JP2010031914A - トルクコンバータ - Google Patents

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Abstract

【課題】動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、容易に動力の伝達容量を変化させることができるトルクコンバータを提供すること。
【解決手段】タービンランナ23を移動させることができるタービンランナ移動機構40を設け、このタービンランナ移動機構40によって、エンジン5の状態に応じてタービンランナ23を移動させる。これにより、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際における伝達容量を、当該動力を伝達する際の抵抗が大きくなることなく変化させることができる。また、このように動力の伝達容量を変化させる際に、タービンランナ23を移動させることにより変化させるので、伝達容量を容易に変化させることができる。この結果、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、容易に動力の伝達容量を変化させることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、トルクコンバータに関するものである。特に、この発明は、動力の伝達容量を変化させることができるトルクコンバータに関するものである。
近年の車両では、動力源として用いられるエンジンの回転を変速して駆動輪に伝達する手段として、自動的に変速を行う自動変速機が多用されている。このように、変速を行う手段として自動変速機を用いる場合、変速を容易に行うためにエンジンと自動変速機との間には流体によって動力の伝達が可能なトルクコンバータを設け、トルクコンバータを介してエンジンの動力を自動変速機に伝達する場合が多い。
このようにエンジンの動力を自動変速機に伝達するトルクコンバータは、エンジンの回転が伝達されるポンプと、ポンプの回転が作動流体を介して伝達されることにより回転可能なタービンと、ポンプとタービンとの間に配設されると共に一方向にのみ回転可能に設けられることにより、作動流体の流れ方向が所定の流れ方向の場合にのみトルクの増幅を行うステータとを備えている。このように、トルクコンバータは、流体によって動力の伝達が可能に設けられると共に、作動流体の流れ方向が所定の流れ方向の場合、つまり、ポンプとタービンとの回転比が所定の回転比の場合に、トルクの増幅を行うことができるように設けられている。
さらに、従来のトルクコンバータでは、ポンプとタービンとの機械的な結合が可能なロックアップ機構を備えているものも多く、このようなトルクコンバータでは、所定の条件の場合にはポンプとタービンとを機械的に結合し、いわゆるロックアップを行うことにより、流体によって動力の伝達を行う場合よりも伝達効率の向上を図っている。このロックアップは、ポンプやトルクコンバータの入力軸と一体となって回転をする当該トルクコンバータのカバーに係合したり解放したりすることができるように設けられていると共にトルクコンバータの出力軸と一体となって回転をするロックアップクラッチを、カバーに係合させることにより行う。これにより、入力軸と出力軸とは間接的に結合し、一体となって回転をする。
また、ポンプとタービンとの間を流れる作動流体を介して動力を伝達可能なトルクコンバータでは、作動流体が流れる部分の状態を変化させることにより、動力の伝達容量を変化させることが可能なトルクコンバータが提案されている。例えば、特許文献1に記載の可変容量型トルクコンバータでは、ロックアップクラッチに、タービン羽根車に向かって形成される制御板を設け、タービン羽根車には、制御板に対応する位置にスリットを形成している。これにより、動力の伝達容量、即ちトルク伝達容量を小さくする場合には、ロックアップクラッチをタービン羽根車に近付け、ロックアップクラッチに設けられた制御板をスリットからタービン流路に内挿することにより、タービン流路は絞られ、トルク伝達容量は小さくなる。一方、トルク伝達容量を大きくする場合には、ロックアップクラッチをタービン羽根車から離し、制御板をタービン流路に内挿しない状態にすることにより、タービン流路は確保され、トルク伝達容量を大きくすることができる。
また、特許文献2に記載の可変容量トルクコンバータの容量制御装置で制御するトルクコンバータは、ポンプ羽根車は、コンバータカバーと一体に回転可能な第1ポンプ羽根車と、コンバータカバーに対して係合と解放との切り替えが可能な可変容量クラッチと一体に回転する第2ポンプ羽根車とを備えている。このトルクコンバータでは、トルク伝達容量を小さくする場合には、可変容量クラッチとコンバータカバーとを解放する。これにより、ポンプ羽根車としての作用は第1ポンプ羽根車のみに依存した状態になるため、トルク伝達容量は小さくなる。これに対し、トルク伝達容量を大きくする場合には、可変容量クラッチとコンバータカバーとを係合する。これにより、ポンプ羽根車としての作用は第1ポンプ羽根車と第2ポンプ羽根車とに依存した状態になるため、トルク伝達容量は大きくなる。
これらのように、トルクコンバータの動力の伝達容量を可変にすることにより、エンジンなどの動力源で発生した動力を、トルクコンバータを介して自動変速機など動力の伝達経路の下流側に伝達する際に、動力源の状態や、トルクバータを備える車両の走行状態に適した伝達容量で、伝達することができる。
特開平2−245575号公報 特開平2−248768号公報
しかしながら、これらのように制御板を追加したり、クラッチを追加したりすることにより動力の伝達容量を変化させる場合には、作動流体が流れ難くなったり制御が複雑になったりする場合がる。例えば、特許文献1に記載の可変容量型トルクコンバータでは、タービン羽根車に形成されるタービン流路に制御板を内挿することにより動力の伝達容量を小さくするが、このようにタービン流路に制御板を内挿した場合、タービン流路を流れる作動流体は制御板により遮られ、この部分で急激に流路が狭くなるため、作動流体は流れ難くなる。このように、作動流体が流れ難くなった場合、動力源でポンプを回転させる場合の抵抗が大きくなり、動力の伝達時の抵抗が大きくなる場合がある。
また、特許文献2に記載の可変容量トルクコンバータの容量制御装置で制御するトルクコンバータでは、ロックアップの切り替えを行うロックアップクラッチの他に、新たに可変容量クラッチを設け、クラッチにクラッチを重ねて2つのクラッチでロックアップと動力の伝達容量とを制御するため、制御が複雑になる場合がある。この場合、適切に動力の伝達容量を変化させることが出来ない場合がある。これらのようにトルクコンバータを、動力の伝達容量を変化させることができる形態にした場合、動力の伝達時の抵抗が大きくなったり、制御が複雑になったりする場合があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、容易に動力の伝達容量を変化させることができるトルクコンバータを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明に係るトルクコンバータは、動力源からの動力が入力されることにより回転可能に設けられると共に作動流体に対して回転時の運動エネルギーを伝達することにより前記動力を伝達可能なポンプと、前記作動流体を介して前記動力が伝達されることにより回転可能に設けられ、且つ、外部に回転を伝達することを介して前記動力源から伝達された前記動力を出力可能なタービンと、前記動力源の状態に応じて前記タービンを移動させることにより前記ポンプから前記タービンに前記動力を伝達する際における伝達容量を変化させる伝達容量調節手段と、を備えることを特徴とする。
この発明では、伝達容量調節手段によって、動力源の状態に応じてタービンを移動させることにより、ポンプからタービンに動力を伝達する際における伝達容量を変化させている。つまり、タービンを移動させた場合には、ポンプからタービンに作動流体が流れる際の流れ方が変化するため、動力が作動流体を介してタービンに伝達される際における伝達効率が変化する。このため、作動流体を介してポンプからタービンに動力を伝達する際の抵抗が大きくなることなく、動力の伝達時における伝達容量が変化する。また、このように動力の伝達容量を変化させる際に、タービンを移動させることにより変化させるので、伝達容量を容易に変化させることができる。この結果、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、容易に動力の伝達容量を変化させることができる。
また、この発明に係るトルクコンバータは、上記発明において、前記伝達容量調節手段は、少なくとも前記動力源が前記動力を急激に増加させる際における過渡時に前記伝達容量が小さくなるように前記タービンを移動させることを特徴とする。
この発明では、動力源が動力を急激に増加させる際における過渡時に伝達容量が小さくなるようにタービンを移動させるので、動力源を早期に所望の作動状態にすることができる。つまり、動力源が動力を急激に増加させる過渡時に伝達容量を小さすることにより、動力源の動力でポンプを回転させる場合に必要な動力が少なくなる。このため、ポンプを回転させるために使用する動力が少なくなるため、動力源の動力を増加させる際に短時間で増加させることができ、動力源の作動状態を、早期に所望の作動状態にすることができる。この結果、動力源をより確実に所望の状態で作動させることができる。
また、この発明に係るトルクコンバータは、上記発明において、前記伝達容量調節手段は、前記伝達容量を小さくする場合には、前記タービンが回転をする際の回転軸の軸線方向において前記タービンが前記ポンプから離れる方向に前記タービンを移動させることを特徴とする。
この発明では、ポンプからタービンに動力を伝達する際における伝達容量を小さくする場合には、回転軸の軸線方向においてタービンがポンプから離れる方向にタービンを移動させるため、より確実に動力の伝達容量を小さくすることができる。つまり、軸線方向においてタービンがポンプから離れる方向にタービンを移動させることにより、作動流体を介してポンプからタービンに動力が伝達する際に、作動流体からタービンに伝達する動力が少なくなる。このように、ポンプから離れる方向にタービンを移動させることにより、作動流体からタービンに伝達される動力が少なくなるため、作動流体を介してタービンに伝達される動力の量が少なくなり、動力の伝達容量が小さくなる。この結果、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、より確実に動力の伝達容量を変化させることができる。
また、この発明に係るトルクコンバータは、上記発明において、前記タービンは、回転をする際の回転軸を中心とする周方向において複数に分割されており、前記伝達容量調節手段は、前記伝達容量を小さくする場合には、前記複数に分割されたタービンの少なくとも一部を前記回転軸と直交する方向において前記回転軸から離れる方向に移動させることを特徴とする。
この発明では、タービンを、回転軸を中心とする周方向において複数に分割し、ポンプからタービンに動力を伝達する際における伝達容量を小さくする場合には、複数に分割されたタービンの少なくとも一部を回転軸と直交する方向において回転軸から離れる方向に移動させるため、より確実に動力の伝達容量を小さくすることができる。つまり、複数に分割されたタービンの少なくとも一部を回転軸から離れる方向に移動させることにより、作動流体を介してポンプからタービンに動力が伝達する際に、作動流体からタービンに伝達する動力が少なくなる。このように、回転軸と直交する方向において回転軸から離れる方向にタービンを移動させることにより、作動流体からタービンに伝達される動力が少なくなるため、作動流体を介してタービンに伝達される動力の量が少なくなり、動力の伝達容量が小さくなる。この結果、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、より確実に動力の伝達容量を変化させることができる。
本発明に係るトルクコンバータは、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、容易に動力の伝達容量を変化させることができる、という効果を奏する。
以下に、本発明に係るトルクコンバータの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、実施例1に係るトルクコンバータを備えた車両の駆動系の概略図である。実施例1に係るトルクコンバータ10を備える車両1は、走行時の動力を発生する動力源であるエンジン5を搭載している。トルクコンバータ10は、このエンジン5に接続されており、詳しくは、エンジン5の出力軸であるクランク軸6とトルクコンバータ10の入力軸15とが連結されている。このようにトルクコンバータ10が接続されるエンジン5には、排気ガスの圧力を利用して吸入空気の圧力を上昇させる過給機として設けられるターボチャージャ(図示省略)が備えられている。また、トルクコンバータ10の出力軸16は、入力された回転を車両1の運転状態に適した変速比で変速して出力可能な自動変速機60に接続されている。また、自動変速機60は、当該自動変速機60の出力軸61が、入力された動力を左右の二方向に分配する差動装置65に接続されており、変速後の動力を差動装置65に対して伝達可能に設けられている。この差動装置65は、自動変速機60から伝達された動力を車両1の進行方向に向かって左右に位置する2つのドライブシャフト66に伝達可能になっており、2つのドライブシャフト66は、車両1の進行方向に向かって左右に位置する駆動輪67を駆動可能に設けられている。
なお、この実施例において、エンジン5はガソリンを燃料とするレシプロ式の火花点火式エンジンが用いられるが、エンジン5はこれに限定されるものではない。エンジン5は、例えば、LPG(Liquefied Petroleum Gas:液化石油ガス)やアルコールを燃料とする火花点火式エンジンであってもよいし、いわゆるロータリー式の火花点火式エンジンであってもよいし、ディーゼル機関であってもよい。また、これらのエンジン5やトルクコンバータ10、自動変速機60は、車両1の各部を制御するECU(Electronic Control Unit)70に接続されており、ECU70によって制御可能に設けられている。
図2は、図1に示すトルクコンバータの詳細図である。トルクコンバータ10は、回転可能に設けられると共にエンジン5(図1参照)の動力の入力側となるポンプインペラ21と、回転可能に設けられると共に自動変速機60(図1参照)への出力側となるタービンランナ23と、ポンプインペラ21とタービンランナ23との間に配設されたステータ25とを備える流体伝動機構により構成されている。このうち、ポンプインペラ21は、入力軸15に接続され、入力軸15と一体に回転するカバー28に接続されており、これらの入力軸15、カバー28及びポンプインペラ21は、一体となって回転可能に設けられている。このため、エンジン5のクランク軸6(図1参照)に連結された入力軸15にエンジン5の動力が伝達された場合には、入力軸15、カバー28、ポンプインペラ21は、エンジン5の回転に伴って回転可能に設けられている。
また、タービンランナ23は、自動変速機60の入力軸(図示省略)と一体に回転する出力軸16に連結されており、ポンプインペラ21を介して伝達されたエンジン5の動力を自動変速機60に伝達可能に設けられている。即ち、タービンランナ23は、出力軸16から当該タービンランナ23の回転を伝達することにより、エンジン5から伝達された動力を、トルクコンバータ10の外部に設けられる自動変速機60に出力可能に設けられている。また、ステータ25は、回転をしないケース11に、ワンウェイクラッチ26を介して接続されており、このワンウェイクラッチ26によって、ステータ25は一方向にのみ回転可能になっている。
このように設けられるポンプインペラ21とタービンランナ23とは、入力軸15及び出力軸16の軸線方向、即ち、入力軸15や出力軸16が回転をする際の回転軸17の軸線方向において、ポンプインペラ21が出力軸16側に配設されており、タービンランナ23は入力軸15側に配設されている。また、カバー28は、タービンランナ23の周囲を覆いつつ入力軸15とポンプインペラ21とを接続している。即ち、タービンランナ23は、ポンプインペラ21とカバー28との間に配設されている。
また、ポンプインペラ21、タービンランナ23及びステータ25の間には、動力を伝達する作動流体であるオイル(図示省略)が循環可能に封入されており、エンジン5から伝達された動力は、このオイルを介して互いに伝達可能に設けられている。つまり、ポンプインペラ21は、エンジン5からの動力が入力されることにより回転可能に設けられると共に作動流体であるオイルに対して回転時の運動エネルギーを伝達することにより動力を伝達可能なポンプとして設けられている。また、タービンランナ23は、ポンプインペラ21で運動エネルギーを伝達するオイルを介して動力が伝達されることにより回転可能に設けられており、さらに、外部に回転を伝達することを介してエンジン5から伝達された動力を出力可能なタービンとして設けられている。
また、ポンプインペラ21及びタービンランナ23には、ポンプインペラ21やタービンランナ23の回転方向における外周側と内周側とに、これらの間を循環するオイルの流路端22、24が共に形成されており、ステータ25は、これらの流路端22、24のうち、内周側の流路端22、24同士の間に配設されている。
このように配設されるステータ25にオイルが流れる際に、ポンプインペラ21やタービンランナ23の回転方向におけるステータ25に対するオイルの流れ方向は、ポンプインペラ21とタービンランナ23との回転状態によって異なっている。このため、ワンウェイクラッチ26によって一方向にのみ回転可能になっているステータ25は、オイルの流れ方向、即ち、ポンプインペラ21とタービンランナ23との回転状態によって回転したり停止したりする。つまり、ステータ25は、ポンプインペラ21とタービンランナ23との回転状態が所定の状態の場合には、回転が停止する。
また、このように回転したり停止したりすることが可能に設けられているステータ25は、停止している状態においてオイルがタービンランナ23から流入した際に、このオイルの向きを、ポンプインペラ21の回転方向側に変えることができるように、オイルの流路が形成されている。
また、トルクコンバータ10は、共に回転可能なポンプインペラ21とタービンランナ23とを断続可能なロックアップ機構30を備えている。このロックアップ機構30は、タービンランナ23と共に回転可能なロックアップクラッチ31と、ポンプインペラ21と一体となって回転可能なカバー28とにより構成される。このうち、ロックアップクラッチ31は、タービンランナ23とカバー28との間に配設されており、トルクコンバータ10内の油圧を制御することにより、カバー28と係合したりカバー28から離間したりする。このため、ロックアップクラッチ31とカバー28とが係合した場合には、ロックアップクラッチ31及びカバー28を介して、ポンプインペラ21とタービンランナ23とが係合した状態になる。この場合、エンジン5から伝達された動力は、このポンプインペラ21とタービンランナ23との係合により、機械的に伝達される。
また、ロックアップクラッチ31とカバー28とを離間させた場合には、エンジン5から伝達された動力は、ポンプインペラ21とタービンランナ23とを循環するオイルを介して伝達される。このように、ロックアップクラッチ31とカバー28とにより構成されるロックアップ機構30は、ロックアップクラッチ31とカバー28とを係合させたり離間させたりすることにより、ポンプインペラ21とタービンランナ23との間の動力の伝達をオイルによる伝達である流体伝達と、ポンプインペラ21とタービンランナ23とを係合させることにより行う伝達である係合伝達とで切り替え可能に設けられている。
また、出力軸16と一体に回転可能に設けられているタービンランナ23は、エンジン1の状態に応じてタービンランナ23を移動させることによりポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際における伝達容量を変化させる伝達容量調節手段であるタービンランナ移動機構40を介して出力軸16に設けられている。このタービンランナ移動機構40はタービンランナ23を保持するタービンランナ保持部41と、このタービンランナ保持部41に対して、回転軸17の軸線方向におけるポンプインペラ21方向の付勢力を付与する付勢手段であるスプリング42と、内部にスプリング42を保持可能に設けられた油圧室45と、油圧室45内の作動油の量を調節することにより油圧室45の油圧を制御可能な油圧制御装置50と、により構成されている。
このうち、スプリング42は、弾性部材である圧縮ばねにより形成されており、タービンランナ保持部41に対して回転軸17の軸線方向におけるポンプインペラ21方向の付勢力を付与することを介して、タービンランナ23に、回転軸17の軸線方向においてタービンランナ23がポンプインペラ21に近付く方向の付勢力を付与している。
また、油圧室45は、タービンランナ保持部41に対して、回転軸17の軸線方向においてタービンランナ保持部41をポンプインペラ21の方向に移動させる向きの油圧を付与可能な伝達容量大側油圧室46と、タービンランナ保持部41に対して、回転軸17の軸線方向においてタービンランナ保持部41をポンプインペラ21から離す方向に移動させる向きの油圧を付与可能な伝達容量小側油圧室47と、を有している。このうち、伝達容量小側油圧室47は、油圧室45においてタービンランナ保持部41よりもポンプインペラ21側に位置する部分として形成されており、伝達容量大側油圧室46は、油圧室45においてタービンランナ保持部41に対して伝達容量小側油圧室47が位置している側の反対側に位置して形成されている。スプリング42は、この伝達容量大側油圧室46に設けられており、タービンランナ保持部41に対して伝達容量小側油圧室47側への付勢力を付与している。
このように形成される油圧室45の油圧を制御可能な油圧制御装置50は、油圧経路51が伝達容量大側油圧室46と伝達容量小側油圧室47との双方に接続されており、伝達容量大側油圧室46と伝達容量小側油圧室47との双方の油圧を制御可能に設けられている。
この実施例1に係るトルクコンバータ10は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の走行時には、エンジン5を運転させてエンジン5の動力を駆動輪67に伝達することにより走行する。詳しくは、車両1の走行中は、エンジン5が有するクランク軸6からトルクコンバータ10の入力軸15に回転が伝達されることにより、エンジン5で発生した動力が、トルクコンバータ10の入力軸15に入力される。このように、トルクコンバータ10に入力された動力は、トルクコンバータ10の出力軸16から自動変速機60に伝達される。即ち、エンジン5で発生した動力は、トルクコンバータ10を介して自動変速機60に伝達される。自動変速機60に伝達された動力は、回転が自動変速機60で車両1の走行状態に適した変速比で変速され、自動変速機60の出力軸61から差動装置65に伝達される。この差動装置65は自動変速機60から伝達された動力を車両1の進行方向に向かって左右に設けられるドライブシャフト66に伝達し、さらに、ドライブシャフト66から駆動輪67に伝達する。これにより、駆動輪67は回転し、この回転により車両1は走行する。
また、このように車両1が走行をする場合には、ECU70によってエンジン5やトルクコンバータ10や自動変速機60を制御することにより、運転者の要求や車両1の走行状態に適した状態で走行をする。即ち、ECU70は運転者の要求や車両1の走行状態に応じて、エンジン5の回転数やトルクを制御したり、自動変速機60の変速比を制御したりする。
また、トルクコンバータ10は、車両1の運転状態によって入力軸15に入力された動力を出力する際には、車両1の走行時の状態によってトルクコンバータ10内の伝達の形態が異なっている。トルクコンバータ10によって動力を伝達する際のトルクコンバータ10の動作について説明すると、エンジン5の動力が入力軸15に入力された場合には、まず、入力軸15が回転し、この入力軸15と一体となって回転するカバー28とポンプインペラ21とが、入力軸15の回転に伴って回転する。
ポンプインペラ21が回転をした場合、ポンプインペラ21は、ポンプインペラ21とタービンランナ23との間で循環可能なオイルに、当該ポンプインペラ21の回転時の運動エネルギーを伝達する。これによりオイルは流動し、このオイルは、ポンプインペラ21が回転をすることによる遠心力により、ポンプインペラ21の外周側の流路端22から流れ出る。
ポンプインペラ21の外周側の流路端22から流れ出たオイルは、この流路端22の近傍に位置するタービンランナ23の外周側の流路端24からタービンランナ23に流れる。これにより、タービンランナ23には、オイルに伝達された運動エネルギーが伝達され、タービンランナ23はこの運動エネルギーによって回転する。このように、オイルの運動エネルギーにより回転するタービンランナ23は、トルクコンバータ10の出力軸16に連結され、出力軸16と一体に回転可能に設けられている。このため、オイルの運動エネルギーが伝達されることによりタービンランナ23が回転した場合には、タービンランナ23の回転に伴って出力軸16も回転する。この出力軸16は、自動変速機60に接続されているため、出力軸16が回転した場合には、その回転は自動変速機60に伝達される。これにより、トルクコンバータ10に入力された動力は、自動変速機60に伝達される。
このように、タービンランナ23に運動エネルギーを伝達したオイルは、タービンランナ23の内周側の流路端24から流れ出る。このタービンランナ23の内周側の流路端24の近傍には、ステータ25が配設されており、このステータ25は、ポンプインペラ21とタービンランナ23との内周側の流路端22、24同士の間に配設されている。このため、タービンランナ23の内周側の流路端24から流れ出たオイルはステータ25に流れ、さらに、ポンプインペラ21の内周側の流路端22から、再びポンプインペラ21に流れる。これにより、オイルはポンプインペラ21、タービンランナ23、ステータ25の間で循環し、エンジン5の動力は、循環するオイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ23に伝達される。
また、ステータ25は、このようにポンプインペラ21とタービンランナ23との内周側の流路端22、24同士の間で流れるオイルの流路を構成しているが、このステータ25は、ワンウェイクラッチ26によって一方向にのみ回転可能になっている。このため、ステータ25は、オイルの流れ方向、即ち、ポンプインペラ21とタービンランナ23との回転状態によって回転したり停止したりするが、まず、ステータ25が停止をする場合について説明する。このステータ25は、ポンプインペラ21の回転速度がタービンランナ23の回転速度よりも大きい場合に、ステータ25は停止する。
このステータ25はオイルの流路が、タービンランナ23からオイルが流入した際にオイルの向きをポンプインペラ21の回転方向側に変えることができるように形成されているため、停止した状態のステータ25に対してタービンランナ23からオイルが流入した場合、ステータ25はオイルの向きを変えて、ポンプインペラ21に流出する。このオイルの向きは、ポンプインペラ21の回転方向側の向き、即ち、ポンプインペラ21の回転方向寄りの向きになっているため、回転時のポンプインペラ21により運動エネルギーが伝達されるオイルは、回転方向の運動エネルギーがさらに大きくなる。これにより、オイルを介してタービンランナ23に伝達される動力はさらに大きくなり、トルクが増幅される。
このように、ステータ25は、ポンプインペラ21の回転速度がタービンランナ23の回転速度よりも大きい場合には停止し、オイルの向きをポンプインペラ21の回転方向側に変えるが、換言すると、ステータ25は、タービンランナ23から流れたオイルの向きをポンプインペラ21の回転方向側に変える場合の力がステータ25に作用した場合に停止し、このように停止することにより、オイルの向きを変える。
次に、ステータ25が回転をする場合について説明すると、ステータ25は、タービンランナ23の回転速度がポンプインペラ21の回転速度よりも大きい場合に回転する。つまり、タービンランナ23の回転速度がポンプインペラ21の回転速度よりも大きい場合には、ポンプインペラ21からタービンランナ23に流れるオイルの向きはポンプインペラ21の回転速度がタービンランナ23の回転速度よりも大きい場合とは変わるため、タービンランナ23からステータ25に流れるオイルの向きも変わる。このため、ステータ25は、タービンランナ23からのオイルにより、タービンランナ23の回転方向と同じ方向に回転をする。
また、タービンランナ23の回転速度がポンプインペラ21の回転速度よりも大きい場合には、トルクの増幅作用は無くなるが、この場合にステータ25が回転をすることにより、オイルがステータ25を介してタービンランナ23からポンプインペラ21に流れる際における抵抗を低減することができる。
また、ロックアップクラッチ31とカバー28とにより構成されるロックアップ機構30は、運転状態に応じて、ポンプインペラ21とタービンランナ23との間の動力の伝達を流体伝達と係合伝達とで切り替え可能に設けられている。このうち、流体伝達を行う場合には、トルクコンバータ10内の油圧を制御し、ロックアップクラッチ31とカバー28との間の油圧を、ロックアップクラッチ31とタービンランナ23との間の油圧以上にする。これにより、ロックアップクラッチ31はカバー28から離れ、ロックアップクラッチ31とカバー28とは離間する。このように、ロックアップクラッチ31とカバー28とを離間させることにより、ポンプインペラ21とタービンランナ23との間の動力の伝達は、上述したようにポンプインペラ21とタービンランナ23との間で循環するオイルを介して伝達する。
これに対し、ポンプインペラ21とタービンランナ23との間の動力の伝達を係合伝達で行う場合、即ち、ロックアップを行う場合は、トルクコンバータ10内の油圧を制御し、ロックアップクラッチ31とカバー28との間の油圧を、ロックアップクラッチ31とタービンランナ23との間の油圧より低くする。これにより、ロックアップクラッチ31には油圧差によりカバー28の方向への力が作用し、ロックアップクラッチ31はカバー28に接触して係合する。このように、ロックアップクラッチ31とカバー28とを係合させた場合、入力軸15に入力されたエンジン5の動力は、入力軸15と一体となって回転をするカバー28からロックアップクラッチ31に伝達され、ロックアップクラッチ31に伝達された動力は、出力軸16に伝達される。これにより、ロックアップ機構30でロックアップを行った場合には、エンジン5から伝達された動力は、出力軸16まで機械的に伝達される。
また、タービンランナ移動機構40は、エンジン5の運転状態に応じてタービンランナ23の位置を、所定の範囲内で調節可能に設けられている。詳しくは、タービンランナ移動機構40は、エンジン5の通常運転時、つまり、車両1の走行を一定速で行っている場合や、加減速が緩やかな場合、または、減速時には、油圧制御装置50で油圧室45内の油圧を制御し、伝達容量大側油圧室46の油圧を、伝達容量小側油圧室47の油圧以上にする。即ち、ECU70によって、運転者の要求駆動力やエンジン5の運転状態に基づいて通常運転時であるか否かを判定し、エンジン5は通常運転時であると判定した場合には、ECU70は油圧制御装置50に制御信号を送信する。このECU70からの制御信号を受けた油圧制御装置50は、伝達容量大側油圧室46の作動油の量を増加させ、伝達容量小側油圧室47内の作動油の量を減少させる。
このため、タービンランナ保持部41には、当該タービンランナ保持部41に付勢力を付与するスプリング42の付勢力、及び伝達容量大側油圧室46の油圧と伝達容量小側油圧室47の油圧との差により、ポンプインペラ21の方向への押圧力が付与される。これにより、このタービンランナ保持部41により保持されるタービンランナ23は、回転軸17の軸線方向におけるポンプインペラ21の方向に移動し、軸線方向におけるタービンランナ23の移動範囲において、最もポンプインペラ21に近付いた状態で保持される(図2)。
このように、タービンランナ23が最もポンプインペラ21に近付いた状態の場合で、且つ、ロックアップ機構30がロックアップを行っていない場合には、ポンプインペラ21から運動エネルギーを伝達されたオイルがタービンランナ23に流れ、このオイルからタービンランナ23に運動エネルギーを伝達する際に、タービンランナ23にはポンプインペラ21から流れ出たオイルの大部分が流れる。
このため、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ23に伝達される運動エネルギーは、ポンプインペラ21からオイルに伝達された大部分の運動エネルギーが伝達されるので、エンジン5から入力軸15に入力された動力は、大部分がタービンランナ23に伝達される。つまり、タービンランナ23には、入力軸15に入力された動力のうち、大部分の動力が伝達可能になっている。従って、タービンランナ23が当該タービンランナ23の移動範囲において、最もポンプインペラ21に近付いた状態でポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際における伝達容量は、ロックアップを行わない状態で当該トルクコンバータ10により動力を伝達する際における最大の伝達容量になる。
換言すると、タービンランナ移動機構40は、ポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際の伝達容量を大きくする場合には、タービンランナ23が回転をする際の回転軸17の軸線方向においてタービンランナ23がポンプインペラ21に近付く方向にタービンランナ23を移動させる。このように、タービンランナ23をポンプインペラ21に近付け、動力の伝達容量を大きくした場合、トルクコンバータ10に入力された動力は、大部分がタービンランナ23に伝達され、タービンランナ23から出力軸16に伝達されて出力軸16から自動変速機60に出力される。
図3は、タービンランナをポンプインペラから離した状態の説明図である。また、タービンランナ移動機構40は、車両1を急加速させる場合、つまりエンジン5の動力を急激に上昇させる場合には、エンジン5の動力を上昇させる際の過渡時に、油圧制御装置50で油圧室45内の油圧を制御し、伝達容量小側油圧室47の油圧を大きくする。具体的には、油圧室45の油圧を、伝達容量小側油圧室47の油圧によりタービンランナ保持部41に付与する力が、伝達容量大側油圧室46の油圧とスプリング42の付勢力とによりタービンランナ保持部41に付与する力よりも大きくなるように、伝達容量小側油圧室47の油圧を大きくし、伝達容量大側油圧室46の油圧を小さくする。即ち、ECU70によって、運転者の要求駆動力やエンジン5の運転状態に基づいて、エンジン5の動力を上昇させる際の過渡時であるか否かを判定し、エンジン5の動力を上昇させる際の過渡時であると判定した場合には、ECU70は油圧制御装置50に制御信号を送信する。このECU70からの制御信号を受けた油圧制御装置50は、伝達容量小側油圧室47の作動油の量を増加させ、伝達容量大側油圧室46内の作動油の量を減少させる。
このため、タービンランナ保持部41には、伝達容量小側油圧室47の油圧と、伝達容量大側油圧室46の油圧及びタービンランナ保持部41に付勢力を付与するスプリング42の付勢力との差により、ポンプインペラ21から離れる方向への押圧力が付与される。これにより、このタービンランナ保持部41により保持されるタービンランナ23は、回転軸17の軸線方向におけるポンプインペラ21から離れる方向に移動し、軸線方向におけるタービンランナ23の移動範囲において、最もポンプインペラ21から離れた状態で保持される。
このように、タービンランナ23が最もポンプインペラ21から離れた状態の場合で、且つ、ロックアップ機構30がロックアップを行っていない場合には、ポンプインペラ21から運動エネルギーを伝達されたオイルがタービンランナ23に流れ、このオイルからタービンランナ23に運動エネルギーを伝達する際に、タービンランナ23にはポンプインペラ21から流れ出たオイルのうち、一部のオイルが流れる。つまり、タービンランナ23に流れるオイルの量は、タービンランナ23が最もポンプインペラ21に近付いた状態の場合よりも減少する。
このため、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ23に伝達される運動エネルギーは、ポンプインペラ21からオイルに伝達された運動エネルギーのうち、一部の運動エネルギーが伝達されるので、エンジン5から入力軸15に入力された動力は、一部の動力がタービンランナ23に伝達される。つまり、タービンランナ23には、入力軸15に入力された動力のうち、一部の動力が伝達可能になっている。従って、タービンランナ23が当該タービンランナ23の移動範囲において、最もポンプインペラ21から離れた状態でポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際における伝達容量は、ロックアップを行わない状態で当該トルクコンバータ10により動力を伝達する際における最小の伝達容量になる。
換言すると、タービンランナ移動機構40は、ポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際の伝達容量を小さくする場合には、タービンランナ23が回転をする際の回転軸17の軸線方向においてタービンランナ23がポンプインペラ21から離れる方向にタービンランナ23を移動させる。このように、タービンランナ移動機構40でタービンランナ23をポンプインペラ21から離し、動力の伝達容量を小さくした場合、トルクコンバータ10に入力された動力のうち、一部のみがタービンランナ23に伝達され、タービンランナ23から出力軸16に伝達されて出力軸16から自動変速機60に出力される。
このように、エンジン5の動力を急激に上昇させる場合においてタービンランナ移動機構40でタービンランナ23を移動させることにより動力の伝達容量を小さくした状態でエンジン5を運転し、エンジン5の回転数やターボチャージャの過給圧が所定の回転数や過給圧に到達した場合には、ECU70は、油圧制御装置50に、動力の伝達容量を大きくさせる制御信号を送信する。ECU70からの制御信号を受けた油圧制御装置50は、油圧室45の油圧を制御することにより、タービンランナ23をポンプインペラ21に近付けさせ、動力の伝達容量を大きくさせる。
図4は、タービンランナとポンプインペラとの距離に対するエンジンの回転数の変化及び過給圧の変化の説明図である。トルクコンバータ10で伝達する動力の伝達容量は、このようにタービンランナ23をポンプインペラ21から離した場合には、タービンランナ23をポンプインペラ21に近付けた場合と比較して伝達容量は小さくなる。また、このようにタービンランナ23をポンプインペラ21から離すのは、エンジン5の動力を急激に上昇させる場合であるが、エンジン5の動力を急激に上昇させる際に動力の伝達容量を小さくした場合には、ポンプインペラ21からタービンランナ23に伝達される動力が少なくなることにより、ポンプインペラ21の回転のみが大幅に上昇する。
つまり、ポンプインペラ21からタービンランナ23に伝達される動力が少なくなるため、ポンプインペラ21を回転させる際の抵抗が少なくなり、エンジン5から伝達された動力は大部分がポンプインペラ21の回転の上昇に使用される。これにより、ポンプインペラ21の回転のみが大幅に上昇して、ポンプインペラ21とタービンランナ23との間で滑りが発生する。このため、エンジン5の回転数は上昇し易くなり、エンジン5の回転数が上昇することにより、ターボチャージャによる過給圧も上昇し易くなる。従って、エンジン5の動力を急激に上昇させる場合におけるエンジン5の回転数とターボチャージャの過給圧は、タービンランナ23をポンプインペラ21に近付けた状態でのエンジン回転数・過給圧NCよりも、タービンランナ23をポンプインペラ21から離した状態でのエンジン回転数・過給圧TCの方が、時間の経過に対して急激に上昇する。
以上のトルクコンバータ10は、タービンランナ移動機構40によって、エンジン5の状態に応じてタービンランナ23を移動させることにより、ポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際における伝達容量を変化させている。つまり、タービンランナ23を移動させた場合には、ポンプインペラ21からタービンランナ23にオイルが流れる際の流れ方が変化するため、動力がオイルを介してタービンランナ23に伝達される際における伝達効率が変化する。このため、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際の抵抗が大きくなることなく、動力の伝達時における伝達容量が変化する。また、このように動力の伝達容量を変化させる際に、タービンランナ23を移動させることにより変化させるので、伝達容量を容易に変化させることができる。この結果、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、容易に動力の伝達容量を変化させることができる。
また、エンジン5が動力を急激に増加させる際における過渡時に伝達容量が小さくなるようにタービンランナ23を移動させるので、エンジン5を早期に所望の運転状態にすることができる。つまり、エンジン5が動力を急激に増加させる過渡時に伝達容量を小さすることにより、エンジン5の動力でポンプインペラ21を回転させる場合に必要な動力が少なくなる。このため、ポンプインペラ21を回転させるために使用する動力が少なくなるため、エンジン5の動力を増加させる際に短時間で増加させることができ、エンジン5の運転状態を、早期に所望の運転状態にすることができる。この結果、エンジン5をより確実に所望の状態で運転させることができる。
また、エンジン5が動力を急激に増加させる過渡時に伝達容量を小さくすることにより、エンジン5にターボチャージャが備えられている場合に、早期にエンジン5の回転数が上昇するため、早期に過給圧を上昇させることができる。この結果、ターボチャージャを備えたエンジン5を搭載する車両1での発進時や加速時の過渡時における応答性の向上を図ることができる。
また、ポンプインペラ21からタービンランナ23に動力を伝達する際における伝達容量を小さくする場合には、入力軸15や出力軸16が回転をする際の回転軸17の軸線方向において、タービンランナ23がポンプインペラ21から離れる方向にタービンランナ23を移動させるため、より確実に動力の伝達容量を小さくすることができる。つまり、軸線方向においてタービンランナ23がポンプインペラ21から離れる方向にタービンランナ23を移動させることにより、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ23に動力が伝達する際に、オイルからタービンランナ23に伝達する動力が少なくなる。このように、ポンプインペラ21から離れる方向にタービンランナ23を移動させることにより、オイルからタービンランナ23に伝達される動力が少なくなるため、オイルを介してタービンランナ23に伝達される動力の量が少なくなり、動力の伝達容量が小さくなる。この結果、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、より確実に動力の伝達容量を変化させることができる。
実施例2に係るトルクコンバータ80は、実施例1に係るトルクコンバータ10と略同様の構成であるが、タービンランナ85の移動方向は、回転軸17と直交する方向になっている点に特徴がある。他の構成は実施例1と同様なので、その説明を省略すると共に、同一の符号を付す。図5は、実施例2に係るトルクコンバータの概略図である。図6は、図5のA−A方向矢視図である。実施例2に係るトルクコンバータ80は、実施例1に係るトルクコンバータ10と同様に、回転可能に設けられると共にエンジン5(図1参照)の動力の入力側となるポンプインペラ21と、回転可能に設けられると共に自動変速機60(図1参照)への出力側となるタービンランナ85と、ポンプインペラ21とタービンランナ85との間に配設されたステータ25とを備える流体伝動機構により構成されている。このうち、ポンプインペラ21は、入力軸15及びカバー28と一体に回転可能に設けられており、ポンプインペラ21の回転時には、ポンプインペラ21はオイルに対して運動エネルギーを伝達可能に形成されている。また、タービンランナ85は、出力軸16と一体に回転可能に設けられており、ポンプインペラ21より運動エネルギーが伝達されたオイルから運動エネルギーが伝達されることにより、回転可能に設けられている。
さらに、このトルクコンバータ80は、ポンプインペラ21とタービンランナ85との間の動力の伝達をオイルによる伝達である流体伝達と、ポンプインペラ21とタービンランナ85とを係合させることにより行う伝達である係合伝達、即ちロックアップとで切り替え可能なロックアップ機構30が設けられている。
また、実施例2に係るトルクコンバータ80が有するタービンランナ85は、実施例1に係るトルクコンバータ10が有するタービンランナ23と異なり、タービンランナ85が回転をする際の回転軸17を中心とする周方向において、複数に分割されている(図6)。即ち、タービンランナ85は、入力軸15や出力軸16が回転をする際の回転軸を中心とする周方向において、等間隔で4つに分割されて形成されている。
また、実施例2に係るトルクコンバータ80が有するタービンランナ移動機構90は、実施例1に係るトルクコンバータ10が有するタービンランナ移動機構40と異なり、タービンランナ85を、回転軸17と直交する方向に移動可能に設けられている。このタービンランナ移動機構90は、タービンランナ85を保持するタービンランナ保持部91と、このタービンランナ保持部91に対して、回転軸17に向かう方向の付勢力を付与する付勢手段であるスプリング93と、内部にスプリング93を保持可能に設けられた油圧室95と、油圧室95内の作動油の量を調節することにより油圧室95の油圧を制御可能な油圧制御装置100と、により構成されている。
このうち、タービンランナ保持部91は、4つに分割されたそれぞれのタービンランナ85に接続されており、タービンランナ85に接続されている側の端部の反対側に位置する端部に、スプリング93の付勢力や油圧室95内の作動油の油圧を受ける押圧力受け部92を有している。タービンランナ保持部91に対して付勢力を付与するスプリング93は、この押圧力受け部92に対して付勢力を付与することにより、タービンランナ保持部91への付勢力の付与が可能に設けられており、4つに分割されたそれぞれのタービンランナ85に接続される各タービンランナ保持部91に対して、付勢力の付与が可能に設けられている。
また、このように設けられるスプリング93は、弾性部材である圧縮ばねにより形成されており、タービンランナ保持部91に対して回転軸17に向かう方向の付勢力を付与することを介して、タービンランナ85に、回転軸17と直交する方向において回転軸17に向かう方向の付勢力を付与している。即ち、スプリング93は、タービンランナ85に、回転軸17と直交する方向である径方向において、回転軸17に向かう方向である径方向の内方へ付勢力を付与している。
また、油圧室95は、4つに分割されたそれぞれのタービンランナ85に接続されるタービンランナ保持部91ごとに設けられている。このようにタービンランナ保持部91ごとに設けられる油圧室95は、タービンランナ保持部91が有する押圧力受け部92に対して、回転軸17と直交する方向である径方向において径方向の内方に移動させる向きの油圧を付与可能な伝達容量大側油圧室96と、タービンランナ保持部91が有する押圧力受け部92に対して、回転軸17と直交する方向である径方向において径方向の外方に移動させる向きの油圧、即ち、回転軸17から離れる方向に移動させる向きの油圧を付与可能な伝達容量小側油圧室97と、を有している。
このうち、伝達容量小側油圧室97は、油圧室95においてタービンランナ保持部91の押圧力受け部92よりも径方向における内方側に位置する部分として形成されており、伝達容量大側油圧室96は、油圧室95においてタービンランナ保持部91の押圧力受け部92に対して伝達容量小側油圧室97が位置している側の反対側に位置して形成されている。スプリング93は、この伝達容量大側油圧室96に設けられており、タービンランナ保持部91に対して伝達容量小側油圧室97側への付勢力を付与している。
このように形成される油圧室95の油圧を制御可能な油圧制御装置100は、油圧経路101が伝達容量大側油圧室96と伝達容量小側油圧室97との双方に接続されており、伝達容量大側油圧室96と伝達容量小側油圧室97との双方の油圧を制御可能に設けられている。
この実施例2に係るトルクコンバータ80は、以上のごとき構成からなり、以下、その作用について説明する。車両1の走行時にエンジン5に発生した動力は、トルクコンバータ80の入力軸15に伝達され、入力軸15からポンプインペラ21に伝達される。ポンプインペラ21は、伝達された動力により回転し、ポンプインペラ21が回転した際の運動エネルギーは、ポンプインペラ21とタービンランナ85とステータ25との間で循環するオイルに伝達される。オイルに伝達された運動エネルギーは、タービンランナ85に伝達され、タービンランナ85は、伝達された運動エネルギーにより回転する。このタービンランナ85は、出力軸16と一体に回転可能に設けられているため、タービンランナ85が回転することにより、出力軸16も回転する。このように出力軸16が回転することにより、エンジン5からトルクコンバータ80に入力された動力は、トルクコンバータ80を介して自動変速機60に伝達される。また、ロックアップ機構30がロックアップを行った場合には、エンジン5から入力軸15に入力された動力は、出力軸16まで機械的に伝達される。
また、タービンランナ移動機構90は、エンジン5の運転状態に応じてタービンランナ85の位置を、所定の範囲内で調節可能に設けられている。詳しくは、タービンランナ移動機構90は、エンジン5の通常運転時には、油圧制御装置100で油圧室95内の油圧を制御し、伝達容量大側油圧室96の油圧を、伝達容量小側油圧室97の油圧以上にする。即ち、ECU70で、エンジン5の運転状態は通常運転時であると判定した場合には、ECU70は油圧制御装置100に制御信号を送信する。このECU70からの制御信号を受けた油圧制御装置100は、伝達容量大側油圧室96の作動油の量を増加させ、伝達容量小側油圧室97内の作動油の量を減少させる。
このため、タービンランナ保持部91が有する押圧力受け部92には、当該タービンランナ保持部91に付勢力を付与するスプリング93の付勢力、及び伝達容量大側油圧室96の油圧と伝達容量小側油圧室97の油圧との差により、径方向における内方への押圧力が付与される。これにより、押圧力受け部92を有するタービンランナ保持部91により保持されるタービンランナ85は、径方向における内方に移動し、径方向におけるタービンランナ85の移動範囲において、最も内方に位置する状態、即ち、タービンランナ85の移動範囲において回転軸17に最も近付いた状態で保持される(図5)。
このように、タービンランナ85が径方向において最も内方に位置する状態の場合、タービンランナ85は、タービンランナ85の移動範囲において最もポンプインペラ21に近付いた状態になる。タービンランナ85がこの状態で保持されている場合で、且つ、ロックアップ機構30がロックアップを行っていない場合には、ポンプインペラ21から運動エネルギーを伝達されたオイルがタービンランナ85に流れ、このオイルからタービンランナ85に運動エネルギーを伝達する際に、タービンランナ85にはポンプインペラ21から流れ出たオイルの大部分が流れる。
このため、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ85に伝達される運動エネルギーは、ポンプインペラ21からオイルに伝達された大部分の運動エネルギーが伝達されるので、エンジン5から入力軸15に入力された動力は、大部分がタービンランナ85に伝達される。つまり、タービンランナ85には、入力軸15に入力された動力のうち、大部分の動力が伝達可能になっている。従って、タービンランナ85が径方向におけるタービンランナ85の移動範囲において、最も内方に位置する状態でポンプインペラ21からタービンランナ85に動力を伝達する際における伝達容量は、ロックアップを行わない状態で当該トルクコンバータ80により動力を伝達する際における最大の伝達容量になる。
換言すると、タービンランナ移動機構90は、ポンプインペラ21からタービンランナ85に動力を伝達する際の伝達容量を大きくする場合には、回転軸17と直交する方向においてタービンランナ85が回転軸17に近付く方向にタービンランナ85を移動させる。このように、タービンランナ85を回転軸17に近付けることによりタービンランナ85をポンプインペラ21に近付け、動力の伝達容量を大きくした場合、トルクコンバータ80に入力された動力は、大部分がタービンランナ85に伝達され、タービンランナ85から出力軸16に伝達されて出力軸16から自動変速機60に出力される。
図7は、タービンランナを回転軸から離した状態の説明図である。図8は、図7のB−B方向矢視図である。また、タービンランナ移動機構90は、エンジン5の動力を上昇させる際の過渡時に、油圧制御装置100で油圧室95内の油圧を制御し、伝達容量小側油圧室97の油圧を大きくする。このように伝達容量小側油圧室97の油圧を大きくするのは、4つに分割されたタービンランナ85のうち、回転軸17を中心とする径方向において互いに反対側に配設されている2つのタービンランナ85に対応して設けられた、2つの油圧室95が有する伝達容量小側油圧室97の油圧を大きくする。つまり、この2つのタービンランナ85に接続されたタービンランナ保持部91に対応して設けられた、2つの油圧室95が有する伝達容量小側油圧室97の油圧を大きくする。
具体的には、この2つの油圧室95の油圧を、伝達容量小側油圧室97の油圧によりタービンランナ保持部91に付与する力が、伝達容量大側油圧室96の油圧とスプリング93の付勢力とによりタービンランナ保持部91に付与する力よりも大きくなるように、伝達容量小側油圧室97の油圧を大きくし、伝達容量大側油圧室96の油圧を小さくする。即ち、ECU70によって、エンジン5の運転状態は動力を上昇させる際の過渡時であると判定した場合には、ECU70は油圧制御装置100に制御信号を送信する。このECU70からの制御信号を受けた油圧制御装置100は、2つの油圧室95が有する伝達容量小側油圧室97の作動油の量を増加させ、この油圧室95が有する伝達容量大側油圧室96内の作動油の量を減少させる。
このため、タービンランナ保持部91が有する押圧力受け部92には、伝達容量小側油圧室97の油圧と、伝達容量大側油圧室96の油圧及びタービンランナ保持部91に付勢力を付与するスプリング93の付勢力との差により、径方向における外方への押圧力が付与される。これにより、押圧力受け部92を有するタービンランナ保持部91により保持される2つのタービンランナ85は、径方向における外方に移動し、径方向におけるタービンランナ85の移動範囲において、最も外方に位置する状態、即ち、タービンランナ85の移動範囲において回転軸17から最も離れた状態で保持される。
このように、タービンランナ85が径方向において最も外方に位置する状態の場合、タービンランナ85は、タービンランナ85の移動範囲において最もポンプインペラ21から離れた状態になる。タービンランナ85がこの状態で保持されている場合で、且つ、ロックアップ機構30がロックアップを行っていない場合には、ポンプインペラ21から運動エネルギーを伝達されたオイルがタービンランナ85に流れ、このオイルからタービンランナ85に運動エネルギーを伝達する際に、タービンランナ85にはポンプインペラ21から流れ出たオイルのうち、一部のオイルが流れる。つまり、タービンランナ85に流れるオイルの量は、タービンランナ85が径方向において最も内方に位置し、最もポンプインペラ21に近付いた状態の場合よりも減少する。
このため、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ85に伝達される運動エネルギーは、ポンプインペラ21からオイルに伝達された運動エネルギーのうち、一部の運動エネルギーが伝達されるので、エンジン5から入力軸15に入力された動力は、一部の動力がタービンランナ85に伝達される。つまり、タービンランナ85には、入力軸15に入力された動力のうち、一部の動力が伝達可能になっている。従って、タービンランナ85が径方向におけるタービンランナ85の移動範囲において、最も外方に位置する状態でポンプインペラ21からタービンランナ85に動力を伝達する際における伝達容量は、ロックアップを行わない状態で当該トルクコンバータ80により動力を伝達する際における最小の伝達容量になる。
換言すると、タービンランナ移動機構90は、ポンプインペラ21からタービンランナ85に動力を伝達する際の伝達容量を小さくする場合には、複数に分割されたタービンランナ85の少なくとも一部を、回転軸17と直交する方向において回転軸17から離れる方向にタービンランナ85を移動させる。このように、タービンランナ移動機構90でタービンランナ85の少なくとも一部をポンプインペラ21から離し、動力の伝達容量を小さくした場合、トルクコンバータ80に入力された動力のうち、一部のみがタービンランナ85に伝達され、タービンランナ85から出力軸16に伝達されて出力軸16から自動変速機60に出力される。
このように、エンジン5の動力を急激に上昇させる場合においてタービンランナ移動機構90でタービンランナ85を移動させることにより動力の伝達容量を小さくした状態でエンジン5を運転し、エンジン5の回転数やターボチャージャの過給圧が所定の回転数や過給圧に到達した場合には、ECU70は、油圧制御装置100に、動力の伝達容量を大きくさせる制御信号を送信する。ECU70からの制御信号を受けた油圧制御装置100は、油圧室95の油圧を制御することにより、分割されたタービンランナ85のうち径方向におけるタービンランナ85の移動範囲において、最も外方に位置している状態のタービンランナ85を径方向における内方に移動させることにより、当該タービンランナ85をポンプインペラ21に近付けさせ、ポンプインペラ21からタービンランナ85への動力の伝達容量を大きくさせる。
以上のトルクコンバータ80は、タービンランナ85を、回転軸17を中心とする周方向において複数に分割し、ポンプインペラ21からタービンランナ85に動力を伝達する際における伝達容量を小さくする場合には、複数に分割されたタービンランナ85の少なくとも一部を回転軸17と直交する方向において回転軸17から離れる方向に移動させる。このため、より確実に動力の伝達容量を小さくすることができる。つまり、複数に分割されたタービンランナ85の少なくとも一部を回転軸17から離れる方向に移動させることにより、オイルを介してポンプインペラ21からタービンランナ85に動力が伝達する際に、オイルからタービンランナ85に伝達する動力が少なくなる。このように、回転軸17と直交する方向において回転軸17から離れる方向にタービンランナ85を移動させることにより、オイルからタービンランナ85に伝達される動力が少なくなるため、オイルを介してタービンランナ85に伝達される動力の量が少なくなり、動力の伝達容量が小さくなる。この結果、動力の伝達時の抵抗が大きくなることを抑制しつつ、より確実に動力の伝達容量を変化させることができる。
なお、上述したトルクコンバータ10、80は、ポンプインペラ21からタービンランナ23、85に動力を伝達する際の伝達容量を小さくするためにタービンランナ23、85をポンプインペラ21から離すのは、エンジン5の動力を急激に上昇させる場合の過渡時であるが、動力を伝達する際の伝達容量を小さくするのは、エンジン5の動力を上昇させる場合の過渡時以外でもよい。例えば、エンジン5がアイドル運転している場合に、タービンランナ移動機構40、90によってタービンランナ23、85を移動させることによりタービンランナ23、85をポンプインペラ21から離し、ポンプインペラ21からタービンランナ23、85に動力を伝達する際の伝達容量を小さくしてもよい。ポンプインペラ21からタービンランナ23、85に動力を伝達する際の伝達容量が大きい場合には、エンジン5の動力が伝達されるトルクコンバータ10、80によるエンジン5に対する負荷も大きくなるが、このようにエンジン5がアイドル運転している最中に動力の伝達容量を小さくすることにより、トルクコンバータ10、80によるエンジン5に対する負荷の低減を図ることができる。この結果、燃費の向上を図ることができる。
また、上述したトルクコンバータ10、80は、ターボチャージャが備えられるエンジン5に接続されているが、トルクコンバータ10、80が接続されるエンジン5は、ターボチャージャが備えられるエンジン5以外の動力源でもよい。エンジン5などの動力源は、運転時の回転数により出力が変化する場合が多いので、トルクコンバータ10、80が接続される動力源が、回転数が高い領域で出力が大きくなる動力源である場合には、動力を急激に上昇させる際の過渡時にポンプインペラ21とタービンランナ23、85との間の動力の伝達容量を小さくすることにより、運転時の回転数を早期に上昇させることができる。つまり、動力源の動力を急激に上昇させる際の過渡時にポンプインペラ21とタービンランナ23、85との間の動力の伝達容量を小さくし、ポンプインペラ21とタービンランナ23、85との間で滑りを発生させることにより、トルクコンバータ10、80による動力源に対する負荷を小さくすることができる。このため、動力源の回転数は早期に上昇するので、動力を急激に上昇させる際に、動力源の回転数を、早期に出力が大きくなる回転数にすることができ、早期に高い出力を得ることができる。この結果、動力源を搭載する車両1での発進時や加速時の過渡時における応答性の向上を図ることができる。
また、実施例2に係るトルクコンバータ80では、タービンランナ85は4分割されているが、タービンランナ85は4つ以外の数で分割されていてもよい。また、動力の伝達容量を小さくする場合に、タービンランナ移動機構90によってタービンランナ85を径方向におけるタービンランナ85の移動範囲において、最も外方に位置する状態に移動させるのは、回転軸17を中心とする径方向において互いに反対側に配設されている2つのタービンランナ85であるが、移動させるタービンランナ85は、このタービンランナ85以外でもよい。タービンランナ85は、回転軸17を中心とする周方向において、複数に分割されていればよく、また、動力の伝達容量を小さくする場合には、複数に分割されたタービンランナ85の少なくとも一部を、回転軸17と直交する方向において回転軸17から離れる方向に移動させることができるように設けられていればよい。タービンランナ85の分割の数や、移動させるタービンランナ85は、実施例2以外の形態でもよい。その際に、移動させるタービンランナ85は、タービンランナ85の回転時にバランスが取れ、安定して回転することができるタービンランナ85を移動させるのが好ましい。
以上のように、本発明に係るトルクコンバータは、動力の伝達容量を変化させる場合に有用であり、特に、過給機を備えたエンジンの動力を伝達するトルクコンバータに適している。
実施例1に係るトルクコンバータを備えた車両の駆動系の概略図である。 図1に示すトルクコンバータの詳細図である。 タービンランナをポンプインペラから離した状態の説明図である。 タービンランナとポンプインペラとの距離に対するエンジンの回転数の変化及び過給圧の変化の説明図である。 実施例2に係るトルクコンバータの概略図である。 図5のA−A方向矢視図である。 タービンランナを回転軸から離した状態の説明図である。 図7のB−B方向矢視図である。
符号の説明
1 車両
5 エンジン
10、80 トルクコンバータ
15 入力軸
16 出力軸
17 回転軸
21 ポンプインペラ
23、85 タービンランナ
25 ステータ
28 カバー
30 ロックアップ機構
31 ロックアップクラッチ
40、90 タービンランナ移動機構
41、91 タービンランナ保持部
42、93 スプリング
45、95 油圧室
46、96 伝達容量大側油圧室
47、97 伝達容量小側油圧室
50、100 油圧制御装置
51、101 油圧経路
60 自動変速機
65 差動装置
67 駆動輪
70 ECU
92 押圧力受け部

Claims (4)

  1. 動力源からの動力が入力されることにより回転可能に設けられると共に作動流体に対して回転時の運動エネルギーを伝達することにより前記動力を伝達可能なポンプと、
    前記作動流体を介して前記動力が伝達されることにより回転可能に設けられ、且つ、外部に回転を伝達することを介して前記動力源から伝達された前記動力を出力可能なタービンと、
    前記動力源の状態に応じて前記タービンを移動させることにより前記ポンプから前記タービンに前記動力を伝達する際における伝達容量を変化させる伝達容量調節手段と、
    を備えることを特徴とするトルクコンバータ。
  2. 前記伝達容量調節手段は、少なくとも前記動力源が前記動力を急激に増加させる際における過渡時に前記伝達容量が小さくなるように前記タービンを移動させることを特徴とする請求項1に記載のトルクコンバータ。
  3. 前記伝達容量調節手段は、前記伝達容量を小さくする場合には、前記タービンが回転をする際の回転軸の軸線方向において前記タービンが前記ポンプから離れる方向に前記タービンを移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のトルクコンバータ。
  4. 前記タービンは、回転をする際の回転軸を中心とする周方向において複数に分割されており、
    前記伝達容量調節手段は、前記伝達容量を小さくする場合には、前記複数に分割されたタービンの少なくとも一部を前記回転軸と直交する方向において前記回転軸から離れる方向に移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のトルクコンバータ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US8888653B2 (en) 2012-07-25 2014-11-18 Ford Global Technologies, Llc Method and system for operating a vehicle powertrain

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