等を与え、その蛍光試薬等からの光を観測する実験に於いて、しばしば、生物試料に於ける蛍光試薬の絶対的な濃度又は濃度分布を知りたい場合がある。例えば、上記に例示した如き蛍光試薬を用いて血管からの漏出を観察するモデル実験に於いて、血管中の蛍光試薬の濃度又は血管の周囲に漏出した蛍光試薬の濃度又は濃度分布が算定されれば、血管からの漏出の度合いを定量的に決定することが可能となるであろう。
しかしながら、蛍光試薬等の光を用いた上記の如き厚みのある生物試料の内部又は深部のイメージングによる観測では、試料の内部に分布する蛍光試薬等の絶対的な濃度を定量的に検出することは困難となっている。既に触れた通り、生物試料の組織は、一般に、そこを透過する光の一部を吸収する性質を有しており、蛍光観察により観測部位からの光を検出する際には、観測部位へ当てられるべき励起光及び観測部位から発せられる蛍光が試料を透過する間に減衰する。従って、そこで計測された蛍光強度から観測部位に実際に存在する蛍光試薬の量又は濃度を定量的に検出することはできない。勿論、特許文献2にて提案されている如く、蛍光ビーズを用いて得られた試料中に於ける観測部位の深さと検出光強度の関係から検出光の強度の補正を行うことにより、画像に於ける輝度の明るさ又はコントラストのムラを解消することは原理的に可能である。しかしながら、試料による光の吸収特性が光の波長に依存すること、そして、観測部位から光検出器までの光路に於ける試料の占める長さが(光検出器と観測部位との距離が同じであったとしても)試料の大きさによって変化し、これにより、試料による光吸収の程度が変化することから、特許文献2の方法によっても蛍光試薬等の絶対的な濃度を検出することはできない。そこで、従前に於いて生物試料の内部又は深部に分布する蛍光試薬等の絶対的な濃度を定量的に検出する場合には、観察部位から切片を採取して蛍光強度を計測するといった手法が取られているが(特許文献1参照)、その場合、実験用動物の屠殺が必要となったり、蛍光測定後に同一の試料で継続して実験することができなくなる。また、特許文献3の如く、トモグラフィ技術を用いた観測方法によれば、生物試料の深部の蛍光試薬等の濃度を検出することは可能であるが、トモグラフィ装置又は機器の構成は複雑であり、また、非常に高価である。
かくして、本発明の一つの課題は、実験用小動物の個体、胚、摘出臓器、培養組織などの厚みのある生物試料に与えられた蛍光試薬等の濃度、特に、生物試料の内部又は深部に位置する観測部位の蛍光試薬等の濃度を、光学顕微鏡等を用いたイメージング技術を用いて検出することのできる方法を提供することである。
また、本発明のもう一つの課題は、上記の如き厚みのある生物試料内部又は深部に位置する観測部位の蛍光試薬等の濃度を検出する方法であって、任意の大きさの生物試料の内部の観測部位或いは試料表面から任意の深さにある観測部位に於ける蛍光試薬等の濃度を検出することのできる方法及び/又は種々の励起光波長特性若しくは発光波長特性を有する蛍光試薬等の濃度を検出することのできる方法を提供することである。
更に、本発明のもう一つの課題は、上記の如き厚みのある生物試料内部又は深部に位置する観測部位の蛍光試薬等の濃度を検出する方法であって、観測部位を露呈させることなく、低侵襲又は非侵襲的に観測部位の蛍光試薬等の濃度を検出することのできる方法を提供することである。
本発明によれば、比較的簡単で安価な光学顕微鏡(実体顕微鏡も含む)を用いたイメージングに於いて、比較的厚みのある生物試料の内部又は深部にて拡散可能な蛍光試薬等の発光物質の濃度の検出を可能にする新規な方法が提供される。
本発明による生物試料の内部にて拡散可能な発光物質の濃度を検出する方法は、生物試料の内部へ発光物質を含む溶液と第一の発光固体粒子とを注入する過程と、第一の発光固体粒子と同一の発光波長特性を有する第二の発光固体粒子を生物試料の表面上に配置する過程と、光学顕微鏡と光検出装置とを組み合わせて成り生物試料の顕微鏡像を取得することのできるイメージング装置を用いて、生物試料の内部に存在する第一の発光固体粒子の発する光と生物試料の内部にて分布する発光物質の発する光と生物試料の表面上に配置された第二の発光固体粒子の発する光の各々の光強度を計測する過程と、第一の発光固体粒子の光強度と、第二の発光固体粒子の光強度と、生物試料の内部に分布する発光物質の光強度とに基づいて、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度を算出する過程と、前記の、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度に基づいて生物試料の内部に分布する発光物質の濃度を決定する過程とを含むことを特徴とする。
上記の構成に於いて、「生物試料」とは、実験用小動物の個体、その胚、その摘出臓器或いは培養組織など、この分野に於いて通常用いられている(人体を除く)生物試料であってよい。また、「生物試料の内部にて拡散可能な発光物質」とは、この分野に於いて、生物試料の光学的観察又はイメージングに於いて通常用いられている蛍光試薬、りん光試薬或いは化学発光試薬など、励起光又はその他の手段により光を発する物質であってよい。第一及び第二の「発光固体粒子」とは、典型的には、蛍光若しくは発光マイクロスフィア又は蛍光若しくは発光ビーズとして知られるこの分野に於いてしばしば用いられる固体の微小粒子であってよく、発光物質で標識された固体粒子又は発光物質を担持する固体粒子であって、生物試料の内部に注入若しくは投与された後も、発光物質が固体粒子の外へ実質的に拡散又は漏出せず、固体粒子の形態を維持する任意の形式の粒子である。なお、本発明の方法の実施の形態に於いては、典型的には、発光物質は、蛍光物質であり、第一及び第二の発光固体粒子は、実質的に同一の励起光波長特性及び発光波長特性を有する蛍光を発する固体粒子であり、生物試料の像形成を行うための光学顕微鏡は、所謂蛍光顕微鏡である。
上記の本発明の方法は、要すれば、生物試料に投与又は注入されその生物試料の内部又は深部に分布する蛍光試薬等の発光物質の濃度を発光物質の発する光強度から求める方法である。当業者に於いて理解される如く、発光物質の光強度は、発光物質の濃度の関数である。従って、発光物質の光強度と濃度との関係が分かっていれば、発光物質の光強度から発光物質の濃度を決定することが可能である。しかしながら、既に触れた通り、生物試料の内部又は深部に存在する発光物質からの光の強度は、その光が光検出器に到達するまでにその光路に存在する生物試料によって吸収若しくは減衰され、その際の生物試料による吸収又は減衰の程度は、光の波長、生物試料の大きさによって変動する(発光物質が励起光を照射されて発光する場合には、励起光が発光物質に到達するまでに試料に吸収されるので、発光物質が受容する励起光強度も光の波長、生物試料の大きさによって変動し、これにより、発光物質の発光強度も変動する。)。従って、生物試料の内部又は深部に在る発光物質の濃度を発光物質の発する光強度から求めるためには、まず、発光物質からの光の光路に実際に存在する生物試料による光の吸収又は減衰の影響を考慮し或いはその影響を排除する必要がある。
そこで、上記の本発明の方法に於いては、光路に存在する生物試料による光の吸収又は減衰の影響を考慮し或いは排除するために、生物試料内部の発光物質の光強度が計測されると伴に、所謂蛍光マイクロスフィア又は蛍光ビーズなどの(第一及び第二の)発光固体粒子を、生物試料の内部(特に、濃度が検出されるべき発光物質の分布する領域(観測部位)と略同じ領域であることが好ましい。)と、生物試料の外部又は表面(生物試料による光吸収又は光減衰の影響を受けない領域)とのそれぞれに配置し、発光固体粒子の発する光強度がそれぞれ計測される。かくして計測された発光固体粒子の光強度値の関係は、生物試料による光吸収又は光減衰の影響を受ける場合の光強度と生物試料による光吸収又は光減衰の影響を受けない場合の光強度との関係を表している。従って、かかる(第一及び第二の)発光固体粒子の光強度値の関係と、実際に生物試料の内部に在る発光物質からの光強度とを用いることにより、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度、つまり、生物試料による光吸収又は光減衰の影響を排除した場合の生物試料内部の発光物質の光の光強度(生物試料の内部に在る発光物質からの光が生物試料による光吸収又は光減衰の影響を受けなかったとした場合の光強度)を算出することが可能となり、これにより、その算出された光強度から発光物質の絶対的な濃度が算出することが可能となる。
なお、ここで特記されるべきことは、生物試料による光吸収又は光減衰の影響を排除した場合の生物試料内部の発光物質の光の光強度を算出する際に、濃度が決定されるべき発光物質の存在する生物試料に置かれた発光固体粒子の光強度が用いられるということである。このことによれば、実際に観測に供される生物試料に於ける光吸収又は光減衰の影響が排除されることとなるので、観測に供される生物試料毎に光吸収又は光減衰の程度が異なることは問題とならず、光吸収又は光減衰の影響が無かった場合の光強度の算出結果が精度良く得られることとなる。
上記の本発明の方法に於いて、光吸収又は光減衰の影響を排除した場合の光強度から生物試料の内部に存在する発光物質の濃度を決定する際には、かかる発光物質の濃度は、典型的には、生物試料内部の発光物質及び第一及び第二の発光固体粒子の光強度を計測したイメージング装置を用いて計測された既知の濃度の発光物質の溶液の発する光の光強度と、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の前記の算出された光強度とに基づいて決定されてよい。この点に関し、発光物質の濃度が比較的低いときには、一般には、発光物質の濃度とその光強度とは比例すると考えてよいので、そのような場合には、既知の濃度の発光物質の溶液の発する光の光強度としては、適当な一つの濃度の場合の光強度が計測されればよい。しかしながら、より正確に濃度を決定したい場合、或いは、発光物質の濃度と光強度との線形性が崩れるほどの高い濃度範囲にて本発明の方法による発光物質の濃度の検出が行われる場合には、任意の大きさの発光物質の光強度に対応する発光物質の濃度値を与える検量線が、前記のイメージング装置を用いて計測された発光物質の濃度が互いに異なる複数の溶液の光の光強度値に基づいて調製され、その検量線を用いて、光吸収又は光減衰の影響を排除した場合の光強度として算出された光強度値に対応した生物試料の内部に存在する発光物質の濃度が決定されるようになっていてもよい。
また、上記の本発明の方法に於いて、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度(生物試料の光吸収又は光減衰の影響を排除した場合の光強度)の算出に関して、かかる算出される光強度は、第一の発光固体粒子の光強度と第二の発光固体粒子の光強度との比と、生物試料の内部に分布する発光物質からの光強度と、第一及び第二の発光固体粒子の発光波長に於ける生物試料の吸光係数と発光物質の発光波長に於ける生物試料の吸光係数とに基づいて決定されるようになっていてよい。既に述べた如く、生物試料の光吸収又は光減衰の程度は、生物試料を通過する光の波長によって変化する。そして、かかる生物試料の光吸収又は光減衰の程度の波長依存性は、生物試料の吸光係数に表れる。そこで、濃度が調べられるべき発光物質と発光固体粒子のそれぞれの発光波長が異なるときには、上記の如く、生物試料内の発光物質の光強度と発光固体粒子の光強度と伴に、更に、第一及び第二の発光固体粒子の発光波長に於ける生物試料の吸光係数と発光物質の発光波長に於ける生物試料の吸光係数とを用いて、生物試料の光吸収又は光減衰の波長依存性を考慮した態様にて、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度が算出されるようになっていてよい。なお、実施の形態の欄に記載される如く、発光物質と第一及び第二の発光固体粒子とは、別々の発光波長となるよう選択した方がよりよい検出結果が得られる。
更に、上記の本発明の方法を実行する際に、発光物質と第一及び第二の発光固体粒子とが励起光を照射することにより発光するものである場合、発光物質と第一及び第二の発光固体粒子と発光波長が異なるだけでなく、発光物質と第一及び第二の発光固体粒子とをそれぞれ別々の波長の励起光にて励起する場合もある。そうなると、生物試料内の発光物質と第一の発光固体粒子とが受容する励起光の強度も互いに異なることとなる。従って、そのように発光物質と第一及び第二の発光固体粒子とをそれぞれ別々の波長の励起光にて励起する場合には、発光物質と第一の発光固体粒子に到達する励起光強度の差異を考慮すべく、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度は、生物試料内の発光物質の光強度、第一及び第二の発光固体粒子の光強度、第一及び第二の発光固体粒子の発光波長に於ける生物試料の吸光係数及び発光物質の発光波長に於ける生物試料の吸光係数と伴に、第一及び第二の発光固体粒子の励起光波長に於ける生物試料の吸光係数と、発光物質の励起光波長に於ける生物試料の吸光係数とをも用いて算出されるようになっていてよい。この場合、発光物質が生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度Xは、
X=C・(A/B)(εx’+εm’)/(εx+εm) …(a)
により与えられてよい。なお、ここに於いて、Aは、第一の発光固体粒子の光強度であり、Bは、第二の発光固体粒子の光強度であり、Cは、生物試料の内部に分布する発光物質の光強度であり、εx、εmは、第一及び第二の発光固体粒子の励起波長及び発光波長に於ける生物試料の吸光係数であり、εx’、εm’は、発光物質の励起波長及び発光波長に於ける生物試料の吸光係数である。各励起光及び発光波長に於ける生物試料の吸光係数の各々は、使用される生物試料について予め調べられたものであってもよく、また、公知の任意の資料にて与えられている値を用いてもよい。[式(a)の導出は、実施の形態の欄に記載される。]
X=C・(A/B)(εx’+εm’)/(εx+εm) …(a)
により与えられてよい。なお、ここに於いて、Aは、第一の発光固体粒子の光強度であり、Bは、第二の発光固体粒子の光強度であり、Cは、生物試料の内部に分布する発光物質の光強度であり、εx、εmは、第一及び第二の発光固体粒子の励起波長及び発光波長に於ける生物試料の吸光係数であり、εx’、εm’は、発光物質の励起波長及び発光波長に於ける生物試料の吸光係数である。各励起光及び発光波長に於ける生物試料の吸光係数の各々は、使用される生物試料について予め調べられたものであってもよく、また、公知の任意の資料にて与えられている値を用いてもよい。[式(a)の導出は、実施の形態の欄に記載される。]
上記の本発明の方法は、典型的には、血管を有する実験用小動物の個体、胚、摘出臓器及び培養組織などの生物試料に与えられた発光物質の挙動を観測するモデル実験に於いて有利に用いることができる。そこで、本発明の方法の実施の態様の一つに於いては、生物試料の内部へ発光物質を含む溶液と第一の発光固体粒子とを注入する過程に於いて、発光物質を含む溶液と第一の発光固体粒子とが血管へ注入される。そうすると、第一の発光固体粒子はそのまま粒子の状態を維持しつつ血管系内にて流通する一方、発光物質は、血管系内にて拡散しつつ流通するとともに、発光物質の分子の大きさ或いは特性(血管壁透過性などの性質)に依存して血管外にも分布することとなる。そこに於いて、上記の本発明の方法の各過程を実行すれば、生物試料内での発光物質の濃度が検出されることとなる。特に、上記の本発明の方法は、血管へ注入された後に血管の一部から漏出した発光物質の濃度の検出を行う実験に用いられてよい。
上記の本発明の方法に於いては、濃度が検出されるべき組織又は領域を外部に摘出又は露呈することなく、比較的容易に、in vivo又はin situにて、生物試料内部の発光物質の濃度が検出できることとなる。従って、本発明によれば、従前では実施できなかった種々の態様の実験又は計測が可能となり、医学的、薬学的又は生物学的研究の分野に於いて従前では得ることのできなかった種々の情報が得られるようになることが期待される。例えば、上記の如き実験用小動物の血管系の可視化及び血管からの蛍光物質の漏出を観測する実験に於いて、本発明の方法によれば、漏出した蛍光物質の濃度が分かるので、その濃度と漏出試薬の空間的な分布する領域の体積とから、漏出試薬の絶対量なども検出できることとなろう。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
本発明による生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法は、マウス、ラット、モルモット、ウサギ等の実験用小動物の個体、胚、摘出臓器、培養組織などの生物試料に発光物質を注入又は投与し、発光物質の光を用いて生物試料の内部又は深部を可視化することにより為される種々の観察又は計測の一部として実行されてよい。特に、本実施形態に於いては、実験用動物(マウス)の血管中へ発光物質として蛍光試薬を投与し、血管系及びその周囲の組織をイメージングする実験に於いて、血管から漏出する蛍光試薬の濃度を検出する方法が説明されるが、本発明の方法が、その他の実験に於いても適用できることは、当業者に於いて理解されるべきである。
実験の概要
本実施形態に於ける生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法に於いては、基本的には、まず、実験用動物の血管中へ蛍光試薬が投与され、実験用動物の蛍光像が実体顕微鏡とCCDカメラとを備えた蛍光イメージング装置(この分野に於いて通常使用されているものであってよい。)を用いて撮影される。この分野に於いてよく知られている如く、実験用動物の血管中へ投与された蛍光試薬は、血管系内を循環し、系内全体へ拡散することが期待される。従って、かくして蛍光試薬が投与された実験用動物の蛍光像に於いては、血管系の部分が蛍光試薬の発する光によって光って見えることとなる(血管系の可視化)。また、血管の一部に於いて漏出部分があると、蛍光試薬がその漏出部分から血管の周囲へ拡散することとなるので、蛍光像に於いては、そういった血管の漏出の程度も観察できることとなる。
本実施形態に於ける生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法に於いては、基本的には、まず、実験用動物の血管中へ蛍光試薬が投与され、実験用動物の蛍光像が実体顕微鏡とCCDカメラとを備えた蛍光イメージング装置(この分野に於いて通常使用されているものであってよい。)を用いて撮影される。この分野に於いてよく知られている如く、実験用動物の血管中へ投与された蛍光試薬は、血管系内を循環し、系内全体へ拡散することが期待される。従って、かくして蛍光試薬が投与された実験用動物の蛍光像に於いては、血管系の部分が蛍光試薬の発する光によって光って見えることとなる(血管系の可視化)。また、血管の一部に於いて漏出部分があると、蛍光試薬がその漏出部分から血管の周囲へ拡散することとなるので、蛍光像に於いては、そういった血管の漏出の程度も観察できることとなる。
しかしながら、既に触れた通り、蛍光試薬を励起する励起光が血管又はその周囲の蛍光試薬に到達するまで、及び、蛍光試薬から発せられる光が顕微光学系(実体顕微鏡など)の対物レンズに到達するまでに、生物試料(実験用動物)により、励起光及び蛍光のそれぞれが吸収されるため、血管又はその周囲(観測部位)からの蛍光の強度からだけでは、かかる血管又はその周囲にどの程度の蛍光試薬が存在しているか、即ち、かかる血管又はその周囲に於ける蛍光試薬の濃度を知ることはできない。そこで、本実施形態に於いては、下記に説明される如く、血管系の可視化をするための蛍光試薬と伴に蛍光ビーズ(第一の発光固体粒子)を実験用動物の血管中に投与し(蛍光試薬と同様に蛍光ビーズも血管系内にて循環される。)、且つ、実験用動物の表面に同一の蛍光ビーズ(第二の発光固体粒子)を配置して、実験用動物の血管内と表面の蛍光ビーズの蛍光像を撮影する。そして、それらの画像上の蛍光ビーズの蛍光強度を用いて、血管又はその周囲に於ける蛍光試薬(の励起光と蛍光)が実験用動物による光吸収の影響を受けなかった場合の蛍光試薬の蛍光強度が推定(算出)され、その推定された蛍光強度から蛍光試薬の濃度が決定される。
実験の手順
図1(A)は、蛍光イメージング装置を用いて実験用動物の血管中へ投与された蛍光試薬の濃度を検出する方法の手順をフローチャートの形式にて示したものであり、図2は、その様子を模式的に表したものである。
図1(A)は、蛍光イメージング装置を用いて実験用動物の血管中へ投与された蛍光試薬の濃度を検出する方法の手順をフローチャートの形式にて示したものであり、図2は、その様子を模式的に表したものである。
(i)試料の準備
同図を参照して、まず、任意に選択されてよい実験用動物10へ、血管系又は血管からの漏出を可視化するための蛍光試薬が溶解され蛍光ビーズが分散された溶液が静脈注射などにより注入される(ステップ100、図2(A)の符号12)。静脈注射は、通常の態様にて実施されてよい。蛍光試薬は、血管系の可視化に通常用いられている任意の試薬であってよい(特に、近赤外域の発光波長を有するもの)。また、蛍光ビーズは、実験用動物の血管内にて流通可能な大きさのものが選択されてよい。実験用動物へ注入される溶液中の蛍光試薬の濃度及び蛍光ビーズの量は、実験毎に適宜調整されてよい。なお、蛍光ビーズの発光波長帯域は、好ましくは、蛍光試薬の波長帯域とは異なることが好ましい。これは、下記に説明される試料による光吸収の影響を受けなかった場合の蛍光試薬の蛍光強度の推定演算に於いて、蛍光ビーズの蛍光強度と蛍光試薬の蛍光強度が独立であった方が、推定される蛍光強度の精度が良くなるためである。また、更に、静脈注射される溶液中には、種々の実験の目的に応じて任意にその他の物質又は薬剤が含まれていてもよいことは理解されるべきである。
同図を参照して、まず、任意に選択されてよい実験用動物10へ、血管系又は血管からの漏出を可視化するための蛍光試薬が溶解され蛍光ビーズが分散された溶液が静脈注射などにより注入される(ステップ100、図2(A)の符号12)。静脈注射は、通常の態様にて実施されてよい。蛍光試薬は、血管系の可視化に通常用いられている任意の試薬であってよい(特に、近赤外域の発光波長を有するもの)。また、蛍光ビーズは、実験用動物の血管内にて流通可能な大きさのものが選択されてよい。実験用動物へ注入される溶液中の蛍光試薬の濃度及び蛍光ビーズの量は、実験毎に適宜調整されてよい。なお、蛍光ビーズの発光波長帯域は、好ましくは、蛍光試薬の波長帯域とは異なることが好ましい。これは、下記に説明される試料による光吸収の影響を受けなかった場合の蛍光試薬の蛍光強度の推定演算に於いて、蛍光ビーズの蛍光強度と蛍光試薬の蛍光強度が独立であった方が、推定される蛍光強度の精度が良くなるためである。また、更に、静脈注射される溶液中には、種々の実験の目的に応じて任意にその他の物質又は薬剤が含まれていてもよいことは理解されるべきである。
次いで、図2(A)の符号16にて示されている如く、実験用動物の表面へ、血管内へ注入した蛍光ビーズと同一の蛍光ビーズが配置される(ステップ110)。かかる配置は、スポイト14などを用いて適当量の蛍光ビーズを分散した溶液を実験用動物の体表に滴下又は塗布することにより為されてよい。なお、ステップ100とステップ110とは、どちらを先に実行してもよいことは理解されるべきである。
(ii)蛍光像の撮影
かくして、上記の如く準備された試料10(実験用動物)の蛍光像の撮影が、蛍光イメージング装置20を用いて実行される(ステップ120)。蛍光イメージング装置20は、顕微光学系で得られる像をCCDカメラ(光検出装置)26により撮影するよう構成された公知の任意の形式のイメージング装置(例えば、オリンパス社IV100、OV110など)であってよい。かかるイメージング装置20に於いて、顕微光学系は、通常の形式の蛍光実体顕微鏡であってよく、そこに於いて、光源24からの励起光又は照明光Iexがダイクロイックミラー28に於いて反射され、対物レンズ系22により試料10の観察部位に集光される。そして、観察部位に於ける蛍光試薬(又は蛍光ビーズ)から発せられる蛍光Iemが対物レンズ系22により集光され、ダイクロイックミラー28を透過して、CCDカメラ26の受光面(図示せず)に於いて試料の蛍光像が形成される。なお、光源24に励起光の光路及び試料からCCDカメラへの検出光の光路には、それぞれ、特定の波長を選択的に透過するフィルター24a、26aが配置される。また、光源24とCCDカメラ26の作動は、コントローラ30により制御され、CCDカメラ26で取得された画像は、通常の態様にてコントローラにより処理されて画像記録装置(図示せず)に記録され、画像は、モニター30aにて表示されるようになっていてよい。更に、コントローラは、取得された画像に於ける輝度値(この場合には、蛍光強度)を取得し、輝度値が任意の画像処理等の演算処理に利用できるよう構成されたものであってよい。
かくして、上記の如く準備された試料10(実験用動物)の蛍光像の撮影が、蛍光イメージング装置20を用いて実行される(ステップ120)。蛍光イメージング装置20は、顕微光学系で得られる像をCCDカメラ(光検出装置)26により撮影するよう構成された公知の任意の形式のイメージング装置(例えば、オリンパス社IV100、OV110など)であってよい。かかるイメージング装置20に於いて、顕微光学系は、通常の形式の蛍光実体顕微鏡であってよく、そこに於いて、光源24からの励起光又は照明光Iexがダイクロイックミラー28に於いて反射され、対物レンズ系22により試料10の観察部位に集光される。そして、観察部位に於ける蛍光試薬(又は蛍光ビーズ)から発せられる蛍光Iemが対物レンズ系22により集光され、ダイクロイックミラー28を透過して、CCDカメラ26の受光面(図示せず)に於いて試料の蛍光像が形成される。なお、光源24に励起光の光路及び試料からCCDカメラへの検出光の光路には、それぞれ、特定の波長を選択的に透過するフィルター24a、26aが配置される。また、光源24とCCDカメラ26の作動は、コントローラ30により制御され、CCDカメラ26で取得された画像は、通常の態様にてコントローラにより処理されて画像記録装置(図示せず)に記録され、画像は、モニター30aにて表示されるようになっていてよい。更に、コントローラは、取得された画像に於ける輝度値(この場合には、蛍光強度)を取得し、輝度値が任意の画像処理等の演算処理に利用できるよう構成されたものであってよい。
試料10の蛍光像の撮影に際しては、対物レンズ系22の焦点を試料10の表面に合わせ、試料10の表面の蛍光ビーズの像(a)が撮影され、また、対物レンズ系22の焦点を試料10の内部に合わせ、試料10の内部の蛍光ビーズの像(b)と、血管系の像(c)とが撮影される(図2(B)の右下図参照)。これらの蛍光像の撮影に於いて、蛍光試薬の励起光波長及び発光波長と、蛍光ビーズの励起光波長及び発光波長とが異なるときには、それぞれ、適合する励起光にて試料を照射し、且つ、適合する発光波長帯域にて顕微鏡像を撮影できるように、光源24又はCCDカメラ26の光路に置かれたフィルター24a、26a及びダイクロイックミラー28を切り換えて撮影が実行される。従って、その場合には、試料10の表面の蛍光ビーズの像(a)、試料10の内部の蛍光ビーズの像(b)及び試料10の内部の血管系の像(c)がそれぞれ別々に撮影され蛍光像として取得され保存される(図3(A)参照)。他方、蛍光試薬の励起光波長及び発光波長と、蛍光ビーズの励起光波長及び発光波長とが同一であるときには、試料10の内部の蛍光ビーズの像(b)及び試料10の内部の血管系の像(c)とが同一の画像に写し込まれていてよい。なお、後に説明される試料による光吸収の影響を受けなかった場合の蛍光試薬の蛍光強度の推定演算の原理から理解される如く、試料10の内部の蛍光ビーズの像(b)と血管系の像(c)の撮影に於いて、観測されるべき血管系の領域内に蛍光ビーズが存在している場合に、光吸収の影響を受けなかった場合の蛍光試薬の蛍光強度が精度よく推定される。従って、蛍光ビーズの像(b)と血管系の像(c)の撮影に際しては、まず、顕微鏡下で、血管中を流通する蛍光ビーズが探索され、その像が撮影され、しかる後に見つかった蛍光ビーズの周囲の血管系の像が撮影されることが好ましい。
(iii)試料による光吸収の影響を受けなかった場合の蛍光試薬の蛍光強度の推定
上記の如く試料10の表面の蛍光ビーズの蛍光像(a)、試料10の内部の蛍光ビーズの蛍光像(b)及び試料10の内部の血管系の蛍光像(c)が取得されると、それらの像から試料10の表面及び内部の蛍光ビーズの蛍光強度と濃度が検出されるべき部位の蛍光強度とが計測される(ステップ130)。蛍光強度の計測は、図3(A)の如く観られる、試料10の表面の蛍光ビーズ(ビーズA)、試料10の内部の蛍光ビーズ(ビーズB)、試料10の内部の血管系又はその周囲の(濃度が検出されるべき部位の)蛍光試薬の各画像に於いて、輝度値を参照することにより為される(各画像に於いて、実際に写っていない部分は破線にて示されている。)。なお、濃度が検出されるべき部位又は領域は、血管系が写っている蛍光像(c)に於いて任意の部位又は領域が選択されてよい。
上記の如く試料10の表面の蛍光ビーズの蛍光像(a)、試料10の内部の蛍光ビーズの蛍光像(b)及び試料10の内部の血管系の蛍光像(c)が取得されると、それらの像から試料10の表面及び内部の蛍光ビーズの蛍光強度と濃度が検出されるべき部位の蛍光強度とが計測される(ステップ130)。蛍光強度の計測は、図3(A)の如く観られる、試料10の表面の蛍光ビーズ(ビーズA)、試料10の内部の蛍光ビーズ(ビーズB)、試料10の内部の血管系又はその周囲の(濃度が検出されるべき部位の)蛍光試薬の各画像に於いて、輝度値を参照することにより為される(各画像に於いて、実際に写っていない部分は破線にて示されている。)。なお、濃度が検出されるべき部位又は領域は、血管系が写っている蛍光像(c)に於いて任意の部位又は領域が選択されてよい。
かくして計測されたビーズA、ビーズB及び濃度が検出されるべき部位の蛍光試薬のそれぞれの蛍光強度値から、濃度が検出されるべき部位の蛍光試薬が試料10の外部に在ったと仮定した場合の蛍光強度、即ち、濃度が検出されるべき部位の蛍光試薬の発する蛍光強度から生物試料による光吸収の影響を除去したときの蛍光強度(蛍光試薬が光吸収の影響を受けなかったと仮定したときの蛍光強度)の値が推定される(ステップ140)。具体的には、濃度が検出されるべき部位の蛍光試薬が試料10の外部に在ったと仮定した場合の蛍光強度Xは、
X=C・(A/B)(εx’+εm’)/(εx+εm) …(1)
により与えられる。ここに於いて、Aは、ビーズAの蛍光強度であり、Bは、ビーズBの蛍光強度であり、Cは、生物試料の血管内及びその周囲に分布する蛍光試薬の蛍光強度である。また、εx、εmは、ビーズA、Bの撮像時の励起光波長及び検出光波長(ビーズの発光波長)に於ける試料の吸光係数であり、εx’、εm’は、蛍光試薬の撮像時の励起光波長及び検出光波長(蛍光試薬の発光波長)に於ける試料の吸光係数である。
X=C・(A/B)(εx’+εm’)/(εx+εm) …(1)
により与えられる。ここに於いて、Aは、ビーズAの蛍光強度であり、Bは、ビーズBの蛍光強度であり、Cは、生物試料の血管内及びその周囲に分布する蛍光試薬の蛍光強度である。また、εx、εmは、ビーズA、Bの撮像時の励起光波長及び検出光波長(ビーズの発光波長)に於ける試料の吸光係数であり、εx’、εm’は、蛍光試薬の撮像時の励起光波長及び検出光波長(蛍光試薬の発光波長)に於ける試料の吸光係数である。
上記の式(1)は、ビーズB及び試料10の内部の血管又はその周囲に分布する蛍光試薬に照射される励起光が試料を通過する際の試料による光の吸収と、ビーズB及び蛍光試薬からの蛍光が対物レンズ系22へ到達するまで試料を通過する際の試料による光の吸収とを考慮して与えられる。図3(B)は、式(1)を算出する原理を説明するための模式的な試料の断面図を示している。
同図を参照して、既に述べた通り、本実施形態の試料に於いては、試料の表面に蛍光ビーズAが配置され、試料の内部の血管中には、蛍光ビーズBが存在し、その血管及びその周囲には、蛍光試薬が存在する。そこで、まず、ビーズA及びビーズBに対して励起光Iexoが照射されるとすると、ビーズの蛍光強度はそれぞれの受容した励起光強度に比例すると考えて、ビーズAの蛍光強度Aは、
A=κIexo …(2)
により与えられ、試料の内部でビーズBから発せられる蛍光強度Boは、
Bo=κIex …(3)
により与えられる。ここで、κは、比例係数であり、Iexは、ビーズBに到達
するまでに試料の光吸収により減衰された励起光の強度である。上記の励起光強度Iexo及びIexについて、ランベルト・ベールの法則から、
log(Iexo/Iex)=εx・ξ …(4)
の関係が成立する。なお、ξは、試料の厚みと組織の密度とにより決定される量である。また、試料の内部のビーズBからの蛍光は、励起光と同じ光路を逆に進んで対物レンズ系22へ入射するので、ビーズBから発せられる蛍光強度Boと、その蛍光が試料の外部に出たときの強度Bとの間に於いてもランベルト・ベールの法則から、
log(Bo/B)=εm・ξ …(5)
の関係が成立する。かくして、式(2)〜(5)の関係から、対物レンズ系22を介して計測されるビーズAの蛍光強度AとビーズBの蛍光強度Bとの間には、
log(A/B)=(εx+εm)・ξ …(6)
の関係が成立する。
A=κIexo …(2)
により与えられ、試料の内部でビーズBから発せられる蛍光強度Boは、
Bo=κIex …(3)
により与えられる。ここで、κは、比例係数であり、Iexは、ビーズBに到達
するまでに試料の光吸収により減衰された励起光の強度である。上記の励起光強度Iexo及びIexについて、ランベルト・ベールの法則から、
log(Iexo/Iex)=εx・ξ …(4)
の関係が成立する。なお、ξは、試料の厚みと組織の密度とにより決定される量である。また、試料の内部のビーズBからの蛍光は、励起光と同じ光路を逆に進んで対物レンズ系22へ入射するので、ビーズBから発せられる蛍光強度Boと、その蛍光が試料の外部に出たときの強度Bとの間に於いてもランベルト・ベールの法則から、
log(Bo/B)=εm・ξ …(5)
の関係が成立する。かくして、式(2)〜(5)の関係から、対物レンズ系22を介して計測されるビーズAの蛍光強度AとビーズBの蛍光強度Bとの間には、
log(A/B)=(εx+εm)・ξ …(6)
の関係が成立する。
次いで、試料の内部の血管内又はその周囲に分布する蛍光試薬の蛍光強度について考えると、対物レンズ系22を介して計測される試料内部の蛍光試薬からの蛍光強度Cと、試料内部の蛍光試薬が生物試料の外部(表面)に在ったと仮定した場合、つまり、試料による光吸収の影響を受けなかったとした場合の蛍光強度Xとの関係は、ビーズAの蛍光強度AとビーズBの蛍光強度Bとの間と同様である。従って、蛍光強度Xと蛍光強度Cとの間には、
log(X/C)=(εx’+εm’)・ξ …(7)
の関係が成立する。従って、式(6)と式(7)とから、定数ξを消去して、式(1)が算出される。かかる式(1)に於いて、
(A/B)(εx’+εm’)/(εx+εm) …(1a)
が、試料による光吸収の影響を排除するための補正係数ということができる。即ち、本実施形態に於いては、試料による光吸収の影響を排除するための補正係数が観測に供される試料毎に与えられる。
log(X/C)=(εx’+εm’)・ξ …(7)
の関係が成立する。従って、式(6)と式(7)とから、定数ξを消去して、式(1)が算出される。かかる式(1)に於いて、
(A/B)(εx’+εm’)/(εx+εm) …(1a)
が、試料による光吸収の影響を排除するための補正係数ということができる。即ち、本実施形態に於いては、試料による光吸収の影響を排除するための補正係数が観測に供される試料毎に与えられる。
上記の式(1)に於いて、ビーズA、B及び蛍光試薬の励起光・検出光波長に於ける試料の吸光係数は、別途任意の実験により予め求められてよいが、図4に例示されている如き、既知の実験用動物等の組織試料の吸光係数の波長特性データから得られる値を使用してもよい。なお、図4から理解される如く、ビーズA、B及び蛍光試薬は、それらの励起光及び蛍光の試料による光吸収をできるだけ抑えるために、励起光・検出光波長が近赤外域(650nm〜)となるように選択されることが望ましい。
なお、ビーズA、B及び蛍光試薬の励起光・検出光波長がそれぞれ同一であるとき、式(1)は、
X=C(A/B) …(8)
となり、吸光係数値を用いずに、蛍光強度Xが算出できることとなる。しかしながら、その場合、図3(A)の(b)又は(c)から理解される如く、ビーズBと蛍光試薬の蛍光が同一の画像にて重複し、それぞれの蛍光強度を精度よく計測することが困難となり得る。従って、少なくとも、検出光の波長については、ビーズA、Bと蛍光試薬とは異なっていることが好ましい。
X=C(A/B) …(8)
となり、吸光係数値を用いずに、蛍光強度Xが算出できることとなる。しかしながら、その場合、図3(A)の(b)又は(c)から理解される如く、ビーズBと蛍光試薬の蛍光が同一の画像にて重複し、それぞれの蛍光強度を精度よく計測することが困難となり得る。従って、少なくとも、検出光の波長については、ビーズA、Bと蛍光試薬とは異なっていることが好ましい。
また、式(1)を用いて蛍光強度Xの値を推定する場合には、図3(A)の(b)又は(c)の像は、同一の領域の像であることが好ましい。上記の説明から理解される如く、式(1)の導出する際には、式(6)、(7)に於ける量ξが等しいものと仮定されている。かかる量ξは、既に述べた如く、試料の厚みや組織の密度で決定される量であるので、蛍光ビーズBの位置と濃度が検出される蛍光試薬の分布領域の位置とが大きくずれると、ξのずれが大きくなり、算出される蛍光強度Xの値の精度が低下することとなる。
(iv)試料内部の蛍光試薬の濃度の決定
上記の如く試料内部の蛍光試薬が生物試料の外部(表面)に在ったと仮定した場合の蛍光強度Xが推定されると、その推定された蛍光強度Xの値に基づいて、蛍光試薬の濃度が決定される(ステップ150)。かかる蛍光強度Xからの蛍光試薬の濃度の決定は、蛍光イメージング装置20に於いて、別途に、試料10の蛍光像を撮影した際と同一の条件(レンズ倍率、励起光波長、励起光強度、検出光波長帯域など)にて既知の濃度の蛍光試薬溶液の蛍光像を撮影し、その蛍光像から得られた蛍光試薬溶液の蛍光強度値と、先に推定された蛍光強度Xとを比較することにより為されてよい。典型的には、蛍光強度と蛍光試薬濃度とは、比例すると考えられるので、既知の濃度Yoの試薬溶液の蛍光強度がXoであったとすると、試料内の蛍光試薬濃度Yは、
Y=Yo・X/Xo …(9)
で与えられる。
上記の如く試料内部の蛍光試薬が生物試料の外部(表面)に在ったと仮定した場合の蛍光強度Xが推定されると、その推定された蛍光強度Xの値に基づいて、蛍光試薬の濃度が決定される(ステップ150)。かかる蛍光強度Xからの蛍光試薬の濃度の決定は、蛍光イメージング装置20に於いて、別途に、試料10の蛍光像を撮影した際と同一の条件(レンズ倍率、励起光波長、励起光強度、検出光波長帯域など)にて既知の濃度の蛍光試薬溶液の蛍光像を撮影し、その蛍光像から得られた蛍光試薬溶液の蛍光強度値と、先に推定された蛍光強度Xとを比較することにより為されてよい。典型的には、蛍光強度と蛍光試薬濃度とは、比例すると考えられるので、既知の濃度Yoの試薬溶液の蛍光強度がXoであったとすると、試料内の蛍光試薬濃度Yは、
Y=Yo・X/Xo …(9)
で与えられる。
しかしながら、蛍光試薬の濃度をより正確に決定したい場合には、蛍光イメージング装置20に於いて計測される蛍光試薬の蛍光強度から蛍光試薬の濃度を決定するための検量線(図5(C)参照))を調製し、その検量線を用いて、試料10内の蛍光試薬の濃度を決定するようになっていてもよい。図1(B)及び図5(A)、(B)は、蛍光イメージング装置20に於いて計測される蛍光試薬の蛍光強度から蛍光試薬の濃度を決定するための検量線を調製する過程の手順とその様子をそれぞれ示している。これらの図を参照して、まず、図5(A)に例示されている如く、複数の互いに異なる濃度の蛍光試薬溶液を載置したプレパラートが準備される(ステップ200)。次いで、図5(B)に模式的示されている如く、そのプレパラート上の蛍光試薬溶液の蛍光像を蛍光イメージング装置20を用いて順々に撮影する(ステップ210)。しかる後に、各蛍光試薬溶液の蛍光像の輝度値から蛍光強度を計測し(ステップ220)、次いで、濃度に対して、各蛍光強度をプロットし、プロット点を任意の手法により補間して、図5(C)の検量線が調製される(ステップ230)。かくして、試料内部の蛍光試薬が生物試料の外部に在ったと仮定した場合の蛍光強度Xが決定されると、調製された検量線上に於いて対応する濃度値Yが読み取ることが可能となる。
以上の如く、上記に説明された本発明の実施形態によれば、蛍光イメージング技術を用いることによって、非侵襲的又は低侵襲的に、実験用小動物等の生物試料の血管中に投与された蛍光試薬の濃度がin vivoにて検出することが可能となる。また、本発明の方法によれば、観測に供される試料に対して蛍光ビーズが与えられ、それらの蛍光強度を用いて、試料内部の蛍光試薬の蛍光強度を補正して(式(1)参照)、試料による光吸収の影響の除去した試料内部の蛍光試薬の蛍光強度及びその濃度が決定されるようになっている。即ち、試料による光吸収の影響は、試料毎に補正されることとなるので、光吸収の影響の程度が試料毎に異なることは問題とならないことは理解されるべきである。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の方法に適用されることは明らかであろう。
例えば、イメージングにより得られた像から生物試料内の発光物質の濃度を検出する際、イメージングに用いる光は、蛍光に限らず、りん光又は化学発光であってもよいことは理解されるべきである(励起光を必要としないイメージングの場合には、励起光の吸収の影響は考慮しなくてよい。)。また、本発明の方法は、血管又はその周囲のイメージングだけでなく、生物試料内に発光物質と発光固体粒子を投与できる部位又は領域のイメージングに於いても適用されてよく、そのような場合も本発明の範囲に属すると理解されるべきである。
10…試料(実験用小動物(マウス))
12…静脈注射用の注射器
14…スポイト
16…試料表面に滴下された蛍光ビーズ溶液
20…蛍光イメージング装置
22…対物レンズ系
24…光源
24a…励起光用フィルター
26…CCDカメラ(光検出装置)
26a…検出光用フィルター
30…コントローラ
30a…モニター
12…静脈注射用の注射器
14…スポイト
16…試料表面に滴下された蛍光ビーズ溶液
20…蛍光イメージング装置
22…対物レンズ系
24…光源
24a…励起光用フィルター
26…CCDカメラ(光検出装置)
26a…検出光用フィルター
30…コントローラ
30a…モニター
Claims (8)
- 生物試料の内部にて拡散可能な発光物質の濃度を検出する方法であって、
前記生物試料の内部へ前記発光物質を含む溶液と第一の発光固体粒子とを注入する過程と、
前記第一の発光固体粒子と同一の発光波長特性を有する第二の発光固体粒子を前記生物試料の表面上に配置する過程と、
光学顕微鏡と光検出装置とを組み合わせて成り前記生物試料の顕微鏡像を取得することのできるイメージング装置を用いて、前記生物試料の内部に存在する第一の発光固体粒子の発する光と前記生物試料の内部にて分布する発光物質の発する光と前記生物試料の表面上に配置された第二の発光固体粒子の発する光の各々の光強度を計測する過程と、
前記第一の発光固体粒子の光強度と、前記第二の発光固体粒子の光強度と、前記生物試料の内部に分布する前記発光物質の光強度とに基づいて、前記発光物質が前記生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度を算出する過程と、
前記発光物質が前記生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の前記算出された光強度に基づいて前記生物試料の内部に分布する前記発光物質の濃度を決定する過程と
を含むことを特徴とする方法。 - 請求項1の方法であって、前記生物試料の内部に分布する前記発光物質の濃度を決定する前記過程に於いて、前記イメージング装置を用いて計測された既知の濃度の前記発光物質の溶液の発する光の光強度と、前記発光物質が前記生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の前記算出された光強度とに基づいて前記生物試料の内部に存在する前記発光物質の濃度が決定されることを特徴とする方法。
- 請求項1又は2の方法であって、前記発光物質が蛍光物質であり、前記第一及び第二の発光固体粒子が実質的に同一の励起光波長特性及び発光波長特性を有する蛍光を発する固体粒子であり、前記光学顕微鏡が蛍光顕微鏡であることを特徴とする方法。
- 請求項1乃至3のいずれかの方法であって、前記発光物質が前記生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度が、前記第一の発光固体粒子の光強度と前記第二の発光固体粒子の光強度との比と、前記生物試料の内部に分布する前記発光物質からの光強度と、前記第一及び第二の発光固体粒子の発光波長に於ける前記生物試料の吸光係数と前記発光物質の発光波長に於ける前記生物試料の吸光係数とに基づいて決定されることを特徴とする方法。
- 請求項1乃至4のいずれかの方法であって、前記発光物質と前記第一及び第二の発光固体粒子とが励起光を照射することにより発光し、前記発光物質が前記生物試料の外部に存在していたと仮定した場合の光強度Xが、前記第一の発光固体粒子の光強度Aと前記第二の発光固体粒子の光強度Bとの比と、前記生物試料の内部に分布する前記発光物質の光強度Cと、前記第一及び第二の発光固体粒子の励起波長及び発光波長に於ける前記生物試料の吸光係数εx、εmと前記発光物質の励起波長及び発光波長に於ける前記生物試料の吸光係数εx’、εm’とを用いて
X=C・(A/B)(εx’+εm’)/(εx+εm)
により与えられることを特徴とする方法。 - 請求項1乃至5のいずれかの方法であって、前記生物試料が血管を有する実験用小動物の個体、胚、摘出臓器及び培養組織から成る群から選択される試料であり、前記生物試料の内部へ前記発光物質を含む溶液と第一の発光固体粒子とを注入する前記過程に於いて、前記発光物質を含む溶液と前記第一の発光固体粒子とが血管へ注入されることを特徴とする方法。
- 請求項6の方法であって、前記血管へ注入された後、前記血管の一部から漏出した前記発光物質の発する光の光強度が計測され、前記血管から漏出した前記発光物質の濃度が決定されることを特徴とする方法。
- 請求項1の方法であって、前記生物試料の内部に分布する前記発光物質の濃度を決定する前記過程に於いて、前記イメージング装置を用いて計測された既知の濃度の前記発光物質の溶液の発する光の光強度値に基づいて調製された前記発光物質の任意の大きさの光強度に対応する前記発光物質の濃度値を与える検量線を用いて、前記算出された光強度に対応した前記生物試料の内部に存在する前記発光物質の濃度が決定されることを特徴とする方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008194222A JP2010032338A (ja) | 2008-07-28 | 2008-07-28 | 生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008194222A JP2010032338A (ja) | 2008-07-28 | 2008-07-28 | 生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010032338A true JP2010032338A (ja) | 2010-02-12 |
Family
ID=41736991
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008194222A Withdrawn JP2010032338A (ja) | 2008-07-28 | 2008-07-28 | 生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2010032338A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102015215810A1 (de) | 2014-08-22 | 2016-02-25 | Rigaku Corporation | Bildverarbeitungsvorrichtung, Bildverarbeitungsverfahren und Bildverarbeitungsprogramm |
-
2008
- 2008-07-28 JP JP2008194222A patent/JP2010032338A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102015215810A1 (de) | 2014-08-22 | 2016-02-25 | Rigaku Corporation | Bildverarbeitungsvorrichtung, Bildverarbeitungsverfahren und Bildverarbeitungsprogramm |
US9928597B2 (en) | 2014-08-22 | 2018-03-27 | Rigaku Corporation | Image processing apparatus, image processing method and image processing program |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Koller et al. | Implementation and benchmarking of a novel analytical framework to clinically evaluate tumor-specific fluorescent tracers | |
JP5986670B2 (ja) | マルチスペクトルフォトニック画像化方法及び装置 | |
Dubach et al. | In vivo imaging of specific drug–target binding at subcellular resolution | |
JP3579424B2 (ja) | 定常状態でのルミネセンスの存続時間による分析物の検出 | |
Venugopal et al. | Quantitative tomographic imaging of intermolecular FRET in small animals | |
Anastasopoulou et al. | Comprehensive phantom for interventional fluorescence molecular imaging | |
Zelmer et al. | Noninvasive fluorescence imaging of small animals | |
Erkkilä et al. | Widefield fluorescence lifetime imaging of protoporphyrin IX for fluorescence‐guided neurosurgery: An ex vivo feasibility study | |
Hwang et al. | A multimode optical imaging system for preclinical applications in vivo: technology development, multiscale imaging, and chemotherapy assessment | |
Lunt et al. | Application of intravital microscopy in studies of tumor microcirculation | |
Wirth et al. | Hyperspectral imaging and spectral unmixing for improving whole-body fluorescence cryo-imaging | |
Kolste et al. | Macroscopic optical imaging technique for wide-field estimation of fluorescence depth in optically turbid media for application in brain tumor surgical guidance | |
Samkoe et al. | Development and evaluation of a connective tissue phantom model for subsurface visualization of cancers requiring wide local excision | |
US11977027B2 (en) | Device and method for determining the depth of a subsurface fluorescent object within an optically absorbing and scattering medium and for determining concentration of fluorophore of the object | |
Lee et al. | Real-time cancer diagnosis of breast cancer using fluorescence lifetime endoscopy based on the pH | |
Roy et al. | Homogenized tissue phantoms for quantitative evaluation of subsurface fluorescence contrast | |
Musnier et al. | Optimization of spatial resolution and scattering effects for biomedical fluorescence imaging by using sub‐regions of the shortwave infrared spectrum | |
Wirth et al. | Fluorescence depth estimation from wide-field optical imaging data for guiding brain tumor resection: a multi-inclusion phantom study | |
JP2010032338A (ja) | 生物試料内部に於ける発光物質濃度の検出方法 | |
Petusseau et al. | Subsurface fluorescence time-of-flight imaging using a large-format single-photon avalanche diode sensor for tumor depth assessment | |
Ihara et al. | Photodynamic diagnosis with 5-aminolevulinic acid for intramucosal gastric cancer using green light | |
WO2015037055A1 (ja) | 蛍光画像取得装置 | |
Fantoni et al. | Laser line illumination scheme allowing the reduction of background signal and the correction of absorption heterogeneities effects for fluorescence reflectance imaging | |
Patel | Assessment of optical transmission and image contrast at infrared wavelengths using tissue simulating phantoms and biological tissues | |
Linssen | Fluorescently labelled monoclonal antibodies for real-time molecular imaging: pharmaceutical development of near-infrared tracers and their application in clinical settings |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20111004 |